JP4174525B2 - アルミニウム合金厚板の製造方法およびアルミニウム合金厚板 - Google Patents

アルミニウム合金厚板の製造方法およびアルミニウム合金厚板 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金厚板の製造方法およびアルミニウム合金厚板に関する。
一般に、アルミニウム合金厚板等のアルミニウム合金材は、ベース基板、搬送装置、真空装置用チャンバー等の半導体関連装置の他、電機電子部品やその製造装置、生活用品、機械部品等さまざまな用途で使用されている。
このようなアルミニウム合金材は、原料であるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を製造し、必要に応じて均質化熱処理した後、この鋳塊を所定厚さまで圧延することにより製造するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
また、プレス用金型に用いる金型素材としては、量産生産用には鉄鋼、鋳鋼等が、また試作用としては、亜鉛合金鋳物材、アルミニウム合金鋳物材等が使用されている。さらに、近年においては、多品種少量化の傾向から、中少量生産用として、アルミニウム合金の圧延あるいは鍛造材等の展伸材が普及している。
特開2005−344173号公報(段落0037〜0045)
しかしながら、前記した圧延によるアルミニウム合金材の製造方法では、以下に示す問題があった。
鋳造後に圧延を行う方法では、圧延板の表面状態および平坦度(特に長手方向の平坦度)の制御は圧延ロールのみで行うことになり、また、熱間圧延により圧延板表面に厚い酸化皮膜が形成されるため、表面状態および平坦度の制御が困難であるという問題があった。また、圧延ロールでは、板厚を制御しにくいため、板厚精度が悪いという問題、板厚方向中心部で、金属間化合物のサイズが大きくなることにより、アルマイト処理した場合に、板厚方向断面における表面にムラを生じるという問題があった。さらに、鋳塊を圧延する場合には、圧延の回数の増加により作業工程が増えることで、コストが増大するという問題があった。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、生産性に優れ、表面状態および平坦度の制御が容易であり、板厚精度を向上させたアルミニウム合金厚板の製造方法およびこの製造方法により得られたアルミニウム合金厚板を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係るアルミニウム合金厚板の製造方法は、Mg:1.5質量%以上12.0質量%以下を含有し、さらに、Si:0.7質量%以下、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.6質量%以下、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.5質量%以下、Zn:0.4質量%以下、Ti:0.1質量%以下のうち少なくとも1種以上を含有し、かつ、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解する溶解工程と、前記溶解工程で溶解されたアルミニウム合金から水素ガスを除去する脱水素ガス工程と、前記脱水素ガス工程で水素ガスを除去したアルミニウム合金から介在物を除去するろ過工程と、前記ろ過工程で介在物を除去したアルミニウム合金を鋳造して鋳塊を製造する鋳造工程と、前記鋳塊を、熱間圧延を行わずに所定厚さにスライスして最終製品とするスライス工程と、をこの順に行うことを特徴とする。
このような製造方法によれば、アルミニウム合金厚板のMgの含有量、および所定の元素の含有量を所定範囲に限定することによって、アルミニウム合金厚板の金属間化合物の微細化や強度が向上する。
また、脱水素ガス工程により、水素ガスを除去することによって、鋳塊中の水素濃度が限定され、鋳塊中の結晶粒が粗大化しても、鋳塊の表面近傍の粒界に水素が集積、濃化せず、鋳塊のフクレ、およびフクレに起因するアルミニウム合金厚板のメクレが抑制されるとともに、厚板の表面欠陥として現れる厚板表面の潜在的欠陥が抑制される。さらに、アルミニウム合金厚板の強度が向上する。
