JP5461817B2 - ラム波共振器 - Google Patents

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Description

本発明は、共振器の分野ならびにラム波共振器から得られるフィルタの分野に関する。これらのフィルタは、たとえばチャネルフィルタリングまたは中間周波数フィルタリングを実施するために、たとえば移動通信デバイスなどのRF(無線周波数)伝送および/または受信構造に使用されている。
RFフィルタリングを実施するために、結合SAW共振器によって製造されるSAW(表面弾性波)フィルタを使用することは知られている。通常、寸法が約3mm×3mm×1mmに等しいこのようなフィルタの場合、その挿入損は、場合によっては約2.5dBと3dBの間であり、また、約30dBに等しいリジェクションを有している。しかしながら、これらのフィルタに限界があり、その最大共振周波数は、通常、約3GHzに等しく、また、最大パワー処理は約1Wに等しい。これ以外の範囲でSAWデバイスを動作させる場合、大きな伝搬損失が伴う。
また、従来技術では、電気的に結合された(たとえばはしご構造または格子構造を使用して)圧電BAW共振器から、あるいは音響的に結合された圧電BAW共振器から、BAW(バルク音波)フィルタと呼ばれるフィルタを製造することも知られている(「積重ね水晶フィルタ」の場合はSCFタイプのフィルタ、あるいは「結合共振器フィルタ」の場合はCRFタイプのフィルタ)。このようなフィルタの中では、フィルタリングすべき信号は、積み重ねられた共振層の中を直接または音響伝搬媒体によって順次上の方へ垂直方向に伝搬する。これらのBAWフィルタを使用して得ることができる寸法および挿入損は、SAWフィルタを使用して得ることができる寸法および挿入損に匹敵している。しかしながら、これらのBAWフィルタのパワー処理は、場合によっては3W近くに達し、また、最大共振周波数は、場合によっては約16GHzより高くなることがある。最後に、これらのフィルタの製造は、CMOS技術およびBiCMOS技術と両立している。
図1は、圧電材料に基づく層2、下部電極4および上部電極6を備えたBAW共振器1の一例を示したものである。下部電極4および圧電層2の寸法は、平面(x、z)(図1に示されている軸xおよびzに沿った平面)に平行な平面内で互いに実質的に類似しており、したがって下部電極4は圧電層2によって完全に覆われている。一方、上部電極6は、下部電極4の形状および寸法とは異なる形状および寸法を有している。図1の例では、上部電極6の軸xに沿った寸法は、下部電極4の軸xに沿った寸法より短くなっている。下部電極4と上部電極6のこの寸法の差が、圧電層2の中に2つのゾーンを形成している。1つは、圧電層2が2つの電極4と6の間に含まれている第1のアクティブゾーン8であり、もう1つは、上部電極6によって覆われていない圧電層2が下部電極4の上に配置されている第2の非アクティブゾーン10である。アクティブゾーン8の中を伝搬する波の速度と、非アクティブゾーン10の中を伝搬する波の速度とは異なっている。鉛直波に対して垂直な横方向の波の伝搬による寄生共振の原因になっているこの伝搬速度の差は、ラム波と呼ばれている。ラム波のエネルギーは、アクティブゾーン8および非アクティブゾーン10のバルク音響伝搬係数(軸yに沿った伝搬)の差の値に比例している。
特許文献1に、バルク音波を使用した電気音響コンポーネントが記述されている。この文献によれば、バルク音波がコンポーネントの中へ導かれるよう、圧電層の上に電極が周期的に配置されている。電極のレベルにおけるこの層の圧電係数の値は、電極によって覆われていない層の部分のレベルにおける圧電係数の値とは異なっている。伝搬係数に関しては、圧電層中でこの差を得ることは困難であり、圧電層を処理するための特殊な段階が必要である。
非特許文献1に、正方形または長方形の電極を備えたラム波共振器が記述されている。この文献によれば、所望の共振周波数に従って共振モードの次数が選択される。これらの共振器には、とりわけ、そのQ値(quality factor)が比較的小さく、また、直列抵抗が大きいという欠点がある。
