JP2983252B2 - 圧電薄膜デバイス - Google Patents

圧電薄膜デバイス

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JP2983252B2 JP2121185A JP12118590A JP2983252B2 JP 2983252 B2 JP2983252 B2 JP 2983252B2 JP 2121185 A JP2121185 A JP 2121185A JP 12118590 A JP12118590 A JP 12118590A JP 2983252 B2 JP2983252 B2 JP 2983252B2
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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、弾性波デバイスの一種である圧電薄膜デ
バイス、特に基板と圧電性膜を含む振動膜との間に空隙
を有する空隙型圧電薄膜デバイスに関する。
(従来の技術) 空隙型圧電薄膜デバイスは、基板上に基板との間に空
隙部を有するように圧電性膜を含む振動膜を形成した圧
電薄膜デバイスである。このデバイスは、水晶等では実
現が困難であった100MHz以上の周波数での基本モードの
動作が可能であり、高周波帯での使用が可能な超小型の
弾性波デバイスを実現できる。また、この圧電薄膜デバ
イスはシリコン基板をはじめとする半導体基板上に直接
形成可能、Q値が1000程度とLCを用いた共振子に比べ高
い、振動などの外乱に強いといった特徴がある。このデ
バイスの応用例としては例えば共振子、フィルタ、遅延
線回路、コンボルバ、コリレータ等がある。
ところで、従来の圧電薄膜デバイスは厚み振動モー
ド、すなわち厚み縦振動モードまたは厚みすべり振動モ
ードを使用しているため、動作中心周波数は振動膜の厚
さにより決定されていた。また、振動膜を圧電性膜と非
圧電性膜の多層膜構造とした場合、それらの膜厚比によ
っても動作中心周波数は大きく変化してしまう。この様
に従来の圧電薄膜デバイスは、動作中心周波数の膜厚依
存性が大きいため、周波数の制御が難しく、一度のプロ
セスで中心周波数の異なる共振子その他の素子を同一基
板上に形成することが困難である。
これを解決する方法として、厚み振動モードに代え
て、薄膜中を伝搬するLamb波の対称0次モード(以下、
SOモードと略す)を用いた新しいタイプの圧電薄膜デバ
イスが考えられている。SOモードは従来の厚み振動モー
ドとは異なり、遮断周波数と減衰モードを持たず、伝搬
モードだけである。また波の波長に対して振動膜の膜厚
が十分薄い場合、SOモードの位相速度(以下、単に速度
という)は周波数、膜厚によらずほぼ一定と見なすこと
ができる。その動作の厚み振動との比較を第16図に示
す。同図からわかるように、(a)の厚み振動モード
(図では厚み縦振動モード)を用いた圧電薄膜デバイス
の場合、その主振動方向が厚み方向なのに対して、
(b)のSOモードを用いた圧電薄膜デバイスでは、主振
動方向が膜に平行な方向になる。このSOモードを用いた
新しいデバイスは、振動膜上に設けた交差指電極(イン
タディジタル電極;以下IDTと略す)により弾性波を励
振あるいは検出することができ、その動作中心周波数は
IDTの周期によって決定され、振動膜の膜厚にほとんど
依存しない、従ってIDTの周期を変化させることによ
り、同一振動膜上に動作中心周波数の異なる素子を形成
することが可能となる。また、SOモードは電気機械結合
係数が厚み振動モードのそれと同程度またはそれ以上で
あるという長所もある。
しかし、SOモードには減衰モードが存在しないため、
厚み振動モードを用いた圧電薄膜デバイスで用いられて
来たエネルギー閉じ込めの手法が適用出来ず、振動膜の
端部からの反射がデバイスの特性に重大な影響を与えて
しまう。例えばIDT二組を用いてフィルタを構成した場
合、伝搬路端部での反射によりフィルタの周波数特性に
スプリアスが生じてしまう。また、IDTの両側に反射器
を設けて共振子を構成した場合にも、同様に共振特性に
スプリアスを生じてしまうことになる。第15図は、振動
膜が無限遠まで続く特性21(端部での反射係数Γ=
0)、弾性波の一部が端部で反射する特性22(Γ=−0.
