JP2020079204A - メタノールの製造装置及びメタノールの製造方法 - Google Patents

メタノールの製造装置及びメタノールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機成分を含む原料から効率よくメタノールを製造する製造装置を提供すること。【解決手段】触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する反応器16を備えるメタノールの製造装置100を提供する。原料は炭酸ジメチルとギ酸メチルとを含有し、触媒は銅を含有する。【選択図】図1

Description

本開示は、メタノールの製造装置及びメタノールの製造方法に関する。
炭酸エステルは、芳香族ポリカーボネート及び医農薬等の合成原料として有用な化合物である。シュウ酸エステルも、グリコール類、染料中間体、及び医薬などの合成原料として有用な化合物である。従来から、これらの化合物を連続的に量産するためのプロセスが提案されている。
炭酸エステルを連続的に製造するプロセスとしては、白金族金属系固体触媒の存在下、一酸化炭素と亜硝酸エステルとを用い、気相反応によって合成を行うプロセスが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプロセスでは、炭酸エステルを、以下の反応式(i)によって得ることができる。
CO+2RONO → ROC(=O)OR+2NO (i)
式(i)の反応で得られるNOは、反応器(再生塔)において、下記の式(ii)によってアルコールと反応して、亜硝酸エステルを生成する。この反応で得られた亜硝酸エステルを再利用するとともに、一酸化炭素を新たに供給することによって、炭酸エステルを連続的に製造することができる。シュウ酸エステルも、同様のプロセスで連続的に製造することができる(例えば、特許文献2参照)。このように、炭酸エステル及びシュウ酸エステルは、窒素分を循環使用しつつ、アルコールと一酸化炭素を消費して製造される。
2NO+1/2O+2ROH → 2RONO+HO (ii)
上述のプロセスでは、特許文献1に示されるように、副反応によって副生物が生成する。これらの副生物を蒸留等によって炭酸エステル又はシュウ酸エステルから分離して、所定の純度を有する炭酸エステル及びシュウ酸エステルが得られる。
国際公開第2016/104758号 国際公開第2013/150840号
炭酸ジメチル及びシュウ酸ジメチルのプロセスでは、メタノールが消費される。また、メタノールは基礎化学原料であるとともに燃料に用いることも検討されている。このため、効率よくメタノールを製造する技術を確立することが求められている。一方で、特許文献1,2等のプロセスにおいて、炭酸ジメチル又はシュウ酸ジメチルの純度を高くするために蒸留を行うと、副生物を含む有機物の混合物が留出する。このように複数の有機成分を含む留出物は、通常廃棄処理されている。また、特許文献1,2等のプロセスに限らず、化学品のプラント等においても、有機成分を含む留出物は、廃棄処理される場合がある。
そこで、本発明は、有機成分を含む原料から効率よくメタノールを製造する製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一つの側面において、触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する反応器を備えるメタノールの製造装置であって、上記原料は炭酸ジメチルとギ酸メチルとを含有し、上記触媒は銅を含有するメタノールの製造装置を提供する。
上記製造装置では、銅を含有する触媒の存在下で、炭酸ジメチルとギ酸メチルとを含有する原料と水素とを反応させている。上記触媒は、炭酸ジメチルとギ酸メチルを水素化してメタノールを合成する反応において高い活性を有する。したがって、メタノールを効率よく製造することができる。
本発明は、別の側面において、触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する反応器を備えるメタノールの製造装置であって、上記原料は炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含有し、上記触媒は銅を含有し、反応器における水素分圧が0.4〜3MPa、温度が140〜250℃であるメタノールの製造装置を提供する。
上記製造装置では、銅を含有する触媒の存在下で、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含有する原料と水素とを所定の水素分圧及び温度条件で反応させている。この所定の水素分圧及び温度条件下、上記触媒は、炭酸ジメチル又はギ酸メチルを水素化してメタノールを合成する反応において高い活性を有する。したがって、メタノールを効率よく製造することができる。
上述の原料は、ホルムアルデヒド及びシュウ酸ジメチルの一方又は双方をさらに含有していてもよい。これらの成分も水素と反応してメタノールとなり得るため、メタノールを効率よく製造することができる。また、シュウ酸ジメチルは、上記触媒の活性を高く維持できる点で好ましい成分である。
触媒は、シリカを含む担体と、担体に担持された銅とを含むことが好ましい。このような触媒は炭酸ジメチル又はギ酸メチルを水素化する反応において十分に高い活性を有する。このため、メタノールを一層効率よく製造することができる。
上述の原料は、一酸化炭素とメタノールとから炭酸ジメチル又はシュウ酸ジメチルを合成する合成装置における、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含む副生物を含有するものであってもよい。このような合成装置では、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含む副生物が発生する。原料がこのような副生物を含むことによって、従来廃棄処分されていた副生物を、メタノールとして再生することができる。上記合成装置では、メタノールが反応に消費されることから、合成して得られるメタノールを使用することによって、メタノールの補給量を低減することができる。
原料と反応する水素の少なくとも一部は、シュウ酸ジメチルを水素添加してエチレングリコールを製造する製造装置から供給されてもよい。これによって、当該製造装置で発生するパージ水素を有効利用することができる。したがって、メタノールの製造コストを低減することができる。
本発明は、さらに別の側面において、触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する工程を有するメタノールの製造方法であって、上記原料は炭酸ジメチルとギ酸メチルとを含有し、上記触媒は銅を含有する、メタノールの製造方法を提供する。
上記製造方法では、銅を含有する触媒の存在下で、炭酸ジメチルとギ酸メチルとを含有する原料と水素とを反応させている。上記触媒は、炭酸ジメチルとギ酸メチルを水素化してメタノールを合成する反応において高い活性を有する。したがって、メタノールを効率よく製造することができる。
本発明は、さらに別の側面において、触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する工程を有するメタノールの製造方法であって、上記原料は炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含有し、上記触媒は銅を含有し、上記工程では、水素分圧が0.4〜3MPa、温度が140〜250℃の条件下で反応させる、メタノールの製造方法を提供する。
上記製造方法では、銅を含有する触媒の存在下で、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含有する原料と水素とを所定の水素分圧及び温度条件で反応させている。この所定の水素分圧及び温度条件下、上記触媒は、炭酸ジメチル又はギ酸メチルを水素化してメタノールを合成する反応において高い活性を有する。したがって、メタノールを効率よく製造することができる。
上述の原料は、ホルムアルデヒド及びシュウ酸ジメチルの一方又は双方を含有していてもよい。これらの成分も水素と反応してメタノールとなり得るため、メタノールを効率よく製造することができる。また、シュウ酸ジメチルは、上記触媒の活性を高く維持できる点で好ましい成分である。
触媒は、シリカを含む担体と、担体に担持された銅とを含むことが好ましい。このような触媒は炭酸ジメチル又はギ酸メチルを水素化する反応において十分に高い活性を有する。このため、メタノールを一層効率よく製造することができる。
上述の原料は、一酸化炭素とメタノールとから炭酸ジメチル又はシュウ酸ジメチルを合成する工程において生成する、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含む副生物を含有するものであってもよい。このような工程では、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含む副生物が発生する。原料がこのような副生物を含むことによって、従来廃棄処分されていた副生物を、メタノールとして再生することができる。上記工程では、メタノールが反応に消費されることから、合成して得られるメタノールを使用することによって、メタノールの購入量を低減することができる。
原料と反応する水素の少なくとも一部として、シュウ酸ジメチルを水素添加した後に得られる非凝縮ガスに含まれる水素を利用してもよい。このようにパージ水素を有効利用することによって、メタノールの製造コストを低減することができる。
本発明によれば、有機成分を含む原料から効率よくメタノールを製造する製造装置及び製造方法を提供することができる。
