JP5424809B2 - 金および/または銀の回収方法 - Google Patents
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Description
(a)金イオンおよび/または銀イオンを含有する水溶液に下限臨界溶液温度を有する
オキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルを添加する工程
(b)前記水溶液に還元剤を添加した後、前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも高い
温度にして前記水溶液をポリマーの凝集相と水相の2相の溶液に分離させ、前記
ポリマーの凝集相に金および/または銀を析出させる工程
(c)前記2相の溶液を前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも低い温度にして均一な
水溶液に戻し、前記水溶液に金および/または銀を析出させる工程
(d)金および/または銀を前記水溶液から回収する工程
を含むことを特徴とする金および/または銀の回収方法である。
(1)ポリマーの分子量および分子量分布
ポリマーの分子量および分子量分布は下記RI検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレンの検量線から求めた。
GPC装置:HLC−8220GPC((株)東ソー製)
カラム:KF804L(Shodex社製)×3本
溶離液:テトラヒドロフラン
(2)金属濃度の測定
金属濃度は原子吸光光度計(AA6200:島津製作所社製)を用いて測定した。
(3)樹脂濃度の測定
樹脂濃度は分光光度計(V−570スペクトフォトメーター:日本分光社製)を用いて測定した。
ポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)の合成(1):
アルゴン気流下、容量500mLのガラス製フラスコに乾燥トルエン350mL、2−メトキシエチルビニルエーテル30.4g(0.3mol)、乾燥酢酸エチル31.6g (0.36mol)、1−ブトキシエチルアセテート(IBEA)40mMトルエン溶液35mL(1.4mmol)を仕込み0℃に冷却した後、撹拌しながらEt1.5AlCl1.5の1Mトルエン溶液7.0mL(7.0mmol)を添加した。これを0℃で30分撹拌後、反応液にエタノール50mL添加し反応停止後、反応液をトルエンで希釈して水洗し、有機相から溶媒を留去して、重量平均分子量(Mw)が34,400、Mw/Mnが1.2のポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)28.5g(収率94%)を得た。得られたポリマーの下限臨界溶液温度は70℃であった。
ポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)の合成(2):
乾燥酢酸エチル63.2g(0.72mol)、1−ブトキシエチルアセテート(IBEA)40mMトルエン溶液70mL(2.8mmol)、Et1.5AlCl1.5の1Mトルエン溶液14.0mL(14.0mmol)を用いた以外は参考例1と同様の方法で重合操作を行い、重量平均分子量(Mw)が18,600、Mw/Mnが1.3のポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)24.0g(収率82%)を得た。得られたポリマーの下限臨界溶液温度は69℃であった。
ポリ(ジエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル)の合成:
2−メトキシエチルビニルエーテルの代わりにジエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル48g(0.3mol)を用いた以外参考例1と同様な操作を行い、重量平均分子量(Mw)が32,600、Mw/Mnが1.3のポリ(ジエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル:式(I)中、m=1、R=エチル基)41.3g(収率86%)を得た。得られたポリマーの下限臨界溶液温度は40℃であった。
ポリ(ジエチレングリコール−ω−メチル−α−ビニルエーテル)の合成:
2−メトキシエチルビニルエーテルの代わりにジエチレングリコール−ω−メチル−α−ビニルエーテル43.8g(0.3mol)を用いた以外参考例1と同様の操作を行い、重量平均分子量(Mw)が31,200、Mw/Mnが1.2のポリ(ジエチレングリコール−ω−メチル−α−ビニルエーテル:式(I)中、m=1、R=メチル基)35.9g(収率82%)を得た。得られたポリマーの下限臨界溶液温度は81℃であった。
ポリ(テトラエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル)の合成:
2−メトキシエチルビニルエーテルの代わりにテトラエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル74.4g(0.3mol)を用いた以外、参考例1と同様の操作を行い、重量平均分子量(Mw)が33,200、Mw/Mnが1.2のポリ(テトラエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル:式(I)中、m=4、R=エチル基)67.0g(収率90%)を得た。得られたポリマーの下限臨界溶液温度は58℃であった。
金属の回収:
