JP5450870B1 - 歯車用研磨体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転軸線S1回りに回転運動可能で、研磨対象である歯車6の歯9と噛み合うねじ状研磨部8Aを有し、このねじ状研磨部8Aの回転運動により、歯車6の歯面9aを研磨する歯車用研磨体4Aであって、ねじ状研磨部8Aの谷径DAを直径とする仮想円13から径方向外側に向けて膨らんだ膨出部10aを有する可撓性のある研磨シート10Aを複数備え、これら研磨シート10Aの膨出部10aを回転軸線S1回りに互いにずらしながらそれら研磨シート10Aを回転軸線S1の軸線方向に重ね合わせることにより、ねじ状研磨部8Aを形成するものとする。
【選択図】図2
Description
また、使用が進むにつれてねじ状砥石それ自体の表面も削られてしまうので、加工精度の維持のために、ドレッシングと呼ばれる整形作業を時々行う必要があり、ドレッシングを行うための専用機械が必要であるとともに、研削作業とは別にドレッシングのためだけの作業時間が必要であるため、付帯設備の増加や生産効率の悪化を招くという問題点もある。
回転軸線回りに回転運動可能で、研磨対象である歯車の歯と噛み合うねじ状研磨部を有し、このねじ状研磨部の回転運動により、歯車の歯面を研磨する歯車用研磨体であって、
前記ねじ状研磨部の谷径を直径とする仮想円から径方向外側に向けて膨らんだ膨出部を有する可撓性のある研磨シートを複数備え、これら研磨シートの膨出部を回転軸線回りに互いにずらしながらそれら研磨シートを回転軸線方向に重ね合わせることにより、前記ねじ状研磨部を形成したことを特徴とするものである(第1発明)。
さらに、撓んだ状態の研磨シートが元の位置に戻ろうとする復元力によって研磨シートが常に歯面に押し付けられるので、使用が進むにつれて研磨シートそれ自体が磨耗したとしても、研磨シートが歯面に接触した状態を維持することができ、ねじ状砥石では必要とされるドレッシング等の特別な整形作業が不要となる。
また、研磨シートの基材における曲線状部近傍以外の部分には研磨層が設けられないので、基材の表面全体に研磨層を設けた場合と比べて研磨シートがより柔軟に撓むことになり、ねじ状研磨部を歯面によりぴったりと接触させることができて、研磨の精度をより高めることができる。
さらに、ねじ状研磨部の回転運動に伴う遠心力を研磨シートに効果的に作用させることができるので、撓んだ状態の研磨シートを該遠心力によって元の位置に戻すように立ち上げて歯面に押し付けることができ、該遠心力を調整することにより、言い換えればねじ状研磨部の回転速度を調整することにより、研磨シートの歯面への押付力を調整することができる。
<歯車研磨装置の説明>
図1(a)(b)に示される歯車研磨装置1は、互いに直交するX,Y,Z軸の3つの制御軸系において、X軸方向に沿って延びる回転軸線S1回りに回転駆動される主軸2と、X軸方向と直交するY軸方向に所定距離を隔てた位置で回転軸線S1と直角を成すような位置関係にあってZ軸方向に沿って延びる回転軸線S2回りに回転駆動されるテーブル軸3とを備えている。
主軸2には、ウォーム状の歯車用研磨体4Aが着脱可能に装着されている。なお、符号5にて示されるものは、歯車用研磨体4Aを主軸2に固定状態に保持するための固定具である。
主軸2の回転駆動により、歯車用研磨体4Aが主軸2と共に回転軸線S1回りに回転されるようになっている。
テーブル軸3の回転駆動により、歯車6がテーブル軸3と共に回転軸線S2回りに回転されるようになっている。
図2に示されるように、歯車用研磨体4Aは、図示されない平行な2本の仮想の螺旋曲線に沿って2条のねじ山部8a,8bを形成したようなねじ状研磨部8Aを有している。
ねじ状研磨部8Aは、歯車6の歯9と噛み合わせ可能な形状寸法に形成されており、ねじ状研磨部8Aを歯車6の歯9に噛み合わせた状態で回転軸線S1回りに回転運動させることにより、歯車6の歯面9aを研磨することができるようになっている。