図1は、メタノールの製造装置の一実施形態を示す図である。 図2は、シュウ酸ジメチルの合成装置の一例を示す図である。 図3は、炭酸ジメチルの合成装置の一例を示す図である。 図4は、シュウ酸ジメチルからエチレングリコールを製造する製造装置の一例を示す図である。 図5(A)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率とメタノールの選択率との関係を示すグラフである。図5(B)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率とギ酸メチルの選択率との関係を示すグラフである。 図6(A)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率とホルムアルデヒドの生成量との関係を示すグラフである。図6(B)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率とジメチルエーテルの選択率との関係を示すグラフである。 図7(A)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率と二酸化炭素の選択率との関係を示すグラフである。図7(B)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率と一酸化炭素の選択率との関係を示すグラフである。 図8(A)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率とメタンの選択率との関係を示すグラフである。図8(B)は、実施例5−1〜5−4における炭酸ジメチルの転化率と水の生成量との関係を示すグラフである。 図9(A)は、実施例6−1〜6−3及び比較例5における炭酸ジメチルの転化率と経時変化を示すグラフである。図9(B)は、実施例6−1〜6−3及び比較例5におけるメタノールの空時収量の経時変化を示すグラフである。 図10(A)は、実施例6−1及び6−3におけるメタノールの選択率の経時変化を示すグラフである。図10(B)は、実施例6−1及び6−3におけるギ酸メチルの選択率の経時変化を示すグラフである。 図11(A)は、実施例6−1及び6−3におけるホルムアルデヒドの生成量の経時変化を示すグラフである。図11(B)は、実施例6−1及び6−3におけるジメチルエーテルの選択率の経時変化を示すグラフである。 図12(A)は、実施例6−1及び6−3における二酸化炭素の選択率の経時変化を示すグラフである。図12(B)は、実施例6−1及び6−3における一酸化炭素の選択率の経時変化を示すグラフである。 図13(A)は、実施例6−1及び6−3におけるメタンの選択率の経時変化を示すグラフである。図13(B)は、実施例6−1及び6−3における水の生成量の経時変化を示すグラフである。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態のメタノールの製造装置を示す図である。メタノールの製造装置100は、原料を貯留するタンク10と、水素供給配管11と、原料と水素の混合物を予熱する予熱器14と、触媒が収容され、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する反応器16と、メタノールを含む反応物を冷却するクーラー18と、反応物を反応液と反応ガスとに分離するセパレータ20と、反応液をメタノールと不純物とに分離する精製塔24と、を備える。また、上述の各機器を接続する配管、原料をタンク10から予熱器14に送り出すポンプ12、及び、セパレータ20から反応液を精製塔24に送り出すポンプ22を備える。メタノールの製造装置100は、上述の他に、熱交換器、ポンプ、コンプレッサー及び各種測定器等を備えていてもよい。
原料は、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含有する。別の実施形態では、原料は炭酸ジメチル及びギ酸メチルの両方を含有していてもよい。炭酸ジメチル、及びギ酸メチルは、反応器16において下記式(1)及び式(2)に示すように水素化してメタノールを生成する。式(1)及び(2)中、Meはメチル基を示す。
Figure 2020079204
Figure 2020079204
原料は、さらに、ホルムアルデヒド及びシュウ酸ジメチルの一方又は双方を含有していてもよい。ホルムアルデヒド及びシュウ酸ジメチルも、反応器16において下記式(3)及び式(4)に示すように水素化してメタノールを生成することができる。シュウ酸ジメチルは、触媒の失活を抑制できる点で好ましい成分である。式(3)及び(4)中、Meはメチル基を示す。
Figure 2020079204
Figure 2020079204
原料は、一酸化炭素とメタノールとから炭酸ジメチルを合成する合成装置における、副生物を含有していてもよい。この副生物は、炭酸ジメチル、ギ酸メチル及びホルムアルデヒド等のメタノールの生成に適した成分を含む点で好ましい。原料は、一酸化炭素とメタノールとからシュウ酸ジメチルを合成する合成装置における、副生物を含有していてもよい。この副生物も、炭酸ジメチル、ギ酸メチル及びホルムアルデヒド等のメタノールの生成に適した成分を含む点で好ましい。各合成装置の詳細については後述する。
原料はメタノールを含んでいてもよい。原料に含まれるメタノールは、反応器16で反応しないことから、精製塔24でそのままメタノールとして回収することができる。このため、メタノールの製造装置100で処理する前に、原料からメタノールを分離せずに、メタノールを含む原料をメタノールの製造装置100に供給することができる。
原料が炭酸ジメチルを含む場合、原料における炭酸ジメチルの含有量は、例えば20〜80質量%であってもよく、30〜70質量%であってもよい。炭酸ジメチルの含有量が低過ぎると、メタノールの収量が少なくなる傾向にある。一方、炭酸ジメチルの含有量が高過ぎると、蒸留等の別途のプロセスによって炭酸ジメチルを回収する方が製造コスト上有利である。なお、別の幾つかの実施形態においては、原料は炭酸ジメチルを含んでいなくてもよい。
原料がギ酸メチルを含む場合、原料におけるギ酸メチルの含有量は、例えば0.5〜50質量%であってもよく、0.8〜20質量%であってもよい。ただし、別の幾つかの実施形態においては、原料はギ酸メチルを含んでいなくてもよい。
原料がホルムアルデヒドを含む場合、原料におけるホルムアルデヒドの含有量は、例えば0.1〜2質量%であってもよく、0.3〜1質量%であってもよい。ただし、幾つかの実施形態においてはホルムアルデヒドを含んでいなくてもよい。
原料がシュウ酸ジメチルを含む場合、原料におけるシュウ酸ジメチルの含有量は、例えば0.3〜50質量%であってもよく、0.5〜20質量%であってもよい。シュウ酸ジメチルの含有量が高過ぎると、蒸留等の別個のプロセスによってシュウ酸ジメチルを回収する方が製造コストの面で有利な傾向にある。なお、別の幾つかの実施形態においては、原料はシュウ酸ジメチルを含んでいなくてもよい。
タンク10に貯留される原料は、ポンプ12及び配管によって合流部13に向かって流通する。合流部13では、原料と水素が合流して混合原料となる。水素は、例えば、反応器16におけるGHSVが5000〜20000h−1程度になるように供給する。原料は、例えば反応器16におけるLHSVが0.5〜5h−1程度になるように供給する。このような量で供給することによって、メタノールの空時収量を十分に大きくすることができる。なお、合流部13で原料と合流する水素は純水素である必要はなく、水素を含有するガスであれば特に限定されない。例えば、シュウ酸ジメチルからエチレングリコールを製造する製造装置において発生するパージ水素を用いてもよい。これによって、パージ水素の有効利用を図ることができる。設備コスト及び運転コスト低減の観点から、ガスにおける水素の含有量は例えば80体積%(標準状態)以上であることが好ましい。
原料に対する水素の混合比率は、原料に含まれる有機成分に応じて調整することができる。通常、水素は、上述の式(1)〜(4)で表される反応当量よりも過剰に混合することが好ましい。例えば、原料が炭酸ジメチルを含有する場合、炭酸ジメチルに対する水素のモル比は、20〜80である。当該モル比が過大になると、メタノールの空時収量は大きくなるが、製造装置100の運転コストが高くなる傾向にある。一方、当該モル比が過小になると、製造装置100の運転コストは低くなるが、メタノールの空時収量が少なくなる傾向にある。
混合原料は予熱器14に導入される。予熱器14の熱源としては、熱媒油又はスチーム等を用いることができる。予熱器14は、反応器16で得られた反応物によって混合原料を予熱する熱交換器であってもよい。予熱器14において、混合原料は例えば140〜250℃に予熱される。予熱された混合原料は、触媒が収容されている反応器16に導入される。
反応器16に収容される触媒は、銅を含有する。触媒は、担体と該担体に担持された銅とを含んでいてもよい。銅は酸化物として含まれていてもよく、銅単体(金属)として含まれていてもよい。触媒におけるCu原子の含有量は、例えば0.01〜70質量%である。メタノールの空時収量を高くしつつ、メタノールとは異なる副生物を低減する観点から、触媒におけるCu原子の含有量は、好ましくは0.05質量%〜60質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは1〜40質量%である。触媒におけるCu原子の含有量は、ICP−AES法等を用いて測定することができる。
副生物を低減する観点から、触媒におけるFe原子、Al原子及びCa原子の含有量は少ない方が好ましい。例えば、触媒における上記原子の合計含有量は、好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0.5質量%未満であり、さらに好ましくは0.1質量%未満である。これらの成分は、例えば触媒を調製する際に原料として用いられるケイ酸エステルが挙げられる。
