JP2011116268A - 車両用ステアリングシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】単一の前輪とその前輪より車両後方側に配設された左右輪とを有する車両の実用性を向上させるための車両用ステアリングシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】(A)前輪12Fを回転可能に保持する前輪保持具と、(B)上下方向に延び、下端部において前輪保持具に固定され、その下端部より上方に設けられた被支持部52において車体46に支持された転舵軸56と、(C)その転舵軸56をそれの軸線回りに回転させることで前輪12Fを転舵させる前輪転舵装置54と、(D)転舵軸56をそれの被支持部52を支点に動かすことで、平面視において前輪12Fの車体に対する位置を変更する前輪位置変更装置80とを備えさせる。車両の旋回時において、前輪12Fを旋回外側に移動させるとともに、前輪12Fをそれの上方が旋回内側に向かうように傾倒させ、車両の転倒を防止することが可能である。
【選択図】図3

Description

本発明は、自身の前方部に配設された単一の前輪とその前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配設された左輪および右輪とを有する車両に関し、特に、その車両に搭載されるステアリングシステムに関する。
従来、単一の前輪と、それの後方に設けられた左輪,右輪とを有する車両において、その車両のステアリングシステムとして、下記特許文献1に記載されているようなものが存在する。そのステアリングシステムは、車両の旋回時の安定性に鑑みてなされたものであり、旋回時に前輪を傾倒させるように構成されたものである。また、近年では、下記特許文献2に記載されたような車両、つまり、3つの車輪に加えて左輪,右輪の後方に設けられた単一の後輪を有する車両も検討されている。
特表2001−516673号公報 中国授権公告号CN1304237C
上述のような車両は、車輪の配置が、左右2つの前輪,左右2つの後輪を有する通常の車両とは異なり、車両の前方部に車輪が1つしかないことから、その車両に搭載されるステアリングシステムにおいて、前輪に係る部分の構成を特別に配慮することが望ましい。つまり、上述のような車両(以下、「特殊車輪配置車両」という場合がある)に搭載されるステアリングシステムは、充分な改良の余地が残されており、何らかの改良を施すことにより、特殊車輪配置車両の実用性を向上させることが可能である。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、特殊車輪配置車両の実用性を向上させるための車両用ステアリングシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両用ステアリングシステムは、上記特殊車輪配置車両のためのステアリングシステムであって、(A)前輪を回転可能に保持する前輪保持具と、(B)上下方向に延び、下端部において前輪保持具に固定され、その下端部より上方に設けられた被支持部において車体に支持された転舵軸と、(C)転舵軸をそれの軸線回りに回転させることで前輪を転舵させる前輪転舵装置と、(D)転舵軸をそれの被支持部を支点に動かすことで、平面視において前輪の車体に対する位置を変更する前輪位置変更装置とを備えている。
上記特殊車輪配置車両は、車両の前方に単一の車輪しか配置されていないため、車両の斜め前方へ転倒しやすい。本発明のステアリングシステムによれば、車両の旋回時において、前輪を旋回外側に移動させるとともに、前輪をそれの上方が旋回内側に向かうように傾倒させることが可能であるため、車両の転倒を防止することが可能となる。また、例えば、前輪を前後方向に移動させることにより、車両のホイールベースを変更することが可能である。したがって、そのような利点を有することで、本発明のステアリングシステムを搭載する特殊車輪配置車両は、実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(6)項の各々が、請求項1ないし請求項6の各々に相当する。
(1)自身の前方部に配置された単一の前輪と、その前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪とを有する車両に搭載されたステアリングシステムであって、
前記前輪を回転可能に保持する前輪保持具と、
上下方向に延び、下端部において、前記前輪保持具に固定され、その下端部より上方に設けられた被支持部において、前記車両の車体に支持された転舵軸と、
