JP5452082B2 - 平版印刷版用支持体の製造方法及び平版印刷版のリサイクル方法 - Google Patents

平版印刷版用支持体の製造方法及び平版印刷版のリサイクル方法 Download PDF

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Description

本発明は、平版印刷版用支持体の製造方法及び平版印刷版のリサイクル方法に係り、特に使用済みの平版印刷版をリサイクルして再利用することにより平版印刷版を製造する際のCO発生量を削減する技術に関する。
今日、地球温暖化の原因となるCO発生量の低減は世界的な取り組みとなっており、平版印刷版の製造業界においても同様である。
平版印刷版は、粗面化処理されたアルミニウム製の平版印刷版用支持体に製版層(例えば感光層)を形成することにより製造される。粗面化処理方法としては、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理、化学的粗面化処理(化学エッチング)やこれらを組み合わせた方法がある。そして、電気化学粗面化処理としては、塩酸溶液中でアルミニウム板に交流を流す方式や、硝酸溶液中でアルミニウムに交流を流す方式がある。
また、平版印刷版用支持体は、製版層との密着性を良くするため、表面に均一且つ緻密な粗面化を施す必要があり、平版印刷版用支持体を製造する際の原料としては、純度の高い新地金が使用されていると共に、Si,Fe,Cu,Mn等の微量金属の含有率が厳密に調整されたものであることが必要になる。
このため、従来は、使用済み平版印刷版(アルミスクラップ)を平版印刷版用支持体の再生原料として使用することが難しく、金属含有率許容度の大きな用途向け、例えば窓サッシ用、自動車のエンジン用や車輪のホイール用等の再生材料としてリサイクルされているのが実情である。
しかし、新地金1kgの製造に140.9MJという大きなエネルギーを必要とすることから、地球温暖化の原因となっているCO発生量が9.22kg/地金1Kgと非常に大きい。一方、印刷に使用した使用済みの平版印刷版や、平版印刷版の製造加工途中で発生する平版印刷版の切断片等の端材を原料とした再生地金1kgの製造エネルギーは新地金と比較して約4%であり、CO発生量も新地金の約4%と非常に小さい。
したがって、CO発生量を低減するには使用済みの平版印刷版や切断片等の端材を再生材料としてリサイクルすることが重要であるが、そのためには平版印刷版用支持体の品質を確保した上でCO排出量の低減を図るリサイクル方法の構築が重要になる。
近年、上記した使用済みの平版印刷版や端材を再生材料としてリサイクルする検討がなされており、例えば特許文献1〜4がある。
特許文献1では、アルミニウム板を硝酸水溶液中で交流電流を用いて電気化学的に粗面化処理する平版印刷版用支持体の粗面化方法において、硝酸水溶液が硝酸を7〜20g/L、アルミニウムイオンを4〜10g/L、Mnを25〜130mg/L含有することが記載されている。これにより、アルミニウム新地金や使用済み平版印刷版等を再生材料として用いる場合であっても、平版印刷版用支持体として好適な粗面化後の表面形状を施すことができるとされている。
また、特許文献2では、マンガン及びマグネシウムを合計で0.05〜1.5質量%含有するアルミニウム板に、少なくともブラシと研磨剤を含有するスラリー液とを用いて平均表面粗さRaが0.30〜0.43μmとなるように粗面化を施す機械的粗面化処理を施し、更に電気化学的粗面化処理及び化学的エッチング処理をこの順で施して、機械的粗面化処理の後の平均表面粗さRaに対して平均表面粗さRaが0.10〜0.20μm大きくなり、かつ平均表面粗さRaが0.42〜0.60となるように平版印刷版用支持体を製造することが記載されている。これにより、アルミニウム新地金や使用済み平版印刷版等を再生材料として用いる場合であっても、耐刷性や耐汚れ性に優れた平版印刷版用支持体を得ることができるとされている。
また、特許文献3では、使用済みアルミニウム缶を、低純度アルミニウムで製造される平版印刷版用支持体の原料としてリサイクルすることにより、平版印刷版用支持体の製造コストを下げることが記載されている。
また、特許文献4には、アルミニウム溶湯に、使用済み平版印刷版を1〜90質量%となる割合で投入して溶解させる工程と、該使用済み平版印刷版を溶解させた後の該アルミニウム溶湯からアルミニウム合金板を得る工程と、該アルミニウム合金板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を行って平版印刷版用支持体を得る工程とを具備する平版印刷版用支持体の製造において、該使用済み平版印刷版のうち、A1000系、A3000系の材料の質量をそれぞれa、bとしたときに、b/a≦0.3を満足するようにした平版印刷版用支持体の製造方法が記載されている。これにより、使用済み平版印刷版を再生材料として用いてリサイクルする場合、厳密な原材料の管理をせずに、実用上問題のない平版印刷版用支持体を得ることができるとされている。
特開2008−201038号公報 特開2008−114404号公報 特開2002−331767号公報 特開2002−225449号公報
しかしながら、特許文献1及び2は、使用済み平版印刷版を再生利用するための粗面化技術、特許文献3は使用済みアルミニウム缶を平版印刷版用支持体の再生材料として再利用する技術、特許文献4は、使用済み平版印刷版のアルミニウム合金の種類と配合比率に着目したもので、これらのいずれも、使用済みアルミニウム材料を直接、圧延前溶融炉に投入する方式である。したがって、投入する使用済みアルミニウムの組成によって圧延後のアルミニウム板の合金組成が大きく影響されることは避け難い。
