JP5439958B2 - コークス炉の炭化室における炉壁のコーティング方法 - Google Patents

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本発明は、コークス炉の炭化室における炉壁のコーティング方法に関し、具体的には、コークス炉の炭化室の内部において石炭の乾留に伴って生成する熱分解カーボンが、耐火物に付着して成長することを抑制することができるコークス炉の炭化室における、ガラス化材による炉壁のコーティング方法に関する。
コークス炉は、石炭を装入して乾留する炭化室と呼ばれる空間と、炭化室の内部に装入された石炭を加熱するための熱源となるガスを燃焼させるための燃焼室と呼ばれる空間とが交互に多数配列された構造を有する。燃焼室から炭化室への伝熱は、両室を仕切る煉瓦(「炉壁煉瓦」ともいう)を介して行われる。この煉瓦には、一般的に、珪石質の耐火煉瓦が用いられる。
石炭は、乾留の際に、タール等を含む炭化水素系の熱分解ガスを発生する。発生した熱分解ガスは、コークス炉の煉瓦からの熱によって二次分解され、コークス炉の内部各部の煉瓦の表面(炉壁や天井等)に付着する。
炉壁煉瓦に付着したカーボンは、コークス炉の操業に伴って、局部的に成長して炉壁面に凹凸を生じる。これにより、コークスケーキ(乾留完了後のコークス塊の集合体)を炭化室から押し出す際の押出抵抗の増加、すなわちコークス押出力の増加が発生する。コークス押出力が増加することは、押出時の炉壁への負荷が増大することに直結し、炉壁損傷、さらには炉体の弱体化や低寿命化につながる。このため、コークス炉の炭化室の炉壁へのカーボン付着を抑制して、炉壁の表面を平滑に維持することは、コークス炉の炉命を延長する上で重要な課題である。
炭化室の炉壁に深い欠損が生じた場合には、炉壁煉瓦の組成と類似する組成を有する粉末状の耐火物を火炎中で溶融させてこの欠損を埋める、いわゆる溶射補修法等によって、炭化室の炉壁の形状を平滑に保つ補修作業が行われる。
カーボンによる炉壁の凹凸を減少させるには、部分的に成長したカーボンを除去するか、あるいは成長自体を抑制することが重要である。カーボンを除去する方法としては、(a)コークスや石炭が存在しない炭化室の内部に空気を導入してカーボンを燃焼除去する、いわゆる空窯燃焼法や、(b)補修作業者が人力でカーボンを突き落とす方法等が知られる。しかし、これらの手段を行うと不可避的にコークス炉の操業度が低下するのみならず、前者の手段ではカーボンが付着した部位以外が冷却され、一方後者の手段では煉瓦の損傷を助長することがある。このため、これらのカーボン除去作業を行う必要がない程度に、カーボンの成長自体を抑制することが望ましい。カーボンの成長を抑制するためには、カーボンが付着しやすい炉壁部位の平滑度を炉壁煉瓦の平滑度よりも高めればよく、これまでにも様々な発明が提案されている。
例えば、特許文献1には、コークス炉の炭化室の炉壁を補修するにあたり、炭化室の炉壁の損傷部に予め形成された溶射補修層の表面を、1300℃以上、好ましくは1600℃以上、さらに好ましくは1800℃以上の温度に加熱することにより、溶融せずに残存していた成分を含め骨材が十分に溶融し、その表面がガラス化されることによって、カーボンの付着および成長を抑制する発明が開示されている。
また、特許文献2には、溶射補修層そのものの表面を平滑化する以外の手法として、SiO:18〜70%(本明細書では特に断りがない限り「%」は「質量%」を意味するものとする)、NaO及び/又はKO:10〜60%を主成分とし、P:1〜14%、BaO:0.5〜25%、SrO:0.5〜25%、Fe:0.5〜20%のうちの1種又は2種以上を含有するコーティング材を、水溶液又はスラリーとし、温度500〜1400℃の高温の耐火煉瓦の表面にスプレーし、900℃以上の温度に30分以上保持することによって、溶射補修層の表面をガラス化材でコーティングする発明が開示されている。この発明は、炉壁の表面の温度でガラス化反応を進行させ、ガラス層を形成するものであるため、コーティング材の融点およびガラスに転移する温度を低く設定する必要がある。
