JP5456227B2 - 中空糸膜モジュールの製造方法とその中空糸膜モジュール - Google Patents

中空糸膜モジュールの製造方法とその中空糸膜モジュール Download PDF

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本発明は、半導体工業、食品工業、医薬品工業、医療品工業などの分野で用いられる中空糸膜モジュール製造方法とその中空糸膜モジュールに関する。
半導体分野における微細化技術の進歩に伴い、超純水、フォトレジスト、薬液等の清浄度に対する要求が高まり、それに伴って、フィルタに対する要求性能も一段と厳しくなっている。フォトレジストを例にとると、半導体リソグラフィ技術の進歩により、パターン寸法はこの10年で350nmから90nmまで微細化され、この間、フォトレジストはg線用、i線用、KrF用、ArF用と変遷している。
フィルタとしては、対称構造を採るポリプロピレン中空糸膜や、非対称構造を採るポリエチレン中空糸膜などが各種分野で使用されているが、最新のArFレジストを対象とした場合、対称膜では膜断面全体にわたって平均孔径が大きいために、微粒子捕捉性能の面で要求性能を満足できなくなっている。微粒子捕捉性能を確保するため、絶対孔径を小さくしようとすれば、膜断面全体の孔径が小さくなるため、透過速度が著しく低下して実用的でない。
また、非対称構造のポリエチレン中空糸膜は、膜束端部を液密にポッティングするために、中空糸膜と同一素材か、或いは中空糸膜素材の融点と近傍の融点を有する素材、具体的には耐有機溶剤性の高いポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を採用するのが望ましい。しかし、この場合には中空糸膜と封止剤との融点差が小さいため、加工が極めて難しい。例えば、高密度ポリエチレン(融点135℃)中空糸膜を、低密度ポリエチレン(融点115℃)でポッティングする場合、融点差が20℃と小さく、封止剤を均一に溶融するために125〜130℃で加熱すれば、中空糸膜が熱によって変質してしまう。
従来技術として、例えば、特公平7−34850号公報(以下、特許文献1という)が提案されている。同公報には、熱可塑性樹脂からなる空隙率30%〜95%の中空糸状濾過膜の端部の外周部の少なくとも一部が、中空糸状濾過膜と同一素材か、中空糸状濾過膜素材の融点の0.5〜1.5倍の融点を有し、且つ中空糸状濾過膜と相溶性のある熱可塑性樹脂を介して、多数本液密的に溶融接着された濾過用素子が開示されている。
特公平7−34850号公報
しかしながら、上記特許文献1では、中空糸膜の融点以上の温度で中空糸膜と封止剤を溶融接着してポッティングするため、中空糸膜端部の封止部では中空糸膜が完全に溶融してしまい、中空糸膜が熱劣化又は非多孔質化して柔軟性を失ってしまい、中空糸膜モジュールの完全性不足や、使用時にかかる物理的応力によって、中空糸膜付け根部分に損傷が生じる恐れがある。
図20は、従来の非対称構造を採る中空糸膜モジュールを示した断面概略図であり、高密度ポリエチレンから成る中空糸膜20を低密度ポリエチレンでポッティングした中空糸膜モジュールであるが、分離機能を担う微多孔質層21が破損した場合、支持機能を担う多孔質層22のみでは濾過対象物Xを捕捉することは到底できず、同図に示されるように、中空糸膜付け根部分の微小リーク部23から濾過対象物Xがリークしてしまう。
本発明は、上記の課題点に鑑み、鋭意研究の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、高度な微粒子捕捉性能と透過流束を実現し、優れた膜モジュールの完全性を実現した中空糸膜モジュールとその製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、ポリエチレンとポリエチレンとの親和性の高い流動パラフィンとを高温で混練して均一溶液にし、この溶液をポリエチレンの融点以上の成形温度で中空糸状に押し出すことで中空糸膜を成形し、この中空糸膜を30℃〜75℃の冷却水に浸漬して相分離させ、この相分離により、外表面部に孔径の小さい緻密層を形成した後、流動パラフィンを抽出除去し、さらに延伸処理して外側が緻密層で、内側が支持層である非対称構造の中空糸膜を形成すると共に、この延伸処理工程における熱固定により中空糸膜の熱収縮率を12〜31%に設定してイニシャルバブルポイント0.4MPa以上の性能を有する中空糸膜を製造し、次いで、この中空糸膜を複数結束して、この中空糸膜の結束端部における中空糸膜相互の隙間を中空糸膜と同一素材によってポッティングする際に、前記中空糸膜の結束端部を封止剤溶融金型温度135〜140℃、加熱溶融時間45〜60minでポッティングするようにしたことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法である。
請求項に係る発明は、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法において、少なくともポリエチレンと、ポリエチレンとの親和性の高い流動パラフィンと、核剤とを高温で混練するに際し、ポリエチレン100重量部に対して流動パラフィン50〜100重量部含有させることで、膜組織を微細化させた中空糸膜モジュールの製造方法である。
請求項に3に係る発明は、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法において、少なくともポリエチレンと、ポリエチレンとの親和性の高い流動パラフィンと、核剤とを均一に混練して溶液にし、この溶液をポリエチレンの融点以上で該融点+25℃以下の成形温度で中空糸状に押し出すことで、膜組織を微細化させた中空糸膜モジュールの製造方法である。
請求項に係る発明は、請求項1に記載した製造方法により製造した中空糸膜モジュールである。
本発明によると、膜組織が高度に微細化された緻密層で濾過対象物を完全捕捉し、流路抵抗の少ない支持層で圧力損失なく流体を流すことが可能であり、しかも、分離機能を担う緻密層がポッティング時の熱によって、変質・破損した場合にあっても、分離機能を発揮しうる程に膜組織が微細化された支持層で微小リークは抑制され、高度な微粒子捕捉性能と透過流束を実現し、完全性の良好な中空糸膜モジュールとして、各種分野への提供が可能である。
しかも、外面或いは内面のどちらか一方の膜組織を高度に微細化して、濾過対象物を完全捕捉しうる緻密層を形成すると共に、該緻密層を有する面と異なる面(或いは内部)の膜組織を適度に微細化して、緻密層を支持する支持機能と分離機能の両方を担う支持層を形成することが可能となり、高度な微粒子捕捉性能と透過流束を備えた完全性の良好な中空糸膜モジュールの製造方法として、各種分野への提供が可能である。
また、ポッティング時の熱によって発生した中空糸膜付け根部分の微小リーク部(膜変質部)を収縮により埋めるという自己修復機能を中空糸膜に具備させると共に、ポッティング時の中空糸膜と封止剤との収縮差を緩和させて、中空糸膜と封止剤との剥離現象を防ぐことにより、バブルポイントの低下を抑制するという効果を奏する。
