JP5891205B2 - 流体比例弁 - Google Patents

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Description

本発明は、流体の流量を制御する流体比例弁に関する。
給湯器などのガス機器では、バーナーに供給するガスの流量を制御するためにガス比例弁が用いられている。ガス比例弁としては、ガス入口室とガス出口室とを連通する弁孔が設けられた弁座と、ガス出口室側から弁座に当接することで弁孔を塞ぐ弁体とを備えて、ガス入口室側に弁孔と対向して設けられたダイヤフラムに弁軸を介して弁体が支持される構造が知られている(例えば、特許文献1)。このガス比例弁は、電磁コイルに通電すると、電流値に応じて電磁コイルに引き込まれる可動鉄心がダイヤフラム側から弁軸の端部を押圧することで弁体が弁座から離れて開弁する。一方、電磁コイルへの通電を停止すると、可動鉄心が電磁コイルに引き込まれなくなり、ガス出口室内に設置されたコイルバネの付勢力によって弁体が弁座に押し付けられて閉弁する。
実開昭57−35572号公報
しかし、特許文献1に開示されているガス比例弁には、小ガス流量時のガス流量が安定しないという問題があった。これは、ガス流量が小さい場合には、開弁時の僅かな弁軸のぶれによって弁座と弁体との隙間(弁孔の開口面積)が大きく変動することによる。
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、弁体の弁軸のぶれを抑制して、小流量時の流体の流量を安定させることが可能な流体比例弁の提供を目的とする。
上述した課題を解決するために本発明の第1の流体比例弁は次の構成を採用した。すなわち、
流体が通過する弁孔が設けられた弁座と、該弁座にコイルバネで付勢されることによって前記弁孔を塞ぐとともに、該コイルバネで付勢される側とは反対側に弁軸が突設された弁体と、前記弁軸の前記弁体とは反対側の端部で該弁体を支持するダイヤフラムと、前記弁軸の前記ダイヤフラム側の端部を前記コイルバネの付勢力に抗して駆動することにより、前記弁座に押し付けられた前記弁体を前記弁軸の軸方向に移動させる駆動部とを備え、前記弁体の移動量に応じて前記弁孔を通過する前記流体の流量を制御する流体比例弁において、
前記コイルバネは、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の巻線の断面積を小さくすることで、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の方が、前記弁軸に対して直交する方向への剛性が低くなっている
ことを特徴とする。
こうした流体比例弁における弁体の弁軸のぶれは、弁体が弁座から離れた状態(開弁状態)で、ダイヤフラムに支持される端部を支点として弁軸が径方向(軸方向と直交する方向)にゆれ動くことで生じる。本発明の流体比例弁では、弁体に近いコイルバネの一端側が弁軸のぶれに従って変位すると、一端側よりも径方向の剛性の低い他端側が容易に変形する。このコイルバネの他端側は、弁軸のぶれの支点に対して一端側よりも離れているので、他端側に伝わる変位量(ぶれ幅)は、一端側での変位量よりも大きくなる。このため、本発明のコイルバネでは、一端側の変位量が僅かであっても、他端側が大きく変形し、その他端側が復元力で元に戻る動きが一端側に伝わることによって、一端側を変位前の位置に精度良く戻すことができる。これにより、剛性が均一なコイルバネで全体が少しずつ変形する場合に比べて、弁体の位置(コイルバネの一端側)における弁軸の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。その結果、弁体と弁座との間隔(弁孔の開口面積)を維持して流体の流量を安定させることが可能となる。
そして、本発明の第1の流体比例弁におけるコイルバネでは、巻線の断面積が大きい太線側よりも断面積が小さい細線側の方が径方向の剛性が低いことから、弁体に近い一端側が弁軸のぶれに従って変位すると、一端側(太線側)は変形せずに他端側(細線側)が容易に変形する。そして、コイルバネの一端側での僅かな変位が、弁軸のぶれの支点に対して一端側よりも離れている他端側に伝わることにより、他端側は大きく変形し、その他端側が復元力で戻る動きが一端側に伝わるので、一端側を変位前の位置に精度良く戻すことができる。そのため、弁体の位置(コイルバネの一端側)における弁軸の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。
