JP5437082B2 - ヨウ素化合物製造システムおよび製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヨウ素化合物の製造システムおよび製造方法に関し、特には、簡便な方法により高純度なヨウ素化合物を製造するシステムおよび方法に関する。
従来、ヨウ素化合物の製造方法としては、様々な方法が知られている。例えば、ヨウ素化合物の製造方法の一例として、以下の特許文献1から7および非特許文献1から3を挙げることができる。
特許文献1には、アルカリ水溶液にヨウ素を添加して反応させて、ヨウ素酸塩をアルミニウムや亜鉛で還元する方法が開示されている。また、特許文献2には、アルカリ水溶液にヨウ素を添加した後、硫化水素で還元する方法が開示されている。特許文献3には、ヨウ素またはヨウ素酸塩をアルカリまたは中性下で、アルカリ金属アマルガムにより還元する方法が開示されている。特許文献4には、ヨウ素の水酸化アルカリ水溶液に、ギ酸、シュウ酸、マロン酸などの有機還元剤を作用する方法が開示されている。特許文献5には、水酸化カリウム溶液にヨウ素を加え、これに還元剤としてギ酸を添加する方法が開示されている。特許文献6には、水酸化カリウムまたは、炭酸アルカリに還元剤として、ヒドラジンを用いてヨウ素を反応させる方法が開示されている。特許文献7には、水酸化カリウム溶液にギ酸を添加して中和後、これに化学量論量より多めのヨウ素を加えて反応させ、生成物中の遊離ヨウ素を硫化カリウムで処理する方法が開示されている。特許文献8には、酸化物または活性炭に高分散させた白金族触媒を用いて、水素含有ガスとガス状ヨウ素とを接触還元により反応させるヨウ化水素の製造方法、および生成したヨウ化水素ガスを水またはアルカリ水溶液で回収する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、100℃に加熱した白金上にヨウ素を飽和させた水素気流を通す方法が記載されている。非特許文献2には、ヨウ化水素酸を炭酸水素カリウムと混合中和し、弱アルカリ性の状態で硫化水素で未反応のヨウ素を処理してヨウ化カリウムを製造する方法が開示されている。非特許文献3には、ヨウ素と水酸化カリウムとからヨウ化カリウムを合成するにあたり副生するヨウ素酸カリウムを結晶化し、600℃の温度に加熱することにより分解して除去する方法が開示されている。
従来、ヨウ素化合物の原料として用いられるヨウ化水素の製造方法としては、赤リンと水とヨウ素とを化学反応させて得る方法が一般的である。また、上記のヨウ化水素の製造方法とは別のヨウ化水素(またはヨウ化水素酸)の製造方法として、例えば、特許文献9〜16のような技術が開示されている。
特許文献9〜16に記載の技術について、以下に具体的に説明する。特許文献9には、亜リン酸またはピロリン酸などの水溶液を還元剤として、ヨウ素からヨウ化水素酸を製造する方法が開示されている。特許文献10には、水、二酸化硫黄およびヨウ素からヨウ化水素酸を製造する方法が開示されている。特許文献11には、鉄触媒の存在下、アンモニアおよびヨウ素からヨウ化水素を製造する製造方法が開示されている。特許文献12には、リン酸水溶液と五酸化二リンと金属ヨウ化物との反応によって、無水ヨウ化水素を製造する製造方法が開示されている。特許文献13には、ヨウ素とテトラヒドロナフタリンとからヨウ化水素を製造する製造方法が開示されている。特許文献8には、水素含有ガスとガス状ヨウ素とを触媒存在下において接触還元することによりヨウ化水素を製造する製造方法が開示されている。また、特許文献14〜16には、電気化学的手法を用いて高純度のヨウ化水素を製造する製造方法が開示されている。
米国特許第2,828,184号明細書 米国特許第3,402,995号明細書 日本国公開特許公報「特開昭31−8013号公報」 日本国公開特許公報「特開平1−261224号公報」 露国特許第560826号明細書 日本国公開特許公報「特開昭61−48403号公報」 露国特許第497233号明細書 日本国公開特許公報「特開2005−255514号公報」 日本国公開特許公報「特開平8−59205号公報(1996年3月5日公開)」 米国特許第4,150,094号明細書(1979年4月17日公開) 米国特許第3,278,264号明細書(1966年10月11日公開) 日本国公開特許公報「特開平9−86902号公報(1997年3月31日公開)」 米国特許第4,357,309号明細書(1982年11月2日公開) 日本国公開特許公報「特表平11−503203号公報(1999年3月23日公表)」 米国特許第4,053,376号明細書(1977年10月11日公開) 日本国公開特許公報「特開平9−54197号公報(1997年2月25日公開)」 欧州特許第0714849号明細書(1996年6月5日公開) 日本国公開特許公報「特開2005−289936号公報(2005年10月20日公開)」 化学大辞典編集委員会編、「化学大辞典」、縮刷版第28版、共立出版株式会社、昭和59年3月15日発行、第9巻、p410 社会法人日本化学会編、「新実験化学講座」、丸善株式会社、昭和52年3月20日発行、第8巻、p522 Jacqueline I. Kroschwitz著、「Encyclopedia of Chemical Technology」、第4版、JOHN WILEY & SONS、1996年、第19巻、p1084
しかし、上記特許文献1から7および非特許文献2および3に記載のヨウ素化合物の製造方法では、いずれもヨウ素分子を出発物質として用いるために、還元剤を使用する必要がある。そのため、目的とするヨウ素化合物を単離する際に、還元剤や副生成物の除去を行う必要がある。また、用いる還元剤によっては、毒性を示すなど取り扱いが困難な場合もある。
より具体的には、特許文献1、特許文献7および非特許文献3に記載の方法では、反応後に副生成物を除去しなくてはならない問題がある。特許文献2、特許文献3および特許文献6に記載の方法では、取り扱いが困難である還元剤を使用しなくてはならない問題がある。さらに、特許文献4および特許文献5に記載の方法では、ギ酸やシュウ酸などの扱いやすい還元剤を用いているが、還元速度が遅く、また、反応系に仕込んだヨウ素に対して得られるヨウ素化合物の量が少ない(すなわち、収率が低い)という問題がある。非特許文献2では、未反応のヨウ素を除去する際に硫化水素を用いる必要がある。なお、非特許文献1には、ヨウ化水素の具体的な製造方法については開示されておらず、特許文献8には、接触還元反応によるヨウ化水素の製造方法について開示されているのみであり。具体的にヨウ化物一般についての開示はなされていない。
上述のように、還元剤や副生成物の除去をしなくてはならないことや、取り扱いが困難である還元剤を使用することは、煩雑な工程を増やす一因となる。また、煩雑な工程が多くなることは、製造コストの増加を招き、ひいては最終生成物の価格の高騰にもつながる。それゆえ、簡便であり、効率がよく、さらには製造コストを抑えたヨウ素化合物の製造方法の開発が望まれている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、簡便であり、効率がよく、さらには廉価にヨウ素化合物を製造することができる製造方法および製造システムを提供することである。
また、赤リンと水とヨウ素とを化学反応させてヨウ化水素を得る方法では、反応終了後、反応により生成する副生成物および反応において残余した未反応のヨウ素を除去する処理が必要となる。
未反応のヨウ素を除去するための方法としては、一般的に、ヨウ化水素を含有するガスを冷却して除去する方法、またはヨウ化水素を含有する溶液に還元剤を用いて還元処理する方法がある。しかし、これらの処理方法は、非常に煩雑であると共に処理条件も極めて厳しく、またヨウ化水素の損失が大きいため効率的ではない。したがって、これらの処理方法を用いることによって、効率よく高純度のヨウ化水素を得ることは困難である。
また、特許文献9に記載の方法では、蒸留による副生成物の除去および還元または活性炭による未反応のヨウ素の除去を行う必要がある。特許文献10に記載の方法では、副生する硫酸および未反応のヨウ素を除去する除去処理を行う必要がある。特許文献11に記載の方法では、生成したヨウ化水素、未反応のヨウ素およびアンモニアを水酸化カリウムに通すことによって未反応のヨウ素およびアンモニアを除去する除去処理を行う必要がある。特許文献12の記載の方法では、副生する金属リン酸塩を除去する除去処理を行う必要がある。特許文献13に記載の方法では、生成した副生成物であるナフタレンを除去する除去処理が必要となる。特許文献8に記載の方法では未反応のヨウ素を除去する除去処理を行う必要がある。
すなわち、特許文献8〜13に記載の方法であっても未反応のヨウ素、およびヨウ化水素が分解することによって生じるヨウ素を、生成したヨウ化水素(またはヨウ化水素酸)から除去することは煩雑であり、かつ非効率的な処理は依然として必要である。また、反応において生じる副生成物を除去するための処理条件および煩雑さについてもヨウ素の除去と同様に容易ではない。したがって、これらの技術を用いて効率よく高純度のヨウ化水素を得ることは依然として困難である。
ヨウ化水素を生成する反応において残余した未反応のヨウ素、および当該化学反応において生成する副生成物の少なくともいずれかを除去する方法については、粗ヨウ化水素をゼオライトにより処理する方法(例えば、特許文献17参照)、ならびにヨウ化水素、水および高沸点物成分から、ヨウ素を分離する方法がある(例えば、特許文献18参照)。
しかし、特許文献17に記載の方法において用いるゼオライトは比較的高価であり、再生して再利用する必要があると共に、ゼオライト自体が強酸性であるヨウ化水素に侵されてしまうという問題を有する。また、特許文献18に記載の方法では、使用したメタノールなどを蒸留して回収する必要がある。すなわち、特許文献18に記載の方法であっても、使用した物質を回収し、再生するための煩雑な処理を必要とする問題を有している。
また、特許文献14〜16に記載の技術では、ヨウ化水素の製造に電気を使用するため、工業的に生産をするには、莫大な製造コストが必要であり、電気化学的手法を用いたヨウ化水素の製造方法を工業生産に応用することは非常に困難である。
なお、従来の赤リンと水とヨウ素とを化学反応させてヨウ化水素を得る方法では、ヨウ化水素酸を得ることを主目的としており、ヨウ化水素ガスおよび未反応のヨウ素を生じないように反応させている。したがって、ヨウ化水素含有ガスからヨウ素を除去する研究はほとんど行われていない。例えば、特許文献8に記載の技術では、生成させたヨウ化水素含有ガスを回収する回収方法については記載されているものの、ヨウ化水素含有ガスから未反応のヨウ素を除去(分離)する方法については何ら記載されていない。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものでもあり、その目的は、高純度のヨウ化水素を極めて容易に、かつ効率良く製造することである。なお、上記製造方法を用いて製造したヨウ化水素、および当該ヨウ化水素を水に溶解したヨウ化水素酸も併せて提供する。
本発明に係るヨウ素化合物製造システムは、上記課題を解決するために、
ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物製造システムであって、水素ガスとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で接触させることにより生成される粗ヨウ化水素ガスに対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含有されるヨウ化水素以外の物質を溶解し、かつ、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液を接触させることにより、ヨウ化水素ガスを得る精製器を備えたヨウ化水素精製ユニットを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、ヨウ化水素を溶解することなくヨウ化水素以外の物質を溶解する精製溶液を用いるため、気液接触させる際に、粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素以外の物質のみを効率良く除去することができる。
また、上記の構成におけるヨウ化水素精製ユニットは、気体と液体との気液接触により精製を行う。そのため、従来のような、被精製物質と精製物質とが同一の状態(気体と気体、または液体と液体)である場合に必要であった、精製後における精製物質の分離処理を必要としない。したがって、従来のヨウ化水素精製ユニットに比べて、極めて容易に、精製したヨウ化水素を得ることができる。
すなわち、上記の構成によれば、単に粗ヨウ化水素ガスと精製溶液とを接触させるだけにもかかわらず、粗ヨウ化水素ガスに含まれるヨウ化水素をほとんど損失することなく、高純度のヨウ化水素として得ることができる効果を奏する。
なお、「高純度のヨウ化水素」とは、粗ヨウ化水素ガスを生成する反応において生じる副反応物、およびヨウ化水素精製工程により得られたヨウ化水素を用いたさらなる反応プロセスにおいて悪影響を与える物質をほとんど含まないヨウ化水素のことを指す。