米国特許出願公開第2006/0076852A1号明細書 国際公開第04/109913A号パンフレット "UHF/VHF resonators using Lamb waves co−integrated with Bulk Acoustic Wave resonators" of A.Volatier et al.,IEEE Ultrasonics Symposium、2005年、902〜905頁 BJURSTROM ET AL:"Thin film Lamb wave resonant structure − The first approach" SOLID STATE ELECTRONICS,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS,BARKING,GB,Vol.50,no.3,mars 2006 (2006−03), pages 322−326, XP005402328 DESVERGNE,M. DEFAY,E. WOLOZAN,D. AID,M. VINCENT,P. VOLATIER,A. DEVAL,Y. BEGUERET,J.−B.: "Intermediate frequency lamb wave coupled resonator filters for RF receiver architectures" 37TH EUROPEAN SOLID STATE DEVICE RESEARCH CONFERENCE 2007, ESSDERC, [Online] 13 Septembre 2007(2007−0913),pages 358−361,XP002473840 YASUHIKO NAKAGAWA, MASAYUKI MOMOSE, AND SHOJI KAKIO: "Resonators Using a Lamb Wave on AT−Cut Quartz" JPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,vol.46,no.7b,26 juillet 2007(2007−07−26),pages 4665−4668,XP002473841 RUBY R ET AL:"The Effect of Perimeter Geometry on FBAR Resonator Electrical Performance(formerly titled FBAR: State of the union)" MICROWAVE SYMPOSIUM DIGEST, 2005 IEEE MTT−S INTERNATIONAL LONG BEACH, CA, USA 12 juin 2005(2005−06−12),pages,217−220,XP010844726
本発明の目的は、ラム波の共振エネルギーの最も良好な使用を可能にする形状を有し、かつ、従来技術による共振器と比較してそのQ値が大きく、また、直列抵抗が小さいラム波共振器であって、それを製造するために、圧電層を処理するための特殊な段階を必要としないラム波共振器を提供することである。
そのために、本発明によれば、ラム波共振器であって、少なくとも1つの圧電材料に基づく少なくとも1つの層と、圧電層の第1の面に配置された第1の電極とを備え、圧電層の第1の面の平面に平行な平面内における第1の電極のパターンが、少なくとも2つのフィンガーおよび1つの接触アームからなり、フィンガーの各々が、前記アームと接触している第1の側部と、及び互いに平行で、かつ、
ναlateralがラム波の音響伝搬速度であり、
nがラム波の共振モードの次数であり、
fが共振器の共振周波数
である式
Figure 0005461817
に従って計算される距離Wだけ互いに間隔を隔てた2つの他の側部と、を備えており、圧電層の第1の面の平面の位置で、第1の電極のフィンガーの間に位置された表面の圧電層の部分が少なくとも部分的にエッチングされたラム波共振器が提供される。
したがって、所望の共振周波数、共振モードの所望の次数、および共振器内で測定または計算される音響伝搬速度に従って、共振器の上部電極の一部を形成しているフィンガーの幅がサイズ化される。
したがって、幅Wがこのようにして計算されるフィンガーを備えたこのような共振器の場合、前記共振器内で生成されるラム波の共振エネルギーが最も良好に使用される。さらに、従来技術によるデバイスと比較すると、延いてはQ値が大きくなり、また、共振器の直列抵抗が小さくなる。
Q値が大きいこのような共振器を使用することにより、詳細には、
−位相ノイズが極めて小さく、かつ、消費が極めて少ない電圧制御発振器を製造することができ、
−挿入損が小さく、かつ、選択性に優れた中間周波数フィルタ(約10MHzと200MHzの間のフィルタ)を製造することができ、また、
−リジェクションが極めて大きく、かつ、消費が極めて少ない帯域通過シグマ−デルタ変調器を製造することができる。
一般に、これらの利点は、少なくとも1つのこのような中間周波数帯域の共振器を使用している任意のタイプのデバイスに見出される。
