JP2009101819A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキ制御装置において、液圧制御のオフ時のブレーキの引きずりを抑制し、車両の燃費性能を向上させる。
【解決手段】回生協調制御において液圧制御から回生制御へ移行する際に、減圧弁が開弁されるとともにポンプが駆動される。このポンプの駆動によりホイールシリンダとリザーバタンクとをつなぐ排出路が負圧にされるため、ホイールシリンダ内の作動液の排出が促進され、その残圧が速やかに低減される。この結果、ブレーキの引きずりを抑制でき、回生協調制御における回生量をかせぐことができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両の車輪に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。
従来より、車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標制動トルクを回生制動及び液圧制動の協働により実現する回生協調制御を実行するブレーキ制御装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この回生協調制御においては、回生制動トルクと液圧制動トルクとの総和である総制動トルクが運転者の要求する要求制動トルクとなるよう、液圧制動および回生制動の各制御が行われる。液圧制動から回生制動に切り替える際には、液圧制動力を十分に確保した上で目標液圧をゼロに設定し、液圧制動力を徐々に低減させて回生制動へと切り替えていく。このようなブレーキ制御装置によれば、回生制動により回生エネルギーを吸収して車両の燃費性能の向上に役立てることが可能となる。
特開2005−35393号公報
ところで、液圧制御においては一般に、液圧のハンチング防止等のためにその目標液圧に対して所定幅の不感帯領域が設定される(この不感帯領域の幅を「不感帯幅」ともいう)。この不感帯幅は、残圧によりブレーキの引きずりによる発火等の問題が発生しないこと、あるいは液圧センサのノイズやディスクロータの傾きによる液圧脈動によって制御弁の作動回数が想定以上に増加しないこと等の観点から決定される。しかしながら、このような不感帯領域の存在のために、液圧制動から回生制動に切り替えるために目標液圧をゼロに設定しても、実液圧がその不感帯領域に入ると減圧制御は中断される。その結果、ホイールシリンダ圧がゼロに収束せず、その残圧によってブレーキの引きずりが生じ、その引きずりトルク分の回生量が回収できない可能性がある。また、このような残圧は、制動オフ時においても引きずりトルクを発生させるなど、燃費性能に影響を与えることがある。このため、燃費性能の観点からはホイールシリンダの残圧をさらに低減したいという要求がある。
そこで、本発明は、ブレーキ制御装置において、液圧制御のオフ時のブレーキの引きずりを抑制し、車両の燃費性能を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、複数の車輪のそれぞれに設けられ、作動液の液圧の供給を受けて対応する車輪に液圧制動力を付与するホイールシリンダと、リザーバタンクに貯留された作動液をマスタシリンダに導入し、ブレーキ操作部材の操作量に応じて加圧して送出するマニュアル液圧源と、ポンプ駆動によりリザーバタンクから供給された作動液を加圧して、その圧力エネルギを蓄圧部に蓄える動力液圧源と、動力液圧源で発生した液圧をホイールシリンダへ供給するための供給路を構成するとともに、液圧制動力の低減時にはホイールシリンダ内の作動液を動力液圧源を経由してリザーバタンクへ戻す排出路を構成する液圧回路と、動力液圧源とホイールシリンダとの間の供給路に設けられ、ホイールシリンダ内の圧力を増圧させるときに開弁される増圧弁と、排出路に設けられてホイールシリンダ内の圧力を減圧させるときに開弁される減圧弁と、要求される制動力に応じた液圧制動力を発生させるように目標液圧を設定し、増圧弁および減圧弁を開閉させてホイールシリンダ内の液圧を目標液圧に近づけるように制御する一方、目標液圧を実質的にゼロに設定したときに所定期間、減圧弁を開弁させるとともにポンプを駆動する残圧低減制御を実行する制御部と、を備える。
ここで、「排出路が動力液圧源を経由する」とは、排出路が必ずしも動力液圧源における作動液の主通路を構成することを要せず、動力液圧源と連通しており、その排出路を流れる作動液がポンプ駆動による影響を受ける態様であればよい。
この態様によれば、液圧制御の目標液圧が実質的にゼロに設定されたときに、減圧弁が開弁されるとともにポンプが駆動される。このポンプ駆動により排出路が負圧になるためホイールシリンダ内の作動液の排出が促進され、その液圧が速やかに低減される。この結果、ホイールシリンダ内の実際の液圧(「実液圧」という)をより減圧することができ、ブレーキの引きずりを抑制できる。その結果、車両走行時のブレーキの引きずりトルクを防止または抑制でき、車両の燃費性能を向上させることができる。
電動機の回生制御により発生する回生制動力と、液圧源からの作動液の供給により発生する液圧制動力とを併用して、要求される制動力を車両の車輪に付与するブレーキ制御装置として構成され、制御部は、要求される制動力と発生した回生制動力との差に相当する液圧制動力を発生させるように目標液圧を設定して液圧制御を実行する一方、液圧制御から回生制御への移行時にのみ残圧低減制御を実行してもよい。
この態様によれば、回生協調制御において液圧制御から回生制御へ移行する際に、減圧弁が開弁されるとともにポンプが駆動される。この結果、回生制御時のブレーキの引きずりを抑制でき、その回生量をかせぐことができる。その結果、車両の燃費性能を向上させることができる。また、目標液圧が実質的にゼロとなり、かつ回生制御が実行中であることを残圧低減制御の実行条件としているため、減圧弁の作動頻度を制限してその耐久性を良好に保持できる。
制御部は、残圧低減制御を実行する際に、複数のホイールシリンダのうち特定のホイールシリンダに対応する減圧弁のみ開弁させてもよい。すなわち、複数のホイールシリンダのそれぞれに対応する減圧弁の全てを同時に開弁すると、ポンプ駆動による減圧効果が分散されて各ホイールシリンダの液圧を速やかに減圧することができない。この態様によれば、いずれかの減圧弁に限定することで、その特定のホイールシリンダの残圧を速やかに解消し、ブレーキの引きずりを確実に抑制することができる。
また、各ホイールシリンダ内の圧力をそれぞれ検出する圧力検出部をさらに備えてもよい。そして、制御部が、内部の液圧が最も高いホイールシリンダに対応する減圧弁のみ開弁させてもよい。この態様によれば、最もブレーキの引きずりを発生しやすく燃費性能に影響のあるホイールシリンダについて減圧弁を優先的に開弁させるため、残圧低減制御を効率的かつ効果的に実現することができる。
