JP2004256492A - 抗菌剤およびそれを含有する飲食品 - Google Patents

抗菌剤およびそれを含有する飲食品 Download PDF

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Takeshi Ueno
健史 上野
Masaaki Matsuoka
正明 松岡
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Abstract

【課題】本発明は、安価で安全性が高く、充分な抗菌作用を有する天然物由来の抗菌剤およびそれを含有する飲食品を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、マイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を含有することを特徴とする抗菌剤を提供する。
【選択図】 無し

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然物由来の抗菌剤およびそれを含有する飲食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年食に関する安全性が高く求められており、中でも微生物による変敗は最も身近な問題であることから、飲料においても殺菌にはいっそう注意が払われるようになっている。例えば、金属缶の場合は充分な加熱強度のレトルト殺菌を行うことにより、微生物事故を防止している。また、PETボトルのようなプラスチック容器、内面が樹脂加工された紙容器および金属製のボトル容器を使用する場合には、その特性上レトルト殺菌が不可能であるため、通常はホットパックや無菌充填が行われている。その際、耐熱性菌による変敗が問題となる内容物は事前にUltra high temperature(UHT)殺菌などを行って充填されている。
【0003】
しかしながら、このような加熱殺菌を行っても微生物事故が生じる場合はあり得る。例えば、原料中に耐熱性菌が多数存在していた場合に、通常どおりの殺菌を行っても菌が生残して増殖することがあることや、常温流通製品において、夏場の高温の倉庫などに保管されたために、通常は問題とならない好熱性菌が増殖するといった変敗事故は実際の事例として起きている。このように耐熱性の強い菌に対して完全に死滅させるのに充分な加熱殺菌を行う場合、強い殺菌になるほど熱による香味劣化や変色など著しい商品価値の低下を伴うことがある。また、密封後の殺菌が困難な製品においては、包材の洗浄が不十分なため微生物が混入したり、容器に内容物を充填する際に環境由来の菌が混入するなどの二次的な汚染が起こることにより微生物事故が発生する場合もある。
【0004】
そこで、従来、食品保存のためにパラオキシ安息香酸、安息香酸などの化学合成品を、内容物に添加する方法が用いられているが、近年の消費者の健康志向の高まりもあり、合成保存料が敬遠される傾向にある。これらの理由から市場では安全な天然物由来の保存剤の開発が望まれており、天然保存剤の研究・開発が多くなされてきた。
【0005】
例えば、特許文献1には、抗菌剤、医薬部外品、化粧品等に利用できるユーカリ属植物抽出において、色、臭い等を除去しても、目的とする成分の活性を低減しないユーカリ抽出物の製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献2においては、米またはその加工品から抽出・精製して得られた化合物を有効成分とする抗菌剤が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、ブドウ種子を液化炭酸ガス抽出することにより得られたブドウ種子抽出物を静菌作用有効量含有する飲料が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの天然抗菌物質は抗菌力が弱いこと、経済的に高価であること等の理由から、合成保存剤の代用としてはまだ満足のいくものではなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−348307号公報
【特許文献2】
特開2001−31506号公報
【特許文献3】
特開2001−95543号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、安価で安全性が高く、かつ抗菌力に優れた天然物由来の抗菌剤およびそれを含有する飲食品を提供することを主目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、マイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を含有することを特徴とする抗菌剤を提供する。
