JPH1087301A - エッチング用ガスおよびその製造方法 - Google Patents

エッチング用ガスおよびその製造方法

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JPH1087301A JP23748196A JP23748196A JPH1087301A JP H1087301 A JPH1087301 A JP H1087301A JP 23748196 A JP23748196 A JP 23748196A JP 23748196 A JP23748196 A JP 23748196A JP H1087301 A JPH1087301 A JP H1087301A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子デバイス製造分野において有用なドライ
エッチング用ガス、およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 水分含有量が1重量ppm 以下であって、
かつヨウ化水素濃度99.9重量%以上のガスからなるもの
である。また、その製法としては、ヨウ素の水素化反応
により生成した粗ヨウ化水素ガスを0〜−35℃に冷却
し、生じた凝縮物および/または固化物をガスより除去
した後、ゼオライトと接触させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種半導体または
液晶等の電子デバイス製造分野において極めて有用なド
ライエッチング用ガス、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ヨウ化水素は各種電子デバイス製
造分野における好適なドライエッチング用ガスになり得
るものとして注目視されている。しかしながら、従来公
知の製法、たとえばヨウ素とリンまたはリン化合物との
反応、または水素とヨウ素との直接反応により得られた
ヨウ化水素をそのままエッチング用ガスとして用いた場
合は、エッチング装置もしくは設備における排ガスライ
ンや排気ポンプ、またはエッチングチャンバーなどの接
ガス部分に腐食を生じさせてみたり、あるいはプラズマ
エッチング時に、放電開始からエッチング開始までの時
間(以下、この時間を誘導期間という)の遅れが大き
く、プラズマが安定せずエッチング時間が長くなって生
産性を悪化させるという問題が見られた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のドラ
イエッチング用ガスに見られるような上記した欠点を改
善し、装置または設備に対して腐食を与えることが極め
て少なく、また、誘導期間もより短くすることが可能な
エッチング用ガス、およびその製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはヨウ化水素
中に含まれる不純物、特に水分に注目して鋭意研究を重
ねてきた結果、純度99.9重量%以上からなるヨウ化水素
であって、しかも特に水分含有量を1重量ppm 以下とし
たものからなるガスをエッチング用ガスとして使用した
場合は、極めて顕著に前記した目的が達成されるもので
あることを見出した。また、このようなエッチング用ガ
スの製法についても更なる研究を重ね、本発明を完成す
るに到った。
【0005】すなわち、本発明は、水分含有量が1重
量ppm 以下であって、かつヨウ化水素濃度99.9重量%以
上のガスからなることを特徴とするエッチング用ガス、
水分含有量が1重量ppm 以下であって、かつヨウ化水
素濃度99.9重量%以上のガスからなることを特徴とする
SnO2 、In2 3 またはZnOを主成分とした透明
導電性膜のドライエッチング用ガス、水分含有量が1
重量ppm 以下であって、かつヨウ化水素濃度99.9重量%
以上のガスからなることを特徴とするシリコン系、ガリ
ウム系、銅系またはインジウム系半導体用のドライエッ
チング用ガス、ヨウ素の水素化反応により生成した粗
ヨウ化水素ガスを0〜−35℃に冷却し、生じた凝縮物お
よび/または固化物をガスより除去した後、次いでゼオ
ライトと接触させることを特徴とする、上記〜、い
ずれかに記載のエッチング用ガスの製造方法、粗ヨウ
化水素ガスを0〜−35℃に冷却する前に、一旦該粗ヨウ
化水素ガスの温度を2〜30℃とし、液化物を分離してお
くことを特徴とする、上記に記載のエッチング用ガス
の製造方法、および、粗ヨウ化水素が、ヨウ素とテト
