近年、半導体装置が使用される装置の高性能化に伴い、半導体装置に対しては動作の高速化、低損失化だけでなく、電流容量の大容量化が求められている。これに対し、複数の半導体素子を並列に接続することにより、電流容量の大容量化に対応することができる(たとえば非特許文献1参照)。以下、複数の半導体素子が並列に接続された半導体装置の一例について説明する。
図17は、半導体素子であるJFET(Junction Field Effect Transistor;接合型電界効果トランジスタ)が複数個、並列に接続された従来の半導体装置の構成を示す概略平面図である。また、図18は、図17の線分XVIII−XVIIIに沿う概略断面図である。また、図19は、図17の線分XIX−XIXに沿う概略断面図である。
図17〜図19を参照して、従来の半導体装置100は、電子が供給されるソース領域115と、電子が取り出されるドレイン領域117と、ソース領域115とドレイン領域117との間に配置され、ソース領域115とドレイン領域117との間を電気的に接続および遮断するゲート領域116とを有する半導体素子としてのJFET110を複数個備えている。
図18および図19を参照して、JFET110は、導電型がn型であるn型基板111と、n型基板111上に形成された第1のp型層112と、第1のp型層112上に形成されたn型層113と、n型層113上に形成された第2のp型層114とを備えている。
第2のp型層114およびn型層113には、n型層113よりも高濃度の導電型がn型である不純物(n型不純物)を含むソース領域115およびドレイン領域117が形成されるとともに、ソース領域115およびドレイン領域117に挟まれるように、第1のp型層112および第2のp型層114よりも高濃度の導電型がp型である不純物(p型不純物)を含むゲート領域116が形成されている。
また、ソース領域115から見てゲート領域116とは反対側には、第2のp型層114の上部表面から第2のp型層114を貫通してn型層113に至るように、溝部131が形成されている。さらに、溝部131の底壁からn型層113を貫通し、第1のp型層112に至るように、第1のp型層112および第2のp型層114よりも高濃度のp型不純物を含む電位保持領域123が形成されている。さらに、ソース領域115、ゲート領域116、ドレイン領域117および電位保持領域123の上部表面のそれぞれに接触するように、コンタクト電極119が形成されている。
そして、隣接するソース領域115、ゲート領域116、ドレイン領域117および電位保持領域123の上のコンタクト電極119同士の間には、酸化膜118が形成されている。これにより、隣り合うコンタクト電極119の間が絶縁されている。
さらに、ソース領域115、ゲート領域116およびドレイン領域117上のコンタクト電極119の上部表面に接触するように、ソース電極125、ゲート電極126およびドレイン電極127がそれぞれ形成されている。これにより、ソース電極125、ゲート電極126およびドレイン電極127は、コンタクト電極119を介してそれぞれソース領域115、ゲート領域116およびドレイン領域117と電気的に接続されている。また、ソース電極125は、電位保持領域123上のコンタクト電極119の上部表面にも接触し、当該コンタクト電極とも電気的に接続されている。そして、図17〜図19を参照して、ソース電極125、ゲート電極126およびドレイン電極127は、JFET110が並ぶ方向に延在することにより、ソース領域115同士、ゲート領域116同士およびドレイン領域117同士を電気的に接続している。
以上の構成により、上記複数個のJFET110は、ソース領域115同士を接続するソース電極125と、ドレイン領域117同士を接続するドレイン電極127と、ゲート領域116同士を接続するゲート電極126とにより並列に接続されている。
また、半導体装置100は、ソース電極125、ゲート電極126、ドレイン電極127および酸化膜118を覆うように形成された、絶縁体からなる絶縁保護膜128を備えている。そして、ソース電極125、ゲート電極126およびドレイン電極127は、それぞれソース電極125、ゲート電極126およびドレイン電極127を外部と接続するソース電極パッド125A、ゲート電極パッド126Aおよびドレイン電極パッド127Aを含んでいる。このソース電極パッド125A、ゲート電極パッド126Aおよびドレイン電極パッド127Aは、絶縁保護膜128を貫通し、絶縁保護膜128から露出している。これにより、並列に接続されたJFET110のソース領域115、ゲート領域116およびドレイン領域117に対して、外部から電圧を印加することが可能となっている。そして、JFET110が並列に接続されていることにより、半導体装置100は電流容量の大容量化に対応している。
