JP2003522962A - 半導体ナノクリスタルを使用するマイクロアレイ法 - Google Patents

半導体ナノクリスタルを使用するマイクロアレイ法

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JP2003522962A JP2001559876A JP2001559876A JP2003522962A JP 2003522962 A JP2003522962 A JP 2003522962A JP 2001559876 A JP2001559876 A JP 2001559876A JP 2001559876 A JP2001559876 A JP 2001559876A JP 2003522962 A JP2003522962 A JP 2003522962A
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スティーブン エイ. エンペドクルス,
エディス ワイ. ウォン,
ビンス イー. フィリップス,
アール. ヒュー ダニエルズ,
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クァンタム・ドット・コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、検出を増強するために半導体ナノクリスタルを使用する異なったタイプのアドレス可能なアレイを用いてアッセイを実施する多くの異なった方法を提供する。本発明は、例えば、核酸、タンパク質、および組織のアッセイでナノクリスタルを使用する方法を含む。半導体ナノクリスタルの様々な有用な局面を使用することにより、本発明はまた、多重アッセイを実施するための多くの異なった選択肢を提供する。さらに、半導体ナノクリスタルを含む個々の複合体を計数する検出方法を提供し、この方法は、検出のダイナミックレンジを拡張するのに用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願の相互参照) 本願は、2000年9月29日に出願され、代理人事件番号019916−0
01200USを有する米国特許出願(表題「Microarray Meth
ods Utilizing Semiconductor Nanocrys
tals」)の優先権を主張し、かつ2000年2月16日に出願された米国仮
特許出願第60/182,845号の利益を主張する(これらは両方とも、全て
の目的のためにその全体を参考として援用される)。本出願は、1999年5月
7日に出願された米国仮出願第60/133,084号の利益を主張する、20
00年5月5日に出願された米国特許出願第09/566,014号に関連する
(これらは両方とも、全ての目的のためにその全体を参考として援用される)。
【0002】 (発明の背景) バイオアッセイは、生物学的サンプル中に存在する標的検体の量を調査するた
めに用いられる。表面ベースのアッセイ(このアッセイにおいて、標的の量は、
標的を固体支持体上で捕捉し、次いで検出可能な試薬で標識することにより定量
化される)は、それらが結合した標識と結合していない標識との容易な分離を可
能にすることが理由で、特に重要である。近年、異なる型のアレイを利用する多
くの表面ベースのアッセイが、開発されている。
【0003】 アレイベースのアッセイは、非常に多くのインターロゲーションが、アレイの
空間的に異なる配置に異なる「アッセイ」を配置することにより、同時に実施さ
れることを可能にすることが理由で、重要である。アドレス可能なアレイは、タ
ンパク質、DNA、およびRNAを含む、多くの異なる検体を研究するよう組立
られ得る。該して、試験されるサンプルは、全アレイに広げられて、サンプル中
の標的分子が、アレイ上の結合パートナーとの複合体を形成し得る。この標的は
代表的に、いくつかの型の検出可能なタグ(例えば、蛍光標識または放射線標識
)で標識され、その結果、アレイ上の標識複合体を検出することにより、サンプ
ル中の各標的検体の量が定量化され得る。
【0004】 表面ベースのアッセイの1つの例は、DNAマイクロアレイである。DNAマ
イクロアレイの使用は、同時に多くの遺伝子をモニターする能力に起因して、遺
伝子発現および遺伝子型分類(genotyping)の研究において広範に採
用されるようになっている(例えば、Schena et al.(1995)
Science 270:467−470;およびPollack et al
.(1999)Nat.Genet.23:41−46)。100,000より
も多い異なるプローブ配列が、マイクロアレイの表面を横切る異なる空間配置(
各スポットが、単一の遺伝子に対応する)に結合され得る(Schena et
al.(1998)Tibtech 16:301−306)。蛍光標識され
たDNA標的サンプルが、アレイの表面に配置される場合、個々のDNA鎖は、
各アレイスポット内の相補鎖にハイブリダイズする。検出される蛍光レベルは、
アレイ表面に結合したコピー数を数量化(従って各遺伝子の相対的な存在を数量
化)し、各スポットの配置は、遺伝的な同一性を決定する。アレイを使用する場
合、生物ゲノムにおける全ての遺伝子の発現を同時にモニターすることが、理論
的に可能である。DNAマイクロアレイの使用は、特に強力な技術であり、適用
は、全ての遺伝学の領域に広がる(例えば、Nature Genetics
21へのChipping Forecastの補足を参照のこと)。アレイは
また、アレイフォーマットにおける広範な種々のバイオアッセイを組み立てるた
めに、抗体、タンパク質、ハプテン、またはアプタマーのような他の結合部分を
用いて組み立てられ得る。
【0005】 他の表面ベースのアッセイとして、マイクロタイタープレートベースのELI
SA(酵素結合イムノソルベント検定法)(このアッセイにおいて、各ウェルの
底面が異なる抗体でコーティングされる)が挙げられる。次いでタンパク質サン
プルは、各タンパク質に対する蛍光標識された二次抗体と共に各ウェルに添加さ
れる。標的タンパク質は、各ウェルの表面上で捕捉され、そしてフルオロフォア
で二次的に標識される。各ウェルの底面での蛍光度は、サンプル中の各標的分子
の量を数量化する。同様に、抗体またはDNAが、ポリマービーズのような微粒
子に結合され、そして上記のようにしてアッセイされ得る。
【0006】 しばしば、アレイベースのアッセイにおける結合した複合体の検出は、その結
合複合体の一部である蛍光標識種の検出を伴う。近年、2つの蛍光色素が、アド
レス可能なアレイアッセイ技術の分野を支配している:565nmでの発光ピー
クを有するcy3、および670nmでの発光ピークを有するcy5。ほとんど
の有機色素に代表的であり、そしてアドレス可能なアレイを用いて定量的な結果
を提供するための使用を限定し得る、これらの色素の多くの特性が存在する。こ
の色素の高速な光退色が、1つの問題である。光退色とは、励起光への持続的お
よび/または反復的な曝露における蛍光強度の低下をいう。光退色は、励起光の
強度および照射時間に依存する。非蛍光種へのこの色素の変換は、不可逆的であ
る。さらに、光退色は、マイクロアレイの所定の領域から収集され得るシグナル
の量を制限し、これによって、非常に低レベルのシグナルの識別を制限する。こ
のcy5の化学的な不安定性は、この色素を非常に予測不可能なものにし、結果
的にこの色素を用いて獲得されたアッセイ結果を正確に数量化することを困難に
する。
【0007】 低い量子収率は、収集され得る光の量を制限する有機色素の別の欠点である。
有機色素に関連する広範な発光スペクトルは、異なる有色色素間の重複を生成す
る。このような重複は、アッセイ結果を数量化するためにシグナルの複雑な逆重
量を要求し、それによってこのアッセイの動的な範囲を制限する。発光スペクト
ルは、非常に広範であるが、有機色素の励起スペクトルは、非常に狭くなる傾向
がある。結果的に、異なる光の波長が、各色素の励起のための要求される。さら
に、有機色素は小さいストークスシフト(最大吸収と最大発光の分離)を有し、
これは高い自己蛍光を生じ、そして励起光の乱れによる(それによってこれらの
測定におけるシグナルのバックグラウンドを増加させる)問題を生じ得る。
【0008】 さらに、cy3およびcy5の2つの色の最大値が検出に用いられ得る。結果
的に、複数種が単一のアッセイにおいて同時に試験される複数のフォーマットに
おいて分析が行なわれることは困難である。アレイベースのアッセイについて、
この制限は、複数のサンプルが同じ検体について試験される場合、複数の同一な
アレイが用いられなければならないことを意味する。例えば、20の異なる状態
の下で遺伝子発現レベルを決定しようと努める場合、20のアレイを用いて20
の異なるアッセイを実行し、それぞれ試験条件と参照条件との間で比較する必要
がある。この技術は、より多くのアレイおよび材料を要求し、それによって、非
常に費用がかかる。この技術はまた、異なる条件間の比較は、同じアレイ上で直
接的になされないので、各測定に付加的なノイズを導入する。
【0009】 有機蛍光色素に関連するこれらの問題に加えて、感度および動的な範囲に関す
る制限は、アレイベースのアッセイにおける別の問題領域である。動的な範囲と
は、広範囲の濃度にわたって検体を同時に測定する能力をいう。近年の検出技術
を用いる場合、低濃度のレジームにおける検出感度のために高濃度のレジームに
おける直線性を犠牲にすることが、通常必要である。これは、単一の実験の動的
な範囲を制限する。
【0010】 アッセイの性能は、研究中のほとんどないくらい少量の標的種を特異的および
定量的に測定するその能力により代表的に測定される。これは、遺伝子発現また
は遺伝型分類のような遺伝子分析について特にあてはまり、利用可能な量の遺伝
子物質が制限される。例えば、有機色素標識を用いる近年の検出技術を用いる場
合、DNAマイクロアレイでの遺伝子発現分析は、単一のアレイハイブリダイゼ
ーションのために、50μgと200μgの間の総RNAを必要とする。これは
、10細胞に相当する要求である(Duggan et al.(1999)
Nature Genetics 21(n1 s):10−14)。多くの場
合、顕微解剖(Sgroi et al.(1999)Cancer Res.
59:5656−5661)を通して抽出されたサンプルのようなこれらの大量
の物質は、簡単に利用可能ではない。これは、標準的な有機フルオロフォアを用
いて標識されたこのようなサンプルの検出を大いに複雑にする。
【0011】 従って、アドレス可能なアレイを用いて実施されるような表面ベースのアレイ
を用いて獲得され得る結果を改善するために、既存の有機蛍光色素に関連する制
限に取り組む必要性、および感度ならびに動的な範囲を増大させる必要性が存在
する。
【0012】 (発明の要旨) 標識として半導体ナノクリスタルを用いる種々のアレイアッセイを実行するた
めの方法が、本明細書で提供される。この半導体ナノクリスタルの種々の特徴は
、従来の有機色素と比べて、シグナル検出を増強する。例えば、半導体ナノクリ
スタルは、検出を補助する強いシグナルを発する。いくつかの場合、シグナルは
、単一の半導体ナノクリスタルが検出され得る十分な強度である。この半導体ナ
ノクリスタルの大きさおよび組成を制御することにより、特定の波長を発する半
導体ナノクリスタルを獲得し得る。さらに、この半導体ナノクリスタルは、大き
な吸収断面を有し、それらは狭い対称な発光スペクトルを有する。このことは、
多くの異なる半導体ナノクリスタルが、単一の波長で励起され得るが、種々の異
なる波長で発光し得ることを意味する。この特徴は、複数のフォーマットで実施
されるアッセイに有用である。半導体ナノクリスタルは、種々の異なる生分子に
容易に付着され得るので、この半導体ナノクリスタルは、種々の異なるマイクロ
アレイ分析に用いられ得る。例えば、半導体ナノクリスタルは、核酸アレイ、タ
ンパク質アレイ、組織アレイ、または標識された標的および光学的な検出を利用
する他のアレイを用いて調査される標識標的分子に利用され得る。
【0013】 従って、サンプル中の目的のリガンドを検出するための特定の方法は、第1の
アレイを提供するために位置的に異なる配置で固体支持体に固定化された第1の
複数の抗リガンドを提供する工程(ここで、複数の抗リガンドは、目的の第1の
リガンドに特異的に結合し得る第1の抗リガンドを含む)を最初に包含する。次
いでこのアレイは、第1のリガンドを含むかまたは含むと期待されるサンプルと
接触される(ここで、第1のリガンドは、第1のリガンドが、第1の抗リガンド
と特異的に結合し、第1の複合体を形成する条件下で、接触前、接触中、または
接触後にリンカーを介して第1の半導体ナノクリスタルに連結される)。非結合
リガンドは、必要に応じてアレイから除去される。次いで、第1の複合体の配置
が、第1の半導体ナノクリスタルの第1の複合体における存在を検出、および必
要に応じて数量化することにより同定される。
【0014】 特定の方法が、単一のヌクレオチドの多型現象のような核酸における変形物を
分析する際に用いられる。これらの方法のいくつかは、3’末端および5’末端
を有する第1の複数の核酸プライマーを提供し、そしてこのプライマーは位置的
に異なる配置で固体支持体に固定化されて第1のアレイを提供する工程を包含す
る(ここで、複数のプライマーは、対立遺伝子部位を有する第1の標的核酸に相
補的な第1のプライマーを含む)。次いでこの第1のアレイは、第1の標的核酸
が第1のプライマーにハイブリダイズし、第1の標的−プライマー複合体を形成
する条件下、および第1の有限なヌクレオチドが対立遺伝子部位でのヌクレオチ
ドに相補的である場合、第1のヌクレオチドが拡張されて第1の有限なヌクレオ
チドを組込み、拡張されたプライマーを提供するような条件下で、第1の半導体
ナノクリスタルとリンカーを介して連結された第1の有限な核酸の存在下で、第
1の標的核酸分子を含むかまたは含むことが期待されるサンプルと接触される。
この配置または拡張されたプライマーを含む配置は、第1の半導体ナノクリスタ
ルのそこでの存在を検出することにより同定される。
【0015】 他の方法は、二次的なインターロゲーションまたはサンドイッチタイプアッセ
イである。これらの方法は代表的に、第1のアレイを提供するために位置的に異
なる配置で固体支持体上に固定化された第1の複数の抗リガンドを提供する工程
を包含する(ここで、第1の複数の抗リガンドは、第1のリガンドの結合パート
トナーである第1の抗リガンドを含む)。次いでこのアレイは、第1のリガンド
を含むかまたは含むと期待されるサンプルと接触され、それによって第1の抗リ
ガンドと第1のリガンドとが相互作用して、第1の二成分複合体を形成する。次
にこの二成分複合体は、第2の抗リガンドと接触される(ここで、第2の抗リガ
ンドは、(i)第1のリガンドの結合パートナーであり、そして(ii)第1の
半導体ナノクリスタルにリンカーを介して結合され、それによって第2の抗リガ
ンドが、第1の二成分複合体において第1の抗リガンドに結合し、第1の三成分
複合体を形成する)。第1の二成分複合体を含むアレイの配置は、第1の半導体
ナノクリスタルのそこでの存在を検出することにより、同定される。
【0016】 さらに他の方法は、アレイに結合された後にリガンドを標識する工程を包含す
る。これらの方法のいくつかは、第1のアレイを提供するために位置的に異なる
配置で固体支持体に固定化された第1の複数の抗リガンドを提供する工程を包含
する(ここで、この多数は、第1のリガンドの結合パートナーである第1の抗リ
ガンドを含む)。次いで第1のアレイは、第1のリガンドを含むかまたは含むこ
とが期待されるサンプルと接触され、それによって第1のリガンドと第1の抗リ
ガンドが相互作用して、第1の複合体を形成する。続いて、第1の複合体におけ
る第1のリガンドは、第1の半導体ナノクリスタルで標識される。第1の複合体
を含むアレイの配置は、第1の半導体ナノクリスタルのそこでの存在を検出する
ことにより、同定される。
【0017】 (詳細な説明) (I.定義) この明細書および添付の特許請求の範囲の中で使用される場合、単数形「a」
、「an」および「the」は、内容が明らかに他に示さない限り、複数の参照
を含む。従って、例えば、「半導体ナノクリスタル(a semiconduc
tor nanocrystal)」を参照すると、2つ以上のこのような半導
体ナノクリスタルの混合物を含み、そして、「検体(an「analyte」)
」は、1つ以上のこのような検体を含む。
【0018】 他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用
語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以
下の参考文献は、本明細書中で使用される多数の用語の一般的な定義を当業者に
提供する:Singletonら、DICTIONARY OF MICROB
IOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(第2版、199
4年);THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIE
NCE AND TECHNOLOGY(Walker編、1988年);TH
E GLOSSARY OF GENETICS、第5版、R.Riegerら
(編)、Springer Verlag(1991);およびHale&Ma
rham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY O
F BIOLOGY(1991)。本明細書中で使用される場合、他に特定され
ない限り、以下の用語は、それらに寄与する意味を有する。
【0019】 用語「半導体ナノクリスタル」、「量子ドット」、「QdotTMナノクリス
タル」または単に「ナノクリスタル」は、本明細書中で交換可能に使用され、直
径が約1nmと約1000nmとの間またはその間の整数の任意の整数もしくは
分数、一般には、約2nmと約50nmとの間またはその間の整数の任意の整数
もしくは分数、より代表的には、約2nmから約20nmまで(例えば、2、3
、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
、18、19、または20nm)の無機クリスタライトをいう。半導体ナノクリ
スタルは、励起(すなわち、半導体ナノクリスタルが発光している)の際に、電
磁放射線を放射し得、そして、1つ以上の第1の半導体物質の「コア」を含み、
そして、第2の半導体物質の「殻」によって囲まれ得る。半導体殻によって囲ま
れた半導体ナノクリスタルコアは、「コア/殻」半導体ナノクリスタルといわれ
る。「殻」を囲む物質は、代表的にコア物質の帯域ギャップエネルギーより大き
い帯域ギャップエネルギーを有し、「コア」基板の原子間隔に近い原子間隔を有
するように選択され得る。コアおよび/または殻は、グループII−VI(Zn
S、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、H
gTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、
SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeなど)物質およびIII−V
(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb
など)物質およびIV(Ge、Siなど)物質のコアおよび/または殻、ならび
にその合金または混合物を含むが、これらに限定されない、半導体物質であり得
る。
【0020】 半導体ナノクリスタルは、必要に応じて、有機キャップ形成剤の「コーティン
グ」によって囲まれる。有機キャップ形成剤は、任意の多数の物質であり得るが
、半導体ナノクリスタル表面に親和性を有する。一般に、キャップ形成剤は、単
離された有機分子、ポリマー(または重合反応のための単量体)、無機複合体、
および伸長した結晶構造であり得る。可溶性(例えば、選択された溶媒中にコー
ティングされた半導体ナノクリスタルを均一に分散させる能力)、機能性、結合
特性などを与えるためにコーティングが使用される。さらに、このコーティング
は、半導体ナノクリスタルの光学的特性を変更するために使用され得る。キャッ
プ付き半導体ナノクリスタルを作製する方法は、さらに以下で議論される。
【0021】 従って、本明細書中で使用される場合、用語「半導体ナノクリスタル」、「量
子ドット」および「QdotTMナノクリスタル」は、コーティングされた半導
体ナノクリスタルコアならびにコア/殻半導体ナノクリスタルを示す。
【0022】 「ルミネセンス」は、物体からの電磁放射線(光)を放射するプロセスを意味
する。ルミネセンスは、励起状態から、光子の形態で対応するエネルギーの放出
を有する下位状態への「弛緩」である系から生じる。これらの状態は、電気的状
態、バイブロニック状態、回転状態、または3つの任意の組み合わせであり得る
。ルミネセンスを担う遷移は、系において貯蔵されるエネルギーの放出を介して
化学的に刺激され得るか、または外部供給源から系に添加され得る。エネルギー
の外部供給源は、化学的、熱的、電気的、磁気的、電磁的、物理的または系が基
底状態より高い状態に励起されるのを引き起こし得る任意の他の型を含む、種々
の型のであり得る。例えば、系は、光の光子を吸収することによって、電場に配
置されることによって、または化学的な酸化−還元反応を介して、励起され得る
。ルミネセンス間に放射される光子のエネルギーは、低いエネルギーマイクロウ
ェーブ照射から高エネルギーX線照射までの範囲に存在し得る。代表的に、ルミ
ネセンスは、UVからIR照射までの範囲における光子をいう。
【0023】 「単分散粒子」は、集団中の少なくとも約60%の粒子、より好ましくは、集
団中の75%から90%の粒子、またはこの範囲の間の任意の整数が、特定の粒
子の大きさの範囲に分類される粒子の集団を含む。単分散粒子の集団は、直径が
10%rms(平均平方根(root−mean−square))未満偏向し
、そして代表的には、5%rms未満偏向する。
【0024】 成句「半導体ナノクリスタルの1つ以上の大きさ」は、成句「半導体ナノクリ
スタルの1つ以上の粒子の大きさの分布」と同義に使用される。当業者は、半導
体ナノクリスタルの特定の大きさが、粒子の大きさの分布のように実際に得られ
ることを理解する。
【0025】 半導体ナノクリスタルの電磁放射線発光に関する、用語「狭域波長帯域」また
は「狭域スペクトル線幅」は、もう100nmほど多くの帯域幅を広げ得る赤い
テールを有する代表的な色素分子についての約100nmの発光帯域幅と対照的
に、約40nmを超えない発光の波長帯域、および代表的に幅において約20n
mを超えず、そして中心について対称性である波長帯域を意味する。参照される
帯域幅は、最大値の半分のピークの高さ(FWHM)での発光の全幅の測定から
決定され、そして、200nmから2000nmの範囲で適切であることに注意
すべきである。
【0026】 半導体ナノクリスタルの励起に関する、用語「広域波長帯域」の使用は、開始
放射線の波長と等しいかまたは短い波長を有する放射線の吸収を意味する(開始
放射線は、半導体ナノクリスタルによって吸収され得る最も長い波長の(最も低
いエネルギー)放射線であることが理解される)。この開始は、発光の「狭域波
長帯域」の近くで、しかし、これよりもわずかに高いエネルギーで発生し得る。
これは、高いエネルギー側の発光ピークの近くで発生する色素分子の「狭域吸収
帯域」とは対照的であるが、その波長から迅速に落ちて、そして、しばしば、発
光由来の100nm以上の波長において無視できる。
【0027】 用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸
分子」は、任意の長さのヌクレオチドの重合体形態(リボヌクレオチドまたはデ
オキシヌクレオチドのいずれか)を含むように本明細書中で使用される。この用
語は、分子の一次構造のみをいう。従って、この用語は、三本鎖DNA、二本鎖
DNAおよび一本鎖DNAならびに三本鎖RNA、二本鎖RNAおよび一本鎖R
NAを含む。これはまた、ポリヌクレオチドの修飾形態(例えば、メチル化によ
るおよび/またはキャップ形成による)および非修飾形態を含む。より詳細には
、用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸
分子」は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含む
)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、プリンまたはピリミジン塩
基のN−グリコシドまたはC−グリコシドである任意の他の型のポリヌクレオチ
ド、および非ヌクレオチド骨格を含む他のポリマー(例えば、ポリアミド(例え
ば、ペプチド核酸(PNA))およびポリモルホリノ(Anti−Virals
,Inc.Corvallis,Oregon,as Neugeneから市販
されている)ポリマー、およびDNAおよびRNAにおいて見出されるように、
ポリマーが、塩基対形成および塩基スタッキングを可能にする形態で核酸塩基を
含むという条件で、他の合成配列特異的核酸ポリマー)を含む。用語「ポリヌク
レオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸分子」との間で長
さにおける意図された区別がなく、そして、これらの用語は交換可能に使用され
る。これらの用語は、分子の一次構造のみをいう。従って、これらの用語は、例
えば、3’−デオキシ−2’,5’−DNA、オリゴデオキシリボヌクレオチド
N3’P5’ホスホラミデート、2’−O−アルキル置換RNA、二本鎖DNA
および一本鎖DNAならびに二本鎖RNAおよび一本鎖RNA、DNA:RNA
ハイブリッド、およびPNAとDNAまたはRNAとの間のハイブリッドを含み
、そしてまたは、公知の型の修飾(例えば、当該分野で公知である標識、メチル
化、「キャップ化」、1つ以上の天然に存在するヌクレオチドとアナログとの置
換、ヌクレオチド間の修飾(例えば、非電荷の結合(例えば、メチルホスホネー
ト、ホスホトリエステル、ホスホラミダイト、カルバメートなど)を有する修飾
、負電荷の結合(例えば、ホルホロチオエート、ホスホロジチオエート)を有す
る修飾、および正電荷の結合(例えば、アミノアルキルホスホラミダイト、アミ
ノアルキルホスホトリエステル)を有する修飾、例えば、タンパク質のようなペ
ンダント部分を含む修飾(ヌクレアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペプチド、
ポリ−L−リジンを含む)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレ
ン)を用いる修飾、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属
)を含む修飾、アルキル剤を含む修飾、修飾された連結を有する修飾(例えば、
α−アノマー核酸))ならびにポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの修
飾されていない形態を含む。特に、DNAはデオキシリボ核酸である。
【0028】 用語「ポリヌクレオチド検体」および「核酸検体」は、交換可能に使用され、
そして、標的ヌクレオチド配列を含む一本鎖または二本鎖核酸分子を含む。検体
核酸は、種々の供給源(例えば、生物学的流体または固体、染色体、食料品、環
境物質など)由来であり得、そして、種々の手段によるハイブリダイゼーション
分析について調製され得る(例えば、プロテイナーゼK/SDS、カオトロピズ
ム塩など)。
【0029】 本明細書中で使用される場合、用語「標的核酸領域」または「標的ヌクレオチ
ド配列」は、標的分子内に含まれるプローブハイブリダイズ領域を含む。用語「
標的核酸配列」は、プローブが、所望な条件下で安定したハイブリッドを共に形
成する配列を含む。
【0030】 本明細書中で使用される場合、用語「核酸プローブ」または単に「プローブ」
は、上に規定されるように、標的核酸検体に存在する核酸配列に相補的な核酸配
列を含むポリヌクレオチドから構成される構造に対する参照を含む。プローブの
ポリヌクレオチド領域は、DNAおよび/もしくはRNA、ならびに/または合
成ヌクレオチドアナログから構成され得る。
【0031】 ハイブリダイズする配列は、安定したハイブリッドを提供するために完全な相
補性を有する必要はないことが理解される。多くの状況において、約10%より
少ない塩基がミスマッチの場合に安定したハイブリッドが形成され、4つ以上の
ヌクレオチドのループを無視する。従って、本明細書中で使用される場合、用語
「相補的な」は、アッセイ条件下(一般に、約90%以上の相同性が存在する場
合)でその「相補体」と安定した二本鎖を形成するオリゴヌクレオチドをいう。
【0032】 「アレイ」は、広範に、位置的に基板上の異なる位置における抗リガンドの配
列をいう。代表的に、アレイ上の抗リガンドの位置は、アレイの抗リガンドの同
一性がアレイ上のその位置から推論され得るように、空間的にコードされる。「
マイクロアレイ」は、一般に、検出が、抗リガンドとリガンドとの間に形成され
る複合体を検出するために顕微鏡検出の使用を必要とするアレイをいう。アレイ
上の「位置」は、抗リガンドを含むアレイ表面上の局在化した領域をいい、各々
が隣接した位置から区別され得るように定義される(例えば、アレイ全体に位置
するか、またはその位置が他の位置から区別されるのを可能にするいくつかの検
出可能な特徴を有する)。代表的に、各位置は、単一の型の抗リガンドを含む。
この位置は、任意の簡便な形(例えば、円形、長方形、楕円形または楔形)を有
し得る。領域の大きさは、有意に変化し得る。いくつかの場合において、位置の
領域は、1cmより大きく(例えば、2〜20cm)、この範囲内の任意の
領域を含む。より代表的には、この位置の領域は、1cm未満であり、他の場
合において1mm未満であり、なお他の場合において、0.5mmであり、
なおさらに他の場合において、10,000μm未満であるか、または、10
0μm未満である。
【0033】 「固体支持体」は、ガラス、ニトロセルロース(例えば、膜またはマイクロタ
イターウェル形態で);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイタ
ーウェル);ポリエステルラテックス(例えば、ビーズまたはマイクロタイター
プレート);フッ化ビニリデン樹脂;ジアゾ化紙;ナイロン膜;活性化ビーズ、
磁気応答性ビーズなどのような平面または非平面の基板を含む。
【0034】 用語「アプタマー」(または核酸抗体)は、その形によって所望の標的分子を
認識および結合する一本鎖DNAもしくは二本鎖DNAまたは一本鎖RNA分子
をいうために本明細書中で使用される(例えば、PCT公開番号WO92/14
843、WO91/19813およびWO92/05285を参照のこと)。
【0035】 用語「アプタザイム」は、エフェクター分子(化学的または生物学的のいずれ
か)の存在下で活性化されるアロステリックなリボザイムを含む。アプタザイム
は、非共有結合分子認識事象を触媒事象に変換し得る(例えば、連結を介する新
しい共有結合の生成)。
【0036】 「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で交換可能に使用され
、そして、ペプチド結合を介して結合されるアミノ酸の分子鎖を含む。この用語
は、産物の特定の長さについていわない。従って、「ペプチド」、「オリゴペプ
チド」、および「タンパク質」は、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語
は、ポリペプチドの転写後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化
など)を含む。さらに、タンパク質のフラグメント、アナログ、変異体または改
変体タンパク質、融合タンパク質などは、ポリペプチドの意味中に含まれる。
【0037】 「リガンド」は、一般に、リガンド/抗リガンド対を形成する抗リガンドに結
合する任意の分子をいう。従って、リガンドは、リガンドのいくつかの部分また
は特徴の認識のために、その分子について、リガンドに特異的に結合する別の分
子(すなわち、抗リガンド)が存在する任意の分子である。
【0038】 「抗リガンド」は、別の分子(すなわち、リガンド)と特異的または非特異的
に相互作用する分子である。
【0039】 「標的分子」または「検体」は、その存在、非存在および/または濃度が、検
出またはアッセイされる種をいう。本明細書中に記載されるように、アレイベー
スのアッセイにおいて、標的分子または検体はまた、リガンドといわれる。
【0040】 本明細書中で使用される場合、用語「結合対」または「結合パートナー」は、
リガンドおよび抗リガンドのようにお互いに特異的に結合する第1の分子および
第2の分子をいう。用語 結合対または結合パートナーは、アレイ上に複合体を
形成する抗リガンドおよびリガンドをいい得る。この用語はまた、リガンドに結
合される第1の分子、および、リガンドが、相互作用する結合対メンバーを介し
て、半導体ナノクリスタルに結合されるように相互作用する半導体ナノクリスタ
ルに結合される第2の分子をいい得る。サンプル中の第2のメンバーの結合対へ
の第1のメンバーの結合対の「特異的な結合」は、サンプル中の他の化合物に対
してより大きい親和性および特異性を有する、第2のメンバーへの第1のメンバ
ーの結合(またはその逆)によって明らかにされる。結合対間のメンバーの結合
は、代表的に、非共有結合的である。結合パートナーは、必ずしも、単一分子の
対に制限される必要はない。例えば、単一リガンドは、2つ以上の抗リガンドの
協調作用によって結合され得る。結合対または結合パートナー間の結合の結果は
、結合複合体であり、時々、リガンド/抗リガンド複合体または単にリガンド/
抗リガンドといわれる。
【0041】 例示的な結合対としては、以下が挙げられる:(a)対応する抗体もしくは結
合部分またはそのフラグメントと組み合わせた、任意のハプテン化合物または抗
原性化合物(例えば、ジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン;フルオレセイン
および抗フルオレセイン;ジニトロフェノールおよび抗ジニトロフェノール;ブ
ロモデオキシウリジンおよび抗ブロモデオキシウリジン;マウス免疫グロブリン
およびヤギ抗マウス免疫グロブリン)、(b)非免疫学的結合対(例えば、ビオ
チン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジン、ビオチン−Neutravi
din);(c)ホルモン[例えば、チロキシンおよびコルチゾール]−ホルモ
ン結合タンパク質;(d)レセプター−レセプターアゴニストまたはアンタゴニ
スト(例えば、アセチルコリンレセプター−アセチルコリンまたはそのアナログ
);(e)IgG−プロテインA;(f)レクチン−炭水化物;(g)酵素−酵
素補助因子;(h)酵素−酵素インヒビター;ならびに(i)核酸二重鎖を形成
可能な相補的なポリヌクレオチド対など。
【0042】 用語「特異的結合分子」および「親和性分子」は、本明細書中で交換可能に使
用され、そして、サンプル中に存在する検出可能な物質に対する化学的または物
理的手段を介して、選択的に結合する分子をいう。「選択的に結合する」は、分
子が、目的の標的に優先的に結合するか、または他の分子よりも標的に対してよ
り大きい親和性を有して結合することを意味する。例えば、抗体は、それが惹起
された抗原に対して選択的に結合する;DNA分子は、実質的に相補的な配列に
結合し、そして、関連していない配列には結合しない。親和性分子は、半導体ナ
ノクリスタルに結合され得、そしてそのように結合された場合に検出可能な物質
を特異的に認識し得る、任意の分子、または任意の分子の部分を含み得る。例と
して、このような親和性分子は、以下に定義されるように、抗体、単量体または
高分子核酸、アプタマー、タンパク質、多糖類、糖などのような分類の物質を含
む(例えば、Haugland,「Handbook of Fluoresc
ent Probes and Research Chemicals」(第
6版)および上記のような結合対を形成し得る任意の分子を参照のこと)。
【0043】 「半導体ナノクリスタル結合体」は、上記のように、特定の結合分子に結合さ
れたかまたは会合する半導体ナノクリスタルである。「半導体ナノクリスタル結
合体」は、例えば、サンプル(例えば、本明細書中で定義されるような生物学的
サンプル)中に存在する検出可能な物質に選択的に結合する「結合対」または「
特異的結合分子」のメンバーに、コーティングを介して、結合されるかまたは他
に会合される半導体ナノクリスタルを含む。この半導体ナノクリスタルに結合さ
れた結合対の第1のメンバーは、半導体ナノクリスタルに結合され得、そしてそ
のように結合された場合に結合対の第2のメンバーを特異的に認識し得る、任意
の分子、または任意の分子の部分を含み得る。
【0044】 本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、ポリクローナル調製物および
モノクローナル調製物の両方から得られる抗体、ならびに以下を含む:(i)ハ
イブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら(1991)Natu
re 349:293−299;および米国特許第4,816,564号);(
ii)F(ab’)2およびF(ab)フラグメント;(iii)Fv分子(非
共有結合へテロ二量体、例えば、Inbarら(1972)Proc Natl
Acad Sci USA 69:2659−2662;およびEhrlic
hら(1980)Biochem 19:4091−4096を参照のこと);
(iv)単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら(1988)Pro
c Natl Acad Sci USA 85;5879−5883を参照の
こと);(v)二量体および三量体抗体フラグメント構築物;ミニ抗体(min
ibodies)(例えば、Packら(1992)Biochem 31:1
579−1584;Cumberら(1992)J.Immunology 1
49B:120−126を参照のこと);(vi)ヒト化抗体分子(例えば、R
iechmannら(1988)Nature 332:323−327;Ve
rhoeyanら(1988)Science 239:1534−1536;
および英国特許公開番号GB2,276,169号(1994年9月21日に公
開された)を参照のこと);および(vii)このような分子から得られた任意
の機能的フラグメント(ここで、このようなフラグメントは、親抗体分子の特異
的な結合特性を保持する)。
【0045】 機能的な抗体フラグメントは、抗体分子から、例えば、ペプシンを使用して、
抗原結合を担っていない定常領域を切断することによって産生され得、F(ab
’)2フラグメントを生成する。これらのフラグメントは、2つの抗原結合部位
を含むが、重鎖の各々から定常領域の部分を欠く。同様に、Fabフラグメント
(これは、単一の抗原結合部位を含む)は、例えば、パパインを用いるポリクロ
ーナル抗体またはモノクローナル抗体の消化によって、産生され得る。機能的な
フラグメント(重鎖および軽鎖の可変領域のみを含む)が、組換え産生または免
疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解切断のような標準的な技術を使用し
て、産生され得る。これらのフラグメントは、Fvとして公知である(例えば、
Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69
:2659−2662;Hochmanら(1976)Biochem 15:
2706−2710;およびEhrlichら(1980)Biochem 1
9:4091−4096を参照のこと)。
【0046】 単鎖Fv(「sFv」または「svFv」)ポリペプチドは、ペプチドコード
リンカーによって連結されたVHコード遺伝子およびVLコード遺伝子を含む遺
伝子融合体から発現される、共有結合されたVH−VLヘテロ二量体である(H
ustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
5:5879−5883)。天然に凝集しているが化学的に分離した抗体V領域
由来の軽鎖および重鎖ポリペプチドを、抗原結合部位の構造に実質的に類似して
いる三次元構造に分類されるsFv分子に変換するための化学的構造(リンカー
)を区別および開発するために、多数の方法が、記載されている(例えば、米国
特許第5,091,513号、同第5,132,405号および同第4,946
,778号を参照のこと)。sFv分子は、当該分野に記載されている方法を使
用して産生され得る(例えば、Hustonら(1988)Proc.Nat.
