JP5416159B2 - 高感度なイムノクロマトグラフ方法 - Google Patents
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Description
好ましくは、被験物質と界面活性剤を含む溶液であって界面活性剤濃度が0.05〜10重量%である溶液を不溶性担体上において展開させる。
好ましくは、金属を含む標識物質が、金属コロイドである。
好ましくは、金属コロイドが金コロイドである。
好ましくは、第一の結合物質が抗体であり、及び/又は第二の結合物質が抗体である。
好ましくは、捕捉した標識物質を増幅する工程を、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて行う。
好ましくは、増幅液が2価の鉄イオンを含む液である。
好ましくは、検出時に平均粒子サイズが1μm以上20μm以下のサイズを有する標識物質を検出する。
本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した金属を含む標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で、ステロイド骨格を有する界面活性剤の存在下において不溶性担体上において展開することを特徴とする。
デオキシコール酸
コール酸
3alpha,7alpha-Dihydroxy-5beta-cholanic Acid (ケノデオキシコール酸)
3-[(3-Cholamidopropyl)dimethylammonio]propanesulfonate (CHAPS)
グリココール酸
ヒオデオキシコール酸
3α-ヒドロキシ-7-オキソ-5β-コラン酸
5beta-Cholanic Acid-3alpha-ol (リトコール酸)
3alpha,7alpha-Dihydroxy-12-oxo-5beta-cholanic Acid (12-オキソケノデオキシコール酸)
タウロコール酸
3alpha,7beta-Dihydroxy-5beta-cholan-24-oic Acid N-(2-Sulfoethyl)amide (タウロウルソデオキシコール酸)
5beta-Cholanic Acid-3alpha,7beta-diol (ウルソデオキシコール酸)
N,N,-Bis(3-D-gluconamidopropyl)cholamide (BIGCHAP)
タウロデオキシコール酸
ステロイド骨格を有する界面活性剤を不溶性担体上に担持する方法としては、ステロイド骨格を有する界面活性剤の溶液をクロマトグラフ担体に添加した後、乾燥される方法が挙げられる。
本発明においては、好ましくは、被験物質と界面活性剤を含む溶液を不溶性担体上において展開させることができる。被験物質と界面活性剤を含む溶液における界面活性剤濃度は、本発明の効果が達成できる限りは限定されないが、一般的には、0.05〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5.0重量%であり、特に好ましくは0.25〜1.0 重量%である。
一般に、クロマトグラフ方法とは以下のような手法で被分析物を簡便・迅速・特異的に判定・測定する手法である。すなわち、被分析物と結合可能な固定化試薬(抗体、抗原等)を含む少なくとも1つの反応部位を有するクロマトグラフ担体(不溶性担体)を固定相として用いる。このクロマトグラフ担体上で、分析対象物結合可能な試薬によって修飾された標識物質が分散されてなる分散液を移動層として前記クロマトグラフ担体中をクロマトグラフ的に移動させると共に、前記分析対象物と標識物質とが特異的に結合しながら、前記反応部位まで到達する。前記反応部位において、前記分析対象物と標識物質の複合体が前記固定化試薬に特異的結合することにより、被分析液中に分析対象物が存在する場合にのみ、前記固定化試薬部に標識物質が濃縮されることを利用し、それらを目視または適当な機器を用いて被分析液中に被検出物が存在することを定性および定量的に分析する手法である。
本発明のクロマトグラフ方法で分析することのできる被検試料としては、分析対象物を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる擦過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
本発明のクロマトグラフ方法では、前記被検試料をそのままで、あるいは、前記被検試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、前記抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは前記抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。前記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、前記溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
本発明のクロマトグラフ方法において使用することのできるクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のクロマトグラフ法に用いることができるクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。例えば、クロマトグラフ用ストリップは、展開方向の上流から下流に向かって、試料添加パッド、標識化物質保持パッド(例えば金コロイド抗体保持パッド)、クロマトグラフ担体(例えば抗体固定化メンブレン)、及び吸収パッドがこの順に、粘着シート上に配置することができる。前記クロマトグラフ担体は、捕捉部位を有し、分析対象物と特異的に結合する抗体又は抗原を固定化した領域である検出ゾーン(検出部と記載することもある)を有し、所望により、コントロール用抗体又は抗原を固定化した領域であるコントロールゾーン(コントロール部と記載することもある)を更に有する。前記標識化物質保持パッドは、標識化物質を含む懸濁液を調製し、その懸濁液を適当な吸収パッド(例えば、グラスファイバーパット)に塗布した後、それを乾燥することにより調製することができる。前記試料添加パッドとしては、例えばグラスファイバーパットを用いることができる。
