JP5432656B2 - 固形粉末化粧料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、湿式製法によって製造され、使用性に優れた固形粉末化粧料に関する。さらに詳しくは、滑らかなタッチで、瑞々しい質感を有し、フィット感等の官能特性に優れ、かつ耐衝撃性に優れ、安全性及び環境に配慮した湿式製法の固形粉末化粧料及びその製造方法に関する。
固形粉末化粧料は、携帯性、化粧方法の簡便性等の利点から、多くの顧客から支持を受けている。固形粉末化粧料は、一般的には、粉末と油剤を混合し、容器に充填後、加圧成型することにより製造されている(以下、このような製造方法を「乾式製法」と略す)。しかし、乾式製法によって製造された固形粉末化粧料は、ザラツキ感、乾燥感を感じる、粉っぽいとの不評も多くある。他方、乾式製法によって製造しつつ官能特性を差別化することは限界がある。
粉末及び油剤からなる化粧料基剤に揮発性溶媒を加え、混合してスラリー化して、該スラリーを容器に充填した後、上記揮発性溶媒を除去して製造する方法(以下、このような製造方法を「湿式製法」と記す)においては、粉末粒子の個々に油分が効率的に付着するので粉っぽさがなくなる、滑らかなタッチで、フィット感に優れたものが得られ易いとの可能性から、近年、盛んに開発が試みられている。非特許文献1では、湿式製法について詳述されている。また、特許文献1には、湿式製法において、特定のオルガノポリシロキサン球状粉体を特定量配合することにより、使用性を向上させるとの記述がある。
FRAGRANCE JOURNAL 2006‐6 34‐39
特許3434881号公報
化粧品市場をみると、湿式製法による固形粉末化粧料の占める割合は、必ずしも多くない。その理由はいくつか挙げられ、具体的には下記のようである。まず、湿式製法は、製造工程が多岐に亘るので、生産効率が悪くなり、コスト高になる。しかし、それを補って余りあるほどに官能特性を向上させることは困難である。更に、製造工程でバルク表面にクラックが生じやすく、出荷後の耐衝撃性においても懸案を残すものが多い。このため、固形粉末化粧料の品質を制御しにくくなる。加えて、非特許文献1及び特許文献1において、揮発性溶媒は油剤の溶解性が強い低分子量のアルコール、ヘキサン、イソパラフィン等が好適であると記載されている。これらは、いずれも引火点の低い有機溶剤であることから、防爆対策や作業員の吸入による安全対策が必須であり、環境問題から溶剤の回収も必要となる。
上記状況を踏まえ、滑らかなタッチで、瑞々しい質感を有し、フィット感等の官能特性に優れ、かつ耐衝撃性に優れ、安全性及び環境に配慮した湿式製法の固形粉末化粧料が望まれていた。
本発明は、下記成分(a)〜(d);
(a)疎水化処理粉末 10.0〜95.0質量%、
(b)50℃で抱水させ常温に戻したとき、自重と等量以上の水を抱水することが可能な抱水性油剤 0.1〜10.0質量%、
(c)多価アルコール 0.1〜5.0質量%、
(d)HLB10以下の界面活性剤 0.01〜5.0質量%、
を含有し、上記(a)〜(d)及び水を含有するスラリー状組成物を容器に充填する工程(1)及び上記工程(1)に次いで行われる上記スラリー状組成物から水を除去する工程(2)を有する製造方法によって製造されたことを特徴とする固形粉末化粧料である。
上記成分(a)は、メチルポリシロキサン処理粉末及び/又はアシルグルタミン酸塩処理粉末であることが好ましい。
上記成分(c)は、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
上記成分(d)は、モノイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
本発明は、(a)疎水化処理粉末 10.0〜95.0質量%、
(b)50℃で抱水させ常温に戻したとき、自重と等量以上の水を抱水することが可能な抱水性油剤 0.1〜10.0質量%、
(c)多価アルコール 0.1〜5.0質量%、
(d)HLB10以下の界面活性剤 0.01〜5.0質量%、
及び水を含有するスラリー状組成物を容器に充填する工程(1)及び上記工程(1)に次いで行われる上記スラリー状組成物から水を除去する工程(2)を有する固形粉末化粧料の製造方法でもある。

本発明によって、滑らかなタッチで、瑞々しい質感を有し、フィット感等の官能特性に優れ、かつ耐衝撃性に優れ、安全性及び環境に配慮した湿式製法の固形粉末化粧料が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
上述した特定の成分(a)〜(d)及び水を含有するスラリーは、水中での各成分の分散性が非常に良好である。このように優れた分散性を有するスラリーを使用して製造された化粧料は、優れた官能特性、化粧持続性、耐衝撃性を有するものとなるのである。すなわち、本発明はこのような知見に基づくものであり、上記特定の成分を含有するスラリーを使用した湿式製法によって優れた性能を有する固形粉末化粧料が得られることを見出すことによって完成されたものである。
