JP2003258596A - ラム波型高周波共振器、これを用いた発振装置、及びラム波を用いた高周波信号生成方法 - Google Patents

ラム波型高周波共振器、これを用いた発振装置、及びラム波を用いた高周波信号生成方法

Info

Publication number
JP2003258596A
JP2003258596A JP2002056024A JP2002056024A JP2003258596A JP 2003258596 A JP2003258596 A JP 2003258596A JP 2002056024 A JP2002056024 A JP 2002056024A JP 2002056024 A JP2002056024 A JP 2002056024A JP 2003258596 A JP2003258596 A JP 2003258596A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lamb wave
high frequency
piezoelectric substrate
reflector
lamb
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002056024A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiko Nakagawa
恭彦 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ARIIZUMI TAKEHIKO
Original Assignee
ARIIZUMI TAKEHIKO
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ARIIZUMI TAKEHIKO filed Critical ARIIZUMI TAKEHIKO
Priority to JP2002056024A priority Critical patent/JP2003258596A/ja
Publication of JP2003258596A publication Critical patent/JP2003258596A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術の方式によるバルク波を用いた共振
器や弾性表面波による共振器では実現が困難な高い周波
数で動作し、かつ素子の小型化が可能な高周波共振器を
提供する。また、この高周波共振器を用いた発振デバイ
スを提供すること。 【解決手段】 圧電基板と、前記圧電基板の片面上に形
成され、前記圧電基板中を伝搬するラム波を励振するす
だれ状電極と、前記すだれ状電極の両側に設けられ、前
記ラム波を反射する反射器とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、通信デバイス、
コンピュータ等に用いられる高周波共振器、これを用い
た発振装置、及び高周波信号生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電材料を用いた共振器は、LC共振器
に比べてQ値が高く、温度係数が小さく、経時変化も安
定で素子も小型化できるため、情報機器におけるクロッ
ク信号用や各種フィルター用として、種々の用途に合致
した圧電共振器が開発されている。
【0003】従来の圧電共振器としては、厚みすべり波
を用いた共振器と、弾性表面波を用いたものがある。図
19に厚みすべり波を用いた共振器の原理を示す。厚み
すべり波を用いる水晶振動子は図19に示すように表面
の垂直方向(90°方向)に伝搬するバルク弾性波(体
積波)を利用している。厚みすべり波の周波数は圧電基
板(水晶板)の厚さ(H)で決定される。
【0004】このため、厚みすべり波を用いた共振器の
共振周波数を数百メガヘルツ以上の周波数で動作させる
ためには、厚さを3μm以下にしなければならない。そ
のための加工方法や平面度及び平行度をあげる高度な加
工技術の開発が要求されるという問題がある。
【0005】また、仮に圧電基板(水晶板)薄く加工で
きても、電気的に励振するための電極の厚みのために動
作周波数が30〜40%も低下してしまうという問題があ
る。例えば、H=1.66μmに加工したATカット水晶板の
共振器において、電極を付着させる前の共振周波数1000
MHzであったものが、両面に金電極を蒸着させると、周
波数が634MHzに下がる。
【0006】他方、固体の表面に沿って伝搬する弾性波
を用いた弾性表面波共振器では横波より遅い弾性波であ
る表面波を使用している。一般的に表面波は横波の約9