本発明で用いる標識物質としては、被験物質(抗原)と特異的に結合する検出物質を標識するのに用いる標識として、金属コロイド標識又は金属硫化物標識を用いる。前記金属コロイド標識又は金属硫化物標識としては、通常のイムノクロマト法に用いることができる標識である限り、特に限定されるものではなく、金属コロイド標識としては、例えば、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、鉄コロイド、又は水酸化アルミニウムコロイドなどを挙げることができ、金属硫化物標識としては、例えば、鉄、銀、鉛、銅、カドミウム、ビスマス、アンチモン、錫、又は水銀の各硫化物を挙げることができる。本発明のイムノクロマト法においては、これらの金属コロイド標識及び/又は金属硫化物標識の1又はそれ以上を標識として用いることができる。金属コロイドと特異結合物質との結合は、従来公知の方法(例えばThe Journal of Histochemistry and Cytochemistry, Vol.30,No.7,pp691-696,(1982))に従い行うことができる。
本発明では、標識物質は、被検物質に対する第一の結合物質で修飾されている。第一の結合物質とは、例えば該被検物質(抗原)に対する抗体、該被検物質(抗体)に対する抗原、該被検物質(たんぱく質、低分子化合物等)に対するアプタマーなど、該被検物質に対して親和性を持つ化合物であればなんでもよい。
クロマトグラフ担体としては不溶性担体を使用し、その中でも多孔性担体が好ましい。特に、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましい。
試料添加パッドの材質は、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、及び綿布等の均一な特性を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。試料添加部は、添加された分析対象物を含む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる。また、分析の際、試料中の分析対象物が試料添加部の材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理して用いることもある。
標識化物質保持パッドの素材としては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、及び不織布等が挙げられ、前述のように調製した標識物質を一定量含浸し、乾燥させて作製する。
吸収パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部に不溶化されない未反応標識物質等を吸収除去する部位であり、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸収部に届いてからのクロマトの速度は、吸収材の材質、大きさなどにより異なるので、その選定により分析対象物の測定に合った速度を設定することができる。
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法について説明する。
識からの信号を増幅した後に、第二の光学濃度測定を行うことによって、増幅後の標識物質を定量し、被検試料中の被検物質の量を測定することができる。
本発明においては、被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した金属を含む標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で、タンパク質のプロテアーゼ分解物の存在下において不溶性担体上において展開した後に、洗浄液を不溶性担体上に展開し、その後、捕捉した標識物質を増幅してもよい。
前記免疫複合体を形成しなかった標識化抗体を除去するための洗浄液は、洗浄の機能があればどんなものでもよい。
洗浄液は、検体液を展開した後に、クロマトグラフ用ストリップに添加しクロマトグラフ用ストリップに残存する抗原抗体反応で結合した以外の標識物を洗浄する。洗浄液の送液方法としては、検体液を展開した後にそのまま試料滴下部に添加する方法や、予めストリップに洗浄液送液の為の洗浄液添加パット、吸水パットを付着させておき、その洗浄液添加パットに添加し吸水パット方向へ送液する方法、予めストリップに洗浄液の添加部位を備えておき、検体液の展開後にその洗浄液の添加部位に洗浄液を添加する方法、などがあるが、より好ましくは、検体液をストリップに展開した後に洗浄液送液の為の洗浄液添加パット、吸水パットをストリップに付着させ、洗浄液添加パットに洗浄液を供給し、洗浄液を展開させる方法である。洗浄液添加パットに洗浄液を供給する方法としては、洗浄液の入ったポットに洗浄液添加パットを挿入してもいいし、洗浄液添加パットに洗浄液を滴下しても良い。
効果が大きくなる。さらに、該被検験物質の液の展開方向と洗浄液の展開方向との成す角は、好ましくは60度から170度、さらに好ましくは60度から150度である。
吸水パットは、吸水することができる物質ならばなんでもよく、セルロース、ニトロセルロース、グラスファイバー、それらの混合体などを用いることができる。
