JP5451301B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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このようなa−Si感光体の基本構成としては、図5(b)に示すようなプラス帯電用a−Si感光体が知られている。プラス帯電用a−Si感光体は、導電性基体5001の上にa−Siで構成された光受容層5002を形成し、更に水素化アモルファスシリコンカーバイド(以下、「a−SiC」とも表記する。)で構成された表面層5005を積層した構成となっている。光受容層5002は、電荷注入阻止層5003と光導電層5004との積層構造であっても良い。
基体の上にa−Si系の光導電層とa−SiC表面層を積層したa−Si感光体に、光導電層と表面層との界面近傍における水素原子含有量が、光導電層及び表面層のいずれかの層の水素含有量よりも多い中間層を有する光受容部材が知られている。そのような光受容部材を作製する技術が特許文献1に開示されている。このように、光導電層と表面層との界面近傍に水素含有量が多い中間層を形成することにより、光感度に優れた光受容部材を有する電子写真感光体の作製が可能となる(特許文献1参照)。
電子写真感光体の寿命を向上させるためには、良好な電子写真感光体を維持しつつa−SiC表面層自体の硬度の向上が必要となる。a−SiC表面層自体の硬度の向上は、従来よりも緻密なa−SiC表面層にすることにより達成することができる。
しかしながら、緻密なa−SiC表面層を光導電層上に積層させると、特異的な環境の変化(温度、湿度の急激な変化や振動等)が生じた場合に、光導電層とa−SiC表面層との界面近傍で剥がれが生じる場合があった。この特異的な環境の変化の一例としては、電子写真感光体の航空機輸送が挙げられる。
以上のことから、従来の電子写真感光体において、表面層自体の内部応力が高いa−SiC表面層を光導電層に積層した場合に、特異的な環境においては光導電層とa−SiC表面層の良好な密着性を維持することは非常に困難な課題であった。
そこで、本発明の目的としては、内部応力が高いa−SiC表面層を光導電層の上に積層した場合においても、良好な電子写真感光体特性を維持しつつ、特異的な環境でも良好な密着性を実現し、高寿命な電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
前記中間層を形成する工程が少なくとも第1の工程及び第2の工程からなり、前記第1の工程に続いて前記第2の工程を行い、前記第1の工程は前記反応容器内に導入される高周波電力は一定で、前記反応容器内に供給される原料ガスの流量を変化させる工程であり、前記第2の工程は前記反応容器内に供給される原料ガスの流量は一定で、前記反応容器内に導入される高周波電力を上昇させる工程であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
<本発明に係る電子写真感光体の層構成>
図5(a)は、本発明の製造方法によって作製されたプラス帯電用電子写真感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
導電性基体5001の上に光受容層5002と中間層5006及び表面層5005とがこの順に設けられている。光受容層5002は、ケイ素原子を母材とする電荷注入阻止層5003、ケイ素原子を母材とする光導電層5004がこの順に設けられている。中間層5006及び表面層5005は、ケイ素原子及び炭素原子を母材としている。光導電層はケイ素原子を含む非晶質材料で構成され、中間層はケイ素原子及び炭素原子を含む非晶質材料で構成され、表面層もケイ素原子及び炭素原子を含む非晶質材料で構成されている。
図3は本発明のa−Si感光体を作製するための高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に示した図である。
この装置は大別すると、反応容器3110を有する堆積装置3100、原料ガス供給装置3200、及び、反応容器3110の中を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。反応容器3110は真空排気可能である。
反応容器3110の中にはアースに接続された導電性基体3112が載置され、また、反応容器3110の中には導電性基体加熱用ヒーター3113、及び、原料ガス導入管3114が設置されている。さらにカソード電極3111には高周波マッチングボックス3115を介して高周波電源3120が接続されている。
原料ガス供給装置3200は、SiH4,H2,CH4,NO,B2H6のような原料ガスのボンベ3221〜3225、バルブ3231〜3235、圧力調整器3261〜3265、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255及びマスフローコントローラ3211〜3215から構成されている。各原料ガスを封入したガスのボンベは補助バルブ3260を介して反応容器3110の中の原料ガス導入管3114に接続されている。
不図示の排気装置は例えば、メカニカルブースターポンプやロータリーポンプで構成される。
次に、ガス供給装置3200より堆積膜形成に用いるガスを反応容器3110に供給する。すなわち、必要に応じバルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を開き、マスフローコントローラ3211〜3215に流量設定を行う。各マスフローコントローラの流量が安定したところで、真空計3119の表示を見ながらメインバルブ3118を操作し、反応容器3110の中の圧力が所望の圧力になるように調整する。所望の圧力が得られたところで高周波電源3120より高周波電力を印加すると同時に高周波マッチングボックス3115を操作し、反応容器3110の中にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所望の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。
以上で、堆積層の形成を終えるが、複数の堆積層を形成する場合、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すれば良い。すべての堆積膜形成が終わった後に、メインバルブ3118を閉じ、反応容器3110の中に不活性ガスを導入し大気圧に戻した後、導電性基体3112を取り出す。
本発明では、前記中間層を形成する工程が少なくとも第1の工程及び第2の工程からなり、前記第1の工程に続いて前記第2の工程を行い、前記第1の工程は前記反応容器内に導入される高周波電力は一定で、前記反応容器内に供給される原料ガスの流量を変化させる工程であり、前記第2の工程は前記反応容器内に供給される原料ガスの流量は一定で、前記反応容器内に導入される高周波電力を上昇させる工程とすることを特徴としている。
