JP2012214420A - 粉体固形化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決方法】粉体とヒドロキシ脂肪酸エステルと溶媒とを混合してスラリー状にし、そのスラリーを型に充填した後に溶媒を除去して得られる粉体固形化粧料。
【選択図】なし
Description
これらのうち、湿式製法により製造した粉体固形化粧料は、使用時ののびのよさやウェット感など使用感に優れる反面、落下時などの衝撃などに弱く固形化粧料が割れ易いという問題点があった。
また、特許文献2には、一般的な油性成分に加えてリン脂質および高級アルコールを混合して得られる固形粉体化粧料が開示されている。
しかしながら、粉体固形化粧料に配合される油性成分が有する特定の化学構造に着目してこれらの課題を十分に解決する発明は存在しなかった。
[1] 粉体とヒドロキシ脂肪酸基を有する油性成分と溶媒とを混合してスラリー状にし、そのスラリーを型に充填した後に溶媒を除去して得られる粉体固形化粧料;
[2] ヒドロキシ脂肪酸基を有する油性成分がヒドロキシ脂肪酸エステルである前記[1]記載の粉体固形化粧料;
[3] ヒドロキシ脂肪酸エステルが12−ヒドロキシ脂肪酸のエステルである前記[2]記載の粉体固形化粧料;
[4] ヒドロキシ脂肪酸エステルが、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびジペンタエリスリトールよりなる群から選択される1種または2種以上の化合物と12−ヒドロキシ脂肪酸とのエステルである前記[2]または[3]記載の粉体固形化粧料;
[5] 溶媒が水、エタノールまたは80%(v/v)エタノール水溶液である前記[1]ないし[4]のいずれか1に記載の粉体固形化粧料
を提供する。
通常、粉体固形化粧料は粉体、油性成分やその他の任意の配合成分から構成されるが、湿式製法においては粉体と油性成分とを溶媒中で混錬してから成型し、その後に溶媒を揮発・乾燥させることにより製造される。
本発明の粉体固形化粧料は、このような湿式製法によって製造される化粧料であり、配合する油性成分としてヒドロキシ脂肪酸基を有する油性成分を選択して配合することにより優れた耐落下衝撃性および使用感を発揮するものである。
この溶媒は、粉体および油性成分を均一に混合し得る量を用いて本発明の粉体固体化粧料を製造することができるが、成型後に除去することを考慮すると、可能な限り少量を用いる方が好ましい。
例えば、植物油、合成油や固形油、半固形油等性状や起源を問わず、種々の炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、ヒドロキシ脂肪酸エステル以外のエステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等を使用することができる。具体的には、ワセリン、パラフィンワックス、セレシン、ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の炭化水素類、モクロウ、コメヌカロウ等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、12−ヒドロキシ脂肪酸エステル以外のコレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類;プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール類;ポリエチレンワックス等のポリマー;天然ビタミンEやd−δ−トコフェロール等のトコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエンやブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、例えば、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、レシチン等の界面活性剤;ベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等の紫外線吸収剤;タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の保湿剤;ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール等の防腐剤が挙げられる。
チークカラー、おしろいなどの商品として製造することができる。
ファンデーション油性成分の検討−1
液状油性成分
ファンデーション中、オイルベースが使用感(官能によるしっとり感)、品質(耐落下衝撃性および硬度)に与える影響を調べた。溶媒として、水、80%(v/v)エタノール水溶液およびイソパラフィンを用いて検討した。
調製したファンデーションは、水100%、80%(v/v)エタノール水溶液またはイソパラフィン(IP ソルソルベント 1620MU)と混合してペースト状にし、下記の条件で型に充填した。
一次プレス:予備プレス時間10秒、プレス圧30kg
二次プレス:プレス時間4秒、プレス圧100kg
一次プレス及び二次プレスは一定減圧環境下で行った。
型に充填したファンデーションを30℃にて9時間乾燥した。
(1)硬度 50φ丸皿の中央および、周囲4点の計5点にてテクロック製ゴム硬度計を用いて測定した。
(2)耐落下衝撃性 指定のまな板の上に、コンパクトケースに入れずに50cmの高さよりカケが生じるまで繰り返し落下させた。
変化なしを◎、わずかなヒビを○、カケやワレが生じるを×として判断した。
(3)しっとり感 しっとり感低い1〜高い3までの3段階で、n=2にて評価。平均値を記載している。
その結果を表3に示す。
(1)表面硬度・耐落下衝撃性
水<エタノール水溶液<イソパラフィンの順に表面硬度が高くなった。FRAGRANCE JOURNAL(2006)6.34-39によれば、未処理のタルクに水とイソパラフィンを加えて棒状に成型した場合の折れ荷重は、水を用いた場合にイソパラフィンを用いた場合の約2倍高い折れ荷重になるとのことであり、本実験の結果とは逆転している。
これは、粉体表面と溶媒との極性によって表面硬度が変化すると考えられ、溶媒によって処方骨格を大きく変化させる必要があることが再確認している。
また、耐落下衝撃性は表面硬度に伴い変化した。
溶媒として水または80%(v/v)エタノール水溶液を使用した場合の官能傾向は、表4のようになった。
