JP5430969B2 - 圧縮空気供給システム、及び、空気圧縮機の制御方法 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、空気圧縮機の動作によるエンジン性能への影響を制御することにより、車両の性能向上を図ることを目的とする。
図1は、本発明を適用した実施の形態に係る圧縮空気供給システム1の構成を示す図である。この図1には、圧縮空気供給システム1の回路構成とともに、圧縮空気供給システム1が搭載された車両のエンジン3、車速検出器21、補助ブレーキスイッチ22、及びリターダ23を合わせて図示する。
ECU2には、圧縮空気供給システム1を搭載する車両の車速を検出する車速検出器21が接続され、車速検出器21から車速信号2aがECU2に入力される。また、ECU2には、上記車両が備える補助ブレーキスイッチ22が接続される。補助ブレーキスイッチ22は、上記車両の運転者が操作する補助ブレーキレバー(図示略)の操作量を検出するスイッチである。ここで、補助ブレーキとは、上記車両が足踏み式ブレーキ(以下、主ブレーキという)とは別に備える制動装置を指し、本実施の形態ではリターダ23である。補助ブレーキレバーは、求める制動力に応じて複数段階の操作量が設定され、補助ブレーキスイッチ22は、補助ブレーキレバーの操作量に応じた操作信号2bをECU2に出力する。
また、ECU2には、上記車両のアクセルペダルの操作量や変速装置の動作状態等を示す車両制御信号2dが入力され、ECU2は、車両制御信号2dに基づいてエンジン3の燃料噴射制御、点火制御等の各種制御を行うため、エンジン3に対してエンジン制御信号2eを出力する。
エアードライヤーモジュール10には、上記車両が備える負荷51〜54が接続されている。負荷51は主ブレーキ(前輪)、負荷52は主ブレーキ(後輪)、負荷53はパーキングブレーキであり、負荷54は、ホーンやクラッチ駆動機構等の圧縮空気で駆動されるアクセサリー類である。負荷51〜54はそれぞれ圧縮空気が流れる圧縮空気回路を備え、さらに、負荷51はエアータンク51aを有し、負荷52はエアータンク52aを有する。
また、エアードライヤーモジュール10は、ECU2の制御によって開閉される電磁弁101、102、103、及び、エアードライヤーモジュール10の各部における空気圧を検出して、検出値をECU2に出力する圧力センサー121、122、123、124を備えている。ECU2は、圧力センサー121〜123の検出値と、上述した車速信号2a及び操作信号2bとに基づいて、電磁弁101〜103を開閉させる。
一方、電磁弁102は、ECU2の制御により開閉し、開弁状態において供給路106の空気圧をダブルチェックバルブ104に与える。
ダブルチェックバルブ104は、ガバナ13または電磁弁102のいずれか一方が開いた場合に排気バルブ12に空気圧を与えて開弁させる。従って、排気バルブ12は、供給路106の空気圧が所定の値より高い場合、及び、電磁弁102が開いた場合に開弁して、圧縮空気を排気口112から放出する。
各保護弁141〜144は、絞り及びチェック弁と並列に配置され、それぞれ対応する出力ポート113〜116に接続された負荷51〜54において圧縮空気が流れる回路が失陥したときに閉鎖する。
さらに、減圧弁132と保護弁143との間の供給路には、保護弁143をバイパスして出力ポート115に繋がる供給路136が延びている。供給路136には、出力ポート115から分岐室135への圧縮空気の逆流を防止する逆止弁137と、逆止弁137に対して直列に配された絞り138とを有する。
本実施の形態の負荷53は圧縮空気を貯留するエアータンクを備えていないが、エアードライヤーモジュール10は、エアータンクなしで負荷53を確実に動作させることが可能である。
この動作に加え、圧縮空気供給システム1は、補助ブレーキレバーが操作された場合に、負荷51〜54の要求に関わらずコンプレッサー4をロード状態に切り替えることで、エンジン3のエンジンブレーキの制動力を増すブレーキアシスト動作を行う。
さらに、圧縮空気供給システム1は、上記車両の加速中などエンジン3のトルクを必要とする場合に、コンプレッサー4をアンロード状態に保ってエンジン3の負荷を軽減するエンジンアシスト動作を実行する。
また、近年では小排気量のエンジンが採用されることがあるが、そのような車両において上記のブレーキアシスト動作を行えば、エンジン排気量の低下に伴うエンジンブレーキの制動力の低下を補うことができ、有用である。以下、図2から図4の各図を参照して、ブレーキアシスト動作及びエンジンアシスト動作の詳細について説明する。
