JP5339829B2 - トリフェニルアミン誘導体、その製造方法及び電子写真感光体 - Google Patents
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Description
かかる有機感光体において用いられる正孔輸送剤としては、種々の化合物が挙げられるが、その中でも特にトリフェニルアミン誘導体は、電荷輸送能に優れており、正孔輸送剤として好適である。
このようなトリフェニルアミン誘導体としては、例えば、下記式(21)〜(22)で表される化合物(HTM−A〜B)が開示されている(例えば、特許文献1)。
したがって、かかるトリフェニルアミン誘導体を、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、感光層中での結晶化や分散不良が生じやすく、ひいては所望の感度特性を得ることが困難となるという問題が見られた。
そして、かかる特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体を、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、感光層中での結晶化や分散不良を効果的に抑制することができ、ひいては、電子写真感光体の感度特性を効果的に向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の目的は、溶剤への溶解性及び結着樹脂との相溶性に優れ、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性の向上に効果的に寄与するトリフェニルアミン誘導体、その製造方法及び電子写真感光体を提供することにある。
したがって、本発明の特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体であれば、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性の向上に効果的に寄与することができる。
このように構成することにより、特定構造のトリフェニルアミン誘導体分子における極性及び平面性をより好適な状態に調節し、溶剤への溶解性及び結着樹脂との相溶性をさらに向上させることができる。
このように構成することにより、π電子の広がり具合をより好適な状態に調節し、電荷輸送効率をさらに向上させることができる。
このように構成することにより、π電子の広がり具合をさらに好適な状態に調節し、電荷輸送効率をより一段と向上させることができる。
このように実施することにより、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率をより向上させることができる。
このように実施することにより、上述したパラジウム化合物の触媒活性が向上し、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率をさらに向上させることができる。
すなわち、本発明の電子写真感光体であれば、優れた感度特性を得ることができる。
このように構成した場合、同一層内に正孔輸送剤、電子輸送剤及び電荷発生剤をまとめて含有させる必要性が生じることから、積層型感光層の場合と比較して、感光層中での正孔輸送剤の分散性が低下し、ひいては感度特性が低下しやすくなるが、本発明であれば、優れた感度特性を得ることができる。
このように構成することにより、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の感光層中における分散性をより向上させて、さらに優れた感度特性を得ることができる。
第1の実施形態は、下記一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体である。
すなわち、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体であれば、アリールアミン基のパラ位に所定の炭素数のアリーロキシ基を有することから、溶剤への溶解性及び結着樹脂との相溶性を向上させることができ、感光層中での結晶化及び分散不良を効果的に抑制することができるためである。
その結果、本発明の特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体であれば、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、その感度特性の向上に効果的に寄与することができるためである。
まず、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基及びイソオクチル基等が挙げられる。
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、及びイソオクチルオキシ基等が挙げられる。
さらに、アラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基、6−フェニルヘキシル基等が挙げられる。
また、置換基Arは、置換基として炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜14の炭化水素環あるいは3〜10員環の複素環を有してもよい。
なお、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基としては上述した置換基が挙げられる。また、炭素数3〜14の炭化水素環としては、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、ナフタレン環、ベンゼン環が挙げられる。さらに、3〜10員環の複素環としてはフラン環、チオフェン環、ピリジン環が挙げられる。
すなわち、図1には、横軸に溶剤としてのテトラヒドロフラン(THF)に対するトリフェニルアミン誘導体の溶解度(%)を採り、縦軸に当該トリフェニルアミン誘導体を正孔輸送剤として用いた電子写真感光体を用いて画像形成を行った場合の黒点発生数(個/A4紙)を採った特性曲線が示してある。
ここで、縦軸に採った黒点発生数は、感光層中におけるトリフェニルアミン誘導体の分散性を評価する指標として測定している。
これは、感光層中におけるトリフェニルアミン誘導体の分散性が低下したり、あるいは結晶化したりして、当該化合物が過度に凝集して存在している場合、帯電工程を実施した際に、当該凝集箇所を通じてリーク電流が発生しやすくなり、ひいては形成画像において黒点が発生しやすくなるためである。
