前述のように外枠に対し本体が回動可能であり、この本体に対し裏カバー部材が回動可能であるのは、パチンコ機を島に組み込んだ状態のままで、遊技盤の背面の装置に対しメンテナンスを行えるようにするためである。このメンテナンスの際、作業者は外枠に対し前面扉と本体とを外枠に対し前方に90°程度回動させた状態で裏カバー部材を本体に対し90°程度回動させることによって、あるいは前面扉と本体とを外枠に対し90°程度よりも小さな角度まで回動させた状態で裏カバー部材を本体から取り外すことによって、遊技盤の背面の装置と作業者との間に作業スペースを確保する。
パチンコ機の島ではパチンコ機は別のパチンコ機と上下方向に長細いカードリーダを挟んで隣接して位置する。また、遊技場で平行して位置する島間の通路の幅は大人1人分程度という狭さであることが多い。これらのことを考慮すると、前面扉と本体とを外枠に対し90°程度も前方へ回動させた場合、メンテナンスの対象となったパチンコ機と隣接する別のパチンコ機の遊技者、および、島間の通路の通行人にとって前面扉が邪魔になりかねない。また、裏カバー部材を本体から取り外すことで外枠に対する前面扉と本体との回動角度を90°程度よりも小さく済ませる場合、メンテナンス前の裏カバー部材の取外しとメンテナンス後の裏カバー部材の取付けとが煩わしい。
そこで、本願発明者は、本体の回転端と裏カバー部材の回転端との両方を、外枠の左右方向における一方側に設けることを考案した。この考案に係るパチンコ機によれば、本体を外枠に対し前方へ回動させた状態において裏カバー部材を本体に対し回動させることで、本体の自由端側から遊技盤の背面側を露出させることができる。この結果、本体の外枠に対する前方への回動角度を90°程度も回動させることなく、かつ裏カバー部材の本体に対する取外しと取付けを行わずに、遊技盤の背面の装置に対しメンテナンスを行うことができる。
しかし、その考案に係るパチンコ機においては、裏カバー部材は本体の背面に取り付けられるものであり、裏カバー部材の回転端は本体の回転端よりも後方に位置するので、本体が外枠に対して前方へ回動すると、裏カバー部材は外枠に対し左右方向における一方から他方に向かって移動することになる。このため、裏カバー部材の自由端が本体に係止されていない状態で本体を外枠に対し前方へ回動させたとき、裏カバー部材の自由端は、本体に係止されていた状態での軌道の外側に移動する。したがって、裏カバー部材の自由端が本体に係止されていない状態で本体が外枠に対し前方へ回動されると、裏カバー部材の自由端が、本体の回転端側とは反対側の外枠の側部、または、この側部の近傍に位置するパチンコ機の周辺機器(例えばカードリーダ)に引っ掛かり、このことに気付かずにさらに本体を外枠に対し前方へ回動させると、裏カバー部材または本体に無理な力が与えられ裏カバー部材または本体を損傷させてしまう、という問題が生じた。
本発明は前述の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、本体の回転端と裏カバー部材の回転端との両方が外枠の左右方向における一方側に設けられたパチンコ機であって、裏カバー部材の自由端が外枠または周辺機器に引っ掛かった状態で本体を前方へ回動させた場合に、裏カバー部材および本体の損傷を防止できるパチンコ機を提供することにある。
前述の目的を達成するために本発明は次のように構成されている。
遊技球が流下する遊技領域が前面に設けられた遊技盤を有する本体と、この本体が内側に嵌め込まれた外枠と、前記遊技盤の背面を覆う裏カバー部材とを備え、前記本体は前記外枠の左右方向における一方の側部に前方へ回動可能に取り付けられたパチンコ機において、前記裏カバー部材の左右方向における一方の側部を、前記本体の左右方向における一方の側部に対し、前記本体の前記外枠に対する回動の回転端よりも後方において回動可能に支持する回動支持手段と、前記裏カバー部材の左右方向における一方側とは反対側の他方の側部を、前記本体の左右方向における他方の側部に対し着脱可能とする着脱手段と、が設けられ、前記回動支持手段は、前記裏カバー部材および前記本体のいずれか一方に設けられて上下方向を軸方向とする軸部と、前記裏カバー部材および前記