前記転舵軸をそれの軸線回りに回転させることで、前記前輪を転舵させる前輪転舵装置と、
前記転舵軸をそれの前記被支持部を支点に動かすことで、平面視において前記前輪の前記車体に対する位置を変更する前輪位置変更装置と
を備えた車両用ステアリングシステム。
本項の態様のシステムが対象とする車両は、上述した特殊車輪配置車両であり、その車両は、上記前輪,左輪,右輪のみを有する三輪車両であってもよく、さらに、左輪,右輪の後方に配置された単一の後輪を有する車両(以下、「菱形車輪配置車両」という場合がある)であってもよい。
本項のシステムにおける「転舵軸」は、概して上下方向に延びる状態で、車体に支持されていればよい。つまり、転舵軸は、鉛直である必要はなく、ある程度傾斜した状態で設けられていてもよい。そして、その転舵軸は、上記「前輪転舵装置」によって軸線回りに回転させられ、前輪が転舵されるように構成される。その前輪転舵装置は、ステアリング操作部材に加えられる運転者の操作力によって前輪を転舵させるように構成された装置であってもよく、駆動源を有してステアリング操作部材と機械的に分離され、そのステアリング操作部材の操作に応じて、駆動源を制御しつつその駆動源の力によって前輪を転舵させるように構成されたものであってもよい。いわゆるステアバイワイヤ型の装置であってもよいのである。なお、ステアリング操作部材は、ステアリングホイールを始め、ジョイスティック,レバー等、種々の形式のものを採用可能である。
また、転舵軸は、それに設けられた「被支持部」のある一点を支点とした動きが許容され、上記「前輪位置変更装置」によって動かされる。その被支持部は、転舵軸の下端部より上方に設けられればよく、例えば、転舵軸の上端部が被支持部とされ、前輪位置変更装置が、その被支持部の下方を保持して、転舵軸を動かすような構成とすることが可能である。また、転舵軸の中間に被支持部が設けられ、前輪位置変更装置が、転舵軸の上端部を保持して、転舵軸を動かすような構成とすることも可能である。
本項の態様の「前輪位置変更装置」は、具体的な構成が特に限定されるものではなく、後に説明する種々の構成の装置を採用することが可能である。例えば、その前輪位置変更装置は、前輪が平面視において弧を描くように、転舵軸を動かす構成とすることが可能であり、前輪がある直線上を移動するように、転舵軸を動かす構成とすることも可能である。なお、前者の態様について、より具体的に言えば、被支持部を通って転舵軸に交差する方向に延びる軸線回りに、転舵軸を回動させる構成とすることが可能である。
本項の態様のステアリングシステムは、前輪を直進時の向きから90°変更できるように設計できるため、車両の旋回半径を小さくすることができる。また、本項のステアリングシステムは、後に詳しく説明するが、前輪位置変更装置によって、前輪を前後方向に移動させることで、ホイールベースを変更することが可能であるとともに、前輪を車幅方向に移動させることで、車両の転倒を防止すること等が可能である。なお、前輪位置変更装置は、前輪の車幅方向における位置を変化させる構成とすることで、前輪の位置だけでなく、前輪の路面との垂線に対してなす角度であるキャンバー角をも変更させるものとなる。
(2)前記前輪位置変更装置が、
前記前輪の車幅方向における位置が変化するように、前記転舵軸を動かすように構成された(1)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様のシステムが搭載される車両は、先に述べた特殊車輪配置車両であり、車両の前方に単一の車輪しか配設されていないため、旋回時において、車両の斜め前方へ転倒する虞がある。本項の態様のシステムは、前輪を車幅方向に移動させることが可能とされているため、例えば、車両旋回時に前輪を旋回外側に移動させることによって、車両が斜め前方への転倒する可能性を低減し、車両の転倒を防止することが可能となる。詳しく言えば、本項の態様は、前輪を、左輪と右輪とのうちの旋回外輪のものの位置と前輪の直進時位置とを結ぶ直線から遠ざけることにより、車両の旋回時の転倒を防止することが可能である。
また、前輪を旋回外側に移動させると、前輪は、それの上方が旋回内側に向かって傾倒することになる。つまり、車両の旋回時に車体に作用する遠心力の一部が、転舵軸の方向に作用し、その遠心力の一部を前輪保持具が有するサスペンションによって受け持つことが可能であるため、本項のシステムを搭載する特殊車輪配置車両は、旋回時における車両の安定性に優れたものとなる。
(3)前記前輪位置変更装置が、