ここで高周波電力及びガス流量一定、高周波電力及びガス流量変化の定義について述べる。
本発明での一定とは中間層第1の工程または第2の工程を通して全域で一定であると定義する。
また、一定とは装置の制御能力を超える変化は含んでいる。例えば、高周波電力に関しては、出力電力2kW、出力安定度±1%の高周波電源を用いた場合は、狙い値に対して±20W以内の変化は一定とみなす。また、ガス流量に関しては最大流量1000cc、制御精度±1%のマスフローコントローラーを用いた場合は狙い値に対して±10ccの変化は一定とみなす。
中間層の役割は基本的には光導電層と表面層の特性を繋ぐことにある。具体的には中間層形成中に光導電層から表面層へ高周波電力、原料ガスのガス流量、反応容器内の内圧等の条件を変化させる。光導電層と表面層を繋ぐ過程で中間層の形成方法を本発明のようにすることにより、電子写真感光体特性を維持しつつ、特異的な環境の変化が生じても表面層の剥がれ抑制に大きな効果が得られる。この理由を以下に示す。
そこで本発明では、上記のように原料ガスの流量が変化する工程と高周波電力が変化する工程、すなわち第1の工程と第2の工程とに分ける。これによって、反応容器内のスパークの発生を防止し、放電安定性が増すと考えられる。その結果、中間層の堆積膜均一性が良化する。それにより、局所的な応力の集中を低減し、表面層からの高い応力を緩和できると考えられる。そのため、密着性が良好となると推察される。
中間層を形成する第1の工程で高周波電力を増大させた後、中間層を形成する第2工程において原料ガスの流量を変化させてしまうと高周波電力が高い状態で原料ガスの流量を変化させることになり、放電不安定となる場合がある。以上のことから中間層を形成する第1の工程では反応容器内に導入される高周波電力は一定で、反応容器内に供給される原料ガスの流量を変化させ、中間層を形成する第2の工程では反応容器内に供給される原料ガスの流量は一定で、高周波電力を上昇させるほうがよい。これにより、放電安定性が増し、局所的な応力の集中を低減し、表面層からの高い応力を緩和できると考えられる。それにより、密着性が良好となると推察される。
中間層を形成する第2の工程では中間層を形成する第1の工程の高周波電力と表面層を形成する工程での高周波電力を繋ぐように高周波電力を上昇させればよい。例えば、一旦高周波電力を下げた後、上昇させてもよい。また、一旦高周波電力を上昇させた後に、下げても良い。このように高周波電力を上昇させる工程があればどのように繋いでもよいが、好ましくは図1に示すように連続的または図2に示すように段階的に上昇させるほうがよい。
中間層を形成させる第1の工程のスタート時には反応容器内に供給されるガスの総流量及び炭素供給源である原料ガスの流量は光導電層との兼ね合いで適宜決定される。上述したように表面層からの高い応力を緩和するためには中間層はa−SiCの緻密性を落として、密着性を向上するほうが好ましい。そのため、高周波電力は一定で、総流量及び炭素供給源である原料ガスの流量を増大させ、堆積速度を上げていくことで緻密性の低いa−SiCを形成する。
一方、上述したように表面層においては緻密なa−SiCを形成するために反応容器内に供給される原料ガスの流量は少ない方が良い。しかし、前述のごとく、反応容器内に導入される高周波電力と反応容器内に供給される原料ガスの流量を同時に変化させることは好ましくないため、中間層を形成する第1の工程で原料ガスの流量を低減することが好ましい。よって、中間層を形成させる第1の工程で反応容器内に供給される総流量及び炭素供給源である原料ガスの流量を増大させた後に、低減させる。それにより、緻密なa−SiC表面層を積層した場合でも高い応力を緩和し、密着性を向上させることができると考えられる。
一方、反応容器内の内圧が下がる場合も同様にプラズマの電子温度が上昇する。そのため、炭素供給源のガス流量を低減する領域で反応容器内の内圧を下げてしまうと上記同様特異的な環境下では剥がれ防止効果が十分に得られない場合もある。
よって、中間層を形成する第1の工程において炭素供給源であるガス流量を低減させる領域において、反応容器内の圧力を下げないことが好ましい。更には反応容器内の内圧を連続的または段階的に上昇させるほうが好ましい。
中間層を形成する第1の工程において、炭素供給源であるCH4流量を増加した後に低減させる領域において反応容器内の圧力を連続的に上昇させている例を図1(b)に示す。
更に本発明では導電性基体を回転させても回転させなくてもよいが、装置条件によっては回転させたほうが電子写真感光体の電位特性ムラが良化する。しかし、上記のごとく高周波電力を階段状に上昇させつつ、導電性基体を回転させた場合、剥がれ防止効果が必ずしも十分に得られない場合もある。そのため、導電性基体を回転させ、且つ中間層を形成する第2の工程において高周波電力を階段状に上昇させる場合は、高周波電力を一定に維持する時間をS(sec)、その時の導電性基体の回転数をR(rpm)とした時、RS/60≧1とするほうが好ましい。さらにはRS/60=n(nは自然数)とするほうがより好ましい。上記のような条件にすることで、密着性を維持または向上させつつ、電位特性ムラ低減効果が得られる。上記のような条件にすることにより、密着性が向上する理由を以下に示す。
例えば、導電性基体の回転数が1rpmである場合、一定に維持する時間Sは60秒以上であることが好ましい。60秒とは導電性基体が1周する時間である。つまり、少なくとも導電性基体が一周する間は高周波電力を一定に保ち、堆積膜の形成を行うほうがよい。このようにすることで導電性基体の周方向に少なくとも一層は同様の膜が形成されるため、局所的な応力の集中を低減し、表面層からの高い応力を緩和できると考えられる。更に一定に維持する時間Sを導電性基体が一周する時間の整数倍にすることで、局所的な応力の集中をより低減し、表面層からの高い応力を緩和できると考えられる。
本発明では、a−SiC表面層のケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比(C/(Si+C))(以下、「炭素原子比」とも称する)が0.61以上0.75以下の範囲で、a−SiC表面層のケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和を6.60×1022原子/cm3以上にすることが好ましい。
a−SiC表面層のケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和を6.60×1022原子/cm3以上とすることにより、耐磨耗性の向上に大きな効果が得られる。この理由を以下に示す。
a−SiC表面層を構成するケイ素原子及び炭素原子の原子密度を高くすることにより、ケイ素原子と炭素原子との結合を切れにくくすること、及び空間率の低減が可能となると考えられる。これにより、a−SiC表面層の構成原子の結合力が高くなるため、高硬度なa−SiC表面層が得られ、その結果、耐磨耗性も向上すると推察される。
