JP6372533B2 - コークス炉炉底補修材 - Google Patents

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Description

本発明は、工業窯炉の炉底の補修材料に関し、特に、金属粉末の酸化反応熱を利用して耐火性粉末を溶融する粉末状補修材料に関するものである。
コークス炉は石炭を乾留してコークスを製造する炉である。コークス炉の乾留室の大きさは、高さ約5m、長さ約15m、幅45〜50cmであり、その両端、すなわち高さ5m、幅45〜50cmの部分をコークス炉炉蓋で封じている。石炭の乾溜が完了すると、両側の炉蓋は解放され、その片側から押し出し機によってコークスを押し、他端からコークスが取り出される。その後、炉蓋を閉め、新しい石炭を装入して乾留する。このサイクルが1日に約1回行われる。
コークス炉の炉底は、水平で幅45〜50cm、長さ約15mの平板状の形状をしている。
コークス炉の炉底はコークスの押出時に掛かるせん断応力の影響で摩耗したり、原料の石炭の装入時の急激な温度変化や衝撃によりスポールしたりして凹みが大きくなる傾向にあり、凸凹が大きくなるとコークスの押出し時の抵抗が大きくなり、押しだせなくなる事態(押し詰まりという)を避けるために操業と操業の合間の短い時間を利用した補修を繰り返しながら操業している。
操業を継続しながら炉底補修を実施する技術として溶射補修法、粉末補修材で直接補修する乾式法、粉末補修材を水と混合して補修する湿式方などがある。
溶射補修法は、近年では金属の酸化発熱反応を利用した溶射法が一般的に利用されている。例えば、特許文献1〜3では、金属粉末(燃焼剤)と耐火性粉末の混合物を酸素で搬送し、高温の補修面に吹き付ける溶射材料についての記載がある。吹き付けられた混合物は、補修面からの受熱により起こる金属粉末の酸化発熱反応により耐火性組成物を形成するとともに溶融し、補修面に付着する。
乾式法は、例えば、特許文献4に記載されており、シリカ、アルミナを主成分とする粉末に、粉末状フリットと顆粒状低融点化合物の2種の融剤を含有する補修材を、350℃から600℃の炭化室炉床耐火物表面の凹部に敷き込んだ後、水平かつ平坦に均す補修方法と記載されている。
湿式法は、例えば、特許文献5に記載されており電融アルミナなどの耐火骨材にフリット、シリカ微粉、リン酸塩を混合し水と混練してスラリー状にすることで強度を増大させて摩耗を抑制することが記載されている。
一般に、コークス炉の稼働温度は900℃〜1300℃であるため、常温から600℃程度までの熱膨張係数が大きいが、700℃以上における熱膨張係数がほぼゼロの珪石れんがが使用されている。このような珪石れんがの特性上、表面温度が急激に下がると熱衝撃により亀裂が入って損傷することになる。従って、補修は熱間で行うことでれんがの表面温度を下げないことが好ましく、溶射法は熱間補修の一種として広く利用されている。
特開昭61−275170号公報 特許第4464804号 特開2009−120406号公報 特開2007−145890号公報 特開2004−168586号公報
上記、従来のコークス炉炉底補修に用いられる材料は、コークス炉炉底補修材料に求められる上記の各種の特性のすべてを十分に満足できるものではない。特に、コークス炉炉底補修においては、補修後の表面ができるだけ水平であり、著しい凸凹を形成しないものであることが望ましい。
特許文献1が開示する溶射材料は、耐火性基質と類似した化学組成を有する材料を有する溶着層を含むことが望ましいとしており、コークス炉の炉底の場合は珪石質となる。珪石質を主体とした溶射材では、溶射時の温度に比較して十分に融点が低くなく組成的に粘性が高くなるため平滑にならないばかりか、水平に仕上げるのも困難であり、炉底補修には向かない。
また、特許文献2が開示する溶射材料は、垂直面である炉壁補修用途の溶射材料であるため、炉壁に付着後は付着部位に保持する設計となっている。したがって、同材質で炉底を溶射すると、溶射箇所に付着した材料がその場で固着することになり、平滑で水平にならないため、炉底補修には向かない。
