以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る眼科装置の外観概略図を示している。
顔支持ユニット10は、額当て11と、図示なき駆動機構により移動される顎受け12と、を有し、眼科装置100の基台1に固定されている。また、額当て11を支持する支柱には、アイレベルマーカ14が設けられている。
移動台3は、摺動機構(図2参照)によって基台1上を水平(XZ)方向に移動(摺動)可能に配置されている。検眼部5は移動台3の上に載置され検眼光学系等が収納されている。ここで、摺動機構は、移動台3に設けられたジョイスティック(操縦部材)4に対する手動操作を介して基台1に対して移動台3をメカニカルに(電動機構を用いず機械的動作により)移動させるための手動移動機構として用いられる。
また、検眼部5には、検眼部5の筐体内を被検者が覗くための検査窓5aが設けられ、筐体内に配置された検眼光学系からの光束が検査窓を介して被検者眼に投光される。50aは、被検者眼とその周辺を同時に撮影するための第2撮影光学系50(図4参照)の撮影窓である。
また、検眼部5は、XZ駆動部7(第1電動機構部)の駆動によって移動台3上を水平(XZ)方向に移動可能に配置されている。また、検眼部5は、Y駆動部6の駆動によって移動台3に対して上下(Y)方向に移動可能に配置されている。ここで、Y駆動部6及びXZ駆動部7が駆動されると、移動台3に対して検眼部5がXYZ方向に移動され、結果的に、被検者眼に対して検眼部5は三次元方向に移動可能となる。
ジョイスティック4は移動台3上に設けられ、検者によって操作される。ジョイスティック4が前後左右に操作されると、前述の摺動機構によって基台1に対して移動台3がXZ方向(水平方向)に移動され、結果的に被検者眼に対して検眼部5がXZ方向に移動される。また、ジョイスティック4の回転ノブ4aが回転操作されると、Y駆動部6が駆動され、検眼部5がY方向(垂直方向)に移動される。また、ジョイスティック4の頂部に設けられた測定開始スイッチ4bが押されると、測定開始のトリガ信号が発せられる。また、移動台3の検者側には、モニタ8、及び測定条件等の各種設定を行うためのコントロール部74が設けられている。また、基台1の検者側側面には、顎受け12を上下させるための顎受けスイッチ9bが設けられている。
また、移動台3は、第2電動機構部(駆動機構200)の駆動によって基台1上を水平方向に移動可能に配置される(図2参照)。図2は、手動操作により基台1に対して移動台3を水平移動させる摺動機構及び、電動駆動により基台1上の所定位置に移動台3を移動させる駆動機構について説明する概略構成図である。図2(a)は移動台3の固定を解除させたときの図であり、図2(b)は移動台3を固定させたときの図である。
摺動機構109は、Z方向の延びる2本のZガイド軸110と、Zガイド軸110と基台1とを連結する連結部材111と、移動台3の下部に形成されたスライドベース3aに連結されX方向に延びるXガイド軸112と、Zガイド軸110が挿入される軸受及びXガイド軸112が挿入される軸受を持つ移動部材114と、を有し、図示無きジョイスティック4に対する傾倒操作によって基台1に対して移動台3を水平移動させるために用いられる。なお、スライドベース3aの後方に形成された孔116には、ジョイスティック4の操作軸が挿入される。
駆動機構200は、移動台3の下部(より詳しくは、スライドベース3a)に固定された駆動モータ201と、駆動モータ201に連結され駆動モータ201の駆動によって回動されるロックアーム202と、基台1の左右中央位置(より詳しくは、連結部材111の上面)に固定されロックアーム202をガイドするガイド部材250と、を有し、基台1上の所定位置に移動台3を移動させるために用いられる。