【0012】
本発明の抗菌剤は、天然物由来の抽出物を有効成分とする抗菌剤であることから、安全性が高く、またマイカイやハマナスは安価で入手することができ、簡便な工程で抽出物を得ることができることから、コスト的に有利に製造することができる。また、少量で優れた抗菌作用が得られるため、例えば、飲食品に含有させた場合、飲食品の風味および味等を損ねることなく、微生物変敗の危険性を回避することが可能である。
【0013】
本発明においてはまた、加熱処理されて製造された飲食品であって、マイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を抗菌作用有効量含有することを特徴とする飲食品を提供する。
【0014】
本発明においては、上述した抗菌剤が特に耐熱性菌に対して優れた抗菌作用を及ぼすことから、加熱殺菌等の加熱処理が施され製造された飲食品に用いることにより、加熱処理後に生存する耐熱性菌の増殖を抑制することができる。また、上記抗菌剤は少量で充分な抗菌作用が得られるため、飲食品の風味および味等を低下させることなく、商品の品質保持期間を長く保つことが可能である。
【0015】
上記記載された発明においては、上記飲食品がタンニンを含有する飲料であることが好ましく、さらには、上記タンニンを含有する飲料が茶飲料であることが好ましい。タンニンは、それ自体も抗菌作用を有するが、タンニンを抗菌作用有効量含有させると、タンニンの苦味が強調され飲料には適していなかった。しかしながら、本発明においては、上記抗菌剤を抗菌作用有効量含有させ、かつタンニンの含有量を調整することにより、適度な苦渋み、コクおよび旨みを有する飲料、特に茶飲料とすることができる。また、タンニンと上記抗菌剤との作用により、抗菌力を高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の抗菌剤およびそれを含有する飲食品について説明する。
【0017】
A.抗菌剤
まず、本発明の抗菌剤について説明する。本発明の抗菌剤は、マイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を含有することを特徴とするものである。
【0018】
本発明の抗菌剤は、天然物由来の抽出物を有効成分とする抗菌剤であることから、安全性が高く、またマイカイやハマナスは安価で入手することができ、簡便な工程で抽出物を得ることができることから、コスト的に有利に製造することができる。また、少量で優れた抗菌作用が得られるため、例えば、飲食品に含有させた場合、飲食品の風味および味等を損ねることなく、微生物変敗の危険性を回避することが可能である。
【0019】
以下、このような利点を有する本発明の抗菌剤について詳細に説明する。
【0020】
1.原材料
まず、本発明の抗菌剤における原材料について説明する。
【0021】
(1)マイカイおよびハマナス
マイカイは、バラ科に属し、花は血を和ぐし、気をめぐらし、炎症を抑える等の作用を有するとして肝臓や胃の痛み、月経不順、リウマチ、打撲傷に用いられている。ハマナスは、バラ科に属し、ビタミンCを多分に含有し、その果実は食用に共され、強壮作用を有することが知られている。
【0022】
このようなマイカイおよびハマナスの樹木としては、一般的にこれらの品種として区別されている樹木であれば特に限定はされない。具体的には、ロサ ルゴサ(Rosa Rugosa Thunb.var.plena Regel)、ロサ ルゴサ(Rosa Rugosa Thunb)、ロサ マイカイ(Rosa×maikai)、ロサ オドラ−タ(Rosa odorata)、ロサ オドラ−タ SWヴァル イヘア マキノ(Rosa odorata SW. var.Ihea Makino)等を挙げることができる。これらの樹種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明の抗菌剤の原料であるマイカイおよびハマナスにおいて、抽出物を得るために使用する部位としては、いずれの部位であっても特に限定されるものではない。具体的には、花、蕾、樹皮、果実、葉、根および茎等が挙げられる。その中でも、花または蕾であることが好ましい。一般的に薬用部分として汎用されている部位であり、抗菌作用を及ぼす有効成分を多く含有しているからである。また、花または蕾の部位を乾燥したものは、生薬名マイカイ花として知られており容易に市場で入手することができる。本発明ではこのような市場品を使用してもよい。
【0024】
また、本発明の抗菌剤はマイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を含有するものであれば特に限定はされず、マイカイまたはハマナスのいずれか一方の抽出物を含有する場合であってもよく、または、両方の抽出物を含有する場合であってもよい。その中でも、マイカイの抽出物を含有することが好ましい。