また、第1の電極のフィンガーの間に配置された共振器の非アクティブゾーンの位置では、圧電層のうちの第1の電極のフィンガーの間に配置された部分を少なくとも部分的にエッチングすることによって圧電材料の密度が低減される。エッチングされたこれらの部分によって、第1の電極のフィンガーの位置に配置された圧電層のアクティブゾーンと、第1の電極のフィンガーの間に配置された圧電層の非アクティブゾーンの間に、音響が伝搬するための条件に不連続性が生成される。この不連続性によって圧電層中の音響伝搬パラメータが修正され、したがって音響共振エネルギーを共振器の1つまたは複数のアクティブゾーンに拘束することができる。
したがって、圧電層の特殊な処理段階を必ずしも実施する必要はなく、必要な段階は、場合によっては共振器の他のエレメントのエッチングと共通の1つまたは複数のエッチング段階のみである。
圧電層の前記部分は、複数の孔を備えたパターンに従って、圧電層の第1の面の平面内でエッチングすることができる。
代替形態では、圧電層の前記部分は、その全体をエッチングすることができる。
前記部分は、圧電層の第1の面と、圧電層の第1の面とは反対側の第2の面との間を貫通してエッチングすることができる。
共振器は、さらに、圧電層の第1の面とは反対側の第2の面に配置された第2の電極を備えることができる。
圧電層の第1の面の平面に平行な平面内の第1の電極のフィンガーの表面は、前記同じ平面内の第2の電極によって形成される表面に含まれてもよい。
第2の電極は、少なくとも2つのフィンガーおよび1つの接触アームからなるパターンを圧電層の第1の面の平面に平行な平面に備えることができ、圧電層の第1の面の平面に平行な平面内の第2の電極のフィンガーの表面は、前記同じ平面内の第1の電極のフィンガーによって形成される表面に類似していてもよく、また、重なっていてもよい。
第2の電極のパターンは、圧電層の第1の面の平面に平行な平面内の第1の電極のパターンに類似していてもよい。圧電層の第1の面の平面に平行な平面内の第2の電極の接触アームの表面は、前記同じ平面内の第1の電極の接触アームの表面と重なっていなくてもよい。
第1の電極のフィンガーの各々は、実質的に長方形であってもよい。
第1の電極は、およそ2個と100個の間、好ましくは少なくとも4個のフィンガーを備えることができる。
第1の電極の接触アームは、実質的に長方形であってもよい。
第1の電極の、距離Wだけ互いに間隔を隔てた個々のフィンガーの2つの側部に平行な線は、前記フィンガーが接続されている第1の電極の接触アームの側部を貫通している線に対して実施的に直角であってもよい。
第1の電極のフィンガーは、第1の電極の接触アームの単一の側部もしくは互いに反対側の2つの側部または3つの側部に接続することができる。
代替形態では、第1の電極の接触アームは、フィンガーが接続される実質的に円形の部分を少なくとも一つ備えることができる。
また、本発明は、ラム波共振器を製造するための方法であって、
少なくとも1つの圧電材料に基づく層の第1の面に第1の電極を製造する少なくとも1つの段階であって、圧電層の第1の面の平面に平行な平面における第1の電極のパターンが、少なくとも2つのフィンガーおよび1つの接触アームからなり、フィンガーの各々が、前記アームと接触している第1の側部と、および互いに平行で、かつ、
ναlateralがラム波の音響伝搬速度であり、
nがラム波の共振モードの次数であり、
fが共振器の共振周波数
である式
Figure 0005461817
に従って計算される距離Wだけ互いに間隔を隔てた2つの側部を備える段階と、
圧電層の第1の面の平面の位置で、表面が第1の電極のフィンガーの間に配置された圧電層の一部を少なくとも部分的にエッチングする段階と、を含む方法に関している。
また、この方法は、たとえば、第1の電極を製造する段階の後に、圧電層の第1の面とは反対側の第2の面に第2の電極を製造する段階を含むことができる。
添付の図面を参照して、単に本発明を示し、及び非制限的な目的のために提供された実例実施形態についての以下の説明を読むことにより、本発明はより深く理解されよう。
以下で説明する様々な図の全く同じ部品、類似した部品または等価部品には、図面間の一貫性を維持するために同じ参照数値が振られている。
図に示されている様々な部品は、図をより読み易くするために、必ずしも同じスケールで描かれていない。
互いに非排他的であり、また、互いに組み合わせることが可能であるため、様々な可能性(代替および実施形態)を理解されたい。
最初に図2Aおよび2Bを参照すると、それぞれ第1の実施形態によるラム波共振器100の上面図および横断面図が示されている。図2Bの横断面図は、図2Aに示されている軸AAに沿って取ったものである。
