JP6382544B2 - 走行モードの切り替え制御方法及び車両 - Google Patents

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Description

この発明は、通常走行モードとその場回転等の特殊走行モードとの間で走行モードを切り替え可能としたインホイールモータを備えた車両の走行モードの切り替え制御方法、及びその切り替え制御方法を採用した車両に関する。
左右の車輪(以下、タイヤ、ホイール、ハブ、インホイールモータ等を含めて総合的に「車輪」と称する。)を結ぶステアリングリンク機構を用いて車輪を転舵するものに、アッカーマン・ジャントウ式と呼ばれる転舵機構がある。この転舵機構は、車両の回転時に、左右の車輪が同一回転中心をもつように、タイロッドとナックルアームを用いるものである。
この転舵機構として、例えば特許文献1に示す構成のものがある。この転舵機構は、タイロッドとナックルアームを用いる左右車輪のステアリングリンク機構を前輪側又は後輪側の少なくとも一方に備え、タイロッド長さ、左右のタイロッド間距離又は各車輪とナックルアームのなす角度のいずれかを変化させるアクチュエータを設けることで、通常走行、平行移動、小回りのすべての走行をスムーズに行い得るようにするとともに、応答性を高めている。
特許文献2に示す転舵機構は、前後輪の左右車輪間に配置され、軸心周りに回転可能なステアリングシャフトと、このステアリングシャフトを左右2分割した間に、分割されたステアリングシャフトの回転方向を正逆方向で切り替える正逆切り替え手段を備えている。この切り替え手段によって、舵角90度、横方向移動等を可能としている。
特許文献3には、前輪の転舵に応じてアクチュエータが作動して、後輪を転舵するようにした4輪転舵車両の技術について示されている。また、特許文献4には、左右車輪間を結ぶラックハウジングを前後方向に移動させることで、左右車輪のトー調整を行い、走行安定性を高めた転舵機構の技術について示されている。
一般的なアッカーマン・ジャントウ式のステアリングリンク機構によれば、通常走行時には、各車輪の回転ライン(車輪の幅方向中心線)から平面視垂直に延びた線が、車両の回転中心に集まるので、スムーズな走行ができる。しかし、車両の横方向移動(車両が前後方向を向いた状態での横方向への平行移動)を求める場合、車輪を前後方向に対して90度の方向に操舵することは、ステアリングリンクの長さや他部材との干渉から困難である。また、仮に、左右の車輪のうち一方の車輪を90度に操舵した場合でも、他方の車輪は一方の車輪と完全に平行にはならず、スムーズな走行が困難である。
また、この種の車両では、通常、主転舵車輪である前輪を車両の所定の進行方向に転舵し、従転舵車輪である後輪は、車両の前後方向と平行を保つように設計されている。このため、この車両の前輪を転舵し回転させたときに、前輪と後輪の回転中心が同一位置とならない。このため、低車速時には内輪差により後輪が回転円の内側に入る姿勢で車両が回転し、高車速時には遠心力により前輪が回転円の内側に入る姿勢で車両が回転することになる。すなわち、前輪を車両の進行方向である回転方向に転舵しても、車両の姿勢を回転方向に一致させ操向することができないという問題がある。そこで、前輪のみならず後輪も転舵することにより、走行性を向上させる4輪転舵機構(4輪転舵装置)を有する車両がある。
4輪転舵機構を有する車両(いわゆる4WS車)として、例えば、特許文献1に記載の技術では、車両の横方向移動、小回り等が可能である。しかし、タイロッドの長さ、左右タイロッド間の距離、あるいは、車輪とナックルアームのなす角を変化させるために多くのアクチュエータを備え、各アクチュエータの複雑な制御が必要となる。また、特許文献2に記載の技術は、その機構上、構造が複雑であって、ラックバーの回転で車輪を転舵するために、多数の歯車を使用している。このため、各歯車間にガタが発生しやすく、円滑に車輪の転舵をすることが困難である。
また、特許文献3の技術は、従来の4輪転舵機構の一例であって後輪転舵を可能としているが、この機構だけでは横方向移動は困難である。さらに、特許文献4の技術は、トー調整が可能である反面、車両の横方向移動、小回り等には対応できないという問題がある。
特許文献1から4に記載の転舵機構の諸問題を解決すべく、本願の発明者は、特許文献5に示す転舵機構を提案している。この転舵機構は、左右に独立して移動可能な2つのラックバーを持ち、前記ラックバーのそれぞれを左右いずれかの車輪にタイロッドを介して接続し、同期ギアボックスに保持される同期ギアにより、前記ラックバーが、同期ギアボックスに対して反対に移動可能としたものである。この2つのラックバーには、このラックバーに噛み合うピニオンギアがそれぞれ設けられ、両ピニオンギアの間には、両ピニオンギアの回転軸を結合又は分離可能とする連結機構が設けられている。この連結機構を結合すると、両ラックバーを一体として同方向に同距離移動する、すなわち左右の車輪を同方向に転舵することができる。その一方で、この連結機構を分離すると、両ラックバーを反対方向に同距離移動する、すなわち左右の車輪を逆方向に転舵することができる。
この転舵機構によると、簡便な構成で横方向移動、小回り等の特殊走行モードを実現することができる。例えば、通常の走行モードからその場回転、横方向移動の各モードに変更する際は、左右の前輪の前端同士が、及び、左右の後輪の後端同士がそれぞれ互いに接近するように各車輪を転舵する。