本発明における疎水化処理粉末(a)は、化粧料に用いられる粉末をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理されたものであれば良い。このような疎水化処理粉末(a)は、数多くの種類のものが市販され、汎用されている。疎水化処理の主目的は、分散性向上、官能特性向上、湿潤性向上、粉塵性防止、表面活性抑制等にある。なかでも、メチルポリシロキサン処理及び/又はアシルグルタミン酸塩処理された粉末は、分散性向上及び滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感等の官能特性向上、化粧持続性向上のため、好適に用いられる。疎水化処理粉末の配合量は固形粉末化粧料の全量に対して10.0〜95.0質量%である。上記配合量の下限は20.0質量%であることがより好ましく、30.0質量%であることが更に好ましい。上記配合量の上限は90.0質量%であることがより好ましく、85.0質量%であることが更に好ましい。
上記疎水化処理粉末(a)の基材となる粉末としては、特に限定されず、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の無機着色顔料、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粒子等の化粧品において汎用される材料を使用することができる。
また、上述した疎水化処理粉末(a)に加えて、ポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー等の有機粒子を併用するものであってもよい。有機粒子を併用すると、のび、すべり等の官能特性を調整することができる。有機粒子を併用する場合、添加量は固形粉末化粧料の全量に対して1.0〜30.0質量%であることが好ましい。
本発明における抱水性油剤(b)は、下記抱水性試験にて、自重と等量以上の抱水力のある油剤であれば何を用いてもよく、特に限定されない。
(抱水性試験)
試験する油剤10gを50℃に加熱し、攪拌しながら50℃の水を徐々に、水が該油剤から排液してくるまで添加し、常温で一昼夜放置する。その後、分離した水を除去し、該油剤が抱水した水の量(質量g)を測定する。この数値を油剤量10gで除し、100倍して抱水力(%)とした。
上記に該当する成分としては、ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、酢酸ラノリン等のラノリン誘導体及びヒドロキシ脂肪酸コレステリル、分岐脂肪酸コレステリル等のコレステロール誘導体が公知であるが、好ましくは、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、分岐脂肪酸(C12−31)フィトステリル、ダイマージリノール酸(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等のフィトステロール誘導体が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができ、分散性向上及び滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感等の官能特性向上のため、好適に用いられる。
上記抱水性油剤(b)は、固形粉末化粧料の全量に対して0.1〜10.0質量%の割合で含まれる。0.1質量%未満であると、官能特性の向上が充分ではなく、10.0質量%を超えるとベタツキが生じたり、パフへ取れにくくなるなど、官能特性が悪化する。上記下限は、0.5質量%であることがより好ましく、上記上限は5.0質量%であることがより好ましい。
上記多価アルコール(c)としては、化粧料分野において一般的に使用される公知のものを使用することができ、例えば、ジプロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラフィノース等を挙げることができる。これらは市販品として容易に入手することができる。上記多価アルコール(c)は、必要に応じて、1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールを使用すると、分散性向上及び滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感等の官能特性向上を特に良好に得ることができるため、好適に使用することができる。
上記多価アルコール(c)は、固形粉末化粧料の全量に対して0.1〜15.0質量%の割合で含まれる。0.1質量%未満であると、官能特性の向上が充分ではなく、15.0質量%を超えると、ベタツキが生じたり、パフへ取れにくくなるなど、官能特性が悪化する。上記下限は、0.5質量%であることがより好ましく、上記上限は5.0質量%であることがより好ましい。
本発明におけるHLB10以下の界面活性剤(d)は、グリフィン法に基づくHLB値が10以下であれば任意に選択できる。好ましくは、モノイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わることが好ましい。HLB10を超える界面活性剤では、分散性向上及び滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感等の官能特性向上に資することができない。また、化粧持続性等の使用性が著しく悪くなる。
上記HLB10以下の界面活性剤(d)は、固形粉末化粧料の全量に対して0.01〜5.0質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満であると、水を含有するスラリー状組成物を得る際に均一に分散することが困難となる。5.0質量%を超えると、ベタツキが生じたり、化粧持続性が低下する。上記下限は、0.5質量%であることがより好ましく、上記上限は3.0質量%であることがより好ましい。
