[実施例1]
(I)画像形成装置例
図1は本実施例1に係る画像形成装置の一例の構成模式図である。この画像形成装置は、電子写真方式を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得る、フルカラーレーザープリンタである。
本実施例1に示す画像形成装置は、記録材Pの搬送手段12,24と、略直線状に上下方向へ配列されている4つの画像形成ステーションYS,CS,MS,KSと、を有する。本実施例1では4つの画像形成ステーションを纏めて画像形成部と称する。また画像形成装置は、加熱定着装置(定着部)20と、制御手段としての制御部100と、画像形成用の画像信号を形成するビデオコントローラ101と、を有する。
制御部100は、ROMやRAMなどのメモリとCPUとからなる。メモリには、記録材P上に画像を形成するための画像形成制御シーケンスや、定着装置20をクリーニングするためのクリーニング制御シーケンスなどが記憶されている。
4つの画像形成ステーションYS,CS,MS,KSのうち、YSはイエロー(以下Yと略記)色の画像を形成するイエロー画像形成ステーションである。CSはシアン(以下Cと略記)色の画像を形成するシアン画像形成ステーションである。MSはマゼンタ(以下Mと略記)色の画像を形成するマゼンタ画像形成ステーションである。KSはブラック(以下Kと略記)色の画像を形成するブラック画像形成ステーションである。
各画像形成ステーションYS,CS,MS,KSは、ドラム型の像担持体としての電子写真感光体(以下、感光体ドラムと記す)1Y,1C,1M,1Kと、帯電手段としての帯電ローラ3Y,3C,3M,3Kを有している。また、各画像形成ステーションYS,CS,MS,KSは、現像手段としての現像装置2Y,2C,2M,2Kと、クリーニング手段としてのクリーニング装置4Y,4C,4M,4Kを有している。
感光体ドラム1Yと帯電ローラ3Yと現像装置2Yとクリーニング装置4Yは1つのフレーム(枠体)に収納されてイエローカートリッジYとして構成されている。また、感光体ドラム1Cと帯電ローラ3Cと現像装置2Cとクリーニング器4Cも1つのフレーム(枠体)に収納されてシアンカートリッジCとして構成されている。また、感光体ドラム1Mと帯電ローラ3Mと現像装置2Mとクリーニング器4Mも1つのフレーム(枠体)に収納されてマゼンタカートリッジMとして構成されている。また、感光体ドラム1Kと帯電ローラ3Kと現像装置2Kとクリーニング器4Kも1つのフレーム(枠体)に収納されてブラックカートリッジKとして構成されている。そして、イエローカートリッジYの現像装置2Yにはイエロートナーが、シアンカートリッジCの現像装置2Cにはシアントナーが、それぞれ収納されている。また、マゼンタカートリッジMの現像装置2Mにはマゼンタトナーが、ブラックカートリッジKの現像装置2Kにはブラックトナーが、それぞれ収納されている。
5は露光手段としてのレーザー走査露光装置(以下、露光装置と記す)である。この露光装置5は、各カートリッジY,C,M,Kと対応して設けられ、対応する各カートリッジY,C,M,Kの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに露光を行なうことによって各感光体ドラムに静電潜像を形成する。
6はエンドレスベルト状の像担持体としての中間転写ベルト(中間転写体)である。中間転写ベルト6は、画像形成ステーションYS,CS,MS,KSの配列方向に沿って設けられている。この中間転写ベルト6は、駆動ローラ7とテンションローラ8と2次転写対向ローラ14の3つのローラに張架されている。そしてその中間転写ベルト6は、駆動ローラ7の駆動により各画像形成ステーションYS,CS,MS,KSの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに沿って矢印方向に周回移動する。
中間転写ベルト6の外周面(表面)に感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面のトナー像を転写する1次転写手段としては、1次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kを用いている。1次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kは、中間転写ベルト6を挟んで感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと対向するように配設されている。
15は中間転写ベルト6用のクリーニング手段としての回収ローラである。回収ローラ15は二次転写ローラ14とイエロー画像形成ステーションYSとの間において中間転写ベルト6と対向するように設けられている。
搬送手段は、給送ローラ11と、レジストローラ12と、排出ローラ24と、反転ローラ25と、両面プリント用搬送路26などを有する。両面プリント用搬送路26は、クリーニングシートを定着装置20へ搬送する(再給紙する)搬送路の機能も有する。
ビデオコントローラ101は、ホストコンピュータ等の外部装置(不図示)から画像データを受信すると、制御部100にプリント信号を送信するとともに受信した画像データをビットマップデータに変換する。プリント信号を受信した制御部100は画像形成制御シーケンスを実行する。画像形成制御シーケンスが実行されると、まず感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを矢印方向に回転する。そしてその感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの外周面(表面)を帯電ローラ3Y,3C,3M,3Kにより所定の極性・電位に一様に帯電する。本実施例1では感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面は負極性に帯電される。そしてその感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面の帯電面に対し露光装置5よりビットマップデータに依存した画像信号に応じたレーザー光を走査露光する。これにより感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面の帯電面に画像データに応じた静電潜像が形成される。現像装置2Y,2C,2M,2Kは、それぞれ現像バイアス電源(不図示)より現像ローラ21Y,21C,21M,21Kに印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露光部)電位の間の適切な値に設定する。これにより負極性に帯電されたトナーが露光部に付着して感光ドラム1Y,1C,1M,1K表面にトナー像が形成される。
各現像装置2Y,2C,2M,2Kによって感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面に現像された単色トナー画像は、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの回転と同期して、略等速で回転する中間転写ベルト6の外周面(表面)へ転写される。即ち、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと対応する1次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kに対して、第1の転写バイアス電源(不図示)より、トナーと逆極性の正極性の転写バイアスが印加される。これにより感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面から各色のトナー画像が中間転写ベルト6表面に重なるように1次転写される。これによって中間転写ベルト6表面にカラートナー画像が担持される。
トナー画像の1次転写後に感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面に残った転写残トナーは、クリーニング装置4Y,4C,4M,4Kのクリーニング部材(不図示)により除去され、廃トナー容器41Y,41C,41M,41Kに回収される。本実施例1においてはクリーニング部材として、ウレタンブレードにより作製したクリーニングブレードを用いている。
上記のように、帯電ローラによる帯電工程と、露光装置による露光工程と、現像器による現像工程と、一次転写ローラ9による一次転写工程を中間転写ベルト6の回転に同調して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して行う。これによって、中間転写ベルト6表面に各色のトナー画像を順次重ねて形成していく。即ち、中間転写ベルト6は、記録材Pに形成すべきカラー画像の未定着トナー像を中間転写ベルト6表面に担持する。
一方、記録材供給部となる記録材カセット10にセットされている記録材Pは、給送ローラ11により給送される。その記録材Pは、レジストローラ12の直後に設けられているトップセンサS1により先端が検知される。レジストローラ12は、トップセンサS1による記録材先端の検知に応じて中間転写ベルト6表面の画像位置とタイミングを合わせ記録材Pを中間転写ベルト6と2次転写手段としての2次転写ローラ13との間の転写ニップ部に搬送する。転写ニップ部は、2次転写ローラ13を2次転写対向ローラ14と対向する位置で中間転写ベルト6表面に接触させるように配置することによって、中間転写ベルト6と2次転写ローラ13との間に形成されている。本実施例1の画像形成装置における記録材Pの搬送速度は180mm/秒である。
中間転写ベルト6表面に担持されたカラートナー画像は、2次転写ローラ13に、第2の転写バイアス電源(不図示)より、トナーと逆極性のバイアスが印加されることによって記録材P上に一括転写(2次転写)される。
記録材P上に転写されたカラートナー画像は、定着装置(定着器)20のニップ部(定着ニップ部)Nに導入され熱と圧力を受けることによって記録材P上に加熱定着される。定着装置20のニップ部Nを出た記録材Pは排紙ローラ対24により排出トレイ27上に排出される。
