JP5420870B2 - トリフェニルアミン誘導体を含む電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、トリフェニルアミン誘導体を含む電子写真感光体に関する。特に、溶剤への溶解性に優れるとともにイオン化ポテンシャルが低く、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性の向上に効果的に寄与するトリフェニルアミン誘導体を含む電子写真感光体に関する。
従来、画像形成装置等に搭載される電子写真感光体として、結着樹脂(バインダー樹脂)、電荷発生剤、及び電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)等からなる有機感光体(OPC)が使用されている。かかる有機感光体は、無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
かかる有機感光体において用いられる正孔輸送剤としては、種々の化合物が挙げられるが、その中でも特にトリアリールアミン誘導体は、電荷輸送能に優れており、正孔輸送剤として好適である。
このようなトリアリールアミン誘導体としては、例えば、下記式(16)及び(19)で表される化合物(HTM−A〜B)が開示されている(例えば、特許文献1)。

特開2005−289877号(特許請求の範囲)
しかしながら、式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−A)は、アリールアミン基のパラ位にメトキシ基を有していることから、比較的イオン化ポテンシャルが低く、その分、電子写真感光体の感度特性の向上に寄与することができるものの、溶剤への溶解性が過度に低く、感光層中で結晶化しやすくなるという問題が見られた。
他方、式(19)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−B)は、アリールアミン基のオルト位にメチル基を有していることから、比較的溶剤への溶解性が高いものの、イオン化ポテンシャルが過度に高く、特に層界面を有する積層型電子写真感光体に用いた場合には、十分な感度特性を得ることが困難となるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討したところ、トリフェニルアミン誘導体において、アリールアミン基のパラ位に所定の炭素数のアルコキシ基を導入するとともに、オルト位に所定の炭素数のアルキル基またはアルコキシ基を導入することにより、溶剤への溶解性を向上させることができるとともに、イオン化ポテンシャルを低くすることができることを見出した。
そして、かかる特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体を、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性を効果的に向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の目的は、溶剤への溶解性に優れるとともにイオン化ポテンシャルが低く、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性の向上に効果的に寄与するトリフェニルアミン誘導体を含む電子写真感光体を提供することにある。
また、本発明によれば、基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、感光層が、式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
すなわち、本発明の電子写真感光体であれば、優れた感度特性を得ることができる。

また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、積層型感光層であることが好ましい。
このように構成することにより、電荷発生層と、電荷輸送層と、の層界面を経て電荷の授受を行う必要が生じるが、本発明における正孔輸送剤としての特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体であれば、イオン化ポテンシャルが低いことから、これらの層界面においても、安定的に電荷を移動させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、積層型感光層における式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体の含有量が、積層型感光層における電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して、30〜100重量部の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の電荷輸送層中における分散性をより向上させて、さらに優れた感度特性を得ることができる。
第1の参考実施形態
第1の参考実施形態は、下記一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体である。
(一般式(1)中、R1は、炭素数1〜8のアルキル基であり、R2〜R5は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基であって、R2及びR3のうち少なくとも一方が炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R6は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Ar1及びAr2は、それぞれ独立しており、水素原子、置換基として炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を有してもよい炭素数6〜20のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基または3〜10員環の複素環であり、Ar1及びAr2が共に水素原子となる場合を除く。)
以下、本発明の特定の構造を有するトリフェニルアミン誘導体について、具体的に説明する。
本発明のトリフェニルアミン誘導体は、上述した一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする。
すなわち、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体であれば、アリールアミン基のオルト位に所定の炭素数のアルキル基またはアルコキシ基を有することから、溶剤への溶解性を向上させることができ、感光層中での結晶化や分散不良を効果的に抑制することができるためである。
また、アリールアミン基のパラ位に所定の炭素数のアルコキシ基を有することから、イオン化ポテンシャルを低下させることができるためである。
したがって、電荷発生剤等との間における電荷の授受におけるエネルギーギャップが小さくなって、電荷輸送効率を効果的に向上させることができる。特に、電荷発生層と、電荷輸送層と、が別れている積層型電子写真感光体に適用した場合であっても、これらの層界面における電荷の移動を効果的に向上させることができる。
さらに、上述したオルト位及びパラ位の両方に、それぞれ所定の置換基を導入した場合、いずれか一方の置換基を、単独で導入した場合と比較して、溶剤への溶解性を向上させる効果及びイオン化ポテンシャルを低下させる効果の双方を、さらに効果的に向上させることができる。