駆動モータ201はギアヘッド201a付きのモータであり、ギアヘッド201aの先端に設けられた出力軸とロックアーム202の基端が連結され、駆動モータ201が回転駆動されると、ギアヘッドの先端に設けられた出力軸を中心にロックアーム202が回動される。ここで、ロックアーム202は、退避位置(図2(a)参照)とロック位置(図2(b)参照)との間で移動される。なお、駆動モータ201に設けられたギアヘッド201aは、ロックアーム202がロック位置に配置されたときに基台1に対する移動台3の移動をロックできるようにギア比の高いものが用いられ、出力の回転負荷を高く設定している。
なお、移動台3の下部には、フルオート制御用(詳しくは、後述する)に設定された基台1上における所定の位置に移動台3があるか否かを検知する位置検知部が設けられている。より具体的には、ロックアーム202の回動位置を検出することにより移動台3の位置を検知するセンサとしてマイクロスイッチ204、205が設けられており、マイクロスイッチ204はロックアーム202が退避位置に配置されたときに、そのスイッチ部が押圧され、検知信号が発せられる。また、マイクロスイッチ205はロックアーム202がロック位置に配置されたときに、そのスイッチ部が押圧され、検知信号が発せられる。
一方、ガイド部材250には、図3に示すように、水平面に対して垂直な面を持つガイド面251がV字状に形成されている。ガイド面251は、被検者眼方向に対して反対の方向(装置後方)を向くように形成され、V字の先端から左斜め後方に延びる第1ガイド面252と、V字の先端から右斜め後方に延びる第2ガイド面253と、V字の先端に形成される凹部255と、を持ち、ロックアーム202の移動方向をガイドするために用いられる。なお、ロックアーム202の先端には、ボールベアリング203が取り付けられ、ガイド面251上におけるロックアーム202の移動がスムーズに行われる。また、上記構成においては、V字の先端に凹部255を設ける構成としたが、V字の先端部分がボールベアリング203の半径よりも小さい曲率にて形成される構成であれば、必ずしも凹部255を設ける必要はない。
また、ガイド部材250は、ロックアーム202が退避位置からA方向(押圧方向)に移動されたときに、ロックアーム202の先端とガイド面251とが当接するような位置にて固定される。この場合、例えば、基台1の左右中央位置に凹部255が配置され、左側に第1ガイド面252、右側に第2ガイド面253が配置され、これに対応するように駆動モータ201及びロックアーム202が移動台3に配置される。
図2に戻る。ここで、図2(a)に示すように、ロックアーム202が退避位置にある場合、ロックアーム202とガイド部材250は互いに干渉しない位置に配置される。ここで、ジョイスティック4(図1参照)に対して検者からZ方向への力が加えられると、移動部材114がZガイド軸110に沿って移動され、移動台3がZ方向に移動される。また、ジョイスティック4に対して検者からX方向への力が加えられると、移動部材114がXガイド軸112に沿って移動され、移動台3がX方向に移動される。すなわち、基台1に対して移動台3が水平方向に移動可能となるため、ジョイスティック4を用いた検者による手動アライメントが可能となる。
一方、図2(b)に示すように、ロックアーム202がロック位置にある場合、ロックアーム202とガイド部材250は互いに干渉し合い、基台1上の所定位置にて移動台3がロックされた状態となり、検者によって移動台3を移動させる動作がなされても、その移動が禁止され、移動台3は固定された状態となる。すなわち、前述の駆動機構200は、基台1に対して移動台3を所定位置にて固定するためのロック機構を兼ね、基台1に対して移動台3が所定位置にて固定された固定状態と、基台1に対する移動台3の固定が解除された固定解除状態とを切り換える切換機構としても用いられる。したがって、前述のマイクロスイッチ204及び205は、移動台3の固定状態もしくは固定解除状態にあるか否かを検知するロック検知部としても用いられる。より具体的には、マイクロスイッチ204は移動台3の固定が解除されたことを検知するためのセンサ、マイクロスイッチ205は移動台3が固定されたことを検知するためのセンサとして用いられる。