さらに、特許文献3には、耐火物の表面上に火炎溶射にてガラス質層を形成する際に、溶融し易くするために、カレット粒子を含むガラス化材を用い、ガラス質層を形成するのに必要な熱を提供する発明が開示されている。
特開2006−056993号公報 特開平10−259080号公報 特表2004−521059号公報
特許文献1により開示された発明には、燃焼炎で急速に加熱された溶射材の表面に微細な亀裂が発生し、外部からの衝撃を受けた溶射補修層が欠損し易いという課題がある。
特許文献2により開示された発明には、ガラス化材のガラスに転移する温度が低く、一旦ガラス化しても軟化状態で炉壁に存在することとなり、押出時のコークスケーキの表面と接触することによって損傷を受け寿命が短いという課題がある。さらに、コーティング材は水溶液またはスラリー状であり、これをスプレー方式で吹き付けるため、発生したリバウンドは炉底に蓄積されて底部が冷却されるため、炉体の損傷も誘発されるという課題がある。
さらに、特許文献3により開示された発明は、カレットの融点は一般的に通常のコークス炉での操業温度よりも低いため、そのようなカレットを混合させながらコークス炉の操業温度で損耗しない強固なガラス層を形成することは現実には難しいと考えられる。
本発明は、従来の技術が有するこれらの課題に鑑みてなされたものであり、コークス炉の炭化室の内部において石炭の乾留に伴って生成する熱分解カーボンが、耐火物に付着して成長することを抑制することができるコークス炉の炭化室における炉壁のコーティング方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ガラス化材が装置により表面に対して火炎中に供給されながら放射されてガラス層を形成する際に、コークス炉操業温度において強固なガラス層を有しカーボンの成長を抑制するためには、コークス炉の操業温度で損耗しない強固なガラス層を形成することができるガラス化材を用い、かつこのガラス化材を使用してもガラス層を形成することができるような適正な施工条件で施工することにより、上述した課題を解決することができることを知見し、本発明を完成した。
本発明は、コークス炉の炭化室の炉壁を形成する耐火物の表面に、ガラス化材を火炎中に放射しながら供給することによって、ガラス層を形成して、炉壁をコーティングする際に、ガラス化材は、SiO成分とAl成分との和が80質量%以上であるとともに溶倒温度が1250℃以上1450℃以下でありガラス層の施工中の施工面の温度を、ガラス化材の溶倒温度より50℃以上200℃以下高くし、かつ下式で示すリバウンド率の急激な上昇を防止するよう、ガラス化材の供給速度を10〜20kg/hとすることを特徴とするコークス炉の炭化室における炉壁のコーティング方法である。
リバウンド率[%]=100×(1−施工後の煉瓦重量増分[kg]/ガラス化材供給量[g])
この本発明では、ガラス層を、コークス炉の炭化室における炉壁煉瓦の溶射補修面上に形成することが望ましい。この理由は、溶射補修は数十ミリの深い欠損を埋めるためのものであり、炉壁表面の平滑度は炭化室炉壁煉瓦とほぼ同じ程度であり、カーボン付着に対しては必ずしも平滑とはいえないためである。すなわち、炉壁全体としての損傷を補修した上で、表面を平滑化できるので、カーボン付着抑制の効果は大きい。
本発明により、コークス炉内の耐火物表面をガラス皮膜で強固にコーティングすることが可能となり、十分なカーボン剥離効果を得られるので、カーボン成長を抑制することができる。このため、本発明によれば、カーボンの付着に起因する、コークス押出時のトラブルおよび炉壁への過大荷重の発生を防止でき、コークス炉の炉命延長を図ることができるとともに、コークスケーキの押出トラブルの発生回数を低減できるのでコークス炉の安定操業を図ることもできる。
図1は、表1に示すB材およびD材の、供給速度とリバウンド率との関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面も参照しながら詳細に説明する。
本発明では、コークス炉の炭化室の炉壁を形成する耐火物の表面に、ガラス化材を火炎中に放射しながら供給することによって、ガラス層を形成して、炉壁をコーティングする際に、以下に列記する条件(i)〜(iii)を満足するようにして、コークス炉の炭化室における炉壁をコーティングする。