【0025】
(2)添加剤
本発明の抗菌剤においては、有効成分である上記原材料の抽出物の他に、抗菌剤を使用する製品に害を及ぼすことがない限り添加剤を添加してもよい。具体的には、腑形剤としてのデキストリン、増粘多糖類、乳糖、単糖類、糖アルコ−ル、エタノ−ル等、乳化剤としてのグリセリン等を挙げることができる。
【0026】
2.抽出法
本発明の抗菌剤は、上記原材料からの抽出物を有効成分として含有する抗菌剤である。このような本発明の抗菌剤において、その抽出方法としては、上記原材料から有効成分を抽出することが可能な方法であれば特に限定はされない。例えば溶媒による抽出法や、炭酸ガスを使用する超臨界抽出法等が挙げられる。これらの抽出法を単独で用い抽出する方法であってもよく、また、超臨界抽出法と溶媒による抽出法とを組み合わせて抽出する方法であってもよい。その中でも、本発明においては、溶媒による抽出法であることが好ましい。簡便な工程で抽出することができるからである。以下、溶媒による抽出法について説明する。
【0027】
溶媒による抽出法としては、例えば、上記原材料に溶媒を添加して溶媒の還流温度下で加熱処理する方法や、溶媒中に上記原材料の乾燥粉末を温浸することによって抽出液を得る方法等が挙げられる。また、抽出処理を行う際には、使用する原材料を適度な大きさに分割することが好ましい。抽出の効率を高めることができるからである。
【0028】
このような溶媒による抽出法において、加熱処理する際の温度としては、有効成分を効率良く抽出することが可能な温度であれば特に限定はされないが、一般的に20℃〜95℃で実施することが好ましい。また、抽出時間としては、有効成分を原材料から十分に抽出することが可能な時間であれば特に限定はされないが、具体的には、公知の抽出装置を用いて還流下で、5分〜数時間の範囲内であることが好ましい。
【0029】
また、抽出に使用する溶媒の量は、原料当たり10〜100倍量の範囲内であることが好ましい。
【0030】
さらに、上述した抽出方法に用いる溶媒としては、マイカイおよびハマナスから有効成分を抽出することが可能なものであれば特に限定はされないが、極性溶媒であることが好ましい。具体的に極性溶媒としては、水、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭素類等が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコールおよびプロピレングリコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルメチルケトン、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジオキサン、ハロゲン化炭素類としては、クロロホルム、トルエン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、キシレン、トルエン、ジクロロメタン、その他アセトニトリル等が挙げることができる。これらの極性溶媒を単独あるいは水溶液として用いてもよく、任意の2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
【0031】
これらの極性溶媒の中でも、水単独または水および極性溶媒を混合した混合溶液であることが好ましく、中でも、水単独または水およびエタノールの混合溶液であることが好ましい。さらに、その中でも、水であることが最も好ましい。効率良く抽出することができ、また、安全性が高いからである。さらに、抽出処理を行う際に使用する水は、特に限定されるものではないが、例えば、本発明の抗菌剤をタンニンを含有する飲料に用いる場合には、脱イオン水または蒸留水を用いることが好ましい。水中にカルシウムイオンおよび鉄イオン等が溶解している場合、タンニンと結合を生じ、不溶解物を生じたり、色の変化が生じたりする場合があり、このような不都合を回避するためである。
【0032】
上記抽出方法により得られた抽出液において、抽出液に占める固形分の濃度としては、0.1重量%〜20重量%の範囲内、その中でも1重量%〜5重量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、抗菌作用を及ぼす有効成分がマイカイおよびハマナスの少なくとも一方から十分に抽出されているからである。
【0033】
また本発明の抗菌剤は、上記極性溶媒で抽出して得られた抽出液をそのまま使用する場合でもよく、または、抽出液の濃縮物、希釈物、溶媒置換等の処理を施した処理物や、溶媒を除去した乾燥物(噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物等)等とした場合であってもよい。これらは、抗菌剤の用途に合わせて適宜選択するものとする。