本実施例1の画像形成装置においては、真比重1.1のトナーを用いて、1色のトナーの記録材上単位面積当たりのトナー量0.45mg/cm2を100%としている。つまり、ブラック画像形成モードにおいて、記録材上に載せることができる単位面積あたりのトナー量の上限は、0.45mg/cm2である。ブラック画像形成モードでは、記録材上の単位面積あたりのトナー量が0.45mg/cm2を超えないように感光ドラム1K上にブラックトナー画像が形成される。また、2色以上のトナーを重ねて像形成するとき(フルカラー画像形成モード)には、記録材上の単位面積当りの最大トナー量を180%としている。つまり、フルカラー画像形成モードにおいて、記録材上に載せることができる単位面積あたりのトナー量の上限は、0.81mg/cm2である。フルカラー画像形成モードでは、4色のトナーを記録材上に重ねた状態における記録材上の単位面積あたりのトナー量が0.81mg/cm2を超えないように、4つの感光ドラム1Y,1C,1M,1K表面上にトナー画像が形成される。フルカラー画像形成モードの場合も、各々の画像形成ステーションによって記録材上に載せることができる単位面積あたりのトナー量の上限は100%(0.45mg/cm2)である。なお、通常の画像形成モード(モノクロ画像形成モードとフルカラー画像形成モード)において、単位面積あたりのトナー量の上限を100%にする設定、或いは180%にする設定は、ビデオコントローラ101によって行なわれる。即ち受信した画像データをビットマップデータに変換する際に、最大トナー量が100%或いは180%となるよう調整する。帯電ローラに印加する帯電バイアス、現像装置の有する現像ローラに印加する現像バイアスは変更していない。中間転写ベルトから記録材へのトナー画像転写時の転写バイアスは、モノクロ画像形成モードとフルカラー画像形成モードで変更する場合がある。
カラートナー画像の転写後に中間転写ベルト6表面に残った転写残トナーは、第3の転写バイアス電源(不図示)より正極性のバイアスを印加された回収ローラ15の外周面(表面)に静電回収され蓄積される。さらに所定のページ分の2次転写動作終了後に画像形成動作を中断させた上で、回収ローラ15に第3の転写バイアス電源より負極性のバイアスが印加される。これにより、回収ローラ15表面に蓄積されている転写残トナーは回収ローラ15表面から中間転写ベルト6表面に静電放出される。このとき同時にイエロー画像形成ステーションYSの感光体ドラム1Yと中間転写ベルト6との間の1次転写部に、中間転写ベルト6表面の転写残トナーが中間転写ベルト6表面から感光体ドラム1Y表面へ逆転写されるような電界を形成する。例えば感光体ドラム1Y表面を−100Vとし、転写ローラ9Yに第1の転写バイアス電源より−300Vの転写バイアスを印加して、中間転写ベルト6表面の転写残トナーを感光体ドラム1Y表面へ逆転写させる。感光体ドラム1Y表面へ逆転写された転写残トナーは最終的には感光体ドラム1Y表面からクリーニング部材によって除去され、廃トナー容器41Yに回収される。
(II)定着装置
図2は定着装置の一例の横断側面模式図である。この定着装置は熱ローラ方式の定着装置である。
以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。
定着装置(定着部)20は、加熱手段としてのハロゲンランプ21と、定着用の回転部材としての定着ローラ22と、加圧用の回転部材としての加圧ローラ23と、を有する。ハロゲンランプ21と、定着ローラ22と、加圧ローラ23は何れも長手方向に細長い部材である。
定着ローラ22は、ステンレス製の円筒形状の中空芯金22aを有する。この中空芯金22aの外周面上には中空芯金22aの長手方向両端部を除いて弾性層22bとして厚み4mmのシリコーンゴム層がローラ状に形成されている。そしてこの弾性層22bの外周面上に離型層22cとして厚み70μmのPFA樹脂チューブを被覆している。この定着ローラ22の外径は26mmである。そしてこの定着ローラ22は、中空芯金22aの長手方向両端部が定着装置20のフレーム(不図示)に回転自在に保持されている。
定着ローラ22の中空芯金22aの内部にはハロゲンランプ21が配設されている。このハロゲンランプ21は、ハロゲンランプ21の長手方向両端部が装置フレームに保持されている。このハロゲンランプ21に対して不図示の電源から通電してハロゲンランプ21を発熱させ、ハロゲンランプ21の輻射熱により中空芯金22aは内部から加熱され、その中空芯金22aの熱は弾性層22bを通じて離型層22cに伝導される。
加圧ローラ23は、ステンレス製の丸軸状の芯金23aを有する。この芯金23aの外周面上には芯金23aの長手方向両端部を除いて弾性層23bとして厚み4mmのシリコーンゴム層が射出成形によりローラ状に形成されている。そしてこの弾性層23bの外周面上に離型層23cとして厚み70μmのPFA樹脂チューブを被覆している。この加圧ローラ23の外径は25mmである。そしてこの加圧ローラ23は、中空芯金23aの長手方向両端部が定着装置20のフレームに回転自在に保持されている。そして加圧ローラ23は、加圧ローラ23の芯金23aの長手方向両端部を加圧バネなどの加圧手段(不図示)により定着ローラ22の母線方向と直交する方向に付勢して加圧ローラ23の外周面(表面)を定着ローラ22表面に加圧状態に接触させている。その加圧ローラ23は、加圧手段による加圧力により弾性層23bが定着ローラ22表面の長手方向に沿って弾性変形する。これにより加圧ローラ23表面と定着ローラ22表面との間に所定幅のニップ部Nを形成している。
(III)定着装置の加熱定着動作
制御部100は、プリント信号を受信すると、加圧ローラ23の芯金23aの一端部に設けられている駆動ギア(不図示)を、駆動源としての定着モータM(図2)により回転駆動して加圧ローラ23を矢印方向へ回転する。この加圧ローラ23の回転によりニップ部Nにおいて加圧ローラ23表面と定着ローラ22表面との摩擦力により定着ローラ22に回転力が作用する。その回転力により定着ローラ22は矢印方向へ加圧ローラ23と略同じ周速度で従動回転する。
また制御部100は、通電制御手段としてのトライアック(不図示)をオンする。これにより電源(不図示)からハロゲンランプ21に対して通電される。ハロゲンランプ21は通電されることにより輻射熱を発し定着ローラ22の中空芯金22aを加熱する。その中空芯金22aの熱が弾性層22bを通じて離型層22cに伝わることによって定着ローラ22表面は昇温する。その定着ローラ22表面の温度は定着ローラ22表面と接触又は非接触となるように配されたサーミスタ等の温度検知手段Sにより検知される。制御部100は温度検知手段Sの出力信号(温度検知信号)を取り込み、その出力信号に基づいてトライアックによりハロゲンランプ21に通電する電力を制御することによって定着ローラ22表面の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持する。本実施例では定着温度を190℃に維持するようにしてある。
定着ローラ22の表面温度が定着温度に維持され、かつ加圧ローラ23の回転による定着ローラ22の回転周速度が定常化した状態において、未定着のカラートナー画像Tを担持する記録材Pがニップ部Nに導入される。そしてその記録材Pがニップ部Nで定着ローラ22表面と加圧ローラ23表面とにより挟持搬送され定着ローラ22表面の熱とニップ部Nの圧力を受けることによってカラートナー画像Tは記録材P上に加熱定着される。
(IV)クリーニングモードの説明
制御部100は、外部装置又は画像形成装置の操作パネル(不図示)などからクリーニングモードの指示を受けると、クリーニング制御シーケンスを実行する。クリーニング制御シーケンスが実行されると、まずROMに記憶されているクリーニング用画像パターンを展開する。そして上述の画像形成動作(通常の画像形成動作)と同じ動作により、記録材P上にクリーニング用のトナー画像パターンを形成し、クリーニングシートを作成する。即ち、画像形成部に設けられている4つの画像形成ステーションのうち所定の1つ以上の画像形成ステーションを用いて、以下の工程を中間転写ベルトの回転に同調して行なわせる。即ち、帯電ローラによる帯電工程と、露光装置による露光工程と、現像装置による現像工程と、一次転写ローラによる一次転写工程を中間転写ベルトの回転に同調して行なわせる。これによって中間転写ベルト6表面には所定の1つ以上の画像形成ステーションの各色のトナー画像が形成される。これにより中間転写ベルト6表面上には1色以上のトナーを用いてクリーニングに用いる未定着のトナー画像パターンが担持される。一方、記録材カセット10からは記録材Pが給送ローラ11により給送される。その記録材Pは、レジストローラ12によりトップセンサS1による記録材先端の検知に応じて中間転写ベルト6表面の画像位置とタイミングが合わされ転写ニップ部に搬送される。そして2次転写ローラ13は第2の転写バイアス電源より転写バイアスが印加されることにより中間転写ベルト6表面の未定着のトナー画像パターン(所定のトナー画像)C(図3参照)が記録材P上に転写され担持される。図3は本実施例1の画像形成装置を用いてクリーニング用のトナー画像パターンを形成したクリーニングシートの一例を表した図である。
また、制御部100は、トライアックをオンしハロゲンランプ21に対し通電して定着ローラ22表面を定着温度に加熱するとともに、定着モータMを駆動して加圧ローラ23を回転させ定着ローラ22を従動回転させる。そして未定着のトナー画像パターンCを担持する記録材Pは定着装置20のニップ部Nに導入されニップ部Nで定着ローラ22と加圧ローラ23とによって挟持搬送される。これによりトナー画像パターンCは記録材P上に加熱定着され、記録材P上にトナー画像パターンCが形成される。そしてニップ部Nを出た記録材Pは排出ローラ対24により排出トレイ27上に排出される。その記録材P、即ち、所定のトナー画像Cを形成したクリーニングシートを用いて定着装置20をクリーニングする場合には、次のようにして行う。即ち、記録材Pのトナー画像パターンC側の面をクリーニング対象とする定着ローラ22側に向けて、その記録材Pを搬送手段(給送ローラ11と、レジストローラ12等)により定着装置20のニップ部Nに再給紙させる。或いは記録材Pのトナー画像パターンC側の面をクリーニング対象とする加圧ローラ23側に向けて、その記録材Pを搬送手段により定着装置20のニップ部Nに再給紙させる。以下、所定のトナー画像Cを担持していない記録材Pと区別するためクリーニングシートの符号をCPとする。