図4(a)〜(c)に示されるように、研磨シート10Aは、その基礎部分を構成する基材11を備え、この基材11の一側(図4(b)において左側)の表面全体に、研磨層12が設けられて構成されている。ここで、研磨層12は、基材11に対し接着剤層を介して研磨材が付着されることで形成されるものである。
なお、研磨シート10Aにおいて設けられる膨出部10aの数は、ねじ状研磨部8Aのねじ条数と一致するものであり、本実施形態では、ねじ条数が2であるので、膨出部10aが2つ設けられ、これら膨出部10aは回転軸線S1が通る中心点O1を中心として周方向に等間隔(180°毎)に配置されている。
また、複数の研磨シート10Aの膨出部10aを回転軸線S1の回りに互いに所定角度ずつずらした状態にそれら研磨シート10Aを位置決めするために、ある研磨シート10Aには、中心点O1を中心として例えば0°の角度位置に位置決め用孔15が設けられ(図4(a)参照)、別の研磨シート10Aには、中心点O1を中心として例えば10°の角度位置に位置決め用孔15が設けられる(図5(a)参照)といった具合に、複数の研磨シート10Aには、中心点O1を中心として互いに異なる所定角度位置に位置決め用孔15が設けられている。
こうして、位置決め用シャフト16によって位置決めされた複数の研磨シート10Aは、各研磨シート10Aの挿通孔14に保持具17(図2参照)の中空軸部17aが挿通され、図2に示されるように、該中空軸部17aの両端部に設けられたフランジ17bによって両側から保持され、保持具17によってその位置決め状態に固定される。
ここで、曲線状部11bは、中心点O1回りの第1の所定角度領域(図4(c)において0°〜90°と180°〜270°)では中心点O1回りの角度が大きくなるにつれてその中心点O1との距離が大きくなるような第1の曲線状部18と、第1の所定回転領域に続く第2の所定角度領域(図4(c)において90°〜180°と270°〜360°)では中心点O1回りの角度が大きくなるにつれてその中心点O1との距離が短くなるような第2の曲線状部19とよりなるものであり、渦巻曲線の一部を組み合わせたものであると言える。
基材11に付着される研磨材(砥粒)としては、例えばダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)、B4C、Al2O3、SiO2、SiCの中から選択される少なくとも1種以上からなるものが挙げられる。
基材11に対し研磨材を付着するための接着剤層は、研磨材同士を接着する結合剤と、研磨材を基材に接着する接着剤とから構成されている。
研磨材同士を接着する結合剤としては、一般的に使用されているメタル、電着、ビトリファイド、レジン等の中から適宜に選択される。
研磨材を基材に接着する接着剤としては、膠や合成樹脂などが用いられる。使用される主な合成樹脂としては、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。なお、炭酸カルシウムなどの充填剤が配合されることもある。
以上に述べたように構成される歯車用研磨体4Aを用いた歯車研磨装置1による歯車6の研磨動作について、以下に説明することとする。
次いで、ねじ状研磨部8Aを歯面9aに押し当てるようにして主軸2とテーブル軸3とを同期させて回転駆動する。
さらに、撓んだ状態の研磨シート10が元の位置に戻ろうとする復元力によって研磨シート10が常に歯面9aに押し付けられるので、使用が進むにつれて研磨シート10それ自体が磨耗したとしても、研磨シート10が歯面9aに接触した状態を維持することができ、従来のねじ状砥石では必要とされるドレッシング等の特別な整形作業が不要となる。
このため、図7(a)〜(c)に示されるような、歯車6に対する歯車用研磨体4AのZ軸方向の送り動作にておいて、歯車用研磨体4Aが歯車6の歯面9aに沿って図において左側から右側に向かって動く際に、同図(a)に示されるように、歯車用研磨体4Aの進行方向の先行側の部位による歯面9aとの接触により、歯車用研磨体4Aの回転方向Rに沿って図において右下がりの円弧状の研磨筋21aが歯面9aに形成され、同図(b)に示されるように、歯車用研磨体4Aの進行方向の後行側の部位による歯面9aとの接触により、すでに先行して歯面9aに形成された右下がりの研磨筋21aの上に、歯車用研磨体4Aの回転方向Rに沿って図において右上がりの円弧状の研磨筋21bが歯面9aに形成される。
