JP5442609B2 - セルロース組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース組成物に関する。
医薬、食品、工業において、粉体を圧縮成形して、様々な形態の錠剤を得ることは知られている。
医薬品の錠剤化は、生産性が高い、及び輸送や使用時に取扱い易いという利点がある。そのため、錠剤化に用いられるセルロース組成物は、錠剤が磨損や破壊しない程度の硬度を錠剤に付与するための成形性を有することが必要である。薬物とセルロース組成物の混合粉体を打錠して錠剤化する際には、該粉体が打錠機の臼に均一量充填される必要がある。そのため、セルロース組成物は、成形性に加えて十分な充填性(流動性)を有することが必要である。
医薬品の錠剤化の方法としては、薬物とセルロース組成物を含む粉体を臼に直接充填した後、圧縮成形して錠剤を得る直接打錠法、及び、薬物とセルロース組成物を水や有機溶媒に溶かした結合液を用いて造粒し、得られた顆粒を臼に充填した後、圧縮して錠剤を得る湿式顆粒圧縮法などが一般的に用いられている。これらの錠剤の大きさは、通常5〜20mm程度である。
成形性と充填性を両立するためのセルロース組成物を得るために、様々な試みが行われている。
非特許文献1には、噴霧乾燥(スプレードライ)を行う方法が開示されており、噴霧乾燥法による成形性と充填性向上の例として、直打用乳糖が開示されている。しかしながら、直打用乳糖は、結晶乳糖より成形性が高いものの、成形性が未だに充分ではない。
錠剤の成形性を高めるため、直打用乳糖よりも成形性の高い結晶セルロースが、医薬品の錠剤化におけるセルロース組成物として使用される。結晶セルロースには様々な成形性と流動性を持つ種類が存在し、例えば、特許文献1には、平均重合度が150〜450、75μm以下の粒子の平均L/D(長径短径比)が2.0〜4.5、平均粒子径が20〜250μm、見掛け比容積が4.0〜7.0cm/g、見掛けタッピング比容積が2.4〜4.5cm/g、安息角が55度以下であることを特徴とするセルロース粉末(結晶セルロース)が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されるように、結晶セルロース粒子のL/Dを大きくして、成形性を高めた場合、セルロース組成物の粉体の嵩密度が小さくなり、流動性が損なわれ、かつ充填バラつきが大きくなる問題がある。
特許文献2には、セルロース一次粒子が凝集してなる二次凝集構造を有し、粒子内細孔容積が0.265〜2.625cm/gであり、I型結晶を含有し、平均粒子径が30μmを超え250μm以下、比表面積が1.3〜20m/g、安息角が25度以上44度未満であり、水中で崩壊する性質を有する多孔質セルロース凝集体が開示されている。
特許文献2に開示された二次凝集構造を有する粒子は、従来の結晶セルロースと比較して、成形性が高く、且つ流動性が良好であることが特徴であり、通常の5〜20mmの大きさの錠剤を製造する場合には、充分な成形性と流動性を有するセルロース組成物である。一方、5mm未満の小さい錠剤を製造する場合には、該粒子の充填容積が小さくなるため、嵩密度の小さい粒子は充填性が悪くなり、充填バラつきが大きくなる問題がある。
また、上記したような一般的な錠剤化法以外に、薬物の分離、苦味のマスキング、持続化などの目的で、有核錠又はマイクロタブレットという技術が知られている。
まず、有核錠について説明する。
非特許文献2には、有核錠の基本構造及びその製造方法が開示されている。該有核錠は、第一のフィーダーにより、臼に外層用粉体を充填し、次に予め調製した内核錠を、専用の供給装置を用いて臼の中心に供給し、さらに第二のフィーダーにより、内核錠の側面及び上部に外層用粉体を供給した後、全体を圧縮成形することにより得られる、内核部と外層部の二層からなる錠剤である。
有核錠の外層部に用いられるセルロース組成物には、高い成形性と充填性を併せ持つことが求められる。
有核錠は中心部に中心錠が存在するため打錠時に圧力伝達が妨げられやすく、外層部全体に充分打錠圧が伝わらない場合がある。また、内核が臼の中心からずれると、ずれた部分の外層の厚み(内核錠と臼壁のクリアランス)が薄くなり、強度が不足する場合がある。さらに、有核錠の打錠時に高い打錠圧がかかると、内核が変形して外層部に食い込み、結果として外層部の厚みが薄くなる部分が生じて強度が不足する場合がある。よって、有核錠の外層部に用いるセルロース組成物の成形性が低い場合には、打錠直後や保管中に錠剤にヒビが入ったり、割れたりする場合がある。
これらへの対策として、外層部の厚みを増やすことも考えられるが、錠剤が大きくなり、嚥下しにくくなる問題がある。また、打錠時の圧力を高くすると、杵の破損、磨耗が大きくなる問題や、内核錠に徐放性などのフィルムコーティングを施している場合には、打錠時の圧力によりコーティングフィルムが損傷するという問題がある。したがって、有核錠の外層部に用いられるセルロース組成物には、まずは高い成形性が必要とされる。
外層部に高い強度を付与するには、内核錠と臼の隙間の側面に外層用粉体を充分に充填させる必要がある。外層の厚み(内核錠と臼のクリアランス)は、内核錠の大きさと最終的な錠剤の大きさにより決定されるが、通常0.5〜3mm程度である。外層に用いるセルロース組成物の流動性が充分でない場合、0.5〜3mm幅の外層の側面(外層側面部)にセルロース組成物が入っていくことができず、粗充填状態となってしまう。たとえセルロース組成物自体の成形性が高い場合でも、セルロース組成物が粗充填であれば、セルロース組成物粒子の量が少ないことから、圧縮時に充分な強度を得ることができない。したがって、有核錠の外層に用いるセルロース組成物には、高い成形性に加えて、良好な充填性も併せ持つことが要求される。
また、内核錠の成分を速く放出して薬効を出したい場合、外層部の崩壊性が悪いと、内核錠の成分の放出遅延という問題も起こるため、有核錠の外層部で薬物放出をコントロール(例えば外層部をゲルマトリクス化する方法)するという場合を除いて、外層部には速い崩壊性も要求される。
次に、マイクロタブレットについて説明する。
マイクロタブレットとは、直径1〜3mm程度の大きさの粒子を、錠剤の圧縮成形と同じように、直径1〜3mmの微小な臼に粉体を充填した後に、粉体を圧縮成形することにより得られるものである。薬物とセルロース組成物を含んだマイクロタブレットの場合、そのままカプセルに充填したり、苦味マスクや薬物の放出制御のためのコーティングを施したのち、カプセルに充填したりする。
マイクロタブレットを製造する場合にも、臼の直径は3mm以下であり、通常の錠剤よりも充填容積が小さい。そのため、マイクロタブレットに使用されるセルロース組成物の性質としても、充分にセルロース組成物を臼に充填できる充填性と、圧縮した場合に強度を付与するための成形性が必要である。
特許文献3には、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、乳糖と薬物(水溶性アズレンとL−グルタミン酸)の組み合わせからなる、服用後に胃内で容易に薬物を放出する錠剤が開示されている。
特許文献4には、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸カルシウム、乳糖と薬物(エピネジピン)の組み合わせからなる、口腔内崩壊錠が開示されている。
しかしながら、特許文献3及び4に開示された技術は、は一般的な錠剤に関する技術であり、特許文献3及び4には、有核錠やマイクロタブレットに関する記載は全くない。
一方、有核錠に関連した技術として、特許文献5及び非特許文献2には、有核錠の外層用顆粒にポリエチレンオキサイドを含有させ、有核錠を打錠した際のひび割れ欠損などを低減させる方法が開示されている。
また、有核錠に関する技術としては、特許文献6には、有核錠の外層成分として結晶セルロースと、低粘度ヒドロキシプロピルセルロースと高粘度ヒドロキシプロピルセルロース(低粘度ヒドロキシプロピルセルロースと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの配合比は10/0〜0/10)からなる混合粉体を使用することにより、薬物を含有するコア層から薬物の放出時間をコントロールしたことを特徴とする薬物放出時間制御型固形製剤が開示されている。
特許文献7には、外層にヒドロキシプロピルセルロースを用いた有核錠の技術が開示されているが、これらは外層をゲル化させることによって薬物を徐放化する技術である。
国際公開第2002/002643号パンフレット 国際公開第2005/073286号パンフレット 特開2005−194225号公報 国際公開第2007/028247号パンフレット 特開平11−335268号公報 特開2003−171277号公報 特開2003−95948号公報
粉体工学会・製剤と粒子設計部会、粉体の圧縮成形技術、p.83−84 粉体工学会・製剤と粒子設計部会、粉体の圧縮成形技術、p.298−303
しかしながら、非特許文献1に開示されるような噴霧乾燥法による直打用乳糖は、充填性はある程度あるものの、成形性が低いため、有核錠の外層やマイクロタブレット用のセルロース組成物として用いた時は成形しない。
また、特許文献1に開示されるようなセルロース粉末は、流動性が悪いため、有核錠の外層やマイクロタブレットのセルロース組成物として用いた場合は、狭い空間に粉体を充填させることができないことから、セルロース組成物自体の成形性は高くても、有核錠の外層やマイクロタブレットの成形性を高くすることができない。
さらに、特許文献2に開示される多孔質セルロース凝集体は、粒子の成形性と流動性は良好であるものの、粒子の嵩密度が小さいという欠点がある。一般的な錠剤の場合は、嵩密度が小さい粉体であっても、臼の充填深さ(容積)を大きくすることで、充填量を確保し、錠剤の強度を付与することが可能である。しかし、有核錠の場合、外層側面部の容積は、内核錠と最終的な錠剤の直径及び、内核錠の厚みから決められ、充填できる容積が限られる。ゆえに、嵩密度の小さい粉体は、外層側面部の容積に充填できる粉体量が少なくなるため、外層部に充分な強度を付与することが難しい。
特許文献3に開示される技術は、一般的な大きさ(直径9mm)の易崩壊性錠剤を製造する技術であり、錠剤の製造にあたっては、粉体を結合液で造粒した後、乾燥を経た顆粒を用いる、いわゆる湿式造粒法が用いられている。湿式造粒法の場合、流動性の改善を目的として顆粒の粒子径は100μmよりも大きくすることが通常である。仮にこの顆粒を有核錠に用いた場合には、外層側面の幅は0.5〜3mmの狭いため、顆粒が入りにくくなり、充填不足から外層部に充分な強度を付与することが難しい。
特許文献4に開示される技術は、一般的な大きさの口腔内崩壊錠を製造する技術であり、60秒以内で崩壊することがその特徴である。したがって、ヒドロキシプロピルセルロースは結合剤として配合することができるとの記載があり、配合量についても特に具体的な規定はないものの、短い崩壊時間を達成するためにはヒドロキシプロピルセルロースは入れないかなるべく少ない方が好ましく、実施例においても配合されている記載はない。
特許文献5及び非特許文献2に開示される技術では、ヒドロキシプロピルセルロースを用いると有核打錠時キャッピングの発生が見られる。また、この技術の場合、ポリエチレンオキサイドを含む外層用粉体の流動性が悪いことから、これらの成分を湿式造粒し、一度外層用顆粒を調製する必要があるため、手間が掛かる問題がある。
以上のように、有核錠の外層やマイクロタブレット用のセルロース組成物として、成形性と充填性を両立する優れたセルロース組成物はこれまでに存在しなかった。
特許文献6に開示される技術は、有核錠の外層に結晶セルロース/ヒドロキシプロピルセルロースを配合する技術であるが、結晶セルロース/ヒドロキシプロピルセルロースの比率に関する規定はなく、比率に関しては実施例にのみ記載があり、結晶セルロース/ヒドロキシプロピルセルロースの配合比率はすべて49/50である。当該技術の目的は、有核錠の外層をゲル化させて、内核に含有する薬物の放出時間を80分以上制御することである。そのため外層をゲル化させるには、ヒドロキシプロピルセルロースを外層の半分程度配合させることが必要である。