藤川一洋、外7名、「600V/2A 4H−SiC RESURF型JFET」、SiC及び関連ワイドギャップ半導体研究会 第15回講演会(2006年11月9〜10日開催)予稿集
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における半導体装置の構成を示す概略平面図である。また、図2は、図1の線分II−IIに沿う概略断面図である。また、図3は、図1の線分III−IIIに沿う概略断面図である。図1〜図3を参照して、実施の形態1における半導体装置の構成について説明する。
図1〜図3を参照して、半導体装置1は、電子が供給されるソース領域15と、電子が取り出されるドレイン領域17と、ソース領域15とドレイン領域17との間に配置され、ソース領域15とドレイン領域17との間を電気的に接続および遮断するゲート領域16とを有する半導体素子としてのJFET10を複数個備えている。
図2および図3を参照して、JFET10は、SiCからなり、導電型がn型であるn型基板11と、n型基板11上に形成された第1のp型層12と、第1のp型層12上に形成されたn型層13と、n型層13上に形成された第2のp型層14とを備えている。ここで、p型層およびn型層は、それぞれ導電型がp型およびn型であるSiCからなる層である。
第2のp型層14およびn型層13には、n型層13よりも高濃度の導電型がn型である不純物(n型不純物)を含むソース領域15およびドレイン領域17が形成されるとともに、ソース領域15およびドレイン領域17に挟まれるように、第1のp型層12および第2のp型層14よりも高濃度の導電型がp型である不純物(p型不純物)を含むゲート領域16が形成されている。すなわち、ソース領域15、ゲート領域16およびドレイン領域17は、それぞれ第2のp型層14を貫通してn型層13に至るように形成されている。また、ソース領域15、ゲート領域16およびドレイン領域17の底部は、第1のp型層12の上部表面(第1のp型層12とn型層13との境界部)から間隔を隔てて配置されている。
また、ソース領域15から見てゲート領域16とは反対側には、第2のp型層14の上部表面14A(n型層13の側とは反対側の主面)から第2のp型層14を貫通してn型層13に至るように、溝部31が形成されている。つまり、溝部31の底壁31Aは、第1のp型層12とn型層13との界面から間隔を隔て、n型層13の内部に位置している。さらに、溝部31の底壁31Aからn型層13を貫通し、第1のp型層12に至るように、第1のp型層12および第2のp型層14よりも高濃度のp型不純物を含む電位保持領域23が形成されている。この電位保持領域23の底部は、n型基板11の上部表面(n型基板11と第1のp型層12との境界部)から間隔を隔てて配置されている。
さらに、ソース領域15、ゲート領域16、ドレイン領域17および電位保持領域23のそれぞれの上部表面に接触するように、コンタクト電極19が形成されている。コンタクト電極19は、ソース領域15、ゲート領域16、ドレイン領域17および電位保持領域23とオーミック接触可能な材料、たとえばNiSi(ニッケルシリサイド)からなっている。
そして、隣接するコンタクト電極19同士の間には、酸化膜18が形成されている。より具体的には、絶縁層としての酸化膜18が、第2のp型層14の上部表面、溝部31の底壁31Aおよび側壁31Bにおいて、コンタクト電極19が形成されている領域以外の領域全体を覆うように形成されている。これにより、隣り合うコンタクト電極19同士の間が絶縁されている。
さらに、ソース領域15、ゲート領域16およびドレイン領域17上のコンタクト電極19の上部表面に接触するように、ソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27がそれぞれ形成されている。これにより、ソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27は、コンタクト電極19を介して、それぞれソース領域15、ゲート領域16およびドレイン領域17と電気的に接続されている。また、ソース電極25は、電位保持領域23上のコンタクト電極19の上部表面にも接触し、コンタクト電極19を介して電位保持領域23とも電気的に接続されている。つまり、ソース電極25は、ソース領域15上のコンタクト電極19の上部表面上から電位保持領域23上のコンタクト電極19の上部表面上にまで延在するように形成されている。これにより、電位保持領域23上のコンタクト電極19は、ソース領域15上のコンタクト電極19と同電位に保持されている。ソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27は、たとえばアルミニウム(Al)などの導電体から構成されている。このソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27は、図1〜図3を参照して、JFET10が並ぶ方向に延在することにより、コンタクト電極19を介して、それぞれ上記複数のJFET10のソース領域15同士、ゲート領域16同士およびドレイン領域17同士を電気的に接続している。
