JP7141458B2 - クロマトグラフキットおよびクロマトグラフ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、標識物質、非イオン性界面活性剤、グッド緩衝剤、カゼイン、多孔性担体、銀を含む化合物、および銀イオンを還元し得る還元剤を含む、クロマトグラフキットに関する。本発明はさらに、標識物質、非イオン性界面活性剤、グッド緩衝剤、カゼイン、多孔性担体、銀を含む化合物、および銀イオンを還元し得る還元剤を用いたクロマトグラフ方法に関する。
免疫測定方法の中でもクロマトグラフ法は、操作が簡便であり短時間であり測定可能であることから、一般的によく利用されている。クロマトグラフ法で用いられている免疫反応としては、競合的反応またはサンドイッチ型反応が広く使われている。その中でも、クロマトグラフ法ではサンドイッチ型反応が主流であり、その典型例においては、試料中の抗原よりなる被検物質を検出するために、以下のような操作が行われる。まず、被検物質である抗原に対する抗体により感作させた微粒子を固相微粒子としてクロマトグラフ担体に固定化することにより、あるいはこの抗体そのものをクロマトグラフ担体に直接固定化することにより、反応部位を有するクロマトグラフ担体を調製する。一方、標識微粒子に被検物質に対する抗体を感作させて感作標識微粒子を調製する。この感作標識微粒子を試料と共に、クロマトグラフ担体上でクロマトグラフ的に移動させる。以上の操作により、クロマトグラフ担体に形成された反応部位において、固定化された抗体が固定化試薬となり、これに被検物質である抗原を介して感作標識微粒子特異的に結合する。その結果、感作標識微粒子が反応部位に捕捉されることにより生ずるシグナルの有無または程度を目視で判定することにより、試料中の被検物質の存在の有無または量を測定することができる。
特許文献1には、イムノクロマトグラフィー法により検体中の検出対象物を検出する際に、非イオン界面活性剤、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン緩衝剤およびカゼインを含むイムノクロマトグラフィー用試薬組成物を、検体処理液または展開液として用いることが記載されている。
特許文献2には、プロテアーゼを含む非特異反応抑制剤と、尿試料とを接触させる工程を含む、尿試料中の多糖抗原を検出または定量するためのイムノクロマトグラフィー法における前処理方法が記載されており、前処理用溶液および展開液として、リン酸緩衝液、Tris緩衝液またはグッド緩衝液などの緩衝液、タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン、カゼインまたはゼラチンなど)および非イオン性界面活性剤などを添加してもよいことが記載されている。
特開2012-037253号公報 特開2018-036119号公報
クロマトグラフ法は、検体中の抗原を抽出した試料液をテストストリップに展開させる方法が一般的である。しかし、尿検体のようにpHが広範な検体の場合、既存の試料液ではpH調整ができず、検体中に等電点を持つ夾雑物質がテストストリップに非特異吸着し、偽陽性発生するなどの不良が生じる場合がある。特に、感度が低いために抗原が検出されない偽陰性の問題を回避するためにシグナル増幅を行うクロマトグラフ法では、増幅を行わないクロマトグラフ法よりテストラインが際立つため、偽陽性発生の不良が多い。
上記問題があるために、クロマトグラフキットでは、検体のpH調整する目的として検体を希釈することが一般的である。しかしながら高感度である銀増幅クロマトグラフ法では、一般的なpH緩衝剤だけでは偽陽性が際立ち、所定の抗原を定性および定量ができない場合が多い。
本発明は、偽陽性の発生が抑制され、かつ高感度なクロマトグラフキットおよびクロマトグラフ方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、非イオン界面活性剤、グッド緩衝剤およびカゼインを含む展開液を用いて被検物質を展開し、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを用いてシグナルを増幅することによって、偽陽性の発生を抑制しつつ高感度な測定を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質と、非イオン性界面活性剤と、グッド緩衝剤と、カゼインと、上記被検物質に対する第二の結合物質または上記第一の結合物質に対する結合物質を有する多孔性担体と、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを含む、クロマトグラフキット。
[2] グッド緩衝剤が、Tricineとも称するN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、HEPPSOとも称する2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸・一水和物、TAPSとも称するN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸、CHESとも称するN-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸、またはBicineとも称するN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシンである、[1]に記載のクロマトグラフキット。
[3] 非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート界面活性剤である、[1]または[2]に記載のクロマトグラフキット。
[4] 標識物質が、金属粒子である、[1]から[3]の何れか一に記載のクロマトグラフキット。
[5] 標識物質が、金、銀、白金、またはそれらの化合物である、[1]から[4]の何れか一に記載のクロマトグラフキット。
[6] 銀を含む化合物が硝酸銀である、[1]から[5]の何れか一に記載のクロマトグラフキット。
[7] 銀イオンを還元し得る還元剤が、Fe2+である、[1]から[6]の何れか一に記載のクロマトグラフキット。
[8] 多孔性担体が、
被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質を有する標識物質保持領域と、
被検物質に対する第二の結合物質または上記第一の結合物質に対する結合物質を有する標識物質捕捉領域と、
銀イオンを還元し得る還元剤を検出するための発色試薬を有する発色領域と、
を有する、[1]から[7]の何れか一に記載のクロマトグラフキット。
[9] 多孔性担体がニトロセルロース担体である、[1]から[8]の何れか一に記載のクロマトグラフキット。
[10] 第一の結合物質および第二の結合物質が抗体である、[1]から[9]の何れか一に記載のクロマトグラフキット。
[11] 被検物質を含む試料と、被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質と、非イオン性界面活性剤と、グッド緩衝剤と、カゼインとを含む展開液を、被検物質に対する第二の結合物質または上記第一の結合物質に対する結合物質を有する標識物質捕捉領域を有する多孔性担体上に展開する展開工程と、
上記標識物質捕捉領域において、上記被検物質と、上記被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質との複合体を捕捉する工程と、
捕捉された上記複合体の標識物質のシグナルを、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを用いて増幅する工程と、
を含む、クロマトグラフ方法。
[12] グッド緩衝剤が、Tricineとも称するN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、HEPPSOとも称する2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸・一水和物、TAPSとも称するN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸、CHESとも称するN-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸、またはBicineとも称するN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシンである、[11]に記載のクロマトグラフ方法。
[13] 展開液中の非イオン性界面活性剤の終濃度が0.05~2.5質量%である、[11]または[12]に記載のクロマトグラフ方法。
[14] 非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート界面活性剤である、[11]から[13]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
[15] 標識物質が、金属粒子である、[11]から[14]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
[16] 標識物質が、金、銀、白金、またはそれらの化合物である、[11]から[15]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
[17] 検出時に1μm以上20μm以下の平均粒径を有する標識物質を検出する、[11]から[16]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
[18] 銀を含む化合物が硝酸銀である、[11]から[17]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
[19] 銀イオンを還元し得る還元剤がFe2+である、[11]から[18]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
[20] 多孔性担体がニトロセルロース担体である、[11]から[19]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