Acad.Sci.USA 85:5879−5883;米国特許第5,091
,513号、同第5,132,405号および同第4,946,778号を参照
のこと)。設計基準は、1つの鎖のC末端ともう一方の鎖のN末端との間の距離
にわたる適切な長さを決定する工程を含み、ここで、リンカーは、一般に、コイ
ル化せず、または二次構造を形成しない傾向のある小さい親水性アミノ酸残基か
ら形成される。このような方法は、当該分野で記載されている(例えば、米国特
許第5,091,513号、同第5,132,405号および同第4,946,
778号を参照のこと)。適切なリンカーは、一般に、グリシンおよびセリン残
基の変更する組み合わせのポリペプチド鎖を含み、そして、可溶性を強化するよ
うに挿入されるグルタミン酸およびリジン残基を含み得る。
【0047】 「ミニ抗体(Mini−antibodies)」または「ミニ抗体(min
ibodies)」は、ヒンジ領域によってsFvから分離された、それらのC
末端におけるオリゴマー形成ドメインを含むsFvポリペプチド鎖である(Pa
ckら(1992)Biochem 31:1579−1584)。オリゴマー
形成ドメインは、さらなるジスルフィド結合によってさらに安定され得る自己会
合α−へリックス(例えば、ロイシンジッパー)を含む。オリゴマー形成ドメイ
ンは、膜を横切る方向の折り畳みと適合性であるように設計され、このプロセス
は、機能的な結合タンパク質にポリペプチドのインビボ折り畳みを容易にすると
考えられている。一般に、ミニ抗体は、当業者に周知の組換え方法を使用して産
生される(例えば、Packら(1992)Biochem 31:1579−
1584;Cumberら(1992)J Immunology 149B:
120−126を参照のこと)。
【0048】 本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」は、異種抗体集団
を有する抗体組成物をいう。この用語は、抗体の種類または供給源に関して制限
されないし、これが作製される様式によって制限されることを意図しない。従っ
て、この用語は、マウスハイブリドーマ、ならびにマウスハイブリドーマではな
くヒトハイブリドーマを使用して得られたヒトモノクローナル抗体から得られた
抗体を含む(例えば、Coteら、Monoclonal Antibodie
s and Cancer Therapy,Alan R.Liss,198
5、77頁を参照のこと)。
【0049】 半導体ナノクリスタルは、半導体ナノクリスタルが、特異的結合分子に化学的
に結合されるか、または会合する場合、特定の結合分子または結合対のメンバー
に「結合(連結)され(linked)」ているか、または「結合体化され」て
いるか、または「会合され」ている。従って、これらの用語は、半導体ナノクリ
スタルが、特定の結合分子に直接結合されるか、または、リンカー部分を介して
(例えば、以下に記載される化学的リンカーを介して)連結され得ることを示す
。この用語は、例えば、共有化学結合、ファンデルワールス力または疎水性相互
作用のような物理的力、カプセル化、包埋などによって、物理的に結合される。
本発明の範囲を制限することのない例としては、半導体ナノクリスタルは、細胞
、タンパク質、核酸、細胞以下の細胞小器官および他の細胞成分のような生物学
的化合物と物理的に相互作用し得る分子に結合体化され得る。例えば、半導体ナ
ノクリスタルは、タンパク質(アビジンおよびストレプトアビジン)に結合され
得るビオチンと会合し得る。また、半導体ナノクリスタルは、核酸(DNA、R
NA)に対して、非特異的または配列特異的に結合する分子と会合し得る。本発
明の範囲を制限することのない例として、このような分子は、DNAの小さい溝
に結合する低分子(総説としては、GeierstangerおよびWemme
r(1995)Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct
.24:463−493;およびBaguley(1982)Mol.Cell
.Biochem 43:167−181を参照のこと)、DNAおよびRNA
と付加物を形成する低分子(例えば、CC−1065、Hendersonおよ
びHurley(1996)J.Mol.Recognit.9:75−87を
参照のこと;アフラトキシン、Garner(1998)Mutant Res
.402:67−75を参照のこと;シスプラチン、例えば、LengおよびB
rabec(1994)IARC SciPubl.125:339−348)
、DNAの塩基対間でインターカレートする分子(例えば、メチジウム、プロピ
ジウム、エチジウム、プロフィリン)、総説としては、Baillyら、J.M
ol.Recognit.5:155−171を参照のこと);ブレオマイシン
、ネオカルチノスタチンおよび他のエネジン(enediynes)のような放
射線様のDNA損傷剤(総説については、Povirk(1996)Mutat
.Res.355:71−89を参照のこと)、および核酸に結合するそして/
または酸化を介して核酸を損傷する金属複合体(例えば、Cu−フェナントロリ
ン、Perrinら(1996)Prog.Nucleic Acid Res
.Mol.Biol.52:123−151を参照のこと);Ru(II)およ
びOs(II)複合体、例えば、Moucheronら(1997)J.Pho
tochem.Photobiol.B 40:91−106を参照のこと;D
NAの化学的プローブおよび光化学的プローブ、Nielsen(1990)J
.Mol.Recognit.3:1−25を参照のこと)を含む。
【0050】 本明細書中で使用される場合、「生物学的サンプル」は、以下を含むが、これ
らに限定されない単離された細胞、組織または体液のサンプルをいう:血漿、血
清、髄液、精液、リンパ液、皮膚、呼吸路、胃腸路、および尿生殖器路の外部切
片、涙、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、器官、ならびにまたインビトロ細胞培養成
分のサンプル(細胞培養培地における細胞の増殖から生じる馴化培地、推定上ウ
イルス感染細胞、組換え細胞および細胞成分を含むがこれらに限定されない)。
【0051】 「低分子」は、実験室で合成されたかまたは天然において見出されたかのいず
れかの有機化合物または無機化合物を含むように定義される。代表的には、低分
子は、それが、いくつかの炭素−炭素結合を含み、そして、1500グラム/M
ol未満の分子量を有するという点で特徴付けられる。
【0052】 「生体分子」とは、タンパク質、アミノ酸、核酸、ヌクレオチド、炭水化物、
糖、脂質などの、合成分子または天然に存在する分子である。
【0053】 用語「多重化」とは、複数の検体または生物学的状態が、1つより多い検出可
能標識(これらの標識の各々が、異なる波長、異なる強度、異なるFWHM、異
なる蛍光寿命、またはこれらの任意の組み合わせで発光する)を使用することに
よって同時に検出され得る、アッセイまたは他の分析方法を実施することを包含
するように、本明細書中において使用される。好ましくは、各検出可能標識は、
結合対の複数の第1のメンバーの1つに結合し、これらの第1のメンバーの各々
は、その結合対の異なる対応する第2のメンバーに結合し得る。異なる発光スペ
クトルを有する半導体ナノクリスタルを使用する多重化した方法を使用して、2
〜1,000,000の範囲、好ましくは2〜10,000の範囲、より好まし
くは2〜100の範囲、またはこれらの範囲の間の任意の整数、そしてなおより
好ましくは10〜20までの範囲、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の
検体、生物学的化合物または生物学的状態を、同時に検出し得る。多重化はまた
、異なる発光スペクトルを有する1つより多い半導体ナノクリスタルの組み合わ
せが、単一の検体を検出するために使用され得る、アッセイまたは方法を包含す
る。
【0054】 「任意の」または「必要に応じて」とは、引き続いて記載される事象または状
況が起こっても起こらなくてもよいこと、ならびにその記載は、その事象または
状況が起こる例およびその事象または状況が起こらない例を含むことを意味する
。例えば、句「必要に応じてシェル材料でオーバーコートされた」とは、言及さ
れるオーバーコートが、本発明の範囲内に入るために存在しても存在しなくても
よいこと、およびこの記載が、このようなオーバーコートの存在と非存在との両
方を包含することを意味する。
【0055】 「改変の部位」、「改変部位」または「対立遺伝子部位」とは、核酸を参照し
て使用される場合には、広義に、その部位におけるヌクレオチドの同一性が、そ
の他の点では類似の配列を有する核酸の間で変化する部位をいう。二本鎖核酸に
ついては、この改変部位は、一方の鎖に可変ヌクレオチドを含み、そして他方の
鎖にその相補的なヌクレオチドを含む。改変部位は、一塩基多型の部位または体
細胞突然変異の部位(例えば、点変異、欠失、挿入、および再配置が挙げられる
)であり得る。
【0056】 「多型」とは、集団のゲノムにおける特定の遺伝子座における、2つ以上の代
替のヌクレオチド配列の発生をいう。
【0057】 「多型形態」または「対立遺伝子」とは、アッセイにおいて排他的に区別可能
である多型の代替の形態をいう。
【0058】 「多型マーカー」または「部位」とは、発散が起こる遺伝子座をいう。好まし
いマーカーは、各々が、選択された集団の1%より高い頻度で、そしてより好ま
しくは、10%または20%より高い頻度で起こる、少なくとも2つの多型形態
を有する。遺伝子座は、多型が1つのヌクレオチドの置換または欠失である場合
には1塩基対程度に小さくあり得、あるいは多型が例えば染色体の一部の欠失、
反転または複製である場合には複数の塩基対であり得る。多型マーカーとしては
、例えば、制限断片長多型、可変数の縦列反復(VNTR)、超可変領域、ミニ
サテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド
反復、単純配列反復、およびAluのような挿入エレメントが挙げられる。1つ
の同定された対立遺伝子形態が、参照対立遺伝子として任意に指定され、そして
他の対立遺伝子形態が、代替または改変体の対立遺伝子として指定される。選択
された集団において最も頻繁に生じる対立遺伝子形態は、時々、野生型形態と称
される。二倍体の生物は、対立遺伝子形態に対してホモ接合であってもヘテロ接
合であってもよい。ジ対立遺伝子多型は、2つの形態を有する。トリ対立遺伝子
多型は、3つの形態を有する。
【0059】 一塩基多型(SNP)は、単一のヌクレオチドによって占有される多型部位に
おいて起こり、これは、対立遺伝子配列の間の改変の部位である。この部位には
、通常、高度に保存された対立遺伝子の配列(例えば、集団のうちの1/100
未満または1/1000未満のメンバーが変化した配列)が先行し、そしてこの
配列が続く。一塩基多型は、通常、1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドと多
型部位において置換されることに起因して、生じる。トランジションは、あるプ
リンの別のプリンによる置き換え、またはあるピリミジンの別のピリミジンによ
る置き換えである。トランスバージョンは、プリンのピリミジンによる置き換え
またはその逆である。一塩基多型はまた、参照対立遺伝子に対する1つのヌクレ
オチドの欠失、または1つのヌクレオチドの挿入から生じ得る。
【0060】 「プライマー」とは、適切な条件下(すなわち、4つの異なるヌクレオチド三
リン酸および重合のための薬剤(例えば、DNAまたはRNAのポリメラーゼま
たは逆転写酵素)の存在下)で適切な緩衝液中で、そして適切な温度で、テンプ
レート特異的DNA合成の開始点として働き得る、一本鎖ポリヌクレオチドであ
る。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図される使用に依存するが、代
表的には、少なくとも7ヌクレオチド長であり、より代表的には、10〜30ヌ
クレオチド長の範囲である。短いプライマー分子は、一般に、テンプレートとの
十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より低い温度を必要とする
。プライマーは、テンプレートの正確な配列を反映する必要はなく、テンプレー
トとハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。用語「プライ
マー部位」または「プライマー結合部位」とは、プライマーがハイブリダイズす
る標的DNAのセグメントをいう。用語「プライマー対」とは、増幅されるべき
DNA配列の5’末端の相補体とハイブリダイズする5’「上流プライマー」、
および増幅されるべき配列の3’末端とハイブリダイズする3’「下流プライマ
ー」を含むプライマーのセットを意味する。
【0061】 「完全に相補的である」プライマーは、プライマーの全長にわたって完全に相
補的な配列を有し、そしてミスマッチを有さない。このプライマーは、代表的に
、標的配列の部分(部分配列)に対して完全に相補的である。「ミスマッチ」と
は、プライマーにおけるヌクレオチドおよびこのプライマーと整列した標的核酸
におけるヌクレオチドが相補的ではない部位をいう。用語「実質的に相補的」と
は、プライマーを参照して使用される場合に、プライマーがその標的配列と完全
には相補的ではないこと;その代わりに、このプライマーは、所望のプライマー
結合部位においてそのそれぞれの鎖に選択的にハイブリダイズするためのみに十
分に相補的であることを意味する。
【0062】 「標本」とは、分析のために得られた任意の物質または材料の小さな部分また
はサンプルである。
【0063】 「組織」とは、特定の機能の性能に統合した類似の細胞の凝集体である。4つ
の基本的な組織は、上皮、結合組織(血液、骨および軟骨を含む)、筋肉組織な
らびに神経組織である。
【0064】 「細胞標本」とは、全細胞を含む標本であり、そして組織を含む。例としては
、皮膚、乳房、前立腺(prostrate)、血液、精巣、卵巣および子宮内
膜由来の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】 「細胞懸濁物」とは、内部に細胞が分散した液体であり、そして均一な懸濁物
または不均一な懸濁物を含み得る。細胞懸濁物の例は、腫瘍部位、細胞学標本、
洗浄液、細胞を含む尿、腹水(ascitic fluid)、または他の体液
から微細針で吸引することによって得られるものである。
【0066】 「細胞学的調製物」とは、病理学的試験または分析のために、細胞懸濁物がス
ミアまたは他の形態に転換され得る、病理学的標本である。
【0067】 「腫瘍」とは、悪性または非悪性のいずれかであり得る新生物である。「同じ
組織型の腫瘍」とは、特定の器官(例えば、乳房、前立腺、膀胱または肺)にお
いて生じた原発腫瘍をいう。
【0068】 用語「天然に存在する」とは、物体に対して適用される場合に、その物体が天
然に見出され得ることを意味する。
【0069】 用語「被験体」および「個体」は、本明細書中において互換可能に使用され、
任意の型の生物(植物、動物および微生物を含むがこれらに限定されない)をい
う。
【0070】 (II.概説) 本発明は、半導体ナノクリスタル(本明細書中において単純に、量子ドットま
たはQdotTMとも称される)を標識として使用して、アレイにおいて形成さ
れる種々の複合体の検出を増強する、種々の型のアドレス可能なアレイを用いて
アッセイを実施するための、種々の方法を提供する。半導体ナノクリスタルは、
核酸アレイ、タンパク質アレイ、組織アレイ、または光学的検出方法を利用する
本質的に任意の他の型のアレイにおいて使用するための、種々のリガンドまたは
標的分子を標識するために使用され得る。半導体ナノクリスタル標識は、目的の
リガンドに、共有結合または非共有結合を介して直接組み込まれ得るか、または
直接的に結合され得るか、あるいはリンカーを介して間接的に結合され得る。異
なるサンプルにおけるリガンドを異なる半導体ナノクリスタルで標識することに
よって、この方法は、多重形式において使用され、単一のアレイを用いて複数の
サンプルを同時に評価し得る。いくつかの方法はまた、各々が単一の半導体ナノ
クリスタルを保有するリガンドを利用する。
【0071】 種々のパラメータを制御することによって、アレイに基づくアッセイにおいて
使用するためのリガンドまたは抗リガンドを標識するために利用される、半導体
ナノクリスタルは、多数の所望の特性を有するようあつらえられ得る。例えば、
特徴的なスペクトル発光を有する半導体ナノクリスタルが生成され得る。これら
のスペクトル発光は、粒子サイズ、サイズ分布および/または粒子の組成を変化
させることによって、所望の波長に同調され得る。このことは、複数の発光色が
達成され得ることを意味し、これは、異なるサンプルから別個にリガンドを検出
する際に利用され得る特徴である。半導体ナノクリスタルの集団の発光スペクト
ルは、サンプル集団のサイズ分布不均一性に依存して、25〜30nm程度の狭
域線幅を有し、そして対称的か、ガウス曲線か、またはテーリング領域のないほ
ぼガウス曲線の線形状を有するように、操作され得る。同調可能性、狭域線幅、
および対称的な発光スペクトルの組み合わせは、複数の大きさの半導体ナノクリ
スタル(例えば、1つの系内に複数の異なるサイズ分布を有する単分散半導体ナ
ノクリスタルの集団)の高い解像度、および種々の種の同時の検出を可能にする
【0072】 さらに、このようなナノクリスタルの励起波長の範囲は広く、そして利用可能
な全ての半導体ナノクリスタルの発光波長よりエネルギーが高くあり得る。この
特徴は、異なる発光スペクトルを有する、系内の半導体ナノクリスタルの全ての
集団の同時の励起を引き起こすために、単一のエネルギー源(例えば、光であっ
て、通常は、スペクトルの紫外領域または青色領域)の使用を可能にする。半導
体ナノクリスタルはまた、高い量子収率を有することによって、従来の有機蛍光
色素よりずっと強力であり得、そして代表的に、アレイに基づくアッセイにおい
て従来利用されている有機色素より、光退色に対して抵抗性である。ナノクリス
タルの強さはまた、試験される系における有機色素の分解生成物による汚染の問
題を軽減する。さらに、半導体ナノクリスタルは、比較的大きなストークスシフ
トを有し、これによって、自己蛍光および散乱励起光に関する問題を有意に軽減
する。従って、半導体ナノクリスタルと組み合わせて使用されるアレイに基づく
技術は、種々のアッセイを実施するための高感度な手段として使用され得、そし
て特定の例においては、これらの方法は、アレイ上において形成される複合体の
定量を可能にするよう設計され得る。
【0073】 半導体ナノクリスタルのこれらの種々の局面はまた、アレイを使用してアッセ
イされるようなリガンドを検出および定量するための方法における、融通性を可
能にする。例えば、単一のナノクリスタルを検出する能力は、いくつかの例にお
いて、そのアレイに結合した単一のリガンドが、個々に計数され得ることを意味
する。この能力は、アレイに結合したリガンドの量を定量し得ること、および既
知の濃度のサンプルに対する較正によって、リガンドを含むもとのサンプルにお
けるそのリガンドの量を定量し得ることを意味する。
【0074】 半導体ナノクリスタルの使用はまた、他の型の標識を用いて実施されるアッセ
イに対して検出のダイナミックレンジが拡張することを可能にする。アレイに結
合した標識リガンドの密度に依存して、検出は、単一のリガンド(より低い密度
)を計数すること、またはそのアレイの各配置からの全発光強度(より高いリガ
ンド密度)を決定することを包含し得る。これらの検出レジメンの間を選択する
能力は、検出のダイナミックレンジの有意な拡張を生じ、従って、より大きな範
囲の濃度のリガンドが、アレイに結合したかまたは元のサンプル中に存在したか
のいずれかで正確に定量され得ることを可能にする。
【0075】 (III.半導体ナノクリスタルを利用する、アレイに基づく方法) (A.一般的方法) 本発明は、一般に、種々のアレイ形式を使用して、リガンドまたは標的分子を
アッセイするための種々の方法を提供する。半導体ナノクリスタルは、いくつか
の局面において、検出を増強するための標識剤として使用される。この方法は、
上に複数の抗リガンドが配置されるかまたは結合される、基板または支持体を含
むアレイを利用する。結合される場合に、これらの抗リガンドは、この支持体に
直接結合され得るか、またはリンカーを介して結合され得る。このアレイは、抗
リガンドが配置または結合される、種々の異なる配置を含み、従って、このアレ
イ上におけるこれらの抗リガンドの同一性は、空間的にコードされる。各配置は
、少なくとも1つの抗リガンドを有するが、しばしば、複数の抗リガンドが、各
配置に存在する。種々の配置における抗リガンドは、同じであるかまたは異なり
得る。
【0076】 このアレイは、1つ以上のリガンドを含むか、または潜在的に含む、サンプル
に接触される。このサンプル中のリガンドがアレイの抗リガンドに接触される際
に、結合対のメンバーであるリガンドおよび抗リガンドが相互作用して、複合体
を形成する。これらのリガンドは、リガンドを含むサンプルをアレイに接触させ
る前か後のいずれかに、半導体ナノクリスタルで標識され得る。
【0077】 次いで、このアレイは、代表的にリンスされて、複合体形成していないリガン
ドおよび他のアッセイ成分を除去される。このアレイ上において形成した複合体
は、この複合体に含まれる半導体ナノクリスタルによって媒介されるシグナルを
検出することによって、同定される。リガンドに結合した抗リガンドの同一性は
、このアレイ上における抗リガンドの配置に基づいて、決定され得る。
【0078】 この一般的スキームには、種々の改変がなされ得る。例えば、1つ以上の標識
されていないリガンドを含むサンプルが、複数の抗リガンドを含むアレイに接触
され得る。上記のように、結合パートナーであるリガンドおよび抗リガンドは、
二成分複合体を形成する。これらのリガンドは標識されていないので、複合体は
、この二成分複合体を半導体ナノクリスタルで標識された二次抗リガンドを含む
サンプルと接触させることによって、検出され得る。この二次抗リガンドは、結
合パートナーである二成分複合体におけるリガンドに結合して、三成分複合体を
形成し得る。抗リガンドがリガンドと複合体形成する、アレイにおける配置が、
次いで、この三成分複合体における半導体ナノクリスタルからのシグナルによっ
て検出され得る。このアプローチは、抗リガンドが結合パートナーであるリガン
ドを捕獲するよう働く、サンドイッチ型のアッセイである。次いで、このリガン
ドは、標識された二次抗リガンドに結合し、その結果、このリガンドは、2つの
抗リガンドの間にサンドイッチされる。
【0079】 下記にさらに詳細に記載されるように、大きさを調節することによって異なる
半導体を同調して区別可能な波長で発光させる能力が、種々の異なる多重分析を
実施することを可能にする。例えば、異なるサンプル由来の異なるリガンドが、
別個に標識され、次いで一緒に混合され得る。この混合物が、アレイに適用され
得、そして異なるサンプル由来のリガンドを含む複合体が、複合体における半導
体ナノクリスタルの色に基づいて同定され得る。あるいは、単一のサンプルにお
ける異なるリガンドが、異なる結合対の第1のメンバーを異なるリガンドに選択
的に結合させることによって、差示的に標識され得る。次いで、種々の結合対の
第2のメンバーが、異なる半導体ナノクリスタルに選択的に結合され得る。次い
で、得られるリガンドおよび半導体ナノクリスタルが混合され得る。このサンプ
ルにおける異なるリガンドが、差示的に標識される。なぜなら、各リガンドが、
相補的な結合対メンバーを保有する標識に結合するのみであるからである。
【0080】 (B.半導体ナノクリスタル) 半導体ナノクリスタルは、代表的に、ナノメートルの大きさの半導体結晶であ
り、これは、この結晶の大きさと材料との両方に強く依存する光学特性を有する
(例えば、Alivisatos(1996)Science 271:933
−937を参照のこと)。半導体ナノクリスタルの1つの特徴は、半導体ナノク
リスタルからの吸収スペクトルおよび発光スペクトルが、これらの大きさを変化
させることによって、広範囲の電磁スペクトルにわたって同調され得ることであ
る。例えば、CdSeから作製された半導体ナノクリスタルは、490nmと6
40nmとの間の任意の選択波長において、狭域波長帯域の光を発光し得る。
【0081】 半導体ナノクリスタルの大きさ依存性の光学特性の背後の原理は、「量子閉じ
込め」と呼ばれる効果である(例えば、Efrosら(1982)Sov.Ph
ys.Semicond.16:772−775を参照のこと)。バルク半導体
からの発光は、半導体格子内での電子および抗電子(正孔)の形成および消滅を
介して、発生する。バルク半導体において、この「電子正孔対」のエネルギーは
、全体的に、半導体材料の組成によって支配される。しかし、半導体の物理的大
きさが減少されて、電子−正孔対の固有の大きさより小さくなった場合には、こ
の励起を半導体構造内に閉じ込めるために、さらなるエネルギーが必要とされる
。半導体ナノクリスタルの大きさ範囲において、閉じ込めエネルギーは極度に大
きくあり得、そしてその材料の吸収エネルギーおよび発光エネルギーに影響を与
える優勢な因子の1つとなる。従って、量子ドットの大きさを変化させることに
よって、吸収および発光は、閉じ込めエネルギーの変化に起因して、改変され得
る。図2A〜2Bは、同じ材料(CdSe)の異なる大きさの半導体ナノクリス
タルからの一連の吸収発光スペクトルを示すことによって、この効果を実証する
。半導体ナノクリスタルの材料を変化させることもまた、発光エネルギーに影響
与え得る。いくつかの異なる材料を使用することによって、紫外線から赤外線へ
と同調可能な発光スペクトルを有する半導体ナノクリスタルを生成することが可
能である(図2Cを参照のこと)。
【0082】 半導体ナノクリスタルは、それらのルミネッセンス特性における量子閉じ込め
効果を実証する。半導体ナノクリスタルが一次エネルギー源によって照射される
場合に、エネルギーの二次発光が、半導体ナノクリスタルにおいて使用される半
導体材料の帯域ギャップに対応する周波数で起こる。量子が閉じ込められた粒子
において、帯域ギャップエネルギーは、ナノクリスタルの大きさおよび/または
組成の関数である。種々の大きさおよび/組成の半導体ナノクリスタルの混合さ
れた集団は、単一の波長の光を使用して、同時に励起され得、そして検出可能な
ルミネッセンスが、複数の波長において起こるように操作され得る。ルミネッセ
ンス発光は、集団を構成する半導体ナノクリスタルの大きさおよび/または組成
に関連する。
【0083】 より具体的には、三次元すべてにおける電子と正孔との両方の量子閉じ込めは
、結晶サイズが減少している材料の効果的な帯域ギャップの増加を導く。その結
果、半導体ナノクリスタルの光吸収および発光の両方が、青色(より高いエネル
ギー)にシフトする。一次光源への暴露の際に、各半導体ナノクリスタルの分布
は、半波高全副値(FWHM)が12nm〜60nm程度に狭く、そして対称的
なほぼガウス曲線の形状を有する狭域スペクトル線幅のエネルギーを発光し得、
従って、特定の半導体ナノクリスタルを同定するための容易な様式を提供する。
当業者が理解するように、線幅は、他のことのうちでもとりわけ、各調製物にお
ける半導体ナノクリスタルの大きさの不均一性(すなわち、単分散性)に依存す
る。特定の単一半導体ナノクリスタル複合体は、12nm〜15nm程度に狭い
FWHMを有することが観察された。35nm〜60nmの範囲のより大きな線
幅を有する半導体ナノクリスタル分布は、容易に作製され得、そしてより狭い線
幅を有する半導体ナノクリスタルと同じ物理的特性を有する。
【0084】 半導体ナノクリスタルの発光特性は、大きさおよび組成に依存するので、異な
る半導体ナノクリスタルを、多数の様式(例えば、発光強度、発光波長、半波高
全副値の高さ、吸収、散乱、蛍光寿命、または上記のものの任意の組み合わせが
挙げられる)で、検出および/または区別し得る。
【0085】 コア/シェル半導体ナノクリスタルは、第2の帯域ギャップがより高い材料(
例えば、ZnS)のシェルでコーティングされた、CdSeのような1つの材料
から作製されるナノクリスタルである(例えば、Hinesら(1996)J.
