JP5443383B2 - アノード鋳造プラントにおける金属アノードの鋳造装置 - Google Patents

アノード鋳造プラントにおける金属アノードの鋳造装置 Download PDF

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Description

発明の背景
本発明は、請求項1の前段に記載のアノード鋳造プラントにおける金属アノードの鋳造装置に関するものである。
より正確には、本発明は溶融金属をアノード炉からアノード鋳型に案内する案内システムに関するものであり、後で電解精錬法によって処理される金属アノードを鋳造する。
本発明はとくに、アノード鋳造プラントにおいて後に電解精錬法で処理される銅アノードの鋳造に関するものであるが、本発明は、亜鉛の亜鉛アノードなど、他の金属の金属アノードの鋳造にも用いることができる。
銅の処理には、粗銅を鋳造装置で鋳て、銅の電解精製用の銅アノードを造る工程が含まれる。溶鉱炉から、樋およびトラフを含むシステムによって、銅をアノード鋳型に案内して投入する。樋は鋼鉄から作られた外殻であり、耐火材料で裏打ちされていて、開放型か、もしくは覆いが付いている。樋は適度な傾斜をつけて設置されるため、溶融銅は重力によって流動する。溶融銅を移動、投入するには、例えば沈殿トラフなどのトラフも必要であり、このトラフに溶鉱炉から溶融銅が注がれて、溶融銅を樋に案内する前に溶融銅の動きを沈静させる。また、溶融銅をアノード鋳型に投入するための投入用トラフと、この投入用トラフに溶融銅を供給する中間トラフも必要である。
溶融銅をアノード炉からアノード鋳型に案内する従来の鋳造装置は、次のように動作する。最初に溶融銅をアノード炉の注湯孔から沈殿トラフに注湯し、沈殿トラフから溶融銅を樋に沿って中間トラフに案内する。中間トラフから、溶融銅を投入トラフに注湯する。投入トラフから溶融銅を鋳造トラフに投入して、鋳造トラフから溶融銅をアノード鋳型に型入れする。
現在、大多数の鋳造プラントで使用されている案内システムにおけるアノード炉と中間トラフの間に設けられた沈殿トラフと樋の組み合わせでは、沈殿トラフ内に銅が「固着」することなく、鋳造工程がわずかの間も中断されることがないようにすることは不可能であり、この場合、まず堆積物を沈殿トラフから除去し、次にライニング面を新しくして乾燥させなければならないため、時間がかかる。
今日、大多数の鋳造プラントでは、銅をアノード炉の注湯孔から沈殿トラフへと適度な高さから落下させるが、このとき、溶融銅が酸化されて、事実上、全鋳造工程にわたって冷却されるため、害となる。現在の技術では、溶融銅がアノード炉の注湯孔から落下した際に溶融銅が当たる場所に厚さ約200〜400mmの銅膜を施して、銅が周囲にはね散ってライニングに穴が開くのを防止する。これは、堰、つまり前述の「沈殿トラフ」をアノード炉の注湯孔のすぐ下に配設することで実現される。一般的に、従来技術による装置では、この堰の湯抜きはできない。
旧来の沈殿トラフシステムは、鋳造工程の初めの段階において銅から大量の熱を奪ってしまう。沈殿トラフの表面積が大きいので、熱損失を防ぐために絶縁性の蓋で覆うことができない。
鋳造作業を終えるたびに銅堆積物を沈殿トラフから除去するのは、困難で危険を伴う作業である。高価な耐火性モルタルが、補修のために大量に消費される。補修用モルタルは水混合されているため、ライニングは修理する前に、例えば、水で100度未満まで冷却しなければない(これはライニングに泡立ちが生じるのを防止するためである)。この状態は、新たに鋳造工程を開始する際、沈殿トラフが極力乾いていて熱くなっていなければならないという必要条件に完全に反する。通常、沈殿トラフに対して乾燥作業を別途に行うことはない。つまり、補修したライニングは、基本的な裏打ち作業で発生する余熱で自然に乾燥するにまかせる。乾燥作業は多大な時間を要するうえに、沈殿トラフの熱エネルギーを消費するため、初期段階で、銅が持つ熱がライニングに奪われてしまう。
発明の簡単な説明
本発明は、上述の問題を解決することを目的とする。
本発明の目的は、独立請求項1に記載の装置によって達成される。
本発明の好適な実施形態は、従属請求項にて述べる。
本発明に係る装置は樋を備え、樋の上流端部は、軸を中心とする傾動によって傾斜されるアノード炉の、少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分が注湯孔を追従するように配置され、下流端部は、案内システムの一部であるトラフに対して配置される。ここで、樋上流端部とは、この端部に溶融金属がアノード炉の注湯孔から注湯され、この端部から溶融金属が流れ出す樋の端部のことである。樋下流端部とは、この端部に樋上流端部から溶融金属が流れ込み、この端部から溶融金属が樋から放たれる樋の端部のことである。