[21] 被検物質を含む試料が、鼻汁、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、または尿である[11]から[20]の何れか一に記載のクロマトグラフ方法。
本発明のクロマトグラフキットおよびクロマトグラフ方法によれば、偽陽性の発生を抑制しつつ高感度な測定を行うことができる。
図1は、クロマトグラフキットの一例を示す斜視図である。 図2は、クロマトグラフキットの一例を示す分解概略斜視図である。 図3は、検査用ストリップ、第1のポットおよび第2のポットの位置関係を示す模式側面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
本発明によるクロマトグラフキットは、被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質と、非イオン性界面活性剤と、グッド緩衝剤と、カゼインと、上記被検物質に対する第二の結合物質または上記第一の結合物質に対する結合物質を有する多孔性担体と、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを含む、クロマトグラフキットである。
本発明によるクロマトグラフ方法は、被検物質を含む試料と、被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質と、非イオン性界面活性剤と、グッド緩衝剤と、カゼインとを含む展開液を、被検物質に対する第二の結合物質または上記第一の結合物質に対する結合物質を有する標識物質捕捉領域を有する多孔性担体上に展開する展開工程と、
上記標識物質捕捉領域において、上記被検物質と、上記被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質との複合体を捕捉する工程と、
捕捉された上記複合体の標識物質のシグナルを、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを用いて増幅する工程、
とを含む方法である。
本発明のクロマトグラフキットおよびクロマトグラフ方法によれば、被検物質の定性分析または定量分析を行うことができる。
1.クロマトグラフ
一般には、クロマトグラフ方法とは以下のような手法で被検物質を簡便・迅速・特異的に判定および測定する手法である。すなわち、被検物質と結合可能な結合物質(具体的には抗体など)を有する検出部位の少なくとも1つを有する標識物質捕捉領域を有することが可能なメンブレン(多孔性担体)を固定相として用いる。この多孔性担体上で、被検物質に対する第一の結合物質によって修飾された標識物質を含む液を移動層としてクロマトグラフ的に移動させると共に、被検物質と標識物質とが特異的に結合しながら、検出部位を有する標識物質捕捉領域まで到達する。標識物質捕捉領域の検出部位において、被検物質と標識物質の複合体が、固定化された第二の結合物質に特異的に結合することにより、被検試料中に被検物質が存在する場合にのみ、第二の結合物質に標識物質が濃縮されることを利用し、それらを目視または適当な機器を用いて被検試料中に被検物質が存在することを定性的および定量的に分析する手法である。
本発明におけるクロマトグラフ方法においては、標識物質のシグナルを増幅するために使用する2種の増幅試薬、具体的には、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを使用し、標識物質捕捉領域上の固定化試薬に結合した被検物質と標識物質の複合体を核として増幅反応によって、シグナルを増幅し、結果として高感度化を達成することができる。本発明によれば、迅速な高感度クロマトグラフを行うことができる。
2.被検物質を含む試料(被検試料とも言う)
本発明のクロマトグラフ方法およびキットを用いて分析することのできる被検試料としては、被検物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻汁、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、または喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる擦過検体(スワブ)、または動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。好ましくは、被検物質を含む試料は、鼻汁、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、または尿である。
被検試料はそのままで、あるいは、被検試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。本発明で用いられる抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、または緩衝液等)、あるいは、かかる溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
3.展開液
被検物質を含む試料を多孔性担体上に展開する際の展開液は、非イオン性界面活性剤と、グッド緩衝剤と、カゼインとを含む。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標)シリーズ)、ポリオキシエチレンp-t-オクチルフェニルエーテル(Triton(登録商標)シリーズ)、ポリオキシエチレンp-t-ノニルフェニルエーテル(Triton(登録商標)Nシリーズ)、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル等を挙げることができる。上記の中でも、ポリソルベート界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標)シリーズ)が好ましく、例えば、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60およびTween(登録商標)80が特に好ましい。
展開液における非イオン性界面活性剤の含有量としては、好ましくは0.01~10質量%の範囲であり、より好ましくは0.05~5質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.1~1質量%の範囲である。
グッド緩衝剤とは、元々は1966年にNorman Good らによって示された緩衝剤のことを言う(N.E.Good他(1966).Hydrogen Ion Buffers for Biological Research. Biochemistry5(2):467-477)。
グッド緩衝剤の具体例を以下の表1に記載する。本発明においてはpH8~9(例えば、pH8.5)の緩衝能を有するグッド緩衝剤を使用することが好ましい。
Figure 0007141458000001
上記の中でも、Tricine、HEPPSO、TAPS、CHESまたはBicineを使用することが好ましい。
展開液におけるグッド緩衝剤の濃度としては、好ましくは10~1000mmol/Lの範囲であり、より好ましくは50~500mmol/Lの範囲であり、さらに好ましくは100~300mmol/Lの範囲である。
本発明で使用するカゼインは特に限定されない。カゼインは牛乳から常法にしたがって取得することができる。例えば、カゼインは、カゼインの等電点であるpH4.6以下のpH環境において沈殿させることによって牛乳から分離することができる。カゼインは、常法にしたがって分離されたカゼインでもよいし、市販品を用いてもよい。また、カゼインとしては、加熱、加圧等の物理的分解、酸・アルカリ等での化学的分解、タンパク質分解酵素での酵素的分解により低分子化したものを使用してもよい。
展開液におけるカゼインの含有量としては、好ましくは0.001~1質量%の範囲であり、より好ましくは0.005~0.5質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量%の範囲である。
4.構成
本発明のクロマトグラフキットにおいては、クロマトグラフ用ストリップを組み込み使用することができる。使用することのできるクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のクロマトグラフ法に用いることができるクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。
本発明において使用することができるクロマトグラフ用ストリップとしては、被検物質を含む被検試料の展開方向の上流方向から下流方向に向かって、標識物質保持領域、標識物質捕捉領域を有している。好ましい態様においては、クロマトグラフ用ストリップは、更に、発色試薬を有する領域(発色領域)を有している。本発明において、より好ましい態様としては、発色試薬を有する領域は、標識物質捕捉領域の下流方向に位置している態様であり、更には、試料添加パッド、標識物質保持領域を有する標識物質保持パッド(例えば金コロイド抗体保持パッド)、多孔性担体である抗体固定化メンブレン(例えば、標識物質捕捉領域を有する抗体固定化メンブレン)、および吸水パッドをこの順に、粘着シート上に配置する態様が好ましく用いられる。多孔性担体である抗体固定化メンブレンとしては、被検物質と特異的に結合する抗体を固定化した検出部位を少なくとも1つ有する領域である標識物質捕捉領域を有し、所望により、コントロール用抗体または抗原を固定化した領域であるコントロール部位(コントロール領域と記載することもある)を更に有していてもよい。
本発明で用いることができる標識物質保持領域を有する標識物質保持パッドは、標識物質を含む懸濁液を調製し、その懸濁液を適当な吸水パッド(例えば、グラスファイバーパッド)に塗布した後、それを乾燥することにより調製することができる。
4-1.標識物質