4)、弾性波が全反射する特性23(Γ=−1)の正規形I
DTを用いたフィルタの特性をシミュレーションした例で
ある。この図からわかるように、振動膜の端部からの反
射があると、スプリアス応答が現れてくることになり、
特性に悪影響を与える。このようなスプリアスが発生す
る理由は、振動膜の端部からの反射波がIDTの方に戻っ
て、IDTで検出されてしまうためと考えられる。
また、振動膜が圧電性膜と非圧電性膜の多層構造をと
る圧電薄膜デバイスは、動差中心周波数の膜厚依存性が
少ないとは言っても、多層振動膜の材質や膜厚比が変化
するとSOモードの速度が変化するため、ある程度の膜厚
異存性を持つ。従って、デバイスの特性を厳密にコント
ロールするためには、膜厚の正確な調整やトリミングが
必要となり、コストが高くなる。
(発明が解決しようとする課題) 上述したように、Lamb波の0次の対称モード(SOモー
ド)を用いた圧電薄膜デバイスを構成しようとした場
合、振動膜の端部での弾性波の反射によるスプリアスに
よって特性の劣化が生じたり、圧電性膜や非圧電性膜の
膜厚のばらつきにより動作中心周波数が変化することに
よって、所望とする良好な周波数特性が得られにくいと
いう問題があった。
本発明の目的は、振動膜端部での弾性波の反射の影響
を低減して、スプリアスの少ない所望の周波数特性が得
られる圧電薄膜デバイスを提供することにある。
本発明の他の目的は、振動膜を構成する圧電性膜や非
圧電性膜の膜厚のばらつきによる中心周波数の変化を小
さくして所望の周波数特性が得られる圧電薄膜デバイス
を提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は上記の課題を解決するため、基板と圧電性膜
との間の空隙部の端部のうち、空隙部上に形成された交
差指電極により励振される弾性波の伝搬路上に位置する
端部を弾性波の伝搬方向に対して斜めに形成したことを
特徴とする。この空隙部の弾性波伝搬路上の端部形状
は、言い換えれば大部分が弾性波の伝搬方向に対して垂
直となっていなければ良く、全体として一つないし幾つ
かの直線または曲線を形成してもよいし、例えば鋸歯状
ないし波状のように細かく変化する形状であっても構わ
ない。
また、本発明は上記の課題を解決するため、振動膜が
SiO2膜/ZnO膜/下部SiO2膜からなる三層膜構造の場合、
弾性波を励振する交差指電極の周期から求められる波長
をλとし、ZnO膜の膜厚をtp、上部SiO2膜の膜厚をts1
下部SiO2の膜厚をts2として、規格化波数をktp=2πtp
/λとし、上部および下部SiO2膜全体のZnO膜に対する膜
厚比をr=(ts1+ts2)/tpとしたとき、規格化波数ktp
と膜厚比rが、 r<2.5 … ktp+r>1.4 … 2.5ktp+0.9r<3.5 … 3つの不等式を満たすような膜厚及び波長を用いてデバ
イスを構成するようにしたものである。この場合、ZnO
膜の両面に形成される交差指電極その他の電極の電極材
料は、アルミニウムまたはニッケルが望ましい。
(作用) 弾性波の伝搬路上における空隙部の端部を弾性波の伝
搬方向に対して斜めに形成することにより、この端部へ
入射した弾性波は伝搬方向に対して斜めに反射し、ある
いは端部が鋸歯状の場合、端部への入射波は乱反射を起
こす。従って、空隙部の端部での反射波は、交差指電極
の方に戻る事が少なくなり、反射によるスプリアスが抑
制される。
また、〜式の条件を満たすように膜厚及び波長を
設定すると、後述するように膜厚のばらつきに対するSO
モードでの速度変化が極めて小さく抑えられ、結果的に
動作中心周波数の膜厚依存性が少なくなり、所望の周波
数特性が容易に得られる。さらに、電極材料としてアル
ミまたはニッケルを用いると、電極材料による速度の変