また、ろ過工程により、アルミニウム合金から酸化物や非金属等の介在物が除去される。
さらに、鋳塊を、熱間圧延を行わずにスライスして最終製品とすることにより、酸化皮膜厚が減少するとともに、アルミニウム合金厚板の表面状態、平坦度および板厚精度が向上し、また、生産性が向上する。
請求項2に係るアルミニウム合金厚板の製造方法は、前記鋳造工程の後に、鋳塊を400℃から融点未満の温度で1時間以上保持する熱処理を施すことを特徴とする。
このような製造方法によれば、アルミニウム合金の内部応力が除去され、また、内部組織が均一化する。
請求項3に係るアルミニウム合金厚板の製造方法は、前記最終製品とするスライス工程の後に、スライスされた所定厚さのアルミニウム合金厚板の表面に、さらに表面平滑化処理を行うことを特徴とする。
このような製造方法によれば、アルミニウム合金厚板の表面状態および平坦度がさらに向上する。また、表面の平滑化により、厚板表面のガス溜りがなくなる。
請求項4に係るアルミニウム合金厚板の製造方法は、前記表面平滑化処理を、切削法、研削法および研磨法から選択された1種以上の方法で行うことを特徴とする。
このような製造方法によれば、アルミニウム合金厚板の表面状態および平坦度がさらに向上する。また、厚板表面の平滑化により、ガス溜りがなくなる。
請求項5に係るアルミニウム合金厚板は、前記記載のアルミニウム合金からなるアルミニウム合金厚板において、水素ガス量0.2ml/100g以下、板厚断面における表面近傍と板厚中央部の晶出物の面積率の差が10%以内であることを特徴とする。
このようなアルミニウム合金厚板によれば、アルミニウム合金厚板の表面状態、平坦度および板厚精度が向上し、さらに、厚板表面の平滑化により、ガス溜りがなくなる。
本発明の請求項1に係るアルミニウム合金厚板の製造方法によれば、溶解された所定の組成を有するアルミニウム合金から水素ガスや、酸化物、非金属等の介在物を除去することにより、アルミニウム合金厚板の表面欠陥を防ぐとともに、強度を向上させることができ、さらに、鋳造工程において高品質の鋳塊とすることができる。
また、鋳塊をスライスしてアルミニウム合金を製造するため、従来のアルミニウム合金のように熱間圧延によって厚さを減少させる必要がなくなり、作業工程の省略化を図ることができ、生産性を向上させることができる。また、厚板の端面における表面のムラが解消され、表面状態および平坦度を容易に制御でき、板厚精度を向上させることができる。
請求項2に係るアルミニウム合金厚板の製造方法によれば、鋳塊に熱処理を施すことにより、アルミニウム合金厚板の内部応力の除去、内部組織の均一化を図ることができる。そのため、表面状態や平坦度を向上させることができ、また、アルミニウム合金厚板の切削時の変形を防ぐことができるため、切削性を向上させることができる。
請求項3および請求項4に係るアルミニウム合金厚板の製造方法によれば、スライスされたアルミニウム合金厚板の表面に表面平滑化処理を行うので、アルミニウム合金厚板の表面状態および平坦度をさらに向上させることができる。また、表面の平滑化により、ガス溜りがなくなるため、真空装置用チャンバーに使用した場合には、チャンバーの真空度を向上させることができる。
請求項5に係るアルミニウム合金厚板によれば、アルミニウム合金厚板の表面状態、平坦度および板厚精度が良好であり、また、表面の平滑化により、ガス溜りがなくなり、高品質なアルミニウム合金厚板とすることができる。更に板厚断面でのアルマイト処理後の表面外観にムラが生じにくくなる。そのため、多種多様な用途に使用することができ、また、他用途へのリサイクルも可能である。
次に、図面を参照して本発明に係るアルミニウム合金厚板の製造方法およびアルミニウム合金厚板について詳細に説明する。なお、参照する図面において、図1は、アルミニウム合金厚板の製造方法のフローを示す図である。