Phys.Chem.100:468−171;Pengら(1997)J.A
m.Chem.Soc.119:7019−7029;およびDabbousi
ら(1997)J.Phys.Chem.B 101:9463−9475を参
照のこと)。より高い帯域ギャップのシェル材料が、蛍光電子−正孔対が表面お
よび周囲環境と相互作用しないよう保護する(このような相互作用は、半導体ナ
ノクリスタルにおける蛍光の消光を生じ得る)。このことは、有意に増強された
蛍光量子収率を生じ、代表的には50%〜80%である。これらのコア/シェル
構造は、有機リガンドで固有に官能基化された表面を有する。
【0086】 以下にさらに詳細に記載されるように、これらのリガンドの改変は、水溶性の
半導体ナノクリスタルを作製することを可能にし、これらのナノクリスタルは、
ビオチン、ストレプトアビジンおよび抗体のような生物学的に重要な分子に直接
結合体化し得る。半導体ナノクリスタルと種々の生物学的分子または基質を結合
させるための技術は、例えば、Bruchezら(1998)Science
281:2013−2016,Chanら(1998)Science 281
:2016−2018,Bruchez「Luminescent Semic
onductor Nanocrystals:Intermittent B
ehavior and use as Fluorecent Biolog
ical Probes」(1998)Doctoral dissertat
ion,University of California,Barkele
y,Mikulec「Semiconductor Nanocrystal
Colloids:Manganese Doped Cadmium Sel
enide,(Core)Shell Composites for Bio
logical Labeling,and Highly Fluoresc
ent Cadmium Telluride」(1999)Doctoral
dissertation,Massachusetts Institut
e of Technologyに記載されている。
【0087】 いくつかの光学特性は、半導体ナノクリスタルを、アレイに基づく方法におい
て複合体を検出するために有用にする。これらの特性としては、以下が挙げられ
る: 1)大きな吸収断面積。半導体ナノクリスタルは、匹敵する有機色素と比較し
て、非常に大きな吸収断面積を有する。例えば、Cy5は、約630nmにおい
て、約250,000M−1cm−1の最大断面積を有し、一方で赤色CdSe
半導体ナノクリスタル(640nmで発光)は、630nmにおいて、約800
,000M−1cm−1および488nmにおいて2×106M−1cm−1
り大きな断面積を有する。このことは、半導体ナノクリスタルおよびCy5のそ
れぞれに対して、488nmおよび632nmの匹敵する励起強度を用いて、半
導体ナノクリスタルは、8倍より多くの量の入射光を吸収し得ることを意味する
【0088】 2)高い量子収率。上記のように、半導体ナノクリスタルは、80%程度に高
い量子収率を有し得、従って、吸収された光子の有意な数が、蛍光シグナルとし
て再発光される。
【0089】 3)高い光安定性。多くの有機色素とは異なり、半導体ナノクリスタルは、高
い光安定性を示す。図3は、同一の励起条件下で、フルオレセインと水溶性半導
体ナノクリスタルとの間の光退色の比較を示す。増強した光安定性は、半導体ナ
ノクリスタルからの蛍光が、長時間にわたって積分され得、これによって、検出
感度を有意に増強することを意味する。
【0090】 高い吸収断面積、高い量子収率および高い光安定性は、一緒になって、顕著に
明るい蛍光団を作製する。特定の半導体ナノクリスタルを用いて、単一の半導体
ナノクリスタルからの蛍光を検出し得る(図4Aおよび4B)。実際に、特定の
単一の半導体ナノクリスタルからの蛍光は、十分に明るいので、肉眼で見える。
この高い蛍光強度は、下記でさらに詳細に説明されるように半導体ナノクリスタ
ルで標識された、単一の結合した標的分子の検出を可能にするために、調査され
得る。
【0091】 半導体ナノクリスタルのさらなる有用な特徴としては、以下が挙げられる: 4)狭い対称的な発光スペクトル。半導体ナノクリスタルからの発光スペクト
ルは、大部分の有機色素のものより有意に狭く、そしてより長波長側に延びる非
対称テイルを有さない。図5Aおよび5Bは、フルオレセイン(図5A)および
匹敵するカラー半導体ナノクリスタルアナログ(図5B)の吸収スペクトルおよ
び発光スペクトルの比較を示す。狭い対称的な発光スペクトルは、多重アッセイ
における隣接する色の重なりを有意に減少させ、これによって検出感度を増加さ
せる。
【0092】 5)大きな「ストークスシフト」。有機色素を用いて観察される性能とは対照
的に、半導体ナノクリスタルは、これらが励起する発光から遠く離れたさらなる
光を実際に吸収することを示す(図5Aおよび5B)。従って、青色から非常に
遠くで励起させ得、散乱した励起光または自己蛍光から発光波長における任意の
干渉を最小にし、このことは一般に、励起波長の近くの波長における発光を生じ
る。
【0093】 6)同調可能な発光。半導体ナノクリスタルは、これらが発光する波長を制御
するように、合成され得る。従って、発光波長は、自己蛍光との重なりを回避す
るよう選択され得る。さらに、半導体ナノクリスタルはまた、発光波長より短い
波長で励起し得るので、励起はまた、励起自己蛍光を回避するよう選択され得る
。適切に選択された励起波長および発光波長は、自己蛍光を有意に低下させ得、
これによって、検出感度を増加させ得る。
【0094】 7)多重発光。広域励起スペクトルは、多数の半導体ナノクリスタルカラーが
単一の励起波長によって同時に励起されることを可能にする。例えば、図2Aお
よび2Bの全ての半導体ナノクリスタルサンプルは、457nmの光を用いて効
果的に励起され得る。この特性は、半導体ナノクリスタルに独特であり、そして
多重バイオアッセイの検出のための光学系の開発を単純にする。
【0095】 (C.標識) 種々の方法が、半導体ナノクリスタルを用いる生体分子の標識について利用可
能である。特定の方法において、この半導体ナノクリスタルおよび生体分子は、
この2つの分子の結合を可能にする適切な官能基を有する。特定の生体分子は、
合成(例えば、核酸への、半導体ナノクリスタルで標識されたヌクレオチドの組
み込み)の間に最終生体分子に組み込まれる生体分子の成分(例えば、ポリマー
のモノマー)を標識することによって、標識され得る。この半導体ナノクリスタ
ルおよび生体分子はまた、リンカーを介して連結され得る。このリンカーは、代
表的には、各端部に官能基を有する二官能基である。このリンカーの1つの端部
は、半導体ナノクリスタルに結合し、そして他方の端部は、生体分子に結合する
【0096】 あるいは、この半導体ナノクリスタルは、結合対の1つのメンバーを保有し得
、そして生体分子は、この結合対の他のメンバーを保有し得る。従って、この生
体分子およびナノクリスタルは、結合対のメンバーを介して結合され得る。
【0097】 標識に関するさらなる詳細は、種々の型のアレイベースのアッセイについて、
そして以下の結合の節において記載される。
【0098】 (D.アレイ) 上記のように、アレイは、概して、このアレイにおける種々の生体分子の同一
性がこのアレイにおけるその配置に基づいて決定され得るような、基材上の位置
的に異なる配置の生体分子の配列をいう。このアレイの生体分子は、直接または
リンカーを介してのいずれかで、このアレイの生体分子の相対的位置を維持する
支持体に結合される。
【0099】 この支持体は、複数の生体分子を支持し得、そして生体分子が位置的に異なっ
たまま残るようにこの生体分子を維持し得る、任意の材料であり得る。それ故、
この支持体は、広範な種々の材料から製造され得る。例えば、この支持体は、有
機、無機、生物学的、または非生物学的な材料、あるいはこれらの材料の組合せ
から作製され得る。適切な支持体の特定の例としては、以下が挙げられるがこれ
らに限定されない:種々のプラスチック、ポリマー、Pyrex(登録商標)、
石英、樹脂、ケイ素、シリカまたはシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラ
ス、無機結晶、セルロース、ナイロンなど。
【0100】 この支持体の形状もまた変化し得る。この支持体は、本質的に任意の構成を有
し得る。これは、実質的に平坦な面を含んでもよいし、平坦な面が欠如してもよ
い。この基材は、上昇した領域または低下した領域を有し得、ここで反応が起こ
り得るか、あるいはここに溶液または懸濁液が配置され得る。このような支持体
の特定の例は、当該分野で公知のマイクロタイタープレートである。この支持体
についての他の適切な形状としては、例えば、以下が挙げられるがこれらに限定
されない:ビーズ、粒子、鎖、ゲル、シート、膜、チュービング、キャピラリー
、パッド、フィルム、プレートおよびスライド。このアレイはまた、光ファイバ
ーの束の形態であり得、この束における各ファイバーは、実質的に平坦な端部を
有するか、またはこの端部にエッチされた腔を含む端部を有する(例えば、米国
特許第5,837,196号およびPCT公開WO 98/50782を参照の
こと)。
【0101】 (IV.核酸アレイ) (A.核酸アレイを用いる一般的方法) (1.接触/ハイブリダイゼーション) 1つ以上の供給源からの、標的核酸を含むか潜在的に含むサンプルは、このア
レイ上に異なる配置で付着された核酸プローブのアレイと接触される。この標的
核酸は、代表的に、アレイをサンプルと接触する前に1つ以上の半導体ナノクリ
スタルで標識されるか、またはこれらがこのアレイに付着された相補的なプロー
ブにハイブリダイズされ始めた後に、標的核酸の標識を容易にする改変ヌクレオ
チドを含む。例えば、改変ヌクレオチドは、半導体ナノクリスタルに保有される
相補的な官能基と反応する基で官能基化されたヌクレオチド(例えば、dATP
、dTTP、dGTPおよびdCTP)であり得る。あるいは、この改変ヌクレ
オチドは、半導体ナノクリスタルに付着された結合対の他のメンバーと特異的に
結合する、結合対の1つのメンバーに付着される。
【0102】 標的核酸が、このアレイに付着された相補的なプローブとハイブリダイズされ
た後に、このアレイは、必要に応じてストリンジェンシー緩衝液で洗浄されて、
未結合または非特異的に結合した標的核酸を除去する。このアレイ上で形成され
たハイブリダイゼーション複合体は、ハイブリダイゼーション複合体中にある標
的核酸に付着した半導体ナノクリスタルに付随または媒介されるシグナルを検出
することによって、検出される。
【0103】 これらの一連の工程は、種々の自動化システムを利用して自動化され得る。こ
れらのシステムは、実施される特定の分析に適切であるように反応条件を調節す
るための、温度コントローラおよびミキサーを備え得る。このシステムは、温度
および混合条件をプログラムするために、ならびに自動的に試薬を分配し、アレ
イを洗浄し、そして検出アッセイを行うために、プログラム可能であり得る。こ
のようなシステムおよび構成要素に関する情報は、例えば、PCT公開WO 9
5/3386に記載される。
【0104】 ちょうど記載したように、このアレイは、代表的に、このアレイへのサンプル
の適用の後に、未結合の標的核酸を除去するために、そして結合したプローブ核
酸に対して完全に相補的ではない標的核酸を少なくとも部分的に除去するために
、ストリンジェンシー洗浄される。選択されたハイブリダイゼーション条件のス
トリンジェンシーは、当該分野で公知の種々の要因(例えば、温度、イオン強度
およびpHを含む)に依存する。核酸のハイブリダイゼーションについての広範
な手引きは、Tijssen,Techniques in Biochemi
stry and Molecular Biology−Hybridiza
tion with Nucleic Probe,「Overview of
principles of hybridization and the
strategy of nucleic acid assays」(19
93)において見出される。
【0105】 一般に、「ストリンジェントな条件」は、規定されたイオン強度、pHで特定
配列の熱融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるように選択される。このTm
は、標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズ
する温度(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度での)である(標的配列
が過剰に存在する場合、Tmで、50%のプローブが平衡状態で占有される)。
ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0Mナトリ
ウムイオン未満、代表的には約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(ま
たは他の塩)であり、そして温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレ
オチド)については少なくとも約30℃であり、そして長いプローブ(例えば、
50ヌクレオチドより長い)については少なくとも約60℃である条件である。
ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっ
てもまた達成され得る。選択的または特異的ハイブリダイゼーションについて、
陽性のシグナルはバックグラウンドの少なくとも2倍であり、好ましくはバック
グラウンドの10倍のハイブリダイゼーションである。
【0106】 「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、40%ホル
ムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中37℃でのハイブリダイゼー
ション、および1×SSCで45℃での洗浄を含む。陽性のハイブリダイゼーシ
ョンは、少なくともバックグラウンドの2倍である。当業者は、代替のハイブリ
ダイゼーションおよび洗浄条件が、類似のストリンジェンシー条件を提供するた
めに利用され得ることを容易に認識する。
【0107】 (2.核酸の標識) アレイの使用によって分析される標的核酸に半導体ナノクリスタルを組み込む
ために、種々の方法が利用され得る。1つのアプローチは、半導体ナノクリスタ
ルで標識されたdNTPの存在下で、テンプレート核酸を逆転写することによる
、逆転写されたcDNAへの半導体ナノクリスタル−dNTPの酵素的組み込み
を含む。第2のアプローチにおいて、所望のcDNAは、1つ以上の半導体ナノ
クリスタルで標識されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーを使用して
増幅される。
【0108】 単一の半導体ナノクリスタルが検出され得るように、特定の半導体ナノクリス
タルの発光強度が十分に高いため、いくつかの方法において、ちょうど1つの半
導体を核酸に組み込むことが有利である。単一の半導体ナノクリスタルの核酸へ
の組み込みは、標的の増幅の間に、単一の半導体ナノクリスタルで標識されたプ
ライマーを使用して達成され得る。以下により詳細に記載するように、単一の半
導体ナノクリスタルでの標識は、総蛍光強度を使用する、アレイにハイブリダイ
ズするリガンド(例えば、cDNA)の量の定量を可能にする。既存の有機色素
を用いる場合、低い感度は、検出のために、各cDNAに結合された複数の蛍光
体を必要とする。これは、cDNAハイブリダイゼーションの定量的測定を妨げ
る。なぜなら、蛍光体/cDNAの数が未知だからである。
【0109】 第3の核酸標識アプローチは、逆トランスクリプターゼを使用する、活性基で
官能基化されたdNTPからのcDNAの合成を含む。次いで、得られた非標識
形態は、半導体ナノクリスタルの表面への活性基の直接結合体化によって標識さ
れる。本明細書中で使用される場合、「活性基」または「官能基」は、特定の分
子または分子のファミリーの構造を規定し、そして同時に、その特性を決定する
原子または原子の群を意味する。例示的な官能基としては、ヒドロキシル、スル
フヒドリル、カルボニル、カルボキシル、アミノおよび二重結合または三重結合
が挙げられる。このようなアプローチの1つの特定の例において、アミン官能基
化dNTPが、スクシンイミジルエステル官能基化半導体ナノクリスタルに共有
結合される。非標識dNTPを使用するcDNAの最初の産生および引き続く合
成産物の標識によって、テンプレートのcDNAへの転写を妨げる立体障害の可
能性を回避し得る。
【0110】 別の選択肢は、標的が、アレイによって保有される相補的プローブ核酸にハイ
ブリダイズされ始めた後まで、標識化を延期することである。例えば、異なる官
能基化dNTPの存在下で、テンプレート核酸を逆転写することによって、異な
るcDNA鎖に異なる活性基を組み込み得る。次いで、この合成cDNAは、こ
のアレイ上のプローブにハイブリダイズし、続いて、半導体ナノクリスタルが、
この合成cDNAに組み込まれるdNTPによって保有される官能基に結合体化
される。例えば、4つの半導体ナノクリスタル(この各々は異なる色であり、そ
して各々は異なる表面官能基を有する)は、4つの異なるセットのcDNAを標
識するために、ハイブリダイズしたアレイにわたって洗浄され得る。このアプロ
ーチは、半導体ナノクリスタルがハイブリダイゼーション工程の間に存在せず、
これによってナノクリスタルによるハイブリダイゼーションの潜在的な干渉を最
小化するという利点を有する。この方法はまた、個々の半導体ナノクリスタルが
1つより多くの官能基を表面に有する場合に、標識の間に異なるcDNA鎖を架
橋する可能性を最小にする。この型の標識はまた、単一の活性基の使用およびハ
イブリダイゼーション後の結合体化によって、単一の色を検出するためになされ
得る。
【0111】 別の標識アプローチは、転写されたDNAを断片化し、次いでこのフラグメン
トを、末端トランスフェラーゼを使用して、半導体ナノクリスタル−dTTP結
合体で末端標識することである。
【0112】 上記の手順の全てにおいて(標識がハイブリダイゼーションの後に起こる場合
を除いて)、異なるcDNAサンプルを別々に調製および標識化し、次いでこれ
らのサンプルをアレイでのハイブリダイゼーションの前に一緒に混合することに
よって、多重化アッセイが行われ得る。
【0113】 特定の標識の選択肢は、いくつかの型のリンカーを介する標的核酸の半導体ナ
ノクリスタルへの結合を含む。このリンカーは、多くの異なるホモ−およびヘテ
ロ−二官能性部分(これは、分子の鎖の両方の端部に官能基を含む)のいずれか
であり得;各端部の官能基は、同じかまたは異なり得る。適切なリンカーの例と
しては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:直鎖または分枝鎖の炭素リ
ンカー、複素環式リンカーおよびペプチドリンカー。適切なリンカーは、Roc
kford,IllinoisのPierce Chemical Compa
nyから入手可能であり、そしてEPA188,256;米国特許第4,671
,958号;同第4,659,839号;同第4,414,148号;同第4,
669,784号;同第4,680,338号、同第4,569,789号、お
よび同第4,589,071号、ならびにEggenweiler,H.M,(
1998)Drug Discovery Today,3:552に記載され
る。
【0114】 多くの標識の選択肢は、結合対メンバーの使用を含み、ここで、この対の1つ
のメンバーは、半導体ナノクリスタルに結合され、そして他のメンバーは、核酸
またはそこに組み込まれるヌクレオチドに結合する。この結合対メンバーは、互
いに特異的に結合する分子の任意のセットであり得る。適切な結合対メンバーと
しては、抗原/抗体、ビオチン/ストレプトアビジン(またはアビジンもしくは
ニュートラビジン(neutravidin))、およびオリゴ糖/レクチンが
挙げられるがこれらに限定されない。
【0115】 このような標識方法の特定の例としては、以下が挙げられる。1つの選択肢は
、ストレプトアビジンコーティングされた半導体ナノクリスタルを、ビオチン化
cDNAに結合することである。逆のアプローチもまたとられ得、ここでビオチ
ンコーティングされた半導体ナノクリスタルが、ストレプトアビジン架橋を介し
てビオチン化cDNAに結合される。別のアプローチは、抗体標識半導体ナノク
リスタルの、抗原標識cDNAへの結合である。例えば、ジゴキシゲニン標識c
DNAは、半導体ナノクリスタル標識抗ジゴキシゲニン抗体に結合され得る。こ
の結合対のメンバーは、結合対メンバーで標識されたdNTPの存在下で、核酸
テンプレートの逆転写を行うことによって、cDNA内の内部配置で組み込まれ
得る。あるいは、この結合対メンバーは、標的核酸を増幅するために結合対メン
バーで標識されたプライマーを使用することによって、標的の末端付近に組み込
まれ得る。
【0116】 複数の標識を有する標的核酸は、結合対メンバーを有するdNTPの存在下で
転写を行うことによって、または複数の結合対を有するプライマーを用いて標的
を増幅することによって、調製され得る。単一の半導体ナノクリスタルを有する
標的核酸は、標的核酸の増幅を行うために、単一の結合対メンバーを有するプラ
イマーを使用することによって調製され得る。さらに、結合対メンバーを有する
半導体ナノクリスタルの、他の結合対メンバーを有する標的核酸への結合は、こ
のアレイ上のプローブへの標的核酸のハイブリダイゼーションの前または後のい
ずれかで行われ得る。
【0117】 異なるサンプルの間を区別するために、種々の複数色アプローチを使用して多
重分析が行われ得る。例えば、異なるサンプルについて異なる結合対メンバーを
有するdNTPを使用することによって、異なる反応容器において異なるcDN
Aを合成し得る。次いで、これらのcDNAは、異なる標的核酸に保有される異
なる結合対メンバーに相補的な異なる結合対メンバーを有する半導体を追加する
ことによって、単一反応容器内において(またはアレイへのハイブリダイゼーシ
ョンの後に)異なる半導体ナノクリスタルで標識され得る。あるいは、異なるサ
ンプル由来の標的核酸は、異なる反応容器において、異なる半導体(結合対メン
バーと結合している)と別々に反応され得る。標的核酸が同じ結合対メンバーを
有する場合であっても、標的核酸は、異なる半導体ナノクリスタルを異なる反応
容器に添加することによって、別々に標識され得る。次いで、得られた標識標的
核酸は、この標識核酸をアレイに適用する前に、一緒に混合され得る。
【0118】 核酸のようなリガンドを半導体ナノクリスタルに結合体化するための他の方法
の詳細な説明については、例えば、米国特許第5,990,479号;Bruc
hezら(1998)Science 281:2013−2016.,Cha
nら(1998)Science 281:2016−2018,Bruche
z「Luminescent Semiconductor Nanocrys
tals:Intermittent Behavior and use a
s Fluorescent Biological Probes」(199
8)Doctoral dissertation,University o
f California,Berkeley,およびMikulec「Sem
iconductor Nanocrystal Colloids:Mang
anese Doped Cadmium Selenide,(Core)S
hell Composites for Biological Label
ing,and Highly Fluorescent Cadmium T
elluride」(1999)Doctoral dissertation
,Massachusetts Institute of Technolo
gyを参照のこと。
【0119】 (3.アレイの合成) 本発明の方法に従って標的核酸をアッセイする場合に代表的に利用されるアレ
イは、核酸プローブが結合されるいくつかの型の固体支持体を代表的に含む。こ
の固体支持体に結合された核酸プローブは、一般に、核酸または無電荷の核酸ア
ナログ(例えば、国際公開番号WO92/20702に開示されるペプチド核酸
;米国特許第5,185,444号、同第5,034,506号、および同第5
,142,047号に記載のモルホリノアナログ)である。
【0120】 核酸アレイは、2つの一般的方法において調製され得る。1つのアプローチは
、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー由来のDNAを、いくつかの
型の固体支持体(例えば、ガラス)に結合することを含む[例えば、Meier
−Ewart,ら,Nature 361:375−376(1993);Ng
uyen,C.ら,Genomics 29:207−216(1995);Z
hao,N.ら,Gene,158:207−213(1995);Takah
ashi,N.ら,Gene 164:219−227(1995);Sche
na,ら,Science 270:467−470(1995);South
ernら,Nature Genetics Supplement 21:5
−9(1999);およびCheung,ら,Nature Genetics
Supplement 21:15−19(1999)を参照のこと]。
【0121】 第2の一般的なアプローチは、核酸プローブの合成を含む。1つの方法は、標
準的な自動化技術に従うプローブの合成、次いで、支持体へのこのプローブの合
成後結合を含む。例えば、Beaucage,Tetrahedron Let
t.,22:1859−1862(1981)およびNeedham−VanD
evanter,ら,Nucleic Acids Res.,12:6159
−6168(1984)を参照のこと。第2のカテゴリーは、いわゆる「空間に
指向性された(spatially directed)」オリゴヌクレオチド
合成アプローチである。このカテゴリーに入る方法としては、さらに以下が挙げ
られるが、これらは例示であり限定ではない:光指向性オリゴヌクレオチド合成
、マイクロリソグラフィー(microlithography)、インクジェ
ットによる適用、特定の配置へのマイクロチャネルの堆積(depositio
n)、および物理的障壁による隔離。
【0122】 核酸プローブを調製するための光指向性組合せ法は、米国特許第5,143,
854号、および同第5,424,186号、および同第5,744,305号
;PCT特許公開番号WO 90/15070および92/10092;Fod
orら,Science 251:767−777(1991);ならびにLi
pshutz,ら,Nature Genetics Supplement
21:20−24(1999)に記載される。これらの方法は、固相化学合成お
よび半導体ベースのリソグラフィーを組合せる。種々の作製ストラテジーは、合
成サイクルの数を減らすために利用される(例えば、Hubbelらの米国特許
第5,571,639号および同第5,593,839号、ならびにFodor
ら,Science 251:767−777(1991)に記載される)。
【0123】 アレイを調製するために使用され得る他の組合せ方法としては、インクジェッ
トプリンタを使用する、支持体上の試薬のスポッティングが挙げられる[例えば
、Peaseら,EP 728,520,およびBlanchard,ら,Bi
osensors and Bioelectronics II:687−6
90(1996)を参照のこと]。アレイはまた、機械的に束縛された流路また
はモノマーを支持体のセルに送達するためのマイクロチャネルを利用することに
よって、コンビナトリアル化学を利用して合成され得る(例えば、Winkle
rら,EP 624,059;WO 93/09668;および米国特許第5,
885,837号を参照のこと)。
【0124】 (4.標的核酸の増幅) いくつかの場合、このサンプルは、標的核酸の濃度を増大するための前増幅反
応を行うのに有用な、低レベルの標的核酸を含む。上記のように、半導体ナノク
リスタルで標識されたプライマーまたはヌクレオチドを使用する増幅はまた、目
的の標的核酸を標識するための容易な方法を提供する。
【0125】 サンプルが増幅される場合、増幅は、代表的に、公知の手順に従うポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)を使用して行われる。一般的には、PCR Techno
logy:Principles and Applications for
DNA Amplification(H.A.Erlich編)Freem
an Press,NY,NY(1992);PCR Protocols:A
Guide to Methods and Applications(I
nnis,ら編)Academic Press,San Diego,CA(
1990);Mattilaら,Nucleic Acids Res.19:
4967(1991);Eckertら,PCR Methods and A
pplications 1:17(1991);PCR(McPherson
ら編),IRL Press,Oxford;ならびに米国特許第4,683,
202号および同第4,683,195号を参照のこと。他の適切な増幅方法と
しては、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、WuおよびWallace,G
enomics 4:560(1989)ならびにLandegrenら,Sc
ience 241:1077(1988)を参照のこと);転写増幅[例えば