本実施例1の画像形成装置においては、トナー画像パターンCを形成して一度画像形成装置外に排出されたクリーニングシートCPを、画像形成装置の使用者により記録材カセット10に再セットして再給紙を行なう。ここで、定着ローラ22をクリーニング対象とするときには、トナー画像パターンCを下に向け記録材カセット10にクリーニングシートCPをセットする。加圧ローラ23をクリーニング対象とするときには、トナー画像パターンCを上に向け記録材カセット10にクリーニングシートCPをセットする。クリーニングシートCPのセット方法は、搬送手段の構成によって異なるため、使用者がトナー画像パターンCをどちらに向けてクリーニングシートCPを再セットすればよいか判断できるようにする必要がある。そのためには、トナー画像パターンCと共にクリーニングシートCP上にセット方向の情報を印字して示すことが望ましい。また加圧ローラ23をクリーニング対象とする場合には、排出トレイ27の近傍に設けられている反転ローラ25を用いて両面プリント用搬送路26にクリーニングシートCPを導入させ、そのクリーニングシートCPを表裏反転させてニップ部Nに再給紙してもよい。なお、クリーニングシートCPを搬送する時には、上述した画像形成部によるクリーニングシートCPへの画像形成は行われない。
熱ローラ方式の定着装置では、一般的に、内部に加熱用のハロゲンヒータ21を備えた定着ローラ22に対して、加圧ローラ23の表面温度は相対的に低くなるため、加圧ローラ23表面にトナーや紙粉の汚れが発生しやすい。そこでトナー画像パターンCを加圧ローラ23側に向けてクリーニングシートCPを再給紙することにより、加圧ローラ23表面の汚れを定着済みのトナー画像Cの粘着性を利用してクリーニングすることができる。
トナー画像パターンCを形成したクリーニングシートCPを再給紙することによって、定着ローラ22表面或いは加圧ローラ23表面をクリーニングできる理由としては、定着されたトナー画像パターンCのトナー像がニップ部Nで再加熱されて溶融する。それにより、溶融したトナー画像パターンCの粘性によって紙粉などを吸着するためと、溶融したトナー画像パターンCは汚れトナーと親和性がよいので、汚れトナーを吸着しやすいためと考えられる。こうしてトナー画像パターンCを形成したクリーニングシートCPを、定着ローラ22或いは加圧ローラ23に向け再給紙することにより、定着ローラ22表面或いは加圧ローラ23表面をクリーニングすることができる。
トナー画像パターンCは、図3に示すようなベタ塗り画像である。ベタ塗り画像の記録材搬送方向の長さLは、クリーニングの対象となる定着ローラ22或いは加圧ローラ23の1周分以上に設定される。本実施例1では、ベタ塗り画像の記録材搬送方向の長さLは加圧ローラ23の1周分以上の長さに設定されている。これは加圧ローラ23の表面上に、ベタ塗り画像によってクリーニングできない非クリーニング域を残さないためである。具体的には、本実施例1では加圧ローラ23の外径が25mmであるので、ほぼ加圧ローラ23の2周分である160mmとしている。またベタ塗り画像の記録材搬送方向と直交する幅方向の長さWは、定着装置20に給送される記録材Pの記録材搬送方向と直交する幅よりも狭い範囲で、その記録材Pに印字可能な最大範囲に設定する。これは加圧ローラ23の長手方向に対して、可能な限り広い範囲でのクリーニングを行うためである。
ここで、従来のカラー画像形成装置では、トナー画像パターン形成時の記録材上の単位面積あたりのトナー載り量をある一定の量のみで行っていた。本実施例1における画像形成装置では、トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を、感光体ドラム1Kを露光するレーザーの光量を調節することによって可変としている。
(V)クリーニング用のトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量決定方法
本実施例1の画像形成装置は、クリーニングモードの実行時(設定時)に、定着装置の使用状況に応じて、画像形成部で画像形成を行うときに記録材に載せるトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量(トナー量)を変更するように構成してある。本発明者等の検討によれば、トナー画像パターンCのトナー量は、多いほどクリーニング効果の高いことがわかった。これはトナー量の増加により、定着ローラ22表面上の大小さまざまな大きさの汚れに対して記録材上のトナーが追従しやすくなり、記録材上のトナーによって汚れを包み込む効果が高くなり、クリーニング効果が高くなったためと考える。またトナー量の増加により、クリーニングシートCPとなる記録材Pの表面の凹凸に関わらずトナー画像パターンCの表面を平滑にできる。そのため、定着ローラ22表面にトナー画像パターンCが密着しやすくなり、クリーニングシートCPを形成するための記録材Pの種類によらず高いクリーニング効果を得ることができる。
そこで、本実施例1の画像形成装置では、トナー画像パターンCの単位面積あたりのトナー載り量を、50%〜180%範囲で変更させる。トナー載り量が100%以下のときには、ブラックトナーのみでトナー画像パターンを形成する。トナー載り量が100%を越えるときには、ブラックトナーを100%載せた上に、イエロートナーを載せることでトナー画像パターンを形成する。
本実施例1におけるトナー画像パターンCの単位面積あたりのトナー載り量決定方法としては、初期値を100%とし、そこに定着装置20の使用状況に応じて補正値を増減させ、最終的な単位面積あたりのトナー載り量を決定する。
先ず、定着装置の使用状況をクリーニングモードの実行頻度とする場合のトナー画像パターンのトナー載り量の補正について説明する。表1に、クリーニングモードの実行頻度(設定頻度)によるトナー画像パターンのトナー載り量の補正値を示す。
定着装置の使用状況をクリーニングモードの実行頻度とする場合には、クリーニングが前回行われてから、次にクリーニングが実施されるまでの定着装置への記録材の通紙枚数(導入枚数)をカウントしておき、その通紙枚数に応じてトナー載り量を加減する。これはクリーニング頻度が少ないほど定着ローラ22表面にトナーが付着しやすいため、トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を増やす補正を加える。また逆にクリーニング頻度が多いときには、トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を減らす補正を加える。これにより無駄なトナー消費を抑制することができる。制御部100では、転写ニップ部と定着装置20との間に設けられた記録材センサ(記録材検知手段)S2(図1)からの出力信号を取り込み、その出力信号をカウントし積算して記憶する。そしてクリーニングモードの実行時(設定時)に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでに定着装置20に通紙された記録材の枚数を求め、その記録材の枚数に応じたトナー載り量の補正値を求める。本実施例1では、表1に示される通紙枚数−トナー載り量補正テーブルを用いて上記の記録材の枚数に応じたトナー載り量の補正値を求めている。トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の増減を判断するための通紙枚数基準は801枚〜1200枚である。そしてそのトナー載り量の補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでに定着装置20に通紙された記録材の通紙枚数に応じてトナー載り量を加減(変更)する。
次に、定着装置の使用状況をクリーニングシートCPを形成するための記録材の種類とする場合のトナー画像パターンのトナー載り量の補正について説明する。表2に、クリーニングシートCPを形成するための記録材の種類によるトナー画像パターンのトナー載り量の補正値を示す。
定着装置の使用状況をクリーニングシートを形成するための記録材の種類とする場合には、記録材の種類に応じてトナー載り量を加減する。薄紙に関しては、加圧ローラ23のクリーニングの際にあまりトナーを載せすぎると、クリーニングシートCPが加圧ローラ23表面に巻きつくリスクが高まってしまうため、単位面積あたりのトナー載り量を減らす補正を加える。グロス紙に関しては、元々記録材の表面が平滑な樹脂であることから、トナーを普通紙(図2のその他に該当)ほど載せなくても一定のクリーニング効果が得られる。そのため、単位面積あたりのトナー載り量を減らす補正を加える。ラフ紙に関しては、記録材表面に凹凸があるので、定着ローラ22表面へ密着し難くなって、クリーニングシートCPのクリーニング能力が低下してしまう。そのため、単位面積あたりのトナー量を増やす補正を加えることで、記録材の表面の凹凸を隠蔽する。これによってクリーニングシートCPが定着ローラ22表面に密着し、クリーニング能力を維持することができる。制御部100では、クリーニングモードの実行時に、プリント信号とともに受信する記録材指定信号に基づいてクリーニングシートCPを形成するための記録材が薄紙、グロス紙、ラフ紙、その他の何れかに該当するかを判断する。そしてその記録材の種類に応じたトナー載り量の補正値を表2に示される紙種−トナー載り量補正テーブルを用いて求める。トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の増減を判断するための紙種基準は薄紙、グロス紙及びラフ紙以外のその他である。そしてそのトナー載り量の補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、クリーニングシートCPを形成するための記録材の種類に応じてトナー載り量を加減(変更)する。
