JP5429020B2 - 車両用ステアリングシステム - Google Patents
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本発明は、運転者によるステアリング操作が入力されるとともにその入力を転舵装置に出力して車輪を転舵させる車両用ステアリングシステムに関する。
従来から、乗降性を向上させることや、車両の盗難防止等を目的として、ステアリング操作部材およびそのステアリング操作部材を保持するステアリングシャフトを、ステアリング操作位置を調整するためのチルト機構の動作範囲を超えて大きく跳ね上げることが可能に構成されたステアリングシステムが提案されており、例えば、下記特許文献1に記載されているようなものが存在する。その特許文献1に記載されたステアリングシステムは、一端部にステアリング操作部材を保持するシャフトの他端部がユニバーサルジョイント(カルダンジョイント)を介して他のシャフトに連結され、そのユニバーサルジョイントの折れ曲がりを利用し、そのシャフトに力を作用させることで、ステアリング操作部材を大きく跳ね上げることが可能とされている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムにおいては、ステアリング操作部材を回動させる支点がユニバーサルジョイントであるために、特定の方向に跳ね上げるためには、その前に、ユニバーサルジョイントの回転位置を調整しなければならないという問題がある。上述のようなステアリング操作部材をステアリング操作位置の調整範囲を超えて動作させるように構成されたステアリングシステムは、そのような問題への対処を始めとして、実用性を向上させる余地が残されたものとなっている。本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いステアリングシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両用ステアリングシステムは、(b)一端部にステアリング操作部材が連結され、そのステアリング操作部材の操作に伴って自身の軸線回りに回転する第1シャフトと、(c)その第1シャフトが延びる方向と交差する方向に延び、一端部がその第1シャフトの他端部に連結されるとともに、他端部が転舵輪に連結され、第1シャフトの回転に伴って自身の軸線回りに回転する第2シャフトとを介して、ステアリング操作部材に加えられた力が転舵輪に伝達されるように構成され、(A)ステアリング操作部材が運転者によって操作されるための位置に位置するように、第1シャフトの姿勢を固定するとともに、その固定を解除可能な第1シャフト姿勢固定装置と、(B)第1シャフトの回転を禁止する第1シャフト回転禁止装置と、(C)第2シャフトに回転力を付与する回転力付与装置とを備え、第1シャフト姿勢固定装置によって第1シャフトの姿勢の固定が解除され、かつ、第1シャフト回転禁止装置によって第1シャフトの回転が禁止された状態において、回転力付与装置によって第2シャフトを回転させることで、第1シャフトが第2シャフトの軸線回りに回動するように構成される。
本発明のステアリングシステムにおいては、第1シャフトの軸線回りの回転を禁止し、かつ、第1シャフトの車体への保持を解除した状態として第2シャフトに回転力を付与すれば、その第2シャフトに加えた回転力によって、第1シャフトは、自身の軸線回りに回転せず、第2シャフトの軸線回りに回動することになる。つまり、本発明のステアリングシステムによれば、比較的簡便な構成,簡便な手法によって、ステアリング操作部材を大きく移動させることが可能である。したがって、そのような利点を有することで、本発明の車両用ステアリングシステムは、実用性の高いものとなる。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(8)項の各々が、請求項1ないし請求項8の各々に相当する。
(1)(a)運転者によって操作されるステアリング操作部材と、(b)一端部がそのステアリング操作部材に連結され、そのステアリング操作部材の操作に伴って自身の軸線回りに回転する第1シャフトと、(c)その第1シャフトが延びる方向と交差する方向に延び、一端部がその第1シャフトの他端部に連結されるとともに、他端部が転舵輪に連結され、前記第1シャフトの回転に伴って自身の軸線回りに回転する第2シャフトとを備え、
前記ステアリング操作部材に加えられた力が前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを介して前記転舵輪に伝達され、その転舵輪が転舵するように構成された車両用ステアリングシステムであって、
当該車両用ステアリングシステムが、
前記ステアリング操作部材が運転者によって操作されるための位置に位置するように、前記第1シャフトの姿勢を固定するとともに、その固定を解除可能な第1シャフト姿勢固定装置と、
前記第1シャフトの回転を禁止する第1シャフト回転禁止装置と、
前記第2シャフトに回転力を付与する回転力付与装置と
を備え、
前記第1シャフト姿勢固定装置によって前記第1シャフトの姿勢の固定が解除され、かつ、前記第1シャフト回転禁止装置によって前記第1シャフトの回転が禁止された状態において、前記回転力付与装置によって前記第2シャフトを回転させることで、前記第1シャフトが前記第2シャフトの軸線回りに回動するように構成された車両用ステアリングシステム。
前記ステアリング操作部材に加えられた力が前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを介して前記転舵輪に伝達され、その転舵輪が転舵するように構成された車両用ステアリングシステムであって、
当該車両用ステアリングシステムが、
前記ステアリング操作部材が運転者によって操作されるための位置に位置するように、前記第1シャフトの姿勢を固定するとともに、その固定を解除可能な第1シャフト姿勢固定装置と、
前記第1シャフトの回転を禁止する第1シャフト回転禁止装置と、
前記第2シャフトに回転力を付与する回転力付与装置と
を備え、
前記第1シャフト姿勢固定装置によって前記第1シャフトの姿勢の固定が解除され、かつ、前記第1シャフト回転禁止装置によって前記第1シャフトの回転が禁止された状態において、前記回転力付与装置によって前記第2シャフトを回転させることで、前記第1シャフトが前記第2シャフトの軸線回りに回動するように構成された車両用ステアリングシステム。
本項に記載の車両用ステアリングシステムは、車両の走行中においては、第1シャフトと第2シャフトとの間で相互に回転が伝達される状態となっており、例えば駐車時において、第1シャフトの回転を禁止し、かつ、第1シャフトの車体への保持を解除した状態として、回転力付与装置によって第2シャフトに回転力を付与することで、その第2シャフトと交差する方向に延びている第1シャフトが第2シャフトの軸線回りに回動するように構成される。本項の態様によれば、比較的簡便な手法によって、ステアリング操作部材の位置を大きく変更することが可能であり、車両の乗降性を向上させることが可能である。なお、後に詳しく説明するが、一般的な車両には、第2シャフトに回転力を付与することが可能な装置として転舵助勢装置を、第1シャフトの回転を禁止する装置としてステアリングロック機構を搭載しているため、それらを上記回転力付与装置,第1シャフト回転禁止装置として採用すれば、より簡便な構成によって、ステアリング操作部材の位置を大きく変更することが可能、つまり、当該車両用ステアリングシステムの構成が簡便なものとなる。