特許文献7に開示される技術も、外層に結晶セルロースとヒドロキシプロピルセルロースを用いた有核錠の技術であるが、該技術も、外層をゲル化させることによって薬物を徐放化する技術でり、結晶セルロースを含む水不溶性粒子の配合量は1〜50%である。
逆に言うと、外層をゲル化させず、適度に速い崩壊性を示す速放性製剤を得ようとする場合には、特許文献6及び7に開示される技術では実現することができない。
本発明が解決しようとする課題は、錠剤化、とりわけ粉体の充填容積が小さい条件での錠剤化の際に、高い充填性と成形性を付与するセルロース組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の結晶セルロース[A]と、特定の水溶性セルロース誘導体[B]と、流動化剤[C]と、賦形剤[D]を特定の範囲で含有することにより、錠剤化、とりわけ有核錠やマイクロタブレットなどの充填容積の小さい条件での錠剤化において充填性と成形性を両立し、高い強度と適度に速い崩壊性を付与するセルロース組成物とすることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
平均粒子径が80〜150μm、ゆるみ嵩密度が0.30〜0.50g/cm、安息角が40度以下である結晶セルロース[A]を55〜75質量%と、
平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性セルロース誘導体[B]を17.5〜37.5質量%と、
流動化剤[C]を0.01〜0.5質量%と、及び
平均粒子径が150μm以下、ゆるみ嵩密度が0.60〜1.00g/cmである賦形剤[D]を5〜20質量%と、を含み、
前記[D]と前記[B]の含有比([D]/[B])が1.0未満であり、
前記[A]、[B]、[C]、及び[D]を全て粉体の状態で含み、並びに
平均粒子径が100μm以下、ゆるみ嵩密度が0.47g/cm以上、安息角が35度以下、タッピング嵩密度が0.60g/cm以上であるセルロース組成物。
[2]
圧縮成形体の体積強度が80〜115N/cm、崩壊時間が1〜20分である、[1]に記載のセルロース組成物。
[3]
前記[C]がケイ酸である、[1]又は[2]に記載のセルロース組成物。
[4]
前記[D]が無水リン酸水素カルシウムである、[1]から[3]のいずれかに記載のセルロース組成物。
[5]
少なくとも前記[A]と前記[C]を含む成分を容器固定型混合機で混合した後、残りの成分を前記[A]及び前記[C]を少なくとも含む混合物に添加して、任意の混合機で混合することによって得られる、[1]から[4]のいずれかに記載のセルロース組成物。
[6]
前記[A]と前記[C]を容器固定型混合機で混合した後、前記[B]と前記[D]を、前記[A]及び前記[C]の混合物に添加して、任意の混合機で混合することによって得られる、[1]から[5]のいずれかに記載のセルロース組成物。
[7]
[1]から[6]のいずれかに記載のセルロース組成物を含む、直径が3mm以下の錠剤。
[8]
[1]から[6]のいずれかに記載のセルロース組成物からなる外層を有する有核錠。
[9]
崩壊時間が30分以下である、[8]に記載の有核錠。
[10]
少なくとも前記[A]と前記[C]を容器固定型混合機で混合する工程と、及び
残りの成分を、前記[A]及び前記[C]を少なくとも含む混合物に添加して、任意の混合機にて混合する工程と、を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロース組成物の製造方法。
[11]
前記[A]と前記[C]を含む成分を容器固定型混合機で混合する工程と、及び
前記[B]と前記[D]を、前記[A]及び前記[C]の混合物に添加して、任意の混合機にて混合する工程と、を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロース組成物の製造方法。
[12]
平均粒子径が80〜150μm、ゆるみ嵩密度が0.30〜0.50g/cm、安息角が40度以下である結晶セルロース[A]を55〜75質量%と、
平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性セルロース誘導体[B]を17.5〜37.5質量%と、
流動化剤[C]を0.01〜0.5質量%と、及び
平均粒子径が150μm以下、ゆるみ嵩密度が0.60〜1.00g/cmである賦形剤[D]を5〜20質量%と、を含む外層を有し、
前記[D]と前記[B]の比([D]/[B])が1.0未満であり、
外層側面部の厚みが2mm以下であり、並びに崩壊時間が30分以下である有核錠。
本発明のセルロース組成物は、良好な充填性と成形性を発揮する。
本発明のセルロース組成物を用いることにより、強度の高い錠剤を得ることができる。とりわけ、充填容積の小さい有核錠の外層やマイクロカプセルに本発明のセルロース組成物を用いることにより、強度の高い有核錠やマイクロカプセルを得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態のセルロース組成物は、平均粒子径が80〜150μm、ゆるみ嵩密度が0.30〜0.50g/cm、安息角が40度以下である結晶セルロース[A]を55〜75質量%と、平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性セルロース誘導体[B]を17.5〜37.5質量%と、流動化剤[C]を0.01〜0.5質量%と、及び平均粒子径が150μm以下、ゆるみ嵩密度が0.60〜1.00g/cmである賦形剤[D]を5〜20質量%と、を含み、前記[D]と前記[B]の含有比([D]/[B])が1.0未満であり、前記[A]、[B]、[C]、及び[D]を全て粉体の状態で含み、並びに平均粒子径が100μm以下、安息角が35度以下、ゆるみ嵩密度が0.47g/cm以上、タッピング嵩密度が0.60g/cm以上であるセルロース組成物である。
本実施の形態のセルロース組成物は、良好な充填性を有し、且つ圧縮した時に充分な強度を有するセルロース組成物であり、例えば、有核錠の外層用の圧縮成形用セルロース組成物として好適に用いられる。
(結晶セルロース[A])
本実施の形態に用いられる結晶セルロース[A]は、平均粒子径が80〜150μm、ゆるみ嵩密度が0.30〜0.50g/cm、安息角が40度以下である結晶セルロースである。
本実施の形態において、結晶セルロースとは、パルプを加水分解することによって得られる、平均重合度が60〜375であるセルロースであり、第15改正日本薬局方の結晶セルロースに合致するものである。
結晶セルロースの平均粒子径は80〜150μmである。
平均粒子径が80μm以上であることにより、流動性に優れるセルロース組成物とすることができる。また、結晶セルロースの表面積が増え、水溶性セルロース誘導体[B]との接触面積が大きくなり、圧縮時に水溶性セルロース誘導体[B]同士の結合が減少することによる、成形性の低下を防止することができる。
平均粒子径が150μm以下であることにより、有核錠の外層やマイクロタブレットの3mm以下の非常に狭い空間にセルロース組成物を充填することができる。
結晶セルロースの平均粒子径は85〜135μmであることが好ましい。
結晶セルロースのゆるみ嵩密度は0.30〜0.50g/cmである。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であることにより、有核錠の外層やマイクロタブレットの狭い空間に充填できる粒子の数が増加し、セルロース組成物の圧縮成形性を向上させることができる。
ゆるみ嵩密度が0.50g/cm以下であることにより、充填性に優れると共に、結晶セルロース自体の持つ成形性により、高い圧縮成形性を有するセルロース組成物とすることができる。
結晶セルロースのゆるみ嵩密度は0.35g/cm以上であることが好ましく、0.40g/cm以上であることがより好ましい。
結晶セルロースの安息角は40度以下である。
安息角が40度以下であることにより、セルロース組成物が優れた流動性を有するため、有核錠の外層やマイクロタブレットの狭い空間にセルロース組成物を充填することができる。
結晶セルロースの安息角は38度以下であることが好ましく、32〜38度であることがより好ましい。
安息角を32度以上とすることにより、高い圧縮成形性を有するセルロース組成物とすることができるため好ましい。
本実施の形態において、結晶セルロースの平均粒子径、ゆるみ嵩密度、及び安息角は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
結晶セルロースの配合量は55〜75質量%であり、好ましくは57.5〜72.5質量%である。
配合量が55質量%以上であることにより、セルロース組成物全体の嵩密度を大きくすることができ、かつ流動性に優れるセルロース組成物とすることができる。
配合量が75質量%以下であることにより、相対量として十分な量の水溶性セルロース誘導体[B]を配合することができ、高い成形性を有するセルロース組成物とすることができる。
本実施の形態においては、セルロース組成物において、配合量が100質量%となるように、[A]、[B]、[C]、及び[D]の各成分を含有することが好ましい。
(水溶性セルロース誘導体[B])
本実施の形態に用いられる水溶性セルロース誘導体[B]は、平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である。
水溶性セルロース誘導体として、医薬品添加剤として使用される水溶性セルロース誘導体であれば特に限定されず、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロースなどが挙げられる。その中でも、平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下であるヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
本実施の形態において、ヒドロキシプロピルセルロースは、セルロースの水酸基に対してヒドロキシプロポキシル基(−OCH5OH)を53.4〜77.5%含有するセルロースのヒドロキシプロピルエーテルである。
水溶性セルロース誘導体の平均粒子径は80μm以下である。
平均粒子径が80μm以下であることにより、水溶性セルロース誘導体の表面積が減り、圧縮成型時に、水溶性セルロース誘導体の粒子同士、あるいは水溶性セルロース誘導体粒子と結晶セルロース粒子の結合部が減少することによる、セルロース組成物の成形性の低下を防止することができる。
水溶性セルロース誘導体の嵩密度が大きく、かつ良好な流動性を示す観点で、水溶性セルロース誘導体の平均粒子径は20〜70μmであることが好ましい。
水溶性セルロース誘導体の2質量%の20℃水溶液の粘度は10mPa・s以下である。
2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・sよりも大きい水溶性セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロースで、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・sよりも大きい日曹HPC−M、HPC−H)の場合、溶解させたときの粘度は非常に高いが、粉体をそのまま圧縮成形した場合には、成形性が意外にも低く、セルロース組成物の成形性が充分に得られない傾向がある。
2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性セルロース誘導体の場合、水を含んだ場合のゲル化傾向が小さくなるため、有核錠の外層に用いた場合、速放性製剤を得ることができる。
水溶性セルロース誘導体の2質量%の20℃水溶液の粘度は6mPa・s以下であることが好ましい。