すなわち、これら所定の置換基同士における相乗効果を得ることができる。
よって、本発明の特定の構造を有するトリフェニルアミン誘導体であれば、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性の向上、特に、残留電位の抑制において、効果的に寄与することができる。
また、イオン化ポテンシャルの低下に寄与する電子供与性を付与することができることから、R1のアルキル基における炭素数を1〜7とすることがより好ましく、1〜6とすることがさらに好ましい。
また、溶剤への溶解性の向上に寄与する脂溶性及び立体効果を付与することができることから、R2及びR3をアルキル基及びアルコキシ基とした場合におけるその炭素数を1〜6とすることがより好ましく、1〜4とすることがさらに好ましい。
以下、本発明のトリフェニルアミン誘導体における置換基R1〜R5として使用可能なアルキル基及びアルコキシを例示する。
まず、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基及びイソオクチル基等が挙げられる。
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、及びイソオクチルオキシ基等が挙げられる。
また、Ar1〜Ar2として使用可能なアリール基は、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
また、炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロへキサン等が挙げられる。さらに、3〜10員環の複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環等が挙げられる。
さらに、R6として使用可能なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
次いで、図1を用いて、トリフェニルアミン誘導体における所定の置換基と、溶剤への溶解性及びイオン化ポテンシャルと、の関係を説明する。
すなわち、図1には、横軸に溶剤としてのテトラヒドロフラン(THF)に対するトリフェニルアミン誘導体の溶解度(%)を採り、縦軸にトリフェニルアミン誘導体のイオン化ポテンシャル(eV)を採った散布図が示してある。
ここで、散布図における4種類のマーカーは、それぞれ以下に示す構造的特徴を有するトリフェニルアミン誘導体に対応している。
○:アリールアミン基のオルト位に所定の置換基を有し、パラ位にも所定の置換基を有する。
□:アリールアミン基のオルト位に所定の置換基を有する一方、パラ位には所定の置換基を有さない。
◇:アリールアミン基のオルト位には所定の置換基を有さない一方、パラ位には所定の置換基を有する。
●:アリールアミン基のオルト位に所定の置換基を有さず、パラ位にも所定の置換基を有さない。
なお、本発明における溶解度とは、25℃の条件下にて、トリフェニルアミン誘導体100mgに対して、テトラヒドロフランを少量添加した後、振動及び放置する工程を繰り返し、トリフェニルアミン誘導体の溶解が飽和したときのテトラヒドロフラン添加量X(mg)を求め、かかる値から、下記式によって算出される値である。
溶解度(%)=100/(100+X)
かかる散布図から理解されるように、マーカー(○)で表される本発明のトリフェニルアミン誘導体は、所定の二つの置換基を共に有することから、THFに対する溶解度の値が18%以上の値であるとともに、イオン化ポテンシャルの値が5.41eV以下の値となっている。
したがって、本発明のトリフェニルアミン誘導体であれば、正孔輸送剤として用いた場合には、感光層中での結晶化や分散不良を効果的に抑制でき、かつ、電荷輸送効率についても効果的に向上させることができることがわかる。
一方、マーカー(□)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、アリールアミン基のパラ位に所定の置換基を有していないことから、イオン化ポテンシャルの値が過度に高くなっており、逆にマーカー(◇)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、アリールアミン基のオルト位に所定の置換基を有していないことから、溶解度の値が過度に小さくなっていることがわかる。
また、マーカー(●)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、これらの所定の置換基を二つとも有さないことから、イオン化ポテンシャルの値が過度に高い上、溶解度の値が過度に小さくなっていることがわかる。
さらに、マーカー(○)、(□)及び(◇)のプロットを比較すると、オルト位及びパラ位の両方に、それぞれ所定の置換基を導入することにより、相乗効果が発揮されていることが理解される。
すなわち、所定の二つの置換基を共に導入した場合(○)、いずれか一方の効果に寄与する置換基を、単独で導入した場合(□及び◇)と比較して、溶剤への溶解性を向上させる効果及びイオン化ポテンシャルを低下させる効果の双方を、さらに効果的に向上させることができることがわかる。
逆に、所定の二つの置換基のうち、一つの置換基のみを導入した場合(□及び◇)では、溶剤への溶解性を向上させる効果も、イオン化ポテンシャルを低下させる効果も、共に所望のレベルには達しないことが、図1の散布図より理解される。
また、図1の散布図におけるマーカー(○)のトリフェニルアミン誘導体を、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合、残留電位の絶対値を所定以下の値に安定的に抑制できることが、実施例において確認されている。
一方で、マーカー(□、◇及び●)のトリフェニルアミン誘導体を、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、残留電位の絶対値を所定以下の値に抑制することが困難となるか、あるいは、結晶化が生じてしまうことが、実施例において確認されている。
また、本発明のトリフェニルアミン誘導体を構成するにあたり、一般式(1)中の置換基R2及びR3のうち、一方のみが炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基であることが好ましい。
この理由は、分子の対称性を程よく崩して溶剤への溶解性をより向上させることができるためである。
また、一般式(1)中の置換基Ar1及びAr2のうち、一方のみが置換基として炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を有してもよい炭素数6〜20のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基または3〜10員環の複素環であることが好ましい。
この理由は、π電子の広がり具合をより好適な状態に調節し、電荷輸送効率をさらに向上させることができるためである。
また、一般式(1)中の置換基R6が水素原子であることが好ましい。
この理由は、π電子の広がり具合をより好適な状態に調節し、電荷輸送効率をさらに向上させることができるためである。
以下に、本発明のトリフェニルアミン誘導体の具体例として、式(5)または(10)で表される(HTM−2または7)を例示する(式(4)、(6)〜(9)で表される化合物(HTM−1,3〜6)は、参考例)。
第2の参考実施形態
第2の参考実施形態は、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造方法であって、下記反応式(1)で表される反応を行う工程を含むことを特徴とするトリフェニルアミン誘導体の製造方法である。