本体のいずれか他方に設けられ、前記軸部が挿入された軸受部と、を備え、前記軸受部は、前記軸部の軸方向に直交する切断面での前記軸受部の断面形状がC字形状に形成されて前記軸部をこの軸部の周方向に180°よりも大きな角度範囲で包囲して位置するものであり、かつ、前記軸部の周方向における両端間にあいた開口部が広がるよう弾性変形可能なものであり、前記開口部は前記軸受部の弾性変形により前記軸部が通過可能に広がることによって、前記裏カバー部材が前記本体に対し左右方向における他方側から一方側に向かう方向に移動するよう前記軸部と前記軸受部の相対移動を許可することを特徴とする。
このように構成された本発明に係るパチンコ機において、本体は外枠の左右方向における一方の側部に前方へ回動可能に取り付けられている。そして、裏カバー部材の左右方向における一方の側部は回動支持手段によって、本体の左右方向における一方の側部に対し、本体の外枠に対する回動の回転端よりも後方において回動可能に支持されている。つまり、本発明に係るパチンコ機は、本体の回転端と裏カバー部材の回転端との両方が外枠の左右方向における一方側に設けられたものである。
また、軸受部は、軸方向に直交する切断面での軸受部の断面形状がC字形状に形成されて軸部をこの軸部の周方向に180°よりも大きな角度範囲で包囲して位置するものであり、かつ、軸部の周方向における両端間にあいた開口部が弾性変形により広がるものである。そして、開口部は軸受部の弾性変形により軸部が通過可能に広がることによって、裏カバー部材が本体に対し左右方向の他方側から一方側に向かう方向に移動するよう軸部と軸受部の相対移動を許可する。裏カバー部材の自由端が外枠またはパチンコ機の周辺機器に引っ掛かった状態で本体を前方へ回動させると、裏カバー部材は外枠または周辺機器から反力を受ける。この反力には左右方向の他方から一方に向かう方向の成分が含まれている。ここで、軸部が裏カバー部材に設けられており軸受部が本体に設けられているとすると、その反力の成分によって軸部が開口部近傍に位置する軸受部の内面に押し付けられ、これによって軸受部が弾性変形して開口部が広がり、軸部が開口部内を移動して軸受部から離脱する。つまり、裏カバー部材の自由端が外枠または周辺機器に引っ掛かった状態で本体が外枠に対し前方へ回動した場合に、裏カバー部材の軸部が本体の軸受部から離脱することによって、裏カバー部材および本体の損傷を防止することができる。
なお、軸部が本体に設けられており軸受部が裏カバー部材に設けられている場合には、外枠または周辺機器から裏カバー部材への反力の成分によって開口部近傍の軸受部の内面が軸部に押し付けられ、これによって軸受部が弾性変形して開口部が広がり、軸受部が開口部を通じて軸部から離脱する。したがって、裏カバー部材の自由端が外枠またはパチンコ機の周辺機器に引っ掛かった状態で本体が外枠に対し前方へ回動した場合に、裏カバー部材および本体の損傷を防止することができる。
本発明に係るパチンコ機によれば、本体を外枠に対し前方へ回動させた状態では、裏カバー部材を本体に対し回動させると、本体の回動の自由端側から遊技盤の背面が露出するので、本体を外枠に対して90°程度まで回動させることなく、さらに裏カバー部材を本体から取り外すこともなく、遊技盤の背面の装置に対してメンテナンスを行うことができる。
さらに、裏カバー部材の自由端が外枠またはパチンコ機の周辺機器に引っ掛かった状態で本体が外枠に対し前方へ回動した場合に、軸部と軸受部とが離脱することによって、裏カバー部材および本体の損傷を防止することができる。
本発明の一実施形態に係るパチンコ機について図1〜図20を用いて説明する。なお、ここでは、パチンコ機の左右方向を、パチンコ機に対面する遊技者の左右方向として説明している。
図1に示すように、本実施形態に係るパチンコ機1は左右方向よりも上下方向に長い長方形状に形成された外枠20と、この外枠20の左右方向における一方の側部(図1の左側の長辺)に開き戸状に回動可能に取り付けられた前面扉3とを備えている。前面扉3には、透明窓4が設けられている。前面扉3の透明窓4の下方には、遊技球を収容する受け皿5と、遊技球の発射強度を調整するためのハンドル6とが、前方に突出して設けられている。前面扉3の左上部および右上部のそれぞれには、スピーカ7,8のそれぞれが取り付けられている。また、前面扉3の左下方にはスピーカ7,8よりも大きなスピーカ9が設けられている。このスピーカ9は前面扉3とは別体である。