本実施の形態において、水溶性セルロース誘導体の平均粒子径及び2質量%の20℃水溶液の粘度は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施の形態で好ましく用いられるヒドロキシプロピルセルロースとしては、例えば、日本曹達(株)が製造販売する日曹HPC−L、HPC−SL、HPC−SSLを好適に使用することができる。その中でも、特に低粘度であり、且つ微粉タイプが入手可能である点で、HPC−SLが好ましい。
水溶性セルロース誘導体の配合量は17.5〜37.5質量%であり、好ましくは20〜35質量%である。
配合量が17.5質量%以上であることにより、水溶性セルロース誘導体の結合力が充分に発揮させることにより、高い成形性を有するセルロース組成物とすることができる。
水溶性セルロース誘導体自体のゆるみ嵩密度は結晶セルロース[A]よりも小さく、安息角も大きい。配合量が37.5質量%以下であることにより、セルロース組成物の嵩密度の低下や、流動性の悪化を防止することができ、充填性に優れ、高い成形性を有するセルロース組成物とすることができる。
(流動化剤[C])
本実施の形態のセルロース組成物に用いられる流動化剤[C]は、結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]の表面に粒子が分散して、本実施の形態のセルロース組成物の嵩密度を高くし、流動性を向上させることで、充填容積が極めて小さく限られた条件においても、セルロース組成物の充填性、成形性を高めるために配合する物質である。
流動化剤として、例えば、軽質無水ケイ酸、含水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられ、その中でも、軽質無水ケイ酸、含水ケイ酸などのケイ酸が好ましい。一次粒子の粒径が小さく、流動化効果が高い点で、軽質無水ケイ酸が好ましく、具体的には、日本アエロジル(株)が販売するアエロジル200又はアエロジル200CFなどが挙げられる。
流動化剤の配合量は0.01〜0.5質量%であり、好ましくは0.01〜0.35質量%である。
配合量が0.01質量以上であることにより、セルロース組成物において流動化剤の効果を十分に発揮することができる。
配合量が0.5質量%以下であることにより、十分な量の流動化剤の粒子を配合することができ、適当なゆるみ嵩密度を有するセルロース組成物とすることができる。また、配合量が0.5質量%以下であることにより、流動化剤が結晶セルロース[A]や水溶性セルロース誘導体[B]の粒子表面を適度に覆い、セルロース組成物の十分な結合力を発揮させることができる。
(賦形剤[D])
本実施の形態に用いられる賦形剤[D]は、平均粒子径が150μm以下、ゆるみ嵩密度が0.60〜1.00g/cmである。
賦形剤の平均粒子径は150μm以下であることにより、有核錠の外層やマイクロタブレットの3mm以下の非常に狭い空間にセルロース組成物が十分に充填される。
賦形剤[D]の平均粒子径は、セルロース組成物の嵩密度の観点で、30〜100μmであることが好ましい。
賦形剤[D]のゆるみ嵩密度は0.60〜1.00g/cmである。
ゆるみ嵩密度が0.60g/cm以上であることにより、セルロース組成物のゆるみ嵩密度を増加させることができる。
ゆるみ嵩密度が1.00g/cm以下であることにより、高い成形性を有するセルロース組成物とすることができる。
賦形剤[D]のゆるみ嵩密度は0.70〜0.95cm以上であることが好ましい。
賦形剤[D]の配合量は5〜20質量%以下であり、好ましくは6〜18質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。
配合量が5質量%以上であることにより、セルロース組成物の嵩密度を高くすることができる。
配合量が20質量%以下であることにより、高い成形性を有するセルロース組成物とすることができる。
本実施の形態において、賦形剤の平均粒子径及びゆるみ嵩密度は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
賦形剤[D]と水溶性セルロース誘導体[B]の比率[D]/[B]は1.0未満である。
[D]/[B]の比が1.0未満、すなわち、賦形剤の配合量が、水溶性セルロース誘導体の配合量より少ないことにより、水溶性セルロース誘導体が有する成形性を発揮させることができ、高い成形性を有するセルロース組成物とすることができる。
賦形剤[D]として、例えば、白糖、ブドウ糖、乳糖、トレハロースなどの糖類、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール類、ケイ酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物などが挙げられ、その中でも、噴霧乾燥で得られる市販品のスプレードライ乳糖、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウムが好ましく、より好ましくは、ゆるみ嵩密度がより重質である無水リン酸水素カルシウムである。市販品としては、無水リン酸水素カルシウム重質グレード、GSグレード(協和化学工業(株)製)などが挙げられる。
本実施の形態のセルロース組成物は、結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、及び賦形剤[D]を全て粉体の状態で含む。
本実施の形態において、「全て粉体の状態で含む」とは、製造工程において、後述するような混合工程を経たものであり、造粒によって[A]、[B]、[C]、及び[D]の粒子同士を結合させて、顆粒状にしたものではないことを意味する。
水やエタノールなどの溶媒を用いる湿式造粒法の場合、一般的に水溶性セルロース誘導体(中でも、ヒドロキシプロピルセルロース)は溶媒に溶かした状態で使用されるが、この場合、溶媒に溶解した水溶性セルロース誘導体が、溶媒が乾燥する際に膜状になり、この膜を介してその他の粉体が結合し、顆粒を形成する。湿式造粒法の場合、顆粒の大きさは100μmよりも大きくするのが一般的であるため、この場合、流動性は改善されるが、有核錠の外層やマイクロタブレットのような狭い空間に粉体を充填させることは難しい。さらに、湿式造粒法には大きく流動層造粒法と攪拌造粒法の二つが挙げられるが、流動層造粒法はゆるみ嵩密度が0.47g/cm以上の顆粒を作ることが難しく、一方、攪拌造粒法はゆるみ嵩密度が0.47g/cm以上の顆粒を作ることができる場合もあるが、その場合硬い顆粒となるため圧縮成形性に乏しくなり、圧縮成形時に充分な強度を与えることができない。
本実施の形態のセルロース組成物の平均粒子径は100μm以下、好ましくは30〜100μmである。
平均粒子径が100μm以下であることにより、有核錠の外層やマイクロタブレットの3mm以下の非常に狭い空間にも、セルロース組成物が充分に充填される。平均粒子径が30μm以下であることにより、充填性に優れるセルロース組成物とすることができるため好ましい。
本実施の形態のセルロース組成物の安息角は35度以下、好ましくは32〜35度である。
安息角が35度以下であることにより、セルロース組成物は充分に流動性を有し、充填容積が極めて微小で、充填幅が3mm以下である有核錠の外層やマイクロタブレットの狭い空間にも粒子が充填されやすい。そのため、有核錠の外層やマイクロタブレットの充填重量にバラつきが発生せず、また充分な充填重量が得られることから、圧縮時の成形性を得ることができる。安息角が32度以下であることにより、高い圧縮成形性を有するセルロース組成物とすることができるため好ましい。
本実施の形態のセルロース組成物のゆるみ嵩密度は0.47g/cm以上であり、好ましくは0.47〜0.56g/cmである。また、セルロース組成物のタッピング嵩密度は0.60g/cm以上であり、好ましくは0.60〜0.80g/cmである。
ゆるみ嵩密度が0.47g/cm以上であり、かつタッピング嵩密度が0.60g/cmであることにより、充填容積が極めて微小である場合にも、充分な重量のセルロース組成物を充填させることができ、圧縮時の成形性が得ることができる。ゆるみ嵩密度が0.56g/cm以下、又はタッピング嵩密度が0.80g/cm以下であることにより、高い圧縮成形性を有するセルロース組成物とすることができるため好ましい。
本実施の形態のセルロース組成物の圧縮成形体の体積強度は、80〜115N/cmが好ましく、82.5〜110N/cmがより好ましい。
本実施の形態において、圧縮成形体の体積強度[N/cm]とは、セルロース組成物を圧縮成形体とした場合に、以下の式により算出される物性である。
圧縮成形体の体積強度[N/cm]=圧縮成形体の引張破断強度[N]/粉体体積[cm
粉体体積[cm]=0.15[g]/ゆるみ嵩密度[g/cm
圧縮成形体の引張破断強度の求め方について説明する。セルロース組成物を150mg正確に量り取る。次いで、底面積が1cmの円形の臼(直径11.3mmΦ)に入れ、底面積が1cm2の円形の平面杵で圧縮速度20cm/minで圧縮し、圧縮力が2kNに達したら、10秒間その圧縮力を維持することにより、圧縮成形体を作成する。この時に得られる圧縮成形体の厚みは、1.0〜1.5mm程度である。
次に、得られた圧縮成形体の引張破断強度を測定する。測定には、クリープメーター((株)山電、RE−33005、20kgfロードセル)を使用する。圧縮成形体を、中央部分が1mm見える程度残し、専用の冶具にて、上下それぞれの部分を挟んで固定する。その後、上部を固定したまま、下部を引張速度0.1mm/sで圧縮成形体を引っ張り、破断した際の強度を引張破断強度[N]とする。
圧縮成形体の体積強度は、従来にない粉体の物性を表す指標である。圧縮成形体の強度を評価する場合は、これまでは、圧縮成形体の質量を一定に揃えて評価する、粉体質量あたりの強度(言わば質量強度)で評価するのが通常であった。通常の錠剤の製法においては、粉体の嵩密度が変化しても、充填容積を変えることで、質量を目標値(例えば200mgなど)に設定し、その時の強度が充分か否かを判断要因として、賦形剤を決定すればよかった。したがって、体積強度という考え方はなかった。
一方、本実施の形態のセルロース組成物は、圧縮成形用セルロース組成物として、有核錠の外層部や、マイクロタブレットなど、充填される部分の体積を変えることが非常に難しい用途に用いるため、従来の質量強度の評価方法では、使用する賦形剤がそのような用途に適するか否かを予測、評価することが難しかった。
そこで、本実施の形態では、圧縮成形体の強度を、粉体の質量あたりではなく、体積あたりの引張破断強度で評価することを見出し、これにより、粉体を充填できる容積を変えることが難しい、有核錠の外層やマイクロタブレットの圧縮成形用として適するセルロース組成物を見出すことができた。
セルロース組成物が、特定の平均粒子径、ゆるみ嵩密度、安息角、タッピング嵩密度を有し、かつセルロース組成物の圧縮成形体の体積強度が80N/cm以上であることにより、通常の錠剤において充分な強度を付与することが可能であるのはもちろんであるが、有核錠の外層部や、マイクロタブレットなど、充填される部分の容積が小さい場合においても、充分な強度を付与することが可能であるため好ましい。これにより、有核錠の場合には、打錠中に錠剤にヒビが入ったり、割れたり、内核が変形して外層に食い込んだりすることを防ぐことができる。また、錠剤の保管中に、内核が弾性回復により膨張した際に、外層がその変形力に耐えられずに割れたり、瓶などに保管する場合は、輸送中の衝撃力で割れたりすることがあるが、圧縮成形体の体積強度が80N/cm以上あれば、これらの問題も防ぐことができる。
従来のセルロース組成物は、成形性が高く嵩密度が小さい、もしくは、成形性が低く嵩密度が大きい粉体がほとんどであり、いずれの場合においても、圧縮成形体における体積強度で評価した場合には80N/cm未満であり、上記の問題を充分に防ぐことができない。
一方、粘着性の非常に高い粉体を高含量含むセルロース組成物を用いた場合には、圧縮成形体の体積強度が115N/cmより大きくなる場合がある。しかしながら、このようなセルロース組成物の場合、水を含んだ場合にゲル化するものであり、崩壊性が非常に悪い。そのため有核錠の外層に用いた場合には、錠剤が30分以内に崩壊しないため、速放性製剤として使用できない。