本項に記載の「第1シャフト」は、一端部にステアリング操作部材が連結されるもの、つまり、いわゆるステアリングシャフトである。その第1シャフトの姿勢を固定する「第1シャフト姿勢固定装置(以下、単に「姿勢固定装置」という場合がある)」は、換言すれば、第1シャフトの軸線回りの回転を許容した状態で車体に保持された状態と、その保持を解除可能なものであり、それの構成,構造は特に限定されない。また、本項に記載の「第1シャフト回転禁止装置(以下、単に「回転禁止装置」という場合がある)」は、第1シャフトの自身の軸線回りの回転を禁止するものであり、いわゆるステアリングロックである。つまり、車両には、ステアリングロック機構が搭載されることが一般的であり、ステアリングシステムの簡便化という観点からすれば、そのステアリングロック機構を回転禁止装置として採用することが望ましい。
本項に記載の「第2シャフト」は、第1シャフトと転舵輪とを連結するためのシャフトであり、第1シャフトに対して交差する方向に延びる状態で、自身の軸線回りの回転が許容される状態で車体に保持されたものである。その第2シャフトの延びる方向が、第1シャフトに対して交差する方向に延びていれば、その第1シャフトを第2シャフトの軸線回りに回動させることが可能であり、その第1シャフトの回動する方向は、操作部材を跳ね上げるように回動する方向に限定されず、操作部材の位置,それとドアとの位置関係等を考慮して定めた種々の方向とすることが可能である。ただし、一端部がステアリング操作部材に連結される第1シャフトの延びる方向は、そのステアリング操作部材の位置や角度等に応じて、ほぼ定まってしまうこととなる。簡単に言えば、車幅方向には傾かない姿勢で配設される。したがって、その第1シャフトに対して、第2シャフトの延びる方向を適切に設定することで、第1シャフトの回動させる方向を適切化することが可能である。
なお、本項に記載のステアリングシステムにおいて、第1シャフトが第2シャフトの軸線回りに回動する場合、ステアリング操作部材が第2シャフトと直交する一平面上を移動するようにすること、より詳しく言えば、ステアリング操作部材が第2シャフトの軸線を中心とした一円周上を回転するようにすることが望ましい。換言すれば、第1シャフトの延びる方向と第2シャフトの延びる方向とが交わる場合には、第1シャフトと第2シャフトとのなす角が変わらないようにすることが望ましく、第1シャフトの延びる方向と第2シャフトの延びる方向とが交わらない場合、つまり、第1シャフトと第2シャフトとがねじれの位置にある場合には、第2シャフトが軸線回りに回転してもその第2シャフトに対する第1シャフトの姿勢が変わらないようにすることが望ましい。したがって、本項に記載のステアリングシステムは、第1シャフトと第2シャフトとの相対姿勢を保持する相対姿勢保持機構、換言すれば、第1シャフトと第2シャフトとの相対姿勢を保持しつつ、第1シャフトを回動させるためのガイド機構を有することが望ましい。
上記第2シャフトに回転力を付与する「回転力付与装置」は、電磁モータ等の電磁的なアクチュエータ、空気圧,油圧等の流体圧を利用したアクチュエータ等、種々のものを採用可能である。また、その回転力付与装置は、第2シャフトに回転力を直接的に作用させるものに限定されず、第2シャフトに回転力を間接的に作用させるものであってもよい。換言すれば、回転力付与装置は、第2シャフトから転舵輪側に配設したものとすることが可能である。具体的には、第2シャフトに回転力を作用させるもの、後述する転舵軸等の第2シャフトと転舵輪との間で回転を伝達するシャフトに回転力を作用させるものとすることが可能である。また、当該ステアリングシステムがラックアンドピニオン式のものである場合には、そのラックに移動力を作用させるものとすることも可能である。
また、第1シャフトの姿勢が固定され、かつ、その第1シャフトの軸線回りの回転が許容される状態においては、回転力付与装置が発生させる力は、車輪の転舵を助勢する力となる。つまり、ステアリングシステムの簡便化という観点からすれば、回転力付与装置を、車両の走行時においては転舵助勢装置として機能させることが望ましい。換言すれば、車両に転舵助勢装置が搭載されることが一般的であり、その転舵助勢装置を、上記の回転力付与装置として機能させることが望ましい。
なお、本明細書において「連結」という文言は、直接的に接続されることのみを意味するものではなく、何らかの部品,部材,ユニット等を介し、間接的に接続されることをも意味する。例えば、「ステアリング操作部材と第1シャフトとが連結される」,「第1シャフトと第2シャフトとが連結される」とは、それらがユニバーサルジョイントによって直接的に連結される場合の他、それらの間に他のシャフトを介して連結されるような場合も含まれる。また、「第2シャフトと転舵輪とが連結される」とは、後に詳しく説明するように、転舵軸や、ウォームギヤ機構のような回転伝達機構等を介して連結されるような場合も含まれる。
(2)前記回転力付与装置が、
前記第1シャフト姿勢固定装置によって前記第1シャフトの姿勢が固定され、かつ、前記第1シャフト回転禁止装置によって前記第1シャフトの回転が禁止されていない状態において、前記転舵輪の転舵を助勢する転舵助勢装置として機能するものである(1)項に記載の車両用ステアリングシステム。
前記第1シャフト姿勢固定装置によって前記第1シャフトの姿勢が固定され、かつ、前記第1シャフト回転禁止装置によって前記第1シャフトの回転が禁止されていない状態において、前記転舵輪の転舵を助勢する転舵助勢装置として機能するものである(1)項に記載の車両用ステアリングシステム。
車両には、転舵助勢装置、つまり、いわゆるパワーステアリング装置が搭載されることが一般的であり、本項に記載の態様は、そのパワーステアリング装置を用いて、第1シャフトを回動させる態様と考えることが可能であり、先に述べた望ましい態様である。本項の態様によれば、第1シャフトを回動させるための駆動源を、新たに設ける必要がないため、ステアリングシステムの構成を簡便なものとすることが可能である。
(3)前記第2シャフトが、車幅方向に延びる(1)項または(2)項に記載の車両用ステアリングシステム。
ステアリングシャフトとしての第1シャフトは、概して前後方向に延びる姿勢で配設されることが一般的である。つまり、本項に記載の態様においては、第1シャフトの回動の支点がその第1シャフトの前方に位置し、車幅方向に延びる第2シャフトを回転させることにより、ステアリング操作部材を跳ね上げるように動作させることとなる。
(4)当該車両用ステアリングシステムが、前記第1シャフトを回転可能に保持するハウジングを有し、
前記第1シャフト姿勢固定装置が、前記ハウジングを車体に固定することで前記第1シャフトの姿勢を固定するとともに、そのハウジングの車体への固定を解除することで前記第1シャフトの姿勢の固定を解除するものである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
前記第1シャフト姿勢固定装置が、前記ハウジングを車体に固定することで前記第1シャフトの姿勢を固定するとともに、そのハウジングの車体への固定を解除することで前記第1シャフトの姿勢の固定を解除するものである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、第1シャフト姿勢固定装置の構成を具体化した態様である。一般的な車両に搭載されるステアリングシステムは、ステアリングシャフトとそのステアリングシャフトを回転可能に保持するステアリングチューブとを含んで構成されるステアリングコラム(以下、単に「コラム」という場合がある)を備え、そのコラムが車体の一部であるインストゥルメントパネルのリインフォースメントに固定された構成とされている。第1シャフト姿勢固定装置は、例えば、そのステアリングチューブを車体に固定した状態と、その固定を解除した状態とを切り換えるような構成のものとすることが可能である。つまり、本項の態様は、ステアリングチューブを上記「ハウジング」として機能させる態様とすることが可能である。