この共振器100は、圧電材料に基づく層102を備えている。この圧電材料は、窒化アルミニウムおよび/または酸化亜鉛および/またはPZTであることが好ましい。圧電層102は、その値が、実施形態ならびに共振器100の他のエレメントの形状および寸法(それら自体は、共振器の所望の結合係数Kで決まる)によって決まる厚さを有している。圧電層102の厚さは、詳細には約1μmと2μmの間にすることができる。この圧電層102は、図2Bに示されているように、下部電極104の上に配置されている。この場合、平面(x、z)に平行な平面内の圧電層102の形状および寸法は、同じ平面内の下部電極104の形状および寸法と実質的に類似している。
共振器100は、さらに、上部電極106と呼ばれている圧電層102の上に製造されたもう1つの電極を備えている。この上部電極106は、接触アーム110に接続された複数のフィンガー108を備えている。この第1の実施形態では、上部電極106は、5つのフィンガー108を備えている。接触アーム110および下部電極104は、共振器100の電気コンタクトとして使用されている。上部電極106すなわち接触アーム110およびフィンガー108は、たとえば約0.1μmと1μmの間の厚さを有している。接触アーム110は、この場合、約1μmと300μmの間の長さ(図2Aの軸xに沿った寸法)および幅(図2Aの軸zに沿った寸法)を有している。接触アーム110の幅はその長さよりも広くなっているため、共振器100のQ値を大きくし、かつ、接触アーム110の抵抗、延いては共振器100の直列抵抗を小さくすることができる。この第1の実施形態では、圧電層102および下部電極104の長さおよび幅は、平面(x、z)内の上部電極106の表面が前記同じ平面内の下部電極104の表面または圧電層102の表面に含まれるように適合されている。
電極104および106は、従来通り、たとえば白金および/またはアルミニウムのPVD(物理気相成長)、および/またはモリブデンおよび/またはタングステンのPVD、およびそれに続くプラズマエッチングによって製造することができる。
フィンガー108は、圧電層102の上に上部電極106の不連続性領域112を形成している。この不連続性領域112は、フィンガー108によって分離されている。この第1の実施形態では、フィンガー108はそれぞれ長方形の形を有しており、その幅Wつまり軸xに沿った寸法は、式
Figure 0005461817
に従って計算される。
したがってこの寸法Wは、圧電層102の上の上部電極106の2つの不連続性領域112の間の距離を表している。
「ναlateral」は、ラム波の音響伝搬速度を表している。この速度は、層102の材料の幾何構造および共振パラメータに比例し、かつ、電極104、106、及びより一般的には共振器100の音響特性に比例している。
「n」は、フィンガー108によって分離された上部電極106の2つの不連続性領域112の間の音響距離、つまり共振器100内におけるラム波の共振モードの次数を表している。
最後に、「f」は共振器100の共振周波数である。この共振周波数fの最大値は、共振器100が製造される技術的ノードの値に対応しているフィンガー108の可能最小幅で決まる。共振器100が35nm技術で製造される場合、この最小幅は35nmに等しく、数百MHzすなわち約1GHz未満に等しいその共振器の最大共振周波数fに対応している。
したがって、フィンガー108は、層102の共振特性、層102および電極104、106の形状、およびラム波の音響伝搬速度ναlateralに基づく計算によってサイズ化される。したがって、所望の伝搬モードおよび共振周波数に基づいてWを計算することができ、延いては上部電極106のフィンガー108をサイズ化することができる。フィンガー108の幅Wは、たとえば1μmに等しいかあるいは約1μmと100μmの間であり、また、これらのフィンガー108の長さは、たとえば約10μmと50μmの間である。さらに、これらのフィンガー108の間の間隔は、たとえば約1μmと10μmの間である。最後に、この第1の実施形態では、フィンガー108は、接触アーム110と共に櫛形パターンを形成している。フィンガー108は、接触アーム110に対して直角に配置された長方形を形成している。接触アーム110も同じく実質的に長方形の形をしている。つまり、距離Wだけ互いに間隔を隔てたフィンガー108の2つの側部に平行の線は、前記フィンガー108が接続される接触アーム110の側部を貫通している線に対して直角である。