また、特性曲線を描く基礎となった2種類のマーカーは、それぞれ以下に示す構造的特徴を有するトリフェニルアミン誘導体に対応している。
◇:アリールアミン基のパラ位に所定のアリーロキシ基を有する。
●:アリールアミン基のパラ位に所定のアリーロキシ基を有さない。
なお、電子写真感光体は、単層型電子写真感光体として構成した。その他、溶解度及び黒点発生数の測定方法等については、実施例において記載する。
ここから、トリフェニルアミン誘導体の溶解度の値を大きくすることにより、その感光層中における分散性が向上することが理解される。
また、特性曲線の基礎となっているマーカーに着目すると、溶解度の値が15%以上の値であり、かつ、黒点発生数が50個/A4紙以下の値であるトリフェニルアミン誘導体は、アリールアミン基のパラ位に所定のアリーロキシ基を有するトリフェニルアミン誘導体であり(◇)、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体であることがわかる。
一方、溶解度の値が15%未満の値であり、かつ、黒点発生数が70個/A4紙を超えた値であるトリフェニルアミン誘導体は、アリールアミン基のパラ位に所定のアリーロキシ基を有さない、一般式(1)の範囲外のトリフェニルアミン誘導体(●)であることがわかる。
したがって、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体であれば、溶剤に対する溶解性に優れており、感光層中における分散性の向上に寄与することがわかる。
なお、溶剤は、感光層の結着樹脂を溶解させる特性を、必須の特性として有している。
したがって、トリフェニルアミン誘導体が溶剤に対する溶解性に優れている場合、結着樹脂との相溶性も優れることとなる。
すなわち、図2には、横軸にテトラヒドロフラン(THF)に対するトリフェニルアミン誘導体の溶解度(%)を採り、縦軸に感度特性の指標としての残留電位(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、電子写真感光体は、単層型電子写真感光体として構成した。その他、残留電位の測定方法等の詳細は実施例において記載する。
より具体的には、THFに対する溶解度の値を15%以上の値とすることにより、残留電位の値を130V以下の範囲に安定的に抑制できることがわかる。
したがって、上述した図1及び図2より、本発明のトリフェニルアミン誘導体であれば、正孔輸送剤として用いた場合、電子写真感光体の感度特性を効果的に向上させることができる旨が理解される。
この理由は、このような置換基とすることにより、特定構造のトリフェニルアミン誘導体分子における極性及び平面性をより好適な状態に調節し、溶剤への溶解性及び結着樹脂との相溶性をさらに向上させることができるためである。
この理由は、このようにすることにより、π電子の広がり具合をより好適な状態に調節し、電荷輸送効率をさらに向上させることができるためである。
この理由は、このようにすることにより、π電子の広がり具合をさらに好適な状態に調節し、電荷輸送効率をより一段と向上させることができるためである。
この理由は、このようにすることにより、π電子の広がり具合をさらに好適な状態に調節し、電荷輸送効率をより一段と向上させることができるためである。
第2の実施形態は、前述の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造方法であって、下記反応式(1)で表される反応を行う工程を含むことを特徴とするトリフェニルアミン誘導体の製造方法である。
当該準備工程は、反応式(1)における材料物質としての下記一般式(2)及び(5)で表される化合物を得るための工程である。
なお、一般式(2)及び(5)で表される化合物は、同様の工程によって得ることができることから、一般式(2)で表される化合物の準備工程のみを説明し、一般式(5)で表される化合物の準備工程についての説明は省略する。
なお、一般式(13)中におけるX1´は、ハロゲン原子を示す。
この理由は、亜リン酸トリエチルの添加割合がかかる下限値よりも小さくなると、一般式(14)で表される化合物の収率が過度に低下する場合があるためである。一方、亜リン酸トリエチルの添加割合がかかる上限値よりも大きくなると、未反応の亜リン酸トリエチルが過度に増加して、一般式(14)で表される化合物の精製が過度に困難となる場合があるためである。
なお、反応温度は、160〜200℃の範囲内の値とすることが好ましく、反応時間は、2〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、一般式(14)で表される化合物の添加割合がかかる下限値よりも小さくなると、一般式(2)で表される化合物の収率が過度に低下する場合があるためである。一方、一般式(14)で表される化合物の添加割合がかかる上限値よりも大きくなると、未反応の一般式(14)で表される化合物が過度に増加して、一般式(2)で表される化合物の精製が過度に困難となる場合があるためである。
なお、反応温度は、−20〜30℃の範囲内の値とすることが好ましく、反応時間は、5〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、触媒の添加量が1モル未満の値となると、一般式(14)で表される化合物と、一般式(15)で表される化合物と、の反応性が著しく低下するおそれがあるためである。一方、触媒の添加量が2モルを超えた値となると、一般式(14)で表される化合物と、一般式(15)で表される化合物と、の反応を制御することが困難になる場合があるためである。
次いで、本発明では、下記反応式(1)で表される反応を行い、準備工程で得られた一般式(2)及び(5)で表される化合物と、別途準備した一般式(3)で表される化合物と、を反応させて、最終目的物である一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を製造することを特徴とする(カップリング反応)。
この理由は、一般式(2)で表される化合物の添加割合がかかる下限値よりも小さくなると、一般式(4)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率が過度に低下する場合があるためである。一方、一般式(2)で表される化合物の添加割合がかかる上限値よりも大きくなると、未反応の一般式(2)で表される化合物が過度に増加して、一般式(4)で表される化合物の精製が過度に困難となる場合があるためである。