また、前述した課題を解決するために本発明の第2の流体比例弁は次の構成を採用した。すなわち、
流体が通過する弁孔が設けられた弁座と、該弁座にコイルバネで付勢されることによって前記弁孔を塞ぐとともに、該コイルバネで付勢される側とは反対側に弁軸が突設された弁体と、前記弁軸の前記弁体とは反対側の端部で該弁体を支持するダイヤフラムと、前記弁軸の前記ダイヤフラム側の端部を前記コイルバネの付勢力に抗して駆動することにより、前記弁座に押し付けられた前記弁体を前記弁軸の軸方向に移動させる駆動部とを備え、前記弁体の移動量に応じて前記弁孔を通過する前記流体の流量を制御する流体比例弁において、
前記コイルバネは、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の単位長さあたりの巻き数を多くすることで、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の方が、前記弁軸に対して直交する方向への剛性が低くなっている
ことを特徴とする。
このような本発明の第2の流体比例弁におけるコイルバネでは、巻き数が少ない疎巻側よりも巻き数が多い密巻側の方が径方向の剛性が低いことから、弁体に近い一端側が弁軸のぶれに従って変位すると、一端側(疎巻側)は変形せずに他端側(密巻側)が容易に変形する。そして、コイルバネの一端側での僅かな変位が、弁軸のぶれの支点に対して一端側よりも離れている他端側に伝わることにより、他端側は大きく変形し、その他端側が復元力で戻る動きが一端側に伝わるので、一端側を変位前の位置に精度良く戻すことができる。そのため、弁体の位置(コイルバネの一端側)における弁軸の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。
こうした本発明の第1および第2の流体比例弁におけるコイルバネは、弁体に近い側よりも弁体から遠い側のコイル径が大きくなっていてもよい
このようなコイルバネでは、コイル径の小さい小径側よりもコイル径が大きい大径側の方が径方向の剛性が低いことから、弁体に近い一端側が弁軸のぶれに従って変位すると、一端側(小径側)は変形せずに他端側(大径側)が容易に変形する。そして、コイルバネの一端側での僅かな変位が、弁軸のぶれの支点に対して一端側よりも離れている他端側に伝わることにより、他端側は大きく変形し、その他端側が復元力で戻る動きが一端側に伝わるので、一端側を変位前の位置に精度良く戻すことができる。そのため、弁体の位置(コイルバネの一端側)における弁軸の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。
また、コイルバネでは、軸方向に圧縮された状態で、径方向の力が一端側に加わると、巻線が径方向にずれることにより、いわゆる胴曲がりが起こる。そして、胴曲がりを起こした状態では、圧縮力の一部が、巻線のずれた方向にかかるので、径方向の復元力を発生させ難い。こうした胴曲がりの点で、一端側よりも他端側のコイル径が大きい円錐形状のコイルバネでは、小径側のコイル径と同じコイル径に巻かれた円筒形状のコイルバネに比べて、小径側に径方向の力を受けて胴曲がりが起こるまでの巻線のずれ幅が大きく、胴曲がりが起こり難い。そして、胴曲がりを起こしていない円錐形状のコイルバネは、弁軸の径方向のぶれに対する復元力を発生させるので、弁軸のぶれを抑制することができる。
本実施例のガス比例弁10の内部構造を示した断面図である。 本実施例の円錐形状のコイルバネ60を、一般的な円筒形状のコイルバネ90と比較した説明図である。 弁軸52のぶれによって本実施例の円錐形状のコイルバネ60が変形する様子を、一般的な円筒形状のコイルバネ90と比較して示した説明図である。 第1変形例のガス出口室34内に設置される付勢バネ100の構造を示した断面図である。 第2変形例のガス出口室34内に設置される付勢バネ110の形状を示した断面図である。 第3変形例のガス出口室34内に設置される付勢バネ120の形状を示した断面図である。