そのため、a−SiC表面層のケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が高い方がより好ましく、6.81×1022原子/cm3以上にすることで、更に、耐磨耗性の向上に大きな効果が得られる。なお、a−SiCにおいては、結晶以上に高密度化することはないため、本発明の組成範囲のa−SiCについては、13.0×1022原子/cm3という原子密度が、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和の上限となる。
a−SiC表面層において、炭素原子比を0.61よりも小さくすると、原子密度の高いa−SiCを作製した場合、特にa−SiCの抵抗が低下する場合がある。このような場合、静電潜像形成時にキャリアが表面層中で横流れを生じやすくなる。そのため、静電潜像として孤立ドットを形成した場合に、表面層中でのキャリアの横流れにより孤立ドットが小さくなる。その結果、出力された画像において、特に、低濃度側での画像濃度が低下してしまうために、階調性の低下を生じる場合がある。このような理由により、原子密度の高いa−SiC表面層においては、炭素原子比を0.61以上にすることが好ましい。
また、同様にクリーニング性の観点から、AFMにより電子写真感光体表面を10μm×10μmの範囲で測定したときに得られる微視的形状から求められる算術平均傾斜Δaは、0.10以上0.40以下の範囲が好ましい。
炭素供給源としては、CH4、C2H2、C2H4、C2H6、C3H8、C4H10のごときガス状態のもの、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。中でも、炭素供給源としてはCH4が好ましい。
反応容器内の圧力は、中間層の設計にしたがって最適範囲が適宜選択される。通常の場合、反応容器内の圧力は、1×10−2〜1×103Paとすることが好ましく、1×10−1〜2×102Paがより好ましく、1×101〜2×102Paとすると更に好ましい。
反応容器内の圧力は、表面層の設計にしたがって最適範囲が適宜選択される。通常の場合、反応容器内の圧力は、1×10−2〜1×103Paとすることが好ましく、1×10−1〜1×102Paがより好ましく、1×101〜1×102Paとすると更に好ましい。
中間層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、経済的効果の点から適宜所望にしたがって決定されるが、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.2〜1μm、とされる。中間層の層厚を0.2μm以上とすることにより、表面層から応力を受けても剥がれを抑制し、1μm以下とすることで中間層での光吸収を抑制し感度が良好となる。
また、表面層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、経済的効果の点から適宜所望にしたがって決定されるが、好ましくは0.3〜3μm、より好ましくは0.3〜2μmとされる。表面層の層厚を0.3μm以上とすることにより、電子写真装置内でクリーニング部材と電子写真感光体の間に異物が混入した際でも画像不良を低減できる。また2μm以下とすることで表面層での光吸収を抑制し感度が良好となる。
基体は、導電性を有し表面に形成される光導電層、中間層及び表面層を保持し得るものであれば特に限定されずいずれのものであってもよい。例えば、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Feのごとき金属、及び、これらの合金、例えばAl合金、ステンレスが挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン若しくはポリアミドのごとき合成樹脂のフィルム、またはシート、ガラス若しくはセラミックのごとき電気絶縁性支持体も使用できる。この場合、電気絶縁性支持体の少なくとも光導電層を形成する側の表面を導電処理すればよい。
本発明の電子写真感光体において、基体と光導電層との間に基体側からの電荷の注入を阻止する働きを有する電荷注入阻止層を設けることが効果的である。即ち、電荷注入阻止層は電子写真感光体の自由表面が一定極性の帯電処理を受けた際、基体から光導電層への電荷の注入を阻止する機能を有している。このような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べて比較的多く含有させる。
伝導性を制御するために電荷注入阻止層に含有させる原子は、電荷注入阻止層の中に万遍なく均一に分布した状態で含有されていてもよいし、また、層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、基体側に多く分布するように含有させるのが好適である。しかしながら、いずれの場合においても、伝導性を制御する原子を基体表面に対して平行面内方向に均一な分布で含有されることが、特性の均一化を図る上からも望ましい。
更に、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子及び酸素原子のうち少なくとも1種の原子を含有させることにより、電荷注入阻止層と基体との間の密着性の向上を図ることが可能となる。
電荷注入阻止層に含有される炭素原子、窒素原子及び酸素原子のうち少なくとも1種の原子は、層中に万遍なく均一に分布されても良いし、また、層厚方向には不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも、基体表面に対して平行面内方向に均一な分布で含有されることが、特性の均一化を図る上からも望ましい。
電荷注入阻止層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果の点から、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μmとされる。層厚を0.1μm以上とすることにより、基体からの電荷の注入阻止能を十分に有することができ、好ましい帯電能を得ることができる。一方、5μm以下とすることにより、作製時間の延長による製造コストの増加を防ぐことができる。
このとき、導電性基体の温度は、200℃〜450℃、より好ましくは250℃〜350℃に保つことが特性上好ましい。
反応容器内の圧力は、電荷注入阻止層の設計にしたがって最適範囲が適宜選択される。通常の場合、反応容器内の圧力は、1×10−2〜1×103Paとすることが好ましく、5×10−2〜5×102Paがより好ましく、1×10−1〜1×102Paとすると更に好ましい。
また、電荷注入阻止層を作製する際のプラズマCVD法に用いる高周波電源としては、如何なる周波数のものも用いることができ、例えば、1〜450MHz程度の周波数のものが好ましく、13.56MHzの周波数のものを好適に用いることができる。