50mLガラス製ビーカーに参考例1で得られたポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル(Mw=34,400、Mw/Mn=1.2、下限臨界溶液温度=70℃、)50mg、金属溶液として塩化金酸水溶液(関東化学(株)製、濃度1.0×10−3M)1mL、およびアスコルビン酸0.35g(2.0mmol)を仕込み、イオン交換水を加え全体が20mLの均一な溶液となるよう希釈した。この溶液を上記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも10℃高い温度(80℃)で2時間加熱を行い、凝集相と水相の2相の溶液に分離させた。この時、金属は凝集相に析出していた。次に、この溶液を室温(約23℃)まで冷却して水層を均一な水溶液とし、金を析出させた。その後、この溶液をガラス繊維フィルター(Whatman GF/B)でろ過し、金を回収した。一方、ろ液中の金イオン濃度を原子吸光光度計を用いて測定し、金の回収率を算出した。また、金属溶液として塩化金酸水溶液の代わりに濃度1.0X10−3Mの硝酸銀水溶液または硫酸銅水溶液を用いた以外同様の操作を行い、銀および銅の回収率を算出した。それらの結果を表1に結果を示した。
複数の金属共存下での金属の回収:
実施例1の金属溶液を、金イオン、銀イオンおよび銅イオンがそれぞれ等モル溶解している溶液に変更した以外は実施例1と同様にして回収試験を行い、各金属の回収率を算出した。その結果を表2に示した。
複数の金属共存下での金属の回収:
実施例1の金属溶液を、金イオン、銀イオン、銅イオン、ニッケルイオン、鉄イオン、コバルトイオンがそれぞれ等モル共存している溶液に変更した以外は全て実施例1と同様にして回収試験を行い、各金属の回収率を算出した。その結果を表3に示した。
金の回収:
実施例1で用いたポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)の代わりに、温度刺激応答性を有するメチルセルロース(MC)、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)およびポリビニルメチルエーテル(PVME)に代える以外は、実施例1と同様の操作を行い金の回収率を算出した。それらの結果も表4に示した。
金の回収:
実施例1で用いたアスコルビン酸の代わりに、クエン酸一水和物0.42g(2.0mmol)を用いた以外、実施例1と同様の操作を行い、金の回収率を算出した。この場合の金の回収率は92%であった。
金の回収:
実施例1において用いた参考例1で合成したポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)の代わりに、参考例2で合成した(2−メトキシエチルビニルエーテル)、参考例3で合成したポリ(ジエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル)または参考例5で合成したポリ(テトラエチレングリコール−ω−エチル−α−ビニルエーテル)を用いた以外、実施例1と同様の操作を行い、金の回収率を算出した。また、参考例4で合成したポリ(ジエチレングリコール−ω−メチル−α−ビニルエーテル)については、加熱を85℃で行った以外は上記と同様の操作を行い、金の回収率を算出した。それらの結果を表5に示した。
ポリマーの回収:
実施例1で金を回収後のろ液を再び80℃において15分加熱を行い、凝集相と水相に分離させた後、ガラス繊維フィルター(Whatman GF/B)を用いてろ過してポリマーを回収した。分光光度計を用いてろ過前後におけるろ液中のポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)の量を測定したところ、60%のポリマーがフィルター上に回収されていることがわかった。
ポリマーの回収:
実施例1で金を回収後のろ液に無水硫酸ナトリウム0.7g(5.0mmol)を加え溶解させ、80℃で15分加熱を行い凝集相と水相に分離させた後、ガラス繊維フィルター(Whatman GF/B)を用いてろ過してポリマーを回収した。分光光度計を用いてろ過前後におけるろ液中のポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)の量を測定したところ、75%のポリマーがフィルター上に回収されていることがわかった。
ポリマーの再利用:
実施例6においてフィルター上に回収されたポリマーを実施例1のポリマーと同様に、アスコルビン酸と共に金水溶液に加え溶液の温度を80℃とすることにより、80%程度の金を回収することができた。これによりポリマーの再利用が可能であることがわかった。
以 上
Claims (21)
- 以下の工程(a)〜(d)、
(a)金イオンおよび銀イオンを含有する水溶液に下限臨界溶液温度を有する
オキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルを添加する工程
(b)前記水溶液に還元剤を添加した後、前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも高い
温度にして前記水溶液をポリマーの凝集相と水相の2相の溶液に分離させ、前記
ポリマーの凝集相に金および銀を析出させる工程
(c)前記2相の溶液を前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも低い温度にして均一な
水溶液に戻し、前記水溶液に金および銀を析出させる工程
(d)金および銀を前記水溶液から回収する工程
を含むことを特徴とする金および銀の回収方法。 - 下限臨界溶液温度が20〜100℃の範囲にあるオキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルを用いる請求項1記載の金および銀の回収方法。
- 工程(d)で金および銀を回収した後の水溶液について、更に、工程(b)〜(d)を行うものである請求項1または2に記載の金および銀の回収方法。
