JP5777587B2 - ネジ研削砥石用のドレッサ - Google Patents
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Description
保持装置110は、ワークWの一端を把持すると共にワークWを回転軸(軸線X1)回りに回転させるヘッドセンタ111と、ワークWの他端を回転可能に支持するテールセンタ112とを備えており、これらヘッドセンタ111およびテールセンタ112は、ワークWの外周に雄ネジを形成する際に、ワークWを、軸線X1周りに回転させながら、軸線X1の軸方向(図中右方向)に移動させるようになっている。
砥石板120の外周には、ワークWの外周に雄ネジを形成するための研削用突起122が形成されている(図5の(b)、(c)参照)。この研削用突起122は、砥石板120の厚み方向(軸線X2方向)に連なって複数設けられており、これら研削用突起122の各々は、軸線X2周りの周方向の全周に亘って設けられている。
そのため、図6の(a)において矢印aで示すように、軸線X2回りに回転する砥石板120を、ワークWに接触しない位置(図中実線参照)から、ワークWに接触する位置(図中仮想線参照)まで移動させたのち、図6の(a)、(b)において矢印bで示すように、ワークWを軸線X1回りに回転させながら図中右方向に移動させることで、ワークW外周への雄ネジの形成が行われる。
そのため、ネジ研削装置100では、所定回数の雄ネジの加工が行われるたびに、ドレッサ130で砥石板120を研磨して、砥石板120の研削用突起122の形状(外周の形状)が整えられるようになっている。
このドレス溝132は、ドレッサ130の幅方向に連なって設けられた複数の溝133から構成されており、溝133の各々は、砥石板120の研削用突起122の基本形状に対応した形状を成している。
ここで、砥石板120では、その側面120aが持つうねりや、公差範囲内での厚みW1のバラツキがあるため、ドレッサ130を用いた研磨により、研削用突起122の形状が不完全になることがある。
なお、図7では、砥石板120の研削用突起122、そしてワークWの外周に形成される雄ネジの形状を、説明の便宜上、模式的に示している。
図7の(a)に示すように、砥石板120の厚みが、中央値となる厚みWstdである場合には、砥石板120の両側の研削用突起122は、何れも予定されていた完全な形状となる。そのため、この砥石板120を用いてワークWの外周に雄ネジを形成すると、図中左端に、完全な形状のネジ山部N1とネジ溝部N2とが形成された完全ネジとなる。
かかる場合、この砥石板120Aを用いて、ワークWの外周に雄ネジを形成すると、不完全な形状の研削用突起122aに起因して、図中左端のネジ溝部N2の隣に、予定されていない不完全な形状のネジ溝部N3が形成されてしまう。
かかる場合、この砥石板120Bを用いて、ワークWの外周に雄ネジを形成すると、不完全な形状の研削用突起122bに起因して、図中左端のネジ山部N1の隣に、完全な形状のネジ溝部N2ではなく、予定されてない不完全な形状のネジ溝部N4が形成されてしまう。
前記回転軸方向における前記平坦部の幅を、
前記ネジ研削用砥石の前記基部の前記回転軸方向の幅が、基準となる幅から公差の範囲内で薄くなった場合でも、厚くなった場合でも、前記ネジ研削用砥石で前記平坦部に対応して形成される平坦部に隣接する突起が完全な形状で形成されるような幅に形成した構成とした。
よって、回転軸方向にけるネジ研削用砥石の厚みが薄くなった場合には、当該ネジ研削用砥石における平坦部の厚みが薄くなり、厚くなった場合には、平坦部の厚みが厚くなるだけで、ネジを研削するための突起の形状が不完全な形状にならない。
これにより、ネジ研削用砥石の厚みにバラツキがあっても、ワークの外周に常に完全ネジを形成できるので、ワークと相手側部材との組付け不良の発生が好適に防止される。
図1は、ネジ研削装置1の概略構成図である。
図2は、ドレッサ5を説明する図であり、(a)は、図1におけるドレッサ5周りの拡大図であり、(b)は、(a)における領域Aの拡大図である。
なお、これらの図においては、説明の便宜上、砥石板3の研削用突起35や、ドレッサ5のドレス溝53を模式的に示している。
砥石軸31側のクランプ33は、その中央部に、軸線X2方向に沿って延びる軸部331を有しており、このクランプ33における軸部331とは反対側に、砥石軸31が連結されている。
このクランプ33に隣接するクランプ32は、その中央部に、クランプ33の軸部331を挿通させる貫通孔321が形成されており、クランプ32は、この貫通孔321に軸部331を挿通させて、クランプ33に組み付けられている。