しかし、平版印刷版の粗面化において電解方式、特に塩酸電解方式を用いる場合には、アルミニウム板の合金組成が粗面化形状の良否に決定的に影響する。
したがって、塩酸電解方式に必要なアルミニウム純度99.0%以上のアルミニウム板を得ようとすると、上記特許文献1〜4の方式では、各種アルミ材質からなる使用済み平版印刷版の圧延前溶解炉への最大可能投入量は事前に判断できず、品質保証上少なめの投入量になる。
一方、使用済み平版印刷版の投入量を上げようとすると、使用済み平版印刷版を圧延前溶解炉に投入しながら不純物組成を測定することを繰り返さなければならず、溶解や成分調整に時間を要し、酸化物質(酸化アルミ)の発生により収率が悪くなる。したがって、再生技術として極めて重要なCO発生量低減の効果が得られない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、地球温暖化の原因となるCO発生量を大幅に低減することができる平版印刷版用支持体の製造方法及び平版印刷版のリサイクル方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、塩酸電解方式の粗面化処理を行う平版印刷版用支持体を製造する方法において、塩酸電解方式で粗面化処理された使用済みの平版印刷版のみを再生材料として準備する準備工程と、前記再生材料を溶解炉で溶解して溶湯を得ると共に該溶湯を所定の形状及び重さに成形して再生地金を得る再生地金製造工程と、前記再生地金のアルミニウム純度及び微量金属含有率を分析する分析工程と、前記分析された分析値と予め定められた平版印刷版としての所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率とを対比してその差を求める対比工程と、前記求められた差に応じてアルミニウム純度と微量金属含有率との定まった新地金及び微量金属母合金の前記再生地金に対する配合割合を決定する配合割合決定工程と、前記決定された配合割合に応じて前記再生地金と前記新地金と前記微量金属母合金とを圧延前溶解炉に投入すると共に加熱溶解してアルミニウム溶湯を得る加熱溶解工程と、前記得られたアルミニウム溶湯から圧延処理により帯状のアルミニウム板である平版印刷版用の支持体を作成する支持体作成工程と、を備え、前記配合割合決定工程では、前記圧延処理を行う前のアルミニウム純度が99.0%以上になるようにすることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法を提供する。
ここで、再生材料には、印刷に使用した使用済みの平版印刷版以外に、平版印刷版の製造加工途中で発生する平版印刷版の切断片等の端材を含めることが好ましい。また、予め定められた平版印刷版とは、製造する平版印刷版の種類によって要求されるアルミニウム純度や微量金属含有率が予め定められていることを言う。また、アルミニウム純度と微量金属含有率との定まった新地金及び微量金属母合金とは、アルミニウム純度と微量金属含有率が既知な新地金や微量金属母合金を指す。
本発明において、塩酸電解方式で粗面化処理された使用済みの平版印刷版は、機械的粗面化方式や硝酸電解方式で粗面化処理したものに比べて、再生地金製造工程において溶解炉で溶解する溶解速度が速く、再生地金を得るまでのタクト時間を短縮できるので、溶解時にアルミニウムが空気と接触して生成される酸化物質(酸化アルミ)の生成が少ない。これにより、再生地金として得られる収率が高くなるので、再生地金1Kgを製造する際のCO発生量を低減できる。
また、使用済みの平版印刷版は、アルミニウム純度や微量金属含有率に幅があり、特に、平版印刷版に使用される印刷インク等に由来する微量金属の増加もある。更には、新地金自体のアルミニウム純度や微量金属含有率にも幅がある。一方、製造する平版印刷版の種類に応じて、平版印刷版用支持体に要求されるアルミニウム純度や微量金属含有率が異なる。
そこで、本発明では、再生地金のアルミニウム純度及び微量金属含有率を分析し、分析された分析値と、予め定められた平版印刷版としての所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率とを対比してその差を求め、求められた差に応じてアルミニウム純度と微量金属含有率との定まった新地金及び微量金属母合金の前記再生地金に対する配合割合を決定するようにした。これにより、再生地金を最大に配合するための割合を決定することができる。
即ち、本発明は、従来のように再生する各種のアルミニウム材料を圧延前溶解炉に直接投入するのではなく、塩酸電解方式で粗面化した使用済み平版印刷版を別の溶解炉で溶解して所定の形状及び重さの再生地金とし、その再生地金を分析した分析結果を用いて圧延前溶解炉に投入する再生地金、新地金、及び微量金属母合金の配合割合を決定する工程を設けたので、製造時のCO発生量を大幅に低減することができ、しかも塩酸電解方式の粗面化処理に必要な99.0%以上のアルミニウム純度を有するアルミニウム板を製造することができる。
これにより、使用済み平版印刷版を最大限に再利用することができ、新地金の使用量を限界まで低減することができるので、平版印刷版の製造におけるCO発生量を顕著に低減することができる。