本装置は、樋を支持する樋支持枠と、樋支持枠を支持する支持構造体とを備える。樋は、樋支持枠にはめ込まれている。樋支持枠は、支持構造体に可動連結されている。
本装置では、樋支持枠は樋支持枠を支持するよう構成された第1レバーアームによって支持構造体に可動連結されて、樋上流端部は、少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分がアノード炉の注湯孔に対して配置されて、傾動中に溶融金属がアノード炉の注湯孔から樋に注湯されるようにする。第1レバーアームは樋支持枠と支持構造体の間に取り付けられ、それにより、第1レバーアームは第1軸関節において支持構造体に回転自在に連結され、また樋支持枠は第1軸関節と間隔を開けて配設された第2軸関節において第1レバーアームに回転自在に連結される。
さらに、本装置では、樋支持枠は、樋支持枠を支持するように構成された支持構造体に懸架要素によって可動連結されて、樋下流端部は、少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分が溶融金属案内システムの一部であるトラフに対して配置され、傾動中に溶融金属を樋からトラフに送ることができるようにする。別の懸架要素が、樋支持枠と支持構造体の間に取り付けられている。
また本装置は、アノード炉の傾動時に樋支持枠を支持構造体に対して誘導する追従装置を備え、それにより、樋支持枠に設けられた樋の上流端部は、少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分がアノード炉の注湯孔に対して配置され、樋支持枠に設けられた樋の下流端部は、少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分がトラフに対して配置される。
樋支持枠および支持構造体は、上述のように本装置において第1レバーアームおよび懸架要素によって相互に連結されているため、樋上流端部は追従装置によって少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分が、垂直および水平の両方向においてアノード炉の注湯孔を追従し、これに並行して、樋下流端部は同時にトラフの位置を追い求める。
樋上流端部は少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分がアノード炉の注湯孔を追従するように設けられていて、樋下流端部は少なくともアノード炉の傾動の範囲をカバーする部分がトラフを追従するように設けられていると述べたが、これはアノード炉の傾動全体またはアノード炉の傾動の一部ということである。例えば、樋上流端部を、アノード炉の全傾動にわたってアノード炉の注湯孔を追従するように設けることができる。ただし、アノード炉の他方の最端部の傾動に関しては例外であり、最端部の傾動においては、樋の上流端部は最上部位置と呼ばれる位置に押し上げられるように配され、樋の下流端部は押し下げられるように配されるため、それによって、樋に溶融銅が入っている場合には樋の中身が排出される。
本発明による装置の第1の好適な実施形態では、樋上流端部はアノード炉の側部に設けられた注湯孔を追従するように配置される。この好適な実施形態では、樋支持枠は第1レバーアームと第2レバーアームとして設けられた懸架要素によって支持構造体に可動連結されている。第1レバーアームは樋支持枠を支持するよう構成されて、アノード炉の傾動中、アノード炉の傾動における第2最端位置以外において、樋の上流端部はアノード炉の注湯孔に対して配置され、傾動中に溶融金属をアノード炉の注湯孔から樋に注湯することができる。第1レバーアームは樋支持枠と支持構造体の間に取り付けられ、それにより、第1レバーアームは第1軸関節において支持構造体に回転自在に連結され、樋支持枠が第1軸関節と間隔を開けて配設された第2軸関節において第1レバーアームに回転自在に連結される。第2レバーアームは樋支持枠を支持するよう構成されて、樋の下流端部はアノード炉の傾動時にトラフの位置、例えばトラフの上部に配され、溶融金属を樋からトラフに注湯することができる。