以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による外観検査装置100の構造について説明する。なお、第1実施形態では、「検査装置」の一例である外観検査装置100に本発明を適用した場合について説明する。
図1に示すように、第1実施形態による外観検査装置100は、複数の部品(部品120、121および122)(図3参照))がプリント基板130(図3参照))に実装された検査対象物(実装済み基板110)(図3参照))に対して、部品の実装状態を検査するための装置である。図3に示すように、実装済み基板110には、配線パターン(図示せず)が形成されたプリント基板130上の所定位置に集積回路などの電子部品(部品120、121および122)が多数配置されている。外観検査装置100は、部品の実装状態として、部品(部品120、121および122)が搭載されているか否か(欠品検査)、部品120(121および122)の設計位置に対する位置ズレの量が許容範囲内か、部品120(121および122)の向きが適正か否かなどの各種検査を行うように構成されている。なお、実装済み基板110は、本発明の「検査対象物」の一例である。
図1に示すように、外観検査装置100は、基台1上に設けられた実装済み基板110(図3参照)を搬送するための基板搬送コンベア10と、実装済み基板110をY方向に移動させる移動テーブル20と、ユニット支持部30と、ユニット支持部30によりX方向に移動可能に支持される撮像ユニット40と、制御装置50(図5参照)とを主に備えている。以下、外観検査装置100の具体的な構造を説明する。
基板搬送コンベア10は、実装済み基板110(図3参照)を保持してX方向に搬送することによって、外観検査装置100への実装済み基板110の搬入、検査位置への搬送および外観検査装置100からの実装済み基板110の搬出を行う機能を有する。基板搬送コンベア10は、装置上流側(矢印X2方向側)の搬入部11と、装置下流側(矢印X1方向側)の搬出部12と、移動テーブル20上に設けられた移動部13とを含んでいる。
搬入部11および搬出部12は、X方向に延びる一対のコンベア部をそれぞれ有している。具体的には、搬入部11および搬出部12は、それぞれ基台1上に固定的に設けられた矢印Y2方向側の前側コンベア11aおよび12aと、基台1に対してY方向に移動可能に設けられた矢印Y1方向側の後側コンベア11bおよび12bとを有している。搬入部11および搬出部12は、この後側コンベア11bおよび12bを図示しないモータにより駆動してY方向に同期して移動させることにより、コンベアの間隔(前側コンベアと後側コンベアとの間のY方向の距離)を搬送される実装済み110の幅(Y方向の幅)に応じて調整することが可能なように構成されている。
また、移動部13は、Y方向に移動可能な移動テーブル20上に設けられたX方向に延びる一対のコンベア部をそれぞれ有している。具体的には、移動部13は、移動テーブル20上に固定的に設けられた前側コンベア13aと、移動テーブル20に対してY方向に移動可能に設けられた後側コンベア13bとを有している。移動部13は、この後側コンベア13bを図示しないモータにより駆動してY方向に移動させることにより、コンベア間隔(前側コンベアと後側コンベアとの間のY方向の距離)を搬送される実装済み基板110の幅に応じて調整することが可能なように構成されている。また、移動部13は、図示しない保持機構によって実装済み基板110を移動部13上の所定位置に固定的に保持することが可能なように構成されている。
また、移動部13がY方向において搬入部11と位置が一致した状態で、搬入部11の前側コンベア11a、後側コンベア11b、移動部13の前側コンベア13a、後側コンベア13bが同期して駆動されることにより、実装済み基板110が搬入部11から移動部に搬入されるように構成されている。そして、移動部13がY方向において搬出部12と位置が一致した状態で、搬出部12の前側コンベア12a、後側コンベア12b、移動部13の前側コンベア13a、後側コンベア13bが同期して駆動されることにより、検査済みの実装済み基板110が移動部13から搬出部12に搬出されるように構成されている。
また、移動テーブル20は、移動部13が載置されたテーブル21と、基台1上にY方向に延びるように固定的に設けられた一対のガイドレール22と、Y方向に延びるように回転可能に設けられたボールネジ軸23と、ボールネジ軸23を軸回りに回転駆動するためのY軸モータ24とを含んでいる。テーブル21は、基台1上でガイドレール22に沿って移動可能に設けられるとともに、ボールネジ軸23と螺合するナット部(図示せず)を有している。これにより、移動テーブル20は、Y軸モータ24によりボールネジ軸23を回転駆動することによってテーブル21をY方向に移動させ、その結果、移動部13の一対のコンベア(前側コンベア13aおよび後側コンベア13b)に保持された実装済み基板110をY方向に移動させるように構成されている。
ユニット支持部30は、移動テーブル20および移動部13よりも上方の位置で移動テーブル20を跨ぐように設けられたX方向に延びる梁部31と、基台1上のX方向の両端部において梁部31の両端部をそれぞれ支持する一対の脚部(図示せず)とからなる門型形状を有している。また、梁部31上には、Y2方向側で撮像ユニット40を支持する支持フレーム32と、X方向に延びるように設けられた一対のガイドレール33と、X方向に延びるように回転可能に設けられたボールネジ軸34と、ボールネジ軸34を軸回りに回転駆動するためのX軸モータ35とが設けられている。支持フレーム32は、ボールネジ軸34に螺合するとともに、一対のガイドレール33に沿って移動可能に構成されている。これにより、ユニット支持部30は、X軸モータ35によりボールネジ軸34を回転駆動して支持フレーム32をX方向に移動させることにより、支持フレーム32に支持された撮像ユニット40を移動テーブル20(移動部13)の上方でX方向に移動させるように構成されている。
また、図2に示すように、撮像ユニット40は、異なる複数の照射角度で照明光を照射可能な照明部41と、撮像方向を鉛直下方(矢印Z2方向)に向けられ実装済み基板110の上面画像を撮像する撮像部42とを含んでいる。この撮像ユニット40がユニット支持部30によってX方向に移動されるとともに、移動部13上の実装済み基板110が移動テーブル20によってY方向に移動されることにより、撮像ユニット40が実装済み基板110上の所定位置で部品(部品120、121および122)の撮像を行うことが可能なように構成されている。
また、照明部41は、頂部に開口部411が形成されたドーム状形状を有し、ドームの内面側に設けられた複数の照明を有している。開口部411の上方(矢印Z1方向)には撮像部42が配置され、撮像部42がこの開口部411を介して実装済み基板110の撮像を行うように構成されている。照明部41の内面側には、開口部411の設けられた頂点側(矢印Z1方向側)から順に、上段照明412および赤外(Ir)照明415と、中段照明413と、下段照明414とが、それぞれ上方から見て円形状に複数設けられている。具体的には、上段照明412および赤外照明415は、照明部41において最も上方(矢印Z1方向)の位置に、開口部411の外周を取り囲むように複数設けられている。なお、図2では赤外照明415を最も上方(開口部411の外周近傍)に示しているが、実際には複数の上段照明412と複数の赤外照明415とが開口部411の外周を取り囲むように交互に配置されている。また、中段照明413は、上段照明412および赤外照明415よりも下方(矢印Z2方向)の位置であって、下段照明414よりも上方(矢印Z1方向)の位置で、上段照明412および赤外照明415を取り囲むように複数設けられている。そして、下段照明414が、中段照明413よりも下方(矢印Z2方向)の位置で、中段照明413を取り囲むように複数設けられている。