【0034】
3.抗菌性
本発明の抗菌剤は細菌類の増殖を阻止するものであり、本発明の抗菌剤において、抗菌作用を及ぼす細菌類としては、具体的に、耐熱性菌を挙げることができる。例えば、酸性飲料で異臭発生が報告されているアリシクロバシラス属(A.acidoterrestris等)、低酸性飲料および食品において、酸敗を引き起こすバシラス属(B.coagulans、B.stearothermophilus等)や、膨張を引き起こすクロストリジウム属(Cl.thermosaccharolyticum等)、低酸性飲料の加温販売において、酸敗や膨張を生じるクロストリジウム属(Cl.thermoaceticum、Cl.thermohydrosulfricum等)、および、酸敗または硫化水素臭を生じるデサルフォトマクラム属(D.nigrificans)などの耐熱性菌群を挙げることができる。
【0035】
上述した耐熱性菌は、食品衛生法で規定されている最低殺菌条件である、酸性飲料で65℃10分や低酸性飲料および食品で120℃4分の加熱処理では死滅させることが困難であることから、従来、上記耐熱性菌をも死滅させるための苛酷な加熱処理を行うか、上記耐熱性菌等に対して抗菌力を有する化学合成品を内容物に添加することによって耐熱性菌による危険性を回避していた。しかしながら、昨今の健康志向の高まりから化学合成品の使用が敬遠される傾向にあり、また、用途によっては過度な条件での加熱処理が適さない場合があることから、耐熱性菌に対する有効な手段が求められていた。本発明の抗菌剤は、特に耐熱性菌に対して充分な抗菌力を有し、また天然物由来であることから安全性が高く、上述した問題を解消することができるものとして有用である。
【0036】
4.用途
本発明の抗菌剤の用途としては、対象物に対して添加、混合、塗布等することにより抗菌作用を及ぼすことが可能な用途であれば特に限定はされるものではない。具体的には、石鹸、洗浄剤、マウスウオッシュ、はみがき、ウエットティッシュ、脱臭剤等のトイレタリー製品類、化粧水、乳液、顔等のメークアップに用いる口紅等の化粧品類、種々の飲食品等を挙げることができる。
【0037】
また、本発明の抗菌剤は、マイカイまたはハマナスからの抽出物であるため、ばらの香りの芳香性を有している。したがって、このような芳香性を活かして、従来、化学合成品からなる香料等を加えて香りを付与していたような用途に、本発明の天然物由来の抗菌剤を用いることにより、抗菌作用に加えて芳香効果をも安全に付与することができる。さらに、特有のにおいを抑制するマスキング剤としても利用することができることから、抗菌作用に加えて、芳香効果または消臭効果も得ることができる。
【0038】
一方、このような本発明の抗菌剤における抗菌力は、脱臭処理を施すことにより、香りを除去した場合であっても、低下するおそれは少ない。したがって、香りの度合いを適宜調節することにより、本発明の抗菌剤の有する芳香性が適さない用途にも使用することができる。
【0039】
これらの用途の中でも、本発明の抗菌剤は、加熱処理されて製造された飲食品に用いることが好ましい。上述したように、本発明の抗菌剤は、特に耐熱性菌に対して有効な抗菌作用を有するものであるため、過度な加熱殺菌等を行うことなく、耐熱性菌に対する危険性を回避することができるからである。また、そのような過度な加熱殺菌により生じる著しい変色やタンパク質変性、油脂酸化といった問題が解消され、飲食品の商品価値を向上させることができ、かつ商品の品質保持期間を長く保つことができる。
【0040】
B.飲食品
本発明の飲食品は、加熱処理されて製造された飲食品であって、マイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を抗菌作用有効量含有することを特徴とするものである。
【0041】
上述した抗菌剤は、特に耐熱性菌に対して有効な抗菌作用を及ぼすものであることから、加熱処理されて製造された飲食品に含有させることにより、加熱処理後に死滅せずに生存する耐熱性菌の増殖を抑制できるため、飲食品の保存期間を長く保つことができる。また、上記抗菌剤は、少量で充分な抗菌力を有することから、飲食品に含有させた場合でも、飲食品本来の風味、味等を低下させるおそれが少なく、飲食品の商品価値を損なうことがない。
【0042】
このような本発明の飲食品としては、加熱処理されて製造されたものであれば特に限定はされない。例えば、ガム、キャンディー、かまぼこ、ちくわ等の水練り製品、ソーセージ、ハム等の畜産製品、洋菓子類、和菓子類、生めん、そば類のめん類、ソース、しょうゆ等の調味料、漬物、惣菜等、卵加工品、サンドウィッチ等のパン類、米飯加工品、マヨネーズ、飲料(ジュース、牛乳、タンニンを含有する飲料等)、シュークリームや焼プリン等の乳加工品等を挙げることができる。