図2〜図6を参照して分かるように、外枠20の内側には、左右方向よりも上下方向に長い長方形状の本体枠30が嵌め込まれている。この本体枠30には、前面に遊技球が流下する楕円形の遊技領域31aが設けられた遊技盤31(図3に示す)が嵌め込まれる。その遊技領域31aは前面扉3の透明窓4を透かして見えるものである。遊技領域31aには、特別図柄を表示する特別図柄表示装置、普通図柄を表示する普通図柄表示装置が設けられている(図示省略)。遊技領域31aの略中央には液晶表示装置を視認可能にする視認窓が設けられており、その視認窓の周囲には可動役物装置が設けられている(図示省略)。液晶表示装置は特別図柄に係る電子抽選を演出するための画面を表示するものであり、可動役物装置は構造物を機構により動作させることで、特別図柄に係る電子抽選を演出するものである。遊技領域31aには、それらの他にも、電飾のためのLED、電動チューリップ、大入賞口装置(アタッカー)が設けられている(図示省略)。このように遊技領域31aに設けられた種々の装置を駆動制御するための諸装置が遊技盤31の背面に設けられている(図示省略)。それら諸装置を含む遊技盤31と本体枠30とによってパチンコ機1の本体が構成されている。
本体枠30の背面には、裏カバー部材40が設けられている。この裏カバー部材40は前面側で開口し後方に奥行きを有した形状であり、遊技盤31の背面の諸装置を覆っている。
本体枠30の背面上部には、パチンコ機の島上部に設置された上部タンクから供給される遊技球を貯留する貯留タンク34が設けられている。この貯留タンク34は左右方向に長い形状を成しており、その左端下部から遊技球を排出するようになっている。本体枠30の左辺30aの背面には管部材35が上下方向に延びて設けられている。この管部材35の内部には、遊技球の通路が形成されており、貯留タンク34から排出された遊技球はその通路を通じて払出装置36に導かれる。払出装置36は貸出数または賞球数に応じて制御され、貯留タンク34からの遊技球を受け皿5に供給する。貯留タンク34、管部材35および払出装置36もパチンコ機1の本体に含まれている。
図7(a)と同図(b)を比較して分かるように、パチンコ機1において、本体枠30は外枠20の前面側において、外枠20の左右方向における一方の側部である左辺20aに、外枠20の内側から前方(矢印Kf方向)へ回動可能に取り付けられている。その取付構造は、外枠20の左辺20aの上端から前方に張り出した上側支持部22と、本体枠30の左辺30aの上端から前方に張り出した上側張出部32とが回動可能にピン結合され、かつ、外枠20の左辺20aの下端寄りの中間部から前方に張り出した下側支持部23と、本体枠30の左辺30aの下端から前方に張り出した下側張出部33とが回動可能にピン結合されて構成されている(図5,図18参照)。なお、前面枠3も同様にして外枠20に回動可能に結合されており、外枠20に対する前面枠3と本体枠30の回動中心は同軸に設定されている。
図7(a)と同図(c)を比較して分かるように、裏カバー部材40は左右方向における本体の一方の側部、すなわち本体枠30の左辺30aに、後方(矢印Ko方向)へ回動可能に取り付けられている。
図8(a)と同図(b)を比較して分かるように、裏カバー部材40の右側部は、後側に位置する部分ほど左側に位置するよう傾斜している。これは、本体枠30の回動に伴う裏カバー部材40の移動時に裏カバー部材40が外枠20に接触しない範囲で、裏カバー部材40の右側部をできるだけ外側に位置させるため、すなわち、遊技盤31の背面に対し裏カバー部材40が覆う左右方向の領域をできるだけ広くするためである。同図(b)中の太い2点鎖線は、裏カバー部材40の右側部のうち本体枠30の回動中心から最も離れて位置する角部40aの軌道の一部を示す。
裏カバー部材40が本体枠30に対し回動可能に取り付けられていることは既に述べた。その取付構造について、図5,図9〜図12を用いて次に説明する。