特許文献4が開示するコークス炉炭化室炉床の粉末補修材は、350℃から600℃に放冷して、凹部に敷きこんだ後、水平かつ平坦に均して施工すると記載されている。この方法は施工時間そのものを短くできるが、放冷するまで待つ必要あり、操業と操業の合間の限られた時間での補修には向かないばかりか、窯中央部を350℃から600℃まで放冷していると窯口付近は200℃以下になり、珪石れんがが急激に収縮することで亀裂が入る事態になり、補修するどころか損傷させることになる。また、実施例には900℃で溶融させることが記載されているが、実際の操業では1000℃以上になることもあるため施工体の融点が下がり過ぎて、押しだされるコークスとともに剥がれ落ちると考えられる。また、押出し時のせん断応力に耐えるために十分な接着強度が必要と考えられるが、当該特許文献4には36cmの接着面積に対して最大203kgfの接着強度であることが記載されており、接着面積で割った時の接着強度は0.55MPaであり、十分な強度とは言い難い。
特許文献5が開示するコークス炉炉床用耐火物は、スラリー状の補修用材料をコークス炉炉床の損傷部に流し込むことにより、炉床を平滑にすることが可能としているが、水分が蒸発することで炉底の珪石れんがの熱を奪って300℃以下にまで冷却されると、当該珪石れんがが急激に収縮することで亀裂が入る事態になり、損傷する可能性があり、好ましくない。
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、被施工面を損傷させることなく平滑で水平な施工体を形成することができ、かつ高接着強度で耐用に優れる炉底補修材料を提供することを目的とする。
本発明は、SiO2質の耐火性粉末と金属粉末と生石灰粉末の混合物を主原料とし、酸素とともに吹き付けて被補修面を補修する溶射法に使用する炉底補修材料を前提とする。
前記、生石灰粉末の含有量は、主原料の全量に対して22〜40質量%で、その粒子径は、炉底補修材料全体において、355μmより大きい粒子が5質量%以下、75μm以下の粒子が7〜20質量%、残部が75〜355μmの粒子である。生石灰粉末中に含有するCaO成分の質量割合(純度)は、一般的に90〜99%以上である。
前記、SiO2質の耐火性粉末は、前記主原料の全量に対して、40〜68質量%であり、金属粉末は、金属シリコン粉末を使用したとき、主原料の全量に対して10〜20質量%とすることができる。
更に、点火促進剤として、金属シリコン粉末の酸化反応に必要な初期の熱量を補助する機能を有する金属粉末を添加することができる。当該、金属粉末は主原料の全量に対して外掛けで0.1〜1.5質量%である。このような金属粉末としては、例えば、鉄粉、マンガン粉、バナジウム粉、マグネシウム粉、チタン粉、あるいはこれらの合金の粉末等を好適に使用することができる。これらの金属粉末は、単体で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、燃焼補助剤として、炉底補修材の燃焼中に酸素を供給して被施工体上で、燃焼剤である金属シリコン粉末を酸化させる機能を有する金属酸化物を、主原料の全量に対して外掛けで0.3〜2.0質量%、さらに配合することができる。このような金属酸化物としては、例えば、遷移金属酸化物、特に、第一遷移金属酸化物(酸化スカンジウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅)やアルカリ土類金属過酸化物(過酸化リチウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウム)を好適に使用することができる。なお、これらの金属酸化物は、単体で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明によれば、被施工面を損傷させることなく平滑で水平な施工体を形成することができ、かつ高接着強度で耐用に優れる炉底補修材料を提供することができる。
<確認試験>
炉底を冷却せずに補修出来る方法として溶射タイプの補修方法を採用する。さらに炉底補修に必要な特性としては、施工後に炉底が平滑かつ水平になることが要求される。このために、溶射材料が融け広がったときの液体が自由表面に近い面となる特性を付与する必要がある。そこで、SiO2質の耐火骨材原料にCaOを高純度に含有する生石灰粉末を適用することで融点を低下させるとともに、溶融時の粘性低下を図ることにした。