図3は駆動機構200の動作について説明する図であり、駆動機構200を上方より見たときの図である。
図3(a)はロックアーム202が退避位置に置かれているときの図である。より具体的には、基台1上の左右中央位置C1に対して移動台3が右側に配置されているときの図である。この場合、基台1の左右中央位置C1に対して移動台3の左右中央位置C2が右側に位置された状態となる。
ここで、退避位置に置かれたロックアーム202がA方向に移動され、ロックアーム202に設けられたボールベアリング203がガイド面251に当接されるようになる(図3(b)参照)と、ガイド面251によってロックアーム202のA方向への移動が制限され、ガイド面251はボールベアリング203から押圧され、その押圧力に対する抗力(反作用力)がボールベアリング203に対して付与される。なお、左右中央位置より右側に移動台3がある場合、ボールベアリング203は第2ガイド面253に当接され、左右中央位置より左側に移動台3がある場合、ボールベアリング203は第1ガイド面252に当接される。ただし、ボールベアリング203は所定の円周上を移動されるため、移動台3が左右中央位置付近にある場合、第1ガイド面252、第2ガイド面253、凹部255、のいずれかに当接される。
そして、ガイド面251によって移動が制限されたロックアーム202の回動位置が変化していくと、移動台3は回動位置の変化に応じて後方に移動されていく(図3(c)参照)。また、ボールベアリング203がガイド面251に沿って前方に移動され、凹部255に近づいていくため、移動台3は、ボールベアリング203が凹部255へ向かうのに応じて、左右中央位置C1へ移動されていく。
このようにしてボールベアリング203が凹部255に到達すると、移動台3は、Z方向の移動可能範囲における最後端位置に達すると共に、基台1上における左右中央位置に達した状態(基台1の左右中央位置C1と移動台3の左右中央位置C2とが一致した状態)となる(図3(d)参照)。これにより、移動台3は、基台1上の所定位置に移動される。
ここで、ロックアーム202がロック位置に到達すると、マイクロスイッチ205から検知信号が発せられ、駆動モータ201の駆動が停止される。なお、上記動作において、ガイド面251に対するボールベアリング203の当接開始位置が凹部255である場合、移動台3が後端位置に移動された後、ロックアーム202がロック位置に達する。
以上のようにして、移動台3は基台1上のおける所定位置にてロックされた状態となり、検者によって移動台3を移動させる動作がなされても、その移動が禁止され、移動台3は固定された状態となる。
なお、ロック位置に置かれたロックアーム202がB方向に移動されると、ガイド部材250との当接状態が解除される。そして、ロックアーム202の回動位置がさらに変化されていき、退避位置まで移動されると、マイクロスイッチ204から検知信号が発せられる。
図4は、検眼部5内に設けられた光学系及び制御系の構成を説明する概略構成図である。光路O1上には、対物レンズ17、ビームスプリッタ13、検眼光学系5bが配置されており、検眼光学系5bから発せられた光束は、ビームスプリッタ13、対物レンズ17を介して被検者眼に入射する。そして、被検者眼からの反射光は、対物レンズ17、ビームスプリッタ13を介して検眼光学系5b内に入射し、所定の眼特性(例えば、眼屈折力や眼底画像や前眼部断面像など)を得る。なお、L1は対物レンズ17の光軸であり、検眼光学系5bの光軸及び後述する第1撮影光学系60の光軸を兼ねる。
また、眼Eの前眼部の前方には、眼Eの角膜Ecにリング指標を投影するための近赤外光を発するリング指標投影光学系40と、眼Eの角膜Ecに無限遠指標を投影することにより被検者眼に対する作動距離方向のアライメント状態を検出するための近赤外光を発する作動距離指標投影光学系41が光軸L1に対して左右対称(図4では、便宜上、上下に配置)に配置されている。なお、リング投影光学系40は、眼Eの前眼部を照明する前眼部照明としても用いられる。