なお、照明部41がドーム状形状を有するため、上段照明412から下方(矢印Z2方向)に向かうにしたがって照明の位置が撮像部42(開口部411)から離間する。このため、上段照明412および赤外照明415は、撮像対象(実装済み基板110上の所定領域)に対して略直上(矢印Z1方向)の位置から照明光を照射するように構成されている。したがって、上段照明412および赤外照明415の照射方向と撮像部42の撮像方向とが略同一方向となるように構成されている。また、中段照明413は、照明部41のドーム内面で光を反射させ、撮像対象(実装済み基板110上の所定領域)の全体に均一な照明光を照射するように構成されている。そして、下段照明414は、撮像対象に対して約30度の照射角度(仰角)で照明光を照射するように構成されている。これにより、撮像部42は、同一の撮像対象に対して、異なる角度から照射された照明光を用いて撮像を行うことが可能なように構成されている。これらの上段照明412と、中段照明413と、下段照明414とは、それぞれ白色LEDから構成され、赤外照明415は赤外線LEDから構成されている。
撮像部42は、レンズ42aが設けられたCCDカメラなどから構成されている。撮像部42は、実装済み基板110(基板搬送コンベア10)に対して上方(矢印Z1方向)の位置に設けられるとともに、撮像方向が実装済み基板110に対して略垂直となるように、鉛直下方(矢印Z2方向)を向けて設けられている。これにより、撮像部42は、照明部41から実装済み基板110に対して照射された照明光を用いて、実装済み基板110の上面の2次元(平面)画像を撮像するように構成されている。この撮像部42は、赤色(r)成分、緑色(g)成分、青色(b)成分および赤外(Ir)成分のそれぞれの光の強度を検知する成分別の撮像素子を有しており、撮影によって、白色LEDからなる上段照明412、中段照明413および下段照明414による照明光の下では赤色(r)成分、緑色(g)成分、青色(b)成分を含むカラー画像が得られ、赤外照明415による赤外線照明光の下では赤外(Ir)画像が得られる。
この際、得られた4枚の撮像画像は、制御装置50の後述する演算処理部51により10枚のグレー画像に変換される。すなわち、図4に示すように、上段照明(H)412、中段照明(M)413、下段照明(L)414を用いてそれぞれ撮像されたカラー画像をRGB分解して、赤色(r)成分に対応するr画像(Hr、MrおよびLr)と、緑色(g)成分に対応するg画像(Hg、MgおよびLg)と、青色(b)成分に対応するb画像(Hb、MbおよびLb)とが取得される。そして、演算処理部51は、これらの9枚の撮像画像と赤外照明415を用いて撮像された赤外(Ir)画像とをグレー処理(成分に関らず光の強度(輝度)が同じものは同じ明るさとし、白、灰色、黒からなる無彩色の明度による白黒画像(グレー画像)に変換する処理)して、たとえば256階調の輝度値を有する10枚のグレー画像を得るように構成されている。
図5に示すように、外観検査装置100は、制御装置50によって制御されるように構成されている。制御装置50は、演算処理部51と、記憶部52と、モータ制御部53と、照明制御部54と、撮像制御部55とを含んでいる。また、制御装置50には、タッチパネルなどからなる表示ユニット60が接続され、ユーザからの操作入力を受け付けるように構成されている。なお、演算処理部51は、本発明の「制御部」の一例である。
演算処理部51は、論理演算を実行するCPU、CPUを制御するプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)および装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。演算処理部51は、ROMに記憶されているプログラムに従って、モータ制御部53、照明制御部54および撮像制御部55を介して、外観検査装置100の各部を制御するように構成されている。これにより、演算処理部51は、搬入された実装済み基板110を撮像ユニット40により撮像するとともに、撮像画像を用いて実装済み基板110に搭載された部品(部品120、121および122)の実装状態の検査を行うように構成されている。
ここで、図6および図7に示すように、撮像画像には、検査対象部位P(部品の4隅を含み部品外形に関る両端の、C字状(図2参照)に部品端部を包む電極部分120aや電極部分120aからはみ出す半田など)と検査対象部位P以外の非検査対象部位Q(部品外形には関わらない部品中央部やプリント基板130が写る背景画像領域など)とが含まれる。なお、図7では、図6に示す部品120の電極部分120aを検査対象部位P、部品120の保護膜部分(部品中央部)120bおよび背景部分を非検査対象部位Qとした場合の撮像画像(グレー画像)の例を示している。演算処理部51は、上段照明412、中段照明413、下段照明414および赤外照明415による照明光を用いてそれぞれ撮像された10枚の撮像画像(グレー画像)の内から、後述する抽出光画像(第1撮像画像)および除外光画像(第2撮像画像)の2枚の撮像画像を組み合わせて演算処理(対応する各画素における光の強度(輝度値)の差を求め、新たな検査画像を作り出す処理)を行うことによって、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラスト(光の強度(輝度値)の差)の大きい検査用画像を生成するように構成されている。そして、演算処理部51は、このコントラスト(光の強度(輝度値)の差)の大きい検査用画像から所定の閾値を超える(または下回る)部位を検出することによって、検査対象部位Pを画像認識して部品(たとえば、部品120)検査処理を行うように構成されている。なお、「検査用画像」は、本発明の「検査用の画像」の一例である。また、「抽出光画像」は、本発明の「撮像画像」および「第1撮像画像」の一例である。また、「除外光画像」は、本発明の「撮像画像」および「第2撮像画像」の一例である。
なお、図3に示すように、実装済み基板110に搭載される部品(部品120、121および122)は多種多様であり、それぞれの照明を用いて撮像された撮像画像における写り方も部品(部品120、121および122)の形状などにより異なる。このため、画像認識に適した検査用画像を生成することができる2つの撮像画像(抽出光画像および除外光画像)は、検査対象部位Pが写る部品の種類(形状)によって異なる。このため、第1実施形態では、演算処理部51は、実装済み基板110の検査処理に先立って、実装済み基板110に搭載される部品(部品120、121および122)毎に、検査用画像を生成するための2つの撮像画像(抽出光画像および除外光画像)の組み合わせを決定する処理(組み合わせ決定処理)を行うように構成されている。なお、この組み合わせ決定処理の詳細な内容は、後述する。
記憶部52は、各種データの記憶および演算処理部51による読み出しが可能な不揮発性の記憶装置からなる。記憶部52には、撮像部42によって撮像された撮像画像データ、実装済み基板110に実装される部品(部品120、121および122)の設計上の位置情報(位置および向きなどの)を定めた基板データ、および、実装済み基板110に実装される部品(部品120、121および122)の形状を定めた部品形状データベースなどが記憶されている。
モータ制御部53は、演算処理部51から出力される制御信号に基づいて、外観検査装置100の各サーボモータ(移動テーブル20をY方向に移動するためのY軸モータ24、撮像ユニット40をX方向に移動させるためのX軸モータ35、基板搬送コンベア10の実装済み基板110の搬送用のモータ14など)などの駆動を制御するように構成されている。また、モータ制御部53は、各サーボモータのエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいて、撮像部42の撮像位置および実装済み基板110の位置などを取得するように構成されている。
照明制御部54は、演算処理部51から出力される制御信号に基づいて、照明部41の上段照明412、中段照明413、下段照明414および赤外照明415の各々を、所定のタイミングで点灯させるように構成されている。
撮像制御部55は、演算処理部51から出力される制御信号に基づいて、撮像部42から所定のタイミングで撮像信号の読み出しを行うことにより、撮像画像のデータを取得するように構成されている。
表示ユニット60は、ユーザからの情報入力(操作入力)を受け付け可能なタッチパネルを有し、撮像部42により撮像された撮像画像の表示を行う表示部としての機能と、表示画面上での入力操作を受け付ける入力部としての機能とを有している。