以上の構成により、上記複数個のJFET10は、ソース領域15同士を接続するソース電極25と、ドレイン領域17同士を接続するドレイン電極27と、ゲート領域16同士を接続するゲート電極26とにより並列に接続されている。
また、図1〜図3を参照して、半導体装置1は、ソース電極25、ゲート電極26、ドレイン電極27および酸化膜18を覆うように形成された、絶縁体からなる絶縁保護膜28を備えている。そして、ソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27は、それそれソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27を外部と接続するソース電極パッド25A、ゲート電極パッド26Aおよびドレイン電極パッド27Aを含んでいる。このソース電極パッド25A、ゲート電極パッド26Aおよびドレイン電極パッド27Aは、絶縁保護膜28を貫通し、絶縁保護膜28から露出している。これにより、並列に接続されたJFET10のソース領域15、ゲート領域16およびドレイン領域17に対して、外部から電圧を印加することが可能となっている。そして、JFET10が並列に接続されていることにより、半導体装置1は電流容量の大容量化に対応している。
さらに、図1〜図3を参照して、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aは、絶縁保護膜28を挟んでゲート電極26の上側に突出するように、より具体的には平面的に見て、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aがゲート電極26に重なるように、形成されている。
次に、半導体装置1の動作について説明する。図1〜図3を参照して、ゲート電極パッド26Aを介してゲート電極26に印加される電圧が0Vの状態では、n型層13において、ゲート領域16とドレイン領域17とで挟まれた領域および当該挟まれた領域と第1のp型層12とで挟まれた領域(ドリフト領域)、ならびにゲート領域16と第1のp型層12とで挟まれた領域(チャネル領域)は空乏化されておらず、ソース領域15とドレイン領域17とはn型層13を介して電気的に接続された状態となっている。そのため、ソース領域15からドレイン領域17に向かって電子が移動することにより電流が流れる。
一方、ゲート電極パッド26Aを介してゲート電極26に負の電圧を印加していくと、上述のチャネル領域およびドリフト領域の空乏化が進行し、ソース領域15とドレイン領域17とは電気的に遮断された状態となる。そのため、ソース領域15からドレイン領域17に向かって電子が移動することができず、電流は流れない。
つまり、実施の形態1における半導体装置1は、電子が供給されるソース領域15と、電子が取り出されるドレイン領域17と、ソース領域15とドレイン領域17との間に配置され、ソース領域15とドレイン領域17との間を電気的に接続および遮断するゲート領域16とを有する半導体素子としてのJFET10を複数個備えている。複数個のJFET10は、ソース領域15同士を接続するソース電極25と、ドレイン領域17同士を接続するドレイン電極27と、ゲート領域16同士を接続するゲート電極26とにより並列に接続されている。ソース電極25は、ソース電極25を外部と接続するソース電極パッド25Aを含んでいる。ドレイン電極27は、ドレイン電極27を外部と接続するドレイン電極パッド27Aを含んでいる。そして、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aは、絶縁体からなる絶縁膜としての絶縁保護膜28を挟んでゲート電極26の上側に突出するように形成されている。
実施の形態1の半導体装置1では、絶縁保護膜28を挟むことによりゲート電極26との絶縁を保持しつつ、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aがゲート電極26の上側に突出するように形成され、平面的に見て、ゲート電極26と、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aとが重なるような構造が採用されている。そのため、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aとゲート電極26との干渉を回避しつつ、半導体装置の平面形状が小型化されている。その結果、実施の形態1の半導体装置は、従来の半導体装置に比べてさらなる小型化が実現され、複数の半導体素子が並列に接続された半導体装置となっている。