リエチレンと流動パラフィンとを高温で混練するに際し、ポリエチレンを流動パラフィンより多く含有させることで、流動パラフィンを抽出除去することで形成される空隙を小さくすることが可能となり、優れた膜組織の微細化が実現される。
リエチレンの融点以上で該融点+25℃以下の成形温度で押出成形することで、溶融せずに残った結晶及び不純物を結晶核として、この核を多数発生させることで結晶成長を抑制することが可能となり、優れた膜組織の微細化が実現される。
空糸膜が溶融しない程度の高温にて短時間にポッティングすることで、中空糸膜に加わる熱履歴を減少させ、中空糸膜付け根部分における微小リーク部(膜変質部)の発生を抑制し、ポッティング時の膜破損を確実に防止することにより、バブルポイントの低下を抑制するという効果を奏する。
以下に、本発明における中空糸膜モジュールの実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る中空糸膜モジュールの一部切欠き断面概略図である。同図に示されるように、中空糸膜1はポリエチレン樹脂から成り、膜断面において最も平均孔径の小さい緻密層2を最外層に有し、該緻密層2よりも平均孔径が大きい支持層3を最内層に有している。前記緻密層2は高度な分離機能を担い、この緻密層2は分離機能を備えた支持層3に支持され、当該中空糸膜1を複数結束して、この結束端部における中空糸膜相互の隙間に、中空糸膜と同一素材か、或いは中空糸膜素材の融点と近傍の融点を有する熱可塑性樹脂(本例ではポリエチレン樹脂)でポッティング部4を設けて成る中空糸膜モジュールである。
平均孔径を小さくすることにより、膜組織が高度に微細化された緻密層2で濾過対象物を完全捕捉し、また、流路抵抗の少ない支持層3で圧力損失なく流体を流すことができる。しかも、ポッティング時の熱によって、分離機能を担う緻密層2が変質・破損した場合にあっても、分離機能を発揮しうる程に膜組織が微細化された支持層3によって、バブルポイントの低下は抑制され、高度な微粒子捕捉性能と透過流束が実現されている。また、支持層を中間層に形成し、最外層に緻密層を、最内層に支持層より平均孔径が大きい層を形成した中空糸膜から構成してもよい。
次に、本発明における中空糸膜モジュールの製造方法について説明する。図2は、本発明に係る中空糸膜モジュールの製造方法を示した工程説明図である。
「混練工程」
先ず、混練工程5において、ポリエチレンと該ポリエチレンとの親和性の高い流動パラフィンと核剤とを、ポリエチレンの融点以上の温度で均一に混練してポリマー溶液を作製する。このとき、ポリエチレンと流動パラフィンを混練するに際し、ポリエチレン100重量部に対して、流動パラフィン50〜100重量部含有させる。流動パラフィンは、相分離過程において、固化したポリエチレン結晶粒子の周りや粒子間に存在し、この流動パラフィンを抽出除去することで空隙が形成されるのであるが、流動パラフィンよりポリエチレンを多く含ませることで空隙が小さく形成される結果、優れた膜組織の微細化が実現される。なお、流動パラフィンは、ポリエチレンの融点以上で相溶し、且つ、実質的に揮発しない有機液体である。
ポリエチレン100重量部に対して、流動パラフィンを100重量部以下とすることで、次工程である押出成形工程6の成形温度がポリエチレンの融点+25℃を上回る高温(例えば、約190℃)であっても、イニシャルバブルポイント0.5MPaを上回る中空糸膜を得ることができる(後述する実施例1〜4,7、比較例2,6,7参照)。しかし、ポリエチレン100重量部に対して、流動パラフィンを50重量部未満とした場合には、溶融粘度が高くなり過ぎて、ポリエチレンと流動パラフィンとの均一な混練が困難となる。また、均一に混練ができたとしても、孔形成材として働く流動パラフィンが極めて少ない状態であるため、得られる中空糸膜は微細孔の形成が不安定なものとなる。
一方、ポリエチレン100重量部に対して、流動パラフィンを100重量部より多く含有させた場合には、膜組織の微細化が不十分となり、後工程である延伸工程9における熱固定条件を後述のように調整しても、イニシャルバブルポイント0.5MPaを上回る中空糸膜を得ることは困難である(実施例6参照)。なお、ポリエチレン100重量部に対して、流動パラフィンを100〜117重量部含有させた場合には、次工程である押出成形工程6の温度を後述のように低く調整することで、膜組織の微細化が可能となり、イニシャルバブルポイント0.5MPaを上回る中空糸膜を得ることができる(実施例5,8、比較例3参照)。
また、核剤とは、結晶化過程において、核の増加というメカニズムによってポリマーの物理的性質や、光学的性質を改質する添加剤であり、ポリエチレン100重量部に対して0.05〜1重量部添加、好ましくは、0.1〜0.5重量部添加する。添加割合が0.05重量部未満では核増加効果が十分発揮されず、添加割合が1重量部を超えると、それ以上の期待する核増加効果が得られず不経済となり、更にポリエチレンと核剤とをドライブレンドする際に均一な混合物を得ることが困難になる。なお、ポリエチレンには、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
「押出成形工程」
押出成形工程6において、ポリエチレンと流動パラフィン等を混練した溶液を二重管構造である環状ノズルより中空糸状に押出成形する。このとき、中空部に中空糸形成気体(例えば、空気)を注入しながら中空糸状に押し出すと共に、中空糸外側を水浴で冷却することで、中空糸内外で冷却速度差が生じて、外表面緻密型の非対称構造が形成される。
溶液を押し出す際の成形温度は、前記溶液をポリエチレンの融点以上で該融点+25℃以下としており、実施例においては、融点約135℃のポリエチレンを用いていることから、成形温度の上限を160℃としている。この低く抑えられた成形温度により、溶融せずに残った結晶及び不純物が結晶核となり、結晶化過程において、核の増加というメカニズムによって結晶成長を抑制し、優れた膜組織の微細化が実現される。
ポリエチレンの融点+25℃を上回る成形温度、例えば、約190℃であっても、前工程である混練工程5において、ポリエチレン100重量部に対して、流動パラフィンを100重量部以下とすることで、イニシャルバブルポイント0.5MPaを上回る中空糸膜を得ることができる(後述する実施例1〜4,7、比較例2,6,7参照)。また、ポリエチレン100重量部に対して、流動パラフィンを100重量部より多く含有させた場合でも、後工程である延伸工程9における熱固定条件を後述のように調整することで、イニシャルバブルポイント0.4MPaを上回る中空糸膜を得ることができる(実施例6参照)。
中空糸膜の寸法は、押出成形工程6におけるドラフト比で決定される。ドラフト比は下記式で表される。通常、中空糸成形ノズルは一定なので、吐出量を一定とした場合、巻取速度を速くすればドラフト比が大きくなり、得られる中空糸膜の寸法(糸径)は小さくなる。一方、巻取速度を一定とした場合、吐出量(≒吐出速度)を少なくすればドラフト比が大きくなり、得られる中空糸膜の寸法(糸径)は小さくなる。このように、吐出量と巻取速度は目的とする中空糸膜の寸法によって決定する。ただし、ドラフト比に関しては1〜200であることが好ましい。ドラフト比が200を超えると、ポリエチレンの配向が強くなり、ポリエチレン結晶微粒子の生成が不明瞭となり、外表面部の空孔率が小さくなって、十分な透水性が得られなくなる。なお、押出成形工程6における溶液の吐出量は約12g/minとしている。