触媒におけるFe原子の含有量は、メタノールの収率及び選択率の向上の観点から、好ましくは200質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以下であり、さらに好ましくは50質量ppm以下であり、特に好ましくは20質量ppm以下である。
同様の観点から、触媒におけるAl原子の含有量は、好ましくは200質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以下であり、さらに好ましくは50質量ppm以下であり、特に好ましくは20質量ppm以下である。
触媒におけるCa原子の含有量は、副生物を一層低減する観点から、好ましくは50質量ppm以下であり、より好ましくは25質量ppm以下であり、さらに好ましくは10質量ppm以下であり、特に好ましくは5質量ppm以下である。
触媒中の上記原子の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)の方法により測定することができる。ICP−AES法においては、例えば、3質量ppm以上の含有量のFe原子、Al原子、及びCa原子を測定することができる。
銅を担持する担体としては、酸化物及び活性炭が挙げられる。酸化物としては、例えば、シリカ;活性炭;ジルコニア、チタニア等の金属酸化物;チタニアシリカ、チタニアジルコニア、ジルコニアシリカ、ハイドロタルサイト等の複合金属酸化物;カオリン、スメクタイト、ベントナイト、クロライト、イライト等の粘土鉱物;ゼオライト等のメタロシリケート;シリカゾル等の金属酸化物前駆体等が挙げられる。これらの例示物の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせてもよい。副生物を低減しつつ触媒の長寿命化を図る観点から、担体はシリカが好ましい。シリカは非晶質であることが好ましい。非晶質シリカとしては、乾式法又は湿式法で製造した合成非晶質シリカであってもよい。
シリカは多孔質シリカであってもよい。その具体例としては、富士シリシア化学株式会社製のキャリアクトQ10、キャリアクトQ50、キャリアクトQ100、キャリアクトQ300(いずれも商品名)等が挙げられる。多孔質シリカは、篩い分けして触媒の調製に用いてもよい。多孔質シリカの細孔容積及び比表面積は、窒素ガス吸着法及び水銀圧入法のいずれの方法でも測定することができる。ただし、細孔容積及び比表面積は、多孔質シリカの細孔径が0.4nm〜200nmのとき、窒素ガス吸着法により測定でき、細孔径が3.6nm〜400μmのときは水銀圧入法で測定できる。細孔径が3.6nm〜200nmのときは、窒素ガス吸着法と水銀圧入法のどちらの方法でも測定することができる。
シリカは、反応活性及び選択性の点から、比表面積が1m/g〜800m/gであることが好ましく、より好ましくは3m/g〜600m/gであり、さらに好ましくは5m/g〜400m/gである。シリカの粒子径は、特に限定されず、例えば5nm〜200μmであり、好ましくは10nm〜150μmである。このようなサイズのシリカの粒子径は、水銀圧入法によって測定することができる。
触媒の製造方法の一例を、担体がシリカである場合を用いて以下に説明する。本例の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)前合成工程;シリカの合成
(2)合成工程;銅のアンミン錯体の合成
(3)担持工程;シリカへの銅の担持
(4)後処理工程;固液分離、水洗、乾燥
(5)焼成工程;成形、焼成
(6)還元工程;水素還元
以下、(1)〜(6)の工程を順に説明する。
(1)前合成工程
本発明で用いるシリカは、市販品であってもよいが、ケイ酸エステルの加水分解で製造することが好ましい。ケイ酸エステルとしては、例えば、次の一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR4−n (I)
上記一般式(I)中、Rはアルキル基、水素原子、又はハロゲン原子を示し、Rはアルキル基又はアリール基を示し、nは0〜3の整数を示し、Siはケイ素原子、Oは酸素原子を示す。
一般式(I)におけるR及び/又はRのアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。Rがハロゲン原子である場合、ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子が好ましい。
一般式(I)で表されるケイ酸エステルは、特に制限されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、メトキシトリクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、トリメトキシジブロモシラン、トリエトキシジブロモシラン、等アルコキシハロゲノシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリブチルエトキシシラン等のアルコキシアルキルシラン;これらの重合物などが挙げられる。
ケイ酸エステルの加水分解は、例えば、ケイ酸エステルに水及びアンモニアを加えて行うことができる。水の配合量は特に制限されず、例えば、ケイ酸エステル1モルに対して1〜50モル程度用いることができる。アンモニアとしては、アンモニアガス又はアンモニア水溶液を用いることができる。アンモニアの使用量は特に制限されないが、例えば、ケイ酸エステル1モルに対して0.1モル以上が好ましく、1〜10モルがより好ましい。
ケイ酸エステルの加水分解は、例えば、5〜100℃の温度で行うことができ、有機溶媒中で行うこともできる。有機溶媒は、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びペンタノール等から選ばれる少なくとも一種の低級アルコールであることが好ましい。ケイ酸エステルの加水分解によって得られる加水分解物は、一般式(I)におけるRの全て又は一部が水素原子で置換されたもの、又はその重合物であると推察される。
本工程で得られた、ケイ酸エステルの加水分解物は、混合物を精製する工程を経ることなく(3)担持工程で用いてもよい。または、濾過、デカンテーション等の操作によって分離される加水分解物を(3)担持工程で使用してもよい。このようにして得られた、分離前及び分離後のケイ酸エステルの加水分解物を纏めてシリカと称する。
(2)合成工程
銅アンミン錯体は、銅イオンとアンモニア水とを反応させて得ることができる。銅イオンの源となる銅塩としては、特に制限されず、例えば、水酸化銅、硝酸銅、亜硝酸塩、酢酸銅、蟻酸銅、クエン酸銅、及びシュウ酸銅アセチルアセトン銅等から選択される1種又は2種以上の塩が挙げられる。これらの中でも、水酸化銅(Cu(OH))、硝酸銅(Cu(NO)及びその水和物(Cu(NO・3HO等)が好ましい。
アンモニア水としては、アンモニア水又はアンモニア緩衝液が好ましく、例えば、濃アンモニア水、希アンモニア水、酢酸アンモニウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、蟻酸アンモニウム水溶液、プロピオン酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液、シュウ酸アンモニウム水溶液、カルバミン酸アンモニウム水溶液等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも濃アンモニア水及び希アンモニア水が好ましい。
(3)担持工程
シリカと、合成工程で合成された銅アンミン錯体とを混合し、室温又は40〜95℃の加熱温度下で撹拌することで、シリカに銅を担持させる。撹拌後、任意の時間放置していてもよい。攪拌時の加熱温度、攪拌時間、放置時間については、銅アンミン錯体の濃度、シリカの使用量、室温等により適宜調整してもよい。
(4)後処理工程
銅を担持したシリカを含む分散液を加熱し、蒸発乾固させる。または、蒸発乾固まで行わずに、蒸発に伴う分散液のpHが7以下にまで低下したことを確認した後、加熱を停止してもよい。加熱を停止した場合、分散液を濾過して、銅が担持されたシリカを固形物として得ることができる。この処理は、減圧条件下であれば室温(25℃)でも行うことができる。加熱条件下であれば、大気圧条件下でも減圧下でも行うことができる。
続いて、得られた固形物を十分に水洗して乾燥する。乾燥の温度、時間及び圧力は、適宜調整することができる。乾燥温度は、好ましくは60〜160℃、より好ましくは90〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは6〜36時間、より好ましくは12〜24時間である。このような範囲とすることで、固体中の溶媒を次工程に影響のない量にまで低減することができる。ただし、得られた固形物を乾燥することは必ずしも必要ではない
(5)焼成工程
得られた乾燥物(固形物)を焼成することによって、担持された銅を一層強固に固定させ、触媒の安定化及び長寿命化を行うことができる。焼成工程は、空気中又は不活性ガス中等で行うことができる。
焼成温度は例えば300〜800℃であり、好ましくは400〜700℃である。上記焼成温度における焼成時間は例えば1〜10時間であり、好ましくは2〜8時間である。焼成の前、又は焼成の後に、乾燥物(固形物)をペレット状、粒状、板状等に成形してもよい。
(6)還元工程
上述の焼成工程後に、公知の還元条件によって還元処理を施す。例えば、水素気流中、100〜500℃の温度で、1〜15時間還元処理を行ってもよい。還元工程は必ずしも行うことは必須ではないが、触媒に応じて適切な還元工程を実施することによって、原料の転化率及びメタノール選択率を向上させることができる。
以上説明内容に基づいて各工程を行うことによって、シリカに銅が担持された触媒を再現性よく製造することができる。なお、上述の工程を行って得られた触媒中のFe原子、Al原子及びCa原子の含有量が上述の値を上回る場合、(1)前合成工程において、Fe原子、Al原子及びCa原子の含有量が低くなるようなシリカを合成したり、濾過及びデカンテーション等の操作を適宜変更したりして、上述の原子の含有量を調節することができる。