ここで、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aとゲート電極26との間に挟まれる絶縁保護膜28の厚みは、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aとゲート電極26とが平面的に見て重なる構造を採用する半導体装置の耐圧特性確保のため、100nm以上2μm以下とすることが好ましい。
次に、実施の形態1における半導体装置の製造方法について説明する。図4は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における半導体装置の製造方法の概略を示すフローチャートである。また、図5〜図11は実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明するための概略断面図である。
図4を参照して、実施の形態1における半導体装置1の製造方法においては、まず、工程(S10)として、基板準備工程が実施される。具体的には、工程(S10)では、図5に示すように、高濃度のn型不純物を含むSiCからなるn型基板11が準備される。
次に、図4を参照して、工程(S20)としてエピタキシャル成長工程が実施される。この工程(S20)では、図5を参照して、工程(S10)において準備されたn型基板11の一方の主面上に、たとえば気相エピタキシャル成長によりSiCからなる第1のp型層12、n型層13および第2のp型層14が順次形成される。気相エピタキシャル成長においては、たとえば材料ガスとしてシラン(SiH4)ガスおよびプロパン(C3H8)ガスを用い、キャリアガスとして水素(H2)ガスを採用することができる。また、p型層を形成するためのp型不純物源としては、たとえばジボラン(B2H6)やトリメチルアルミニウム(TMA)を、n型層を形成するためのn型不純物としては、たとえば窒素(N2)を採用することができる。
次に、図4を参照して、工程(S30)として、溝部形成工程が実施される。具体的には、工程(S30)では、図6に示すように、第2のp型層14の上部表面14Aから第2のp型層14を貫通してn型層13に至るように、溝部31が形成される。溝部31の形成は、たとえば所望の溝部31の形成位置に開口を有するマスク層を第2のp型層14の上部表面14A上に形成した後、SF6ガスを用いたドライエッチングにより実施することができる。
次に、工程(S40)として、第1イオン注入工程が実施される。この工程(S40)では、高濃度のn型不純物を含む領域であるソース領域およびドレイン領域が形成される。具体的には、図7を参照して、まず、第2のp型層14の上部表面14A上および溝部31の内壁にレジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望のソース領域15およびドレイン領域17の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜が形成される。そして、このレジスト膜をマスクとして用いて、P(リン)、N(窒素)などのn型不純物がイオン注入により第2のp型層14およびn型層13に導入される。これにより、ソース領域15およびドレイン領域17が形成される。
次に、工程(S50)として、第2イオン注入工程が実施される。この工程(S50)では、高濃度のp型不純物を含む領域であるゲート領域および電位保持領域が形成される。具体的には、図8を参照して、まず、工程(S40)と同様の手順で所望のゲート領域16および電位保持領域23の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜が形成される。そして、このレジスト膜をマスクとして用いて、Al、B(ホウ素)などのp型不純物がイオン注入により第2のp型層14、n型層13および第1のp型層12に導入される。これにより、ゲート領域16および電位保持領域23が形成される。
次に、図4を参照して、工程(S60)として活性化アニール工程が実施される。この工程(S60)では、工程(S50)において形成されたレジスト膜が除去された後、工程(S40)および(S50)においてイオン注入が実施された第2のp型層14、n型層13および第1のp型層12が加熱されることにより、上記イオン注入によって導入された不純物を活性化させる熱処理である活性化アニールが実施される。活性化アニールは、たとえばアルゴンガス雰囲気中において、1700℃程度の温度に30分間程度保持する熱処理を実施することにより行なうことができる。