第2レバーアームは樋支持枠と支持構造体の間に取り付けれ、それにより、第2レバーアームは第3軸関節において支持構造体に回転自在に連結され、樋支持枠は第3軸関節と間隔を開けて配設された第4軸関節において第2レバーアームに回転自在に連結される。この好適な実施形態では、樋支持枠は架台を含み、この架台に樋がはめ込まれている。架台は第1懸架要素および第2懸架要素によって樋支持枠から吊り下げられ、これによって樋は地面に対して垂直に吊り下がり、樋の対称水平面は常に水平地面に対して垂直になり、溶融物は樋の断面に対して常に同じ割合で流れて、金属が低温の樋の壁面で凝固するのを防ぐ。しかし、樋は溶融金属の流れ方向に傾斜させて樋の上流端部を樋の下流端部より高い位置に配置し、溶融金属が樋の上流端部から下流端部に流れるようにする必要がある。本実施形態では、追従装置は樋支持枠に取り付けられたローラを含む。本実施形態において、追従装置はさらに、樋支持枠に配設されたローラ用にアノード炉に取り付けられた案内要素を含む。また追従装置は、樋支持枠に取り付けられたローラをアノード炉に配設された案内要素に押し付けるバネ要素も含み、アノード炉がその傾斜軸に対して傾動すると、樋上流端部はアノード炉の注湯孔を追従するように配置される。ただし、アノード炉が第2最端位置に傾動するときはこの限りでなく、このときは、ローラが案内要素の案内から解放されるように配置されて、バネ要素が樋上流端部を最端位置まで持ち上げて、溶融金属が樋に入っている場合には、樋中の溶融金属を樋下流端部に配設されたトラフに空ける。
本発明に係る好適な一実施形態において、樋の上流端部はアノード炉の端部に設けられた注湯孔を追従するように配設される。この好適な実施形態では、樋支持枠は第1レバーアームによって支持構造体に可動連結され、また樋支持枠は長尺状の棒である懸架要素によって、支持構造体から吊り下げられる。本実施形態では、樋支持枠は架台を含み、この架台に樋がはめ込まれている。第1レバーアームは樋支持枠を支持して、少なくともアノード炉の傾動範囲をカバーする部分の樋上流端部がアノード炉の注湯孔に対して配置され、傾動中、溶融金属をアノード炉の注湯孔から樋に注湯することができるように構成されている。第1レバーアームは樋支持枠と支持構造体の間に取り付けられ、それにより第1レバーアームは第1軸関節において支持構造体に回転自在に連結され、樋支持枠は第1軸関節と間隔を開けて配設された第2軸関節において第1レバーアームに回転自在に連結される。本実施形態では、懸架要素は長尺状の棒要素であり、その他方端が玉継手によって樋支持枠に可動連結され、その反対側の端部は玉継手によって支持構造体に可動連結されている。この好適な実施形態では、本装置は案内要素も含み、この案内要素は、特殊な場合において、長尺状棒要素の弊害を起こし得る動きを抑制して誘導する一方で、通常は重力と支持形態が動作を安定させて、トラフに対する樋の下流端部の動きの実現に関与する。
本装置によっていくつかの利点が得られる。
樋上流端部は本発明の装置によって、アノード炉の注湯孔を垂直、水平の両方向において追従するため、アノード炉の注湯孔から溶融金属が注入される従来型の沈殿トラフは、本発明の装置では必要としない。これは、本発明の装置では、注湯孔と樋との間隔が従来の装置に比べて狭いという事実による。
本発明による装置では沈殿トラフが不要なため、本装置はこれまで行われてきた規定の沈殿トラフからの堆積物の除去を省略して、アノード鋳造を開始および終了することができる。この方式は、可動樋によって、古い金属を樋、および沈殿トラフの代わりとなる非常に小さい樋椀状部があればこの樋椀状部から流出させることができるという事実に基づいている。その場合、樋は前に行われた鋳造が終わっても高温を保って乾燥しているため、鋳造作業開始の際の金属の余剰温度は不要である。精錬を行う必要もない。可動樋の樋椀状部がある場合、樋椀状部は、従来の装置の沈殿トラフよりもかなり小さくできる。アノード炉の運転温度を低く抑えることができると、生産安全性とエネルギーの節約によって覆いがもたらす利を得ることができる。
樋は移動可能なため、鋳造後に、樋の中身を例えば追従装置の制御下で自動的に空にすることができ、堆積物を別途除去しなくてよい。そのため、可動樋を自動で空にするようにでき、これにより、鋳造終了後に樋内の古い金属を追従装置の制御のもとに自動的に排出する。
樋に流入する金属の量は、沈殿トラフがなければ実質的に低減する。その場合、いっせいに樋を流れる金属はすべて中間トラフに収容される。これは利点である。なぜならば、予期せぬ事態が起きたり、アノード鋳造機が停止したりしたときに、中間トラフ内の金属の表面の隆起が高くなりすぎることがなく、また樋を空にするために除去して無駄にする必要がない。