この転舵機構を備えた車両として、図5に示すように、車両の走行・転舵特性を高めるべく、キングピン軸P(操舵の回転軸)の延長線と地表面との接点P’と、タイヤTの接地中心T’とが一致しない(スクラブ半径S≠0)ように設計された懸架装置を備えたものがある。この懸架装置を備えた車両においては、通常走行モードと、その場回転、横方向走行等の特殊走行モードとの間の切り替えは、車輪をキングピン周りに転舵させることによって行われる。この転舵の方法として、ステアリングの回転動作又はその回転動作に連動して作動するアクチュエータ等を用いたラックバー動作手段にてラックバーを相対移動させる方法や(本文献の段落0017、0018参照)、インホイールモータに駆動力を発生させタイヤを回転させる方法(本文献の段落0025参照)を採用し得る。
特許文献5に記載の転舵機構を備えた車両において、走行モードを切り替える際には、ステアリングの回転動作による転舵方法、あるいは、インホイールモータの駆動力を用いた転舵方法のいずれの転舵方法においても、車輪をある程度回転させる必要がある。すなわち、走行モードの切り替えの際には、車輪にブレーキをかけることができない。例えば、車両を傾斜地に停車した状態で走行モードを切り替える際には、一旦ブレーキを緩める必要があり、走行モードの切り替え中(特に、通常走行モードから特殊走行モードへ走行モードを切り替える初期の段階)に、車両が傾斜に沿ってその自重で不用意に移動してしまう恐れがある。このため、スクラブ半径S≠0となるように設計した懸架装置を備えた車両に対し、走行モードの切り替えを安全かつ確実に行うことができる転舵機構の開発が望まれていた。
そこで、発明者は、特許文献6に記載のように、車両の走行モードの切り替えにおいて、前輪を転舵する際には後輪の回転を阻止する一方で、後輪を転舵する際には前輪の回転を阻止し、走行モードの切り替えの際に、車両が傾斜に沿ってその自重で不用意に移動してしまうのを防止する構成をさらに発明した。この構成によると、車両の走行モードの切り替えを安全かつ確実に行うことができる。
特開平04−262971号公報 特許第4635754号公報 実用新案登録第2600374号公報 特開2003−127876号公報 特願2013−158876(未公開) 特願2014−26582(未公開)
車両が傾斜地に停車している場合、高い方(傾斜上側)の車輪よりも、車両の低い方(傾斜下側)の車輪により大きな荷重が負荷される。例えば、図1に示すように車両の前方が上向きに傾斜している傾斜地に車両が停車している場合、前輪よりも後輪に大きな荷重がかかる。この状態で後輪を転舵しようとすると、車軸やサスペンションに大きな負荷がかかり、ステアリング装置や足回り品等の車両部品に不具合が生じる可能性がある。
そこで、この発明は、傾斜地に停車している車両の転舵の際に、ステアリング装置等の車両部品に大きな負荷がかからないようにすることを課題とする。
この課題を解決するために、この発明においては、左右の前輪又は後輪の少なくとも一方を所定方向に転舵するようにモード切替手段を操作するステップと、車体に搭載された傾斜角測定手段によって得られた前記車体の傾斜角度の測定結果が、予め定めた所定角度以上の場合に、前記操作を取り消し、あるいは、前記操作の受け付けを拒否するステップと、前記測定結果が、前記所定角度よりも小さい場合に、前記操作に従って転舵を行うステップと、を有する車両の走行モードの切り替え制御方法を構成した。
このようにすると、傾斜角度が所定角度を越えて、一部の車輪に大きな荷重がかかった状態では転舵動作が行なわれないため、転舵に伴って生じる車両部品の不具合を防止することができる。
前記構成においては、全ての車輪で転舵がなされ、前記所定方向が、左右の前輪で左右逆方向であり、左右の後輪で左右逆方向かつ前記左右の前輪と左右それぞれ逆方向である構成とすることができる。
このような車輪の挙動は、通常走行モードから、その場回転モードや横方向移動モード等の特殊走行モードに変更する際に生じる。これらの特殊モードへの転舵の際には、ステアリング装置やサスペンション等の車両部品に大きな負荷がかかることが多い。上記の走行モードの切り替え制御方法を特殊走行モードに適用することにより、車両部品の不具合防止効果が一層高まる。
前記各構成においては、前記傾斜角測定手段によって得られた前記車体の前後方向及び左右方向の傾斜角度の測定結果から、前記車両の傾斜方向を算出し、前記測定結果が、この傾斜方向ごとに予め定めた前記所定角度以上の場合に、前記操作を取り消し、あるいは、前記操作の受け付けを拒否するステップを適用する構成とすることができる。
例えば、車両が前後方向に加えて左右方向にも傾斜している場合には、前輪又は後輪の左右車輪のうち、低い方(傾斜下側)の一方の車輪に大きな荷重がかかっている場合がある。この状態で転舵操作を行うと、車両が単に前後方向に傾斜している場合と比較して、この低い方(傾斜下側)の車輪に不具合が生じる恐れがさらに高まる。このように、傾斜方向ごとに予め定めた前記所定角度と、その傾斜方向への実際の傾斜角度を比較して、実際の傾斜角度が前記所定角度以上の場合に転舵操作を行わないように走行モードの切り替え制御を行うことにより、この傾斜方向に対応して、車両部品の不具合を確実に防ぐことができる。
ここでいう「傾斜方向ごとに定めた所定角度」とは、例えば、車両の前側が低くなっている状態(左右方向は水平状態)を0度、車両の右側が低くなっている状態(前後方向は水平状態)を90度、車両の後側が低くなっている状態(左右方向は水平状態)を180度、車両の左側が低くなっている状態(前後方向は水平状態)を270度とし、この角度ごとに予め定めた所定角度のことを指す。この角度の刻みは、例えば、30度、45度等としたり、連続的(無段階)としたりすることもできる。
前記各構成においては、前記所定角度を5度とすることができる。この5度という角度は、一部の車輪(前輪又は後輪)への負荷の偏りが非常に顕著となる角度である。そこで、傾斜角度が5度以上となった場合に、走行モードの切り替えを中止するように制御することにより、車両部品の大きな不具合を防止することができる。