本発明においては、上記成分に加えて化粧料において一般的に使用される油剤を併用するものであってもよい。このような油剤としては、油脂類、ロウ類、硬化油類、炭化水素類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類等を挙げることができる。上記油剤を使用する場合、固形粉末化粧料の全量に対して20.0質量%以下の割合で含まれることが好ましい。
本発明の固形粉末化粧料には、上記成分に加えて、化粧料において一般に用いられるその他の成分、例えば、薬効成分、着香剤、清涼剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、抗酸化剤、pH調整剤、粘度調整剤、着色剤、防腐剤等を配合するものであってもよい。
本発明の固形粉末化粧料は、上記(a)〜(d)及び水を含有するスラリー状組成物を調整し、これを容器に充填し次いで水を除去することによって得られたものである。本発明においては、製造工程において使用する揮発性溶媒として水を用いることから、溶媒の除去に特別な装置を用いる必要がない。また、水は化粧料基剤中の油剤成分と混和しないため、溶媒の除去により、成型品の表層と下層において油剤成分の濃度勾配を生じることがない。そのため、表層と下層における使用感が異ならず、また、ひび割れや収縮を起こさない点でも好ましい。
製造工程において化粧料基剤に加える水の割合は、化粧料基剤100質量部に対して20〜200質量部が好ましく、より好ましくは30〜150質量部である。水の添加量が30質量部未満であると、粉体が充分に水に濡れず、不均一となり成型性が悪くなることがある。水の添加量が200質量部を超えると、水を充分に揮散させるために要する時間が長くなり生産効率が低下する。
本発明の固形粉末化粧料を製造するに際して、水に加えて揮発性溶媒としてメチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、フロン等の低沸点有機溶剤を用いることは、安全性及び環境問題の配慮から好ましいものではない。
上記製造方法は、より具体的には例えば、以下のようにして行うことができる。まず、上記(a)〜(d)を含有する化粧料原料を常法によって均一に混合して化粧料基剤を調製する。次いでこの化粧料基剤を水と混合してスラリー状組成物とする。次いで、このスラリー状組成物を容器に充填する(工程(1))。充填容器は金皿等の通常の固形粉末化粧料用容器を使用することができる。更にまた、充填時にスラリー状組成物の容器等への拡がりが悪い場合には、充填物がこぼれない程度に軽い振動を与えると均一に充填することができる。このようにして容器等に充填した後、上記スラリー状組成物から水を除去する(工程(2))。水の除去は常法、例えば、自然乾燥、加温乾燥、温風乾燥、真空吸引等によって行われる。これらの製造方法の詳細は特公昭57−60004号公報、特公昭61−54766号公報等に記載されている。
以上のような方法で得られる固形粉末化粧料は、メイクアップ化粧料として好適に使用することができ、より具体的には例えば、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ等として用いることができる。
上述した化粧料の製造方法も本発明の一部である。
以下に、実施例を示して本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%を表す。
実施例に先立ち、本発明で用いた試験法、評価法を説明する。
(評価方法1:分散性)
化粧料基剤に精製水を加えて混合して得られたスラリー1.0gを、スライドガラスに1.5cm四方に拡げて塗布し、目視にてその表面状態を観察し、以下の4段階の判定基準に従って判定した。
(判定基準)
内容 : 判定
粉体の固まりがなく、水ときめ細かく混ざり合っている : ◎
粉体の固まりはないが、水と粗雑に混ざり合っている : ○
粉体の固まりがやや残っている : △
粉体の固まりが残っている : ×
(評価方法2,3:官能特性(滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感)及び化粧持続性)
化粧品評価専門パネル20名に実施例及び比較例の化粧料を使用してもらい、官能特性(滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感)及び化粧持続性について各自が以下の基準に従って5段階評価し、化粧料毎に評点を付し、さらに全パネルの評点の平均点を以下の4段階の判断基準に従って判定した。尚、化粧持続性については、化粧料塗布直後の状態と塗布後5時間(日常生活)の状態を比較し、評価した。
(評価基準)
評価結果 : 評点
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
評点の平均点 : 判定
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
(評価方法4:耐衝撃性)