また、被検者眼の前眼部を撮影する前眼部撮影光学系は、被検者眼前眼部を撮影する第1撮影光学系60と、被検者眼前眼部を含めた周辺領域を撮影する第2撮影光学系50とを有する。ここで、第2撮影光学系50は、レンズ51、二次元受光素子52を持ち、第1撮影光学系60よりも低倍率にて前眼部を撮影する(図5参照)。ここで、近赤外光によって照明された前眼部からの反射光は、レンズ51を介して二次元受光素子52に受光される。そして、二次元受光素子52の出力は、後述する制御部70に送られる。
なお、本実施形態において、第2撮影光学系50は、対物レンズ17の真下に配置されており(図1参照)、左右両眼及び左右のアイレベルマーカ14とを同時に撮影できるような撮影範囲を有する構成となっている(図5参照)。
第1撮影光学系60は、ビームスプリッタ13の反射方向に配置され、リレーレンズ61、全反射ミラー62、絞り63、撮像レンズ64、二次元受光素子65を持ち、二次元受光素子65により被検者眼が高倍率で撮像されると共に、指標投影光学系40及び41によって被検者眼角膜に投影されたアライメント指標像が検出される(図6参照)。なお、上記の光学系において、近赤外光によって照明された前眼部からの反射光は、対物レンズ17、ビームスプリッタ13及びリレーレンズ61〜撮像レンズ64を介して二次元受光素子65に受光される。そして、二次元受光素子65の出力は、後述する制御部70に送られる。
次に、制御系の構成について説明する。70は装置全体の制御を行う制御部である。制御部70は、表示モニタ8に接続されており、その表示画像を制御する。また、制御部70は、第1撮影光学系60または第2撮影光学系50によって撮像されたアライメント指標像の像位置(もしくは被検者眼の位置)に基づいて、被検者眼と検眼部5との相対位置を検出する。また、制御部70には、検眼光学系5b、受光素子65、受光素子52、Y駆動部6、XZ駆動部7、ジョイスティック4、コントロール部74、顎受けスイッチ9b、メモリ71、駆動モータ201、マイクロスイッチ204、マイクロスイッチ205、等が接続されている。
ここで、制御部70は、XZ駆動部7の駆動を制御して検眼部5を水平方向に移動させる。また、制御部70は、所定の信号の入力に基づいて駆動機構200の駆動を制御して移動台を水平方向の所定位置に固定させる。
なお、アライメントモードは、オートアライメントモード(以下、フルオートモードと省略する)と手動アライメントモードとの間でモードの切換が可能であり、フルオートモードでは、駆動機構200によって基台1上における所定の位置で移動台3が固定された状態で、XZ駆動部7の駆動によって被検者眼に対するアライメントが行われ、手動アライメントモード(以下、マニュアルモードと省略する)では、駆動機構200による移動台3の固定が解除された状態で、ジョイスティック4の操作によって被検者眼に対するアライメントが行われる。
より具体的には、フルオートモードに設定された場合、制御部70は、移動台3が固定された状態で、被検者眼と検眼部5との相対位置を検出し、その検出結果に基づいてY駆動部6及びXZ駆動部7により検眼部5を移動させ被検者眼の両眼に対して検眼部5を順次アライメントする。また、マニュアルモードに設定された場合、移動台3の移動により検眼部5を被検者眼に位置合わせする。すなわち、検者は、表示モニタ8に表示される前眼部像を元に被検者眼の位置を特定し、ジョイスティック4の操作により被検者眼に対する検眼部5のアライメントを行う。また、コントロール部74には、フルオートモードとマニュアルモードを手動により切換えるためのモード切換スイッチ74aが設けられている。
なお、本実施形態の装置構成においては、検眼部5を被検者眼に対して水平移動させる移動機構として用いられる摺動機構及びXZ駆動部7は、それぞれ単独の動作によって、被験者の瞳孔間距離に対応して順次アライメントできるようにX方向における移動可能範囲が確保され、被験者の両眼に対して順次作動距離方向のアライメント及び被験者の鼻の回避ができるようにXZ方向における移動可能範囲が確保されている。