(i)ガラス化材は、SiO成分とAl成分との和が80%以上であるとともに溶倒温度が1150℃以上であること、
(ii)ガラス化材を、20kg/h以下の量で供給すること、および
(iii)ガラス層の施工中の施工面の温度を、ガラス化材の溶倒温度より50℃以上200℃以下高くすること。
そこで、これらの条件(i)〜(iii)を満足するべき理由を説明する。
まず、本発明者らは、AlおよびSiOを主成分とする4種のガラス化材A〜D材について、その熱間性状を調査した。表1には、A〜D材の組成を示す。
Figure 0005439958
表1に示すように、A〜D材の溶倒温度を、AlおよびSiOの配合率を変更することによって、1050℃、1250℃、1350℃、1450℃と変化させた。本明細書において「溶倒温度」とは、JIS R 2204に規定された手法によって、三角錐コーン状に成型した材料を加熱し、三角錐が高温となり、ガラス化/軟化して曲がりが発生し、先端が支えのための台に着いたときの温度を意味しており、ガラス材がガラスに転移する温度を表す一手法である。
これらのガラス化材の水スラリーを粘土質煉瓦上に塗布し、電気炉により溶倒温度より50℃高い温度で3時間焼成した。このガラス層を対象に、高温におけるビッカース硬度および、カーボン剥離性の測定を行った。ビッカース硬度は、温度700℃において、コーティング面に対しダイヤモンド製の圧子を負荷圧入荷重5000.5kgfで30秒間押付けた際に形成された圧痕の対角線長さを測定し、下記(1)式を用いて算出した。なお、結果には5点測定した値の平均値を用いた。
Hv=1.82×10−2×P/(d1*d2)・・・・(1)
なお、(1)式において、Hvはビッカース硬度[−]であり、Pは圧入荷重[kgf]であり、d1、d2は形成された圧痕の対角線長[mm]である。
カーボン剥離性の評価試験は、まずガラス層を有する煉瓦片を熱分解炉中に吊るし、模擬コークス炉ガスとしてプロパン含有ガス流通下で熱分解カーボンを付着させた。カーボン付着反応終了直後、試験炉の電源を切り、窒素流通下で自然冷却後に取り出し、カーボン剥離の様子を目視で観察した。なお、熱分解炉内の温度は1000℃とし、流通ガスはLPGと窒素を各々2L/minの流量で混合したものとし、カーボン付着反応時間は1時間とした。結果を表2にまとめて示す。
Figure 0005439958
表2に示すように、溶倒温度が操業中のコークス炉の炉壁温度(〜1,150℃)範囲にあるA材は、B材、C材およびD材に比較して、熱間での耐久性やカーボン剥離性が大きく劣る結果となった。このことから、実炉操業においてカーボンの成長の抑制効果を得るためには、溶倒温度は、コークス炉の炉温以上に高く設定することが有効であることがわかる。
次に、ガラス化材を好適に施工するための条件、具体的には、ガラス化材の供給速度、および施工中のガラス層の表面温度(以下、「施工温度」という)について説明する。
煉瓦面へのガラス層の施工は、平均粒径が約80μmの粉末であるガラス化材が窒素をキャリアガスとして煉瓦面に放出され、かつ同時に燃焼性ガス(LPG)および助燃性ガス(酸素)が火炎を発生しているものにより、行った。
ガラス化材および燃焼性ガスは、供給装置からランスを介して、ランスの先端のノズルより噴出される。本試験で用いたランスおよびノズルは三重管構造となっており、最外の周囲および中心から酸素が噴出され、それに挟まれるように窒素ガスにより運ばれたガラス化材、さらに燃焼ガスが噴出される。
バーナーから吐出されたガラス化材は、火炎中に巻き込まれ加熱された後に施工面に付着するが、火炎の内部に巻き込まれず、外周に存在したガラス化材については十分に加熱されずに施工面に付着するか、リバウンドとなる。ガラス化材の供給量が増加すると、上記のような十分に加熱されないものの量が増加し、結果として施工面のムラやリバウンドの増加に繋がるため、供給速度を低減することが有効である。