従来の装置に比べて樋に流入する溶融金属の量が少ないということは、それによって中間トラフの表面は一定の高さにとどまり、現在の技術における「中間収容部」、すなわち沈殿トラフを排除した場合、アノード炉の傾動の自動化が実質的に容易になることを意味し、溶融金属の流れは、例えば鋳造が完了した場合または流れを調整した場合に、アノード炉の注湯孔が上向きになると、即座に反応する。
本発明の別の基本的な特徴は、上述の支持方法によって、アノード炉と中間トラフ間の案内経路をできるだけ短くできることにある。これは、樋における熱損失を低減させて、樋の低角度を従来技術よりも鋭角にするのに役立ち、それにより次の鋳造作業のために樋を空にするのが容易になる。現在公知のすべての装置では、樋の経路は、中間トラフに対する経路を設計する前に、少なくとも約2〜3メートルの長さにわたってアノードの回転軸に対して直角になるように設計しなければならない。本発明の方式を用いることで、この不利点を解消できる。端部から注湯する場合、この方式はアノード炉の特定の配置においてとくに有用である。従来の方式にはアノード炉の端部から注湯するというものはないため、本発明で述べる方式はまったく新しい可能性をもたらす。
本発明および本発明のいくつかの好適な実施形態を、添付の図面を参照して詳細に述べる。
アノード鋳造プラントを示す図であり、注湯孔がアノード炉の側面に配設され、樋がアノード炉の側面に設けられた注湯孔に機能的に結合されている。 図1に示す装置の上面図である。 図1および図2に示す樋の動作を示す側面図であり、樋がアノード炉の注湯孔から注がれる溶融銅を受けて、溶融銅を中間トラフに送る様子を示す。 図1および図2に示す樋の動作を示す側面図であり、樋がその最低位置にある様子を示す。 図1および図2に示す樋の動作を示す側面図であり、樋支持枠に取り付けられたローラがアノード炉に取り付けられた案内要素の制御から解放されて、バネ要素が樋をその最高位置、すなわち排出位置に押し上げている様子を示す。 2基のアノード炉を含むアノード鋳造プラントの一部を示す図であり、アノード炉の注湯孔がアノード炉の端部に配設され、樋がアノード炉の端部に設けられた注湯孔に機能的に結合されている。 図6に示す装置の上面図である。 図6に示す装置の細部を示す図である。 図6に示す装置の細部を示す図である。
発明の詳細な説明
図に示した以下に詳述する装置は、アノード鋳造プラントにおける銅アノードの鋳造装置であり、その場合、金属とは銅であり、溶融金属とは溶融銅である。あるいは、本装置はアノード鋳造プラントにおける亜鉛アノードの鋳造装置でもよく、その場合、金属とは亜鉛であり、溶融金属とは溶融亜鉛である。
各図は銅アノード(図示せず)を鋳造するアノード鋳造プラントの一部を示している。
アノード鋳造プラントは、傾斜軸1に対して傾斜度を変えることのできる、銅を溶かすためのアノード炉2を含む。アノード炉2は、溶融銅27をアノード炉2から注出する注湯孔3を含む。
図1から図5に示すアノード鋳造プラントはアノード炉2を1基備え、図6から図9に示すアノード鋳造プラントはアノード炉2を2基備えている。
また、アノード鋳造プラントは銅アノードを鋳造するアノード鋳型4を含む。
図1および図2では、アノード鋳型4は1台の回転鋳造板5に配設されている。図6から図9では、アノード鋳型4は2台の回転鋳造板5に配設されている。
さらに、アノード鋳造プラントは、溶融銅27を図1から図5に示す単基のアノード炉2からアノード鋳型4に案内し、また図6から図9では2基のアノード鋳造炉2からアノード鋳型4に案内する案内システム6を含む。
案内システム6は、溶融銅27をアノード炉2の注湯孔3から案内システム6の一部であるトラフ8に案内する樋7を含む。
樋7は、アノード炉2の注湯孔3から注がれる溶融銅27を受ける上流端部29と、溶融銅27を樋7からトラフ8に送る下流端部10を含む。
図1から図5に示す例では、トラフは中間トラフ8aであり、この中間トラフから溶融銅27をさらに鋳造トラフ28に送り、鋳造トラフから溶融銅27をさらにアノード鋳型4に送って銅アノードを鋳造する。
図6から図9に示す例では、トラフは受湯トラフ8bであり、この受湯トラフから溶融銅27をさらに中間トラフ8aに送り、次に溶融銅27を中間トラフから鋳造トラフ28に送り、そこからさらに溶融銅27をアノード鋳型4に送って銅アノードを鋳造する。