反応器16では、触媒の存在下で、原料に含まれる有機成分が水素化反応してメタノールが生成する。反応器16における温度は、水素化反応を促進してメタノールの空時収量を大きくしつつ触媒の長寿命化を図る観点から、140〜250℃であることが好ましく、160〜200℃であることがより好ましい。
反応器16における水素分圧は、水素化反応を促進する観点から0.4MPa以上であることが好ましい。ただし、圧力が高くなり過ぎると、設備コストが増大するとともに過水添反応が促進されやすくなる。過水添反応では生成したメタノールが水添されてメタンと水になるため、メタノールの選択率が低下する傾向にある。したがって、設備コストを低減しつつメタノールの空時収量を大きくする観点から、反応器16における水素分圧は、0.4〜3MPaであることが好ましく、0.4〜2.1MPaであることがより好ましい。なお、本明細書における水素分圧は、ゲージ圧基準である。
反応器16における水素化反応によって生成するメタノールを含む反応物は、クーラー18に導入されて冷却される。クーラー18では水等の冷媒を用いて反応物を例えば60〜120℃に冷却する。クーラー18は、反応物を、予熱器14に導入される混合原料で冷却する熱交換器であってもよい。すなわち、予熱器14及びクーラー18は、一つの熱交換器であってもよい。例えば、一方を熱交換器のシェル側、他方を当該熱交換器のチューブ側に流通させることによって熱交換することができる。
クーラー18で冷却された反応物は、その少なくとも一部が凝縮して、反応液、又は反応液と反応ガスの混合物になる。反応物はセパレータ20に導入されて、反応液と反応ガスに分離される。セパレータ20で反応液と分離された反応ガスは、例えば水素と副生物を含む。このように水素が含まれることから、当該反応ガスの少なくとも一部は、水素供給配管11に合流させて循環使用することができる。
反応器16に導入される水素の量(純度)を維持するため、セパレータ20で分離された反応ガスの一部は図示しない配管で抜き出して、例えば燃料等の他の用途に用いてもよい。または、さらに冷却して液化し、タンク10に戻してもよい。反応ガスに含まれる副生物としては、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、ジメチルエーテル、ホルムアルデヒド、及びギ酸メチル等が挙げられる。
セパレータ20において気体と分離された反応液は、メタノールと場合によりメタノールとは異なる成分である副生物を含有する。副生物としては水等が挙げられる。このような成分を含む反応液は精製塔24に導入される。
精製塔24では、メタノールと副生物とが分離され、純度の高いメタノール(例えば99質量%以上)が得られる。得られたメタノールは、一酸化炭素とメタノールとから炭酸ジメチルを合成する合成装置、又は、一酸化炭素とメタノールとからシュウ酸ジメチルを合成する合成装置において用いられてもよい。一方、精製塔24でメタノールと分離された副生物(排液)は、タンク10に戻してもよいし、廃棄処理してもよい。
メタノールの製造装置100によれば、原料からメタノールを効率よく製造することができる。メタノールの空時収量(STY)は、例えば500g−MeOH/L−触媒・h−1以上であり、好ましくは700g−MeOH/L−触媒・h−1以上であり、より好ましくは900g−MeOH/L−触媒・h−1以上である。メタノールの選択率は、例えば60mol%以上であり、好ましくは70mol%以上であり、より好ましくは80mol%以上である。原料に含まれる炭酸ジメチルの転化率は、メタノールを一層効率よく製造する観点から、好ましくは70mol%以上であり、より好ましくは80mol%以上である。
本明細書における転化率は、供給した原料に対して、反応によって消失する原料のモル比率である。本明細書における選択率は、消費された原料に対する生成物のモル比率である。
メタノールの製造装置100によれば、炭酸ジメチル、又はギ酸メチル等を含有する有機成分を含む原料から効率よくメタノールを製造することができる。
メタノールの製造方法の一実施形態は、上述の製造装置100を用いて行うことができる。この製造方法は、例えば、触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する工程を有する。当該工程は、上述の製造装置100における説明内容に基づいて行うことができる。したがって、ここでは重複する説明を省略する。このメタノールの製造方法によれば、炭酸ジメチル、又はギ酸メチル等を含有する有機成分を含む原料から効率よくメタノールを製造することができる。
次に、メタノールの製造装置100及びメタノールの製造方法の原料の調製方法の例を以下に説明する。
図2は、一酸化炭素とメタノールとからシュウ酸ジメチルを合成する合成装置の一例を示す図である。合成装置200は、一酸化炭素と亜硝酸メチルとを反応させて、シュウ酸ジメチルと一酸化窒素とを生成する触媒を有し、一酸化炭素と亜硝酸メチルと一酸化窒素とを含有する第1ガスからシュウ酸ジメチルと一酸化窒素とを含有する第2ガスを生成する第1反応器210と、第2ガスとシュウ酸ジメチルを吸収する吸収液とを接触させて、シュウ酸ジメチルを含む凝縮液と、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスとに分離する吸収塔220と、非凝縮ガス及び酸素ガスの混合ガスとアルコールとを導入し、一酸化窒素、酸素及びアルコールを反応させて、亜硝酸メチルと一酸化窒素とを含有する第3ガスを生成する第2反応器230と、第3ガスと一酸化炭素とを合流させて第1ガスを得る合流部255と、を備える。
合流部255で得られた第1ガスは、第1反応器210に供給される。このように、合成装置200は、原料であるCOとメタノールを連続的に供給しながら、窒素成分を循環させて、目的生成物であるシュウ酸ジメチルを連続的に製造する。NO及び亜硝酸メチル等の窒素成分は、合成装置200内を循環しながら再利用される。第2反応器230の底部から排出される塔底液には、水の他に、硝酸及びアルコール等が含まれている。そこで、合成装置200は、第2反応器230の底部から抜き出される、水と硝酸とアルコールとを含有する塔底液と、非凝縮ガスと、から亜硝酸メチルを生成する第3反応器270を備える。
第1反応器210は、一酸化炭素と亜硝酸メチルとを反応させて、シュウ酸ジメチルと一酸化窒素を生成させる触媒を有する。このようなシュウ酸ジメチル製造用の触媒としては、例えば、白金族金属又はその化合物が担体に担持されている固体触媒が挙げられる。
白金族金属としては、例えば、白金金属、パラジウム金属、ロジウム金属、イリジウム金属などが挙げられる。白金族金属の化合物としては、これらの金属の無機酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、ハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、有機酸塩(酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩等)、錯体(テトラクロロパラジウム酸リチウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム等)などが挙げられる。
シュウ酸ジメチル製造用触媒には、白金族金属又はその化合物の他に、鉄又はその化合物を含有させる。鉄及びその化合物としては、具体的には、金属鉄、鉄(II)化合物(硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、乳酸第一鉄、水酸化第一鉄等)、鉄(III)化合物(硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、乳酸第二鉄、水酸化第二鉄、クエン酸第二鉄等)が挙げられる。担体への鉄又はその化合物の担持量としては、「白金族金属又はその化合物」:「鉄又はその化合物」(金属原子のモル比)として、10000:1〜1:4が好ましく、5000:1〜1:3がより好ましい。
シュウ酸ジメチル製造用触媒を有する第1反応器210に、一酸化炭素と亜硝酸メチルと一酸化窒素とを含有する第1ガスを導入する。これによって、下記式(5)に示す気相反応が進行する。
2CO+2CHONO → (CHOCO)+2NO (5)
上記式(5)に示す反応によって、第1反応器210では、シュウ酸ジメチルと一酸化窒素とを含有する第2ガスが生成する。第1反応器210で生成した第2ガスは、流路212を通って吸収塔220に導入される。
第1反応器210から流路212を経由して吸収塔220の下部に導入された第2ガスは、流路219から吸収塔220の上部に導入されるメタノールと向流接触する。このようにして、第2ガスと吸収液とを気液接触させて、第2ガスに含まれるシュウ酸ジメチルが吸収液に吸収される。これによって、シュウ酸ジメチルとメタノールとを含む凝縮液と、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスとが得られる。
吸収塔220で得られた、吸収液とシュウ酸ジメチルとを含有する凝縮液は、吸収塔220の底部に連結された流路214から抜き出されてタンク215を経由し、蒸留塔260に導入される。蒸留塔260では、沸点差によって、メタノールとシュウ酸ジメチルとに分離される。吸収液は、蒸留塔260の塔頂部に連結されたコンデンサー263で冷却された後、流路261から排出される。
一方、コンデンサー263で凝縮しないガス成分は、流路262を流通して中和塔266においてアルカリ水溶液(NaOH水溶液)と向流接触する。その後、流路267を流通した後、リカバリー槽285を経由して燃料ガス(TG)として系外に排出される。中和塔266の底部から排出されるアルカリ水溶液は、アルカリ処理槽265に導入される。アルカリ処理槽265には、コンデンサー263で凝縮したメタノールを含む液体成分も導入される。アルカリ処理槽265でアルカリ処理された液体は、メタノール回収塔280に導入される。