図9に示すように、裏カバー部材40の左右方向における一方の側部、すなわち、本体枠30の外枠20に対する回動の回転端と同じ側である左側部(図9では右側に位置する)には、左方に突出した突出部50が、上下方向に2つ並んで設けられている。突出部50からは、上下方向を軸方向とする軸部51が下方に突起している。管部材35の背面には、前方に窪んだ切欠き60が上下方向に2つ並んで設けられている。切欠き60の内面下部は、下方に窪んで軸受部61を成している。図5,図12を参照して分かるように、上側の切欠き60には上側の突出部50が挿入され、下側の切欠き60には下側の突出部50が挿入される。図11,図12を参照して分かるように、軸部51は軸受部61に挿入されている。軸部51と軸受部61は相対的に回動可能である。つまり、軸部51と軸受部61は、裏カバー部材40の左側部を、本体枠30の左側部に対し回動可能に支持する回動支持手段を構成している。裏カバー部材40は回動支持手段により、本体枠30に対し軸部51を中心に回動可能である。特に、本体枠30が外枠20に対し回動していない状態において、裏カバー部材40の回動方向は、後方(矢印Ko方向)となる。
図11に示すように、軸部51は、軸方向に直交する方向の断面形状が略円形に形成されている。図13に示すように、軸受部61は、軸部51の軸方向に直交する切断面での軸受部61の断面形状がC字形状に形成されて軸部51をこの軸部51の周方向に180°よりも大きな角度範囲で包囲して位置するものであり、かつ、軸部51の周方向における両端間にあいた開口部62が広がるよう弾性変形可能なものである。開口部62は軸受部61の弾性変形で軸部51が通過可能に広がることによって、裏カバー部材40が本体枠30に対し左右方向における他方側(右側)から一方側(左側)に向う方向、すなわち左方向(矢印L方向)に移動するよう軸部51と軸受部61の相対移動を許可する。
軸受部61について次に詳細に説明する。
管部材35は第1部材35aと第2部材35bとを左右方向において結合して成る。これら第1部材35aと第2部材53bはいずれも合成樹脂が成形されたものである。第1部材35aには軸部51の略半周を包囲する半筒面61aが形成されている。第2部材35bには、開口部62の上部領域を狭めるよう突起する2つの狭窄突起63が設けられている。これら狭窄突起61の軸部51側の面と半筒面61aとによって軸受部61は、全体としてC字形状を成している。狭窄突起63の間隔寸法は軸部51の径寸法よりも小さく設定されており、これによって、軸受部61は軸部51をこの軸部51の周方向に180°よりも大きな角度範囲で包囲して位置する。軸受部61の弾性変形により開口部62のうち2つの狭窄突起63間の間隔寸法が軸部51の径寸法よりも大きく広がることで、軸部51が開口部62を通過することによる軸部51と軸受部61との相対移動が許可される。
開口部62は、切欠き60の下面に形成された溝部64と連続している。この溝部64は、開口部62から右方向に延びて管部材35の右側面で開口している。溝部64の前後方向の寸法は、軸部51の径寸法よりも大きい。つまり、軸部51と軸受部61が開口部62を通じて離脱する際、軸部51は軸受部61から溝部64に移動するようになっている。
図12に示すように、突出部50の軸部51の上方には、後方に鍔状に突出した後鍔部53と、前方に鍔状に突出した前鍔部52とが設けられている。これら後鍔部53と前鍔部52は、軸部51が軸受部61に挿入された状態において、軸受部61の上端に当接し軸部51が下方に移動するのを規制している。
また、管部材35の切欠き60の内面には、後方に突出した規制部65が設けられている。この規制部65は、軸部51の前鍔部52に対し上方から重なって位置する。つまり、規制部65は前鍔部52の上方への移動を規制し、これによって軸部51が軸受部61から抜けるのを防止している。ただし、裏カバー部材40の本体枠30に対する後方への回動角度が所定角度以上となった状態では、前鍔部52は規制部65の右側方(図12(a)では左側方)に位置し、すなわち規制部65が上方に重なった状態から脱し、これによって軸部51を軸受部61から上方に抜くこと、すなわち、裏カバー部材40を本体枠30から取り外すことが許可された状態となる。