したがって、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物と、の反応割合(モル比)を、3:1〜1:1の範囲内の値とすることがより好ましく、2:1〜1:1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、反応温度は、80〜140℃の範囲内の値とすることが好ましく、反応時間は、2〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、触媒としてパラジウム化合物を用いることにより、一般式(4)で表される化合物の収率をより向上させ、ひいては一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率をより向上させることができるためである。
すなわち、パラジウム化合物であれば、反応式(1−1)で表される反応における活性化エネルギーを効果的に低下させることができるためである。
かかるパラジウム化合物としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物及びヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物等の四価パラジウム化合物類、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)及びジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)などの二価のパラジウム化合物類、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのパラジウム化合物類が挙げられる。
また、触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、パラジウム化合物の添加量を、一般式(3)で表される化合物1モルに対して0.00025〜20モルの範囲内の値とすることが好ましく、0.0005〜10モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、反応式(1−1)で表される反応を塩基の存在下に実施することにより、系中で発生するハロゲン化水素をすみやかに中和し、結果として触媒活性が向上し、ひいては一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率をさらに向上させることができるためである。
また、かかる塩基としては、無機塩基や有機塩基から選択することができ、特に限定されるものではないが、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド及びカリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコシドが好ましく、特に、ナトリウム−tert−ブトキシドが好ましい。また、リン酸三カリウム及びフッ化セシウム等の無機塩基も有効である。
また、かかる塩基の添加量は、パラジウム化合物の量にもよるが、例えば、一般式(3)で表される化合物1モルに対して、パラジウム化合物0.005モルを加えた場合であれば、0.995〜5モルの範囲内の値とすることが好ましく、1〜5モルの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、溶剤としては、例えば、キシレン等が挙げられる。
なお、一般式(2)で表される化合物と、一般式(5)で表される化合物と、が同じ化合物である場合には、上述した反応式(1−1)で表される反応を行う際に、下記反応式(1−2)で表される反応も行われることとなることから、下記反応式(1−2)で表される反応を別途行う必要はなくなる。
但し、この場合、反応式(1−1)で表される反応を行う際の式(2)で表される化合物、触媒及び塩基等の添加量を、通常の2倍量とすることが好ましい。
この理由は、一般式(5)で表される化合物の添加割合がかかる下限値よりも小さくなると、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の収率が過度に低下する場合があるためである。一方、一般式(5)で表される化合物の添加割合がかかる上限値よりも大きくなると、未反応の一般式(5)で表される化合物が過度に増加して、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の精製が過度に困難となる場合があるためである。
したがって、一般式(5)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物と、の反応割合(モル比)を、3:1〜1:1の範囲内の値とすることがより好ましく、2:1〜1:1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、反応温度は、80〜140℃の範囲内の値とすることが好ましく、反応時間は、2〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、触媒、塩基、溶剤等については、反応式(1−1)で表される反応と同様のものを使用することができる。
第3の実施形態は、基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、感光層が前述の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
以下、第1の実施形態及び第2の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第3の実施形態について、単層型電子写真感光体と、積層型電子写真感光体と、に分けて具体的に説明する。
本発明の電子写真感光体を、単層型電子写真感光体として構成することが好ましい。
この理由は、本発明の電子写真感光体を単層型電子写真感光体として構成した場合、正孔輸送剤としての特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の効果を、特に効果的に発揮させることができるためである。
すなわち、単層型電子写真感光体として構成した場合、同一層内に正孔輸送剤、電子輸送剤及び電荷発生剤をまとめて含有させる必要性が生じることから、積層型電子写真感光体として構成した場合と比較して、感光層中での正孔輸送剤の分散性が低下し、ひいては感度特性が低下しやすくなる。一方、本発明において使用される正孔輸送剤としての特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体であれば、感光像中での分散性にすぐれることから、単層型電子写真感光体として構成した場合であっても、優れた感度特性を得ることができるためである。