あるいは、前記所定角度を3度とすることもできる。この3度という角度は、一部の車輪への負荷の偏りが大きくなり始める角度である。そこで、傾斜角度が3度以上となった場合に、走行モードの切り替えを中止するように制御することにより、車両部品の不具合を未然に防止することができる。
この所定角度は、車両の構成(車両の形状、寸法、重量等)に対応して、適宜変更することができる。車両の構成によっては、傾斜時における前後輪、左右輪への負荷の偏りが変化するためである。
また、走行モードを切り替えるモード切替手段と、前記モード切替手段の操作によって、左右の前後輪を左右同方向又は逆方向に転舵可能なステアリング装置と、車体に搭載され、この車体の傾斜角度を測定する傾斜角測定手段と、前記傾斜角測定手段によって得られた測定結果が、傾斜方向ごとに予め定めた所定角度以上の場合に、前記転舵を行わない判断を行う制御装置と、を有する車両を構成することができる。
このように傾斜角測定手段によって、車両の傾斜角度を測定し、この傾斜角度に基づいて転舵の可否を判断することにより、上述したように、ステアリング装置等の車両部品の不具合を防止することができる。この傾斜角測定手段として、車両の前後方向及び左右方向への傾斜を同時に測定できる傾斜角センサを用いることにより、車両の傾斜方向に対応して、より適切な制御を行うことができる。
また、この車両においては、前記ステアリング装置が、左右車輪に接続され、その左右車輪を転舵するタイロッドと、前記左右車輪のタイロッドにそれぞれ接続された対のラックバーと、前記対のラックバーにそれぞれ噛み合い、一方のラックバーのラックの歯の並列方向に対する一方向への動きを他方のラックバーの他方向への動きに変換する同期ギアと、前記一方のラックバーに噛み合う第一ピニオンギアと、前記他方のラックバーに噛み合う第二ピニオンギアと、前記第一及び第二ピニオンギアの回転軸を結合又は分離する連結機構と、を有し、前記対のラックバーをそれぞれのラックバーのラックの歯の並列方向に沿って、左右反対方向へ移動させることが可能なラックバー動作手段と、を備えた構成とすることができる。
左右に独立して移動可能な対のラックバーに、それぞれタイロッドを介して車輪を接続したことにより、通常走行モードにおいては、対のラックバーを一体に固定して従来のステアリング操作と違和感なく作動させることができ、対のラックバーを別方向に移動することで、小回り、その場回転、横方向移動等、さまざまな特殊走行モードを実現することができる。また、分離、固定の切り替えが可能な対のラックバーを用いたことにより、複雑な機構や制御を必要とせず、低コスト化が可能となる。
この発明においては、左右の前輪又は後輪の少なくとも一方を所定方向に転舵するように操作するステップと、車体に搭載された傾斜角測定手段によって得られた前記車体の傾斜角度の測定結果が、予め定めた所定角度以上の場合に、前記操作を取り消し、あるいは、前記操作の受け付けを拒否するステップと、前記測定結果が、前記所定角度よりも小さい場合に、前記操作に従って転舵を行うステップと、を有する車両の走行モードの切り替え制御方法を構成した。
このように、車体の傾斜角度を測定して、この傾斜角度が予め定めた所定角度以上の場合に車輪の転舵操作が行われないようにすることにより、転舵に伴う車両部品の不具合を防止することができ、車両の走行モードの切り替えを安全かつ確実に行うことができる。
この発明に係る車両のイメージ図 この発明に係る車両を示す平面図 図2の車両においてその場回転モードを示す平面図 図2の車両において横方向移動(平行移動)モードを示す平面図 車輪の支持状態を示す断面図 ステアリング装置の外観を示す斜視図 ステアリング装置のラックバー動作手段の詳細を示し、(a)は分離状態の正面図、(b)は結合状態の正面図 ステアリング装置の内部を示す正面図 ステアリング装置の内部を示し、(a)は対のラックバーが最も近接した状態の平面図、(b)は対のラックバーが開いた状態の平面図 この発明に係る走行モードの切り替え制御方法のフローの一例を示す図 この発明に係る走行モードの切り替え制御方法のフローの他例を示す図
この発明に係る車両の全体構成及び走行モードについて、図面を用いて一通り説明した後に、その走行モードの切り替え制御方法について説明する。
(1)車両の全体構成について
図1に示す車両1は、2人乗車(横並び二人乗り)の超小型モビリティである。以下においては、この超小型モビリティを例に挙げて説明するが、この発明は、この超小型モビリティに限定されるものではなく、通常車両にも適用可能である。図2は車両1の転舵機構の駆動系及び制御経路を示す平面略図である。前輪の左右輪FL、FR及び後輪の左右輪RL、RRに、タイロッド12、22を介して、ステアリング装置10、20がそれぞれ連結されている。この車両1の各車輪wにはインホイールモータMが設けられていて、各車輪wを直接回転駆動することができる。前後輪には、それぞれステアリング装置10、20が設けられており、ステアリング2のステアリングシャフト3軸周りの回転操作、又はアクチュエータによってステアリング装置10、20を駆動することによって、左右の車輪wを同方向又は逆方向に転舵することができる。
この車両1には、ステアリング装置10、20等の制御を司る電子制御ユニット(ECU)70が設けられている。このECU70には、車両1の傾斜角を測定するための傾斜角測定手段71が接続される。この傾斜角測定手段71として、ジャイロセンサ、加速度センサ等の種々のセンサを採用することができる。図1に示すように、車両1が前後方向に傾斜(前方が高く傾斜)して停車している場合、前輪FL、FRと比較して後輪RL、RRの方により大きな荷重がかかる。この大きな荷重がかかった状態のまま車輪を転舵すると、この車輪に接続されたステアリング装置10、20等の車両部品に大きな力が作用し、この車両部品に不具合が生じる可能性がある。