実施例及び比較例の化粧料をそれぞれ5個用意し、コンパクト内に収容した状態で、40cmの高さから塩ビ板上に正立方向で繰り返し5回自由落下させ、落下後の中味表面状態を目視にて以下の基準に従って4段階評価した。そして化粧料毎に評点を付し、さらにn=5の評点の平均点を以下の4段階の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
内容 : 評点
変化なし : 4点
僅かにヒビ割れがあるが、使用性に問題なし: 3点
ヒビ割れ、スキマ有り : 2点
大きなヒビ割れやスキマ有り : 1点
(判定基準)
n=5の評点の平均点 : 判定
3.5以上 : ◎
3.0以上〜3.5未満 : ○
2.0以上〜3.0未満 : △
2.0未満 : ×
実施例1〜5及び比較例1〜7:パウダーファンデーション
表1に示す組成のパウダーファンデーションを下記の方法により調製した。
(パウダーファンデーションの製造方法;実施例1〜5及び比較例1〜5)
A.油剤成分16〜26を75℃に加熱溶解し、均一に分散する。
B.粉末成分1〜15をヘンシェルミキサーで均一に分散する。
C.Bをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Aを添加し、均一分散して化粧料基剤を得る。
D.Cの化粧料基剤100質量部に対して、成分27の精製水75質量部を添加し、均一混合して、スラリー状とする。
E.Dを金皿に充填し、表面に吸水シートを置き、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引圧縮成型する。
F.Eを70℃の恒温槽に一晩放置し、精製水を完全に除去して、パウダーファンデーションを得た。
(パウダーファンデーションの製造方法;比較例6)
A〜Cは上記実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の方法で行った。
D.Cの化粧料基剤100質量部に対して成分28のイソプロピルアルコール50質量部を添加し、均一混合してスラリー状とする。
E.Dを金皿に充填し、表面に溶剤吸収シートを置き、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引圧縮成型する。
F.Eを70℃の恒温槽に一晩放置し、イソプロピルアルコールを完全に除去して、パウダーファンデーションを得た。
(パウダーファンデーションの製造方法;比較例7)
A〜Cは上記実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の方法で行った。
D.Cを金皿に充填し、圧縮成型してパウダーファンデーションを得た。
表1から明らかなように、本発明のパウダーファンデーションは、分散性、官能特性(滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感)、化粧持続性、耐衝撃性において非常に良好であった。
実施例6:固形白粉
(1) アシルグルタミン酸塩3.0%処理タルク(*11) 60.0
(2) アシルグルタミン酸塩3.0%処理セリサイト(*12) 残量
(3) アシルグルタミン酸塩3.0%処理酸化チタン(*13) 3.0
(4) アシルグルタミン酸塩3.5%処理ベンガラ 0.1
(5) アシルグルタミン酸塩3.5%処理黄酸化鉄 0.2
(6) アシルグルタミン酸塩3.5%処理黒酸化鉄 0.05
(7) アシルグルタミン酸塩3.5%処理群青 0.05
(8) ミリスチン酸亜鉛(*14) 5.0
(9) オレイン酸フィトステリル(*15) 1.0
(10)ジプロピレングリコール 1.0
(11)トリイソステアリン酸ポリグリセリル‐2(*8) 0.3
(12)ミネラルオイル 2.0
(13)精製水 100質量部
*11 NAI‐タルクJA‐46R(三好化成社)
*12 NAI‐セリサイトFSE(三好化成社)
*13 NAI−チタンCR‐50(70%)(三好化成社)
*14 パウダーベースM(日本油脂社)
*15 サラコスPO(T)(日清オイリオ社)(抱水力:>100%)
(製法)上記実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の方法で固形白粉を得た。
実施例7:頬紅
(1) メチルポリシロキサン2.0%処理タルク(*1) 60.0
(2) メチルポリシロキサン2.0%処理マイカ(*16) 残量
(3) メチルポリシロキサン2.0%処理酸化チタン(*3) 1.0
(4) メチルポリシロキサン2.0%処理ベンガラ 3.0
(5) メチルポリシロキサン2.0%処理赤色226 0.5
(6) メチルポリシロキサン2.0%処理黄酸化鉄 3.0
(7) メチルポリシロキサン2.0%処理黒酸化鉄 0.3
(8) メチルポリシロキサン2.0%処理雲母チタン(*17) 4.0
(9) 窒化ホウ素 1.0
(10)マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル(*18) 2.0
(11)1,2‐ペンタンジオール 1.0
(12)ポリエーテル変性シリコーン(*19) 0.5
(13)ミネラルオイル 3.0
(14)精製水 120質量部
*16 SA‐合成マイカ9WB(三好化成社)
*17 SA‐ティミロンMP‐115(三好化成社)
*18 YOFCO MAS(日本精化社)(抱水力:>100%)
*19 KF‐6015(HLB 4.5)(信越化学工業社)
(製法)上記実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の方法で頬紅を得た。