図3(a)に示すように、単層型電子写真感光体10は、基体12上に単一の感光層14を設けることによって構成することができる。
また、単層型電子写真感光体は、図3(b)に示すように、基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されている単層型電子写真感光体10´でもよい。
図3に例示する基体12としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
また、図3(b)に示すように、基体12上に、所定の結着樹脂を含有する中間層16を設けてもよい。
この理由は、基体と感光層との密着性を向上させるとともに、この中間層内に所定の微粉末を添加することで、入射光を散乱させて、干渉縞の発生を抑制すると共に、カブリや黒点の原因となる非露光時における基体から感光層への電荷注入を抑制することができるためである。この微粉末としては、光散乱性、分散性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等を用いることができる。
なお、中間層の膜厚は、0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、感光層に含有させる電荷発生剤としては、無金属フタロシアニン(τ型またはX型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される1種以上が好ましい。
また、かかる電荷発生剤の含有量は、電荷発生層の結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、既に第1の実施形態において詳述したように、正孔輸送剤としてかかる特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体を用いることにより、優れた感度特性を得ることができるためである。
この理由は、特定構造のトリフェニルアミン誘導体の含有量をかかる範囲とすることにより、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の感光層中における分散性をより向上させて、さらに優れた感度特性を得ることができるためである。
すなわち、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の含有量が20重量部未満の値となると、その絶対量が過度に不足して、十分な感度特性を得ることが困難となるためである。一方、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の含有量が150重量部を超えた値となると、感光層中での分散性が過度に低下して、結晶化しやすくなったり、電荷輸送効率が低下したりする場合があるためである。
したがって、特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体の含有量を、感光層の結着樹脂100重量部に対して、25〜125重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
例えば、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を除くトリフェニルアミン系化合物、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が挙げられる。なお、正孔輸送剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、かかるその他の正孔輸送剤を含有させる場合は、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体100重量部に対して、20〜150重量部の範囲内の値で含有させることが好ましい。
また、かかる電子輸送剤の含有量は、感光層の結着樹脂100重量部に対して、10〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、これらの結着樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。
なお、感光層の膜厚は、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
まず、溶剤に、電荷発生剤、正孔輸送剤としての特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体、電子輸送剤、結着樹脂及び添加剤等を含有させて感光層用塗布液を作成する。このようにして得られた塗布液を、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて導電性基材(アルミニウム素管)上に塗布する。
その後、例えば、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して、所定膜厚の感光層を形成することができる。
なお、分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
また、本発明の電子写真感光体を、積層型電子写真感光体として構成してもよい。
すなわち、図4(a)に示すように、本発明の電子写真感光体を、基体12上に電荷発生剤等を含有する電荷発生層24を設け、その上に電荷輸送剤等を含有する電荷輸送層22を設けた積層型電子写真感光体20として構成してもよい。
また、上述の構造とは逆に、図4(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
また、図4(c)に示すように、基体12上に中間層25を形成することも好ましい。
なお、電荷輸送層22においては、一般に、正孔輸送剤のみを含有させることが好ましいが、正孔輸送剤と電子輸送剤の両方を用いてもよい。