前記前輪の前後方向における位置が変化するように、前記転舵軸を動かすように構成された(1)項または(2)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、前輪を前後方向に移動させることが可能とされた態様である。本項の態様によれば、例えば、ホイールベースを短くして、車両の旋回半径を小さくすることが可能である。また、ホイールベースを長くして、車両の走行時の安定性を確保することが可能である。
(4)前記前輪位置変更装置が、
上方からの視点において前記前輪が弧を描くように、前記転舵軸を動かすように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様においては、前輪が車幅方向と前後方向との両方向に移動することになる。つまり、本項の態様は、先に述べた前輪の車幅方向における位置を変化させる態様において得られる効果と、前後方向における位置を変化させる態様において得られる効果との両者が、得られることになる。なお、本項の態様は、前輪が円や楕円の周りの少なくとも一部を移動する態様であってもよく、前輪が円あるいは楕円の周りを1周するような構成であってもよい。
(5)前記前輪位置変更装置が、
前記転舵軸に交差する方向に延び、一端部において、その転舵軸の前記被支持部から離れた箇所に連結され、他端部において、上下方向に延びる回転軸線回りの回転が許容された状態で前記車体に支持されたアームと、
そのアームを前記回転軸線回りに回転させる駆動源と
を有する(4)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、前輪が弧を描くような構成の前輪位置変更装置を具体化した態様である。本項の態様によれば、比較的簡便な構造で、前輪が弧を描くように構成することが可能である。本項の態様における「駆動源」は、電磁モータ等の電磁的なアクチュエータや、空気圧,油圧等の流体圧を利用したアクチュエータ等、種々のものを採用可能である。
(6)当該車両用ステアリングシステムが、
サンギヤとリングギヤとプラネタリギヤを有するプラネタリギヤ機構と、前記サンギヤを回転させる第1駆動源と、前記リングギヤを回転させる第2駆動源とを備え、
前記プラネタリギヤが、前記転舵軸の前記被支持部から離れた箇所においてその転舵軸に相対回転不能に連結されるように構成され、そのプラネタリギヤが、自転することにより前記前輪が転舵されるとともに、前記サンギヤの周りを公転することにより前記前輪の位置が変更されるように構成されることで、
当該車両用ステアリングシステムが、前記前輪転舵装置と前記前輪位置変更装置とを備えるものとされた(4)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様において、プラネタリギヤの自転の回転量と、サンギヤおよびリングギヤに対するプラネタリギヤの位置とは、サンギヤの回転量とリングギヤの回転量とによって定まることになる。つまり、サンギヤの回転量とリングギヤの回転量とを制御することで、前輪の転舵量と前輪の位置とを制御することが可能である。したがって、本項の態様は、サンギヤを回転させる第1駆動源と、リングギヤを回転させる第2駆動源との両者が、協働して、前輪の転舵量と前輪の位置とを変更する構成とされている。
(7)前記転舵軸の前記被支持部が、その転舵軸の上端部とされた(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、転舵軸がそれの上端部において車体に保持された態様である。本項の態様においては、転舵軸の上端部が車体に対して移動不能であるため、例えば、その転舵軸の上端部にステアリングシャフトをユニバーサルジョイント等を介して連結することで、ステアリング操作部材に加えられる運転者の操作力によって前輪を転舵させる構成の前輪転舵装置とすることが可能である。
請求可能発明の第1実施例である車両用ステアリングシステムが搭載された車両の概略側面図である。 図1に示す車両用ステアリングシステムが搭載された車両の概略平面図である。 図1に示す車両の前輪およびそれに対して設けられた位置変更装置および転舵装置を示す側面図である。 図3に示す前輪位置変更装置を示す斜視図である。 図3に示す前輪位置変更装置を示す平面図(図3におけるA−A断面)である。 第1実施例の車両用ステアリングシステムによる前輪の動きを示す平面図である。 車両の前輪を、旋回時においてその際の進行方向からの視点において示す図である。 請求可能発明の第2実施例である車両用ステアリングシステムを示す側面図である。 第2実施例の車両用ステアリングシステムによる前輪の動きを示す図である。
