JP5656375B2 - 抗菌剤、及び抗菌性向上方法 - Google Patents
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請求項3に記載の発明の抗菌性向上方法は、物品中においてオオバギ抽出物と塩化ナトリウムとを共存させるとともに、前記物品中における塩化ナトリウムの含有量を1〜15質量%の範囲にすることを特徴とする。
以下、本発明の抗菌剤を具体化した第1の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の抗菌剤は、オオバギ抽出物及び塩化ナトリウムを有効成分として含有している。
抽出操作としては、抽出溶媒中に上記原料を所定時間浸漬させる。こうした抽出操作においては、抽出効率を高めるべく、必要に応じて攪拌操作又は加温を行ってもよい。また、原料から抽出される夾雑物を削減すべく、抽出操作に先だって、別途水抽出操作又は熱水抽出操作を行ってもよい。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
以下、本発明の抗菌剤を具体化した第2の実施形態を詳細に説明する。第2の実施形態では、前記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
オオバギ抽出物としては、第1の実施形態で説明したオオバギ抽出物を用いることができる。塩化ナトリウムが含有される物品としては、例えば飲食品、歯磨き粉、洗浄剤、及び化粧品が挙げられる。飲食品としては、例えば醤油、味噌、漬け物、つゆ類、たれ類、海産加工品、畜産加工品、各種調味料が挙げられる。つゆ類としては、例えばめんつゆ、そばつゆ、煮物つゆ、鍋つゆ及び天つゆが挙げられる。たれ類としては、例えば焼き肉のたれ、焼き鳥のたれ、及び蒲焼きのたれが挙げられる。海産加工品としては、各種塩蔵品に好適であり、海産加工品の塩蔵品としては、例えば干物、かまぼこ、塩辛、及び魚卵製品(数の子、イクラ等)が挙げられる。畜産加工品としては、各種塩蔵品に好適であり、畜産加工品の塩蔵品としては例えばハム、ソーセージ、及びジャーキーが挙げられる。更に、食品の塩蔵品としては、例えばきのこ、山菜、各種野菜、塩蔵葉及び佃煮が挙げられる。各種調味料としては、例えばドレッシング、マヨネーズ、ソース、浅漬けの素、及びふりかけが挙げられる。歯磨き粉としては、例えば塩入歯磨き粉及び薬用歯磨き粉が挙げられる。洗浄剤としては、例えば厨房用洗剤、入浴剤、及びボディソープが挙げられる。化粧品としては、例えば洗顔石鹸、及びマッサージクリームが挙げられる。更に、飲食品以外の物品として、例えば海洋魚等の養殖(飼育)用餌、及び観賞魚の細菌性感染症治療薬が挙げられる。
ここで、例えば漬け物の中でも浅漬けでは、古漬けに比して塩分濃度が低い傾向にあるとともに発酵を伴わないため、雑菌が増殖し易い条件で保存されることになる。また例えば、つゆ類の中でも水で薄めずに使用するストレートタイプのつゆ類や希釈倍率の低いつゆ類(例えば2倍希釈のつゆ類)では、塩分濃度が低いため、雑菌が増殖し易い傾向にある。もっとも、高温、かつ長時間の条件で殺菌することで、雑菌の増殖は阻止又は抑制できるものの、そうした過酷な条件での殺菌は、例えば風味、色調等の品質を低下させる要因となり得る。こうした飲食品に対して本実施形態の抗菌剤を適用することで、雑菌の増殖が抑制されるため、例えば温和な条件での殺菌処理によって素材の風味を生かすことができるようになる。更に、開栓又は開封後の保存中に雑菌が混入する可能性があり、塩分濃度が低い場合、雑菌が増殖するおそれもあることから、内溶液は雑菌の増殖阻止又は抑制する作用を有することが望ましい。この点、本実施形態の抗菌剤を適用することで、保存中の変敗を抑制することができるようになる。
(3)本実施形態の抗菌剤は塩化ナトリウムが含有される物品に用いられる。このため、物品に含有される塩化ナトリウムにより、抗菌性を高めることが容易となる。従って、物品に対する抗菌剤の添加量を削減することができるようになる。すなわち、抗菌剤の添加量を削減することで、抗菌剤の添加により抗菌以外の影響が物品に生じることを抑制することができるようになる。これにより、例えば、飲食品に上記抗菌剤を適用した場合では、飲食品本来の風味を生かすことができるようになる。
・前記オオバギ抽出物に対する塩化ナトリウムの作用効果を利用した抗菌性向上方法を提供することができる。すなわち、抗菌性向上方法では、物品中にオオバギ抽出物と塩化ナトリウムとを共存させることを特徴とする。この方法によれば、物品の抗菌性を高めることが容易となる。
<オオバギ抽出液の調製>
沖縄県で採集して冷凍したオオバギの生葉を解凍した後に、はさみでその生葉を細かくカットした。カットした生葉1kgに対し、90体積%エタノール水溶液20Lを加え、室温で2週間浸漬させて溶媒抽出を行った後、ろ過、濃縮、及び凍結乾燥の各操作を順に行うことで、粉末状のオオバギ抽出物を調製した。なお、オオバギ抽出物に含まれるニムフェオール類の濃度は、以下に示されるHPLC条件で分析した結果、50質量%であった。なお、このニムフェオール類の濃度は、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオール−Cを合計した濃度を示している。また、オオバギ抽出物の濃度は、ニムフェオール類の濃度を指標として示すことができる。