そこで、後で詳しく説明するように(図10、11参照)、この傾斜角測定手段71が、予め定めた所定角度以上の傾斜を検知すると、そのことがECU70に伝えられ、運転者によるモード切替手段42の操作が取り消され、あるいは、モード切替手段42の操作の受け付けが拒否されるように、切り替え制御方法を構成している。これにより、車両1が所定角度以上傾斜した状態で走行モードの切り替えがなされることはなく、一部の車輪に大きな荷重が負荷された状態のまま転舵がなされて、車両部品に不具合が生じるのを防止することができる。
この実施形態においては、傾斜角測定手段71として、車両1の前後方向及び左右方向への傾斜角を同時に測定できる傾斜角センサを使用している。このように、傾斜角センサを用いることにより、前後方向及び左右方向への傾斜角から、車両1の傾斜方向を算出することができる。この傾斜方向ごとに予め定めた前記所定角度と、傾斜角測定手段71で測定したその傾斜方向への実際の傾斜角度を比較し、実際の傾斜角度が前記所定角度以上の場合に走行モードの切り替えを行わないように制御することにより、車両部品の不具合の発生を確実に防ぐことができる。なお、前後方向の傾斜のみ測定できればよいのであれば、前後方向の傾斜のみを測定できるタイプのセンサを採用してもよい。
この発明に係る車両1には、本願発明に係る走行モードの切り替え制御方法を実施できる限りにおいて、どのようなステアリング装置を用いても構わないが、図6から図9において詳しく説明するステアリング装置10、20を用いるのが特に好ましい。以下、このステアリング装置10、20を採用した車両1について、ステアリング装置10、20の構成及び作用、各走行モードにおける車輪wの挙動について詳しく説明する。
この車両1は、図2に示すように、前輪用のステアリング装置10及び後輪用のステアリング装置20を備えており、4つの車輪wをそれぞれ所望の向きに転舵することができる。この転舵は、前輪用のステアリング装置10をステアリング2の操作又はモータ等のアクチュエータによって、後輪用のステアリング装置20をモータ等のアクチュエータによって、それぞれ駆動することによって行われる。この転舵に際しては、ステアリング2の操作やアクチュエータの動作に加えて、各車輪wに設けたインホイールモータMの駆動力でタイヤTを回転させて、車輪wのキングピン軸P周りの転舵をアシストすることも可能である(図5参照)。なお、運転者によるステアリング2の操作やアクチュエータの作動をさせることなく、インホイールモータMの駆動力のみで転舵することもできる。
なお、このステアリング装置20を後輪のみに装備し、前輪には通常の一般的なステアリング装置を装備した構成、あるいは、前輪と後輪で異なる形式のステアリング装置を採用した構成とすることもできる。
前輪と後輪の各ステアリング装置10、20には、左右の車輪wを転舵するために2つのラックバーが備えられている。以下、前輪及び後輪共に、車両1の前後方向に対して左側の車輪wに接続されるラックバーを第一ラックバー53と、右側の車輪wに接続されるラックバーを第二ラックバー54と称する。この2つのラックバー53、54は互いに平行に伸びている。なお、図2において左向きの矢印が示している方向が車両の前方方向になる。この車両の走行モードを、図3に示すその場回転モード、図4に示す横方向移動モード等の特殊走行モードに変更することもできる。この特殊走行モードについては、後ほど詳しく説明する。なお、各図中に記載の矢印は、図2中に記載の矢印と同様、車両1の前方方向を示している。
前輪又は後輪の左右車輪wには、それぞれタイロッド12、22を介して各ラックバー53、54の接続用部材11、21が接続されている。タイロッド12、22と車輪wとの間には、適宜ナックルアーム等の各種部材が介在する。
図5は、インホイールモータMが収容された車輪wとタイロッド12、22との接続状態を示す。すべての車輪wは、それぞれ車両のフレームに支持されたアッパーアームUAとロアアームLAの先端にそれぞれ備えられたボールジョイントBJの中心線を結んだキングピン軸Pを中心軸として、転舵が可能となっている。インホイールモータMは、車体内側から車輪wに向かって、モータ部101、減速機102、車輪用軸受103が順番に直列に配置されている。本図中に示すように、キングピン軸P(操舵の回転軸)の地上との接点をP’とタイヤTの接地中心をT’としたときに、両者の位置が一致していないこと(スクラブ半径S≠0であること)を条件として、車輪wに設けたインホイールモータMの駆動力でタイヤTを回転させて、車輪wのキングピン軸P周りの転舵をアシストすることができる。
第一ラックバー53と第二ラックバー54は、図6に示すように、各ステアリング装置10、20において、車両1の直進方向(前後方向)に対して左右方向に伸びるラックケース(ステアリングシリンダ)50内に収容されている。ラックケース50は車両1の図示しないフレーム(シャーシ)に支持されている。
ラックケース50の車両1への取付けは、例えば、ラックケース50に複数設けられたフランジ部50aを介して、車両1のフレームに直接又は間接的にネジ固定とすることができる。
第一ラックバー53と第二ラックバー54は、ラックケース50内を車両1の直進方向に対して左右同方向に同距離だけ同時に移動可能である。この動作は、運転者が行うステアリング2の操作に基づく、通常転舵用アクチュエータ31(図2参照)の動作によって行われる。この動作により、通常走行時、左右車輪wを左右同方向に同時に転舵させることができる。