図13に示すように、裏カバー部材40の左右方向における他方の側部である右側部(図13では左側に位置する)、すなわち裏カバー部材40の本体枠30に対する回動の自由端には、可動係止部70が上下方向に並んで設けられている。この可動係止部70は、前方に延びて左右方向の可撓性を有する片持ち梁状の可撓部71と、この可動係止部70の先端に設けられた爪部72とを有している。図14,図15を参照して分かるように、本体の右側部、すなわち本体枠30の右辺30bには、爪部72が係止される固定係止部80が設けられている。爪部72は、外枠20に対し本体枠30が回動していない状態で、かつ、本体枠30に対し裏カバー部材40が回動していない状態において、先端から後方に位置する部分ほど右方に位置するよう形成された斜面72aと、この斜面72aの後端から左方に広がった返り面72bとを有する。固定係止部80は、可動係止部70の爪部72の返り面72bに、前方から当接される係止面81と、この係止面81の左端から後方に広がり可撓部71が右方向に復元するのを規制する規制面82とを有する。可動係止部70の可撓部71を左方向に撓ませることで、可動係止部70の爪部72が固定係止部80の係止面81よりも左側に移動し、これにより裏カバー部材40の本体枠30に対する係止が解除された状態、すなわち、図14(b)示すように裏カバー部材40を本体枠30に対し後方(矢印Ko方向)へ回動させることができる状態となる。逆に、裏カバー部材40が本体枠30に対し後方へ回動した状態から、本体枠30に対し裏カバー部材40を前方へ回動させつつ、可動係止部70の可撓部71を左方向に撓ませ、固定係止部80の係止面81よりも可動係止部70の返り面72bを前方に移動させた後に復元させることによって裏カバー部材40を本体枠30に係止させることができる。つまり、可動係止部70と固定係止部80は、裏カバー部材40の右側部を、本体枠30の右側部に対し着脱可能とする着脱手段を構成している。
図13に示すように、裏カバー部材40の可動係止部70よりも上方には、ガイド突起90が前方に突出して設けられている。図16,図17を参照して分かるように、ガイド突起90の前端部の右側部分にはカバー側横ガイド面91が設けられている。このカバー側横ガイド面91は、後方に位置する部分ほど右方に位置するよう、すなわち上面視において右斜め後方に傾斜している。本体枠30の上部には、右方に位置する部分ほど後方に位置するよう傾斜した本体側横ガイド面93が設けられている。また、図18,図19を参照して分かるように、ガイド突起90の前端部の下側部分にはカバー側縦ガイド面92が設けられている。外枠20に対し本体枠30が回動していない状態で、かつ、本体枠30に対し裏カバー部材40が回動していない状態において、カバー側縦ガイド面92は前方に位置する部分ほど上方に位置するよう傾斜している。本体枠30の上部には、本体側縦ガイド面94が設けられている。外枠20に対し本体枠30が回動していない状態において、本体側縦ガイド面94は、本体側横ガイド面93の下端から広がっており、前方に位置する部分ほど上方に位置するよう傾斜している。本体側横ガイド面93および本体側縦ガイド面94の左方には、前方に向かって窪んだ凹部95が設けられている。図16に示すように、裏カバー部材40の本体枠30に対する前方への回動に伴い、ガイド突起90は本体枠30に対し円弧状の軌跡を描きながら前方(矢印Kc方向)に移動し、本体側横ガイド面93および本体側縦ガイド面94のそれぞれに対し、カバー側横ガイド面91およびカバー側縦ガイド面92のそれぞれの位置で接する。これによって、ガイド突起90は前方へ移動しながら左上方に案内され、その後、本体側横ガイド面93および本体側縦ガイド面94よりも左方まで移動して凹部95に嵌り込む。