以下に説明する動作に先立ち、ECU2には、リターダトルク要求値を判別する設定値、エンジントルク要求値を判別する設定値、及び、エアードライヤーモジュール10内の空気圧を判別する設定値A、B、Cが予め設定され、ECU2が内蔵するメモリー(図示略)に記憶されている。空気圧に関する設定値A、B、Cは、高圧側から順にA≧B≧Cである。
通常走行中、ECU2は、所定時間毎に、補助ブレーキスイッチ22が出力する操作信号2bを取得して(ステップS12)、操作信号2bにより示される補助ブレーキレバー(図示略)の操作量に基づいて、リターダトルク要求値を算出する(ステップS13)。
このブレーキアシスト動作において、ECU2は、電磁弁101を制御してコンプレッサー4をロード状態に移行させる(ステップS31)。これにより、エンジン3にはコンプレッサー4を駆動するための負荷が加わるため、エンジンブレーキの制動力が増大する。既にコンプレッサー4がロード状態にある場合、ECU2は、コンプレッサー4のロード状態を保持する。
続いて、ECU2は、エアードライヤーモジュール10内の空気圧が設定値B未満になったか否かを判別し(ステップS34)、設定値B未満になっていなければステップS33に戻って再び排気バルブ12を開弁させる。また、エアードライヤーモジュール10内の空気圧が設定値B未満であれば、続くステップS35に移行する。
一方、エアードライヤーモジュール10内の空気圧が予め設定された設定値A以上でない場合(ステップS32;No)、ECU2はそのままステップS35に移行する。
そして、ECU2は、算出したリターダトルク要求値の判別を行う(ステップS37)。この判別では、リターダトルク要求値が上記の設定値未満の状態が所定時間以上継続しているか否かを判別し、この条件を満たさない場合はステップS31に戻り、上記条件を満たした場合は、ステップS11(図2)の通常走行状態に戻る。このステップS37の判別を行うことで、ECU2は、例えば、補助ブレーキレバーの操作量が非操作状態に戻った場合に、ブレーキアシスト動作を終了する。ステップS37で所定時間以上継続していることを条件にしているのは、補助ブレーキレバーの頻回の操作や操作信号2bの一時的な変化により、頻繁なロード/アンロードの切り替えが起きるのを防ぐためである。
この図4に示すグラフ縦軸は圧力センサー121(図1)により検出されたエアードライヤーモジュール10内の空気圧であり、横軸は経過時間である。
図4中に時刻t1〜t4で示す通常走行中、ECU2の制御により、エアードライヤーモジュール10内の空気圧が設定値C未満になるとコンプレッサー4がロード状態に切り替わり、空気圧が上昇して設定値Aに達するとコンプレッサー4がアンロード状態に切り替わる。また、通常走行中は、空気圧が設定値Aに達する毎にガバナ13の制御により排気バルブ12が開弁され、上述した再生動作が行われる(時刻t2からt3)。
図3のフローチャートで説明したように、ブレーキアシスト動作の実行中、コンプレッサー4はECU2の制御によってロード状態を保持するので、エアードライヤーモジュール10内の空気圧は次第に上昇して設定値Aに達する。ここでECU2は、コンプレッサー4をロード状態に保ったまま、排気バルブ12を所定時間だけ開弁させてエアードライヤーモジュール10の空気圧を低下させる。ECU2は、エアードライヤーモジュール10内の空気圧が設定値B未満になるまで排気バルブ12を1回ないし数回開弁するので、空気圧は設定値Bまで低下する。ここで、コンプレッサー4はロード状態を保っているのでエアードライヤーモジュール10内の空気圧は再び上昇するが、ECU2の制御によって排気バルブ12が間欠的に開弁され、エアードライヤーモジュール10の空気圧は設定値B以上設定値A以下の範囲に保たれる。
このように、ブレーキアシスト動作において、ECU2は、エアードライヤーモジュール10内の空気圧を所定の範囲に保ちながら、コンプレッサー4のロード状態を保つことで、エンジンブレーキの制動力を増大させる。
ステップS22で、ECU2は、圧力センサー121が検出した空気圧が設定値C未満であるか否かを判別し、設定値C未満の場合はコンプレッサー4をロード状態に切り替えて(ステップS23)、ステップS24に移行する。また、空気圧が設定値C以上である場合は、そのままステップS24に移行する。
ステップS24で、ECU2は圧力センサー121が検出した空気圧が設定値A以上であるか否かを判別し、設定値A以上の場合はコンプレッサー4をアンロード状態に切り替えて(ステップS25)、ステップS11に戻る。また、空気圧が設定値A未満である場合は、そのままステップS11戻る。