また、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の含有量としては、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して、20〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、電荷発生剤の含有量としては、電荷発生層の結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、電荷輸送層の膜厚は、5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、電荷発生層の膜厚は、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
1.トリフェニルアミン誘導体の製造
まず、下記反応式(2´)で表される反応を行って、式(14´)で表される化合物を得た。
すなわち、200ミリリットルのフラスコに、式(13´)で表される化合物15.2g(0.1mol)と、亜リン酸トリエチル25g(0.15mol)と、を収容し、180℃の温度条件下にて8時間撹拌を行った。
次いで、室温まで冷却した後、過剰な亜リン酸トリエチルを減圧留去して、式(14´)で表される化合物(白色液体)24.1gを得た(収率:90%)。
すなわち、500ミリリットルの2口フラスコに、得られた式(14´)で表される化合物13g(0.05mol)を収容した後、アルゴンガス置換を行い、さらに、乾燥させたテトラヒドロフラン(THF)100ミリリットルと、28%ナトリウムメトキシド9.3g(0.05mol)と、を加え、0℃の温度条件下にて、30分間撹拌を行った。
次いで、撹拌後の液に対し、式(15´)で表される化合物7g(0.05mol)を乾燥THF300ミリリットルに溶解させた状態で加え、室温にて、12時間撹拌を行った。
次いで、撹拌後の液をイオン交換水に注いだ後、トルエンにて抽出し、さらに有機層をイオン交換水にて5回洗浄した。その後、さらに有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、溶媒を留去し、残渣を得た。
次いで、得られた残渣に対し、トルエン/メタノール=20ミリリットル/100ミリリットル混合溶媒を用いた再結晶による精製を行い、式(2´)で表される化合物(白色結晶)10.22g得た(収率:85%)。
すなわち、2リットルの2口フラスコに、式(2´)で表される化合物12g(0.05mol)と、トリシクロヘキシルホスフィン(Pcy)0.0662g(0.000189mol)と、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)0.0864g(0.0000944mol)と、ナトリウム−tert−ブトキシド(t−BuONa)7.68g(0.08mol)と、式(3´)で表される化合物4.62g(0.025mol)と、を収容し、さらに、蒸留したo−キシレン500ミリリットルを加えた後、アルゴンガス置換を行い、120℃の温度条件下にて、5時間撹拌を行った。
次いで、室温まで冷却してから、有機層をイオン交換水にて3回洗浄し、さらに、有機層に対し、無水硫酸ナトリウム及び活性白土を用いて乾燥及び吸着処理を行った後、o−キシレンを減圧留去し、残渣を得た。
次いで、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)にて精製し、式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)11.8gを得た(収率80%)。得られたトリフェニルアミン誘導体の1H−NMR(300MHz)のチャートを図5に示す(溶媒:CDCl3、基準物質:TMS)。
ボールミルを用いて、電荷発生剤としての下記式(16)で表される無金属フタロシアニン(CGM−1)のX型結晶5重量部、正孔輸送剤としての式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)80重量部と、電子輸送剤としての下記式(17)で表されるジフェノキノン(ETM−1)50重量部と、結着樹脂としての下記式(18)で表されるポリカーボネート樹脂100重量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800重量部と、を50時間混合分散させて、感光層用塗布液を得た。
次いで、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた感光層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させてかかる塗布液を塗布した。その後、100℃、30分の条件で熱風乾燥を行って、膜厚25μmの感光層を形成し、単層型電子写真感光体を得た。
(1) 溶解性の評価
得られた正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体の溶解性を評価した。
すなわち、25℃の条件下にて、得られたトリフェニルアミン誘導体100mgに対して、テトラヒドロフランを少量添加した後、振動及び放置する工程を繰り返し、トリフェニルアミン誘導体の溶解が飽和したときのテトラヒドロフラン添加量X(mg)を求め、かかる値から、下記式によって溶解度を算出した。得られた結果を表1に示す。
溶解度(%)=100/(100+X)
(2)−1 残留電位の評価
得られた単層型電子写真感光体の残留電位を評価した。
すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC(株)製)を用いて、得られた単層型電子写真感光体の表面を+700Vに帯電させた。
次いで、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光強度:1.5μJ/m2)を、単層型電子写真感光体表面に対して1.5秒間照射し、照射開始から0.5秒経過した時点での表面電位を測定し、残留電位(V)とした。得られた結果を表1に示す。
また、得られた単層型電子写真感光体の感光層における結晶化の有無を評価した。
すなわち、光学顕微鏡を用いて、単層型電子写真感光体の表面における結晶の有無を確認し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:結晶が確認される。
△:若干結晶化が確認される。
×:結晶が確認されない。
