JP2009098139A - イムノクロマトグラフ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のイムノクロマトグラフ法では分析が不可能であった微少量の分析対象物を、迅速に検出することを可能にしたイムノクロマトグラム方法を提供すること。
【解決手段】被験物質と、該被験物質に対する第一の抗体で修飾した標識物質または該被験物質の類似部位を持つ化合物で修飾した標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で多孔性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の抗体を有する多孔性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含む、イムノクロマトグラフ方法において、検出時に1μm以上20μm以下の平均粒子サイズを有する標識物質を検出することを特徴とするイムノクロマトグラフ方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、従来のイムノクロマトグラフ法では分析が不可能であった微少量の分析対象物を、例えば標識の信号を増幅することによって検出時の標識のサイズをコントロールすることで、迅速に検出することを可能にしたイムノクロマトグラム方法に関する。
天然物、毒素、ホルモン、又は農薬等の生理活性物質又は環境汚染物質の中には、極微量で作用するものが非常に多い。従って、これらの物質の定性的及び定量的測定には、従来、高感度分析が可能な機器分析法が広く用いられてきた。しかし、機器分析法は、特異性が低く、試料の前処理工程を含め、分析に時間を要する上、操作が煩雑なため、近年要求されている迅速簡便測定目的には不都合である。一方、免疫学的測定法は、特異性も高く、操作も機器分析よりはるかに簡便であることから、生理活性物質又は環境汚染物質の測定分野に徐々に普及してきた。しかし、96穴プレ−トを用いた酵素免疫測定法やラテックス凝集法のような従来の免疫学的測定法は、必ずしも測定の迅速簡便性又は検出感度を満たすものではなかった。
また他のニーズとしては、現在スワブ液や血液と言った比較的侵襲的な検体を用いている検査においても、高感度化が達成されることで、鼻水やうがい液、尿、といった比較的低侵襲的な検体中にごく少量含まれる被検試料を検出することができるようになることで、患者の負担の少ない検査方法が可能となることも期待できる。
近年、特に迅速な診断が求められる感染症の検査に、イムノクロマトグラフ法を用いた検査キット(以後の説明において、イムノクロマトグラフキットと記す。)が多く使用されるようになってきている。これらキットの普及により、患者の感染を迅速・簡便な方法で特定することができ、その後の診断、治療を素早く的確に行うことが可能となってきている。例えば、サンドイッチ法を利用したイムノクロマトグラフ法では、分析対象物(例えば、抗原)に特異的に結合する第1抗体を特定の領域に固定した不溶性薄膜状支持体(例えば、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜など)中に、分析対象物と特異的に結合する標識化第2抗体と、分析対象物を含む可能性のある検体溶液とを展開し、不溶性薄膜状支持体の第1抗体を固定した領域上で、分析対象物との免疫複合体を形成させ、標識の着色又は発色などの信号を検出し、分析対象物を測定することができる。なお、前記標識としては、例えば、酵素を含むタンパク質、着色ラテックス粒子、金属コロイド、又は炭素粒子を使用することができる。
イムノクロマトグラフ法は、その判定・測定に重厚な設備・機器を必要とせず、操作が簡便であり、分析対象物を含む可能性のある検体溶液を滴下した後、約5分〜10分間静置するだけで測定結果が得られるように迅速であるので、簡便・迅速・特異性の高い判定・測定手法として、多くの場面、例えば病院における臨床検査、研究室における検定試験等に広く使われている。
また、天然物、毒素、ホルモン、又は農薬等の生理活性物質又は環境汚染物質、更にはウイルス感染症の感染初期の検体は、従来の一般的イムノクロマトグラフ法では検出できない極微量で作用する物質が多く、それらの迅速、簡便、且つ高感度なイムノクロマトグラフ法の開発が求められている。
特許文献1では、銀増感剤「Silver Enhancing Kit(Cat. SEKB250);British BioCell International製」を用いて、金ロイドを増幅している。しかし、増幅には10分以上の時間を有しており、イムノクロマト法の迅速性を損なっていた。また、特許文献2では、光マイクロスコープ銀増幅キットSELK15:British BioCell International製)を用いて、金コロイドを増幅している。特許記載事項より検出部位の標識物資の量が特定できない為、検出物質の標識物質の量を変化させ、光マイクロスコープ用増幅キットSEKL15:British Biocell International製)を用いた追試を行ったところ、増幅が確認されたが、粒子サイズは350nmにすぎなかった。この事から、特許文献2では、目視不可能な1nmの粒子を増幅しているだけで、微少量の分析対象物の検出は不可能であると考えられた。
特開2002−202307号公報 特表平10−513263号公報
金コロイドを標識として用いたイムノクロマトグラフィー法において、高感度化の方法として銀増幅法が知られている。しかし、これまでは、実用上意味のある10分以下で、非常に微量(106/mm3以下)の標識を増幅することはこれまで実現できていなかった。即ち、本発明が解決しようとしている課題は、従来のイムノクロマトグラフ法では分析が不可能であった微少量の分析対象物を、迅速に検出することを可能にしたイムノクロマトグラム方法を提供することである。
本発明では、検出時の標識サイズを平均粒子サイズ1μm以上20μm以下にすることに
より、標識物質の数が非常に微量(例えば、106/mm3以下)でも検出可能であることを見出した。さらに、本発明では、このサイズが必要なのは、検出時のみであるため、7分以下で、標識のサイズを増幅(増幅)し、平均粒子サイズを1μm以上20μm以下にコントロールすることがより重要であることを見出した。というのはイムノクロマトグラフ法において、標識のサイズを分析開始時から1μm以上にしてしまうと、分析時に標識がメンブレン中を移動する際に、その大きさゆえに、非特異的な吸着を起こしやすく、検出感度を上げるどころか、非特異的な吸着の為、検出感度を下げる結果になってしまうからである。なお、本発明のサイズ以下では、標識物質の数が非常に微量(106/mm3以下)の場合の検出能が劣り、本発明のサイズ以上では擬陽性が多くなってしまい問題であった。標識サイズが20μmを超えると、擬陽性が多くなってしまうのは、標識が20μm以上になると、例えば極微量((10/mm3)程度の標識があっても、目視できる様になってしまうため、検出ラインでの被験物質を介した特異吸着と、介さない非特異的な吸着の差がほとんどなくなってしまうためである。本発明は、上記の知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質または該被験物質の類似部位を持つ化合物で修飾した標識物質とをこれらを混合させた状態で多孔性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質を有する多孔性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含む、イムノクロマトグラフ方法において、検出時に平均粒子サイズが1μm以上20μm以下のサイズを有する標識物質を検出することを特徴とするイムノクロマトグラフ方法が提供される。
検出時の標識の平均粒子サイズは、3μm以上20μm以下がさらに好ましい。