本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、固体ヨウ素を溶融し、液化させた液状ヨウ素を貯留するヨウ素貯留槽、および、水素を含む水素含有ガスを供給する水素供給器を備えた原料調整ユニットであって、上記ヨウ素貯留槽に貯留されている液状ヨウ素および当該液状ヨウ素を気化させることにより得られるガス状ヨウ素の少なくともいずれかに対して、上記水素供給器から供給される水素含有ガスを供給することにより、ガス状ヨウ素および水素を含む混合ガスを得る原料調整ユニットと、上記原料調整ユニットにおいて得られた混合ガスを粗ヨウ化水素ガスとする触媒からなる触媒部を有するヨウ化水素生成器を備えたヨウ化水素生成ユニットと、上記ヨウ化水素精製ユニットにおいて得られたヨウ化水素ガスと、当該ヨウ化水素ガスに対して反応性を有する反応原料とを接触させることにより、ヨウ素化合物を生成するヨウ素化合物生成器備えたヨウ素化合物生成ユニットと、をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、ガス状ヨウ素と水素とを用いた気相接触還元反応においてヨウ化水素を生成することができる。ヨウ化水素の合成に気相反応を用いることによって、液相反応における副生成物の生成を抑制することができ、簡便かつ効率よくヨウ化水素を生成することができる。
また、上記の構成によれば、粗ヨウ化水素ガスの生成反応における副生成物の生成をほぼ完全に抑制することができるため、粗ヨウ化水素ガスの精製において、副生成物を除去する処理を不要とすることができる。すなわち、気相接触還元反応において未反応であったヨウ素(または水素)を除去するのみで高純度なヨウ化水素を得ることができる。
さらに、上記の構成から得られた高純度のヨウ化水素を用いてヨウ素化合物を生成することによって、ヨウ素化合物を簡便に、かつ効率よく生成することができる効果を奏する。また、ヨウ化水素の生成に要するコストを削減することができるため、ヨウ化水素、ひいては当該ヨウ化水素から製造されるヨウ素化合物の価格を廉価とすることができる効果を奏する。
また、ガス状ヨウ素に対して水素を供給する場合には、気相接触還元反応におけるガス状ヨウ素に対する水素のモル比を、容易に所望の比とすることができる。これによって、気相接触還元反応において、未反応物質をほとんど生じさせることなく、ヨウ化水素を合成することができる効果も併せて奏することになる。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ素貯留槽は、当該ヨウ素貯留槽を加熱するヨウ素貯留槽加熱器を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、固体のヨウ素から液状ヨウ素を生成することができる効果を奏する。
また、ヨウ素貯留槽の温度が融点(114℃程度)〜150℃の範囲となるように加熱することによって、ヨウ素をガス化させることなく、液体のまま維持することができる。これによって、ヨウ素の温度および接触させるガス量に応じた量のヨウ素をガス化することができるため、所望量のガス状ヨウ素を容易に得ることができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素生成ユニットは、上記触媒部を加熱する触媒部加熱器を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、ヨウ化水素生成ユニットにおけるヨウ化水素生成器中の混合ガスの温度を好適な値に維持することができる。これによって、水素およびガス状ヨウ素を活性化させるとともに、生成した粗ヨウ化水素ガスの触媒表面からの脱離が不十分となることを防止することができる効果を奏する。さらに、ヨウ素の転化率の低下による粗ヨウ化水素ガスの収率の低下、および触媒活性の低下を抑制することができる効果も併せて奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユニットは、上記粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を循環させる循環機構を備えており、上記循環機構は、上記精製器に戻される上記精製溶液を冷却する冷却器を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、精製したヨウ化水素に含有される水分をより一層少なくすることができる効果を奏する。すなわち、得られるヨウ化水素をより一層高純度化することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ素化合物生成器には、上記反応原料溶液を流す流路が設けられているとともに、上記流路に上記ヨウ化水素ガスを導入するガスノズルが接続されていることが好ましい。
上記の構成によれば、生産性よくヨウ素化合物を製造することができると共に、効率よくヨウ素化合物を製造することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記原料調整ユニットは、上記混合ガスにおける上記ガス状ヨウ素と上記水素との組成を均一とするガス混合器をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、原料調整ユニットにおいて、混合ガスにおけるガス状ヨウ素と水素との組成を均一にし、組成を均一にした混合ガスをヨウ化水素生成器に送ることができる。そのため、ヨウ化水素生成ユニットにおけるヨウ化水素の合成を好適に進行させることができるという効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記原料調整ユニットは、上記混合ガスを加熱する混合ガス加熱器をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、ヨウ化水素生成ユニットにおいて反応が開始される前までに、混合ガスの温度を反応において好適である温度にすることができる。これによって、ヨウ化水素生成塔内の触媒層に混合ガスが到達したときに、最も好適な温度状態でヨウ化水素の合成を開始することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記混合ガス加熱器は、上記ガス混合器と一体をなして設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、ガス混合器において混合ガスにおけるガス状ヨウ素と水素との組成を均一としつつ、ヨウ化水素生成器における反応において好適な温度に加熱することができる効果を奏する。
また、ガス混合器と混合ガス加熱器とを別々に備える必要がなくなるため、本発明に係るヨウ素化合物製造システムを小型、軽量化することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記混合ガス加熱器および上記ガス混合器は、上記ヨウ化水素生成器と一体をなして設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、ヨウ化水素生成ユニットにおける反応において好適な温度に加熱された混合ガスの温度を変化させることなく、ヨウ化水素生成塔内の触媒層に供給することができる効果を奏する。
また、ガス混合器および混合ガス加熱器をヨウ化水素生成器と別々に設ける必要がなくなるため、本発明に係るヨウ素化合物製造システムを小型、軽量化することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記原料調整ユニットの材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金、およびポリテトラフルオロエチレンから選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素生成ユニットの材質は、ハステロイ、耐熱ガラス、セラミック、および白金から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユニットおよび上記ヨウ素化合物生成ユニットの材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金、ポリ塩化ビニル、およびポリテトラフルオロエチレンから選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
原料調整ユニット、ヨウ化水素生成ユニット、ヨウ化水素精製ユニットおよびヨウ素化合物生成ユニットの材質を上記したような材質とすることにより、各ユニットが腐食性を有するヨウ素およびヨウ化水素により腐食されることを防止することができる。これによって、本発明に係るヨウ素化合物製造システムの寿命を延ばすことができる効果を奏する。
また、ヨウ化水素生成ユニットの材質を上記の材質とすることにより、350℃程度の温度に加熱された混合ガスおよび粗ヨウ化水素ガスによりユニットが損傷を受けることを防止することができる。これによって、本発明に係るヨウ素化合物製造システムの寿命をより一層延ばすことができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユニットにおける精製器は、充填物を充填した充填塔を備えており、当該充填塔には、上記粗ヨウ化水素ガスおよび当該粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を導入する導入口が設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、粗ヨウ化水素ガスに含まれる未反応のヨウ素は、飽和ヨウ化水素溶液に吸収される。これによって、煩雑な処理を行うことなく、極めて容易に高純度のヨウ化水素を得ることができる。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユニットにおける精製器は、上記粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を貯留する精製槽と、当該精製槽に上記粗ヨウ化水素ガスを供給する供給器と、を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、粗ヨウ化水素ガスに含まれる未反応のヨウ素は、飽和ヨウ化水素溶液に吸収される。これによって、煩雑な処理を行うことなく、極めて容易に高純度のヨウ化水素を得ることができる。
本発明に係るヨウ素化合物製造方法は、上記課題を解決するために、
ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物製造方法であって、水素ガスとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で接触させることにより生成される粗ヨウ化水素ガスに対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含有されるヨウ化水素以外の物質を溶解し、かつ、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液を接触させることにより、ヨウ化水素ガスを得るヨウ化水素精製工程を含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るヨウ素化合物製造システムと同様の作用効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記ヨウ化水素精製工程における精製溶液は、飽和ヨウ化水素溶液であることが好ましい。
上記の構成によれば、粗ヨウ化水素ガスに含有される未反応のヨウ素を効果的に除去することができる。したがって、ヨウ化水素に含まれるヨウ素を除去する処理を極めて容易にすることができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記飽和ヨウ化水素溶液の溶媒は、水、ケトン類、エーテル類、アルコール類、および芳香族化合物の少なくともいずれか1種であることが好ましい。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記ヨウ化水素精製工程では、充填物を充填した充填塔内において、上記粗ヨウ化水素ガスと上記精製溶液とを気液接触させることが好ましい。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記ヨウ化水素精製工程では、上記粗ヨウ化水素ガスを上記精製溶液中に吹き込むことにより気液接触させることが好ましい。
上記の構成によれば、高価な設備を必要とすることなく、かつ極めて容易な処理によって、ヨウ化水素含有ガスからヨウ化水素を精製することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記触媒は、少なくとも1種類以上の白金族元素を酸化物および活性炭の少なくともいずれか一方に分散担持させたものであることが好ましい。
上記の構成によれば、ヨウ素と水素とを活性化させることができる。これによって、比較的低い反応温度であってもヨウ化水素の生成速度を向上できる効果を奏する。また、上記の構成によれば、ヨウ素の転化率および生成するヨウ化水素の収率を向上できる効果も併せて奏する。