本実施の形態のセルロース組成物の圧縮成形体における崩壊時間は1〜20分が好ましく、1〜15分がより好ましい。
セルロース組成物の圧縮成形体の崩壊時間の求め方について説明する。セルロース組成物を150mg正確に量り取る。次いで、底面積が1cmの円形の臼(直径11.3mmΦ)に入れ、底面積が1cm2の円形の平面杵で圧縮速度20cm/minで圧縮し、圧縮力が2kNに達したら、10秒間その圧縮力を維持することにより、圧縮成形体を作成する。この時に得られる圧縮成形体の厚みは、1.0〜1.5mm程度である。
次に、得られた圧縮成形体の崩壊時間を測定する。測定は、第15改正日本薬局方、錠剤の崩壊試験法に準じて行う。セルロース組成物から得られる圧縮成形体について、崩壊試験機(富山産業(株)製、NT−40HS型、ディスクあり)で、37℃純水中における崩壊時間として求める。なお、値は試料6個の数平均である。
圧縮成形体の崩壊時間が20分以下であることにより、セルロース組成物を主に有核錠に使用した場合に、有核錠を第15改正日本薬局方に記載される崩壊試験を実施した場合に、30分以下に崩壊し、速放性製剤として適合する有核錠を得ることができる。
圧縮成形体の崩壊時間は短い方が速放性製剤としては有利であるが、通常体積強度を80N/cm以上にすることが難しいため、有核錠に使用した場合に、外層側面に充分な強度を付与するために、圧縮成形体の崩壊時間は1分以上であることが好ましい。
本実施の形態のセルロース組成物は、通常の錠剤、もしくは有核錠やマイクロタブレットなどを製造するに際して、上記結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]以外のその他の添加剤と一緒に使用してもよく、該添加剤として、例えば、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、クロスポビドンなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステルなどの滑沢剤、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントールなどの矯味剤、オレンジ、バニラ、ストロベリー、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油、緑茶粉末などの香料、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号などの食用色素、銅クロロフィリンナトリウム、酸化チタン、リボフラビンなどの着色剤、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、水飴、アマチャ末などの甘味料、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤などが挙げられる。
本実施の形態のセルロース組成物は、薬物、農薬、肥料、飼料、食品、化粧品などの活性成分と一緒に使用してもよく、薬物としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、圧縮成型錠として経口で投与されるものが好ましい。
本実施の形態のセルロース組成物に添加するその他の添加剤、及び活性成分はゆるみ嵩密度が小さく、かつ成形性の低いものが多いため、セルロース組成物の利点を損なわない程度の配合量にすることが好ましい。通常の直径5〜20mm錠剤や、有核錠の外層の厚みが比較的大きい、又はマイクロタブレットの大きさが比較的大きい場合には上記その他の添加剤又は活性成分を比較的多く配合することができるが、有核錠の外層の厚みが小さくなるほど、又はマイクロタブレットの大きさが小さくなるほど、その他の医薬品添加剤又は活性成分を配合できる量は少なくなる。セルロース組成物100質量部に対し、その他の添加剤、及び活性成分の配合量は、20質量部以下にすることが好ましく、10質量部以下にすることがより好ましく、5質量部以下にすることがさらに好ましい。
(セルロース組成物の製造方法)
本実施の形態のセルロース組成物は少なくとも結晶セルロース[A]、流動化剤[C]を含んだ成分を容器固定型混合機にて先に混合した後、残りの成分を添加してさらに任意の混合機にて混合することが好ましい。少なくとも結晶セルロース[A]と流動化剤[C]を含むとは、結晶セルロース[A]と流動化剤[C]だけでもよいし、結晶セルロース[A]と流動化剤[C]と水溶性セルロース誘導体[B]を含んでもよいし、結晶セルロース[A]と流動化剤[C]と賦形剤[D]を含んでもよいし、結晶セルロース[A]と流動化剤[C]と水溶性セルロース誘導体[B]と賦形剤[D]を含んでもよいし、結晶セルロース[A]と流動化剤[C]と水溶性セルロース誘導体[B]と賦形剤[D]とその他の前記の医薬品添加剤や活性成分を含んでもよいことを意味する。その中でも、好ましいのは、結晶セルロース[A]と流動化剤[C]を容器固定型混合機で混合し、さらに水溶性セルロース誘導体[B]と賦形剤[D]、さらには必要に応じて他の医薬品添加剤や活性成分を[A]と[C]の混合物に添加して任意の混合機にて混合する方法である。
本実施の形態において、容器固定型混合機とは、容器を固定し、容器内に投入した粉体に運動を与えて混合を促進するための攪拌羽根を容器内に装着したものの総称であり、機械攪拌型混合機とも言われる。
容器固定型混合機は、攪拌羽根の回転により、せん断力と拡散力を強制的に与え、それに容器内での粉粒体の循環流が加わって混合が促進される、いわゆる剪断混合により粉体混合を行うものであり、容器固定型混合機としては、リボン型混合機、スクリュー型混合機、パドル型混合機、遊星運動型(ナウターミキサー)などの混合機の他、高速攪拌型混合機を用いることができる。高速攪拌型混合機の具体的な装置としては、メカノミル(岡田精工(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、ラボラトリーマトリックス((株)奈良機械製作所製)などが挙げられる。
それに対して、容器回転型混合機と呼ばれる混合機として、水平円筒形混合機、V型混合機、タンブラー型混合機、ダブルコーン(二重円錐)型混合機などが挙げられる。これらは、容器の回転軸や外部の駆動装置により容器が回転し、容器内の粉体がその作用により対流されて混合が促進される、いわゆる対流混合により粉体混合を行うものであるが、これは粉体が対流することによってシアを受けるものである。
容器固定型混合機は、容器回転型混合機に比べて、容器内の攪拌羽根が粉体に直接シアを与える混合方法であり、セルロース組成物の成分である結晶セルロース[A]と流動化剤[C]の分散がより均一に進行する。そのため、結晶セルロースの表面に流動化剤が均一に付着しやすく、混合物のゆるみ嵩密度、タッピング嵩密度が、容器固定型混合機を使用する場合よりも大きくなる。
結晶セルロース[A]と流動化剤[C]を先に容器固定型混合機で混合する方法は、流動化剤[C]が最も配合量が多い結晶セルロース[A]の表面に分散するため、ゆるみ嵩密度、タッピング嵩密度を大きくする効果が大きく、かつ結晶セルロース[A]は表面に流動化剤[C]が付着しても圧縮成形性の低下が起こりにくいため好ましい。
一方、流動化剤[C]を結晶セルロース[A]を含まない条件下で混合し、その後結晶セルロース[A]を添加するような場合には、すなわち、流動化剤[C]と水溶性セルロース誘導体[B]を先に混合し、その後に結晶セルロース[A]を添加して混合するというような方法で混合を行った場合には、水溶性セルロース誘導体[B]の表面に流動化剤[C]が均一に分散・付着し過ぎると、水溶性セルロース誘導体[B]の結合部分が覆われて混合後のセルロース組成物の圧縮成形性が大きく低下することがある。
結晶セルロース[A]と流動化剤[C]を容器固定型混合機にて混合した後、さらに水溶性セルロース誘導体[B]、賦形剤[D]、及びその他の成分を添加して混合する場合は、任意の混合機で混合してよく、引き続き容器固定型混合機に添加して混合してもよいし、容器回転型混合機に移して混合してもよい。混合時間は、容器固定型混合機の種類、大きさ、攪拌羽根の回転数などによって適宜選択することができる。
本実施の形態のセルロース組成物の嵩密度、タッピング嵩密度、安息角、圧縮成形体における体積強度、崩壊時間は、結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を上記で規定した物性、配合量で配合することにより、初めて達成することができるのである。
また、セルロース組成物の嵩密度、タッピング嵩密度、安息角は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施の形態のセルロース組成物は、既知の方法を用いて、活性成分やその他の添加剤とともに打錠することにより、錠剤化することができる。
直径5〜20mm程度の通常の錠剤に、本実施の形態のセルロース組成物を使用した場合、充填性と成形性が良好であることから、セルロース組成物と活性成分、その他の添加剤を混合した粉体を、そのまま既知の回転式打錠機に供給して打錠する、直接打錠法により製造することが可能である。この時、粉体の充填性と成形性が良好であることから、高い生産速度で、質量バラつきが小さく、かつ強度の高い錠剤を製造することができる利点がある。
本実施の形態のセルロース組成物は、圧縮成形体の体積強度が高いという特徴を有するため、錠剤の中でも直径が3mm以下である、いわゆるマイクロタブレットや、有核錠の外層圧縮成形用など、粉体を充填する容積が小さく、かつ容積を変えることが難しい用途の場合に、従来の粉体と比較して、顕著に高い成形性と充填性を発揮する。とりわけ、有核錠の外層圧縮成形用途は本実施の形態のセルロース組成物を適用するのに適した分野であり、その中でも特に速放性製剤の有核錠の外層圧縮成形用途に適している。
本実施の形態のセルロース組成物を用いて製造される有核錠は、平均粒子径が80〜150μm、ゆるみ嵩密度が0.30〜0.50g/cm、安息角が40度以下である結晶セルロース[A]を55〜75質量%と、平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性セルロース誘導体[B]を17.5〜37.5質量%と、流動化剤[C]を0.01〜0.5質量%と、及び平均粒子径が150μm以下、ゆるみ嵩密度が0.60〜1.00g/cmである賦形剤[D]を5〜20質量%と、を含む外層を有し、
前記[D]と前記[B]の比([D]/[B])が1.0未満であり、外層側面部の厚みが2mm以下であり、並びに崩壊時間が30分以下である。
本実施の形態において、有核錠については、市販の有核錠打錠機(例えば、AP−MS−C型有核打錠機((株)畑鉄工所製)、AQUARIUS DC型回転式有核錠打錠機((株)菊水製作所製)など)、を用いて製造することができる。有核錠の一般的な製造方法は、第一のフィーダーにより、臼に外層用のセルロース組成物を充填し、次に予め調製した内核錠を、専用の供給装置を用いて臼の中心に供給し、さらに第二のフィーダーにより、内核錠の側面及び上部に外層用のセルロース組成物を供給した後、全体を圧縮成形する方法である。
有核錠の外層側面部の厚みは、最終的な錠剤の大きさと内核錠の大きさから適宜決定してよいが、外層側面部の厚みが薄いほど、本実施の形態のセルロース組成物の有する高い体積強度の効果がより発揮される。近年の有核錠打錠機は、CCDカメラやセンサーなどの発達により、内核錠を正確に中心に置くことが比較的容易になり、外層側面部の厚みを比較的均一にできるようになってきたことから、それに伴い外層側面部の厚みを薄くすることもできるようになってきたが、有核錠の外層側面部の厚みが薄くなればなるほど、外層に用いる賦形剤には高い成形性と高い充填性を両立することが求められる。そのため、本実施の形態のセルロース組成物の有する高い体積強度の効果がさらに発揮される。
さらに、国際公開第2001/098067号パンフレットに開示される有核錠打錠機の場合は、二重構造の臼杵を用いることで、有核錠を一体成型で製造が可能なため、内核の位置ずれをさらに抑制することができ外層側面部を極めて薄くすることが可能であり、1mm以下にすることができるとの記載がある。そのため、外層に用いる組成物には極めて高い成形性と充填性を両立することが求められ、本実施の形態のセルロース組成物の有する高い体積強度の効果が最も発揮される。