また、上記のステアリングコラムは、例えば、チルト機構およびテレスコピック機構や、車両の衝突に起因する運転者の操作部材への二次衝突に対処するための機構として、コラムを車体の一部から離脱させる機構,その二次衝突の衝撃を吸収するための機構等の種々の機構を有している。本項の態様は、ハウジングを、上記のコラム全体を保持するものとし、そのハウジングを車体に固定した状態と、その固定を解除した状態とを切り換えるような構成とすること、平たく言えば、ハウジングを上記ステアリングチューブとは別に設けた態様とすることも可能である。そのような態様とすれば、インストゥルメントパネルのリインフォースメントに固定される従来の構成のステアリングコラムを、そのまま用いることが可能である。
ただし、ステアリングシステムの構成を簡便化するという観点からすれば、ハウジングをステアリングチューブとは別に設けた態様より、コラムを構成するステアリングチューブをハウジングとして機能させる態様の方が望ましい。そのステアリングチューブをハウジングとして機能させる態様においては、例えば、本項の特徴である「第1シャフトの第2シャフトの軸線回りの回動」をチルト機構として機能させることや、第1シャフトを伸縮可能として、その第1シャフトを保持するハウジングの車体への取付構造が、車体への固定を解除可能な機構に加えて、テレスコピック機構や二次衝突に対処するための機構をも有する構成とすることが可能である。
(5)前記第1シャフト回転禁止装置が、前記第1シャフトの前記ハウジングに対する回転を禁止するものである(4)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、第1シャフトとハウジングとの相対回転を禁止するものであれば、その構造,構成は特に限定されず、既に公知の構成を広く採用可能である。例えば、係合体としてのロッド,ピン,バー等の部材を、ハウジングに周方向に移動不能な状態で設け、それらロッド等を駆動源によって移動させて、第1シャフトに係合させ、それらロッド等によって第1シャフトを係止させることで第1シャフトの自身の軸線回りの回転を禁止するような構成を採用可能である。その駆動源も、その種類が特に限定されるものではなく、例えば、電磁ソレノイド,電磁モータ等、種々のものから、ステアリングロック装置の構成に応じた適正なものを選択して採用することが可能である。
(6)当該車両用ステアリングシステムが、
前記第2シャフトの回転に伴って前記転舵輪が転舵する状態と、前記第2シャフトが回転しても前記転舵輪が転舵しない状態とを選択的に実現する回転伝達状態切換装置を備えた(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
前記第2シャフトの回転に伴って前記転舵輪が転舵する状態と、前記第2シャフトが回転しても前記転舵輪が転舵しない状態とを選択的に実現する回転伝達状態切換装置を備えた(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の記載の態様は、上記回転伝達状態切換装置によって、第1シャフトを第2シャフトの軸線回りに回動させる場合に、転舵輪が転舵しないようにすることが可能である。なお、本項に記載の「回転伝達状態切換装置」は、例えば、一般にクラッチ機構と呼ばれるような機構を含んで構成し、回転力付与装置が力を作用させる箇所と転舵輪との間で回転伝達される状態とされない状態とを切り換えるような構成とすることが可能である。
(7)当該車両用ステアリングシステムが、
車両の前方部の車幅方向における中央に配置された単一の前輪と、その前輪より後方において車両の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪とを有する車両に搭載され、
前記ステアリング操作部材が、車幅方向において中央から片寄った位置に配置され、そのステアリング操作部材に加わる力が前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを介して前記前輪に伝達され、その前輪が転舵するように構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
車両の前方部の車幅方向における中央に配置された単一の前輪と、その前輪より後方において車両の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪とを有する車両に搭載され、
前記ステアリング操作部材が、車幅方向において中央から片寄った位置に配置され、そのステアリング操作部材に加わる力が前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを介して前記前輪に伝達され、その前輪が転舵するように構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様のシステムが対象とする車両は、上記前輪,左輪,右輪のみを有する三輪車両であってもよく、さらに、左輪,右輪の後方に配置された単一の後輪を有する車両であってもよい。そのような車両(以下、「特殊車輪配置車両」という場合がある)は、運転席のすぐ脇に左右輪のいずれかが配置されるような構成となり、その特殊車輪配置車両への運転者の乗降する箇所は、その運転席から見て斜め前方が考えられる。つまり、特殊車輪配置車両は、ステアリング操作部材が運転者の乗降を妨げることとなり、4つの車輪が四隅に配設された一般的な車両に比較して、乗降性が悪くなる。したがって、特殊車輪配置車両には、第1シャフトを回動可能な構成の当該車両用ステアリングシステムが、特に有効である。
(8)前記第2シャフトが、車幅方向に延びる状態で車体に保持され、外周面にウォームが形成されたものであり、
当該車両用ステアリングシステムが、
前記前輪を回転可能に保持する前輪保持具と、
上下方向に延び、下端部が前記前輪保持具に固定され、その下端部より上方において自身の軸線回りに回転可能に車体に支持された転舵軸と、
前記第2シャフトに形成された前記ウォームと、前記転舵軸にそれと同軸的に固定されて前記ウォームと噛合するウォームホイールとを含んで構成され、前記第2シャフトの回転を前記転舵軸の回転として伝達する回転伝達機構と
を備え、
前記第2シャフトの回転に伴って前記転舵軸が回転し、前記前輪が転舵するように構成された(7)項に記載の車両用ステアリングシステム。
当該車両用ステアリングシステムが、
前記前輪を回転可能に保持する前輪保持具と、
上下方向に延び、下端部が前記前輪保持具に固定され、その下端部より上方において自身の軸線回りに回転可能に車体に支持された転舵軸と、
前記第2シャフトに形成された前記ウォームと、前記転舵軸にそれと同軸的に固定されて前記ウォームと噛合するウォームホイールとを含んで構成され、前記第2シャフトの回転を前記転舵軸の回転として伝達する回転伝達機構と
を備え、