図7に示すピニオン軸61は、ステアリングシャフト3(図2参照)、もしくは、ステアリング2の回転動作によって作動するモータ等のアクチュエータ31(図2参照)に接続される。このピニオン軸61には、一体もしくは一体に回転可能に第一ピニオンギア62が結合されるとともに、この第一ピニオンギア62と同軸に第二ピニオンギア65が設けられている。第一ピニオンギア62は第一ラックバー53と、第二ピニオンギア65は第二ラックバー54とそれぞれ噛み合っている。
第一ピニオンギア62と第二ピニオンギア65の間には、両ピニオンギア62、65を回転方向に結合又は分離する連結機構63が設けられている。図7(a)は分離した状態、図7(b)は結合した状態を示している。
ステアリング装置10、20は、図8に示すように、それぞれラックバー動作手段60を備えている。ラックバー動作手段60は、車両1の直進方向に対する左右方向、すなわち、ラックの伸縮する方向(ラックの歯の並列する方向)に沿って、第一ラックバー53と第二ラックバー54を互いに反対方向(相反する方向)へ同距離だけ同時に移動させる機能を有する。
ラックバー動作手段60は、図8に示すように、対のラックバー53、54の互いに対向するラックギア、すなわち、第一ラックバー53の同期用ラックギア53aと第二ラックバー54の同期用ラックギア54aにそれぞれ噛み合う第一同期ギア55を備える。
第一同期ギア55は、ラックバー53、54のラックの歯の並列方向に沿って一定の間隔で並列する三つのギア55a、55b、55cからなる。図7で示した連結機構63による第一及び第二ピニオンギア62、65の連結を分離状態としつつ、第一ラックバー53をラックバー動作手段60から入力された駆動力によって、そのラックの歯の並列方向に対して一方向へ動かすと、その動きが第二ラックバー54の他方向への動きに変換される。
図8、図9に示すように、第一同期ギア55の隣り合うギア55a、55b間、ギア55b、55c間には、それぞれ、第二同期ギア56を構成するギア56a、56bが配置されている。第二同期ギア56は、第一ラックバー53の同期用ラックギア53aや第二ラックバー54の同期用ラックギア54aには噛み合わず、第一同期ギア55にのみ噛み合っている。第二同期ギア56は、第一同期ギア55の3つのギア55a、55b、55cを、同方向に同角度だけ動かすためのものである。この第二同期ギア56によって、第一ラックバー53と第二ラックバー54は、スムーズに相対移動することが可能となる。
また、図7に示すように、第一ラックバー53と第二ラックバー54は、同期用ラックギア53a、54aとは別に、それぞれ転舵用ラックギア53b、54bを備えている。
第一ラックバー53と第二ラックバー54は、それぞれ、別体で形成された同期用ラックギア53a、54aと前記転舵用ラックギア53b、54bを、ボルト軸等の固定手段で一体に固定したものとしてよい。
転舵用ラックギア53b、54bは、各ラックバー53、54を、車両1のフレームに対して、前記ラックの歯の並列方向に沿って移動させるための駆動力の入力手段として機能する。
図9(a)に示す状態(直進状態)から、図9(b)に示す状態(後で説明する横方向移動モードの状態)へと走行モードを変更するためには、連結機構63を分離した後、ラックバー動作手段60からの駆動力の入力により、第一ラックバー53を一方向に移動する。すると、第二ラックバー54には、第一ラックバー53と第二ラックバー54の両方に噛み合っている第一同期ギア55を介してその力が伝達され、この第二ラックバー54は、第一ラックバー53と逆方向に同距離だけ同時に移動する。
直進状態においては(図9(a)参照)、直進状態のタイヤ(ラックバー)位置で連結機構63が噛み合うことで、第一ピニオンギア62と第二ピニオンギア65が回転固定される。そして、ステアリング2を回転させてステアリングシャフト3を回転すると、第一ラックバー53と第二ラックバー54は、フレームに取り付けられたラックケース50内を左右同方向に同距離だけ同時に移動する。
また、横方向移動モードの状態においては(図9(b)参照)、連結機構63が分離され第一ラックバー53と第二ラックバー54は、同期ギアボックス66内の同期ギア55にそれぞれ噛合っている。この同期ギア55の噛合によって、それぞれのラックバー53、54は、同期ギアボックス66に対して逆方向に同距離移動する。
次に、ラックバー動作手段60の作用について説明する。
前輪のステアリング装置10のラックバー動作手段60は、運転者が行うステアリング2の回転動作に伴って直接回転する第一回転軸(ピニオンギア軸)61を備える(図7参照)。このように、運転者が行うステアリング2の回転動作に伴って第一回転軸61を直接回転させる代わりに、運転者が行うステアリング2の回転動作に連動して動作するモード切替用アクチュエータ32の駆動力によって、又は、車両1が備えるモード切替手段42の操作に連動して動作するモード切替用アクチュエータ32の駆動力によって、第一回転軸61側へ回転が伝達されるように切り替えることもできる。
後輪のステアリング装置20のラックバー動作手段60は、同じく、運転者が行うステアリング2の回転動作に連動して動作するモード切替用アクチュエータ32の駆動力によって、又は、車両1が備えるモード切替手段42の操作に連動して動作するモード切替用アクチュエータ32の駆動力によって回転する第一回転軸61と、その第一回転軸61に一体回転可能に取り付けられる第一ピニオンギア62とを備える。モード切替用アクチュエータ32の動作軸からステアリングシャフト3を介して、第一回転軸61側へ回転が伝達されるようになっている(図7参照)。