次に、図3、図4および図6〜図14を参照して、本発明の第1実施形態の外観検査装置100による検査用画像を生成するために用いる撮像画像の組み合わせを、部品種毎、さらには搭載位置毎に決定する処理(組み合わせ決定処理)について説明する。上記のように、この組み合わせ決定処理は、実装済み基板110の検査処理に先立って行われる。なお、以下に示す組み合わせ決定処理においては、制御装置50の演算処理部51が外観検査装置100の各部を制御することにより行われる。また、以下では、図6に示すように、部品(チップ抵抗)120の電極部分120aや、さらに加えて外周の半田はみ出し部(図示せず)を検査対象部位Pとして、非検査対象部位(部品120の保護膜部分(部品中央部)120bおよびプリント基板130(背景))Qとのコントラストの大きい検査用画像を生成するための撮像画像の組み合わせを決定する場合について説明する。
上記のように、検査用画像を生成するために用いる撮像画像の組み合わせは、検査対象となる部品(部品120、121および122)の種類(形状など)や搭載位置によって異なる。このため、図8に示すように、ステップS1では、まず、実際に実装済み基板110に搭載される部品(部品120、121および122)が搭載されたサンプル基板(図3に示す実装済み基板110と同様のもの)を用いて、撮像が行われる。具体的には、サンプル基板に対し撮像ユニット40を所定の撮像位置に相対配置し、3角度の照明(上段照明412、中段照明413、下段照明414)および赤外照明415による照明光をそれぞれ用いて、合計4回の撮像がサンプル基板の上方に配置された撮像部42により行われる。これにより、図3の領域A1(破線参照)で示すように、撮像画像中に部品120、小型の部品121および大型の部品122が写る撮像画像が取得される。
この際、演算処理部51は、図4に示すように、上段照明(H)412、中段照明(M)413、下段照明(L)414を用いてそれぞれ撮像されたカラー画像をRGB分解して、赤色(r)成分に対応するr画像(Hr、MrおよびLr)と、緑色(g)成分に対応するg画像(Hg、MgおよびLg)と、青色(b)成分に対応するb画像(Hb、MbおよびLb)とを取得する。そして、演算処理部51は、これらの9枚の撮像画像(色成分画像)と赤外照明415を用いて撮像された赤外(Ir)画像とをグレー処理して、256階調の輝度値(光の強度)を有する10枚(Hr、Hg、Hb、Mr、Mg、Mb、Lr、Lg、LbおよびIr)のグレー画像を得る。この撮像画像から、組み合わせ決定処理を行う部品120の写る画像領域が切り出され、図7に示すように濃淡で示された部品120の撮像画像(グレー画像)が得られる。演算処理部51は、この10枚の撮像画像(グレー画像)の中から、検査用画像を生成するための、2枚の撮像画像の組み合わせを選択する。
次に、ステップS2において、得られた10枚の撮像画像の内から任意の撮像画像を表示ユニット60に表示するとともに、撮像画像上でユーザによる検査対象部位Pの教示(位置情報入力)が受け付けられる。表示ユニット60の表示画面上でユーザが部品120の電極部分120aを指定して表示ユニット60のタッチパネルから入力することにより、図7の丸(ドット)で示す検査対象部位P(電極部分120a)の位置情報が入力される。この検査対象部位Pの教示は、たとえば100箇所分(P1〜P100)だけ行われ、撮像画像の組み合わせを選択するための検査対象部位Pのサンプルとなる。なお、10枚の撮像画像は同一の撮像対象を同じ位置で撮像しているため、各撮像画像においてユーザにより指定される位置(検査対象部位Pの位置)は、部品120の同一位置を示す。なお、図3の領域A1(破線参照)で示すように、同一の部品120が撮像画像中に複数存在する。この場合、部品120の検査対象部位P(電極部分120aやさらに加えて外周の半田はみ出し部(図示せず))の教示(位置情報入力)は一つの部品120に対してのみ行い、他の位置の部品120に対しては、演算処理部51により位置および向きの差に応じた座標変換演算により算出される。
次に、図8に示すように、ステップS3では、表示ユニット60により、ユーザによる非検査対象部位Qの教示(位置情報入力)が受け付けられる。ステップS2と同様に、表示ユニット60の表示画面上でユーザが電極部分120a以外の部分(部品120の保護膜部分(部品中央部)120bおよびプリント基板130(背景))を指定して表示ユニット60のタッチパネルから入力することにより、図7のバツで示す非検査対象部位Qの位置情報が入力される。この非検査対象部位Qの教示も、ステップS2と同様に、たとえば100箇所分(Q1〜Q100)だけ行われ、撮像画像の組み合わせを選択するための非検査対象部位Qのサンプルとなる。なお、他の位置における部品120の非検査対象部位Qの位置情報は、演算処理部51により、教示対称の部品120に対する位置および向きの差に応じた座標変換演算により算出される。
ステップS4では、上記ステップS2およびS3で教示された各位置(サンプルの位置)における、10枚の各撮像画像の輝度値(光の強度)が取得される。上記のように10枚の撮像画像は同一の撮像対象を同じ位置で撮像しているため、サンプルの位置における各撮像画像の輝度値の差異は、部品120のサンプル位置における照明光の照射角度や色成分の差異による写り具合の差異を反映したものとなる。これにより、図9に示すように、たとえば10枚の撮像画像中の検査対象部位Pの位置P1(x1,y1)(図7参照)における輝度値(Hr,Hg,Hb,Mr,Mg,Mb,Lr,Lg,Lb)=(210,129,190,245,118,131,110,69,122,199)が得られる。同様に、検査対象部位Pの位置P2(x2,y2)〜P100(図示せず)までの100箇所の各撮像画像における輝度値が取得されるとともに、非検査対象部位Q1(x101,y101)〜Q100(図示せず)までの100箇所の各撮像画像における輝度値が取得される。
ステップS5では、10枚の撮像画像の内から、2枚の撮像画像を一方を抽出光画像(第1撮像画像)、他方を除外光画像(第2撮像画像)として抽出して、抽出光画像の輝度値をY軸に取るとともに除外光画像の輝度値をX軸に取ったXY空間上に、各100箇所のサンプル位置(検査対象部位Pの位置P1〜P100および非検査対象部位Qの位置Q1〜Q100)のデータを展開する。たとえば、図10に示すように、抽出光画像として下段照明414の赤色画像(Lr)、除外光画像として中段照明413の緑色画像(Mg)を抽出し、各100箇所のサンプル位置をプロットする。すなわち、図9に示すように、検査対象部位Pの位置P1の場合、Lr=110、Mg=118であるため、図10のXY空間の点(118,110)にP1がプロットされる。同様に、非検査対象部位Qの点Q1の場合、Lr=143、Mg=68であるため、図10のXY空間の点(68,143)にQ1がプロットされる。このようにして、検査対象部位Pの位置P1〜P100の抽出光画像および除外光画像における輝度値(光の強度)の集合Psと、非検査対象部位Qの位置Q1〜Q100との抽出光画像および除外光画像における輝度値(光の強度)の集合Qsとが、XY空間上に配置される。なお、図9の表における各輝度値は、便宜的に付したランダムな値であり、点P1およびQ1を除き、図10のXY空間上の各点の位置座標と対応していない。
ステップS6では、演算処理部51により、XY空間上に配置された検査対象部位Pの集合Ps(P1〜P100の集合)と、非検査対象部位Qの集合Qs(Q1〜Q100の集合)とを分断する直線(G(x)=ax+b)が決定される。この直線G(x)は、サポートベクターマシン(SVM)理論を用いることにより、2群に分けられたサンプル集合から、各群に属するサンプルからの距離(マージン)を最大化するように決定される。すなわち、図11および図12に示すように、XY平面上に配置された検査対象部位Pの集合Ps(P1〜P100の集合)と、非検査対象部位Qの集合Qs(Q1〜Q100の集合)との2群に分けられた各100点のサンプルからのそれぞれの距離(マージンW)が最大化されるようなライン(直線G(x)=ax+b)が、XY平面上に引かれる。
なお、図13に示すように、実際の撮像画像では、たとえば部品120に付されたマークや文字、および画像中のノイズなどに起因して、検査対象部位P(または非検査対象部位Q)に輝度値が周囲とは顕著に乖離した値(外れ値)を有する輝点または暗点(図13の白抜きの丸(ドット)参照)が混じる場合がある。このような外れ値を有する点Pd(r,s)がサンプル位置として入力されると、適切なライン(直線G(x))を引くことができずにマージンWが不必要に小さくなる場合がある。つまり、外れ値を考慮しない場合のマージンW1と比べて、外れ値を有する点を考慮する場合にはマージンW2が著しく小さくなり、ラインの位置もずれてしまう。このため、集合Psおよび集合Qsを分けるライン(直線G(x))を引く場合には、両集合を完全に分離するのではなく、それぞれ異なる集合に属する点(外れ値)の混入を許容してライン(直線G(x))を引くとともに、この外れ値を有する点Pd(r,s)については計算から除外する。