実施例8:アイシャドウ
(1) メチルポリシロキサン2.0%処理タルク(*1) 40.0
(2) メチルポリシロキサン2.0%処理マイカ(*16) 残量
(3) メチルポリシロキサン2.0%処理ベンガラ 0.8
(4) メチルポリシロキサン2.0%処理赤色226 0.2
(5) メチルポリシロキサン2.0%処理黄酸化鉄 3.0
(6) メチルポリシロキサン2.0%処理黒酸化鉄 4.0
(7) メチルポリシロキサン2.0%処理ベンガラ被覆雲母チタン(*20)
20.0
(8) メチルポリシロキサン2.0%処理雲母チタン(*21) 8.0
(9) 球状シリカ 5.0
(10)ダイマージリノール酸水添ヒマシ油(*22) 1.0
(11)ジプロピレングリコール 2.0
(12)ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2(*23) 0.5
(13)ミネラルオイル 2.0
(14)精製水 150質量部
*20 SA‐クロイゾネゴールド(三好化成社)
*21 SA‐ティミロン スーパーグリーン(三好化成社)
*22 リソカスタDA-L(高級アルコール工業社)(抱水力:>100%)
*23 DISG−2(HLB 4)(日本エマルジョン社)
(製法)
A〜Cは上記実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の方法で行った。
D.Cの化粧料基剤100質量部に対して成分14の精製水150質量部を添加し、均一混合してスラリー状とする。
E.底面に充填孔を有する樹脂皿の開口部を吸水シートを介在して多孔質吸引ヘッドで閉ざし、前記充填孔よりバックインジェクションマシンを用いて加圧充填して成型する。
F.Eを70℃の恒温槽に一晩放置し、精製水を完全に除去して、アイシャドウを得た。
実施例9:アイブロウ
(1) メチルポリシロキサン2.0%処理タルク(*1) 残量
(2) メチルポリシロキサン2.0%処理ベンガラ 6.0
(3) メチルポリシロキサン2.0%処理黄酸化鉄 4.0
(4) メチルポリシロキサン2.0%処理黒酸化鉄 15.0
(5) メチルポリシロキサン2.0%処理群青 3.0
(6) メチルポリシロキサン2.0%処理酸化チタン(*3) 10.0
(7) ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(*24)
1.0
(8) ジプロピレングリコール 1.0
(9) モノイソステアリン酸ソルビタン(*9) 0.3
(10)ミネラルオイル 8.0
(11)精製水 120質量部
*24 エルデュウPS−203(味の素社)(抱水力:>100%)
(製法)上記実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の方法でアイブロウを得た。
実施例6〜9の化粧料は、スラリーの分散性に優れ、また、滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感等の官能特性に優れ、かつ良好な耐衝撃性を有する化粧料であった。
以上説明したように、本発明によれば、滑らかなタッチ、瑞々しい質感、フィット感等の官能特性に優れ、かつ良好な耐衝撃性を有したパウダーファンデーション、固形白粉、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ等の化粧料を得ることができる。

Claims (5)

  1. 下記成分(a)〜(d);
    (a)疎水化処理粉末 10.0〜95.0質量%、
    (b)50℃で抱水させ常温に戻したとき、自重と等量以上の水を抱水することが可能な抱水性油剤 0.1〜10.0質量%、
    (c)多価アルコール 0.1〜5.0質量%、
    (d)HLB10以下の界面活性剤 0.01〜5.0質量%、
    を含有し、
    前記(a)〜(d)及び水を含有するスラリー状組成物を容器に充填する工程(1)及び前記工程(1)に次いで行われる前記スラリー状組成物から水を除去する工程(2)を有する製造方法によって製造されたことを特徴とする固形粉末化粧料。
  2. 前記成分(a)は、メチルポリシロキサン処理粉末及び/又はアシルグルタミン酸塩処理粉末である請求項1記載の固形粉末化粧料。
  3. 前記成分(c)は、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の固形粉末化粧料。
  4. 前記成分(d)は、モノイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1、2又は3記載の固形粉末化粧料。
  5. (a)疎水化処理粉末 10.0〜95.0質量%、
    (b)50℃で抱水させ常温に戻したとき、自重と等量以上の水を抱水することが可能な抱水性油剤 0.1〜10.0質量%、
    (c)多価アルコール 0.1〜5.0質量%、
    (d)HLB10以下の界面活性剤 0.01〜5.0質量%、
    及び水を含有するスラリー状組成物を容器に充填する工程(1)及び前記工程(1)に次いで行われる前記スラリー状組成物から水を除去する工程(2)を有する固形粉末化粧料の製造方法。
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