ラックバー動作手段60は、第一回転軸61と一体もしくは結合された第一ピニオンギア62と、第一回転軸61と同軸上に配置される第二回転軸64と、その第二回転軸64に一体回転可能に取り付けられた第二ピニオンギア65を備える。
図6は、ステアリング装置10、20の全体を示す外観斜視図である。前部カバー52と後部カバー51との間に、第一ラックバー53や第二ラックバー54が収容されている。なお、図示されていないが、タイロッド12、22取り付け部からラックケース50(ケース前部51、ケース後部52)にかけて、可動部への異物の侵入を防止するためのブーツが備えられている。第一回転軸61は、モード切替用アクチュエータ32の動作軸に、図示しないステアリングジョイントを介して接続される。
第一ピニオンギア62は、図7に示すように、第一ラックバー53の転舵用ラックギア53bに噛み合い、第二ピニオンギア65は第二ラックバー54の転舵用ラックギア54bに噛み合うようになっている。
第一ピニオンギア62と第二ピニオンギア65との間には、互いに結合及び分離が可能な連結機構63が設けられている。この連結機構63は、第一回転軸61と第二回転軸64とを相対回転可能な状態(分離状態)と相対回転不能な状態(結合状態)とに切り替える機能を有する。
連結機構63は、図7に示すように、第二回転軸64側の固定部63bと、第一回転軸61側の移動部63aを備える。移動部63aは、図示しないバネ等の弾性部材によって固定部63b側へ押し付けられ、連結機構63の固定部63b側の凹部63dに、移動部63a側の凸部63cが結合することで、両回転軸61、64が一体で回転可能となっている。なお、凹凸の形成部位を反対にして、固定部63b側に凸部63cを、移動部63a側に凹部63dを設けてもよい。
図示しないプッシュソレノイドなどの駆動源からの外部入力によって、連結機構63の固定部63bに対して、移動部63aを軸方向に移動させ、固定部63bと移動部63aとの連結を分離することで、第一回転軸61と第二回転軸64は独立して回転する。すなわち、第一ピニオンギア62と第二ピニオンギア65は、それぞれが独立して回転可能となる(前記分離状態)。図7(a)は、連結機構63の分離状態を示し、図7(b)はその結合状態を示している。
連結機構63の分離により第一ピニオンギア62、第二ピニオンギア65が相対回転可能なとき、第一ピニオンギア62は第一ラックバー53に噛合しており、第二ピニオンギア65は第二ラックバー54に噛合している。さらに、第一ラックバー53と第二ラックバー54は、第一同期ギア55によって噛合されている。このとき、第一ピニオンギア62に回転力を入力すると、第一ラックバー53がラックの歯の並列方向、すなわち、車両の左右方向に沿って横方向(一方向)へ移動する。第一ラックバー53が横方向に移動すると、第一同期ギア55が回転し、第二ラックバー54が第一ラックバー53と反対方向(他方向)へ同距離だけ同時に移動する。このとき、第二ピニオンギア65は第二ラックバー54の移動により自由に回転している。
このように、第一ピニオンギア62と第二ピニオンギア65とを連結機構63により結合状態又は分離状態に切り替え自在とすることで、対のラックバー53、54が、一体に左右方向へ動く状態と、別々に反対方向へ動く状態との切り替えを容易に行うことが可能となる。
すなわち、連結機構63を結合して、対のラックバー53、54が一体に左右方向へ動く状態とした上で、運転者がステアリング2を操作することにより、左右車輪wをキングピン軸P(図5参照)周りに同方向へ同時に転舵させることができる。なお、このときは、第一ラックバー53と第二ラックバー54が一体に動くため、第一同期ギア55は回転しない。
また、連結機構63を分離して、対のラックバー53、54が別々に反対方向へ動く状態とした上で、運転者がステアリング2を操作することにより、左右車輪wをキングピン軸P(図5参照)周りに逆方向へ、すなわち、互いに相反する方向へ同時に転舵させることができる。
モード切り替え時には、モード切替用アクチュエータ32(図2参照)の駆動力が、ピニオンギア62、65の回転を通じてそれぞれのラックバー53、54に入力されるようになっている。なお、モード切替用アクチュエータ32の駆動力がピニオンギア62の回転を通じてそれぞれのラックバー53、54に入力される際は、そのステアリングシャフト3の回転がステアリング2に伝達されないようにしてもよいし、その伝達を許容するようにしてもよい。
さらに、モード切替用アクチュエータ32の役割を、通常転舵用アクチュエータ31が兼ねることも可能である。すなわち、通常転舵用アクチュエータ31が、モード切り替え時において、ステアリングシャフト3を介して第一回転軸61に回転を入力するようにしてもよい。また、モード切替用アクチュエータ32の役割を、各車輪に設けられたインホイールモータMの駆動力によって代用することもできる。
(2)車両の走行モードについて
以下、上記項目(1)において説明した車両1の主な走行モードについて説明する。
(通常走行モード)
図2に示す直進状態の車輪位置で、前輪のステアリング装置10の第一ラックバー53と第二ラックバー54を一体移動可能な状態、つまり連結機構63が結合した状態(図7(b)参照)とする。この状態でステアリング2を操作すると、ステアリング装置10のラックケース50内で第一ラックバー53と第二ラックバー54が一体になって左右方向に移動する。
ステアリング装置10の第一ラックバー53が、通常転舵用アクチュエータ31の駆動力又はステアリング2の操作によって、左右一方向に動くことで、第二ラックバー54も一体に同方向に同距離動いて、前輪の左右車輪wが同方向に所定の角度だけ転舵される。すなわち、2つのラックバー53、54を完全に一体固定することで、通常の車両と同等の走行が可能となり、運転者のステアリング2の操作により、直進、右折、左折等の各場面に応じた必要な転舵を自在に行うことができる。