次に、図8に示すように、ステップS7において、演算処理部51により、検査対象部位Pの集合Ps(P1〜P100の集合)と、非検査対象部位Qの集合Qs(Q1〜Q100の集合)とをそれぞれ母集団として、これらの母集団の直線G(x)からの離れ具合と母集団に属する各点のばらつきとを評価する評価基準が算出される。この評価基準は、下式(1)に示すように、集合Ps(P1〜P100)および集合Qs(Q1〜Q100)に属する各点の直線G(x)からの距離の平均値である距離μ
x1およびμ
x2と、直線G(x)からの距離の分散σ
x1およびσ
x2と、外れ値として除外した点(たとえば、図13の点Pd(r,s))の個数Num(ξ)(ξ>0)とに基づく。
なお、上記式(1)の各項におけるk
1、k
2およびk
3の値は、評価基準においてどの要素を重視するかを考慮した重み係数である。
具体的には、上記式(1)の第1項において、選択された抽出光画像および除外光画像における検査対象部位Pと非検査対象部位Qとの輝度値(光の強度)の差を評価している。図11および図12に示すように、集合Psの輝度値の平均値の直線G(x)からの距離の大きさμx1、および、集合Qsの輝度値の平均値の直線G(x)からの距離の大きさμx2との合計が、選択された抽出光画像および除外光画像における検査対象部位の輝度値と非検査対象部位の輝度値との差に対応する。したがって、このμx1+μx2が大きい程、選択された抽出光画像および除外光画像を用いて生成される検査用画像の検査対象部位の輝度値(光の強度)と非検査対象部位の輝度値(光の強度)との差(コントラスト)が大きくなる。このため、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせとしては、集合Psの輝度値の平均値の直線G(x)からの距離の大きさμx1、および、集合Qsの輝度値の平均値の直線G(x)からの距離の大きさμx2との合計が大きいものが好ましい。つまり、上記式(1)の第1項の1/(μx1+μx2)が小さいものが望ましい。
また、上記式(1)の第2項では、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのそれぞれの輝度値(光の強度)のばらつきを評価している。図11および図12に示すように、検査対象部位Pの集合Psに属する各点(P1〜P100)から直線G(x)までの距離のばらつき(分散σx1)と、非検査対象部位Qの集合Qsに属する各点(Q1〜Q100)から直線G(x)までの距離のばらつき(分散σx2)とが大きい場合には、選択された抽出光画像および除外光画像を用いて生成される検査用画像の検査対象部位P内部の輝度値(光の強度)のばらつきと、非検査対象部位Q内部の輝度値(光の強度)のばらつきとが大きくなる。つまり、生成される検査用画像において、検査対象部位Pおよび非検査対象部位Qの内部に輝度ムラが生じる。このため、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせとしては、検査対象部位Pの集合Psに属する各点と、非検査対象部位Qの集合Qsに属する各点との直線G(x)までの距離のばらつき(分散σx1およびσx2)がそれぞれ小さいものが望ましい。
さらに、上記式(1)の第3項では、上記ステップS6において外れ値として除外した点の個数に基づいて、検査対象部位Pの集合Psと非検査対象部位Qの集合Qsとがライン(直線G(x))によってより完全に分離されているか否かを評価している。すなわち、外れ値として除外した点の個数Num(ξ)(ξ>0)が大きい場合には、検査対象部位Pの集合Psと非検査対象部位Qの集合Qsとがライン(直線G(x))によって完全に分離されていない(異なる集合に属する点(外れ値)の混入が多い)ことになる。このため、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせとしては、外れ値として除外した点の個数Num(ξ)(ξ>0)が小さいほうが望ましい。これにより、輝度値のばらつきの顕著に大きい点(外れ値)を除外することによって評価結果の信頼性が低下するのを抑制する一方で、上記式(1)に除外した点の個数Num(ξ)を加算することによって、ライン(直線G(x))によってより完全に分離されている抽出光画像および除外光画像の組み合わせを評価することができる。なお、この第3項は、輝度値のばらつきの顕著に大きい点(外れ値)の個数に基づくものであるので、第2項と同様に、検査対象部位と非検査対象部位とのそれぞれの輝度値(光の強度)のばらつきを評価しているともいえる。
第1実施形態では、得られた10枚の撮像画像の中から、図8の組み合わせ決定フローにより、上記式(1)に示す評価基準の値Sが最も小さい値となる抽出光画像および除外光画像を最良の撮像画像の組み合わせとして決定する。この結果、決定された抽出光画像および除外光画像によって得られる検査用画像は、検査対象部位Pの輝度値(光の強度)と非検査対象部位Qの輝度値(光の強度)との差(コントラスト)が大きいこと、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのそれぞれの輝度値(光の強度)のばらつきが小さいこと、および、ライン(直線G(x))によってより完全に分離されていること、という評価基準において、得られた10枚の撮像画像の中で最も望ましい組み合わせにより生成される検査用画像となる。
上記式(1)に示す評価基準の値Sが最も小さい値となる抽出光画像および除外光画像の組み合わせを得るべく、図8のステップS8では、演算処理部51により、得られた評価基準値SがRAMに記憶された抽出光画像および除外光画像の組み合わせにおける評価基準値Sよりも小さいか否かが判断される。最初に評価基準値Sが算出された場合、および、前回RAMに記憶された抽出光画像および除外光画像の組み合わせにおける評価基準値SよりもステップS7で得られる(今回の)評価基準値Sが小さい場合には、ステップS9に進み、(現時点で)最良の抽出光画像および除外光画像の組み合わせとして、組み合わせおよび評価基準値Sが演算処理部51のRAMに記憶される。一方、前回の抽出光画像および除外光画像の組み合わせにおける評価基準値SよりもステップS7で得られる(今回の)評価基準値Sが大きい場合には、今回の組み合わせは記憶されずに、ステップS10に進む。
ステップS10では、演算処理部51により、10枚の撮像画像から組み合わせ可能な全ての組み合わせについて、評価基準値Sに基づく評価が行われたか否かが判断される。未評価の組み合わせが存在する場合には、ステップS5に戻り、それらの撮像画像を抽出光画像および除外光画像として、評価基準値Sの算出と、前回RAMに記憶された組み合わせの評価基準値Sとの比較とが行われる。そして、全ての組み合わせについて評価が完了すると、最後にRAMに記憶されている抽出光画像および除外光画像の組み合わせおよび最も小さい評価基準値S(min S)が、部品120の検査に用いる検査用画像を得るための組み合わせとして記憶される。以上により、図6に示した部品120(チップ抵抗)の組み合わせ決定処理が完了する。
このように、ステップS5〜ステップS10を撮像画像の全ての組み合わせについて繰り返し行うことにより、得られた10枚の撮像画像の中から、上記式(1)に示す評価基準の値Sが最も小さい値となる抽出光画像および除外光画像が、最良の撮像画像の組み合わせとして決定される。その後、図3の領域A1内の別の位置に搭載されている同一の部品120について、ステップS2からステップS10までの処理が行われる。ステップS2およびS3においては、座標変換演算により検査対象部位Pの位置情報および非検査対象部位Qの位置情報の各算出が実施されるとともに、ステップS5〜ステップS10を撮像画像の全ての組み合わせについて繰り返し行うことにより、得られた10枚の撮像画像の中から、上記式(1)に示す評価基準の値Sが最も小さい値となる抽出光画像および除外光画像が、別の位置に搭載されている同一の部品120についての最良の撮像画像の組み合わせとして決定される。さらに、他の部品(たとえば、小型の部品121)について同様の処理が行われ、さらに、図3の領域A2〜A4についても、同様の処理(この中でも領域A1の部品に対する教示による検査対象部位Pの位置情報、および、教示による非検査対象部位Qの位置情報を利用した各位置情報を演算による算出が実施される)が行われ、実装済み基板110に搭載される全ての部品についての撮像画像の組み合わせが決定される。
