JP5426907B2 - 鉄骨柱の固定構造 - Google Patents

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Description

本発明は、納まりよく鉄骨柱を基礎上面に固定しうる鉄骨柱の固定構造に関する。
例えば、鉄骨軸組構造の家屋等にあっては、図6に示されるように、断面略矩形のパイプ状をなす鉄骨柱aが基礎bの上面に固定される。従来、この種の固定構造としては、鉄骨柱aの下端に、基礎bの上面に沿って略水平にのびかつ鉄骨柱aの両外側に張り出すはみ出し部c1を有する板状の取付プレートcを予め溶着しておき、このはみ出し部c1に設けた開口部fに、基礎bから突出するアンカーボルトdを挿入してナット固定するものが知られている。関連する技術としては、次のものがある。
特公昭56−30425号公報
しかしながら、従来の固定構造では、アンカーボルトdやナットが柱の両外側にはみ出すため、これらが邪魔になって他の部材の固定が妨げられるなど納まりが悪いという問題があった。
また、アンカーボルトdの十分な埋着強度を確保するため、アンカーボルトdは、基礎bの端部beから所定の距離Kを隔てて設ける必要がある。このため、上記のような取付プレートcのはみ出し部c1を用いた固定構造では、鉄骨柱aの位置を基礎bの端部beに近づけて固定するには限界がある。このため、間取り等のレイアウトが制約されるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、鉄骨柱を、アンカーボルト及びナットを収納しうる略箱体状のボックス金物を介して基礎の上面に固定することを基本として、柱の外部にアンカーボルトやナットがはみ出すのを防止し、仕上げ材などの納まり性を向上させ得る鉄骨柱の固定構造を提供することを目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、鉄骨柱を基礎に固定するための鉄骨柱の固定構造であって、前記鉄骨柱の下端が、略箱体状のボックス金物を介して基礎の上面に固定され、前記ボックス金物は、前記鉄骨柱の下端に固着された上板と、前記柱断面の投影領域内に前記基礎の上面から突設されたアンカーボルトが挿入される貫通孔を有する底板と、該底板と前記上板との間を継ぎかつ四周の少なくとも一つの面を開口した側板部とを含むとともに、前記鉄骨柱は、基礎上に近接して並設された一対からなるとともに、各前記鉄骨柱の前記ボックス金物の前記両側板部間が補強横材で連結され、前記補強横材は、水平方向にのびる溝型鋼と、その両端に固着される前記側板部に沿った受圧面を有する端部プレートとを含み、前記底板が前記ボックス金物内部のナットで前記アンカーボルトに固定されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記側板部は、ボルトを挿通可能な透孔が形成され、前記端部プレートは、前記ボルトを挿通可能な透孔を有する請求項1記載の鉄骨柱の固定構造である。
また請求項3記載の発明は、前記一対の鉄骨柱の一方は、基礎の端部に近接して固定される請求項1又は2記載の鉄骨柱の固定構造である。
また請求項4記載の発明は、前記一対の鉄骨柱は、その間に斜材が架け渡された耐力フレームの一部を構成する請求項1乃至のいずれかに記載の鉄骨柱の固定構造である。
本願請求項1に記載された発明では、鉄骨柱の下端が、略箱体状のボックス金物を介して基礎に固定される。ボックス金物は、鉄骨柱の下端に固着された上板と、前記鉄骨柱の柱断面の投影領域内に前記基礎の上面から突設されたアンカーボルトが挿入される貫通孔を有する底板と、該底板と前記上板との間を継ぎかつ四周の少なくとも一つの面を開口した側板部とを含むとともに、前記底板が、ボックス金物内部に位置するナットで前記アンカーボルトに固定される。
従って、本発明の固定構造によれば、鉄骨柱を基礎に固定するためのアンカーボルト及びナットをボックス金物が柱の両外側に外部にはみ出すことがないので、これらが邪魔になって他の部材の固定が妨げられることがなく、仕上げ材などを納まり良く配置できる。また、例えば、底板の貫通孔を柱断面の中心に設けたときには、1本のみのアンカーボルトにて鉄骨柱を安定して固定することも可能になり、コスト及び施工工数を削減できる。また、アンカーボルト及びナットを、ボックス金物内部かつ柱断面投影領域内に納めることができるので、鉄骨柱を基礎の端部側により近づけて配置でき、ひいてはレイアウトの自由度を高め得る。
また、前記鉄骨柱は、基礎上に近接して並設された一対からなるとともに、各鉄骨柱の前記ボックス金物間が基礎から離間した補強横材で連結される。このような態様では、一本の鉄骨柱に大きな水平力が作用した場合でも、該水平力を、基礎とは独立した補強横材を介して他方の鉄骨柱に分散させ、相互に水平力を分担することができる。従って、アンカーボルトの抜けやその埋着部分のコンクリート割れ等を効果的に防止し耐久性を向上させることができる。このような作用は、例えば、請求項3記載の発明のように、一対の鉄骨柱の一方を、基礎の端部に近接して固定した場合、該端部側のアンカーボルトへの水平力の集中を効果的に防ぎ、耐久性をより一層向上させることができる。