本装置は、樋7を支える樋支持枠9と、樋支持枠9を支える支持構造体10とを備える。樋支持枠9を支える支持構造体10の数は、図1から図5に示すように1つでもよく、または、図6から図9の例に示すように複数でもよく、図6から図9では支持構造体10の数は2つである。
樋7は、樋支持枠9にはめ込まれている。
樋支持枠9は、樋支持枠9を支持するように構成された第1レバーアーム11によって支持構造体10に可動連結され、それにより、樋7の上流端部29は、少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分がアノード炉2の注湯孔3に対して配置され、傾動中に溶融銅27をアノード炉2の注湯孔3から樋7に送ることができる。
また、樋支持枠9は、樋支持枠9を支持するように構成された懸架要素12によって支持構造体10に可動連結され、それにより、樋7の下流端部30は、少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分がトラフ8に対して配設され、傾動中に溶融銅を樋7からトラフ8に送ることができる。
第1レバーアーム11は、樋支持枠9と支持構造体10との間に取り付けられ、それにより、第1レバーアーム11は第1軸関節13において支持構造体10に回転自在に連結され、樋支持枠9が第1軸関節13から間隔を開けて配設された第2軸関節14において第1レバーアーム11に回転自在に連結される。
懸架要素12は、樋支持枠9と支持構造体10の間に取り付けられている。
また、本装置は、アノード炉2の傾動時に支持構造体10に対して樋支持枠9を誘導する追従装置15を備え、それにより樋7の上流端部29は、少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分がアノード炉2の注湯孔3に対して配置され、樋7の下流端部30は、少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分がトラフ8に対して配設される。
樋7の上流端部29の少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分がアノード炉2の注湯孔3を追従するように取り付けられ、樋7の下流端部30の少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分がトラフ8を追従するように取り付けられていると述べたが、ここで傾動とはアノード炉2の完全傾動または傾動の一部を指している。例えば、アノード炉2の完全傾動時に樋7の上流端部29がアノード炉2の注湯孔3を追従するように上流端部を取り付けることが可能である。ただし、アノード炉2の他方の最端部の傾動に関しては例外であり、この動作時では、樋7の上流端部29は最上部位置と呼ばれる位置に押し上げられ、樋7の下流端部30はアノード炉2の傾動における別の最端位置に押し下げられ、その結果、図5に示すように、樋7に溶融銅27が入っている場合には樋7の中身が排出される。
図1から図5は、樋7がアノード炉2の側面に設けられた注湯孔3から溶融銅27を受湯するように配された装置を示す。
図1から図5では、樋支持枠9は第1レバーアーム11および第2レバーアーム12aとして設けられた懸架要素によって支持構造体10に可動連結されている。
図1から図5において、第1レバーアーム11は樋支持枠9を支持し、樋7の上流端部29が、図5に示す炉の傾動における第2最端位置以外でのアノード炉2の傾動時に、アノード炉2の注湯孔3に対して配置され、この傾動中に溶融銅27がアノード炉2の注湯孔3から樋7に注湯されるように構成されている。
図1から図5において、第1レバーアーム11は樋支持枠9と支持構造体10の間に取り付けられて、第1レバーアーム11は第1軸関節13において支持構造体10に回転自在に連結され、樋支持枠9が第1軸関節13から間隔を開けて配設された第2軸関節14において第1レバーアーム11に回転自在に連結される。
図1から図5において、第2レバーアーム12aは樋支持枠9を支持して、樋7の下流端部30がアノード炉2の傾動時に、例えばトラフ8の上方に配置され、それにより溶融銅27を樋7からトラフ8に注湯できように構成されている。
図1から図5において、第2レバーアーム12aは樋支持枠9と支持構造体10の間に取り付けられて、第2レバーアーム12aが第3軸関節16において支持構造体10に回転自在に連結され、樋支持枠9は第3軸関節16から間隔を開けて配設された第4軸関節17において第2レバーアーム12aに回転自在に連結される。