ドラフト比=巻取速度/吐出速度=紡糸ノズル断面積/成形中空糸断面積
「冷却工程」
次いで、冷却工程7で冷却水に浸漬して相分離を生起させる。冷却温度は30〜75℃、好ましくは、40〜60℃である。冷却工程7は均一に混練されたポリエチレンと流動パラフィンを相分離させて、多孔質構造となりうるポリエチレン骨格を形成するために行われる。ここで、ポリエチレンの組織は冷却温度が低い、即ち、冷却速度が速いと微細化する。冷却温度が高い、即ち、冷却速度が遅いと肥大化する。冷却温度が30℃未満では冷却速度が速すぎて、ポリエチレン結晶微粒子の生成が不明瞭となり、外表面部の空孔率が小さくなって、十分な透水性が得られなくなる。一方、75℃を超えるとポリエチレンの組織が肥大化し、本発明の目的とするバブルポイントを有する中空糸膜が得られなくなる。
「抽出除去工程」
冷却工程7で冷却水に浸漬して相分離を生起させた後、中空糸膜を巻き取り、抽出除去工程8でこの中空糸膜から有機溶剤を用いて流動パラフィンを抽出除去する。なお、巻取速度は47〜54m/minとしている。次いで、延伸工程9において、繊維軸方向に一軸延伸して微細孔を拡大させ、熱処理によって多孔化組織を固定する。
「延伸工程」
延伸工程9は、得られる中空糸膜の微細孔の形成を調整し、目的とする性能の中空糸膜を得るために行われる。本発明の目的とする中空糸膜の性能としては、イニシャルバブルポイント0.4MPa以上、好ましくは、0.5MPa以上であり、透過流束は0.1ml/cm・min以上、好ましくは、0.3ml/cm・min以上である。一般に、延伸倍率を高くするほどバブルポイントが低くなり(微細孔が大きくなる)、延伸温度を高くするほどバブルポイントが低くなる傾向にある。従って、延伸温度は25〜110℃、好ましくは、25〜70℃であり、延伸倍率は1.05〜2.0倍、好ましくは、1.3〜1.6倍である。延伸温度が110℃を超えると、延伸に伴う熱処理により、目的とする熱収縮率の中空糸膜が得られない。また、延伸温度が25℃未満では冷却設備の付属が必要となり不経済であり、それ以上の期待する効果も得られない。延伸倍率が2.0倍を超えると、イニシャルバブルポイント0.4MPa以上の中空糸膜を得るのが困難になると共に、中空糸膜の支持層の孔径が大きくなり、支持層に分離機能を付加できなくなる。また、延伸倍率が1.05倍未満では透過流束0.1ml/cm・min以上の中空糸膜が得られない。
「熱固定工程」
本発明者は、中空糸膜付け根部分における微小リーク部と、中空糸膜と封止剤との剥離の発生を抑制する方法を見出した。詳述すると、延伸工程9では、繊維軸方向に一軸延伸して微細孔を拡大させ、熱処理によって多孔化組織を固定する所謂熱固定を行うのであるが、中空糸膜の熱収縮率を12〜31%に設定することで、ポッティング時の熱によって発生した中空糸膜付け根部分の微小リーク部(膜変質部)を収縮により埋めるという自己修復機能が備わり、更に、ポッティング時の中空糸膜と封止剤との収縮差が緩和され、中空糸膜と封止剤との剥離現象が確実に防止されることで、バブルポイントの低下を抑制する効果を奏する。
熱収縮率が12%未満では、膜変質部の自己修復効果、更に、封止剤である低密度ポリエチレンとの収縮差の緩和効果が期待できず、完全性の良好な中空糸膜モジュールは得られない。また、熱収縮率が31%を超えると、ポッティング時の中空糸膜の収縮が大きくなり過ぎて、得られる中空糸膜モジュールの膜長が短くなり、濾過有効膜面積が小さくなるために所望の濾過性能が期待できない。このことから、好適な熱収縮率は12〜31%であり、これを実現すべく、80〜110℃の低温度での熱固定を行う。
ここで、後述する実施例1に記載の製造方法で、熱固定温度のみを変えた中空糸膜(実施例1〜4、比較例2,3)について、熱固定温度と熱収縮率との関係を図3に示す。熱収縮率の測定方法は、長さ10cmになるように中空糸膜10本を切り出し、オートクレーブ中120℃で20分間熱処理を施した後、中空糸膜の長さを測定した。また、熱収縮率は下記の数式にて算出した。
熱収縮率=(10−熱収縮後の長さ)/10×100
図4は、熱収縮前の膜組織を示した顕微鏡写真であり、図5は、熱収縮後の膜組織を示した顕微鏡写真である。オートクレーブ中120℃、20min熱処理後の熱収縮率が15%程度となるように中空糸膜を作製し、熱収縮前後での膜組織の変化を観察した。同図から、熱処理を施して熱収縮させることで、中空糸膜の微細孔が収縮する様子がわかる。
「ポッティング工程」
ポッティング工程11では、前記工程を経て作製された中空糸膜を複数結束し、この中空糸膜の結束端部における中空糸膜相互の隙間を、本例ではポリエチレン樹脂から成る封止剤によってポッティングする。上述のように、あらかじめ適度な熱収縮率を有するように中空糸膜を作製しておき、ポッティング時に中空糸膜を収縮させながらポッティングすることで、ポッティング時の熱によって発生した中空糸膜付け根部分の微小リーク部を収縮により埋めるという自己修復機能を発揮する。また、ポリエチレンは一般に2%程度の成形収縮があると言われており、適度な熱収縮率を有する中空糸膜を用いることで、ポッティング時の中空糸膜と封止剤との収縮差を緩和させ(収縮差の低減)、中空糸膜と封止剤との剥離現象は確実に防止される。
更に本発明者は、ポッティング時における中空糸膜の変質や溶融を防ぐポッティングの条件を見出した。中空糸膜に高密度ポリエチレン(融点135℃)、封止剤に低密度ポリエチレン(融点115℃)を採用した場合、融点差が20℃と小さく、ポッティング時の熱によって中空糸膜が変質する恐れがある。そこで、中空糸膜に加わる熱履歴を低減させるため、種々ポッティング条件を検討した。
熱履歴とは、ポッティング時に中空糸膜に加わる温度及び時間の量であり、単純に模式化すると、温度℃×時間min=熱履歴との関係で示すことができる。即ち、熱履歴を少なくするには温度及び時間の両方を小さくすればよいが、そうすると封止剤(例えば、低密度ポリエチレン)が完全に溶融することができず、完全性の高い膜モジュールを得ることが困難となる。そこで、中空糸膜が溶融せずに封止剤が適度に溶融する程度の高温にて短時間ポッティングを行い、中空糸膜に加わる熱履歴を低減することで、中空糸膜付け根部における微小リーク部(膜変質部)の発生を抑制し、バブルポイントの低下を抑制した膜モジュールが得られることを見出した。
ポッティング条件は、封止剤溶融金型温度で135〜140℃、加熱溶融時間45〜60minである。加熱溶融時間が60min以上では熱により中空糸膜が変質してしまい、金型温度135℃未満では封止剤を完全に溶融するために60min以上必要となる。また、金型温度が140℃より高い場合は中空糸膜が溶融してしまう。