また、ガラス層は薄く施工することが望ましい。第1の理由は、万一ガラス層が剥離した場合には、層が薄ければ母材への影響は小さいのに対し、あたかも欠損を埋めるかのように厚くコーティングされたものが剥離すると、深い欠損が突然現出することとなり、押出トラブルを誘発しかねないからである。
第2の理由は、ガラス層に装炭時などの急激な温度低下に伴う熱的衝撃が加わった際には、ガラス層が薄いほど内部に残存する応力が小さくなるため、厚い場合に比較して剥離し難いからである。
これらのことより、ガラス層は薄い膜を形成する程度にとどめることが望ましく、実際には、溶射補修層の凹凸を埋める役割を果たし、かつ溶射補修部のみに施工した際に他の未施工部位よりも大きく張り出してコークス押出を阻害することがないよう、数ミリ程度の厚さに施工することが望ましい。
なお、ガラス化材の供給速度の好適な範囲については、以下の火炎溶射試験において検討した。
溶射試験は、炭化室サイズが、長さ1000mm、高さ1000mmおよび幅450mmの試験コークス炉の内部で行った。ガラス化材には、上述した表1におけるB材(溶倒温度:1250℃)およびD材(溶倒温度:1450℃)を用い、ガラス化材の供給速度をロータリーフィーダーにより10kg/h以上25kg/h以下の範囲で変化させた。ガラス化材は窒素により搬送し、窒素量は4[Nm/h]とした。溶射距離は100mm、溶射速度は3.5mm/sで全ケース同一とした。燃焼ガス(LPG)量は、B材の使用時は2.0[Nm/h]とし、D材の使用時は4.0[Nm/h]とした。
長さ230mm、高さ110mmおよび幅65mmの粘土質煉瓦を、底板付きの鉄製の固定枠内に載置し、その煉瓦面にガラス化材を溶射した。粘土質煉瓦を固定する枠をウインチに接続し、ウインチを巻き取りながら煉瓦を移動させることによりランスの移動を模擬した。また、ケース毎に測定した施工時間とガラス化材供給速度とから供給量を算出し、以下の式よりリバウンド率を算出した。
リバウンド率[%]=100×(1−施工後の煉瓦重量増分[g]/ガラス化材供給量[g])
図1は、結果の一覧を示すグラフである。図1にグラフで示すように、B材、D材ともにガラス化材の供給速度が20[kg/h]を超えると、リバウンド率が急激に増加するとともに、施工面に未溶融粒子の付着が多く認められ、均一な施工面を得られなかった。この結果より、好適なガラス化材の供給速度は20[kg/h]以下であることがわかる。
続いて、施工温度の適正な範囲を説明する。
ガラス化材をガラス状態にするためには、一度溶倒温度以上に昇温させる必要がある。非晶質固体であるガラス化材は溶倒温度付近で急激に粘度が低下するため、煉瓦面などの耐火物上に施工可能となる。しかし、溶倒温度を僅かに超えた程度では粘度低下が不十分であるために、一部のガラス化材の粒子がもとの形状のまま残存し、表面を平滑に施工できない。また、溶倒温度以上に加熱し続けると、やがて融点に達し液体となるが、逆に粘度が低下しすぎると施工面に「垂れ」が生じ、均一な施工ができなくなる。
これらの理由により、施工温度は、溶倒温度よりも50℃以上200℃以下高い温度範囲であることが望ましい。
このようにして、本発明によれば、コークス炉内の耐火物表面をガラス皮膜で強固にコーティングすることが可能となり、十分なカーボン剥離効果を得られるので、カーボン成長を抑制することができる。このため、本発明によれば、カーボンの付着に起因する、コークス押出時のトラブルおよび炉壁への過大荷重の発生を防止でき、コークス炉の炉命延長を図ることができるとともに、コークスケーキの押出トラブルの発生回数を低減できるのでコークス炉の安定操業を図ることもできる。
さらに、本発明を、実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
本実施例では、施工温度を変更した溶射試験、および溶射したガラス層に対してのカーボン付着試験を行った。
溶射試験は、炭化室サイズが長さ1000mm、高さ1000mmおよび幅450mmの試験コークス炉の内部で行った。ガラス化材には、表1に示すB材(溶倒温度:1250℃)およびD材(溶倒温度:1450℃)を用いた。ガラス化材供給速度は10[kg/h]とし、溶射距離は100mmとし、溶射速度は3.5mm/sとして、全ケース同一とした。