先ず、反応が速く粘性低下に有利に働くと考えて粒度が75μm以下の生石灰粉末を適用し、含有量を徐々に増やす試験を行い、含有量が20質量%までは、付着部位で保持され融け広がらないことを確認した。これは、特許文献2の実施例のカルシア質粉(CaO割合は96.97%)が20質量%含有する溶射材料が垂直面である炉壁の補修材として成立することと一致している。
さらに含有量を増やし、含有量が22質量%以上、40質量%以下で粘性が低下し、含有量が40質量%より多くなると再び融け広がらなくなることが分かった。また、20質量%を超えると燃焼の継続性が著しく低下し、満足に施工できるものにはならなかった。これは、SiO2質の耐火骨材と生石灰粉末が反応して溶融が速く進むことで単位時間当たりの溶融吸熱量が増えて、燃焼を継続するための熱量の供給が不足するためと考えられる。
そこで、SiO2質の耐火骨材と生石灰粉末の反応を適度に遅らせるために生石灰粉末の粒度を粗くして適用する試験を実施し、粘性が低下しながらも燃焼継続性が損なわれない生石灰粉末の含有量と粒子径を特定するに至った。
<実施の形態>
(原理)
本発明に係る炉底補修材料は、SiO2質の耐火性粉末と金属粉末と生石灰粉末の混合物(以下、SiO2質の耐火性粉末と金属粉末と生石灰粉末の混合物を主原料という。)に特性を制御するために各種微量の添加物が加えられたものである。
SiO2とCaOのそれぞれの融点は、1650℃と2850℃であるが、ケイ酸カルシウム鉱物となるとCaO割合で45質量%から65質量%の組成で1550℃以下まで融点が下がり、組成によっては1400℃近くまで融点が下がる。またCaイオンのSiO2ネットワークへの導入により高温での粘性の低下に繋がる。したがって、溶射施工時の融液中のCaO割合が45質量%から65質量%程度になるように調整することで、粘性低下効果が得られ、融け広がることで平滑かつ水平な施工体が得られる。
ただし、本発明に掛かる炉底補修材の施工では、金属シリコンの酸化反応によりSiO2成分が生成されたり、SiO2質の耐火骨材粒子の一部が跳ね返ったりするため、主原料中のCaO割合を45質量%から65質量%にしても、融液中のCaO割合とは一致しない。そこで、実際の施工後の組成を調査することで、融液中のCaOが45質量%から65質量%になる主原料中の生石灰粉末の含有量を特定した。
試験結果より、主原料中の生石灰粉末の含有量は、22質量%から40質量%とすることが好ましい。より好ましくは、26質量%から36質量%である。
生石灰粉末の粒子径は、炉底補修材料全体において、355μmより大きい粒子が5質量%以下、75μm以下の粒子が7〜20質量%、残部を75μmより大きく355μm以下の粒子とすることが好ましい。より好ましくは、355μmより大きい粒子が1.0質量%以下、75μm以下の粒子が10〜17質量%である。粒子径が355μmより大きい生石灰粉末の配合量が多くなるとSiO2質の耐火骨材粒子との反応が進まず溶融性が低下するため、5質量%以下とすることが好ましい。粒子径が75μm以下の生石灰粉末が7質量%未満である場合も、SiO2質の耐火骨材粒子との反応が遅くなり溶融性が低下するため好ましくない。
逆に、粒子径が75μm以下の生石灰粉末が20質量%を超えると、SiO2質の耐火骨材粒子との反応が速すぎて、単位時間当たりの溶融吸熱量が大きくなり、燃焼を継続するための熱量の供給が間に合わなくなり、燃焼継続性が著しく低下し施工が満足に出来なくなるため好ましくない。生石灰粉末中に含有するCaO成分の質量割合(純度)は、一般的に90〜99%以上のものがあり、本試験では純度96%の生石灰を用いた。
以下、生石灰以外の成分について詳述する。
(耐火性粉末)
上述のように、本発明に係る炉底補修材料は、SiO2質の耐火性粉末と金属粉末と生石灰粉末の混合物を主原料とする。当該SiO2質の耐火性粉末には、珪石、珪石れんが粉、溶融シリカ等を用途に応じて用いることができる。特に限定されないが、耐火性粉末の最大粒子径は2000μm以下であることが好ましい。最大粒子径が2000μmより大きいと、施工時に大きい粒子が跳ね返るため被施工体への付着が困難となり、溶射効率が低下する。
(金属粉末)