以上のように、実際の検査処理においては、サンプル基板に対する撮像ユニット40の相対配置の位置毎の撮像画像の組み合わせを、組み合わせ決定処理によって予め決定し、この予め決定された撮像画像の組み合わせを用いて画像演算が行われ、搭載位置毎および部品ごとにそれぞれの組み合わせで検査用画像が生成される。第1実施形態では、この画像演算は、検査用画像=抽出光画像−a×除外光画像とする。ここで、「a」は、検査対象部位Pの集合Psと、非検査対象部位Qの集合Qsとを分離したライン(直線G(x)=ax+b)の傾きである。この画像演算の結果、図14に示すような検査用画像150が得られる。この検査用画像150では、濃淡(輝度のばらつき)が一様で、かつ、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラストが明確な画像が得られている。これにより、画像認識を行う際に検査対象部位Pを正確に認識することができる。なお、検査用画像150は、本発明の「検査用の画像」の一例である。
次に、図1〜図4、図7、および図14〜図16を参照して、本発明の第1実施形態の外観検査装置100による実装済み基板110の検査処理について説明する。なお、以下に示す実装済み基板110の検査処理においては、制御装置50の演算処理部51が外観検査装置100の各部を制御することにより行われる。
まず、図15のステップS21において、図1に示すように、検査対象の実装済み基板110(図3参照)が基板搬送コンベア10の搬入部11から搬入され、移動テーブル20上に設けられた移動部13上まで搬送される。そして、ステップS22で移動部13の図示しない保持機構によって実装済み基板110が移動部13上の所定位置で固定(保持)される。
次に、ステップS23において、記憶部52の基板データに基づいて、撮像ユニット40がユニット支持部30によってX方向に移動されるとともに、実装済み基板110(移動部13)が移動テーブル20によってY方向に移動され、撮像部42によって実装済み基板110の所定位置に付された基板フィデューシャルマーク(図示せず)が撮像される。撮像された基板フィデューシャルマークの画像認識が演算処理部51により行われることによって、実装済み基板110の位置(傾き)補正が行われる。これにより、外観検査装置100の位置座標と実装済み基板110(実装済み基板110の基板データ)上の位置とが対応付けられ、検査処理を行う準備が完了する。
ステップS24では、撮像ユニット40がユニット支持部30によってX方向に移動されるとともに、実装済み基板110(移動部13)が移動テーブル20によってY方向に移動され、実装済み基板110上の所定の検査箇所(撮像位置)へ撮像部42が配置される。たとえば、図3に示すように、実装済み基板110を撮像部42の視野(撮像範囲)の大きさに応じた領域A1〜A4(検査箇所)に分割して、最初に撮像を行う検査箇所(たとえば、A1)に撮像部42が移動される。
ステップS25では、検査箇所(A1)の上方において、図2に示すように、照明部41の上段照明412、中段照明413、下段照明414および赤外照明415のうちのいずれかの照明(たとえば、上段照明412)が点灯される。そして、ステップS26において、点灯された照明(上段照明412)からの照明光を用いて、撮像部42により撮像が行われる。これにより、検査箇所A1を撮像した撮像画像が取得される。また、上段照明412、中段照明413および下段照明414を用いた場合には、カラー画像が撮像され、赤外照明415を用いた場合には、赤外(Ir)画像が撮像される。
次に、ステップS27において、演算処理部51により、全ての照明を用いて撮像画像の撮像が行われたか否かが判断される。撮像を行っていない照明が存在する場合には、ステップS25に戻り、次の照明(たとえば、中段照明413)を用いて検査箇所A1の撮像(ステップS26)が行われる。このステップS25〜S27を繰り返すことにより、上段照明412、中段照明413、下段照明414および赤外照明415のそれぞれを用いて、合計4枚の撮像画像(カラー画像3枚および赤外(Ir)画像1枚)が1つの検査箇所A1について取得される。各照明を用いた撮像が完了すると、ステップS28に進む。
ステップS28では、上段照明412、中段照明413および下段照明414を用いて得られたカラー画像について、演算処理部51により、RGB分解が行われ、各3枚の色成分画像(r画像、g画像およびb画像)が取得される。さらに、演算処理部51により、各3枚の色成分画像と赤外(Ir)画像とを含む10枚の画像(図4参照)にグレー化処理が行われ、検査箇所A1についての合計10枚の撮像画像(グレー画像)が得られる。
次に、ステップS29において、演算処理部51により、検査領域の絞込みが行われる。すなわち、図7に示した部品120の画像と同様に、検査箇所A1の撮像画像に写る複数の部品(部品120、121および122)の内から、検査対象となる部品120の写る画像領域が切り出される。
そして、ステップS30において、演算処理部51により、上記組み合わせ決定処理によって予め決定された撮像画像の組み合わせを用いて画像演算(検査用画像=抽出光画像−a×除外光画像)が行われ、図14に示す部品120の検査用画像(グレー画像)150と同様の検査用画像が生成される。
ステップS31では、生成された検査用画像に基づいて、検査対象となる部品120の検査処理が行われる。
ここで、図14、図15および図16を参照して、検査用画像を用いた検査対象の部品120の検査処理について説明する。ここでは、検査処理の一例として、検査対象の部品120の欠品および位置ズレの検査を行う場合について説明する。
まず、図16のステップS41において、所定の閾値に基づいて検査対象部位Pの抽出が行われる。このとき、図14に示すように、グレー画像からなる検査用画像150では、ハッチングで示した輝度値(濃度値)の低い非検査対象部位Qと、輝度値(濃度値)の高い検査対象部位Pとのコントラスト(輝度値の差)が強いため、閾値に基づいて検査対象部位Pのみを抽出することが可能である。
次に、ステップS42において、演算処理部51により、検査用画像から抽出された検査対象部位Pの面積が計算される。そして、ステップS43において、得られた検査対象部位Pの面積の値が、記憶部52の部品データに基づく所定の範囲内であるか否かが判定される(欠品検査)。このとき、検査対象部位Pの面積が所定の範囲に収まらない(たとえば、面積が顕著に小さい)場合には、部品120が存在していないため、ステップS47に移行して検査NG(欠品)と判定される。一方、検査対象部位Pの面積が所定の範囲内に収まる場合には、部品120の存在が確認されることにより、欠品検査に合格してステップS44に進む。
ステップS44では、演算処理部51により、検査用画像から抽出された検査対象部位Pの重心位置(XY方向の重心位置、すなわち部品120の図心、中心)が計算される。そして、ステップS45において、検査対象部位Pの重心位置(部品120の中心)と、記憶部52の基板データに基づく適正位置とのズレが計算され、所定の許容ズレ範囲内にあるか否かが判定される(位置ズレ検査)。このとき、検査対象部位Pの重心位置ずれが許容範囲に収まらない場合には、半田付け不良や接続不良となるため、ステップS47に移行して検査NG(位置不良)と判定される。一方、検査対象部位Pの重心位置ずれが許容範囲内に収まる場合には、位置ずれ検査に合格してステップS46に進み、欠品検査および位置ズレ検査の両検査に合格した(検査OK)と判定される。以上により、ステップS46で検査OKと判定されるか、またはステップS47で検査NGと判定されると、その検査対象の部品120に対する検査処理(欠品および位置ズレ検査)が終了し、図15のステップS32以降の処理に進む。なお、検査NGと判定された場合、実装済み基板110の所定位置にバッドマークが付与されるとともに、基板識別コードとともに検査結果データが記憶部52に記録され、補修時にデータ呼び出しが可能とされる。