また、電荷注入阻止層に含有される周期表第13族元素としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)を挙げることができる。特に硼素(B)が好適である。周期表第15族元素としては、具体的には、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)を挙げることができる。特にリン(P)、砒素(As)が好適である。
本発明の電子写真用感光体における光導電層は、電子写真特性上の性能を満足できる光導電特性を有するものであればいずれのものであっても差し支えない。
しかし、アモルファスシリコン(以下「a−Si」とも表記する)から形成された光導電層が、耐久性、安定性の観点から、望ましく、水素化アモルファスシリコンがより好ましい。
本発明で光導電層としてa−Siを用いる場合は、a−Si中の未結合手を補償するため、水素原子に加えて、ハロゲン原子を含有させることができる。
水素原子(H)及びハロゲン原子の含有量の合計は、ケイ素原子と水素原子及びハロゲン原子の和に対して10原子%以上、特に15原子%以上であることが好ましく、また、30原子%以下、特に25原子%以下であることが好ましい。
本発明において、光導電層には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層中に万遍なく均一に分布した状態で含有されていてもよいし、また、層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
第13族原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)があり、特にホウ素、アルミニウム、ガリウムが好適である。第15族原子としては、具体的にはリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)があり、特にリン、砒素が好適である。
光導電層に含有される伝導性を制御する原子の含有量は、Siに対して1×10−2原子ppm以上、特に5×10−2原子ppm以上、さらには1×10−1原子ppm以上であることが好ましく、また、1×104原子ppm以下、特に5×103原子ppm以下、さらには1×103原子ppm以下であることが好ましい。
なお、光導電層は単一の層から形成されても良いし、電荷発生層と電荷輸送層を分離した複数構成としてもよい。
光導電層は、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のごとき公知の方法によって作製することができる。プラズマCVD法を用いると特に高品質の光導電層が得られ好ましい。プラズマCVD法においては、原料としてSiH4、Si2H6、Si3H8、Si4H10のごときガス状態のもの、またはガス化し得る水素化ケイ素を用いることができる。これらの原料を、高周波電力によって分解することによって光導電層を作製することができる。更に光導電層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2H6が好ましい。
反応容器内の圧力は、光導電層の設計にしたがって最適範囲が適宜選択される。通常の場合、反応容器内の圧力は、1×10−2〜1×103Paとすることが好ましく、5×10−2〜5×102Paがより好ましく、1×10−1〜1×102Paとすると更に好ましい。
また、光導電層を作製する際のプラズマCVD法に用いる高周波電源としては、如何なる周波数のものも用いることができ、例えば、1〜450MHz程度の高周波のものが好ましく、13.56MHzの周波数のものを好適に用いることができる。
[画像形成装置]
a−Si系電子写真感光体を用いた電子写真装置による電子写真の形成方法について、図6を用いて説明する。まず、電子写真感光体6001を回転させ、電子写真感光体6001の表面を主帯電器6002により均一に帯電させる。その後、静電潜像形成手段6006により電子写真感光体6001の表面に光を照射して、電子写真感光体6001の表面に静電潜像形成した後、現像器6011より供給されるトナーを用いて現像を行う。この結果、電子写真感光体6001の表面にトナー像が形成される。そして、このトナー像を転写帯電器6004により転写材6010に転写する。その後、分離帯電器6005によって電子写真感光体6001から転写材6010を分離して、最後に不図示の定着器によりトナー像を転写材6010に定着させる。
本発明の電子写真感光体を搭載する電子写真装置に関しては特に制限はなく、図6に示す従来の電子写真装置であっても、耐磨耗性において、従来の電子写真感光体よりも大きな効果が得られる。
(実施例1)
図3に示す、周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体(直径80mm、長さ358mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム基体)の上に下記表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層を作製した。そして、光導電層を作製した後、同じく下記表1に示す中間層成膜条件及び下記表1に示す表面層成膜条件を用いてプラス帯電用感光体を8本作製した。本実施例では電荷注入阻止層、光導電層、中間層、及び表面層の形成時は円筒状基体を0.8rpmで回転させ、膜形成を行った。
ここで表1に記載の高周波電力、CH4流量、内圧に関して説明する。中間層を形成する第2の工程における高周波電力の記載「250→750」は、高周波電力を250[W]から750[W]へ直線状に上昇させたことを表す。また、中間層を形成する第1の工程におけるCH4流量の記載「100→400」は、CH4流量を100[mL/min(normal)]から400[mL/min(normal)]へ直線状に増大させたことを表す。中間層を形成する第1の工程における内圧の記載「10→80」は、内圧を10[Pa]から80[Pa]へ直線状に上昇させたことを表す。
本実施例においては高周波電源は出力電力2kW、出力安定度±1%の高周波電源を用いた。また、SiH4のマスフローコントローラーは最大流量500cc、制御精度±1%、CH4のマスフローコントローラーは最大流量2000cc、制御精度±1%のものを用いた。
実施例1により作製した8本のうち4本の電子写真感光体を用いて、後述の評価条件にて密着性の評価を行った。そして、残りの4本の電子写真感光体により、電位特性ムラの評価として、後述の評価条件にて画像濃度均一性の評価を行った。また、密着性及び画像均一性の評価結果から総合評価を行った。これらの結果を表4に示す。
実施例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表2に示すように変更する以外は実施例1と同様にした。本実施例においては中間層の第1工程では高周波電力を一定とし、CH4流量及び内圧を表2に示すように直線状に変化させた。実施例1との違いはスタート時のCH4流量のみである。