実施例2では、単層型電子写真感光体の製造を行う際に、電子輸送剤として下記式(19)で表されるナフトキノン化合物(ETM−2)を用いたほかは、実施例1と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例3では、単層型電子写真感光体の製造を行う際に、電荷発生剤として下記式(20)で表されるチタニルフタロシアニン化合物(CGM−2)のY型結晶を用いたほかは、実施例2と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例4〜6では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(2´)で表される化合物の代わりに、下記式(2´´)で表される化合物を用い、式(7)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−2)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例7〜9では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(2´)で表される化合物の代わりに、下記式(2´´´)で表される化合物を用い、式(8)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−3)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例10〜12では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(2´)で表される化合物のほかに、さらに、下記式(5´)で表される化合物を用いて、下記反応式(1´´)で表される反応を行い、式(9)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−4)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例13〜15では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(3´)で表される化合物の代わりに、下記式(3´´)で表される化合物を用い、式(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−5)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
また、得られたトリフェニルアミン誘導体の1H−NMR(300MHz)のチャートを図6に示す(溶媒:CDCl3、基準物質:TMS)。
実施例16〜18では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(3´)で表される化合物の代わりに、下記式(3´´´)で表される化合物を用い、式(11)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−6)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例19〜21では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(3´)で表される化合物の代わりに、下記式(3´´´´)で表される化合物を用い、式(12)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−7)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例1〜3では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(3´)で表される化合物の代わりに、下記式(3a)で表される化合物を用い、式(21)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−A)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例4〜6では、トリフェニルアミン誘導体の製造における材料物質として、式(3´)で表される化合物の代わりに、下記式(3b)で表される化合物を用い、式(22)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−B)を得たほかは、実施例1〜3と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例22では、単層型電子写真感光体の製造を行う際に、電子輸送剤として下記式(23)で表されるジナフトキノン化合物(ETM−3)を用いたほかは、実施例1と同様にトリフェニルアミン誘導体及び単層型電子写真感光体を製造し、黒点発生の評価を行った。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、プリンタ(京セラミタ(株)製、DP−560)に装着し、40℃、90%の環境条件下で、A4(富士ゼロックス(株)製、上質PPC用紙)を5000枚連続印刷した。
その後、6時間放置した後、A4紙の白紙原稿を印字して、そのA4紙上に発生した黒点の発生数を計数するとともに、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表2に示す。
○:A4紙1枚あたり黒点の発生が50個未満の値である。
×:A4紙1枚あたり黒点の発生が50個以上の値である。
実施例23では、単層型電子写真感光体の製造を行う際に、電荷発生剤として式(20)で表されるチタニルフタロシアニン化合物(CGM−2)のY型結晶を用いたほかは、実施例22と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例24〜25では、正孔輸送剤として式(7)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−2)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例26〜27では、正孔輸送剤として式(8)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−3)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例28〜29では、正孔輸送剤として式(9)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−4)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例30〜31では、正孔輸送剤として式(10)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−5)