図15に示すように、ステップS32では、演算処理部51により、撮像画像内(検査箇所A1内)の全ての部品(部品120、121および122)について検査処理が完了したか否かが判定される。未検査の部品が存在する場合には、ステップS29に戻り、次の検査対象の部品(たとえば、小型の部品121)の検査処理を行うために、検査領域の絞込みが行われる。これにより、検査箇所A1の撮像画像に写る複数の部品(部品120、121および122)の内から、次に検査対象となる部品121の写る画像領域が切り出される。その後、ステップS30で上記組み合わせ決定処理によって予め決定された撮像画像の組み合わせを用いて画像演算が行われ、部品121の検査用画像(グレー画像)が生成されるとともに、ステップS31で部品121の検査処理が行われる。このように、ステップS29〜S32が繰り返されることにより、検査箇所A1の撮像画像に写る全ての部品(部品120、121および122)について検査処理が完了すると、ステップS33に進む。
ステップS33では、演算処理部51により、実装済み基板110の全ての検査箇所A1〜A4について、検査処理が完了したか否かが判断される。検査箇所A1〜A4の内、未検査の検査箇所が存在する場合には、ステップS24に戻る。そして、ステップS24〜S32によって、次の検査箇所(たとえば、A2)の撮像が行われ、撮像画像内に写る各部品毎に検査処理が行われる。実装済み基板110の全ての検査箇所A1〜A4について、検査処理が完了した場合には、その実装済み基板110についての検査が終了する。以降は、検査が完了した実装済み基板110の搬出動作が行われる。
ステップS34において、ステップS22で行われた実装済み基板110の固定が解除される。そして、ステップS35において、図1に示すように、実装済み基板110(移動部13)が矢印Y2方向に移動されて、各前側コンベア11a、12aおよび13aがX方向に並び、各後側コンベア11b、12bおよび13bがX方向に並ぶ位置に配置される。さらに、移動テーブル20に設けられたモータ14によってそれぞれの搬送ベルトが駆動されることにより、実装済み基板110が矢印X1方向(下流側)に搬送され、搬出部12から搬出される。以上により、外観検査装置100による実装済み基板110の検査処理が終了する。なお、図15のフローチャートは、一枚の実装済み基板110についての検査処理の流れを示しているが、外観検査装置100による実装済み基板110の検査処理は、たとえば100枚、500枚、1000枚等のロット単位で実施されるので、ロットの全ての実装済み基板110に対する検査処理が終了するまで、検査処理が順次実施される。
第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、複数の照射角度の上段照明412、中段照明413、下段照明414および赤外照明415による照明光を用いてそれぞれ撮像された複数の撮像画像(Hr、Hg、Hb、Mr、Mg、Mb、Lr、Lg、LbおよびIr)中の検査対象部位Pにおける光の強度(輝度値)と、複数の撮像画像中の非検査対象部位Qにおける光の強度(輝度値)とに基づいて、検査用画像に用いる撮像画像を決定することによって、複数の撮像画像の内から検査用画像に用いる撮像画像を、撮像画像中に写る検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値とに基づいて自動で、かつ、一定の基準で適切に決定することができる。また、複数の撮像画像中の検査対象部位Pにおける輝度値と、複数の撮像画像中の非検査対象部位Qにおける輝度値とに基づいて検査用画像に用いる撮像画像を決定することにより、複数の撮像画像中から、画像認識に適した(検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラストが強い(光の強度の差が大きい))検査用画像を得ることができる。これにより、ユーザが経験的に行っていた検査用画像に用いる撮像画像を決定するための作業を演算処理部51によって自動で、かつ、一定の基準で適切に行うことができるので、画像認識に適した検査用画像に用いる撮像画像を決定するための作業の簡素化および決定基準の標準化(均一化)を行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、合計10枚の撮像画像の内で、検査対象部位の集合Ps(P1〜P100)の輝度値(光の強度)と非検査対象部位の集合Qs(Q1〜Q100)の輝度値(光の強度)との輝度値の差(上記式(1)の第1項)に基づいて、検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との輝度値の差が大きい第1撮像画像を抽出光画像とし、検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との輝度値の差が小さい第2撮像画像を除外光画像とする組み合わせを求め、第1撮像画像(抽出光画像)の各画素における輝度値から第2撮像画像(除外光画像)の対応する各画素における輝度値の差を求め(引き算処理。この差が負値となる場合、負値は物理的に意味を持たないので、この場合は差を改めて0とする)、得られた値を各画素における輝度値とする新たな画像(検査用画像)とするように構成した。これにより、10枚の撮像画像の内から検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との輝度値の差が大きい第1撮像画像(抽出光画像)と、検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との輝度値の差が小さい第2撮像画像(除外光画像)との組み合わせを決定する(求める)ことによって、決定した第1撮像画像(抽出光画像)と第2撮像画像(除外光画像)とを用いて引き算処理することにより、検査用画像を得ることができる。これにより、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラストが強く(輝度値の差が大きく)、画像認識に適した検査用画像を得ることができる。
すなわち、検査対象部位Pの輝度値は第1撮像画像において大きく、第2撮像画像において小さなものとなり、非検査対象部位Qの輝度値は第1撮像画像において小さく、第2撮像画像において大きなものとなるので、図10に示す座標系(XY空間)において、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとの各座標は図11に示すように、互いに離間したものとなる。すなわち、μx1+μx2は大きくなり、式(1)における評価基準値Sは小さな値となる。式(1)が小さくなる抽出光画像と除外光画像との組み合わせを求めることは、検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との輝度値の差が大きい第1撮像画像と、検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との輝度値の差が小さい第2撮像画像との組み合わせを求めることと同じことになる。この結果、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラストが強く(輝度値の差が大きく)、画像認識に適した検査用画像を得ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、合計10枚の撮像画像の内で、検査対象部位P(P1〜P100)と非検査対象部位Q(Q1〜Q100)のそれぞれの輝度値(光の強度)のばらつき(上記式(1)の第2項)と、外れ値の個数(上記式(1)の第3項)とに基づいて、検査用画像に用いる撮像画像(抽出光画像および除外光画像)を決定することによって、検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との輝度値の差に加えて、検査対象部位Pおよび非検査対象部位Qのそれぞれにおける輝度値のばらつきにも基づいて、検査用画像に用いる撮像画像(組み合わせ)を決定することができる。すなわち、輝度値の差が同一であっても、検査用画像において、検査対象部位P内での輝度値のばらつきや、非検査対象部位Q内での輝度値のばらつきが大きい場合には、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとの境界(輪郭)が不鮮明となって画像認識には適さない画像となるので、輝度値のばらつきに基づき検査用画像に用いる撮像画像を決定することによって、より画像認識に適した検査用画像を得ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、10枚の撮像画像中の検査対象部位Pにおける輝度値と、10枚の撮像画像中の非検査対象部位Qにおける輝度値とに基づいて、検査用画像を生成するための2枚の撮像画像(抽出光画像および除外光画像)の組み合わせを決定することによって、10枚の撮像画像中の検査対象部位Pにおける輝度値と、非検査対象部位Qにおける輝度値とに基づいて、画像認識に適した(検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラストが強い(輝度値の差が大きい))検査用画像を生成することが可能な撮像画像の組み合わせを決定することができる。