メタノール回収塔280の頂部からはメタノールが抜き出される。このメタノールは、流路284を流通して補給メタノールと合流する。合流後、その一部はリカバリー槽285を経由して、第2反応器230に導入される。メタノールの他部は、流路219又は流路216を流通して吸収塔220又は第2反応器230に導入される、一方、メタノール回収塔280の底部に連結された流路282からは、水を含む液体(WW)が抜き出される。この液体は適切な処理を施した後、廃棄してもよい。
蒸留塔260の底部に連結された流路264からはシュウ酸ジメチルが排出される。流路264の下流側には、蒸留塔278が設けられている。蒸留塔278の頂部からは、流路272を介して副生物(WL1)が抜き出される。この副生物は、炭酸ジメチル及びギ酸メチルを含有する。したがって、メタノールの製造装置100の原料として好適に用いることができる。
蒸留塔278の底部に連結された流路274からは若干の不純物を含むシュウ酸ジメチルが抜き出される。このシュウ酸ジメチルは、精製塔275に導入される。精製塔275では、不純物がさらに低減される。精製塔275の頂部に連結された流路276からは純度が十分に高いシュウ酸ジメチル(DMO)が得られる。一方、精製塔275の底部に連結された流路277からは別の副生物(WL2)が抜き出される。この副生物は、水等を含有する。
吸収塔220で得られた、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスは、吸収塔220の上部に連結された流路213から抜き出されて、流路213を第2反応器230に向かって流通する。非凝縮ガスは、一酸化炭素を含有していてもよい。流路213には、上流側から、非凝縮ガスを第3反応器270に供給する流路276、及び、酸素ガスを導入する流路222がこの順で連結されている。
流路222から供給される酸素ガスは、非凝縮ガスと混合されて混合ガスとなる。非凝縮ガスと酸素ガスとを含む混合ガスは、流路213を通って第2反応器230に導入される。混合ガスを第2反応器230の下方から導入すると、第2反応器230の上方に連結された流路216から導入されるメタノールと向流接触して、以下の式(6)で表される反応が進行する。この反応によって、亜硝酸メチルが生成する。合成装置200全体で見たときに、第2反応器230及び第3反応器270は、亜硝酸メチルを再生する機能を有する。第2反応器230では、式(7)で表される副反応が進行してもよい。設備全体の効率性を向上する観点から、式(7)よりも式(6)を促進することが好ましい。
2NO+1/2O+2CHOH→ 2CHONO+HO (6)
NO+3/4O+1/2HO→ HNO (7)
第2反応器230における反応温度は、例えば0〜80℃、反応圧力は例えば0.1〜1MPa、気液接触の時間は例えば0.5〜30秒間である。
第2反応器230の上部に連結された流路211からは、第3ガスが抜き出される。第3ガスは、式(6)で生成した亜硝酸メチルを含有する。第3ガスにおける亜硝酸メチルの含有量は、第3ガス全体を基準として、例えば5〜30体積%であってもよく、15〜30体積%であってもよい。なお、第2反応器230では亜硝酸メチルの他に、一酸化窒素、並びに一酸化二窒素及び二酸化炭素などの微量成分が生成する。これらの微量成分は、オフガスとして、第2反応器230の頂部に連結された流路217によって抜き出される。このオフガスは、リカバリー槽285を経由して、燃料(TG)として系外に排出することができる。
第2反応器230の底部に連結された流路274からは、式(6)及び式(7)で示される反応で生成した水及び硝酸、並びに未反応のアルコールを含む塔底液が抜き出される。この塔底液は流路274を流通して、第3反応器270に導入される。第3反応器270には流路274を介して硝酸を補給してもよい。第3反応器270には、流路276を介して非凝縮ガスが供給される。
第3反応器270では、非凝縮ガスと塔底液とが接触して、例えば式(8)及び(9)に表される反応が進行し、亜硝酸メチルを生成する。すなわち、塔底液に含まれる硝酸及びアルコールと、非凝縮ガスに含まれる一酸化炭素及び/又は一酸化窒素とが反応し、亜硝酸メチルが生成する。
HNO+2NO+3CHOH → 3CHONO+2HO (8)
HNO+CO+CHOH → CHONO+HO+CO (9)
上述の反応によって、第3反応器270の上部からは、亜硝酸メチルを含有する第4ガスが排出される。第4ガスにおける亜硝酸メチルの濃度は、例えば1〜25体積%である。第4ガスは、流路271を流通して、第2反応器230に供給される。第3反応器270で生成した亜硝酸メチルは、第2反応器230において生成した亜硝酸メチルとともに、第2反応器230の上部から排出される第3ガスに含まれる。
第3反応器270の底部には、反応液抜き出し用の流路281が接続されている。第3反応器270で得られる、水、アルコール及び硝酸等を含有する反応液は、流路281を流通して、アルカリ処理槽265に供給され中和処理される。
第2反応器230の塔頂部から排出される第3ガスは、塔頂部に接続された流路211を、第1反応器210に向かって流通する。流路211は、一酸化炭素を供給する流路との合流部255を有する。合流部255において、第3ガスと一酸化炭素が混合される。このようにしてシュウ酸ジメチルが連続的に製造される。合成装置200では、炭酸ジメチル及びギ酸メチルを含有する副生物(WL1)も連続的に生成される。この原料は、メタノールの製造方法の原料として好適に用いることができる。
図3は、一酸化炭素とメタノールとから炭酸ジメチルを合成する合成装置の一例を示す図である。合成装置300は、一酸化炭素と亜硝酸メチルとを反応させて、炭酸ジメチルと一酸化窒素とを生成する触媒を有し、一酸化炭素と亜硝酸メチルと一酸化窒素とを含有する第1ガスから炭酸ジメチルと一酸化窒素とを含有する第2ガスを生成する第1反応器310と、第2ガスと炭酸ジメチルを吸収する吸収液とを接触させて、炭酸ジメチルを含む凝縮液と、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスとに分離する吸収塔320と、非凝縮ガス及び酸素ガスの混合ガスとアルコールとを導入し、一酸化窒素、酸素及びアルコールを反応させて、亜硝酸メチルと一酸化窒素とを含有する第3ガスを生成する第2反応器330と、第3ガスと一酸化炭素とを合流させて第1ガスを得る合流部355と、を備える。
合流部355で得られた第1ガスは、第1反応器310に供給される。このように、合成装置300は、原料であるCOとメタノールを連続的に供給しながら、窒素成分を循環させて、目的生成物である炭酸ジメチルを連続的に製造する。NO及び亜硝酸メチル等の窒素成分は、合成装置300内を循環しながら再利用される。第2反応器330の底部から排出される塔底液には、水の他に、硝酸及びアルコール等が含まれている。そこで、合成装置300は、第2反応器330の底部から抜き出される、水と硝酸とアルコールとを含有する塔底液と、非凝縮ガスと、から亜硝酸メチルを生成する第3反応器370を備える。
第1反応器310は、一酸化炭素と亜硝酸メチルとを反応させて、炭酸ジメチルと一酸化窒素を生成させる触媒を有する。このような炭酸ジメチル製造用の触媒としては、例えば、白金族金属又はその化合物が担体に担持されている固体触媒が挙げられる。白金族金属としては、例えば、白金金属、パラジウム金属、ロジウム金属、イリジウム金属などが挙げられる。白金族金属の化合物としては、これらの金属の無機酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、ハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、有機酸塩(酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩等)、錯体(テトラクロロパラジウム酸リチウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム等)などが挙げられる。
炭酸ジメチル製造用触媒は、白金族金属又はその化合物の他に、銅、鉄、ビスマスやこれらの化合物を含有する。これらの中でも、塩化物(塩化第一銅、塩化第二銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化ビスマス等)が好ましい。担体へのこれらの担持量は、「白金族金属又はその化合物」:「銅、鉄、ビスマス又はこれらの化合物」(金属原子のモル比)として、1:0.1〜1:50が好ましく、1:1〜1:10がより好ましい。
炭酸ジメチル製造用触媒を有する第1反応器310には、一酸化炭素と亜硝酸メチルと一酸化窒素とを含有する第1ガスが導入される。これによって、下記式(10)に示す気相反応が進行する。
CO+2CHONO → CHOC(=O)OCH+2NO (10)
上記式(10)に示す反応によって、第1反応器310では、炭酸ジメチルと一酸化窒素とを含有する第2ガスが生成する。第1反応器310で生成した第2ガスは、流路312を通って吸収塔320に導入される。
第1反応器310から流路312を経由して吸収塔320の下部に導入された第2ガスは、流路319から吸収塔320の上部に導入される吸収液(メタノール)と向流接触する。このようにして、第2ガスと吸収液とを気液接触させて、第2ガスに含まれる炭酸ジメチルが吸収液に吸収される。これによって、炭酸ジメチルとメタノールとを含む凝縮液と、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスとが得られる。