したがって、収率向上によるCO低減と、使用済み平版印刷版の最大配合割合によるCO低減により、本発明における平版印刷版用支持体は、新地金のみを使用した平版印刷版用支持体に比べて、製造時におけるCO発生量を約75%削減が可能である。
なお、再生材料中に、塩酸電解方式で粗面化処理された平版印刷版以外の方式で粗面化処理されている平版印刷版が含まれる場合には、再生地金製造工程の前段に、塩酸電解方式で粗面化処理された使用済みの平版印刷版のみを選別する選別工程を設けることが好ましい。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法において、前記再生地金製造工程では、前記再生材料を温度680〜750℃の範囲で溶解することが好ましい。680℃以上にすることで680℃未満の場合よりも溶解時間を短くでき、750℃以下にすることで750℃を超えた場合に収率を高くできる。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、前記圧延処理前のアルミニウム溶湯のアルミニウム純度は99.0%以上である。更には99.5%以上であることが一層好ましい。
塩酸電解方式の粗面化には、アルミニウム純度99.0%以上のアルミニウム板が好ましいからである。また、アルミニウム純度が99.0未満では、圧延工程でアルミニウム板に圧延する際に割れ等の不具合を生じ易いからである。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、前記再生地金は1個当たり10〜1200Kgの台形形状にすると共に、台形形状の底面が前記溶解炉の炉床に載るように前記溶解炉に投入することが好ましい。
再生地金を球形形状にすると、溶解炉に投入する際に溶解炉の底壁面に対して1点集中的に荷重がかかるので、再生地金の重さを500Kg未満にしないと、底壁面を傷付け易い。通常の溶解炉の材料はSiを含有しており、再生地金の投入時に溶解炉の底壁面を傷つけると、傷からのSiの溶け出しにより再生地金が汚染されるだけでなく、最悪の場合には溶解炉を破損することもある。また、球形形状は平置き保管せざるを得ないので、保管スペースが大きくなる。
これに対して、再生地金を台形形状にすることで、溶解炉に投入する際に溶解炉の底壁面に対して面荷重により荷重が分散されるので、再生地金の重さを1200Kgまで重くしても溶解炉の底壁面を傷づけたり破損したりすることはない。なお、台形形状とは、四角錐などの錐状体の頂部を下にして、下側を切り取った形状を指し、底面とは、切り取った面に相当する。
これにより、再生地金へのSi汚染を防止することができると共に、再生地金の溶解炉への投入効率が上がるので、再生地金製造工程での仕事率を向上できる。また、再生地金を台形形状にすることで、段積みが可能となるので、保管スペースを削減できる。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、前記分析する微量金属は少なくともSi,Fe,Cu,Mnであることが好ましい。これらの微量金属が塩酸電解方式での粗面化処理の良否に影響が大きいからである。
本発明の請求項7は前記目的を達成するために、前記請求項1〜6の何れか1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法で製造された平版印刷版用支持体の少なくとも片面に塩酸電解方式の粗面化処理を施す粗面化処理工程と、前記粗面化処理された平版印刷版用支持体に少なくとも製版層を形成して平版印刷版を製造する平版印刷版製造工程と、前記製造された平版印刷版に所望の印刷を行う印刷工程と、前記印刷工程で発生した使用済みの平版印刷版を回収する回収工程と、前記回収された使用済み平版印刷版を、前記請求項1〜6の何れか1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法の準備工程の再生材料とするリサイクル工程と、を備えたことを特徴とする平版印刷版のリサイクル方法を提供する。
ここで、製版層としては、感光性、感熱性、光重合性のものがある。
本発明の平版印刷版のリサイクル方法によれば、最初のときだけ新地金100%で平版印刷版を製造し、2回目からは塩酸電解方式で粗面化処理された使用済み平版印刷版印刷を再生地金として最大限に利用するクローズドリサイクルの流れによって製造することができるので、平版印刷版の製造におけるCO発生量を大幅に低減できる。
本発明の平版印刷版のリサイクル方法においては、前記再生材料として、印刷済みの平版印刷版以外に前記平版印刷版製造工程の製造加工途中で発生する平版印刷版の切断片等の端材を含むことが好ましい。
これにより、平版印刷版に関連する産業分野で発生するアルミスクラップを再利用するための完全なクローズドリサイクルの流れを構築することができるので、CO発生量を一層低減できる。
本発明によれば、地球温暖化の原因となるCO発生量を大幅に低減することができる。
平版印刷版のリサイクル方法のクローズド・ループリサイクルの流れを説明する説明図 アルミニウム板から平版印刷版を製造するまでの工程を示した説明図 使用済み平版印刷版から再生地金を製造するまでの再生地金製造装置の一例を示した断面図
以下、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法及び平版印刷版のリサイクル方法の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の平版印刷版のリサイクル方法のクローズド・ループリサイクルの流れを説明する説明図であり、感光性の製版層を有する平版印刷版の例で以下に説明する。なお、本発明の平版印刷版用支持体はクローズド・ループリサイクルの流れの一部として含まれる。