0%の速度と遅い。
【0007】弾性表面波は半無限弾性体の表面に沿って
伝搬する表面波を利用している。弾性表面波は表面に伝
搬する。周波数は速度(V)に比例し波長(λ)に反比
例するため、周波数を上げるためには電極の周期を微細
にしなければならないという問題がある。
【0008】弾性表面波共振器では反射器を用いて共振
周波数を生成している。グレーティングによる弾性表面
波反射器の反射は、表面の電極の電気的効果及び弾性的
摂動効果で起こる。
【0009】ここで、電気的効果とは、圧電基板上の弾
性表面波速度は表面が薄い金属で覆われた(電気的に短
絡)場合、圧電気効果により表面近傍の弾性定数が少し
小さくなり、その結果、弾性表面波の速度が低下する効
果である。そのために、表面が電気的に短絡された部分
と金属薄膜で覆われていない部分(電気的に自由)の弾
性表面波の速度が異なり、この速度差によって弾性表面
波の反射が起こる。
【0010】弾性的摂動効果とは、弾性表面波伝搬路上
が波長に比べて無視できない厚さの金属の層で覆われた
場合に速度が遅くなる効果である。薄膜を上面に設ける
と金属薄膜中にも弾性波が進入する。その薄膜中の弾性
波速度は薄膜の膜厚と弾性定数で決まるために、基板中
を伝搬する弾性波速度とは異なり、一般に基板より質量
が大きい金属の場合はその速度低下が大きい。その結
果、両領域の速度の中間の大きさの速度で弾性表面波は
伝搬する。そのために、表面が金属薄膜で覆われている
部分(弾性的摂動効果)と覆われていない部分の弾性表
面波の速度が異なる。この速度差によって弾性表面波の
反射が起こる。
【0011】圧電基板は半無限基板であるから弾性的摂
動効果が小さく、反射係数は一般に小さい。例えば、電
極の材料がアルミニウムであり、圧電基板が水晶である
ときの弾性表面波反射器の反射係数は、一波長あたり
(反射器2本分)高々0.55%である。そのため、反
射器の本数は最低でも700本以上必要であり、素子の小
型化が望めないという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】従来技術の方式によるバルク波を用いた共
振器や弾性表面波による共振器では実現が困難な高い周
波数で動作し、かつ素子の小型化が可能な高周波共振
器、この高周波共振器を用いた発振デバイス、および高
周波信号生成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】本発明のラム波型高周波共振器は、圧電基
板の片面上にラム波を励振するすだれ状の電極を形成
し、このすだれ状電極の両側に反射器を形成したラム波
型高周波共振器である。ラム波は、波長に比較して5波
長以下の厚さの板中を斜め約45°方向に伝搬する弾性
波であり、位相速度が速いので共振器の周波数を高くす
ることができる。
【0014】圧電基板の厚さHとすだれ状電極が励振す
るラム波の波長λが、0<(2H/λ)≦10の式を満
足する場合は、ラム波の励振を効率的に行うことができ
る。また、ラム波の効率的な励振は、圧電基板の電気機
械結合係数k2 が0.007%を越えている場合であ
る。
【0015】すだれ状電極の一周期長とラム波の波長λ
とは共振時において一致する。圧電基板がATカット水
晶であれば、共振周波数の温度特性が優れているため安
定した高周波共振器となる。
【0016】反射器の材料は、アルミニウム、金、又は
クロムのいずれでもよい。この反射器の材料がアルミニ
ウムの場合であって、ラム波を励振するすだれ状電極の
一周期長λが10μmの場合、すだれ状電極の両側に設
ける反射器のうち、一つの反射器の本数は67本でよ
い。ラム波は弾性表面波に比較して反射係数が大きいた
めである。この結果、共振器を小型化できる。
【0017】同様に、反射器の材料が、金の場合であっ
て、ラム波を励振するすだれ状電極の一周期長λが5μ
mの場合、すだれ状電極の両側に設ける反射器のうち、
一つの反射器の本数は7本でよい。
【0018】反射器の厚さhは、すだれ状電極の一周期
長λが10μmの場合は、少なくとも0.5μm以上で
あり、前記λが5μmの場合は、少なくとも0.2μm
以上であれば、反射係数γを2〜3%以上とすることが
でき共振器を小型化できる。
【0019】本発明の高周波共振器はコルピッツ型発振
回路に組み込むことにより高周波発振装置となる。
【0020】本発明は、圧電基板の厚さHと前記圧電基
板の片面上に形成されたすだれ状電極が励振するラム波
の波長λとが、0<(2H/λ)≦10を実質的に満足
すれば、前記すだれ状電極によりラム波を励振すること
ができ、前記すだれ状電極の両側に形成された反射器に
より前記ラム波を反射させることにより高周波信号を生