燃焼ガス(LPG)量を1.5〜4.0[Nm/h]の範囲で変化させることにより、B材、D材における施工温度を、溶倒温度以上(溶倒温度+250℃)以下の範囲で変化させた。
幅230mm、高さ110mmおよび幅65mmの粘土質煉瓦を、底板付きの鉄製の固定枠内に載置し、その煉瓦面にガラス化材を溶射した。溶射に用いたランスは台車上に固定し、溶射距離はランスの置き位置を変えることにより、変更した。また、粘土質煉瓦を固定する枠をウインチに接続し、ウインチを巻き取りながら煉瓦を移動させることによりランスの移動を模擬した。施工温度は、放射温度計を用いて測定した。
一方、カーボン付着試験は、ガラス層を有する煉瓦片を熱分解炉中に吊るし、模擬コークス炉ガスとしてプロパン含有ガス流通下で熱分解カーボンを付着させ、その後の剥離性の様子を目視で確認した。熱分解炉内の温度は1000℃とするとともに流通ガスはLPGと窒素を各々2L/minの流量で混合したものとし、反応時間は1時間とした。
B材の試験結果を表3に示すとともに、D材の試験結果を表4に示す。
Figure 0005439958
Figure 0005439958
表3および表4に示すように、B材およびD材ともに、溶倒温度より50℃以上200℃以下高い範囲の施工温度での結果が良好であり、この範囲よりも高い施工温度では「垂れ」が発生し、一方低い施工温度ではカーボン剥離性が悪化した。
実機コークス炉(炭化室寸法:幅7125mm、長さ16500mmおよび幅460mm)の溶射補修部において、ガラス化材の溶射試験を行った。
溶射補修部はコークス排出側端から約1.5m奥側、炉底からの高さは約1mの位置にあり、奥行き500mm×縦200mmの範囲を施工した。施工方法は、上述した範囲を高さ方向に4分割し、奥行き方向に2往復(合計4パス、同じ場所は1パスのみ)させた。
蛇行しないようレール上に設置された速度可変機能を有する小型台車にランスを搭載し、移動速度4mm/sに設定してランスを動かして施工した。この範囲の施工時間は約10分間弱であった。
ガラス化材は、表1におけるC材(溶倒温度:1350℃)を用いた。ガラス化材の供給速度は10[kg/h]とし、燃焼ガス(LPG)量は3.5[Nm/h]とし、溶射距離は100mmとした。ガラス層の施工部の温度は、観測者が炉外から放射温度計を用いて断片的に測定し、平均すると約1440℃であった。
施工後は、炉温約1100℃で通常の稼動を続け、定期的に施工面の観察を行った。約2ヶ月経過してもガラス層は施工時と同じ状態を保っており、この施工法により施工されたガラス層は、通常のコークス炉操業における衝撃、具体的には装炭時の熱衝撃やコークス排出の際の機械的衝撃に対して、十分な耐性を有することが確認された。また、施工時は、少量のガラス化材が空中に浮遊したものの視界は良好であり、またそれが炉底に蓄積されることもなかった。
この結果から、本発明に係るコーティング方法は、従来法の課題であったガラス層の低寿命や、水スラリーのリバウンドによる炉底損傷等の課題を解決できることがわかった。

Claims (2)

  1. コークス炉の炭化室の炉壁を形成する耐火物の表面に、ガラス化材を火炎中に放射しながら供給することによって、ガラス層を形成して、前記炉壁をコーティングする際に、
    前記ガラス化材は、SiO成分とAl成分との和が80質量%以上であるとともに溶倒温度が1250℃以上1450℃以下であり
    記ガラス層の施工中の施工面の温度を、当該ガラス化材の溶倒温度より50℃以上200℃以下高くし、かつ
    下式で示すリバウンド率の急激な上昇を防止するよう、前記ガラス化材の供給速度を10〜20kg/hとすること
    を特徴とするコークス炉の炭化室における炉壁のコーティング方法。
    リバウンド率[%]=100×(1−施工後の煉瓦重量増分[kg]/ガラス化材供給量[g])
  2. 前記ガラス層を、コークス炉の炭化室における炉壁煉瓦の溶射補修面上に形成することを特徴とする請求項1に記載されたコークス炉の炭化室における炉壁のコーティング方法。
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