(一般式(2)中、Xは、ハロゲン原子であり、一般式(1)〜(3)中のその他の置換基は、一般式(1)中で説明した内容と同様である。)
以下、第1の参考実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の参考実施形態について具体的に説明する。
1.準備工程
当該準備工程は、反応式(1)における材料物質としての下記一般式(2)で表される化合物を得るための工程である。
(一般式(2)中の置換基は、反応式(1)における内容と同様である。)
まず、下記反応式(2)で表される反応を行い、一般式(11)で表される化合物と、亜リン酸トリエチルと、を反応させて、一般式(12)で表される化合物を得ることが好ましい。
なお、一般式(11)中におけるX´は、ハロゲン原子を示す。
このとき、一般式(11)で表される化合物と、亜リン酸トリエチルと、の反応割合(モル比)を、1:1〜1:2.5の範囲内の比とすることが好ましい。
この理由は、亜リン酸トリエチルの添加割合がかかる下限値よりも小さくなると、一般式(12)で表される化合物の収率が過度に低下する場合があるためである。一方、亜リン酸トリエチルの添加割合がかかる上限値よりも大きくなると、未反応の亜リン酸トリエチルが過度に増加して、一般式(12)で表される化合物の精製が過度に困難となる場合があるためである。
なお、反応温度は、160〜200℃の範囲内の値とすることが好ましく、反応時間は、2〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
次いで、触媒の存在下にて、下記反応式(3)で表される反応を行い、得られた一般式(12)で表される化合物と、一般式(13)で表される化合物と、を反応させて、一般式(2)で表される化合物を得ることが好ましい(Wittig反応)。
このとき、一般式(12)で表される化合物と、一般式(13)で表される化合物と、の反応割合(モル比)を、1:1〜1:2.5の範囲内の比とすることが好ましい。
この理由は、一般式(12)で表される化合物の添加割合がかかる下限値よりも小さくなると、一般式(2)で表される化合物の収率が過度に低下する場合があるためである。一方、一般式(12)で表される化合物の添加割合がかかる上限値よりも大きくなると、未反応の一般式(12)で表される化合物が過度に増加して、一般式(2)で表される化合物の精製が過度に困難となる場合があるためである。
なお、反応温度は、−20〜30℃の範囲内の値とすることが好ましく、反応時間は、5〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
また、反応式(3)で表される反応において用いる触媒としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;n−ブチルリチウム等の金属塩等が挙げられる。触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、触媒の添加量は、一般式(13)で表される化合物1モルに対して、1〜2モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、触媒の添加量が1モル未満の値となると、一般式(12)で表される化合物と、一般式(13)で表される化合物と、の反応性が著しく低下するおそれがあるためである。一方、触媒の添加量が2モルを超えた値となると、一般式(12)で表される化合物と、一般式(13)で表される化合物と、の反応を制御することが困難になる場合があるためである。
なお、反応式(2)及び(3)で表される反応を行う際の溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
2.反応式(1)
次いで、本発明では、下記反応式(1)で表される反応を行い、準備工程で得られた一般式(2)で表される化合物と、別途準備した一般式(3)で表される化合物と、を反応させて、最終目的物である一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を製造することを特徴とする(カップリング反応)。
(一般式(2)中、Xは、ハロゲン原子であり、一般式(1)〜(3)中のその他の置換基は、一般式(1)中で説明した内容と同様である。)
このとき、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物と、の反応割合(モル比)を、5:1〜1:1の範囲内の比とすることが好ましい。
この理由は、一般式(2)で表される化合物の添加割合がかかる下限値よりも小さくなると、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率が過度に低下する場合があるためである。一方、一般式(2)で表される化合物の添加割合がかかる上限値よりも大きくなると、未反応の一般式(2)で表される化合物が過度に増加して、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の精製が過度に困難となる場合があるためである。
したがって、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物と、の反応割合(モル比)を、3:1〜1:1の範囲内の値とすることがより好ましく、2:1〜1:1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、反応温度は、80〜140℃の範囲内の値とすることが好ましく、反応時間は、2〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
また、反応式(1)で表される反応において、触媒としてパラジウム触媒を用いることが好ましい。
この理由は、触媒としてパラジウム化合物を用いることにより、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率をより向上させることができるためである。
すなわち、パラジウム化合物であれば、反応式(1)で表される反応における活性化エネルギーを効果的に低下させることができるためである。
かかるパラジウム化合物としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物及びヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物等の四価パラジウム化合物類、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)及びジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)などの二価のパラジウム化合物類、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのパラジウム化合物類が挙げられる。
また、触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、パラジウム化合物の添加量を、一般式(3)で表される化合物1モルに対して0.0005〜20モルの範囲内の値とすることが好ましく、0.001〜1モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、反応式(1)で表される反応を、塩基の存在下にて行うことが好ましい。