本発明で用いる標識物質としては、被検物質に対する第一の結合物質を標識するのに用いる標識として、金属を含む標識物質を用いることが好ましい。標識物質は、金属粒子であることがさらに好ましい。本発明で用いることができる金属の種類としては、好ましくは、金、銀、白金の貴金属や、鉄、鉛、銅、カドミウム、ビスマス、アンチモン、錫、または水銀を用いることができ、それらの化合物を用いることができる。更に好ましくは金、銀、白金の貴金属を用いることができる。本発明において使用できる金属を含む標識物質の好ましい形態としては、金属コロイド標識または金属硫化物標識を用いることができる。本発明においては、金属コロイド標識としては、好ましくは、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、鉄コロイド、または水酸化アルミニウムコロイドなどを用いることができ、金属硫化物標識としては、好ましくは、鉄、銀、鉛、銅、カドミウム、ビスマス、アンチモン、錫、または水銀の各硫化物を用いることができる。本発明においては更に好ましくは、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、最も好ましくは金コロイドを用いることができる。金属コロイド標識として金コロイド粒子を用いる場合には、市販のものを用いてもよい。あるいは、常法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法(Nature Physical Science,241(1973)20等)により金コロイド粒子を調製することができる。
金属コロイドの平均粒径としては、約1nm~500nmが好ましく、3~100nmがさらに好ましく、5~60nmが特に好ましい。本発明に用いられる金属コロイドの平均粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。粒度分布の測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
平均粒径の測定方法としては、 粒径範囲および測定の容易さから、動的光散乱法を好ましく用いることができる。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB-550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子(株))等が挙げられ、本発明においては、25℃の測定温度で測定したメジアン径(d=50)の値として求める。
本発明によれば、検出用の標識物質として金属コロイド標識または金属硫化物標識、その他金属合金標識(以下、金属系標識と称することがある)、また金属を含むポリマ-粒子標識を用いるクロマトグラフにおいて、金属系標識のシグナルを増幅させることができる。具体的には、被検物質と検出用標識物の複合体の形成後に、無機銀塩や有機銀塩などの銀を含む化合物から供給される銀イオン、および銀イオンを還元し得る還元剤を接触させ、還元剤によって銀イオンを還元して銀粒子を生成させると、その銀粒子が金属系標識を核として金属系標識上に沈着するので、金属系標識が増幅され、被検物質の分析を高感度に実施することができる。即ち、本発明のクロマトグラフ方法においては、還元剤による銀イオンの還元作用により生じた銀粒子を用いて、免疫複合体の標識に沈着させる反応を実施し、こうして増幅されたシグナルを分析する。
4-2.結合物質
本発明では、標識物質は、被検物質に対する第一の結合物質で修飾されている。第一の結合物質とは、例えば被検物質(抗原)に対する抗体、被検物質(抗体)に対する抗原、被検物質(たんぱく質、低分子化合物等)に対するアプタマーなど、被検物質に対して親和性を持つ化合物であれば何でもよい。
本発明のクロマトグラフキットは、被検物質に対する第二の結合物質または上記第一の結合物質に対する結合物質を標識物質捕捉領域に有している。被検物質に対する第二の結合物質とは、例えば被検物質(抗原)に対する抗体、被検物質(抗体)に対する抗原、被検物質(たんぱく質、低分子化合物等)に対するアプタマーなど、被検物質に対して親和性を持つ化合物であれば何でもよい。また、第二の結合物質と第一の結合物質とは異なるものでも良いし、同一のものでもよい。第一の結合物質に対する結合物質とは、被検物質そのものでもよいし、第一の結合物質が認識する部位を持つ化合物でもよく、たとえば被検物質の誘導体とタンパク質(例えばBSAなど)とを結合させたような化合物などがそれにあたる。
好ましくは、第一の結合物質が抗体であり、および/または第二の結合物質が抗体である。
本発明のクロマトグラフ方法においては、被検物質に対して特異性を有する抗体として、特に限定されるものではないが、例えば、その被検物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被検物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、またはFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行うことができる。
本発明において、第一の結合物質を用いて標識物質を修飾する方法としては、例えば、金属コロイドと特異結合物質との結合の場合は、以下に記載されている従来公知の方法(例えばThe Journal of Histochemistry and Cytochemistry,30,7 (1982)691-696)に従い、行うことができる。具体例としては、金属コロイドと特異結合物質(例えば抗体)を適当な緩衝液中で室温下5分以上混合する。反応後、遠心分離により得た沈殿を、ポリエチレングリコ-ル等の分散剤を含む溶液中に分散させることにより、目的の金属コロイド標識特異結合物質を得ることができる。
4-3.多孔性担体
本発明で用いることができる多孔性担体としては、特に、ニトロセルロース担体(ニトロセルロース膜など)、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましい。
本発明においては、多孔性担体の標識物質捕捉領域に、被検物質に対する第二の結合物質または第一の結合物質に対する結合物質を固定化させた検出部位を有する。被検物質に対する第二の結合物質または第一の結合物質に対する結合物質は、多孔性担体の一部に物理的または化学的結合により直接固定化させて検出部位を形成させてもよいし、あるいはラテックス粒子などの微粒子に物理的または化学的に結合させ、この微粒子を多孔性担体の一部にトラップさせて固定化させ、検出部位を形成してもよい。なお、多孔性担体は、被検物質に対する第二の結合物質または第一の結合物質に対する結合物質を固定化した後、不活性蛋白による処理等により非特異的吸着防止処理を施して使用することが好ましい。本発明の多孔性担体は、結合部位を複数有している態様も好ましく用いることができ、更には標識物質捕捉領域の一部として、所望により、上述のコントロール部位を有していてもよい。
4-4.標識物質保持パッド
本発明においては、標識物質保持領域を有する標識物質保持パッド、好ましくは金コロイド保持パッドをクロマトグラフキットに組み込んで使用する態様が好ましい。標識物質保持パッドの素材としては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、および不織布等を好ましく使用することができ、前述のように調製した標識物質を一定量含浸し、乾燥させて標識物質保持領域とすることができる。
4-5.試料添加パッド
本発明のクロマトグラフキットは更に、試料添加パッドを組み込み使用することが好ましい。試料添加パッドは、添加された被検物質を含む試料を受け入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる態様が好ましい。試料添加パッドの材質としては、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、および綿布等の均一な特性を有するものが挙げられる。また、分析の際、試料中の被検物質が試料添加パッドの材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理して用いることもできる。本発明においては、試料添加パッドは、標識物質保持領域を有する標識物質保持パッドを兼ねていてもよい。
4-6.吸水パッド
本発明においては、吸水パッドをクロマトグラフキットに好ましく組み込んで用いることができる。吸水パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部に不溶化されない未反応標識物質等を吸収除去する部位であり、セルロ-ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸水パッドに届いてからのクロマトの速度は、吸水パッドの材質、大きさなどにより異なるので、その選定により被検物質の測定に合った速度を設定することができる。
5.銀イオンを還元し得る還元剤を検出するための発色試薬
本発明で用いるクロマトグラフキットにおいては、発色試薬は、多孔性担体に担持されていることが好ましい。
本発明において、銀イオンを還元し得る還元剤を検出するための発色試薬としては、例えば、イオンに反応して発色する化合物を使用することが好ましい。第1の増幅試薬については本明細書中で後記するが、例えば、第1の増幅試薬が、2価の鉄イオン(Fe2+)を含む試薬である場合には、その発色試薬としては、Fe2+イオンと反応して発色する化合物を使用することができる。Fe2+イオンと反応して発色する化合物としては、Fe2+イオンと錯形成することで発色できる化合物を使用することができる。Fe2+イオンと反応して発色する化合物の具体例としては、フェナントロリン骨格を有する化合物[例えば、1,10-フェナントロリン、5-メチルフェナントロリン、5-ニトロフェナントロリン、バソフェナントロリン(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、またはバソフェナントロリンジスルホン酸など]、あるいはビピリジン骨格を有する化合物[例えば、2,2’-ビピリジンなど]を使用することができ、好ましくはフェナントロリン骨格を有する化合物を使用することができる。また、被検試料を含む水溶液と第1の増幅試薬を含む水溶液のpHが異なる場合には、第1の増幅試薬を検出するために、H+イオンにより構造変化が起こって色味が変化する試薬を好ましく使用することができる。特に第1の増幅試薬を含む水溶液が酸性(pH7より小さい、H+イオン濃度が高い)である場合には、酸性領域用のpH指示薬として公知の発色試薬であるH+イオンと反応して発色する化合物(例えば、メチルオレンジ、メチルレッド、コンゴーレッドおよびメチルイエローなどのジアゾ系の発色試薬、並びに、チモールブルー、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープルおよびブロモチモールブルーなどのサルトン系の発色試薬)等を、増幅試薬を含む水溶液のpHに合わせて適宜選択して使用することが好ましい。上記の中でも、1,10-フェナントロリン、バソフェナントロリンまたはブロモクレゾールグリーンをより好ましく使用できる。