図1に示すように、アルミ精錬工場10では、ボーキサイトからアルミニウムの新地金12を製造する。アルミニウムの新地金12のアルミニウム純度は99.7%以上であることが好ましい。
次に、アルミニウムの新地金12は、アルミ圧延工場14において圧延前溶解炉で溶解されて溶湯となった後、熱間圧延、冷間圧延が行われる。圧延前溶解炉としては、公知のものを使用することができる。これにより、新地金100%のアルミニウム板16が製造される。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が好ましい。熱間圧延の前又は後、あるいは途中において中間焼鈍処理を行ってもよいが、CO発生を抑制する観点からは、中間焼鈍処理を省略することが好ましい。圧延処理により得られるアルミニウム板の厚みは0.1〜0.5mmの範囲が好ましい。なお、圧延処理の後にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。
そして、圧延等の処理が施されたアルミニウム板16はコイル状に巻回されたアルミコイルの状態で平版印刷版の製造工場18に送られる。
次に、平版印刷版の製造工場18では、アルミニウム板16に図2に示す各工程を経て平版印刷版の帯状原版を製造する。即ち、先ず、粗面化処理工程20において、アルミニウム板16に塩酸電解方式の粗面化処理を施してアルミニウム板16に砂目立てする。この場合、粗面化処理工程20の後に陽極酸化処理工程22を行ってアルミニウム板16の表面に陽極酸化被膜を形成することが一層好ましい。これにより、平版印刷版用支持体16Aが製造される。
塩酸電解方式の粗面化処理は、塩酸水溶液中で交流電流を電解電流としてエッチングすることにより行われる。塩酸水溶液の塩酸濃度は3〜150g/Lとすることが好ましく、5〜50g/Lが一層好ましい。塩酸水溶液としては、塩酸を2〜15g/L含有する希塩酸に塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩を添加して、アルミニウムイオン濃度を2〜7g/Lに調整した溶液が特に好ましい。塩酸水溶液の液温は、20〜50℃が好もしい。交流電解電流の周波数範囲は、0.1〜100Hzに設定するのが好ましく、10〜60Hzに設定すると一層好ましい。電解槽内のアルミニウム溶解量としては、50g/L以下とすることが好ましく、2〜20g/Lの範囲が一層好ましい。電流密度は、5〜100A/dmとすることが好ましく、10〜80A/dmが一層好ましい。
電解粗面処理の電気量は、20〜500C/dmになるように印加することが好ましい。前記交流としては、サイン波電流、矩形波電流、台形波電流、及び三角波電流など各種の波形を有する交流電流を用いることができるが、矩形波電流及び台形波電流が一層好ましく、台形波電流が特に好ましい。
かかる、塩酸電解方式の粗面化処理において、アルミニウム板16のアルミニウム純度や微量金属の含有率は、電気化学粗面化処理でアルミニウム板を粗面化したときに生成するピットの均一性に影響し、耐刷性、耐汚れ性及び露光安定性に影響を及ぼす。したがって、アルミニウム純度や微量金属含有率は以下の範囲であることが好ましい。なお、ここで示すアルミニウム純度や微量金属の含有率は、新地金100%のアルミニウム板16の場合と、後述する再生材料含有のアルミニウム板88の場合との両方に適用される。
即ち、アルミニウム板のアルミニウム純度は99.0%以上であることが好ましく、99.5%以上であることがより好ましい。アルミニウム板の純度が99.0%未満で不純物を多く含むと、粗面化処理に好ましくない他に圧延中に割れ等の不具合が生じ易い。
また、アルミニウム板16に含有される微量金属のうち、Siの含有率は、0.50質量%以下であるのが好ましく、0.05〜0.50質量%であるのがより好ましく、0.05〜0.25質量%であるのが更に好ましく、0.06〜0.15質量%であるのが特に好ましい。
Cuの含有率は、0.30質量%以下であるのが好ましく、0.010〜0.30質量%であるのがより好ましく、0.02〜0.15質量%であるのが更に好ましく、0.040〜0.09質量%であるのが特に好ましい。
Feの含有率は、0.7質量%以下であるのが好ましく、0.15〜0.7質量%であるのがより好ましく、0.15〜0.4質量%であるのが更に好ましく、0.20〜0.40質量%であるのが特に好ましい。
Mnの含有率は、0.5質量%以下であるのが好ましく、0.002〜0.15質量%であるのがより好ましく、0.003〜0.02質量%であるのが更に好ましく、0.004〜0.01質量%であるのが特に好ましい。
その他の微量金属として、Mgの含有率は、1.5質量%以下であるのが好ましく、0.001〜1.5質量%であるのがより好ましく、0.001〜0.60質量%であるのが更に好ましく、0.001〜0.40質量%であるのが特に好ましい。
Znの含有率は、0.25質量%以下であるのが好ましく、0.001〜0.25質量%であるのがより更に好ましく、0.001〜0.10質量%であるのが更に好ましく、0.010〜0.03質量%であるのが特に好ましい。
Tiの含有率は、0.10質量%以下であるのが好ましく、0.001〜0.10質量%であるのがより好ましく、0.001〜0.05質量%であるのが更に好ましく、0.003〜0.03質量%であるのが特に好ましい。