本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、固体のヨウ素を加熱して得られる液状ヨウ素に、当該液状ヨウ素に対して不活性なガスおよび水素の少なくともいずれかを含むガスを接触させ、ガス状ヨウ素を得るガス状ヨウ素生成工程と、上記ガス状ヨウ素および水素を含む混合ガスを触媒存在下で接触還元させ、粗ヨウ化水素ガスを生成するヨウ化水素生成工程と、上記ヨウ化水素精製工程において得られたヨウ化水素ガスを用いて、ヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物生成工程と、をさらに含むことが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係るヨウ素化合物製造システムと同様の作用効果を奏する。
また、上記の構成によれば、ヨウ化水素生成工程において生成される粗ヨウ化水素はガスとして生成される。したがって、粗ヨウ化水素ガスを生成するために、ヨウ化水素を主成分とするヨウ化水素含有溶液を加熱蒸留する処理を省くことができるため、高純度のヨウ化水素をより一層容易に得ることができる効果も併せて奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記混合ガス中のガス状ヨウ素に対する水素のモル比を、上記ヨウ化水素生成工程の前までに、0.5〜10の範囲内とすることが好ましい。
混合ガスにおいて、ガス状ヨウ素に対する水素のモル比を上記範囲内とすることによって、ヨウ素の水素化反応をスムーズに進行させる効果を奏する。
モル比が0.5未満では、ヨウ素ガスに対する水素ガス量が少ないため、ヨウ化水素の生産性が低くなると共に、高価なヨウ素を回収する工程が必要となる。一方、モル比が10を越えると無駄な水素を使うことになるため、ヨウ化水素の製造に要するコストを押し上げることになり、不利となる。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程では、無機塩基化合物溶液に対して、上記ヨウ化水素ガスを接触させることが好ましい。
上記の構成によれば、ヨウ化水素ガスと、無機塩基化合物溶液とを気液接触させているため、反応原料の接触効率を向上することができる。そのため、無機ヨウ化物の生産性を向上することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程において得られる無機ヨウ化物水溶液を乾燥する乾燥工程をさらに含むことが好ましい。
上記の構成によれば、固体の無機ヨウ化物を製造することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程では、アルコール類含有溶液または芳香族ジアゾニウム溶液に対して、上記ヨウ化水素ガスまたは上記ヨウ化水素ガスを溶質とする溶液を接触させることが好ましい。
上記の構成によれば、ヨウ化水素ガスまたはヨウ化水素溶液と、アルコール類含有溶液または芳香族ジアゾニウム溶液とを接触させるのみで簡便に効率よく有機ヨウ化物を製造することができる効果を奏する。
また、ヨウ化水素ガスを用いる場合には、ヨウ化水素ガスとアルコール類含有溶液または芳香族ジアゾニウム溶液とを気液接触させることができるため、反応原料の接触効率を向上することができる。そのため、有機ヨウ化物の生産性を向上することができる効果を奏する。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程において得られる有機ヨウ化物溶液を精製する有機ヨウ化物精製工程をさらに含むことが好ましい。
上記の構成によれば、高純度の有機ヨウ化物を製造することができる効果を奏する。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
また、本発明に係るヨウ素化合物製造方法におけるヨウ化水素生成工程において得られたヨウ化水素もまた本発明の範疇に含まれる。
また、上記ヨウ化水素に含有されるヨウ素の含有量は、上記ヨウ化水素に含有される全成分の重量を100重量%としたとき、少なくとも2重量%以下であることであることが好ましい。
上記の構成とすることによって、得られた高純度のヨウ化水素を他の反応に適用する際に、ヨウ化水素に含まれるヨウ素の影響を最小限のものとすることができる効果を奏する。
また、上記のヨウ化水素を水に溶解することにより得られるヨウ化水素酸もまた本発明の範疇に含まれる。
本発明に係るヨウ素化合物製造システムの概略を示すブロック図である。
符号の説明
1 原料調整ユニット
2 水素含有ガス供給器(水素供給器)
4 ヨウ素溶融釜(ヨウ素貯留槽)
5 液体ヨウ素
8 ミキサー部(ガス混合器、混合ガス加熱器)
10 ヨウ化水素生成ユニット
12 ヨウ化水素生成塔(ヨウ化水素生成器)
12a 触媒層(触媒部)
13 触媒層加熱器(触媒部加熱器)
20 ヨウ化水素精製ユニット
22 充填塔(精製器)
24 タンク
30 ヨウ素化合物生成ユニット
32 ヨウ素化合物生成塔(ヨウ素化合物生成器)
34 回収槽
100 ヨウ素化合物製造システム
〔実施形態1〕
本発明に係るヨウ素化合物の製造方法の一実施形態について、以下に説明する。
(ヨウ素化合物の製造方法の概要)
本実施形態では、ヨウ素化合物の製造方法として、ヨウ素の気相接触還元反応を用いて生成したヨウ化水素を用いてヨウ素化合物を製造する場合を例にあげて説明する。本実施形態に係るヨウ素化合物の製造方法は、主として、ガス状ヨウ素生成工程、ヨウ化水素生成工程、ヨウ化水素精製工程、ヨウ素化合物生成工程の4つの工程を含んでいる。これら4つの工程について、以下にそれぞれ説明する。
ここで、本明細書等における「ヨウ化水素」および「水素」は、特に断りのない限り、気体のヨウ化水素および気体の水素、すなわちヨウ化水素ガスおよび水素ガスを指す。また、「粗ヨウ化水素」とは、ヨウ化水素以外に、ヨウ化水素の生成反応において残余した未反応のヨウ素、ヨウ化水素が分解することによって生じるヨウ素、またはヨウ化水素を生成する反応において生じる副生成物である不純物を含むガスであることを意味している。さらに、「ヨウ素」および「水素」は、特に断りのない限り、それぞれヨウ素分子(I)および水素分子(H)を指す。
(ガス状ヨウ素生成工程)
まず、ガス状ヨウ素生成工程について以下に説明する。ガス状ヨウ素生成工程は、固体のヨウ素を加熱することにより、その少なくとも一部をガス状ヨウ素とする工程である。
ヨウ素は、融点113.7℃、沸点184.5℃の昇華性を有する物質である。したがって、ガス状ヨウ素生成工程では、固体のヨウ素を融点以上沸点以下の温度範囲内となるように加熱すればよい。これによって、固体のヨウ素からガス状ヨウ素を生成することができる。
しかし、下記に説明するヨウ化水素反応工程では、ガス状ヨウ素および水素を混合してなる混合ガスにおけるガス状ヨウ素に対する水素のモル比が、0.5〜10の範囲内であることが好ましく、0.5〜6の範囲内であることがより好ましい。ガス状ヨウ素に対する水素のモル比を上記の範囲内とすることによって、ヨウ化水素を生産性よく製造することが可能である。すなわち、モル比が0.5未満である場合には、ヨウ素ガスに対する水素ガス量が少ないため、ヨウ素の消費が減り、ヨウ化水素の生産性が低くなる。また、高価であるヨウ素を回収する工程が必要となる。一方、モル比が10を超えると無駄な水素を使うことになるため、ヨウ化水素の製造に要するコスト(製造費)が押し上げられ、不利になる。
そのため、固体のヨウ素をガス状ヨウ素とするのではなく、一旦、液状ヨウ素とする。そして、その一部をガス状とすることが好ましい。したがって、固体のヨウ素の加熱温度は、ヨウ素の融点(114℃程度)〜150℃の範囲内とすることが好ましく、120〜150℃の範囲内とすることがより好ましい。
また、液状ヨウ素からガス状ヨウ素を生成する際には、液状ヨウ素に水素を含有する水素含有ガスを接触させることが好ましい。液状ヨウ素は、水素含有ガスと接触した際のガス流量および液状ヨウ素温度に応じた量のガス状ヨウ素を生成する。すなわち、接触させる水素含有ガスのガス流量および液状ヨウ素温度を調整することにより、気化するヨウ素ガスの量を調整することができる。このとき、液状ヨウ素に接触させる水素含有ガスに含まれる水素の量は、ガス状ヨウ素に対する水素のモル比が上述した所定の比率となるような量であることが好ましいが、これに限定されるものではない。すなわち、液状ヨウ素をガス状ヨウ素とした後に、所定の比率となるように水素をさらに追加してもよい。
また、水素含有ガスは、所望量のガス状ヨウ素を生じさせることができれば、水素以外のガス(気体)を含んでいてもよい。水素含有ガスに含まれる水素以外のガスとしては、ヨウ素に対して不活性のガスであることが好ましい。例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを挙げることができる。
ガス状ヨウ素および水素を混合してなる混合ガスは、ヨウ化水素生成工程の前までに均一に混合することが好ましい。また、ガス状ヨウ素を生成する際に、水素含有ガスにおける水素の量が所望のモル比となるような量でない場合には、混合ガスを均一に混合する前までに水素とガス状ヨウ素とのモル比を所定のモル比とすることが好ましい。混合ガスを均一とする構成については、実施形態2において詳述するため、ここではその説明を省略する。
なお、使用する固体のヨウ素の純度は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
また、使用する水素は、純水素、水蒸気および二酸化炭素の少なくともいずれかによりメタンを改質することにより得られる水素含有ガス、当該水素含有ガスから分離された水素、メタンの部分酸化反応により得られる水素含有ガス、メタノールを水蒸気改質することにより得られる水素含有ガス、およびメタノールの分解により得られる水素含有ガスなどを用いることができる。また、石炭、石油コークス、および重質残渣油を原料として、ガス化プロセスにより得られる水素を水素源として用いてもよい。さらには、ヨウ化水素生成塔の出口におけるガスに含有されている未反応の水素を分離回収した水素をリサイクルして使用してもよい。
(ヨウ化水素生成工程)
次に、ヨウ化水素生成工程について以下に説明する。ヨウ化水素生成工程は、ヨウ素を気相接触還元して得られる、ヨウ化水素を主成分として含有する粗ヨウ化水素ガスを生成する工程である。なお、本明細書等において「主成分」とは、粗ヨウ化水素ガスまたはヨウ化水素に含まれる全成分のうち、50重量%を越える成分であることを意味している。
ヨウ化水素生成工程は、従来公知の方法を用いて行うことができる。例えば、触媒の存在下、ガス状ヨウ素と水素とを気相接触還元することにより粗ヨウ化水素ガスを生成することができる。
このように、触媒の存在下、ガス状ヨウ素および水素ガスを用いた気相接触還元反応によりヨウ化水素含有ガスを生成する場合、粗ヨウ化水素ガス中には気相接触還元反応において反応することなく残余しているヨウ素および水素以外の物質、特に副生成物はほとんど含まれていない。すなわち、粗ヨウ化水素ガスをガス状ヨウ素および水素を用いた気相接触還元反応により得ることによって、液相反応において必要となるヨウ化水素含有溶液を加熱蒸留する処理を省くことができる。これによって、高純度のヨウ化水素を容易に得ることができる。
ここで、水素は、後の反応工程、例えば無機ヨウ化物の製造工程において影響を及ぼさないため、水素を分離する処理を別段として施す必要はない。しかし、粗ヨウ化水素ガスから水素を除去したい場合には、粗ヨウ化水素ガスからヨウ素を除去した後に、ヨウ化水素ガスを冷却し、液化させることが好ましい。これによって、粗ヨウ化水素ガスに含まれている水素を容易に除去することができる。
(ヨウ化水素生成工程における触媒)
ガス状ヨウ素および水素ガスを用いた気相接触還元反応における触媒としては、白金族元素を酸化物および活性炭の少なくともいずれか一方に分散担持させた触媒であることが好ましい。白金族元素を酸化物および活性炭の少なくともいずれか一方に分散担持させることによって、ヨウ素と水素とを活性化させることができる。これによって、比較的低い温度においてもヨウ化水素の生成速度を向上できる。また、ヨウ素の転化率および生成するヨウ化水素の収率も併せて向上できる。
白金族元素としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)およびロジウム(Rh)を挙げることができる。また、酸化物の具体例としては、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、コージライト、ジルコニア、シリカアルミナおよびゼオライトを挙げることができ、活性炭の具体例としては、木片、木粉、ヤシ殻およびクルミ殻などを原料として活性化した植物系活性炭、泥炭、石炭コークスおよびタールなどを原料として活性化した鉱物系活性炭ならびに再生繊維、レーヨンなどの天然素材、およびフェノール樹脂、アクリル樹脂などの合成素材を原料として活性化した活性炭などを挙げることができる。