ゆえに、本実施の形態のセルロース組成物を外層に使用する有核錠としては、外層側面部の厚みが2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがさらに好ましい。
また、本実施の形態のセルロース組成物を外層に使用する有核錠は、外層部にて薬物の放出を抑えることのない、速放性製剤として使用することが好ましく、ゆえに有核錠の崩壊時間は、速放性製剤として適合する、第15改正日本薬局方に記載される崩壊試験において30分以内であることが好ましい。
有核錠の硬度は、輸送運搬中に欠けや摩損などを発生させないため、40N以上であることが好ましく、50N以上であることがさらに好ましい。有核錠の硬度が高すぎると崩壊時間の遅延を引き起こすことがあるため、200N以下であることが好ましく、150N以下であることがより好ましい。
従来の圧縮成形用の賦形剤の場合に、有核錠の外層の厚みを薄くした場合には、充分に外層部に強度を付与することができず硬度を40N以上にできなかったり、あるいは40N以上にするために非常に高い圧縮力を与えると内核が潰れて外層部にはみ出したり、あるいはフィルムコーティング顆粒を内核に使用する場合にはフィルムが圧縮力にてダメージを受けて薬効成分の溶出が速くなったりすることが多かった。しかしながら、本実施の形態のセルロース組成物を用いた場合には、高い体積強度を有するため、有核錠の外層の厚みを薄くした場合にも充分な強度を付与できることから、40N以上の硬度を有する有核錠を、適度な圧縮力にて製造することが可能である。ゆえに、内核が潰れたり、フィルムコーティング顆粒がダメージを受けたりすることがない。
本実施の形態において、マイクロタブレットについても、既知の方法を用いて製造することができる。以下に一般的なマイクロタブレットの製造方法について説明する。マイクロタブレットは、マイクロタブレット用の、直径1〜3mmの細い杵が先端に複数個ついている元杵と、杵の形状に合わせた直径1〜3mmの小さい穴が複数個開いた臼を用いる。元杵、及び臼は、通常の打錠機にセットできるものであり、打錠機に粉体をホッパーより供給し、圧縮する、一般的な打錠機を用いて製造することができる。マイクロタブレットは、円筒形で平面又は凸面の上面及び下面を有しており、直径及び厚みの双方は、互いに独立に変えることができるが、通常は、厚みを直径に合わせて調整し、直径と厚みをほぼ同じ大きさとする場合が多い。打錠の回転速度、圧力などの条件は、マイクロタブレットの大きさや、要求されるマイクロタブレットの物性によって適宜設定することができるが、マイクロタブレットの場合、先端の杵が細いため、打錠圧を高くすると杵折れの危険性があるため、通常の打錠に比べて打錠圧は低くする必要がある。また、臼の直径が小さいため、打錠に供する粉体は、良好な充填性を有することが求められる。
本実施の形態のセルロース組成物は、充填性が良好であるため、直径の小さい臼にも充分にバラつきなく充填することが可能である。また、本実施の形態のセルロース組成物は、成形性が高いことから、打錠圧は低く抑えることが可能であり、杵折れの危険性を減少させることが可能である。このようにして得られたマイクロタブレットは、高い強度及び耐摩損性を有していることから、そのまま通常の充填機でカプセルへ充填することが可能であり、また既知のコーティング技術を用いて、マイクロタブレットの表面にコーティング処理を施すことも可能である。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる評価方法及び測定方法は以下の通りである。
・2質量%の20℃水溶液の粘度[mPa・s]
水溶性セルロース誘導体の2質量%水溶液を調製し、20℃に調温した水溶液について、B型粘度計(BLアダプタ使用、12rpm)を用いて測定した。測定は3回繰り返し行い、その平均値を粘度とした。
・平均粒子径[μm]
ロータップ式篩振盪機((株)平工製作所製、シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩(Z8801−1987)を用いて試料30gを15分間、篩分することにより粒度分布を測定し、その累積50質量%の粒度を平均粒径として測定した。測定は3回繰り返し行い、その平均値を平均粒子径とした。
・安息角[度]
杉原式安息角測定器を使用して測定した。測定は3回繰り返し行い、その平均値を安息角とした。
・ゆるみ嵩密度[g/cm
内径が30mmで、容積が25cmの真鍮製の円筒容器の質量を精密に量り、スコットボリュームメーター(ASTM B 329)の下に置いた。スコットボリュームメーターの上部から、試料をゆっくりと加え、試料が円筒容器からあふれ出るまで流し込んだ。スライドガラスを用いて過量分をすり落とした後、円筒容器の質量を精密に測定した。この値から内容物(試料)の質量を求め、測定された試料の質量[g]/25[cm]を測定した。測定は3回繰り返し行い、その平均値をゆるみ嵩密度とした。
・タッピング嵩密度[g/cm
試料30gを100cmのガラス製メスシリンダーに疎充填し、ゴム板を敷いた机の様な衝撃の低い台の上で、手でタッピングを行った。タッピングは数cmの高さから台に垂直に落とすようにして行い、試料の圧密が止まるまで行った。タッピング終了後、試料層の体積[cm]を読みとり、試料の質量30[g]/試料層の体積[cm]を測定した。測定は3回繰り返し行い、その平均値をタッピング嵩密度とした。
・体積強度[N/cm
先に記載の方法に従って、圧縮成形体の体積強度を測定した。
・崩壊時間[分]
第15改正日本薬局方、錠剤の崩壊試験法に準じて崩壊試験を行った。セルロース組成物の圧縮成形体又は有核錠について、崩壊試験機(富山産業(株)製、NT−40HS型、ディスクあり)で、37℃純水中における崩壊時間として求めた。測定は6回繰り返し行い、その平均値を崩壊時間とした。
・硬度[N]
シュロインゲル硬度計(フロイント産業(株)製、6D型)を用いて、有核錠の直径方向に荷重を加え、破壊したときの荷重を測定した。測定は6回繰り返し行い、その平均値を有核錠の硬度とした。
[実施例1]
市販DPパルプ1kgを細断し、0.3%塩酸溶液中で、加圧下、110℃、25分間加水分解し、得られた酸不溶解残渣を濾過洗浄した後、18質量%固形分濃度スラリーとした。二流体ノズルを用い、流量5L/h、熱風温度180℃、排風出口温度86℃の条件で、該スラリーを噴霧乾燥して、平均粒子径が98μm、ゆるみ嵩密度が0.445g/cm、安息角が37度である結晶セルロース[A]を得た。
得られた結晶セルロース[A]300g、流動化剤[C](アエロジル200CF、日本アエロジル(株)製)1.25gを、高速攪拌型混合造粒機(NSK250、五橋製作所(株)製)を用いて5分間混合した粉体を、V型混合機(V−5型、(株)徳寿製作所製)に移した。さらに、水溶性セルロース誘導体[B]として、平均粒子径50μm、2質量%の20℃水溶液の粘度が6mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL微粉タイプ、日本曹達(株)製)148.75gを添加して、30分間混合した。さらに、賦形剤[D]として、平均粒子径75μm、ゆるみ嵩密度0.775g/cm、安息角38度である無水リン酸水素カルシウム(GSグレード、協和化学工業(株)製)50gをV型混合機に添加して、30分間混合し、セルロース組成物(I)を得た。
得られたセルロース組成物(I)の物性を表1に示す。平均粒子径は72μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.478g/cm、タッピング嵩密度は0.616g/cm、体積強度は90.1N/cm、崩壊時間は14.2分であった。
[実施例2]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を用い、結晶セルロース[A]21kg、水溶性セルロース誘導体[B]10.4125kg、流動化剤[C]87.5gを、ナウターミキサー(NX−1型、ホソカワミクロン(株)製)に投入し、30分間混合した。
混合後の粉体のうち10.8kgをタンブラー型混合機(TM−50S型、(株)徳寿製作所製)に投入し、さらに賦形剤[D]1.2kgを投入後、30分間混合し、セルロース組成物(II)を得た。
得られたセルロース組成物(II)の物性を表1に示す。平均粒子径は72μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.483g/cm、タッピング嵩密度は0.621g/cm、体積強度は84.0N/cm、崩壊時間は9.2分であった。
[実施例3]
賦形剤[D]として、平均粒子径110μm、ゆるみ嵩密度0.630g/cm、安息角35度の直打用乳糖(SUPER−TAB、旭化成ケミカルズ(株)販売)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、セルロース組成物(III)を得た。
得られたセルロース組成物(III)の物性を表1に示す。平均粒子径は83μm、安息角は34度、ゆるみ嵩密度は0.481g/cm、タッピング嵩密度は0.616g/cm、体積強度は87.3N/cm、崩壊時間は11.6分であった。
[実施例4]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]用いて、結晶セルロース[A]を350g、水溶性セルロース誘導体[B]を98.75g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を50gとした以外は、実施例1と同様の方法で、セルロース組成物(IV)を得た。
得られたセルロース組成物(IV)の物性を表1に示す。平均粒子径は78μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.477g/cm、タッピング嵩密度は0.643g/cm、体積強度は83.4N/cm、崩壊時間は0.9分であった。
[実施例5]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]用いて、結晶セルロース[A]を275g、水溶性セルロース誘導体[B]を123.75g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を100gとした以外は、実施例1と同様の方法で、セルロース組成物(V)を得た。
得られたセルロース組成物(V)の物性を表1に示す。平均粒子径は63μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.499g/cm、タッピング嵩密度は0.618g/cm、体積強度は81.7N/cm、崩壊時間は4.4分であった。
[比較例1]
国際公開第02/02643号パンフレットの実施例1に従って、市販SPパルプ(重合度1030、レベルオフ重合度は220)2kgを細断し、4N塩酸水溶液30L中に入れ、低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器、翼径約30cm)で攪拌(攪拌速度10rpm)しながら、60℃、72時間加水分解した。得られた酸不溶解残渣はヌッチェを使用してろ過し、ろ過残渣をさらに70Lの純水で4回洗浄した。ろ過残渣をアンモニア水で中和後、90Lのポリバケツに入れて、純水を加え、スリーワンモーター(HEIDON製、タイプ1200G、8M/M、翼径約5cm)で攪拌(攪拌速度100rpm)しながら濃度10質量%のセルロース分散液とした(pH;6.7、IC;45μS/cm)。これを噴霧乾燥(液供給速度6L/hr、入口温度180〜220℃、出口温度50〜70℃)して結晶セルロースを得て、これを組成物(a)とした。
得られた組成物(a)の物性を表2に示す。平均粒子径は45μm、安息角は49度、ゆるみ嵩密度は0.220g/cm、タッピング嵩密度は0.358g/cm、体積強度は51.2N/cm、崩壊時間は2.5分であった。