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例32〜33では、正孔輸送剤として式(11)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−6)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例34〜35では、正孔輸送剤として式(12)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−7)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例7〜8では、正孔輸送剤として式(21)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−A)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例9〜10では、正孔輸送剤として式(22)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−B)を製造して用いたほかは、実施例22〜23と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
その結果、かかる特定構造を有するトリフェニルアミン誘導体を、電子写真感光体の正孔輸送剤として用いた場合には、感光層中での結晶化や分散不良を効果的に抑制することができ、ひいては、電子写真感光体の感度特性を効果的に向上させることができるようになった。
したがって、本発明のトリフェニルアミン誘導体、その製造方法及び電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における高速化、高性能化に寄与することが期待される。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体。
(一般式(1)中、R 1 〜R 3 、R 6 〜R 9 、R 12 〜R 13 は、それぞれ独立した水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数6〜20のアリール基あるいは炭素数7〜20アラルキル基であり、R 4 〜R 5 、R 10 〜R 11 は、水素原子であり、Arは、置換基として炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜14の炭化水素環あるいは3〜10員環の複素環を有してもよい炭素数6〜20のアリール基であり、置換基数nは、0〜4の整数であり、繰り返し数o及びpは、それぞれ独立した0〜1の整数である。) - 前記一般式(1)中の置換基Arが、置換基としてメチル基またはメトキシ基を有してもよいフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載のトリフェニルアミン誘導体。
- 前記一般式(1)中の二つのフェニルエテニル構造またはフェニルブテニル構造が、共にトリフェニルアミン構造におけるフェニル基のパラ位に位置することを特徴とする請求項1または2に記載のトリフェニルアミン誘導体。
- 前記一般式(1)中の繰り返し数o及びpが、共に1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のトリフェニルアミン誘導体。
- 一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造方法であって、
下記反応式(1)で表される反応を行う工程を含むことを特徴とするトリフェニルアミン誘導体の製造方法。
(一般式(1)中、R 1 〜R 3 、R 6 〜R 9 、R 12 〜R 13 は、それぞれ独立した水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数6〜20のアリール基あるいは炭素数7〜20アラルキル基であり、R 4 〜R 5 、R 10 〜R 11 は、水素原子であり、Arは、置換基として炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜14の炭化水素環あるいは3〜10員環の複素環を有してもよい炭素数6〜20のアリール基であり、置換基数nは、0〜4の整数であり、繰り返し数o及びpは、それぞれ独立した0〜1の整数である。)
(一般式(2)及び(5)中、X1及びX2は、それぞれ独立したハロゲン原子であり、一般式(1)〜(5)中のその他の置換基は、一般式(1)中で説明した内容と同様である。) - 前記反応式(1)で表される反応において、触媒としてパラジウム化合物を用いることを特徴とする請求項5に記載のトリフェニルアミン誘導体の製造方法。
- 前記反応式(1)で表される反応を、塩基の存在下にて行うことを特徴とする請求項5または6に記載のトリフェニルアミン誘導体の製造方法。
- 基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、
前記感光層が、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
(一般式(1)中、R 1 〜R 3 、R 6 〜R 9 、R 12 〜R 13 は、それぞれ独立した水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数6〜20のアリール基あるいは炭素数7〜20アラルキル基であり、R 4 〜R 5 、R 10 〜R 11 は、水素原子であり、Arは、置換基として炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜14の炭化水素環あるいは3〜10員環の複素環を有してもよい炭素数6〜20のアリール基であり、置換基数nは、0〜4の整数であり、繰り返し数o及びpは、それぞれ独立した0〜1の整数である。) - 前記感光層が、単層型感光層であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体。
- 前記単層型感光層における前記一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の含有量が、前記感光層における結着樹脂100重量部に対して、20〜150重量部の範囲内の値であることを特徴とする請求項8または9に記載の電子写真感光体。
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