この理由は、反応式(1)で表される反応を塩基の存在下に実施することにより、系中で発生するハロゲン化水素をすみやかに中和し、結果として触媒活性が向上し、ひいては一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率をさらに向上させることができるためである。
また、かかる塩基としては、無機塩基や有機塩基から選択することができ、特に限定されるものではないが、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド及びカリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコシドが好ましく、特に、ナトリウム−tert−ブトキシドが好ましい。また、リン酸三カリウム及びフッ化セシウム等の無機塩基も有効である。
また、かかる塩基の添加量は、パラジウム化合物の量にもよるが、例えば、一般式(3)で表される化合物1モルに対して、パラジウム化合物0.005モルを加えた場合であれば、1〜10モルの範囲内の値とすることが好ましく、1〜5モルの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、感光層が、上述の式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
以下、第1の参考実施形態及び第2の参考実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第3の実施形態について、積層型電子写真感光体と、単層型電子写真感光体と、に分けて具体的に説明する。
1.積層型電子写真感光体
本発明の電子写真感光体を、積層型電子写真感光体として構成することが好ましい。
この理由は、本発明の電子写真感光体を積層型電子写真感光体として構成した場合、正孔輸送剤としての特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の効果を、特に効果的に発揮させることができるためである。
すなわち、積層型電子写真感光体として構成した場合、電荷発生層と、電荷輸送層と、の層界面を経て電荷の授受を行う必要が生じ、電荷輸送効率が抑制されやすくなる場合がある。一方、本発明において使用される正孔輸送剤としての特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体であれば、イオン化ポテンシャルが低いことから、これらの層界面においても、安定的に電荷を移動させることができるためである。
(1)基本的構成
図2(a)に示すように、積層型電子写真感光体20は、基体12上に、塗布等の手段によって、電荷発生剤等を含有する電荷発生層24、及び電荷輸送剤等を含有する電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
また、上述の構造とは逆に、図2(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、このように形成した場合、電荷発生層24が、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いために破損しやすくなる場合がある。したがって、図2(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することが好ましい。
また、図2(c)に示すように、基体12上に中間層25を形成することも好ましい。
なお、電荷輸送層22においては、一般に、正孔輸送剤のみを含有させることが好ましいが、正孔輸送剤と電子輸送剤の両方を用いてもよい。
(2)基体
図2に例示する基体12としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
(3)中間層
また、図2(c)に示すように、基体12上に、所定の結着樹脂を含有する中間層25を設けてもよい。
この理由は、基体と感光層との密着性を向上させるとともに、この中間層内に所定の微粉末を添加することで、入射光を散乱させて、干渉縞の発生を抑制すると共に、カブリや黒点の原因となる非露光時における基体から感光層への電荷注入を抑制することができるためである。この微粉末としては、光散乱性、分散性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等を用いることができる。
なお、中間層の膜厚は、0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
(4)電荷発生層
また、電荷発生層に含有させる電荷発生剤としては、無金属フタロシアニン(τ型またはX型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される1種以上が好ましい。
また、かかる電荷発生剤の含有量は、電荷発生層の結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、電荷発生層において用いられる結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプまたはビスフェノールCタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、N−ビニルカルバゾール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、電荷発生層の膜厚は、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
(5)電荷輸送層
また、電荷輸送層に含有させる正孔輸送剤を、式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体とすることを特徴とする。
この理由は、既に第1の参考実施形態において詳述したように、正孔輸送剤としてかかる特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体を用いることにより、優れた感度特性を得ることができるためである。
また、式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体の含有量を、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して、30〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の含有量をかかる範囲とすることにより、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の電荷輸送層中における分散性をより向上させて、さらに優れた感度特性を得ることができるためである。
すなわち、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の含有量が30重量部未満の値となると、その絶対量が過度に不足して、十分な感度特性を得ることが困難となるためである。一方、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の含有量が100重量部を超えた値となると、電荷輸送層中での分散性が過度に低下して、結晶化しやすくなったり、電荷輸送効率が低下したりする場合があるためである。
