JP5437186B2 - 電磁弁 - Google Patents

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Description

本発明は,弁座を有する弁ボディと,この弁ボディに接合されるソレノイド支持体と,前記弁座に着座し得る弁体と,この弁体を支持して前記ソレノイド支持体に摺動自在に支持されるプランジャと,このプランジャを囲繞しながら前記弁体を前記弁座との着座方向に付勢する弁ばねと,前記ソレノイド支持体に取り付けられ,通電時,前記弁ばねの付勢力に抗して前記プランジャを作動して前記弁体を全開させるソレノイドとよりなる電磁弁の改良に関する。
かゝる電磁弁において,弁ばねを,線径及びコイル径が均一でコイルピッチのみが不均一なコイルばねで構成して,弁ばねの荷重特性を,ソレノイドの吸引力特性に対応した非線形にさせたものが,特許文献1に開示されている。
実開昭53−22128号公報
ところで,ソレノイドへの通電,非通電に応じて弁体を全開,全閉にするオン・オフ型の電磁弁では,弁体の全閉位置では,良好な開弁応答性を確保すべく,各部の製作誤差に影響されずに弁体に安定した比較的小さなセット荷重を付与するために,弁ばねのばね定数は極力小さいことが要求され,弁体の全開位置では,良好な閉弁応答性を確保すべく,弁体に比較的大きな閉弁荷重を付与するために,弁ばねのばね定数は極力大きいことが要求される。このような要求を満足させるには,弁ばねの荷重特性が,図4に示すような二本の折れ線特性となることが望ましく,特許文献1に記載のような非線形特性では,それを満足させることが困難である。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,簡単な構造をもって,弁ばねに二本の折れ線荷重特性を与え,各部の製作誤差に影響させることなく弁体の開閉応答性を向上させ得るようにした電磁弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,弁座を有する弁ボディと,この弁ボディに接合されるソレノイド支持体と,前記弁座に着座し得る弁体と,この弁体を支持して前記ソレノイド支持体に摺動自在に支持されるプランジャと,このプランジャを囲繞しながら前記弁体を前記弁座との着座方向に付勢する弁ばねと,前記ソレノイド支持体に取り付けられ,通電時,前記弁ばねの付勢力に抗して前記プランジャを前記弁体の全開側に作動するソレノイドとよりなる電磁弁において,前記弁ばねを,円錐状コイル部と,この円錐状コイル部の小径端から,それと同径で延出する円筒状コイル部とを有する単一のコイルばねで構成し,その円筒状コイル部のばね定数を前記円錐状コイル部のそれより大きく設定したことを第1の特徴とする。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記弁体の中間開度位置では,前記円錐状コイル部が一平面状に圧縮変形して,円錐状コイル部の大径端を支持するばね座に密着するようにしたことを第2の特徴とする。尚,前記ばね座は,後述する本発明の実施形態中のヨーク15の下端板15bに対応する。
さらに本発明の第2の特徴に加えて,前記円錐状コイル部を,前記ソレノイド支持体に前記プランジャと同心状に形成したばね位置決め孔に嵌合すると共に,前記円筒状コイル部を前記プランジャの外周に同心状に配置したことを第3の特徴とする。