、Kwohら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:117
3(1989)を参照のこと);自己維持(self−sustained)配
列複製(例えば、Guatelliら,Proc.Natl.Acad.Sci
.USA,87:1874(1990)を参照のこと);ならびに核酸ベースの
配列増幅(NABSA)(例えば、Sooknanan,R.およびMalek
,L.,Bio Technology 13:563−65(1995)を参
照のこと]が挙げられる。
【0126】 核のサンプル調製に関するさらなる手引きは、Sambrookら,Mole
cular Cloning:A Laboratory Manual,2n
d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,(1989)に記載される。
【0127】 (B.発現アレイ) (1.概要) 本発明の特定の方法は、遺伝子発現レベルの分析を含む。一般的用語において
、発現分析は、1つ以上のサンプル中のmRNAレベル(またはこれに由来する
cDNA)の検出および定量化を含む。いくつかの場合、遺伝子発現レベルにお
ける変化を定量化するために、または異なる条件下での細胞において、1つの遺
伝子の発現における別の遺伝子に対する変化を推定するために、異なる色の標識
が同時に使用される。例えば、1セットの環境条件下での第1の試料から調製し
たcDNAは、第1の色のタグで標識され得、そして異なるセットの環境条件下
での第2の試料または同じ第1の試料由来のcDNAは、第2の色のタグで標識
され得る。両方のサンプルは、このアレイに同時ハイブリダイズし、そして異な
って標識された第1および第2のcDNA分子は、各スポットの結合に競合する
。各配置でのこの2つの色の割合は、この遺伝子についての発現における相対的
変化の定量的測定を与える。
【0128】 発現分析は、種々の生物学的な減少に対する重要な見識を与える。細胞の発達
および分化は、発現分析が特定の有効性を見出す1つの領域である。所定の任意
の細胞において、全てのコードされた遺伝子のうち画分のみが発現される。発現
のレベルおよびタイミングが、細胞の発達、分化、機能および生理学を制御する
。従って、遺伝子発現のモニタリングは、これらのプロセスを分析するために使
用され得る。例として、発現分析は、異なる型の組織の間の発現における差異を
評価するために利用され得る。発現研究はまた、老化および表現型の差異につい
ての遺伝的基礎についての重要な情報を提供し得る。
【0129】 発現分析はまた、種々の疾患の研究において貴重であり得る。例えば、発現分
析は、癌の発達および進行を分析するために使用され得る。なぜなら、これらの
事象は、遺伝子発現のパターンにおける複雑な変化に付随するためである。この
ような研究は、罹患した組織および正常な組織、または感染した組織および正常
な組織における遺伝子発現の比較を含み得る。発現分析はまた、他の臨床用途(
発現についての種々の薬物処置の影響の評価を含む)において使用され得る。例
えば、薬物または薬物候補で処置した正常な組織および正常な組織についての遺
伝子発現における差異が比較され得る。同様な薬物研究が、罹患した組織および
正常な組織を用いて行われ得る。どの遺伝子が種々の疾患において発現するかを
決定することによって、薬物としてかまたは薬物標的としての潜在的有用性を有
する遺伝子またはそのタンパク質産物を同定し得る。他の臨床用途において、発
現分析は、潜在的な毒物または毒素で処置した組織と正常な組織との間の発現レ
ベルを比較することによって、毒物学的評価において使用され得る。当然ながら
、発現分析は、遺伝子発現における変化の影響を評価するために、他の種々の比
較研究において使用され得る。
【0130】 (2.サンプル調製) (a.RNAの単離) サンプルは、核酸が得られ得る本質的に任意の供給源から得られ得る。このサ
ンプル中の細胞は、種々の方法で分裂されて、その中のRNAを放出し得る(例
えば、Watsonら,Recombinant DNA,2nd Editi
on,Scientific American Books,NY 1992
を参照のこと)。例えば、核酸は、機械的分裂(例えば、繰り返される凍結/解
凍サイクル、摩耗および超音波処理)、界面活性剤(例えば、Triton,T
ween,またはドデシル硫酸ナトリウム)での処置のような物理的/化学的分
裂、浸透圧衝撃、熱、または酵素溶解(例えば、リソソーム、プロテイナーゼK
、およびペプシン)によって放出され得る。
【0131】 一旦、核酸が得られると、これらは代表的に、cDNAに逆転写されるが、m
RNAは直接使用され得る。cDNAの形成後、一般に、目的の配列は、当該分
野で公知の種々の増幅技術(例えば、以下に記載されるもの)のいずれかに従っ
て増幅される。標識されたRNAは、RNAポリメラーゼ、または当該分野で公
知の方法を使用して、cDNAテンプレートから調製され得る。
【0132】 (3.方法) 異なるセットの条件下で遺伝子発現がモニターされる差次的な遺伝子発現分析
は、2つの一般的な方法で達成され得る。1つのアプローチ(このアプローチが
伝統的に利用される)は、複数のアレイを使用することである。このアプローチ
において、異なるサンプルの各々について異なるアレイが利用され、各々のサン
プルは異なるセットの条件に対応する。例えば、上記のように、1つのサンプル
は、健康な細胞から得られる核酸を含み得るが、一方、第2のサンプルは、罹患
した細胞由来の核酸を含み得る。このような研究において、1つのアレイは、健
康な細胞における発現を決定するために使用され、そして他方のアレイは、罹患
した細胞における発現を決定するために使用される。このアプローチの問題は、
異なるアレイからなされる各測定が、それに付随するある程度の誤差を含むとい
うことである。異なるアレイ間の比較を行うことによって、各測定における誤差
は累積的となり、これによって合計の誤差が増加する。半導体ナノクリスタルは
、このアプローチにおいて生じる誤差を減少するために使用され得る。例えば、
各サンプル由来の核酸は、ちょうど記載した直接的または間接的方法のいずれか
に従って、このアレイへの核酸のハイブリダイゼーションの前または後のいずれ
かに、1つ以上の半導体ナノクリスタルで標識され得る。さらに、このような誤
差の減少は、別の半導体ナノクリスタルで検出可能に個別に標識されたサンプル
を使用して、または同じアレイを用いて同時測定を行うことによって、達成され
得る。
【0133】 しかし、半導体ナノクリスタルは、異なる波長で発光するように容易に調整さ
れ得るので、上記に記載の標識方法を使用して異なるサンプル由来の標的核酸を
差次的に標識することによって、単一アレイ上の多数の異なるサンプルを同時に
分析し得る。この能力および半導体の使用は、異なる発現条件から得られるハイ
ブリダイゼーションを比較する場合に、ノイズレベルにおける有意な改善を生じ
る。なぜなら、複数のアレイについての測定に関する累積的誤差が、回避される
ためである。
【0134】 mRNA分子の発現をモニタリングするための核酸プローブのアレイを使用す
る方法についての詳細は、PCT/US96/143839およびWO 97/
17317に記載される。これらの方法を用いると、標的ポリヌクレオチドとハ
イブリダイズするように選択されたポリヌクレオチドは、目的のmRNA標的ま
たはその増幅産物に相補的であるように選択される。このような分析を行うため
に当業者をガイドするために十分な、発現分析におけるマイクロアレイの使用に
関するさらなる議論は、例えば、Duggan,ら,Nature Genet
ics Supplement 21:10−14(1999);Bowtel
l,Nature Genetics Supplement 21:25−3
2(1999);BrownおよびBotstein,Nature Gene
tics Supplement 21:33−37(1999);Coleら
,Nature Genetics Supplement 21:38−41
(1999);DebouckおよびGoodfellow,Nature G
enetics Supplement 21:48−50(1999);Ba
ssett,Jr.ら,Nature Genetics Supplemen
t 21:51−55(1999);ならびにChakravarti,Nat
ure Genetics Supplement 21:56−60(199
9)に記載される。
【0135】 (C.遺伝子型決定/SNP分析) (1.概要) 生物体のゲノムの比較的小さな変化(単一のヌクレオチドほどの小さな変化を
含む)が実質的に異なる表現型を生じ得ることが見出された。例えば、これらの
変化および変異は、様々な異なる疾患の原因となり、異なる治療処置の効果に影
響を与え、そして生物の病原体を変化させるか、生物に対する治療薬のこの生物
の耐性を変化させ得る。しばしば、このような効果は、単一のヌクレオチドの変
化の結果である。このような変化は、一般的に、単一ヌクレオチド多型、または
単にSNPと称される。SNPが生じる部位は、多型部位または対立遺伝子部位
と称される。多数のSNPが、様々なヒト疾患に関連している(例えば、公開W
O93/02216(これはこのようなSNPの広範な列挙を示す))を参照の
こと。SNPは、ゲノム全体にわたって規則的に現れるため、これらはまた、有
用なゲノムマーカーとして役立つ。
【0136】 DNA配列の特定のヌクレオチド変化または変異を指向する能力は、多数の医
療的有用性および非医療的有用性を有する。例えば、ヌクレオチド変化を同定し
得る方法は、SNPに関連する多くの一般的な疾患をスクリーニングおよび診断
するための手段を提供する。このような方法はまた、疾患に罹患しやすい個体(
予防的測定から恩恵を受ける患者)を同定する際に有用であり、従って、患者の
カウンセリングおよび教育において有用な情報を得得る。変化および変異を検出
するための方法は微生物の検出においてさらなる有用性を有し、そして特定のサ
ンプル中のDNAと関連のDNAを有する個体との間の相関をなす。この後者の
能力は、父性論争の解決および法医学的分析において有用であり得る。
【0137】 (2.方法論) 一般的考察:本発明は、特定の配列を有する1つ以上の標的核酸を検出するた
めの多数の異なる方法を提供する。一般的に、これらの方法は、異なる配列を有
する複数の核酸プローブを有するアレイを提供する工程を包含する。通常は、異
なる配列のプローブは、このプローブの同一性が空間的にコードされるように、
異なる位置に位置決めされる。半導体ナノクリスタルで標識された標的核酸を含
むサンプルは、このプローブと接触される。相補的プローブと標的核酸との間の
ハイブリダイゼーション複合体は、この半導体ナノクリスタルに関連したシグナ
ルを検出することによって検出される。以下でさらに記載されるように、適切な
プローブを使用することによって、目的の特定の標的核酸の存在または非存在を
検出し得る。
【0138】 対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション:特定の多型形態を有する標的核酸
を検出するための1つの方法は、それぞれが標的核酸の特定の多型と特異的にハ
イブリダイズする対立遺伝子特異的プローブを使用することである。アレイ上の
どのプローブがハイブリダイゼーション複合体を形成するかを検出することによ
って、特定の標的核酸の存在または非存在を決定し得る。異なる個体由来のサン
プルは、異なる半導体ナノクリスタルで異なる個体由来の核酸を差次的に標識す
ることによって、単一のアレイでプローブされ得る。この反応を実施するために
必要な標識プローブは、半導体ナノクリスタルの合成後の結合を可能にする官能
化ヌクレオチドを有するプローブを合成することによって、または標準的な方法
によるプローブの合成において、1つ以上の標識ヌクレオチドを使用することに
よって、上記の方法に従って調製され得る。
【0139】 アレイ支持体に結合したプローブの群は、全て、標的核酸の異なる多型形態の
各々に特異的にハイブリダイズする対立遺伝子プローブを含み得る。ほとんどの
多型は二対立形質(biallelic)であるため、これは、アレイが各々の
多型形態ごとに2つのプローブを含むことを意味する。しかし、この標的核酸が
三対立形質(triallelic)である場合、各々が3つの多型形態の1つ
に対して相補的である3つのプローブが利用され得る。同様に、この標的核酸が
、四対立形質(tetra−allelic)である場合、4つの異なる多型形
態に対して相補的な4つのプローブが、アレイ中に含まれ得る。この標的核酸を
半導体ナノクリスタルで標識することによって、ハイブリダイゼーション複合体
の検出が促進され;異なる色の半導体ナノクリスタルを使用する能力は、多数の
個体由来のサンプルが同時に分析され得ることを意味する。
【0140】 対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションに関するさらなるガイダンスは、例
えば、以下に記載される:Erlichら(1991) Eur.J.Immu
nogenet.18:33−55;Zhangら(1991) Nuclei
c Acids Res.19:3929−3933;Impraimら(19
87) Biochem.Biophys.Res.Commun.142:7
10−716;Saikiら(1986) Nature 324:163−1
66;Wuら(1989) DNA 8:135−142;Theinら(19
88) Br.J.Haematol.70:225−231;およびConn
orら(1983) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:
278−282、ならびにPCT公開95/11995。
【0141】 対立遺伝子特異的ライゲーション:本発明の他の方法は、特定の標的核酸の存
在および非存在を検出するため、ならびに異なる多型形態間を識別するための対
立遺伝子特異的ライゲーション反応を実施するために、半導体標識プローブを利
用する。一般的に、これらの方法は、標的核酸(これは、分析の前に増幅され得
る)を第1のプローブ(これは、多型部位に隣接した配列に対して相補的である
)と、ハイブリダイゼーション条件下で接触させる工程を包含する。この第1の
プローブは、多型部位におけるヌクレオチドに関係なく(すなわち、標的の多型
形態に関係なく)、全ての標的核酸により保有される配列にハイブリダイズする
。この標的核酸はまた、対立遺伝子特異的プローブである第2のプローブ(すな
わち、特定の多型形態の標的核酸にのみハイブリダイズするプローブ)と接触さ
れ得る。この第1および第2のプローブは、対立遺伝子特異的プローブが多型部
位におけるヌクレオチドと相補的である場合、この2つのプローブが互いに直接
隣接するように選択される。特に、一方のプローブの3’末端は、他方のプロー
ブの5’末端にすぐに隣接している。対立遺伝子特異的プローブが多型部位にお
ける核酸に対して相補的である限り、付加したリガーゼは、この2つのプローブ
を結合する。これらのプローブの一方または両方を半導体ナノクリスタルで標識
することによって、ライゲーションされた産物の検出が促進され得る。これらの
タイプの分析を実施するために必要なプローブは、上記の対立遺伝子特異的ハイ
ブリダイゼーションの章に記載されるようにして調製され得る。
【0142】 いくつかの場合では、プローブの1つは、固体支持体に結合される。他の方法
において、ライゲーション反応は、溶液中で行われ、そしてライゲーションされ
た産物は、アレイに結合された捕捉試薬によって捕捉された後に、検出される。
後者の場合では、捕捉試薬は、これらプローブの一方または両方に結合したタグ
を特異的に認識する。異なる標識は、異なるタグによっておよび/または異なる
標的核酸を異なる半導体ナノクリスタルで標識することによって、識別され得る
。これらの分析は、プローブを異なる半導体ナノクリスタルで差次的に標識する
ことによって、多重様式で実施され得る。例えば、特定の対立遺伝子の存在また
は非存在は、このライゲーション反応を実施するために使用される対立遺伝子特
異的プローブを差次的に標識することによって容易に決定され得る。
【0143】 上記の一般的な方法は、一連のリガーゼ連鎖反応を行うことによって、または
同様に、リガーゼ連鎖反応物を、標的核酸の1つ以上のPCR増幅物に結合する
ことによって、改変され得る。このような方法についてのさらなるガイダンスは
、例えば、米国特許第5,830,711号;同第6,027,889号;およ
び同第5,869,252号に記載される。
【0144】 プライマー伸長/ミニ配列決定:本発明の特定の方法は、ミニ配列決定反応お
よびプライマー伸長反応を行って、標的核酸中の多型部位に存在するヌクレオチ
ドを同定する工程を包含する。一般的に、これらの方法において、標的核酸のセ
グメントに対して相補的なプライマーは、この反応が多型部位におけるヌクレオ
チドに対して相補的なヌクレオチドの存在下で行われる場合に伸長される。より
詳細には、本発明のプライマー伸長アッセイまたはミニ配列決定アッセイは、代
表的には、プライマーを相補的標的核酸に、このプライマーの3’末端が多型部
位にすぐに隣接するか、または多型部位の数塩基上流にあるようにハイブリダイ
ズする工程を包含する。この伸長反応は、半導体ナノクリスタルで標識された1
つ以上のヌクレオチドおよびポリメラーゼの存在下で行われる。しばしば、ヌク
レオチドは、一旦、プライマーの3’末端に組み込まれると、ポリメラーゼによ
るさらなる伸長を防止するジデオキシヌクレオチドである。付加した非伸長ヌク
レオチドの1つが、多型部位におけるヌクレオチドに対して相補的である場合、
標識ヌクレオチドは、プライマーの3’末端に組み込まれて、標識された伸長産
物を生成する。この組み込まれたヌクレオチドは、多型部位におけるヌクレオチ
ドに対して相補的であるため、伸長したプライマーは、このヌクレオチドが標的
核酸の多型部位に存在することを示す。この一般的なアプローチを使用する方法
は、例えば、米国特許第5,981,176号;同第5,846,710号;同
第6,004,744号;同第5,888,819号;同第5,856,092
号;同第5,710,028号;および同第6,013,431号;ならびにP
CT公開WO 92/16657に記載される。
【0145】 本発明のアレイ様式において、プライマーは、代表的には、支持体に結合され
る。これらのプライマーは、ランダム配列を有するか、または目的の標的核酸に
対して相補的であるように選択される。標的核酸を含有するサンプルは、この標
的核酸が相補的プライマーにハイブリダイズするような条件下で、プライマーの
アレイと接触される。適切な配列のプライマーは、この標的核酸にハイブリダイ
ズし、その結果、プライマーの3’末端は、この標的の多型部位に隣接する。好
ましくは、このプライマーの3’末端は、この多型部位にすぐに隣接している(
しかし架橋していない)(すなわち、3’末端は、多型部位のすぐ上流のヌクレ
オチドにハイブリダイズする)。すでに存在していない場合、半導体ナノクリス
タルで標識された1つ以上のヌクレオチドが付加される。上記のように、付加さ
れた標識ヌクレオチドが多型部位におけるヌクレオチドに対して相補的なヌクレ
オチドを含む場合、このプライマーは半導体ナノクリスタルを保有するヌクレオ
チドの組込みによって伸長される。4つの異なる半導体ナノクリスタル(これら
の各々は、異なるヌクレオチド(例えば、ddATP、ddTTP、ddCTP
およびddGTP)に結合されている)を使用することによって、全ての可能な
対立遺伝子が、単一のアレイで同時に試験され得る。
【0146】 いくつかの場合では、この方法は、多型部位に隣接して簡単にハイブリダイズ
して、これに架橋しないプライマーを用いて行われ得る。これは、プライマーの
3’末端と多型部位との間に位置する標的核酸上のヌクレオチドのいずれもが、
変異体部位におけるヌクレオチドと同じではない限り、可能である。このような
場合における伸長反応混合物はまた、3’プライマー末端と多型部位との間に位
置するヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチドを含まなければならない。
【0147】 関連の方法において、このプライマーは、2つの一般的な領域:タグを含む5
’末端領域、および目的の標的核酸に対して相補的な3’領域を含む。このアレ
イは、このプライマー由来のタグと特異的に結合し得る1つ以上の捕捉試薬を含
む。代表的には、異なる伸長産物に特異的な異なる捕捉試薬は、この捕捉試薬の
同一性が空間的にコードされるように、アレイ上の異なる位置に配置される。一
般的に、このタグおよび捕捉試薬は、任意のタイプの結合対から選択され得、こ
こで、この対のメンバーは、互いに特異的に結合する。例えば、この捕捉試薬は
、プライマー(すなわち、プライマータグ)の核酸セグメントに対して相補的な
核酸であり得る。この一般的なアプローチを使用する本発明の方法において、上
記の伸長反応は、アレイ上よりむしろ溶液中で実施され得る。
【0148】 上記のように、これらの反応は、半導体ナノクリスタルで標識された1つ以上
のヌクレオチド(代表的には、ddNTP)の存在下で行われる。伸長後、この
伸長反応物中の伸長産物は、アレイと接触される。アレイ上の捕捉試薬は、捕捉
試薬によって特異的に認識されるタグを保有するプライマーを捕捉する。伸長し
たプライマーは、このプライマーに組み込まれた半導体ナノクリスタルによって
検出され得る。標的核酸の多型部位におけるヌクレオチドの同一性は、伸長産物
が結合するアレイ上の位置から決定され得る(例えば、米国特許第5,981,
176号を参照のこと)。
【0149】 SNPを分析するための他の方法において、標的配列のサブ配列に対して相補
的な核酸プローブのアレイは、標的配列の同一性を決定するため、その量を測定
するため、および標的配列と参照配列との間の差異を検出するために、「タイリ
ング」と呼ばれる手順を使用して利用され得る。簡単には、タイリング方法は、
1つの位置以外は同一である複数の核酸が利用される、タイリングされたアレイ
を利用する。例えば、代表的にSNP分析のために使用される4Lのタイリング
アレイにおいて、比較的短い長さ(例えば、15マー)の4つのプローブのセッ
トがあり、この長さはSNP位置において変化するが、他の場合は同一であり、
そしてスクリーニングされている標的核酸のセグメントに対して完全に相補的で
ある。完全に相補的なプローブは、単一のミスマッチを有するプローブより標的
核酸により密に結合する。故に、最も強力なシグナルを生成する標識プローブは
、多型部位におけるヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチドを有するプロー
ブに対応する。標的核酸は、この標的核酸が、アレイの核酸プローブにハイブリ
ダイズする前または後のいずれかに、半導体ナノクリスタルで標識され得る。
【0150】 SNP分析に対するタイリングアプローチは、長い核酸標的を試験し、そして
特徴的なコンセンサス配列に関する多数の多型/変位を検出するために伸長され
得る。このような方法に関するさらなるガイダンスが一般的に利用可能である(
例えば、WO95/11995;米国特許第5,858,659号;Cheeら
、Science 274:610−614(1996);米国特許第5,83
7,832号;およびLipshutzら、BioTechniques 19
:442−447(1995)を参照のこと)。
【0151】 プライマー伸長反応において使用される標識ヌクレオチドは、天然に存在する
ヌクレオチド上に存在する官能基を介して、またはヌクレオチドに導入された異
なる官能基を介して、半導体ナノクリスタルをヌクレオチドに直接結合すること
によって調製され得る。あるいは、異なるヌクレオチドは、異なる結合対メンバ
ー(例えば、ビオチンまたは抗体)を有し;他の相補的結合対メンバーは、半導
体ナノクリスタルに結合される。官能化ヌクレオチドまたは結合対メンバーを有
するヌクレオチドが、伸長反応を行うために使用される場合、この伸長産物は、
伸長が起こる前または後のいずれかに標識され得る。
【0152】 (3.標的核酸の調製) SNP分析で使用される標的核酸は、発現分析について一般的に上で記載され
た方法に従って、抽出および単離され得る。必要ならば、標的核酸は、上記でも
記載される様々な増幅方法に従って増幅され得る。
【0153】 (D.配列決定分析) (1.概要) 従来の配列決定技術は、標識DNAフラグメントの電気泳動サイズ分離を必要
とする複雑で時間のかかる手順を含む(例えば、Alphey,DNA Seq
uencing:From Experimental Methods to
BioInformatics,Springer−Verlag,New
York,1997)。代替のアプローチは、核酸アレイを使用して、標的核酸
のフラグメントを用いるハイブリダイゼーション研究を行う工程を包含する。得
られるハイブリダイゼーションの結果から、標的核酸の配列を再構築し得る。一
般的に、SBHは、所定の配列の短い核酸プローブのセットを使用して、長い標
的核酸鎖の相補的配列についてプローブする。標的にハイブリダイズする所定の
配列は、次いで、標的核酸の配列を構築するために、コンピューターアルゴリズ
ムを使用して整列され得る。
【0154】 (2.方法論) SBHの方法は、以下の実施例により例示され得る。12マー標的DNA配列
、AGCCTAGCTGAAは、オクタヌクレオチドプローブの完全なセットと
混合される。完全な相補性のみを考慮する場合、65,536個のオクタマープ
ローブのうち5個−TCGGATCG、CGGATCGA、GGATCGAC、
GATCGACTおよびATCGACTTが標的にハイブリダイズする。このハ
イブリダイズしているプローブ由来の重複配列の整列は、元の12マー標的の相
補体を再構築する: TCGGATCG CGGATCGA GGATCGAC GATCGACT ATCGACTT TCGGATCGACTT。
【0155】 SBHは、2つの様式で実施され得る。ハイブリダイゼーション法は、標的D
NAを表面に結合することによって行われ得る。次いで、この標的は、オリゴヌ
クレオチドプローブのセットを使用して、一度に問い合わせられる(Strez
oskaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1008
9−10093(1991);およびDrmanacら、Science 26
0:1649−1652(1993)を参照のこと)。このアプローチは、固定
検出およびハイブリダイゼーション検出の十分に確立された方法を用いて実行さ
れ得るが、これは、多数の操作を含む。例えば、オクタヌクレオチドの完全セッ
トを使用して配列をプローブするために、何万ものハイブリダイゼーション反応
を実施しなければならない。第2の様式では、SBHは、アレイフォーマットの
表面にプローブを結合することによって行われ得、ここで、各部位におけるプロ
ーブの同一性は既知である。標的核酸(代表的には、フラグメント化されている
)は、次いで、プローブのアレイに添加される。一回の実験で決定されたハイブ
リダイゼーションパターンは、全ての相補的プローブの同一性を直接示し得る。
【0156】 本発明の方法は、これら2つの様式のいずれかを使用して、半導体ナノクリス
タルで標識された標的核酸を使用する。しかし、最も代表的には、後者のアプロ
ーチが使用される。故に、特定の方法において、配列決定は、当該分野で公知の
様々な技術(例えば、制限酵素の使用、または高い塩濃度の存在下における加熱
)を使用して、標的核酸のフラグメントへのフラグメント化から始まる。得られ
るフラグメントは、半導体ナノクリスタルで標識され、緩衝液で希釈され、次い
で、核酸プローブを有するアレイに適用される。このフラグメントは、代表的に
は、温度およびサンプルの混合を制御する自動装置を使用して、プローブにハイ
ブリダイズされ得る。次いで、アレイは、未結合のフラグメントを除去するため
に、必要に応じて、ストリンジェントな緩衝液でリンスされ、そしてハイブリダ
イゼーション複合体は、このフラグメントを標識するために使用された半導体ナ
ノクリスタルからのシグナルを検出することによって検出される。標的核酸は、
前述の発現分析に章で記載された様々な方法のいずれかを使用して、半導体ナノ
クリスタルで標識され得る。
【0157】 主に、SBHに伴う問題、すなわち、配列決定において誤差を生じるミスマッ
チの問題を解決するために、SBH手順のバリエーションが開発されている。「
位置的SBH」(PSBH)と呼ばれるこのような方法の1つは、3’一本鎖突
出物(overhang)を有する二本鎖プローブを使用して、標的を捕捉し、
次いで、標的をこの二本鎖プローブに酵素的にライゲーションする。このアプロ
ーチは、ミスマッチを減少するように設計される(例えば、Broudeら、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3072−3076(1
994);および米国特許第5,631,134号(Cantor)を参照のこ
と)。PSBH自体は、標的の捕捉の間にミスマッチをさらに減少する方法とし
て、ライゲーション反応の後に、DNAポリメラーゼが付加して、固定されたプ
ローブを伸長するようにさらに改変される(例えば、Kuppuswamyら、
Proc,Natl.Acad.Sci.USA 86:1143−1147(
1991)を参照のこと。このようなアプローチで使用される標的核酸フラグメ
ント、プローブまたはヌクレオチドは、検出を促進するために、半導体ナノクリ
スタルで標識され得る。
【0158】 ハイブリダイゼーションによる配列決定に関するさらなるガイダンスは、例え
ば、以下に示される:Lysovら、Dokl.Akac.Nauk SSSR
303:1508−1511(1988);Bainsら、J.Theor.