触媒の形状(すなわち、白金族元素を分散担持させる支持体の形状)としては特に限定されるものではない。例えば、支持体は、粉体状態であってもよく、あらかじめ環状(リング状)、球形状、ハニカム状に成型しておき、そこに白金族元素を担持させてもよく、また支持体に白金族元素を担持させた後に環状(リング状)、球形状、ハニカム状に成型してもよい。さらには、酸化物粉体に白金族元素を担持させた粉体を環状(リング状)、球形状、ハニカム状に成型した炭化ケイ素(SiC)または窒化物に担持させてもよい。
また、触媒として用いる白金族元素は、上述した白金族元素のうちの1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。白金族元素の担体として用いられる酸化物および活性炭もまた、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。さらに、酸化物および活性炭を、単独で使用してもよいし、両者を併用して使用してもよい。
(ヨウ化水素生成工程における条件)
気相接触還元反応における反応温度は、200〜1000℃の範囲内であることが好ましく、250〜900℃の範囲内であることがより好ましく、250〜850℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、ガス空間速度は。300〜10000hr−の範囲内であることが好ましく、500〜4000hr−の範囲内であることがより好ましい。なお、本明細書等における「ガス空間速度」とは、標準状態において単位時間当たりの反応ガス容積と触媒容積との比率を意味している。さらに、反応圧力は、常圧から10MPaの範囲内であることが好ましい。
なお、気相接触還元反応を用いて粗ヨウ化水素ガスを生成する場合における詳細な条件については、特許文献8に記載の内容全体を参照してもよい。
(ヨウ化水素精製工程)
次に、ヨウ化水素精製工程について以下に説明する。ヨウ化水素精製工程は、ヨウ化水素生成工程において生成した、ヨウ化水素を主成分とする粗ヨウ化水素ガスにおけるヨウ化水素以外の物質(以下、不純物とも称する)を除去する工程である。すなわち、粗ヨウ化水素ガスに含有される不純物を溶解するが、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液と、粗ヨウ化水素ガスとを気液接触させる工程である。
ヨウ化水素精製工程を採用することによって、ヨウ化水素生成工程において合成されたヨウ化水素をほとんど損失することなく、粗ヨウ化水素ガスに含有されている不純物を極めて容易に除去することができる。
また、ヨウ化水素精製工程は、ガス状態である粗ヨウ化水素ガスと液体である精製溶液との気液接触であるため、従来のように同一の状態、例えば液体と液体とにより精製を行う場合とは異なり、精製後に精製に用いた物質を分離する分離処理を必要としない。すなわち、効率よく、極めて容易に不純物を含有する粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素のみを精製し、高純度のヨウ化水素として得ることができる。
ヨウ化水素精製工程は、精製した後のヨウ化水素に含まれるヨウ素の含有量が、ヨウ化水素に含まれる全成分の重量を100重量%としたとき、少なくとも2重量%以下となるように処理することが好ましく、1重量%以下となるように処理することがより好ましく、0.5重量%以下となるように処理することがさらに好ましく、0.1重量%以下となるように処理することが最も好ましい。
言い換えれば、得られる高純度のヨウ化水素は、ヨウ化水素に含まれる全成分の重量を100重量%としたとき、ヨウ素の重量が少なくとも2重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以下であり、最も好ましくは、0.1重量%以下である。なお、このヨウ化水素精製工程で得られた高純度のヨウ化水素ガスは水に吸収させれば高純度で任意の濃度のヨウ化水素が得られ、また冷却により高純度の液状ヨウ化水素が得られる。
ヨウ化水素ガスに含まれる未反応のヨウ素が上記範囲内であれば、得られた高純度のヨウ化水素を他の反応、例えば下記に説明するヨウ素化合物生成工程に適用する際に、ヨウ化水素に含まれるヨウ素の影響を最小限とすることができる。
ここで、水素および窒素などの不活性ガスは、粗ヨウ化水素ガスに含まれるヨウ化水素以外の物質には含まない。したがって、ヨウ化水素に含まれる「全成分」とは、水素および窒素などの不活性ガスを除くヨウ化水素の全成分を意味している。また、本明細書等における「高純度のヨウ化水素」とは、ヨウ化水素の「全成分」の重量を100重量%としたときに、ヨウ素の重量が上述した範囲であることを意味している。言い換えれば、「高純度のヨウ化水素」とは、ヨウ化水素の「全成分」の重量を100重量%としたときに、「不純物」の重量が上述した範囲であることを意味している。
(精製溶液について)
精製溶液は、粗ヨウ化水素ガスに含有される不純物を溶解するが、ヨウ化水素を溶解しない溶液であれば、特に限定されるものではない。それらの中でも、ヨウ化水素からの分離が困難であり、かつ生成したヨウ化水素を他の反応に用いる場合に問題となる未反応のヨウ素を除去できる溶液であることが好ましい。
上述したような性質を有する精製溶液としては、例えば、飽和ヨウ化水素溶液を挙げることができる。飽和ヨウ化水素溶液は、ヨウ素を非常によく溶解する溶液であるが、ヨウ化水素は飽和状態であるため、ほとんど溶解しない。なお、本実施形態においては、以下、精製用溶液として飽和ヨウ化水素溶液を用いる場合を例に挙げて説明する。
飽和ヨウ化水素溶液は、溶媒にヨウ化水素を飽和状態となるまで溶解させることにより作製することができる。飽和ヨウ化水素溶液を作製するための溶媒としては、ヨウ化水素を溶解できる溶媒であれば特に限定されるものではない。例えば、水、ケトン類、ハロゲン化合物、芳香族化合物、エーテル類、アルコール類などの溶媒を挙げることができる。また、アルカリ金属のヨウ化物を含有する水溶液またはアルカリ土類金属のヨウ化物を含有する水溶液であってもよい。溶媒のより具体的な例としては、蒸留水、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、ジオキサン、エチルエーテル、メタノール、ヨウ化カリウム水溶液およびヨウ化バリウム水溶液などを挙げることができる。これらの中でも、水、アルカリ金属のヨウ化物を含有する水溶液、ケトン類および芳香族化合物であることが好ましく、容易かつ安価に得ることができる水であることがより好ましい。
なお、飽和ヨウ化水素溶液の温度は、厳密に制御する必要はない。本来、ヨウ化水素を飽和溶液に溶解する際には、溶解熱による発熱を伴うが、本発明に係るヨウ化水素精製工程では、粗ヨウ化水素ガスが飽和ヨウ化水素溶液との気液接触時に、ヨウ化水素の溶解が生じないからである。
この点においても、本発明は、ヨウ化水素精製工程において使用する溶液の温度を制御する煩雑な処理を省くことができ、高純度のヨウ化水素を極めて容易に得ることができる。しかし、例えば、半導体製造に用いるなどの理由により、精製したヨウ化水素中の水分をできるだけ少なくしたい場合には、飽和ヨウ化水素溶液の温度をできるだけ低くすることが好ましい。飽和ヨウ化水素溶液の好適な温度としては、具体的には、100℃以下であることがより好ましく、50℃以下であることがさらに好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。
また、ヨウ化水素精製工程によって精製したヨウ化水素の一部を、飽和ヨウ化水素溶液の溶質として使用してもよい。
(ヨウ素化合物生成工程)
次に、ヨウ素化合物生成工程について以下に説明する。ヨウ素化合物生成工程は、上述したヨウ化水素精製工程において得られた高純度のヨウ化水素ガスを用いて様々なヨウ素化合物を製造する工程である。本実施形態では、一例として、無機ヨウ化物、脂肪族ヨウ化物および芳香族ヨウ化物を製造する場合について、それぞれ説明する。なお、上記の各工程を経て得られたヨウ化水素の用途は、上述のヨウ素化合物の製造に限定されるものではなく、ヨウ化水素を原料とするその他の反応においても好適に用いることができる。
本発明に係るヨウ素化合物生成工程において用いられるヨウ化水素ガスとは、ヨウ化水素ガスを含有する気体である。つまり、ヨウ素化合物生成工程において、ヨウ化水素ガスとは、その全容量がヨウ化水素ガスである場合に限定されるものではない。ヨウ化水素ガス中のヨウ素の含有量は、その全重量に対して、ヨウ素の含有量が2重量%以下であることが好ましい。ヨウ化水素ガス中のヨウ素を上記範囲内とすることによって、ヨウ素化合物を製造した後、精製処理および未反応のヨウ素分子を除去するための還元処理などを行うことなく、高純度のヨウ素化物を製造することができる。
また、本実施形態において、ヨウ化水素ガスは、その全重量を100%としたとき、不純物の含有量が2重量%以下であることが好ましい。つまり、本実施形態において、高純度のヨウ化水素ガスとは、全重量100%としたときに、不純物の含有量が2重量%以下のヨウ化水素ガスであってもよい。
(無機ヨウ化物の製造)
まず、無機ヨウ化物の製造について、以下に説明する。無機ヨウ化物は、ヨウ化水素と無機塩基化合物との接触により製造することができる。ここで、本実施形態において用いられる無機塩基化合物は、ヨウ化水素との間に中和反応を起こすことができる化合物である。言い換えれば、水溶液中で解離または平衡反応を起こして、水酸化物イオン(OH−)を生じる化合物である。
このような無機塩基化合物の具体例としては、金属水酸化物、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属、アルミニウムや亜鉛などの典型元素の水酸化物、金属の塩基性酸化物、金属の炭酸塩、例えばアルカリ金属の炭酸塩、金属の炭酸水素塩、例えば、アルカリ金属の炭酸水素塩、さらにアンモニアを挙げることができる。これらの中でも、安価で入手が容易であるため、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、およびアンモニアを用いることが好ましい。
無機塩基化合物は、固体状態、または、例えば水などの溶媒に完全に溶解させた水溶液状態、あるいは、水に分散させたスラリー状態で反応に供される。これらの中でも、水に溶解させた水溶液の状態で反応に供されることが好ましい。この点については、後述の反応の説明にて詳細を説明する。
(無機ヨウ化物の生成)
本実施形態に係る無機ヨウ化物の製造では、ヨウ化水素ガスと、無機塩基化合物とを接触させる中和反応を起こすことにより目的とする無機ヨウ化物を得る。例えば、無機塩基化合物が、水酸化カリウムである場合、反応は、下記の反応式(1)に従う。
HI+KOH → KI+H ・・・(1)
無機ヨウ化物の製造において、ヨウ化水素ガスと無機塩基化合物との接触は、液体の無機塩基化合物(以下、「無機塩基溶液」とも称する)を用いて、気液接触により反応を進めることが好ましい。気液接触を採用する場合、気固接触の場合と比べて、接触効率がよく、生産性を向上させることができる。
無機ヨウ化物を溶液として用いる場合の濃度は、溶質の溶媒への溶解度にも依存するが、一般的に、1〜95重量%の範囲内であることが好ましく、5〜90重量%の範囲内であることがより好ましく、10〜80重量%の範囲内であることがさらに好ましい。無機ヨウ化物溶液の濃度を上記の範囲内とすることによって、原料費の削減および反応液から無機ヨウ化物を分離回収に要するエネルギーの低減につながる。したがって、無機ヨウ化物の製造に要するコストを削減することができる。また、溶媒としては、水およびアルコール類を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。
気液接触の方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、充填物を充填した反応塔内において、ヨウ化水素ガスと無機塩基溶液とを気液接触させてもよいし、また無機塩基溶液を貯留した貯留槽中にヨウ化水素ガスを吹き込むことにより気液接触させてもよい。
また、気固接触をさせる場合には、粒状の無機水酸化物を充填したガラス管にヨウ化水素ガスを導入することによりこれらを反応させることができる。
無機ヨウ化物の生成反応における反応温度は、反応を進めることができる限り、特に限定されるものではない。ここで、反応系のpH値を、無機ヨウ化物の生成反応における反応終了後に1.50〜11.00の範囲内とするように制御することが好ましい。すなわち、気液接触の場合には、反応液の最終pH値が上記範囲内であることが好ましい。反応終了時のpHが1.50より小さい場合、製品中にヨウ素またはヨウ化水素が含まれやすくなり、高品質の無機ヨウ化物を得ることができない。また、反応終了時のpH値が11.00を超える場合、ヨウ素酸塩が製品中に含まれやすくなり、高品質な無機ヨウ化物が得られないという問題点がある。
反応系のpH値は、計測されたpH値に応じて、適宜、酸性化合物またはアルカリ性化合物を反応系に加えることにより制御することができる。たとえば、pH値が、1.50より小さい場合には、無機塩基溶液を添加すればよく、pHが11.00を超える場合には、ヨウ化水素あるいは有機酸を添加すればよい。