さらにまた本発明は,第3の特徴に加えて,前記ソレノイドの外周及び軸方向両端を覆うヨークを前記ソレノイド支持体に埋設し,このヨークの一端板を,前記円錐状コイル部の大径端を支持するばね座として前記ばね位置決め孔に露出させたことを第4の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,弁ばねのばね荷重特性は,弁体の開弁初期では円錐状コイル部の低ばね定数に依存し,弁体の中間開度以降では円筒状コイル部の高ばね定数に依存するという,二本の折れ線荷重特性となる。したがって,弁体の開弁に伴なう弁ばねの荷重の増加は,弁体の開弁初期では緩やかとなるので,各部の製作誤差に影響させることなく,弁ばねの弁体に対する比較的小さい閉弁荷重を安定させ,ソレノイドの通電時の弁体の開弁応答性を常に良好にすることができる。弁体の所定の中間開度以降では,弁ばねの弁体に対する閉弁荷重を急増させることができるので,弁体の全開状態におけるソレノイドの通電遮断時の弁体の閉弁応答性を良好にすることができる。しかも,弁ばねは,円錐状コイル部を有することで,弁ばねの伸縮姿勢を安定させ,座屈を防ぐことができるので,常に適正なばね荷重特性を発揮することができる。
本発明の第2の特徴によれば,弁体の所定の中間開度位置では,円錐状コイル部が一平面状に圧縮変形されてばね座に密着し,それ以降は,円錐状コイル部は非作動状態となる一方,円筒状コイル部のみが作動して,弁ばねの弁体に対する閉弁荷重を的確に急増させることができるので,弁体の全開状態におけるソレノイドの通電遮断時の弁体の閉弁応答性を一層良好にすることができる。
本発明の第3の特徴によれば,弁ばねは常にプランジャと同心状に保持されることになり,その伸縮中,プランジャにサイドスラストを与えることがないから,プランジャの摺動はスムーズとなり,弁体の開閉応答性の更なる向上に寄与し得る。
本発明の第4の特徴によれば,ヨークの一端板が円錐状コイル部のためのばね座を兼ねることになり,構造の簡素化に寄与し得る。
本発明の実施形態に係る電磁弁の縦断面図。 図1の2部拡大図。 図2に対応する作用説明図。 図2中の弁ばねの荷重特性線図。
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
先ず図1において,図示しないエンジンに取り付けられるスロットルボディTは,エンジンの吸気ポートに連なる吸気道1を有しており,この吸気道1を開閉してエンジンの吸気道量を制御するバタフライ型のスロットル弁2がスロットルボディTに軸支される。またスロットルボディTには,スロットルボディTを迂回して吸気道1の上流及び下流部間を連通するバイパス3が接続され,このバイパス3の途中に本発明の電磁弁Vが介装される。この電磁弁Vは常閉型で,その開弁によりバイパス3を導通させることができる。
この電磁弁Vについて図1及び図2により詳しく説明する。
電磁弁Vは,スロットルボディT又はエンジンに支持される弁ボディ5と,それにボルト7により接合されるソレノイド支持体6とを備える。これら弁ボディ5及びソレノイド支持体6相互の接合位置を規定すべく,弁ボディ5の上面に形成される円形凹部8に,ソレノイド支持体6の下面に突設される位置決め筒部9が嵌合され,その嵌合部にはシール部材22が介装される。
また弁ボディ5には,前記円形凹部8の底面中心部から環状に隆起する弁座10が形成されており,弁座10の外側の円形凹部8の底面に開口する入口孔11には,前記バイパス3の上流部3aが接続され,弁座10内の弁孔12には,前記バイパス3の下流部3bが接続される。
ソレノイド支持体6は合成樹脂製である。このソレノイド支持体6には,ボビン13と,それに巻装されるソレノイド14と,このソレノイド14の外周を囲んでボビン13の上下両端側に屈曲するヨーク15と,ボビン13の上端からその中間部にかけてその中空部に嵌装されてヨーク15の上端板15aに一体的にカシメ結合される円柱状の固定コア16と,ソレノイド14に連なる給電端子17とが埋設され,その給電端子17は,ソレノイド支持体6の上部一側面に一体に突設されるカプラ18内に先端部を臨ませるように配置される。
ヨーク15の下端板15bには,ボビン13の中空部に連なる,それと同径もしくはそれより僅かに大径の透孔19が設けられ,この透孔19に連なる,それより大径のばね位置決め孔20が位置決め筒部9の中心部に設けられる。上記ボビン13,透孔19,ばね位置決め孔20及び弁座10は,同一軸線上に配置される。