前記第2シャフトの回転に伴って前記転舵軸が回転し、前記前輪が転舵するように構成された(7)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、前述した特殊車輪配置車両において、第2シャフトと転舵輪である前輪との間で回転を相互に伝達する機構を具体化した態様である。本項の態様によれば、ステアリング操作部材に加えられた操作を、回転動作のみで前輪まで伝達して転舵させることが可能であり、伝達効率の良いステアリングシステムが実現する。
(9)前記回転力付与装置が、自身が発生させる力を前記第2シャフトに作用させ、その第2シャフトに回転力を付与するものである(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、回転力付与装置が、第2シャフトに回転力を直接的に作用させる態様である。本項の態様によれば、第1シャフトを回動させるための力を効率的に付与することが可能である。なお、当該車両用ステアリングシステムが、先に述べた回転伝達状態切換装置をも備える場合には、その回転伝達状態切換装置を、第2シャフトの回転力付与装置の力が作用する箇所の近くに配設すれば、第1シャフトを回動させるための力を、より効率的に付与することが可能である。
(10)前記回転力付与装置が、
電磁モータを有し、その電磁モータが発生させる力に依拠して前記第2シャフトに回転力を付与するものである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
電磁モータを有し、その電磁モータが発生させる力に依拠して前記第2シャフトに回転力を付与するものである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、回転力付与装置の駆動源を限定した態様である。回転力付与装置が転舵助勢装置として機能する先に述べた態様は、いわゆる電動パワーステアリング装置を用いて、ステアリング操作部材を移動させる態様と考えることもできる。
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<ステアリングシステム搭載車両の構成>
図1,2に、実施例の車両用ステアリングシステムが搭載された車両を示す。本車両は、菱形車輪配置の車両であり、次世代コミュータとして期待されている。本車両は、車体10と、それの前方部に設けられた前輪12Fと、その前輪12Fの後方において車体10の左部,右部にそれぞれ設けられた左輪14L,右輪14Rと、それら左輪14L,右輪14Rの後方に設けられた後輪12Rとを有している。当該車両の平面視を示す図2から解るように、前輪12F,後輪12Rは、車幅方向における中央に配設されている。なお、以下の説明において、前輪12F,後輪12Rの区別を要しない場合には、車輪12と総称し、左輪14L,右輪14Rの区別を要しない場合には、車輪14と総称することとする。前輪12F,後輪12R,左輪14L,右輪14Rに関係する構成要素,パラメータ等についても同様とする。
図1,2に、実施例の車両用ステアリングシステムが搭載された車両を示す。本車両は、菱形車輪配置の車両であり、次世代コミュータとして期待されている。本車両は、車体10と、それの前方部に設けられた前輪12Fと、その前輪12Fの後方において車体10の左部,右部にそれぞれ設けられた左輪14L,右輪14Rと、それら左輪14L,右輪14Rの後方に設けられた後輪12Rとを有している。当該車両の平面視を示す図2から解るように、前輪12F,後輪12Rは、車幅方向における中央に配設されている。なお、以下の説明において、前輪12F,後輪12Rの区別を要しない場合には、車輪12と総称し、左輪14L,右輪14Rの区別を要しない場合には、車輪14と総称することとする。前輪12F,後輪12R,左輪14L,右輪14Rに関係する構成要素,パラメータ等についても同様とする。
本車両では、前輪12F,後輪12Rが転舵輪とされており、左輪14L,右輪14Rは転舵輪とはされていない。また、左輪14L,右輪14Rが駆動輪(車両を駆動するために回転駆動される車輪)とされてはいるものの、前輪12F,後輪12Rは、駆動輪とはされていない。同様に、左輪14L,右輪14Rが制動輪(車両を制動するために回転が制動される車輪)とされてはいるものの、前輪12F,後輪12Rは、制動輪とはされていない。
本車両には、運転者が当該車両を操作するための操作部材として、3つの操作部材が設けられている。その1つが、車両に旋回動作を行わせるためのステアリング操作部材であるステアリングホイール20であり、もう1つが、車両を加速させるためのアクセル操作部材であるアクセルペダル22,さらにもう1つが、車両を減速させるためのブレーキ操作部材であるブレーキペダル24である。
<ステアリングシステムの構成>
本実施例のステアリングシステムは、ステアリングホイール20に加えられた操作力が前輪12Fに伝達され、その前輪12Fが転舵されるように構成されている。本ステアリングシステムは、図3に示すように、ステアリングホイール20と、前輪12Fを転舵させる前輪転舵装置26と、ステアリングホイール20に加えられた力を前輪転舵装置26に伝達する操舵力伝達装置28とを含んで構成されている。
本実施例のステアリングシステムは、ステアリングホイール20に加えられた操作力が前輪12Fに伝達され、その前輪12Fが転舵されるように構成されている。本ステアリングシステムは、図3に示すように、ステアリングホイール20と、前輪12Fを転舵させる前輪転舵装置26と、ステアリングホイール20に加えられた力を前輪転舵装置26に伝達する操舵力伝達装置28とを含んで構成されている。
まず、前輪転舵装置26について詳しく説明する。前輪12Fは、ホイール本体30と、タイヤ32とから構成されている。ホイール本体30は、1対の液圧式のショックアブソーバ34によって、左右から挟持されている。詳しく言えば、ホイール本体30に設けられたアクスル36が、1対のショックアブソーバ34の各々の下端部に設けられた軸受部によって回転可能に保持されていることで、前輪12Fは回転可能とされているのである。
1対のショックアブソーバ34の各々の上端部は、車幅方向に延びる支持板42に固定されており、支持板42は、1対のショックアブソーバ34の上端部を繋ぐものとなっている。支持板42には、転舵軸44の下端部が固定的に付設されており、その転舵軸44が、上方に延びて車体10に回転可能に支持されている。後に詳しく説明するが、操舵力伝達装置28により伝達された力によって、転舵軸44が回転させられ、前輪12Fは転舵されるようになっている。
1対のショックアブソーバ34の各々は、ロアチューブ50とアッパチューブ52とを有し、それらが相対移動可能とされていることで、伸縮可能とされている。ロアチューブ50には、下部リテーナ54が固定され、その下部リテーナ54と上部リテーナとして機能する支持板42とによって、1対のサスペンションスプリング56の各々が挟持されている。このような構成により、前輪12Fは、弾性的に上下に揺動可能とされている。つまり、1対のショックアブソーバ34,1対のサスペンションスプリング56,支持板42等を含んで、前輪12Fを回転可能に保持する前輪保持具が構成されている。
次いで、操舵力伝達装置28について説明する。操舵力伝達装置28は、ステアリングホイール20を保持するステアリングコラム60(以下、単に「コラム60」と略する場合がある)を備えている。そのコラム60は、一端部にステアリングホイール20が接続されたステアリングシャフト62と、ステアリングシャフト62を回転可能に保持するステアリングチューブ64とを含んで構成される。そのコラム60は、車両の走行中においては、ステアリングホイール20が運転者によって操作されるための位置に位置するように、姿勢が固定されている。詳しくは、コラム60は、前後方向に延び、車両前方側が下方に位置するように傾斜した姿勢で固定されている。