Biol.135:303−307(1988);Drmanacら、Geno
mics 4:114−128(1989);Barinaga,Scienc
e 253:1489(1991);Stresoskaら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 88:10089(1992);Bains
BioTechnology 10:757−758(1992);および米国
特許第5,202,231号。
【0159】 (V.アプタマー) アプタマーは、それらの形状により所望の標的分子を認識し、そしてこれに結
合する一本鎖DNAもしくは二本鎖DNA、または一本鎖RNA分子である。例
えば、PCT公開WO92/14843、WO91/19813、およびWO9
2/05285を参照のこと。SELEX手順(米国特許第5,270,163
号(Goldら)、Tuerkら、(1990) Science 249:5
05−510、Szostakら(1990)Nature 346:818−
822およびJoyce(1989) Gene 82:83−87に記載され
る)は、標的特異的であるRNAまたはDNAアプタマーを選択するために使用
され得る。
【0160】 特定の方法において、オリゴヌクレオチドプールが構築され、ここで、nマー
(代表的には、ヌクレオチドのランダム化配列であり、それにより、オリゴヌク
レオチドの「ランドマープール(randomer pool)」を形成する)
は、2つのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーに隣接される。このプー
ル内のオリゴヌクレオチドは、上記の方法に従って、半導体ナノクリスタルで標
識される。アプタマーのスクリーニングで使用されるアレイは、代表的に、スク
リーニングされる標的分子(例えば、タンパク質または低分子)を有する。次い
で、このアレイは、アレイ上の標的分子へのオリゴヌクレオチドの結合を有利に
する条件下で、オリゴヌクレオチドプールと接触される。標的分子に結合するオ
リゴヌクレオチドは、ストリンジェントな洗浄を使用して、非結合オリゴヌクレ
オチドから分離される。アレイ上の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドは、
公知の技術を使用してアレイから解離され、次いで、従来のPCR技術を使用し
て増幅されて、オリゴヌクレオチドのリガンドリッチプールを形成する。結合、
分離、解離および増幅のさらなるラウンドを、所望の結合親和性、特異性または
その両方を有するアプタマーが達成されるまで行う。同定された最終的なアプタ
マー配列は、次いで、化学的にか、またはインビトロ転写によって調製され得る
【0161】 (VI.タンパク質アレイ) (A.概要) タンパク質アレイは、タンパク質と様々な異なるタイプの分子(例えば、核酸
、様々な低分子および他のタンパク質)との間の相互作用を研究するために使用
され得る。タンパク質アレイは、特定の研究の目的に従って設計され得る。例え
ば、アレイは、生体活性タンパク質または単一のタンパク質種の特定の改変体(
例えば、スプライス改変体、ドメイン、または変異体)、異なる種由来のタンパ
ク質オルソログ、タンパク質経路、さらに生物体の全タンパク質相補体の全ての
組み合わせ改変体を含み得る。アレイはまた、例えば、抗体、組換えタンパク質
、精製タンパク質およびレセプターを含み得る。
【0162】 タンパク質アレイは、2つの一般的なタイプに割りあてられ得る。1つのタイ
プは、非生存アレイまたは化学アレイと称される。これらのタンパク質アレイは
、合成タンパク質からなる。このタイプのアレイは、比較的小さなタンパク質と
他のタンパク質(例えば、特定の核酸または金属イオン)との特定の相互作用を
研究するために有用である。第2のタイプは、生物学的アレイまたは生存タンパ
ク質アレイである。これらのアレイは、タンパク質を発現する生存している実体
を含み、これには、ウイルスまたは細胞が挙げられるが、これらに限定されない
。アレイは、タンパク質、細胞画分またはインタクトな細胞のプールを含み得る
。このタイプのアレイは、より複雑な生物学的活性を研究するために使用され得
、これには、多成分複合体または多段階酵素経路もしくはシグナル伝達経路に関
与する活性が挙げられるが、これらに限定されない。タイプにかかわらず、タン
パク質は、代表的に、アレイ上の位置的に異なる位置に配置され、その結果、異
なるタンパク質が空間的にコードされる。
【0163】 半導体ナノクリスタルの特定の特徴によって、これらのタイプはタンパク質ア
レイにおいて有用になり得る。例えば、調節性(tunability)は、多
色同時検出、従って複数のサンプルの検出を可能にする。特定の従来のELIS
A法と同様に、酵素開発の必要性もまた存在する。半導体ナノクリスタルは、有
機蛍光団に比べて増大した光安定性を有し、それにより、長時間にわたってシグ
ナルをモニタリングする能力による検出感度を増加している。
【0164】 (B.アレイの調製) 様々な選択肢が、非生存アレイで使用するためのタンパク質を合成するために
利用可能である。1つのアプローチは、様々な固体合成アプローチを使用して、
所望の支持体上にタンパク質を合成することである。例えば、マイクロタイター
ウェル中でペプチドのアレイを合成するための方法が記載されている(例えば、
Geysen,H.M.ら、(1984) Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 81:3998−4002を参照のこと)。他の固体方法は、例
えば、以下で議論される:Merrifield,J.Am.Chem.Soc
.(1963) 85:2149−2154;Atherton,Solid
Phase Peptide Synthesis,IRL Press,Ox
ford(1989);Erickson,B.W.およびMerrifiel
d,R.B.(1976)、The Proteins,(Neurath,H
.およびHill,R.L.編) Academic Press,New Y
ork,第2巻、255−527;およびMeienhofer,J.(197
3) Hormonal Proteins and Peptides,(L
i,C.H.編)、Academic Press,New York,第2巻
、45−267。
【0165】 「スポット合成」と時折称される技術は、固体方法と類似の化学を使用して開
発された。この特定のアプローチは、セルロースフィルター上に存在する大量の
ヒドロキシル基を利用して、Fmoc−β−アラニン基を誘導体化する。ペプチ
ドアレイは、次いで、脱タンパク質の後のセルロース結合アラニンにより合成さ
れ得る(例えば、Gausepohl,H.ら、Pept.Res.5:315
−320(1992);およびKramer,A.およびSchneider−
Mergener,J.,Methods in Molecular Bio
logy 87:25−39(1998)を参照のこと)。固体化学を使用して
ポリマーロッド上にタンパク質を合成するために、他の方法が使用され得る(例
えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81
:3998−4002(1984)を参照のこと)。
【0166】 多数の組み換えタンパク質の平行した調製および精製を可能にする方法がまた
、アレイ用のタンパク質を生成するために利用され得る。このような方法は、例
えば、Martzen,M.R.ら、Science 286:1153〜11
55(1999)によって考察されている。
【0167】 タンパク質は、種々の写真平板(フォトリソグラフィー)方法を用いて、固体
支持体上に直接合成され得る。これらの技術は、1単位面積あたりに合成された
タンパク質の数が大きく増大されることを可能にする。このような方法の例は、
例えば、米国特許第5,143,854号;同第5,489,678号;および
同第5,744,305号;PCT公開WO90/15070およびWO92/
10092;およびFodor、S.P.ら、Science 152:767
〜773(1991)において考察されている。
【0168】 アレイ上でタンパク質を合成する代わりに、事前形成したタンパク質を支持体
上に直接配置してアレイを形成することができる。従って、例えば、組み換えタ
ンパク質、精製タンパク質などは、支持体上にブロットされ得る。
【0169】 活性でない(non−living)タンパク質アレイにおける使用のために
合成したタンパク質は、Lアミノ酸で構成されたタンパク質に限定される必要は
ない。他の構築(building)ブロック(例えば、Dアミノ酸および修飾
アミノ酸)がまた使用され得る。
【0170】 活性なアレイ(living array)はまた、異なる方法を利用して調
製され得る。上記で示すように、アレイはタンパク質のプール、細胞抽出物、ま
たはインタクト細胞から形成され得る。このプール、抽出物、またはインタクト
な細胞は、タンパク質を含むために一連のへこみを有する、あるタイプの支持体
(例えば、マイクロタイタープレート)に配置される。ゲノムワイドタンパク質
アレイを生成するための方法が、また記載されている。これらのある方法は、形
質転換事象を含有する。ここでは生物体(例えば、酵母)由来のオープンリーデ
ィングフレーム(ORF)の1つが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(
GST)をコードするプラスミド中に挿入される。このプラスミドは、引き続き
、生物体を形質転換するために用いられる。この生物体が次に異なるGST−O
RF融合タンパク質を発現する。得られた形質転換細胞培養物またはコロニーは
、アレイのエレメントとして用いられ得る(すなわち、異なるコロニーまたはコ
ロニーの群が、アレイの異なる位置に置かれる;例えば、Martzen、M.
R.ら(1999)Science 286:1153−1155を参照のこと
)。
【0171】 (C.一般的アッセイ) (1.背景) タンパク質アッセイは、種々の異なる型の活性についてアッセイもしくはスク
リーニングするために、または他の型の分析を実施するために用いられ得る。例
えば、タンパク質アレイは、以下を行うために用いられ得る:(1)目的のタン
パク質と相互作用する種々の分子(例えば、アゴニスト、またはアンタゴニスト
)をスクリーニングするため。スクリーニングされるべき分子としては、他のタ
ンパク質、核酸、薬物、高分子、または低分子が挙げられ得るがこれらに限定さ
れない(例えば、Kramer,Aら、(1993)Pept.Res.6:3
14−319);(2)抗体エピトープをマッピングするため(例えば、Kra
mer,Aら(1994)Methods 6:388〜395;Reinek
e,Uら、Mol.Diversity 1:141−148;Schneid
er−Mergener,J.ら(1996)「Peptide Librar
ies Bound to Continuous Cellulose me
mbrane:Tools to Study Molecular Reco
gnition」in Combinatorial Libraries(C
ortese,R編)W.de Gruyter,Berlin 第53〜68
頁;およびKramer,Aら(1995)Mol.Immunol.32:4
59〜465);および(3)目的のタンパク質の細胞内配置を決定するため。
これらの適用の各々は、以下にさらに詳細に記載されている。
【0172】 (2.イムノアッセイ(免疫学的検定)) 半導体ナノクリスタル(nanocrystal)の主な有用性の1つは、種
々のタイプの免疫学的アッセイにおいて抗原または抗体のいずれかを標識するの
にこれらを利用することである。一般的に上で注記されるように、半導体ナノク
リスタルの使用は、多色検出を可能にし、これにより多数のアッセイが同時に実
施されることが可能になる。標準的ELISA法と異なり、検出可能なシグナル
を生成するための酵素を待つ必要はない。さらに、半導体ナノクリスタルの光安
定性は、有機性の発蛍光団に対して検出感度が増大しており、この理由は、光脱
色(退色)に対する抵抗性が、より長いシグナル獲得を可能にするからである。
【0173】 イムノアッセイは、種々の異なる形式で実施され得る。ある方法では、スクリ
ーニングされるべきリガンド(ポテンシャル抗原)は、アレイに付着され、次い
で半導体ナノクリスタルで標識される抗体と接触される。あるいは、抗体は、支
持体上に配置され得、次いで半導体ナノクリスタルで標識されたリガンドを含有
するサンプルと接触される。第3の様式では、スクリーニングされるリガンドは
、抗体であり、そしてこれは支持体に付着され、次いで目的の既知の抗原を用い
てスクリーニングされる。特定のアプローチにかかわらず、アレイ上で結合複合
体を形成しないリガンドまたは抗体は、代表的にアレイから洗浄される。アレイ
上の複合体は次いで、複合体中の半導体ナノクリスタルからのシグナルを検出す
ることによって検出される。
【0174】 このアッセイはまた、「サンドイッチ」型の様式で実施され得る。この様式で
は、アレイ上に配置された抗体は、リガンドを含有するサンプルと接触させられ
る。サンプル中のリガンドは、標識されていても、標識されていなくてもよい。
抗体に特異的に結合するリガンドは、二元(binary)抗体−リガンド複合
体を形成する。従って、アレイ上の抗体は、抗体が特異的に結合するリガンドを
捕獲するように働く;従って、このような抗体は、時に、「捕獲抗体」と呼ばれ
る。捕獲抗体とリガンドとの間で形成された二成分複合体は、このリガンドが標
識されていれば、必要に応じて検出できる。このアレイはまた、半導体ナノクリ
スタルで標識されている二次抗体と接触させられる。二次抗体が二成分複合体と
特異的に結合する場合、三元(tertiary)複合体が形成される。三成分
複合体は、この三成分複合体中の半導体ナノクリスタルによって媒介される放射
を検出することによって検出できる。
【0175】 さらなる例として、特定のイムノアッセイでは、マイクロタイタープレートの
ウェルが、選択された抗原でコートされる。この抗原に対する抗体を含有するか
、またはそのような抗体を含有することが疑われる生物学的サンプルを、次にこ
のコートされたウェルに加える。固定された抗原に対して抗体を結合させるのに
十分なインキュベーション期間の後、プレートを洗浄して未結合の抗体、および
他のサンプル成分を除去し、そして半導体ナノクリスタルで標識された検出部分
を加える。この検出部分は、任意の捕獲されたサンプル抗体と反応させられ、上
記のように、このプレートは洗浄され、そして二次的に結合する分子の存在が検
出される。
【0176】 従って、特定の1つの実施形態において、固体支持体に結合した抗原に結合し
た抗体の存在は、抗原/抗体複合体に特異的に結合する半導体ナノクリスタルで
標識された抗体を含む検出部分を用いて、容易に検出され得る。
【0177】 さらに他の方法において、免疫親和性マトリックスが提供され得る。ここで、
特定の抗原を含有することが疑われる生物学的サンプル由来の抗体のポリクロー
ナル集団は、基板に固定される。これに関して、サンプルの最初の親和性精製は
、固定抗原を用いて実行され得る。従って、得られたサンプル調製物は、特定の
抗体しか含まず、親和性(アフィニティー)支持体における潜在的な非特異的結
合特性を回避する。高収率でかつ抗原結合活性の良好な保持で、免疫グロブリン
(インタクトまたは特定のフラグメントのいずれか)を固定する多数の方法が当
該分野で公知である。いずれの特定の方法でも限定されないが、固定されたプロ
テインAまたはプロテインGは、免疫グロブリンを固定するために用いられ得る
【0178】 従って、一旦免疫グロブリン分子が固定されて免疫親和性マトリックスが提供
されれば、半導体ナノクリスタル標識タンパク質(すなわち、ポテンシャル抗原
)は、安定な結合条件下で、結合した抗体と接触される。任意の非特異的結合抗
原が免疫親和性支持体から洗浄された後、結合した抗原の存在は、半導体ナノク
リスタルによって媒介されるシグナルをアッセイすることによって決定され得る
【0179】 さらに、抗原それ自体ではなく、特定の抗原に対して惹起された抗体が、所定
のサンプルにおいて目的のタンパク質の存在を検出するため、上記のアッセイに
おいて用いられ得る。これらのアッセイは、本質的に上記のように実施され、そ
して当業者に周知である。
【0180】 アレイを調製するために用いられるリガンドまたは抗体は、種々の異なる支持
体上に配置され得る。本発明の方法における使用に適切な支持体としては、以下
が挙げられるがこれらに限定されない:ニトロセルロース(例えば、メンブレン
またはマイクロタイターウェルの形態);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまた
はマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたは
マイクロタイタープレート);ポリフッ化ビニリデン;ジアゾ化紙;ナイロンメ
ンブレン;活性化ビーズ;および磁気反応性ビーズ。
【0181】 時に、支持体に対する固定は、リガンドまたは抗体を、より良好な固相結合特
性でタンパク質にまず結合することによって増強され得る。適切な結合タンパク
質としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ウシ血清アルブミン(
BSA)を含む血清アルブミンのような高分子、キーホールリンペットヘモシア
ニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、および当業者
に周知の他のタンパク質。分子を支持体に結合させるのに使用され得る他の試薬
としては、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸お
よびアミノ酸コポリマーが挙げられる。分子および結合方法に関するさらなる詳
細は、例えば、Brinkley,M.A.(1992)Bioconjuga
te Chem.3:2〜13;Hashidaら(1984)J.Appl.
Biochem.6.56−63;ならびにAnjaneyuluおよびSta
ros(1987)International J.of peptide
and Protein Res.30:117〜124によって提供される。
【0182】 (3.イムノアッセイのための抗体生成) 本発明の方法において用いられる抗体は、確立された技術であって、例えば、
米国特許出願第4,011,308号;同第4,722,890号;同第4,0
16,043号;同第3,876,504号;同第3,770,380号;およ
び4,372,745号に記載の技術を用いて生成される。例えば、ポリクロー
ナル抗体は、目的の抗原を用いて、適切な動物(例えば、マウス、ラット、ウサ
ギ、ヒツジ、またはヤギ)を免疫することによって生成される。免疫原性を強化
するため、この抗原は、免疫の前にキャリアに連結され得る。このようなキャリ
アは、当業者に周知である。
【0183】 免疫は、一般に抗原を、生理食塩水中で、好ましくはフロイント完全アジュバ
ントのようなアジュバント中で、混合または乳化すること、およびこの混合物ま
たはエマルジョンを非経口的に(一般には皮下に、または筋肉内に)注射するこ
とによって実施される。動物は、一般に、2〜6週間後に、抗原を含有する生理
食塩水(好ましくはフロイントの非完全アジュバントを用いて)の1回以上の注
射でブースト(追加免疫)される。抗体はまた、当該分野で公知の方法を用いる
インビトロ免疫で生成され得る。次いで、免疫された動物からポリクローナル抗
血清を得る。
【0184】 モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein(1975)N
ature 256:495〜497の方法、またはその変法を用いて調製され
得る。代表的には、マウスまたはラットは、上記のように免疫される。しかし、
血清を抽出するために動物を放血するのではなく、脾臓(および必要に応じてい
くつかの大きいリンパ節)を取り出して、単一細胞に分離する。所望の場合、脾
臓細胞は、抗原でコーティングしたプレートまたはウェルに対して細胞懸濁液を
適用することによって、(非特異的接着細胞の除去後に)スクリーニングされ得
る。抗原に特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合
し、そして懸濁液の静置によって洗い流されることはない。得られたB細胞また
は全ての分離した脾臓細胞は、次に、ミエローマ(骨髄腫)と融合するように誘
導されて、ハイブリドーマを形成し、選択培地(例えば、ヒポキサンチン、アミ
ノプテリン、チミジン培地、「HAT」)中で培養される。得られたハイブリド
ーマを限界希釈までプレートし、そして免疫した抗原に特異的に結合し(そして
関係のない抗原には結合しない)抗体の産生についてアッセイする。次いで、選
択したモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマをインビトロ(例えば、組織培養
瓶、または中空ファイバーリアクター中で)またはインビボ(例えば、マウスの
腹水)のいずれかで培養する。
【0185】 ヒトモノクローナル抗体を、マウスハイブリドーマではなく、ヒトを用いて得
る。例えば、Coteら(1985)Monoclonal Antibodi
es and Cancer Therapy、Alan R.Liss,p.
77を参照のこと。
【0186】 モノクローナル抗体またはその部分は、Huseら(1989)Scienc
e 246:1275〜1281に一般的に記載の方法に従って、p185に特
異的に結合する抗体をコードするDNA分子について、B細胞cDNAライブラ
リーをまずスクリーニングすることによって同定され得る。次いで、このDNA
分子をクローニングおよび増幅して、所望の特異性の抗体(または結合ドメイン
)をコードする配列を獲得し得る。
【0187】 前述のように、種々の他の型の抗体がまた利用され得る。例えば、抗体は、フ
ァージライブラリー由来の組み換え抗体であり得る。種々の抗体フラグメントが
また利用され得る。このようなフラグメントは、例えば、Fabフラグメント、
scFvフラグメントおよびミニ抗体(小抗体)(mini−antibody
)を含む。
【0188】 一旦形成されれば、抗体は前述の結合体化方法を用いて半導体ナノクリスタル
で標識され得る。
【0189】 (D.例示的アッセイ) (1.ゲノム全体のスクリーニング) 特定の技術が、多数の融合タンパク質を調製するために利用され得る。この融
合タンパク質は、他のタンパク質、核酸、低分子、オリゴサッカライド、薬物、
および他の生物学的分子のような高分子と相互作用する能力について、引き続き
スクリーニングされ得る。上記のように、種々の生物体(例えば、酵母)由来の
異なるORFを含む異なる融合タンパク質を発現する細胞のアレイが構築され得
る(例えば、Martzen、M.R.ら(1999)Science 186
:1153〜1155を参照のこと)。この細胞によって発現されるタンパク質
は、次いで発現されたタンパク質と相互作用し得るタンパク質を同定するために
目的のリガンドでスクリーニングされ得る。このような方法は、既知のタンパク
質に対して未知のリガンドを同定することを可能にし、さらに、既知または未知
のリガンドに結合し得る未知のタンパク質(すなわち、活性がまだORFに割り
当てられていない)を同定することを可能にする。
【0190】 (2.タンパク質の細胞性局在) 当業者はまた、半導体ナノクリスタル標識試薬を用いて細胞を通じた種々のタ
ンパク質の配置を同定するための実験を行い得る。例えば、近年開発されたトラ
ンスポゾン標的スキームが利用され得る。このアプローチでは、組み換え部位に
隣接するトランスポゾンを含むトランスポゾン構築物が調製される。この構築物
はまた、組み換え部位の1つに隣接するエピトープタグセグメントを含む。相同
な組み換えの目的によって、トランスポゾン構築物は、形質転換される生物体(
例えば、酵母)のゲノム中に組み込まれ得る。構築物が、コード領域とインフレ
ームで挿入される場合、全長エピトープタグ化タンパク質が生成される。
【0191】 次いでこのような細胞のアレイは、種々のタンパク質の細胞下局在を決定する
ためにアッセイされ得る。構築物のインフレーム挿入は、エピトープを含む融合
タンパク質を生成するので、この融合タンパク質は、エピトープに特異的に結合
する抗体と細胞を接触することによって局在化され得る。この様式では、細胞の
種々の領域(例えば、核、ミトコンドリア、および原形質膜など)に対してタン
パク質を局在化し得る。例えば、Ross−Macdonald,Pら(199
9)Nature 402:413〜418を参照のこと。抗体と局在化タンパ
ク質との間で形成された複合体の検出は、半導体ナノクリスタルで標識される抗
体を用いて増強される。
【0192】 (3.エピトープ決定) 抗体で標識した半導体はまた、目的の抗原の抗原性エピトープを決定するため
に利用され得る。抗原性エピトープは、抗体が結合し得るタンパク質の領域とし
て規定される。免疫原性エピトープは、タンパク質全体が免疫原である場合、抗
体反応を惹起するタンパク質の免疫原性エピトープ部分をいう。特定のこれらの
方法は、抗原性反応を惹起することが公知のタンパク質のアミノ酸配列全体をカ
バーする重複するタンパク質の合成を包含する。これらのタンパク質は、上記の
ような、固相タンパク質合成方法を用いて、アレイ形式で合成され得る。次いで
、この固定されたタンパク質は、確立されたELISA技術および種々の異なる
抗血清を用いて抗原性に関して試験される(ここで抗体は、半導体ナノクリスタ
ルで標識される)。一旦、天然の抗原に対して生成された抗体と安定な複合体を
形成するペプチドが同定されれば、タンパク質の置換セットが生成される。置換
セットは、単一のアミノ酸置換が導入される以外は、同定されたタンパク質に相
当する全てのタンパク質を含む。各置換セットはまた、アレイとして合成され得
る.次いでこの置換セットは、抗原性が保持されているか否かを決定するために
半導体ナノクリスタルで標識された抗体を用いて再スクリーニングされる。全体
的結果から、抗原性において重要な役割を果たすアミノ酸の位置および同一性を
決定し得る。たとえば、Geysen,H.M.ら(1984)Proc.na
tl.Acad.Sci.USA 81:3998〜4002を参照のこと。
【0193】 (VII.組織アレイ) (A.背景) 組織標品を顕微鏡検査に供する、組織学的試験は、明確にされるべき多くの疾
患の生物学的機構を明らかにし、そして結果として、種々の疾患の有効な医学的
処置の開発において助けとなる。伝統的な病理的分析において、診断は、細胞形
態学および染色特徴に基づいてなされる。このような分析は、時々、標準的な染
色手順の感度によって、制限され得る。
【0194】 分子医薬の分野での開発は、疾患の細胞性の機構を検討するため、および最も
適切な処置経過を決定するための新しい方法を生成した。例えば、しばしば、特
定の疾患は、特定のタンパク質の発現レベルの変化(すなわち、減少または上昇
)と関連している。特定の例として、特定のホルモン依存性乳房腫瘍細胞では、
エストロゲンレセプターの発現が増大していることが見出された。他の疾患は、
細胞表面抗原の産生または他の細胞タンパク質の生成と相関していた。種々の検
出技術が、このようなマーカーを同定および検出するために開発されてきた。こ
の技術としては、例えば、モノクローナル抗体での免疫表現型決定(immun
ophenotyping)、およびこのようなマーカーをコードする核酸配列
に特異的なプローブを用いる、インサイチュハイブリダイゼーションが挙げられ
る。サンプルを分析し得る処理能力を改善するため、組織アレイを利用して、多
数の組織サンプルの迅速なスクリーニングを可能にし得る。
【0195】 半導体ナノクリスタルは、検出、感度を増強するため、そしてある場合には、
定量的情報を提供するため、前述の方法の全てにおいて使用され得る。半導体ナ
ノクリスタルは、特定の細胞成分を染色するために、多数の異なる種に結合体化
され得る。例えば、上記のように、半導体ナノクリスタルは、核酸および抗体に
結合体化され得、次いで、組織標品内の特定のタンパク質または核酸の存在また
は非存在についてプローブするために用いられ得る。
【0196】 (B.組織アレイ調製) 組織アレイは、多数の異なる方法で調製され得る。臨床家は、標準的な解剖学
的手順を用いて種々の供給源から組織サンプルを入手し得、そして同じタイプの
支持体(例えば、ガラススライドまたはマイクロタイターウェル)上の異なる位
置に、この組織サンプルを個々に配置し得る。このプロセスは、組織サンプルを
得るために設計されたデバイスを用いて特定の観点で自動化され得、次いでこの
サンプルをアレイ内に配置する。この様式でアレイを調製するための適切なデバ
イスの例は、PCT公開WO 00/24940、99/44062、および9
9/44063に考察されている。概してこれらのデバイスは、組織サンプルに
穴を開けるためのパンチ装置を利用し、次いでサンプルを取り出してアレイ支持
体中のくぼみに入れる。
【0197】 このアレイは、種々の異なる様式で調製され得る。例えば、このアレイは、単
一の個体由来の組織サンプルを含み得る。半導体ナノクリスタルを保有する異な
る標識生体分子が、異なる細胞種の存在を検出するために各位置に添加され得る
。他のアレイは、多数の異なる個体由来の組織サンプルを含み得る。例えば、こ
のアレイは、特定の疾患マーカーについてスクリーニングするため、異なる個人
由来の同じタイプの組織から得た組織サンプルを含み得る。このようなアレイの
特定の例は、乳癌を有することが疑われる婦人からとった乳房組織サンプルのア
レイである。組織アレイのセット(各セットのアレイが同じ組織サンプルを含む
)がまた、調製され得る。各アレイは、異なるマーカーを検出するために異なる
タイプの分析に供され得る。この様式で、多数の異なるマーカーについての結果
が、異なる個体の集団について容易に集計され得る。しかし、以下にさらに考察
するように、半導体ナノクリスタルの多色能力によって、多数の異なるタイプの
取調べ(interrogation)を、単一の組織サンプルで実施すること
が可能になる。従って、半導体ナノクリスタルの多重化能の利用は、アレイ様式
と結合し、ここで各アレイにおいて同じ組織サンプルを有するアレイのセットは
、多数の異なるマーカーの非常にハイスループット(高処理能力)の分析を可能
にする。
【0198】 種々のタイプの組織サンプルが利用され得る。適切な組織サンプルとしては、
公知の外科的手順を用いて切り出された組織切片、1つ以上の全細胞、細胞懸濁
液、細胞学的調製物(例えば、細胞懸濁液から得たスメアー)、および細胞抽出
物またはホモジネートが挙げられるがこれらに限定されない。細胞懸濁液は、例
えば、懸濁液をペレット化することによって、次いで、これを支持体に結合する
ことによって、利用され得る。このサンプルはまた、特定の組織(例えば、皮膚
、乳房、前立腺、精巣および卵巣)から、または種々の体液(例えば、血液、血
漿、細胞を含む尿、精液、膣液、気管支洗浄液、および腹水)から入手され得る
。細胞懸濁液または抽出物の場合、細胞は、生物体から直接入手されるか、また
は細胞培養物から得られ得る。
【0199】 (C.アッセイ) 組織アレイを用いて、DNA、RNAおよびタンパク質のレベルで数百または
数千の組織サンプルを迅速に特徴づけ(プロファイリング)し得る。しかし、こ
のアッセイは、これらの3つの主なクラスの生体分子を検出することには限定さ
れない。オリゴサッカライド、糖タンパク質、特定の脂肪酸および他の標的の存
在および濃度は、全て、目的の標的に特異的に結合する適切な分子を用いて検出
され得る。半導体ナノクリスタルは、種々の異なる波長に調整され得るので、単
一の組織サンプル内の複数の異なるDNA、RNA、タンパク質、および/また
は他の生体分子をプローブするために、半導体ナノクリスタル標識核酸、タンパ
ク質(例えば、抗体)および他の生体分子を使用することが可能である。このよ