成することができる。また、共振時において、すだれ状
電極の一周期長とラム波の波長λとは一致する。この方
法により、従来、圧電基板の厚さHが20μmでは実現
できなかった高周波信号を生成できる。
【発明の実施の形態】
【0021】ラム波は、ラム波の波長に比較して5波長
以下の厚さの基板中を表面方向に沿って伝搬する弾性波
である。別名板波とも言われている。基板中を伝搬する
ラム波の分散曲線と電気機械結合係数(k2)について
理論解析を行い、ラム波を用いた高周波共振器の必要条
件を求めた。
【0022】1.圧電基板中を伝搬するラム波の伝搬特
性 (1)ラム波の分散曲線について 図1は解析モデルの座標系を示したものである。圧電基
板は、ATカットの水晶、厚さH=20μmと、伝搬方向
1 のラム波について解析した。運動方程式と圧電基本
式を用い波動の一般解を求め、得られた一般解に次の境
界条件を課し、ラム波の位相速度と波長とを求めた。こ
こで、波長は共振器の動作周波数が共振状態なら、すだ
れ状電極の一周期長に一致する。従って、以降ラム波の
波長をλで表記する。
【0023】境界条件は、上下の両面で応力=0、電
気的に開放(表面に電極を設けない)。上面で応力=
0、電気的に短絡(表面に極薄電極を設ける)及び下面
で応力=0、電気的に開放(表面に電極を設けない)の
2条件である。
【0024】図2はATカット水晶基板中をX軸(水晶の
結晶軸)方向に伝搬するラム波の分散曲線の計算結果を
示したものである。縦軸は、の境界条件からもとまる
位相速度Vf から求めたラム波の周波数を、横軸は2H/
λを示す。図2に示す通り、周波数1000MHzを越えるラ
ム波が理論上存在することが分かる。ここで、縦軸は周
波数、横軸は2H/λである。
【0025】(2)電気機械結合係数について 圧電基板上にすだれ状電極を設けることにより、ラム波
を励振することができる。電気的励振の効率に比例する
係数として、電気機械結合係数k2 が定義されている。
ラム波励振に関しても、次式で電気機械結合係数k2
定義できる。ここでVfはの境界条件から求まる位相速
度、Vs はの境界条件から求まる位相速度である。 k2=2(Vf−Vs)/Vf
【0026】図3は、圧電基板をATカット水晶と仮定
し、X軸方向に伝搬するラム波に対する、電気機械結合
係数(k2 )と2H/λの関係を示したものである。図3
に示す通り、2H/λ>10では、電気機械結合係数
(k2 )が0.007%を越えるラム波は非常に少なく
なる。
【0027】図4は、ATカット水晶基板をX軸方向に
伝搬するラム波に対する電気機械結合係数k2 の計算結
果を示したものである。横軸は周波数、縦軸は電気機械
結合係数k2 である。図4に示す通り、電気機械結合係
数(k2 )が0.007%以上のラム波が存在する。
【0028】2.ラム波を反射するグレーティング反射
器について グレーティング反射器(以下、反射器)は、すだれ状電
極と反射器の弾性的摂動効果を利用するものである。反
射器の反射係数(γ)が大きいほど反射器の本数を減ら
すことができ、共振器の小型化が実現できる。
【0029】(1)弾性的摂動効果の大きさについて ラム波を反射する反射器の弾性的摂動効果について理論
解析を行った。図5は、解析モデルのラム波反射器の断
面を示したものである。圧電基板(ATカット水晶)の
厚さをH、反射器の厚さをhとし、表面に反射器がある
部分のラム波の位相速度をVm、電極のない部分の位相速
度をVfとする。
【0030】弾性表面波反射器の理論によるラム波の波
長λ当たりの反射係数γ(反射器(金属ストリップ)2
本分)の反射量)は、次式で与えられる。γ=2(Vf
Vm)/Vf
【0031】Vfは図1に示した解析モデルである表面に
電極が存在しない場合のラム波の伝搬特性理論からもと
まる。Vmは図6の解析モデルでX1 方向に伝搬するラム
波の解析から得られる。解析理論は上述した平板中を伝
搬するラム波理論の解析手法と基本的に同じである。
【0032】位相速度Vmは、反射器の上面、基板の下面
及び基板と反射器の境界面での境界条件から位相速度が
決定される。反射器の厚さh及び反射器材料の密度や弾
性定数により、ラム波の位相速度は変化する。
【0033】反射器がN本から構成されているときの反
射器の反射量Rは弾性表面波反射器と同様に、R=tanh
(Nγ/2) で与えられる。反射器の反射量R=1とするた
めには、tanh(Nγ/2)=1から、反射器の本数はおよ
そ、N≧4/γ、以上あれば十分であることが判明し
た。
【0034】以上により、共振器の寸法は反射係数γの
大きさで決まり、γが大きいほど素子形状を小さくする
ことが出来ることが判明した。
【0035】反射量の解析結果を、図7、8,9に示