こうして、図7(c)に示されるように、歯車6の歯面9aには、筋の向きが異なる2つの円弧状の研磨筋21a,21bが互いに交差するようなあやめ模様状研磨筋21が形成され、このあやめ模様状研磨筋21における円弧状の研磨筋21a,21bの交差部に油溜め部22が形成され、例えば自動車のトランスミッション用等の歯車6としての使用の際に、該油溜め部22に溜められた潤滑油により、歯面9aの磨耗をより効果的に抑えることができる。
図8には、本発明の第2の実施形態に係る歯車用研磨体を構成する研磨シートの説明図で、正面図(a)、側面図(b)および背面図(c)がそれぞれ示されている。また、図9には、は第2の実施形態の歯車用研磨体と歯車の噛み合い状態の要部拡大図(a)、(a)のF部拡大図(b)がそれぞれ示されている。
なお、第2の実施形態において、先の第1の実施形態と同一または同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第2の実施形態に特有の部分を中心に説明することとする(後述する第3の実施形態についても同様)。
また、研磨シート10Bの基材11における曲線状部11b近傍以外の部分には研磨層12が設けられていないので、基材11の表面全体に研磨層12を設けた場合と比べて研磨シート10Bがより柔軟に撓むことになり、図9(a)(b)に示されるように、ねじ状研磨部8Bのねじ山部8aを歯面9aによりぴったりと接触させることができて、研磨の精度をより高めることができる。
さらに、ねじ状研磨部8Bの回転運動に伴う遠心力を研磨シート10Bに効果的に作用させることができるので、撓んだ状態の研磨シート10Bを該遠心力によって元の位置に戻すように立ち上げて歯面9aに押し付けることができ、該遠心力を調整することにより、言い換えればねじ状研磨部8Bの回転速度を調整することにより、研磨シート10Bの歯面9aへの押付力を調整することができる。
図10には、第3の実施形態の歯車用研磨体と歯車の噛み合い状態の要部拡大図が示されている。
そこで、研磨シート10A〜10Dにおいて、基材11の他側の表面にも研磨層12を設ける、つまり、基材11の表裏両面に研磨層12を設けることにより、歯車6に対する歯車用研磨体4A〜4Cの噛み合い状態を解除することなくワンチャックで、一側の歯面9aと反対側の歯面9bの両方の歯面9a,9bを研磨することができ、作業効率を向上させることができる。なお、一側の歯面9aの反対側の歯面9bの研磨を行う際には、ねじ状研磨部8A〜8Cのねじ山部8a,8bを歯面9bに押し付けるように、主軸2とテーブル軸3との同期制御が行われる。
4A〜4C 歯車用研磨体
8A〜8C ねじ状研磨部
10A〜10D 研磨シート
10a 膨出部
11 基材
11b 曲線状部
12 研磨層
13 仮想円
23 スペーサ
Claims (3)
- 回転軸線回りに回転運動可能で、研磨対象である歯車の歯と噛み合うねじ状研磨部を有し、このねじ状研磨部の回転運動により、歯車の歯面を研磨する歯車用研磨体であって、
前記ねじ状研磨部の谷径を直径とする仮想円から径方向外側に向けて膨らんだ膨出部を有する可撓性のある研磨シートを複数備え、これら研磨シートの膨出部を回転軸線回りに互いにずらしながらそれら研磨シートを回転軸線方向に重ね合わせることにより、前記ねじ状研磨部を形成したことを特徴とする歯車用研磨体。 - 前記研磨シートは、前記膨出部の輪郭を形成する曲線状部を有する基材を備え、この基材の表面における前記曲線状部近傍にのみ研磨層が歯車の歯面に接触可能に設けられてなるものである請求項1に記載の歯車用研磨体。
- 複数の前記研磨シートにおける互いに隣接する研磨シートの間に、所定の隙間を設けるためのスペーサが介挿される請求項1または2に記載の歯車用研磨体。
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