増幅溶液は、含まれる薬剤が標識物質や被検物質の作用により、触媒的に反応することで、着色した化合物や発光などを生じ、シグナルの増幅を起こすことができる溶液である。例えば、金属標識上で、物理現像により金属銀の析出を起こす銀イオン溶液や、ペルオキシダーゼ標識と過酸化水素の作用により色素となる、フェニレンジアミン化合物とナフトール化合物の溶液などが挙げられる。
銀イオン含有化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。好ましくは、水などの溶媒に対して溶解度の高い銀イオン含有化合物であり、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀、チオ硫酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀である。銀錯体としては、水酸基やスルホン基など水溶性基を有する配位子に配位された銀錯体が好ましく、ヒドロキシチオエーテル銀等が挙げられる。
銀イオンのための還元剤は、銀イオンを銀に還元することができれば、無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩を好ましく挙げることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe2+を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
増幅溶液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらのどれかの塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅溶液に最適なpHに調整することができる。また、カブリ防止剤としてアルキルアミンを添加剤として用いることができ、特に好ましくはドデシルアミンである。またこれら添加剤の溶解性向上のため、界面活性剤を用いることができ、特に好ましくはC9H19-C6H4-O-(CH2CH2O)50Hである。
検出時(増幅後)、テストライン部を切り出し、試料裏面をカーボンペーストで試料台に取り付けた後、断面を切り、カーボン蒸着し、走査型電子顕微鏡にて、形状と大きさを観察する。例えば、日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500で、加速電圧10KVで反射電子による試料表面の観察をSEMで行う事ができる。その後、シグナル粒子を100粒子選び、粒子の投影面積の円相当直径を測定し、平均値を算出し、検出時の平均粒子サイズとする。
(1-1)抗インフルエンザA型抗体修飾金コロイドの作成
(1-1-1)F(ab’)2断片化抗インフルエンザA型ウイルス抗体の作製
抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番7307、メディックスバイオケミカ社)を使用し、ImmunoPureIgG1 Fab and F(ab')2 Preparation Kit(品番 44880、ピアース社)を用いて作製した。
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 7.5)1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、160 μg / mLの(1-1-1)で作製したF(ab’)2断片化抗インフルエンザA型ウイルス抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
(1-2-1)F(ab’)2断片化抗H5インフルエンザウイルス抗体の作製
抗H5インフルエンザウイルス抗体(品番AM00942PU-N、ACRIS社)を使用し、Pierce F(ab’)2Preparation Kit(品番 44988、Thermo社)を用いて作製した。
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに20 mM Boraxバッファー(pH 9.0)1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、4 μg / mLの(1-2-1)で作製したF(ab’)2断片化抗H5インフルエンザウイルス抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
(1-1)で作成したインフルエンザA型抗体修飾金コロイドを、金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)及び水で希釈し、520 nmのODが6.0となるように希釈した。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
(1-2)で作成したH5インフルエンザ抗体修飾金コロイドを、金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)及び水で希釈し、520 nmのODが6.0となるように希釈した。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
(1-5-1)抗インフルエンザA型抗体固定化メンブレン(クロマトグラフ担体)の作成
25 mm×200 mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF120、ミリポア社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から7 mmの位置に、1.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)溶液をインクジェット方式の塗布機(BioDot社)を用いて幅0.7mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から13 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロースおよび0.05 w%コール酸ナトリウムを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.5)バッファー)500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンとした。