す。図7は電極がアルミニウムからなる反射器の1波長
当たり(反射器2本分:反射器1本の幅がλ/4)の反
射係数を示したものである。図7に示す通り、H=10
μm,λ=10μm、ATカット水晶基板X軸方向伝搬、
f=580MHzのラム波に対して、h/λ=0.06で、
γ=3.0%を得る。したがって、反射器本数は N≧
134でよい。
【0036】従来技術の水晶基板(34°Y-X水晶)上の
弾性表面波の反射器にアルミニウム(Al)を用いたとき
の反射係数は、γ=0.55%であり、反射器の本数は
N≧727 である。(弾性波素子ハンドブック、p17
6、オーム社、1991年)。これらに比較して、ラム
波を用いると、反射器本数は弾性表面は反射器の約20%
で済み、素子の小型化が行える。
【0037】図8は、反射器の材料を金、H=20μm,λ
=10μm、ATカット水晶基板X軸方向伝搬のラム波に
ついて、一波長当たり(反射器2本分:反射器1本の幅
がλ/4)の反射率(横軸)と反射器の厚さhとの関係
について解析結果を示したものである。図8からh/λ
=0.06でγ=6.0%を得る。従って、反射器本数
は、N≧67でよい。
【0038】図9は、反射器の材料が金、H=20μm,
λ=5μm、ATカット板X軸方向伝搬のラム波につい
て、一波長当たり(反射器2本:反射器1本の幅がλ/
4分)の反射率γと反射器の厚さhとの関係について解
析結果を示したものである。図9から、H=20μm,λ=5
μm、f=624MHzのラム波に対してh/λ=0.0
6、でγ=60%を得る。従って、反射器本数は、N≧
7でよい。
【0039】以上、ラム波型共振器では、電極材料にア
ルミニウムを用いる場合は反射器の本数は、134本以
上が目安となり、電極材料に金を用いる場合は7本以上
が目安となる。このように、反射器の本数を極端に減ら
すことができ、素子の大幅な小型化が行える。
【0040】実施例(ラム波型高周波共振器の製作) 1.ラム波の励受信 図10に示す、ATカット水晶、その厚さH=20μ
m、直径3mmの円形の圧電基板上に、図10に示す形状
のすだれ状電極を二つ設けたラム波の励受信の素子を製
作した。この素子を用いX軸方向伝搬のラム波の励振と
受信の測定を行った。圧電基板上のすだれ状電極形状
は、一周期長λ=10μm、電極当たり(片側電極)4
0対、電極の長手方向の長さは1000μmである。
【0041】図11はその電極間の挿入損失(伝送特
性)の周波数依存性の測定結果を示したものである。図
11より、周波数298MHz、323MHz、579MHzに
受信振幅の大きな応答が見られる。これは、これらの周
波数のラム波が強く励振、受信されたことを示してい
る。この結果は、図4の電気機械結合係数k2 の計算結
果と非常に良く符合している。すなわち、図4中電気機
械結合係数k2 の値が0.007% 以上の周波数のラ
ム波について励振がされたことを示している。
【0042】次に、ATカット水晶基板Y’軸方向(A
Tカット面内でX軸に直角な方向)伝搬のラム波を用い
た励振受信特性を測定した。図12は、ATカット水晶
基板上をY’軸方向に伝搬するラム波に対する電気機械
結合係数k2 の計算結果を示したものである。
【0043】図13は、すだれ状電極間の挿入損失(伝
送特性)の周波数依存性の測定結果を示したものであ
る。周波数511MHz、534MHzに大きな応答が得られ
ている。これは、これらの周波数のラム波が強く励振、
受信されたことを示している。この結果は、図12の電
気機械結合係数k2 の計算結果と非常に良く符合してい
る。
【0044】このように、図10に示す励受信素子を用
いた測定により、ATカット水晶薄板中を伝搬するラム
波の伝搬特性の解析結果を実験的に証明することができ
た。
【0045】2.高周波共振器の製作 図14はラム波型高周波共振器の一実施例の概観図を示
したものである。圧電基板10は、ATカット水晶、厚
さH=20μmである。この圧電基板の上面に、アルミ
ニウムを蒸着させ、すだれ状電極(ラム波励振電極の一
周期長λ=10μm)を形成した。すだれ状電極の厚さ
は、h=1μm、対数N=30とした。なお、2H/λは
4であり、これは0<(2H/λ)≦10の関係を満た
す。
【0046】図14に示す反射器の電極材料はアルミニ
ウムとした。反射器は一本の幅がすだれ状電極の一周期
長λの1/4とし、反射体の間隔もλ/4とした。反射
器が、N本の反射器から構成されているときの反射器の
全反射量は、R=tanh(Nγ/2)の式で与えられる。
【0047】γは一波長当たり(反射体2本分)のラム
波の反射係数である。 反射器の反射量をR=1とするため
には、tanh(Nγ/2)=1から、反射器の本数は、N