圧電層102のうちの上部電極106のフィンガー108と下部電極104の間に配置された部分は、共振器100のアクティブゾーンを形成している。これらのアクティブゾーンの間、つまり不連続性領域112の位置で、圧電層102の一部が層102を貫通してエッチングされる。図2Aに示されているように、このエッチングによって、フィンガー108の間の圧電層102中に凹所114が形成される。これらの凹所114は、共振器100の非アクティブゾーンを形成している。
前記共振器100の場合、所望の共振を得るために主として寄与しているのはモードSの対称ラム波である。ラム波のエネルギーは、圧電層102のアクティブゾーン、つまり上部電極106のフィンガー108と下部電極104の間に配置された圧電層102のゾーン中のこれらの波の伝搬速度と、圧電層102の非アクティブゾーン中、つまりフィンガー108の間の圧電層102中に形成された凹所114の位置におけるこれらの波の伝搬速度との差に比例している。nがより小さく選択されると(基本モードの場合、たとえばn=1)、フィンガー108上で得られる共振エネルギーはより大きくなる。
圧電層102中に形成される凹所114により、共振器のアクティブゾーンと非アクティブゾーンの間に、全く異なる伝播条件、詳細には音響インピーダンスおよび伝搬速度を得ることができる。したがって非アクティブゾーンの方がアクティブゾーンより音響伝搬係数が小さく、それが共振器のアクティブゾーンの位置で伝搬エネルギーの拘束を可能にしている。
したがって、上で説明したように、2つの共振器100を音響的に結合することにより、kが非ゼロ自然整数であり、かつ、fがフィルタ100の共振周波数である寄生共振周波数f=k.fのレベルで高い共振を得ることができる共振フィルタが得られる。
図3は、第2の実施形態によるラム波共振器200を示したものである。第1の実施形態による共振器100の上部電極106に対して、この共振器200の上部電極206は、たとえば図2Aおよび2Bのフィンガー108と形状が実質的に類似していてもよい8つのフィンガー108を備えている。これらのフィンガー108のうちの4つは、同じく第1の実施形態の接触アーム110に類似していてもよい接触アーム110の第1の側部に接続されており、また、他の4つのフィンガー108は、接触アーム110の第1の側部とは反対側の第2の側部に接続されている。これらのフィンガー108は、接触アーム110に対して直角に配置された長方形を形成している。つまり、距離Wだけ互いに間隔を隔てたフィンガー108の2つの側部に平行の線は、前記フィンガー108が接続される接触アーム110の側部を貫通している線に対して直角である。
図4は、第3の実施形態によるラム波共振器300を示したものである。これまでの共振器に対して、この共振器300の上部電極306は、第1および第2の実施形態のフィンガー108の形状と実質的に類似した形状を個々に有することができる9個のフィンガー108を備えている。これらのフィンガー108のうちの3つは、接触アーム310の第1の側部に接続されている。最初の2つの実施形態の接触アーム110に対して、この接触アーム310の平面(x、z)における寸法は、約1μmと400μmの間である。他の3つのフィンガー108は、接触アーム310の第1の側部とは反対側の第2の側部に接続されている。最後に、残りの3つのフィンガー108は、接触アーム310の第1および第2の側部に対して直角の第3の側部に接続されている。
図5は、第4の実施形態によるラム波共振器400を示したものである。これまでの共振器に対して、共振器400の上部電極406は、たとえば最初の2つの実施形態の接触アーム110に類似した接触アーム110を備えている。上部電極406は、さらに、アーム110と接触している10個のフィンガー408を備えている。これまでの実施形態のフィンガー108に対して、フィンガー408は、長方形の形を有していない。しかしながら、フィンガー408は、フィンガー108と同様、これまでの実施形態と同様の方法で計算される距離Wだけ互いに間隔を隔てた2つの平行な側部を備えている。これらの2つの側部は、アーム110の一側と接触している。この第4の実施形態では、前記2つの側部に平行の線は、フィンガー408が接続されるアーム110の側部を貫通している線に対して直角ではない。この場合、フィンガー408の各々は、丸い形をした自由端を備えている。最後に、図5から分かるように、フィンガー408は、接触アーム110に対して「杉綾模様(herringbone)」パターンで配置されている。
第1の実施形態に対して、共振器200、300および400の場合、同じアクティブ表面、つまり上部電極206、306および406のフィンガー108によって覆われた表面に、共振器100の上部電極106のフィンガー108より長さが短いフィンガーを持たせることができるため、それらのアクセス抵抗を小さくすることができ、したがって共振器の直列抵抗を小さくすることができる。また、フィンガー108の長さが短くなっているため、共振器の動作に対する誘導効果を抑制することができる。