化も小さく抑えられる。
(実施例) 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
第1図は本発明の第1の実施例に係る圧電薄膜デバイ
ス(この例では圧電薄膜フィルタ)を示したもので、
(a)は上部SiO2膜7を除去して示す平面図、(b)は
(a)のA−A′線に沿う断面図である。基板1(例え
ばSi基板)上に、基板1との間に空隙部2を有するよう
に下部SiO2膜3/ZnO膜5/上部SiO2膜7の三層膜が振動膜
として形成されている。SiO2膜3,7は非圧電性膜、ZnO膜
5は圧電性膜である。ZnO膜5の上面には、空隙部2上
において第1の電極6として二組の交差指電極(インタ
ディジタル電極;IDT)形成され、下面に第2の電極4と
して第1の電極6と対向する部分を覆うようにフローテ
ィング電極が形成されている。
そして、空隙部2は第1の電極6である交差指電極に
より励振される弾性波の伝搬路上に位置する端部2A,2B
が、弾性波の伝搬方向に対して斜めに形成されている。
この圧電薄膜フィルタは、従来の厚み振動モードを用
いた空隙型圧電薄膜デバイスと基本的に同一の工程で形
成でき、集積回路基板上に直接作成可能である。すなわ
ち、まず基板1上の空隙部2を形成すべき領域に、エッ
チングされやすい物質(A等の金属やZnO等の酸化
物)で数千Å程度の厚さにパターニングして形成する。
次いで、下部SiO2膜3、第2の電極4、ZnO膜5、第1
の電極6、上部SiO2膜7を順次パターニングして形成す
る。この後、上部SiO2膜7に接続孔8、下部SiO2膜3に
空隙部エッチング用孔9をそれぞれ形成し、最後に空隙
部2を形成すべき領域にあるA,ZnO等の膜をエッチン
グすることにより、空隙部2を形成する。振動膜は空隙
部エッチング用孔9を除いて全て基板1と接触している
ため、その機械的強度は十分に確保される。また、この
ような空隙型圧電薄膜デバイスでは、空隙部2のパター
ンをPEP(フォトエッチングプロセス)を用いて形成す
るため、基板の裏面からエッチングして空隙部を形成す
るタイプの圧電薄膜デバイスに比べ、空隙部の微細なパ
ターニング、高精度の位置合わせが可能であり、また高
い寸法精度が得られる。
次に、この実施例の圧電薄膜フィルタの動作を第2図
を参照して説明する。第2図は第1図のフィルタを上面
から見た模式図である。第1の電極6によって励振され
たSOモードLamb波は、空隙部2の端部2A,2Bに入射する
(入射波14)。この入射波14は空隙部2の端部2A,2Bで
反射する際、弾性波、特に弾性表面波(SAW)にモード
変換を起こし、大部分のエネルギーが基板1中に放出さ
れ(透過波16)、一部が反射して電極6の方向に戻って
行く(反射波15)。
この場合、本実施例では空隙2の端部2A,2Bが弾性波
の伝搬方向に対して斜めとなっているため、反射波15は
入射波14とは異なる角度の方向に伝搬することになり、
電極6ではほとんど検出されない。さらに、この反射波
15は振動膜の電極6の側面の端部や、反対側の端部で反
射を繰り返すわけであるが、反射の度に大部分のエネル
ギーを基板1中に放出するため、振動膜端部での反射に
よる定在波が立つおそれが少ない。従って、反射波15が
電極6に戻って検出されることによるスプリアスの発生
が抑制され、良好な周波数特性が得られる。
第3図は、本発明の第2の実施例の上面から見た模式
図である。この実施例の圧電膜膜デバイスは共振子の例
であり、空隙部2の弾性波伝搬方向の端部が弾性波伝搬
路の中央を中心として伝搬路両側で対称形状となるよう
に、伝搬方向に対して斜めに形成されている。この実施
例によっても、第1の実施例と同様の効果が得られ、ス
プリアスの少ない共振特性を実現することができる。