Crの含有率は、0.10質量%以下であるのが好ましく、0.001〜0.10質量%であるのがより好ましく、0.001〜0.02質量%であるのが更に好ましく、0.002〜0.02質量%であるのが特に好ましい。
前記のような塩酸電解方式で粗面化処理されたアルミニウム板16の面には、スマットや金属間化合物が存在するので、pH10以上で液温が25〜80℃のアルカリ溶液を使用してアルカリ処理した後に、硫酸を主体とすると共に液温が20〜80℃の酸性溶液で洗浄処理を行うことが好ましい。
次に、製版層形成工程24において、平版印刷版用支持体16Aの粗面化処理された面に、感光層用塗布液が塗布され、乾燥工程26において感光層が乾燥される。なお、感光層の上にマット層を塗布することもできる。これにより、平版印刷版の帯状原版28が製造されるので、加工工程において帯状原版28に帯状の合紙を重ね合わせた状態で所定寸法の四角形シートに切断して合紙付きの平版印刷版30(図1参照)を製造する。製造された合紙付きのシート状の平版印刷版30は複数枚積層された後、梱包されて印刷会社32に送られる。平版印刷版30を積層する際に平版印刷版30同士の間に合紙が挟み込まれるので、平版印刷版30の感光層面に傷をつけないようにすることができる。
かかる帯状原版28の加工工程において、帯状原版28の切断片等の端材33が発生するので、図1に示すように、平版印刷版の製造工場18で再生材料として回収されて次の再生工場34に送られて再生処理される。
一方、印刷会社32に送られた平版印刷版30は、画像露光及び現像が施された後、印刷機に取り付けて印刷に使用される。そして、印刷に使用された使用済み平版印刷版36は、印刷会社32で再生材料として回収されて次の再生工場34に送られて再生処理される。
図3に、平版印刷版の製造工場18で発生した端材33、及び印刷会社32で発生した使用済み平版印刷版36の再生材料を再生処理して再生地金を製造する再生地金製造装置38の一例を示した。なお、ここでは端材33及び使用済み平版印刷版36をまとめて再生材料40として説明する。
図3に示すように、再生材料40は、溶解炉42において680〜750℃の範囲で溶解されて溶湯44となる。
溶解炉42は、上方が天井壁46で遮蔽されていると共に、一方の側壁に再生材料40の投入口48が形成される。また、投入口48に対向する他方の側壁にはバーナー50が設けられ、投入された再生材料40を加熱溶解する。
次に、溶解炉42で溶解された再生材料40の溶湯44は、管路52を流れて台形形状をした水冷却又は空気冷却の鋳型54に注ぎ込まれ、1個当たり10〜1200Kgの台形形状の再生地金(インゴット)74に成形される。
なお、本発明においては、再生材料として用いる使用済み平版印刷版は、粗面化処理が塩酸電解方式でされたものである。したがって、用いる使用済み平版印刷版として塩酸電解品を選ぶ必要あがる。そのためには、予めその平版印刷版が塩酸電解方式であるかどうかを平版印刷版の製造会社に確認するなり、電子顕微鏡等で塩酸電解方式特有の粗面を有することが確認された種類の平版印刷版のみを用いるとよい。また、各種の粗面化処理方式が混在している場合には、平版印刷版に粗面化処理の方式が分かるためのマーキングを施し、マーキング検出装置を備えた回収ホッパーからマーキングの有無に応じてコンベア装置上に落下させ、回収ボックスに分別するようにしてもよい。
このように、再生材料40から再生地金74を製造する再生地金製造において、溶解炉42において680〜750℃範囲の溶解温度で再生材料40を溶解することにより、溶解炉42での溶解速度が速く、再生地金74を得るまでのタクト時間を短縮できる。これにより、再生地金の製造中における溶湯44と空気との接触時間が短くなるので、製造中に生成される酸化物質(酸化アルミ)の生成量が少なく、再生地金として得られる収率が高くなるので、再生地金1Kgを製造する際のCO発生量を低減できる。即ち、680℃以上にすることで680℃未満の場合よりも溶解時間を短くでき、750℃以下にすることで750℃を超えた場合に比べて収率を高くできる。
また、塩酸電解方式で粗面化処理された使用済みの平版印刷版30は、機械的粗面化方式や硝酸電解方式で粗面化処理したものに比べて、再生地金製造において溶解炉42での溶解速度が速く、再生地金を得るまでのタクト時間を短縮できる。これにより、上記溶解温度で説明したと同様の理由から再生地金として得られる収率が高くなるので、再生地金1Kgを製造する際のCO発生量を低減できる。
次に、図1に戻って、再生工場34で製造された再生地金74は、アルミ圧延工場14にリサイクルされる。アルミ圧延工場14では、再生工場34で製造された再生地金74のアルミニウム純度及び微量金属(例えば、Si,Fe,Cu,Mn)の含有率を分析する。再生地金74の分析は、再生工場34で行って、その再生地金74をアルミ圧延工場14に納品するときに分析データを添付してもよい。また、分析する微量金属は、Si,Fe,Cu,Mnに加えてMg,Zn,Ti,Crについても分析することが一層好ましい。
次に、分析された分析値と予め定められた平版印刷版としての所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率とを対比してその差を求め、求められた差に応じてアルミニウム純度と微量金属含有率との定まった新地金及び微量金属母合金の再生地金に対する配合割合を決定する。即ち、予め定められた平版印刷版としての所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率とするために配合可能な再生地金の最大配合割合を知ることができるので、再生地金の配合割合が最大になるように決定する。なお、新地金及び微量金属母合金のアルミニウム純度と微量金属含有率が定まっていない場合には、再生地金と同様に分析する。