図6は、第5の実施形態によるラム波共振器500を示したものである。上で説明した共振器に対して、この共振器500は上部電極506を備えており、この上部電極506の接触アーム510は、実質的に円形の部分514に接続された実質的に長方形の部分512を備えている。上部電極506は、さらに、たとえば第1、第2および第3の実施形態のフィンガー108に類似した13個のフィンガー108を備えている。これらの13個のフィンガー108は、アーム510の円形の部分514に接続されており、前記円形の部分の周りに規則的に分布している。
前記図6では、フィンガー108は、互いに平行に配置されていないこと、つまり、距離Wだけ互いに間隔を隔てた第1のフィンガー108の2つの側部と、距離Wだけ互いに間隔を隔てた、第1のフィンガー108に隣接して配置されている第2のフィンガー108の2つの側部とは平行ではないことが分かる。図6の実施例では、距離Wだけ間隔を隔てた前記側部に平行なフィンガー108の対称軸は、この場合、上部電極506の円形の部分514によって形成された円の直径と整列している。
また、第1の実施形態による共振器100に対して、このような共振器500によれば、フィンガー108の長さが共振器100のフィンガー108の長さより短いため、第1の電極506のフィンガー108のアクセス抵抗を小さくすることができる。さらに、アクセス抵抗は、この場合、すべてのフィンガー108で全く同じである。また、この第5の実施形態によれば、圧電層102の上に占められた同じ表面に対してフィンガー108の数を最大化することができる。最後に、この構造は誘導効果を生成しないため、高い周波数、すなわち数百MHzで共振器500を動作させる場合にとりわけ有利である。
上で説明した様々な実施形態の代替として、圧電層の非アクティブゾーン、つまり、上部電極のフィンガーの間に配置された、上部電極のフィンガーによって覆われていない圧電層のゾーンを貫通していないエッチングを製造することも可能である。
図7Aおよび7Bは、それぞれ非アクティブエッチゾーン602を備えた共振器600の上面図および横断面図を示したものである。図7Bの横断面図は、図7Aに示されている軸AAに沿って取ったものである。このエッチングは、圧電材料を除去することができ、したがってこれらの非アクティブゾーン602の位置における材料の平均相対密度を小さくすることを可能にしている。材料の平均密度のこの低減により、伝搬条件、詳細には音響インピーダンスおよび伝搬速度が修正され、それによりこれらの非アクティブゾーンの伝搬係数が著しく小さくなる。したがってアクティブゾーンの伝搬係数と非アクティブゾーンの伝搬係数の差を大きくすることにより、ラム波に集中された音響エネルギーが大きくなる。
このエッチングは、図7Aおよび7Bの実施例の場合のようにフィンガー108の間の非アクティブゾーンの平面(x、z)内の表面全体にわたって実施することも、あるいはこれらの非アクティブゾーンの一部分のみに実施することも可能である(たとえばトレンチまたは孔を製造することによって)。
上で説明した実施形態の代替として、図2Aに示されている圧電層102の形状および寸法(平面(x、z)における)とは異なる形状および寸法を下部電極に持たせることも可能である。この場合、下部電極は、詳細には、実施形態に応じてそれぞれ上部電極106、206、306、406または506のパターンに類似したパターンを有することができ、また、圧電層のアクティブゾーンが上部電極のフィンガーと下部電極のフィンガーの間にのみ配置され、かつ、圧電層の他の部分がこれらの2つの電極のうちの一方にのみ接触するように配置される。
図8Aおよび8Bは、それぞれこのような代替形態における共振器700の上面図および横断面図を示したものである。図8Bの横断面図は、図8Aに示されている軸AAに沿って取ったものである。図8Aにおいて、下部電極104の接触アーム105が点線で示されている。図8Bにおいて、下部電極104のフィンガー103が示されている。これらの図では、上部電極106のフィンガー108は、下部電極104のフィンガーの上に重なっている。
この代替形態によれば、とりわけ上部電極および下部電極の接触アームの長さ(図8Bの軸xに沿った寸法)を短くし、かつ、これらの接触アームの幅(図8Aの軸zに沿った寸法)を広くすることができ、それにより共振器の様々なフィンガーのアクセス抵抗を小さくし、延いては、図2Aおよび2Bに関連して説明した下部電極104を備えた共振器の共振周波数と同じ共振周波数に対する共振器の直列抵抗を小さくすることができる。