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、いくつかの実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1,2に、第1実施例の車両用ステアリングシステムが搭載された車両を示す。本車両は、菱形車輪配置の車両であり、次世代コミュータとして期待されている。本車両は、車体10と、それの前方部に設けられた前輪12Fと、その前輪12Fの後方において車体10の左部,右部にそれぞれ設けられた左輪14L,右輪14Rと、それら左輪14L,右輪14Rの後方に設けられた後輪12Rとを有している。当該車両の平面視を示す図2から解るように、前輪12F,後輪12Rは、車幅方向における中央に配設されている。なお、以下の説明において、前輪12F,後輪12Rの区別を要しない場合には、車輪12と総称し、左輪14L,右輪14Rの区別を要しない場合には、車輪14と総称することとする。前輪12F,後輪12R,左輪14L,右輪14Rに関係する構成要素,パラメータ等についても同様とする。
本車両では、前輪12F,後輪12Rが転舵輪とされており、左輪14L,右輪14Rは転舵輪とはされていない。また、左輪14L,右輪14Rが駆動輪(車両を駆動するために回転駆動される車輪)とされてはいるものの、前輪12F,後輪12Rは、駆動輪とはされていない。同様に、左輪14L,右輪14Rが制動輪(車両を制動するために回転が制動される車輪)とされてはいるものの、前輪12F,後輪12Rは、制動輪とはされていない。
本車両には、運転者が当該車両を操作するための操作部材として、3つの操作部材が設けられている。その1つが、車両に旋回動作を行わせるためのステアリング操作部材であるステアリングホイール20であり、もう1つが、車両を加速させるためのアクセル操作部材であるアクセルペダル22,さらにもう1つが、車両を減速させるためのブレーキ操作部材であるブレーキペダル24である。ちなみに、本車両は、前進ばかりでなく後退も可能であるが、本明細書が冗長となることを避けるべく、以下の説明では、前進についてのみ説明することとする。
本実施例のステアリングシステムは、前輪12Fに対応する部分に特徴を有するものであるため、その前輪12Fに関して説明する。図3に示すように、前輪12Fは、ホイール本体30と、タイヤ32とから構成されている。ホイール本体30は、1対の液圧式のショックアブソーバ34によって、左右から挟持されている(図7参照)。詳しく言えば、ホイール本体30のハブ部36に設けられたアクスル38が、1対のショックアブソーバ34の各々の下端部に設けられた軸受部40によって回転可能に保持されていることで、前輪12Fは回転可能とされているのである。
1対のショックアブソーバ34の各々の上端部は、車幅方向に延びる支持板42に固定されており、支持板42は、1対のショックアブソーバ34の上端部を繋ぐものとなっている。支持板42には、シャフト44の下端部が固定的に付設されており、そのシャフト44が、上方に延び、車体10に設けられた支持部46に支持されている。詳しく言えば、そのシャフト44は、それの上端部において電磁モータ50に同軸的にかつ回転可能に保持され、その電磁モータ50が、等速ジョイント52を介して支持部46に回転不能かつ傾動可能に支持されている。つまり、電磁モータ50が、シャフト44を軸線回りに回転させることで、前輪12Fは転舵される。したがって、その電磁モータ50を含んで前輪転舵装置54が構成され、電磁モータ50の作動が制御されることで、前輪12Fを任意の転舵角へと転舵するように構成されている。また、シャフト44と電磁モータ50とは、等速ジョイント52を支点に動かれるように構成されており、それらシャフト44と電磁モータ50とを含んで構成される軸が、転舵軸56として機能する。
1対のショックアブソーバ34の各々は、ロアチューブ60とアッパチューブ62とを有し、それらが相対移動可能とされていることで、伸縮可能とされている。ロアチューブ60には、下部リテーナ64が固定され、その下部リテーナ64と上部リテーナとして機能する支持板46とによって、1対のサスペンションスプリング66の各々が挟持されている。このような構成により、前輪12Fは、弾性的に上下に揺動可能とされている。つまり、1対のショックアブソーバ34,1対のサスペンションスプリング66,支持板32等を含んで、前輪12Fを回転可能に保持する前輪保持具が構成されている。