添加する有機酸としては、還元性を有する酸を用いることが好ましい。このような有機酸として、ギ酸、ヒドラジン、亜硫酸、亜リン酸などを挙げることができる。このように、還元性を有する酸を用いてpHを調整することにより、ヨウ化カリウムの安定化を図ることができる。また、還元性を有する酸を用いる場合には、この酸がpH調整に加えて、未反応ヨウ素の除去および無機ヨウ化物の分解によるヨウ素の遊離防止の役割を果たす。
さらに、反応終了後には、必要に応じて、未反応のヨウ素分子を除去するために還元処理を行ってもよい。この還元処理は、ギ酸やシュウ酸などに例示される還元剤の添加など、従来公知の還元処理を行うことができる。
以上説明したように、ヨウ化水素ガスと、無機塩基化合物とを接触させることにより、簡便に効率よく高純度の無機ヨウ化物を製造することができる。特に、高純度のヨウ化水素ガスを用いた場合には、無機ヨウ化物を得た後に、別段の精製工程を経ずとも、高純度の無機ヨウ化物を製造することができる。
また、無機ヨウ化物を気液接触により無機ヨウ化物溶液として製造した場合には、溶媒を留去し、無機ヨウ化物の結晶を乾燥させる乾燥工程を経ることによって、無機ヨウ化物を固体として得ることができる。この際に用いる乾燥工程は、従来公知の乾燥工程を採用することができる。これらの中でも、例えばエバポレータによる減圧濃縮乾燥、または凍結乾燥などを採用することにより、短時間で固体の無機ヨウ化物を得ることができる。
(脂肪族ヨウ化物の生成)
次に、脂肪族ヨウ化物を製造する場合について説明する。本明細書等における脂肪族ヨウ化物とは、ヨウ化アルキルを意味している。すなわち、目的とする脂肪族ヨウ化物は、ヨウ化水素ガスと、アルコール類含有溶液とを接触させることにより得ることができる。脂肪族ヨウ化物の製造は、上述した無機ヨウ化物の製造とほぼ同様である。
例えば、アルコール類含有溶液がメタノールである場合、反応は、下記の反応式(2)に従う。
HI+ CHOH→ CHI+H ・・・(2)
したがって、脂肪族ヨウ化物の製造について、無機ヨウ化物の製造において説明した内容は省略し、無機ヨウ化物の製造と異なる点についてのみ以下に説明する。
脂肪族ヨウ化物の製造において、ヨウ化水素ガスと接触させるアルコール類含有溶液は、炭素数1〜8程度のアルコール類であることが好ましく、1〜6程度のアルコール類であることがより好ましい。また、脂肪族ヨウ化物の製造において好適に用いることができるアルコール類は、直鎖状であってもよく、また分岐鎖を有していてもよい。さらに、好適に用いることができるアルコール類は、1価のアルコールに限定されるものではなく、多価のアルコールであってもよい。これらの中でもより一層好適に用いることができるアルコール類溶液として具体的には、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどを挙げることができる。
さらに、アルコール類溶液は、その全容量がアルコール類からなるものに限定されるものではない。すなわち、例えば水分またはアルコール類以外の有機溶媒を含有していてもよい。含有されているアルコール類が、50%以上であるアルコール類溶液であれば脂肪族ヨウ化物の製造において好適に用いることができる。
なお、脂肪族ヨウ化物の製造では、ヨウ化水素ガスに代わり、ヨウ化水素ガスを溶質として溶解した溶液(ヨウ化水素溶液)を用いてもよい。ヨウ化水素溶液としては、例えばヨウ化水素を水に溶解したヨウ化水素酸を挙げることができる。
なお、ヨウ素化合物生成工程において、ヨウ化水素溶液を用いる場合には、上述したヨウ化水素精製工程において、得られるヨウ化水素に含有されるヨウ素の含有量をヨウ化水素溶液の全成分を100重量%としたとき、2重量%以下となるように精製することが好ましく、1重量%以下となるように精製することがより好ましく、0.8重量%以下となるように精製することがさらに好ましく、0.5重量%となるように精製することが最も好ましい。
ヨウ化水素に含有されるヨウ素の量を上記範囲内とすることによって、得られたヨウ化水素溶液を他の反応に適用する際に、ヨウ化水素溶液に含まれるヨウ素の影響を最小限とすることができる。
また、以上のように製造した脂肪族ヨウ化物溶液を精製する精製工程を経ることによって、脂肪族ヨウ化物を純度の高い液体または固体として得ることもできる。この際に用いる精製工程は、例えば蒸留などの従来公知の精製工程を採用することができる。
(芳香族ヨウ化物の生成)
次に、芳香族ヨウ化物を製造する場合について説明する。目的とする芳香族ヨウ化物は、ヨウ化水素ガスと、芳香族ジアゾニウム溶液とを接触させることにより得ることができる。すなわち、芳香環に結合しているジアゾニウム基がヨウ素に置換され、芳香族ヨウ化物として得られる。芳香族ヨウ化物の製造は、上述した無機ヨウ化物の製造とほぼ同様である。したがって、芳香族ヨウ化物の製造について、無機ヨウ化物の製造において説明した内容は省略し、無機ヨウ化物の製造と異なる点についてのみ以下に説明する。
芳香族ヨウ化物の製造において、好適に用いることができる芳香族ジアゾニウム溶液としては、その側鎖においてジアゾニウム基(N≡N+−)を有するものであれば特に限定されるものではなく、ジアゾニウム基以外の置換基を有していてもよい。具体的には、下記一般式(1)で示す化合物を挙げることができる。
Figure 0005437082
ここで、上記式(1)のRは、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコシキ基、炭素数1〜6のアシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボキシル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、ニトリル基、ニトロ基およびハロゲン原子から選択される1種である。
アルキル基は、炭素数1〜8であることがより好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましい。また、アルキル基は、直鎖状であってもよいし、また分岐鎖を有していてもよい。さらには、環状であってもよい。このようなアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、およびオクチル基などを挙げることができる。また、アルコシキ基は、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることがさらに好ましい。このようなアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、およびエトキシ基などを挙げることができる。
上記した置換基を有する芳香族ジアゾニウムの中でも、炭素鎖1〜4のアルキル基、カルボキシル基、およびハロゲン原子から選択される1種を好適に用いることができる。
なお、上記一般式(1)は、ジアゾニウム基以外の置換基が1つの2置換体である場合を示しているが、これに限定されるものではない。すなわち、上記一般式(1)においてRで示された置換基の他にさらに置換基を有している3置換体以上の芳香族ジアゾニウムであってもよい。
この場合、さらなる置換基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基およびブテニル基などのアルケニル基、ホルミル基、アセチル基およびプロピオニル基などの炭素数1〜6のアルキル−カルボニル基、ベンゾイル基を含むアリール−カルボニル基などのアシル基、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基およびプロピオニルオキシ基などの炭素数1〜6のアシルオキシ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基およびジエチルアミノ基などのモノまたはジアルキルアミノ基を含むアミノ基、ホルミルアミノ基およびアセチルアミノ基などの炭素数1〜6のアシルアミノ基、アルバモイル基、置換カルバモイル基、カルボニル基ならびにニトリル基などを挙げることができる。
なお、芳香族ヨウ化物の製造においても、脂肪族ヨウ化物の場合と同様に、ヨウ化水素ガスに代わりヨウ化水素溶液を用いてもよい。
また、本明細書等における「有機ヨウ化物」とは、脂肪族ヨウ化物および芳香族ヨウ化物を合わせたヨウ化物の総称である。
〔実施形態2〕
本発明に係るヨウ素化合物製造システムについて、実施形態2として図1を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係るヨウ素化合物製造システムの概略を示すブロック図である。したがって、図1は、ヨウ素化合物製造システムにおける各ユニットを繋ぐラインの形状、各ユニット寸法などを正確に示すものではない。これらは、装置を製造する際に適宜変更することができる。なお、本実施形態において実施形態1と同一の用語は、特に断りのない限り同一の意味として用いている。
図1に示すように、本発明に係るヨウ素化合物製造システム100は、主として、原料調整ユニット1、ヨウ化水素生成ユニット10、ヨウ化水素精製ユニット20およびヨウ素化合物生成ユニット30の4つのユニットを備えている。原料調整ユニット1とヨウ化水素生成ユニット10、ヨウ化水素生成ユニット10とヨウ化水素精製ユニット20、ならびにヨウ化水素精製ユニット20とヨウ素化合物生成ユニット30は、ラインを介してそれぞれが物理的に接続されている。上記の各ユニットについて、以下に説明する。
(原料調整ユニット1)
原料調整ユニット1は、ヨウ素化合物の製造に用いるヨウ化水素を生成するための原料を調整するためのユニットである。より具体的には、ガス状ヨウ素および水素を所定のモル比および温度となるように調整するためのユニットである。
原料調整ユニット1は、図1に示すように、水素含有ガス供給器(水素供給器)2、ヨウ素溶融釜(ガス状ヨウ素生成器)4、ミキサー部(ガス混合器、混合ガス加熱器)8を備えている。水素含有ガス供給器2は、ヨウ化水素の合成に用いる水素を貯留している。なお、実施形態1においても説明したように、ガス状ヨウ素の生成に不活性ガスを用いる際には、水素含有ガス供給器2だけでなく、使用する不活性ガスを貯留する不活性ガス貯留器をさらに備えていることが好ましい。
(ヨウ素溶融釜4)
ヨウ素溶融釜4では、固体のヨウ素を融点〜150℃程度に加熱して得られる液体ヨウ素5に対して水素含有ガス供給器2からライン3を経て供給される水素含有ガスを接触させることにより、ガス状ヨウ素が生成される。生成されたガス状ヨウ素は、ライン6を経てミキサー部8へと送られる。
ヨウ素溶融釜4は、固体のヨウ素を液状ヨウ素に溶融するための加熱器(ヨウ素貯留槽加熱器)を備えている。加熱器としては、例えば、熱風、過熱水蒸気もしくはオイルなどの加熱した熱媒体を流すためのジャケット部、固体ヨウ素を充填したヨウ素溶融釜4を外部から加熱する電熱器、または固体のヨウ素に対して赤外線もしくは遠赤外線を照射する赤外もしくは遠赤外線照射装置を挙げることができる。
また、ヨウ素溶融釜4は、液体ヨウ素5からガス状ヨウ素を生成させるための機構を備えている。ガス状ヨウ素を生成させるための機構としては、上述したように水素含有ガスを接触させることができる機構であれば特に限定されるものではない。
例えば、ヨウ素溶融釜4内に水素含有ガスを吹き込む機構であってもよいし、ガス(例えば、水素含有ガスまたは不活性ガス)により加圧または自然落下させた液体ヨウ素5に対して水素含有ガスを接触させてガス状ヨウ素としてもよい。また、ヨウ素に腐食されない材質からなるポンプを用いて必要量の液体ヨウ素5を供給し、供給したヨウ素をガス状ヨウ素に変化させてもよい。なお、水素含有ガスをヨウ素溶融釜4内に吹き込む構成を採用した場合、吹き込む水素含有ガスは、液体ヨウ素5内まで吹き込むようにしてもよいし、また液体ヨウ素5の表面に接触するように吹き込むようにしてもよい。
また、ヨウ素溶融釜4は、例えば攪拌翼などの液体ヨウ素5を撹拌する撹拌機構を備えていてもよい。さらに、攪拌翼に熱風、水蒸気、またはオイルなどの熱媒体を通し、固体のヨウ素を溶融するための熱源としてもよい。また、ガス状ヨウ素に対して接触させる水素含有ガスを予め高温に加熱しておき固体のヨウ素を溶融する熱源としてもよい。
ヨウ素溶融釜4は、長期連続的にガス状ヨウ素を得るために、製造ラインに対して並列に配置することが好ましい。これによって、ヨウ素溶融釜のいずれかで固体のヨウ素がなくなった場合であっても、必要に応じてラインを切り替えることができる。このため、ガス状ヨウ素を中断することなく連続的に供給することが可能となる。
なお、固体のヨウ素は、溶媒に溶解させることにより液体ヨウ素5としてもよい。固体ヨウ素を溶解するための溶媒としては、例えば、ベンゼン、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルなどを挙げることができる。
(ミキサー部8)
ミキサー部8は、ヨウ素溶融釜4において生成されたガス状ヨウ素に水素を混合した混合ガスにおいて、ヨウ素と水素との組成が均一となるように混合するガス混合器、および混合ガスを120〜350℃程度にまで加熱する加熱器を備えている。ミキサー部8において加熱された混合ガスは、ライン14を経てヨウ化水素生成ユニット10へと送られる。