また、この代替実施形態では、圧電層102の非アクティブゾーンは、複数の貫通孔116からなるパターンに従ってエッチングされている。これらの孔116によって層102の圧電材料の平均密度を小さくすることができ、したがって圧電層102のアクティブゾーンと非アクティブゾーンの間の伝搬条件を修正することができる。平面(x、y)内では、孔は、d<<λaまたはたとえばd<(λa/10)になるよう、たとえば約10μmと50μmの間の直径dを有している。λaは、ラム波の横音響波長である。
従来技術によるBAW共振器を示す図である。 本発明の第1の実施形態によるラム波共振器の上面図である。 本発明の第1の実施形態によるラム波共振器の横断面図である。 本発明の第2の実施形態によるラム波共振器の上面図である。 本発明の第3の実施形態によるラム波共振器の上面図である。 本発明の第4の実施形態によるラム波共振器の上面図である。 本発明の第5の実施形態によるラム波共振器の上面図である。 本発明の第6の実施形態によるラム波共振器の上面図である。 本発明の第6の実施形態によるラム波共振器の横断面図である。 本発明の第1の実施形態の代替形態によるラム波共振器の上面図である。 本発明の第1の実施形態の代替形態によるラム波共振器の横断面図である。
符号の説明
1 BAW共振器
2、102 層(圧電層)
4、104 下部電極
6、106、206、306、406、506 上部電極
8 第1のアクティブゾーン
10 第2の非アクティブゾーン
100、200、300、400、500、600、700 共振器(フィルタ、ラム波共振器)
103、108、408 フィンガー
105、110、310、510 接触アーム(アーム)
112 上部電極の不連続性領域
114 圧電層中の凹所
116 貫通孔
512 接触アームの実質的に長方形の部分
514 接触アームの実質的に円形の部分
602 非アクティブエッチゾーン

Claims (16)

  1. ラム波共振器(100、200、300、400、500、600、700)であって、少なくとも1つの圧電材料に基づく少なくとも1つの圧電層(102)と、前記圧電層(102)の第1の面に配置された第1の電極(106、206、306、406、506)とを備え、前記圧電層(102)の前記第1の面の平面に平行な平面内における前記第1の電極のパターンが、少なくとも2つのフィンガー(108、408)および1つの接触アーム(110、310、510)からなり、前記フィンガー(108、408)の各々が、前記アーム(110、310、510)と接触している第1の側部と、及び互いに平行で、かつ、
    ναlateralが前記ラム波の音響伝搬速度であり、
    nが前記ラム波の共振モードの次数であり、
    fが前記共振器の共振周波数
    である式
    Figure 0005461817
    に従って計算される距離Wだけ互いに間隔を隔てた2つの他の側部と、を備えており、前記圧電層(102)の前記第1の面の前記平面の位置で、前記第1の電極(106、206、306、406、506)の前記フィンガー(108、408)の間に位置された表面の前記圧電層(102)の部分(114、116、602)が少なくとも部分的にエッチングされたラム波共振器。
  2. 前記圧電層(102)の前記部分(116)が、複数の孔を備えたパターンに従って、前記圧電層(102)の前記第1の面の前記平面内でエッチングされた請求項1に記載の共振器(700)。
  3. 前記圧電層(102)の前記部分(114)が全体的にエッチングされた請求項1に記載の共振器(100、200、300、400、500)。
  4. 前記部分(114、116)が、前記圧電層(102)の前記第1の面と、前記圧電層(102)の前記第1の面とは反対側の第2の面との間を貫通してエッチングされた請求項1から3のいずれか一項に記載の共振器(100、200、300、400、500、700)。
  5. 前記圧電層(102)の前記第1の面とは反対側の第2の面に配置された第2の電極(104)をさらに備えた請求項1から4のいずれか一項に記載の共振器(100、200、300、400、500、600、700)。
  6. 前記第2の電極(104)によって形成される表面が、前記圧電層(102)の前記第1の面の前記平面に平行な前記平面内に投影されるとき、前記圧電層(102)の前記第1の面の前記平面に平行な前記平面内の前記第1の電極(106、206、306、406、506)の前記フィンガー(108、408)の表面が、前記第2の電極(104)によって形成される表面に含まれている請求項5に記載の共振器(100、200、300、400、500、600、700)。