(その場回転モード)
その場回転モードにおける各車輪の転舵状態を図3に示す。連結機構63が分離されることで(図7(a)参照)、第一ラックバー53と第二ラックバー54は別々に動作可能となる。このとき、モード切替用アクチュエータ32から駆動力が第一ピニオンギア62に入力されて、第一ラックバー53と第二ラックバー54は互いに相反する方向に同距離移動する。すなわち、第一ラックバー53と第二ラックバー54との間に第一同期ギア55が介在することによって、第一ラックバー53が左右方向一方向へ移動すれば、第二ラックバー54は他方向へ移動する。
第一ラックバー53と第二ラックバー54を互いに逆方向に移動させ、図3に示すように、前後4つの車輪wすべての中心軸がほぼ車両中心を向く位置で、連結機構63を結合固定させる。4つの車輪wすべての中心軸がほぼ車両中心を向いているため、それぞれの車輪wに備えられたインホイールモータMの駆動力によって、車両中心がその場所から移動しない状態(又はほぼ移動しない状態)を維持しながら車両1の向きを変える、いわゆるその場回転が可能となる。
(横方向移動モード)
横方向移動モードにおける各車輪の転舵状態を図4に示す。その場回転モードと同様に、連結機構63を分離し(図7(a)参照)、前後4つの車輪wすべてが直進方向に対して90度の方向(車両の直進方向に対する左右方向)へ向くように、モード切替用アクチュエータ32から第一ピニオンギア62への回転の入力によって、ステアリング装置10、20内の第一ラックバー53と第二ラックバー54を反対方向へ移動させる。そして、車輪wが前記90度となった位置で連結機構63を結合させて(図7(b)参照)、対のラックバー53、54を固定する。
このように連結機構63を結合させた状態で、ステアリング装置10、20内の第一ラックバー53と第二ラックバー54を、通常転舵用アクチュエータ31の駆動力又はステアリング2の操作によって、直進方向に対して一体に左右方向へ移動させることで、車輪wの向き(タイヤ角度)を微調整することが可能となる。
図4は、横方向移動モードでの前後輪のステアリング装置10、20の対のラックバー53、54の位置関係と、車輪wの向きを示す。その場回転モード時に比べて、さらに、対のラックバー53、54が外側に張り出しており、タイロッド12、22の車輪wへの接続部が、車両の幅方向に対して最も外側に位置している。この横方向移動モードにおいても、通常転舵用アクチュエータ31の駆動力又はステアリング2の操作によって、車輪wの向き(タイヤ角度)を微調整することが可能である。
上記の各モードの切り替えは、運転者が運転室に設けられたモード切替手段42を操作することによって行うことができる。
(3)走行モードの切り替え制御方法について
図1に示したように、傾斜角度θの傾斜地に停車した状態の車両1において、通常走行モードと、その場回転や横方向移動等の特殊走行モードとの間の切り替えを行うための切り替え制御方法のフローについて説明する。
この切り替え制御方法では、図10にそのフローの一例を示すように、まず、運転者が、運転席の近傍に設けられたモード切替手段42を操作する(S1)。次に、傾斜角測定手段71によって、傾斜角度が測定される(S2)。さらに、測定された傾斜角度が予め定めた所定角度以上(例えば5度以上)かどうかについてECU70で判断される(S3)。この傾斜角度が所定角度以上の場合(図10中のYESの矢印参照)、運転者が行なったモード切替手段42の操作は取り消される(S4)。このように、モード切替操作を取り消すことによって、図1に示したように、後輪に大きな負荷がかかった状態のまま車輪wの転舵がなされて、後輪のステアリング装置20等の車両部品に不具合が生じるのを防止することができる。その一方で、この傾斜角度が所定角度よりも小さい場合(図10中のNOの矢印参照)、モード切替手段の操作に基づいて、走行モードの切り替えが実行される(S5)。
この切り替え制御方法のフローの他例を図11に示す。このフローにおいては、まず、傾斜角測定手段71によって、傾斜角度が測定される(S6)。次に、測定された傾斜角度が予め定めた所定角度以上(例えば5度以上)かどうかについてECU70で判断される(S7)。この傾斜角度が所定角度以上の場合(図11中のYESの矢印参照)、運転者がモード切替手段の操作を行っても、その操作の受け付けが拒否される(S8)。このように、モード切替操作の受け付けを拒否することによって、図1に示したように、後輪に大きな負荷がかかった状態のまま車輪wの転舵がなされて、後輪のステアリング装置20等の車両部品に不具合が生じるのを防止することができる。その一方で、この傾斜角度が所定角度よりも小さい場合(図11中のNOの矢印参照)、運転者によるモード切替手段の操作を受け付けて(S9)、走行モードの切り替えが実行される(S10)。
図10及び図11に示すフローは、車両1が前後方向に傾斜している場合だけでなく、前後方向に加えて左右方向に傾斜している場合にも適用できる。例えば、車両1が前後方向に加えて左右方向にも傾斜している場合には、前輪又は後輪の左右車輪のうち、低い方(傾斜下側)の一方の車輪wに大きな荷重がかかっている場合がある。この状態で転舵操作を行うと、車両1が単に前後方向に傾斜している場合と比較して、この低い方(傾斜下側)の車輪wに不具合が生じる恐れがさらに高まる。このように、傾斜方向ごとに予め定めた前記所定角度と、その傾斜方向への実際の傾斜角度を比較して、実際の傾斜角度が前記所定角度以上の場合に転舵操作を行わないように走行モードの切り替え制御を行うことにより、この傾斜方向に対応して、車両部品の不具合を確実に防ぐことができる。