したがって、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の含有量を、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して、35〜95重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜90重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、電荷輸送層に対して、その他の正孔輸送剤を含有させてもよい。
例えば、式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体を除くトリフェニルアミン系化合物、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が挙げられる。なお、正孔輸送剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、かかるその他の正孔輸送剤を含有させる場合は、式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内の値で含有させることが好ましい。
また、電荷輸送層に対して、電子輸送剤を含有させてもよい。
例えば、キノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体 、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等が挙げられる。なお、電子輸送剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、かかる電子輸送剤を含有させる場合には、式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体100重量部に対して、1〜50重量部の範囲内の値で含有させることが好ましい。
また、電荷輸送層において用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
また、これらの結着樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。
なお、電荷輸送層の膜厚は、5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、積層型電子写真感光体の製造方法としては、例えば、以下のような手順で実施することができる。
まず、溶剤に電荷発生剤、結着樹脂、添加剤等を含有させて電荷発生層用塗布液を作成する。このようにして得られた塗布液を、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて導電性基材(アルミニウム素管)上に塗布する。
その後、例えば、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して、所定膜厚の電荷発生層を形成することができる。
なお、分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
次いで、溶剤に特定構造を有するトリフェニルアミン、結着樹脂、添加剤等を分散させて電荷輸送層用塗布液を作成した後、既に形成してある電荷発生層上に塗布及び乾燥を行えばよい。
なお、塗布液の製造方法や、塗布及び乾燥方法については、電荷発生層の場合に準じて行うことができる。
2.単層型電子写真感光体
また、本発明の電子写真感光体を、単層型電子写真感光体として構成してもよい。
すなわち、図3(a)に示すように、本発明の電子写真感光体を、基体12上に単一の感光層14を設けた単層型電子写真感光体10として構成してもよい。
また、単層型電子写真感光体は、図3(b)に示すように、基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されている単層型電子写真感光体10´でもよい。
また、単層型電子写真感光体において用いられる基体や有機材料は、基本的に積層型電子写真感光体の場合と同様とすることができる。
また、式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体の含有量としては、感光層の結着樹脂100重量部に対して、20〜120重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、単層型電子写真感光体の場合、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、を共に感光層に対して含有させることとなるが、このときの電子輸送剤の含有量は、感光層の結着樹脂100重量部に対して、10〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、電荷発生剤の含有量としては、感光層の結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、感光層の膜厚は、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
参考例1]
1.トリフェニルアミン誘導体の製造
まず、下記反応式(2´)で表される反応を行って、式(12´)で表される化合物を得た。
すなわち、200ミリリットルのフラスコに、式(11´)で表される化合物15.2g(0.1mol)と、亜リン酸トリエチル25g(0.15mol)と、を収容し、180℃の温度条件下にて8時間撹拌を行った。
次いで、室温まで冷却した後、過剰な亜リン酸トリエチルを減圧留去して、式(12´)で表される化合物(白色液体)24.1gを得た(収率:90%)。
次いで、下記反応式(3´)で表される反応を行って、式(2´)で表される化合物を得た。
すなわち、500ミリリットルの2口フラスコに、得られた式(12´)で表される化合物13g(0.05mol)を収容した後、アルゴンガス置換を行い、さらに、乾燥させたテトラヒドロフラン(THF)100ミリリットルと、28%ナトリウムメトキシド9.3g(0.05mol)と、を加え、0℃の温度条件下にて、30分間撹拌を行った。
次いで、撹拌後の液に対し、式(13´)で表される化合物7g(0.05mol)を乾燥THFに溶解300ミリリットルに溶解させた状態で加え、室温にて、12時間撹拌を行った。
次いで、撹拌後の液をイオン交換水に注いだ後、トルエンにて抽出し、さらに有機層をイオン交換水にて5回洗浄した。その後、さらに有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、溶媒を留去し、残渣を得た。
次いで、得られた残渣に対し、トルエン/メタノール=20ミリリットル/100ミリリットル混合溶媒を用いた再結晶による精製を行い、式(2´)で表される化合物(白色結晶)10.22g得た(収率:85%)。
次いで、下記反応式(1´)で表される反応を行って、式(4)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)を得た。
すなわち、2リットルの2口フラスコに、式(2´)で表される化合物12g(0.05mol)と、トリシクロヘキシルホスフィン(Pcy)0.0662g(0.000189mol)と、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)0.0864g(0.0000944mol)と、ナトリウム−tert−ブトキシド(t−BuONa)7.68g(0.08mol)と、式(3a)で表される化合物3.42g(0.025mol)と、を収容し、さらに、蒸留したo−キシレン500ミリリットルを加えた後、アルゴンガス置換を行い、120℃の温度条件下にて、5時間撹拌を行った。