なお、フルオート制御に用いられる基台1上における移動台3の所定位置は、駆動機構200により移動台3が固定された状態で、XZ駆動部7の駆動によって被検者眼に対する検眼部5のXZ方向のアライメント合わせができること、XZ駆動部7によって移動される検眼部5と被験者との接触の可能性、XZ駆動部7によって移動される検眼部5と顔支持ユニット10との接触の可能性、等を考慮して設定を行う必要がある。
なお、本実施形態では、X方向に関しては、X方向における移動台3の移動可能範囲における中央位置(左右中央位置)、Z方向に関しては、Z方向における移動台3の移動可能範囲における最後端位置を所定位置とし、その所定位置にて移動台3が固定された状態でフルオートモードにおけるアライメント動作がなされる。
以上のような構成を備える装置の動作について説明する。まず、装置の電源が投入されると、制御部70は、マイクロスイッチ204及び205からの検知信号に基づいて基台1に対して移動台3が固定されているか否かを判定すると共に、前述のように設定されたフルオートモードに対応する所定位置に移動台3が配置されているか否かを判定する。すなわち、制御部70は、移動台3が基台1上における所定の位置で固定されているか否かを判定する。
そして、制御部70は、その判定結果を示すメッセージをモニタ8に表示する。もしくは、制御部70は、移動台3が基台1上における所定の位置で固定されているか否かに基づいて、フルオートモードかマニュアルモードかを判定し、判定結果をモニタ8に表示する。
検者は、モード切換スイッチ74aを用いて、フルオートモードとマニュアルモードのいずれかを選択できる。なお、パラメータ設定によって電源投入直後のモードを予め固定できるような構成としてもよい。
まず、マニュアルモードからフルオートモードにモード切換を行う場合の動作について説明する。ここで、検者は、モード切換スイッチ74a用いてフルオートモードを選択し、マニュアルモードからフルオートモードへの切換動作を行う。ここで、制御部70は、モード切換スイッチ74aによるフルオートモードへの切換信号の入力に基づいて駆動モータ201を駆動させ、ロックアーム202を退避位置からロック位置へと移動させていく。そして、制御部70は、マイクロスイッチ205から出力される検知信号に基づいて駆動モータ201の駆動を停止すると共に、フルオートモードに切り換わった旨をモニタ8に表示する。
これにより、移動台3が基台1上における所定の位置で固定された状態となるので、検者がジョイスティック4に対する傾倒操作を行っても、移動台3は水平移動しない。
また、制御部70は、フルオートモードへのモード切換完了後、Y駆動部6及びXZ駆動部7を駆動制御して所定の原点位置に検眼部5を移動させる。なお、所定の原点位置としては、例えば、検眼部5のX方向の原点位置は移動可能範囲のほぼ中央位置、Z方向の原点位置は最も検者側の位置とすることが考えられる。
上記のようにフルオートモードに設定された状態において、検者は、まず、被験者の顔を顔支持ユニット10に固定させ、顎受けスイッチ9aを用いて顎受け12の高さ調整を行う。そして、検者によって所定のスイッチ操作(測定開始スイッチ4bに対する押圧操作)がなされると、制御部70は、その操作信号に基づいて、顔支持ユニット10に固定された被検者眼に対する自動アライメント動作を開始する。まず、二次元撮像素子52によって得られた広範囲の前眼部像(低倍率像)に基づいて被検者眼の両眼の位置を検出し、その位置情報に基づいて被検者眼に対する上下左右方向のアライメント調整を行う。また、制御部70は、撮像素子52による広範囲の前眼部画像をモニタ8上に表示する(図5参照)。
より具体的には、制御部70は、二次元撮像素子52から得られる撮像画像から濃淡情報を取り出すことにより瞳孔の黒い部分を抽出し、これに基づいて被検者眼の両眼の位置を検出する。