≧4/γを満たす必要がある。これより、反射器の本数
を134とした。
【0048】ラム波の伝搬方向はATカット水晶基板上
のX軸方向伝搬と、ATカット水晶基板上のY’軸方向
(ATカット面内でX軸に垂直な方向)の2通りがあ
る。本実施例においては、X軸方向に伝搬するラム波を
反射するように反射器を設置した高周波共振器と、Y’
軸方向に伝搬するラム波を反射するように反射器を設置
した2例の高周波共振器を製作した。
【0049】図15はラム波型高周波共振器の断面を示
したものである。ATカット水晶体(H=20μm)の圧
電基板上のすだれ状電極(h=1.0μm)の両側にそ
れぞれ、電極幅がλ/4、反射器2本がλとなるように
反射器134本を形成した。
【0050】図14に示すラム波型共振器は、すだれ状
電極を一端子対回路とみなすことが出来る。その一端子
対回路のアドミッタンスの周波数依存性の測定結果を図
16,17に示す。
【0051】図16はX軸方向伝搬のラム波の共振特性
の測定結果を示す。f=305MHzに強い共振を得てい
る。図17は、Y’軸方向伝搬ラム波の共振特性の測定
結果を示す。f=509MHzに強い共振を得ており、こ
の素子の共振の鋭さを表す指数Q値は、図17に示すf
1 =508.6MHzとf2 =508.77から約3000
である。
【0052】以上の実施例の結果、共振周波数は、同一
厚さのATカット基板の厚みすべり振動子の基本動作周
波数の4〜12倍である。また水晶ST基板上の弾性表
面波共振器周波数に比べても、3倍の高周波である。
【0053】圧電基板に直径3mmの円板を用いることに
より、反射器を通過してしまったラム波の反射波の反射
方向はランダムな方向になり、その結果すだれ状電極に
は受信されない。その結果、共振特性に悪い影響(スプ
リアス)を与えないメリットがある。
【0054】図18にラム波型共振器を組み込んだコル
ピッツ形発振器の応用例を示す。ラム波型共振器は、動
作特性が水晶振動子と動作特性と極めてよく似ており、
水晶振動子を組み込んだ発振回路が基本的に利用でき
る。
【0055】
【発明の効果】従来技術の方式によるバルク波振動子や
弾性表面波による共振器では実現が困難な高い周波数で
動作する振動子が実現できた。従来技術の厚み振動子と
同じ板厚ならば、4〜12倍の高周波で動作する。
【0056】従来技術の方式によるバルク波振動子で
は、数ミクロン以下に薄くした場合、せっかく高周波化
しても励振電極を両面に付けるために、その質量効果で
動作周波数が30%〜40%低下してしまう問題点があ
った。本発明により、ラム波が基板の面内方向に伝搬す
ることと、片面だけに電極を付着させればよいので周波
数の低下はほとんど起きない。
【0057】ラム波は薄い板中を伝搬するために、表面
に付着させる電極(アルミニウム、金)の弾性的摂動効
果が非常に大きくなる。そのため、ラム波の反射器の反
射係数を大きくすることが可能であり、一波長当たり容
易に3〜60%にすることができた。
【0058】圧電基板上の弾性表面波反射器の反射係数
はアルミニウムを用いた場合、高々0.55%であり、
水晶基板上の弾性表面波反射器の本数は最低でも700
本以上必要である。これを本発明により、電極材料にア
ルミニウムを用いる場合は134本で実現できた。ま
た、電極材料に金を用いる場合は7本で実現できる。
【0059】このように、反射器の本数を極端に減らす
ことができた結果、素子の大幅な小型化が実現できた。
また、電極に金も使用できるので、水晶振動子の場合と
同様に、素子の経年変化を極端に低く抑えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラム波解析モデルの座標系を示した図。
【図2】ラム波の分散曲線の計算結果を示した図。
【図3】圧電基板としてATカット水晶板と仮定し、X
軸方向に伝搬するラム波に対する、電気機械結合係数k
2 と2H/λの関係を示した図。
【図4】電気機械結合係数k2 とX軸方向に伝搬するラ
ム波に対する電気機械結合係数の計算結果を示した図。
【図5】解析モデルのラム波反射器の断面を示した図。
【図6】X1 方向に伝搬するラム波の解析モデルを示し
た図。
【図7】電極がアルミニウムからなる反射器の一波長当
たり(反射器2本分)の反射係数を示した図。
【図8】反射器の電極を金とした場合の一波長当たり
(反射器2本分)の反射係数の解析結果を示した図。
【図9】反射器の電極が金であり、ラム波がATカット
板X軸方向伝搬の場合の一波長当たり(反射器2本分)
の反射係数の解析結果を示した図。
【図10】ラム波の励受信素子。
【図11】電極間の挿入損失(伝送特性)の周波数依存
性の測定結果を示した図。