[比較例2]
国際公開第2005/073286号パンフレットの実施例1に従って、市販のパルプ(木材由来の天然セルロース溶解パルプ)を細断したものを2kgと、4Nの塩酸水溶液30Lを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、商品名、30LGL反応器)に入れ攪拌しながら、40℃、48時間加水分解した。得られた酸不溶解性残渣は、純水で十分に洗浄した後、ろ過し、湿フロック(この酸不溶解性残渣のセルロース分散粒子の平均粒子径は55μmであった)を得た。得られた湿フロックの内、50質量%をさらに純水で充分洗浄した後、中和し、再度ろ過し、風乾することにより、フロック状の乾燥物を得た。このフロック状乾燥物を家庭用ミキサーで解砕した後、気流式粉砕機(セイシン企業(株)製、商品名、シングルトラックジェットミルSTJ−200型)を使用してさらに粉砕し(この時のセルロース粒子径は5μmであった)、粉砕物を得た。得られた粉砕物と前記湿状態の酸不溶解性残渣を50質量部と50質量部(ドライベース)の組成で、90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が25質量%になるように純水を加え、スリーワンモーターで攪拌しながら、アンモニア水で中和(中和後のpHは7.5〜8.0であった)し、これを噴霧乾燥(分散液供給速度6kg/hr、入口温度180〜220℃、出口温度50〜70℃)して、セルロース凝集体(結晶セルロース)を得て、これを組成物(b)とした。
得られた組成物(b)の物性を表2に示す。平均粒子径は80μm、安息角は37度、ゆるみ嵩密度は0.242g/cm、タッピング嵩密度は0.335g/cm、体積強度は38.3N/cm、崩壊時間は1.5分であった。
[比較例3]
市販品のスプレードライ乳糖である、「SUPER−TAB」(旭化成ケミカルズ(株)販売)を、組成物(c)として、その物性を表2に示す。平均粒子径は90μm、安息角は33度、ゆるみ嵩密度は0.631g/cm、タッピング嵩密度は0.750g/cm、体積強度は24.8N/cm、崩壊時間は1.7分であった。
[比較例4]
市販品の結晶セルロース/二酸化ケイ素のスプレードライ品である、「PROSOLV SMCC90」(JRS RETTENMAIER & SOEHNE GmbH+Co製)を、組成物(d)として、その物性を表2に示す。平均粒子径は90μm、安息角は37度、ゆるみ嵩密度は0.300g/cm、タッピング嵩密度は0.408g/cm、体積強度は55.5N/cm、崩壊時間は1.1分であった。
[比較例5]
市販品の結晶セルロース/乳糖のスプレードライ品である、「Microcelac100」(Meggle pharma社製)を、組成物(e)とて、その物性を表2に示す。平均粒子径は154μm、安息角は37度、ゆるみ嵩密度は0.486g/cm、タッピング嵩密度は0.622g/cm、体積強度は26.1N/cm、崩壊時間は0.8分であった。
[比較例6]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]用いて、結晶セルロース[A]330gと、水溶性セルロース誘導体[B]を168.5g、流動化剤[C]を1.5gとし、賦形剤[D]の添加及び混合を実施しなかった(0gとした)以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(f)を得た。
得られた組成物(f)の物性を表3に示す。平均粒子径は75μm、安息角は36度、ゆるみ嵩密度は0.461g/cm、タッピング嵩密度は0.597g/cm、体積強度は89.5N/cm、崩壊時間は14.7分であり、賦形剤[D]を配合しなかったため、嵩密度が小さく、安息角が大きくなり、充填性が低下した。
[比較例7]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を用いて、結晶セルロース[A]を275g、水溶性セルロース誘導体[B]を110.0g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を113.8gとした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(g)を得た。
得られた組成物(g)の物性を表3に示す。平均粒子径は85μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.512g/cm、タッピング嵩密度は0.649g/cm、体積強度は62.1N/cm、崩壊時間は1.5分であり、賦形剤[D]の配合量が多すぎたため、組成物の嵩密度は大きくなったものの、成形性が低下し、体積強度が低下した。
[比較例8]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を用いて、結晶セルロース[A]を310g、水溶性セルロース誘導体[B]を88.8g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を100.0gとした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(h)を得た。
得られた組成物(h)の物性を表3に示す。平均粒子径は87μm、安息角は34度、ゆるみ嵩密度は0.501g/cm、タッピング嵩密度は0.638g/cm、体積強度は59.8N/cm、崩壊時間は1.2分であり、それぞれの配合量は本発明の範囲内であるが、[D]/[B]=1.13となり、賦形剤[D]の配合量がヒ水溶性セルロース誘導体[B]の配合量を上回ったため、成形性が低下し、体積強度が低下した。
[比較例9]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を用いて、結晶セルロース[A]を250g、水溶性セルロース誘導体[B]を125.25g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を123.5gとした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(i)を得た。
得られた組成物(i)の物性を表3に示す。平均粒子径は78μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.518g/cm、タッピング嵩密度は0.651g/cm、体積強度は72.8N/cm、崩壊時間は3.0分であり、結晶セルロース[A]の配合量を減らし、その分賦形剤[D]の配合量を多くし過ぎたため、体積強度が低下した。
[比較例10]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]用いて、結晶セルロース[A]を320g、水溶性セルロース誘導体[B]を55.25g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を123.5gとした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(j)を得た。
得られた組成物(j)の物性を表3に示す。平均粒子径は73μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.513g/cm、タッピング嵩密度は0.649g/cm、体積強度は67.6N/cm、崩壊時間0.2分であり、水溶性セルロース誘導体[B]の配合量を減らし、その分形剤[D]の配合量を増やしすぎたため、体積強度が低下した。
[比較例11]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]用いて、結晶セルロース[A]を410g、水溶性セルロース誘導体[B]を48.75g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を50gとした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(k)を得た。
得られた組成物(k)の物性を表3に示す。平均粒子径は90μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.478g/cm、タッピング嵩密度は0.612g/cm、体積強度は65.2N/cm、崩壊時間は0.2分であり、結晶セルロース[A]の配合量が多く、水溶性セルロース誘導体[B]の配合量が少なかったため、体積強度が低下した。
[比較例12]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]用いて、結晶セルロース[A]を225g、水溶性セルロース誘導体[B]を223.8g、流動化剤[C]を1.25g、賦形剤[D]を50gとした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(l)を得た。
得られた組成物(l)の物性を表3に示す。平均粒子径は68μm、安息角は39度、ゆるみ嵩密度は0.455g/cm、タッピング嵩密度は0.559g/cm、体積強度は116.8N/cm、崩壊時間は31.6分であり、結晶セルロース[A]の配合量が少なく、水溶性セルロース誘導体[B]の配合量が多かったため、組成物の安息角が大きく、ゆるみ嵩密度が小さくなり、充填性が低下した。また、水溶性セルロース誘導体が多すぎるため、圧縮成形体の体積強度は115N/cmを超えてゲル化し、組成物の崩壊時間が20分より長くなった。
[比較例13]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、賦形剤[D]用いて、流動化剤[C]を用いず(0g)、結晶セルロース[A]300gと、水溶性セルロース誘導体[B]150.0gと、賦形剤[D]50gを実施例1と同じV型混合機に投入して30分間混合を行い、組成物(m)を得た。
得られた組成物(m)の物性を表4に示す。平均粒子径は72μm、安息角は42度、ゆるみ嵩密度は0.397g/cm、タッピング嵩密度は0.577g/cm、体積強度は74.0N/cm、崩壊時間は19.3分であり、流動化剤[C]を配合しなかったため、組成物の安息角が大きく、嵩密度が小さくなり、充填性が低下した。
[比較例14]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]用いて、結晶セルロース[A]を300g、水溶性セルロース誘導体[B]を145.5g、流動化剤[C]を5.0g、賦形剤[D]を50gとした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物(n)を得た。
得られた組成物(n)の物性を表4に示す。平均粒子径は70μm、安息角は38度、ゆるみ嵩密度は0.445g/cm、タッピング嵩密度は0.576g/cm、体積強度は64.8N/cm、崩壊時間は18.4分であり、流動化剤[C]を多く入れすぎたため、流動化剤[C]が結晶セルロース[A]と水溶性セルロース誘導体[B]の表面を覆いすぎ、体積強度が実施例1のセルロース組成物と比較して低下した。
[比較例15]
結晶セルロース[A]として、比較例1で得られた結晶セルロースを用いた以外は、実施例1と同じ方法で、組成物(o)を得た。
得られた組成物(o)の物性を表4に示す。平均粒子径は48μm、安息角は45度、ゆるみ嵩密度は0.332g/cm、タッピング嵩密度は0.465g/cm、体積強度は70.9N/cm、崩壊時間は14.2分であった。ここで用いた結晶セルロース[A]は。実施例1で用いた結晶セルロース[A]よりも同一重量の錠剤で比較した場合には成形性が高いが、嵩密度が小さく、安息角が大きい。そのため、混合後の組成物(o)の嵩密度も小さく、安息角が大きく充填性が低下した。さらに、嵩密度が小さいことから、体積強度が実施例1のセルロース組成物と比較して低くなった。
[比較例16]
結晶セルロース[A]として、比較例2で得られた結晶セルロースを用いた以外は、実施例1と同じ方法で、組成物(p)を得た。