発色試薬としては、被検試料を含む水溶液または銀イオンを還元し得る還元剤を含む水溶液のいずれかを展開した際に、多孔性担体中を実質的に移動しない発色試薬であることが好ましい。従って、発色試薬のLogP(水とオクタノール中での分配係数)が4.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。LogPとしては実測値を用いてもよいが、簡便に判断する方法として、化学構造等から得られる計算値を用いることもできる。LogPを計算する方法としては、CambridgeSoft社のChemDrawPro version 12で使用されている計算方法が好ましい。代表的な発色試薬の応答性およびLogP(ChemDrawPro version 12による)を以下の表2に示した。
Figure 0007141458000002
発色試薬を有する領域が、多孔性担体の検出部位を有する標識物質捕捉領域より下流に位置していることが好ましい。発色試薬をクロマトグラフキット内に保持する方法としては、後述する吸水パッドを発色試薬溶液に浸し減圧乾燥する方法、多孔性担体の標識物質捕捉領域よりも下流方向にライン状に塗布する方法などがある。
被検試料を含む水溶液または第1の増幅試薬を含む水溶液のいずれかを展開した際に、発色試薬が多孔性担体中を実質的に移動する場合には、発色試薬を吸水パッドに含有させて使用することが好ましい。
被検試料を含む水溶液または第1の増幅試薬を含む水溶液のいずれかを展開した際に、発色試薬が多孔性担体中を実質的に移動しない場合には、標識物質捕捉領域を有する多孔性担体に発色試薬を担持させることが好ましい。
標識物質捕捉領域に第1の増幅試薬が到達したことをより小さいタイムラグで表示することを可能とするため、本発明においては発色試薬を多孔性担体に担持させる態様がより好ましい。
本発明において、被検物質を含む被検試料が添加される領域と、標識物質捕捉領域とを、被検物質を含む被検試料の展開方向に対して上流から下流の方向にこの順番で有するとは、被検試料を毛管現象や、吸水パッドを使用した場合の吸引力等を利用して展開させる場合に、被検物質を含む被検試料の展開方向に対して、上流方向、下流方向と定義する。本発明の具体的な態様では、標識物質保持領域から標識物質保持領域に向かって被検試料等を展開した場合に、標識物質保持領域の方向を上流方向、標識物質捕捉領域の方向を下流方向と定義する。
本発明の好ましい態様においては、標識物質捕捉領域に捕捉された標識物質のシグナルを増幅するために使用する2種の増幅試薬のうちの第1の増幅試薬を、標識物質捕捉領域の上流方向から標識物質捕捉領域の下流方向に展開し、発色試薬を有する領域における物理的または化学的変化を検出することによって、標識物質捕捉領域が第1の増幅試薬で満たされていることを確認する。発色試薬を有する領域における物理的または化学的変化としては、第1の増幅試薬と発色試薬との反応によって生じる発色や蛍光の変化等を検出することができる。好ましくは発色を検出することができる。このような物理的または化学的変化は、視覚的に検出してもよいし、検出機器を利用して検出してもよい。
6.検査の方法
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法および競合法について説明する。
サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被検物質の分析を実施することができる。まず、被検物質に対する第一の結合物質、および被検物質に対する第二の結合物質を予め調製しておく。また、第一の結合物質で、予め標識物質を修飾しておく。第二の結合物質を、適当なクロマトグラフ担体(多孔性担体)(例えば、ニトロセルロ-ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、またはセルロ-ス膜等)上に固定して標識物質捕捉領域とし、被検物質を含む可能性のある被検試料(またはその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被検物質が存在する場合には、第二の結合物質との結合(例えば、第二の結合物質との抗原抗体反応)が起こる。被検物質と第二の結合物質との結合と同時または結合後に、更に第一の結合物質で修飾した標識物質を過剰量接触させると、被検試料中に被検物質が存在する場合には、固定化された第二の結合物質と被検物質と第一の結合物質で修飾した標識物質とからなる複合体が形成される。
サンドイッチ法では、固定化された第二の結合物質と被検物質、および被検物質と標識物質を修飾した第一の結合物質との反応が終了した後、免疫複合体を形成しなかった標識物質を除去し、続いて、例えば、多孔性担体の標識物質捕捉領域をそのまま観察しその標識物質を検出、または定量し、被検試料中の被検物質の有無判定または量を測定することができる。本発明においては、例えば、還元剤および銀イオン含有化合物を供給することにより、かかる複合体を形成した標識物質からのシグナルを増幅し検出する。
競合法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被検物質の分析を実施することができる。競合法は、サンドイッチ法でアッセイすることができない低分子化合物の抗原を検出する手法として知られている。まず、被検物質(抗原)に対して特異性を有する第一の結合物質を予め調製しておく。また、第一の結合物質で、予め標識物質を修飾しておく。第一の結合物質に対する結合物質である、被検物質そのもの、または被検物質と類似な部位を持つ被検物質の類似化合物を、適当な結合物質固定化メンブレン(例えば、ニトロセルロ-ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ-ス膜等)上に固定して標識物質捕捉領域とする。被検物質(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)及び、予め第一の結合物質で修飾した標識物質とを接触させると、その被検試料中に被検物質が存在しない場合には、標識物質を修飾した第一の結合物質と、標識物質捕捉領域上に固定化された、第一の結合物質に対して結合性を有する、被検物質そのものまたは被検物質の類似化合物、とにより複合体が形成される。一方、被検試料中に被検物質が存在する場合には、標識物質を修飾した第一の結合物質に被検物質(抗原)が結合するため、その後の第一の結合物質に対して結合性を有する、標識物質捕捉領域に固定化された被検物質そのもの、または被検物質の類似化合物との結合、が阻害され、複合体が形成されない。
被検物質そのもの、または被検物質と類似な部位を持つ被検物質との類似化合物と、標識物質を修飾した第一の結合物質との反応が終了した後、結合しなかった標識物質を修飾した第一の結合物質を除去し、続いて、標識物質捕捉領域の、第一の結合物質で修飾した標識物質の量を検出、または定量し、被検試料中の被検物質の有無判定または量を測定することができる。本発明においては、銀イオンを還元し得る還元剤および銀を含む化合物を供給することにより、複合体を形成した標識物質からのシグナルを増幅して検出する。
7.増幅試薬
増幅試薬は、標識物質や被検物質の作用により、触媒的に反応することで、着色した化合物や発光などを生じ、シグナルの増幅を起こすことができる試薬であり、試薬を含有する溶液の状態、即ち増幅液として使用することができる。例えば、金属標識上で、物理現像により金属銀の析出を起こす銀イオン溶液や、ペルオキシダーゼ標識と過酸化水素の作用により色素となる、フェニレンジアミン化合物とナフトール化合物の溶液などが挙げられる。
詳細には、写真化学の分野での一般書物(例えば、「改訂写真工学の基礎-銀塩写真編-」(日本写真学会編、コロナ社)、「写真の化学」(笹井明、写真工業出版社)、「最新処方ハンドブック」(菊池真一他、アミコ出版社))に記載されているような、いわゆる現像液を、増幅試薬を含有する増幅液として用いることができ、液中に銀イオンを含み、液中の銀イオンが現像の核となるような金属コロイド等を中心に還元される、いわゆる物理現像液であれば、特に限定されることなく増幅液として用いることができる。
本発明では、2種の増幅試薬を用いる。標識物質捕捉領域に捕捉された標識物質のシグナルを増幅するために使用する2種の増幅試薬のうち、第1の増幅試薬を第1の増幅液に、第2の増幅試薬を第2の増幅液に含有させておき、第1の増幅液および第2の増幅液を順次、添加することにより増幅を行うことが好ましい。第1の増幅液は、標識物質保持パッドおよび試料添加パッドよりも上流方向に位置する、還元剤溶液を送液するためのパッドに添加することが好ましい。
増幅液の具体例としては、銀イオンを還元し得る還元剤を含む第1の増幅液、および、銀を含む化合物を含む第2の増幅液の組み合わせを用いることができる。
以下、第1の増幅液に含まれる銀イオンを還元し得る還元剤と第2の増幅液に含まれる銀を含む化合物等について説明する。
7-1.銀を含む化合物
銀を含む化合物としては、銀イオン含有化合物、例えば、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。好ましくは、水などの溶媒に対して溶解度の高い銀イオン含有化合物であり、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀、チオ硫酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀である。銀錯体としては、水酸基やスルホン基など水溶性基を有する配位子に配位された銀錯体が好ましく、ヒドロキシチオエーテル銀等が挙げられる。
無機銀塩、もしくは銀錯体は、銀として一般に0.001モル/m~0.2モル/m、好ましくは0.01モル/m~0.05モル/m含有されることが好ましい。
7-2.銀イオンを還元し得る還元剤