25 mm×200 mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF120、ミリポア社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から7 mmの位置に、1.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Mouse monoclonal [15A6] to Influlenza A virus Hemagglutinin、abcam社)溶液をインクジェット方式の塗布機(BioDot社)を用いて幅0.7mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から13 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロースおよび0.05 w%コール酸ナトリウムを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.5)バッファー)500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンとした。
バック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、(1-5)で作成した抗体固定化メンブレンを貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、テストライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2 mm重なるように(1-3)及び(1-4)で作成した金コロイド抗体保持パッドを貼り付け、約4 mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18 mm×250 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5 mm重なるように吸収パッド(80 mm×250 mmに切ったセルロース・グラス膜(CF6、ワットマン社))を重ねて貼り付けた。
(1-7-1)還元剤溶液の作製
水290gに、硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬、095-00995)を水に溶解して作製した1mol/lの硝酸鉄水溶液23.6ml、クエン酸(和光純薬、038-06925)13.1gを溶解させた。全て溶解したら、スターラーで攪拌しながら硝酸(10重量%)を36ml加え、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(和光純薬、091-00855)を60.8g加えこれを還元剤溶液とした。
水66gに、硝酸銀溶液8ml(10gの硝酸銀を含む)と1mol/lの硝酸鉄水溶液24mlを加えた。さらに、この溶液と、硝酸(10重量%)5.9ml、ドデシルアミン(和光純薬、123-00246)0.1g、界面活性剤C12H25-C6H4-O-(CH2CH2O)50H 0.1gをあらかじめ47.6gの水に溶解した溶液を混合し、これを銀イオン溶液とした。
図1に示す第1のデバイス部品(射出成形によるポリプロピレン製)に、図1で示すようにイムノクロマトグラフ用のテストストリップを装填した。次に、図2に示すように第2の不溶性担体および第3の不溶性担体として、グラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)を装填した。図1の洗浄液貯蔵ポットには上記(1-7-1)で作製した還元剤溶液185 μLを入れ、アルミラミシート(NewADM、サンライズ社)で熱ラミネートにより封止し、第2のデバイス部品を第1のデバイス部品に嵌め合わせた。なお、図1に示したポット受け部には、上記(1-7-2)で作製した銀イオン溶液95 μLを入れ、アルミラミシートで封止した液体貯蔵ポットを装填した。
(2-1)点着
模擬陽性検体(BD FluエグザマンコントロールA+B-(ベクトン・ディッキンソン社))又はH5インフルエンザHAタンパクを、以下に記載の通り抽出液で希釈し、(1-6)で作成した試験用イムノクロマトグラフキットの試料添加パットに、各抽出液で希釈した液を検体注入孔に140 μL点着し、10分間静置した。具体的には、以下の比較例1、実施例1、2及び3を行った。
1% BSAを含むPBSバッファーにSDS(非ステロイド骨格界面活性剤)を1%になるように 添加したものを、抽出液として使用した。抗原(模擬陽性検体(BD FluエグザマンコントロールA+B-(ベクトン・ディッキンソン社)))を抽出液で希釈して抗インフルエンザA型イムノクロマトキットに上記の通り点着した。
1% BSAを含むPBSバッファーを抽出液として使用した。抗原(H5インフルエンザHAタンパク)を抽出液で希釈して抗H5インフルエンザイムノクロマトキットに上記の通り点着した。
1% BSAを含むPBSバッファーにデオキシコール酸(ステロイド骨格界面活性剤)を1%になるように 添加したものを、抽出液として使用した。抗原(模擬陽性検体(BD FluエグザマンコントロールA+B-(ベクトン・ディッキンソン社)))を抽出液で希釈して抗インフルエンザA型イムノクロマトキットに上記の通り点着した。