図1に示すように、アルミニウム合金厚板(以下、適宜「厚板」という)の製造方法は、アルミニウム合金を溶解する溶解工程(S1)と、脱水素ガス工程(S2)と、ろ過工程(S3)と、鋳造工程(S4)と、スライス工程(S6)と、をこの順に行うものである。また、必要に応じて、鋳造工程(S4)の後に、熱処理工程(S5)を含めてもよく、スライス工程(S6)の後に、表面平滑化処理工程(S7)を含めてもよい。
この製造方法では、まず、原料であるアルミニウム合金が溶解工程(S1)により溶解される。溶解工程(S1)で溶解されたアルミニウム合金は、脱水素ガス工程(S2)で水素ガスが除去され、ろ過工程(S3)で酸化物や非金属等の介在物が除去される。次に、このアルミニウム合金は、鋳造工程(S4)で鋳造されて鋳塊となり、この鋳塊は、必要に応じて、熱処理工程(S5)で熱処理され、その後、スライス工程(S6)で所定厚さにスライスされる。なお、必要に応じて、スライス工程(S6)の後に、表面平滑化処理工程(S7)により、表面平滑化処理を行ってもよい。
次に、アルミニウム合金厚板の製造方法における各工程について説明する。
<溶解工程>
溶解工程(S1)は、所定量のMgを含有し、さらに、所定量のSi、Fe、Cu、Mn、Cr、Zn、Tiのうち少なくとも1種以上を含有し、かつ、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解する工程である。
以下に、各成分の含有量を数値限定した理由について説明する。
[Mg:1.5質量%以上12.0質量%以下]
Mgは、アルミニウム合金の強度を向上させる効果がある。Mgの含有量が1.5質量%未満であるとこの効果は小さく、一方、Mgの含有量が12.0質量%を超えると、鋳造性が著しく低下し、製品製造が不可能となる。
アルミニウム合金は、前記のMgを必須成分として含有し、さらに、以下のSi、Fe、Cu、Mn、Cr、Zn、Tiのうち少なくとも1種以上を含有する。
[Si:0.7質量%以下]
Siは、アルミニウム合金の強度を向上させる効果がある。Siは、通常、地金不純物としてアルミニウム合金中に混入するものであり、鋳造工程(S4)等において、鋳塊中にMnやFeと相まってAl−(Fe)−(Mn)−Si系金属間化合物を生じさせる。Siの含有量が0.7質量%を超えると、粗大な金属間化合物が鋳塊中に生じ、アルマイト処理後の表面外観にムラが生じ易くなる。よって、Siの含有量は、0.7質量%以下とする。
[Fe:0.8質量%以下]
Feは、アルミニウム合金の結晶粒を微細化、安定化させるとともに、強度を向上させる効果がある。Feも、通常、地金不純物としてアルミニウム合金中に混入し、鋳造工程(S4)等において、鋳塊中にMnやSiと相まってAl−Fe−(Mn)−(Si)系金属間化合物を生じさせる。Feの含有量が0.8質量%を超えると、粗大な金属間化合物が鋳塊中に生じ、アルマイト処理後の表面外観にムラが生じ易くなる。よって、Feの含有量は、0.8質量%以下とする。
[Cu:0.6質量%以下]
Cuは、アルミニウム合金板の強度を向上させる効果がある。ただし、厚板としての使用に耐えうる強度を確保するためにはCuの含有量が0.6質量%で十分である。よって、Cuの含有量は0.6質量%以下とする。
[Mn:1.0質量%以下]
Mnは、アルミニウム合金中に固溶して強度を向上させる効果がある。一方、Mnの含有量が1.0質量%を超えると粗大な金属間化合物が生じ、アルマイト処理後の表面外観にムラが生じ易くなる。よって、Mn含有量は1.0質量%以下とする。
[Cr:0.5質量%以下]
Crは、鋳造工程(S4)および熱処理工程(S5)において、微細な化合物として析出し、結晶粒成長を抑制する効果がある。Crの含有量が0.5質量%を超えると、初晶として粗大なAl−Cr系金属間化合物が生じ、アルマイト処理後の表面外観にムラが生じ易くなる。よって、Crの含有量は、0.5質量%以下とする。
[Zn:0.4質量%以下]
Znは、アルミニウム合金の強度を向上させる効果がある。ただし、厚板としての使用に耐えうる強度を確保するためにはZnの含有量が0.4質量%で十分である。よって、Znの含有量は0.4質量%以下とする。
[Ti:0.1質量%以下]