この結果、決定した2枚の撮像画像(抽出光画像および除外光画像)を組み合わせて演算処理(新たな検査画像を作り出すため、抽出光画像および除外光画像の対応する各画素における光の強度(輝度値)の差を求める引き算処理)を行うことにより、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラストが強く(輝度値の差が大きく)、より画像認識に適した検査用画像を得ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、10枚の撮像画像から組み合わせ可能な全ての撮像画像の組み合わせ(抽出光画像および除外光画像の組み合わせ)を抽出するとともに、抽出した全ての組み合わせの中から撮像画像の組み合わせを決定することによって、10枚の撮像画像を組み合わせて生成することが可能な全ての演算画像の中から、より画像認識に適した検査用画像を生成することが可能な複数の撮像画像の組み合わせ(抽出光画像および除外光画像の組み合わせ)を決定することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、撮像された撮像画像(カラー画像)からRGB分解して抽出した各3枚の色成分画像(r画像、g画像およびb画像)を生成して、それぞれの色成分画像を撮像画像として用いて、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを決定する。このように撮像されたカラー画像からR(赤色)、G(緑色)およびB(青色)成分を抽出した各3枚の色成分画像を生成することによって、検査対象部位P(非検査対象部位Q)の実際の色味(部品の色)によってそれぞれの色成分画像における写り方(輝度値)は異なるから、1枚のカラー画像から検査対象部位P(非検査対象部位Q)の写り方(輝度値)の異なる3枚の色成分画像を得ることができる。この結果、少ない撮像回数で検査用画像に用いる撮像画像の候補(抽出光画像または除外光画像の候補)をより多く得ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、各撮像画像における検査対象部位Pおよび非検査対象部位Qのそれぞれの位置データP1〜P100およびQ1〜Q100を用いて、各撮像画像中の検査対象部位Pおよび非検査対象部位Qにおけるそれぞれの輝度値を取得することによって、各撮像画像における検査対象部位Pおよび非検査対象部位Qのそれぞれの位置データP1〜P100およびQ1〜Q100から、容易に検査対象部位Pの輝度値および非検査対象部位Qの輝度値を取得することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部51により、検査前に検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ(抽出光画像および除外光画像)を予め決定するとともに、検査時には予め決定した撮像画像(抽出光画像および除外光画像)を用いて生成した検査用画像により、検査対象部位Pを有する検査対象物(部品120、121および122)の検査を行うことによって、検査前に検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ(抽出光画像および除外光画像)を予め決定しておくことによって、検査対象物(部品120、121および122)の検査時にはどの撮像画像(抽出光画像および除外光画像)を用いるかを決定する必要がない。これにより、検査対象物(部品120、121および122)の検査時に予め決定した撮像画像(抽出光画像および除外光画像)をそれぞれ用いて検査用画像を得ることによって、検査対象物(部品120、121および122)の迅速な検査を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、図6〜図9および図17を参照して、本発明の第2実施形態の外観検査装置による検査用画像を生成するために用いる撮像画像の組み合わせを決定する処理(組み合わせ決定処理)について説明する。この第2実施形態では、上記式(1)に示す評価基準の値Sが最も小さい値となる抽出光画像および除外光画像の組み合わせを、最良の撮像画像の組み合わせとして決定するように構成した上記第1実施形態と異なり、上記式(1)に示す評価基準の値Sが小さい組み合わせ(コントラストが良好な組み合わせ)と、評価基準の値Sが大きい組み合わせ(コントラストが良好でない組み合わせ)とに分けて、評価基準の値Sが小さい組み合わせから検査用画像(演算画像)に用いる撮像画像の組み合わせを決定するように構成した例について説明する。なお、第2実施形態の外観検査装置の構造は、上記第1実施形態と同様であるので、同一の符号を用いるとともに、説明を省略する。
図17に示すように、本発明の第2実施形態による組み合わせ決定処理において、ステップS1〜S4までの処理は上記第1実施形態(図8参照)と同様である。すなわち、サンプル基板を撮像することにより、撮像画像中に部品(部品120、121および122)が写る撮像画像が取得され、検査対象部位Pのサンプルとなる点P1〜P100と、非検査対象部位Qのサンプルとなる点Q1〜Q100とがユーザにより教示される。そして、合計10画像における、集合Ps(P1〜P100)および集合Qs(Q1〜Q100)の各点の輝度値が、図9の表に示すようにそれぞれ取得される。
次に、第2実施形態では、ステップS105において、10枚の撮像画像から組み合わせ可能な全ての組み合わせ(抽出光画像および除外光画像の組み合わせ)をそれぞれ抽出して、上記式(1)の評価基準の値Sが算出される。なお、式(1)の評価基準の値Sの算出方法は、図8のステップS5〜S7に示した上記第1実施形態の算出方法と同様である。すなわち、上記第1実施形態では図8のステップS5〜S10を繰り返すことにより1組毎に評価基準の値Sを算出して演算処理部51のRAMに記憶された組み合わせの評価基準値Sと比較を行ったが、この第2実施形態では、ステップS105において全ての組み合わせについて評価基準の値Sの算出を行う。
そして、ステップS106では、演算処理部51により、算出された全ての組み合わせの評価基準の値Sが比較され、評価基準値Sの小さい順(コントラストが良好な組み合わせ順)に並び替えて、上位(評価基準値Sの小さい)5%に属する組み合わせが抽出される。これにより、評価基準の値Sが小さい組み合わせ(検査対象部位Pの輝度値と非検査対象部位Qの輝度値との差(コントラスト)が大きく、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとの輝度値のばらつきが小さく、かつ、ライン(直線G(x))によってより完全に分離されている組み合わせ)と、評価基準の値Sが大きい組み合わせ(輝度値の差(コントラスト)が小さく、輝度値のばらつきが大きく、ラインによる分離が完全ではない組み合わせ)とが判定され、評価基準の値Sが小さい順に上位5%の組み合わせのみが抽出される。
次に、ステップS107において、抽出された評価基準の値Sが小さい上位5%の組み合わせの中から、演算処理部51により、検査用画像に用いる撮像画像(抽出光画像および除外光画像)の組み合わせが決定される。上位5%の組み合わせの中からどの組み合わせに決定するかの決定方法は、種々のものが考えられる。たとえば、演算処理部51がユーザの選択を受け付けることにより決定してもよいし、予め設定された基準に従って決定してもよい。すなわち、上記式(1)のうち、輝度値(光の強度)の差を評価する第1項の値が最も小さい組み合わせや、輝度値(光の強度)のばらつきを評価する第2項の値が最も小さい組み合わせを基準として決定してもよい。
以上により検査用画像に用いる撮像画像(抽出光画像および除外光画像)の組み合わせが決定されると、図6および図7に示した部品120の組み合わせ決定処理が完了する。そして、他の部品(たとえば、小型の部品121)について同様の処理が行われ、実装済み基板110に搭載される全ての部品についての撮像画像の組み合わせが決定される。