制御部は、特定のホイールシリンダを複数のホイールシリンダの中で交互に切り替え、対応する減圧弁を順次開弁させてもよい。この態様によれば、局所的な残圧低減制御を全てのホイールシリンダについて行うことができ、燃費性能を確実に向上させることが可能になる。
ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出部と、液圧回路においてマスタシリンダといずれかのホイールシリンダとを連通させる連通路に設けられ、マニュアル液圧源からそのホイールシリンダへの作動液の供給の有無を切り替える切替弁と、をさらに備えてもよい。制御部は、ブレーキ操作部材の操作量に基づき、その操作量がマスタシリンダ内の圧力の上昇を実質的に伴わせないアイドル領域にあるか否かを判定し、アイドル領域にあるときに切替弁を開弁させてもよい。
すなわち、マスタシリンダがアイドル領域にある状態(「マスタアイドル状態」という)においては、運転者がブレーキ操作部材を操作しても、一般にマスタシリンダ内の液圧が低い状態にある。このため、このマスタアイドル状態で切替弁を開弁させると、ホイールシリンダ内の作動液が連通路およびマスタシリンダを介してリザーバタンクに戻される。このため、排出路を介した減圧に加えて連通路を介した減圧も行われることになり、残圧低減効果をより高めることができる。
制御部は、非制動時の所定のタイミングで増圧弁および減圧弁を開弁させ、動力液圧源の作動液を増圧弁、減圧弁および排出路を介してリザーバタンクに戻すように制御してもよい。
すなわち、動力液圧源の蓄圧部の圧力が高いとポンプ駆動が抑制されるため十分な残圧低減効果が得られないところ、動力液圧源の作動液を排出路を介してリザーバタンクに戻すことにより、そのポンプの駆動を確保することができる。
動力液圧源が、増圧弁および減圧弁が組み付けられるとともに供給路および排出路が内部に形成されたアクチュエータブロックの内部に設けられ、マニュアル液圧源が、アクチュエータブロックに対して外部配管を介して接続されていてもよい。
このように、動力液圧源がアクチュエータブロックに一体に設けられて減圧弁とポンプとが近い構成では、排出路を負圧に引きやすく、ホイールシリンダの圧力を抜きやすいというメリットがある。マニュアル液圧源のリザーバタンクは外部に設けられているため、減圧弁からの距離も大きい。このため、ポンプ駆動により負圧を生成して圧力を抜くという効果がより顕著に発揮される。
本発明によれば、ブレーキ制御装置において、液圧制御のオフ時のブレーキの引きずりを抑制し、車両の燃費性能を向上させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るブレーキ制御装置が適用された車両を示す概略構成図である。
車両1は、いわゆるハイブリッド車両として構成されており、エンジン2と、エンジン2の出力軸であるクランクシャフトに接続された3軸式の動力分割機構3と、動力分割機構3に接続された発電可能なモータジェネレータ4と、変速機5を介して動力分割機構3に接続された電動モータ6と、各アクチュエータを制御する電子制御ユニット(以下「ECU」という)とを備える。すなわち、車両1の制御部として、その駆動系全体を制御するハイブリッドECU7、エンジンを制御するエンジンECU13、各モータを制御するモータECU14、ブレーキを制御するブレーキECU70等が設けられている。各ECUは、いずれもCPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。変速機5には、ドライブシャフト8を介して車両1の駆動輪たる右前輪9FRおよび左前輪9FLが連結される。
エンジン2は、例えばガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を用いて運転される内燃機関であり、エンジンECU13により制御される。エンジンECU13は、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、エンジン2の作動状態を検出する各種センサからの信号に基づいてエンジン2の燃料噴射制御や点火制御、吸気制御等を実行する。また、エンジンECU13は、必要に応じてエンジン2の作動状態に関する情報をハイブリッドECU7に与える。
動力分割機構3は、変速機5を介して電動モータ6の出力を左右の前輪9FR,9FLに伝達する役割と、エンジン2の出力をモータジェネレータ4と変速機5とに振り分ける役割と、電動モータ6やエンジン2の回転速度を減速あるいは増速する役割とを果たす。モータジェネレータ4と電動モータ6とは、それぞれインバータを含む電力変換装置11を介してバッテリ12に接続されており、電力変換装置11には、モータECU14が接続されている。バッテリ12としては、例えばニッケル水素蓄電池などの蓄電池を用いることができる。モータECU14も、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号等に基づいて電力変換装置11を介してモータジェネレータ4および電動モータ6を制御する。
ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、電力変換装置11を介してバッテリ12から電力を電動モータ6に供給することにより、電動モータ6の出力により左右の前輪9FR,9FLを駆動することができる。また、エンジン効率のよい運転領域では、車両1はエンジン2によって駆動される。この際、動力分割機構3を介してエンジン2の出力の一部をモータジェネレータ4に伝えることにより、モータジェネレータ4が発生する電力を用いて、電動モータ6を駆動したり、電力変換装置11を介してバッテリ12を充電したりすることが可能となる。
また、車両1には車両の走行速度を検出するための車速センサ75が設けられている。車速センサ75は、車両の走行速度を検出してハイブリッドECU7やブレーキECU70などに与える。車速センサ75の検出値は、所定時間おきにハイブリッドECU7及びブレーキECU70等に与えられる。車速センサ75としては、典型的には各車輪に対応して設けられている車輪速度センサなどを用いることができる。