そして、決定された配合割合に応じて再生地金と新地金と微量金属母合金とを圧延前溶解炉に投入すると共に加熱溶解してアルミニウム溶湯を得る。
かかる圧延前溶解炉への再生地金の投入において、再生地金74を球形形状にすると、圧延前溶解炉の底壁面に対して1点集中的に荷重がかかるので、再生地金74の重さを800Kg未満にしないと、底壁面を傷付け易い。通常の溶解炉材料はSiを含有しており、再生地金74の投入時に底壁面を傷つけると、傷からのSiの溶け出しにより再生地金が汚染されるだけでなく、最悪の場合には炉壁底を破損することもある。また、球形形状の再生地金74は平置き保管せざるを得ないので、保管スペースが大きくなる。
これに対して、再生地金74を台形形状にすることで、圧延前溶解炉に投入する際に底壁面に対して面荷重により荷重が分散されるので、再生地金74の重さを1200Kgまで重くしても底壁面を傷づけたり破損したりすることはない。これにより、再生地金74へのSi汚染を防止することができると共に、圧延前溶解炉への投入効率が上がるので、再生地金製造における仕事効率を向上できる。また、再生地金74を台形形状にすることで、段積みが可能となるので、保管スペースを削減できる。
そして、本発明の平版印刷版のリサイクル方法では、アルミ圧延工場14から平版印刷版の製造工場18に新地金100%のアルミニウム板16を送る新地金100%ルート90は最初のみ行って、2回目からはアルミ圧延工場14から平版印刷版の製造工場18に再生材料含有のアルミニウム板88を送るリサイクルルート92を行う。
これにより、平版印刷版の産業分野で発生するアルミスクラップを再利用するための完全なクローズドリサイクルの流れを構築することができる。この結果、CO発生量を新地金12のみで平版印刷版を製造した場合比べて75%程度低減できる。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例A)
実施例Aは、本願発明に沿って平版印刷版(PS版)を50t(トン)製造した場合と、従来のように新地金100%で平版印刷版(PS版)を50t製造した場合とのCO発生量をアルミ精錬工程、再生地金工程、アルミ圧延工程、平版印刷版の製造工程ごとに調べた結果である。
実施例Aの試験結果を表1に示す。なお、試験1〜3はアルミニウム原料が表1の通り異なるが、アルミ精錬工程〜PS版の製造工程までの条件は同一で行った。
Figure 0005452082
(備考)再生地金製造工程のCO発生量は、各電解品の溶解時の投入エネルギーと収率とから求めた。また、アルミ精錬工程、圧延工程でのCO発生量は、日本アルミ協会のHPのデータを使用した。
表1の結果から分かるように、本発明に沿って平版印刷版を製造した試験1のCO発生量は、新地金100を使用した試験3のCO発生量の約1/4(75%削減)まで低減することができる。また、アルミニウム原料として本発明の塩酸電解品を使用した試験1と、硝酸電解品を使用した試験2は、試験1と試験3との比較ほど大きな差ではないが、平版印刷版50t当たり3tの差があり、平版印刷版の製造業界全体として見た場合には大きな差となる。
(実施例B)
実施例Bは、粗面化処理の方法によって再生材料の溶解時間、収率、及びCO発生量がどのように違うかを調べた結果であり、塩酸電解方式、硝酸電解方式、機械的粗面化方式(回転ブラシ)で対比したものである。
試験方法は、720℃のアルミニウム溶湯10t中に、表2に示す各粗面化方式の平版印刷版1tをそれぞれ投入して、溶解するまでの時間、再生地金の収率、及び再生地金1t製造時のCO発生量を調べた。
実施例Bの試験結果を表2に示す。
Figure 0005452082
表2の結果から分かるように、塩酸電解方式で粗面化した平版印刷版は、硝酸電解方式や機械方式で粗面化した平版印刷版よりも溶解時間が短く、再生地金を得るまでのタクト時間が短いため、アルミニウムが空気中の酸素と結合して生成される酸化物質(酸化アルミ)が生成されにくい。これにより、表2の再生地金の収率も96.3%と一番よく、再生地金1t製造時のCO2発生量は0.33tと一番少なくなった。
(実施例C)
実施例Cは、溶解炉で溶解する再生材料(使用済み平版印刷版)の溶解温度と、溶解時間及び再生地金の収率との関係を調べたものである。
試験は、表3に示す各溶解温度のアルミニウム溶湯10t中に、塩酸電解方式の使用済み平版印刷版1tを投入し、溶解時間と再生地金の収率を調べた。
実施例Cの試験結果を表3に示す。
Figure 0005452082
表3から分かるように、溶解温度が680〜750℃では、溶解時間が30〜35分となり、650℃のときの70分に比べて約半分に短縮される。これにより、タクト時間が短くなるので、酸化物質(酸化アルミ)が生成されにくくなる。したがって、溶解温度が680〜750℃での再生地金の収率は、95.5〜96.0%となり、650℃のときの94.54%に比べて大きくなる。
一方、溶解温度が780℃と高いと、溶解時間は25分と更に短くなるが、再生地金の収率は92.0%と一番悪い結果であった。これは、溶解温度が780℃と高いことによって、空気中の酸素との酸化反応が活発となり、酸化物質(酸化アルミ)の生成が促進されるためと考察される。