実施例2により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表4中に示す。
実施例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表3に示すように変更する以外は実施例1と同様にした。本比較例においては中間層の高周波電力、CH4流量及び内圧を表3に示すように直線状に変化させた。本比較例においては中間層で高周波電力、原料ガスの流量を同時に変化させている。その際、中間層の膜厚が0.40μmとなるように成膜時間を調整した。
比較例1により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表4に示す。
実施例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表3に示すように変更する以外は実施例1と同様にした。本比較例においては中間層の第1工程では原料ガスの流量を一定とし、高周波電力を表3に示すように直線状に変化させた。更に中間層の第2工程では高周波電力を一定とし、CH4流量及び内圧を表3に示すように直線状に上昇させた。その際、中間層の第1工程で膜厚が0.20μm、中間層の第2工程で膜厚が0.20μmとなるように成膜時間を調整した。
比較例2により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表4に示す。
密着性評価の方法は、以下のように促進評価法を用いて行った。
まず、評価位置は、作製した電子写真感光体の任意の周方向で長手方向3点(電子写真感光体の長手方向中央を基準として、0mm、±130mm)、及び前記任意の周方向から120°及び240°回転させた位置での長手方向3点、合計9点の位置である。
質量0.1kgの鋼球を0.5mの高さから落下させて、電子写真感光体の表面に打撃を与え、生じた打痕を目視で観察し、膜剥がれの状態を評価した。
上述した方法で、それぞれの条件で作成した電子写真感光体4本分計36ヶ所に関して膜剥がれの状態を評価した。
打痕の周囲にひび割れや膜剥がれは生じない
AA ‥ひび割れが生じるが、膜剥がれは生じない
A‥ひび割れの周囲に膜剥がれが生じた個所が1個以上3個以下
B‥ひび割れの周囲に膜剥がれが生じた個所が4個以上6個以下
C‥ひび割れの周囲に膜剥がれが生じた個所が7個以上9個以下
D‥ひび割れの周囲に膜剥がれが生じた個所が10個以上12個以下
E‥ひび割れの周囲に膜剥がれが生じた個所が13個以上
なお、密着性評価に対して、D以上であれば、前述の特異的な環境下においても膜剥がれを効果的に防止できると言える。
それぞれの条件で作成した電子写真感光体を図6に示す構成の電子写真装置(商品名:キヤノン製デジタル電子写真装置iR−5065)に装着した。一定の暗部表面電位(400V)に帯電させて、静電潜像形成手段6006により直ちに一定光量の光(0.25μJ/cm2)を照射し、その状態で、A3の均一画像を出力した。画像面を均等に25分割し、各エリア内の任意の位置1点で画像濃度を測定し、得られた25点の濃度のうち、最大濃度と最小濃度の差を求めた。それぞれの条件で作成した4本の電子写真感光体の最大濃度と最小濃度の差を算出し、その後、電子写真感光体4本分の平均値を算出した。
比較例1の最大濃度と最小濃度の差の平均値を100として相対比較を行った。値が小さいほど濃度差が少なく画質に優れていることを示す。
なお、画像濃度測定はGRETAG MACBETH社製のD200−IIにより行った。
B・・・・80以上90未満 (良好)
C・・・・90以上 (実用上問題なし)
なお、画像均一性に対して、B以上であれば本発明の効果が得られていると判断した。
総合評価として、密着性及び画像均一性のそれぞれの評価で得られた評価結果について、AAAランクを+6点、AAランクを+5点、Aランクを+4点、Bランクを+3点、Cランクを+2点、Dランクを+1点、Eランクを0点とし、それらを合計した得点をもとに、以下のようにランク付けを行った。
ただし、密着性、画像均一性どちらかが極端にランクが低い場合は電子写真感光体として優れているとは言い難いため、密着性に関してはEランク、画像均一性に関してはCランクがある場合は総合評価はEランクとする。
AA ・・・9点以上のもの10点未満(電子写真感光体として非常に優れている)
A ・・・8点以上9点未満のもの(電子写真感光体として優れている)
B ・・・7点以上8点未満のもの(電子写真感光体として極めて良好)
C ・・・6点以上7点未満のもの(電子写真感光体として非常に良好)
D ・・・5点以上6点未満のもの(電子写真感光体として良好)
E ・・・5点未満のもの(電子写真感光体として実用上問題なし)
実施例1、2ともに中間層の第1工程では高周波電力を一定とし、原料ガスの流量を変化させた。更に中間層の第2工程では原料ガスの流量を一定とし、高周波電力を上昇させた。それにより、密着性が向上することが解った。
また、実施例1、2では中間層のスタート時におけるCH4流量及び内圧が異なるが密着性には影響ないことが解った。
実施例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表5に示すように変更する以外は実施例1と同様にした。本実施例においては表5に示すように中間層の第1工程では高周波電力を一定とし、まずCH4流量を直線状に増大させた後、直線状に低減させた。同様に内圧も直線状に上昇させた後、直線状に低減するように制御した。つまり、CH4流量が最大値となるタイミングと、内圧が最大値となるタイミングを同じにした。また、中間層の第2工程では原料ガスの流量を一定とし、表5に示すように高周波電力を直線状に上昇させた。その際、中間層の第1工程でCH4流量を増大させている領域の膜厚が0.10μm、CH4流量を低減させている領域の膜厚が0.10μm、中間層の第2工程で膜厚が0.20μmとなるように成膜時間を調整した。
実施例3により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表8に示す。また、比較のため実施例2の結果も表8に示す。
実施例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表6に示すように変更する以外は実施例1と同様にした。本実施例においては表6に示すように中間層の第1工程では高周波電力を一定とし、まずCH4流量を直線状に増大させた後、直線状に低減させた。一方、内圧は直線状に上昇させた後、CH4流量が低減する領域において、一旦上昇させた後に、低減するように制御した。つまり、CH4流量が最大値となるタイミングと、内圧が最大値となるタイミングをずらした。また、中間層の第2工程では原料ガスの流量を一定とし、表6に示すように高周波電力を直線状に上昇させた。その際、中間層の第1工程でCH4流量を増大させている領域の膜厚が0.10μm、CH4流量を低減させている領域の膜厚が0.10μm、中間層の第2工程で膜厚が0.20μmとなるように成膜時間を調整した。