また、請求項4記載の発明のように、前記一対の鉄骨柱は、その間に斜材が架け渡された耐力フレームの一部として好適に採用することができる。
本実施形態の鉄骨柱の固定構造を示す側面図である。 図1のA−A断面図である。 その斜視図である。 本発明の他の実施形態の側面図である。 その要部拡大図である。 従来の鉄骨柱の固定構造を説明する側面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本発明の鉄骨柱の固定構造が鉄骨軸組構造の規格化住宅に適用された実施形態が示されている。本実施形態の固定構造は、鉄骨柱2を基礎3に固定するためのものであって、鉄骨柱2の下端2aが、略箱体状のボックス金物4を介して基礎3の上面に固定される。
前記鉄骨柱2は、断面が略正方形のパイプ状をなし、垂直方向にのびている。特に限定されるものではないが、前記鉄骨柱2には、例えば肉厚tが2〜4mm程度の70〜100mm角材が好適に採用される。材料については、例えばSS400等の一般構造用圧延鋼材などが慣例に従って用いられる。なお、鉄骨柱2は、通し柱の他、各階内だけを上下にのびる管柱又は耐力フレーム(サブフレーム)の竪材などを含む概念である。
前記基礎3は、例えば壁面に沿って連続して設けられたコンクリートで作られた布基礎からなり、その柱固定位置には、予め基礎上面から突出するアンカーボルト5が所定の間隔で固設されている。なお、本明細書において、コンクリート基礎3の上面に、土台が一体に固定される場合には、該土台とコンクリート基礎とを含めて「基礎」として取り扱うものとする。
前記ボックス金物4は、鉄骨柱2の下端2aに固着されかつ水平にのびる上板4aと、基礎3の上面から突設されたアンカーボルト5が挿入される貫通孔7を有する底板4bと、該底板4bと前記上板4aとの間を継ぐとともに四周の少なくとも一つの面を開口Oとした側板部4cとを含んで構成される。
本実施形態において、上板4aは、鉄骨柱2の柱断面よりもわずかに大きい寸法で形成される。より具体的には、上板4aは、鉄骨柱2の下端2aの外周部との溶接代を確保するために、柱断面の輪郭形状よりも例えば5〜15mm、好ましくは7〜13mm程度大きい角寸法で形成される。そして、上板4aは、その中心を柱断面の中心に揃えて鉄骨柱2の下端2aに溶接により固着される。
本実施形態において、前記底板4bは、上板4aと実質的に同一寸法の正方形状のプレートで形成される。また、底板4bには、一つの前記貫通孔7が設けられる。該貫通孔7は、前記鉄骨柱2の柱断面を該底板4bに投影した投影領域V内に設けられる。換言すれば、貫通孔7は、前記柱断面の投影領域Vからはみ出すことなく設けられる。本実施形態においては、貫通孔7は、前記投影領域Vの中心位置に円形孔として形成される。ただし、投影領域V内であれば、貫通孔7は、複数個形成されても良い。
前記側板部4cは、図2に示されるように、左右一対の側板4c1と、該側板4c1、4c1間を継ぐ背板4c2とからなり、四周のうち三方を囲むように断面略コ字状に形成されている。従って、側板部4cは、背板4c2と対向する面が開口Oとして解放されている。なお、側板部4cの上端及び下端は、それぞれ上板4a及び底板4bに溶接により固着されている。
以上のように構成されたボックス金物4は、予め、工場にて鉄骨柱2の下端2aに固着されている。そして、現場にて、ボックス金物4の底板4bの貫通孔7に、基礎3から突出するアンカーボルト5が下側から挿入され建て込みが行われる。しかる後、前記開口Oからボックス金物4内をのびるアンカーボルト5にナット6を螺着させかつ締結する。これにより、ボックス金物4の底板4bが、前記ボックス金物4の内部に納められたアンカーボルト5及びナット6で基礎3に固定される。
このように、本実施形態の鉄骨柱2の固定構造によれば、鉄骨柱2を基礎3に固定するためのアンカーボルト5及びナット6が柱2の両外側にはみ出すことがないので、これらの部材が邪魔になって他の部材の固定の妨げになることがない。従って、仕上げ材などを納まり良く配置することができる。また、本実施形態では、ボックス金物4の上板4a及び底板4Bが柱断面と近似した寸法で形成されているため、固定に要するスペースをより小さくすることができ、さらに納まり性を向上しうる。