Tiは鋳塊の結晶粒を微細化させる効果がある。Tiの含有量が0.1質量%を超えてもその効果は飽和する。よって、Tiの含有量は0.1質量%以下とする。
また、不可避的不純物としてのV、B等の含有量は、それぞれ0.01質量%以下であれば、本発明のアルミニウム合金厚板の特性に影響しない。
<脱水素ガス工程>
脱水素ガス工程(S2)は、溶解工程(S1)で溶解されたアルミニウム合金から水素ガスを除去する工程である。
水素ガスは、燃料中の水素や地金等に付着している水分、その他有機物等から発生する。水素ガスが多く含まれていると、ピンホールの原因となったり、製品の強度が弱くなったりする。また、鋳塊の表面近傍の粒界に水素が集積、濃化し、鋳塊のフクレ、およびフクレに起因するアルミニウム合金厚板のメクレが発生するとともに、厚板の表面欠陥として現れる厚板表面の潜在的欠陥が生じる。
そのため、水素ガスは、アルミニウム合金100g中0.2ml以下とするのが好ましく、0.1ml以下とするのがより好ましい。
脱水素ガス工程における水素ガスの除去は、溶湯をフラクシング、塩素精錬、またはインライン精錬等を行うことによって好適に行うことができるが、脱水素ガス装置にスニフやポーラスプラグ(特開2002−146447号公報参照)を用いて行うと、より好適に除去することができる。
ここで、鋳塊の水素ガスの濃度は、例えば、均質化熱処理前の鋳塊からサンプルを切り出し、アルコールとアセトンで超音波洗浄を行ったものを、例えば、不活性ガス気流融解熱伝導度法(LIS AO6−1993)により求めることができる。また、アルミニウム合金厚板の水素ガスの濃度は、例えば、アルミニウム合金厚板からサンプルを切り出し、NaOH浸漬後、硝酸で表面の酸化皮膜を除去し、アルコールとアセトンで超音波洗浄を行ったものを、真空加熱抽出容量法(LIS AO6−1993)により求めることができる。
<ろ過工程>
ろ過工程(S3)は、ろ過装置により、アルミニウム合金から主として酸化物や非金属の介在物を除去する工程である。
ろ過装置には、例えば1mm程度の粒子のアルミナが用いられたセラミックチューブが設けられており、これに溶湯を通すことによって前記の酸化物や介在物を除去することができる。
これらの脱水素ガスやろ過により、鋳造工程(S4)において、高度に品質を確保したアルミニウム合金を鋳塊とすることができる。また酸化物の堆積物(ドロス)の堆積を抑制できるので、ドロス除去の手間を低減することができる。
<鋳造工程>
鋳造工程(S4)は、例えば、水冷鋳型を含んで構成されている鋳造装置で、アルミニウム合金の溶湯を直方体形状等の所定の形状に形成して固化することで鋳塊を製造するための工程である。
鋳造方法としては、半連続鋳造法を用いることができる。
半連続鋳造法は、底部が開放された金属製の水冷鋳型に、上方より金属の溶湯を注入し、水冷鋳型の底部より凝固した金属を連続的に取り出し、所定厚さの鋳塊を得るものである。なお、半連続鋳造法は、縦向き、横向きのどちらで行ってもよい。
<スライス工程>
スライス工程(S6)は、鋳造工程(S4)により鋳造された鋳塊を所定厚さにスライスする工程である。
スライス方法としては、スラブスライス法を用いることができる。
スラブスライス法は、前記した半連続鋳造法で製造した鋳塊を、帯鋸切断機等によってスライスすることにより、鋳塊を鋳造方向に切り出す方法であり、これにより所定厚さのアルミニウム合金厚板が製造される。ここで、アルミニウム合金厚板の厚さは、15〜200mmが好ましいが、特に限定されるものではなく、アルミニウム合金厚板の用途により、適宜変更することができる。
スライスの方法としては、帯鋸を用いるのが好ましいが、特に限定されるものではなく、丸鋸切断機により切断してもよい。また、レーザーや水圧等により切断してもよい。
このように、鋳塊をスライスすることにより、圧延材に比較して、表面状態、平坦度、板厚精度等に優れたアルミニウム合金厚板、例えば、平坦性の評価において、鋳造方向1m当たりの平坦度(反り量)を、0.4mm以下/1m長さ、板厚精度を±100μm以下とする厚板を得ることができる。