ラリンとの反応により生成したものである、上記また
はに記載のエッチング用ガスの製造方法を開示するも
のである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるヨウ化水素
は、通常、ヨウ素を各種還元剤を用い還元することによ
り得られるものであり、特に製法を限定するものではな
いが、好ましくはヨウ素をテトラリンにより還元する方
法が挙げられる。すなわち、この方法によれば触媒は必
要とすることがなく、また、各種金属、リンあるいは水
などといった不純物含有も通常は極めて少なく、比較的
純度のよいヨウ化水素を収率よく発生させることができ
るからである。
【0007】ヨウ素とテトラリンとの反応によりヨウ化
水素を発生させる方法においては、通常は常圧付近の圧
力にて 120〜210 ℃程度に加熱してあるテトラリン中に
ヨウ素を徐々に、または分割して添加しながら反応させ
ることにより、無用なヨウ素蒸気を発生させることもな
く比較的高収率にてヨウ化水素を発生させることができ
る。
【0008】上記した方法のうちでも特に、原料テトラ
リンを予め (10〜40) : (90〜60)の重量比で二つに分
け、この少量の方のテトラリンを 120℃〜沸点(210℃程
度)、より好ましくは 150℃〜沸点(210℃程度) の範囲
に保持しておき、この中に、他方のテトラリンにヨウ素
濃度20〜40重量%程度(飽和溶液またはそれ以下の濃
度)になるようにヨウ素を溶解させたものを添加し、反
応を行わせるという方法を採用する場合はさらに好まし
い態様となり、上記した方法にも増し、とりわけ純度の
よいヨウ化水素を収率よく得ることが可能である。
【0009】本発明では、上記に例示したような方法に
より得られる粗ヨウ化水素ガスを、好ましくは温度2〜
30℃としてガス中に含まれるテトラリンおよびナフタレ
ンなどを液化し分離した後、−35〜0℃、より好ましく
は−35〜−10℃の温度に冷却し、これにより生ずる凝縮
物および/または固化物を分離し、次いでゼオライトと
接触させることにより、エッチングガスの用途として好
適なヨウ化水素を得ることができる。上記において冷却
温度が0℃より高い温度ではヨウ化水素ガス中に含まれ
る水分を1重量ppm 以下とすることが極めて困難であ
り、また、−35℃よりも低温に冷却するような場合はヨ
ウ化水素ガス自体も液化するようになって、高純度のヨ
ウ化水素ガスの収率が極めて悪化してしまい、いずれも
本発明の目的としたことを達成することが非常に難しく
なる。
【0010】上記本発明のエッチング用ガスの製造方法
で用いるゼオライトは、平均細孔径が3〜5ÅであるA
型ゼオライトを用いるのが好ましい。また、使用される
ゼオライトは硫黄分などの不純物を含有している可能性
もあるため、予めヨウ化水素と接触させて硫化水素に転
化し、除去しておくことが好ましい。このゼオライト中
の硫黄分を除去する際に必要とするヨウ化水素の量は、
通常、ゼオライトの量に対して少なくとも1/3(重量
比)以上を用いて行うのが好ましい。
【0011】本発明では上記方法により、水分含有1重
量ppm 以下でかつ純度99.9重量%以上という極めて高純
度のヨウ化水素ガスが容易に得られるが、さらには目開
き 0.5μm以下のフィルターを通してゼオライト層から
同伴する可能性のある微粉を完全に除去するようにして
おくことがより好ましい。
【0012】このようにして製造される高純度ヨウ化水
素ガスは、そのままか、若しくは必要に応じて液化され
てボンベに充填された後、SnO2 、In2 3 あるい
はZnOを主成分とした透明導電性膜のドライエッチン
グ用ガスとして、または、シリコン系、ガリウム系、銅
系あるいはインジウム系半導体用のドライエッチング用
ガスなどとして好適に用いることができる。
【0013】ちなみに、本発明者らの研究によれば、ヨ
ウ化水素中に存する水分が1重量ppm を越えるものをエ
ッチング用に用いる場合は、該エッチング装置または設
備に対して腐食を与えることが急激に大きくなるもので
あることから、本発明の目的としたことを達成すること
は非常に困難であり、またヨウ化水素の純度が99.9重量
%未満にある場合は、エッチングの再現性が通常得られ
なくなり、実用的には極めて不適当である。
【0014】また、本発明のエッチング用ガスの製造方
法によれば、ヨウ素の還元反応により生ずるヨウ化水素
をそのままゼオライトに接触させるのではなく、一旦、
0〜−35℃の温度範囲におき、生ずる凝縮物および/ま