次いで、室温まで冷却してから、有機層をイオン交換水にて3回洗浄し、さらに、有機層に対し、無水硫酸ナトリウム及び活性白土を用いて乾燥及び吸着処理を行った後、o−キシレンを減圧留去し、残渣を得た。
次いで、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)にて精製し、式(4)で表されるトリフェニルアミン誘導体11.6gを得た(収率85%)。得られたトリフェニルアミン誘導体の1H−NMRチャートを図4に示す。
なお、かかる1H−NMRチャートは、300MHzにて測定した。また、溶媒としてはCDCl3を用い、基準物質としてはTMSを用いた。
2.積層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
ビーズミルを用いて、酸化チタン(SMT−02、アルミナとシリカで表面処理後、湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した数平均一次粒子径が10nm(テイカ製))280重量部、共重合ポリアミド樹脂(ダイセルデグザ(株)製、ダイアミドX4685)100重量部、溶媒としてエタノール1000重量部と、n-ブタノール200重量部とを、5時間混合、分散させ、さらに5ミクロンのフィルタにてろ過処理して、中間層用塗布液を作成した。
次いで、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて中間層用塗布液を塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
(2)電荷発生層の形成
次いで、ビーズミルを用いて、電荷発生剤としての下記式(14)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−1)のY型結晶100重量部、結着樹脂としてのポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業(株)製、デンカブチラール#6000EP)100重量部、溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル4000重量部及びテトラヒドロフラン4000重量部を、2時間混合、分散させ、電荷発生層用の塗布液を得た。得られた塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過後、上述した中間層上にディップコート法にて塗布し、50℃で5分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(3)電荷輸送層の形成
次いで、超音波分散機内に、正孔輸送剤としての式(4)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)70重量部と、添加剤としてのBHT(ジ−tert−p−クレゾール)メタターフェニル5重量部と、結着樹脂としての粘度平均分子量50,000の下記式(15)で表されるZ型ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、TS2050)(Resin−1)100重量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン430重量部及びトルエン430重量部と、を収容したのち、10分間分散処理させて、電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、130℃で30分間乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し積層型電子写真感光体を得た。
3.評価
(1)トリフェニルアミン誘導体の評価
(1)−1 溶解性の評価
得られた正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体の溶解性を評価した。
すなわち、25℃の条件下にて、得られたトリフェニルアミン誘導体100mgに対して、テトラヒドロフランを少量添加した後、振動及び放置する工程を繰り返し、トリフェニルアミン誘導体の溶解が飽和したときのテトラヒドロフラン添加量X(mg)を求め、かかる値から、下記式によって溶解度を算出した。得られた結果を表1に示す。
溶解度(%)=100/(100+X)
(1)−2 イオン化ポテンシャルの評価
また、得られたトリフェニルアミン誘導体のイオン化ポテンシャルを評価した。
すなわち、大気雰囲気型紫外線光電子分析装置(理研計器(株)製、AC−1)を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
(2)積層型電子写真感光体の評価
(2)−1 残留電位の評価
得られた積層型電子写真感光体の残留電位を評価した。
すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC(株)製)を用いて、得られた積層型電子写真感光体の表面を−700Vに帯電させた。
次いで、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光強度:0.4μJ/m2)を、積層型電子写真感光体表面に対して1.5秒間照射し、照射開始から0.5秒経過した時点での表面電位を測定し、残留電位(V)とした。得られた結果を表1に示す。
(2)−2 結晶化の評価
得られた積層型電子写真感光体の表面における結晶化の有無を評価した。
すなわち、光学顕微鏡を用いて、積層型電子写真感光体の表面における結晶の有無を確認し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:結晶が確認される。
△:若干結晶化が確認される。
×:結晶が確認されない。
[実施例2]
実施例2では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3b)で表される化合物を用いて、式(5)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−2)を得た。得られたトリフェニルアミン誘導体の1H−NMRチャートを図5に示す。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(5)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−2)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例3]
参考例3では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3c)で表される化合物を用いて、式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−3)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−3)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例4]
参考例4では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3d)で表される化合物を用いて、式(7)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−4)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(7)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−4)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例5]