次に、定着装置の使用状況を画像形成装置が置かれた環境の温湿度とする場合のトナー画像パターンCのトナー載り量の補正について説明する。表3に、画像形成装置が置かれた環境の温湿度(絶対水分量)によるトナー画像パターンのトナー載り量の補正値を示す。
定着装置の使用状況を画像形成装置が置かれた環境の絶対水分量とする場合には、その絶対水分量に応じてトナー載り量を加減する。絶対水分量が少ない低湿環境下においては、記録材や、その記録材に付着している紙粉や、定着ローラ22表面などが帯電しやすいため、静電的な力で定着ローラ22表面へトナーが付着しやすくなる。そのため、絶対水分量が少ない環境下では単位面積あたりのトナー載り量を増やす補正を加える。逆に、絶対水分量が多い高湿環境下においては、定着ローラ22表面にトナーが比較的付着しにくいため、単位面積あたりのトナー量を減らす補正を加える。制御部100では、クリーニングモードの実行時に、画像形成装置の内部に設けられている温湿度センサ(温湿度検知手段)S3(図1)からの出力信号に基づいて絶対水分量を求め、その絶対水分量に応じたトナー載り量の補正値を求める。本実施例1では、表3に示される絶対水分量−トナー載り量補正テーブルを用いて絶対水分量に応じたトナー載り量の補正値を求めている。トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の増減を判断するための絶対水分量は6g/m3以上10g/m3未満である。そしてそのトナー載り量の補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、画像形成装置が置かれた環境の絶対水分量に応じてトナー載り量を加減(変更)する。
次に、定着装置の使用状況を積算通紙枚数即ち定着装置でトナー画像を加熱定着した記録材の積算枚数とする場合のトナー画像パターンのトナー載り量の補正について説明する。表4に、定着装置の積算通紙枚数によるトナー画像パターンのトナー載り量の補正値を示す。
定着装置20は、新品から一定の期間は定着ローラ22の表面状態も平滑で良好であり、定着ローラ22表面にトナーも付着し難いため、単位面積あたりのトナー載り量を減らす補正を加える。また、耐久が進んでくると、定着ローラ22の表面状態が凹凸化してくることで、定着ローラ22表面にトナーが付着しやすくなるため、単位面積あたりのトナー載り量を増やす補正を加える。定着装置の使用状況を積算通紙枚数とする場合には、その積算通紙枚数に応じてトナー載り量を加減する。制御部100では、記録材センサS2からの出力信号を取り込み、その出力信号をカウントし積算して記憶する。そしてクリーニングモードの実行時に、定着装置20で初めて記録材にトナー画像の加熱定着を行わせたときから今回クリーニングモードを実行するまでに定着装置でトナー画像を加熱定着した記録材の積算通紙枚数に応じたトナー載り量の補正値を求める。本実施例1では、表4に示される積算通紙枚数−トナー載り量補正テーブルを用いて記録材の積算通紙枚数に応じたトナー載り量の補正値を求めている。トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の増減を判断するための積算通紙枚数基準は30k枚〜60k枚である。そしてそのトナー載り量の補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を補正する。
次に、定着装置の使用状況を記録材の印字可能面積に対してトナーを印字した割合を印字率としたときのトナー画像パターンのトナー載り量の補正について説明する。表5に、定着ローラが前回クリーニングされてから今回クリーニングされるまでの耐久時の印字率の平均値による、トナー画像パターンのトナー載り量の補正値を示す。
定着ローラ22表面のトナー汚れは印字率によって大きく変化し、印字率が高いほど定着ローラ22表面にトナーが付着し難いということが本発明者等の検討で分かっている。これは、トナーの印字率が高いときには、記録材P上に印字されたトナーが定着装置20で加熱定着される際に、その記録材P上のトナーに定着ローラ22表面のトナー汚れが付着するため、定着ローラ22表面のトナー汚れのレベルがよくなると考えられる。そのため、印字率の平均値が少ないときにはトナー載り量を増やす補正を加える。逆に印字率の平均値が大きいときには、トナーの載り量を減らす補正を加える。制御部100では、クリーニングモードの実行時に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでの印字率の平均値を求め、その印字率の平均値に応じたトナー載り量の補正値を求める。本実施例1では、表5に示される印字率平均値−トナー載り量補正テーブルを用いて印字率の平均値に応じたトナー載り量の補正値を求めている。トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の増減を判断するための印字率の平均値基準は4%以上8%未満である。そしてそのトナー載り量の補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量を補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでの印字率の平均値に応じてトナー載り量を加減(変更)する。
本実施例1の画像形成装置は、上記の各種補正により単位面積当りのトナー量の増減を行うが、トナー載り量の下限値は50%とし、上限値は180%とする。下限値は定着ローラ22表面のクリーニング実行時に最低限のクリーニング能力を発揮するために設定し、上限値はトナー画像パターン作成時のブリスターなどの定着不良が起こらないように設定している。
[評価1]
本実施例1の画像形成装置を用いて、本実施例1でのクリーニングシートにおけるトナー載り量の補正を行ったものと、行わなかったものとの比較を行う。本評価1では、クリーニングの実行頻度によるトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例1における表1による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量、クリーニング頻度=500枚毎。
(2)本実施例1における表1による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量、クリーニング頻度=1000枚毎。
(3)本実施例1における表1による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量、クリーニング頻度=2000枚毎。
(4)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量、クリーニング頻度=500枚毎。
(5)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量、クリーニング頻度=1000枚毎。
(6)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量、クリーニング頻度=2000枚毎。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表6に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製 坪量70g/m2)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。環境は温度23℃湿度50%である。通紙耐久では印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表6に示すように、クリーニング頻度に応じてトナー載り量の補正を行った本実施例1に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れは発生しなかった。一方、従来通りのトナー載り量が100%固定のクリーニングでは、(4)や(5)などクリーニング頻度が高いときには記録材の汚れが発生しなかったが、クリーニング頻度が低い(6)では、7万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(4)では記録材の汚れは発生しなかったが、(1)のトナー載り量でも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費していると言える。
[評価2]
本評価2では、クリーニングの紙種によるトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例1における表2による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。クリーニングに用いる記録材PをOnHig HuiDong紙(OnHig社製 坪量70g/m2)にした。
(2)本実施例1における表2による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。クリーニングに用いる記録材PをBOISE,CASCADE,X−9(BOISE CASCADE CORPORATION社製 坪量60g/m2)にした。
(3)本実施例1における表2による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。クリーニングに用いる記録材PをHP Color Laser Photo Paper,glossy(Hewlett Packard社製 坪量220g/m2)にした。
(4)本実施例1における表2による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。クリーニングに用いる記録材PをFox River Bond紙(Fox River Paper社製;坪量75g/m2)にした。