また、車両1を制動する際には、ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、前輪9FR,9FLから伝わる動力によって電動モータ6が回転させられ、電動モータ6が発電機として作動させられる。すなわち、電動モータ6、電力変換装置11、ハイブリッドECU7およびモータECU14等は、車両1の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって左右の前輪9FR,9FLに制動力を付与する回生ブレーキユニット10として機能する。車両1は、このような回生ブレーキユニット10に加えて液圧ブレーキユニット20を備える。液圧ブレーキユニット20は、液圧制御に際して作動液としてのブレーキフルードを各車輪のディスクブレーキユニットに給排するための液圧アクチュエータ80を含んで構成される。
図2は、ブレーキ制御装置の液圧回路を中心とした系統図である。
液圧ブレーキユニット20は、車両用の電子制御式ブレーキシステムを構成しており、運転者によるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル15への操作に応じて車両の4輪のブレーキを独立かつ最適に設定するものである。
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ19FR〜19RLを含む。各ホイールシリンダ19FR〜19RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ80に接続されている。なお、以下においては適宜、ホイールシリンダ19FR〜19RLを総称して「ホイールシリンダ19」といい、ディスクブレーキユニット21FR〜21RLを総称して「ディスクブレーキユニット21」という。
ディスクブレーキユニット21においては、液圧アクチュエータ80からホイールシリンダ19にブレーキフルードが供給されると、その液圧によりホイールシリンダ19内のピストンが作動し、車輪と共に回転するブレーキディスク22にブレーキパッドを押し付ける。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施の形態においてはディスクブレーキユニット21を用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダを含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
ブレーキペダル15は、運転者による踏み込み操作に応じてブレーキフルードを送出するマスタシリンダ17に接続されている。ブレーキペダル15には、その踏み込みストローク(ペダルストローク)を検出するためのストロークセンサ46(「ブレーキ操作量検出部」に該当する)が設けられている。マスタシリンダ17の一方の出力ポートには、運転者によるブレーキペダル15の操作力に応じた反力を創出するストロークシミュレータ24が接続されている。マスタシリンダ17とストロークシミュレータ24とを接続する流路の中途には、シミュレータカット弁23が設けられている。シミュレータカット弁23は、非通電時に閉状態にあり、運転者によるブレーキペダル15の操作が検出された際に開状態に切り換えられる常閉型の電磁開閉弁である。また、マスタシリンダ17には、ブレーキフルードを貯留するためのリザーバタンク26が接続されている。マスタシリンダ17は、リザーバタンク26に貯留されたブレーキフルードを、ブレーキペダル15の操作量に応じて加圧してマスタシリンダ圧を生成し、これを送出するマニュアル液圧源を構成する。
マスタシリンダ17の一方の出力ポートにはブレーキ液圧制御管16が接続されており、ブレーキ液圧制御管16は、右前輪9FRに対して制動力を付与するのホイールシリンダ19FRに接続されている。また、マスタシリンダ17の他方の出力ポートにはブレーキ液圧制御管18が接続されており、ブレーキ液圧制御管18は、左前輪9FLに対して制動力を付与するホイールシリンダ19FLに接続されている。ブレーキ液圧制御管16の中途には右マスタカット弁27FRが設けられており、ブレーキ液圧制御管18の中途には左マスタカット弁27FLが設けられている。以下においては適宜、右マスタカット弁27FRおよび左マスタカット弁27FLを総称して「マスタカット弁27」という。これらのマスタカット弁27は、いずれも非通電時に開状態にあり、運転者によるブレーキペダル15の操作が検出された際に閉状態に切り換えられる常開型電磁弁である。
また、ブレーキ液圧制御管16の中途には、右前輪9FR側のマスタシリンダ圧を検出する右マスタ圧力センサ48FRが設けられており、ブレーキ液圧制御管18の途中には、左前輪9FL側のマスタシリンダ圧を計測する左マスタ圧力センサ48FLが設けられている。液圧ブレーキユニット20では、運転者によってブレーキペダル15が踏み込まれた際、ストロークセンサ46によりその踏み込み操作量が検出されるが、これらの右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLによって検出されるマスタシリンダ圧からもブレーキペダル15の踏み込み操作力(踏力)を求めることができる。このように、ストロークセンサ46の故障を想定して、マスタシリンダ圧を2つの圧力センサ48FRおよび48FLによって監視することは、フェイルセーフの観点からみて好ましい。なお、以下では適宜、右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLを総称して「マスタシリンダ圧センサ48」という。
一方、リザーバタンク26には、液圧給排管28の一端が接続されており、この液圧給排管28の他端側には、モータ32により駆動されるポンプ34の吸込口が接続されている。ポンプ34の吐出口は、高圧管30に接続されており、この高圧管30には、アキュムレータ50(「蓄圧部」に該当する)とリリーフバルブ53とが接続されている。本実施の形態では、ポンプ34として、モータ32によってそれぞれ往復移動させられる2体以上のピストン(図示せず)を備えた往復動ポンプが採用される。また、アキュムレータ50としては、ブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギに変換して蓄えるものが採用される。アキュムレータ50およびポンプ34は、本実施の形態の動力液圧源を構成する。
液圧アクチュエータ80は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。そのアクチュエータブロックには、液圧源で発生した液圧をホイールシリンダ19へ供給するための供給路や、ホイールシリンダ19内のブレーキフルードを動力液圧源を経由してリザーバタンク26へ戻す排出路が形成されている。