検出時の標識の平均粒子サイズを本発明の範囲にする方法については、以下の手段があり、その手段を単独で使用してもかまわないし、組み合わせて使用してもかまわない。手段1としては、増幅時間があげられる。増幅時間は長い方が粒子サイズを大きくする事が出来る。また、手段2としては、還元剤の還元力の強さが上げられる。還元剤の還元力の強さが強いほど、粒子サイズを大きくする事が出来る。一方、還元剤の強さが強すぎると、検出前の標識以外の部分で新たな粒子が発生してしまう為、詳細なコントロールが必要である。例えば、Fe2+とFe3+の比率で還元剤の強さをコントロールする等の工夫が必要である。手段3としては、例えば銀イオンの様に、標識に付着してサイズを大きくする物質の濃度が挙げられる。物質の濃度が濃いほど、粒子サイズを大きくする事が出来る。また、手段4としては、増幅温度があげられる、増幅温度は還元物質の種類、量、サイズを大きくする物質の濃度等により、最適温度が存在する。これらの組み合わせで、検出時の平均粒子サイズを1μm以上20μm以下にすることが重要である。なお、検出時の粒子サイズを本発明の1μm以上の大きさにすることは、特に7分以下の短時間では、非常に困難であるが、上記の条件を鋭意検討し、増幅をコントロールする事で、安定的に大きくする手段を見出すに至り、本発明の微量物資を検出するイムノクロマトキットの発明に至った。
好ましくは、第一の結合物質が抗体であり、及び/または第二の結合物質が抗体である。
好ましくは、被験物質を検出する際に、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を用いて増感することによって検出を行う。
好ましくは、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を用いて増感するための反応時間は7分以内である。さらに好ましくは5分以内である。特に好ましくは90秒以下である。
好ましくは、検出部位の標識物質の数は1×106/mm3以下、さらに好ましくは1×105/mm3以下、特に好ましくは1×104/mm3以下である。
好ましくは、標識物質は、金属コロイドである。
好ましくは、標識物質は、金コロイド、銀コロイド、または白金コロイドである。
好ましくは、還元剤がFe2+であることである。
本発明により、従来の方法では分析が不可能であった微少量の分析対象物を、検出時の標識サイズを平均粒子サイズで1μm以上20μm以下にすることにより検出することが可能になった。さらに本発明では、迅速(例えば、7分以下)に標識サイズを大サイズ化することも可能になった。
1.イムノクロマト
一般に、イムノクロマトグラフ方法とは以下のような手法で被分析物を簡便・迅速・特異的に判定・測定する手法である。すなわち、被分析物と結合可能な固定化試薬(抗体、抗原等)を含む少なくとも1つの反応部位を有するクロマトグラフ担体を固定相として用いる。このクロマトグラフ担体上で、分析対象物結合可能な試薬によって修飾された検出用標識物が分散されてなる分散液を移動層として前記クロマトグラフ担体中をクロマトグラフ的に移動させると共に、前記分析対象物と検出用標識物とが特異的に結合しながら、前記反応部位まで到達する。前記反応部位において、前記分析対象物と検出用標識物の複合体が前記固定化試薬に特異的結合することにより、被分析液中に分析対象物が存在する場合にのみ、前記固定化試薬部に検出用標識物が濃縮されることを利用し、それらを目視または適当な機器を用いて被分析液中に被検出物が存在することを定性および定量的に分析する手法である。
本発明におけるイムノクロマトグラフ方法を行う装置は、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を内蔵していてもよく、前記固定化試薬に結合した前記分析対象物と検出用標識物の複合体を核として増幅反応によって、シグナルを増幅し、結果として高感度化を達成することができる。本発明によれば、迅速な高感度イムノクロマトグラフを行うことができる。
2.被検試料
本発明のイムノクロマトグラフ方法で分析することのできる被検試料としては、分析対象物を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
3.被検試料の前処理
本発明のイムノクロマトグラフ方法では、前記被検試料をそのままで、あるいは、前記被検試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、前記抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは前記抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。前記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、前記溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
4.構成
本発明のイムノクロマトグラフ方法において使用することのできるイムノクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のイムノクロマトグラフ法に用いることができるイムノクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。例えば、図1は、本発明のイムノクロマトグラフ用ストリップの一例の断面図を模式的に示す。
本発明のムノクロマトグラフ用ストリップは、展開方向の上流から下流に向かって、試料添加パッド5、標識化物質保持パッド(例えば金コロイド抗体保持パッド)2、クロマトグラフ担体(例えば抗体固定化メンブレン)3、及び吸収パッド4がこの順に、粘着シート5上に配置されている。
前記クロマトグラフ担体3は、補足部位3aを有し、分析対象物と特異的に結合する抗体又は抗原を固定化した領域である検出ゾーン(検出部と記載することもある)31を有し、所望により、コントロール用抗体又は抗原を固定化した領域であるコントロールゾーン(コントロール部と記載することもある)32を更に有する。さらに、検出ゾーン31およびコントロールゾーン32は、増幅のための有機銀塩と銀イオンのための還元剤を含有する。
前記標識化物質保持パッド2は、標識化物質を含む懸濁液を調製し、その懸濁液を適当な吸収パッド(例えば、グラスファイバーパット)に塗布した後、それを乾燥することにより調製することができる。
前記試料添加パッド1としては、例えばグラスファイバーパットを用いることができる。
4−1.検出用標識物
検出用標識物は、免疫凝集反応に用いられている着色粒子を使用することができる。例えば、金属コロイドのような金属等を用いることができる。担体粒子(又はコロイド)の平均粒径は、0.001〜1μmの範囲が好ましい。色素を含有したリポゾ−ムやマイクロカプセル等も着色粒子として使用することができる。従来公知の着色金属コロイドはいずれも標識用着色粒子として使用することができる。例えば、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、鉄コロイド、水酸化アルミニウムコロイド、およびこれらの複合コロイドなどが挙げられ、好ましくは、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、およびこれらの複合コロイドである。特に、金コロイドと銀コロイドが適当な粒径において、金コロイドは赤色、銀コロイドは黄色を示す点で好ましい。金属コロイドの平均粒径としては、約1nm〜500nmが好ましく、1〜50nmがさらに好ましく。1〜15nmが特に好ましい。金属コロイドと特異結合物質との結合は、従来公知の方法(例えばThe Journal of Histochemistry and Cytochemistry,Vol.30,No.7,pp691−696,(1982))に従い、行うことができる。すなわち、金属コロイドと特異結合物質(例えば抗体)を適当な緩衝液中で室温下5分以上混合する。反応後、遠心分離により得た沈殿を、ポリエチレングリコ−ル等の分散剤を含む溶液中に分散させることにより、目的の金属コロイド標識特異結合物質を得ることができる。金属コロイドとして金コロイド粒子を用いる場合には、市販のものを用いてもよい。あるいは、常法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法(Nature Phys. Sci.,vol.241,20,(1973)等)により金コロイド粒子を調製することができる。また、検出時の検出用標識物の大きさは、1μm以上、20μ以下が本発明の特徴で、好ましくは、3μm以上、20μm以下である。検出前の大きさから、検出時の大きさに変化させる方法としては、例えば銀イオンと、還元剤を用いた増幅反応がある。