ポッティングは、予め加熱溶融した熱可塑性樹脂が入ったポッティングカップに中空糸膜の膜束端部を挿入し、所定位置に一定時間保持した後、熱可塑性樹脂を冷却固化し、ポッティングカップを取り外し、固化したポッティング部の端部(両端或いは一端)を切断して、中空糸膜束を開口させることで、中空糸膜モジュールが完成する。或いは予め中空糸膜の膜束端部に熱可塑性樹脂粉末又はフィルムなどを付着又は貼り付けたものを、所定の温度に加熱されたポッティングカップに挿入し、一定時間保持した後、熱可塑性樹脂を冷却固化し、ポッティングカップを取り外し、固化したポッティング部の端部(両端或いは一端)を切断して、中空糸膜束を開口させることで、中空糸膜モジュールが完成する。
上述した実施形態では、膜組織の微細化を図る方法として、ポリエチレンと流動パラフィンを混練するに際し、ポリエチレン100重量部に対して流動パラフィン50〜100重量部含有させているが、他の形態として、ポリエチレンと流動パラフィンを混練したポリマー溶液を、ポリエチレンの融点以上で該融点+25℃以下の成形温度で中空糸状に押し出すことで、膜組織の微細化が可能であることも、本発明者らの鋭意研究によって見出された。詳述すると、ポリエチレンの融点以上で該融点+25℃以下という低温での押出成形によって、溶融せずに残った結晶及び不純物が結晶核となるが、この核を多数発生させることで結晶成長が抑制され、その結果、優れた膜組織の微細化が実現される。例えば、ポリエチレンと流動パラフィンとの均一溶液を成形温度150℃で中空糸状に押出成形するなどである。膜組織を微細化させる方法として、何れの方法を採用しても良く、実施に応じて任意である。
ここで、本発明に係る中空糸膜モジュールについて、糸径、バブルポイント、透過流束、熱収縮率、及び膜モジュール完全性を測定し、その評価を行った。測定結果を表1〜3に示すと共に、本発明の実施例を説明する。
糸径は、中空糸膜をウレタン接着剤で結束して固めた後、繊維軸と垂直方向に薄く切り出し、投影機により観察し、中空糸膜の外径及び内径を測定した。外表面平均孔径は、走査型電子顕微鏡にて膜外表面を倍率10000倍で撮影した後、電子顕微鏡写真より表面に存在する空孔を任意に50点抽出し、空孔の円相当直径を測定して、その平均値を平均孔径とした。
中空糸膜のバブルポイントは、中空糸膜から膜面積100cmのミニモジュールを作製し、2−プロパノール中に充分浸漬した後、浸漬状態のまま、中空糸膜内部に空気を送り込み加圧していく。中空糸膜の微細孔から連続的に気泡が発生し始めた時の空気圧をイニシャルバブルポイント(IBP)、中空糸膜のほぼ全表面から気泡が発生した時の空気圧をバーストバブルポイント(BBP)とした。
透過流束は、バブルポイントの場合と同様、ミニモジュールを作製し、メタノール中に充分浸漬して親水化した後、差圧0.1MPaで25℃の純水を濾過し、1分間の透水量を測定した。この透水量を膜面積で除して透過流束を算出した。
熱収縮率は、長さ10cmになるように中空糸膜10本を切り出し、オートクレーブ中120℃で20分間熱処理を施した後、中空糸膜の長さを測定し、熱処理後の長さを熱処理前の長さで除して熱収縮率を算出した。
膜モジュールのバブルポイントは、ポリエチレンでポッティングした外径50mm、長さ130mmの膜モジュールに、2−プロパノールを10分間循環通液した後、膜モジュール1次側より空気を送り込み加圧していき、膜モジュール2次側(ポッティング開口面)より気泡が発生し始めた時の空気圧をイニシャルバブルポイントとし、更に加圧して、膜モジュール2次側全面から気泡が発生した時の空気圧をバーストバブルポイントとした。なお、本実施例においては、イニシャルバブルポイント0.25MPa以上の膜モジュールをフォトレジスト用膜モジュールとして適しているものとし、0.3MPa以上の膜モジュールを最適なものとして良否判定を行っている。
Figure 0005456227
Figure 0005456227
Figure 0005456227
実施例1:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン92重量部と核剤(ソルビトール誘導体)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.4倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度100℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径567μm、内径361μm、外表面平均孔径0.15μm、イニシャルバブルポイント0.52MPa、透過流束0.72ml/cm・min、熱収縮率20%であった。
実施例1:モジュールの作製
得られた中空糸膜を3mm間隔に配列し、上下2枚の帯状のポリエチレンフィルムで挟んで、熱融着により簾状に一体化した後、2つ折りにして螺旋状に巻き込み、端部にポリエチレンフィルムが貼り付けられた中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(低密度ポリエチレン)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で55分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.35MPa、バーストバブルポイント0.53MPaであり、イニシャルバブルポイント基準値0.3MPaを上回る最適な膜モジュールを得ることができた。
実施例2〜4:
前述のように、実施例1に記載の製造方法で、熱固定温度のみを変えた中空糸膜を得て中空糸膜モジュールを作製したところ、実施例1と同様の性能を得ることができた。
実施例5:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン117重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度150℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度48m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.4倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度110℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径590μm、内径340μm、外表面平均孔径0.18μm、イニシャルバブルポイント0.52MPa、透過流束0.49ml/cm・min、熱収縮率13%であった。
実施例5:モジュールの作製
実施例1と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で45分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.31MPa、バーストバブルポイント0.5MPaであり、イニシャルバブルポイント基準値0.3MPaを上回る最適な膜モジュールを得ることができた。