【0043】
また、上述した飲食品の中でも、タンニンを含有する飲料に上記抗菌剤を用いることが好ましい。タンニンを含有する飲料は、タンニン自体が抗菌作用を有することから、タンニンを抗菌作用有効量含有させることにより飲料の品質保持期間を長期間とすることが可能である。しかしながら、タンニンは苦味が非常に強く、また抗菌力がそれほど強くないことから、タンニンを抗菌作用有効量含有させた場合には、タンニンの苦味が強調され、飲料としては適さない場合があった。一方、本発明の抗菌剤は少量で充分な抗菌力を有するため、抗菌作用有効量含有させた場合であっても、飲料の風味および味等を低下させる心配がない。したがって、タンニンを含有する飲料に本発明の抗菌剤を使用した場合には、適度な苦渋み、旨み、コク等を有する飲料を提供することができ、かつ、本発明の抗菌剤およびタンニンが有する抗菌力の作用により、より商品の品質保持期間を長くすることができるといった効果が得られる。
【0044】
さらに、本発明においては、上記タンニンを含有する飲料が茶飲料であることが好ましい。例えば茶飲料としては、緑茶等に代表される不発酵茶飲料、烏龍茶に代表される半発酵茶飲料、紅茶などの熟成風味を有する発酵茶飲料、種々の植物性由来の葉または子実等からの抽出液を複数混合した混合茶飲料等を挙げることができる。
【0045】
これらの茶飲料において、適度な苦渋みを有するようにタンニンの量を調整した場合であっても、本発明の抗菌剤を用いることにより、品質保持期間を長く保つことができ、かつ、上述した抗菌剤は少量で充分な抗菌力を有することから、茶飲料特有の香味、適度な苦渋味、コクおよび旨味が感じられる茶飲料とすることが可能である。
【0046】
また、上述した抗菌剤は、ばらの香りの芳香性を有することから、この芳香性を活かすことにより、ばらの香りを有する飲食品とすることができる。また、飲食品自体が特有の臭いを有する場合は、そのような臭いを抑制するマスキング剤として上述した抗菌剤を添加することにより、臭いの気にならない飲食品することができる。このように、上述した抗菌剤は、品質保持期間を長く保つ抗菌力に加え、芳香効果または消臭効果を必要とする飲食品にも使用することができる。
【0047】
さらに、上記抗菌剤においては、その香りを除去した場合であっても、抗菌作用が損なわれる心配は少ないため、香味が感じられる飲食品や、ばらの香りが適さない飲食品の場合であっても、上述した抗菌剤において香りを除去したものを用いることにより、飲食品の品質価値を損なうことなく品質保持期間を長く保つことができる。
【0048】
このような飲食品において、上述した抗菌剤の添加量としては、抗菌作用有効量であれば特に限定はされない。具体的には、飲食品の種類によって適宜調整するものであるが、製品の全重量に対して、上述した抗菌剤における抽出液の固形分が0.005重量%〜1.0重量%の範囲内、その中でも0.02重量%〜0.20重量%の範囲内であることが好ましい。このように本発明の抗菌剤は、少量で充分な抗菌作用を及ぼすことから、飲食品の風味および味等を低下させることなく、また商品の品質保持期間を長くすることができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0051】
[実施例1]
マイカイの蕾を100gに熱水(85℃)2.5リットル注ぎ、30秒間の攪拌を90秒間隔で行い、6分間抽出を行った。これを濾過し、マイカイ抽出液を得た。このマイカイ抽出物の固形分濃度は2.08重量%であった。
【0052】
マイカイ抽出物由来の固形分濃度を、試験濃度の2倍となるように水で希釈して、121℃15分殺菌して試験液とした。この試験液と121℃15分殺菌した2倍濃度の標準寒天培地(日水製薬製)を60〜90℃で等量混合し、マイカイ抽出物由来の固形分濃度をそれぞれ0.015、0.030、0.060、0.120、0.180重量%となるように調整した。
【0053】
このように調整した培地を50〜60℃まで冷却し、培地100ml中にEscherichia coli(大腸菌)を菌液1ml(菌数5×10CFU)およびB.coagulans、B.stearothermophilus、A.acidoterrestrisの芽胞液を1ml(各々の芽胞数2.5×10、1×10および、2×10 CFU)を接種し、よく攪拌、混合したのち、滅菌シャーレ各5枚に均等に分注し固化させた。上記培地をE.coli、B.coagulansおよびA.acidoterrestrisについては35℃、B.stearothermophilusについては55℃にて10日間培養を行い、コロニーの発生の有無を観察した。また、Cl.thermoaceticumは変法チオグリコレート培地(日水製薬製)を用い、上記と同様にして調整し、芽胞液1ml(芽胞数2×10CFU)を接種し、5枚に分注したシャーレを嫌気ジャー中で55℃で10日間培養した。結果を下記表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 2004256492