クランプ32は、軸線X2方向に移動可能となっており、クランプ33との間に砥石板3を挟み込んだのち、クランプ32をボルトBでクランプ33に固定することで、砥石板3が砥石軸31に取り付けられるようになっている。
研削用突起35は、砥石板3の外周部3bから径方向外側に向かうにつれて、砥石板3の厚み方向(軸線X2(図1参照)方向)の幅が狭くなる尖り状に形成されている。
研削用突起35は、砥石板3の厚み方向(軸線X2方向)に連なって複数形成されており、研削用突起35の各々は、軸線X2(図1参照)周りの周方向の全周に亘って設けられている。
また、砥石板3の外周部3bの幅方向における一側(ワークW側の一側)には、軸線X2(図1参照)に対して平行な平坦部36が設けられており、前記した研削用突起35は、この平坦部36から所定高さhaで形成されている。
ドレス軸4には、図示しないドレッサ保持装置のモータからの回転駆動力が入力されるようになっており、ドレス軸4に回転駆動力が入力されると、ドレス軸4と、このドレス軸4に固定されたドレッサ5とが、軸線X3回りに一体に回転するようになっている。
ここで、基部52は、焼き入れにより剛性強度が高められており、この剛性強度が高められた部分に、表面に砥粒がまぶされたドレス溝53、53が設けられている。
ここで、軸線X3の軸方向における溝54の数は、同方向における研削用突起35の数よりも多くなっている。
なお、前記した溝54は、この平坦部55の外周面55aを通る仮想線Im1を基準として、所定深さhaで形成されており、この深さは、前記した研削用突起35の平坦部36からの高さhaと同じとなっている。
図3は、砥石板を用いたワークW外周への雄ネジの形成を説明する図であって、(a)は、ワークWが、砥石板3、120による雄ネジの切削開始位置に配置された状態を、(b)は、ワークWが、その外周に雄ネジを切削している途中位置に配置された状態を、(c)は、ワークWが、砥石板3、120による雄ネジの切削終了位置に配置された状態を、それぞれ示した図である。
なお、図3では、図中上側が、実施の形態に係るドレッサ5を用いてドレス(研磨)した砥石板3の場合を、下側が、従来例にかかるドレッサ130を用いてドレス(研磨)した砥石板120の場合を、それぞれ示している。
そのため、図3の(a)において矢印aで示すように、軸線X2回りに回転する砥石板3、120を、ワークWに接触しない位置(軸線X1の径方向外側に離れた位置:図中実線参照)から、ワークWに接触する位置(図中仮想線参照)まで移動させたのち、図3の(a)、(b)において矢印bで示すように、ワークWを軸線X1回りに回転させながら図中右方向に移動させることで、ワークW外周への雄ネジの形成が行われる。
よって、従来のネジ研削装置において用いられていた砥石板120の代わりに、実施の形態にかかるドレッサ5を採用するに当たり、ネジ研削装置における、ワークWの移動に関する設定を大きく変える必要がないようになっている。
図4は、砥石板3の軸線X2方向の厚みの違いによる砥石板3の外周部3b(図2参照)側の形状の変化を説明する図であって、(a)は、砥石板3の厚みが中央値となる厚みWstdである場合に形成される雄ネジの形状を説明する図であり、(b)は、砥石板3Aの厚みが中央値となる厚みWstdよりも厚い場合に形成される雄ネジの形状を説明する図であり、(c)は、砥石板3Bの厚みが中央値となる厚みWstdよりも薄い場合に形成される雄ネジの形状を説明する図である。
なお、図4では、砥石板3の研削用突起35、そしてワークWの外周に形成される雄ネジの形状を、説明の便宜上、模式的に示している。
例えば、図4の(a)に示すように、砥石板3の軸線X2方向の厚みが、中央値となる厚みWstdである場合には、砥石板3の研削用突起35のワークWに、平坦部が36が形成されて、平坦部36の右側(ワークWとは反対側)に位置する研削用突起35の各々は、完全な形状の研削用突起として形成される。
ここで、ドレッサ5の平坦部55の幅Wcは、砥石板3の側面3aのうねりや、砥石板3の幅の公差に起因する、砥石板3の幅の振れを吸収できる幅に設定されている。
従って、図4の(a)から(c)に示す砥石板3、3A、3Bを用いて、ワークWの外周に雄ネジを形成すると、砥石板3の厚みのバラツキの影響を受けずに、ネジ山部N1の隣にネジ溝部N2が形成された完全ネジが作成される。よって、予定されていないネジ山部やネジ溝部が完全または不完全な形状で形成された不完全ネジが作成されることがない。