実施例6:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン104重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、40℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度70℃で1.6倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度100℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径575μm、内径365μm、外表面平均孔径0.23μm、イニシャルバブルポイント0.41MPa、透過流束1.8ml/cm・min、熱収縮率22%であった。
実施例6:モジュールの作製
実施例1と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を135℃に加熱された金型内で57分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.26MPa、バーストバブルポイント0.43MPaであり、イニシャルバブルポイント基準値0.25MPaを上回る膜モジュールを得ることができた。
実施例7:中空糸膜の作製
主として混練工程5における流動パラフィンの含有量を変えて中空糸膜を作製した。高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン82重量部と核剤(同上)0.1重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度48m/minで巻き取り、中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し、流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.6倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度105℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径605μm、内径355μm、外表面平均孔径0.11μm、イニシャルバブルポイント0.61MPa、透過流束0.11ml/cm・min、熱収縮率13%であった。
実施例7:モジュールの作製
実施例1と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で55分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.4MPa、バーストバブルポイント0.62MPaであり、イニシャルバブルポイント基準値0.3MPaを上回る膜モジュールを得ることができた。
実施例8:中空糸膜の作製
更に、主として押出成形工程6における成形温度を変えて中空糸膜を作製した。高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン117重量部と核剤(同上)0.2重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度155℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度47m/minで巻き取り、中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し、流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.3倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度110℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径594μm、内径355μm、外表面平均孔径0.18μm、イニシャルバブルポイント0.55MPa、透過流束0.11ml/cm・min、熱収縮率18%であった。
実施例8:モジュールの作製
実施例1と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で50分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.3MPa、バーストバブルポイント0.52MPaであり、イニシャルバブルポイント基準値0.3MPaを上回る膜モジュールを得ることができた。
実施例9:モジュールの作製
実施例1の中空糸膜を用いて、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を外径50mm、長さ130mmの大径筒状ポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で55分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.35MPa、バーストバブルポイント0.53MPaであり、イニシャルバブルポイント基準値0.3MPaを上回る膜モジュールを得ることができた。
実施例10:モジュールの作製
実施例1の中空糸膜を用いて、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を外径17mm、長さ110mmの小径筒状ポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を125℃に加熱された金型内で25分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.33MPa、バーストバブルポイント0.55MPaであり、イニシャルバブルポイント基準値0.3MPaを上回る膜モジュールを得ることができた。このように、小径のモジュールの場合には、中空糸膜の結束端部を封止剤溶融金型温度の下限値を125℃以上とし、加熱溶融時間の下限値も25min以上に調整することで、基準値を上回るイニシャルバブルポイントを有する膜モジュールを得ることができる。
比較例1:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン117重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度70℃で1.6倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度120℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径550μm、内径360μm、外表面平均孔径0.31μm、イニシャルバブルポイント0.27MPa、透過流束3.5ml/cm・min、熱収縮率6%であった。
比較例1:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を130℃に加熱された金型内で70分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.13MPa、バーストバブルポイント0.3MPaであった。中空糸膜自身のバブルポイントや熱収縮率が低いことに加え、ポッティング時における中空糸膜への熱履歴が大きいことにより、イニシャルバブルポイントの基準値を満たす膜モジュールを得ることができなかった。