なお、コラム60は、上記のステアリングシャフト62とステアリングチューブ64とからなるコラム本体70と、そのコラム本体70を車体10の一部に保持させるためのブラケット72とを含んで構成される。そして、詳しい説明は省略するが、そのブラケット72によるコラム本体70を保持する構造によって、コラム60は、チルト・テレスコピック機構を有するものとされている。また、コラム60は、ステアリングシャフト62の回転を禁止するステアリングロック装置74を備えている。詳しい説明および図示は省略するが、そのステアリングロック装置74は、電磁ソレノイドを主体とするものであり、励磁されていない場合に突出した状態となるロックピンがステアリングシャフト62に設けられた孔に嵌合し、ステアリングシャフト62の回転を禁止する構造のものである。
また、操舵力伝達装置28は、さらに2本のシャフト80,82を備えており、それら2本のシャフト80,82によって、ステアリングシャフト62と前輪転舵装置26の転舵軸44とが接続されている。詳しく言えば、ステアリングシャフト62のステアリングホイール20とは反対側の端部は、ユニバーサルジョイント84を介して、インタミディエイトシャフト80の一端部に連結され、そのインタミディエイトシャフト80の他端部は、ユニバーサルジョイント86を介して、前輪転舵装置26に回転を伝える出力シャフト82の一端部に連結されている。なお、その出力シャフト82は、車幅方向に延びる状態で、車体10の一部に回転可能に保持されている。
出力シャフト82は、それの他端部側において、回転伝達機構としてのウォームギヤ機構90によって、転舵軸44と連結される。詳しくは、出力シャフト82の他端部には、ウォーム92が形成されるとともに、転舵軸44には、それと同軸的にウォームホイール94が固定され、それらウォーム92とウォームホイール94とが噛合することで、それら出力シャフト82と転舵軸44とが連結されている。つまり、出力シャフト82の回転に伴って転舵軸44が回転し、前輪12Fが転舵するようになっている。以上のような構成から、操舵力伝達装置28は、ステアリングホイール20に加えられた力を、前輪12に伝達し、前輪12Fが転舵されるようになっているのである。
図3に示すように、上述したコラム60と2本のシャフト80,82は、ハウジング100の内部に収容され、そのハウジング100が車体10の一部に支持されることで、前述した姿勢が保持されている。ちなみに、図3においては、ハウジング100の形状のみを二点鎖線で示している。ハウジング100は、コラム60が内部に固定されてそのステアリングシャフト62とインタミディエイトシャフト80とを挿通させる第1チューブ102と、出力シャフト82を回転可能に保持する第2チューブ104とを含んで構成される。第2チューブ104は、車幅方向に延びる状態で車体10の一部に固定され、それの車幅方向における右側の端部に、第1チューブ102の下方側の端部を嵌合させることで、その第1チューブ102を保持している。それら第1チューブ102と第2チューブ104との間には、ベアリング106が設けられ、第2チューブ104に対する第1チューブ102の回転が許容されている。
また、図4に示すように、第2チューブ104の外周面には、電磁ソレノイド110が固定されている。そのソレノイド110は、ピン112を有するものであり、励磁されることによってピン112が引き込まれる構造とされている。一方、第1チューブ102の外周面には、径方向に突出する凸部114が設けられ、その凸部114はピン孔116を有している。上記のピン112が、そのピン孔116に挿入された状態とされることで、第1チューブ102の第2チューブ104に対する回転が禁止され、ステアリングシャフト62が、先に述べた姿勢で固定されるのである。
本実施例のステアリングシステムは、アシストモータ120が発生させる力に依拠して前輪12Fの転舵を助勢する転舵助勢装置としての電動パワーステアリング装置122を備えている。具体的には、図4に示すように、出力シャフト82の外周部には、周方向に複数の永久磁石124が固定されて配設されており、それらは、アシストモータ120のロータを構成している。一方、その永久磁石124に対向するように、複数の極体126(コアにコイルが巻回されたもの)が、第2チューブ104の内面に固定されて配設され、それらの極体126の各々がステータ極とされることで、それらはステータを構成している。つまり、電動パワーステアリング装置122は、アシストモータ120が発生させる力に依拠して出力シャフト82に回転力を付与することで、前輪12Fの転舵を助勢する構造とされている。
また、出力シャフト82には、永久磁石124が固定された位置とウォーム92が形成された位置との間に、電磁クラッチ130が設けられている。そして、その電磁クラッチ130によって、出力シャフト82は、永久磁石124が固定された部分とウォーム92が形成された部分とが連結された状態と、それらの連結が解除された状態とが、選択的に実現される。具体的に言えば、その電磁クラッチ130は、励磁されている場合に、出力シャフト82の上記の2つの部分を連結して、出力シャフト82の回転に伴って前輪12Fが転舵する状態を実現し、励磁されていない場合に、出力シャフト82の上記の2つの部分を切り離して、出力シャフト82が回転しても、詳しくは、出力シャフト82の永久磁石124が固定された部分が回転しても前輪12Fが転舵しない状態を実現することが可能とされている。
<ステアリングシステムの作動>
車両の走行中においては、本ステアリングシステムは、先に述べたステアリングロック装置74によってステアリングシャフト62の自身の軸線回りの回転は禁止されていない。また、ハウジング100に設けられた電磁ソレノイド100は励磁されておらず、ステアリングホイール20が運転者によって操作されるための位置に位置するように、ステアリングシャフト62の姿勢が固定されている。さらに、電磁クラッチ130は、励磁されており、出力シャフト82の回転に伴って前輪12Fが転舵する状態となっている。つまり、運転者の操作によるステアリングホイール20の回転が、ステアリングシャフト62,インタミディエイトシャフト80,出力シャフト82を介して転舵軸44に伝達され、前輪12が転舵されるようになっている。また、電動パワーステアリング装置122によって、運転者によって加えられた操舵トルクに応じた大きさの回転力が出力シャフト82に付与され、前輪12Fの転舵が助勢されるようになっている。ちなみに、図示は省略するが、ステアリングシャフト62は、トーションバーを含んで構成されており、そのトーションバーの捻り量に基づいて操舵トルクが推定可能とされている。
車両の走行中においては、本ステアリングシステムは、先に述べたステアリングロック装置74によってステアリングシャフト62の自身の軸線回りの回転は禁止されていない。また、ハウジング100に設けられた電磁ソレノイド100は励磁されておらず、ステアリングホイール20が運転者によって操作されるための位置に位置するように、ステアリングシャフト62の姿勢が固定されている。さらに、電磁クラッチ130は、励磁されており、出力シャフト82の回転に伴って前輪12Fが転舵する状態となっている。つまり、運転者の操作によるステアリングホイール20の回転が、ステアリングシャフト62,インタミディエイトシャフト80,出力シャフト82を介して転舵軸44に伝達され、前輪12が転舵されるようになっている。また、電動パワーステアリング装置122によって、運転者によって加えられた操舵トルクに応じた大きさの回転力が出力シャフト82に付与され、前輪12Fの転舵が助勢されるようになっている。ちなみに、図示は省略するが、ステアリングシャフト62は、トーションバーを含んで構成されており、そのトーションバーの捻り量に基づいて操舵トルクが推定可能とされている。