銀イオンを還元し得る還元剤は、銀イオンを銀に還元することができれば、無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩を好ましく挙げることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe2+を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
なお、湿式のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる現像主薬(例えばメチル没食子酸塩、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、3-ピラゾリドン類、p-アミノフェノール類、p-フェニレンジアミン類、ヒンダードフェノール類、アミドキシム類、アジン類、カテコール類、ピロガロール類、アスコルビン酸(またはその誘導体)、およびロイコ色素類)、および本分野での技術に熟練している者にとって明らかなその他の材料、例えば米国特許第6,020,117号に記載されている材料も用いることができる。
還元剤としては、アスコルビン酸還元剤も好ましい。有用なアスコルビン酸還元剤は、アスコルビン酸と類似物、異性体とその誘導体を含み、例えば、D-またはL-アスコルビン酸とその糖誘導体(例えばγ-ラクトアスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸)、アスコルビン酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のカリウム塩、イソアスコルビン酸(またはL-エリスロアスコルビン酸)、その塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩または当技術分野において知られている塩)、エンジオールタイプのアスコルビン酸、エナミノールタイプのアスコルビン酸、チオエノ-ルタイプのアスコルビン酸等を好ましく挙げることができ、特にはD、LまたはD,L-アスコルビン酸(またはそのアルカリ金属塩)若しくはイソアスコルビン酸(またはそのアルカリ金属塩)が好ましく、ナトリウム塩が好ましい塩である。必要に応じてこれらの還元剤の混合物を用いることができる。
8.その他の助剤
増幅液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらの塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅溶液に最適なpHに調整することができる。また、カブリ防止剤としてアルキルアミンを添加剤として用いることができ、特に好ましくはドデシルアミンである。またこれら添加剤の溶解性向上のため、界面活性剤を用いることができ、特に好ましくはC919-C64-O-(CH2CH2O)50Hである。
増幅試薬をクロマトグラフキットに点着する方法としては、還元剤溶液を送液するためのパッドに、第1の増幅液としての還元剤溶液を点着し、第2の増幅液としての銀イオン溶液を標識物質捕捉領域を含む領域に上から点着して、銀イオン溶液を多孔性担体の厚み方向に浸潤させる方法が好ましい。
2種の増幅試薬をクロマトグラフキットに内蔵する方法としては、各増幅試薬を含む溶液を含むポットを、各増幅試薬を点着する部位の上部に配置する方法が挙げられる。還元剤溶液(第1の増幅液)を、還元剤溶液を送液するためのパッドの上部に置き、銀イオン溶液(第2の増幅液)を含むポットを銀イオン溶液充填孔のすぐ上部に設置することが好ましい。このように配置することにより、それぞれのポットを押すことで液が流れ、所定の部位に点着することができる。
9.クロマトグラフキット
本発明のクロマトグラフキットにおいては、被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質を予め多孔性担体上に具えているものでもよいし、あるいは、被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質を多孔性担体とは別に具えているものでもよい。この場合、多孔性担体とは別に具えられた、被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質を、被検試料と混合した後に多孔性担体上を展開するなどの方法で測定を行うことができる。
本発明のクロマトグラフキットはさらに、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを含む。
本発明のクロマトグラフキットは、反応部位を有する多孔性担体と、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを内包するハウジングケースとを備えていてもよい。
本発明のクロマトグラフキットは、破断可能な部材を備えたポットをさらに含み、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とがそれぞれ上記ポットに封入されていてもよい。この場合、上記ポットが、外力によって破断することができる。
図1は、本発明の一例を示すクロマトグラフキット100の概略斜視図であり、図2は、図1のクロマトグラフキット100の分解概略斜視図である。図3は、検査用ストリップ、第1のポットおよび第2のポットの位置関係を示す模式側面図である。
図1~図3に示すように、本実施形態のクロマトグラフキット100は、試料液を展開させる、被検物質の検査領域を有する多孔性担体2を含む検査用ストリップ1と、検査領域における検出シグナルを増幅するための、第1の増幅液41および第2の増幅液46がそれぞれ封入された、シート部材を備えた一面を有する第1のポット40および第2のポット45とがハウジングケース9に内包されてなる。ハウジングケース9は、検査用ストリップ1が配置される収容部21を備えた下部ケース20と、下部ケース20と周縁で接合された上部ケース10と、上部ケース10と下部ケース20との間に配置された中間部材30とを備えてなる。なお、本クロマトグラフキット100を説明するに当たっては、上部ケース10側を上、下部ケース20側を下と定義する。
中間部材30は、第1のポット40を受容し、第1の増幅液41を多孔性担体2上に滴下させるための増幅液充填孔を底面に備えたポット収容部32を有している。また、ポット収容部32内の第1のポット40のシート部材43に面する位置にシート部材43を破断する突起状の破断部34が設けられている。本例においては、ポット収容部32の上方に第1のポット40が、そのシート部材43を有する面が下面となるように配置されており、そのシート部材43に対向するポット収容部32の底面に破断部34が設けられている(図3参照)。
また中間部材30のポット収容部32の底面の下流側に延在する流路形成部35を備えている。流路形成部35は、検査領域L、確認領域Lおよび増幅指標領域Lの上方位置に一致して配置され、これらの領域L~Lを視認可能とするために透明な材料で形成されている。
上部ケース10は、第1のポット40に対向する部分に、外部から押圧力が加えられることにより、第1のポット40側に変形してその第1のポット40のシート部材43を中間部材30の破断部34により破断させる第1の凸状変形部12を備えている。また、上部ケース10は、第2のポット45に対向する部分に、外部から押圧力を加えることにより、第2のポット45側に変形して第2のポット45のシート部材48を破断する第2の凸状変形部14を備えている。
また、上部ケース10には、試料液滴下用開孔16が設けられており、この開孔16から検査用ストリップ1の標識保持パッド3上に試料液が滴下される。開孔16と標識保持パッド3との位置が一致するように、標識保持パッド3の位置を調整することで、標識保持パッド3上に確実に試料液を点着することが可能となる。また、上部ケース10は、中間部材30の流路形成部35に対応する位置に3つの領域L~Lを視認するための観察窓18を備えている。
下部ケース20には、検査用ストリップ1が配置される収容部として、多孔性担体2が載置される多孔性担体収容部21およびその下流側に吸収パッド6が載置される吸収パッド収容部22が設けられている。また、多孔性担体収容部21の上流側には第2のポット45が収容される第2のポット収容部24が設けられている。
図3は、検査用ストリップ1、中間部材30および2つのポット40、45の位置関係を示す模式的断面図である。検査用ストリップ1は、図3に示すように、試料液を展開させる多孔性担体2と、多孔性担体2上に固定された抗体で修飾された標識物質を含む標識保持パッド3と、多孔性担体2の一端に接触して配置された第2の増幅液46を多孔性担体2に送液する送液用パッド4と、多孔性担体2の他端に接触して配置された吸収パッド6とを備えている。多孔性担体2はバック粘着シート7上に固定されて支持されている。そして、多孔性担体2は、標識保持パッド3と吸収パッド6との間に、検査領域L、確認領域L、増幅指標領域Lを標識保持パッド3側から順に有する。
なお、本明細書において検査領域L、確認領域Lおよび増幅指標領域Lが形成されてなる多孔性担体2をクロマトグラフ担体と称する場合がある。また、本明細書においては、図3に記載のように送液用パッド4側を上流、吸収パッド6側を下流として定義する。
中間部材30は検査用ストリップ1の下流端側の上部に位置しており、第1のポット40はシート部材43を下にして、中間部材30のポット収容部32中に配置されている。第2のポット45はシート部材48を上にして、下部ケース20の検査用ストリップ1の上流端の下方に収容されている。
図3に示されているように、中間部材30の流路形成部35の裏面36と、検査用ストリップ1の多孔性担体2との間には、隙間(クリアランス)Dが形成される。この隙間Dは0.01mm~1mmの範囲にあることが好ましい。0.01mm以上であれば増幅液等を充分浸潤させることができ、1mm以下であれば毛細管力が発揮され、第1の増幅液41により多孔性担体2と中間部材30の隙間を均一に満たすことが可能である。
第1の増幅液41が封入された第1のポット40は、例えば樹脂材料から構成された一面に開口を有する容器42に第1の増幅液41が充填され、その容器42の開口が破断可能なシート部材43により覆われ封止されている。
第2の増幅液46が封入された第2のポット45も同様に、例えば樹脂材料から構成された一面に開口を有する容器47に第2の増幅液46が充填され、その容器47の開口が破断可能なシート部材48により覆われ封止されている。