次に、工程(S70)として、酸化膜形成工程が実施される。この工程(S70)では、図9を参照して、工程(S10)〜(S60)までが実施されて所望のイオン注入層を含む第2のp型層14、n型層13および第1のp型層12が形成されたn型基板11が熱酸化される。これにより、二酸化珪素(SiO2)からなる酸化膜18が、第2のp型層14の上部表面14Aおよび溝部31の内壁を覆うように形成される。
次に、図4を参照して、工程(S80)としてコンタクト電極形成工程が実施される。この工程(S80)では、図10を参照して、ソース領域15、ゲート領域16、ドレイン領域17および電位保持領域23のそれぞれの上部表面に接触するように、たとえばNiSiからなるコンタクト電極19が形成される。具体的には、まず、工程(S40)と同様の手順で所望のコンタクト電極19の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜が形成される。そして、当該レジスト膜をマスクとして用いて、たとえばRIE(Reactive Ion Etching;反応性イオンエッチング)により、ソース領域15、ゲート領域16、ドレイン領域17および電位保持領域23上の酸化膜18が除去される。
その後、たとえばNi(ニッケル)が蒸着されることにより、酸化膜18から露出したソース領域15、ゲート領域16、ドレイン領域17および電位保持領域23上、およびレジスト膜上にニッケル層が形成される。さらに、レジスト膜が除去されることにより、レジスト膜上のニッケル層が除去(リフトオフ)されて、酸化膜18から露出したソース領域15、ゲート領域16、ドレイン領域17および電位保持領域23上にニッケル層が残存する。そして、たとえば1000℃程度に加熱する熱処理が実施されることにより、ニッケル層がシリサイド化する。これにより、図10に示すように、ソース領域15、ゲート領域16、ドレイン領域17および電位保持領域23にオーミック接触可能なNiSiからなるコンタクト電極19が形成される。
次に、図4を参照して、工程(S90)として、電極形成工程が実施される。この工程(S90)では、図11および図1〜図3を参照して、ソース領域15および電位保持領域23上のコンタクト電極19の上部表面に接触するソース電極25、ゲート領域16上のコンタクト電極19の上部表面に接触するゲート電極26、およびドレイン領域17上のコンタクト電極19の上部表面に接触するドレイン電極27が形成される。ソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27は、たとえばソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27を形成すべき所望の領域に開口を有するレジスト膜を形成し、Alを蒸着した後、レジスト膜とともにレジスト膜上のAlを除去すること(リフトオフ)により形成することができる。
ここで、工程(S10)において準備されたn型基板11上に、工程(S20)〜(S80)においては、上記JFET10の構造が複数個並べて形成される。そして、工程(S90)においてソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27が、図11および図1〜図3を参照して、コンタクト電極19を介して、それぞれ複数の上記JFET10のソース領域15同士、ゲート領域16同士およびドレイン領域17同士を接続するように形成される。これにより、複数個のJFET10が、ソース領域15同士を接続するソース電極25と、ドレイン領域17同士を接続するドレイン電極27と、ゲート領域16同士を接続するゲート電極26とにより並列に接続される。
次に、図4を参照して、工程(S100)として、絶縁保護膜形成工程が実施される。この工程(S100)では、図11および図1〜図3を参照して、ソース電極25、ゲート電極26、ドレイン電極27および酸化膜18を覆い、たとえばSiO2などの絶縁体からなる絶縁保護膜28が形成される。具体的には、たとえばCVD法(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着法)により、ソース電極25、ゲート電極26、ドレイン電極27および酸化膜18を覆うSiO2膜が形成される。
次に、図4を参照して、工程(S110)として、電極パッド形成工程が実施される。この工程(S110)では、図1〜図3を参照して、ソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27をそれぞれ外部と接続するためのソース電極パッド25A、ゲート電極パッド26Aおよびドレイン電極パッド27Aが形成される。具体的には、まず、絶縁保護膜28の上部表面(酸化膜18とは反対側の表面)を覆うようにレジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、所望のソース電極パッド25A、ゲート電極パッド26Aおよびドレイン電極パッド27Aの形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜が形成される。このとき、平面的に見てゲート電極26に重なるように、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aに対応する開口が形成される。そして、当該レジスト膜をマスクとして用いて、たとえばRIEにより、上記開口から露出する絶縁保護膜28が、絶縁保護膜28からソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27が露出するように除去される。