うな検討から得られた結果は、データベース中で編集され得る。
【0200】 半導体ナノクリスタル結合体(生体分子または複数の半導体ナノクリスタルに
結合した単一の半導体ナノクリスタルのいずれか)の使用により、現在利用可能
な染色を用いて、問題であり得る、標的分子、因子の特異的で、鋭敏な、光安定
性の検出が可能になる。さらに、半導体ナノクリスタル(すなわち、単一の励起
供給源)の固有の特性である、励起波長の狭い、ガウススペクトルおよび波長選
択性は、より多くの色が従来の蛍光色素よりも分離されることを意味する。
【0201】 種々の形式が、組織アレイを利用する分析を実施するために用いられ得る。上
記で示すように、半導体標識核酸(その配列が、問いただされる標的核酸に相補
的である)または標識タンパク質(標的核酸に特異的に結合する)のいずれかを
用いてサンプルを問いただして、標的核酸のレベルを検出し得る。タンパク質の
レベルがモニターされるべきである場合、代表的には、標的タンパク質に特異的
に結合し、そして半導体ナノクリスタルを保有する抗体が、標的タンパク質の存
在を検出するために用いられる。しかし、標的タンパク質が、DNA結合タンパ
ク質である場合、このタンパク質に結合する核酸は、半導体ナノクリスタルで標
識され得、そして標的タンパク質をプローブするために用いられ得る。
【0202】 標識した抗体を利用する場合、分析は、2工程反応で実行され得る。ここでは
、一次抗体が組織サンプルと最初に接触し、続いて半導体ナノクリスタル結合体
化抗体が添加される。あるいは、抗体(または他の生体分子)半導体ナノクリス
タル結合体は、このサンプル内で目的のタンパク質を直接標識するために用いら
れ得る。特定の実施例において、5つ(またはそれ以上(これはスペクトル使用
の増大またはスペクトル分離の減少を伴う))の異なる集団の半導体ナノクリス
タルが、例えば、490〜650nmから、40nm間隔で間隔の空いた発光ス
ペクトルで合成され得る。半導体ナノクリスタルの各々のスペクトル上異なる集
団は、目的の生体分子(分析されるべきサンプル中に存在してもしなくてもよい
)を特異的に認識する異なる分子に結合体化される。標準的なプロトコールの後
、このサンプルを半導体ナノクリスタルで標識し、そして標的分子の配置および
量について分析する。この分析は、従来の蛍光顕微鏡法でも、またはスペクトル
走査デバイスを使用しても実行できる。
【0203】 スペクトル上で異なる、多くの半導体ナノクリスタルが、生成され得るので、
異なる生体分子(例えば、複数の抗体、および/または複数の核酸分子プローブ
)を標識することが可能である。この生体分子は次に細胞成分の位置および量を
測定するために用いられ得る。異なる化合物が、細胞中で共存しない場合、分析
されるべき標的の機知の空間的分離を利用して、より多くの半導体ナノクリスタ
ルの色が用いられ得る。例えば、核局在化標的と膜局在化標的との間に重複は生
じない。従って、半導体ナノクリスタルの器官(オルガネラ)特異的な群を用い
て、識別可能な標的の数を劇的に増加し得る。
【0204】 より詳細には、半導体ナノクリスタルの多色能力は、例えば、tRNA、mR
NA、DNA、タンパク質または組織アレイにおいて染色され得る任意の他の細
胞成分のレベルを測定するための多色インサイチュハイブリダイゼーションを実
施するために、使用され得る。単一の色検出を用いる複数アレイを用いるのでは
なく、1つのアレイで複数の色を用いることによって、より高い精度が達成され
る。なぜなら、組織切片は、均一ではなく、従ってアレイ間でわずかに異なり得
るからである。この不一致はアッセイの結果に容易に影響し得る。半導体ナノク
リスタルを用いた多色検出の利用は、この問題を低下させる。さらに、以下にさ
らに詳細に記載されるように、単一の半導体ナノクリスタルを含む半導体ナノク
リスタル結合体を利用することにより、当業者は、研究中の標的生体分子の定量
的測定をなし得る。多重化によってまた、同じセットの標品における多くの分子
マーカーの迅速な分析が、より高い精度で可能になる。
【0205】 組織アレイのアッセイにおける半導体ナノクリスタル標識生体分子の使用は、
種々の適用において利用され得る。適用の1つは、種々のタイプの関連の研究に
おいて組織アレイを使用することである。例えば、特定の疾患を有することが公
知の個体からサンプルを得ることによって、種々の半導体ナノクリスタル結合体
での分析は、疾患または病気と関連する、可能性のあるマーカーを同定するため
に用いられ得る。概して、このような方法は、疾患個体由来の組織において、選
択されたDNA、RNAのレベルおよび/またはタンパク質のレベルを決定する
ための半導体ナノクリスタル結合体の使用を包含する。種々の遺伝子または遺伝
子産物の上昇レベルまたは減少レベルの検出を用いて、このような遺伝子または
タンパク質と、研究中の特定の疾患との間の初期の関係を作成し得る。
【0206】 関連の様式では、半導体ナノクリスタル結合体を利用する組織アレイアッセイ
は、特定のマーカーと患者の予後との間の関係を確立するために用いられ得る。
種々のDNA、RNAのレベル、および/またはタンパク質のレベルは、患者が
異なる処置を受けている場合に、疾患を有することが既知の患者から得られた組
織サンプルにおいて経時的にモニターされ得る。患者の病歴および種々のレベル
のマーカーを経時的にモニターすることによって、当業者は、特定のマーカーと
疾患の結果との間の関係を確立し得る。同様に、マーカーのレベルと、異なる治
療処置の効力との間の関係が、確立され得る。この場合、異なるマーカーのレベ
ルは、異なる処置を受けている個体について追跡される。半導体ナノクリスタル
の光安定性によって、組織アレイは反復して読み取られ、そして後日に比較する
目的で記録されることが可能になる。
【0207】 一旦、疾患と1以上の標的との間の相関が構築されると、このような標的を特
異的に認識する半導体ナノクリスタル結合体を使用して、疾患を有するか、また
は疾患を獲得することに対して感受性である、個体をスクリーニングおよび同定
し得る。同様の様式で、一旦、標識プロフィールと処置との間の関係が、有効に
構築された場合、半導体ナノクリスタル結合体を利用するアッセイを利用して、
個体に関する標識プロフィールを決定し、従って、最も適切な処置選択を同定し
得る。
【0208】 組織アレイ分析はまた、他の分析と組み合わせて使用され得る。例えば、まさ
に記載される開始相関研究は、上記の異なる遺伝子発現方法を使用して実施され
得る。従って、核酸アレイを使用して、疾患を患った個体において発現が変えら
れる核酸を同定し得る。あるいは、次いで、確証研究を、組織アレイを使用して
実施し得る。この核酸が疾患のためのbona fide標識であることが示さ
れた場合、標識に特異的に結合する半導体ナノクリスタル結合体を使用して、疾
患の存在、または疾患に対する感受性について個体をスクリーニングし得る。
【0209】 (VIII.第二の問題) 半導体ナノクリスタルを利用して、第二の問題の種々の使用のために、種々の
標的生体分子を標識し得る。このような調査は、一旦、2個以上の生体分子間の
結合分子が、既に形成された場合に、さらなる分析を実施することに一般に関係
する。このような調査においてアレイは、第二の問題の調製において、標的分子
を捕捉する生体分子を代表的に有する。この研究の型の適切な標的としては、核
酸(例えば、DNA、RNA)、タンパク質、または抗体が挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0210】 第2の問題の具体的な例は、タンパク質の複数のエピトープに関して、プロー
ブに対する抗体のアレイの使用である。この場合において、アレイ上の各スポッ
トは、異なる抗体を含む。複合体タンパク質標的は、単色の半導体ナノクリスタ
ルで標識され、そして異なる抗体を有するアレイに結合し得る。図1Aの場合に
おいて、この3つの影付き領域は、このアレイの正のシグナルに対応する。一旦
、この標的分子がアレイに結合されると、第二抗体(第二の色を有する半導体ナ
ノクリスタルで標識された抗体)は、このアレイと接触され、そして結合タンパ
ク質の第二のエピトープに結合する機会が与えられる(図1B)。図1Aに示さ
れる特定の実施形態において、異なる色が、スクリーニングの第一ラウンドで同
定された3つの活性抗体の各々を標識するために使用される。
【0211】 この手順を使用して、例えば、相補的な抗体対を見出し得る。第一の工程にお
いて、標的分子に効果的に結合する、いくつかの抗体が、同定される。これらの
抗体の各々は、標的分子の異なるエピトープに結合し得るので、第二の工程は、
第一の工程で同定した同一の抗体とこのアレイとを接触させることによって、結
合したタンパク質を検索し得る。両方の半導体ナノクリスタルからシグナルを発
生するアレイ上のこれらの位置は、標的分子の異なるエピトープを認識する2個
の抗体が存在する位置である。
【0212】 この捕捉および第二の検索の技術をまた使用して、複数のSNPの同時遺伝形
質を実施し得る。2個のSNPが分析下で標的核酸から離れて配置される場合、
両方の多型部位は、アレイ上の核酸プローブを使用することによって同時に検索
され得、このプローブは、半導体ナノクリスタルで標識された標的核酸を捕捉す
るために、第一のSNPに対して相補的である。一旦、標識した標的核酸が捕捉
されると、この核酸は、第二のSNPの種々の多型形態に対して相補的である標
識したプローブの第二のセットを用いてプローブされる。異なる多型形態に対す
るプローブは、異なる色で各々標識され得る。このアレイをプローブの第二のセ
ットと接触させることによって、各SNPは、色および位置によって同定され得
、そしてハプロタイプが決定され得る。
【0213】 (XI.ダイナミックレンジの拡張および単一コピー計数) (A.一般論) 上記のように、励起アレイ方法に関連する2つの鍵となる欠点は、低濃度での
感度の制限およびダイナミックレンジ(いわゆる、広範の濃度にわたって標的濃
度を正確にかつ同時に測定するための能力)の制限に関する。現在、アレイ分析
を実施するために蛍光標識を用いて、しばしば、低濃度での感度を検出するため
に、高濃度での線形を犠牲にすることに焦点が当てられている。
【0214】 半導体ナノクリスタルの使用により、感度およびダイナミックレンジの両方で
の顕著な改良を提供し得る。半導体ナノクリスタルからの蛍光は、非常に明るく
かつ安定であり、そして単一の半導体ナノクリスタルのルーチン検出を可能にす
る(例えば、Empedoclesら(1999a),「Three−dime
ntional orientation measurements of
symmetric single chromophores using
polarization microscopy」,Nature 399:
126−130;Empedoclesら(1999b),「Spectros
copy of Single CdSe Nanocrystallites
」,Acc.Chem.Res.32:389−396;Empedocles
ら(1997),「Quantum−confined Stark effe
ct in single CdSe nanocrystallite qu
antum dots」,Science 278:2114−2117;Em
pedoclesら(1996),「Photoluminescence s
pectroscopy of Single CdSe nanocryst
allite quantum dots」,Phys.Rev.Lett.7
7:3873−3876を参照のこと)。この半導体ナノクリスタル手段の検出
の特徴は、単一コピー計数レジメンに拡張され得る。半導体ナノクリスタルによ
って影響される感度の増加は、微少量の標的分子の検出を可能にする。これは、
標的が、(遺伝子発現のかすかな変化(例えば、疾患または環境の変化により生
じる変化)の検出のような)非常に低い濃度でのみ存在する、種々のアッセイで
のみ重要である。
【0215】 現在のフルオロファー(fluorophore)を使用して検出され得る標
的分子濃度を削除する場合でさえ、有機色素を使用して、アレイ結果の定量分析
に関連するさらなる問題が存在する。Cy5のような色素の非一貫性実施により
、信頼性がないアレイ結果が生じた。半導体ナノクリスタルは、Cy3およびC
y5のような存在するフルオロファーに対してより安定でかつ信頼性がある置換
基として作用する。さらに、代表的に、半導体ナノクリスタルは、有機色素が消
光する範囲まで自己消光せず、半導体ナノクリスタルが固体半導体ナノクリスタ
ルフィルムにピークにされる場合でさえ、強度のルミネセンスを発生し得るまま
である。これは、ある場合において、半導体ナノクリスタルはまた、濃度検出の
高末端限界を拡張し得、標準的なフルオロファーを使用して達成され得ることを
意味する。従って、半導体ナノクリスタルは、低濃度および高濃度レベルで発生
する検出を可能にし、従って、検出のダイナミックレンジを拡張する。
【0216】 本明細書中に記載される、単一標的計数アッセイおよびその方法は、半導体ナ
ノクリスタル標識を使用して必ずしも実施されなければならないことはない。単
一分子レベルで検出され得る任意の蛍光標識は、本明細書中に記載される測定の
型に利用され得る。従って、適切な標識としては、有機色素分子、金属コロイド
捕捉粒子、および表面増強ラマン分光法(SERS)粒子が挙げられるが、これ
らに限定されない。しかし、上記の半導体ナノクリスタルの多くの独特の特徴は
、単一標的計数アッセイにおいて、このナノクリスタルを標識として特に有用に
する。さらに、本明細書中に記載される特定の方法は、単一標識を検出するため
の能力でなく、単一標識分子を必要とする。従って、本明細書中に記載の方法を
使用して、単一標識分子を検出し得、この分子は、単一の検出可能な標識、また
は複数の検出可能な標識を用いて標識される。
【0217】 (B.単一コピー計数およびダイナミックレンジの拡張に関する基礎) 高い安定性、検出感度および多重化の容易性により、半導体ナノクリスタルを
、超感受性の表面ベースアッセイでの使用のための複数色フルオロファーとして
有用にする。単一の半導体ナノクリスタルを容易に検出するための能力は、バイ
オアッセイにおけるフルオファーとして特に有用であり、ここで、アッセイ表面
に結合される単一標的分子により、同時に分子を計数することを意味する。
【0218】 「単一標的計数」は、サンプル内の標的分子の全てを計数することを意味する
のではなく、アレイ基質の表面に結合される標的分子を計数することを意味する
。この数は、サンプル中の標的分子の総数と必ずしも同一であるわけではないが
、正確な標的レベルが、公知の濃度のサンプルに対する較正を通じて決定され得
る。検出を可能にすることおよび単一結合標的分子を計数することによって、現
在の検出技術を使用し得るアッセイを超えて、この表面ベースアッセイの感度を
拡張し得る。例えば、現在のマイクロアレイ技術は、0.1標識/μm程度の
低さの密度(10μmの直径の共焦点スポット当たり約8個の標識)での標的の
検出を可能にする。単一標的を計数する場合、検出の理論的限界は、1スポット
当たり1個の標識であり、100μmの直径のアレイエレメントに対して3桁の
大きさ程度まで検出感度を拡大する。
【0219】 単結合標的分子の検出により、表面ベースアッセイの感度およびダイナミック
レンジをどのように改良するかを適切に理解するために、アッセイ表面上の濃度
範囲の高末端および低末端で何が正確に測定されるかを理解することが重要であ
る。例示の目的のために、マイクロアレイが考慮されるが、マイクロアレイのた
めに提供される考えは、任意の表面ベースアッセイに適用される。図6Aは、結
合標的の濃度を減少させた状態の、一連のマイクロアレイの図解を示す。この左
側は、高濃度のレジーム(アンサンブルレジーム)に対応し、ここで、全アレイ
スポットは、標的で覆われ、そして平均発光密度は、アレイの表面にわたる標識
の平均密度に依存する。このレジームにおいて、サンプルの濃度は、平均発光密
度(アンサンブル強度)に対して比例する。この右側は、単一コピー計数レジー
ムに対応し、ここで、個々の結合標的分子は、光の回折限界よりも大きな距離に
よって互いから分離され、そして同時に検出され得る。このレジームにおいて、
サンプルの濃度は、アレイの表面上で計数される個々の標的の数に比例する。
【0220】 図6Bは、全密度範囲にわたって、アンサンブル密度および単一コピー計数を
使用して検出される、相対的なシグナル 対 濃度をシミュレートするデータを
示す。アンサンブル測定により、高濃度に依存するが、低濃度で飽和する、線形
濃度が得られる。この飽和は、検出領域において検出された標的からの全シグナ
ルが、全領域にわたって一体化したバックグラウンドから発生するノイズよりも
小さい場合に生じる。しかし、高分解能顕微鏡を備えたアレイに結合した単結合
を検出することは、単一のフルオファーからのシグナルをアレイスポットの極端
に小さな(制限された回折)領域からのバックグラウンドと比較することによっ
て、一体化したバックグラウンドのノイズを劇的に減少させ得る。
【0221】 例として、バックグラウンドのシグナルが、全検出領域と共に直線的に増加す
る場合、標準的な10μmの直径のアンサンブルプローブスポットにわたって生
じるバックグラウンドは、単一フルオロファーの高分解能のイメージから生じる
バックグラウンド(約0.5μmの直径)よりも400倍高い。これは、結果と
して、20の因子のノイズの減少(従って、感度の増加)を生じる。この効果は
、このアンサンブルシグナルが全アレイスポットにわたって一体化される場合に
さらに増強される。100μmの直径のスポットに関して、バックグラウンドシ
グナルは、約200倍高い感度で得られる回折限定スポットによりも4000倍
高い。96ウェルプレートの全ウェルの底部にわたるバックグラウンドは、約1
倍高く、10の増強が得られる。しかし、これらの増強を達成するために
、高度の空間的な分解能を有する単一結合標的分子からの蛍光を検出することが
できる必要がある。
【0222】 アンサンブル強度の測定と対照的に、単一標的計数シグナルは、高濃度で飽和
する。これは、区別され得ない個々の標的分子が互いに隣接するポイントまで濃
度が増加する場合に生じる。このことは、いくつかの固体スポットが、1以上の
結合標的を正確に含み、従って、標的分子の総数よりも少ない数で得られる。こ
の結果は、全サンプルの濃度よりも少ない(understimate)(図6
Cを参照のこと)。
【0223】 アンサンブルと単一標的計数レジームとの間で、濃度が個々の標的を計数する
には十分低いが、アンサンブル測定において十分高く検出可能である、レジーム
が存在する。これは、伝統的なレジームとして言及される。広範な濃度にわたっ
て表面に非特異的に吸収された、単一の半導体ナノクリスタルの予備的な測定に
より、アンサンブルまたは単一標的計数のいずれかを使用して、伝統的レジーム
を較正し、使用者が全レジームにわたって濃度を較正することが可能であるべき
ことを示唆する。
【0224】 単一コピー計数とアンサンブル強度測定とを組み合わせることによって、検出
感度およびマイクロアレイのダイナミックレンジが増強され得る。標準的な測定
において、低末端での検出感度が、検出器の飽和に起因して、高末端でのダイナ
ミックレンジの犠牲で達成される。しかし、単一標的計数とアンサンブル強度測
定とを組み合わせることによって、単一の実験での全ダイナミックレンジをカバ
ーし得る。この理由は、単一コピー計数レジームにおいて、濃度が増加する場合
に、検出されたスポットの数だけ増加し、ピーク強度が増加しないことである。
このような検出器の全ダイナミックレンジを使用して、アンサンブル濃度レジー
ムをカバーし得、このピーク強度は、濃度と共に直線的に変化する。
【0225】 例として、検出システムにより、0.5μm未満の空間的分解能で、100μ
mのマイクロアレイスポットの全領域にわたる、単一の半導体ナノクリスタルか
らの蛍光を検出し得ることを考慮すること。このシステムは、1ピクセル当たり
65,536計数のダイナミックレンジおよび約2計数/ピクセルのリードノイ
ズを有する2次元CCDカメラを使用する。励起強度および積分時間が選択され
、30計数/ピクセル/半導体ナノクリスタルが得られる場合、単一コピー計数
レジームにおいて、個々の半導体ナノクリスタルが約15のノイズまでのシグナ
ルで検出される。結合した分子の均等な分布および約0.5μmの空間的分解能
を想定して、単に、各100μmのアレイスポット内で40,000の個々のス
ポットを検出し得る。理想的なシステムにおいて、10より多い単一標的計数
レジーム内のダイナミックレンジが得られる。この濃度がアンサンブルレジーム
に増加する場合、この平均強度は、濃度と共に線形に増加する。次いで、この検
出器は、飽和の前に、10のさらなるダイナミックレンジを提供する。結果と
して、10の全ダイナミックレンジは、単一の実験で理論的に可能である。も
ちろん、複数の積分時間を使用して、必要な場合に、より高い濃度までダイナミ
ックレンジを拡張し得る。
【0226】 (C.検出) 単一分子の蛍光検出は、レーザースキャニング共焦点顕微鏡または2D CC
Dカメラを備えた幅広い視野の画像を使用して達成され得る。これらの適用のた
めにスキャニング共焦点顕微鏡を超える、幅広い視野の画像の一つの明確な利点
は、蛍光が1以上のスポット内の全ポイントから同時に収集され得ることである
。このことは、シグナルが、アレイの読取り時間を増加させることなく、比較的
長時間一体化され得ることを意味する。このことは、半導体ナノクリスタルを検
出する場合に、特に利点がある。なぜならば、これらは,光退色しないからであ
る。従って、有機色素と比較して比較的長時間、各アレイスポットからのシグナ
ルを一体化することが可能である。このことにより、顕著に高度な蛍光シグナル
を提供し得、これは、単一半導体ナノクリスタルからの蛍光を容易に検出し得る
ものの一つである。しかし、同時に、比較的高度な空間的分解能(0.5μm未
満)が、個々の標的分子からの蛍光を空間的に分離し、そしてバックグラウンド
比までシグナルを最大化させ得るために必要とされる。長い一体化時間と高度の
空間的分解能の組み合わせは、共焦点スキャニング光学システムを使用する場合
に、法外であり得る。例えば、0.5μmの分解能および100msの積分時間
を有する共焦点スキャニングシステムを使用することは、単一の100μmの直
径のマイクロアレイスポットをスキャニングするための15分より長くかかる。
このことは、1000スポットを有するアレイを考慮する場合に、法外に長時間
かかる(約100日)。
【0227】 幅広い視野の決定および高開口数顕微鏡対物レンズ(high numeri
cal aperture microscope objective)を使
用することによって、単一のスポットの同一の画像は、単一の100ms曝露に
おいて得られ得る。一旦、取ると、このアレイは、隣接領域に移動され得、そし
て次の画像が取られる。スキャニング段階を正確に制御し、そして画像を共に縫
うことによって、全アレイ画像が作製される。この手順が、全読みこみ時間を劇
的に減少させ、全アレイを20分未満で読み込ませる。さらに、いくつかの場合
において、複数のアレイスポットが、同時に画像化され得、全収集時間をさらに
減少させる。
【0228】 本発明の方法は、アッセイがアレイ表面上で行われるアレイベースアッセイに
焦点が当てられるが、この方法はまた、マイクロタイタープレートまたはポリマ
ービーズの底部のような表面支持体上で実施される、他のバイオアッセイに適用
される。このまさに記載される考察は、上記の任意のアッセイに一般に適用され
る。アッセイは、代表的に、半導体ナノクリスタルを用いて実施されるが、上記
のように、有機色素または金属コロイドのような他のフルオロファーを用いて実
施され得る。半導体ナノクリスタルは、本明細書に記載される複数の技術を介し
て、アッセイのリガンドまたはアンチリガンドに取り込まれ得る。各結合標的分
子は、1以上の半導体ナノクリスタルで標識される。
【0229】 一旦、このアッセイが完了し、そして半導体ナノクリスタルを含む1以上の複
合体が形成された場合、このサンプルの蛍光が検出される。結合した標的分子の
密度が、約1標的/μmより大きい場合、このアッセイのシグナルが測定され
、そして全アッセイ領域からの全発光強度(例えば、単一のマイクロアレイスポ
ットまたは全マイクロタイターウェルからの全シグナル)を使用して較正される
。標的強度が約1標的/μm未満である場合、個々の標的分子が、標準的なフ
ラウンホーファー領域光学を使用して空間的に分解され得、このアッセイシグナ
ルを測定して、結合した標的分子の総数を計数することによって較正する。この
アッセイシグナルは、アンサンブルおよび単一標的計数方法の両方を使用して全
アッセイから測定され得る。次いで、較正曲線を同定するために使用し得、この
アッセイは、アンサンブル、単一および転位レジームにおいて減少する。
【0230】 代表的に、半導体ナノクリスタルを含む複合体は、単一の半導体ナノクリスタ
ル(または他のラベル)からの蛍光を、1μm以下の空間的分解能で検出し得る
光学検出システムを用いて検出される。いくつかの場合において、この光学シス
テムは、2D CCDカメラおよび高開口数顕微鏡対物レンズを有する幅広い視
野の画像システムを構成する。単一半導体ナノクリスタルからの蛍光を検出およ
びスペクトル的に分解され得る、レーザーベースの顕微鏡システムが、利用され
得る(例えば、Empedoclesら(1999a),Nature 399
:126−130;Empedoclesら(1999b)、Acc.Chem
.Res.32:389−396;Empedoclesら(1997),Sc
ience 278:2114−2117;およびEmpedoclesら(1
996),Phys.Rev.Lett.77:3873−3876を参照のこ
と)。
【0231】 レーザーベースの顕微鏡システムの光学的な設計は、エピ蛍光顕微鏡に基づい
ている。図7は、レーザー顕微鏡システム100の有意な光学成分の概略図であ
る。レーザー供給源(488nm Ar)104からの励起光102を、分散
プリズム106および500nmのショートパスを介して、45℃の角度で移動
させる。次いで、この励起光は、高開口数顕微鏡対物レンズ110によって、サ
ンプル表面上に焦点が当てられる。励起経路でのさらなるレンズ(すなわち、分
散プリズム106)により、レーザー104を、サンプル表面112の広範な領
域を照射させる。この蛍光画像が、同一の対物レンズによって収集される。この
画像が、2色性ミラー108によって反射され、波長特異的フィルター114を
通過させ、任意の励起光を取り除き、そして最終のレンズ116によって検出シ
ステム118に焦点を合わせる。この検出システム118は、2D CCDカメ
ラおよび調整可能な帯域通過フィルター122からなる。スペクトル画像が、異
なる波長での複数の画像を獲得することによって得られる。このシステムを用い
て、2nmのスペクトル分解能および約0.5μm未満の空間的分解能で、画像
内の各点でのスペクトルを同時に得ることが可能である。このシステムでの均一
な励起強度は、ランプ光源またはレザー励起供給源いずれかの使用を介して発生
され、これは、互いに関して90°で各々配向された一連の2個のPowelレ
ンズの使用を介して、プロフィールを「トップハット(top−hat)」する
ために、Gaussian強度プロフィールから移動される。あるいは、この光
学システムは、約0.5μm未満の空間的分解能を有する、共焦点顕微鏡システ
ムから構成され得る。
【0232】 別の検出光学は、高開口数顕微鏡対物レンズを備える顕微鏡を含む光学システ
ムを利用し、これにおいて、このサンプルは、サンプル基板の背面から(例えば
、顕微鏡基板の裏面または顕微鏡ウェルの底部から)見出される。特定の場合に
おいて、このサンプルは、高開口数オイル浸漬顕微鏡および指数一致浸漬オイル
(n=1.51)を用いて検出される。これは、800%程度の収集効率の増加
が得られ得る。あるいは、検出は、水または他の液体浸漬レンズであり得、この
サンプル基板の背景からも検出される。
【0233】 単一の標的分子の超音波検出に関して、明るいフルオロファーを有することだ
けでなく、基板表面およびアッセイ材料からバックグラウンド蛍光の収集を参照
にすることが重要である。アレイ基板およびアッセイ材料からの自己蛍光が、(
a)石英または低い蛍光グラスのような低い蛍光アレイ物質を使用することによ
り、(b)基質およびアッセイ物質からの自己蛍光では十分に覆われない蛍光標
識を選択することにより、および(c)自己蛍光を十分に励起しない励起波長を
選択することにより最小にされる。半導体ナノクリスタルが吸収されるように合
成され得るので、これらは、自己蛍光からの干渉を最小にするための理想的なフ
ルオロファーである。
【0234】 単一標的計数レベルでのアッセイを検出する重要な方法は、非常に低いシグナ
ルでどのようにアッセイ領域を評価するかである。例えば、マクロアレイが単一
標的計数レジームでの密度で標識される場合、いくつかの場合において、定量検
出のためにアレイスポットを配置することが困難であり得る。特定の方法におい
て、「アライメントスポット」の使用を組み合わせたアレイスライドの運動学的
アライメントは、アレイのエッジを自動的に配置するため、および第一画像を記
録するために使用され、その結果、このアレイのスポットは、各画像の中心内に
配置される。アライメントスポットが、目的の任意の配列に対して相補的でない
アレイスポットである。各々のハイブリダイゼーションサンプルに対して、公知
の濃度で、これらのアライメントスポットに対して特異的である標識した標的が
添加され得る。従って、これらのスポットは、高度なシグナルを有し、そしてア
ライメントの目的のために検出および使用され得る。アライメントスポットのパ
ターンは、アレイの絶対位置を明白に同定する各アレイにわたって配置され得る
【0235】 次いで、ソフトウェアを使用して、アレイ内の各スポットを配置および分析し
得る。パターン認識アルゴリズムを使用して、アライメントスポットが同定され
得、そして全ての他のスポットの位置が、粗いの公知の周期性から検出される。
一旦、このアレイのパターンが決定されると、アレイ上の各スポットが、周期性
の格子内の位置に従って配置され得る。全てのスポットの半径は、同一であり、
そしてアライメントスポットの直径から予め決定されるか、または引き出され得
る。次いで、2個の別個のアルゴリズムが、各スポット領域内からのシグナルを
分析するために使用され得る。第一に、各スポット内からの全部の一体化シグナ
ルを測定し、アレイスポットの外側の等価な領域または既知の強度の較正スポッ
トのいずれかと比較し得る。第二に、アルゴリズムが、各アレイスポット内の個
々の蛍光スポットを計数するために使用され得る。パターン認識を使用して、こ
のアルゴリズムを同定し得、そして単一の半導体ナノクリスタルからの蛍光に特
異的である形状、サイズおよび閾値の予め決定した一連の特性と一致する蛍光点
を計数し得る。各スポットに対して、アンサンブル強度および「計数」(すなわ
ち、明確な蛍光ポイントの数)を含むデータファイルが、搬出される。図8A〜
8Eは、完全なアレイスキャニング手順を記載する。
【0236】 マイクロタイタープレートアッセイのようないくつかの表面ベースアッセイに
関して、光学システムの顕微鏡アライメント(すなわち、各マイクロタイターウ
ェルの全底部をスキャニングすること)が使用され得る。ビーズベースのアッセ
イに関して、検出ラベルでスペクトル的に覆われない、第二半導体ナノクリスタ
ルの色を使用することが可能である。第二の色が、既知の濃度で表面に対して内
部または底部のいずれかで、各ビーズに添加され得る。次いで、この色は、個々
のビーズを配意するために使用され得る。一旦見出されると、帯域通過フィルタ
ーを使用して、アライメント色からの蛍光を遮断し、標識半導体ナノクリスタル
のみの単一標識検出を可能にする。この2個の色技術はまた、マイクロアレイの
ために使用され得る。
【0237】 単一の結合標的分子を検出し得る首尾良いアッセイシステムに必要な一つのさ