なお、第2実施形態の外観検査装置による検査処理動作や検査処理の内容は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
第2実施形態では、上記のように、合計10枚の撮像画像の内で、検査対象部位の集合Ps(P1〜P100)の輝度値(光の強度)と非検査対象部位の集合Qs(Q1〜Q100)の輝度値(光の強度)との光の強度の差(上記式(1)の第1項)と、それぞれの輝度値(光の強度)のばらつき(上記式(1)の第2項)と、外れ値の個数(上記式(1)の第3項)とに基づいて、評価基準値Sの大きい組み合わせ(検査対象部位Pの光の強度と非検査対象部位Qの光の強度との光の強度の差が小さい撮像画像の組み合わせ)と、評価基準値Sの小さい組み合わせ(検査対象部位Pの光の強度と非検査対象部位Qの光の強度との光の強度の差が大きい撮像画像の組み合わせ)とを判定して、評価基準値Sの小さい上位5%の組み合わせの内から検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを決定するように構成した。このように構成することによって、10枚の撮像画像の内から評価基準値Sの小さい組み合わせを選択して、検査用画像に用いることができるので、検査対象部位Pと非検査対象部位Qとのコントラストが強く(光の強度の差が大きく)、画像認識に適した検査用画像を得ることができる。
また、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、照明部41を、上段照明412および赤外照明415と、中段照明413と、下段照明414とによって3つの異なる照射角度で照明光を照射可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。照明部は、たとえば上段照明および下段照明のみにより2つの照射角度で照明光を照射可能なように構成してもよい。また、照明部を、4つ以上の異なる照射角度で照明光を照射可能なように構成してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、上記式(1)に示す評価基準に基づいて、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ(抽出光画像および除外光画像)を評価(判定)した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記式(1)とは異なる評価基準を用いて検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを評価してもよい。たとえば、上記式(1)の第3項を考慮することなく、第1項および第2項のみを考慮してもよいし、第1項のみを考慮してもよい。また、第1項〜第3項以外の他の要素を評価してもよい。本発明では、少なくとも上記式(1)の第1項に相当する光の強度の差を評価するように構成すればよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ(抽出光画像および除外光画像)を決定する際に、組み合わせ可能な全ての撮像画像の組み合わせ(抽出光画像および除外光画像)を評価するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、全ての組み合わせを評価することなく、一部の組み合わせのみを評価するように構成してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、上段照明412、中段照明413および下段照明414を用いて撮像されたカラー画像をRGB分解して、それぞれ赤色(r)画像、緑色(g)画像および青色(b)画像の3枚の色成分画像を取得するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、色成分画像を取得することなく、撮像した画像をグレー化処理してそのまま用いてもよい。また、カラー画像を4色以上に色分解して、4枚以上の色成分画像を取得するように構成してもよい。なお、色成分画像を取得しに場合には、照明として白色LED(白色光)を用いる必要はない。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、ユーザにより、各100点の検査対象部位Pおよび非検査対象部位Qの位置データの教示(位置情報入力)が行われるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、位置データの教示は、100点よりも少ないサンプル数でもよいし、100点よりも多いサンプル数の教示を行ってもよい。また、検査対象部位Pおよび非検査対象部位Qに属する点を指定するのではなく、たとえば検査対象部位Pの領域(境界)を囲むように指定してもよい。この場合、ユーザの教示によって囲まれた領域外が非検査対象部位Qとなる。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、撮像ユニット40をユニット支持部30によりX方向に移動可能に構成し、実装済み基板110(移動部13)を移動テーブル20によりY方向に移動可能に構成することによって、実装済み基板110の任意の位置(XY方向の任意の位置)を撮像可能とするように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、実装済み基板を基板搬送コンベア(移動部)上の所定位置に配置するとともに、撮像ユニットをXY方向(水平方向)に移動可能に構成してもよい。また、撮像ユニットを実装済み基板上方の位置で固定的に設けるとともに、XY方向(水平方向)に移動可能な基板テーブル上で実装済み基板をXY方向に移動させるように構成してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを予め決定しておいて、実装済み基板110の検査時には、予め決定された組み合わせに基づいて検査用画像を取得するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、実装済み基板の検査時に検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを決定してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ決定処理において、撮像ユニット40を用いてサンプル基板を撮像するように構成しした例を示したが、本発明はこれに限られない。検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ決定処理では、別途サンプル基板を撮像した撮像画像を用意しておき、撮像ユニットにより撮像を行う処理を省略してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ決定処理において、外観検査装置100の演算処理部51によって撮像画像の組み合わせを決定するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせ決定処理において、撮像ユニット40を用いてサンプル基板を撮像した後、撮像された撮像画像データを用いて外部のPCや、ホストコンピュータなどにより撮像画像の組み合わせを決定するように構成してもよい。
また、上記第2実施形態では、検査用画像に用いる撮像画像の全ての組み合わせの内から、評価基準の値Sが小さい上位5%の組み合わせを抽出して、この上位5%の組み合わせの中から検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを決定するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、5%より絞り込んで上位4%以上の組み合わせの中から検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを決定してもよい。また、たとえば評価基準値Sが予め設定された閾値を下回るか否かを判定して、閾値を下回る組み合わせの中から検査用画像に用いる撮像画像の組み合わせを決定してもよい。この場合には、部品の種類や、実装済み基板の用途などに応じて、閾値の値を任意に設定可能なように構成するとよい。