ガス混合器は、具体的には、充填物を充填した充填管であることが好ましい。ガス混合器において好適に用いることができる充填物は、ヨウ素により腐食されない材質からなるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ハステロイ、ガラス、磁性セラミックなどを挙げることができる。また、充填物の形状も特に限定されるものではなく、例えば、球形状、円柱状(シリンダー状)および環状(リング状)などの形状を挙げることができる。充填物は、形状が同一のもののみを用いてもよいし、形状が異なるものを併せて使用してもよい。
加熱器は、混合ガスを120〜350℃程度、好ましくは250〜350℃程度に加熱することができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、充填管の周りに電熱線を巻いて加熱してもよいし、また加熱した熱媒体を流すジャケット部を設けてもよい。
ヨウ素溶融釜4において、水素含有ガスを用いてガス状ヨウ素を生成させた場合であって、生成された混合ガスが所定のモル比となっていない場合には、ミキサー部8の手前までにガス状ヨウ素に対する水素のモル比が0.5〜10の範囲内となるようにライン7から水素を補給することが好ましい。
なお、本実施形態では、ガス混合器と加熱器とが一体となっているミキサー部8を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、ガス混合器と加熱器とが独立して設けられていてもよい。しかし、ガス混合器と加熱器とを一体としたミキサー部8であれば、ガス混合器において混合ガスにおけるガス状ヨウ素と水素との組成を均一としつつ、ヨウ化水素生成器における反応において好適な温度に加熱することができる。ヨウ素化合物製造システム100自体を小型、軽量化することもできる。
(ヨウ化水素生成ユニット10)
ヨウ化水素生成ユニット10は、水素とガス状ヨウ素とを反応させるヨウ化水素生成塔12を備えている。ヨウ化水素生成塔12は、その内部に触媒層(触媒部)12aを備えている。水素ガスおよびガス状のヨウ素は、ライン14を経てヨウ化水素生成塔12の下部から供給される。そして、粗ヨウ化水素ガスが、ヨウ化水素生成塔12の上部から得られる。生成された粗ヨウ化水素ガスはライン16を経てヨウ化水素精製ユニット20へと送られる。触媒層12aには、実施形態1において説明した触媒が充填されている。また、ヨウ化水素生成塔12の外面には、触媒層加熱器(触媒部加熱器)13(例えば、電気炉、オイルバスなど)が備えられている。
なお、ヨウ化水素生成ユニット10は、ヨウ化水素生成塔12の下部から原料を供給し、ヨウ化水素生成塔12の上部から生成物を得る形態に限定されるものではない。例えば、塔頂部から水素ガスおよびガス状のヨウ素を供給するような形態であってもよいし、ヨウ化水素生成塔12(特には触媒層12a)を水平に設置し、水平方向から水素ガスおよびガス状のヨウ素を供給するような形態であってもよい。
触媒層加熱器13は、加熱対象物を100〜1000℃の範囲となるように加熱することができる。しかし、通常、触媒層加熱器13は、触媒層12aの温度が200〜850℃の範囲となるように加熱する。触媒層12aの表面温度を200〜850℃の範囲内とすることによって、混合ガスにおけるガス状ヨウ素および水素を活性化させるとともに、生成した粗ヨウ化水素ガスが触媒表面から十分に脱離しなくなることを防止することができる。これによって、ヨウ化水素の収率低下、および触媒活性の低下を抑制することができる。
また、ヨウ化水素生成塔12は、上述したミキサー部8と一体をなしてしてもよい。すなわち、ヨウ化水素生成塔12における触媒層12aの前にミキサー部8を備えるようにしてもよい。ヨウ化水素生成塔12をこのような構成とすることによって、ヨウ化水素生成塔12における反応において好適な温度に加熱された混合ガスを、好適な温度を維持した状態でヨウ化水素生成塔12内の触媒層12aに供給することができる。また、ヨウ素化合物製造システム100を小型、軽量化することもできる。
(ヨウ化水素精製ユニット20)
ヨウ化水素精製ユニット20は、充填物が充填された充填塔22と、精製溶液が貯留されたタンク24とを備えている。充填塔22は、ヨウ化水素生成ユニット10で生成され、ライン16を経て供給された粗ヨウ化水素ガスと、精製溶液とを気液接触させるものである。精製溶液については、実施形態1において説明したため、ここではその説明を省略する。
ヨウ化水素精製ユニット20は、具体的には、充填塔22の塔頂に接続されたライン28より精製溶液を流下させ、不純物を含有する粗ヨウ化水素ガスを塔下流に接続されたライン16から導入する向流気液接触装置、または精製溶液と粗ヨウ化水素ガスとを共に塔上流より導入する並流気液接触装置である。なお、図1には、ヨウ化水素精製ユニット20が向流気液接触装置である場合を例に挙げて図示している。
これによって、粗ヨウ化水素ガスに含まれる、例えばヨウ素などの不純物は、充填塔22内部において接触した精製溶液に吸収されるため、充填塔22の下部では、煩雑な処理を行うことなく、高純度のヨウ化水素ガスを容易に得ることができる。得られた高純度のヨウ化水素ガスは、ライン26を経てヨウ素化合物生成ユニット30へと送られる。
また、ヨウ素などの不純物を吸収した精製溶液は、ヨウ素、ヨウ化水素、およびヨウ化水素酸に侵食されにくい循環ポンプを用いて充填塔22の上部に戻す際に、ライン28を冷却器により冷却することが好ましい。これによって、得られるヨウ化水素ガス中の水分をより一層少なくすることができる。
充填塔22に充填する充填物としては、ヨウ素、ヨウ化水素およびヨウ化水素溶液に侵食されないか、または侵食されにくい材質であり、かつ精製溶液と粗ヨウ化水素ガスとの接触面積を増加させるものであれば、特に限定されるものではない。充填物の材質としては、具体的には、ハステロイ、各種セラミックおよびガラスなどを挙げることができる。また、充填物の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、球形状、円柱状(シリンダー状)および環状(リング状)などの形状を挙げることができる。充填物は、形状が同一のもののみを用いてもよいし、形状が異なるものを併せて使用してもよい。なお、充填塔の材質も、充填物の材質と同様に、ヨウ素、ヨウ化水素およびヨウ化水素溶液に侵食されないか、または侵食されにくい材質であることが好ましい。
充填塔22の大きさは、精製する粗ヨウ化水素ガスの量によって、適宜設定することが好ましい。また、使用する精製溶液の量、および流速についても使用する充填塔22の大きさ、すなわち精製する粗ヨウ化水素ガスの量に基づいて適宜設定することが好ましい。
なお、ヨウ化水素精製ユニット20は、充填塔22を用いる装置の他にも、例えば、バッチ式の精製槽を用いる装置の場合を挙げることができる。すなわち、例えばヨウ素などの不純物を含有する粗ヨウ化水素ガスを精製溶液を貯留している精製槽に吹き込む装置としてもよい。
この場合であっても、精製槽に吹き込まれた粗ヨウ化水素ガスに含まれるヨウ素などの不純物は、精製溶液に吸収されるため、煩雑な処理を行うことなく、容易に高純度のヨウ化水素ガスを得ることができる。
精製したヨウ化水素ガス中の水分をできるだけ少なくしたい場合には、精製槽を常に一定の温度以下に冷却する冷却装置を備えるようにするか、または予め冷却した精製溶液を用いることが好ましい。
なお、バッチ式の精製槽を用いる場合であっても、貯留槽に貯留する精製溶液の量、粗ヨウ化水素ガスを吹き込む速度および吹き込む量などは、精製する粗ヨウ化水素ガスの量によって適宜設定することができる。
また、ヨウ素などの粗ヨウ化水素ガスに含まれている不純物の精製溶液への溶解度には限度がある。したがって、充填塔22を用いる場合およびバッチ式の精製槽を用いる場合のいずれの場合であっても、例えばヨウ素などの不純物が過飽和状態となり、固体として析出するような状態となれば、新たな精製溶液と交換することが好ましい。このとき、精製溶液に溶解しているヨウ素は、濃縮し、固体ヨウ素として回収することが好ましい。なお、回収したヨウ素は、ヨウ化水素を生成する反応に再利用してもよい。
(ヨウ素化合物生成ユニット30)
ヨウ素化合物生成ユニット30は、ライン26を経て供給されたヨウ化水素ガスとライン38を経て供給された反応原料溶液とを接触させるヨウ素化合物生成塔32と、反応により得られた生成物を回収する回収槽34とを備えている。なお、本実施形態における「反応原料溶液」とは、実施形態1において説明した、無機塩基化合物水溶液、アルコール類含有溶液、および芳香族ジアゾニウム溶液を総称する用語である。また、実施形態1において説明したように、脂肪族ヨウ化物および芳香族ヨウ化物の製造は、ヨウ化水素溶液を用いてもよいが、本実施形態では、ヨウ化水素ガスを用いる場合を例に挙げて説明する。
ヨウ素化合物生成塔32には、上流からライン38を経て反応原料溶液が導入される。一方、ヨウ化水素ガスは、反応原料溶液の流路と直交するようにしてヨウ素化合物生成塔32に導入される。これらがヨウ素化合物生成塔32にて気液接触することにより、反応が引き起こされる。気液接触を効率よく行うには、ヨウ素化合物生成塔32にヨウ素、ヨウ化水素、およびヨウ化水素酸に侵食されにくい材質の充填物を充填することが好ましい。充填物の材質としては、ハステロイ、各種セラミック、ガラスなどを挙げることができ、また充填物の形状については球状、円柱状、環状などの形状を挙げることができる。得られたヨウ素化合物は、ライン36を経て回収槽34にて溶液として回収される。ヨウ素化合物生成塔32の外側には、反応系の温度を制御するために温度制御機構、例えば冷却機構が設けられていることが好ましい。
また、回収槽34に回収されたヨウ素化合物溶液から溶媒を留去することにより、目的とするヨウ素化合物を固体として得ることができる。溶媒の留去に用いるための装置としては、従来公知の装置を用いることができる。具体的には、エバポレータ、凍結乾燥機などを挙げることができる。
また、ヨウ素化合物生成ユニット30は、反応原料溶液が貯留されたタンクに、ヨウ化水素ガスを直接吹き込む構成としてもよい。なお、ヨウ化水素反応における残存ガス(場合によっては使用した不活性ガスも含む)は、ライン39よりヨウ素化合物製造システム100から系外へ取り出される。取り出された水素ガスは、ヨウ化水素反応において再利用してもよい。
(ヨウ素化合物製造システム100の材質)
ヨウ化水素精製ユニット20およびヨウ素化合物生成ユニットにおいて、ヨウ素、ヨウ化水素、およびヨウ化水素溶液に接触する部材は、ヨウ素、ヨウ化水素およびヨウ化水素酸により腐食されないか、または腐食されにくい材質からなることが好ましい。
このような材質としては、例えば、ハステロイ、ガラス、各種セラミック、メタルタンタル、白金、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンなどを挙げることができる。
ヨウ素化合物製造システム100における各ユニットの材質を上記の材質とすることによって、ヨウ素化合物製造システム100のヨウ素またはヨウ化水素による腐食を防止することができる。これによって、ヨウ素化合物製造システム100を長寿命化することができる。
また、ヨウ素化合物製造システム100における各ユニットのうち、特に原料調整ユニット1、およびヨウ化水素生成ユニット10は、ヨウ素およびヨウ化水素により腐食されないか、または腐食されにくいことに加えて、高温に対しての耐久性を有する材質からなることが好ましい。
具体的には、原料調整ユニット1は固体ヨウ素の溶融において最高で200℃程度に加熱されるため、200℃程度の温度に耐性を有する材質からなることが好ましい。このような材質としては、例えば、ハステロイ、ガラス、各種セラミック、メタルタンタル、白金、およびポリテトラフルオロエチレンなどを挙げることができる。
また、ヨウ化水素生成ユニット10は、ヨウ化水素の合成反応において350℃程度に加熱された混合ガスまたは粗ヨウ化水素ガスに曝されることになるため、350℃以上の温度に耐性を有する材質からなることが好ましい。
このような材質としては、例えば、ハステロイ、各種セラミック、耐熱ガラスおよび白金などを挙げることができる。
このように、耐熱性を有する材質を原料調整ユニット1およびヨウ化水素生成ユニット10の材質とすることによって、高温による各ユニットの劣化を抑制することができる。これによって、ヨウ素化合物製造システム100をより一層長寿命化することができる。
なお、原料調整ユニット1におけるヨウ素溶融釜4は、ヨウ素(液状またはガス状)と接触する表面を、ハステロイ、耐熱ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金およびポリテトラフルオロエチレンから選択される材質により、例えばライニング処理、またはコーティング処理してもよい。また、ヨウ化水素精製ユニット20およびヨウ素化合物生成ユニット30における充填塔22(または精製槽)、タンク24、およびヨウ素化合物生成塔32は、ヨウ素およびヨウ化水素と接触する表面を、ハステロイ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金、ポリ塩化ビニルおよびポリテトラフルオロエチレンから選択される材質により、例えばライニング処理、またはコーティング処理してもよい。さらに、ヨウ化水素生成ユニット10においてハステロイ、耐熱ガラス、セラミックおよび白金から選択される材質が使われるのはヨウ化水素生成塔12だけでよく、触媒層加熱器13には、上記材質を使用しなくてもよい。