システム :PDA−HPLCシステム(島津製作所:LC10ADvp)
カラム :Intact製 CadenzaCD−C18 (4.6×250mm)
カラム温度:40℃
溶媒 :A:5%酢酸水溶液、B:メタノール
溶出条件 : 0−20min
(グラジエント溶出;A:B=80:20→A:B=30:70)
20−50min
(グラジエント溶出;A:B=30:70→A:B=0:100)
50−60min(A:B=0:100)
流速 : 0.6ml/min
PDA検出:UV190−370nm
注入量 : 20μl
次に、得られた粉末状のオオバギ抽出物を99.5vol%のエタノール水溶液に溶解することにより、2w/w%のオオバギ抽出液を調製した。この溶液を用いて抗菌活性の試験を行った。
下記の実施例及び比較例に示されるように、培地溶液に各成分が所定の濃度となるように混合し、121℃15分の加熱殺菌し、平板に固化した。固化した培地表面に菌液を0.1mL接種し、菌液が均一になるように塗沫培養することで、抗菌活性を評価した。以下の表1〜6に示される“抗菌性の評価”欄では、処理条件として培地と培養条件、初期菌数を示しており、この条件を用いた各例の培養試験において、“−”は、菌の増殖が抑制されている(抗菌活性を有する)結果を示し、“+”は、菌の増殖が抑制されていない(抗菌活性を有しない)結果を示している。
表1に示されるように、食中毒の原因菌に対する抗菌性向上効果を検証した。
表2に示されるように、食中毒の原因菌に対する抗菌性向上効果を検証した。
表3に示されるように、食品における酸敗の原因菌に対する抗菌性向上効果を検証した。
表4に示されるように、食品における変敗の原因菌に対する抗菌性向上効果を検証した。
表5に示されるように、虫歯の原因菌に対する抗菌性向上効果を検証した。
表6に示されるように、歯周病の原因菌に対する抗菌性向上効果を検証した。
酸敗の原因菌であるラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum,NBRC15891)に対する抗菌性の経時変化について確認した。まず、NB培地(塩化ナトリウム0.5w/w%)にグルコースを0.2w/w%加えた培地を基礎培地とした。その基礎培地を用いて、表7に示されるようにオオバギ抽出物及び塩化ナトリウムの少なくとも一方を添加後、試験管に10ml分注し、オートクレーブにて121℃、15分間の滅菌処理を施した。滅菌処理後、菌液を接種して15℃で培養し、定期的に菌数を測定した。28日間培養した後に、最終日にpHを測定した。このpHについて未接種の培地におけるpHと対比した。
抗菌性について市販品であるそばつゆの保存試験により検証した。使用したそばつゆは、商品名「そば屋のそばつゆ」(株式会社 戸隠そば本舗製)であり、このそばつゆのpH値は“4.9”であり、Bx値は“16.25”であり、塩化ナトリウム濃度は3.45(w/v)%である。なお、ここで用いたそばつゆは、水で希釈せずに用いることのできるストレートタイプのそばつゆである。
実施例H2〜H4では、表8に示されるようにオオバギ抽出物の濃度を変更した以外は、実施例H1と同様にして保存試験を行った。
比較例H1では、テストチューブにオオバギ抽出液を添加しない以外は、実施例H1と同様にして保存試験を行った。
抗菌性について市販品であるそばつゆの保存試験により検証した。テストチューブの保存温度を30℃に変更した以外は、表9に示されるように、上記実施例H及び比較例Hと同様にして保存試験を行った。
浅漬けに対する抗菌性について保存試験により検証した。同時にカテキン溶液の添加の有無についても検証を行なった。表10に示される市販品の浅漬けを必要な数準備して、各例の評価を行った。
緑茶カテキン(江西緑康天然産物有限公司製、商品名:TP−98、ポリフェノール含量98%以上、総カテキン含量80%以上)を99.5vol%のエタノール水溶液に溶解することにより、2w/w%のカテキン溶液を調製した。
表11に示される経過日数毎に各例の袋から試験液を3mL程度抜き取り、滅菌水を用いて10倍希釈を繰り返したものを、標準寒天培地(組成:0.25%酵母エキス、0.5%トリプトン、0.1%ブドウ糖、1.5%カンテン、pH7.1、栄研化学社製)にて混釈し、35℃で72時間培養後、コロニーをカウントすることで菌数の経時変化を確認した。また、試験液のpH値についても測定した。
浅漬けに対する抗菌性について保存試験により検証した。表12に示されるように、試験液の成分組成を変更した以外は、上記実施例J,比較例Jと同様にして保存試験を行った。
Claims (4)
- オオバギ抽出物を有効成分とする抗菌剤であって、
前記抗菌剤は、
塩化ナトリウムが含有される物品に用いられるとともに、
前記抗菌剤を含有する物品中における塩化ナトリウムの含有量が1〜15質量%となるように用いられることを特徴とする抗菌剤。 - カテキン類をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の抗菌剤。
- 物品中においてオオバギ抽出物と塩化ナトリウムとを共存させるとともに、前記物品中における塩化ナトリウムの含有量を1〜15質量%の範囲にすることを特徴とする抗菌性向上方法。
- 前記物品中においてカテキン類をさらに共存させることを特徴とする請求項3に記載の抗菌性向上方法。
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