第4図は、本発明の第3の実施例の上面から見た模式
図である。第1の実施例では空隙部2の弾性波伝搬方向
の両側の端部2A,2Bが平行となっていたが、本実施例で
は図に示すように、端部2A,2Bが平行とならないように
それぞれ弾性波伝搬方向に対して斜めとなっている。こ
の実施例によっても、第1および第2の実施例と同様の
効果が得られる。
第5図は、本発明の第4の実施例の上面から見た模式
図であり、空隙部2の弾性波伝搬方向の両側の端部2A,2
Bが第1〜第3の実施例のように直線でなく、鋸歯状に
形成されている。この実施例によると、空隙部2の端部
2A,2Bに入射した波14は乱反射15を起こすので、実効的
に反射をなくすことができる。なお、端部2A,2Bを鋸歯
状にする代わりに、多数の曲面で構成される波状にして
も同様の効果が得られる。
第6図は、本発明の第5の実施例の上面から見た模式
図である。この実施例においては、空隙部2の弾性波伝
搬方向の端部2A,2Bは空隙部エッチング用孔9に通ずる
開口部となっており、やはり弾性波の伝搬方向に対して
斜めに形成されている。この場合、端部2A,2Bでの減衰
は生じないが、先の実施例と同様に反射波15は入射波14
と異なる角度の方向に反射するため、電極6によって検
出されることはない。
以上、請求項1に対応する第1〜第5の実施例を説明
したが、これに限定されるものではない。例えば第1〜
第5の実施例では、振動膜としてSiO2膜/ZnO膜/SiO2
の三層膜を示したが、例えば圧電性膜としてAlN,Nb2O5,
Ta2O5,PbTiO3等の膜を用いることができ、非圧電性膜で
ある誘電体膜としてはSi3N4,PSG膜等も使用可能であ
る。また、圧電性膜と誘電体膜との二層構造、もしくは
圧電性膜単体の振動膜の使用も可能である。第1の実施
例のように第1の電極6として2組のIDTを用いてフィ
ルタを構成する場合、各種の重み付けの手法を適用する
こともできる。
第2の電極としては第1の実施例のように共通のフロ
ーティング電極とする代わりに、第1の電極を構成する
IDTと対向するようにIDTを第2の電極として用い、その
IDTに電界が生じるように第1,第2の電極を構成する両I
DTを接続して用いることも可能である。また、第1の電
極と第2の電極は位置を交換することが可能であり、ど
ちらが上部、下部電極になっても問題ない。さらに、場
合によっては第2の電極を省略して、第1の電極のみで
動作させることも可能である。要するに、電極の構成は
特性および他のデバイスとの接続を考えて決定すれば良
い。
次に、請求項2に対応する第6の実施例を説明する。
第7図は第6の実施例に係る圧電薄膜デバイス(この例
では共振子)を示したものであり、第1図と同様に
(a)は上部SiO2膜7を除去して示す平面図、(b)は
(a)のA−A′線に沿う断面図である。基板1(例え
ばSi基板)上に、基板1との間に空隙部2を有するよう
に下部SiO2膜3/ZnO膜5/上部SiO2膜7の三層膜が振動膜
として形成されている。SiO2膜3,7は非圧電性膜、ZnO膜
5は圧電性膜である。ZnO膜5の上面には空隙部2上に
おいて第1の電極6として交差指電極(IDT)が形成さ
れ、下面に第2の電極4として第1の電極6と対向する
部分を覆うようにフローティング電極が形成されてい
る。
この圧電薄膜フィルタは、従来の厚み振動モードを用
いた空隙型圧電薄膜デバイスと基本的に同一の工程で作
成でき、集積回路基板上に直接作成可能である。すなわ
ち、まず基板1上の空隙部2を形成すべき領域に、エッ
チングされやすい物質(Al等の金属やZnO等の酸化物)
で数千Å程度の厚さにパターニングして形成する。次い
で、下部SiO2膜3、第2の電極4、ZnO膜5、第1の電