これらの切り替え制御は、サイドブレーキをかけて車両1が動かない状態とした場合でも必要である。サイドブレーキをかけることにより、車両1の自重により、モード切替中に車両1が不用意に動くのは防止できるものの、一部の車輪に大きな荷重がかかって、車両部品の不具合が生じ得るためである。
上記の車両1の全体構成、走行モード、及び走行モードのモード切り替え制御方法はあくまでも一例であって、傾斜地に停車している車両1の転舵の際に、ステアリング装置10、20等の車両部品に大きな負荷がかからないようにする、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、その全体構成やモード切り替え制御方法の手順は適宜変更することが許容される。
1 車両
10、20 ステアリング装置
12、22 タイロッド
42 モード切替手段
53、54 ラックバー
55 同期ギア
60 ラックバー動作手段
62 第一ピニオンギア
63 連結機構
65 第二ピニオンギア
70 制御装置(電子制御ユニット(ECU))
71 傾斜角測定手段
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪
w 車輪

Claims (7)

  1. 走行モードを切り替えるモード切替手段(42)と、
    前記モード切替手段(42)の操作によって、左右の前後輪(FL、FR、RL、RR)を左右同方向又は逆方向に転舵可能なステアリング装置(10、20)と、
    車体に搭載され、この車体の傾斜角度を測定する傾斜角測定手段(71)と、
    を備え、
    前記ステアリング装置(10、20)が、
    左右車輪(w)に接続され、その左右車輪(w)を転舵するタイロッド(12、22)と、
    前記左右車輪(w)のタイロッド(12、22)にそれぞれ接続された対のラックバー(53、54)と、
    前記対のラックバー(53、54)にそれぞれ噛み合い、一方のラックバー(53)のラックの歯の並列方向に対する一方向への動きを他方のラックバー(54)の他方向への動きに変換する同期ギア(55)と、
    を有する車両の走行モードの切り替え制御方法において、
    前記対のラックバー(53、54)が前記同期ギア(55)と常に噛み合っており、
    左右の前輪(FL、FR)又は後輪(RL、RR)の少なくとも一方を所定方向に転舵するように前記モード切替手段(42)を操作するステップと、
    前記傾斜角測定手段(71)によって得られた前記車体の傾斜角度の測定結果が、予め定めた所定角度以上の場合に、前記操作を取り消し、あるいは、前記操作の受け付けを拒否するステップと、
    前記測定結果が、前記所定角度よりも小さい場合に、前記操作に従って転舵を行うステップと、
    を有する車両(1)の走行モードの切り替え制御方法。
  2. 全ての車輪(w)で転舵がなされ、前記所定方向が、左右の前輪(FL、FR)で左右逆方向であり、左右の後輪(RL、RR)で左右逆方向かつ前記左右の前輪(FL、FR)と左右それぞれ逆方向である請求項1に記載の車両の走行モードの切り替え制御方法。
  3. 前記傾斜角測定手段(71)によって得られた前記車体(1)の前後方向及び左右方向の傾斜角度の測定結果から、前記車両(1)の傾斜方向を算出し、前記測定結果が、この傾斜方向ごとに予め定めた前記所定角度以上の場合に、前記操作を取り消し、あるいは、前記操作の受け付けを拒否するステップを適用する請求項1又は2に記載の車両の走行モードの切り替え制御方法。
  4. 前記所定角度が5度である請求項1から3のいずれか1項に記載の走行モードの切り替え制御方法。
  5. 前記所定角度が3度である請求項1から3のいずれか1項に記載の走行モードの切り替え制御方法。
  6. 走行モードを切り替えるモード切替手段(42)と、
    前記モード切替手段(42)の操作によって、左右の前後輪(FL、FR、RL、RR)を左右同方向又は逆方向に転舵可能なステアリング装置(10、20)と、
    車体に搭載され、この車体の傾斜角度を測定する傾斜角測定手段(71)と、
    前記傾斜角測定手段(71)によって得られた測定結果が、傾斜方向ごとに予め定めた所定角度以上の場合に、前記転舵を行わない判断を行う制御装置(70)と、
    を有し、
    前記ステアリング装置(10、20)が、
    左右車輪(w)に接続され、その左右車輪(w)を転舵するタイロッド(12、22)と、
    前記左右車輪(w)のタイロッド(12、22)にそれぞれ接続された対のラックバー(53、54)と、
    前記対のラックバー(53、54)にそれぞれ噛み合い、一方のラックバー(53)のラックの歯の並列方向に対する一方向への動きを他方のラックバー(54)の他方向への動きに変換する、前記対のラックバー(53、54)と常に噛み合う同期ギア(55)と、
    を備えた車両。
  7. 記一方のラックバー(53)に噛み合う第一ピニオンギア(62)と、前記他方のラックバー(54)に噛み合う第二ピニオンギア(65)と、前記第一及び第二ピニオンギア(62、65)の回転軸(61、64)を結合又は分離する連結機構(63)と、を有し、前記対のラックバー(53、54)をそれぞれのラックバー(53、54)のラックの歯の並列方向に沿って、左右反対方向へ移動させることが可能なラックバー動作手段(60)を備えた請求項6に記載の車両。
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