また、図4の斜視図にも示すように、シャフト44は、中間部において、2本のアーム70,72により保持されている。それらのうちの一方のアーム70は、通常時において、水平かつ前後方向(図3における左右方向)に延び、後方側の端部70a(以下、後端部70aという場合がある)が車体に10に支持され、前方側の端部70b(以下、前端部70bという場合がある)が、シャフト44を保持している。そして、そのアーム70は、後方側の端部70aを中心として、回転可能に車体10に支持されており、図5の平面図に示すように、前端部70bが水平面上に円弧(図5における二点鎖線)を描くように、動作可能となっている。アーム70の後端部70aには、電磁モータ74が配設されており、その電磁モータ74が発生させる力によって、アーム70が回転させられる。それにより、前輪12Fは、図6に示すように、弧を描くように動作することになるのである。
また、もう一本のアーム72は、概して前後方向に延び、後方側の端部においてボールジョイント76を介して車体10に回転可能かつ揺動可能に支持されている。そのアーム72は、ガイド穴78を有し、そのガイド穴78によってシャフト44を案内し、自身の延びる方向に沿った動きを許容するものとなっている。
上記のような構成から、本ステアリングシステムは、転舵軸56をそれの被支持部である等速ジョイント52を支点に動かすことで、平面視において前輪12Fの車体12に対する位置を変更する前輪位置変更装置80を備えるものとなっている。その前輪位置変更装置80は、2本のアーム70,72と、駆動源としての電磁モータ74とを含んで構成される。そして、その前輪位置変更装置80は、上述したように、前輪12Fが弧を描くように、転舵軸を動作させるものとなっており、前輪12Fの車体10に対する位置を、車幅方向および前後方向に変化させることが可能となっている。
次に、本ステアリングシステムの制御、具体的には、前輪転舵装置54と前輪位置変更装置80との制御について、簡単に説明する。それら前輪転舵装置54と前輪位置変更装置80とは、ステアリングホイール20の操作に基づいて、詳しくは、ステアリングホイール20の操作量である操作角θに基づいて制御される。まず、前輪12Fの目標となる転舵角δ*が、操作角θに基づいて決定される(δ*=f(θ))。なお、その目標転舵角δ*は、直進時の前輪12Fの転向角度位置に対する転向角である。そして、前輪12Fの転舵角が、その目標転舵角δ*となるように、電磁モータ50が制御される。
一方、前輪位置変更装置80は、前輪12Fを、転舵軸56がちょうど前後方向に延びている状態における位置である中立位置から旋回外側に移動させるように制御される。図5,6に示すように、右旋回時においては、左周りに、アーム70を回転させるべく、電磁モータ74が制御される。なお、そのアーム70の回転角φは、操作角θに応じて決定される(φ*=g(θ))。
菱形車輪配置車両は、前方に単一の車輪12Fしか配設されていないため、車両の重心位置(静止状態においては、車体の重心位置とほぼ同じ位置であると考えることができる)から前輪12Fと左輪14Lとを結ぶ直線までの距離,重心位置から前輪12Fと右輪14Rとを結ぶ直線までの距離が、重心位置から左輪14L,右輪14Rまでの車幅方向の距離より短く、特に、車両の斜め前方へ転倒しやすい。具体的には、例えば、制動旋回中に、車体10に斜め前方への力が作用すると、車両が転倒する可能性があるのである。本ステアリングシステムにおいては、車両の旋回中に、前輪12Fを旋回外側に移動させるため、車両の斜め前方への転倒が防止されることになる。
図7は、右旋回する際に、その旋回方向における車両の前方側からの視点において、前輪12Fを示す図である。この図からも分かるように、前輪12Fは、前輪位置変更装置80によって旋回外側に移動させられると、路面との垂線に対する前輪12Fの角度であるキャンバー角αも変更される。より詳しく言えば、前輪12Fは、旋回外側に移動させられると、上方側が旋回内側に向いて傾倒することになるのである。したがって、旋回中に車体10に作用する遠心力と重力との合力が、転舵軸56の方向に作用することになるため、本システムが搭載される車両は、旋回時における安定性に優れたものとなっている。
また、本ステアリングシステムは、その場旋回等の低速で車両を旋回させる場合には、前輪位置変更装置80により、アーム70を180°まで回転させるようになっている。それにより、前輪12Fは、図3に二点鎖線で示す位置に変更される。つまり、通常の走行時に比較して、ホイールベースが短くされ、旋回半径が小さくされるようになっている。逆に言えば、本ステアリングシステムによれば、通常の走行時において、車両のホイールベースが長くされ、車両の走行時の安定性が確保されることになるのである。