(5)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。クリーニングに用いる記録材PをOnHig HuiDong紙(OnHig社製 坪量70g/m2)にした。
(6)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。クリーニングに用いる記録材PをBOISE,CASCADE,X−9(BOISE CASCADE CORPORATION社製 坪量60g/m2)にした。
(7)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。クリーニングに用いる記録材PをHP Color Laser Photo Paper,glossy(Hewlett Packard社製 坪量220g/m2)にした。
(8)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。クリーニングに用いる記録材PをFox River Bond紙(Fox River Paper社製;坪量75g/m2)にした。
以上8種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表7に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。環境は温度23℃湿度50%である。通紙耐久時では、印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表7に示すように、クリーニングシートの紙種に応じてトナー載り量の補正を行った本実施例1に係る(1)〜(4)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方従来通りのトナー載り量が100%固定のクリーニングでは、(6)などの薄紙をクリーニングシートに用いたものでは巻きつきが発生することがあった。また、(8)のラフ紙では、クリーニングシートの表面性が悪いため、クリーニング能力が十分でなく、6万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(7)では記録材の汚れは発生しなかったが、(3)のトナー載り量でも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
[評価3]
本評価3では、画像形成装置の置かれた環境によるトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例1における表3による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。温度15℃湿度50%で試験を実施。
(2)本実施例1における表3による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。温度23℃湿度50%で試験を実施。
(3)本実施例1における表3による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。温度30℃湿度80%で試験を実施。
(4)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。温度15℃湿度50%で試験を実施。
(5)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。温度23℃湿度50%で試験を実施。
(6)従来通り、トナーパターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。温度30℃湿度80%で試験を実施。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表8に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。通紙耐久時では、印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表8に示すように、環境に応じてトナー載り量の補正を行った本実施例1に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方、従来通りのトナー量が100%固定のクリーニングでは、(4)の低温環境下では、紙粉などが定着ローラ22表面に付着しやすいため、クリーニング能力が十分でなく、5万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(6)では記録材の汚れは発生しなかったが、(3)のトナー載り量でも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
[評価4]
本評価4では、通紙耐久開始時の定着装置の通紙枚数によるトナー画像パターンの単位面積当りのトナー載り量の補正を行ったとき効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例1における表4による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。新品の定着装置を使用。
(2)本実施例1における表4による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を50k通紙した定着装置を使用。
(3)本実施例1における表4による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を100k通紙した定着装置を使用。
(4)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。新品の定着装置を使用。
(5)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を50k通紙した定着装置を使用。
(6)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を100k通紙した定着装置を使用。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表9に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。通紙耐久時では、印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表9に示すように、通紙耐久開始時の定着装置の通紙枚数に応じてトナー載り量の補正を行った本実施例1に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方、従来通りのトナー載り量が100%固定のクリーニングでは、(6)の耐久の進んだ定着装置では、定着ローラ22の表面状態が悪化することで紙粉などが定着ローラ22表面に付着しやすい。そのため、クリーニング能力が十分でなく、8万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(4)では記録材の汚れは発生しなかったが、(1)のトナー載り量でも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
[評価5]
本評価5では、通紙耐久開始時の印字率の平均値によるトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例1における表5による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。印字率1%の画像で耐久。
(2)本実施例1における表5による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。印字率4%の画像で耐久。
(3)本実施例1における表5による補正のみ行い、トナー画像パターンのデフォルトのトナー載り量=ブラックトナー100%のトナー載り量+補正量。印字率20%の画像で耐久。
(4)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。印字率1%の画像で耐久。
(5)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。印字率4%の画像で耐久。
(6)従来通り、トナー画像パターン=ブラックトナー100%固定のトナー載り量。印字率20%の画像で耐久。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表10に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。
表10に示すように、通紙耐久時の印字率の平均値に応じてトナー載り量の補正を行った本実施例1に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方、従来通りのトナー載り量が100%固定のクリーニングでは、(4)の低印字率の耐久においては、耐久中の記録材上のトナーによって定着ローラ22表面の汚れが取り去られないため、5万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(6)では記録材の汚れは発生しなかったが、(3)のトナー載り量でも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
本実施例1の画像形成装置は、画像形成部で画像形成を行うときに記録材上に載せるトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー量を変更するので、クリーニング能力及び使用するトナー量を最適化することができる。本実施例1では、定着装置20について表1から表6までの6つの使用状況に応じてトナー画像パターンのトナー載り量を増減(変更)したときの効果を説明したが、2つ以上の使用状況の組み合わせに応じてトナー載り量を増減させても同様の効果が得られる。