実施例4により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表8に示す。
実施例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表7に示すように変更する以外は実施例1と同様にした。本実施例においては表7に示すように中間層の第1工程では高周波電力を一定とし、まずCH4流量を直線状に増大させた後、直線状に低減させた。一方、内圧は直線状に上昇させた後、CH4流量が低減する領域においても連続的に上昇するように制御した。また、中間層の第2工程では原料ガスの流量を一定とし、表7に示すように高周波電力を直線状に上昇させた。その際、中間層の第1工程でCH4流量を増大させている領域の膜厚が0.10μm、CH4流量を低減させている領域の膜厚が0.10μm、中間層の第2工程で膜厚が0.20μmとなるように成膜時間を調整した。
実施例5により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表8に示す。
また、実施例5よりCH4流量を低減する領域において、圧力を連続的に上昇させることでさらに密着性が向上することがわかった。
実施例5と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。実施例5との違いは中間層形成時に静止成膜で実施したことのみである。中間層の第2工程では原料ガスの流量を一定とし、表7に示すように高周波電力を直線状に上昇させた。
実施例6により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表10に示す。
実施例6と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表9に示すように変更すること以外は実施例6と同様にした。実施例6との違いは中間層を形成する第2の工程で高周波電力を図4に示すように250Wから750Wまで100Wずつ階段状に変化させたことである。また、本実施例では図4に示すように階段状に上昇させる高周波電力を一定に維持する時間を60secとした。実施例7により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表10に示す。
実施例7と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用感光体を8本作製した。中間層の成膜条件を表11に示すように変更すること及び中間層形成時に円筒状基体を回転させて膜形成を行うこと以外は実施例7と同様にした。実施例7との違いは中間層においても基体を表12に示す条件で回転させた。表12には階段状に上昇させる高周波電力を一定に維持する時間も合わせて示す。実施例8〜11により作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に密着性及び画像濃度均一性の評価を行った。これらの結果を表13に示す。また、比較のため実施例7の結果も表13に示す。
実施例1と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表14に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行い、プラス帯電用感光体を10本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち9本は2.0μm、残り1本は0.30μmとなるように調整して作製した。本実施例においては表14に示すように中間層の第1工程では高周波電力を一定とし、まずCH4流量を直線状に増大させた後、直線状に低減させた。一方、内圧は直線状に上昇させた後、CH4流量低減する領域においても連続的に上昇するように制御した。また、中間層の第2工程では原料ガスの流量を一定とし、表14に示すように高周波電力を直線状に上昇させた。その際、中間層の第1工程でCH4流量を増大させている領域の膜厚が0.10μm、CH4流量を低減させている領域の膜厚が0.10μm、中間層の第2工程で膜厚が0.20μmとなるように成膜時間を調整した。実施例1と同様に中間層形成時の円筒状基体の回転数は0.8rpmとした。
実施例12を例にとり、表14に記載の高周波電力、CH4流量、内圧に関して説明する。中間層を形成する第2の工程における高周波電力の記載「250→表15」は、250Wから表15中の実施例12の成膜条件である400Wへ直線状に上昇させたことを表す。また、中間層を形成する第1の工程におけるCH4流量の記載「1500→表15」は、1500[mL/min(normal)]から表15中の実施例12の成膜条件である1400[mL/min(normal)]へ直線状に低減したことを表す。中間層を形成する第1の工程及び第2の工程における内圧の記載「33→表15」は33[Pa]から表15に示す実施例12の成膜条件である80[Pa]へ連続的に上昇させたことを表す。
実施例11〜14により作製した表面層の層厚が2.0μmの電子写真感光体については、実施例1と同様に4本の電子写真感光体を用いて密着性を、4本の電子写真感光体を用いて画像均一性を評価した。そして、残りの1本の電子写真感光体を用いて後述の評価方法で階調性及び感度を評価した後、後述の評価条件にて耐磨耗性を評価した。また、実施例12〜15により作製した表面層の層厚が0.30μmの電子写真感光体により、後述の評価方法で表面層の炭素原子比、Si原子密度、C原子密度及びSi+C原子密度を求めた。これらの結果を表16に示す。
まず、表14の電荷注入阻止層及び光導電層のみを積層させた電子写真感光体を作製し、任意の周方向における長手方向の中央部を15mm□で切り出し、リファレンス試料1を作製した。次に、電荷注入阻止層、光導電層及び中間層の第1工程でCH4流量を増大させている領域までを積層させた電子写真感光体を作製し、同様に15mm□で切り出しリファレンス試料2を作製した。同様に、中間層の第1工程でCH4流量を低減させている領域、中間層の第2工程の領域を1層ずつ足して積層させた電子写真感光体を作製し、同様に切り出して、リファレンス試料3、4を作製した。
次に、各成膜条件により作製した電子写真感光体を、同様に切り出し、測定用試料を作製した。リファレンス試料1、2、3、4と測定用試料を分光エリプソメトリー(J.A.Woollam社製:高速分光エリプソメトリー M−2000)により測定し、表面層の膜厚を求めた。
分光エリプソメトリーの具体的な測定条件は、入射角:60°、65°、70°、測定波長:195nmから700nm、ビーム径:1mm×2mmである。
まず、リファレンス試料1を分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