ボビン13の中空部の下部には,透孔19を貫通して固定コア16の下端面に対向する可動コアとしてのプランジャ21が摺動自在に嵌装される。このプランジャ21の下端部は,位置決め筒部9の下方に突出しており,その下端部には,図2に明示するように,下方に向かって段階的に縮径する第1,第2及び第3小径部21a,21b,21cが形成されており,それらの軸方向長さが第1小径部21aから第3小径部21cに向かって増加している。第1小径部21aには弁座10より大径の円板状のばね座23が摺動自在に嵌合され,第2小径部21bには,弁座10に着座し得る円板状の弁体24が第2小径部21bの全長に亙り嵌合される。最も小径の第3小径部21cには,弁孔12より充分小径の保持部材25が圧入により固着され,この保持部材25により弁体24が第2小径部21b上に保持される。弁体24はゴム等の弾性材製であって,その上端面には,弁体24に良好な可撓性を付与するための環状溝26が形成される。
ソレノイド支持体6とばね座23との間には,弁体24を弁座10への着座方向に付勢する弁ばね28が縮設され,弁体24の弁座10への着座時,固定コア16及びプランジャ21間には,弁体24の開弁ストロークに対応する一定の間隙gが設けられる。
図2に明示するように,上記弁ばね28は,円錐状コイル部29と,この円錐状コイル部29の小径端29bからそれと同径で延出する円筒状コイル部30とを有する単一のコイルばねで構成され,その円錐状コイル部29は,その大径端29aを前記ばね位置決め孔20の内周面に嵌合させてヨーク15の下端板15bに支承させるように配置され,円筒状コイル部30は,プランジャ21の外周に同心状に配置されると共に,その下端をばね座23に当接させる。
このように円錐状コイル部29及び円筒状コイル部30よりなる弁ばね28は,線径を均一にした一本の線材よりなるもので,円筒状コイル部30のばね定数は,円錐状コイル部29のそれより大きく設定される。また低ばね定数の円錐状コイル部29は,弁体24の開弁途中で全体が一平面状に圧縮変形してヨーク15の下端板に密着するようになっている(図3(a)参照)。
次に,この実施形態の作用について説明する。
エンジンの暖機運転時には,ソレノイド14への通電により,プランジャ21は,弁ばね28の付勢力に抗して固定コア16に吸着され,弁体24を弁座10から離座させた全開状態(図3(b)参照)とし,これによりバイパス3の上流部3a及び下流部3b間を導通させるので,このバイパス3を通してファーストアイドリング用の吸気をエンジンに供給することができる。また暖機運転完了後には,ソレノイド14への通電遮断により,プランジャ21は,弁ばね28の付勢力をもって弁体24を弁座10に着座させる全閉状態(図2参照)として,バイパス3の上流部3a及び下流部3b間を遮断するので,アイドル開度のスロットル弁2周りを通して通常のアイドリング用の吸気をエンジンに供給することができる。
ところで,弁ばね28は,前述のように,低ばね定数の円錐状コイル部29の小径端29bに,その小径端29bと同径で高ばね定数の円筒状コイル部30とよりなる単一のコイルばねで構成されるので,そのばね荷重特性は,図4に示すように,弁体24の開弁初期では円錐状コイル部29の低ばね定数に依存し,弁体24の中間開度以降では円筒状コイル部30の高ばね定数に依存するという,二本の折れ線荷重特性となる。
したがって,弁体24の開弁に伴なう弁ばね28の荷重の増加は,弁体24の開弁初期では緩やかであり,これにより各部の製作誤差に影響させることなく,弁ばね28の弁体24に対する比較的小さい閉弁荷重を安定させることができるので,ソレノイド14の通電時の弁体24の開弁応答性を常に良好にすることができる。また弁体24の所定の中間開度位置では,図3(a)に示すように,円錐状コイル部29が一平面状に圧縮変形されてヨーク15の下端板に密着し,それ以降は,円錐状コイル部29は非作動状態となる一方,円筒状コイル部30のみが作動して,弁ばね28の弁体24に対する閉弁荷重を急増させることができるので,弁体24の全開状態におけるソレノイド14の通電遮断時の弁体24の閉弁応答性を良好にすることができる。