また、鉄骨柱2の上端は、図示しない梁にて支持されるので、本実施形態のように、柱の実質的な軸中心上にある1本のみのアンカーボルト5によっても基礎3に安定して固定することができる。これは、コスト及び施工工数を削減するのに役立つ。さらに、本実施形態のように、鉄骨柱2の中心線とアンカーボルトとの軸中心とを実質的に一致させたときには、鉄骨柱を、基礎の端部3E側により近づけて配置することが可能になる。これは、間取りやレイアウト等の設計自由度を高めるのに役立つ。
図4には、本発明の他の実施形態が示される。なお、上記実施形態と同一部分には、同じ符号が用いられ、ここでの説明は省略される。
この実施形態では、鉄骨柱2は、基礎3上に互いに近接して並設された一対、具体的には基礎3の最も端部3E側に配された第1の鉄骨柱2Aと、それに隣接して(例えば1000mm以下の配設ピッチで)配された第2の鉄骨柱2Bとからなる。これらの鉄骨柱2A、2Bは、それぞれ上端が2階の梁10に固定されるとともに、下端が前記ボックス金物4を介して基礎3に固定されている。
また、第1の鉄骨柱2A及び第2の鉄骨柱2Bの間には、斜めにのびる斜材12が架け渡される。これにより、この実施形態の鉄骨柱2A及び2Bは、水平力に対する建築物の変形を抑制する耐力フレームFの一部(即ち、竪材)を構成している。このように、本実施形態の鉄骨柱2の固定構造は、種々の構造物の中に取り入れることができる。
本実施形態の耐力フレームFでは、前記斜材12は、互いに傾斜の向きが異なる上の斜材12Aと、下の斜材12Bとを含む。上の斜材12Aは、下端が第1の鉄骨柱2Aの長さ方向のほぼ中間部に設けられた中間プレート11a固着されるとともに、上端が第2の鉄骨柱2Bの上端側に設けられた上側プレート11bに固着される。他方、下の斜材12Bは、上端が中間プレート11a固着されるとともに、下端が第2の鉄骨柱2Bの下端側に設けられた下側プレート11cに固着される。これにより、第1の鉄骨柱2A及び斜材12により、側面視略K字状に枠組みされている。
また、図5には、図4の下部拡大図を示す。図5から明らかなように、この実施形態では、第1の鉄骨柱2Aのボックス金物4と、第2の鉄骨柱2Bのボックス金物4との間が、基礎3から離間した水平にのびる補強横材13で連結されている。
補強横材は、例えば溝部を下に向けた溝型鋼からなり、その両端にはボルトを挿通可能な透孔を有する端部プレート15が固着される。また、各ボックス金物4の向き合う側板4c1には、前記ボルト16を挿通可能な透孔が形成される。そして、該端部プレート15とボックス金物4の側板4c1とが、ボルト16及びナットで締結される。
このような実施形態では、1本の鉄骨柱2A又は2Bに大きな水平力が作用した場合でも、該水平力を、基礎3とは独立した補強横材13にて各々の鉄骨柱2A、2Bに分散して負担させることができる。従って、耐久性において不利となりがちな基礎3の端部3E側のアンカーボルトの抜けやアンカーボルト埋着部分のコンクリート割れ等の損傷等を長期に亘って効果的に防止し耐久性を高めることができる。
なお、上記耐力フレームFは、通し柱(図示省略)に隣設させて設けられても良い。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく、本発明の用紙を逸脱しない範囲において、種々の態様に変形して実施することができるのは言うまでもない。
2 鉄骨柱
3 基礎
4 ボックス金物
4a 上板
4b 底板
4c 側板部
5 アンカーボルト
13 補強横材

Claims (4)

  1. 鉄骨柱を基礎に固定するための鉄骨柱の固定構造であって、
    前記鉄骨柱の下端が、略箱体状のボックス金物を介して基礎の上面に固定され、
    前記ボックス金物は、前記鉄骨柱の下端に固着された上板と、前記鉄骨柱の柱断面の投影領域内に前記基礎の上面から突設されたアンカーボルトが挿入される貫通孔を有する底板と、該底板と前記上板との間を継ぎかつ四周の少なくとも一つの面を開口した側板部とを含むとともに、
    前記鉄骨柱は、基礎上に近接して並設された一対からなるとともに、各前記鉄骨柱の前記ボックス金物の前記両側板部間が補強横材で連結され、
    前記補強横材は、水平方向にのびる溝型鋼と、その両端に固着される前記側板部に沿った受圧面を有する端部プレートとを含み、
    前記底板が前記ボックス金物内部のナットで前記アンカーボルトに固定されることを特徴とする鉄骨柱の固定構造。
  2. 前記側板部は、ボルトを挿通可能な透孔が形成され、
    前記端部プレートは、前記ボルトを挿通可能な透孔を有する請求項1記載の鉄骨柱の固定構造。
  3. 前記一対の鉄骨柱の一方は、基礎の端部に近接して固定される請求項1又は2記載の鉄骨柱の固定構造。
  4. 前記一対の鉄骨柱は、その間に斜材が架け渡された耐力フレームの一部を構成する請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄骨柱の固定構造。
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