前記鋳造工程(S4)で作製された鋳塊をスライスする前に、適宜必要に応じて、内部応力の除去、内部組織の均一化を目的とした熱処理を実施してもよい。
<熱処理工程>
熱処理工程(S5)は、鋳造工程(S4)で作製された鋳塊を熱処理(均質化熱処理)する工程である。
均質化熱処理は、常法にしたがって、処理温度400℃から融点未満の温度で1時間以上保持することにより行う。
均質化熱処理の処理温度が400℃未満であると、内部応力の除去量が小さく、鋳造中に偏析した溶質元素の均質化も不十分となり、敢えて熱処理を施した効果は小さい。よって、処理温度は400℃以上とする。また、処理温度が融点を超えると、鋳塊表面の一部が溶解するバーニングと呼ばれる現象が生じ、アルミニウム合金厚板の表面欠陥の原因になり易い。よって、処理温度は融点以下とする。また、処理時間が1時間未満であると、金属間化合物の固溶が不十分となり析出し易い。よって、処理時間は1時間以上とする。
前記製造方法で製造されたアルミニウム合金厚板は、適宜必要に応じて、厚板表面に形成された晶出物や酸化物を除去するため、また、厚板表面のガス溜りをなくすため、表面平滑化処理を行ってもよい。
<表面平滑化処理工程>
表面平滑化処理工程(S7)は、スライス工程(S6)によりスライスされたアルミニウム合金厚板の表面を平滑化する工程である。
表面平滑化処理法としては、エンドミル切削やダイヤモンドバイト切削等の切削法、表面を砥石等で削る研削法、バフ研磨等の研磨法等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
ここで、アルミニウム合金厚板の用途の一つである真空装置用チャンバーは、高真空に減圧した際、チャンバーの内側表面からの吸着ガスの放出や、厚板に固溶しているガス原子の表面への放出により、真空度が低下する。そのため、目標の真空度に達するまでの時間が長くなり、生産効率が低下する。よって、チャンバーに用いるアルミニウム合金厚板は、チャンバーの内側部分に位置する厚板の表面に吸着するガスが少なく、高真空になっても厚板に固溶しているガス原子が放出されないことが求められる。
したがって、アルミニウム合金厚板をチャンバー用とする場合には、表面平滑化処理を行うことは特に有効である。
前記した製造方法により得られたアルミニウム合金厚板は、前記したように、表面状態、平坦度および板厚精度が良好である。そのため、ベース基板、搬送装置、真空装置用チャンバー等の半導体関連装置の他、電機電子部品やその製造装置、生活用品、機械部品等さまざまな用途に使用することができ、また、他用途へのリサイクルも可能である。
次に、本発明に係るアルミニウム合金厚板について説明する。
<アルミニウム合金厚板>
アルミニウム合金厚板は、前記したアルミニウム合金(Al−Mg系合金)からなり、合金中の水素濃度が0.2ml/100g以下、かつ、板厚断面における表面近傍と板厚中央部における金属間化合物(晶出物)の面積率の差が10%以内としたものである。
なお、水素濃度の制御は、前記記載の製造方法により行うことも可能である。
ここで、Al−Fe−Mn系晶出物の面積率によりアルマイト後の色調が変化するため、面積率の差が10%を超えるとアルマイト後の色調ムラが生じる。一方、10%以内であれば、色調ムラが生じない。
つまり、圧延材の場合、板厚方向中心部で、金属間化合物のサイズが大きくなるため、アルマイトした場合に断面に色調ムラを生じるが、鋳塊からスライスした場合には、金属間化合物の分布状態が平均化され、表面近傍と板厚中央部における晶出物の面積率の差が小さいため、色調ムラを生じない。
このような面積率の測定方法としては、板厚断面における板厚表面近傍(例えば、板厚1/8の位置と定義する)と板厚中央部(例えば、板厚1/2の位置と定義する)での晶出物の面積率を測定することにより行う。
具体的には、板厚断面において、SEMの組成像で画像処理により、観察倍率を1000倍、視野を20視野以上とし、Al−Fe−Mn系の晶出物の面積率を求めることにより行う。