その後、たとえばAlが蒸着されることにより、絶縁保護膜28から露出したソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27上、およびレジスト膜上にAl層が形成される。さらに、レジスト膜が除去されることにより、レジスト膜上のAl層が除去(リフトオフ)されて、上記開口に対応する位置にAl層が残存する。これにより、図1〜図3に示すように、絶縁保護膜28から露出するソース電極パッド25A、ゲート電極パッド26Aおよびドレイン電極パッド27Aが形成される。以上の工程により、本実施の形態における半導体装置1は完成する。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における半導体装置について説明する。図12〜図14は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における半導体装置の構成を示す概略断面図である。なお、図12、図13および図14は、それぞれ図1の線分XII−XII、線分XIII−XIIIおよび線分XIV−XIVに沿う概略断面図に相当する。
図12〜図14を参照して、実施の形態2における半導体装置1と、図1〜図3に基づいて説明した実施の形態1における半導体装置1とは、基本的に同様の構成を有し、同様に動作するとともに同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2における半導体装置1は、ソース電極25およびドレイン電極27の構成において、実施の形態1における半導体装置1とは異なっている。
すなわち、図1および図12〜図14を参照して、実施の形態2における半導体装置1においては、ソース電極25は、ソース電極パッド25Aに近づくにつれて、ソース電極25が延在する方向に垂直な断面における断面積が大きくなっている。より具体的には、ソース電極25は、ソース電極パッド25Aに近づくにつれて厚みが大きくなっている。また、図1および図12〜図14を参照して、実施の形態2における半導体装置1においては、ドレイン電極27は、ドレイン電極パッド27Aに近づくにつれて、ドレイン電極27が延在する方向に垂直な断面における断面積が大きくなっている。より具体的には、ドレイン電極27は、ドレイン電極パッド27Aに近づくにつれて厚みが大きくなっている。
複数のJFET10が並列に接続された本実施の形態における半導体装置1のソース電極25およびドレイン電極27においては、それぞれソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aに近づくにつれて、動作時の電流密度が大きくなる。これに対し、本実施の形態の半導体装置1は、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aに近づくにつれて、ソース電極25およびドレイン電極27の抵抗率が減少しているため、上記発熱が抑制された半導体装置となっている。なお、ソース電極25およびドレイン電極27の厚みは、ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aに近づくにつれて、連続的に大きくなっていてもよいし、段階的に(階段状に)大きくなっていてもよい。
次に、実施の形態2における半導体装置1の製造方法について説明する。実施の形態2における半導体装置1は、基本的には図4〜図11に基づいて説明した実施の形態1の半導体装置1の場合と同様に製造することができる。
具体的には、図4を参照して、まず、工程(S10)〜(S80)までが実施の形態1の場合と同様に実施される。そして、工程(S90)においては、ソース電極25およびドレイン電極27は、それぞれソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aに近づくにつれて厚みが大きくなるように形成される。より具体的には、ソース電極25およびドレイン電極27は以下のように形成することができる。