吸収塔320で得られた、メタノールと炭酸ジメチルとを含有する凝縮液は、吸収塔320の底部に連結された流路314から抜き出されてタンク315を経由し、蒸留塔360に導入される。蒸留塔360では、沸点差によって、メタノールと炭酸ジメチルを含む留分とに分離される。液化したメタノールは、蒸留塔360の塔頂部に連結されたコンデンサー363で冷却された後、流路361を通過して、他の液体成分とともにアルカリ処理槽365に導入される。
一方、コンデンサー263で凝縮しないガス成分は、他の軽質成分とともに流路362を流通して中和塔366においてアルカリ水溶液(NaOH水溶液)と向流接触する。向流接触後、燃料ガス(TG)として系外に排出される。中和塔366の底部から排出されるアルカリ水溶液は、アルカリ処理槽365に導入される。アルカリ処理槽365には、コンデンサー363で凝縮したメタノールを含む液体成分も導入される。アルカリ処理槽365でアルカリ処理された液体は、メタノール回収塔380に導入される。
メタノール回収塔380の頂部からはメタノールが抜き出される。このメタノールは、流路384を流通して補給メタノールと合流する。合流後、その一部は流路316を流通して第2反応器330に導入される。メタノールの他部は、流路319を流通して吸収塔320に導入される。一方、メタノール回収塔380の底部に連結された流路382からは、水を含む液体(WW)が抜き出される。この液体は適切な処理を施した後、廃棄してもよい。
蒸留塔360の底部に連結された流路364からは炭酸ジメチルが排出される。流路364の下流側には、蒸留塔378が設けられている。蒸留塔378の頂部からは、流路372を介して副生物(WL)が抜き出される。この副生物は、炭酸ジメチル及びギ酸メチルを含有する。したがって、メタノールの製造装置100の原料として好適に用いることができる。
蒸留塔378の中段に連結された流路373からは、不純物が十分に低減された炭酸ジメチル(DMC)が得られる。蒸留塔378の底部に連結された流路374からは不純物が低減されたシュウ酸ジメチル(DMO)が抜き出される。このシュウ酸ジメチルの一部は、蒸留塔360に戻してもよい。
吸収塔320で得られた、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスは、吸収塔320の上部に連結された流路313から抜き出されて、流路313を第2反応器330に向かって流通する。非凝縮ガスは、一酸化炭素を含有していてもよい。流路313には、上流側から、非凝縮ガスを第3反応器370に供給する流路376、及び、酸素ガスを導入する流路322がこの順で連結されている。
流路322から供給される酸素ガスは、非凝縮ガスと混合されて混合ガスとなる。非凝縮ガスと酸素ガスとを含む混合ガスは、流路313を通って第2反応器330に導入される。混合ガスを第2反応器330の下方から導入すると、第2反応器330の上方に連結された流路316から導入されるメタノールと向流接触して、上記式(6)で表される反応が進行する。この反応によって、亜硝酸メチルが生成する。合成装置300全体で見たときに、第2反応器330及び第3反応器370は、亜硝酸メチルを再生する機能を有する。第2反応器330では、式(7)で表される副反応が進行してもよい。設備全体の効率性を向上する観点から、式(7)よりも式(6)を促進することが好ましい。
第2反応器330における反応温度は、例えば0〜80℃、反応圧力は例えば0.1〜1MPa、気液接触の時間は例えば0.5〜30秒間である。
第2反応器330の上部に連結された流路311からは、第3ガスが抜き出される。第3ガスは、式(6)で生成した亜硝酸メチルを含有する。第3ガスにおける亜硝酸メチルの含有量は、第3ガス全体を基準として、例えば5〜30体積%であってもよく、15〜30体積%であってもよい。なお、第2反応器330では亜硝酸メチルの他に、一酸化窒素、並びに一酸化二窒素及び二酸化炭素などの微量成分が生成する。これらの微量成分は、オフガスとして、第2反応器330の頂部に連結された流路317によって抜き出される。このオフガスは、燃料(TG)として系外に排出することができる。
第2反応器330の底部に連結された流路374からは、上記式(6)及び式(7)で示される反応で生成した水及び硝酸、並びに未反応のアルコールを含む塔底液が抜き出される。この塔底液は流路374を流通して、第3反応器370に導入される。第3反応器370には流路374を介して硝酸を補給してもよい。第3反応器370には、流路376を介して非凝縮ガスが供給される。
第3反応器370では、非凝縮ガスと塔底液とが接触して、例えば上記式(8)及び(9)に表される反応が進行し、亜硝酸メチルを生成する。すなわち、塔底液に含まれる硝酸及びアルコールと、非凝縮ガスに含まれる一酸化炭素及び/又は一酸化窒素とが反応し、亜硝酸メチルが生成する。
上述の反応によって、第3反応器370の上部からは、亜硝酸メチルを含有する第4ガスが排出される。第4ガスにおける亜硝酸メチルの濃度は、例えば1〜25体積%である。第4ガスは、流路371を流通して、第2反応器330に供給される。第3反応器370で生成した亜硝酸メチルは、第2反応器330において生成した亜硝酸メチルとともに、第2反応器330の上部から排出される第3ガスに含まれる。
第3反応器370の底部には、反応液抜き出し用の流路381が接続されている。第3反応器370で得られる、水、アルコール及び硝酸等を含有する反応液は、流路381を流通して、処理塔390に導入される。処理塔390の頂部からメタノールを含むガス成分が抜き出される。このガス成分の一部はコンプレッサー392で昇圧され、流路384を流通するメタノールと合流する。ガス成分の他部はコンデンサーで冷却されて凝縮し、流路391及び流路361を通過してアルカリ処理槽365に供給され中和処理される。
第2反応器330の塔頂部から排出される第3ガスは、塔頂部に接続された流路311を、第1反応器310に向かって流通する。流路311は、一酸化炭素を供給する流路との合流部355を有する。合流部355において、第3ガスと一酸化炭素が混合される。このようにして炭酸ジメチルが連続的に製造される。合成装置300では、炭酸ジメチル及びギ酸メチルを含有する副生物(WL)が連続的に生成される。この副生物は、メタノールの製造方法の原料として好適に用いることができる。
図4は、シュウ酸ジメチルを水素添加してエチレングリコールを製造する製造装置の一例を示す図である。例えば図2の合成装置200で製造されたシュウ酸ジメチルは、製造装置400で原料として用いられる。シュウ酸ジメチルは、流路402を流通して加熱器410に導入される。加熱器410には、流路404を流通する水素も導入され、シュウ酸ジメチルと混合される。加熱器410で得られるガス状混合物は、流路412を流通して、水素添加触媒が充填された反応器420に導入され、シュウ酸ジメチルの水素添加反応が進行する。
反応生成物は、流路422を流通した後、熱交換器430で冷却される。その後、流路424を流通して凝縮器440に導入される。エチレングリコールを主成分として含有する凝縮液は、流路442を流通して、第1蒸留塔450に導入される。一方、水素を主成分として含有する非凝縮ガスは、流路444を流通して熱交換器430で加熱された後、流路432を流通して加熱器410に循環利用される。ここで、流路432を流通する水素の少なくとも一部は、パージ水素として流路434を流通した後、図1に示す製造装置100の水素供給配管11に合流させて、反応器16での水素化反応に供してもよい。
第1蒸留塔450では、エチレングリコールからアルコール等の副生物を分離して流路454から導出する。この副生物は、例えば図2,図3の合成装置において有効利用してもよい。第1蒸留塔450の塔底液は、流路452を流通して第2蒸留塔460に供給される。第2蒸留塔460はグリコール酸エステルなどの副生物を分離して流路464から導出する。この副生物は、例えば、加熱器410に循環使用してもよい。第2蒸留塔460からは、塔底液としてエチレングルコール(EG)が得られる。
シュウ酸ジメチルからエチレングリコールを製造する製造装置は、図4の例に限定されない。また、パージ水素は、シュウ酸ジメチルからエチレングリコールを製造する製造装置に限られず、種々の装置から発生するパージ水素を適宜使用することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1)
炭酸ジメチルを原料として、図1に示すような構造を有するメタノールの製造装置を用いて水素化反応を行った。水素化反応の触媒は、以下の手順で調製した。
テトラエトキシシラン121.7gとメタノール289.6gの混合物を撹拌しながら、室温(25℃)で28質量%のアンモニア水137.0gを添加した。添加により生成した白色沈殿を含むスラリーを2時間撹拌した後、スラリーを濾過して沈殿(テトラエトキシシランの加水分解物)を濾取した。濾取した沈殿を超純水にて数回洗浄した後、120℃で15時間乾燥して加水分解物を得た。
上述の手順とは別に、硝酸第二銅・三水和物23.4gを超純水180gに溶解し、28質量%アンモニア水41.2gを添加して銅アンミン錯体を含む深青色の水溶液を調製した。この水溶液に、上述の手順で調製したテトラエトキシシランの加水分解物30gを添加して室温(25℃)で数十分間撹拌した。その後、温度を95℃まで上げて、pHが7に低下するまで撹拌を継続した。pHが7に到達した後、スラリーを濾過した。濾取した沈殿を数回水洗した後、120℃で15時間乾燥させた。
得られた乾燥物を打錠機で直径10mmφ×高さ3mmのペレット状に成形し、空気雰囲気下500℃で5時間焼成した。該焼成品を粉砕して得られた粒径1〜2mmの粒子に、水素気流中、200℃で4時間の還元処理を施した。このようにしてシリカにCuが担持した触媒を調製した。触媒中の銅原子、鉄原子、アルミニウム原子、カルシウム原子の含有量はそれぞれ順に17質量%、6質量ppm、3質量ppm、10質量ppmであった。この触媒4.0mLを反応器に充填して、以下の条件で水素化反応を行ってメタノールを製造した。