極6、上部SiO2膜7を順次パターニングして形成する。
この後、上部SiO2膜7に接続孔8、下部SiO2膜3に空隙
部エッチング用孔9をそれぞれ形成し、最後に空隙部2
を形成すべき領域にあるAl,ZnO等の膜をエッチングする
ことにより、空隙部2を形成する。振動膜は空隙部エッ
チング用孔9を除いて全て基板1と接触しているため、
その機械的強度は十分に確保される。また、このような
空隙型圧電薄膜デバイスでは、空隙部2のパターンをPE
P(フォトエッチングプロセス)を用いて形成するた
め、基板の裏面からエッチングして空隙部を形成するタ
イプの圧電薄膜デバイスに比べ、空隙部の微細なパター
ニング、高精度の位置合わせが可能であり、また高い寸
法精度が得られる。
そして、この実施例の圧電薄膜フィルタにおいては、
第1の電極6を構成する交差指電極の周期から求められ
る波長をλとし、ZnO膜5の膜厚をtp、上部SiO2膜7の
膜厚をts1、下部SiO23の膜厚をts2として、規格化波数
をktp=2πtp/λとし、上部および下部SiO2膜7,3全体
のZnO膜5に対する膜厚比をr=(ts1+ts2)/tpとした
ときに、規格化波数ktpと膜厚比rが、 r<2.5 … ktp+r>1.4 … 2.5ktp+0.9r<3.5 … の3つの不等式を満足するように構成される。
第8図に膜厚比r=1.94の場合のZnO膜5の膜厚tpで
規格化した波数ktpと、ZnO膜5の縦波の速度で規格化し
た速度の関係を示す。図中のTE,TSの記号はそれぞれ厚
み縦振動モード(thickness expansion mode;TEmod
e)、厚み滑り振動モード(thickness share mode;TSmo
de)を表わしている。また、SO,AOはそれぞれLamb波の
0次対称モード、反対称モードを表している。TE,TSモ
ードには遮断周波数があり、その近傍で伝搬モード、減
衰モードが存在しており、エネルギー閉じ込めの手法に
よるデバイスが作製できる。一方、SOモードには減衰モ
ードが存在せず、波数の小さな領域においては、その速
度はほぼ一定となる。従って、SOモードのこの波数の小
さい領域を用いて第7図のような圧電薄膜デバイスを作
製することにより、ZnO膜5の膜厚によらず速度がほぼ
一定のデバイスが得られることになる。
波数ktpの小さい領域におけるSOモードの速度の分散
性を第9図に示す。ここで、SiO2膜7,3の膜厚ts1,ts2
等しいものとして、膜厚比rをパラメータとしている。
また、図中の点線はZnO膜5の表面が電気的にオープン
の場合(以下、openと呼ぶ)であり、実線はZnO膜5の
表面が電気的にショートの場合(以下、shortと呼ぶ)
である。電極の膜厚は0としている。この図から分かる
ように、規格化波数ktpが小さい領域では、速度はほぼ
一定と見なせる。膜厚比rが大きいほどその速度は大き
く、分散性も大きくなっている。
次に、規格化波数ktpの小さな領域におけるSOモード
の速度と膜厚比rの関係を第10図に示す。横軸は膜厚比
rであり、縦軸は速度である。この図においてもSiO2
7,3の膜厚ts1,ts2は等しいものとしている。第9図と同
様に、点線はopenの場合であり、実線はshortの場合の
速度である。この図からわかるように、膜厚比rに対し
て速度はほぼ2次曲線を描き、その頂点で膜厚に対する
速度変化がゼロとなる。速度変化が0となる膜厚比は電
気的境界条件により異なるが、その膜厚比の近傍で速度
の膜厚比依存性は非常に小さくなる。
ここで、膜厚比rに対する速度依存性を表わす量とし
て、次のようなものを定義する。
このα(r)の示す意味は、例えばα(r)=0.01の
場合、膜厚比rが0.1変化したときに速度がα(r)×
0.1=0.001だけ変化するということを意味する。また、