本発明に係る炉底補修材料では、燃焼剤としての金属粉末が配合される。燃焼剤は、燃焼後に上述の耐火性粉体を結合する結合相を形成する酸化物となる。例えば、補修対象である被施工体がSiO2主体である珪石れんがからなる場合、当該燃焼剤として金属シリコン粉末を使用することができる。
主原料の全量に対して、金属シリコン粉末の添加量は10質量%以上、20質量%以下であり、好ましくは13質量%以上、17質量%以下である。
添加量が10質量%より少ないと、燃焼反応が弱くなり燃焼の継続性と被施工体への付着が著しく悪化するため、炉底補修材料として成立しない。また、添加量が20質量%を超えると、燃焼による発熱量が多くなり高温になりすぎる。その結果、炉底損傷部を施工する際にノズル先端が過熱されることで、ノズル先端で反応が開始し施工を中断する事態になるため、炉底補修を満足に行えない。金属シリコン粉末に含まれる金属Si成分の質量割合(Si純度)は問わないが、一般的には90%〜98%以上のものが使用される。
金属粉末の粒子径は、炉底補修材料全体において、75μm以上が5質量%以下、20μm以下が3〜14質量%、残部を20μmより大きく75μm未満とすることが好ましい。より好ましくは、75μm以上が3.0質量%以下、20μm以下が5〜12質量%である。粒子径が75μm以上の金属粉末は、燃焼反応が弱く、配合量が多くなると燃焼継続性が低下するため、5質量%以下とすることが好ましい。20μm以下の金属粉末が3質量%未満である場合も、燃焼反応が弱くなり燃焼継続性が低下するため好ましくない。20μm以下の金属粉末が14質量%を超えると、粉体流動性が低下して脈動を引き起こして逆火の危険性が大きくなるため好ましくない。
(点火促進剤)
本発明に係る炉底補修材料では、金属シリコン粉末の酸化反応に必要な初期の熱量を補助する機能を有する金属粉末の点火促進剤を必要に応じて配合できる。点火促進剤を配合することにより、被施工体温度が800℃以下の比較的低温である場合でも、溶射開始時の点火を促進することができる。
このような金属粉末としては、例えば、鉄粉、マンガン粉、バナジウム粉、マグネシウム粉、チタン粉、あるいはこれらの合金の粉末等を好適に使用することができる。これらの金属粉末は、単体で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。点火促進剤は発火点が300〜800℃であれば使用できるが、発火点が400℃以下である鉄粉が最も好ましく使用できる。
点火促進剤を添加する場合の添加量は、主原料の全量に対して外掛けで0.1以上1.5質量%以下であることが好ましい。添加量が0.1質量%未満であると、点火促進剤の添加効果(点火促進効果)が十分得られなくなる。一方、添加量が1.5質量%より多いと、爆発や逆火等の作業上の危険性が高まるため好ましくない。また、点火促進剤として金属粉末の粒子径は100μm以下であることが好ましい。粒子径が100μmより大きいと反応性が乏しくなり、点火促進の効果が得られなくなるからである。
(燃焼補助剤)
本発明に係る炉底補修材料では、炉底補修材料の燃焼中に酸素を供給して、被施工体上で、燃焼剤である金属シリコン粉末を酸化させる機能を有する燃焼補助剤を必要に応じて配合することができる。燃焼補助剤は、金属シリコンに付着していると、被施工体に付着した際の受熱により酸素供給源となる金属酸化物の粉末からなる。
このような金属酸化物としては、例えば、遷移金属酸化物、特に、第一遷移金属酸化物(酸化スカンジウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅)を好適に使用することができる。これらの金属酸化物は、金属シリコンに付着していると、被施工体上における燃焼中に自身の酸化数を低下させることで金属シリコンを酸化する。燃焼剤である金属シリコン粉末が酸化されるため、被施工体上での燃焼が継続されることになる。なお、これらの金属酸化物は、単体で添加されてもよく、2種以上が組み合わされて添加されてもよい。金属シリコン粉末を効率よく酸化させる観点からは、酸化鉄(Fe2O3)が、金属シリコン粉末が酸化されて生成したSiO2ガラスに固溶した場合に酸素透過速度を上昇させる効果もあるため特に好適に使用できる。