アキュムレータ50は、ポンプ34によって例えば14〜22MPa程度にまで昇圧されたブレーキフルードを蓄える。また、リリーフバルブ53の弁出口は、液圧給排管28に接続されており、アキュムレータ50におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ53が開弁し、高圧のブレーキフルードは液圧給排管28へと戻される。更に、高圧管30には、アキュムレータ50の出口圧力、すなわち、アキュムレータ50におけるブレーキフルードの圧力を検出するアキュムレータ圧センサ51が設けられている。
そして、高圧管30は、増圧弁40FR,40FL,40RR,40RLを介して右前輪用のホイールシリンダ19FR、左前輪用のホイールシリンダ19FL、右後輪用のホイールシリンダ19RRおよび左後輪用のホイールシリンダ19RLに接続されている。以下適宜、増圧弁40FR〜40RLを総称して「増圧弁40」という。増圧弁40は、いずれも、非通電時は閉じた状態にあり、必要に応じてホイールシリンダ19の増圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。
また、右前輪用のホイールシリンダ19FRと左前輪用のホイールシリンダ19FLとは、それぞれ減圧弁42FRまたは42FLを介して液圧給排管28に接続されている。減圧弁42FRおよび42FLは、必要に応じてホイールシリンダ19FR,9FLの減圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。一方、右後輪用のホイールシリンダ19RRと左後輪用のホイールシリンダ19RLとは、常開型の電磁流量制御弁である減圧弁42RRまたは42RLを介して液圧給排管28に接続されている。以下、適宜、減圧弁42FR〜42RLを総称して「減圧弁42」という。
右前輪用、左前輪用、右後輪用および左後輪用のホイールシリンダ19FR〜19RL付近には、それぞれ対応するホイールシリンダ19に作用するブレーキフルードの圧力であるホイールシリンダ圧を検出するホイールシリンダ圧センサ44FR,44FL,44RRおよび44RL(「圧力検出部」に該当する)が設けられている。以下、適宜、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLを総称して「ホイールシリンダ圧センサ44」という。
上述のマスタカット弁27、増圧弁40、減圧弁42、ポンプ34、アキュムレータ50等は、液圧ブレーキユニット20の液圧アクチュエータ80を構成する。そして、かかる液圧アクチュエータ80は、ブレーキECU70によって制御される。
液圧ブレーキユニット20では、ブレーキECU70により、ブレーキペダル15の踏み込み量を表すペダルストロークとマスタシリンダ圧とから車両の目標減速度が算出され、算出された目標減速度に応じて各車輪のホイールシリンダ圧の制御目標値である目標液圧、つまり目標ホイールシリンダ圧が求められる。そして、ブレーキECU70により増圧弁40および減圧弁42が制御され、各車輪の実際のホイールシリンダ圧(「実液圧」ともいう)が目標ホイールシリンダ圧になるように制御される。すなわち、液圧アクチュエータ80は、ブレーキECU70の指令に従い、動力液圧源またはマニュアル液圧源から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21に送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
また、アキュムレータ圧が予め設定された制御範囲の下限値未満であるときには、ブレーキECU70によりポンプ34が駆動されてアキュムレータ圧が昇圧される。アキュムレータ圧がその制御範囲にあれば、後述する残圧低減制御の場合を除き、ポンプ34の駆動は停止される。
ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU7などと通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、各種センサからの信号に基づいてポンプ34や電磁制御弁23,27,40,42等を制御する。
また、ブレーキECU70には、ホイールシリンダ圧センサ44、マスタシリンダ圧センサ48およびアキュムレータ圧センサ51が接続される。各圧力センサの検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル15に設けられたストロークセンサ46も含まれる。ストロークセンサ46は、ブレーキペダル15の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ46の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、ストロークセンサ46以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ46に加えて、あるいは、ストロークセンサ46に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル15の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル15が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。
上述のように構成された液圧ブレーキユニット20は、回生ブレーキユニット10と協働して回生協調制御を実行する。この回生協調制御は、液圧ブレーキユニット20による液圧制動による制御(以下「液圧制御」ともいう)と、回生ブレーキユニット10による回生制動による制御(以下「回生制御」ともいう)とを、協調させて行うものである。
液圧ブレーキユニット20は、制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル15を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力(後述する「要求トルク」に対応する)を演算し、要求制動力から回生による制動力(「回生制動力」という)を減じることにより液圧ブレーキユニット20により発生させるべき液圧制動力である要求液圧制動力を算出する。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ19の目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御により増圧弁40や減圧弁42に供給する制御電流の値を決定する。