また、本ステアリングシステムは、運転者の乗降時において、ステアリングホイール20を、先に述べたチルト機構の動作範囲を超えて、大きく跳ね上げることが可能とされている。運転者が乗降する場合には、まず、ステアリングロック装置74によりステアリングシャフト62の自身の軸線回りの回転が禁止されるとともに、ハウジング100に設けられた電磁ソレノイド110が励磁され、第2チューブ104に対する第1チューブ102の回転が許容される。また、電磁クラッチ130の電流供給が断たれ、出力シャフト82の永久磁石124が固定された部分とウォーム92が形成された部分との連結が解除され、出力シャフト82の永久磁石124が固定された部分が回転しても前輪12Fが転舵しない状態が実現される。次に、その状態において、電動パワーステアリング装置122によって、出力シャフト82に回転力が付与される。そして、上述したように、ステアリングシャフト62の自身の軸線回りの回転が禁止されるとともに、第2チューブ104に対する第1チューブ102の回転が許容されているために、出力シャフト82が回転させられると、インタミディエイトシャフト80,ステアリングコラム60,第1チューブ102,ステアリングホイール20は、出力シャフト82の軸線回りに回動させられることになるのである。つまり、ステアリングコラム60が大きく跳ね上げられ、ステアリングホイール20が上方に移動させられることになるのである。なお、その際、出力シャフト82、詳しくは、出力シャフト82の永久磁石124が固定された部分が回転しても、電磁クラッチ130によって、前輪12Fは転舵されないようになっている。ちなみに、図5に示すように、第1チューブ102の凸部114は、もう1つピン孔140を有しており、ステアリングシャフト20を上方に移動させた位置において固定させることが可能とされている。
上述のような構成から、本実施例のステアリングシステムにおいては、ステアリングシャフト62が第1シャフトとして機能するとともに、出力シャフト82が第2シャフトとして機能する。また、本ステアリングシステムは、ステアリングホイール20が運転者によって操作されるための位置に位置するように、第1シャフトとしてのステアリングシャフト62の姿勢を固定するとともに、その固定を解除する第1シャフト姿勢固定装置を備えるものとなっており、その第1シャフト姿勢固定装置は、ハウジング100を構成する第1チューブ102および第2チューブ104,その第2チューブ104に設けられた電磁ソレノイド110等を含んで構成される。
なお、本ステアリングシステムは、ステアリングシャフト62から出力シャフト82までがハウジング100に収容され、そのハウジング100が、ステアリングシャフト62を保持する第1チューブ102が出力シャフト82を保持する第2チューブ104に対して回転可能な構成とされている。そのため、ステアリングシャフト62が出力シャフト82の軸線回りに回動する場合に、ユニバーサルジョイント84,86において折れ曲がることはなく、第2シャフトに対する第1シャフトの姿勢(第1シャフトと第2シャフトとの相対姿勢)が変化しないように構成される。つまり、本ステアリングシステムは、第1シャフトの回動の際に第1シャフトと第2シャフトとの相対姿勢を保持する機構である相対姿勢保持機構を有している。換言すれば、ステアリングホイール20が出力シャフト82の軸線を中心とする一円周上を回転させるように、ステアリングシャフト62を案内するガイド機構を有していると考えることができる。
さらに、本ステアリングシステムにおいては、ステアリングロック装置74が第1シャフトの回転を禁止する第1シャフト回転禁止装置として機能し、電動パワーステアリング装置122が第2シャフトとしての出力シャフト82に回転力を付与する回転力付与装置として機能する。以上のような構成から、本ステアリングシステムは、第1シャフト姿勢固定装置によって第1シャフトの姿勢の固定が解除され、かつ、第1シャフト回転禁止装置によって第1シャフトの回転が禁止された状態において、回転力付与装置よって第2シャフトを回転させることで、第1シャフトが第2シャフトの軸線回りに回動するように構成されている。
本ステアリングシステムによれば、簡便な手法によってステアリングコラム60を跳ね上げ、ステアリングホイール20の位置を大きく変更することが可能であり、乗降性を向上させることが可能である。なお、本ステアリングシステムが搭載された車両は、4つの車輪12,14が菱形状に配置されたものであり、図1および図2から分かるように、運転席のすぐ脇に右輪14Rが位置することになる。そして、本車両のドアは、運転席の右斜め前に設けられており、運転者の乗降する方向は、図2に示した方向となる。つまり、本車両においては、ステアリングホイール20が操作可能な位置に位置している場合には運転者の乗降を妨げることになるが、本車両には上述したステアリングシステムが搭載されているため、ステアリングホイール20が運転者の乗降を妨げることはなく、乗降性に優れた特殊車輪配置車両が実現することとなる。
また、本ステアリングシステムは、ステアリングロック装置74を第1シャフト回転禁止装置として機能させ、電動パワーステアリング装置122を回転力付与装置として機能させるため、より簡便な構成のものとなっている。さらに、本ステアリングシステムにおいては、電磁クラッチ130が、第2シャフトの回転に伴って転舵輪が転舵する状態と、第2シャフトが回転しても転舵輪が転舵しない状態とを選択的に実現する回転伝達状態切換装置として機能し、本ステアリングシステムは、ステアリングシャフト62を回動させる際に前輪12Fが転舵されないようにすることが可能である。
<ECUによる制御>
以上のように説明した本ステアリングシステムは、ECU150によって制御される。ECU150は、電動パワーステアリング装置122のアシストモータ120,ステアリングロック装置74のソレノイド,第1シャフト姿勢固定装置を構成する電磁ソレノイド110,回転伝達状態切換装置として機能する電磁クラッチ130等が接続されており、それらの動作の制御を行うものとされている。また、ECU150には、イグニッションスイッチ[I/G]152,アシストモータ120の回転角を検出するモータ回転角センサ[θ]154,車両走行速度v(以下、「車速v」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[v]156,運転席に乗員が着席しているか否かを判定するシートセンサ[S]158,ステアリングホイール20の位置を操作可能な位置(OFF状態)とコラム60を跳ね上げて上方に移動させた位置(ON状態)とを切り換えるためのコラム跳ね上げスイッチ[SW]160等の各種センサおよびスイッチが接続されている。ちなみに、[ ]の文字は、上記スイッチ,センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。