燃焼補助剤を添加する場合の添加量は、主原料の全量に対して外掛けで0.3以上2.0質量%以下である。添加量が0.3質量%より少ないと燃焼剤の燃焼継続効果が少なくなる。また、添加量が2.0質量%より多いと、不純物が多くなり、組成が変化し過ぎて熱膨張特性等の設計特性が発揮できなくなるため好ましくない。また、金属酸化物粉末の粒子径は100μm以下であることが好ましい。粒子径が100μmより大きいと反応性が乏しくなり、燃焼の継続性を向上する効果が得られなくなる。
(その他の添加物)
上述の各成分に加えて、流動性改善や鉱物組成の調整を目的として、ヒュームドシリカや、マグネシウム、鉄から選択された元素の酸化物、炭化物、窒化物などを添加することもできる。
以下に実施例及び比較例を提示して、本発明の炉底補修材料を説明する。
表1、表2に示す配合割合で炉底補修材料を作成し、各炉底補修材料を使用した溶射施工により形成した施工体を評価した。各炉底補修材料で使用したSiO2質の耐火性粉末は珪石れんが粉である。各炉底補修で使用した金属シリコン粉末のSi純度は97%である。各炉底補修材料で使用した生石灰粉末の純度は96%である。なお、SiO2質の耐火性粉末の粒子径、生石灰粉末及び金属シリコン粉末の粒子径は、表1、表2中に示している。
炉底補修の作業性として、点火性、燃焼継続性、付着率についての評価や、施工体物性として凸凹を測定し平滑性に関して評価するために、各炉底補修材料1kgを、炉の中の床面に配置した230×230×30mmの珪石質れんがに平面状に吹き付けて施工体Aを作成した。
また施工体特性として被施工体との接着強度を評価するために、各炉底補修材料3.5kgを炉の中の床面に、170×170×30mmの囲いを設けた230×230×30mm珪石質れんがに吹付けることで施工体Bを作成し、室温まで徐冷した後に、100×100mmの大きさに切出して供試した。
何れの施工も、エジェクタ式の溶射装置を用いて、搬送ガスは純度100%の酸素とし、流量は29Nm3/hとした。材料供給速度は90〜95kg/hとした。ランスは2mのものを使用し、先端ノズル径はφ21mmとし、炉の中の雰囲気温度を約1000℃に加熱した後、炉を開放し、れんがの表面温度が約800℃に冷却されたときに行った。
各炉底補修による施工体に関する各評価の結果は、表1、表2中に記載している。
点火性は、溶射施工開始時に点火するまでの時間と燃焼状態を目視観察することで評価した。「◎」は3秒未満で点火し材料が付着し始めたことを示し、「○」は3秒以上6秒未満で点火し材料が付着し始めたことを示し、「△」は6秒以上10秒未満で点火し材料が付着し始めたことを示している。
燃焼継続性は、溶射施工時の失火の状態を目視観察することで評価した。「◎」はランス走査速度を早くしても失火の気配がなく燃焼時の光が強いまま燃焼が継続したことを示し、「○」は失火の気配がなく燃焼時の光が強いまま燃焼が継続したがランス走査速度を早くすると失火しそうになったことを示し、「△」は燃焼を継続させるためにランス走査速度をやや落とす必要があったことを示し、「●」はランス走査速度を早くしても失火の気配がなかったが、燃焼時の光が非常に強く、燃焼による発熱量が多くなることによりノズル先端が過熱されることで、ノズル先端で反応が開始することが懸念されたことを示す。
平滑性は、施工体Aの施工面の中央部30mm×30mmの範囲を3D解析により最凹部と最凸部の差を測定することで評価した。「◎」は凹凸が1.0mm未満であったことを示し、「○」は凹凸が1.0mm以上1.5mm未満で合ったことを示し、「△」は凹凸が1.5mm以上2.0mm未満で合ったことを示し、「×」は凹凸が2.0mm以上4.0mm未満で合ったことを示し、「××」は凹凸が4.0mm以上6.0mm未満で合ったことを示している。
付着率は、溶射試験後に被施工Aの施工前後の被施工体の重量変化と、先端ノズルから吐出した炉底補修の重量に対する当該付着質量の割合を算出した。
接着強度は、被施工面上の施工体Bから切り出した試料の施工体部にせん断応力を掛けて剥離させて、剥離した時に観測された荷重を接着面積で割ることで算出した。
表1に示す各実施例は、珪石れんが粉からなる耐火性粉末、金属シリコン粉末および生石灰粉末からなる主原料100質量%において、金属シリコン粉末の含有量が10〜20質量%であり、生石灰粉末の含有量が、22〜40質量%である配合である。