これにより、雄ネジに螺合する雌ネジを有する相手側部材G(図中、仮想線参照)は、予定されていたネジ溝部N2の位置まで常に螺入するので、ワークWの拡径部の基点W1と相手側部材Gと離間距離は、常に一定の距離taとなる。
よって、ワークWと相手側部材Gとを螺合したときに、砥石板3の厚みのバラツキの影響で、これらの軸方向の位置がずれることがないので、ワークWと相手側部材Gとの組付け不良の発生が好適に防止される。
ドレッサ5では、砥石板3の回転軸(軸線X2)に平行な軸線X3回りに回転する基部52の外周部に、研削用突起122の基本形状に対応した溝54が、軸線X3の軸方向に連なって複数設けられてドレス溝53を構成していると共に、溝54の各々は、軸線X3周りの周方向の全周に亘って設けられており、
基部52の外周部では、基部52の軸線X3の軸方向におけるワークW側の一側に、ドレス溝53に隣接して平坦部55が形成されている構成とした。
よって、砥石板3の回転軸(軸線X2)方向における厚みWaが薄くなった場合には、当該砥石板3における平坦部36の厚みが薄くなり、厚くなった場合には、平坦部36の厚みが厚くなるだけで、ネジを研削するための研削用突起35の形状が不完全な形状にならない。
これにより、砥石板3の厚みにバラツキがあっても、ワークWの外周に常に完全ネジを形成できるので、ワークWと相手側部材Gとを螺合したときのこれらの軸方向の位置関係が常に一定(一定の離間距離ta)になる。よって、ワークWと相手側部材Gとの組付け不良の発生が好適に防止される。
また、平坦部55の幅Wcが研削用突起35のひとつ分に相当する幅に設定されているので、雄ネジを形成するときの開始位置と終了位置が研削用突起35のひとつ分ずれるものの、雄ネジを形成する際のワークW移動量が、従来の砥石120を用いた場合と同じになる。
よって、従来のネジ研削装置において用いられていた砥石板120の代わりに、実施の形態にかかるドレッサ5を採用するに当たり、ネジ研削装置における、ワークWの移動に関する設定を大きく変える必要がない。
ひとつのドレス溝53を備えるドレッサを作成する場合よりも、図2に示すような複数のドレス溝53、53を備えるドレッサ5とした方が作製コストが安くなるので、上記のような構成のドレッサ5とすることで、ネジ研削装置1におけるランニングコストの低減が可能になる。
2 保持装置
3、3A、3B 砥石板
3a 側面
3b 外周部
4 ドレス軸
5 ドレッサ
21 ヘッドセンタ
22 テールセンタ
31 砥石軸
32、33 クランプ
35 研削用突起
36、36’ 平坦部
51 嵌合部
52 基部
53 ドレス溝
54 溝
55 平坦部
55a 外周面
100 ネジ研削装置
110 保持装置
111 ヘッドセンタ
112 テールセンタ
120、120A、120B 砥石板
120a 側面
121 砥石軸
122 研削用突起
122a 研削用突起
122b 研削用突起
130 ドレッサ
131 ドレス軸
132 ドレス溝
133 溝
321 貫通孔
331 軸部
521 小径部
B ボルト
W ワーク
Claims (2)
- ワークの外周にネジを研削するための突起が設けられたネジ研削用砥石を研磨して、前記ネジ研削用砥石の前記突起が設けられた外周の形状を整えるネジ研削砥石用のドレッサであって、
前記ドレッサでは、
前記ネジ研削用砥石の回転軸に平行な軸回りに回転する基部の外周部に、
前記突起の基本形状に対応した溝が、前記軸方向に連なって複数設けられていると共に、前記溝の各々は、前記軸周りの周方向の全周に亘って設けられており、
前記基部の外周部では、前記基部の回転軸方向における一側であって、前記ネジ研削用砥石における前記ワーク側となる一側を研磨する側に、前記溝に隣接して平坦部が形成されており、
前記回転軸方向における前記平坦部の幅を、
前記ネジ研削用砥石の前記基部の前記回転軸方向の幅が、基準となる幅から公差の範囲内で薄くなった場合でも、厚くなった場合でも、前記ネジ研削用砥石で前記平坦部に対応して形成される平坦部に隣接する突起が完全な形状で形成されるような幅に形成したことを特徴とするネジ研削用砥石のドレッサ。 - 前記軸方向における前記平坦部の幅は、少なくとも前記ネジ研削用砥石の前記回転軸方向における突起ひとつ分に相当する幅に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のネジ研削用砥石のドレッサ。
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