得られた組成物(p)の物性を表4に示す。平均粒子径は78μm、安息角は34度、ゆるみ嵩密度は0.394g/cm、タッピング嵩密度は0.487g/cm、体積強度は68.8N/cm、崩壊時間は10.3分であった。ここで用いた結晶セルロース[A]は。実施例1で用いた結晶セルロース[A]よりも同一重量の錠剤で比較した場合には成形性が高く、安息角も同程度である。しかし、嵩密度が小さいため、混合後の組成物(p)の嵩密度も小さく、充填性が低下した。さらに、嵩密度が小さいことから、体積強度が実施例1のセルロース組成物と比較して低くなった。
[比較例17]
特開昭53−127553号公報の実施例1に従って、市販DPパルプ1kgを細断し、10%塩酸溶液中で、105℃20分間加水分解して得られた酸不溶解残渣を濾過洗浄し、風乾後、通常のハンマーミルで解砕し、50メッシュの篩で粗大物を除き、平均粒子径35μm、ゆるみ嵩密度0.359g/cm3、安息角38度の結晶セルロースを得た。
結晶セルロース[A]として、ここで得られた結晶セルロースを用いた以外は、実施例1と同じ方法で、組成物(q)を得た。
得られた組成物(q)の物性を表4に示す。平均粒子径は47μm、安息角は38度、ゆるみ嵩密度は0.471g/cm、タッピング嵩密度は0.603g/cm、体積強度は68.2N/cm、崩壊時間は8.3分であった。ここで用いた結晶セルロースは、実施例1で用いた結晶セルロース[A]よりも平均粒子径が小さいことから、結晶セルロースの表面積が増え、ヒドロキシプロピルセルロースとの接触面積が大きくなり、圧縮時にヒドロキシプロピルセルロース同士の結合が減少し、成形性が低くなったため、実施例1のセルロース組成物と比較して体積強度が低下した。
[比較例18]
結晶セルロース[A]として、平均粒子径179μm、ゆるみ嵩密度0.334g/cm、安息角34度である市販品の高流動品「セオラス」PH−200(旭化成ケミカルズ(株)製)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で、組成物(r)を得た。
得られた組成物(r)の物性を表4に示す。平均粒子径は130μm、安息角は35度、ゆるみ嵩密度は0.458g/cm、タッピング嵩密度は0.588g/cm、体積強度は82.2N/cm、崩壊時間は23.3分であった。ここで用いた「セオラス」は、実施例1で用いた結晶セルロース[A]よりも平均粒子径が大きいことから、得られるセルロース組成物の平均粒子径も100μm超となり、有核錠やマイクロタブレット用の賦形剤としては適さない大きさとなった。また、結晶セルロースの表面積が減り、圧縮時にヒドロキシプロピルセルロース同士の接触が増えたことから崩壊時間が遅延した。
[比較例19]
水溶性セルロース誘導体[B]として、平均粒子径が40μm、2質量%の20℃水溶液の粘度が250mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース(HPC−M微粉タイプ、日本曹達(株)製)を使用した以外は、実施例1と同じ方法で、組成物(s)を得た。
得られた組成物(s)の物性を表4に示す。平均粒子径は76μm、安息角は37度、ゆるみ嵩密度は0.471g/cm、タッピング嵩密度は0.632g/cm、体積強度は60.9N/cm、崩壊時間は89.5分であった。
粘度の高い水溶性セルロース誘導体を用いたことにより、体積強度が低下した。さらに、粘度の高い水溶性セルロース誘導体を用いたことにより、圧縮成形体がゲル化し、崩壊時間が20分よりも顕著に遅くなった。
[比較例20]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を用いて、以下の方法で組成物(t)を得た。
水溶性セルロース誘導体[B]168.5gと、流動化剤[C]1.5gを、先に高速攪拌型混合造粒機(NSK250、五橋製作所(株)製)を用いて5分間混合して得られた粉体をV型混合機(V−5型、(株)徳寿製作所製)に移し、さらに結晶セルロース[A]300gを添加して、30分間混合した。さらに、賦形剤[D]を50gV型混合機に添加して、さらに30分間混合し、組成物(t)を得た。
得られた組成物(t)の物性を表4に示す。平均粒子径は72μm、安息角は36度、ゆるみ嵩密度は0.462g/cm、タッピング嵩密度は0.601g/cm、体積強度は75.1N/cm、崩壊時間は13.8分であった。
実施例1と同じもの、配合量であるが、水溶性セルロース誘導体[B]と流動化剤[C]を先に混合したため、水溶性セルロース誘導体[B]の表面に流動化剤[C]が付着し、水溶性セルロース誘導体[B]の結合力を低下させたため、実施例1のセルロース組成物と比較して体積強度が低下した。
[比較例21]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を用いて、以下の方法で組成物(u)を得た。
結晶セルロース[A]300gと流動化剤[C]1.25gをV型混合機に投入し、30分間混合した。次いで水溶性ロキシプロピルセルロース誘導体[B]148.75gを添加してさらに30分間混合し、さらに賦形剤[D]50gを添加して30分間混合し、組成物(u)を得た。
得られた組成物(u)の物性を表4に示す。平均粒子径は72μm、安息角は37度、ゆるみ嵩密度は0.455g/cm、タッピング嵩密度は0.581g/cm、体積強度は79.1N/cm、崩壊時間は14.2分であった。
混合剪断力の弱い容器回転型混合機であるV型混合機のみを用いたため、得られた組成物は実施例1のセルロース組成物と比較して嵩密度が小さく、安息角が大きくなり、充填性が低下した。また嵩密度が低下したため、体積強度も低下した。
[比較例22]
実施例1と同じ結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]を用いて、以下の方法で組成物(v)を得た。
結晶セルロース[A]720g、水溶性セルロース誘導体[B]177.5g、流動化剤[C]2.5g、賦形剤[D]100gを、高速攪拌混合造粒機(バーチカルグラニュレーターVG−10、(株)パウレック製)に投入し、3分間混合した後、水300gを30秒で添加し、さらに5分間混合して、粉体を造粒し、さらに60℃の通風型乾燥機(パーフェクトオーブンPV−211型、(株)エスペック社製)にて24時間乾燥させた後、1000μmの篩で粗大粒子を取り除いて、組成物(v)を得た。
得られた組成物(v)の物性を表4に示す。平均粒子径は220μm、安息角は37度、ゆるみ嵩密度は0.515g/cm、タッピング嵩密度は0.611g/cm、体積強度は58.5N/cm、崩壊時間は10.2分であった。
結晶セルロース[A]、水溶性セルロース誘導体[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]の配合量は本発明の範囲内であったが、水を添加して湿式造粒を行ったため、嵩密度は大きなものができたが、平均粒子が100μmを大きく超えた。また、得られた顆粒は硬くしまった状態であったため、圧縮成形体の強度が低くなり、結果として体積強度が低くなった。
[実施例6]
1.有核錠の評価
1)内核錠の調製
造粒乳糖(「SUPER−TAB」)140g、結晶セルロース(「セオラス」PH−101、旭化成ケミカルズ(株)製)56g、クロスカルメロースナトリウム(「キッコレート」ND−2HS、旭化成ケミカルズ(株)販売)4gをPE袋内で3分間手混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)1gをさらに添加し、30秒間手混合した。
混合物180mgを正確に量り取り、次いで、直径8.0mmの円形の臼に入れ、直径8.0mmの平面杵で、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて、圧縮速度20cm/minで圧縮し、圧縮力が2kNに達したら、10秒間その圧縮力を維持することにより、直径8.0mm、質量180mgの内核錠を得た。
2)外層底部の調製
実施例1で得たセルロース組成物(I)100mgを正確に量り取り、次いで底面の直径が11.3mmの円形の臼に入れ、円形の平面杵で圧縮速度20cm/minで圧縮し、圧縮力が2kNに達したら、10秒間その圧縮力を維持することにより、直径11.3mm、質量100mgの外層底部を得た。
3)内核の供給
2)で得られた直径11.3mmの外層底部の上に、1)で得られた直径8.0mmの内核錠を、中心に来るように供給した。
4)外層側面部、上部の供給
セルロース組成物(I)を150mg正確に量り取り、直径8.0mmの内核錠が中心に置かれた直径11.3mmの臼の中に、素早く落とした。(充填方法Aとする。)
5)打錠
直径11.3mmの平面杵で圧縮速度20cm/minで圧縮し、圧縮力が3kNに達するまで圧縮し、有核錠(I−1)を得た。
6)評価
ここで得られた有核錠(I−1)の硬度は107N、崩壊時間は9.4分であった。得られた有核錠(I−1)の物性を表5に示す。
[実施例7]
1)〜3)までは、実施例6と同様に実施した。
4)外層側面部、上部の供給
セルロース組成物(I)を150mg正確に量り取り、直径8.0mmの内核錠が中心に置かれた直径11.3mmの臼の中に、ゆっくり臼を回しながら充填させた。さらに、スパチュラにて粉体の表面を均し、側面にも充分に粉体を充填させた状態とした。(充填方法Bとする)
5)打錠 実施例6と同様に実施し、有核錠(I−2)を得た。
6)評価
ここで得られた有核錠(I−2)の硬度は105N、崩壊時間は9.1分であった。得られた有核錠(I−2)の物性を表5に示す。
この時、(I−1)と(I−2)では硬度に差が見られなかったことから、有核錠の側面への充填状態には差がないと言える。すなわち、セルロース組成物(I)は、充填性が良好であるため、自己の持つ充填性により、強制的に充填させなくても、充分に側面へ充填される。
[実施例8]
実施例2のセルロース組成物(II)を用いた以外は、実施例6と同じ方法により、有核錠(II−1)を得た。有核錠(II−1)の硬度は99N、崩壊時間は8.9分であった。得られた有核錠(II−1)の物性を表5に示す。
[実施例9]
実施例2のセルロース組成物(II)を用いた以外は、実施例7と同じ方法により、有核錠(II−2)を得た。有核錠(II−2)の硬度は101N、崩壊時間は8.7分であった。得られた有核錠(II−2)の物性を表5に示す。
[比較例23]
比較例15の組成物(o)を用いた以外は、実施例6と同じ方法により、有核錠(o−1)を得た。有核錠(o−1)の硬度は85N、崩壊時間は1.2分であった。得られた有核錠(o−1)の物性を表6に示す。
[比較例24]
比較例15の組成物(o)を用いた以外は、実施例7と同じ方法により、有核錠(o−2)を得た。有核錠(o−2)の硬度は115N、崩壊時間は0.8分であった。得られた有核錠(o−2)の物性を表6に示す。
組成物(o)は、一般的な錠剤化法においては、引張破断強度が32.0Nであり、セルロース組成物(I)の引張破断強度が28.2Nであることから、セルロース組成物(I)よりも高い錠剤硬度を有するセルロース組成物である。したがって、強制的に外層に粉体を充填させた有核錠(o−2)と(I−2)を比較すると、(o−2)の方が、硬度が高い。しかし、粉体を粗充填させた場合には、有核錠(o−1)は密充填させた有核錠(o−2)と比較して明らかに硬度が低下し、有核錠(I−1)よりも硬度が低くなった。
これは、組成物(o)はセルロース組成物(I)と比較して嵩密度が小さく、体積強度が小さいためである。組成物(o)は充填性が悪い粉体であるため、有核錠の外層側面へ充填されにくく、強制的な粉体充填がない場合には、側面の強度が弱くなることを意味する。
今回の試験では、粉体を手で充填し、なおかつ静圧プレス機を用いているため、粉体の充填に要する時間と圧縮時間は、実際の連続式の回転型有核錠打錠機よりも長いにもかかわらず、有核錠の硬度には差が現れた。ゆえに、粉体の充填に要する時間が短く、且つ圧縮時間も非常に短い連続式の回転型有核錠打錠機を使用した場合には、組成物(o)は有核錠の外層側面へはさらに充填されにくく、側面の強度はより顕著に弱くなるとなるものと考えられる。