また、車両の減速中は、エンジントルク要求値の判別が行われ、エンジントルク要求値が設定値以上の場合は、エンジン3の出力が求められているので、エンジンアシスト動作が行われ、コンプレッサー4は強制的にアンロード状態とされる。これに対し、エンジントルク要求値が設定値未満の場合は通常走行中の制御が行われる。
さらに、ブレーキアシスト動作ではエンジンブレーキ作動時のエンジン3の回転力によってコンプレッサー4をロードする。つまり、走行中の車両の運動エネルギーを回生して圧縮空気を生み出すので、車両におけるエネルギーの利用効率を高めることができる。
さらに、ECU2は、ブレーキアシスト動作においてコンプレッサー4をロード状態に保持するとともに、排気バルブ12を開弁させることによりエアードライヤーモジュール10における空気圧を適正な範囲内に保つことができる。
また、ECU2は、補助ブレーキレバーの操作量を示す補助ブレーキスイッチ22からの操作信号2bに基づいて、リターダトルク要求値を求め、このリターダトルク要求値を基準としてブレーキアシスト動作を行うか否かを判別する。このため、車両の制動力が必要とされていない場合、或いは、補助ブレーキレバーの操作により要求される制動力が小さい場合は、ブレーキアシスト動作を行わない。これにより、無駄なブレーキアシスト動作を防ぐことができるので、例えば、加速中にブレーキアシスト動作を行ってしまうことがないので、ブレーキアシスト動作によって燃料の消費量が増大することがなく、燃料消費の効率を低下させるおそれはない。
さらにまた、エアードライヤーモジュール10に接続される負荷は、主ブレーキ装置、パーキングブレーキ、及び、アクセサリー類に限定されず、圧縮空気を使用する機器類であれば何を接続してもよく、その他の細部構成についても任意に変更可能である。また、本発明の適用対象としての車両は限定されず、大型車両、小型車両、特殊車両、牽引車両、二輪車あるいは三輪車のいずれであってもよく、その規模及び形態は任意である。
2 ECU(制御部)
3 エンジン
4 コンプレッサー(空気圧縮機)
10 エアードライヤーモジュール(圧縮空気供給部)
12 排気バルブ(排気弁)
23 リターダ(補助ブレーキ装置)
51〜54 負荷
121 圧力センサー
Claims (4)
- 車両のエンジンにより駆動される空気圧縮機と、該空気圧縮機から吐出した圧縮空気を前記車両の負荷に供給する圧縮空気供給部と、前記圧縮空気供給部における空気圧を検出して前記制御部に出力する圧力センサーと、前記負荷の要求に応じて、前記圧縮空気供給部における空気圧が所定範囲内となるよう前記空気圧縮機のロード状態とアンロード状態とを切り替える制御部とを備え、
前記制御部は、前記車両が制動力を必要とする場合に、前記負荷の要求に関わらず前記空気圧縮機をロード状態にして前記圧縮空気供給部における空気圧が設定値に達すると、前記空気圧縮機をロード状態に保ったまま前記圧縮空気供給部に設けた排気弁を開弁させることにより前記圧縮空気供給部における空気圧を低下させ、前記圧縮空気供給部における空気圧を上記所定範囲内に保持すること、
を特徴とする圧縮空気供給システム。 - 前記制御部は、前記車両が備える補助ブレーキ装置の作動を指示する操作に基づき、前記車両が制動力を必要とする場合か否かを判別すること、
を特徴とする請求項1記載の圧縮空気供給システム。 - 前記制御部は、前記車両の加速中及び高速走行中の少なくともいずれかに、前記空気圧縮機をアンロード状態にすること、
を特徴とする請求項1または2記載の圧縮空気供給システム。 - 車両のエンジンにより駆動され、前記車両の負荷に圧縮空気を供給する空気圧縮機の制御方法であって、
前記負荷の要求に応じて、前記空気圧縮機から吐出した圧縮空気を前記車両の負荷に供給する圧縮空気供給部における空気圧が所定範囲内となるよう前記空気圧縮機のロード状態とアンロード状態とを切り替える制御を行い、
前記車両が制動力を必要とする場合に、前記負荷の要求に関わらず前記空気圧縮機をロード状態にして前記圧縮空気供給部における空気圧が設定値に達すると、前記空気圧縮機をロード状態に保ったまま前記圧縮空気供給部に設けた排気弁を開弁させることにより前記圧縮空気供給部における空気圧を低下させ、前記圧縮空気供給部における空気圧を上記所定範囲内に保持すること、
を特徴とする空気圧縮機の制御方法。
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