【図12】ATカット水晶基板上をY’軸方向に伝搬す
るラム波に対する電気機械結合係数の計算結果を示した
図。
【図13】すだれ状電極間の挿入損失(伝送特性)の周
波数依存性の測定結果を示した図。
【図14】ラム波型高周波共振器の一実施例の概観図。
【図15】ラム波型共振器の断面。
【図16】X軸方向伝搬のラム波の共振特性の測定結果
を示した図。
【図17】Y’軸方向伝搬ラム波の共振特性の測定結果
を示下図。
【図18】ラム波型共振器を組み込んだコルピッツ形発
振器。
【図19】厚みすべり波を用いた共振子の原理を示した
図。
【符号の説明】
1 ラム波型高周波共振器 10 圧電基板(ATカット水晶) 11 すだれ状電極 12 13 反射器 14 15 電極端子

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電基板と、 前記圧電基板の片面上に形成され、前記圧電基板中を伝
    搬するラム波を励振するすだれ状電極と、 前記すだれ状電極の両側に設けられ、前記ラム波を反射
    する反射器とを備えたラム波型高周波共振器。
  2. 【請求項2】前記圧電基板の厚さHと前記すだれ状電極
    が励振するラム波の波長λとが、0<(2H/λ)≦1
    0の式を実質的に満足する請求項1に記載のラム波型高
    周波共振器。
  3. 【請求項3】前記すだれ状電極の一周期長は前記ラム波
    の波長λと一致する請求項1または請求項2に記載のラ
    ム波型高周波共振器。
  4. 【請求項4】前記圧電基板中を伝搬するラム波の電気的
    励振効率である電気機械結合係数k 2 は、少なくとも
    0.007%である請求項1から請求項3のいずれかに
    記載のラム波型高周波共振器。
  5. 【請求項5】前記圧電基板はATカット水晶である請求
    項1から請求項4のいずれかに記載のラム波型高周波共
    振器。
  6. 【請求項6】前記反射器の材料は、アルミニウム、金、
    又はクロムのいずれかである請求項1から請求項5のい
    ずれかに記載のラム波型高周波共振器。
  7. 【請求項7】前記反射器の本数は、反射器の材料がアル
    ミニウムであり、前記すだれ状電極の一周期長が10μ
    mの場合は、前記すだれ状電極の片側に少なくとも67
    本、反射器の材料が金であり、前記一周期長が5μmの
    場合は、前記すだれ状電極の片側に少なくとも7本形成
    した請求項1から請求項6のいずれかに記載のラム波型
    高周波共振器。
  8. 【請求項8】前記反射器の厚さhは、前記一周期長が1
    0μmの場合は、少なくとも0.5μm以上であり、前
    記一周期長が5μmの場合は、少なくとも0.2μm以
    上である請求項1から請求項7のいずれかに記載のラム
    波型高周波共振器。
  9. 【請求項9】請求項1から請求項8のいずれかに記載の
    ラム波型高周波共振器を備えた発振装置。
  10. 【請求項10】圧電基板の厚さHと、前記圧電基板中を
    伝搬するラム波の波長λとが、0<(2H/λ)≦10
    を実質的に満足し、 前記すだれ状電極により前記ラム波を励振し、 前記すだれ状電極の両側に形成された反射器により前記
    ラム波を反射させることにより高周波信号を生成するこ
    とを特徴とするラム波を用いた高周波信号生成方法。
  11. 【請求項11】前記すだれ状電極の一周期長は前記ラム
    波の波長と一致することを特徴とする請求項10に記載
    の高周波信号生成方法。
JP2002056024A 2002-03-01 2002-03-01 ラム波型高周波共振器、これを用いた発振装置、及びラム波を用いた高周波信号生成方法 Pending JP2003258596A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002056024A JP2003258596A (ja) 2002-03-01 2002-03-01 ラム波型高周波共振器、これを用いた発振装置、及びラム波を用いた高周波信号生成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002056024A JP2003258596A (ja) 2002-03-01 2002-03-01 ラム波型高周波共振器、これを用いた発振装置、及びラム波を用いた高周波信号生成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003258596A true JP2003258596A (ja) 2003-09-12

Family