[実施例2]
画像形成装置の他の例を説明する。本実施例2に示す画像形成装置は、クリーニングモードの実行時に、定着装置の使用状況に応じて、画像形成部で記録材に形成されるトナー画像パターンのパターン長さを変更するように構成した点を除き、実施例1の画像形成装置と同じ構成としてある。本実施例2では、実施例1の画像形成装置と同じ部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。後述の実施例3についても同様とする。本実施例2の画像形成装置は、定着装置の使用状況に応じて、トナー画像パターンの記録材搬送方向のパターン長さを変更するようになっている。即ち、定着ローラ22表面のトナー汚れが厳しい時には、トナー画像パターンのパターン長さLを長く設定する。
本実施例2の画像形成装置におけるトナー画像パターンのパターン長さLの決定方法としては、トナー画像パターンの記録材搬送方向の長さの初期値160mmを100%としている。そしてそこに定着装置20の使用状況に応じて、パターン長さ補正値を増減させ、最終的なパターン長さLを決定する。例えば補正によってトナー画像パターンのパターン長さが125%になるとすると、実際のパターン長さLは200mmとなる。この実際のパターン長さLは加圧ローラ23の周長の整数倍ではないので、加圧ローラ23の表面には2回クリーニングされる部分と3回クリーニングされる部分が発生する。しかし、クリーニングモード実行時の加圧ローラ23の位相はクリーニングモード毎でまちまちなので、クリーニングモードの回数を重ねることによって平均化されるため問題はない。
先ず、定着装置の使用状況をクリーニングモードの実行頻度とする場合のトナー画像パターンのパターン長さの補正について説明する。表11に、クリーニングモードの実行頻度(設定頻度)によるトナー画像パターンCのパターン長さLの補正値を示す。
定着装置の使用状況をクリーニングモードの実行頻度とする場合には、クリーニングが前回行われてから、次にクリーニングが実施されるまでの定着装置への記録材の通紙枚数(導入枚数)をカウントしておき、その通紙枚数に応じてパターン長さを加減する。これはクリーニング頻度が少ないほど定着ローラ22表面にトナーが付着しやすいため、トナー画像パターンのパターン長さを増やす補正を加える。また逆にクリーニング頻度が多いときには、トナー画像パターンのパターン長さを減らす補正を加える。これにより無駄なトナー消費を抑制することができる。制御部100では、記録材センサS2からの出力信号を取り込み、その出力信号をカウントし積算して記憶する。そしてクリーニングモードの実行時(設定時)に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでに定着装置20に通紙された記録材の枚数を求め、その記録材の枚数に応じたパターン長さの補正値を求める。本実施例2では、表11に示される通紙枚数−トナー載り量補正テーブルを用いて上記の記録材の枚数に応じたトナー載り量の補正値を求めている。トナー画像パターンの単位面積あたりのトナー載り量の増減を判断するための通紙枚数基準は801枚〜1200枚である。そしてそのトナー載り量の補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンのパターン長さを補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでに定着装置20に通紙された記録材の通紙枚数に応じてトナー画像パターンのパターン長さを加減(変更)する。
次に、定着装置の使用状況をクリーニングシートCPを形成するための記録材の種類とする場合のトナー画像パターンのパターン長さの補正について説明する。表12に、クリーニングシートCPを形成するための記録材の種類によるトナー画像パターンCのパターン長さLの補正値を示す。
定着装置の使用状況をクリーニングシートCPを形成するための記録材の種類とする場合には、記録材の種類に応じてパターン長さを加減する。薄紙に関しては、加圧ローラ23のクリーニングの際にパターン長さが長すぎると、クリーニングシートCPが加圧ローラ23表面に巻きつくリスクが高まってしまうため、パターン長さを減らす補正を加える。グロス紙に関しては、元々記録材の表面が平滑な樹脂であることから、パターン長さを普通紙(図12のその他に該当)ほど長くしなくても一定のクリーニング効果が得られる。そのため、パターン長さを減らす補正を加える。ラフ紙に関しては、記録材表面に凹凸があるので、定着ローラ22表面へ密着し難くなって、クリーニングシートCPのクリーニング能力が低下してしまう。そのため、パターン長さを増やす補正を加えることで、記録材の表面の凹凸を隠蔽する。これによってクリーニングシートCPが定着ローラ22表面に密着し、クリーニング能力を維持することができる。制御部100では、クリーニングモードの実行時に、プリント信号とともに受信する記録材指定信号に基づいてクリーニングシートCPを形成するための記録材が薄紙、グロス紙、ラフ紙、その他の何れかに該当するかを判断する。そしてその記録材の種類に応じたパターン長さの補正値を表12に示される紙種−トナー載り量補正テーブルを用いて求める。トナー画像パターンのパターン長さを判断するための紙種基準は薄紙、グロス紙及びラフ紙以外のその他である。そしてそのパターン長さの補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンのパターン長さを補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、クリーニングシートCPを形成するための記録材の種類に応じてパターン長さを加減(変更)する。
次に、定着装置の使用状況を画像形成装置が置かれた環境の温湿度とする場合のトナー画像パターンCのパターン長さの補正について説明する。表13に、画像形成装置が置かれた環境の温湿度(絶対水分量)によるトナー画像パターンCのパターン長さLの補正値を示す。
定着装置の使用状況を画像形成装置が置かれた環境の絶対水分量とする場合には、その絶対水分量に応じてパターン長さを加減する。絶対水分量が少ない低湿環境下においては、記録材や、その記録材に付着している紙粉や、定着ローラ22表面などが帯電しやすいため、静電的な力で定着ローラ22表面へトナーが付着しやすくなる。そのため、絶対水分量が少ない環境下ではパターン長さを増やす補正を加える。逆に、絶対水分量が多い高湿環境下においては、定着ローラ22表面にトナーが比較的付着しにくいため、パターン長さを減らす補正を加える。制御部100では、クリーニングモードの実行時に、温湿度センサS3からの出力信号に基づいて絶対水分量を求め、その絶対水分量に応じたトナー載り量の補正値を求める。本実施例1では、表13に示される絶対水分量−トナー載り量補正テーブルを用いて絶対水分量に応じたパターン長さを求めている。トナー画像パターンのパターン長さを判断するための絶対水分量は6g/m3以上10g/m3未満である。そしてそのパターン長さの補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンのパターン長さを補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、画像形成装置が置かれた環境の絶対水分量に応じてパターン長さを加減(変更)する。
次に、定着装置の使用状況を積算通紙枚数即ち定着装置でトナー画像を加熱定着した記録材の積算枚数とする場合のトナー画像パターンのパターン長さの補正について説明する。表14に、定着装置の積算通紙枚数によるトナー画像パターンのパターン長さLの補正値を示す。
定着装置20は、新品から一定の期間は定着ローラ22の表面状態も平滑で良好であり、定着ローラ22表面にトナーも付着し難いため、パターン長さを減らす補正を加える。また、耐久が進んでくると、定着ローラ22の表面状態が凹凸化してくることで、定着ローラ22表面にトナーが付着しやすくなるため、パターン長さを増やす補正を加える。定着装置の使用状況を積算通紙枚数とする場合には、その積算通紙枚数に応じてトナー載り量を加減する。制御部100では、記録材センサS2からの出力信号を取り込み、その出力信号をカウントし積算して記憶する。そしてクリーニングモードの実行時に、定着装置20で初めて記録材にトナー画像の加熱定着を行わせたときから今回クリーニングモードを実行するまでに定着装置でトナー画像を加熱定着した記録材の積算通紙枚数に応じたパターン長さの補正値を求める。本実施例1では、表14に示される積算通紙枚数−トナー載り量補正テーブルを用いて記録材の積算通紙枚数に応じたパターン長さの補正値を求めている。トナー画像パターンのパターン長さの増減を判断するための積算通紙枚数基準は30k枚〜60k枚である。そしてそのパターン長さの補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンの単位面積あたりのパターン長さを補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでに定着装置20でトナー画像を加熱定着した記録材の積算通紙枚数に応じてパターン長さを加減(変更)する。
次に、定着装置の使用状況を記録材の印字可能面積に対してトナーを印字した割合を印字率としたときのトナー画像パターンのパターン長さの補正について説明する。表15に、定着ローラが前回クリーニングされてから今回クリーニングされるまでの耐久時の印字率の平均値による、トナー画像パターンのパターン長さLの補正値を示す。