原料(炭酸ジメチル)供給量:67μL/min、LHSV=1h−1
水素供給量:791NmL/min(GHSV=12055h−1,H/DMC(モル比)=45.8)
反応器の温度:140℃
反応器の水素分圧:0.5MPa
反応開始から15時間経過後の反応液と反応ガスを、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析結果に基づいて、炭酸ジメチル(DMC)の転化率、メタノール(MeOH)の空時収率(g−MeOH/L−触媒・h−1)及び選択率、並びに、ギ酸メチル(MF)、二酸化炭素、一酸化炭素及びメチラール(ML)の選択率を求めた。表1にその結果を示す。
(実施例1−2、実施例1−3)
実施例1−2では、反応器の温度を160℃にしたこと以外は実施例1−1と同様にしてメタノールの製造を行った。実施例1−3では、反応器の温度を180℃にしたこと以外は実施例1−1と同様にしてメタノールの製造を行った。そして、実施例1−1と同様にして分析を行い各物質の転化率、STY及び選択率を求めた。これらの結果を表1に併せて示す。表中、「ND」は検出限界以下であったことを示す。
Figure 2020079204
表1に示すとおり、反応の温度が140〜180℃の範囲では、温度が高くなるにつれて炭酸ジメチルの転化率、並びにメタノールの選択率及びSTYは高くなる傾向にあった。なお、実施例1−1〜1−3ではジメチルエーテルの測定は行わなかった。
(実施例2−1)
反応条件を以下のとおりにしたこと以外は、実施例1−3と同様にしてメタノールの製造を行った。そして、実施例1−3と同様にして分析を行い、各物質の転化率、STY及び選択率を求めた。これらの結果を表2に示す。なお、実施例2−1ではジメチルエーテル(DME)の分析も行った。この結果も表2に併せて示す。
原料(炭酸ジメチル)供給量:133μL/min、LHSV=2h−1
水素供給量:1581NmL/min(GHSV=24110h−1,H/DMC(モル比)=45.8)
反応器の温度:180℃
反応器の水素分圧:0.5MPa
(実施例2−2、実施例2−3)
実施例2−2では、反応器の水素分圧を1.0MPaにしたこと以外は実施例2−1と同様にしてメタノールの製造を行った。実施例2−3では、反応器の水素分圧を2.0MPaにしたこと以外は実施例2−1と同様にしてメタノールの製造を行った。そして、実施例2−1と同様にして分析を行い、各物質の転化率、STY及び選択率を求めた。これらの結果を表2に併せて示す。
Figure 2020079204
表2に示すとおり、反応の水素分圧が0.5〜2MPaの範囲において、メタノールのSTY及び選択率を十分に高くできることが確認された。
(実施例3−1)
反応条件を以下のとおりにしたこと以外は、実施例2−3と同様にしてメタノールの製造を行った。実施例2−3と同様にして分析を行い各物質の転化率、STY及び選択率を求めた。これらの結果を表3に示す。
原料(炭酸ジメチル)供給量:133μL/min、LHSV=2h−1
水素供給量:394NmL/min(GHSV=6324h−1,H/DMC(モル比)=11.4)
反応器の温度:200℃
反応器の水素分圧:2.0MPa
(実施例3−2、実施例3−3)
実施例3−2では、水素供給量を791NmL/min(GHSV=12253h−1,H/DMC(モル比)=22.9)にしたこと以外は、実施例3−1と同様にしてメタノールの製造を行った。実施例3−3では、水素供給量を1581NmL/min(GHSV=24110h−1,H/DMC(モル比)=45.8)にしたこと以外は実施例3−1と同様にしてメタノールの製造を行った。そして、実施例3−1と同様にして分析を行い各物質の転化率、STY及び選択率を求めた。これらの結果を表3に併せて示す。
Figure 2020079204
表3に示すとおり、H/DMC(モル比)を大きくすると、炭酸ジメチルの転化率は増加し、ギ酸メチル、二酸化炭素、一酸化炭素及びジメチルエーテルの選択率は減少する傾向にあった。
(実施例4−1)
原料として、炭酸ジメチルとギ酸メチルの混合物(炭酸ジメチル:ギ酸メチル=80質量%:20質量%)を用いたこと以外は、実施例1−3と同様にして水素化反応を行った。反応開始から39時間経過後の反応液と反応ガスを、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析結果に基づいて、炭酸ジメチル(DMC)及びギ酸メチル(MF)の転化率、並びにメタノール(MeOH)、ギ酸メチル(MF)、二酸化炭素、一酸化炭素及びメチラール(ML)の収量を求めた。表4にその結果を示す。表中「ND」は検出限界以下であったことを示す。
Figure 2020079204
表4に示すとおり、ギ酸メチルは炭酸ジメチルと同等の転化率を示した。実施例4−1では、メタノールが主に生成することが確認された。
(実施例4−2)
原料として、シュウ酸ジメチルの製造プロセスの副生物(図2のWL1に相当)を用いた。当該原料は、炭酸ジメチル、メタノール、ギ酸メチル、メチラール、及びホルムアルデヒドを含んでいた(炭酸ジメチル:メタノール:ギ酸メチル:メチラール:ホルムアルデヒド=51質量%:40質量%:0.14質量%:0.43質量%:0.31質量%)。この原料を用いたことと、反応条件を以下のとおりにしたこと以外は、実施例1−3と同様にして水素化反応を行った。
原料供給量:133μL/min、LHSV=2h−1
水素供給量:1581NmL/min
反応器の温度:200℃
反応器の水素分圧:2.0MPa
反応開始から7時間経過後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ホルムアルデヒドの反応液中の含有量は、1.4×10−5mmol/hであった。原料液中のホルムアルデヒドの含有量は0.75mmol/hであったことから、ホルムアルデヒドの大部分は式(3)に示す水素化反応によってアルコールに転化したものと考えられる。
(比較例1)
原料として、メチラール(ML、ジメトキシメタン)を用いたこと、及び反応条件を以下のとおりにしたこと以外は、実施例4−1と同様にして水素化反応を行った。
原料(メチラール)供給量:67μL/min、LHSV=1h−1
水素供給量:1010NmL/min(GHSV=15408h−1,H/ML(モル比)=60)
反応器の温度:200℃
反応器の水素分圧:2.0MPa
反応開始から6時間経過後の反応液と反応ガスを、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析結果に基づいて、メタノール(MeOH)、ギ酸メチル(MF)、メタン、ジメチルエーテル(DME)、CO、COの収率を求めた。表5にその結果を示す。表中「ND」は検出限界以下であったことを示す。
Figure 2020079204
表5に示すとおり、メチラールを用いた場合、メタノールの収率は極めて低かった。このことからメチラールはメタノールを製造するための原料には適していないことが確認された。
(実施例5−1)
図1に示すような構造を有するメタノールの製造装置を用いて、炭酸ジメチルとメタノールを含む原料(炭酸ジメチル:メタノール=50質量%:50質量%)の水素化反応を行った。水素化反応の触媒として、実施例1−1で調製した触媒(以下、「触媒1」という。)を用いた。触媒量を1.0mLとし、以下の条件で水素化反応を行ってメタノールを製造した。
原料(DMC+MeOH)供給量:39μL/min、LHSV(DMC)=1h−1
水素供給量:200NmL/min(GHSV=13014h−1,H/DMC(モル比)=45.8)
反応器の温度:180℃
反応器の水素分圧:0.5MPa
反応開始から6時間経過後の反応液と反応ガスを、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析結果に基づいて、炭酸ジメチル(DMC)の転化率及びメタノール(MeOH)の選択率、並びに、ギ酸メチル(MF)、メタン(CH)、ジメチルエーテル(DME)、二酸化炭素(CO)及び一酸化炭素(CO)の選択率を求めた。表6にその結果を示す。
(実施例5−2〜実施例5−4)
実施例5−2では、水素化反応の触媒として、Cu−Si−Ca系の触媒(堺化学工業株式会社製、商品名:ST−301H−33、Cu含有量:39質量%、以下、「触媒2」という。)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様にして原料の水素化反応を行った。
実施例5−3では、水素化反応の触媒として、Cu−Si−Cr−Mg系の触媒(ジョンソン・マッセイ社製、商品名:CU60/35T、Lot No.C3182/2013,Cu含有量:68質量%、以下「触媒3」という。)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様にして原料の水素化反応を行った。
実施例5−4では、水素化反応の触媒として、活性炭にCuを担持させた市販の触媒(ジョンソン・マッセイ社製、商品名:JMCA−2、Lot No.2527−208−17、Cu含有量:9質量%、以下「触媒4」という。)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様にして原料の水素化反応を行った。
実施例5−2〜実施例5−4において、実施例5−1と同様に反応開始から6時間経過後の反応液と反応ガスを、ガスクロマトグラフィーで分析した。表6に結果を併せて示す。
Figure 2020079204
実施例5−1〜5−3で用いた触媒1〜3の方が、実施例5−4の触媒4よりも高い活性を有することが確認された。
実施例5−1(触媒1)及び実施例5−4(触媒4)のメタノールの製造を10日間以上継続して行い、24時間ごとにサンプルを採取して炭酸ジメチルの転化率と各成分の選択率又は生成量を求めた。炭酸ジメチルの転化率と各成分の選択率又は生成量の関係を図5〜図8に示す。図5〜図8には、実施例5−2(触媒2)及び実施例5−3(触媒3)の結果も併せて示した。触媒2,3を用いた実施例5−2、5−3では、ホルムアルデヒド(FAL)の分析は行わなかった[図6(A)]。
