JP6188143B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
本発明は、上記問題に着目されたもので、その目的とするところは、閉弁応答性を高めることができる燃料噴射弁を提供することである。
実施例1の燃料噴射弁1について説明する。
[燃料噴射弁の構成]
図1は燃料噴射弁1の軸方向断面図である。図2は燃料噴射弁1のノズルプレート8付近の拡大断面図である。この燃料噴射弁1は、自動車用ガソリンエンジンに用いられるものであって、インテークマニホールド内に向けて燃料を噴射する、所謂低圧用の燃料噴射弁である。以下では、図1において燃料噴射弁1の紙面上方を一端、紙面下方を他端と記す。
燃料噴射弁1は、磁性筒体2と、磁性筒体2内に収容される固定コア3と、軸方向に摺動可能な弁体4と、弁体4と一体に形成された可動コア5と、閉弁時に弁体4により閉鎖される弁座6を有する弁座部材7と、開弁時に燃料が噴射される燃料噴射孔44を有するノズルプレート8と、通電時に可動コア5および弁体4を開弁方向に摺動させる電磁コイル9と、磁束線を誘導するヨーク10とを有している。
小径部12には、一部を薄肉化した薄肉部13が形成されている。小径部12は、薄肉部13より一端側に固定コア3を収容するコア筒体収容部14と、薄肉部13より他端側に弁部材15(弁体4、可動コア5、弁座部材7)を収容する弁部材収容部16とに分けられている。薄肉部13は、後述する固定コア3と可動コア5が磁性筒体2に収容された状態で、固定コア3と可動コア5との間の隙間部分を取り囲むように形成されている。薄肉部13は、コア筒体収容部14と弁部材収容部16との間の磁気抵抗を増大させ、コア筒体収容部14と弁部材収容部16間を磁気的に遮断している。
固定コア3は中空部19を有する円筒形に形成されており、磁性筒体2のコア筒体収容部14に圧入されている。中空部19には、圧入等の手段により固定されたばね受部材20が収容されている。このばね受部材20の中心には軸方向に貫通した燃料通路43が形成されている。
可動コア5は大径部22と、外形が大径部22より小径に形成された小径部23とを有している。大径部22の一端側には、流体受部28とばね挿入孔24が穿設されている。
弁座部材7は、略円錐状の弁座6と、弁座6より一端側に弁体4の径とほぼ同型に形成された弁体保持孔30と、弁体保持孔30から一端開口側に向かうにつれて大径に形成された上流開口部31と、弁座6の他端側に開口する下流開口部48とが形成されている。弁座6は、断面形状が約角度45°となるように、弁体保持孔30から下流開口部48へ向かって径が小さくなるように形成され、閉弁時には弁体4が弁座6に座るようになっている。弁座部材7の他端側には、ノズルプレート8が溶接されている。
磁性筒体2の固定コア3の外周には電磁コイル9が挿嵌されている。すなわち、電磁コイル9は固定コア3の外周に配置されることとなる。電磁コイル9は、樹脂材料により形成されたインシュレータに巻回されたコイル33から構成されている。コイル33は、コネクタピン34を介して電磁コイル制御装置55に接続されている。
連結コア38は磁性金属材料等により略C字状に形成されている。連結コア38により大径部35と磁性筒体2とが接続している。つまり、ヨーク10は小径部37と大径部35において磁性筒体2と接続しており、電磁コイル9の両端部で磁性筒体2と磁気的に接続されていることとなる。ヨーク10の他端側先端には、燃料噴射弁1をエンジンの吸気ポートと接続するためのOリング40を保持し、かつ磁性筒体先端を保護するためのプロテクタ52が取り付けられている。
コネクタピン34を介して電磁コイル9に給電されると磁界が発生し、この磁界の磁力によって、弁体4および可動コア5をコイルばね29の付勢力に抗して開弁させる。これによりポンプから供給された燃料がインテークマニホールド内に噴射される。
コネクタピン34を介して電磁コイル9に給電されると磁界が発生し、この磁界の磁力によって、弁体4および可動コア5をコイルばね29の付勢力に抗して開弁させる。
電磁コイル制御装置55は、クランク角を検出するクランク角センサからの情報に基づいて計算した燃焼室側に燃料を噴射するタイミングに応じて、電磁コイル9のコイル33に通電して燃料噴射弁1を開弁させる。
図3は可動コア5を示す図である。図3(a)は可動コア5を軸方向一端側から見た図である。図3(b)は可動コア5の軸方向断面図である。
可動コア5の大径部22の一端側には流体受部28とばね挿入孔24が穿設されている。ばね挿入孔24の底部はばね受部26を構成している。ばね受部26の外周はばね挿入孔24の外周よりも小径に形成されており、ばね受部26の内周によってコイルばね14端部の径方向の移動が規制されている。