ID=28666710

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002056024A Pending JP2003258596A (ja) 2002-03-01 2002-03-01 ラム波型高周波共振器、これを用いた発振装置、及びラム波を用いた高周波信号生成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003258596A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7327070B2 (en) 2005-01-07 2008-02-05 Seiko Epson Corporation Lamb-wave high-frequency resonator
US7528685B2 (en) 2005-05-11 2009-05-05 Seiko Epson Corporation Lamb wave type high frequency device
US7728483B2 (en) 2006-02-16 2010-06-01 Seiko Epson Corporation Lamb wave type frequency device and method thereof
US8008838B2 (en) 2007-03-15 2011-08-30 University Of Yamanashi Lamb wave type elastic wave device
US8035463B2 (en) 2008-03-12 2011-10-11 Seiko Epson Corporation Lamb-wave resonator and oscillator
JP2011259348A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 River Eletec Kk 弾性波素子
US8115561B2 (en) 2009-03-19 2012-02-14 Seiko Epson Corporation Lamb-wave resonator and oscillator
WO2014208664A1 (ja) 2013-06-28 2014-12-31 リバーエレテック株式会社 弾性波素子
JP2016535933A (ja) * 2013-10-17 2016-11-17 ロイヤル・メルボルン・インスティテュート・オブ・テクノロジーRoyal Melbourne Institute Of Technology 圧電駆動プラットフォーム
US11258424B1 (en) 2020-08-18 2022-02-22 River Eletec Corporation Acoustic wave device
CN116297847A (zh) * 2023-03-27 2023-06-23 中国石油大学(华东) 用于接收单一模态兰姆波的板壳结构无损检测设备及方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7327070B2 (en) 2005-01-07 2008-02-05 Seiko Epson Corporation Lamb-wave high-frequency resonator
US7528685B2 (en) 2005-05-11 2009-05-05 Seiko Epson Corporation Lamb wave type high frequency device
US7728483B2 (en) 2006-02-16 2010-06-01 Seiko Epson Corporation Lamb wave type frequency device and method thereof
US8008838B2 (en) 2007-03-15 2011-08-30 University Of Yamanashi Lamb wave type elastic wave device
US8035463B2 (en) 2008-03-12 2011-10-11 Seiko Epson Corporation Lamb-wave resonator and oscillator
US8115561B2 (en) 2009-03-19 2012-02-14 Seiko Epson Corporation Lamb-wave resonator and oscillator
JP2011259348A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 River Eletec Kk 弾性波素子