裏カバー部材40の軸部51と管部材35の軸受部61との間にはクリアランスが設けられており、さらに管部材35の本体枠30に対する取付けには遊びが設けられているため、裏カバー部材40の自由端が本体枠30から離れた状態では裏カバー部材40の自重によって、自由端側が回転端側よりも下方に傾いた状態となる。裏カバー部材40の本体枠30に対する前方への回動中、ガイド突起90はカバー側横ガイド面91、カバー側縦ガイド面92、本体側横ガイド面93および本体側縦ガイド面94により左上方に案内されることによって、裏カバー部材40は回転端側が自由端側よりも下方に傾いた状態から、傾いていない状態に矯正される。また、可動係止部70の爪部72は、ガイド突起90がカバー側縦ガイド面92、本体側横ガイド面93および本体側縦ガイド面94により案内されることによって、固定係止部80に係止される高さ位置に案内される。裏カバー部材40の剛性は、ガイド突起90が凹部95に挿入され、かつ可動係止部70が固定係止部80に係止された状態で確保されるようになっている。
このように構成された本実施形態に係るパチンコ機1においては、裏カバー部材40は本体枠30の背面に取り付けられるものであり、裏カバー部材40の本体枠30に対する回動の回転端は本体枠30の外枠20に対する回転端よりも後方に位置するので、本体枠30が外枠20に対し前方へ回動すると、裏カバー部材40は外枠20に対し左右方向における一方側から他方側に向かって、すなわち右方向に移動することになる。このため、裏カバー部材40の本体枠30に対する回動の自由端は、本体枠30に係止されていない状態で、すなわち可動係止部70の爪部72が固定係止部80の係止面81に係止されていない状態で、本体枠30を外枠20に対し前方へ回動させたとき、本体枠30に係止されていた状態での軌道(図8(b)参照)よりも右側に移動する。したがって、図20,図21に示すように裏カバー部材40の自由端(右端部)が外枠20の右辺20bまたはパチンコ機1の周辺機器であるカードリーダ100に引っ掛かってしまう。
裏カバー部材40の自由端が外枠20またはカードリーダ100に引っ掛かった状態で本体枠30を前方へ回動させると、裏カバー部材40は外枠20またはカードリーダ100から反力を受ける。この反力は左方向の成分を含んでいる。その左方向の成分によって軸部51が軸受部61の2つの狭窄突起63に押し付けられ、これによって軸受部61が弾性変形して2つの狭窄突起63の間隔が前後方向に広がり、軸部51が開口部62内を移動して軸受部61から離脱する。このとき、軸部51は軸受部61から溝部64に移動し、これにより、軸受部61から離脱すると同時に裏カバー部材40が本体枠30から落下することが防止される。
本実施形態に係るパチンコ機1によれば次の効果を得られる。
本実施形態において、本体枠30を外枠20に対し前方へ回動させた状態では、裏カバー部材40を本体枠30すなわち本体に対し回動させると、本体枠30の回動の自由端側から遊技盤31の背面が露出するので、本体を外枠に対して90°程度回動させることなく、さらに、裏カバー部材40を本体から取り外すことなく、遊技盤31の背面の諸装置に対するメンテナンスを行うことができる。
さらに、本実施形態においては、裏カバー部材40の自由端が外枠20またはカードリーダ100に引っ掛かった状態で本体枠30を外枠20に対し前方へ回動させた場合に、裏カバー部材40に設けられた軸部51が本体枠30に設けられた軸受部61から離脱することによって、裏カバー部材40および本体の損傷、特に裏カバー部材40と管部材35と結合部の損傷、および、管部材35と本体枠30との結合部の損傷を防止することができる。
なお、前述の実施形態において、回動支持手段の軸部51が裏カバー部材40に設けられており、軸受部61が本体に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、軸部51が本体に設けられており、軸受部61が裏カバー部材40に設けられていてもよい。この場合、図22に示すように、軸部51に対する開口部62の位置は、前述の実施形態における左側とは反対側の右側となり、裏カバー部材40の自由端(右端部)が外枠20またはカードリーダ100に引っ掛かった状態で本体枠30を外枠20に対し前方へ回動させた場合に、裏カバー部材40に設けられた軸受部61が本体枠30に設けられた軸部51から離脱することによって、裏カバー部材40および本体枠30の損傷を防止することができる。