らなる要求は、検出標識の非特異的結合を最小にすることである。非特異的に結
合した半導体ナノクリスタルが多すぎて、単一の標的計数のレベルでの標的濃度
の定量測定と干渉し得る。結論として、これらのアッセイの標識は、極度に低い
非特異的結合のフルオロファーを有する。半導体ナノクリスタルの表面が、任意
の機能を有するように改良され得るので、非特異的な結合を最小にするために半
導体ナノクリスタルの表面特性を最適にし得る。
【0238】 他の方法において、各標的分子を、2つの異なる結合相互作用を介して、2つ
の異なる半導体ナノクリスタル色で標識する。次いで、特異的に結合された標識
を、同じ蛍光スポット内に共存する両方の色の検出によって同定し得る。
【0239】 (D.単色蛍光によって同定される非特異的結合) 核酸マイクロアレイのような表面ベースのアッセイの主な欠点は、非常に低い
レベルの標的濃度を検出するために必要とされる適切な感度を欠くことである。
例えば、遺伝子発現マイクロアレイを使用して研究される目的の既知遺伝子のう
ちの40%程度の多くの遺伝子は、1細胞あたり1〜10コピーのレベルで発現
され、これは、現在の検出スキームを使用する検出の限界または限界以下である
。低い発現レベルに加えて、遺伝子試験のための材料の抽出に要するコストは、
遺伝子分析のためのサンプルサイズの必要量を最小化するよう圧迫する。ごく少
量の発現DNAを測定する能力は、疾患を初期で同定および処置する能力を有意
に改善する。マイクロアレイアッセイにおける超高感度の検出もまた、全ての疾
患領域における目的の新しい遺伝子の同定を補助し得る。標識化およびDNAマ
イクロアレイからの蛍光の高感度の検出のためのシステムは、入手可能な情報量
を同時に増加しながら、発現分析に関連するコストを有意に減少し得る。
【0240】 現在、マイクロアレイのような表面ベースのアッセイの検出のための好ましい
方法は、有機色素で標的分子を標識することによる。有機色素を使用するDNA
マイクロアレイについては、現在の技術水準での検出では、マイクロアレイスポ
ットの10μm×10μm領域において最低限の約10分子しか検出し得ない(
Dugganら、(1999)Nature Genetics 21(nls
):10−14)。これは、標準の100μm直径のマイクロアレイスポットか
らシグナルを検出するために必要とされる最低限の結合DNA分子数が、約10
00個であることを意味する。このシグナルを生成するために、1000万個よ
りも多い細胞が必要とされ得る。多くの例において、これほど多くの細胞材料を
抽出することは可能でない。半導体ナノクリスタルでの1回の標的計数を使用す
る場合、検出の理論的限界は、1アレイスポットあたり1分子であり、これは、
必要とされる細胞材料の量を3オーダー減少し、そして重要な発現プロフィール
を同定およびモニターする能力を有意に改善する。同様に、全てのタイプのバイ
オアッセイにおける、この1個の結合標的分子を検出する能力は、これらの測定
の感度およびダイナミックレンジを劇的に改善し、これは、情報量を増加しそし
てコストを最小化する。
【0241】 (X.半導体ナノクリスタルの調製) 本方法における使用のための半導体ナノクリスタルは、当該分野で公知の技術
を使用して作製される。例えば、米国特許第6,048,616号;同第5,9
90,479号;同第5,690,807号;同第5,505,928号;同第
5,262,357号;ならびにPCT公開番号99/26299号(1999
年5月27日公開)を参照のこと。詳細には、本発明の生物学的アッセイおよび
化学アッセイにおける半導体ナノクリスタルとしての使用のための例示的材料と
しては、上記の材料(グループII−VI、III−VおよびグループIVの半
導体(例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、M
gS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、
SrTe、BaS、BaSe、BaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb
、InP、InAs、InSb、AlS、AlP、AlSb、PbS、PbSe
、GeおよびSi、ならびにそれらの三元混合物および四元混合物))が挙げら
れるが、これらに限定されない。半導体ナノクリスタルは、それらの均一なナノ
メーターサイズによって特徴付けられる。
【0242】 上記で議論したように、半導体ナノクリスタルの組成物および半導体ナノクリ
スタルのサイズの選択は、半導体ナノクリスタルの特徴的なスペクトル放出波長
に影響する。従って、当業者が認識するように、上記に列挙したような半導体ナ
ノクリスタルの特定の組成物は、モニターされるスペクトル領域に基づいて選択
される。例えば、可視範囲のエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルとして
は、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe、ZnTe、GaPおよびGaAs
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0243】 近IR範囲のエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルとしては、InP、
InAs、InSb、PbSおよびPbSeが挙げられるが、これらに限定され
ない。最後に、青〜近紫外のエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルとして
は、ZnSおよびGaNが挙げられるが、これらに限定されない。
【0244】 本発明の方法において使用される半導体ナノクリスタルについて選択された任
意の特定の組成物について、その半導体ナノクリスタルの特定の組成物のサイズ
を制御することによって、その放出を所望の波長に調整することが可能である。
いくつかの例において、5〜20種の別個の放出(互いに区別可能な5〜20個
の異なるサイズの集団または分布)、より好ましくは、10〜15種の別個の放
出が、任意の特定の組成物について得られるが、当業者は、5種より少ない放出
および20種より多い放出が、半導体ナノクリスタル粒子の単分散性に依存して
使用されることを認識する。高い情報密度、そして従って、より多数の別個の放
出が必要とされる場合、ナノクリスタルは、好ましくは、上記のサイズ範囲内で
実質的に単分散性である。
【0245】 上記で説明したように、「単分散」との用語は、本明細書中で使用する場合、
懸濁された粒子が実質的に同一のサイズおよび形状を有する、コロイド系を意味
する。特定の高い情報密度での適用において、単分散粒子は、直径において、1
0%rms未満(そして、好ましくは、5%未満)で偏向する。単分散半導体ナ
ノクリスタルは、Murrayら(1993)J.Am.Chem.Soc.1
15:8706およびMurray、「Synthesis and Char
acterization of II−VI Quantum Dots a
nd Their Assembly into 3−D Quantum D
ot Superlattices」(1995)博士論文、Massachu
setts Institute of Technologyに詳細に記載さ
れている。所定の組成物について明確に観察され得る別個の放出の数は、粒子の
単分散性のみならず、使用する逆重畳積分(deconvolution)技術
にも依存する。色素分子とは異なり、半導体ナノクリスタルは、ガウス分布(G
aussians)として容易にモデルされ得、従って、より容易かつより正確
に逆重畳積分される。
【0246】 しかし、いくつかの適用については、高い情報密度が必要とされず、そしてよ
り多分散粒子を使用することがより経済的に魅力的である。従って、高い情報密
度を必要としない適用について、放出の準位幅は、40〜60nmの範囲にあり
得る。
【0247】 特定の方法において、半導体ナノクリスタルの表面は、半導体ナノクリスタル
へ保護層(overcoating layer)を付加することによって、放
出の効率を増強するよう改変される。この保護層は、代表的には、使用される。
なぜなら、半導体ナノクリスタルの表面では、表面の欠陥が、電子のトラップま
たは正孔を生じ得、これが、その半導体ナノクリスタルの電気的および光学的特
性を下げるからである。半導体ナノクリスタルの表面の絶縁層は、その界面で化
学ポテンシャルにおける原子的な急激な上昇を提供し、これは、電子のトラップ
または正孔として作用し得るエネルギー状態を排除する。これは、このルミネセ
ンスプロセスにおいてより高い効率を生じる。
【0248】 保護層のための適切な材料としては、半導体ナノクリスタルコアよりも高いバ
ンドギャップエネルギーを有する半導体材料が挙げられる。半導体ナノクリスタ
ルコアよりも高いバンドギャップエネルギーを有することに加えて、保護層のた
めの適切な材料は、そのコア半導体ナノクリスタルに対して良好な伝導帯および
価電子帯のオフセットを有する。従って、コア半導体ナノクリスタルよりも、伝
導体は、所望には、より高く、そして価電子帯は、所望には、より低い。可視(
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe、ZnTe、GaP、GaAs
)または近IR(例えば、InP、InAs、InSb、PbS、PbSe)に
おいてエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルコアについて、紫外領域のバ
ンドギャップエネルギーを有する材料が、使用され得る。例示的な材料としては
、ZnS、GaNおよびマグネシウムカルコゲニド(例えば、MgS、MgSe
およびMeTe)が挙げられる。近IRで放出する半導体ナノクリスタルコアに
ついては、可視のバンドギャップエネルギーを有する材料(例えば、CdSまた
はCdSe)もまた使用され得る。コートされた半導体ナノクリスタルの調製は
、例えば、Dabbousiら、(1997)J.Phys.Chem.B 1
01:9463)およびKunoら、(1997)J.Phys.Chem.1
06:9869に見出され得る。
【0249】 多くの半導体ナノクリスタルは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO
)およびトリオクチルホスフィン(TOP)のような配位(coordinat
ing)溶媒中で調製され、これらは、この有機溶媒に含まれたナノクリスタル
表面上に不動態化有機層を形成する。この層は、保護層を含む半導体ナノクリス
タル上または保護層を含まない半導体ナノクリスタル上に存在する。従って、こ
れらのクラスの不動態化半導体ナノクリスタルのいずれかは、有機溶媒(例えば
、トルエン、クロロホルムおよびヘキサン)中に容易に溶解する。これらの官能
性部分は、容易に置換または改変され、以下に詳細に記載するような、その半導
体ナノクリスタルを本発明の検出可能な標識としての使用に適切にする外側のコ
ーティングを提供し得る。さらに、所望の適用に基づいて、半導体ナノクリスタ
ル官能基の一部、または半導体ナノクリスタル官能基の表面全体が、その所望の
用途に基づいて、置換反応によって改変され得る。
【0250】 所望の範囲のスペクトル放出についての半導体ナノクリスタルの組成物の選択
および目的の系に適合可能な所望の表面官能化の選択後、スペクトル同定のため
に十分な強度の明確かつ固有のスペクトル放出を観察するために必要とされる最
小限の数の半導体ナノクリスタルを選択することが所望され得る。十分な強度の
明確かつ固有のスペクトル放出を観察するために必要とされる最小限の数の半導
体ナノクリスタルの決定において重要な選択基準としては、以下が挙げられる:
(1)明るい(すなわち、暗い半導体ナノクリスタルと対比して、光を放出する
)十分な数の半導体ナノクリスタルを提供すること、および(2)平均して単一
の半導体ナノクリスタル放出において観察されるブリンキング効果を超えるのに
十分な量の半導体ナノクリスタルを提供すること。Nirmalら(1996)
Nature 383:802。
【0251】 例えば、特定の組成物および粒子サイズ分布の8以上の半導体ナノクリスタル
が、提供され得る。例えば、所望の使用方法が、特定の組成物の3つの異なる粒
子サイズ分布を利用する場合、この3つの各々の異なる粒子サイズ分布のその8
つの半導体ナノクリスタルを使用して、目的の特定の分析物の位置または正体に
関する信頼性のある情報を提供するのに十分な、各々からの強いスペクトル放出
を観察する。特定の組成物および粒子サイズ分布の8つより少ない半導体ナノク
リスタルは、上記のような選択基準によって決定した場合に、十分な強度の固有
のスペクトル放出が観察される限り、利用され得る。
【0252】 上記の方法を使用して、各集団が異なる特徴的な光ルミネセンスを示す、半導
体ナノクリスタルの別々の集団を調製し得る。半導体ナノクリスタルの複数の集
団の各々は、多重化されたアッセイ方法または分析方法において使用するための
結合対の第1のメンバーに結合体化され、ここで、複数のその結合対の対応する
第2のメンバーの各々が、同時に検出され得る。
【0253】 ナノクリスタルの放出波長の整調性と組み合わせた、狭域スペクトル準位幅お
よび近ガウス対象性の線形状(ナノクリスタルの放出スペクトルについて観察さ
れるテーリング(tailing)領域を欠く)は、複数のナノクリスタルを有
する系における高いスペクトル分解能を可能にする。一般に、異なるナノクリス
タル調製物(各サンプルが、異なる放出スペクトルを有する)由来の、10〜2
0までかまたはそれ以上の異なるサイズのナノクリスタルまたは異なるサイズ分
布のナノクリスタルの単分散集団は、1つの系において同時に使用され得(すな
わち、多重化)、重複スペクトルは、逆重畳積分ソフトウェアの使用を用いてか
または用いずに、当該分野で周知の技術を使用して容易に(例えば、光学的に)
分解される。
【0254】 先に議論したように、これらの光学遷移の強度を変化する能力と共に、個別の
光学遷移を生じる半導体ナノクリスタルの能力は、汎用性かつ稠密なコード化ス
キームの開発を可能にする。特定の支持体、化合物または物質に結合、会合また
は包理された1以上のサイズの半導体ナノクリスタルによって生じる特徴的な放
出は、目的の分析物および/またはその位置の同定を可能にする。例えば、N種
類のサイズの半導体ナノクリスタル(各々、別個の光学遷移を有する)(その各
々は、その半導体ナノクリスタルの非存在下または特定の別個の光学遷移から生
じる異なる強度から生じる、M個の識別可能な状態を有する)を提供することに
よって、Mn種類の異なる状態が、固有に規定され得る。Mが2である場合(こ
こで、この2つの状態は、半導体ナノクリスタルの存在または非存在であり得る
)、従って、このコード化スキームは、基数2すなわち2進コードによって規定
される。Mが3である場合(ここで、この3つの状態は、2つの識別可能な強度
での半導体ナノクリスタルの存在またはその非存在であり得る)、そのコード化
スキームは、基数3のコードによって規定される。本明細書中で、このような基
数Mのコード(ここで、Mは、2より大きい)は、高次コードと呼ぶ。2進コー
ドを超える高次コードの利点は、同じ量の情報をコードするのに必要とされる識
別子が少ないことである。
【0255】 当業者は、高次コード化システムを開発する能力が、解読システムにおいて利
用されるハードウェアおよびソフトウェアの両方によって検出され得る異なる強
度の数に依存することを認識する。特に好ましい実施形態において、各別個の放
出または色は、2〜20個の異なる強度で検出可能であり得る。10個の異なる
強度が利用可能である、特に好ましい実施形態において、基数11のコードを使
用し得、このコードは、この半導体ナノクリスタルの非存在、または10個の異
なる強度での半導体ナノクリスタルの検出を含む。
【0256】 明らかに、これらの半導体ナノクリスタルの利点(すなわち、複数の強度で別
個の光学遷移を観察する能力)は、種々の原理において使用され得る、強力かつ
稠密なコード化スキームを提供することである。一般に、1以上の半導体ナノク
リスタルは、バーコードとして作用し得、ここで、この1以上の半導体ナノクリ
スタルの各々は、別個の放出スペクトルを生じる。これらの特徴的な放出は、そ
のスペクトルの可視領域にある場合に、色として観察され得るか、または解読さ
れて、その別個の遷移が観察される特定の波長についての情報を提供し得る。同
様に、赤外領域または紫外領域にある放出を生じる半導体ナノクリスタルについ
ては、その別個の光学遷移が起こす特徴的な波長は、特定の半導体ナノクリスタ
ルの正体についての情報を提供し、そしてそれ故、目的の分析物の正体または位
置についての情報を提供する。
【0257】 特定のサイズ、サイズ分布および/または半導体ナノクリスタルの組成物によ
って生じる光の色は、当業者に明らかな方法によって容易に計算または測定され
得る。これらの測定技術の例として、12Å〜115Åの範囲のサイズのCdS
eのナノクリスタルについてのバンドギャップが、Murrayら(1993)
J.Am.Chem.Soc.115:8706において示される。これらの技
術は、適切なサイズ、サイズ分布および/または半導体ナノクリスタルの組成物
の容易な計算、ならびに任意の所望の波長の光を放出し得るナノクリスタルを生
じるための励起光源の選択を可能にする。
【0258】 本発明の方法での使用のための自動化検出のための特定のシステムの例として
は、画像化スキームが挙げられるが、これらに限定されない。のスキームは、励
起源、モノクロメーター(または、画像をスペクトル解像し得る任意のデバイス
、または狭帯域フィルターのセット)および検出器アレイを備える。1つの実施
形態において、この装置は、青色またはUV光源からなり、その波長は、検出さ
れるルミネセンスの波長よりも短い。これは、広帯域UV光源(例えば、前部に
フィルターを備える重水素ランプ);白色光源の出力(例えば、所望の波長を生
じるためのモノクロメーターの通過後のキセノンランプまたは重水素ランプ);
または任意の多くの連続波(cw)ガスレーザー(いくつか挙げると、アルゴン
イオンレーザー線(457、488、514nmなど)、HeCdレーザー;青
色の固体状態のダイオードレーザー(例えば、GaNおよびGaAs(二重)ベ
ースのレーザーまたはYAGまたはYLFベースのレーザーの二重出力または三
重出力);または青色での出力を有する任意のパルスレーザーが挙げられるが、
これらに限定されない)であり得る。
【0259】 ドットからのルミネセンスは、画像化減算二重モノクロメーター(すなわち、
2つの単一のモノクロメーターであって、第1のモノクロメーターから第2のモ
ノクロメーターが差し引かれる(reversed))を通過され得る。これは
、例えば、2つの格子またはプリズムおよびこの2つの格子またはプリズムの間
のスリットからなる。これらのモノクロメーターあるいは格子またはプリズムは
また、コンピューター制御されたカラーフィルターホイールと置き換えられ、こ
こで、各フィルターは、これらのドットのうちの1つの放出の波長で集中化され
る狭帯域フィルターである。任意の色が、中心波長として選択され得るので、こ
のモノクロメーターアセンブリは、より高い柔軟性を有する。さらに、CCDカ
メラまたはいくつかの他の二次元検出器は、これらの画像および上記で選択した
波長に対して画像化するソフトウェアカラーコードを記録する。次いで、このシ
ステムは、格子を新しい色に移動し、そしてこのプロセスを繰り返す。このプロ
セスの結果として、同じ空間領域の画像のセットが得られ、そして各々は、デー
タを迅速に分析するために必要とされる特定の波長にカラーコード化される。
【0260】 別の実施形態において、この装置は、上記画像化スキームとは対照的に、走査
システムである。走査スキームにおいて、分析されるサンプルは、顕微鏡対物レ
ンズに対して走査される。ルミネセンスは、単一のモノクロメーターあるいは格
子またはプリズムを通過され、これらの色をスペクトル分解する。検出器は、ダ
イオードアレイであり、これは、次いで、特定の空間位置で放出されるこれらの
色を記録する。次いで、このソフトウェアは、最終的に、走査された画像を再現
し、そしてこれを解読する。
【0261】 (XI.半導体ナノクリスタル結合体の生成) 本発明は、種々の結合体を利用し、これらは、一般に、生物学的分子および1
以上の半導体ナノクリスタルを含み、その結果、この結合体は、位置付け可能な
アレイ上に形成された種々の複合体の存在、非存在および/または量を検出し得
る。限定することなく、半導体ナノクリスタル結合体は、半導体ナノクリスタル
に連結された、任意の分子または分子複合体を含み、これは、生物学的標的と相
互作用して、生物学的プロセスまたは反応を検出し、そして生物学的分子または
プロセスを変化させる。好ましくは、これらの分子または分子複合体あるいは結
合体は、生物学的化合物と物理的に相互作用する。好ましくは、これらの相互作
用は、特異的である。これらの相互作用は、共有結合性、非共有結合性、疎水性
、親水性、静電性、ファンデルワールス性、または磁性であり得るが、これらに
限定されない。好ましくは、これらの分子は、小分子、タンパク質または核酸、
あるいはそれらの組み合わせである。
【0262】 半導体ナノクリスタル結合体は、当該分野で公知の技術を使用して作製される
。例えば、TOPOおよびTOP(これらは、一般に、半導体ナノクリスタルの
生成に使用される)のような部分および他の部分は、他の官能性部分(いくらか
挙げると、カルボン酸、アミン、アルデヒド、およびスチレンが挙げられるが、
これらに限定されない)と置換および交換され得る。当業者は、特定の置換反応
の成功に関連する因子として、その置換部分の濃度、温度および反応性が含まれ
ることを認識する。従って、本発明の目的のために、既存の官能性部分を置換し
て特定の用途のための改変された官能基を有する半導体ナノクリスタルを提供し
得る任意の官能性部分が、利用され得る。
【0263】 半導体ナノクリスタルの表面官能性を選択的に改変するための一般的な置換反
応を利用する能力は、特定の用途についての官能化を可能にする。例えば、生物
学的化合物の検出は、最も好ましくは、水性媒体中で行われるので、代表的には
、本発明は、水に溶解される半導体ナノクリスタルを利用する。水溶性の半導体
ナノクリスタルの場合、外側の層は、その粒子の表面に結合しかつ少なくとも1
つの親水性部分で終結する、少なくとも1つの連結部分を有する。この連結する
親水性部分は、疎水性領域を横切る電荷移動を防止するに十分に、その疎水性領
域によって架橋される。この疎水性領域はまた、ナノクリスタルに対して「偽疎
水性」環境を提供し、それによって、ナノクリスタルを水性環境から遮蔽する。
親水性部分は、極性基または荷電(正または負)基であり得る。この基の極性ま
たは電荷は、水との必要な親水性相互作用を提供し、半導体ナノクリスタルの安
定な溶液または懸濁液を提供する。例示的な親水性基としては、ヒドロキシド(
−OH)、アミン、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)などのよ
うな極性基、およびカルボキシレート(−CO )、スルホネート(SO )、ホスフェート(−PO 2−および−PO 2−)、ニトレート、アンモニ
ウム塩(−NH )などのような荷電基が挙げられる。水溶性の層は、保護層
の外側の表面に見出される。半導体ナノクリスタルに水溶性を与えるための方法
は、当該分野で公知でありそして例えば、PCT公開番号WO00/17655
(2000年3月30日公開)に記載される。
【0264】 ナノクリスタル表面の親和性は、その半導体ナノクリスタルの外側表面への連
結部分の配位を促進し、そして水性媒体に対する親和性を有する部分は、半導体
ナノクリスタル懸濁液を安定化する。
【0265】 置換反応は、特定の有機溶媒中の溶解度を改善するよう半導体ナノクリスタル
を改変するために使用され得る。例えば、半導体ナノクリスタルを特定の溶媒ま
たは液体(例えば、ピリジン)と会合することが所望される場合、表面は、ピリ
ジンまたはピリジン様部分で特異的に改変され、溶媒和を確実にする。
【0266】 表面層もまた、半導体ナノクリスタルに特定のカップリング反応に対する反応
性を付与するための置換によって改変され得る。例えば、カルボン酸部分を含む
基でのTOPO部分の置換は、アミン含有部分(通常、固体支持体ユニット上に
見出される)とのその改変された半導体ナノクリスタルの反応を可能にし、アミ
ド結合を提供する。さらなる改変もまた、半導体ナノクリスタルが、ほとんどの
任意の固体支持体(例えば、先に記載した支持体)と会合され得るように作製さ
れ得る。
【0267】 例えば、本発明の半導体ナノクリスタルは、容易に官能化されて、スチレンま
たはアクリレート部分を生じ得、従って、ポリスチレン、ポリアクリレートまた
は以下のようなポリマー上への半導体ナノクリスタルの組み込みを可能にする:
ポリイミド、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリビニル、ポリジアセチレ
ン、ポリフェニレン−ビニレン、ポリペプチド、ポリサッカリド、ポリスルホン
、ポリピロール、ポリイミダゾール、ポリチオフェン、ポリエーテル、エポキシ
、石英ガラス、シリカゲル、シロキサン、ポリホスフェート、ヒドロゲル、アガ
ロース、セルロースなど。
【0268】 これらの連結反応の詳細な説明については、例えば、米国特許第5,990,
479号;Bruchezら(1998)Science 281:2013−
2016、Chanら(1998)Science 281:2016−201
8、Bruchez「Luminescent Semiconductor
Nanocrystals:Intermittent Behavior a
nd use as Fluorescent Biological Pro
bes」(1998)博士論文、University of Califor
nia、Berkeley、およびMikulec「Semiconducto
r Nanocrystal Colloids:Manganese Dop
ed Cadmium Selenide,(Core)Shell Comp
osites for Biological Labeling,and H
ighly Fluorescent Cadmium Telluride」
(1999)博士論文、Massachusetts Institute o
f Technologyを参照のこと。
【0269】 以下の実施例は、本発明の特定の局面を例示するために提供され、本発明の範
囲を限定するように解釈されない。
【0270】 (実施例1) (cDNAアレイ標識のための検出可能なプローブの調製) cDNAマイクロアレイスライドを、www.nhgri.nih.gov/
DIR/microarrayのFabricationの節に記載されるよう
に調製した。製造、サンプル標識およびマイクロアレイを使用するハイブリダイ
ゼーションの条件についてのさらなるガイダンスは、例えば、Bittner
M.ら、(2000)Nature 406:536−540;Khan J.
rら(1999)Electrophoresis 20:223−9;Dug
gan,D.J.(1999)Science 283:83−87;およびD
eRisi,J.ら(1996)14:457−60に提供される。
【0271】 (A.ビオチンで標識されたcDNA) RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーションは、
Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 1423
:17−28に記載のような方法あるいはwww.nhgri.nih.gov
/DIR/microarrayの方法または他の公開された方法を使用するこ
とによって行われ得る。cDNAをビオチンで標識した。半導体ナノクリスタル
(SCNC)−ストレプトアビジン結合体の標識のために、Cy(登録商標)3
dUTPを、ビオチン−16−dUTP(Roche Molecular
Biochemicals,Indianapolis,IN)で置換した。
【0272】 ハイブリダイゼーション後、スライドを、4×SSC、0.1% Tween
(登録商標)20、1% ウシ血清アルブミン(BSA)中、最低30分間室温
でインキュベートし、1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、1% BSA、
1mM MgCl中でリンスした。スライドを、1×PBS、1% BSA、
10mM MgCl中の25nM 630nm SCNC−ストレプトアビジ
ン中で、室温で1時間インキュベートした。スライドを、1×PBS、1% B
SA、10mM MgClで、その後、10mMリン酸緩衝液(pH 7.4
)でリンスし、遠心分離機にて500rpmで5分間スピン乾燥した。
【0273】 マイクロアレイ上のスポットを、SCNSについて最適化した蛍光顕微鏡およ
びスキャナ下で観察した。
【0274】 (B.ビオチンまたはCy3またはCy5で標識したcDNA) RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーションを、
Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 1423
:17−28またはwww.nhgri.nih.gov/DIR/micro
arrayに記載される方法を使用して実行した。1つのcDNAをビオチンで
標識し、そして他方のcDNAをCy3またはCy5で標識した。半導体ナノク
リスタル(SCNC)−ストレプトアビジンで標識するために、Cy5−または
Cy3−dUTPを、ビオチン−16−UTP(Roche Molecula
r Biochemicals,Indianapolis,IN)で置き換え
た。
【0275】 ハイブリダイゼーション工程の後に、マイクロアレイスライドを、室温で30
〜60分間、4×SSC、0.1%Tween20、1%BSA中でインキュベ
ートし、0.06×SSCでリンスし、そしてマイクロプレートに対して水平ロ
ーターを備える遠心分離機で、5分間500rpmで脱水した。SCNC−スト
レプトアビジンを6×SSPE、1%BSA、10mM MgClに加え、最
終濃度25nMにした。アレイのサイズに依存して、40〜80μLのSCNC
−ストレプトアビジンをアレイ領域に適用し、カバーガラスを加え、そしてカバ
ーされたマイクロアレイを1時間室温で、加湿した容器中でインキュベートした
。スライドを1×SSPE続いて0.06×SSPEでリンスし、そして5分間
500rpmで、遠心分離機で脱水した。
【0276】 マイクロアレイを蛍光顕微鏡で観察した。マイクロアレイにハイブリダイズし
たSCNC標識cDNAは、蛍光顕微鏡下で容易に検出された。
【0277】 C.RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーション
を、Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 14
23:17−28またはウェブサイトwww.nhgri.nih.gov/D
IR/microarrayに記載される方法を使用して、または当業者に公知
の任意の適切な方法によって実行した。1つのcDNAをビオチンで標識し、そ
して他方のcDNAをハプテン(例えば、フルオレセイン、ジゴキシゲニンまた
はエストラジオール)で標識した。SCNC−ストレプトアビジン、およびSC
NC−抗ハプテンで標識するために、Cy5−およびCy3−dUTPを、ビオ
チン−16−UTP(Roche Molecular Biochemica
ls,Indianapolis,IN)およびdUTP−ハプテン(例えば、
フルオレセイン−12−dUTP、DIG11−dUTP、エストラジオール−
15−dUTP)で置き換えた。
【0278】 ハイブリダイゼーション後、スライドを、ブロッキング溶液4×SSC、0.