本発明によれば、検出用標識物として金属コロイド標識又は金属硫化物標識、その他金属合金標識(以下、金属系標識と称することがある)、また金属を含むポリマ−粒子標識を用いるイムノクロマトグラフにおいて、前記金属系標識の信号を増幅させることができる。具体的には、前記分析対象物と検出用標識物の複合体の形成後に、無機銀塩や有機銀塩などの銀を含む化合物から供給される銀イオンおよび銀イオンのために還元剤を接触させ、還元剤によって銀イオンを還元して銀粒子を生成させると、その銀粒子が前記金属系標識を核として前記金属系標識上に沈着するので、前記金属系標識が増幅され、分析対象物の分析を高感度に実施することができる。従って、本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、還元剤による銀イオンの還元作用により生じた銀粒子を用いて、免疫複合体の標識に沈着させる反応を実施し、こうして増幅された信号を分析することを除けば、それ以外の点では従来公知のイムノクロマトグラフ法をそのまま適用することができる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法では、分析対象物(抗原又は抗体)と特異的に結合する抗体若しくは抗原、又は標準化合物を標識するのに用いる標識として、金属コロイド標識又は金属硫化物標識を用いる。前記金属コロイド標識又は金属硫化物標識としては、通常のイムノクロマトグラフ方法に用いることができる標識である限り、特に限定されるものではなく、金属コロイド標識としては、例えば、白金コロイド、金コロイド、パラジウムコロイド、又は銀コロイドそして、それらの混合物を挙げることができ、金属硫化物標識としては、例えば、鉄、銀、パラジウム、鉛、銅、カドミウム、ビスマス、アンチモン、錫、又は水銀の各硫化物を挙げることができる。本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、これらの金属コロイド標識及び/又は金属硫化物標識の1又はそれ以上を標識として用いることができる。
4−2.結合物質
本発明では、標識物質は、被験物質に対する第一の結合物質で修飾されている。第一の結合物質とは、例えば該被検物質(抗原)に対する抗体、該被検物質(抗体)に対する抗原、該被検物質(たんぱく質、低分子化合物等)に対するアプタマーなど、該被検物質に対して親和性を持つ化合物であればなんでもよい。
本発明では、多孔性担体は、(a)被験物質に対する第二の結合物質、又は(b)第一の結合物質への結合性を有する物質を有している。 該被験物質に対する第二の結合物質とは、例えば該被検物質(抗原)に対する抗体、該被検物質(抗体)に対する抗原、該被検物質(たんぱく質、低分子化合物等)に対するアプタマーなど、該被検物質に対して親和性を持つ化合物であればなんでもよい。また、第二の結合物質と第一の結合物質とは異なるものでも良いし、同一のものでもよい。被検物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質とは、被験物質そのものでも良いし、第一の結合物質が認識する部位を持つ化合物でもよく、たとえば被験物質の誘導体とタンパク質(例えばBSAなど)とを結合させたような化合物などがそれにあたる。
好ましくは、第一の結合物質が抗体であり、及び/または第二の結合物質が抗体である。本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、分析対象物に対して特異性を有する抗体として、特に限定されるものではないが、例えば、その分析対象物によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その分析対象物によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。
4−3.クロマトグラフ担体
クロマトグラフ担体としては、多孔性担体が好ましい。特に、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましい。
通常クロマトグラフ担体の一部に検出用物質を固定化させて検出ゾーンを作製する。検出用物質は、検出用物質をクロマトグラフ担体の一部に物理的または化学的結合により直接固定化させてもいいし、検出用物質をラテックス粒子などの微粒子に物理的または化学的に結合させ、この微粒子をクロマトグラフ担体の一部にトラップさせて固定化させてもいい。なお、クロマトグラフ担体は、検出用物質を固定化後、不活性蛋白による処理等により非特異的吸着防止処理をして用いるのが好ましい。
4−4.試料添加パッド
試料添加パッドの材質は、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、及び綿布等の均一な特性を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。試料添加部は、添加された分析対象物を含む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる。また、分析の際、試料中の分析対象物が試料添加部の材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理して用いることもある。
4−5.標識化物質保持パッド
標識化物質保持パッドの素材としては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、及び不織布等が挙げられ、前述のように調製した検出用標識物を一定量含浸し、乾燥させて作製する。
4−6.吸収パッド
吸収パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部に不溶化されない未反応標識物質等を吸収除去する部位であり、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸収部に届いてからのクロマトの速度は、吸収材の材質、大きさなどにより異なるので、その選定により分析対象物の測定に合った速度を設定することができる。
5.免疫検査の方法
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法及び競合法について説明する。
サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質の分析を実施することができる。まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体及び第2抗体を、先に述べた方法により予め調製しておく。また、第1抗体を、予め標識化しておく。第2抗体を、適当な第一の不溶性担体(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定し、被験物質(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被験物質が存在する場合には、抗原抗体反応が起きる。この抗原抗体反応は、通常の抗原抗体反応と同様に行なうことができる。前記抗原抗体反応と同時又は反応後に、過剰量の標識化第1抗体を更に接触させると、被検試料中に被験物質が存在する場合には、固定化第2抗体と被験物質(抗原)と標識化第1抗体とからなる免疫複合体が形成される。