1% BSAを含むPBSバッファーにCHAPS(ステロイド骨格界面活性剤)を0.5%になるように 添加したものを、抽出液として使用した。抗原(H5インフルエンザHAタンパク)を抽出液で希釈して抗H5インフルエンザイムノクロマトキットに上記の通り点着した。
1% BSAを含むPBSバッファーにBIGCHAPS (ステロイド骨格界面活性剤)を0.5%になるように 添加したものを、抽出液として使用した。抗原(H5インフルエンザHAタンパク)を抽出液で希釈して抗H5インフルエンザイムノクロマトキットに上記の通り点着した。
検体液を10分間展開した後、第2のデバイス部品20の押し付け部位34を10Nの力で押し、第2のデバイス部品20をたわませることで、送液用不溶性担体(第2の不溶性担体12)をメンブレンに押し付けた。この際の、押し付け量は第1のデバイス部品10のリブ15と第2のデバイス部品20が接触することで制限されている。イムノクロマトグラフ用ストリップ(第1の不溶性担体11)のメンブレン表面と、第2のデバイス部品によって送液用不溶性担体のメンブレンに接触する部位が0.2mmに潰されるようにリブ部材15の高さを調整した。また、イムノクロマトグラフ用ストリップ(第1の不溶性担体11)のメンブレン表面と第2のデバイス部品の押付け面18aとのクリアランスが0.005mmとなるように、第2のデバイス部品の突起部の形状を調整した。
送液用不溶性担体を押し付けてから30秒経過したところで、第2のデバイス部品20の封止破り部19を押し付け、送液用不溶性担体とともにアルミシートを突き破り、不溶性担体12を還元剤溶液に浸した。こうして還元剤溶液をイムノクロマトグラフストリップに展開させ3分間送液した。この工程によりイムノクロマトグラフストリップが還元剤溶液に浸され、さらに特異的に吸着していない材料が洗浄された。
第2のデバイス部品20に装填した液体貯蔵ポット32を押し込み、突起部位により封止を突き破り銀イオン溶液を液体貯蔵ポットから排出させて注入孔に注ぎ込ませた。銀イオン溶液がメンブレン表面と第2のデバイス部品の突起部位とのクリアランスに満たされ、検出ラインに吸着された金コロイド標識を1分間増幅した。
増幅処理が終了したイムノクロマトグラフストリップのメンブレン部分を切り出し、よく水洗した。水洗後の抗インフルエンザA型抗体固定化メンブレンを黒色版の上にのせてLAS-4000(FUJIFILM)で撮影した。水洗後の抗H5インフルエンザ抗体固定化メンブレンを白色版の上にのせてLAS-4000(FUJIFILM)で撮影した。それぞれのバックグラウンド濃度(OD)を測定した。
なお、増幅後の銀粒子の粒径は6〜8 μmだった。
Claims (8)
- 被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した金属を含む標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で、ステロイド骨格を有する界面活性剤の存在下において不溶性担体上において展開し;該被験物質に対する第二の結合物質、または被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質を有する不溶性担体上の検出部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法であって、
該被験物質と界面活性剤を含む溶液であって界面活性剤濃度が0.1〜5.0重量%である溶液を不溶性担体上において展開させ、
該被験物質に対する第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質を有する不溶性担体上の検出部位において該被験物質と該標識物質を捕捉した後、捕捉した標識物質を増幅して該被験物質を検出する、
イムノクロマトグラフ方法。 - ステロイド骨格を有する界面活性剤が、N,N-ビス(3-D-グルコンアミドプロピル)コールアミド(BIGCHAP)、3-[(3-クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(CHAPS)、又はデオキシコール酸である、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 不溶性担体が多孔性担体である、請求項1又は2に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 金属を含む標識物質が、金属コロイドである、請求項1から3の何れか1項に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 金属コロイドが金コロイドである、請求項4に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 第一の結合物質が抗体であり、及び/又は第二の結合物質が抗体である、請求項1から5の何れか1項に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 銀を含む化合物、及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液で増幅することを含む、請求項1から6の何れか1項に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 銀を含む化合物が、硝酸銀であり、銀イオンのための還元剤が、硝酸鉄(III)水溶液、クエン酸、硝酸及び硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物の混合物である、請求項7に記載のイムノクロマトグラフ方法。
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