以上のように説明した本ステアリングシステムは、ECU150によって制御される。ECU150は、電動パワーステアリング装置122のアシストモータ120,ステアリングロック装置74のソレノイド,第1シャフト姿勢固定装置を構成する電磁ソレノイド110,回転伝達状態切換装置として機能する電磁クラッチ130等が接続されており、それらの動作の制御を行うものとされている。また、ECU150には、イグニッションスイッチ[I/G]152,アシストモータ120の回転角を検出するモータ回転角センサ[θ]154,車両走行速度v(以下、「車速v」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[v]156,運転席に乗員が着席しているか否かを判定するシートセンサ[S]158,ステアリングホイール20の位置を操作可能な位置(OFF状態)とコラム60を跳ね上げて上方に移動させた位置(ON状態)とを切り換えるためのコラム跳ね上げスイッチ[SW]160等の各種センサおよびスイッチが接続されている。ちなみに、[ ]の文字は、上記スイッチ,センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。
さらに、ECU150のコンピュータには、ステアリングシステムの制御に関する各種のデータ,プログラム等が記憶されている。具体的には、ステアリングホイール20の位置を変更する処理、換言すれば、ステアリングコラム60の姿勢を変更する処理を行うためのプログラムとして、図6にフローチャートを示すコラム姿勢制御プログラムが記憶されている。以下に、その制御を、図に示すフローチャートを参照しつつ、詳しく説明する。
ステアリングコラム60の姿勢を変更する処理は、車両が停止している場合にのみ行われる。そのため、コラム姿勢制御プログラムでは、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す、他のステップも同様である)において、車速センサ154により取得された車速vが0kmか否かが判定され、走行中である場合には、以下の処理がスキップされるようになっている。車両の走行中においては、コラム60は、先に述べたように、ステアリングホイール20が運転者に操作可能な位置に位置するような姿勢で固定されている。そして、イグニッションスイッチ152がOFFとされた場合、あるいは、運転者の操作によりコラム跳ね上げスイッチ160がON状態とされた場合に、コラム60を跳ね上げる処理が実行される。具体的には、S2において、イグニッションスイッチ152がOFFであると判定された場合と、イグニッションスイッチ152がONであっても、S3においてシートセンサ158によって運転手が着席していることが検出され、かつ、S4において跳ね上げスイッチ160がONであると判定された場合に、S5以下の処理が実行される。
コラム姿勢制御プログラムでは、コラム跳ね上げフラグFLが採用されており、ステアリングホイール20を操作可能な位置に位置させる場合に、コラム跳ね上げフラグFLのフラグ値が0とされ、コラム60が跳ね上げられた場合に、フラグ値が1とされる。コラム60を跳ね上げる処理を行う前に、まず、S5において、そのコラム跳ね上げフラグFLのフラグ値が0であるか否かが判定される。そして、フラグ値が0である場合に、S6において、コラム60を跳ね上げる処理が実行される。その処理は、図7にフローチャートを示すコラム跳ね上げ処理サブルーチンが実行されることによって行われる。
そのコラム跳ね上げ処理では、まず、S11において、ステアリングロック装置74により、ステアリングシャフト62の自身の軸線回りの回転が禁止され、S12において、第1シャフト姿勢固定装置を構成する電磁ソレノイド110がON状態とされてピン112がピン孔116から抜き出され、ステアリングシャフト62の姿勢の固定が解除される。また、S13において、電磁クラッチ130がOFF状態とされ、出力シャフト82から転舵軸44へ回転伝達されない状態とされる。次いで、S14〜16において、アシストモータ120を駆動して、モータ回転角センサ156の検出結果に基づいてコラム60が跳ね上げ位置に到達するまで出力シャフト82を回転させる。最後に、S17において、電磁ソレノイド110がOFF状態とされ、ピン112がピン孔140に挿入され、コラム60がその跳ね上げられた位置で固定される。以上のように、コラム跳ね上げ処理サブルーチンの実行が終了すると、コラム姿勢制御プログラムのS7においてコラム跳ね上げフラグFLのフラグ値が1とされ、そのコラム姿勢制御プログラムの1回の実行が終了する。ちなみに、イグニッションスイッチ152がOFFとされた場合には、そのコラム跳ね上げ処理サブルーチンの実行が終了した後に、ECU150のコンピュータが終了するようになっている。
また、ステアリングコラム60の姿勢を変更する処理では、運転者が本車両に乗り込んでイグニッションスイッチ152をON状態とした場合、あるいは、運転者の操作によりコラム跳ね上げスイッチ160がON状態からOFF状態とされた場合に、ステアリング操作が可能となるように、コラム60を跳ね上げた位置から復帰させる処理が実行される。具体的には、S2において、イグニッションスイッチ152がONであると判定され、S3においてシートセンサ158によって運転手が着席していることが検出され、S4において跳ね上げスイッチ160がOFFであると判定された場合に、S8以下の処理が実行される。ただし、コラム60を跳ね上げた位置から復帰させる処理を行う前に、まず、S8において、コラム跳ね上げフラグFLのフラグ値が1あるか否かが判定される。そして、フラグ値が1である場合に、S9において、コラム60の姿勢を復帰させる処理が実行される。その処理は、図8にフローチャートを示すコラム姿勢復帰処理サブルーチンが実行されることによって行われる。
そのコラム姿勢復帰処理では、まず、S21において、電磁ソレノイド110がON状態とされてピン112がピン孔140から抜き出され、ステアリングシャフト62の姿勢の固定が解除される。次いで、S22〜24において、アシストモータ120を駆動して、モータ回転角センサ156の検出結果に基づいてコラム60の姿勢がステアリング操作が可能な姿勢となるまで出力シャフト82を回転させる。そして、S25において、電磁ソレノイド110がOFF状態とされてピン112がピン孔116に挿入され、コラム60がその姿勢で固定されるとともに、S26において、ステアリングロック装置74によってステアリングシャフト62のロックが解除される。最後に、S27において、電磁クラッチ130がON状態とされ、出力シャフト82から転舵軸44へ回転が伝達可能な状態とされる。以上のように、コラム姿勢復帰処理サブルーチンの実行が終了すると、コラム姿勢制御プログラムのS7においてコラム跳ね上げフラグFLのフラグ値が0とされ、そのコラム姿勢制御プログラムの1回の実行が終了する。
<変形例>
上記実施例のステアリングシステムは、第1シャフトとしてのステアリングシャフト62が前後方向に延びる状態で保持され、第2シャフトとしての出力シャフト82が車幅方向に延びる状態で保持されているため、ステアリングホイール20が跳ね上げられるように動作する構成とされていた。しかし、第1シャフトおよび第2シャフトの延びる方向は、特に限定されない。例えば、第2シャフトをそれの左側が右側より下方に位置する状態で保持すれば、ステアリングホイール20を左斜め上方へ移動させることが可能である。一端部においてステアリングホイール20を保持する第1シャフトは概して前後方向に延びる状態で配設されることが一般的であるため、第2シャフトの延びる方向を適切に設定することで、車両の構成に応じて、操作部材を種々の方向に動作させることが可能である。