また、制御部70は、被検者眼の位置情報に基づいて両眼それぞれの検眼部5に対する偏位量を求め、その情報に基づいて検眼部5を最初の測定眼である右眼(予め設定しておく)にXY移動させる。これにより、検眼部5の測定光軸L1を被検者眼の右眼近傍に位置させる。これにより、被験者の右眼は、固視標を視認できるようになり、これを固視する。
XY方向におけるラフなアライメントができたら、アライメント検出を二次元撮像素子65による指標検出に切換え、被検者眼角膜に投影されたアライメント指標像の検出を行うことにより被検者眼に対する検眼部5のアライメント状態を検出する。この時点では、検眼部5のZ方向は適正作動距離より離れた方向にずれているので、検眼部5を被検者眼に対して前進させながらアライメント指標像を検出する。また、制御部70は、撮像素子65による高倍率の前眼部画像をモニタ8上に表示する(図6参照)。
ここで、制御部70は、撮像素子65によって撮像された前眼部画像におけるリング投影光学系40によるリング指標Rの中心位置を角膜頂点位置M0としてXY方向における検眼部5のアライメント偏位量を求め、これに基づいてY駆動部6及びXZ駆動部7を駆動制御して検眼部5をXY方向に移動させる。また、作動距離指標投影光学系41による角膜Ec上の無限遠指標Mの間隔がほとんど変化しないのに対して、前述のリング指標Rの所定経線方向の像間隔が変化するという特性を利用して、被検者眼に対する検眼部5の作動距離方向のアライメント偏位量を求め(この詳細は特開平6−46999号公報参照)、制御部70は、これに基づいてXZ駆動部7を駆動制御して検眼部5をZ方向に移動させる。このようにして、被検者眼に対する検眼部5の各方向におけるアライメント偏位量がそれぞれ所定の許容範囲内に達したら、被検者眼に対する検眼部5のアライメント状態を適正と判定し、制御部70は、検査開始のトリガ信号を発して検査光学系5bの動作による被検者眼の検査を実行する。
右眼の測定が終了すると、先に求めた左右眼の距離情報に基づき、測定光軸L1の近傍に左眼が位置するように検眼部5をXY方向に移動する。その後、右眼のときと同様に、撮像素子65からの撮像信号に基づいてY駆動部6及びXZ駆動部7を駆動制御することにより被検者眼に対する精密なアライメントを完了させて測定を自動的に実行する。なお、被検者眼の両眼を撮像し、その撮像結果に基づいて自動アライメントを行う制御については、詳しくは、特開平10−216089号公報を参考にされたい。
以上のようにして、被検者眼の両眼の検査結果が得られたら、制御部70は、その測定結果をモニタ8に表示すると共に、Y駆動部6及びXZ駆動部7を駆動制御して所定の原点位置に検眼部5を復帰させておく。
このようにすれば、駆動機構200により移動台3が固定された状態で被検者眼に対するフルオートアライメントを行うときに、XZ駆動部7によって広範囲を移動する検眼部5と被験者(又は顔支持ユニット10)との接触を回避しつつ、被検者眼の両眼に対するアライメントを適正に行うことが可能となる。
次に、フルオートモードからマニュアルモードにモード切換を行う場合について説明する。ここで、検者は、モード切換スイッチ74aを用いてマニュアルモードを選択し、フルオートモードからマニュアルモードへの切換動作を行う。ここで、制御部70は、モード切換スイッチ74aによるマニュアルモードへの切換信号の入力に基づいて駆動モータ201を駆動させ、ロックアーム202をロック位置から退避位置へと移動させていく。そして、制御部70は、マイクロスイッチ204から出力される検知信号に基づいて駆動モータ201の駆動を停止すると共に、マニュアルモードに切り換わった旨をモニタ8に表示する。また、マニュアルモードに設定された場合、制御部70は、受光素子65によって取得された高倍率の前眼部像をモニタ8に表示する。
これにより、移動台3の固定が解除され、移動台3が基台1に対して水平移動が可能になるため、検者は、ジョイスティック4を用いて移動台3を移動させ、被検者眼に対して検眼部5のアライメントを行う。