たは固化物をガス中より除去するとした態様を採用して
いるため、ゼオライトのライフも大幅に延長させること
が可能となっており、この点も本発明の大きな特徴であ
る。
【0015】本発明のエッチング用ガスの使用方法につ
いては特に制限はなく、既知のエッチングガスとほぼ同
様に適用することができ、たとえば、アルゴンまたはヘ
リウムなどのような不活性ガスと混合することによって
も、エッチング用ガスとして供することが可能である。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例および各種試
験例により、さらに詳細に説明する。以下において、%
およびppm は全て重量基準の値である。
【0017】実施例1 500mlのフラスコにテトラリン 160gおよびフレーク状
の固体ヨウ素40gを入れ、40℃にて溶解してヨウ素のテ
トラリン溶液を調製した。これとは別に他の 500mlのフ
ラスコにテトラリン40gを入れ、撹拌下、 200℃に加熱
して温度を維持しながら、これに上記にて調製したヨウ
素溶液を2時間かけて連続的に添加し、反応させた。上
記反応により発生する粗ヨウ化水素ガスをコンデンサー
にて5℃に降温し、同伴するテトラリンを分離した後、
第一のコールドトラップにて−30℃に冷却し、次いでゼ
オライト(モレキュラーシーブ4A)50gを充填したガ
ラス製カラム(内径25mm)中を通過させ、さらに目開き
0.1μmのフィルターを通過させた後、最終的には第二
のコールドトラップにて−45℃まで冷却し、全量を液化
して精ヨウ化水素39.5gを得た。収率は98.0%であっ
た。このものの融点は−50.8℃、沸点は−35.4℃であ
り、また、質量分析計による測定およびヨウ素の態別分
析法によりヨウ化水素の分析を行ったところ、その純度
は99.9%以上であった。また、露点計を用い露点の測定
から得られた水分濃度は0.05ppm であった。
【0018】比較例1 実施例1において、第一のコールドトラップにて冷却す
る温度を、3℃として行った以外は全て同様に操作し、
ヨウ化水素40.5g(収率 101%相当)を得た。このもの
のヨウ化水素の純度は97.5%であり、露点の測定から得
られる水分濃度は 0.8ppm であった。また、ガスクロマ
トグラフィーによるガス中の成分分析では、テトラリン
2%およびナフタレン 0.5%が検出された。
【0019】比較例2 実施例1において、第一のコールドトラップにて冷却す
る温度を、−40℃として行った以外は全て同様に操作
し、ヨウ化水素15.3g(収率37.9%)を得た。この場
合、第一のコールドトラップには不純物のみではなくヨ
ウ化水素も液化して溜まってしまっており、高純度のヨ
ウ化水素を収率よく得ることは不可能であった。
【0020】比較例3〜5 従来公知のヨウ化水素の製造方法として、Mellorらによ
るリンまたはリン化合物を還元剤として使用する方法
(j.w.Mellor編,Mellors Comprehensive Treatise or I
norganic and Theoretical Chemistry,Supplement2 Par
t1,p170,1960)により得られたヨウ化水素(比較例
3)、ヨウ素の懸濁液と硫化水素の反応でヨウ化水素酸
を作り、これを脱水する方法(ものをきれいにする方
法,「物性」編集委員会,p65,1965 )により得られたヨ
ウ化水素(比較例4)、およびBrauerによる白金触媒を
用いた水素/ヨウ素の直接反応(E.R.Caley,M.G.Burfor
al,Inorganic Synthesis,Vol1,p159,1939 )により得ら
れたヨウ化水素(比較例5)を各々、実施例1記載同
様、露点計による露点の測定から水分濃度を求め、それ
らを実施例1記載により得られるヨウ化水素と比較し
た。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】 上記表1からも明らかな通り、従来の公知の製法により
得られるヨウ化水素は比較的大量な水分を含むのに対
し、本発明の製法により得られるヨウ化水素は極めて含
有水分の少ないものであることがわかる。
【0022】・ステンレス鋼に対する腐食試験 JIS−SUS304からなるステンレス鋼のテストピ
ースを用い、実施例1により得られた本発明のヨウ化水
素ガス、および上記比較例3〜5で得られたヨウ化水素
ガスをそれぞれオートクレーブ中に4kg/cm2 G となる