参考例5では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3e)で表される化合物を用いて、式(8)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−5)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(8)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−5)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例6]
参考例6では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3f)で表される化合物を用いて、式(9)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−6)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(9)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−6)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3g)で表される化合物を用いて、式(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−7)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−7)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3h)で表される化合物を用いて、式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−A)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−A)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3i)で表される化合物を用いて、下記式(17)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−C)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(17)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−C)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3j)で表される化合物を用いて、下記式(18)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−D)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(18)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−D)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3k)で表される化合物を用いて、式(19)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−B)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(19)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−B)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、トリフェニルアミン誘導体の製造における反応式(1´)を行う際に、式(3a)で表される化合物の代わりに、下記式(3l)で表される化合物を用いて、下記式(20)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−E)を得た。
また、積層型電子写真感光体を製造する際に、かかる式(20)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−E)を正孔輸送剤として用いた。
それ以外は、参考例1と同様に、トリフェニルアミン誘導体及び積層型電子写真感光体の製造を行って評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例8]
参考例8では、以下のように、単層型電子写真感光体を製造して、評価した。
1.単層型電子写真感光体の製造
容器内に、電荷発生剤としての下記式(21)で表される無金属フタロシアニン(CGM−2)のX型結晶5重量部と、式(4)で表される正孔輸送剤(HTM−1)80重量部と、下記式(22)で表される電子輸送剤(ETM−1)50重量部と、結着樹脂としての式(15)で表されるポリカーボネート樹脂100重量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800重量部と、を収容し、これらの混合物を得た。次いで、かかる混合物をボールミルを用いて50時間混合分散し、感光層用塗布液を得た。
次いで、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた感光層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて感光層用塗布液を塗布した。その後、100℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚25μmの感光層を形成し、単層型電子写真感光体を得た。
2.単層型電子写真感光体の評価
(1)残留電位の評価
得られた単層型電子写真感光体の残留電位を評価した。
すなわち、単層型電子写真感光体の表面を+700Vに帯電させるとともに、感光体の表面に照射する単色光の光強度を1.5μJ/m2としたほかは、参考例1と同様に残留電位を測定した。得られた結果を表2に示す。
(2)結晶化の評価
得られた単層型電子写真感光体の表面における結晶化の有無を評価した。
すなわち、参考例1と同様に、光学顕微鏡を用いて、単層型電子写真感光体の表面における結晶の有無を確認し、評価した。得られた結果を表2に示す。
参考例9]
参考例9では、電子輸送剤として、下記式(23)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、参考例8と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
参考例10]
参考例10では、電荷発生剤として、式(14)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−1)のY型結晶を用いたほかは、参考例9と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例11〜13]