図1は、本実施例のガス比例弁10の内部構造を示した断面図である。このガス比例弁10は、給湯器などのガス機器のバーナー(図示省略)に供給するガスの流量を制御するために使用される。図示されるようにガス比例弁10は、円筒形状に形成された上ケース22と下ケース24とを重ね合せて本体ケース20が形成されている。上ケース22の周面には、ガスが流入するガス入口28が設けられており、下ケース24の周面には、ガスが流出するガス出口32が設けられている。尚、本実施例のガス比例弁10は、本発明の「流体比例弁」に相当している。
本体ケース20内には、ガス入口28と繋がるガス入口室30や、ガス出口32と繋がるガス出口室34や、ガス入口室30とガス出口室34とを連通する円形の弁孔36が形成された弁座38が設けられている。ガス入口室30は、弁孔36が開口する側とは反対側(図中の上部)が円形のダイヤフラム40で覆われている。ダイヤフラム40の外縁は、上ケース22の上端の内周に形成された浅い窪みに嵌め込まれて、中央に開口部を有する蓋板26と上ケース22との間に挟持される。
また、本体ケース20内には、ガス出口室34側から弁座38に当接することで弁孔36を塞ぐ弁体50が収容されている。弁体50は、ガス入口室30側よりもガス出口室34側の断面積が広がったテーパー形状に形成されており、円柱形状の弁軸52を介してダイヤフラム40に支持されている。ダイヤフラム40に接する弁軸52の上端面からは小径部54が突設されており、ダイヤフラム40の中央に貫設された孔に小径部54を挿通した状態で円環形状の留め具56が小径部54に嵌め込まれてダイヤフラム40を挟持している。また、小径部54の上端側は、蓋板26の開口部に突き通されている。
ガス出口室34内には、弁体50を弁座38に押し付ける方向(図中の上方)に付勢する付勢バネ60が設置されている。本実施例の付勢バネ60には、円錐形状のコイルバネを用いており、弁体50に固定される一端側よりも、ガス出口室34の底面に固定される他端側のコイル径が大きくなっている。
ガス入口室30の上方には、弁体50を駆動するためのアクチュエーター70が蓋板26の上面に設置されている。アクチュエーター70は、電線を巻回して円筒形状に形成された電磁コイル72と、電磁コイル72の中心軸内に摺動可能な状態で挿入された可動鉄心74とを備えており、可動鉄心74の下端は小径部54の上端と接している。また、アクチュエーター70の上部を覆う上面板78と可動鉄心74との間には押圧バネ76が設けられており、可動鉄心74を小径部54に向けて付勢している。尚、押圧バネ76には、円筒形状のコイルバネを用いている。また、本実施例のアクチュエーター70は、本発明の「駆動部」に相当している。
このような構造のガス比例弁10は、次のように動作する。先ず図1に示されるように、電磁コイル72に通電されていないときには、付勢バネ60の付勢力によって弁体50が弁座38に押し付けられており、弁体50が弁孔36を塞いでガス比例弁10が閉弁状態となっている。尚、付勢バネ60の付勢力は、押圧バネ76の付勢力に抗して可動鉄心74、弁軸52、および弁体50を押し上げるように設定されている
そして、閉弁状態のガス比例弁10の電磁コイル72に通電すると、電流値に応じて発生する磁力によって可動鉄心74が電磁コイル72に引き込まれて、小径部54を介して弁軸52を押し下げる。その結果、弁体50が弁座38から離れてガス比例弁10が開弁状態となる。テーパー形状に形成された弁体50が電流値に応じて下方に移動すると、それに従って弁体50と弁座38との隙間(弁孔36の開口面積)が大きくなるので、ガス流量が増加する。
また、弁軸52を介してダイヤフラム40に支持される弁体50は、ガス入口室30のガス圧の変化に応じて変位することにより、ガス出口室34のガス圧の変化を抑制することができる。例えば、ガス入口室30のガス圧が上昇すると、ダイヤフラム40が上方に向かって膨らみ、それに伴って弁体50が引き上げられて弁孔36の開口面積が小さくなる。その結果、ガス流量が抑えられて、ガス出口室34のガス圧は、電磁コイル72に通電される電流値に応じた所定圧力に維持される。これとは逆に、ガス入口室30のガス圧が低下すると、ダイヤフラム40が下がるのに伴って弁体50が押し下げられるので、ガス流量が増加してガス出口室34のガス圧は維持される。