その結果、液圧ブレーキユニット20においては、ブレーキフルードが動力液圧源から増圧弁40を介して各ホイールシリンダ19に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ19からブレーキフルードが減圧弁42を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。本実施の形態においては、動力液圧源、増圧弁40及び減圧弁42等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダ17からホイールシリンダ19へのブレーキフルードの供給路に並列に設けられている。このとき、ブレーキECU70は、マスタカット弁27を閉状態としてマスタシリンダ17から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ19へ供給されないようにする。
すなわち、ブレーキECU70は、ハイブリッドECU7から、電動モータ6の回転数等に基づいて決まる回生制動力の上限値である発電側上限値と、バッテリ12の充電容量等に基づいて決まる上限値である蓄電側上限値の情報を受ける。回生制動力として要求可能な上限値は、これら発電側上限値および蓄電側上限値のいずれか小さい方であり、その小さい方の上限値が回生MAXガードとなる。ブレーキECU70は、要求制動力のうちこの回生MAXガードを超えない範囲で要求回生制動力(「要求回生トルク」に対応する)として決定し、ハイブリッドECU7に対して回生要求を送信する。
ハイブリッドECU7は、要求回生制動力をモータECU14に出力する。モータECU14は、電動モータ6によって左右の前輪9FR、9FLに付与される制動力が要求回生制動力となるように電力変換装置11に制御指令を出力する。電力変換装置11は、モータECU14からの指令に基づいて電動モータ6を制御する。これにより車両1の運動エネルギーは電気エネルギーに変換されて、電動モータ6から電力変換装置11を介してバッテリ12に蓄積される。蓄積されたエネルギーは以降の車輪の駆動等に用いられ、車両の燃費向上に寄与することとなる。
モータECU14は、電動モータ6の回転数など、回生ブレーキユニット10の実際の作動状態を示す情報を取得してハイブリッドECU7に送信する。ハイブリッドECU7は、回生ブレーキユニット10の実際の作動状態に基づいて車輪に実際に付与されている実回生制動力を演算し、実回生制動力をブレーキECU70に送信する。
ブレーキECU70は、要求制動力から実回生制動力を減じることにより、発生させるべき要求液圧制動力を演算する。更にブレーキECU70は、要求液圧制動力に基づいてディスクブレーキユニット21における作動液の目標液圧を演算する。ブレーキECU70は、作動液圧が目標液圧となるように液圧ブレーキユニット20を制御する。これにより各車輪に液圧制動力が付与される。
次に、本実施の形態にかかる回生協調制御の方法について説明する。
ブレーキ制御においては一般に、液圧制御から回生制御へ切り替える際に液圧制御による液圧制動力を十分に確保した後、その液圧制動力を徐々に低減させて回生制動へと切り替えていく。一方、液圧制御においては、液圧のハンチング防止等のためにその目標液圧に対して所定幅(例えば0.13Mpa程度)の不感帯領域が設定されている。このため、回生制御への切り替えに際して目標液圧をゼロに設定しても、実液圧がその不感帯領域に入ると減圧制御が中断されてしまう。また、単に減圧弁42を開弁するのみではホイールシリンダ19内のブレーキフルードをリザーバタンク26まで導出するのにも限界があり、ホイールシリンダ圧をせいぜい大気圧相当までしか減圧できない。その結果、ホイールシリンダに残圧が発生してブレーキの引きずりが生じる可能性がある。そこで、本実施の形態では、回生制御への切り替えに際してホイールシリンダ19の残圧の低減を促進し、ブレーキの引きずりを防止できるようにする。
図3は、回生協調制御の主要部を示す説明図である。同図は回生協調制御において液圧制御から回生制御へ切り替える際の様子を表しており、上段から制動状態、目標液圧、減圧弁42の制御状態、ポンプ34の制御状態が示されている。同図の横軸は時間の経過を表している。
図示のように、制動状態における液圧制御から回生制御への切り替えに際して目標液圧がゼロに設定されると、減圧弁42およびポンプ34の制御状態が所定期間、通常制御モードから特定制御モードに切り替えられる。ここでいう「特定制御モード」は、アキュムレータ圧が上述した制御範囲にあるか否かにかかわらず、ポンプ34を駆動するとともに減圧弁42を開弁させる制御モードである。減圧弁42が開弁されることでホイールシリンダ19内のブレーキフルードが排出されて減圧されるとともに、ポンプ34を駆動してその排出路を負圧にすることによりその減圧が促進される。これにより、目標液圧に上述の不感帯領域が設定されていても、ホイールシリンダ19内の残圧を実質的にゼロにまで低減可能な残圧低減制御が実行されることになる。通常制御モードは、このような残圧低減制御を行わない通常のブレーキ制御モードである。その場合、アキュムレータ圧が上述した制御範囲にあるかぎり、ポンプ34の駆動は行われない。ブレーキECU70は、制動中かつ目標液圧がゼロであることを残圧低減条件として制御状態を特定制御モードに移行させる。なお、制動中であることは、ブレーキペダル15の踏み込み操作量(ペダルストローク)やマスタシリンダ圧に基づいて判定することができる。図示の例では、時刻t1において制動が開始された後、時刻t2において目標液圧がゼロになったため、そこから時刻t3までの所定期間、減圧弁42が開弁されるとともにポンプ34が駆動されている。
図4は、回生協調制御処理の主要部の流れを表すフローチャートである。この処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンにされてから繰り返し実行される。
ブレーキECU70は、まず、車速センサ75の検出情報に基づいて車両1が走行中であるか否かを判定する。走行中である場合には(S10のY)、予め設定された回生協調制御の開始条件(「回生条件」という)が成立したか否かを判定する。この回生条件については制動中であることを前提とする一般的な回生協調制御の条件が設定されるため、その詳細については説明を省略する。その回生条件が成立しており(S12のY)、かつ残圧低減制御中でなく(S14のN)、未だ回生制御が開始されていなければ(S16のN)、ブレーキECU70は、上述のように要求回生制動力を決定する。そして、ハイブリッドECU7に対して回生要求値としての要求回生トルクを出力する(S18)。既に回生制御が開始されている場合には(S16のY)、S18の処理をスキップする。なお、車両1が走行中でない場合(S10のN)、回生条件が成立していない場合には(S12のN)、いずれも一旦処理を終了する。