サンドイッチ法では、固定化第2抗体と被験物質(抗原)と第1抗体との反応が終了した後、前記免疫複合体を形成しなかった標識化第1抗体を除去し、続いて、例えば、第一の不溶性担体における固定化第2抗体を固定した領域をそのまま観察しその標識物を検出、または定量し、被検試料中の被験物質の有無判定または量を測定することができる。また、金属イオン及び還元剤を供給することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅し検出することもできる。あるいは、標識化第1抗体に金属イオン及び還元剤を添加し、同時に薄膜状支持体に添加することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅し検出、測定することもできる。
競合法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質の分析を実施することができる。競合法は、サンドイッチ法でアッセイすることができない低分子化合物の抗原を検出する手法として知られている。
まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体を予め調製しておく。また、第1抗体を、予め金属コロイドなどで標識化しておく。第一抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と類似な部位を持ち被験物質と同様の第一抗体に対するエピトープを持つ化合物を、適当な第一の不溶性担体(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定しておく。被験物質(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被験物質が存在しない場合には、標識化された第一抗体と、第一抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と同様の第一抗体に対するエピトープを持つ化合物とにより、第一の不溶性担体上の抗原抗体反応が起きる。一方、被験物質が存在する場合には、標識された第1抗体に被験物質(抗原)が結合するため、その後の第一抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と類似な部位を持ち被験物質と同様の第一抗体に対するエピトープを持つ化合物との、第一の不溶性担体上の抗原抗体反応が阻害され、抗原抗体反応による結合が起こらない。
第一抗体に対して結合性を有する固定化物と標識化された第1抗体との反応が終了した後、前記免疫複合体を形成しなかった標識化第1抗体を除去し、続いて、例えば、第一の不溶性担体における第一抗体に対して結合性を有する物質をそのまま観察しその標識物量を検出、または定量し、被検試料中の被験物質の有無判定または量を測定することができる。固定した領域に、金属イオン及び還元剤を供給することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅して検出することもできる。あるいは、標識化第1抗体に金属イオン及び還元剤を添加し、同時に薄膜状支持体に添加することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅し、検出・測定することもできる。
6.増幅液
本発明において、使用することのできる増幅液とは、写真化学の分野での一般書物(例えば、「改訂写真工学の基礎-銀塩写真編-」(日本写真学会編、コロナ社)、「写真の化学」(笹井明、写真工業出版社)、「最新処方ハンドブック」(菊池真一他、アミコ出版社))に記載されているような、いわゆる現像液のことである。
本発明では、液中に銀イオンを含み、液中の銀イオンが現像の核となるような金属コロイド等を中心に還元される、いわゆる物理現像液であれば、どんなものでも増幅液として用いることができる。
7.銀を含む化合物
本発明で用いる銀含有化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。
本発明に用いられる有機銀塩は、還元可能な銀イオンを含む有機化合物である。本発明で用いられる、還元可能な銀イオンを含む化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体など何でも良い。例えば、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀などが知られている。
また還元剤の存在下で50℃以上まで加熱されると、光に比較的に安定な金属銀を形成する銀塩または配位化合物であってもよい。
本発明に用いられる有機銀塩は、アゾ−ル化合物の銀塩およびメルカプト化合物の銀塩より選ばれる化合物がであってもよい。好ましくは、アゾ−ル化合物としては含窒素ヘテロ環化合物であり、より好ましくはトリアゾ−ル化合物およびテトラゾ−ル化合物である。メルカプト化合物は、メルカプト基またはチオン基を分子内に少なくとも1つ有する化合物である。
本発明における窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩は、好ましくはイミノ基を有する化合物の銀塩である。代表的な化合物としては次にあげるものであるが、これらの化合物に限定されることはない。1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、又はベンゾトリアゾ−ルおよびその誘導体の銀塩(例えば、メチルベンゾトリアゾ−ル銀塩又は5−クロロベンゾトリアゾ−ル銀塩)、米国特許第4,220,709に記載されているフェニルメルカプトテトラゾ−ルのような1H−テトラゾ−ル化合物、米国特許第4,260,677に記載のイミダゾ−ルおよびイミダゾ−ル誘導体。この種の銀塩のうち、特に好ましい化合物はベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩、又はこれらの2つ以上の混合物である。
本発明に用いられる窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩として最も好ましくは、ベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩である。
本発明におけるメルカプト基またはチオン基を持つ化合物は、好ましくは5つまたは6つの原子を含むヘテロ環化合物である。この場合に環中の原子の少なくとも1つは窒素原子であり、その他の原子は炭素、酸素、硫黄原子である。このようなヘテロ環化合物としてはトリアゾ−ル類オキサゾ−ル類、チアゾ−ル類、チアゾリン類、イミダゾ−ル類、ジアゾ−ル類、ピリジン類、およびトリアジン類が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
メルカプト基またはチオン基を持つ化合物の銀塩のうち代表的な化合物を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない。
3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−ベンズイミダゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアゾ−ルの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンゾオキサゾ−ルの銀塩、および米国特許第4,123,274記載の化合物の銀塩。
本発明におけるメルカプト基またはチオン基を持つ化合物としては、ヘテロ環を含まない化合物を用いることも出来る。ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体としては、総炭素数が10以上の脂肪族または芳香族炭化水素化合物が好ましい。
ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体のうち有用な化合物としては以下に挙げるものがあるが、これらに制限されるわけではない。
チオグリコ−ル酸銀塩(例えば炭素原子数12から22までのアルキル基を持つS−アルキルチオグリコ−ル酸の銀塩)、ジチオカルボン酸の銀塩(たとえばジチオ酢酸の銀塩又はチオアミドの銀塩)
カルボン酸の銀塩を持つ有機化合物もまた好ましく用いられる。例えば、直鎖のカルボン酸である。具体的には、C数6〜22のカルボン酸が好ましく用いられる。加えて芳香族カルボン酸の銀塩である。芳香族カルボン酸とその他のカルボン酸の例として、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されることはない。
置換または無置換の安息香酸銀(例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、アセタミド安息香酸銀、およびp−フェニル安息香酸銀)、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、サリチル酸銀、フェニル酢酸銀、又はピロメリット酸銀。
本発明においては米国特許第3,330,663に記載されたようなチオエ−テル基を含む脂肪酸銀もまた好ましく用いられる。エ−テルまたはチオエ−テル結合を含む炭化水素鎖を有するか、α−位(炭化水素基の上)またはオルト位(芳香族基の上)に立体的に遮蔽された置換基を有する可溶性のカルボン酸銀も用いることができる。これらは、塗布溶媒中で溶解性が向上し、光散乱が少ない塗布物になる。
そのような銀のカルボン酸塩は、米国特許第5,491,059に記載されている。ここで記載されている銀塩の混合物はどれでも、本発明においては必要に応じて使うことができる。
米国特許第4,504,575に記載のスルホン酸塩の銀塩もまた、本発明の態様においては使用することが出来る。
さらに、本発明においては例えば米国特許第4,761,361と米国特許第4,775,613に記載のアセチレンの銀塩も使用することが出来る。米国特許第6,355,408に記載のコア−シェル型銀塩として提供されることもできる。これらの銀塩は、一つ以上の銀塩から成るコアと一つ以上の異なる銀塩からなるシェルで構成される。
本発明中において、非感光性銀源としてもう一つ有用なものは米国特許6472131に記載の2つの異なった銀塩から構成される銀の二量体合成物である。そのような非感光性の銀の二量体合成物は2つの異なる銀塩から成る。前記二種の銀塩が直鎖の飽和炭化水素基を銀の配位子として含む場合にはそれら配位子の炭素原子数の差が6以上である。
有機銀塩は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.001モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
本発明に用いられる無機銀塩、もしくは銀錯体は、還元可能な銀イオンを含む化合物である。好ましくは、還元剤の存在下で50℃以上まで加熱されると、光に比較的に安定な金属銀を形成する無機銀塩、もしくは銀錯体である。
本発明に用いられる無機銀塩は、例えば、ハロゲン化銀(塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀、およびヨウ臭化銀等)、チオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩等が挙げられる。
本発明に用いられる無機銀塩は、好ましくはハロゲン化銀、硝酸銀である。
本発明に用いられるハロゲン化銀の粒子形成方法は、写真業界でよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びハロゲン供給化合物を添加することにより調製される。
ハロゲン化銀の粒子サイズは、検査ノイズを小さくする上で微細であることが好ましく、具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくはナノ粒子の範囲がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
チオ硫酸銀、チオシアン酸銀、および亜硫酸銀等もハロゲン化銀と同様の粒子形成方法により銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びチオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)を混合することにより調製される。
また、一般に増幅液中の銀イオン濃度が高すぎると、増幅液中で銀イオンが還元されてしまうので、それを防ぐ為に錯化剤を用いて銀イオンが錯体を形成するようにしてもよい。このような錯化剤としては、グリシン、ヒスチジンのようなアミノ酸及び複素環式塩基や、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、プリン、ピリジン、アミノピリジン、ニコチンアミド、キノリン、その他類似の芳香族複素環式系が知られており、例えばヨーロッパ特許第0293947号中に記載されている。また、錯塩形成剤としては、チオ硫酸塩やチオシアン酸塩なども用いることができる。本発明に用いられる銀錯体の具体例としては、例えば、チオ硫酸塩と銀イオンの錯体、チオシアン酸塩と銀イオンの錯体、またはこれらの複合銀錯体、および、シュガーチオン誘導体と銀イオンの錯体、環状イミド化合物(例えば、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸など)と銀イオンの錯体、1,1−ビススルホニルアルカン類と銀イオンの錯体である。本発明に用いられる好ましい銀錯体は、環状イミド化合物(例えば、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸など)と銀イオンの錯体である。
本発明に用いられる銀錯体は、通常知られている塩形成反応により調製することができる。例えば、水もしくは水混和性溶媒中で水溶性銀供給体(例えば、硝酸銀)と銀錯体に対応する配位子化合物とを混合することにより調製される。調製された銀錯体は、透析法もしくは限外濾過法などの公知の脱塩方法により副成する塩類を除去して用いることが出来る。
無機銀塩、もしくは銀錯体は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.01モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
また、無機銀塩または銀錯体を使用する場合は、無機銀塩もしくは銀錯体の溶剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる溶剤としては、上記の銀錯体の項で説明した銀錯体を形成する配位子として用いられる化合物が好ましく用いられる。例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、シュガーチオン誘導体、環状イミド化合物、および1,1−ビススルホニルアルカン類糖である。本発明に用いられる溶剤として、より好ましくは、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸などの環状イミド化合物である。本発明に用いられる溶剤は、銀イオンに対してモル比で0.1モル〜10モルの範囲で好ましく用いられる。
8.銀イオンのための還元剤
銀イオンのための還元剤は、銀(I)イオンを銀に還元することができる無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元