比較例2:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン92重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.4倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度115℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径560μm、内径350μm、外表面平均孔径0.15μm、イニシャルバブルポイント0.51MPa、透過流束0.59ml/cm・min、熱収縮率9%であった。
比較例2:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を130℃に加熱された金型内で80分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.15MPa、バーストバブルポイント0.48MPaであった。中空糸膜自身のバブルポイントは高かったものの、熱収縮率が低く、また、ポッティング時における中空糸膜への熱履歴が大きいことにより、イニシャルバブルポイントの基準値を満たす膜モジュールを得ることができなかった。
比較例3:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン117重量部と核剤(同上)0.25重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度150℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度48m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.4倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度120℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径585μm、内径335μm、外表面平均孔径0.16μm、イニシャルバブルポイント0.53MPa、透過流束0.51ml/cm・min、熱収縮率5%であった。
比較例3:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で60分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.15MPa、バーストバブルポイント0.43MPaであった。中空糸膜自身のバブルポイントは高かったものの、熱収縮率が低く、ポッティング時における中空糸膜への熱履歴を抑制しても、イニシャルバブルポイントの基準値を満たす膜モジュールを得ることができなかった。
比較例4:中空糸膜の作製
ポリプロピレン100重量部、流動パラフィン113重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ5の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量9g/minで押し出し、60℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度70℃で1.5倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度100℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径560μm、内径420μm、外表面平均孔径0.5μm、イニシャルバブルポイント0.42MPa、透過流束0.75ml/cm・min、熱収縮率18%であった。
比較例4:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で70分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.31MPa、バーストバブルポイント0.46MPaであった。
比較例5:中空糸膜の作製
ポリプロピレン100重量部、流動パラフィン113重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ5の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量9g/minで押し出し、60℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度70℃で1.5倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度125℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径550μm、内径410μm、外表面平均孔径0.49μm、イニシャルバブルポイント0.44MPa、透過流束0.88ml/cm・min、熱収縮率7%であった。
比較例5:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で70分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.33MPa、バーストバブルポイント0.46MPaであった。
比較例6:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン92重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.4倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度100℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径570μm、内径370μm、外表面平均孔径0.15μm、イニシャルバブルポイント0.51MPa、透過流束0.56ml/cm・min、熱収縮率17%であった。
比較例6:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を125℃に加熱された金型内で120分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.23MPa、バーストバブルポイント0.5MPaであった。中空糸膜自身のバブルポイントは高く、熱収縮率も適切であったが、ポッティング時における中空糸膜への熱履歴が大きいことにより、イニシャルバブルポイントの基準値を満たす膜モジュールを得ることができなかった。
比較例7:中空糸膜の作製
高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン92重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.4倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度100℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径570μm、内径370μm、外表面平均孔径0.15μm、イニシャルバブルポイント0.51MPa、透過流束0.56ml/cm・min、熱収縮率17%であった。