ここで、検者は、コントロール部74に設けられた所定のモード選択スイッチにより第1マニュアルモードに設定するか第2マニュアルモードに設定するかを選択できる(パラメータ設定によりいずれかのモードに予め設定されているような構成としてもよい)。なお、上記第1マニュアルモードに設定された場合、制御部70は、XZ駆動部7の駆動を禁止して移動台3に対して検眼部5を固定する。また、上記第2マニュアルモードに設定された場合、制御部70は、XZ駆動部7の駆動範囲を制限し、原点位置を基準とした所定範囲内で限り検眼部5を移動させる。
上記のようにしてマニュアルモードに設定された場合、検者は、被検者に対して顎受け12に顎を載せるように指示し、顎受け12に被検者の顎を載せてもらう。ここで、検者は、アイレベルマーカ14と被検者眼の高さがほぼ同じ高さになるように顎受け12の高さを調整する。
ここで、検者は、図示なき固視標を固視するよう被検者に指示し、ジョイスティック4を用いて被検者眼(例えば、右眼)に対するアライメント調整を行う。この場合、モニタ8にボケのない鮮明な被検者眼像が現われたら、表示モニタ8に表示されたリング像RとレチクルマークLTが同心円になるように被検者眼に対して検眼部5の位置を上下左右方向に微調整する。その後、図示無きインジゲータを参考にしながら(もしくはリング像Rが最も細くなるように)、検眼部5の作動距離方向の位置を微調整する。そして、アライメントが完了して、検者から測定開始スイッチ4bが押されると、検眼光学系5bによる測定が行われる(第1マニュアルモード)。また、第2マニュアルモードの場合、二次元受光素子65によってアライメント指標像が検出されるようになると、制御部70は、二次元受光素子65によって受光されるアライメント指標像の位置から被検者眼に対する検眼部5のアライメント状態を検出し、その検出結果に基づいてY駆動部6又はXZ駆動部7を駆動制御する。そして、アライメントが完了したら、制御部70によるアライメント完了信号もしくは測定開始スイッチ4bからのトリガ信号に基づいて測定開始のトリガを発し、被検者眼を測定する。
そして、上記のようにして右眼の測定が終了したら、検者は、ジョイスティック4を用いて移動台3を左眼方向に移動させ、左眼に対して検眼部5をアライメントし、左眼に対する測定を行う。
以上のような構成とすれば、マニュアルモードからフルオートモードに移行する際、フルオートモード用に設定された基台1上の所定位置に移動台3を移動させてロックする操作を簡単に行うことができるため、検者の手間を軽減させることができる。
なお、以上の説明においては、駆動モータ201としてギアヘッド付きのモータを用い、移動台3の所定位置への移動と所定位置での移動台3の固定を兼用するものとしたが、これに限るものではない。この場合、駆動モータ201としてギアヘッドを持たないモータを用い、移動台3の所定位置への移動を駆動モータ201により行い、所定位置での移動台3の固定を他のロック(固定)機構(例えば、特開2005−224257号公報参考)によって行うようにしてもよい。この場合、駆動モータ201の駆動によってアーム(ロックアーム202と同様の構成)がロック位置に移動されたときの検知信号をマイクロスイッチ205により取得し、その検知結果をモニタ8に表示させることで、検者は、ロック機構を用いて移動台3のロックを行うことができる。
なお、以上の説明においては、移動台3に駆動モータ201が固定され、基台1にガイド部材250が固定された構成としたが、移動台3の下部にガイド部材250が固定され、基台1に駆動モータ201が固定された構成であってもよい(図7参照)。
図7は駆動機構200を下方向から見たときの図である。より具体的には、基台1上の左右中央位置C1に対して移動台3が右側に配置されているときの図である。この場合、ガイド部材250は、そのガイド面251が被検者眼方向を向くように配置されている。