【0055】
[実施例2]
コーンピューレ280g、スープベース240g、牛乳400g、グラニュー糖40g、生クリーム20g、食塩2g、香辛料1gを混合し、これに水を加えて2リットルのコーンスープベースを得た。このスープベースに、実施例1と同様にして得たマイカイ抽出物の希釈液および水を等量混合し、マイカイ抽出物由来の固形分濃度をそれぞれ0.060、0.120、0.180および0重量%となるようにコーンスープを調整した。
【0056】
この様にして調整したコーンスープを85〜90℃に加熱して25mlずつ中試験管各10本にとり、それぞれにB.coagulans芽胞液1ml(1本あたり芽胞数2×10CFU)を接種して密栓し、121℃で4分、8分、および12分間オートクレーブにて殺菌した。これらのサンプルを35℃にて20日間保存したのち、pHを測定してpHが5.5以下のものを変敗したものとした。その結果を下記表2に示す。
【0057】
【表2】
Figure 2004256492
【0058】
[実施例3]
マイカイの蕾およびプーアル茶をA(10:0)、B(6:4)、C(4:6)、およびD(0:10)の割合でそれぞれ混合し、各100gに熱水(85℃)2.5リットルを注ぎ、30秒間の攪拌を90秒間隔で行い、6分間抽出を行った。これを濾過し抽出液を得た。この抽出液の固形分濃度はそれぞれ2.12、1.70、1.52、1.24重量%であった。これらの抽出液を用いタンニン濃度を200ppmに調整し、マイカイ抽出液由来の固形分濃度を0.060、0.052、0.046、0重量%にそれぞれ調整した。この様にして調整した抽出液を中試験管各3本に30mlずつ入れ、121℃で15分間殺菌した。これにB.coagulansの芽胞液1mlを1本あたり6×10CFU(2×10CFU/試験液1ml)接種した。このように調整したサンプルをを35℃で14日間培養を行い、細菌増殖の有無を確認した。その結果を下記表3に示す。
【0059】
【表3】
Figure 2004256492
【0060】
[実施例4]
プーアル茶100gに熱水(85℃)2.5リットルを注ぎ、30秒間の攪拌を90秒間隔で行い、6分間抽出を行った。実施例1と同様にして得たマイカイ抽出液のマイカイ抽出物由来の固形分濃度をそれぞれ0.060および0重量%添加し、プ−アル茶抽出液を加え、タンニン濃度を100、200、300、400、500ppmに調整する。この様にして調整した抽出液を中試験管各3本に30mlずつ入れ、121℃で15分間殺菌した。これにB.coagulansの芽胞液1ml、1本あたり6×10CFU(2×10CFU/試験液1ml)を接種した。このように調整したサンプルをを35℃で14日間培養を行い、細菌増殖の有無を確認した。また同様の殺菌を施した、抽出液の香味評価をコク、風味等含む「香味」について苦味・雑味が強いもしくは香味が弱い(1)〜香味のバランスが良い(5)の5点評価を用いて、ブラインドで官能評価を実施した。その結果を下記表4に示す。
【0061】
【表4】
Figure 2004256492
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、天然物由来の抽出物を有効成分とする抗菌剤であることから、安全性が高く、またマイカイやハマナスは安価で入手することができ、簡便な工程で抽出物を得ることができることから、コスト的に有利に製造することができる。また、少量で優れた抗菌作用が得られるため、例えば、飲食品に含有させた場合、飲食品の風味および味等を損ねることなく、微生物変敗の危険性を回避することが可能である。

Claims (4)

  1. マイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を含有することを特徴とする抗菌剤。
  2. 加熱処理されて製造された飲食品であって、マイカイおよびハマナスの少なくとも一方の抽出物を抗菌作用有効量含有することを特徴とする飲食品。
  3. 前記飲食品がタンニンを含有する飲料であることを特徴とする請求項2に記載の飲食品。
  4. 前記タンニンを含有する飲料は、茶飲料であることを特徴とする飲食品。
JP2003051713A 2003-02-27 2003-02-27 抗菌剤およびそれを含有する飲食品 Pending JP2004256492A (ja)

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