メタノール以外の副生物(特に、メタン、ジメチルエーテル、CO)の生成量は、触媒2(ST−301H−33)と触媒3(CU60/35T)の方が触媒1(シュウ酸ジメチルの水添触媒)と触媒4(Cu/活性炭)よりも多い傾向にあった。Cu,Si以外の元素として、触媒2はCaを、触媒3はCr及びMgを含有する。これらの金属が副生物の生成を促進していると推察される。触媒1,4は、上述の金属を含有していない。
(比較例2)
触媒として、担体であるTiOに0.5質量%のRuを担持させた市販の触媒(エヌ・イー・ケムキャット社製、商品名:0.5wt%Ru/TiO)を用い、実施例5−1と同様の条件で水素化反応を試みた。しかしながら、水素化反応は殆ど進行しなかった。
(比較例3)
触媒として、担体である活性炭に3.0質量%のRuを担持させた市販の触媒(エヌ・イー・ケムキャット社製、商品名:3.0wt%Ru/AC)を用い、実施例5−1と同様の条件で水素化反応を試みた。しかしながら、水素化反応は殆ど進行しなかった。
(比較例4)
触媒として、担体である活性炭に1.0質量%のPtを担持させた市販の触媒(エヌ・イー・ケムキャット社製、商品名:1.0wt%Pt/AC)を用い、実施例5−1と同様の条件で水素化反応を試みた。しかしながら、水素化反応は殆ど進行しなかった。
(実施例6−1)
触媒1の寿命評価を行った。具体的には、図1に示すような構成を有するメタノールの製造装置を用いて、炭酸ジメチルとメタノールを含む原料(炭酸ジメチル:メタノール=50質量%:50質量%)の水素化反応を積算で500〜600時間(平日のみ昼夜連続運転、土日は停止)行った。触媒量を5.0mLとし、以下の反応条件とした。
原料(DMC+MeOH)供給量:83μL/min、LHSV(DMC)=1h−1
水素供給量:1001NmL/min(GHSV=13016h−1,H/DMC(モル比)=45.8)
反応器の水素分圧:0.5MPa
反応器の温度は以下のとおりとした。
開始〜100時間まで:180℃
100時間経過後〜150時間まで:200℃
150時間経過後〜190時間まで:215℃
190時間経過後〜終了まで:220℃
反応開始から所定時間経過後の反応液と反応ガスを、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析結果に基づいて、炭酸ジメチルの転化率及びメタノールのSTYを求めた。これらの結果を図9(A)及び図9(B)に「触媒1(200℃)」として示す。また、分析結果に基づいて、メタノールの選択率、並びに、各副生物の選択率及び生成量を求めた。これらの結果を図10〜図13に「触媒1」として示す。
(実施例6−2)
反応器の温度を220℃にしたこと以外は実施例6−1と同様にして原料の水素化反応を行った。反応開始から所定時間経過後の反応液と反応ガスを、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析結果に基づいて、炭酸ジメチルの転化率及びメタノールのSTYを求めた。これらの結果を図9(A)及び図9(B)に「触媒1(220℃)」として示す。
(実施例6−3)
触媒1に代えて触媒4を用いたこと以外は、実施例6−1と同様にして水素化反応を積算で約200時間行った。そして、実施例6−1と同様にして反応液と反応ガスを分析して、炭酸ジメチルの転化率及びメタノールのSTYを求めた。これらの結果を図9(A)及び図9(B)に「触媒4」として示す。また、分析結果に基づいて、メタノールの選択率、並びに、各副生物の選択率及び生成量を求めた。これらの結果を図10〜図13に「触媒4」として示す。
(比較例5)
原料としてシュウ酸ジメチル(DMO)を用いたこと以外は、実施例6−1と同様にして水素化反応を積算で500〜600時間行った。そして、実施例6−1と同様にして反応液と反応ガスを分析して、シュウ酸ジメチルの転化率及びメタノールのSTYを求めた。これらの結果を図9(A)及び図9(B)に「DMO」として示す。
図9(A)及び図9(B)に示すとおり、触媒4を用いた炭酸ジメチルの水素化反応(実施例6−3)は、50時間を超えると活性が低下する傾向にあった。一方、触媒1を用いた炭酸ジメチルの水素化反応(実施例6−1,6−2)は、50時間を超えても高い活性を維持することができた。なお、反応温度が220℃の場合(実施例6−2)の方が、200℃の場合(実施例6−1)よりもメタノールのSTYが高かったが、メタノールの転化率が早く低下する傾向にあった。比較例5のシュウ酸ジメチルの水素化反応では、実施例6−1,6−2よりもメタノールのSTYが低かった。ただし、500時間経過しても活性は殆ど低下しなかったことから、原料にシュウ酸ジメチルが含まれていても触媒活性に悪影響を及ぼさないことが確認された。
図10(B)、図11(A)、図11(B)、図12(A)及び図13(A)に示すとおり、触媒1を用いた実施例6−1の方が、触媒4を用いた実施例6−3よりも、ギ酸メチル(MF)、ホルムアルデヒド(FAL)、ジメチルエーテル(DME)、CO、メタン(CH)の選択率の増加を抑制できることが確認された。
有機成分を含む原料から効率よくメタノールを製造する製造装置及び製造方法が提供される。
10…タンク、11…水素供給配管、12,22…ポンプ、13…合流部、14…予熱器、16…反応器、18…クーラー、20…セパレータ、24…精製塔、100…製造装置、200,300…合成装置、210,310…第1反応器、215,315…タンク、220,320…吸収塔、230,330…第2反応器、255,355…合流部、260,360…蒸留塔、263,363…コンデンサー、265,365…アルカリ処理槽、266,366…中和塔、270,370…第3反応器、275…精製塔、278,378…蒸留塔、280,380…メタノール回収塔、285…リカバリー槽、390…処理塔、392…コンプレッサー、400…製造装置、410…加熱器、420…反応器、430…熱交換器、440…凝縮器、450…第1蒸留塔、460…第2蒸留塔。

Claims (12)

  1. 触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する反応器を備えるメタノールの製造装置であって、
    前記原料は炭酸ジメチルとギ酸メチルとを含有し、
    前記触媒は銅を含有するメタノールの製造装置。
  2. 触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する反応器を備えるメタノールの製造装置であって、
    前記原料は炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含有し、
    前記触媒は銅を含有し、
    前記反応器における水素分圧が0.4〜3MPa、温度が140〜250℃であるメタノールの製造装置。
  3. 前記原料は、ホルムアルデヒド及びシュウ酸ジメチルの一方又は双方をさらに含有する、請求項1又は2に記載のメタノールの製造装置。
  4. 前記触媒は、シリカを含む担体と、前記担体に担持された前記銅とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタノールの製造装置。
  5. 前記原料は、一酸化炭素とメタノールとから前記炭酸ジメチル又はシュウ酸ジメチルを合成する合成装置における、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含む副生物を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のメタノールの製造装置。
  6. 前記水素の少なくとも一部は、シュウ酸ジメチルを水素添加してエチレングリコールを製造する製造装置から供給される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のメタノールの製造装置。
  7. 触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する工程を有するメタノールの製造方法であって、
    前記原料は炭酸ジメチルとギ酸メチルとを含有し、前記触媒は銅を含有する、メタノールの製造方法。
  8. 触媒の存在下で、原料と水素とを反応させてメタノールを合成する工程を有するメタノールの製造方法であって、
    前記原料は炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含有し、前記触媒は銅を含有し、
    前記工程では、水素分圧が0.4〜3MPa、温度が140〜250℃の条件下で反応させる、メタノールの製造方法。
  9. 前記原料は、ホルムアルデヒド及びシュウ酸ジメチルの一方又は双方を含有する、請求項7又は8に記載のメタノールの製造方法。
  10. 前記触媒は、シリカを含む担体と、前記担体に担持された前記銅とを含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載のメタノールの製造方法。
  11. 前記原料は、一酸化炭素とメタノールとから炭酸ジメチル又はシュウ酸ジメチルを合成する工程において生成する、炭酸ジメチル及びギ酸メチルの少なくとも一方を含む副生物を含有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載のメタノールの製造方法。
  12. 前記水素の少なくとも一部として、シュウ酸ジメチルを水素添加した後に得られる非凝縮ガスに含まれる水素を利用する、請求項7〜11のいずれか一項に記載のメタノールの製造方法。
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