図7(a)はロックアーム202が退避位置に置かれているときの図である。ここで、退避位置に置かれたロックアーム202がロック位置に向けて移動されると、ボールベアリング203によってガイド部材250が押圧され、移動台3は回動位置の変化に応じて後方に移動される。また、ボールベアリング203がガイド面251に沿って凹部255に近づいていくと、移動台3は左右中央位置C1へ移動されていく。ここで、ロックアーム202がロック位置に到達すると、移動台3は、基台1上の所定位置に移動された状態となる。(図7(b)参照)。
なお、以上の説明においては、駆動モータの駆動によってロックアーム202が回動されることにより移動台3を所定位置に移動されるものとしたが、駆動モータの駆動によってロックアーム202を直動(直線移動)させることにより移動台3を所定位置に移動させるようにしてもよい。
図8はロックアーム202を直動させる機構を用いた場合の図であり、駆動機構200を上方より見たときの図である。また、図8においては、図2のように、移動台3に駆動モータ201が固定され、基台1にガイド部材250が固定された構成となっている。
ここで、図8(a)のように退避位置に置かれたロックアーム202がE方向に直動されていくと、ガイド面251はロックアーム202から押圧され、移動台3は直動位置の変化に応じて後方に移動されていく。また、ボールベアリング203がガイド面251に沿って凹部255に近づいていくと、移動台3は、左右中央位置C1へ移動されていく。ここで、ロックアーム202がロック位置に到達すると、移動台3は、基台1上の所定位置に移動された状態となる。(図8(b)参照)。
なお、以上の説明においては、ガイド部材250に形成されたガイド面251に沿ってロックアーム202が移動されることによって基台1上の所定位置に移動台3を移動させるものとしたが、移動台を水平移動させるための駆動モータと、駆動モータに連結され駆動モータの駆動により退避位置と固定位置との間を移動されるアームと、アームに対向して配置されアームの先端によって押圧される固定部材と、を有し、駆動モータ及び固定部材のうち一方が基台に配置され他方が移動台に配置され、固定部材をアームの移動により押圧することによって移動台を基台上の所定位置に移動させるものであれば、これに限るものではない。
図9は移動台3を所定位置に移動させる駆動機構の変容例を示す図であり、駆動機構を上方から見たときの図である。移動台3の下部に形成される駆動ユニット350は、第1駆動モータ308、第2駆動モータ318、第3駆動モータ328、第1アーム310と、第2アーム320、第3アーム330を有し、第1駆動モータ308の駆動によって第1アーム310が左方向に移動され、第2駆動モータ318の駆動によって第2アーム320が前方向に移動され、第3駆動モータ328の駆動によって第3アーム330が右方向に移動される。基台1には、第1アーム310に対向する固定部材315、第2アーム320に対向する固定部材325、第3アームに対向する固定部材335、が固定されている。
なお、図9(a)に示すように移動台3の固定が解除された状態から、移動台3が所定位置に固定された状態へと移行させる場合、第1駆動モータ308を駆動させて第1アーム310をロック位置まで移動させ、第2駆動モータ318を駆動させて第2アーム320をロック位置まで移動させ、第3モータ328を駆動させて第3アーム335をロック位置まで移動させるようにすればよい。これにより、移動台3は基台1上の所定位置に移動され、ロックされた状態となる(図9(b)参照)。
なお、以上の説明においては、検者によって操作されるモード切換スイッチ74aから発せられるモード切換信号の入力に基づいてフルオートモードとマニュアルモードとのモード切換がなされるものとしたが、手動又は自動によりモード切換信号の入力がなされるものであればよい。例えば、マニュアルモードからフルオートモードへの切換について、制御部70は、マニュアルモードにおいて自動的に発せられた左右眼の測定完了信号の入力をモード切換信号の入力とし、これに基づいて駆動モータ201を駆動させ、自動的にフルオートモードに移行するような設定としてもよい。