また、点火促進剤である粒子径が100μm以下の鉄粉、燃焼補助剤である粒子径が100μm以下の酸化第二鉄(酸化鉄(III))粉末を、適宜、添加している。なお、鉄粉、酸化第二鉄粉末の添加量は、主原料全量に対する外掛けで規定している。以下、各配合について簡単に説明する。
実施例1〜実施例3及び実施例7〜実施例8は、生石灰粉末の配合量をそれぞれ変更している。実施例4〜実施例6及び実施例9〜実施例11は、実施例3の配合において、生石灰粉末の粒度、酸化第二鉄粉末の配合量、鉄粉の配合量、珪石れんが粉の粒度配合、をそれぞれ変更している。実施例12〜実施例13は、実施例3の配合において、珪石れんが粉と金属シリコン粉末との配合割合をそれぞれ変更している。
表1に示すように、いずれも点火性、燃焼継続性、平滑性、付着率、接着強度の各評価項目において、良好な結果が得られていることが理解できる。
続いて、表2に示す比較例について説明する。比較例1は、実施例1〜実施例3及び実施例7〜実施例8の配合との対比において生石灰粉末を含有していない(配合量ゼロ)配合である。この配合では、溶融不足になり平滑性が低下した。
比較例2〜比較例3は、実施例3との対比において、生石灰粉末の配合量を変更している。比較例2は生石灰の配合量が適正量より少ない場合であり、溶融不足になって平滑性が低下した。また、比較例3は適正量より多い場合であり、溶融不足になり平滑性が低下した。
比較例4〜比較例6は、実施例3との対比において、生石灰粉末の粒度を変更している。比較例4は生石灰の粒度が適正より粗い粒度分布に偏った場合であり、溶融不足になって平滑性が低下した。また、比較例5〜比較例6は適正より細かい粒度分布に偏った場合であり、燃焼継続性が著しく低下し、付着率も低下した。
以上のように、炉底補修材料を、SiO2質の耐火性粉末と、燃焼剤としての金属粉末と、生石灰粉末で構成し、生石灰粉末粒度と含有量を適正にすることにより、平滑で接着強度の高い施工体を形成しながら、十分な燃焼継続性を有することができる。これにより、炉底損傷部の凸凹を、被施工面を損傷させることなく平滑かつ水平で強固な補修ができるため作業性や施工品質が向上する。その結果、作業時間が不要に長時間になることを抑制でき、かつ押詰まりリスクが低減し補修頻度も低減されるため施工コストの上昇を防止することができる。また、施工作業者が高温で粉塵の多い環境に曝される時間が不要に長時間になることもない。
Figure 0006372533
Figure 0006372533
以上説明したように、本発明に係る炉底補修材料は、平滑かつ水平に施工でき、接着強度に優れるため、コークス炉炭化室の炉底補修などに使用する補修部材として有用である。

Claims (5)

  1. SiO2質の耐火性粉末と燃焼剤としての金属粉末と生石灰粉末よりなる主原料を含み、酸素とともに吹き付けて被補修面を補修する溶射法に使用する炉底補修材料であって、
    前記主原料の全量に対して355μmより大きい粒子が5質量%以下、75μm以下の粒子が7〜20質量%、残部が75〜355μmの粒子である生石灰粉末を22〜40質量%含有することを特徴とする炉底補修材料。
  2. 前記耐火性粉末を、前記主原料の全量に対して40〜68質量%、
    前記金属粉末としての金属シリコン粉末を、前記主原料の全量に対して10〜20質量%含有する、請求項1に記載の炉底補修材料。
  3. 点火促進剤として、鉄粉、マンガン粉、バナジウム粉、マグネシウム粉、チタン粉、あるいはこれらの合金の粉末から選ばれる少なくとも1種を、前記主原料の全量に対して外掛けで主原料の0.1〜1.5質量%、さらに添加した、請求項1又は請求項2に記載の炉底補修材料。
  4. 燃焼補助剤として、遷移金属酸化物を、前記主原料の全量に対して外掛けで0.3〜2.0質量%、さらに添加した、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炉底補修材料。
  5. 前記燃焼補助剤が酸化スカンジウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、過酸化リチウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の炉底補修材料。
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