実施例11〜13では、正孔輸送剤として、式(5)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−2)を用いたほかは、それぞれ参考例8〜10と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
参考例14〜16]
参考例14〜16では、正孔輸送剤として、式(9)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−6)を用いたほかは、それぞれ参考例8〜10と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例6〜8]
比較例6〜8では、正孔輸送剤として、式(19)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−B)を用いたほかは、それぞれ参考例8〜10と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例9〜11]
比較例9〜11では、正孔輸送剤として、式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−A)を用いたほかは、それぞれ参考例8〜10と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
参考例17]
参考例17では、以下のように、単層型電子写真感光体を製造して、評価した。
1.単層型電子写真感光体の製造
参考例17では、電子輸送剤として、下記式(24)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、参考例8と同様に単層型電子写真感光体を製造した。
2.黒点発生の評価
得られた単層型電子写真感光体を用いて場合の、形成画像における黒点発生を評価した。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、プリンタ(京セラミタ製、DP−560)に装着し、40℃、90Rfの環境条件で、A4(富士ゼロックス製上質PPC用紙)を5000枚連続印刷した。その後、6時間放置した後、A4紙の白紙原稿を印字して、そのA4紙上に発生した黒点の発生数を計数するとともに、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表3に示す。
なお、黒点発生数は、感光層中におけるトリフェニルアミン誘導体の分散性を評価する指標として測定している。
これは、感光層中におけるトリフェニルアミン誘導体の分散性が低下したり、あるいは結晶化したりして、当該化合物が過度に凝集して存在している場合、帯電工程を実施した際に、当該凝集箇所を通じてリーク電流が発生しやすくなり、ひいては形成画像において黒点が発生しやすくなるためである。
○:A4紙1枚あたり黒点の発生が50個未満の値である。
×:A4紙1枚あたり黒点の発生が50個以上の値である。
参考例18]
参考例18では、電荷発生剤として、式(14)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−1)のY型結晶を用いたほかは、参考例17と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表3に示す。
[実施例19〜20]
実施例19〜20では、正孔輸送剤として、式(5)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−2)を用いたほかは、それぞれ参考例17〜18と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表3に示す。
参考例21〜22]
参考例21〜22では、正孔輸送剤として、式(9)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−6)を用いたほかは、それぞれ参考例17〜18と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表3に示す。
[比較例12〜13]
比較例12〜13では、正孔輸送剤として、式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−B)を用いたほかは、それぞれ参考例17〜18と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表3に示す。
[比較例14〜15]
比較例14〜15では、正孔輸送剤として、式(19)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−A)を用いたほかは、それぞれ参考例17〜18と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表3に示す。

以上、詳述したように、本発明によれば、トリフェニルアミン誘導体において、アリールアミン基のパラ位に所定の炭素数のアルコキシ基を導入するとともに、オルト位に所定の炭素数のアルキル基またはアルコキシ基を導入することにより、溶剤への溶解性を向上させることができるとともに、イオン化ポテンシャルを低くすることができるようになった。
その結果、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性を効果的に向上させることができるようになった。
したがって、本発明のトリフェニルアミン誘導体を含む電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における高速化、高性能化に寄与することが期待される。
図1は、トリフェニルアミン誘導体における所定の置換基と、溶剤への溶解性及びイオン化ポテンシャルと、の関係を説明するために供する図である。 (a)〜(c)は、本発明の積層型電子写真感光体を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、本発明の単層型電子写真感光体を説明するために供する図である。 図4は、参考例1で製造したトリフェニルアミン誘導体の1H−NMRのチャートである。 図5は、実施例2で製造したトリフェニルアミン誘導体の1H−NMRのチャートである。
10:単層型電子写真感光体、12:基体、14:感光層、16:中間層、20:積層型電子写真感光体、20´:積層型電子写真感光体、20´´:積層型電子写真感光体、22:電荷輸送層、24:電荷発生層、25:中間層

Claims (3)

  1. 基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、
    前記感光層が、下記式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。

  2. 前記感光層が、積層型感光層であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記積層型感光層における前記式(5)または(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体の含有量が、前記積層型感光層における電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して、30〜100重量部の範囲内の値であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
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