図1から図5において、追従装置15は、樋支持枠9に取り付けられたローラ18を含む。さらに、追従装置15は、樋支持枠9に取り付けられたローラ18のための、アノード炉2に取り付けられた案内要素19を含む。また、追従装置15は、ローラ18をアノード炉2に取り付けられた案内要素19に押し付けるバネ要素20を含み、これにより、アノード炉2が傾斜軸1に対して傾斜すると、樋7の上流端部29がアノード炉2の注湯孔3に追従するように配される。ただし、アノード炉2の傾動における第2最端位置においてはこの限りでなく、この位置ではローラ18が案内要素19の制御から解放され、バネ要素20が樋の上流端部29を最端位置に押し上げて、樋7に溶融銅27が入っている場合には、樋の中身を空にする。図1から図5では、バネ要素20は圧縮空気バネである。
図1から図5において、樋支持枠9は架台21を含み、この架台に樋7がはめ込まれている。架台21は、第1懸架要素22および第2懸架要素23によって樋支持枠9から懸架して、樋7を地面に対して垂直に吊り下げ、樋7の対称水平面が常に水平地面に対して垂直になり、溶融銅27が樋の断面に対して常に同じ割合で流れるようにして、金属が低温の樋の壁面で凝固するのを防ぐ。しかし、溶融銅27が樋7の上流端部29から下流端部30に流れるようにするには、樋7は溶融銅27の流れ方向に傾斜させて、樋7の上流端部29が樋7の下流端部30より高い位置に配置する必要がある。第1懸架要素22および第2懸架要素23はどちらも、必須ではないが好ましくは、第1懸架要素22と樋支持枠9の間および第2懸架要素23と樋支持枠の間にそれぞれ設けられた玉継手24を含む。
図1から図5に示す例の例外として、樋7を樋支持枠9に不動固定してもよい。樋7は、例えば、樋支持枠9と一体化してもよい。
図6から図9は、樋7がアノード炉2の端部に設けられた注湯孔3から溶融銅27を受湯するように配設された装置を示す。
図6から図9では、樋支持枠9は第1レバーアーム11によって支持構造体10に可動連結されている。これに加え、樋支持枠9は長尺状の棒12bとして設けられた懸架要素によって支持構造体10から懸架される。
図6および図7において、樋支持枠9は架台21を含み、この架台に樋7がはめ込まれている。
図6から図9において、第1レバーアーム11は樋支持枠9を支持して、樋7の上流端部29が、少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分についてアノード炉2の注湯孔3に対して配置され、この傾動中に溶融銅27がアノード炉2の注湯孔3から樋7に注湯されるように構成されている。
図6から図9において、第1レバーアーム11は樋支持枠9と支持構造体10の間に取り付けられ、それにより、第1レバーアーム11は第1軸関節13によって支持構造体10に回転自在に連結され、樋支持枠9が第1軸関節13から間隔を開けて配設された第2軸関節14によって第1レバーアーム11に回転自在に連結される。第1レバーアーム11と樋支持枠9の間に配設された第2軸関節14は、必須ではないが好ましくは、玉継手24を備えているか、または同様の、回転と屈曲の両方を可能にする関節部か継ぎ手を備えている。
図6から図9において、本実施例の懸架要素は長尺状の棒要素12bであり、その他方端は玉継手24によって樋支持枠9に可動連結され、逆側の端部は玉継手24によって支持構造体10に可動連結されている。
図6から図9において、本願の好適な実施形態の装置はさらに誘導要素25を含み、誘導要素は長尺状棒要素12bの動きを誘導しつつ制限し、それにより樋7の下流端部30のトラフ8に対する動きを誘導しつつ制限して、トラフ8に対する樋の下流端部30の予想される望ましくない動きを抑制する。図6から図9では、誘導要素25は長尺状の開口部(参照番号は付していない)を備えた薄板要素であり、この開口部から長尺状棒要素12bが挿入され、長尺状棒要素12bは樋支持枠9が支持構造体10に対して動くと摺動するように配される。
図6から図9において、懸架要素は別の選択肢としてチェーン(図示せず)または同様の延性の懸架要素でもよく、それにより樋支持枠9を支持構造体10から吊り下げる。
図3から図5は、図1および図2に示す追従装置15の動作をより詳細に示している。
図3から図5において、追従装置15は、樋支持枠9に取り付けられたローラ18と、アノード炉2に取り付けられてローラ18を案内する案内要素19とを含む。代替案として、ローラ18は樋7に取り付けてもよい。