上記実施例のステアリングシステムは、第1シャフトとしてのステアリングシャフト62が前後方向に延びる状態で保持され、第2シャフトとしての出力シャフト82が車幅方向に延びる状態で保持されているため、ステアリングホイール20が跳ね上げられるように動作する構成とされていた。しかし、第1シャフトおよび第2シャフトの延びる方向は、特に限定されない。例えば、第2シャフトをそれの左側が右側より下方に位置する状態で保持すれば、ステアリングホイール20を左斜め上方へ移動させることが可能である。一端部においてステアリングホイール20を保持する第1シャフトは概して前後方向に延びる状態で配設されることが一般的であるため、第2シャフトの延びる方向を適切に設定することで、車両の構成に応じて、操作部材を種々の方向に動作させることが可能である。
また、上記実施例のステアリングシステムは、第2シャフトとしての出力シャフト82が、パワーステアリング装置122が有するアシストモータ120のモータ軸として機能するような構成とされていた。しかし、図9に示すように、回転力付与装置が有する電磁モータ200が、第2シャフト202にギヤ204を介して回転力を付与するように構成されてもよい。そのような構成とすれば、第2シャフト202からモータ200への減速比を大きくすることが可能であり、モータの大きさを小さくすることが可能である。ちなみに、その変形例のステアリングシステムにおいては、回転伝達状態切換装置としての電磁クラッチ206は、転舵軸44のウォームホイール94と支持板42との間に設けられている。
さらに、上記実施例のステアリングシステムは、回転力付与装置として機能するパワーステアリング装置122が、第2シャフトとしての出力シャフト82に回転力を直接的に作用させるように構成されていたが、第2シャフトに間接的に回転力を作用させる構成とされてもよい。具体的には、例えば、回転力付与装置が、転舵軸44に回転力を作用させるような構成とすることも可能である。
10:車体 12F:前輪 12R:後輪 14L:左輪 14R:右輪 20:ステアリングホイール(ステアリング操作部材) 26:前輪転舵装置 28:操舵力伝達装置 34:ショックアブソーバ 42:支持板 44:転舵軸 56:サスペンションスプリング 60:ステアリングコラム 62:ステアリングシャフト(第1シャフト) 64:ステアリングチューブ 74:ステアリングロック装置(第1シャフト回転禁止装置) 80:インタミディエイトシャフト 82:出力シャフト(第2シャフト) 90:ウォームギヤ機構(回転伝達機構) 92:ウォーム 94:ウォームホイール 100:ハウジング 102:第1チューブ 104:第2チューブ 110:電磁ソレノイド(第1シャフト姿勢固定装置) 112:ピン 116:ピン孔 120:アシストモータ 122:電動パワーステアリング装置(回転力付与装置) 130:電磁クラッチ(回転伝達状態切換装置) 140:ピン孔 200:電磁モータ(回転力付与装置) 202:第2シャフト 204:ギヤ 206:電磁クラッチ(回転伝達状態切換装置)
Claims (8)
- (a)運転者によって操作されるステアリング操作部材と、(b)一端部がそのステアリング操作部材に連結され、そのステアリング操作部材の操作に伴って自身の軸線回りに回転する第1シャフトと、(c)その第1シャフトが延びる方向と交差する方向に延び、一端部がその第1シャフトの他端部に連結されるとともに、他端部が転舵輪に連結され、前記第1シャフトの回転に伴って自身の軸線回りに回転する第2シャフトとを備え、
前記ステアリング操作部材に加えられた力が前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを介して前記転舵輪に伝達され、その転舵輪が転舵するように構成された車両用ステアリングシステムであって、
当該車両用ステアリングシステムが、
前記ステアリング操作部材が運転者によって操作されるための位置に位置するように、前記第1シャフトの姿勢を固定するとともに、その固定を解除可能な第1シャフト姿勢固定装置と、
前記第1シャフトの回転を禁止する第1シャフト回転禁止装置と、
前記第2シャフトに回転力を付与する回転力付与装置と
を備え、
前記第1シャフト姿勢固定装置によって前記第1シャフトの姿勢の固定が解除され、かつ、前記第1シャフト回転禁止装置によって前記第1シャフトの回転が禁止された状態において、前記回転力付与装置によって前記第2シャフトを回転させることで、前記第1シャフトが前記第2シャフトの軸線回りに回動するように構成された車両用ステアリングシステム。 - 前記回転力付与装置が、
前記第1シャフト姿勢固定装置によって前記第1シャフトの姿勢が固定され、かつ、前記第1シャフト回転禁止装置によって前記第1シャフトの回転が禁止されていない状態において、前記転舵輪の転舵を助勢する転舵助勢装置として機能するものである請求項1に記載の車両用ステアリングシステム。 - 前記第2シャフトが、車幅方向に延びる請求項1または請求項2に記載の車両用ステアリングシステム。
- 当該車両用ステアリングシステムが、前記第1シャフトを回転可能に保持するハウジングを有し、
前記第1シャフト姿勢固定装置が、前記ハウジングを車体に固定することで前記第1シャフトの姿勢を固定するとともに、そのハウジングの車体への固定を解除することで前記第1シャフトの姿勢の固定を解除するものである請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。 - 前記第1シャフト回転禁止装置が、前記第1シャフトの前記ハウジングに対する回転を禁止するものである請求項4に記載の車両用ステアリングシステム
- 当該車両用ステアリングシステムが、
前記第2シャフトの回転に伴って前記転舵輪が転舵する状態と、前記第2シャフトが回転しても前記転舵輪が転舵しない状態とを選択的に実現する回転伝達状態切換装置を備えた請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。 - 当該車両用ステアリングシステムが、
車両の前方部の車幅方向における中央に配置された単一の前輪と、その前輪より後方において車両の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪とを有する車両に搭載され、
前記ステアリング操作部材が、車幅方向において中央から片寄った位置に配置され、そのステアリング操作部材に加わる力が前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを介して前記前輪に伝達され、その前輪が転舵するように構成された請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。 - 前記第2シャフトが、車幅方向に延びる状態で車体に保持され、外周面にウォームが形成されたものであり、
当該車両用ステアリングシステムが、
前記前輪を回転可能に保持する前輪保持具と、
上下方向に延び、下端部が前記前輪保持具に固定され、その下端部より上方において自身の軸線回りに回転可能に車体に支持された転舵軸と、
前記第2シャフトに形成された前記ウォームと、前記転舵軸にそれと同軸的に固定されて前記ウォームと噛合するウォームホイールとを含んで構成され、前記第2シャフトの回転を前記転舵軸の回転として伝達する回転伝達機構と
を備え、
前記第2シャフトの回転に伴って前記転舵軸が回転し、前記前輪が転舵するように構成された請求項7に記載の車両用ステアリングシステム。
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