なお、耐食性については、ベース基板用や搬送装置用は、クリーンルーム内での使用のため、一般的な耐食性は不要である。また、真空装置用チャンバーに使用する場合でも、腐食性ガスの暴露が少ない環境となるためシビアな耐食性は不要である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
次に、本発明の特許請求の範囲を満たす実施例の効果について、本発明の特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
[実施例1]
初めに、表1に示す組成を有するアルミニウム合金を溶解し、脱水素ガス処理、ろ過を行った後、鋳造して板厚500mmの鋳塊を作製した。作製した鋳塊を500℃で4時間加熱して均質化熱処理した。この鋳塊をスライスまたは熱間圧延して、厚さ20mmのアルミニウム合金厚板(スライス材、熱間圧延材)を作製した。
このスライス材および熱間圧延材について、以下の試験を行った。
<平坦性評価試験>
平坦性評価は、スライス材については、鋳造方向1mあたりの反り量(平坦度)、熱間圧延材については、圧延方向1mあたりの反り量(平坦度)を測定した。平坦度が0.4mm/1m長さ以下のものを合格(○)、0.4mm/1m長さを超えるものを不合格(×)とした。
この結果を表2に示す。
<強度試験>
強度は、アルミニウム合金厚板より、JIS5号試験片を作製して引張試験を行い、引張強さ、0.2%耐力を測定することにより行った。
引張強さが180N/mm以上のものを合格(○)、引張強さが180N/mm未満のものを不合格(×)とした。
<アルマイト性評価試験>
アルマイト性評価は、アルミニウム合金厚板の表面および断面の外観を観察することにより行った。
アルミニウム合金厚板(スライス材、熱間圧延材)の表面および断面に、硫酸アルマイト処理(15%硫酸、20℃、電流密度2A/dm)にて厚さ10μmのアルマイト皮膜を形成した。この厚板の表面および断面の外観を観察し、外観にムラが無いものを合格(○)、ムラがあるものを不合格(×)とした。
なお、板厚断面における表面近傍と板厚中央部の晶出物の面積率の差がアルマイト性に影響するため、表面近傍と板厚中央部の晶出物の面積率を求めた。
面積率の測定方法としては、板厚断面において、SEMの組成像で画像処理により、観察倍率を1000倍、視野を20視野以上とし、板厚表面近傍(1/8の位置)の位置と板厚中央部(1/2の位置)の晶出物の面積率を測定することにより行った。
この結果を表2に示す。
[実施例2]
初めに、表1示す番号3の組成を有するアルミニウム合金(合金成分3)を溶解し、脱水素ガス処理、ろ過を行った後、鋳造して板厚500mmの鋳塊を作製した。作製した鋳塊を表3に示す条件で、均質化熱処理した。この鋳塊をスライスして、厚さ20mmのアルミニウム合金厚板(スライス材)を作製した。
このスライス材について、平坦性評価試験を行った。
<平坦性評価試験>
平坦性評価は、鋳造方向1mあたりの反り量(平坦度)を測定した。平坦度が0.4mm/1m長さ以下のものを合格(○)、0.25mm/1m長さ以下のものを良好(◎)とした。
この結果を表3に示す。
Figure 0004174525
Figure 0004174525
Figure 0004174525
表2に示すように、スライス材(合金成分1〜13、15〜21)については、加工歪みが少なく、反りが小さかった。すなわち、平坦度が良好であった。
合金成分14では、Mgが上限を超えるため、鋳造割れが発生し、製造が不可能であった。
合金成分13では、Mgの含有量が下限値未満のため、強度が不足した。
合金成分1〜13、17、20、21は、アルミニウム合金厚板のアルマイト処理後の表面の外観にムラを生じなかった。
合金成分15、16、18、19は、それぞれ、Si、Fe、Mn、Crの含有量が上限値を超えるため、金属間化合物が生じ、アルマイト処理後の表面の外観にムラを生じた。
合金成分1〜13、15〜21については、アルミニウム合金厚板のアルマイト処理後の断面の外観にムラを生じなかった。
一方、熱間圧延材(合金成分1〜13、15〜21)については、加工歪みが蓄積され、圧延方向に反りが大きかった。すなわち、平坦度が不良であった。