図15および図16は、実施の形態2における工程(S90)を説明するための概略断面図である。なお、図15および図16は、ソース電極25の形成方法を示している。以下、ソース電極25の形成方法を示す図15および図16に基づいて実施の形態2における工程(S90)を説明するが、ドレイン電極27についても同様に形成することができる。
実施の形態2における工程(S90)においては、まず、図11を参照して、実施の形態1における工程(S90)と同様にソース電極25、ゲート電極26およびドレイン電極27が形成された後、実施の形態1における工程(S100)と同様に絶縁保護膜28が形成される。そして、図15を参照して、絶縁保護膜28上にレジストが塗布された後、露光および現像が行なわれ、ソース電極25およびドレイン電極27の厚みを大きくすべき領域(ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aに近い領域)に応じた開口91Aを有するレジスト膜91が形成される。そして、当該レジスト膜91をマスクとして用いて、たとえばRIEにより絶縁保護膜28が部分的に除去される。これにより、絶縁保護膜28からソース電極25およびドレイン電極27の一部が露出する。その後、絶縁保護膜28および絶縁保護膜28から露出するソース電極25およびドレイン電極27上に、ソース電極25およびドレイン電極27を構成する素材と同じ素材、たとえばアルミニウム(Al)などの導電体からなる導電体膜25Bが、蒸着法により形成される。そして、レジスト膜91が除去されることにより、レジスト膜91上の導電体膜25Bが除去(リフトオフ)されて、絶縁保護膜28から露出するソース電極25およびドレイン電極27上に、導電体膜25Bが残存する。この導電体膜25Bは、ソース電極25およびドレイン電極27と一体となり、その結果、導電体膜25Bが形成された領域におけるソース電極25およびドレイン電極27の厚みが大きくなる。
さらに、図16を参照して、部分的に除去された絶縁保護膜28の領域を埋めるように、たとえばCVD法によりSiO2膜が形成された後、上述と同様の手順で、絶縁保護膜28上に、ソース電極25およびドレイン電極27の厚みをさらに大きくすべき領域(ソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aにより近い領域)に応じた開口91Aを有するレジスト膜91が形成される。そして、当該レジスト膜91をマスクとして用いて、たとえばRIEにより絶縁保護膜28が部分的に除去され、絶縁保護膜28からソース電極25およびドレイン電極27の一部が露出する。その後、絶縁保護膜28および絶縁保護膜28から露出するソース電極25およびドレイン電極27上に、ソース電極25およびドレイン電極27を構成する素材と同じ素材からなる導電体膜25Cが、蒸着法により形成される。そして、レジスト膜91が除去されることにより、レジスト膜91上の導電体膜25Cが除去されて、絶縁保護膜28から露出するソース電極25およびドレイン電極27上に、導電体膜25Cが残存する。この導電体膜25Cがソース電極25およびドレイン電極27と一体となり、導電体膜25Cが形成された領域におけるソース電極25およびドレイン電極27の厚みがさらに大きくなる。以上の手順を繰り返すことにより、ソース電極25およびドレイン電極27を、それぞれソース電極パッド25Aおよびドレイン電極パッド27Aに近づくにつれて厚みが大きくなるように形成することができる。
その後、図4を参照して、実施の形態1の場合と同様に、工程(S100)および(S110)が実施されることにより、実施の形態2における半導体装置1を製造することができる。
なお、上記実施の形態においては、半導体装置が備える半導体素子としてJFETが採用される場合について説明したが、本発明の半導体装置はこれに限られず、半導体素子として、ソース領域、ゲート領域およびドレイン領域を有する種々の半導体素子を採用することができる。
また、上記実施の形態においては、基板および基板上に形成される半導体層の素材としてSiCが採用される場合について説明したが、本発明の半導体装置はこれに限られず、Si(珪素)のほか、GaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャップ半導体を採用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 半導体装置、10 JFET、11 n型基板、12 第1のp型層、13 n型層、14 第2のp型層、14A 上部表面、15 ソース領域、16 ゲート領域、17 ドレイン領域、18 酸化膜、19 コンタクト電極、23 電位保持領域、25 ソース電極、25A ソース電極パッド、25B,25C 導電体膜、26 ゲート電極、26A ゲート電極パッド、27 ドレイン電極、27A ドレイン電極パッド、28 絶縁保護膜、31 溝部、31A 底壁、31B 側壁、91 レジスト膜、91A 開口。