なお、上記実施例のステアリングシステムは、前輪転舵装置54が、ステアバイワイヤ型の装置とされていたが、転舵軸の上端部に、ステアリングシャフトをユニバーサルジョイント等を介して連結し、ステアリングホイール20の回転を転舵軸に直接伝達する構成とすることも可能である。また、上記実施例のステアリングシステムは、転舵軸56がそれの上端部において支持され、前輪位置変更装置80が、その転舵軸56の中間部を保持して転舵軸56を動かすように構成されていた。それに対して、転舵軸の上方側を、車体10の支持部46からさらに上方に延び出すようにし、前輪位置変更装置が、その転舵軸の上方に延び出した部分を保持して、転舵軸56を動かすように構成することも可能である。つまり、転舵軸は、それの上端部において車体10に支持されているものに限らず、それの中間部において支持されたものであってもよい。ちなみに、本ステアリングシステムが搭載された車両において、前後輪12は、制動輪とされていなかったが、それらも制動輪とされてもよい。また、左右輪14は、転舵輪とされていなかったが、それらも転舵輪とされてもよい。
図8,9に、第2実施例のステアリングシステムを示す。図8は、そのステアリングシステムの側面図であり、図9は、そのシステムが備える前輪位置変更装置の要部と、その前輪位置変更装置による前輪12Fの動きを示す概略図である。ただし、その図7において、前輪位置変更装置の要部については、断面図としている。本実施例のステアリングシステムは、前輪転舵装置および前輪位置変更装置を除き、第1実施例のシステムと略同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第1実施例のシステムと同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
本実施例のステアリングシステムにおいては、転舵軸100は、下端部において、前輪保持具を構成する支持板42に固定されており、上端部において、ボールジョイント102を介して車体10の支持部46に回転可能かつ揺動可能に支持されている。その転舵軸100は、それの中間部に、プラネタリギヤ機構110に連結されている。
そのプラネタリギヤ機構110は、3種のギヤである、サンギヤ112,リングギヤ114,4つのプラネタリギヤ116を含んで構成されている。サンギヤ112は、それの回転軸が、第1駆動源である電磁モータ120のモータ軸に連結され、その電磁モータ120によって回転させられる。サンギヤ112には、図9に示すように、周方向に4等配した位置の各々において、4つのプラネタリギヤ116の各々が噛合しており、それら4つのプラネタリギヤ116は、図示を省略するキャリアによって支持されている。また、リングギヤ114は、それの内周部に形成された内歯が、4つのプラネタリギヤ116と噛合する状態で支持されている。そのリングギヤ114には、それの外周部にも歯が形成されて、その外歯は、第2駆動源である電磁モータ122のモータ軸に連結されたギヤ124と噛合する構造とされている。
転舵軸100は、4つのプラネタリギヤ116のうちの1つのものに連結されている。詳しく言えば、そのプラネタリギヤ116と転舵軸100とは、等速ジョイント130を介して連結されており、それらの相対回転を禁止しつつ、プラネタリギヤ116に対する転舵軸100の傾きが許容される構造となっている。また、転舵軸100の外周面と、等速ジョイント130の内周面とには、スプラインが形成されており、転舵軸100は、等速ジョイント130に対して、軸方向に摺動可能とされている。
例えば、プラネタリギヤ機構110のサンギヤ112とリングギヤ114との一方を固定した状態で、他方を回転させれば、プラネタリギヤ116が、サンギヤ112の周りを公転することになる。つまり、転舵軸100が、ボールジョイント102を支点に動かされ、転舵軸100の下端部が周回させられること、つまり、前輪12Fが周回させられることになるのである。また、上記の場合において、プラネタリギヤ116は、サンギヤ112の周りを公転するのに伴って、自転することにもなる。つまり、転舵軸100が軸線回りに回転させられ、前輪12Fが転舵されることになるのである。そして、サンギヤ112の回転量とリングギヤ114の回転量との両者を調整することで、つまり、2つの電磁モータ120,122を制御することによって、前輪12Fを、任意の転舵角とするとともに、任意の位置に変更することが可能とされているのである。