ばね受部26の一端側には、ばね受部26と連続して流体受部28が形成されている。流体受部28の断面積は、固定コア3と対向する面(一端側の面)から奥に向かうに連れて小さくなるように形成されており、その側面はテーパ状に形成されたテーパ部27を構成している。流体受部28のテーパ部27から開口部に向かって四角柱状の4本の当接部32が形成されている。可動コア5が固定コア3側に吸引されたときに、当接部32が固定コア3の他端側端面と当接する。可動コア5の大径部22の外周には、軸方向全長に延びる溝が形成され溝部25を構成している。
(開閉弁時の燃料の流れ)
電磁コイル9への非通電時には、可動コア5はコイルばね14により固定コア3から離れる方向に付勢され、弁体4は弁座6に着座した状態となる。これにより、弁体4と弁座6との間の燃料の通過が遮断され、燃料噴射孔44からは燃料が噴射されない状態となる。
電磁コイル9への通電時には、電磁コイル9、固定コア3、可動コア5の間に磁界が発生し、可動コア5は固定コア3側に吸引され、コイルばね14の付勢力に抗して固定コア3側に移動する。これにより弁体4が弁座6から離れるため、弁体4と弁座6との間を燃料が通過する。弁体4と弁座6との間を通過した後の燃料は、下流開口部48を中央部に向かう流れとなる。
電磁コイル9への通電時、可動コア5は固定コア3側に吸引されるが、電磁コイル9へ非通電となっても可動コア5が固定コア3に張り付くことがある。これは可動コア5と固定コア3との間に磁力が残っていること、または可動コア5と固定コア3との間に介在する燃料により吸着力が働いていることなどが原因である。このとき、コイルばね14の付勢力だけでは可動コア5を移動させて弁体4を弁座6の着座させるまでに時間がかかり、閉弁応答性が悪化するおそれがある。
そこで実施例1では、可動コア5の固定コア3と対向する面に凹状の流体受部28を形成した。
図4は可動コア5の軸方向断面図に燃料の流れと燃料による可動コア5へ作用する力を記載した図である。図4では燃料の流れを実線矢印、燃料による可動コア5へ作用する力の方向を一点鎖線矢印で示した。図4では、各矢印を見やすくするためハッチングを施していない。
実施例1では、さらに流体受部28の断面積を固定コア3と対向する面から奥に向かうに連れて小さくなるように形成し、その側面をテーパ部27とした。これにより、流体受部28および流体受部28に連続して形成されるばね挿入孔24に溜まった燃料が、流体受部28の開口部側に移動しやすくなり、燃料の滞留を抑制することができる。
また実施例1では、可動コア5の外周に固定コア3と対向する面から軸方向に延びる溝部25を形成した。これにより、燃料の流路面積を確保することができ、流路抵抗を小さくすることができる。
(1) 外周側に電磁コイル9(コイル)が設けられた固定コア3と、電磁コイル9への通電により固定コア3側に吸引される可動コア5と、可動コア5の先端に固定され、可動コア5が固定コア3側に吸引されたときに、弁座6から離れ開弁する弁体4と、可動コア5を閉弁方向に付勢するコイルばね29(付勢部材)と、可動コア5の固定コア3と対向する面から奥に向かうに連れて断面積が小さくなるように側面がテーパ状に形成された凹部である流体受部28(受け部)と、を設けた。
よって、閉弁応答性を向上させることができる。
(2) 可動コア5の外周に、固定コア3と対向する面から軸方向に延びる溝部25を形成した。
よって、燃料の流路抵抗を小さくすることができる。
以上、本発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
実施例1では、可動コア5の流体受部28の側面をテーパ状に形成していたが、段付き状に形成しても良い。
また実施例1では、可動コア5の大径部22の外周に形成された溝部25により燃料の流路抵抗を小さくしているが、ばね挿入孔24の底部から貫通孔を設けて燃料を流すようにしても良い。図5は可動コア5の軸方向断面図である。図5に示すように、ばね挿入孔24の底部から軸心部に弁体4に向かって穿設された縦方向貫通孔41が形成されている。また、小径部23の外周から縦方向貫通孔41に貫通するように穿設された横方向貫通孔41が形成されている。これにより、燃料の流路抵抗をさらに低減することができる。
4 弁体
5 可動コア
6 弁座
9 電磁コイル(コイル)
28 流体受部(受け部)
29 コイルばね(付勢部材)
Claims (1)
- 外周側にコイルが設けられた固定コアと、
前記コイルへの通電により前記固定コア側に吸引される可動コアと、
前記可動コアの先端に固定され、前記可動コアが前記固定コア側に吸引されたときに、弁座から離れ開弁する弁体と、
前記可動コアを閉弁方向に付勢する付勢部材と、
前記可動コアの前記固定コアと対向する面から奥に向かうに連れて断面積が小さくなるように形成された閉塞した底面部を有する凹部である受け部と、
前記可動コアの外周に、前記固定コアと対向する面から軸方向に延びる溝部を設けた、
ことを特徴とする燃料噴射弁。
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