定着ローラ22表面のトナー汚れは印字率によって大きく変化し、印字率が高いほど定着ローラ22表面にトナーが付着し難いので、印字率の平均値が少ないときにはパターン長さを増やす補正を加える。逆に印字率の平均値が大きいときには、パターン長さを減らす補正を加える。制御部100では、クリーニングモードの実行時に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでの印字率の平均値を求め、その印字率の平均値に応じたトナー載り量の補正値を求める。本実施例2では、表15に示される印字率平均値−トナー載り量補正テーブルを用いて印字率の平均値に応じたトナー載り量の補正値を求めている。トナー画像パターンのパターン長さの増減を判断するための印字率の平均値基準は4%以上8%未満である。そしてそのトナー載り量の補正値に基づいて画像形成部で画像形成を行うときのトナー画像パターンのパターン長さを補正する。つまり、制御部100は、クリーニングモードの実行時に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードを実行するまでの印字率の平均値に応じてパターン長さを加減(変更)する。
本実施例2の画像形成装置は、上記の各種補正によりトナー画像パターンCのパターン長さLの増減を行うが、パターン長さの下限値は加圧ローラ一周分以上である80mmとし、上限値はクリーニングシートの長さ−10mmとする。
[評価6]
本実施例2の画像形成装置を用いて、本実施例2でのクリーニングシートにおけるトナー画像パターンCのパターン長さLの補正を行ったものと、行わなかったものの比較を行う。本評価6では、クリーニングの実行頻度によるトナー画像パターンCのパターン長さLの補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例2における表11による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量、クリーニング頻度=500枚毎。
(2)本実施例2における表11による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量、クリーニング頻度=1000枚毎。
(3)本実施例2における表11による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量、クリーニング頻度=2000枚毎。
(4)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%、クリーニング頻度=500枚毎。
(5)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%、クリーニング頻度=1000枚毎。
(6)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%、クリーニング頻度=2000枚毎。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表16に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。環境は温度23℃湿度50%である。通紙耐久では印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表16に示すように、クリーニング頻度に応じてパターン長さLの補正を行った本実施例2に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れは発生しなかった。一方、従来通りのパターン長さLが100%固定のクリーニングでは、(4)や(5)などクリーニング頻度が高いときには記録材の汚れが発生しなかったが、クリーニング頻度が低い(6)では、7万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(4)では記録材の汚れは発生しなかったが、(1)のパターン長さでも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費していると言える。
[評価7]
本評価7では、クリーニングの紙種によるトナー画像パターンCのパターン長さLの補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例2における表12による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。クリーニングに用いる記録材PをOnHig HuiDong紙(OnHig社製 坪量70g/m2)にした。
(2)本実施例2における表12による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。クリーニングに用いる記録材PをBOISE,CASCADE,X−9(BOISE CASCADE CORPORATION社製 坪量60g/m2)にした。
(3)本実施例2における表12による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。クリーニングに用いる記録材PをHP Color Laser Photo Paper,glossy(Hewlett Packard社製 坪量220g/m2)にした。
(4)本実施例2における表12による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。クリーニングに用いる記録材PをFox River Bond紙(Fox River Paper社製;坪量75g/m2)にした。
(5)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。クリーニングに用いる記録材PをOnHig HuiDong紙(OnHig社製 坪量70g/m2)にした。
(6)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。クリーニングに用いる記録材PをBOISE,CASCADE,X−9(BOISE CASCADE CORPORATION社製 坪量60g/m2)にした。
(7)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。クリーニングに用いる記録材PをHP Color Laser Photo Paper,glossy(Hewlett Packard社製 坪量220g/m2)にした。
(8)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。クリーニングに用いる記録材PをFox River Bond紙(Fox River Paper社製;坪量75g/m2)にした。
以上8種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表17に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。環境は温度23℃湿度50%である。通紙耐久時では、印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表17に示すように、クリーニングシートの紙種に応じてパターン長さLの補正を行った本実施例2に係る(1)〜(4)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方従来通りのパターン長さLが100%固定のクリーニングでは、(6)などの薄紙をクリーニングシートに用いたものでは巻きつきが発生することがあった。また、(8)のラフ紙では、クリーニングシートの表面性が悪いため、クリーニング能力が十分でなく、6万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(7)では記録材の汚れは発生しなかったが、(3)のパターン長さでも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
[評価8]
本評価8では、画像形成装置の置かれた環境によるトナー画像パターンのパターン長さLの補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例2における表13による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。温度15℃湿度50%で試験を実施。
(2)本実施例2における表13による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。温度23℃湿度50%で試験を実施。
(3)本実施例2における表13による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。温度30℃湿度80%で試験を実施。
(4)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。温度15℃湿度50%で試験を実施。
(5)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。温度23℃湿度50%で試験を実施。
(6)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。温度30℃湿度80%で試験を実施。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表18に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。通紙耐久時では、印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表18に示すように、環境に応じてパターン長さLの補正を行った本実施例2に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方、従来通りのパターン長さLが100%固定のクリーニングでは、(4)の低温環境下では、紙粉などが定着ローラ22表面に付着しやすいため、クリーニング能力が十分でなく、5万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(6)では記録材の汚れは発生しなかったが、(3)のパターン長さLでも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
[評価9]