本システムにおいては、転舵軸100は、それが連結されたプラネタリギヤ116が最も後方に位置する場合に、車体10に対して垂直になるように構成されている。なお、その状態における前輪12Fの位置を、図8に二点鎖線で示している。つまり、その状態において、車両のホイールベースは最も短くなり、逆に、転舵軸100が連結されたプラネタリギヤ116が、最も前方に位置する場合に、車両のホイールベースは最も長くなる。そのことを利用して、第1実施例のシステムと同様に、低速で旋回する場合には、前輪12Fを最も後方に位置させ、旋回半径を小さくするとともに、通常の走行時においては、車両のホイールベースを長くして、車両の走行時の安定性を確保することが可能とされている。
また、本ステアリングシステムにおいても、前輪12Fの位置を車幅方向に移動させることが可能であるため、第1実施例のシステムと同様に、車両の旋回時において、前輪12Fの位置を、旋回外側に移動させるとともに、前輪12Fのキャンバー角を変更することが可能となっている。それにより、本システムを搭載する車両の斜め前方への転倒を防止することが可能とされているのである。
10:車体 12F:前輪 12R:後輪 14L:左輪 14R:右輪 20:ステアリングホイール 30:ホイール本体 32:タイヤ 34:ショックアブソーバ 42:支持板 44:シャフト 46:支持部 50:電磁モータ(駆動源) 52:等速ジョイント(被支持部) 54:前輪転舵装置 56:転舵軸 70:アーム 72:アーム 74:電磁モータ 80:前輪位置変更装置 100:転舵軸 102:ボールジョイント(被支持部) 110:プラネタリギヤ機構 112:サンギヤ 114:リングギヤ 116:プラネタリギヤ 120:電磁モータ(第1駆動源) 122:電磁モータ(第2駆動源)

Claims (6)

  1. 自身の前方部に配置された単一の前輪と、その前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪とを有する車両に搭載されたステアリングシステムであって、
    前記前輪を回転可能に保持する前輪保持具と、
    上下方向に延び、下端部において、前記前輪保持具に固定され、その下端部より上方に設けられた被支持部において、前記車両の車体に支持された転舵軸と、
    前記転舵軸をそれの軸線回りに回転させることで、前記前輪を転舵させる前輪転舵装置と、
    前記転舵軸をそれの前記被支持部を支点に動かすことで、平面視において前記前輪の前記車体に対する位置を変更する前輪位置変更装置と
    を備えた車両用ステアリングシステム。
  2. 前記前輪位置変更装置が、
    前記前輪の車幅方向における位置が変化するように、前記転舵軸を動かすように構成された請求項1に記載の車両用ステアリングシステム。
  3. 前記前輪位置変更装置が、
    前記前輪の前後方向における位置が変化するように、前記転舵軸を動かすように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用ステアリングシステム。
  4. 前記前輪位置変更装置が、
    上方からの視点において前記前輪が弧を描くように、前記転舵軸を動かすように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用ステアリングシステム。
  5. 前記前輪位置変更装置が、
    前記転舵軸と交差する方向に延び、一端部において、その転舵軸の前記被支持部から離れた箇所に連結され、他端部において、上下方向に延びる回転軸線回りの回転が許容された状態で前記車体に支持されたアームと、
    そのアームを前記回転軸線回りに回転させる駆動源と
    を有する請求項4に記載の車両用ステアリングシステム。
  6. 当該車両用ステアリングシステムが、
    サンギヤとリングギヤとプラネタリギヤを有するプラネタリギヤ機構と、前記サンギヤを回転させる第1駆動源と、前記リングギヤを回転させる第2駆動源とを備え、
    前記プラネタリギヤが、前記転舵軸の前記被支持部から離れた箇所においてその転舵軸に相対回転不能に連結されるように構成され、そのプラネタリギヤが、自転することにより前記前輪が転舵されるとともに、前記サンギヤの周りを公転することにより前記前輪の位置が変更されるように構成されることで、
    当該車両用ステアリングシステムが、前記前輪転舵装置と前記前輪位置変更装置とを備えるものとされた請求項4に記載の車両用ステアリングシステム。
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