WO2014208664A1 (ja) 2013-06-28 2014-12-31 リバーエレテック株式会社 弾性波素子
US9800225B2 (en) 2013-06-28 2017-10-24 River Eletec Corporation Elastic wave device
JP2016535933A (ja) * 2013-10-17 2016-11-17 ロイヤル・メルボルン・インスティテュート・オブ・テクノロジーRoyal Melbourne Institute Of Technology 圧電駆動プラットフォーム
US11258424B1 (en) 2020-08-18 2022-02-22 River Eletec Corporation Acoustic wave device
CN116297847A (zh) * 2023-03-27 2023-06-23 中国石油大学(华东) 用于接收单一模态兰姆波的板壳结构无损检测设备及方法
CN116297847B (zh) * 2023-03-27 2023-10-20 中国石油大学(华东) 用于接收单一模态兰姆波的板壳结构无损检测设备及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8176784B2 (en) Elastic wave device and electronic component
US8035463B2 (en) Lamb-wave resonator and oscillator
US5847486A (en) Love-wave device including a thin film of TA or W
JPH10233645A (ja) 弾性表面波装置
JP2003258596A (ja) ラム波型高周波共振器、これを用いた発振装置、及びラム波を用いた高周波信号生成方法
JP2003209458A (ja) 弾性表面波基板及び弾性表面波機能素子
US8242664B2 (en) Elastic wave device and electronic component
US20100237742A1 (en) Lamb-wave resonator and oscillator
JPH09298446A (ja) 弾性表面波装置及びその設計方法
US8237329B2 (en) Elastic wave device and electronic component
JP2983252B2 (ja) 圧電薄膜デバイス
Ramli et al. Design and modeling of MEMS SAW resonator on Lithium Niobate
JPH06164306A (ja) 弾性表面波共振子
Bassignot et al. Acoustic resonator based on periodically poled transducers: Concept and analysis
JP5563378B2 (ja) 弾性波素子
JPWO2008114715A1 (ja) ラム波型弾性波素子
JP4465464B2 (ja) ラム波型弾性波素子
CN114710133B (zh) 一种基于铌酸锂单晶薄膜的声学纵向剪切波谐振器
Nakagawa et al. Lamb-wave-type high frequency resonator
JP2004363641A (ja) 弾性表面波共振子
Nakagawa et al. Characteristics of reflection of resonators using Lamb wave on AT-cut quartz
KR102561687B1 (ko) Saw 필터 장치의 소스 억제를 위한 변환기 구조물
US20030071540A1 (en) Surface acoustic wave device and communication device
WO2010029762A1 (ja) ラム波型弾性波素子
RU2643501C1 (ru) Резонатор на поверхностных акустических волнах

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20041203

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041214

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20041214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080617