(3)考察
ファンデーションのしっとり感と、液状油性成分の極性について表5にまとめた。
水および80%(v/v)エタノール水溶液はともに粉体のスラリー化および官能面から適当であることが示された。
また、ファンデーションのしっとり感と液状油性成分の極性との関係について下記表5にまとめたデータを考察すると、極性の低い炭化水素オイルは肌上にとどまる(または粉体内に吸収されにくい)ためしっとりとした感触になる。この現象は乾式でも同様である。今回のスクリーニングにおいても、流動パラフィンやオレフィンオリゴマーが良好な結果であり、中でもやや粘性の高いオレフィンオリゴマーが良好な油性成分であった。
一方、エステル結合が多い極性油でも同様にしっとりとした感触が感じられた。これは、実際に肌がしっとりとするというよりも、塗布面のなめらかさがしっとりとした感触につながっているためであると考えられた。
ファンデーション油性成分の検討−2
ペースト状油性成分
ファンデーション中、オイルベースが使用感(官能によるしっとり感)および品質(耐落下衝撃性、硬度)に与える影響を調べた。溶媒として、水および80%(v/v)エタノール水溶液を用いて検討した。
調製したファンデーションは、水100%または80%(v/v)エタノール水溶液と混合してペースト状にし、下記の条件で型に充填した。
一次プレス:予備プレス時間10秒、プレス圧30kg
二次プレス:プレス時間4秒、プレス圧100kg
一次プレス及び二次プレスは一定減圧環境下で行った。
型に充填したファンデーションを30℃にて9間乾燥した。
検討するオイルベースのスクリーニングに用いたペースト状油性成分を結果とともに表6に示す。
7. 評価方法
(1)硬度 50φ丸皿の中央および、周囲4点の計5点にて測定した。
(2)耐落下衝撃性 指定のまな板の上に、コンパクトケースに入れずに50cmの高さよりカケが生じるまで繰り返し落下させた。
(3)しっとり感 しっとり感低い1〜高い3までの3段階で、n=2にて評価。平均値を記載している。
アイカラー油性成分の検討−1
液状油性成分
アイカラー中、オイルベースが使用感(トレ、パール感および官能によるしっとり感)および品質(耐落下衝撃性および硬度)に与える影響を調べる。溶媒として、水および80%(v/v)エタノール水溶液を用いて検討した。
調製したアイカラーは、水100%または80%(v/v)エタノール水溶液と混合してペースト状にし、下記の条件で型に充填した。
予備プレス:充填時間30秒、充填圧0.2Mpa・s
二次プレス:プレス時間4秒、プレス圧160kg
予備プレス、二次プレス共に一定減圧環境下で行った。
型に充填したファンデーションを30℃にて9時間以上乾燥した。
検討するオイルベースのスクリーニングに用いた液状油性成分を表8に示す。
選択した基準は、炭化水素系の無極性油、エステル系の極性油で粘性の違いなどである。これらの液状油性成分ごとのオイルベースを用いてバルクを調製し、評価した。
ファンデーション油性成分の検討で用いた評価方法と同様の方法で評価を行った。
(1)硬度 50φ丸皿の中央および、周囲4点の計5点にてテクロック製ゴム硬度計を用いて測定した。
(2)耐落下衝撃性 指定のまな板の上に、コンパクトケースに入れずに50cmの高さよりカケが生じるまで繰り返し落下させた。
変化なしを○、ヒビ、カケやワレが生じるを×として判断した。
(3)しっとり感 しっとり感低い1〜高い3までの3段階で、n=2にて評価。平均値を記載している。
その結果を表9に示す。
アイカラー油性成分の検討−2
ペースト状油性成分
アイカラー中、ペースト油が使用感(官能によるしっとり感およびパール感)および品質(耐落下衝撃性および硬度)に与える影響を調べた。溶媒として、水および80%(v/v)エタノール水溶液を用いて検討した。
調製したアイカラーは、水100%または80%(v/v)水溶液と混合してペースト状にし、下記の条件で型に充填した。
液状油性成分の検討と同じ条件
型に充填したアイカラーを30℃にて9時間乾燥した。
実施例3の液状油性成分の検討に用いたものと同じ方法により評価した。
その結果を表12に示す。
これらの中で、ブラシへの取り易さ、パール感、しっとり感の良好なペースト油は、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2−オクチルドデシル)であった。また、ワセリン、シア脂、ベジタブルトリグリセリド、オレイン酸フィトステリルなどを用いた場合はなめらかさがあった。
また、耐落下衝撃性に有効であったのは、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル(サラコスFH)およびヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(コスモール168M)であった。
このことは、単に油性成分の粘性や物理的な状態だけで耐落下衝撃性が改善されることがないことを示している。
化学構造上、良好な評価結果が示されたペースト状油性成分に共通していたのはヒドロキシアルキル基を有していることであり、この構造が粉体固形化粧料に優れた使用感および耐落下衝撃性を付与することが判明した。
本発明は、特定の化学構造を有する油性成分を選択して配合することにより耐落下衝撃性に優れ、かつ使用感にも優れた粉体固形化粧料に関するものである。
Claims (5)
- 粉体とヒドロキシ脂肪酸基を有する油性成分と溶媒とを混合してスラリー状にし、そのスラリーを型に充填した後に溶媒を除去して得られる粉体固形化粧料。
- ヒドロキシ脂肪酸基を有する油性成分がヒドロキシ脂肪酸エステルである請求項1記載の粉体固形化粧料。
- ヒドロキシ脂肪酸エステルが12−ヒドロキシ脂肪酸のエステルである請求項2記載の粉体固形化粧料。
- ヒドロキシ脂肪酸エステルが、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびジペンタエリスリトールよりなる群から選択される1種または2種以上の化合物と12−ヒドロキシ脂肪酸とのエステルである請求項2または3記載の粉体固形化粧料。
- 溶媒が水、エタノールまたは80%(v/v)エタノール水溶液である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粉体固形化粧料。
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