ブレーキECU70は、その後にハイブリッドECU7から実回生制動力の情報(回生実行値)を受け取り(S20のY)、目標液圧をゼロに設定されたことを条件に(S21のY)、減圧弁42を開弁させるとともに、モータ32を起動してポンプ34を駆動する残圧低減制御を開始する(S22)。一方、S20において回生実行値が得られない場合(S20のN)、目標液圧がゼロでない場合には(S21のN)、一旦処理を終了する。
S14において既に残圧低減制御中であると判定されると(S14のY)、ブレーキECU70は、回生終了条件が成立したか否かを判定する(S30)。この「回生終了判定」は、回生協調制御そのものの終了条件が成立したことを判定するものである。例えば運転者がブレーキペダル15ではなく、図示しないアクセルペダルを踏み込んで加速要求をしたときなど回生協調制御が不要となった場合には回生終了判定を行う。このとき、回生終了判定がなされると(S30のY)、ブレーキECU70は、回生制御を終了させるための予め定めた回生終了処理を実行し(S32)、ハイブリッドECU7に対して回生制動を終了させるための指令信号を出力する。一方、回生終了判定がされない場合には(S30のN)、ブレーキECU70は、その残圧低減制御が予め設定された設定時間継続されているか否かを判定する(S34)。この「設定時間」は、残圧低減制御が実行された場合に、その残圧がほぼゼロに収束する時間として予め実験等により設定されている。S34において設定時間が経過していれば(S34のY)、ブレーキECU70は、制御状態を通常制御モードに切り替えて残圧低減制御を終了する(S36)。S34において設定時間が未経過であると判定された場合には(S34のN)、S36の処理をスキップして通常制御モードへ切り替える。
以上に説明したように、本実施の形態においては、回生協調制御において液圧制御から回生制御へ移行する際に、減圧弁42が開弁されるとともにポンプ34が駆動される。このポンプ34の駆動によりホイールシリンダ19とリザーバタンク26とをつなぐ排出路が負圧にされるため、ホイールシリンダ19内の作動液の排出が促進され、その残圧が速やかに低減される。この結果、ブレーキの引きずりを抑制でき、回生協調制御における回生量をかせぐことができる。その結果、車両の燃費性能を向上させることができる。特に、本実施の形態では、減圧弁42とポンプ34とをつなぐ排出路がアクチュエータブロック内にあるため、その通路断面が外部配管に比べて小さい。このため、ポンプ34を駆動させたときにその排出路を負圧に引きやすく、ホイールシリンダ19内の圧力が抜けやすいというメリットもある。
なお、本実施の形態においては、残圧低減制御において減圧弁42FR〜42RLの全てを開弁する例を示した。変形例においては、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLの検出情報に基づき、ホイールシリンダ圧が最も大きなホイールシリンダ19に対応する減圧弁42のみ開弁するようにしてもよい。これにより、ブレーキの引きずりの可能性が高くて燃費に最も影響があるホイールシリンダ19を速やかに減圧することができ、全体としての残圧低減効果を高めることができる。また、ブレーキの引きずりへの影響が小さいホイールシリンダ19について減圧弁42の不要な作動を少なくでき、その耐久性を高めることができる。あるいは、減圧弁42FR〜42RLを交互に順次開弁させるようにしてもよい。
また、ホイールシリンダ19FR〜19RLの各液圧値が同程度である場合には、引きずりが大きくなる側の車輪に対応する減圧弁42についてのみ開弁させるようにしてもよい。あるいは、そのような減圧弁42を優先的に開弁させるようにしてもよい。例えばブレーキ効力係数(BEF)が大きいなど、同じ液圧を付与したときの制動トルクがより大きくなるディスクブレーキユニット21は、残圧による引きずりトルクも大きくなると考えられる。したがって、このようにブレーキ効力係数が大きい側の車輪に対応する減圧弁42を優先的に開弁させるようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、追加の残圧低減処理が施される点を除けば第1の実施の形態とほぼ同様である。このため、第1の実施の形態と同様の構成部分については必要に応じて同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。
図5は、第2の実施の形態にかかる回生協調制御の主要部を示す説明図である。同図は回生協調制御において液圧制御から回生制御へ切り替える際の様子を表しており、上段から制動状態、ブレーキペダル15のペダルストローク、目標液圧、減圧弁42の制御状態、マスタカット弁27の制御状態、ポンプ34の制御状態が示されている。同図の横軸は時間の経過を表している。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の残圧低減制御を行うとともに、マスタシリンダ17がアイドル領域にあることを条件にマスタカット弁27を開弁させて残圧の低減をさらに促進する。
すなわち一般に、ブレーキペダル15のペダルストロークとマスタシリンダ圧との間には、マスタシリンダ圧が高くなるにしたがってペダルストロークが長くなる特性がある。そのペダルストロークには、マスタシリンダ圧とは実質的に無関係な遊びの部分(「アイドルストローク」という)と、マスタシリンダ圧に比例する部分とがある。
ここでは、マスタシリンダ17がアイドル領域にあるとき、つまりペダルストロークがアイドルストロークにあるときにマスタカット弁27を開弁する。このとき、マスタシリンダ圧が実質的に上昇しないため、前輪9FR、9FLのホイールシリンダ19FR、19FLのブレーキフルードの一部が逆流し、マスタカット弁27およびマスタシリンダ17を経由してリザーバタンク26に戻され、その残圧の低減がさらに促進される。なお、ペダルストロークがアイドルストロークを超えるとシミュレータカット弁23が開弁されてストロークシミュレータ24に液圧がかかる。そのため、マスタカット弁27が開弁状態になっているとペダルフィーリングが変化してしまい、運転者に違和感を与えることになる。このため、ペダルストロークがアイドルストロークよりも大きいときには、マスタカット弁27を閉弁させるようにする。このような残圧低減制御は、アイドルストロークが長いほど有効に機能する。なお、マスタシリンダ17がアイドル領域にあるか否かについては、ペダルストロークだけでなく、マスタシリンダ圧に基づいて判定するようにしてもよい。
図示の例では、第1の実施の形態と同様に、時刻t21にて液圧制御が開始されている。時刻t23にて目標液圧がゼロに設定されたため、ブレーキECU70が制御状態を特定制御モードへ移行させ、ポンプ34を駆動するとともに減圧弁42を開弁させている。このとき既に(時刻t22の時点で)ブレーキペダル15のペダルストロークがアイドルストロークISに入っているため、同時にマスタカット弁27を開弁させている。そして、特定制御モードで所定期間が経過したt24において、ポンプ34および減圧弁42の制御状態を通常制御モードへ移行させるとともに、マスタカット弁27を閉弁状態に戻している。