したがって、再生地金を製造する際の溶解炉における溶解温度は、680〜750℃の範囲に設定することが好ましい。これにより収率が上がるので、再生地金製造工程でのCO発生量を低減できる。
(実施例D)
実施例Dは、再生地金の形状及び重さによって、保管スペース、溶解炉の底壁面への影響がどのように異なるかを調べたものである。
試験は、再生地金の溶解炉投入時における炉床の破損状況と、再生地金10tを保管するために必要な保管スペースを調べた。
炉床の破損状況は、アルミニウム溶湯10t中に、フォークリフトで各形状及び各重量の再生地金を投入し、レンガで形成された炉床への影響を調べた。また、保管スペースは、できるだけスペースをとらないように工夫して保管したときの保管スペースを調べた。
試験結果は、台形形状3000kg品を溶解炉に投入した場合、炉底にわずかな破損が見られたが、1200kgでは損傷がなかった。また、10kg、1200kg品を10トン保管するスペースは、段ずみ可能なので4〜6m2であった。
一方、球形500kg品を溶解炉に投入した場合、炉底に明らかに破損(へこみと亀裂)
が見られたが、10kg品では破損がなかった。また、10kg、500kg品を10トン保管するスペースは、平積みなので、40〜50m2であった。
以上より、再生地金は、1個当たり10〜1200Kgの台形形状にすることが好ましい。
再生地金の形状や重さは、CO発生量に直接関係はしないが、炉底が破損すると、炉底材料として通常使用されるレンガのSi成分がアルミニウム溶湯を汚染することになり、これによって再生地金の新地金に対する配合割合を減らさざる得ない場合が生じる。再生地金の配合割合が少なくなると、平版印刷版用支持体を製造する際のCO発生量は増加するので、再生地金の形状や重さは間接的にCO発生量に影響する。
(実施例E)
実施例Eは、ロットが異なる各種の塩酸電解品が混在する使用済み平版印刷版を再生材料として使用する場合に、本願発明のように、再生材料を溶解炉で一旦再生地金にしてから再生地金の配合割合が最大になるように新地金や微量金属母合金を配合率を決めて圧延前溶解炉に投入して平版印刷版を50t製造する場合(実施例)と、従来のように再生材料を新地金や微量金属母合金と一緒に圧延前溶融炉に直接投入して平版印刷版を50t製造する場合(比較例1)とで、CO発生量がどのように異なるかを調べた。
合わせて、新地金100%で平版印刷版を製造した場合(比較例2)のCO2発生量を調べた。
また、CO発生量は、アルミ精錬工程、再生地金の製造工程、圧延工程、及び平版印刷版の製造工程の各工程について調べて合計値を比較した。
実施例では、製造しようしている所望の平版印刷版に使用するアルミニウム板に要求される微量金属含有率と、分析によって得られた再生地金及び新地金の微量金属含有率の分析値とを対比した。そして、対比した結果に基づいて最大配合可能な再生地金の割合を41t、残りの新地金を9t、微量金属母合金(アルミ−銅合金)を4kgであることを予め計算により求め、その配合割合になるように圧延前溶解炉に投入・溶解した。その後、溶解したアルミニウム溶湯を圧延してアルミニウム板を形成し、このアルミニウム板を平版印刷版用支持体として平版印刷版を製造した。
比較例1では、ロットが異なる各種の塩酸電解品が混在する使用済み平版印刷版の10tを、圧延前溶解炉に直接10t投入・溶解してアルミニウム溶湯とし、このアルミニウム溶湯の一部を採取して微量金属含有率を分析した。このときの分析結果ではSi含有率が0.06%と低いことから、使用済み平版印刷版を更に10t圧延前溶解炉に追加投入・溶解した。そして、1回目と2回目の多段投入式の投入・溶解により得られたアルミニウム溶湯の一部を採取して微量金属含有率を分析した。その結果、Si含有率が0.09%となり、新地金を混合したとしても、所望の平版印刷版に要求されるSi含有率0.06%を超える危険性があると共に、多段投入式の場合には溶解時間が長くなって酸化物質(酸化アルミ)が多量に生成されて収率が下がる危険性があると判断し、使用済み平版印刷版の3回目の投入はせずに、新地金30t、微量金属母合金(アルミ−銅合金)20kgを圧延前溶解炉の投入・溶解した。その後、溶解したアルミニウム溶湯を圧延してアルミニウム板を形成し、このアルミニウム板を平版印刷版用支持体として平版印刷版を製造した。
比較例2は、実施例Aで製造した新地金100%での平版印刷版の製造方法と同様である。
実施例Eの試験結果を表4に示す。
Figure 0005452082
表4から分かるように、本発明に沿って実施した実施例は、再生材料から再生地金を製造する工程があるため、再生地金製造工程では比較例1や2では生じないCOが発生する。しかし、使用済み平版印刷版を溶解炉で溶解して一旦再生地金にすることで、ロットが異なる各種電解品が混在する場合であっても微量金属含有率が均一な再生地金を多数個製造することができる。したがって、同じ溶解炉で製造された再生地金は、同じ微量金属含有率を有することになるので、アルミニウム溶湯あるいは1つの再生地金の微量金属含有率を分析することで、新地金に対する再生地金の最大配合割合を高い精度で求めることができる。これにより、使用済み平版印刷版の配合割合を極限まで大きくしても所望の微量金属含有率を有する平版印刷版用支持体を製造することが可能となる。