また、各ユニットに接続されている各ラインについても、接続している各ユニットと同様の材質から成ることが好ましい。
なお、ヨウ素化合物製造システム100における各ラインは、ヨウ素が析出し、固化することによるラインの詰まりを防ぐために、ヨウ素およびヨウ化水素の露点温度以上に加熱されていることが好ましい。
(本製造システムおよび製造方法を用いる利点)
以上のように、本発明に係るヨウ素化合物の製造システムおよび製造方法は、ガス状ヨウ素と水素とを用いた気相接触還元反応において粗ヨウ化水素ガスを生成している。これによって、粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素を精製する際に、副生成物の除去などの煩雑な処理工程を不要とすることができる。これによって、高純度のヨウ化水素を簡便、かつ効率よく得ることができるとともに、製造に要するコストを削減することができる。また、このように得られたヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造すれば、多様なヨウ素化合物を容易に、かつ効率よく得ることができるとともに、製造したヨウ素化合物を廉価で提供することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得ることができる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例を示し、ヨウ素化合物の製造方法についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な様態が可能である。
〔実施例1〕
(固体ヨウ素の溶融)
本実施例では、ヨウ素溶融釜4として、ジャケット付きガラスライニングされた内容積2Lの容器を用いた。容器には、溶融ヨウ素液へ水素含有ガスを吹き込むための吹き込み管と、水素含有ガスおよびガス状ヨウ素の排出管とを設けた。
ヨウ素溶融釜4に、固体ヨウ素1.5kgをいれ、続いて、ジャケット内にシリコンオイルを通して固体ヨウ素を溶融し、溶融ヨウ素の温度が水素含有ガスを溶融ヨウ素内に吹き込まれた状態で120℃に維持されるようにした。次に、溶融した液体ヨウ素中に水素を450ml/分の量で供給し、75ml/分のガス状ヨウ素を得た。
なお、本実施例では、不足した供給ヨウ素を補えるように同様の固体ヨウ素溶融釜をもう一基並列にラインに組み込み、一定時間毎に切り替えて、接触還元反応を連続して実施できるようにした。
(混合ガスの調整)
得られた水素およびガス状ヨウ素の混合ガスを粒径3mmのガラス玉を充填した内径20mm、長さ50mmのハステロイ製円筒(ミキサー部8)に導入し、均一な混合ガスに調整した。
ミキサー部8の外部にはシーズヒータが備えられており、ミキサー部8内部における混合ガスの温度が200℃に保たれるようにした。なお、ミキサー部8とヨウ素溶融釜4を接続するラインは、ヨウ素の凝縮が起こらないように外部から保温した。
(接触還元反応)
ミキサー部8において調整した水素流量450ml/分、ガス状ヨウ素流量75ml/分の均一混合ガスをヨウ化水素生成部10において気相接触還元反応させ、ヨウ化水素を生成した。このとき用いた触媒は、粒径3mmの球状アルミナに白金を1g/L(担体1リットル当たりの担持量が1gであることを示す)を担持させた白金族触媒である。また、触媒は外部加熱型ハステロイ製円筒に充填して用いた。さらに、触媒の温度は350℃とした。なお、触媒層12aの入口部には、粒径5mmのガラス球を充填し、均一混合ガスの予熱を行った。
ここで、ヨウ化水素生成塔出口の粗ヨウ化水素ガスの一部を水に吸収させ、化学分析を用いて、生成したヨウ化水素および未反応のヨウ素の定量を行った。その結果、ヨウ素の転化率は98.0%であり、ヨウ化水素の収率は98.0%であり、未反応ヨウ素と生成ヨウ化水素との重量比は2/98であった。
この接触還元反応を100時間連続行った。その結果、ヨウ素転化率97.9%、ヨウ化水素収率97.9%であり、触媒の活性は安定に保たれた。
(未反応ヨウ素除去処理)
20mlの充填管にリング状の磁性充填物を充填した縦型ガラス吸収管を用意し、ポンプを用いて飽和ヨウ化水素水溶液をガラス吸収管の上部から下部へと流下するように循環させた。なお、飽和ヨウ化水素水溶液の流速度は、50ml/分とした。次いで、接触還元反応により得られた粗ヨウ化水素ガスをガラス吸収管の上部から導入し、並流気液接触させて、未反応ヨウ素を飽和ヨウ化水素水溶液に吸収させた。ガラス吸収管からの排出ガスの一部を水に吸収させ、化学分析を用いてヨウ素とヨウ化水素の量を定量した。
その結果、ヨウ素の転化率は98.0%であり、ヨウ化水素の収率は98.0%であり、未反応ヨウ素と生成ヨウ化水素との重量比は0.01/99.99であった。これによって、未反応のヨウ素を粗ヨウ化水素ガスから十分に除去することができることが確認された。
(ヨウ素化合物の製造)
本実施例では、バッチ式の装置を用いてヨウ化カリウムの製造を実施した。200mlの四つ口フラスコに、純度96重量%の水酸化カリウムを用いて調整した48重量%の水酸化カリウム水溶液20.1g、およびイオン交換水100gを用意した。そして、この四つ口フラスコに精製したヨウ化水素ガスを吹き込み、ヨウ化水素と水酸化カリウムとを中和反応させた。ヨウ化水素ガスの吹き込みは、反応液のpH値をpHメーター計を用いて追跡しながら行い、反応水溶液のpH値が5.72になったところで終了し、高純度のヨウ化カリウム水溶液を製造した。
得られたヨウ化カリウムの純度を確認するため、反応液を回転エバポレータにより全濃縮し、次いで、十分乾燥させて固体のヨウ化カリウムとして取り出した。分析の結果、純度は99.8重量%であった。
〔比較例1〕
1Lフラスコにヨウ素200gを取り、47.6%の水酸化カリウム水溶液92.9g、イオン交換水20.5gを加え、ヨウ素を溶解した。これに87.1%ギ酸水溶液43.7gを少量ずつ添加した。2時間かけて全てのギ酸水溶液を添加し、反応液が発泡しなくなった後、加熱しつつ1時間攪拌し、反応を行った。反応後、活性炭の層に溶液を通し、未反応のギ酸を吸着させてヨウ化カリウムの水溶液を得た。
得られたヨウ化カリウムの純度を調べるために、ヨウ化カリウム水溶液を全量濃縮し、結晶を析出させ乾燥した。その純度は99.5%であった。
比較例1の製造方法では、還元反応にギ酸を使用しているが、ギ酸による還元反応は反応速度が遅いため、反応の完結、すなわちヨウ化カリウムの製造には時間を要した。一方、実施例1に示すヨウ化水素と水酸化カリウムとの中和反応は反応速度が速いため、反応の完結には時間を要さなかった。すなわち、比較例1の方法の生産性は実施例1に比べて極めて低くなることが確認された。
また、ギ酸による還元反応は、反応速度が遅いことから、製造装置をバッチ式にせざるをえない。なお、実施例1では比較例1との比較のために、ヨウ化カリウム水溶液の製造方法をバッチ式で例示したが、ヨウ素化合物生成塔内に充填物を充填して気液接触効率を良くし、水酸化カリウム水溶液の濃度や供給速度を調整し、反応液のpH値を管理することにより、ヨウ化カリウム水溶液を連続的に製造することもできる。このような連続式製造方法では、バッチ式よりもヨウ化カリウム水溶液の生産性が更に向上させることができる。
〔実施例2〕
(ヨウ化水素含有ガスの生成方法)
水素流量450ml/分、ガス状ヨウ素流量75ml/分の混合ガスを、350℃に加熱した、粒径3mmの球状アルミナに担体1Lあたり1gの白金を担持させた白金族触媒に接触させ、ヨウ化水素含有ガス(粗ヨウ化水素ガス)を生成した。なお、ヨウ化水素含有ガスにおける未反応ヨウ素と生成したヨウ化水素との重量比は、2/98であった(残りは水素ガスであった)。
(ヨウ化水素含有ガスの精製)
20mlの充填管にリング状の磁性充填物を充填した縦型ガラス吸収管(以下、単に吸収管とも称する)を用意し、ポンプを用いて飽和ヨウ化水素水溶液を吸収管の上部から下部へと流下するように循環させた。なお、飽和ヨウ化水素水溶液の流速度は、50ml/分とした。次いで、生成したヨウ化水素含有ガスを吸収管の下部から導入し、未反応ヨウ素を飽和ヨウ化水素水溶液に吸収させた。
(ヨウ化水素に含有されるヨウ素濃度の測定)
吸収管を通過した後のヨウ化水素含有ガス(すなわち、ヨウ化水素)は、水に吸収させ、水溶液として回収した。回収したヨウ化水素の水溶液中のヨウ素量およびヨウ化水素量は、それぞれチオ硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム水溶液による滴定分析によって測定した。
その結果、ヨウ化水素水溶液に含有されているヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった。これによって、高純度のヨウ化水素を、極めて容易に、かつ効率よく得ることができることが示された。
〔参考例3〕
(ヨウ化水素含有ガスの生成方法)
300mlの四つ口フラスコに水(100g;5.556mol)、赤リン(9g;0.290mol)を入れ、撹拌しながら0℃に冷却した。そこに、ヨウ素(200g;0.788mol)を4回に分けて加え、2時間反応させてヨウ化水素を合成した。次に、常圧下において、四つ口フラスコ内に窒素ガスを30ml/分で流しながら加熱し、常圧下におけるヨウ化水素と水との共沸組成(重量比)である57.6%に対して過剰なヨウ化水素をヨウ化水素含有ガスとして発生させた。
発生させたヨウ化水素含有ガスを水に吸収させ、ヨウ化水素含有ガスにおけるヨウ素量とヨウ化水素量とをそれぞれチオ硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムによる滴定分析によって測定した。結果として、ヨウ化水素含有ガスにおけるヨウ素とヨウ化水素との比は、0.9/99.1であった。
(ヨウ化水素含有ガスの精製)
20mlの充填管にリング状の磁性充填物を充填した縦型ガラス吸収管(以下、単に吸収管とも称する)を用意し、ポンプを用いて飽和ヨウ化水素水溶液を吸収管の上部から下部へと流下するように循環させた。なお、飽和ヨウ化水素水溶液の流速度は、50ml/分とした。次いで、生成したヨウ化水素含有ガスを吸収管の下部から導入し、未反応ヨウ素を飽和ヨウ化水素水溶液に吸収させた。
(ヨウ化水素に含有されるヨウ素濃度の測定)
吸収管を通過した後のヨウ化水素含有ガス(すなわち、ヨウ化水素)は、水に吸収させ、水溶液として回収した。回収したヨウ化水素の水溶液中のヨウ素量およびヨウ化水素量は、それぞれチオ硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム水溶液による滴定分析によって測定した。
その結果、ヨウ化水素水溶液に含有されているヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった。これによって、高純度のヨウ化水素を、極めて容易に、かつ効率よく得ることができることが示された。
〔実施例4〕
飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水からアセトンに変更した以外は、実施例2と同様の方法を用いてヨウ化水素を製造し、製造したヨウ化水素を水に溶解して得ることができるヨウ化水素水溶液に含有されているヨウ素の量を測定した。
結果として、ヨウ化水素に含有されるヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった。これによって、高純度のヨウ化水素を、極めて容易に、かつ効率よく得ることができることが示された。
〔実施例5〕
飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水から10重量%のヨウ化カリウムを含有した飽和ヨウ化水素水溶液に変更した以外は、実施例2と同様の方法を用いてヨウ化水素を製造し、製造したヨウ化水素を水に溶解して得ることができるヨウ化水素水溶液に含有されているヨウ素の量を測定した。
結果として、ヨウ化水素に含有されるヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった。これによって、高純度のヨウ化水素を、極めて容易に、かつ効率よく得ることができることが示された。
〔実施例6〕
飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水からテトラヒドロフランに変更した以外は、実施例2と同様の方法を用いてヨウ化水素を製造し、製造したヨウ化水素を水に溶解して得ることができるヨウ化水素水溶液に含有されているヨウ素の量を測定した。
結果として、ヨウ化水素に含有されるヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった。これによって、高純度のヨウ化水素を、極めて容易に、かつ効率よく得ることができることが示された。
〔実施例7〕
飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水からトルエンに変更した以外は、実施例2と同様の方法を用いてヨウ化水素を製造し、製造したヨウ化水素を水に溶解して得ることができるヨウ化水素水溶液に含有されているヨウ素の量を測定した。