- 還元剤がクエン酸、クエン酸ナトリウム、エタノールアミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムおよび塩酸ヒドロキシルアミンからなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1ないし3の何れかに記載の金および銀の回収方法。
- 工程(d)で金および銀を回収した後の水溶液を、前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも高い温度にして前記水溶液をポリマーの凝集相と水相の2相の溶液に分離させた状態で、前記ポリマーを回収するものである請求項1ないし4の何れかに記載の金および銀の回収方法。
- オキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルがポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)である請求項1ないし5の何れかに記載の金および銀の回収方法。
- 以下の工程(a)〜(d)、
(a)金イオンを含有する水溶液に下限臨界溶液温度を有する
オキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルを添加する工程
(b)前記水溶液に還元剤を添加した後、前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも高い
温度にして前記水溶液をポリマーの凝集相と水相の2相の溶液に分離させ、前記
ポリマーの凝集相に金を析出させる工程
(c)前記2相の溶液を前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも低い温度にして均一な
水溶液に戻し、前記水溶液に金を析出させる工程
(d)金を前記水溶液から回収する工程
を含むことを特徴とする金の回収方法。 - 下限臨界溶液温度が20〜100℃の範囲にあるオキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルを用いる請求項8記載の金の回収方法。
- 工程(d)で金を回収した後の水溶液について、更に、工程(b)〜(d)を行うものである請求項8または9に記載の金の回収方法。
- 還元剤がクエン酸、クエン酸ナトリウム、エタノールアミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムおよび塩酸ヒドロキシルアミンからなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項8ないし10の何れかに記載の金の回収方法。
- 工程(d)で金を回収した後の水溶液を、前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも高い温度にして前記水溶液をポリマーの凝集相と水相の2相の溶液に分離させた状態で、前記ポリマーを回収するものである請求項8ないし11の何れかに記載の金の回収方法。
- オキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルがポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)である請求項8ないし12の何れかに記載の金の回収方法。
- 以下の工程(a)〜(d)、
(a)銀イオンを含有する水溶液に下限臨界溶液温度を有する
オキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルを添加する工程
(b)前記水溶液に還元剤を添加した後、前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも高い
温度にして前記水溶液をポリマーの凝集相と水相の2相の溶液に分離させ、前記
ポリマーの凝集相に銀を析出させる工程
(c)前記2相の溶液を前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも低い温度にして均一な
水溶液に戻し、前記水溶液に銀を析出させる工程
(d)銀を前記水溶液から回収する工程
を含むことを特徴とする銀の回収方法。 - 下限臨界溶液温度が20〜100℃の範囲にあるオキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルを用いる請求項15記載の銀の回収方法。
- 工程(d)で銀を回収した後の水溶液について、更に、工程(b)〜(d)を行うものである請求項15または16に記載の銀の回収方法。
- 還元剤がクエン酸、クエン酸ナトリウム、エタノールアミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムおよび塩酸ヒドロキシルアミンからなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項15ないし17の何れかに記載の銀の回収方法。
- 工程(d)で銀を回収した後の水溶液を、前記ポリマーの下限臨界溶液温度よりも高い温度にして前記水溶液をポリマーの凝集相と水相の2相の溶液に分離させた状態で、前記ポリマーを回収するものである請求項15ないし18の何れかに記載の銀の回収方法。
- オキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテルがポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)である請求項15ないし19の何れかに記載の銀の回収方法。
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