本評価9では、通紙耐久開始時の定着装置の通紙枚数によるトナー画像パターンのパターン長さLの補正を行ったときの効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例2における表14による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。新品の定着装置を使用。
(2)本実施例2における表14による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を50k通紙した定着装置を使用。
(3)本実施例2における表14による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を100k通紙した定着装置を使用。
(4)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。新品の定着装置を使用。
(5)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を50k通紙した定着装置を使用。
(6)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。Xx4200 75g/m2(Xerox社製)を100k通紙した定着装置を使用。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表19に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。通紙耐久時では、印字率は各色4%の耐久パターンを使用している。
表19に示すように、通紙耐久開始時の定着装置の通紙枚数に応じてパターン長さLの補正を行った本実施例2に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方、従来通りのパターン長さLが100%固定のクリーニングでは、(6)の耐久の進んだ定着装置では、定着ローラ22の表面状態が悪化することで紙粉などが定着ローラ22表面に付着しやすい。そのため、クリーニング能力が十分でなく、8万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(4)では記録材の汚れは発生しなかったが、(1)のパターン長さLでも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
[評価10]
本評価10では、通紙耐久開始時の印字率の平均値によるトナー画像パターンの長さLの補正効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例2における表15による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。印字率1%の画像で耐久。
(2)本実施例2における表15による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。印字率4%の画像で耐久。
(3)本実施例2における表15による補正のみ行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。印字率20%の画像で耐久。
(4)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。印字率1%の画像で耐久。
(5)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。印字率4%の画像で耐久。
(6)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。印字率20%の画像で耐久。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記の表20に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚固定とした。
表20に示すように、通紙耐久時の印字率の平均値に応じてパターン長さLの補正を行った本実施例2に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方、従来通りのパターン長さLが100%固定のクリーニングでは、(4)の低印字率の耐久においては、耐久中の記録材上のトナーによって定着部材の汚れが取り去られないため、5万枚から記録材の汚れを発生してしまった。また(6)では記録材の汚れは発生しなかったが、(3)のパターン長さLでも記録材の汚れは発生せず、十分にクリーニングできていることを考えると、トナーを無駄に消費しているといえる。
本実施例2の画像形成装置は、画像形成部で画像形成を行うときにトナー画像パターンのパターン長さを変更するので、クリーニング能力及び使用するトナー量を最適化することができる。本実施例2では、定着装置20について表11から表16までの6つの使用状況に応じてトナー画像パターンのパターン長さを増減(変更)したときの効果を説明したが、2つ以上の使用状況の組み合わせに応じてトナー載り量を増減させても同様の効果が得られる。また本実施例2の画像形成装置では、トナー画像パターンCのパターン長さLを増減したが、トナー画像パターンを他の任意のパターンに変化させるようにしても良い。
[実施例3]
画像形成装置の他の例を説明する。図4は本実施例3の画像形成装置を用いてクリーニング用のトナー画像パターンを形成したクリーニングシートの一例を表した図である。本実施例3に示す画像形成装置は、以下のように構成した点を除き、実施例1の画像形成装置と同じ構成としてある。即ち、クリーニングモードの実行時に、加圧ローラ23の長手方向を記録材搬送方向に沿って複数に区切って形成される各領域における、記録材搬送方向の記録材の印字可能面積に対するトナー画像の印字の割合(印字率)を求める。そしてその割合に応じて、加圧ローラの領域と対応する記録材の記録材搬送方向の領域毎に、画像形成部で画像形成を行うときにトナー画像パターンのパターン長さを変更する。
表21に、定着ローラが前回クリーニングされたから今回クリーニングされるまでの耐久時の印字率によるパターン長さLの補正値を示す。尚、トナー画像パターンCの記録材搬送方向のデフォルトの長さLは、本実施例1及び実施例2と同様、160mmである。
定着ローラ22表面のトナー汚れは印字率によって大きく変化し、印字率が高いほど定着ローラ22表面にトナーが付着し難いので、印字率の平均値が少ないときにはパターン長さを増やす補正を加える。逆に印字率の平均値が大きいときには、パターン長さを減らす補正を加える。制御部100では、クリーニングモードの実行時に、加圧ローラの長手方向を記録材搬送方向に沿って1cmずつに区切って形成される各領域毎に、前回クリーニングモードが実行されてから今回クリーニングモードが実行されるまでの印字率の積算平均を求める。ここで印字率とは、記録材搬送方向の記録材の印字可能面積に対するトナー画像の印字の割合をいう。そしてその印字率の積算平均に応じて、加圧ローラの上記領域と対応する記録材の記録材搬送方向の領域毎に、画像形成部で記録材に形成されるトナー画像パターンのパターン長さLを補正する。トナー画像パターンのパターン長さの増減を判断するための印字率の平均値基準は4%以上8%未満である。加圧ローラ23の長手方向の長さは230mmであるので、23の領域ごとに印字率の積算平均に応じてパターン長さLが補正される。
[評価11]
本評価11では、通紙耐久開始時の印字率の平均値によるトナー画像パターンの長さLの補正効果を示す。通紙パターンは以下の通りである。
(1)本実施例3における表21による補正を行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。記録材の右側の印字率1%、左側は印字率1%の画像で耐久。
(2)本実施例3における表21による補正を行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。記録材の右側の印字率4%、左側は印字率1%の画像で耐久。
(3)本実施例3における表21による補正を行い、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%+補正量。記録材の右側の印字率20%、左側は印字率1%の画像で耐久。
(4)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。記録材の右側の印字率1%、左側は印字率1%の画像で耐久。
(5)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。記録材の右側の印字率4%、左側は印字率1%の画像で耐久。
(6)従来通り、トナー画像パターンのパターン長さL=デフォルトの長さ100%。記録材の右側の印字率20%、左側は印字率1%の画像で耐久。
以上6種類のクリーニングモードをそれぞれに行いながら、通紙耐久した結果を下記表に示す。なお通紙に用いた記録材Pは、OnHig HuiDong紙(OnHig社製)であり、通紙モードは1枚プリント/1秒停機とした。クリーニング頻度は1000枚に1枚とした。
表22に示すように、通紙耐久時の印字率の平均値に応じてパターン長さLの補正を行った本実施例に係る(1)〜(3)のクリーニングを行った場合には、10万枚通紙しても、左右とも記録材の汚れと巻きつきジャムは発生しなかった。一方、従来通りのパターン長さが100%固定のクリーニングでは、(4)の低印字率の耐久においては、耐久中の記録材上のトナーによって定着部材の汚れが取り去られないため、5万枚から全面で記録材の汚れを発生してしまった。また(5)及び(6)の右側では記録材の汚れは発生しなかったが、左側においては汚れが発生してしまった。
本実施例3の画像形成装置は、加圧ローラの長手方向の領域と対応する記録材搬送方向の記録材の領域毎に、画像形成部で画像形成を行うときにトナー画像パターンのパターン長さを補正するので、クリーニング能力及び使用するトナー量を最適化できる。