比較例7:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で90分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.18MPa、バーストバブルポイント0.51MPaであった。中空糸膜自身のバブルポイントは高く、熱収縮率も適切であったが、ポッティング時における熱履歴が大きいことにより、イニシャルバブルポイントの基準値を満たす膜モジュールを得ることができなかった。
比較例8:中空糸膜の作製
主として混練工程5における流動パラフィンの含有量を変えて中空糸膜を作製した。高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン133重量部と核剤(同上)0.1重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度190℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り、中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し、流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.6倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度120℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径554μm、内径352μm、外表面平均孔径0.36μm、イニシャルバブルポイント0.25MPa、透過流束4.21ml/cm・min、熱収縮率8%であった。
比較例8:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で60分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.12MPa、バーストバブルポイント0.3MPaであった。中空糸膜のバブルポイント及び膜モジュールのバブルポイント共に基準値を下回り、所定の膜モジュールを得ることができなかった。
比較例9:中空糸膜の作製
主として押出成形工程6における流動パラフィンの含有量、及び延伸工程9における延伸温度を変えて中空糸膜を作製した。高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン117重量部と核剤(同上)0.15重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度210℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り、中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し、流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度25℃で1.6倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度120℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径558μm、内径351μm、外表面平均孔径0.33μm、イニシャルバブルポイント0.24MPa、透過流束3.09ml/cm・min、熱収縮率10%であった。
比較例9:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を140℃に加熱された金型内で70分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.11MPa、バーストバブルポイント0.26MPaであった。中空糸膜のバブルポイント及び膜モジュールのバブルポイント共に基準値を下回り、所定の膜モジュールを得ることができなかった。
比較例10:中空糸膜の作製
主として押出成形工程6における流動パラフィンの含有量を変えて中空糸膜を作製した。高密度ポリエチレン100重量部、流動パラフィン117重量部と核剤(同上)0.2重量部を二軸押出機で均一に加熱混練し、水冷して、ペレット化した。そのペレットを単軸押出機にてギアポンプを介して気体供給管を備えた外径φ6、内径φ4の二重管構造を成す環状ノズルより温度170℃、吐出量12g/minで押し出し、50℃に調整した冷却水にて冷却し、巻取速度54m/minで巻き取り、中空糸を成形した。得られた中空糸を塩素系有機溶剤で洗浄し、流動パラフィンを抽出除去した後、雰囲気温度50℃で1.6倍に延伸し、次いで、定長下にて雰囲気温度120℃で2分間熱固定して中空糸膜を得た。この中空糸膜は、外径580μm、内径364μm、外表面平均孔径0.25μm、イニシャルバブルポイント0.34MPa、透過流束2.83ml/cm・min、熱収縮率9%であった。
比較例10:モジュールの作製
実施例と同様にして、中空糸膜束を作製した。その中空糸膜束を筒状のポリエチレンケース(同上)に挿入し、端部を135℃に加熱された金型内で80分間加熱し、端部がポリエチレンで封止された中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールを2−プロパノールにてバブルポイントを測定したところ、イニシャルバブルポイント0.14MPa、バーストバブルポイント0.36MPaであった。中空糸膜のバブルポイント及び膜モジュールのバブルポイント共に基準値を下回り、所定の膜モジュールを得ることができなかった。
ここで、上記実施例及び比較例について、膜単体に対する膜モジュールのバブルポイント低下率を検証した。その結果を表4に示す。なお、低下率は下記式により算出した。同表から明らかであるように、実施例においては、バブルポイントの低下率が45%以下であり、イニシャルバブルポイント0.25MPaを上回る中空糸膜モジュールが得られている(表3参照)。とりわけ実施例8を除いては、バブルポイントの低下率が40%以下に抑制されており、イニシャルバブルポイント0.3MPaを上回る中空糸膜モジュールが得られている(同表参照)。これに対し、比較例においては、PP膜を除き、バブルポイントの低下率が52%以上であり、基準値を満たす中空糸膜モジュールは得られていない。
低下率%=((膜単体IBP−膜モジュールIBP)/膜単体IBP)×100
Figure 0005456227