圧力で封入し、温度60℃のもとで1カ月間腐食試験を行
った。この試験では腐食の速度をそれらテストピースに
おける重量変化から求め、得られた結果を表2に示す。
【0023】
【表2】 上記からも明らかなように、従来の公知の製法により得
られるヨウ化水素は実用上耐えられないほどの腐食を起
こしてしまうのに対し、本発明のヨウ化水素は腐食を与
えることが格段に小さいものであり、非常に優れた性能
をもつものであることがわかる。ちなみに「ある程度の
腐食」とは、Corrosion Guid,1968 によれば 0.125mm/
年以上の数値をいうものとされている。
【0024】・エッチング試験 表面に厚さ 150μmのITO(Indium Tin Oxide)から
なる透明導電性膜とSiO2 からなる下地膜を成膜し
た、縦 360mm×横 485mm×厚さ 1.0mmのガラス性基板を
被加工物としてエッチング装置(平衡平板型ドライエッ
チング装置)にセットした。このときエッチングチャン
バー内の上部電極と基板の間に、 150mmのギャップを設
定した。エッチングチャンバーを真空排気により0.1mTo
rrとして基板温度を60℃とした後、エッチングチャンバ
ー内にガス導入系より、本発明の実施例1で得られたヨ
ウ化水素、および従来公知の方法である前記比較例3,
4,5で得られたヨウ化水素を用いてそれぞれを、圧力
50mTorr 、流速 350sccmの条件で導入し、高周波プラズ
マ中で透明導電膜のエッチングを行った。その結果を表
3に示す。
【0025】
【表3】 (注1)・・・プラズマ不安定のため、 110秒でエッチングを中止したことを示す 。 上記表3からも明らかなように、従来公知の製法により
得られるヨウ化水素に比し、本発明のガスでは非常に誘
導期間が短く、優に20秒以上の時間をも短縮することを
可能とするものであり、非常に優れた生産性を有する。
なお、このような結果は、被エッチング物がZnO系の
透明導電膜やシリコン、ガリウム、銅、インジウムおよ
びそれらの合金でもほぼ同様に得られ、同じように誘導
期間の短縮が見られた。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明に記載のエッチン
グ用ガスを用いる場合は、エッチング装置もしくは設備
における配管やポンプ、またはエッチングチャンバー等
の接ガス部分に腐食を与えることが極めて少なく、さら
には誘導期間も顕著に短縮することができ、生産性を大
きく向上させることを可能とするものである。また、本
発明のエッチング用ガスの製造方法によれば、上記作用
を生むために必要な、水分含有量が1重量ppm 以下であ
ってかつヨウ化水素濃度99.9重量%以上とした条件を十
分に満足するガスを容易に得ることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分含有量が1重量ppm 以下であって、
    かつヨウ化水素濃度99.9重量%以上のガスからなること
    を特徴とするエッチング用ガス。
  2. 【請求項2】 水分含有量が1重量ppm 以下であって、
    かつヨウ化水素濃度99.9重量%以上のガスからなること
    を特徴とするSnO2 、In2 3 またはZnOを主成
    分とした透明導電性膜のドライエッチング用ガス。
  3. 【請求項3】 水分含有量が1重量ppm 以下であって、
    かつヨウ化水素濃度99.9重量%以上のガスからなること
    を特徴とするシリコン系、ガリウム系、銅系またはイン
    ジウム系半導体用のドライエッチング用ガス。
  4. 【請求項4】 ヨウ素の水素化反応により生成した粗ヨ
    ウ化水素ガスを0〜−35℃に冷却し、生じた凝縮物およ
    び/または固化物をガスより除去した後、次いでゼオラ
    イトと接触させることを特徴とする、請求項1〜3、い
    ずれかに記載のエッチング用ガスの製造方法。
  5. 【請求項5】 粗ヨウ化水素ガスを0〜−35℃に冷却す
    る前に、一旦該粗ヨウ化水素ガスの温度を2〜30℃と
    し、液化物を分離しておくことを特徴とする、請求項4
    に記載のエッチング用ガスの製造方法。
  6. 【請求項6】 粗ヨウ化水素が、ヨウ素とテトラリンと
    の反応により生成したものである、請求項4または5に
    記載のエッチング用ガスの製造方法。
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