性金属塩、還元性金属錯塩が知られており、本発明に用いることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe+2を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。
本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
また、湿式のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる現像主薬(例えばメチル没食子酸塩、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、3−ピラゾリドン類、p−アミノフェノール類、p−フェニレンジアミン類、ヒンダードフェノール類、アミドキシム類、アジン類、カテコール類、ピロガロール類、アスコルビン酸(またはその誘導体)、およびロイコ色素類)、および本分野での技術に熟練しているものにとって明らかなその他の材料は、たとえば米国特許第6,020,117号(バウアーほか)で記述されるように、本発明において用いることができる。
「アスコルビン酸還元剤」はアスコルビン酸、その誘導体との複合体を意味する。アスコルビン酸還元剤は下記のように多くの文献において記載されており、例えば米国特許第5,236,816号(Purolほか)とその中で引用されている文献が挙げられる。
本発明における還元剤として、アスコルビン酸還元剤が好ましい。有用なアスコルビン酸還元剤は、アスコルビン酸と類似物、異性体とその誘導体を含む。そのような化合物は含む以下にあげるものであるが、これらに限定されるわけではない。
D−またはL−アスコルビン酸とその糖誘導体(例えばγ−ラクトアスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸)、アスコルビン酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のカリウム塩、イソアスコルビン酸(またはL−エリスロアスコルビン酸)、その塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩または当技術分野において知られている塩)、エンジオールタイプのアスコルビン酸、エナミノールタイプのアスコルビン酸、チオエノ−ルタイプのアスコルビン酸)、たとえば米国特許第5,498,511、EP−A−0585,792、EP−A−0573700、EP−A−0588408、米国特許第5,089,819、米国特許第5,278,035、米国特許第5,384,232、米国特許第5,376,510、JP7−56286、米国特許第2,688,549、およびReseach Disclosure37152(1995年3月)に記載されているような化合物。
これらの化合物のうち、好ましくは、D、LまたはD,L−アスコルビン酸(そして、そのアルカリ金属塩)若しくはイソアスコルビン酸(またはそのアルカリ金属塩)であり、ナトリウム塩が好ましい塩である。必要に応じてこれらの還元剤の混合物を用いることができる。
ヒンダードフェノール類も単独で、または一つ以上の硬調化還元剤とコントラスト強化剤と組み合わせて好ましく用いられる。
ヒンダードフェノールは、ベンゼン環上に一つだけの水酸基を有し、少なくとも一つの置換基を水酸基に対してオルト位に有する化合物である。ヒンダードフェノール還元剤は複数の水酸基を別々のベンゼン環に持っていれば、複数の水酸基を有していて構わない。
ヒンダードフェノール還元剤は、たとえば、ビナフトール類(すなわちジヒドロキシビナフトール類)、ビフェノール類(すなわちジヒドロキシビフェノール類)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン類、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン類(すなわちビスフェノール類)、ヒンダ−ドフェノール類、およびヒンダードナフトール類が挙げられ、これらは置換されていて構わない。
代表的なビナフトール類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1’−ビ−4−メチル−2−ナフトール、および米国特許第3,094,417号と米国特許第5,262,295号に記載されている化合物。
代表的なビフェノール類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4−メチル−6−n−ヘキシルフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なビス(ヒドロキシナフチル)メタン類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
4,4’−メチレンビス(2−メチル−1−ナフト−ル)、米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なビス(ヒドロキシフェニル)メタン類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(CAO−5)、1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(NONOXまたはPERMANAX WSO)、1,1’−ビス(3,5−di−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4’−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノ−ル)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノ−ル)(LOWINOX 221B46)、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なヒンダードフェノールは以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジメチルフェノール、および2−t−ブチル−6−メチルフェノール。
代表的なヒンダードナフトールは以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
1−ナフトール、4−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
その他、下記の化合物の還元剤として開示されている。
アミドキシム類(例えばフェニルアミドキシム)、2−チエニルアミドキシム、p−フェノキシフェニルアミドキシム、脂肪族カルボン酸アリルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ(例えば2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオニル−β−フェニルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ)、ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトンおよびヒドラジンの少なくとも一方の組み合わせ(たとえばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミンの組み合わせ)、ピペリジ−4−メチルフェニルヒドラジン、ヒドロキサム酸(例えばフェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸、およびo−アラニンヒドロキサム酸)、アジンとスルホンアミドフェノール類の組合せ(たとえばフェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール)、α−シアノフェニル酢酸誘導体(例えばエチル−α−シアノ−2−メチルフェニル酢酸、エチル−α−シアノフェニル酢酸)、ビス−o−ナフトール(例えば2,2’−ジヒドロキシ−1−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン)、