合金成分14では、Mgが上限を超えるため、鋳造割れが発生し、製造が不可能であった。
合金成分13では、Mgの含有量が下限値未満のため、強度が不足した。
合金成分15、16、18、19は、それぞれ、Si、Fe、Mn、Crの含有量が上限値を超えるため、金属間化合物が生じ、アルマイト処理後の表面の外観にムラを生じた。
合金成分1〜13、15〜21については、アルミニウム合金厚板のアルマイト処理後の断面の外観にムラを生じた。
また、熱間圧延した熱間圧延材については、板厚断面での板厚表面近傍と板厚中央部の晶出物面積率の差が10%を超えていた。
なお、スライス材の合金成分17、20、21については、それぞれ、Cu、Zn、Tiの含有量が上限値を超え、その効果が飽和したものであり、経済性に劣るものである。
表3に示すように、実施例1、2では、均質化熱処理の条件が、本発明の範囲を満たすため、平坦度が良好であった。実施例3では、均質化熱処理を行っていないため、平坦度が合格値ではあるが、均質化熱処理を行ったものに比べ、やや劣っていた。実施例4では、均質化熱処理の処理温度が400℃未満であるため、平坦度が合格値ではあるが、処理温度の条件を満たすものに比べ、やや劣っていた。実施例5では、バーニングが発生し、製造が不可能であった。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく本発明の範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。
アルミニウム合金厚板の製造方法のフローを示す図である。
符号の説明
S1 溶解工程
S2 脱水素ガス工程
S3 ろ過工程
S4 鋳造工程
S5 熱処理工程
S6 スライス工程
S7 表面平滑化処理工程

Claims (5)

  1. Mg:1.5質量%以上12.0質量%以下を含有し、さらに、Si:0.7質量%以下、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.6質量%以下、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.5質量%以下、Zn:0.4質量%以下、Ti:0.1質量%以下のうち少なくとも1種以上を含有し、かつ、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解する溶解工程と、
    前記溶解工程で溶解されたアルミニウム合金から水素ガスを除去する脱水素ガス工程と、
    前記脱水素ガス工程で水素ガスを除去したアルミニウム合金から介在物を除去するろ過工程と、
    前記ろ過工程で介在物を除去したアルミニウム合金を鋳造して鋳塊を製造する鋳造工程と、
    前記鋳塊を、熱間圧延を行わずに所定厚さにスライスして最終製品とするスライス工程と、をこの順に行うことを特徴とするアルミニウム合金厚板の製造方法。
  2. 前記鋳造工程の後に、鋳塊を400℃から融点未満の温度で1時間以上保持する熱処理を施すことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金厚板の製造方法。
  3. 前記最終製品とするスライス工程の後に、スライスされた所定厚さのアルミニウム合金厚板の表面に、さらに表面平滑化処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金厚板の製造方法。
  4. 前記表面平滑化処理を、切削法、研削法および研磨法から選択された1種以上の方法で行うことを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金厚板の製造方法。
  5. 請求項1に記載のアルミニウム合金からなるアルミニウム合金厚板において、水素ガス量0.2ml/100g以下、板厚断面における表面近傍と板厚中央部の晶出物の面積率の差が10%以内であることを特徴とするアルミニウム合金厚板。
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