同様な手順により、リファレンス試料3、4の各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
そして、リファレンス試料4の測定結果をリファレンスとして、測定用試料をリファレンス試料1、2、3、4と同様に分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
分光エリプソメトリーによる測定が終了した後、上記測定用試料をRBS(ラザフォード後方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、RBSの測定面積における表面層中のケイ素原子及び炭素原子の原子数を測定した。測定したケイ素原子及び炭素原子の原子数から、炭素原子比を求めた。次に、RBSの測定面積から求めたケイ素原子及び炭素原子に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の膜厚を用いて、Si原子密度、C原子密度及びSi+C原子密度を求めた。
階調性評価は、図6に示すようなキヤノン製デジタル電子写真装置iR−5065の改造機を用いた。そして、まず、静電潜像形成手段6006により45度170lpi(1インチあたり170線)の線密度で面積階調ドットスクリーンを用い面積階調(すなわち画像露光を行うドット部分の面積階調)によって、全階調範囲を18段階に均等配分した階調データを作成した。このとき最も濃い階調を17、最も薄い階調を0として各階調に番号を割り当て、階調段階とする。
次に、上記の改造した電子写真装置に電子写真用感光体6001を設置し、上記階調データを用いて、テキストモードを用いてA3用紙に出力する。このとき、22℃、50%の環境下で、感光体ヒーターをONにして、電子写真用感光体6001の表面を約40℃に保った条件で出力した。
得られた画像を各階調ごとに反射濃度計(X−Rite Inc製:504 分光濃度計)により画像濃度を測定した。なお、反射濃度測定では各々の条件で3枚の画像を出力し、階調毎にそれら3枚の濃度の平均値を評価値とした。
A‥実施例12で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の相関係数の比が1.00以上。
B‥実施例12で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の相関係数の比が0.97以上1.00未満。
C‥実施例12で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の相関係数の比が0.94以上0.97未満。
図6に示すようなキヤノン製デジタル電子写真装置iR−5065の改造機を用いた。静電潜像形成手段6006を切った状態で主帯電器6002のワイヤー及びグリットに、それぞれ高圧電源を接続し、グリット電位を820Vとし、主帯電器6002のワイヤーへ供給する電流を調整して電子写真感光体6001の表面電位を400Vとなるように設定した。
次に、先に設定した帯電条件で帯電させた状態で、静電潜像形成手段6006により光を照射し、その照射エネルギーを調整することにより現像器6011位置の電位を100Vとした。
A‥実施例12で作製した電子写真感光体での照射エネルギーに対する照射エネルギーの比が1.10未満。
B‥実施例12で作製した電子写真感光体での照射エネルギーに対する照射エネルギーの比が1.10以上1.15未満。
C‥実施例12で作製した電子写真感光体での照射エネルギーに対する照射エネルギーの比が1.15以上。
耐磨耗性の評価方法は、作製直後の電子写真感光体の表面層膜厚を電子写真感光体の任意の周方向で長手方向9点(電子写真感光体の長手方向中央を基準として、0mm、±50mm、±90mm、±130mm、±150mm)、及び前記任意の周方向から180°回転させた位置での長手方向9点、合計18点を測定し、その18点の平均値により算出した。
測定方法は、2mmのスポット径で電子写真感光体表面に垂直に光を照射し、分光計(大塚電子製:MCPD−2000)を用いて、反射光の分光測定を行った。得られた反射波形をもとに表面層膜厚を算出した。このとき、波長範囲を500nmから750nm、光導電層の屈折率は3.30とし、表面層の屈折率は前述したSi+C原子密度測定の際に行った分光エリプソメトリーの測定より求まる値を用いた。
連続通紙試験時は、電子写真装置を稼働して連続通紙試験を実施している間及び電子写真装置を停止している間を通じて常に感光体ヒーターをOFFにする条件で実施した。
具体的には、印字率1%のA4テストパターンを用いて、一日当り2.5万枚の連続通紙試験を10日間実施して25万枚まで行う。
25万枚連続通紙試験が終了した後、電子写真感光体を電子写真装置から取り出し、作製直後と同じ位置で膜厚を測定し、作製直後と同様に連続通紙試験した後の表面層膜厚を算出した。そして、作製直後及び連続通紙試験後で得られた表面層の平均膜厚から差分を求め25万枚での磨耗量を算出した。そして、実施例12で作製した電子写真感光体の作製直後及び連続通紙試験後で得られた表面層の平均膜厚の差分を1.00とした相対比較により耐磨耗性を評価した。
B‥実施例12で作製した電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分の比率が0.60より大きく0.70以下。
C‥実施例12で作製した電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分の比率が0.70より大きく0.80以下。
D‥実施例12で作製した電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分の比率が0.80%より大きく0.90以下。
E‥実施例12で作製した電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分の比率が0.90より大きく1.00以下。
F‥実施例11で作製した電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均膜厚の差分の比率が1.00より大きい。
また、高密度な表面層を積層させた場合であっても、良好な密着性が得られることが解った。そして、高密度な表面層を積層することで、耐磨耗性の向上により高寿命な電子写真感光体が得られた。
実施例12〜15と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表17に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行い、プラス帯電用感光体を10本作製した。本実施例においては表17に示すように中間層の第1工程では高周波電力を一定とし、まずCH4流量を直線状に増大させた後、直線状に低減させた。一方、内圧は直線状に上昇させた後、CH4流量低減する領域においても連続的に上昇するように制御した。また、中間層の第2工程では原料ガスの流量を一定とし、表17に示すように高周波電力を直線状に上昇させた。その際、中間層の第1工程でCH4流量を増大させている領域の膜厚が0.10μm、CH4流量を低減させている領域の膜厚が0.10μm、中間層の第2工程で膜厚が0.20μmとなるように成膜時間を調整した。