ビス−ナフト−ルと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ(例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン)、5−ピラゾロン(例えば3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン)、レダクトン類(例えばジメチルアミノヘキソ−スレダクトン、アンヒドロジヒドロ−アミノヘキソ−スレダクトン、またはアンヒドロジヒドロ−ピペリドン−ヘキソースレダクトン)、インダン−1,3−ジオン類(例えば2−フェニルインダン−1,3−ジオン)、クロマン類(例えば2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン)、1,4−ジヒドロキシピリジン類(例えば2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルベトキシ−1,4−ジヒドロピリジン)、アスコルビン酸誘導体(1−アスコルビン酸パルミテ−ト、アスコルビン酸ステアレ−ト)、不飽和アルデヒド(ケトン)、3−ピラゾリドン類。
本発明に用いることのできる還元剤として、米国特許第5,464,738に記載されるようなスルホニルヒドラジンを含む置換ヒドラジンがある。この他の有用な還元剤は、例えば、米国特許第3,074,809、米国特許第3,094,417、米国特許第3,080,254および米国特許第3,887,417に記載されている。米国特許第5,981,151に記載の補助還元剤もまた有用である。
還元剤として、ヒンダードフェノール還元剤とその他以下に挙げるような様々な補助還元剤から選ばれる化合物と組み合わせて用いられる場合もある。さらにコントラスト強化剤を加えた3成分の還元剤の混合物もまた有用である。補助還元剤としては米国特許第5,496,695に記載のトリチルヒドラジド、ホルミル−フェニルヒドラジドを用いることができる。
コントラスト強化剤を還元剤とともに用いることができる。コントラスト強化剤としては例えば、下記の化合物が有用であるが、これらに限定されるわけではない。
ヒドロキシルアミン(ヒドロキシルアミンとアルキルとアリ−ル置換誘導体を含む)、米国特許第5,545,505に記載のアルカノールアミンとフタル酸アンモニウム、米国特許第5,545,507に記載のヒドロキサム酸化合物、米国特許第5,558,983に記載のN−アシルヒドラジン化合物、米国特許第5,637,449に記載の水素原子ドナー化合物。
全ての還元剤と有機銀塩の組み合わせが等しく効果があるわけではない。好ましい組合せの一つは、有機銀塩としてベントリアゾ−ルの銀塩又はその置換化合物、又はその混合物と、還元剤としてアスコルビン酸型還元剤である。
本発明における還元剤は、有機銀中の銀に対して1質量%〜10質量%(乾燥質量)含まれる。多層構造において、還元剤が有機銀塩を含む層以外の層に加えられるならば、わずかに割合は高く、およそ2質量%〜15質量%がより望ましい。補助還元剤は、およそ0.001質量%〜1.5質量%(乾燥重)含まれる。
9.その他の助剤
増幅液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらのどれかの塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅液に最適なpHに調整することができる。
10.検出時の平均粒子サイズの算出方法
検出時(増幅後)、テストライン部を切り出し、試料裏面をカーボンペーストで試料台に取り付けた後、断面を切り、カーボン蒸着し、走査型電子顕微鏡にて、形状と大きさを観察する。例えば、日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500で、加速電圧10KVで反射電子による試料表面の観察をSEMで行う事が出来る。その後、シグナル粒子を100粒子選び、粒子の投影面積の円相当直径を測定し、平均値を算出し、検出時の平均粒子サイズとする。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1
1)イムノクロマトの作成
1−1)検出用標識物である抗hCG抗体修飾金コロイドの作成
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 7.0 )1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、50 μg / mLの抗hCGモノクローナ
ル抗体(Anti-hCG 5008 SP-5、Medix Biochemica社)溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1 %ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水
溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2),0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA, 0.1 % NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
1−2)金コロイド抗体保持パットの作成
上記の1−1で作成した抗体修飾金コロイドを、金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)及び水により希釈し、520 nmのODが1.5となるように希釈した。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
1−3)抗体固定化メンブレン(クロマトグラフ担体)の作成
25 mm×200 mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF240、ミリポア社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から8 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗hCGモノクローナル抗体(Anti-Alpha subunit 6601 SPR-5、Medix Biochemica社)溶液をインクジェット方式の塗布機(BioDot社)を用いて幅1 mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から12 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロース、0.05 w%コール酸ナトリウム、50 mM Tris-Hcl(pH 7.5))500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンとした。
1−4)イムノクロマトメンブレン、キットの作成
バック粘着シ−ト1(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、1−3で作製した抗体固定化メンブレン3を貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、抗hCG抗体ライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2mm重なるように1−2で作製した金コロイド抗体保持パッド2を貼り付け、約4mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド5(18mm×150mmに切ったグラスファイバ−パッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5mm重なるように吸収パッド4(20mm×150mmに切ったセルロ−ス膜(Cellulose Fiber Sample Pad、ミリポア社))を4枚重ねて貼り付けた。これら重ね張り合わせた部材を、部材の長辺側を5mm幅になるように短辺に平行にギロチン式カッタ−(CM4000、ニップンテクノクラスタ社)切断していくことで、5mm×55mmのイムノクロマトグラフ用ストリップを作製した。これらをプラスチックケ−ス(ニップンテクノクラスタ社)に入れ、試験用イムノクロマトグラフキットとした。