[比較例25]
比較例3の組成物(c)を使用した以外は、実施例6と同じ方法により、有核錠(c−1)を得た。有核錠(c−1)の硬度は13N、崩壊時間は4.9分であった。得られた有核錠(c−1)の物性を表6に示す。組成物(c)は嵩密度が大きく、安息角も小さいため、充填性は良好であるが、体積強度が低いため、有核錠の硬度も低かった。
[比較例26]
比較例11の組成物(k)を使用した以外は、実施例6と同じ方法により、有核錠(k−1)を得た。有核錠(k−1)の硬度は62N、崩壊時間は0.2分であった。得られた有核錠(k−1)の物性を表6に示す。組成物(k)は実施例1のセルロース組成物(I)よりも体積強度が低いことを反映して、有核錠の硬度も低くなった。
[比較例27]
比較例12の組成物(l)を使用した以外は、実施例6と同じ方法により、有核錠(l−1)を得た。有核錠(l−1)の硬度は122N、崩壊時間は32.7分であり、崩壊時間が30分以上に遅延し、速放性製剤として合格するものではなかった。得られた有核錠(l−1)の物性を表6に示す。組成物(l)は、水溶性セルロース誘導体[B]を半分程度配合させているため、外層がゲル化し、崩壊遅延を起こした。
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表1の結果から実施例1〜5のセルロース組成物(I)〜(V)は、いずれも平均粒子径、安息角、ゆるみ嵩密度、タッピング嵩密度、体積強度、及び崩壊時間が有核錠の圧縮成形用として用いるのに適した範囲にあるセルロース組成物である。
表5の結果から、実施例1及び2のセルロース組成物は、有核錠として圧縮成形した場合に、充填方法の影響を受けずに、有核錠として優れた硬度及び崩壊時間を示すことから、充填容積の小さい条件での錠剤化において充填性と成形性を両立したセルロース組成物である。有核錠の実生産は、回転式打錠機にて行われ、外層粉体の充填時間は本実施例よりもさらに短く、外層粉体の充填性及び成形性が要求されることから、さらに優れた効果を発揮することが期待できる。
一方、比較例1〜5の組成物は、市販されている高成形性あるいは高充填性のいずれかの性質を持つものであるが、表2に示す通り、安息角、ゆるみ嵩密度、タッピング嵩密度において圧縮成形用として用いるのに適した範囲外であり、体積強度が80N/cm未満であることから、高成形性渡航充填性の両方の性質を有しているものはない。よって充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセルに用いた場合に、成形性や充填性に劣るため、充分な強度を与えることができないものであることが分かる。
表3の結果から、結晶セルロース[A]、ヒドロキシプロピルセルロース[B]、流動化剤[C]、賦形剤[D]の含量が範囲外にある比較例6〜14の組成物のうち、賦形剤[D]の少ない比較例6、流動化剤[C]が少ないか多過ぎる比較例13、14の場合はゆるみ嵩密度、タッピング嵩密度が圧縮成形用として用いるのに適した範囲外にあることから、充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセルに用いた場合に、充填性に劣るものである。
また、賦形剤[D]の配合量が多い比較例7〜10(比較例8については、[D]/[B]が1以上である。)、結晶セルロース[A]が多くヒドロキシプロピルセルロース[B]が少ない比較例11においては、安息角、ゆるみ嵩密度、タッピング嵩密度は充分であるが、成形性そのものが低下するため、体積強度が圧縮成形用として用いるのに適した範囲外となり、充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセルに用いた場合に充分な強度を与えることができない。
さらに、比較例12はヒドロキシプロピルセルロース[B]の配合量が多い場合であるが、安息角が大きいことから充填性に劣ることはもちろんであるが、圧縮成形体の崩壊時間が20分より大きいことから、有核錠の外層部に用いた場合に外層がゲル化し、崩壊性が著しく悪化し、薬物の放出遅延を起こすことから、崩壊時間が30分以内である速放性製剤を得ることができない。
表4の結果から、平均粒子径、ゆるみ嵩密度、安息角が範囲外の市販の結晶セルロースを含有する比較例15〜18の組成物は、平均粒子径、安息角、ゆるみ嵩密度、タッピング嵩密度、及び体積強度のいずれかにおいて、圧縮成形用として用いるのに適した範囲外にあることから、充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセルに用いた場合に、成形性や充填性に劣るものである。
比較例15の組成物を有核錠に用いた比較例23及び比較例24においては、表6の結果から、外層側面部、上部に上から供給して得た比較例23の有核錠の方が、供給後に強制的に外層側面部にセルロース組成物を充分に充填させて得た比較例24の有核錠よりも、明らかに硬度が低い。比較例15の組成物は同一重量の錠剤で硬度を比較した場合には実施例の錠剤よりも硬度が高くなり、一般的には成形性が高いと言える組成物であるが、有核錠に適用した場合には実施例よりも硬度が低くなり、体積強度が指標となり得ることを示している。
また、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以上のヒドロキシプロピルセルロースを含有する比較例19の組成物は、圧縮成形体とした際にゲル化し、崩壊時間が20分よりも顕著に遅くなることから、有核錠の外層部に用いた場合に外層がゲル化し、崩壊性が著しく悪化し、薬物の放出遅延を起こすことから、速放性製剤を得ることができない。
さらに、比較例20はヒドロキシプロピルセルロース[B]と流動化剤[C]を容器固定型混合機にて先に混ぜた場合であるが、結晶セルロース[A]と流動化剤[C]を容器固定型混合機にて先に混ぜた実施例と比較して体積強度が低下し、流動化剤[C]は少なくとも結晶セルロース[A]を含んだ状態で混合する必要があることを示している。
またさらに、比較例21は成分の混合を混合剪断力の弱い容器回転型混合機にて行った場合であるが、組成物の嵩密度、安息角が圧縮成形用として用いるのに適した範囲外にあることから、充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセルに用いた場合に、充填性に劣ることを示しており、混合は混合剪断力の強い容器固定型混合機にて行う必要があることを示している。
また、比較例22は成分に水を添加して湿式造粒した場合であるが、組成物の平均粒子径が本発明の範囲よりも大きくなることから、充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセルに用いた場合に、充填性しにくくなる。また、硬くてしまった顆粒となるため、圧縮時の成形性が低く、体積強度が小さいことから、充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセルに用いた場合に充分な強度を与えることができない。
表6の比較例25及び26は、体積強度が80N/cm未満である組成物を有核錠に応用した場合の結果を示しているが、実施例のセルロース組成物を有核錠の圧縮成型用として用いた場合に比べて明らかに錠剤硬度が低く、側面の強度が弱くなった。
また、表6の比較例27は体積強度が115N/cm超で、崩壊時間が20分以上である組成物を有核錠に応用した場合の結果を示している。有核錠の硬度は高いものの、崩壊時間が30分を超えてしまい、薬物の放出遅延を起こすことから、速放性製剤を得ることができない。
本出願は、2008年6月26日出願の日本特許出願(特願2008−167878号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のセルロース組成物を用いて錠剤化することにより、強度の高い錠剤を得ることができる。
本発明のセルロース組成物は、充填容積の小さい有核錠の外層部や、マイクロカプセル用の圧縮成形用セルロース組成物として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (12)

  1. 平均粒子径が80〜150μm、ゆるみ嵩密度が0.30〜0.50g/cm、安息角が40度以下である結晶セルロース[A]を55〜75質量%と、
    平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性セルロース誘導体[B]を17.5〜37.5質量%と、
    流動化剤[C]を0.01〜0.5質量%と、及び
    平均粒子径が150μm以下、ゆるみ嵩密度が0.60〜1.00g/cmである賦形剤[D]を5〜20質量%と、を含み、
    前記[D]と前記[B]の含有比([D]/[B])が1.0未満であり、
    前記[A]、[B]、[C]、及び[D]を全て粉体の状態で含み、並びに
    平均粒子径が100μm以下、ゆるみ嵩密度が0.47g/cm以上、安息角が35度以下、タッピング嵩密度が0.60g/cm以上であるセルロース組成物。
  2. 圧縮成形体の体積強度が80〜115N/cm、崩壊時間が1〜20分である、請求項1に記載のセルロース組成物。
  3. 前記[C]がケイ酸である、請求項1又は2に記載のセルロース組成物。
  4. 前記[D]が無水リン酸水素カルシウムである、請求項1から3のいずれか1項に記載のセルロース組成物。
  5. 少なくとも前記[A]と前記[C]を含む成分を容器固定型混合機で混合した後、残りの成分を前記[A]及び前記[C]を少なくとも含む混合物に添加して、任意の混合機で混合することによって得られる、請求項1から4のいずれか1項に記載のセルロース組成物。
  6. 前記[A]と前記[C]を容器固定型混合機で混合した後、前記[B]と前記[D]を、前記[A]及び前記[C]の混合物に添加して、任意の混合機で混合することによって得られる、請求項1から5のいずれか1項に記載のセルロース組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のセルロース組成物を含む、直径が3mm以下の錠剤。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載のセルロース組成物からなる外層を有する有核錠。
  9. 崩壊時間が30分以下である、請求項8に記載の有核錠。
  10. 少なくとも前記[A]と前記[C]を容器固定型混合機で混合する工程と、及び
    残りの成分を、前記[A]及び前記[C]を少なくとも含む混合物に添加して、任意の混合機にて混合する工程と、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース組成物の製造方法。
  11. 前記[A]と前記[C]を含む成分を容器固定型混合機で混合する工程と、及び
    前記[B]と前記[D]を、前記[A]及び前記[C]の混合物に添加して、任意の混合機にて混合する工程と、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース組成物の製造方法。
  12. 平均粒子径が80〜150μm、ゆるみ嵩密度が0.30〜0.50g/cm、安息角が40度以下である結晶セルロース[A]を55〜75質量%と、
    平均粒子径が80μm以下、2質量%の20℃水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性セルロース誘導体[B]を17.5〜37.5質量%と、
    流動化剤[C]を0.01〜0.5質量%と、及び
    平均粒子径が150μm以下、ゆるみ嵩密度が0.60〜1.00g/cmである賦形剤[D]を5〜20質量%と、を含む外層を有し、
    前記[D]と前記[B]の比([D]/[B])が1.0未満であり、
    外層側面部の厚みが2mm以下であり、並びに崩壊時間が30分以下である有核錠。
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