ちなみに、比較例1のように、ロットが異なる各種電解品が混在する使用済み平版印刷版を圧延前溶解炉に直接投入する場合には、投入されるロット同士の割合により、微量金属含有率が違ってくるので、その都度、アルミニウム溶湯の微量金属含有率を分析して、試行錯誤しながら使用済み平版印刷版の配合を増やしていく必要がある。もし、本発明のように、圧延前溶解炉に使用済み平版印刷版を投入する前に、精度良く微量金属を分析しようとしたら、使用済み平版印刷版を1枚ごとに分析しなくてはならず、不可能である。
このように、使用済み平版印刷版等の再生材料を一旦再生地金にすることは、CO発生量を低減する上で重要な工程となる。
(実施例F)
実施例Fは、塩酸電解品である使用済み平版印刷版1tを溶解炉で溶解した後、700℃で保温した時の、保温時間と収率との関係を調べたものである。
実施例Fの試験結果を表5に示す。
Figure 0005452082
表5から分かるように、溶解した後、アルミニウム溶湯を高温に長く曝しておくと、収率は低下するので、使用済み平版印刷版を溶解炉で溶解したら、直ちに水冷式又は空冷式の鋳型に流し込んで再生地金を形成することが好ましい。
10…アルミ精錬工場、12…アルミニウムの新地金、14…アルミ圧延工場、16…新地金100%のアルミニウム板、18…平版印刷版の製造工場、20…粗面化処理工程、22…陽極酸化処理工程、24…製版層形成工程、26…乾燥工程、28…帯状原版、30…平版印刷版、32…印刷会社、33…端材、34…再生工場、36…印刷使用済み平版印刷版、38…再生地金製造装置、40…再生材料(印刷使用済み平版印刷版及び端材)、42…溶解炉、44…溶湯、46…天井壁、48…投入口、50…バーナー、52…管路、54…水冷鋳型、74…再生地金

Claims (8)

  1. 塩酸電解方式の粗面化処理を行う平版印刷版用支持体を製造する方法において、
    塩酸電解方式で粗面化処理された使用済みの平版印刷版のみを再生材料として準備する準備工程と、
    前記再生材料を溶解炉で溶解して溶湯を得ると共に該溶湯を所定の形状及び重さに成形して再生地金を得る再生地金製造工程と、
    前記再生地金のアルミニウム純度及び微量金属含有率を分析する分析工程と、
    前記分析された分析値と予め定められた平版印刷版としての所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率とを対比してその差を求める対比工程と、
    前記求められた差に応じてアルミニウム純度と微量金属含有率との定まった新地金及び微量金属母合金の前記再生地金に対する配合割合を決定する配合割合決定工程と、
    前記決定された配合割合に応じて前記再生地金と前記新地金と前記微量金属母合金とを圧延前溶解炉に投入すると共に加熱溶解してアルミニウム溶湯を得る加熱溶解工程と、
    前記得られたアルミニウム溶湯から圧延処理により帯状のアルミニウム板である平版印刷版用の支持体を作成する支持体作成工程と、を備え
    前記配合割合決定工程では、前記圧延処理を行う前のアルミニウム純度が99.0%以上になるようにすることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
  2. 前記再生地金製造工程では、前記再生材料を温度680〜750℃の範囲で溶解することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  3. 前記圧延処理前のアルミニウム溶湯のアルミニウム純度は99.0%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  4. 前記分析する微量金属は少なくともSi,Fe,Cu,Mnであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  5. 前記Siの含有率が0.5質量%以下、Feの含有率が0.7質量%以下、Cuの含有率が0.3質量%以下、Mnの含有率が0.5質量%以下になるようにすることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  6. 前記再生地金は1個当たり10〜1200Kgの台形形状にすると共に、台形形状の底面が前記溶解炉の炉床に載るように前記溶解炉に投入することを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  7. 前記請求項1〜6の何れか1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法で製造された平版印刷版用支持体の少なくとも片面に塩酸電解方式の粗面化処理を施す粗面化処理工程と、
    前記粗面化処理された平版印刷版用支持体に少なくとも製版層を形成して平版印刷版を製造する平版印刷版製造工程と、
    前記製造された平版印刷版に所望の印刷を行う印刷工程と、
    前記印刷工程で発生した使用済みの平版印刷版を回収する回収工程と、
    前記回収された使用済み平版印刷版を、前記請求項1〜6の何れか1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法の準備工程の再生材料とするリサイクル工程と、を備えたことを特徴とする平版印刷版のリサイクル方法。
  8. 前記再生材料として、印刷済みの平版印刷版以外に前記平版印刷版製造工程の製造加工途中で発生する平版印刷版の切断片等の端材を含むことを特徴とする請求項の平版印刷版のリサイクル方法。
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