図3から図5において、追従装置15はまた、ローラ18をアノード炉2に取り付けられた案内要素19に押し付けるバネ要素20を含み、それにより、アノード炉2が傾斜軸1に対して傾斜すると、樋7の上流端部29は、少なくともアノード炉2の傾動の範囲をカバーする部分が、アノード炉2の注湯孔3に追従するように配される。
ローラ18は、必須ではないが好ましくは、アノード炉2に取り付けられた案内要素19に接するように配される。ただし、炉の傾動における少なくとも第2最端位置については例外であり、この位置ではローラ18は案内要素19の制御から解放されるような配置となり、バネ要素20は、図5に示すように、樋の上流端部29をその最端位置まで押し上げように配置され、樋7に溶融銅27が入っている場合には樋の中身を空にする。
図3から図5では、追従装置15のバネ要素20は樋支持枠9と支持構造体10の間に取り付けられる。バネ要素20は、必須ではないが好ましくは、圧縮空気シリンダである。
図3から図5は、追従装置15が樋支持枠9の位置を誘導することで、樋7の位置を誘導する様子を示す。
図3では、樋7は溶融銅27をアノード炉2の注湯孔3から受けて、溶融銅27を中間トラフ8aに供給できる位置にある。
図4では、樋7は最低位置にある。
図5では、樋支持枠9に取り付けられたローラ18がアノード炉2に設けられた案内要素の制御から解放されて、バネ要素20が樋7をその最高位置、つまり排出位置まで押し上げて、樋7に溶融銅27が入っている場合、樋7の溶融銅を排出することができる。
図1から図6の特例として、追従装置15は代替的に、例えば、樋支持枠9の位置を支持構造体10に関連して誘導するように構成された電子追従装置であってもよい。
図中では、樋7の上流端部29は、アノード炉2から溶融銅27を受湯する、より正確には、アノード炉2の注湯孔3から溶融銅27を受湯する樋椀状部26を含む。溶融銅27が樋7の上流端部29から下流端部30へ流れると、微量の溶融銅27が樋椀状部26で受湯されて残留する。樋椀状部26に残留する溶融銅27は、アノード炉2の注湯孔3から流れてくる溶融銅27が樋ライニング材に浸透するのを防ぐ。
樋7は、必須ではないが好ましくは、樋7を加熱する加熱システム(図示せず)を含む。
当業者にとっては明白なことであるが、技術の進歩に合わせて、本発明の基本概念を様々な方法で実現することができる。したがって、本発明およびその実施形態は上述の例に限定されるものではなく、本願特許請求の範囲内において変更可能である。

Claims (16)

  1. −傾動時に傾斜軸に対して傾斜可能であり、金属を溶解するアノード炉を含み、該アノード炉は該アノード炉から溶融金属を注出する注湯孔を含み、さらに
    −金属アノードを鋳造するアノード鋳型と、
    −溶融金属を前記アノード炉から前記アノード鋳型に案内する案内システムとを含み、
    その場合、該案内システムは、
    −溶融金属を前記アノード炉の前記注湯孔から該案内システムの一部であるトラフに案内する樋を含み、
    その場合、該樋はアノード炉の注湯孔から溶融金属を受湯する上流端部と、溶融金属を樋から前記トラフへ送る下流端部とを含むアノード鋳造プラントにおける金属アノードの鋳造装置において、
    −該装置は、前記樋を支持する樋支持枠と、該樋支持枠を支持する支持構造体とを含み、
    −該樋は該樋支持枠にはめ込まれ、
    −前記樋支持枠は、樋支持枠を支持するように構成された第1レバーアームによって前記支持構造体に可動連結され、それにより、少なくとも前記アノード炉の傾動に対応して、樋の上流端部がアノード炉の注湯孔に対して配置されて、傾動中に溶融金属をアノード炉の注湯孔から樋に送ることが可能であり、
    −前記樋支持枠は、樋支持枠を支持するように構成された懸架要素によって前記支持構造体に可動連結されて、少なくともアノード炉の傾動に対応して、該樋の下流端部が前記トラフに対して配置されて、傾動中に溶融金属を樋からトラフに送ることが可能であり、
    −第1レバーアームは、樋支持枠と支持構造体の間に取り付けられ、それにより、第1レバーアームは第1軸関節において支持構造体に回転自在に連結され、樋支持枠は第1軸関節と間隔を開けて配設された第2軸関節において第1軸関節に回転自在に連結され、
    −前記懸架要素は、樋支持枠と支持構造体の間に取り付けられ、
    −該装置は、アノード炉の傾動時に、樋支持枠を支持構造体に関連して誘導する追従装置を含み、それにより、少なくともアノード炉の傾動に対応して、樋の上流端部がアノード炉の注湯孔に対して配置され、少なくともアノード炉の傾動に対応して、該樋の下流端部がトラフに対して配置されることを特徴とするアノード鋳造プラントにおける金属アノードの鋳造装置。