第1のポット40および第2のポット45における破断可能なシート部材43、48としては、アルミ箔やアルミラミネートシートなどのラミネートフィルムが好適に使用される。ここで、破断とは、破れた後に再生しない状態をいう。
10.検出時の標識物質の平均粒径の算出方法
検出時(増幅後)、テストライン部を切り出し、試料裏面をカーボンペーストで試料台に取り付けた後、断面を切り、カーボン蒸着し、走査型電子顕微鏡にて、形状と大きさを観察する。例えば、日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500で、加速電圧10KVで反射電子による試料表面の観察を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で行うことができる。その後、シグナル粒子を100粒子選び、粒子の投影面積の円相当直径を測定し、平均値を算出し、検出時の平均粒径とする。
検出時の標識物質の平均粒径は好ましくは1μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上20μm以下である。
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
以下に本発明のクロマトグラフキットの実施例および比較例について説明する。実施例および比較例のクロマトグラフキットは、被検物質としてインフルエンザウイルス抗原を検出するためのインフルエンザウイルス抗原検出用クロマトグラフキットである。
(1)クロマトグラフキットの作製
(1-1)抗体修飾金コロイドの作製
直径50nmの金コロイドを含有する溶液(品番:EM.GC50、BBI社製)9mLに50mmol/LのKHPOバッファー(pH7.5)を1mL加えてpHの調整を行い、その後、160μg/mLの抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社製)含有溶液1mLを加えて10分間攪拌した。その後、10分間静置した後に、1質量%のポリエチレングリコール(PEG(polyethylene glycol);重量平均分子量(Mw.):20000、品番:168-11285、富士フイルム和光純薬(株)社製)含有水溶液を550μL加えて10分間攪拌し、続いて10質量%牛血清アルブミン(BSA(Bovine serum albumin);FractionV、品番:A-7906、SIGMA社製)の水溶液を1.1mL加えて10分間攪拌した。この溶液を遠心分離装置(himacCF16RX、日立(株)社製)を用いて、8000×g、4℃の条件で30分間遠心分離した。容器の底に1mLを残して上澄み液を取り除き、超音波洗浄機により容器の底に残った1mL液中に含まれる金コロイドを再分散した。この後、20mLの金コロイド保存液(20mmol/L Tris-HCl(トリス塩酸)バッファー(pH8.2)、0.05%PEG(Mw.20000)、150mmol/L NaCl、1%BSA)に分散し、再び同じ遠心分離装置を用いて同様の条件で遠心分離を行い、上澄み液を取り除き、超音波分散後、金コロイド保存液に分散し、被検物質に結合可能な第1の物質である抗体が修飾された標識物質としての抗インフルエンザA型抗体修飾金コロイド(50nm)溶液を得た。
(1-2)標識保持パッドの作製
(1-1)で作製したインフルエンザA型抗体修飾金コロイドを、Tris-HClバッファー(pH8.2)の濃度が20mmol/L、PEG(Mw.20000)の濃度が0.05質量%、スクロースの濃度が5質量%、そして光路長10mmとしたときの金コロイドの520nmの光学濃度が0.2となるように水で希釈し、金コロイド塗布液とした。この塗布液を、5mm×300mmに切ったグラスファイバーパッド(GlassFiber Conjugate Pad、ミリポア社製)1枚あたり0.1mLずつ均一に塗布し、24時間減圧乾燥することで抗インフルエンザA型抗体修飾金コロイド保持パッドを得た。
(1-3)クロマトグラフ担体の作製
多孔性担体として、60mm×300mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF135(キャピラリーフローレート=135秒/cm)、ミリポア社製)を用い、このメンブレン上に以下のような方法により、検査領域、確認領域および増幅指標領域を形成してクロマトグラフ担体を作製した。
ニトロセルロースメンブレンの60mmの短辺のうちの下流側から15mmの位置に、1.5mg/mLとなるように調製した抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社製)溶液をライン状に塗布し検査領域とした。さらに60mmの短辺のうちの下流側から11mmの位置に、0.2mg/mLとなるように調製した抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L)、ウサギF(ab’)2、 品番566-70621、富士フイルム和光純薬(株)社製)溶液をライン状に塗布し確認領域とした。さらに60mmの短辺のうちの下流側から9mmの位置に、30mmol/Lに調製したブロモクレゾールグリーン(富士フイルム和光純薬(株)社製)をライン状に塗布し増幅指標領域とした。それぞれの塗布の後にニトロセルロースメンブレンを、温風式乾燥機で50℃、30分間乾燥した。乾燥が終了した後、ブロッキング液(0.5質量%カゼイン(乳由来、品番030-01505、富士フイルム和光純薬(株)社製)を含有する50mmol/Lのホウ酸バッファー(pH8.5))500mLを入れたバットに、上記のように乾燥したニトロセルロースメンブレンを浸漬させてそのまま30分間静置した。その後ニトロセルロースメンブレンを取り出して、別のバットに準備した洗浄・安定化液(0.5質量%スクロースおよび0.05質量%コール酸ナトリウムを含む50mmol/L Tris-HCl(pH7.5)バッファー)500mL中にニトロセルロースメンブレンを浸し、そのまま30分間静置した。その後、ニトロセルロースメンブレンを液から取り出し、25℃の環境で24時間乾燥させた。
抗インフルエンザA型抗体を固定化した部分が、被検物質に結合する第2の物質を含む検査領域、抗マウスIgG抗体固定化した部分が、第1の物質に結合可能な物質を含む確認領域、ブロモクレゾールグリーンを固定した部分が第1の増幅液と反応する物質を含む増幅指標領域にそれぞれ相当する。
(1-4)検査用ストリップの作製
バック粘着シート(60mm×300mm(ニップンテクノクラスタ社製))に、(1-3)で作製したクロマトグラフ担体を貼り付けた。次に、クロマトグラフ担体の短辺のうちの下流側から26mmの位置に幅3mmの両面テープ(日東電工)を固定した。その後、両面テープの下流端と8mm×300mmに切ったグラスファイバーパッド(GlassFiber Conjugate Pad、ミリポア社製)の下流端が重なるようにして金コロイド保持パッドをクロマトグラフ担体に固定した。送液用パッド(25mm×300mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社製))をクロマトグラフ担体の上流側に、送液用パッドとクロマトグラフ担体が7mm重なるように貼り付けた。こうして作製した部材を、300mmの長辺と垂直な方向に対して平行に、幅が5mmとなるようにギロチン式カッター(CM4000、ニップンテクノクラスタ社製)で切断し、60本の検査用ストリップ(但し、吸収パッドを含まない。)を作製した。
(1-5)増幅液の作製
(1-5-1)第2のポットに封入する増幅液(還元剤溶液)の作製
水290gに、硝酸鉄(III)九水和物(富士フイルム和光純薬(株)社製、095-00995)を水に溶解して作製した1mol/Lの硝酸鉄水溶液23.6mL、クエン酸(富士フイルム和光純薬(株)社製、038-06925)13.1gを溶解させた。全て溶解したら、スターラーで攪拌しながら硝酸(10質量%)溶液を36mL加え、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(富士フイルム和光純薬(株)社製、091-00855)を60.8g加えた。このように調製した溶液を第2のポットに封入する第2の増幅液である還元剤溶液とした。
(1-5-2)第1のポットに封入する増幅液(銀イオン溶液)の作製
水66gに、硝酸銀溶液8mL(10gの硝酸銀を含む)と1mol/Lの硝酸鉄水溶液24mLを加えた。さらに、この溶液と、硝酸(10質量%)5.9mL、ドデシルアミン(富士フイルム和光純薬(株)社製、123-00246)0.1g、界面活性剤C1225-C64-O-(CH2CH2O)50H 0.1gをあらかじめ47.6gの水に溶解した溶液を混合し、これを第1のポットに封入する第1の増幅液である銀イオン溶液とした。
(1-6)吸収パッドの作製
12mm×10mmに切ったグラスファイバーパッド(ガラス濾紙、アドバンテック社製)を60枚準備し、吸収パッドとした。
(1-7) クロマトグラフキットの部品の作製
図1に示すようなクロマトグラフキット100を構成する下部ケース20、上部ケース10、中間部材30、および第1のポット40、第2のポット45を、ポリプロピレンを材料として射出成形によりそれぞれ作製した。上部ケースは住友化学(株)社製オレフィン系エラストマーであるタフセレン(登録商標)を50質量%含有するポリプロピレンを材料として射出成形により作製した。なお、上部ケース10は、2つの変形可能な部位(第1の凸状変形部と第2の凸状変形部と)を備え、この2つの変形部は上部ケース10と分離する部分はなく、すべての境界部で上部ケース10の一部として射出成形で作製した。
なお、上部ケースは、図1および図2等に示す第1の凸状変形部12が2本の突起部を有し、第2の凸状変形部14が1本の突起部を有する構成とした。
(1-8)クロマトグラフキットの作製