また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち9本は2.0μm、残り1本は0.30μmとなるように調整して作製した。
実施例16〜21で作製した電子写真感光体について、実施例12〜15と同様に炭素原子比、Si原子密度、C原子密度及びSi+C原子密度を求め、密着性、階調性、感度、耐磨耗性を評価した。これらの結果を表19に示す。
3110‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥反応容器
3111‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥カソード電極
3112‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥導電性基体
3113‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥基体加熱用ヒーター
3114‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ガス導入管
3115‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥高周波マッチングボックス
3116‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ガス配管
3117‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥リークバルブ
3118‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥メインバルブ
3119‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥真空計
3120‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥高周波電源
3121‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥絶縁材料
3123‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥受け台
3200‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ガス供給装置
3211〜3215‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥マスフローコントローラ
3221〜3225‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ボンベ
3231〜3235‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥バルブ
3241〜3245‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥流入バルブ
3251〜3255‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥流出バルブ
3260‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥補助バルブ
3261〜3265‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥圧力調整器
Claims (7)
- 真空排気可能な反応容器内に導電性基体を載置し、前記反応容器内に原料ガスを供給し、高周波電力を導入して、前記導電性基体の上に少なくともケイ素原子を含む非晶質材料で構成された光導電層を形成する工程と、ケイ素原子及び炭素原子を含む非晶質材料で構成された中間層を形成する工程と、ケイ素原子及び炭素原子を含む非晶質材料で構成された表面層を形成する工程とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
前記中間層を形成する工程が少なくとも第1の工程及び第2の工程からなり、前記第1の工程に続いて前記第2の工程を行い、前記第1の工程は前記反応容器内に導入される高周波電力は一定で、前記反応容器内に供給される原料ガスの流量を変化させる工程であり、前記第2の工程は前記反応容器内に供給される原料ガスの流量は一定で、前記反応容器内に導入される高周波電力を上昇させる工程であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記第1の工程で、原料ガスの総流量及び炭素原子供給源である原料ガスの流量を増大させた後に低減させることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記第1の工程で、前記反応容器内に供給される炭素原子供給源であるガス流量を低減させる領域において、前記反応容器内の圧力を連続的または段階的に上昇させることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記第2の工程で、高周波電力を階段状に上昇させることを特徴する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記第2の工程で、高周波電力を階段状に上昇させる際に基体を回転させ、前記階段状に上昇させる高周波電力を一定に維持する時間をS(sec)、その時の導電性基体の回転数をR(rpm)とした時、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体の製造方法。
RS/60≧1 ・・・(1) - 前記S(sec)と、前記R(rpm)とが、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
RS/60=n(nは自然数) ・・・(2) - 前記表面層のケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比が0.61以上0.75以下であり、且つケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm3以上であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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