  2. 請求項1に記載の鋳造装置において、前記懸架要素は第2レバーアームであり、前記樋支持枠と前記支持構造体との間に取り付けられ、それにより第2レバーアームは第3軸関節において該支持構造体に回転自在に連結され、該樋支持枠が第3軸関節と間隔を開けて配設された第4軸関節において第2レバーアームに回転自在に連結されることを特徴とする鋳造装置。
  3. 請求項2に記載の鋳造装置において、
    −前記樋支持枠は台を含み、該架台に前記樋がはめ込まれ、
    −該架台は、第1懸架要素および第2懸架要素によって、2ヶ所の位置において該樋支持枠から吊り下げられることを特徴とする鋳造装置。
  4. 請求項3に記載の鋳造装置において、
    −第1懸架要素は玉継手を含み、
    −第2懸架要素も玉継手を含むことを特徴とする鋳造装置。
  5. 請求項1に記載の鋳造装置において、前記懸架要素はチェーンまたは延性懸架要素であり、該要素を用いて前記樋支持枠を前記支持構造体から吊り下げることを特徴とする鋳造装置。
  6. 請求項1に記載の鋳造装置において、前記懸架要素は長尺状棒要素であり、該要素を用いて、前記樋支持枠を少なくとも1つの玉継手または関節要素を介して前記支持構造体に可動連結することを特徴とする鋳造装置。
  7. 請求項5または6に記載の鋳造装置において、前記樋支持枠は台を含み、該架台に前記樋がはめ込まれていることを特徴とする鋳造装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の鋳造装置において、
    −前記追従装置は、前記樋または前記樋支持枠に取り付けられたローラと、前記アノード炉に取り付けられて、該ローラを案内する案内要素とを含み、
    −該追従装置は、該ローラを該アノード炉に取り付けられた該案内要素に押し付けるバネ要素を含み、アノード炉が炉の傾斜軸に対して傾斜すると、少なくともアノード炉の傾動に対応した該樋の前記上流端部がアノード炉の前記注湯孔を追従するように配置されることを特徴とする鋳造装置。
  9. 請求項8に記載の鋳造装置において、前記バネ要素は前記樋支持枠と前記支持構造体の間に取り付けられることを特徴とする鋳造装置。
  10. 請求項8または9に記載の鋳造装置において、前記バネ要素は圧縮空気シリンダであることを特徴とする鋳造装置。
  11. 請求項8ないし10のいずれかに記載の鋳造装置において、前記ローラは、少なくとも炉の傾動における第2最端位置を除いて前記案内要素に接触するように配設され、前記最端位置では、該ローラは該案内要素の制御から解放されるように配され、前記バネ要素が前記樋の上流端部をその最端位置まで押し上げるように配されて、該樋に溶融金属が入っている場合には溶融金属が排出されることを特徴とする鋳造装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の鋳造装置において、前記樋の上流端部は前記アノード炉から溶融金属を受湯する樋椀状部を含むことを特徴とする鋳造装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の鋳造装置において、前記トラフは受湯トラフであり、該受湯トラフから溶融金属が中間トラフに送られ、溶融金属はさらに該中間トラフから鋳造トラフに送られ、そこから溶融金属はさらに金属アノードを鋳造するアノード鋳型に送られることを特徴とする鋳造装置。
  14. 請求項1ないし12のいずれかに記載の鋳造装置において、前記トラフは中間トラフであり、該中間トラフから溶融金属がさらに鋳造トラフに送られ、該鋳造トラフから溶融金属はさらに金属アノードを鋳造するアノード鋳型に送られることを特徴とする鋳造装置。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の鋳造装置において、該鋳造装置はアノード鋳造プラントにおける銅アノードの鋳造装置であり、その場合、金属とは銅であり、溶融金属とは溶融銅であることを特徴とする鋳造装置。
  16. 請求項1ないし14のいずれかに記載の鋳造装置において、該鋳造装置はアノード鋳造プラントにおける亜鉛アノードの鋳造装置であり、その場合、金属とは亜鉛であり、溶融金属とは溶融亜鉛であることを特徴とする鋳造装置。
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