しかも,弁ばね28の円錐状コイル部29は,その大径端29aがばね座としてのヨーク15下端板15bに支持されることで,弁ばね28の伸縮姿勢を安定させ,座屈を防ぐことができるので,常に適正なばね荷重特性を発揮することができる。
さらに,円錐状コイル部29は,ソレノイド支持体6にボビン13及びプランジャ21と同心状に形成したばね位置決め孔20に嵌合され,また円筒状コイル部30はプランジャ21の外周に同心状に配置されることで,弁ばね28が常にプランジャ21と同心状に保持され,その伸縮中,プランジャ21にサイドスラストを与えることがないから,プランジャ21の摺動はスムーズとなり,弁体24の開閉応答性の更なる向上に寄与し得る。
またソレノイド支持体6に埋設されるヨーク15の下端板15bは,円錐状コイル部29の大径端29aを支持するばね座として,ソレノイド支持体6のばね位置決め孔20に露出するように配置されるので,ヨーク15の下端板15bが円錐状コイル部29のためのばね座を兼ねることになり,構造の簡素化に寄与し得る。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,請求項1及び2の発明においては,弁ばね28を実施形態とは上下逆に反転させて,円錐状コイル部29を弁体24側,円筒状コイル部30をヨーク15側に配置することもできる。
V・・・・電磁弁
5・・・・弁ボディ
6・・・・ソレノイド支持体
10・・・弁座
14・・・ソレノイド
15・・・ヨーク
15b・・ヨークの一端板(ばね座)
20・・・ばね位置決め孔
21・・・プランジャ
24・・・弁体
28・・・弁ばね
29・・・円錐状コイル部
30・・・円筒状コイル部

Claims (4)

  1. 弁座(10)を有する弁ボディ(5)と,この弁ボディ(5)に接合されるソレノイド支持体(6)と,前記弁座(10)に着座し得る弁体(24)と,この弁体(24)を支持して前記ソレノイド支持体(6)に摺動自在に支持されるプランジャ(21)と,このプランジャ(21)を囲繞しながら前記弁体(24)を前記弁座(10)との着座方向に付勢する弁ばね(28)と,前記ソレノイド支持体(6)に取り付けられ,通電時,前記弁ばね(28)の付勢力に抗して前記プランジャ(21)を前記弁体(24)の全開側に作動するソレノイド(14)とよりなる電磁弁において,
    前記弁ばね(28)を,円錐状コイル部(29)と,この円錐状コイル部(29)の小径端(29b)から,それと同径で延出する円筒状コイル部(30)とを有する単一のコイルばねで構成し,その円筒状コイル部(30)のばね定数を前記円錐状コイル部(29)のそれより大きく設定したことを特徴とする電磁弁。
  2. 請求項1記載の電磁弁において,
    前記弁体(24)の中間開度位置では,前記円錐状コイル部(29)が一平面状に圧縮変形して,円錐状コイル部(29)の大径端(29a)を支持するばね座(15b)に密着するようにしたことを特徴とする電磁弁。
  3. 請求項2記載の電磁弁において,
    前記円錐状コイル部(29)を,前記ソレノイド支持体(6)に前記プランジャ(21)と同心状に形成したばね位置決め孔(20)に嵌合すると共に,前記円筒状コイル部(30)を前記プランジャ(21)の外周に同心状に配置したことを特徴とする電磁弁。
  4. 請求項3記載の電磁弁において,
    前記ソレノイド(14)の外周及び軸方向両端を覆うヨーク(15)を前記ソレノイド支持体(6)に埋設し,このヨーク(15)の一端板(15b)を,前記円錐状コイル部(29)の大径端(29a)を支持するばね座として前記ばね位置決め孔(20)に露出させたことを特徴とする電磁弁。
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