2)増幅試験
1質量%BSAを含むPBSバッファ−にhCG(リコンビナントhCG R−506、ロ−ト製薬(株)製)を溶解し、表1記載の濃度(モル/L)の試験用hCG溶液を作製した。この抗原液100μLを作成したイムノクロマトキットに点着し、10分静置後、下記組成の現像液A〜Hを100μLイムノクロマトキットに再度点着し、5分後にテストライン部を観察した。テストライン部の判定は以下の基準で行った。
++:目視で明らかに観察できる
+:目視で観察できるが、薄い
±:目視観察限界
−:目視観察出来ない
3)シグナル形状観察および平均粒子サイズの算出方法
試料裏面をカーボンペーストで試料台に取り付けた後、カーボン蒸着し、日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500で、加速電圧10KVで反射電子による試料表面の観察をSEMで行った。その後、シグナル粒子を100粒子選び、粒子の投影面積の円相当直
径を測定し、平均値を算出した。結果を表1に示す。
4)テストライン部に存在する金量の測定
テストライン部に存在する金量をHR-ICP-MS測定(型番:Element XR、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)で測定し、単位面積当たりに存在する金量を計測した上で、メンブレンノ膜厚(本系では0.13 mm)を用いて単位体積当りの金量を計算した。結果を表2に示した。
現像液A(本発明)
現像液A-1の作成
以下の液を溶解するまで撹拌した。
・1モル/L Fe(NO33/9H2O 水溶液 40mL
・クエン酸 10.5g
・nC1225NH2 100mg
・C919-C64-O-(CH2CH2O)50H 100mg
・H2O 325g
この液に、10%硝酸を40mL添加する。更に、FeSO4(NH42SO4・6H2Oを11.76g添加し、現像液A-1とした。
現像液A-2の作成
硝酸銀溶液10mL(0.179gの硝酸銀を含む)にH2Oで100mLにメスアップした。
現像液Aの作成
A-1液40mLと、A-2液4.25mL、H2O4.25mLを混合し、現像液Aとした。
現像液B(本発明)
現像液Aに対して、FeSO4(NH42SO4・6H2Oを7.84gとH2Oを3.92g添加した以外は、現像液Aと同じにして、現像液Bを作成した。
現像液C(本発明)
現像液Aに対して、FeSO4(NH42SO4・6H2Oを3.92gとH2Oを7.84g添加した以外は、現像液Aと同じにして、現像液Cを作成した。
現像液D(比較例)
現像液Aに対して、FeSO4(NH42SO4・6H2Oを0gとH2Oを11.76g添加した以外は、現像液Aと同じにして、現像液Dを作成した。
現像液E(本発明)
現像液Aに対して、A-2液を8.5mLにし、H2Oを0mLにし、それ以外は現像液Aと
同じにして現像液Eを作成した。
現像液F(比較例)
現像液Aに対して、A-2液を2.1mLにし、H2Oを6.4mLにし、それ以外は現像液A
と同じにして現像液Fを作成した。
現像液G(比較例)
現像液Aに対して、A-2液を12.5mLにし、H2Oを0mLにし、それ以外は現像液Aと同じにして現像液Gを作成した。
現像液H(比較例)
Silver Enhancing Kit(SEKB250);British Biocell International製)を現像液として使用した。
現像液I(比較例)
光マイクロスコープ銀増幅キットSEKL15;British Biocell International製)を現像液として使用した。
結果を以下の表1に示す。
現像液Gは、テストラインの観察を、現像液点着後5分ではなく、2分で行った。5分では、テストライン以外のメンブレン全体が、黒化し、テストラインは検出できなかった。
実施例2
抗hCG抗体に代えて、抗インフルエンザA型抗体、抗インフルエンザB型抗体で検討を行ったところ、表3の様に、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
実施例3
実施例1、実施例2のサンプルを、イムノクロマトグラフ用濃度測定器ICA-1000(浜松ホトニクス)を用いて測定し、ハ゛ックグランドとライン部との吸光度の差(ΔOD)を求め評価した。5mAbsを以上を目視限界以上として評価したところ、目視限界濃度は表4及び表5に示す通りであり、実施例1及び2とほぼ同様の結果が得られた。
本発明で用いることができるイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。 図2は、現像液A(本発明)を用いた場合の標識物質を示す。 図3は、現像液H(比較例)を用いた場合の標識物質を示す。
符号の説明
1:バック粘着シート
2:金コロイド抗体保持パッド
3:抗体固定化メンブレン
3a: 捕捉部位
31:検出部
32:コントロール部
4:吸収パッド
5:試料添加パッド
6:増感シート

Claims (8)

  1. 被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質または該被験物質の類似部位を持つ化合物で修飾した標識物質とをこれらを混合させた状態で多孔性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質を有する多孔性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含む、イムノクロマトグラフ方法において、検出時に平均粒子サイズが1μm以上20μm以下のサイズを有する標識物質を検出することを特徴とするイムノクロマトグラフ方法。
  2. 第一の結合物質が抗体であり、及び/または第二の結合物質が抗体である、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  3. 被験物質を検出する際に、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を用いて増感することによって検出を行うことを特徴とする、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  4. 銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を用いて増感するための反応時間が7分以内である、請求項3に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  5. 検出部位の標識物質の数が1×106/mm3以下である、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  6. 標識物質が、金属コロイドである、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  7. 標識物質が、金コロイド、銀コロイド、または白金コロイドである、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  8. 還元剤がFe2+である、請求項3に記載のイムノクロマトグラフ法。
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