α(r)=0のとき、前述の速度変化が0の点に相当す
る。
第11図に膜厚比によるα(r)=0となる膜厚比と波
数の関係を示す。図中(a)の実線はopenの場合の膜厚
依存性0のところであり、(b)の実線はshortの場合
である。また、(e)の点線はTS1モードの遮断周波数
であり、これより右の領域ではTS1モードの影響が出て
特性にスプリアスを生じるようになる。また、この図に
おいて斜線で囲まれた領域が、膜厚比が5%ずれても速
度の変化が0.1%以内に収まる範囲である。従って、こ
の斜線の範囲の膜厚比、波数でデバイスを作製した場
合、実用上、膜厚比の誤差に対してその速度変化が無視
できることになる。この領域を示す関係式は、に
示したようになる。
式は膜厚比rの上限を示す式であり、膜厚比が大き
くなるに従って全体の膜厚が厚くなり、作成が困難にな
ってくると共に、速度の規格化波数ktpに対する分散性
がきつくなってくるので、実用上の上限としてr<2.5
とした。式は、前述のように膜厚比が5%ずれても
速度の変化が0.1%以内となる条件である。
次に、第12図に膜厚比に対する速度変化が0となる点
でのSiO2膜7,3の膜厚ts1,ts2が非対称になった場合の速
度の変化を示す。図の横軸は膜厚非対称の度合いであ
り、縦軸は速度である。速度は膜厚が等しい場合が最も
大きく、膜厚非対称の度合いが強くなるに従って低下し
てくる。しかし、片側の膜厚が0となった場合でも、そ
の速度変化は高々0.3%程度であり、対称構造に近い状
態でSiO2膜3,7の全体の膜厚を合わせることにより、精
度を向上させることが可能である。
第13図はSOモードの電気機械結合係数Kの膜厚比依存
性である。規格化波数ktpが0.5以下では結合係数Kは単
調減少となるが、規格化波数ktpが増加するに従って略
一定となってくる。さらに、SOモードの電気機械結合係
数は、どの膜厚比をとっても1次の厚み縦振動モードの
結合係数よりも大きくなっている。このことからも、SO
モードが広帯域のデバイスとして有利であることがわか
る。
第14図はZnO膜単体からなる振動膜の両面にAlまたはN
i膜を付加した場合の速度分散曲線である。図の横軸は
振動膜上部および下部の第1および第2の電極6,4の膜
厚をそれぞれth1,th2とした場合の膜厚比h=(th1+th
2)/tpである。図中実線はアルミニウム、点線がニッケ
ルを示し、それぞれ規格化波数が0.5の場合と1.0の場合
を示した。この図からわかるように、アルミニウムやニ
ッケルを電極6,4の電極材料として用いた場合、その電
極による速度変化は膜厚比hが0.4以下では1%以下で
ある。これは、これら二種類の材料単体の電極でのSOモ
ードの速度がZnOに近いことによる。通常、電極の膜厚
比は0.05〜0.2程度であり、これらの材料を電極として
用いても、速度はほとんど変化しないことになる。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明によればSOモードを用いた
空隙型圧電薄膜デバイスにおいて、振動膜端部からの弾
性波の反射による影響を抑圧することが可能となり、反
射によるスプリアスが少なく良好な周波数特性を有する
圧電薄膜デバイスを提供できる。
また、本発明によれば特に振動膜が上部SiO2膜/ZnO膜
/下部SiO2膜からなる三層膜構造の場合において、それ
らの膜の膜厚のばらつきに対して周波数特性の変化が少
なく、膜厚の厳密な調整やトリミングを必要とする事な
く、所望の周波数特性を容易に実現できる圧電薄膜デバ
イスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)(b)は本発明の第1の実施例の平面図及