なお、本実施の形態では、ペダルストロークに基づいてマスタシリンダ17がアイドル領域にあるか否かを判定したが、さらにマスタシリンダ圧センサ48により検出されたマスタシリンダ圧が上昇していないことを判定基準としてもよい。これにより、マスタアイドル状態をより正確に判定することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、制動時以外においても残圧低減処理を行う点を除けば第1の実施の形態とほぼ同様である。このため、第1の実施の形態と同様の構成部分については必要に応じて同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。
図6および図7は、第3の実施の形態にかかる回生協調制御の主要部を示す説明図である。図6は前輪の残圧低減時の例を表し、図7は後輪の残圧低減時の例を表している。各図は、制動状態がオフにされた直後の様子を表しており、上段から制動状態、アキュムレータ圧、前輪側の増圧弁40FR,40FLの制御状態、前輪側の減圧弁42FR,42FLの制御状態、後輪側の増圧弁40RR,40RLの制御状態、後輪側の減圧弁42RR,42RLの制御状態、ポンプ34の制御状態が示されている。同図の横軸は時間の経過を表している。
非制動時においては通常、常開型の電磁制御弁であるマスタカット弁27および後輪側の減圧弁42RR、42RLがともに開弁状態となる。このため、前輪側のホイールシリンダ19FR,19FLおよび後輪側のホイールシリンダ19RR,19RLはともに減圧される。しかし、その前に制動中の高圧を経験したディスクブレーキユニット21においては、慣性によりピストンが制動時の状態を保ち、ブレーキディスク22からブレーキパッドが離れずに引きずりトルクを発生させることがある。そこで、本実施の形態では、ホイールシリンダ19内を負圧にしてその吸引力によりピストンを後退させ、ブレーキディスク22からブレーキパッドを完全に離間させるようにする。
ここでは、アキュムレータ圧の低下によりポンプ34が駆動されるタイミングを利用する。すなわち、非制動状態への移行後にアキュムレータ圧が上述した制御範囲Paccを下回ると、ポンプ34が駆動される。このとき、同時に特定の減圧弁42を開弁状態にすることで排出路を負圧にし、その負圧によってホイールシリンダ19内のピストンを後退させる。本実施の形態では、その負圧による減圧低減効果を高めるために、前輪側または後輪側のいずれかの残圧低減制御を優先的に行うようにしている。すなわち、各ホイールシリンダ圧センサ44の検出値に基づき、残圧の高いほうについて優先的に残圧低減制御を行う。前輪側および後輪側のホイールシリンダ圧が等しい場合には、ブレーキ効力係数(BEF)が大きい前輪側について優先的に残圧低減制御を行う。なお、変形例においては、減圧弁42FR〜42RLを交互に順次開弁させるようにしてもよい。
ただし、このように非制動状態へ移行してもアキュムレータ圧が制御範囲Paccを下回らなければポンプ34は駆動されず、負圧を発生させることができない。そこで、制動状態のオフ直後にアキュムレータ50内のブレーキフルードをリザーバタンク26に戻し、アキュムレータ圧を意図的に低減するようにしている。
前輪側の残圧低減処理を行う場合、図6に示す例では、制動状態にある時刻t31までは通常のブレーキ制御が行われている。つまり、残圧低減制御は行われず、設定された目標液圧に近づくよう、増圧弁40および減圧弁42の開閉制御が行われる。そして、制動状態がオフになった時刻t31において全ての増圧弁40および減圧弁42を開弁させ、時刻t32までの所定期間その開弁状態を保持している。この所定期間は、アキュムレータ圧が十分に低下できる期間が実験等を通じて予め設定される。これにより、アキュムレータ50内のブレーキフルードが、増圧弁40、減圧弁42、および排出路を経由してリザーバタンク26へ戻され、アキュムレータ圧が低下する。その結果、時刻t33から時刻t34までの間ポンプ34を駆動させて上述した負圧を発生させることができる。なお、増圧弁40と減圧弁42との間隔は、増圧弁40とホイールシリンダ19との距離よりも相当に小さい。このため、このように増圧弁40および減圧弁42を同時に開弁させた場合、アキュムレータ50から排出されたブレーキフルードは、増圧弁40を通過するとそのまま減圧弁42を経由してリザーバタンク26へと導かれ、ホイールシリンダ圧を高めるには到らない。
そして、時刻t32において全ての増圧弁40および減圧弁42を一旦閉じた後、時刻t33においてポンプ34の駆動とともに前輪側の減圧弁42FR,42FLのみを開弁させ、前輪側のホイールシリンダ圧について優先的に残圧低減制御を実行する。なお、図示の例では、時刻t34を経過しても後輪側の減圧弁42RR,42RLを所定期間閉じているが、これらは常開型の制御弁であるため、時刻t34において直ちに開弁させてもよい。
一方、後輪側の残圧低減処理を行う図7に示す例でも同様に、制動状態にある時刻t31までは通常のブレーキ制御が行われている。そして、制動状態がオフになった時刻t31において全ての増圧弁40および減圧弁42を開弁させ、時刻t32までの所定期間その開弁状態を保持している。これによりアキュムレータ圧を低下させ、時刻t33から時刻t34までの間ポンプ34を駆動させて負圧を発生させることができる。
時刻t32においては、後輪側の減圧弁42RR,42RLの除く他の増圧弁40および減圧弁42を一旦閉じる。減圧弁42RRおよび42RLは常開型の制御弁であるため、ここでは敢えて通電して閉弁させることは行わない。時刻t33においてポンプ34が駆動されると、その後輪側の減圧弁42RR,42RLのみが開弁状態にあるため、後輪側のホイールシリンダ圧について優先的に残圧低減制御が実行される。なお、図6および図7に示した時刻t31〜t34については、前輪側の残圧低減処理と後輪側の残圧低減処理とで異なってよいことは言うまでもない。
なお、本実施の形態においては、制動状態がオフにされた直後に増圧弁40および減圧弁42を開弁してアキュムレータ圧を低減する例を示したが、必ずしも制動状態のオフ直後である必要はなく、そのオフ状態の適当なタイミングで同様の制御を行ってもよい。また、アキュムレータ圧の低減の度合いを監視するなどして、その制御を行うな否かを決定してもよい。
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