次に、上記実施例及び比較例について、中空糸膜の熱収縮率と膜モジュールのイニシャルバブルポイント(IBP)との関係を図6に示す。なお、比較例4,5はポリプロピレン製の中空糸膜を用いた膜モジュールデータであるため、図6の対象外としている。同図から明らかであるように、中空糸膜の延伸工程において、熱収縮率を12%以上確保した中空糸膜を用いた膜モジュールでは、イニシャルバブルポイントの低下が抑制されていることが確認された。ポッティング時の熱履歴が大きいと、イニシャルバブルポイントの低下抑制作用は小さいものとなるが(比較例6,7参照)、熱収縮率を12%以上確保することに加え、熱履歴を前述のポッティング条件に基づいて小さくすることにより、イニシャルバブルポイント0.26MPa以上の中空糸膜モジュールを得ることが確認された。
熱可塑性樹脂でポッティングされた外面緻密型非対称構造であるポリエチレン中空糸膜モジュールにおいては、ポリエチレン中空糸膜の膜組織を微細化し、熱収縮率を特定の範囲にすることで微小リークがなく、イニシャルバブルポイントが高い中空糸膜モジュールを得ることができた。一方、ポリプロピレン中空糸膜においては、熱収縮率を変えても、中空糸膜モジュールの製品性能にはほとんど影響しなかった。
図7は、実施例1,5における中空糸膜の断面模式図である。図8は、実施例1における中空糸膜の膜断面を示した顕微鏡写真であり、図9は、実施例5における中空糸膜の膜断面を示した顕微鏡写真である。更に、図10は、実施例1の外表面近傍(図7中のα部位)の膜断面を示した顕微鏡写真であり、図11は、内表面近傍(図7中のβ部位)の膜断面を示した顕微鏡写真である。図12は、実施例5の外表面近傍(図7中のα部位)の膜断面を示した顕微鏡写真であり、図13は、内表面近傍(図7中のβ部位)の膜断面を示した顕微鏡写真である。一方、図14は、比較例1における中空糸膜の断面模式図である。図15は、比較例1における中空糸膜の膜断面を示した顕微鏡写真であり、更に、図16は、外表面近傍(図14中のα部位)の膜断面を示した顕微鏡写真であり、図17は、内表面近傍(図14中のβ部位)の膜断面を示した顕微鏡写真である。これら顕微鏡写真から、実施例1,5の最外層には高度に微細化された膜組織が形成され、また、その最内層も微細化されて、比較例1の内表面よりも平均孔径が小さい膜組織が形成されていることがわかる。
次に、微粒子捕捉性能について測定し、その評価を行った。試験条件は、試験流体に擬似レジスト液(12.5%ノボラック樹脂溶液(溶媒 乳酸エチル:PGMEA1:1)PEMEA(プロピレングリコール 1−モノメチルエーテル 2−アセテート)を用い、試験流体を膜モジュールで濾過して濾液を採取し、パーティクルカウンタにて濾液中の微粒子数を計測した。測定結果を表5に示すと共に、グラフ化したものを図18に示す。
Figure 0005456227
実施例1,5は、比較例1,5と比較して優れた微粒子捕捉性能を発揮した。実施例6は、実施例1,5及び比較例5と比較して小さな粒子径側(0.15μm、0.2μm粒子径)で微粒子捕捉性能が劣るものの、大きな粒子径側(0.3μm、0.5μm粒子径)では優れた微粒子捕捉性能を発揮した。
本発明によると、高度な微粒子捕捉性能と透過流束を実現し、優れた膜モジュールの完全性を実現した中空糸膜モジュールとその製造方法として、半導体工業、食品工業、医薬品工業、医療品工業をはじめ、あらゆる分野に提供することができる。例えば、図19に示されるように、本発明の中空糸膜モジュールを内蔵した濾過装置12にあっては、優れた濾過処理機能を長期に亘って発揮する。
本発明に係る中空糸膜モジュールの一部切欠き断面概略図である。 本発明に係る中空糸膜モジュールの製造方法を示した工程説明図である。 熱収縮率と熱固定温度の関係を示したグラフである。 熱収縮前の膜組織を示した顕微鏡写真(×4000)である。 熱収縮後の膜組織を示した顕微鏡写真(×4000)である。 実施例及び比較例における中空糸膜の熱収縮率と膜モジュールのIBPとの関係を示したグラフである。 実施例1,5における中空糸膜の断面模式図である。 実施例1における中空糸膜の膜断面を示した顕微鏡写真(×600)である。 実施例5における中空糸膜の膜断面を示した顕微鏡写真(×600)である。 実施例1の外表面近傍(図7中のα部位)の膜断面を示した顕微鏡写真(×4000)である。 実施例1の内表面近傍(図7中のβ部位)の膜断面を示した顕微鏡写真(×4000)である。 実施例5の外表面近傍(図7中のα部位)の膜断面を示した顕微鏡写真(×4000)である。 実施例5の内表面近傍(図7中のβ部位)の膜断面を示した顕微鏡写真(×4000)である。 比較例1における中空糸膜の断面模式図である。 比較例1における中空糸膜の膜断面を示した顕微鏡写真(×600)である。 比較例1の外表面近傍(図14中のα部位)の膜断面を示した顕微鏡写真(×4000)である。 比較例1の内表面近傍(図14中のβ部位)の膜断面を示した顕微鏡写真(×4000)である。 微粒子捕捉性能の測定結果を示したグラフである。 本発明の中空糸膜モジュールを内蔵した濾過装置の一例を示した断面概略図である。 従来の中空糸膜モジュールを示した一部切欠き断面概略図である。
符号の説明
1 中空糸膜
2 緻密層
3 支持層
4 封止部
5 混練工程
6 押出成形工程
7 冷却工程
8 押出除去工程
9 延伸工程
10 熱固定工程
11 ポッティング工程
12 濾過装置

Claims (4)

  1. ポリエチレンとポリエチレンとの親和性の高い流動パラフィンとを高温で混練して均一溶液にし、この溶液をポリエチレンの融点以上の成形温度で中空糸状に押し出すことで中空糸膜を成形し、この中空糸膜を30℃〜75℃の冷却水に浸漬して相分離させ、この相分離により、外表面部に孔径の小さい緻密層を形成した後、流動パラフィンを抽出除去し、さらに延伸処理して外側が緻密層で、内側が支持層である非対称構造の中空糸膜を形成すると共に、この延伸処理工程における熱固定により中空糸膜の熱収縮率を12〜31%に設定してイニシャルバブルポイント0.4MPa以上の性能を有する中空糸膜を製造し、次いで、この中空糸膜を複数結束して、この中空糸膜の結束端部における中空糸膜相互の隙間を中空糸膜と同一素材によってポッティングする際に、前記中空糸膜の結束端部を封止剤溶融金型温度135〜140℃、加熱溶融時間45〜60minでポッティングするようにしたことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
  2. 請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法において、少なくともポリエチレンと、ポリエチレンとの親和性の高い流動パラフィンと、核剤とを高温で混練するに際し、ポリエチレン100重量部に対して流動パラフィン50〜100重量部含有させることで、膜組織を微細化させた中空糸膜モジュールの製造方法。
  3. 請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法において、少なくともポリエチレンと、ポリエチレンとの親和性の高い流動パラフィンと、核剤とを均一に混練して溶液にし、この溶液をポリエチレンの融点以上で該融点+25℃以下の成形温度で中空糸状に押し出すことで、膜組織を微細化させた中空糸膜モジュールの製造方法。
  4. 請求項1に記載した製造方法により製造したことを特徴とする中空糸膜モジュール。
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