び断面図、第2図は同実施例の平面模式図、第3図、第
4図、第5図及び第6図はそれぞれ本発明の第2、第
3、第4及び第5の実施例の平面模式図、第7図は本発
明の第6の実施例の正面図及び断面図、第8図は第6の
実施例を説明するためのSiO2/ZnO/SiO2三層膜からなる
振動膜中を伝搬するLamb波の速度分散曲線を示す図、第
9図は同じく三層膜の膜厚比r(=(ts1+ts2)/tp)
をパラメータとしたSOモードLamp波の速度分散曲線を示
す図、第10図は同じく規格化波数ktpをパラメータとし
たSOモードLamp波の速度の膜厚依存性を示す図、第11図
は同じく速度の膜厚依存性が0となる膜厚比と規格化波
数の関係を表わす図、第12図は同じく上部および下部Si
O2膜の膜厚が等しくない場合の速度変化を表す図、第13
図は同じく電気機械結合係数の膜厚比による変化を表す
図、第14図は同じく電極材料としてアルミニウムおよび
ニッケルを用いた場合の電極の膜厚比に対する速度変化
の図、第15図は従来のSOモードを用いた圧電薄膜フィル
タにおける振動膜端部での反射による周波数特性の変化
を示す図、第16図は厚み振動モードとSOモードを比較し
て示す図である。 1……基板、2……空隙部、2A,2B……弾性波伝搬路上
の空隙部端部、3……下部SiO2膜、4……第1の電極
(交差指電極)、5……ZnO膜、6……第2の電極(フ
ローティング電極)、7……上部SiO2膜、8……接続
孔、9……空隙部エッチング用孔、10……振動膜端、14
……振動膜端部入射波、15……振動膜端部反射波、16…
…振動膜端部透過波。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−113616(JP,A) 特開 平3−96005(JP,A) 1990年電子情報通信学会春季全国大会 講演論文集 A−365 SOモードLa mb波を用いた幅方向共振形圧電導膜共 振子 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03H 9/17 H03H 9/145 H03H 9/25

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、この基板との間に空隙部を有する
    ように形成された圧電性膜と、この圧電性膜の少なくと
    も一方の面の前記空隙部上に形成され、所定方向に伝搬
    する弾性波を励振する交差指電極とを有する圧電薄膜デ
    バイスにおいて、 前記交差指電極により励振される弾性波の伝搬路上に位
    置する前記空隙部の端部が弾性波の伝搬方向に対して斜
    めに形成されていることを特徴とする圧電薄膜デバイ
    ス。
  2. 【請求項2】基板と、この基板との間に空隙部を有する
    ように形成された、SiO2膜とZnO膜およびSiO2膜からな
    る三層膜と、前記ZnO膜の少なくとも一方の面の前記空
    隙部上に形成され、弾性波を励振する所定の周期を持つ
    交差指電極とを有する圧電薄膜デバイスにおいて、 前記交差指電極の周期から求められる波長をλとし、Zn
    O膜の膜厚をtp、上部SiO2膜の膜厚をts1、下部SiO2膜の
    膜厚をts2として、規格化波数をktp=2πtp/λとし、
    上部および下部SiO2膜全体のZnO膜に対する膜厚比をr
    =(ts1+ts2)/tpとしたとき、規格化波数ktpと膜厚比
    rが、 r<2.5 … ktp+r>1.4 … 2.5ktp+0.9r<3.5 … の不等式を満足するように構成されることを特徴とする
    圧電薄膜デバイス。
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