  7. 前記第2の電極(104)が、前記圧電層(102)の前記第2の面の平面に平行な平面において、少なくとも2つのフィンガー(103)および1つの接触アーム(105)からなるパターンを備えており、前記第2の電極(104)によって形成される表面が、前記圧電層(102)の前記第1の面の前記平面に平行な前記平面内に投影されるとき、前記第2の電極(104)の前記フィンガー(103)によって形成される表面は、前記第1の面の前記平面に平行な前記平面内の前記第1の電極(106)の前記フィンガー(108)によって形成された表面に一致し、及び重なっている請求項5に記載の共振器(700)。
  8. 前記圧電層(102)の前記第2の面の前記平面に平行な前記平面内の前記第2の電極(104)の前記パターンが、前記第1の面の前記平面に平行な前記平面内の前記第1の電極(106)の前記パターンに一致し、及び前記圧電層(102)の前記第2の面の前記平面に平行な前記平面内の前記第2の電極(104)の前記接触アーム(105)の表面が、前記第1の面の前記平面に平行な前記平面内の前記第1の電極(106)の前記接触アーム(110)の表面と重なっていない請求項7に記載の共振器(700)。
  9. 前記第1の電極(106、206、306、506)のフィンガー(108)の各々が長方形である請求項1から8のいずれか一項に記載の共振器(100、200、300、500、600、700)。
  10. 前記第1の電極(106、206、306、406、506)のフィンガー(108、408)の数が2個と100個の間である請求項1から9のいずれか一項に記載の共振器(100、200、300、400、500、600、700)。
  11. 前記第1の電極(106、206、306、406)の前記接触アーム(110、310)が長方形である請求項1から10のいずれか一項に記載の共振器(100、200、300、400、600、700)。
  12. 前記第1の電極(106、206、306)の、距離Wだけ互いに間隔を隔てた個々のフィンガー(108)の2つの側部に平行な線が、前記フィンガー(108)が接続されている前記第1の電極(106、206、306)の前記接触アーム(110、310)の一側を貫通している線に対して直角である請求項11に記載の共振器(100、200、300、600、700)。
  13. 前記第1の電極(106)の前記フィンガー(108)が、前記第1の電極(106)の前記接触アーム(110)の単一の側部、もしくは互いに反対の2つの側部、または3つの側部に接続された請求項11または12のいずれか一項に記載の共振器(100、600、700)。
  14. 前記第1の電極(506)の前記接触アーム(510)は、前記フィンガー(108)が接続される円形の少なくとも一部分(514)を備えた請求項1から10のいずれか一項に記載の共振器(500)。
  15. ラム波共振器(100、200、300、400、500、600、700)を製造するための方法であって、
    少なくとも1つの圧電材料に基づく圧電層(102)の第1の面に第1の電極(106、206、306、406、506)を製造する少なくとも1つの段階であって、前記圧電層(102)の前記第1の面の平面に平行な平面において、前記第1の電極のパターンは、少なくとも2つのフィンガー(108、408)および1つの接触アーム(110、310、510)を備えており、前記フィンガー(108、408)の各々は、前記アーム(110、310、510)と接触している第1の側部と、及び互いに平行で、かつ、
    ναlateralが前記ラム波の音響伝搬速度であり、
    nが前記ラム波の共振モードの次数であり、
    fが前記共振器の共振周波数
    である式
    Figure 0005461817
    に従って計算される距離Wだけ互いに間隔を隔てた2つの側部と、を備える段階と、
    前記圧電層(102)の第1の面の前記平面の位置で、前記第1の電極(106、206、306、406、506)の前記フィンガー(108、408)の間に位置された表面の前記圧電層(102)の一部(114、116、602)を少なくとも部分的にエッチングする少なくとも1つの段階と、
    を含む方法。
  16. 前記圧電層(102)の前記第1の面とは反対側の第2の面に第2の電極(104)を製造する段階をさらに備えた請求項15に記載の方法。
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