下部ケース20、(1-4)で作製した検査用ストリップ1と(1-6)で作製した吸収パッド6を、図1および図2に示すように固定した。次に、第1のポット40、第2のポット45に、それぞれ、(1-5-2)、(1-5-1)で作製した第1のポット40に封入する増幅液41、第2のポット45に封入する増幅液46を充填し、シート部材48としてのアルミ箔でポット45を、シート部材43としてのアルミ箔でポット40をそれぞれ封止し、図1および図2に示すように、第2のポット45を、シート部材48を上にして下部ケース20に、第1のポット40を、シート部材43を下にして中間部材30に装着した。そして、上部ケース10と下部ケース20とを外周同士が接触するように嵌め合わせた状態で、上部ケースと下部ケースとの接触部を超音波溶着により接合させた。このとき、溶着部位は密閉状態で均一にすべての部位で溶着されていることを確認した。このようにして実施例1のクロマトグラフキットを作製した。
(1-9)展開液の作製
0.1質量%カゼイン、1質量%Tween(登録商標)40を含む400mmol/L Tricine緩衝液(pH8.5)の展開液を調製し、1.5mLチューブに100μL添加し、これを鼻汁・痰・咽頭ぬぐい液・尿等の検体を処理するための試薬とした。
評価時には上記検体100μLを用いるため、展開時の展開液中に含まれる各物質の終濃度は、それぞれ、0.05質量%カゼイン、0.5質量%Tween40、200mmol/L Tricine緩衝液(pH8.5)となる。
(2)評価
(2-1)点着
健常人の鼻汁を含んだPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を用いて、市販の不活化インフルエンザAウイルスをタンパク濃度1.0ng/mLとなるように希釈した液100μLを、(1-9)で作製した試薬に添加・溶解させたものを陽性検体試料とした。また不活化インフルエンザAウイルスを含まない、健常人の鼻汁を含んだPBS100μLを、(1-9)で作製した試薬に添加・溶解させたものを陰性検体試料とした。これらの陽性検体試料、陰性検体試料に(1-2)で作製したインフルエンザA型抗体修飾金コロイド保持パッドを5mm×4mmに切ったものを添加し、120分間静置させた。静置した後、各液40μLを点着した。
(2-2)第2のポットに封入する増幅液(還元剤溶液)の展開
(2-1)の試料液を点着して30分後に、第2の凸状変形部14を押下することで、第2のポット45に封入した増幅液46を封止しているシート部材48であるアルミ箔を破り、第2のポット45の中に送液用パッド4を浸すことにより、毛細管現象を利用して第2の増幅液46を多孔性担体2に供給した。
(2-3)銀増幅
増幅指標領域Lが緑からオレンジに変色した後、第1の凸状変形部12(実施例2では第1の凸状変形部114)を押下して第1のポット40を中間部材30のポット収容部32の破断部34に向けて移動させることにより、第1のポット40を封止しているシート部材43であるアルミ箔を破断部34により押し破り、第1の増幅液41である銀イオン溶液を中間部材30の開口部から多孔性担体2に供給して、銀増幅反応を行った。銀増幅反応は数十秒で完了する。
(2-4)検査領域の濃度値の算出
増幅処理済みの実施例1のクロマトグラフキットの検査領域Lおよび確認領域Lの濃度を目視で観察した。さらに、実施例1のクロマトグラフキットから、クロマトグラフ担体を取り出し、検査領域Lの濃度をLAS4000(Fujifilm(株)社製)で撮影し、濃度差(ΔOD=(検査領域L1の濃度)-(バックグラウンド部の濃度))を算出した。ΔOD≧0.020であれば増幅結果はおおむね良好といえる。
評価結果を表3に示す。
[実施例2:Tween60]
実施例1の(1-9)において、1質量%Tween40の代わりに、1質量%Tween60を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、0.5質量%Tween60になる。評価結果を表3に示す。
[実施例3:Tween80]
実施例1の(1-9)において、1質量%Tween40の代わりに、1質量%Tween80を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、0.5質量%Tween80になる。評価結果を表3に示す
[比較例1:界面活性剤なし]
実施例1の(1-9)において、1質量%Tween40を含まないこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。評価結果を表3に示す。
[比較例2:BSA]
実施例1の(1-9)において、0.1質量%カゼインの代わりに、0.1質量%BSAを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、0.05質量%BSAになる。評価結果を表3に示す。
増幅処理済みの標識粒子の平均粒径を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500)にて算出したところ、いずれも10μmであった。
表3には同一の試験を各例について評価した結果を示している。
ΔODは、以下の基準で判定した。
+:0.020以上(視認可能な領域)
-:0.020未満。(視認不可な領域)
表内の陰性検体試料の欄における()の数値はΔODを示している。
Figure 0007141458000003
以上のように、実施例1~3においてはTricine、カゼイン、非イオン性界面活性剤(Tween40,Tween60,Tween80)を含む展開液を用いることで、0ng/mL濃度の陰性検体試料では非特異反応による偽陽性は発生しない結果を得た。
これに対して、実施例1でTween40を含まないこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った場合(比較例1)には、0ng/mL濃度の陰性検体試料で非特異反応による偽陽性が発生し、検査キットとして不可であった。
カゼインの代わりに、BSAを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った場合(比較例2)には、0ng/mL濃度の陰性検体試料で非特異反応による偽陽性が発生し、検査キットとして不可であった。
なお、1.0ng/mL濃度の陽性検体試料ではいずれの例においても視認可能な結果が得られることを確認した。
次に、様々な濃度のTween40を含む展開液を作製し、インフルエンザウイルスの検出測定を行った(実施例4および5)。
[実施例4:Tween40の濃度が5質量%]
実施例1の(1-9)において、1質量%Tween40の代わりに、5質量%Tween40を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、2.5質量%Tween40になる。評価結果を表4に示す。
[実施例5:Tween40の濃度が0.1質量%]
実施例1の(1-9)において、1質量%Tween40の代わりに、0.1質量%Tween40を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、0.05質量%Tween40になる。評価結果を表4に示す。
表4には同一の試験を各例について評価した結果を示している。
ΔODは、以下の基準で判定した。
+:0.020以上(視認可能な領域)
-:0.020未満。(視認不可な領域)
表内の陰性検体試料の欄における()の数値はΔODを示している。
Figure 0007141458000004
これらの結果から、実施例4および5においてはTween40の終濃度を2.5質量%、0.05質量%に変えても、実施例1と同様に0ng/mL濃度の陰性検体試料では非特異反応による偽陽性は発生しないことを確認した。
次に様々な緩衝剤を用いて展開液を作製し、インフルエンザウイルスの検出測定を行った。カゼインおよびTween40の濃度は実施例1と同様の方法で行った(実施例6~9、比較例3および4)。評価結果を表5に示す。
[実施例6:Bicine]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)の代わりに、400mmol/L Bicine(pH8.5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/L Bicineになる。評価結果を表5に示す。
[実施例7:HEPPSO]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)の代わりに、400mmol/L HEPPSO(pH8.5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/L HEPPSOになる。評価結果を表5に示す。
[実施例8:TAPS]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)の代わりに、400mmol/L TAPS(pH8.5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/L TAPSになる。評価結果を表5に示す。
[実施例9:CHES]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)の代わりに、400mmol/L CHES(pH8.5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/L CHESになる。評価結果を表5に示す。
[比較例3:グリシン]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)の代わりに、400mmol/Lグリシン(pH8.5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/Lグリシンになる。評価結果を表5に示す。
[比較例4:ホウ酸]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)の代わりに、400mmol/Lホウ酸(pH8.5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/Lホウ酸になる。評価結果を表5に示す。
表5には同一の試験を各例について評価した結果を示している。
ΔODは、以下の基準で判定した。
++:0.040以上(十分に視認可能な領域)
+:0.020以上(視認可能な領域)
-:0.020未満。(視認不可な領域)
表内の陰性検体試料および陽性検体試料の欄における()の数値はΔODを示している。