結果として、ヨウ化水素に含有されるヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった。これによって、高純度のヨウ化水素を、極めて容易に、かつ効率よく得ることができることが示された。
〔比較例2〕
飽和ヨウ化水素溶液を、イオン交換水に変更した以外は、実施例2と同様の方法を用いてヨウ化水素を製造した。ヨウ化水素に含有されるヨウ素とヨウ化水素との比は、ヨウ化水素含有ガスを吸収管に導入してから1時間後のイオン交換水中に含まれるヨウ素量と、ヨウ化水素量とを実施例2と同様の方法によって測定し、算出した。
結果として、ヨウ化水素に含有されるヨウ素とヨウ化水素との比は、2/98であった。すなわち、ヨウ化水素の純度に変化はみられなかった。
以上説明したように、本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、ガス状ヨウ素と水素とを用いた気相接触還元反応において粗ヨウ化水素ガスを生成している。これによって、粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素を精製する際に、副生成物の除去などの従来の煩雑な処理工程を不要とすることができる。したがって、高純度のヨウ化水素を簡便、かつ効率良く得ることができるとともに、製造に要するコストを削減することができる効果を奏する。
また、このように得られたヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造することによって、ヨウ素化合物を容易に、かつ効率よく得ることができるとともに、ヨウ素化合物の価格を廉価とすることができる効果を奏する。
さらに、本明細書等では、ヨウ化水素含有ガスと、当該ヨウ化水素含有ガスに含有されるヨウ化水素以外の物質を溶解するが、ヨウ化水素を溶解しない精製用溶液とを気液接触させることによって、ヨウ化水素含有ガスからヨウ化水素を精製している。これによって、ヨウ化水素含有ガスに含まれるヨウ化水素をほとんど損失することなく、高純度のヨウ化水素を得ることができる効果を奏する。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明に係るヨウ素化合物製造システムは、高純度のヨウ素化合物を簡便に、かつ効率良く、さらには廉価に製造することができる。そのため、本発明に係る製造システムによって得られた高純度のヨウ素化合物は、それを原料とする様々な反応において、好適に利用することができる。
また、本発明に係るヨウ化水素の製造方法では、高純度のヨウ化水素を高効率に製造することができるため、ヨウ化水素の工業生産に好適である。また、得られた高純度のヨウ化水素またはヨウ化水素酸は、ヨウ化水素またはヨウ化水素酸を用いたさらなる反応にも非常に好適に適用することができる。

Claims (27)

  1. ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物製造システムであって、
    水素ガスとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で接触させることにより生成される粗ヨウ化水素ガスに対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含有されるヨウ化水素以外の物質を溶解し、かつ、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液を接触させることにより、ヨウ化水素ガスを得る精製器を備えたヨウ化水素精製ユニットを備えていることを特徴とするヨウ素化合物製造システム。
  2. 固体ヨウ素を溶融し、液化させた液状ヨウ素を貯留するヨウ素貯留槽、および、水素を含む水素含有ガスを供給する水素供給器を備えた原料調整ユニットであって、上記ヨウ素貯留槽に貯留されている液状ヨウ素および当該液状ヨウ素を気化させることにより得られるガス状ヨウ素の少なくともいずれかに対して、上記水素供給器から供給される水素含有ガスを供給することにより、ガス状ヨウ素および水素を含む混合ガスを得る原料調整ユニットと、
    上記原料調整ユニットにおいて得られた混合ガスを粗ヨウ化水素ガスとする触媒からなる触媒部を有するヨウ化水素生成器を備えたヨウ化水素生成ユニットと、
    上記ヨウ化水素精製ユニットにおいて得られたヨウ化水素ガスと、当該ヨウ化水素ガスに対して反応性を有する反応原料とを接触させることにより、ヨウ素化合物を生成するヨウ素化合物生成器備えたヨウ素化合物生成ユニットと、
    をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のヨウ素化合物製造システム。
  3. 上記ヨウ素貯留槽は、当該ヨウ素貯留槽を加熱するヨウ素貯留槽加熱器を備えていることを特徴とする請求項2に記載のヨウ素化合物製造システム。
  4. 上記ヨウ化水素生成ユニットは、上記触媒部を加熱する触媒部加熱器を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載のヨウ素化合物製造システム。
  5. 上記ヨウ化水素精製ユニットは、上記粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を循環させる循環機構を備えており、
    上記循環機構は、上記精製器に戻される上記精製溶液を冷却する冷却器を備えていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  6. 上記ヨウ素化合物生成器には、上記反応原料溶液を流す流路が設けられているとともに、上記流路に上記ヨウ化水素ガスを導入するガスノズルが接続されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  7. 上記原料調整ユニットは、上記混合ガスにおける上記ガス状ヨウ素と上記水素との組成を均一とするガス混合器をさらに備えていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  8. 上記原料調整ユニットは、上記混合ガスを加熱する混合ガス加熱器をさらに備えていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  9. 上記混合ガス加熱器は、上記混合ガスにおける上記ガス状ヨウ素と上記水素との組成を均一とするガス混合器に備えられていることを特徴とする請求項8に記載のヨウ素化合物製造システム。
  10. 上記混合ガスを加熱する混合ガス加熱器および上記混合ガスにおける上記ガス状ヨウ素と上記水素との組成を均一とするガス混合器、上記ヨウ化水素生成器に備えられていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  11. 上記原料調整ユニットの少なくともヨウ素との接触面の材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金、およびポリテトラフルオロエチレンから選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  12. 上記ヨウ化水素生成ユニットのヨウ化水素およびヨウ素との接触面の材質は、ハステロイ、耐熱ガラス、セラミック、および白金から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  13. 本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユニットおよび上記ヨウ素化合物生成ユニットの材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金、ポリ塩化ビニル、およびポリテトラフルオロエチレンから選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
  14. 上記ヨウ化水素精製ユニットにおける精製器は、充填物を充填した充填塔を備えており、当該充填塔には、上記粗ヨウ化水素ガスおよび当該粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を導入する導入口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヨウ素化合物製造システム。
  15. 上記ヨウ化水素精製ユニットにおける精製器は、上記粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を貯留する精製槽と、当該精製槽に上記粗ヨウ化水素ガスを供給する供給器と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のヨウ素化合物製造システム。
  16. ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物製造方法であって、
    水素ガスとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で接触させることにより生成される粗ヨウ化水素ガスに対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含有されるヨウ化水素以外の物質を溶解し、かつ、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液を接触させることにより、ヨウ化水素ガスを得るヨウ化水素精製工程を含むことを特徴とするヨウ素化合物製造方法。
  17. 上記ヨウ化水素精製工程における精製溶液は、飽和ヨウ化水素溶液であることを特徴とする請求項16に記載のヨウ素化合物製造方法。
  18. 上記飽和ヨウ化水素溶液の溶媒は、水、ケトン類、エーテル類、アルコール類、および芳香族化合物の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項17に記載のヨウ素化合物製造方法。
  19. 上記ヨウ化水素精製工程では、充填物を充填した充填塔内において、上記粗ヨウ化水素ガスと上記精製溶液とを気液接触させることを特徴とする請求項16から18のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造方法。
  20. 上記ヨウ化水素精製工程では、上記粗ヨウ化水素ガスを上記精製溶液中に吹き込むことにより気液接触させることを特徴とする請求項16から18のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造方法。
  21. 上記触媒は、少なくとも1種類以上の白金族元素を酸化物および活性炭の少なくともいずれか一方に分散担持させたものであることを特徴とする請求項16から20のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造方法。
  22. 固体のヨウ素を加熱して得られる液状ヨウ素に、当該液状ヨウ素に対して不活性なガスおよび水素の少なくともいずれかを含むガスを接触させ、ガス状ヨウ素を得るガス状ヨウ素生成工程と、
    上記ガス状ヨウ素および水素を含む混合ガスを上記触媒存在下で接触還元させ、粗ヨウ化水素ガスを生成するヨウ化水素生成工程と、
    上記ヨウ化水素精製工程において得られたヨウ化水素ガスを用いて、ヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物生成工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のヨウ素化合物製造方法。
  23. 上記混合ガス中のガス状ヨウ素に対する水素のモル比を、上記ヨウ化水素生成工程の前までに、0.5〜10の範囲内とすることを特徴とする請求項22に記載のヨウ素化合物製造方法。
  24. 上記ヨウ素化合物生成工程では、無機塩基化合物溶液に対して、上記ヨウ化水素ガスを接触させることを特徴とする請求項22または23に記載のヨウ素化合物製造方法。
  25. 上記ヨウ素化合物生成工程において得られる無機ヨウ化物溶液を乾燥する乾燥工程をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のヨウ素化合物製造方法。
  26. 上記ヨウ素化合物生成工程では、アルコール類含有溶液または芳香族ジアゾニウム溶液に対して、上記ヨウ化水素ガスまたは上記ヨウ化水素ガスを溶質とする溶液を接触させることを特徴とする請求項22から25のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造方法。
  27. 上記ヨウ素化合物生成工程において得られる有機ヨウ化物溶液を精製する有機ヨウ化物精製工程をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載のヨウ素化合物製造方法。
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