各実施の形態では、目標液圧がゼロであることを残圧低減制御を実行するための条件の一つとして設定しているが、回生制御と液圧制御とでは制御に用いる制動トルクの最小単位が異なる場合もある。その結果、回生協調制御において液圧制御の目標値(目標液圧)が厳密にゼロとはならない場合もあり得る。このため、目標液圧が厳密にゼロではなく、実質的にゼロ(ゼロ付近の所定値)である場合に残圧低減制御を実行するようにしてもよい。あるいは、目標液圧の値に限らず、回生制御のみが実行されていると判断できる条件であれば適宜設定することができる。
各実施の形態では、本発明の減圧低減制御を回生協調制御を行うブレーキ制御装置に適用した例を示した。変形例においては、回生制御を行わない液圧制御のみのブレーキ制御装置に適用することも可能である。
第1の実施の形態に係るブレーキ制御装置が適用された車両を示す概略構成図である。 ブレーキ制御装置の液圧回路を中心とした系統図である。 回生協調制御の主要部を示す説明図である。 回生協調制御処理の主要部の流れを表すフローチャートである。 第2の実施の形態にかかる回生協調制御の主要部を示す説明図である。 第3の実施の形態にかかる回生協調制御の主要部を示す説明図である。 第3の実施の形態にかかる回生協調制御の主要部を示す説明図である。
符号の説明
1 車両、 2 エンジン、 3 動力分割機構、 4 モータジェネレータ、 5 変速機、 6 電動モータ、 7 ハイブリッドECU、 8 ドライブシャフト、 10 回生ブレーキユニット、 11 電力変換装置、 12 バッテリ、 13 エンジンECU、 14 モータECU、 15 ブレーキペダル、 17 マスタシリンダ、 19 ホイールシリンダ、 20 液圧ブレーキユニット、 21 ディスクブレーキユニット、 22 ブレーキディスク、 24 ストロークシミュレータ、 26 リザーバタンク、 27 マスタカット弁、 32 モータ、 34 ポンプ、 40 増圧弁、 42 減圧弁、 44 ホイールシリンダ圧センサ、 46 ストロークセンサ、 48 マスタシリンダ圧センサ、 50 アキュムレータ、 70 ブレーキECU、 80 液圧アクチュエータ。

Claims (8)

  1. 複数の車輪のそれぞれに設けられ、作動液の液圧の供給を受けて対応する車輪に液圧制動力を付与するホイールシリンダと、
    リザーバタンクに貯留された作動液をマスタシリンダに導入し、ブレーキ操作部材の操作量に応じて加圧して送出するマニュアル液圧源と、
    ポンプ駆動により前記リザーバタンクから供給された作動液を加圧して、その圧力エネルギを蓄圧部に蓄える動力液圧源と、
    前記動力液圧源で発生した液圧を前記ホイールシリンダへ供給するための供給路を構成するとともに、前記液圧制動力の低減時には前記ホイールシリンダ内の作動液を前記動力液圧源を経由して前記リザーバタンクへ戻す排出路を構成する液圧回路と、
    前記動力液圧源と前記ホイールシリンダとの間の供給路に設けられ、前記ホイールシリンダ内の圧力を増圧させるときに開弁される増圧弁と、
    前記排出路に設けられて前記ホイールシリンダ内の圧力を減圧させるときに開弁される減圧弁と、
    要求される制動力に応じた液圧制動力を発生させるように目標液圧を設定し、前記増圧弁および前記減圧弁を開閉させて前記ホイールシリンダ内の液圧を前記目標液圧に近づけるように制御する一方、前記目標液圧を実質的にゼロに設定したときに所定期間、前記減圧弁を開弁させるとともに前記ポンプを駆動する残圧低減制御を実行する制御部と、
    を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 電動機の回生制御により発生する回生制動力と、液圧源からの作動液の供給により発生する液圧制動力とを併用して、要求される制動力を車両の車輪に付与するブレーキ制御装置として構成され、
    前記制御部は、要求される制動力と発生した回生制動力との差に相当する液圧制動力を発生させるように前記目標液圧を設定して液圧制御を実行する一方、前記液圧制御から前記回生制御への移行時にのみ前記残圧低減制御を実行することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記制御部は、前記残圧低減制御を実行する際に、複数のホイールシリンダのうち特定のホイールシリンダに対応する減圧弁のみ開弁させることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
  4. 各ホイールシリンダ内の圧力をそれぞれ検出する圧力検出部をさらに備え、
    前記制御部は、内部の液圧が最も高いホイールシリンダに対応する減圧弁のみ開弁させることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
  5. 前記制御部は、前記特定のホイールシリンダを前記複数のホイールシリンダの中で交互に切り替え、対応する減圧弁を順次開弁させることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
  6. 前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出部と、
    前記液圧回路において前記マスタシリンダといずれかのホイールシリンダとを連通させる連通路に設けられ、前記マニュアル液圧源からそのホイールシリンダへの作動液の供給の有無を切り替える切替弁と、
    をさらに備え、
    前記制御部は、前記ブレーキ操作部材の操作量に基づき、その操作量が前記マスタシリンダ内の圧力の上昇を実質的に伴わせないアイドル領域にあるか否かを判定し、前記アイドル領域にあるときに前記切替弁を開弁させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
  7. 前記制御部は、非制動時の所定のタイミングで前記増圧弁および前記減圧弁を開弁させ、前記動力液圧源の作動液を前記増圧弁、前記減圧弁および前記排出路を介して前記リザーバタンクに戻すように制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
  8. 前記動力液圧源が、前記増圧弁および前記減圧弁が組み付けられるとともに前記供給路および前記排出路が内部に形成されたアクチュエータブロックの内部に設けられ、
    前記マニュアル液圧源が、前記アクチュエータブロックに対して外部配管を介して接続されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
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