一方、電磁コイル72への通電を停止して、可動鉄心74を電磁コイル72に引き込む磁力が消失すると、付勢バネ60の付勢力によって弁体50が押し上げられて弁孔36を塞ぎ、ガス比例弁10が閉弁状態に戻る。
以上のように動作するガス比例弁10では、開弁状態で外部から衝撃や振動などを受けて弁軸52がぶれる(径方向にゆれ動く)と、弁体50と弁座38との隙間(弁孔36の開口面積)が変動する。特にガス流量を小さく(弁孔36の開口面積を小さく)設定すると、弁軸52の僅かなぶれによる開口面積の変化率が大きいことから、ガス流量が安定しない。また、弁体50が弁座38に衝突することで騒音が発生する。そこで、本実施例のガス比例弁10では、弁軸52のぶれを抑制するために、付勢バネ60として円錐形状のコイルバネを採用している。
図2は、本実施例の円錐形状のコイルバネ60を、一般的な円筒形状のコイルバネ90と比較した説明図である。尚、図中の白抜きの矢印は、コイルバネ(60,90)に加わる力の方向を表している。先ず、図2(a)に示した円筒形状の均一なコイルバネ90では、軸方向に圧縮された状態で、径方向(図示した例では右方向)の力が上端側に加わると、図中に破線で示すように巻線が径方向にずれることで、いわゆる胴曲がりが起こる。そして、胴曲がりを起こした状態では、圧縮力の一部が、巻線のずれた方向(図中の右方向)にかかるので、弁軸52の径方向のぶれに対する復元力を発生させ難い。
一方、図2(b)に示した円錐形状のコイルバネ60では、小径側(上端側)のコイル径が図2(a)の円筒形状のコイルバネ90のコイル径と同じであるとすると、図中に破線で示すような胴曲がりが起こるまでの巻線の径方向へのずれ幅が、円筒形状のコイルバネ90に比べて大きく、胴曲がりが起こり難い。そして、胴曲がりを起こしていない円錐形状のコイルバネ60は、弁軸52の径方向のぶれに対する復元力を発生させるので、弁軸52のぶれを抑制することができる。
また、図3は、弁軸52のぶれによって本実施例の円錐形状のコイルバネ60が変形する様子を、一般的な円筒形状のコイルバネ90と比較して示した説明図である。図3では、弁軸52の中心線を含む平面で弁軸52およびコイルバネ(60,90)を切断した断面図が示されている。弁軸52のぶれは、ダイヤフラム40に支持される小径部54を支点として弁軸52が径方向(軸方向に直交する方向)にゆれ動くことで生じる。図3(a)に示した円筒形状の均一なコイルバネ90では、弁体50に固定された上端が弁軸52のぶれに従って変位すると、コイルバネ90の全体が均一に変形する。こうしたコイルバネ90では、上端側の変位量が僅かであると、コイルバネ90の各所の変形量も小さいことから、その復元力によって上端側の僅かな変位を戻す動作に精度を出すのは困難である。従って、円筒形状の均一なコイルバネ90では、弁軸52の僅かなぶれを抑制するのは困難である。
これに対して、図3(b)に示した円錐形状のコイルバネ60では、径方向の力を受けて一周分の巻線がしなる際にコイル径の小さい巻線に比べてコイル径の大きい巻線の方が、しなりが小さくてよいことから、小径側よりも大径側の方が径方向の剛性が低い。このため、弁体50に固定されたコイルバネ60の上端が弁軸52のぶれに従って変位すると、上端側(小径側)よりも下端側(大径側)が容易に変形する。また、このコイルバネ60の下端側は、弁軸52のぶれの支点に対して上端側よりも離れている(遠い)ので、下端側に伝わる変位量(ぶれ幅)は、上端側での変位量よりも大きくなる。このような円錐形状のコイルバネ60では、上端側の変位量が僅かであっても、下端側が大きく変形し、その下端側が復元力で元に戻る動きが上端側に伝わることによって、上端側を変位前の位置に精度良く戻すことができる。これにより、図3(a)の円筒形状のコイルバネ90に比べて、弁体50の位置(コイルバネ60の上端)における弁軸52の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。その結果、小ガス流量に設定する場合でもガス流量を安定させると共に、弁座38への弁体50の衝突による騒音の発生を抑制することが可能となる。
上述した本実施例のガス比例弁10には、次のような変形例も存在する。以下では、上述した実施例とは異なる部分を中心に変形例について説明する。