Figure 0007141458000005
これらの結果から、実施例6~9においては緩衝剤を他のグッド緩衝剤に変えても、実施例1と同様に0ng/mL濃度の陰性検体試料では非特異反応による偽陽性は発生せず、1.0ng/mL濃度の陽性検体試料では視認可能であることを確認した。
一方で、比較例3および4においてはTricineを他のグッド緩衝剤ではないグリシンおよびホウ酸緩衝剤に変えた場合、実施例1と同様に0ng/mL濃度の陰性検体試料では非特異反応による偽陽性は発生しなかったが、1.0ng/mL濃度の陽性検体試料では実施例1、6~9のΔODに対して平均36%減少する結果であった。これより、展開液の緩衝剤はグッド緩衝剤が望ましいことが分かった。
次に(2-1)のインフルエンザウイルスの希釈液のタンパク濃度を0ng/mL、0.1ng/mL、および1.0ng/mLにおいて検出測定を行った。緩衝剤および界面活性剤の種類と、界面活性剤の濃度以外のカゼインの濃度は実施例1と同様にして行った(実施例10、比較例5および6)。評価結果を表6に示す。
[実施例10:BicineとTween60]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)と1質量%Tween40の代わりに、400mmol/L Bicine(pH8.5)と1質量%Tween60を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/L Bicineと0.5質量%Tween60になる。評価結果を表6に示す。
[比較例5:Bicineと、界面活性剤なし]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)と1質量%Tween40の代わりに、400mmol/L Bicine(pH8.5)を使用し、界面活性剤を含まないこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/L Bicineとなる。評価結果を表6に示す。
[比較例6:TrisとTween60]
実施例1の(1-9)において、400mmol/L Tricine(pH8.5)と1質量%Tween40の代わりに、400mmol/L Tris(pH8.5)と1質量%Tween60を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で測定を行った。展開時の展開液中に含まれる終濃度は、200mmol/L Trisと0.5質量%Tween60になる。評価結果を表6に示す。
表6には同一の試験を各例について評価した結果を示している。
ΔODは、以下の基準で判定した。
++:0.040以上(十分に視認可能な領域)
+:0.020以上(視認可能な領域)
-:0.020未満。(視認不可な領域)
表内の()の数値はΔODを示している。
Figure 0007141458000006
これらの結果から、実施例10においてはTween60/カゼイン/Bicineを含む展開液を用いることで、0ng/mL濃度の陰性検体試料では非特異反応による偽陽性は発生せず、低濃度の0.1ng/mLの陽性検体試料で視認可能な結果を得た。
一方、比較例5において展開液組成Tween60/カゼイン/Bicine のTween60が欠けると、銀増幅した際、0ng/mL濃度の陰性検体試料で非特異反応による偽陽性が発生し、比較例6において、Bicineをグッド緩衝剤ではないTris緩衝剤に変えた場合、銀増幅した際、0ng/mL濃度の陰性検体試料で非特異反応による偽陽性は発生しないが、低濃度の陽性検体試料0.1ng/mLでは視認不可であった。つまり展開液組成Tween60/カゼイン/Bicineの3つが揃うことで、0ng/mL濃度の陰性検体試料で偽陽性発生は抑制され、0.1ng/mL濃度の微量検体が検出可能になり、銀増幅時のダイナミックレンジが広がる効果が確認された。これは容易に類推できない効果である。
1 検査用ストリップ
2 多孔性担体
3 標識保持パッド(グラスファイバーパッド)
4 送液用パッド
6 吸収パッド
7 バック粘着シート
9 ハウジングケース
10 上部ケース
12 第1の凸状変形部
14 第2の凸状変形部
16 試料液滴下用開孔
18 観察窓
20 下部ケース
21 多孔性担体収容部
22 吸収パッド収容部
24 第2のポットの収容部
30 中間部材
32 第1のポットの収容部
34 破断部
35 流路形成部
36 流路形成部35の裏面
40 第1の増幅液用の第1のポット
41 第1の増幅液
42 容器
43 シート部材
45 第2の増幅液用の第2のポット
46 第2の増幅液
47 容器
48 シート部材
100 クロマトグラフキット
検査領域
確認領域
増幅指標領域
D 隙間(クリアランス)

Claims (19)

  1. 被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質と、非イオン性界面活性剤と、グッド緩衝剤と、カゼインと、前記被検物質に対する第二の結合物質または前記第一の結合物質に対する結合物質を有する多孔性担体と、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを含む、クロマトグラフキットであって、グッド緩衝剤が、Tricineとも称するN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、HEPPSOとも称する2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸・一水和物、TAPSとも称するN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸、またはCHESとも称するN-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸である、クロマトグラフキット
  2. 非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート界面活性剤である、請求項1に記載のクロマトグラフキット。
  3. 標識物質が、金属粒子である、請求項1又は2に記載のクロマトグラフキット。
  4. 標識物質が、金、銀、白金、またはそれらの化合物である、請求項1からの何れか一項に記載のクロマトグラフキット。
  5. 銀を含む化合物が硝酸銀である、請求項1からの何れか一項に記載のクロマトグラフキット。
  6. 銀イオンを還元し得る還元剤が、Fe2+である、請求項1からの何れか一項に記載のクロマトグラフキット。
  7. 多孔性担体が、
    被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質を有する標識物質保持領域と、
    被検物質に対する第二の結合物質または前記第一の結合物質に対する結合物質を有する標識物質捕捉領域と、
    銀イオンを還元し得る還元剤を検出するための発色試薬を有する発色領域と、
    を有する、請求項1からの何れか一項に記載のクロマトグラフキット。
  8. 多孔性担体がニトロセルロース担体である、請求項1から7の何れか一項に記載のクロマトグラフキット。
  9. 第一の結合物質および第二の結合物質が抗体である、請求項1から8の何れか一項に記載のクロマトグラフキット。
  10. 被検物質を含む試料と、被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質と、非イオン性界面活性剤と、グッド緩衝剤と、カゼインとを含む展開液を、被検物質に対する第二の結合物質または前記第一の結合物質に対する結合物質を有する標識物質捕捉領域を有する多孔性担体上に展開する展開工程と、
    前記標識物質捕捉領域において、前記被検物質と、前記被検物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質との複合体を捕捉する工程と、
    捕捉された前記複合体の標識物質のシグナルを、銀を含む化合物と、銀イオンを還元し得る還元剤とを用いて増幅する工程と、
    を含む、クロマトグラフ方法であって、グッド緩衝剤が、Tricineとも称するN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、HEPPSOとも称する2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸・一水和物、TAPSとも称するN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸、またはCHESとも称するN-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸である、クロマトグラフ方法
  11. 展開液中の非イオン性界面活性剤の終濃度が0.05~2.5質量%である、請求項10に記載のクロマトグラフ方法。
  12. 非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート界面活性剤である、請求項10又は11に記載のクロマトグラフ方法。
  13. 標識物質が、金属粒子である、請求項10から12の何れ一項に記載のクロマトグラフ方法。
  14. 標識物質が、金、銀、白金、またはそれらの化合物である、請求項10から13の何れか一項に記載のクロマトグラフ方法。
  15. 検出時に1μm以上20μm以下の平均粒径を有する標識物質を検出する、請求項10から14の何れかに記載のクロマトグラフ方法。
  16. 銀を含む化合物が硝酸銀である、請求項10から15の何れか一項に記載のクロマトグラフ方法。
  17. 銀イオンを還元し得る還元剤がFe2+である、請求項10から16の何れか一項に記載のクロマトグラフ方法。
  18. 多孔性担体がニトロセルロース担体である、請求項10から17の何れか一項に記載のクロマトグラフ方法。
  19. 被検物質を含む試料が、鼻汁、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、または尿である請求項10から18の何れか一項に記載のクロマトグラフ方法。
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