図4は、第1変形例のガス出口室34内に設置される付勢バネ100の構造を示した断面図である。図示されるように第1変形例の付勢バネ100は、コイル径の異なる2つの円筒形状のコイルバネ102,104と、円環形状の座金106とを備えており、コイル径の小さい小コイルバネ102が座金106の上面に取り付けられ、コイル径の大きい大コイルバネ104が座金106の下面に取り付けられている。この付勢バネ100は、小コイルバネ102側が弁体50に固定され、大コイルバネ104側がガス出口室34の底面に固定される
このような第1変形例の付勢バネ100では、前述した円錐形状のコイルバネ60と同様に、コイル径の小さい小コイルバネ102よりもコイル径の大きい大コイルバネ104の方が径方向の剛性が低いことから、弁体50に固定された小コイルバネ102の上端が弁軸52のぶれに従って変位すると、小コイルバネ102よりも大コイルバネ104が容易に変形する。そして、小コイルバネ102の上端側での僅かな変位が、弁軸52のぶれの支点に対して小コイルバネ102よりも離れている大コイルバネ104に伝わることにより、大コイルバネ104は大きく変形し、その大コイルバネ104が復元力で元に戻る動きが小コイルバネ102に伝わるので、小コイルバネ102の上端を変位前の位置に精度良く戻すことができる。そのため、弁体50の位置(小コイルバネ102の上端)における弁軸52の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。
図5は、第2変形例のガス出口室34内に設置される付勢バネ110の形状を示した断面図である。図示されるように第2変形例の付勢バネ110は、円筒形状のコイルバネであるが、下端側に研削部112が設けられている。この研削部112では、巻線の外周側が研削され、巻線の断面形状が半円形となっている。第2変形例の付勢バネ110は、研削部112が設けられていない上端側が弁体50に固定され、研削部112が設けられた下端側がガス出口室34の底面に固定される
このような第2変形例の付勢バネ110では、下端側の研削部112の巻線の断面積が上端側の巻線の約半分であることから、上端側よりも下端側の方が径方向の剛性が低くなっている。従って、弁体50に固定された付勢バネ110の上端が弁軸52のぶれに従って変位すると、上端側は変形せずに下端側が容易に変形する。そして、付勢バネ110の上端側での僅かな変位が、弁軸52のぶれの支点に対して上端側よりも離れている下端側に伝わることにより、下端側は大きく変形し、その下端側が復元力で元に戻る動きが上端側に伝わるので、上端側を変位前の位置に精度良く戻すことができる。そのため、弁体50の位置(付勢バネ110の上端)における弁軸52の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。
尚、第2変形例の付勢バネ110では、下端側に研削部112を設けていたが、下端側の巻線の断面積が上端側よりも小さくなっていればよく、研削部112は必須ではない。例えば、一端側よりも他端側の巻線の太さが細くなっている線材を円筒形状に巻いてコイルバネを形成してもよい。この場合は、コイルバネの太線側を弁体50に固定し、細線側をガス出口室34の底面に固定すればよい。
図6は、第3変形例のガス出口室34内に設置される付勢バネ120の形状を示した断面図である。図示されるように第3変形例の付勢バネ120は、円筒形状のコイルバネであるが、単位長さあたりの巻き数(巻線のピッチ)が上端側と下端側とで異なっている。そして、巻き数の少ない上端側の疎巻部122が弁体50に固定され、巻き数の多い下端側の密巻部124がガス出口室34の底面に固定される

このような第3変形例の付勢バネ120では、径方向の力を受けて巻線がしなる際に疎巻部122に比べて密巻部124の方が巻線の1周分あたりのしなりが小さくてよいことから、疎巻部122よりも密巻部124の方が径方向の剛性が低い。従って、弁体50に固定された付勢バネ120の上端が弁軸52のぶれに従って変位すると、上端側は変形せずに下端側が容易に変形する。そして、付勢バネ120の上端側での僅かな変位が、弁軸52のぶれの支点に対して上端側よりも離れている下端側に伝わることにより、下端側は大きく変形し、その下端側が復元力で元に戻る動きが上端側に伝わるので、上端側を変位前の位置に精度良く戻すことができる。そのため、弁体50の位置(付勢バネ120の上端)における弁軸52の僅かなぶれを高い精度で抑制することができる。
以上、本実施例および変形例のガス比例弁10について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、前述した実施例および変形例の付勢バネ(60,100,110,120)では、コイルバネの一端側よりも他端側の剛性を低くする要因として、コイル径、巻線の断面積、単位長さあたりの巻き数のうち何れか1つを、一端側と他端側とで異ならせていたが、1つに限られず、複数の要因を一端側と他端側とで異ならせてもよい。
また、前述した実施例および変形例のガス比例弁10では、弁体50を付勢するのに種々のコイルバネ(60,100,110,120)を用いていたが、コイルバネに限られるものではなく、一端側よりも他端側の方が径方向の剛性が低い弾性体であればよい。例えば、ゴム材料を用いて円柱形状に形成された弾性ゴム体であってもよく、この場合は、弾性ゴム体の一端側と他端側とでゴム材料の硬度を異ならせればよい。
10…ガス比例弁、 20…本体ケース、 22…上ケース、
24…下ケース、 26…蓋板、 28…ガス入口、
30…ガス入口室、 32…ガス出口、 34…ガス出口室、
36…弁孔、 38…弁座、 40…ダイヤフラム、
50…弁体、 52…弁軸、 54…小径部、
56…留め具、 60…付勢バネ、 70…アクチュエーター、
72…電磁コイル、 74…可動鉄心、 76…押圧バネ、
78…上面板、 90…コイルバネ、 100…付勢バネ、
102…小コイルバネ、 104…大コイルバネ、 106…座金、
110…付勢バネ、 112…研削部、 120…付勢バネ、
122…疎巻部、 124…密巻部。

Claims (3)

  1. 流体が通過する弁孔が設けられた弁座と、該弁座にコイルバネで付勢されることによって前記弁孔を塞ぐとともに、該コイルバネで付勢される側とは反対側に弁軸が突設された弁体と、前記弁軸の前記弁体とは反対側の端部で該弁体を支持するダイヤフラムと、前記弁軸の前記ダイヤフラム側の端部を前記コイルバネの付勢力に抗して駆動することにより、前記弁座に押し付けられた前記弁体を前記弁軸の軸方向に移動させる駆動部とを備え、前記弁体の移動量に応じて前記弁孔を通過する前記流体の流量を制御する流体比例弁において、
    前記コイルバネは、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の巻線の断面積を小さくすることで、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の方が、前記弁軸に対して直交する方向への剛性が低くなっている
    ことを特徴とする流体比例弁。
  2. 流体が通過する弁孔が設けられた弁座と、該弁座にコイルバネで付勢されることによって前記弁孔を塞ぐとともに、該コイルバネで付勢される側とは反対側に弁軸が突設された弁体と、前記弁軸の前記弁体とは反対側の端部で該弁体を支持するダイヤフラムと、前記弁軸の前記ダイヤフラム側の端部を前記コイルバネの付勢力に抗して駆動することにより、前記弁座に押し付けられた前記弁体を前記弁軸の軸方向に移動させる駆動部とを備え、前記弁体の移動量に応じて前記弁孔を通過する前記流体の流量を制御する流体比例弁において、
    前記コイルバネは、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の単位長さあたりの巻き数を多くすることで、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側の方が、前記弁軸に対して直交する方向への剛性が低くなっている
    ことを特徴とする流体比例弁。
  3. 請求項1または請求項2に記載の流体比例弁において、
    前記コイルバネは、前記弁体に近い側よりも該弁体から遠い側のコイル径が大きくなっている
    ことを特徴とする流体比例弁。
JP2013138471A 2013-07-01 2013-07-01 流体比例弁 Active JP5891205B2 (ja)

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