1%Tween20、1%BSAで30〜60分間、室温でインキュベートし、
0.06×SSCでリンスし、そしてマイクロプレートに対する水平ローターを
備える遠心分離機で、5分間500rpmで回転させることによって乾燥させた
。SCNC−ストレプトアビジンおよびSCNC−抗ハプテンを、6×SSPE
、1%BSA、10mM MgClに加え、それぞれ最終濃度25nMにした
。アレイのサイズに依存して、40〜80μLの混合物を、アレイ領域に適用し
、カバーガラスをアレイ領域上に加え、そしてカバーされたアレイを1時間室温
で、加湿した容器中でインキュベートした。スライドを1×SSPE続いて0.
06×SSPEでリンスし、そして5分間500rpmで、遠心分離機中で回転
させることによって乾燥させた。マイクロアレイを、SCNC発光について最適
化されたスキャナで読んだ。
【0279】 (D.SCNC1−dUTPおよびSCNC2−dUTPで標識されたcDN
A) RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーションを、
Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 1423
:17−28またはウェブサイトwww.nhgri.nih.gov/DIR
/microarrayに記載される方法を使用して、または当該分野で周知の
他の方法によって実行した。1つのcDNAを、第1の発光スペクトルを有する
第1のSCNC(SCNC1)で標識し、そして他方のcDNAをSCNC1と
は異なる発光スペクトルを有する第2のSCNC(SCNC2)で標識した。S
CNC1およびSCNC2で標識するために、Cy5−またはCy3−dUTP
を、それぞれ、SCNC1−dUTPおよびSCNC2−dUTPで置き換える
。ハイブリダイゼーションおよび洗浄後、乾燥したスライドをSCNCについて
最適化されたスキャナで読む。
【0280】 それぞれ異なって標識されたcDNAが容易に区別されることが予測される。
【0281】 (実施例2) (オリゴヌクレオチドマイクロアレイに対するcDNA) オリゴヌクレオチドマイクロアレイチップを、Operon Technol
ogies,Inc.または他の供給源から購入し得る。
【0282】 (A.ビオチンおよびCy3またはCyで標識されたcDNA) RNAの調製および逆転写によるサンプル標識を、Khanら(1999)B
iochim.Biophys.Acta 1423:17−28、ウェブサイ
トwww.nhgri.nih.gov/DIR/microarrayに記載
される方法を使用して、または当業者に公知の方法を使用して実行した。あるい
は、cDNAの調製およびハイブリダイゼーションを、ウェブサイトwww.p
angloss.com/seidel/Protocolsに記載されるプロ
トコルを使用して実行し得る。1つのcDNAをビオチンで標識し、そして他方
のcDNAをCy3またはCy5で標識した。SCNC−ストレプトアビジンで
標識するために、Cy5−またはCy3−dUTPを、ビオチン−16−UTP
(Roche Molecular Biochemicals,Indian
apolis,IN)で置き換える。
【0283】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、4×SSC中の標識されたcDNAおよび
1mg/mlポリ(dA)(Pharmacia)および0.2mg/ml酵母
tRNA(Sigma)を含む。プローブ混合物を、98℃2分間で変性し、4
5℃に冷却し、そして小容量の10%SDS溶液を0.2%SDSの最終濃度に
加える。アレイのサイズに依存する15〜30μLの容積を、マイクロアレイ領
域に適用し、そしてマイクロアレイ領域をガラスカバーガラスでカバーする。カ
バーされたマイクロアレイを加湿化されたチャンバに置き、そして65℃で一晩
インキュベートする。ハイブリダイゼーション後、スライドを連続的に、0.0
3%SDSを有する1×SSC、0.2×SSCおよび0.05×SSCでリン
スする。スライドを、5分間、500rpmで、水平ローターを備える遠心分離
機で回転させることによって乾燥する。スライドを、ブロッキング溶液4×SS
C、0.1%Tween20、1%BSAで30〜60分間室温でインキュベー
トし、0.05×SSCでリンスし、そして遠心分離機で回転させることによっ
て乾燥させた。SCNC−ストレプトアビジンを、6×SSPE、1%BSA、
10mM MgClに加えて25nMの最終濃度にする。アレイのサイズに依
存して、40〜80μLのSCNC−ストレプトアビジンを、アレイ領域に適用
し、カバーガラスをアレイ領域上に適用し、そしてカバーアレイを1時間室温で
、加湿した容器中でインキュベートする。スライドを1×SSPE続いて0.0
6×SSPEでリンスし、そして5分間500rpmで、遠心分離機で回転させ
ることによって乾燥させる。
【0284】 マイクロアレイを、SCNCおよびCy色素について最適化されたスキャナで
読む。
【0285】 (B.ビオチンおよびハプテンで標識されたcDNA) RNAの調製および逆転写によるサンプル標識を、Khanら(1999)B
iochim.Biophys.Acta 1423:17−28、ウェブサイ
トwww.nhgri.nih.gov/DIR/microarrayに記載
される方法を使用して実行する。あるいは、ハイブリダイゼーションを、ウェブ
サイトwww.pangloss.com/seidel/Protocols
に記載されるプロトコルを使用して実行し得る。1つのcDNAをビオチンで標
識し、そして他方のcDNAをハプテン(例えば、ジゴキシゲニン、フルオレセ
インまたはエストラジオール)で標識する。SCNC−ストレプトアビジン、お
よびSCNC−抗ハプテンで標識するために、Cy5−またはCy3−dUTP
を、ビオチン−16−UTP(Roche Molecular Bioche
micals,Indianapolis,IN)およびハプテン−dUTP(
例えば、フルオレセイン−12−dUTP、DIG11−dUTP、エストラジ
オール−15−dUTP)で置き換えた。
【0286】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、4×SSC中の標識されたcDNAおよび
1mg/mlポリ(dA)(Pharmacia)、0.2mg/ml酵母tR
NA(Sigma)を含み、プローブ混合物は、98℃2分間で変性され、45
℃に冷却され、そして小容量の10%SDS溶液を0.2%SDSの最終濃度に
加える。アレイのサイズに依存する15〜30μLの容積を、マイクロアレイに
適用し、カバーガラスをアレイ領域上に置き、そしてカバーされたアレイを加湿
したチャンバ中に置き、そして65℃で一晩インキュベートする。ハイブリダイ
ゼーション後、スライドを、連続的に0.03%SDSを有する1×SSC、0
.2×SSCおよび0.05×SSCでリンスする。スライドを、5分間、50
0rpmでマイクロプレートに対して水平ローターを備える遠心分離機で回転さ
せることによって乾燥させる。
【0287】 スライドを、ブロッキング溶液4×SSC、0.1%Tween20、1%B
SAで30〜60分間室温でインキュベートし、0.05×SSCでリンスし、
そして遠心分離機で回転させることによって乾燥させる。SCNC−ストレプト
アビジンおよびSCNC−抗ハプテンを、6×SSPE、1%BSA、10mM
MgClに加え、最終濃度25nMにした。アレイのサイズに依存して、4
0〜80μLの混合物を、アレイ領域に適用し、カバーガラスをアレイ領域上に
加え、そしてカバーされたアレイを1時間室温で、加湿した容器中でインキュベ
ートする。スライドを1×SSPE続いて0.06×SSPEでリンスし、そし
て5分間500rpmで、遠心分離機で回転させることによって乾燥させる。
【0288】 マイクロアレイを、SCNCについて最適化されたスキャナで読む。
【0289】 (C.SCNC1−dUTPおよびSCNC2−dUTPで標識されたcDN
A) RNAの調製および逆転写によるサンプル標識を、Khanら(1999)B
iochim.Biophys.Acta 1423:17−28、ウェブサイ
トwww.nhgri.nih.gov/DIR/microarrayに記載
される方法を使用することによって実行する。あるいは、ハイブリダイゼーショ
ンを、ウェブサイトwww.pangloss.com/seidel/Pro
tocolsに記載されるプロトコルを使用して実行し得る。1つのcDNAを
SCNC1で、そしてSCNC2で標識する。cDNAをSCNC1およびSC
NC2で標識するために、Cy5−またはCy3−dUTPを、SCNC1−d
UTPおよびSCNC2−dUTPで置き換える。
【0290】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、4×SSC中の標識されたcDNAおよび
1mg/mlポリ(dA)(Pharmacia)、酵母tRNA0.2mg/
mlを含み、プローブ混合物は、98℃2分間で変性され、45℃に冷却され、
そして小容量の10%SDS溶液を0.2%SDSの最終濃度に加える。ハイブ
リダイゼーション混合物の容積は、アレイのサイズに依存して15〜30μLで
変化する。この混合物をマイクロアレイに適用し、カバーガラスをアレイ領域上
に置き、そしてカバーされたアレイを加湿したチャンバ中に置き、そして65℃
で一晩インキュベートする。ハイブリダイゼーション後、スライドを、連続的に
0.03%SDSを有する1×SSC、0.2×SSCおよび0.05×SSC
でリンスする。スライドを、5分間、500rpmでマイクロプレートに対して
水平ローターを備える遠心分離機で回転させることによって乾燥させる。
【0291】 マイクロアレイを、SCNCについて最適化されたスキャナで読む。
【0292】 D.オリゴヌクレオチドマイクロアレイチップを、Operon Techn
ologies,Inc.から購入した。これらの試験アレイは、それぞれ40
個のスポット(Caspase 9−Genbank U56390、Lami
nin gamma 3 chain precusor、LAMC3−Gen
bank AF041835、Alpha−tabulin−Genbank
K00558およびRibosomal protein S9−Genban
k U14971から選択される4つの70マーのそれぞれ由来の10個のスポ
ット)を含む。3’末端においてビオチニル化された50マーの相補的なオリゴ
ヌクレオチドは、四つの70マーのそれぞれから作製された。
【0293】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、ビオチン標識化50マーの相補的な配列、
4×SSC中のキャリアとしての4mg/mlニシン精子DNAおよび1mg/
mlポリ(dA)(Pharmacia)、0.2mg/ml酵母tRNA(S
igma)を含んだ。プローブ混合物を98℃で2分間変性させ、45℃に冷却
し、そして小容量の10%SDS溶液を0.2%SDSの最終濃度に加える。ア
レイのサイズに依存する15〜30μLの容積を、マイクロアレイ領域に適用し
、そしてカバーガラスをマイクロアレイ領域の上に適用する。カバーされたマイ
クロアレイを加湿化されたチャンバに置き、そして65℃で一晩インキュベート
する。ハイブリダイゼーション後、スライドを連続的に、0.03%SDSを有
する1×SSC、0.2×SSCおよび0.05×SSCでリンスする。スライ
ドを、5分間、500rpmで、水平ローターを備える遠心分離機で回転させる
ことによって乾燥する。スライドを、ブロッキング溶液4×SSC、0.1%T
ween20、1%BSAで30〜60分間室温でインキュベートし、0.05
×SSCでリンスし、そして遠心分離機で回転させることによって乾燥させた。
SCNC−ストレプトアビジンを、6×SSPE、1%BSA、10mM Mg
Clに加えて25nMの最終濃度にする。アレイのサイズに依存して、40〜
80μLのSCNC−ストレプトアビジンをアレイ領域に適用し、アレイ領域を
ガラスカバーガラスでカバーした。カバーアレイスライドを、1時間室温で加湿
化された容器内でインキュベートした。スライドを、1×SSPE続いて0.0
6×SSPEでリンスし、そして5分間500rpmで、遠心分離機で回転させ
ることによって乾燥させた。
【0294】 マイクロアレイを、SCNCについて最適化されたスキャナで読んだ。
【0295】 (実施例3) (タンパク質アレイ:半導体ナノクリスタルを使用する検出) タンパク質アレイを空間的にアドレスされたアレイ上のタンパク質の種類を問
いただす(interrogate)ために調製した。任意の供給源(例えば、
組換え発現系、差次的に処理された細胞上清など)から生成されたタンパク質を
、基板上の小さな空間的にアドレスされたスポットに固定化し得る。スポットの
サイズは、アッセイ基板に依存して、マイクロメーターからミリメートルの直径
で変化し得る。
【0296】 この実施例において、1μLのウサギIgGまたはマウスIgGを、ニトロセ
ルロース上にスポットし、そして乾燥させ;それぞれの異なるIgG希釈液の5
0のスポットを5×10アレイ中にアドレスした。次いで、ニトロセルロースを
、室温で30分間、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/1%ウシ血清アルブミ
ン(BSA)中でのインキュベーションによってブロックした。次いで、ビオチ
ニル化抗ウサギIgG(Vector)の1μg/mlの溶液を、30分間適用
し、そして膜を続いて過剰のPBS中で洗浄した。次いで、アレイを、30分間
室温で、PBS/1%BSA中のストレプトアビジン結合630nm発光半導体
ナノクリスタルの25nM溶液の5mlに曝露した。次いで、この膜を過剰のP
BSで洗浄し、そして半導体ナノクリスタルからの発光を、紫外光透過照明機(
transilluminator)(Stratagene Eagle E
ye(登録商標))を使用して検出し、そしてマイクロアレイスキャナを、アル
ゴンイオンレーザーで、488nmで励起するように設定した。
【0297】 各検出デバイスを使用して、1ng未満の抗体を特異的に検出した。
【0298】 (実施例4) (組織アレイ:半導体ナノクリスタルを使用する検出) 複数細胞内マーカーは、半導体ナノクリスタル標識化リガンドで同時に分析さ
れ得る。これは、規定された領域に組織サンプルを空間的に配列させることと合
わせて、細胞性マーカーを分析する処理量をさらに増加し得る。組織の小さな切
片は、顕微鏡スライドまたは当該分野で周知な他の支持体上に固定化され得る。
組織供給源は、生きた生物、種々の方法で処理された培養された細胞の集団など
に由来し得る。
【0299】 この実施例において、特定の細胞内抗原を、顕微鏡スライドに取り付けられた
組織部分において検出された。組織切片は、マウスの胃および腎臓であり、In
ovaDX(San Diego、CA)から購入した。この実施例の目的は、
核抗原を認識する自己免疫マーカー、抗核抗体(ANA)の存在または非存在を
検出することであった。抗核抗体は、ビオチニル化抗ヒト抗体を使用し、続いて
、ストレプトアビジン結合半導体ナノクリスタルのそれへの結合によって、特異
的に検出され得る。
【0300】 組織切片を、ANA(InovaDX)を含む陽性コントロールとともに、ま
たはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/1%ウシ血清アルブミン(BSA)で
希釈したヒト血清サンプルとともに1時間インキュベートした。陰性コントロー
ルサンプルもまた、InovaDXによって提供され、これはまた、バックグラ
ウンドまたは非特異的な結合情報を提供するために切片とともにインキュベート
される。次いで、この切片をPBSに繰り返し浸すことによって洗浄した。次い
で、この切片をさらに30分間室温で3μg/mlビオチニル化抗ヒト抗体(V
ector)とともにインキュベートした。スライドをPBS中で洗浄した。最
後に、この切片を室温で30分間ストレプトアビジン結合半導体ナノクリスタル
(525nmの発光ナノクリスタルと630nmの発光ナノクリスタルとの両方
が使用された)とともにインキュベートし、最後にPBS中で洗浄した。PBS
中の50%グリセロールの溶液を使用して、カバーガラスを載せ、そしてこの切
片をエピフルオレセント(epi−fluorescent)顕微鏡下で調べた
【0301】 核は、明るく染色されるので明瞭に観測されたが、細胞質ゾルおよび周りの組
織は染色されなかった。核は、陰性のコントロール切片においては観測されなか
った。
【0302】 (実施例5) (単一標的計数) これらの研究の目的は、単一の検体標的を検出し、そして定量化し得ることを
示すことであった。
【0303】 PBS中に希釈された10μg/mlのウサギIgGは、標準的なガラスカバ
ーガラスの表面に受動的に吸着された。過剰な抗体を除き、そしてこの表面をウ
シ血清アルブミン(PBS中の3%BSA、4℃で一晩または室温で2時間)で
ブロックした。各カバーガラスを異なる濃度のビオチニル化抗ウサギIgG(P
BS/1%BSA中の10nM〜100fM)に浸した。15分間室温でインキ
ュベートした後、カバーガラスを過剰のPBSで洗浄し、そして室温で10分間
、10nMストレプトアビジン官能化半導体ナノクリスタル(580nm発光)
とともにインキュベートした。室温でPBS/1%BSA/0.1%Igepa
l(登録商標)中での30分の洗浄の後に、サンプルを蛍光顕微鏡で像を映した
。単一の結合した検体分子由来の信号および分子の密度は、検体濃度の関数とし
て減少した。
【0304】 この結果は、アッセイ表面の規定された領域(本発明者らの単一分子顕微鏡の
照射パターンによって規定される約60μmの直径の円形領域)を計数すること
によって定量化された。この結果は、ビオチニル化ウサギIgGの濃度とともに
直線的であり、そして感度は、約0.001分子/μmの密度に広がった。
【0305】 本明細書中に記載される実施例および実施形態が例示のみの目的であり、それ
らを考慮して種々の改変または変更が、そしてそれらが当業者に示唆され、本出
願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解され
る。本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願が、それぞれ個
々の刊行物、特許または特許出願がまるで具体的にそして個々に参考として組み
込まれるように示されるかのような程度まで、全ての目的についてそれら全体で
参考として本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、捕捉抗体と半導体ナノクリスタルで標識されたタンパク質との間の
複合体と別の半導体ナノクリスタルで標識された二次抗体との二次的なインター
ロゲーションを含む、特定の免疫学的アッセイの結果を表わす図である。図1B
は、本発明の1つの方法に基づき、二次的なインターロゲーションにおいて形成
される三次的な複合体(捕捉抗体、半導体ナノクリスタルで標識されたタンパク
質、別の半導体ナノクリスタルで標識された二次抗体)の図である。
【図2】 図2A−2Bは、量子制限の現象の結果として、半導体ナノクリスタルに関連
する光学的な特性を図示する。図2Aおよび図2Bは、異なる半導体ナノクリス
タルサンプルからの吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示し、大きさの関数
として発光波長の変化の仕方を図示する。吸収スペクトルは、第1の吸収ピーク
の高さに正規化され、そして明確さのために垂直方向に補正された。インセット
の数は、各アンサンブルサンプル内の量子ドットの平均直径に対応する。図2C
は、半導体ナノクリスタルが構築される物質が、その発した波長にどの程度影響
を及ぼすかを図示する。3つの異なる物質の半導体ナノクリスタルからの発光ス
ペクトルを示す:CdSe(可視)、InP(可視−近赤外)およびInAs(
赤外)。
【図3】 図3は、同一の励起条件下での半導体ナノクリスタル対フルオレセインの光分
解を説明するグラフである。サンプル濃度を一致させ(〜10−5mol/l)
、そして各々をAr+レーザーからの〜1W/cmの488nm光で励起させ
た。フルオレセインは最初の数秒以内で光退色し、実際に量子ドットは最初の数
分にわたり強度においてわずかに増加したことに注意をされたい。
【図4】 図4Aおよび図4Bは、単一の半導体ナノクリスタル検出を図示する。図4A
は、レーザーエピフルオレッセンス顕微鏡を用いた単一の半導体ナノクリスタル
の写真である。個々のスポットはそれぞれ、単一の半導体ナノクリスタルからの
蛍光発光に対応する。図4Bは、単一の半導体ナノクリスタルからのスペクトル
を表わす。波長は、X軸上分散され、そしてY軸上に位置する。それぞれの水平
線は、単一の半導体ナノクリスタルからの蛍光スペクトルに対応する。異なる大
きさの半導体ナノクリスタルは、発光波長における小さな変化により容易に同定
されることに注意をされたい。
【図5】 図5Aおよび図5Bは、フルオレセインの吸収スペクトルと発光スペクトルと
の間の比較(図5A)および比較可能な有色半導体ナノクリスタル(図5B)を
示す。半導体ナノクリスタルの発光スペクトルは、フルオレセインのものよりも
有意に狭くなるが、吸収スペクトルは、青色の方に拡大し、発光波長よりも短い
全ての波長での効果的な励起を可能にすることに注意をされたい。
【図6】 図6A−6Cは、単一のハイブリダイゼーション計数を通じて達成され得る動
的な範囲の拡大を図示する。図6Aは、アンサンブル濃度レジームから単一の複
製ハイブリダイゼーションレジームへの移行の図である。図6Bは、単一のハイ
ブリダイゼーション検出を通じて達成される改善された感度を実証する模擬デー
タを示すグラフである。図6Cは、結合標識の総数が増加する、直径100μm
のアレイ内で検出される別個のポイントの理論数のプロットである。計算は、個
々の標識が同じ直径0.5μmの領域およびアレイスポットを横切って均一な平
均密度を有する標識配置の無作為な分布内に存在する場合、それらが区別され得
ないことを仮定する。飽和は、〜600より上で有意となり、同じ回折制限スポ
ット内に2つ以上の標識が発見される確率が増加する。
【図7】 図7は、単一の量子ドット顕微鏡の概略図である。
【図8】 図8A−8Eは、本発明の特定の自動化アレイ走査法における工程を説明し、
要約する。最初に、連続的な画像が、アレイを横切る周期的な位置で取られる(
図8A)。次いでアレイは、再構築される(図8B)。パターン認識は、アライ
ンメントスポットと比較したアレイスポットの配置を同定するために用いられる
(図8C)。各スポット内で、平均強度ならびに別個のポイントの総数が測定さ
れる(図8D)。平均強度および別個のポイントの総数の値が、出力される(8
E)。
【手続補正書】
【提出日】平成14年9月24日(2002.9.24)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願の相互参照) 本願は、2000年9月29日に出願され、代理人事件番号019916−0
01200USを有する米国特許出願(表題「Microarray Meth
ods Utilizing Semiconductor Nanocrys
tals」)の優先権を主張し、かつ2000年2月16日に出願された米国仮
特許出願第60/182,845号の利益を主張する(これらは両方とも、全て
の目的のためにその全体を参考として援用される)。本出願は、1999年5月
7日に出願された米国仮出願第60/133,084号の利益を主張する、20
00年5月5日に出願された米国特許出願第09/566,014号に関連する
(これらはまた両方とも、全ての目的のためにその全体を参考として援用される
)。
【0002】 (発明の背景) バイオアッセイは、生物学的サンプル中に存在する標的検体の量を調査するた
めに用いられる。表面ベースのアッセイ(このアッセイにおいて、標的の量は、
標的を固体支持体上で捕捉し、次いで検出可能な試薬で標識することにより定量
化される)は、それらが結合した標識と結合していない標識との容易な分離を可
能にすることが理由で、特に重要である。近年、異なる型のアレイを利用する多
くの表面ベースのアッセイが、開発されている。
【0003】 アレイベースのアッセイは、非常に多くの問い合わせが、アレイの空間的に異
なる配置に異なる「アッセイ」を配置することにより、同時に実施されることを
可能にすることが理由で、重要である。アドレス可能なアレイは、タンパク質、
DNA、およびRNAを含む、多くの異なる検体を研究するよう組立られ得る。 概して 、試験されるサンプルは、全アレイに広げられて、サンプル中の標的生体 分子が、アレイ上の結合パートナーとの複合体を形成し得る。この標的は代表的
に、いくつかの型の検出可能なタグ(例えば、蛍光標識または放射性標識)で標
識され、その結果、アレイ上の標識複合体を検出することにより、サンプル中の
各標的検体の量が定量化され得る。
【0004】 表面ベースのアッセイの1つの例は、DNAマイクロアレイである。DNAマ
イクロアレイの使用は、同時に多くの遺伝子をモニターする能力に起因して、遺
伝子発現および遺伝子型分類(genotyping)の研究において広範に採
用されるようになっている(例えば、Schena et al.(1995)
Science 270:467−470;およびPollack et al
.(1999)Nat.Genet.23:41−46)。100,000より
も多い異なるプローブ配列が、マイクロアレイの表面を横切る異なる空間配置(
各スポットが、単一の遺伝子に対応する)に結合され得る(Schena et
al.(1998)Tibtech 16:301−306)。蛍光標識され
たDNA標的サンプルが、アレイの表面に配置される場合、個々のDNA鎖は、
各アレイスポット内の相補鎖にハイブリダイズする。検出される蛍光レベルは、
アレイ表面に結合したコピー数を定量化(従って各遺伝子の相対的な存在を定量 )し、各スポットの配置は、遺伝的な同一性を決定する。アレイを使用する場
合、生物ゲノムにおける全ての遺伝子の発現を同時にモニターすることが、理論
的に可能である。DNAマイクロアレイの使用は、特に強力な技術であり、適用
は、全ての遺伝学の領域に広がる(例えば、Nature Genetics
21(1999)へのChipping Forecastの補足を参照のこと
)。アレイはまた、アレイフォーマットにおける広範な種々のバイオアッセイ 容易にするために 、抗体、タンパク質、ハプテン、またはアプタマーのような他
の結合部分を用いて組み立てられ得る。
【0005】 他の表面ベースのアッセイとして、マイクロタイタープレートベースのELI
SA(酵素結合イムノソルベント検定法)(このアッセイにおいて、各ウェルの
底面が異なる抗体でコーティングされる)が挙げられる。次いでタンパク質サン
プルは、各タンパク質に対する蛍光標識された二次抗体と共に各ウェルに添加さ
れる。標的タンパク質は、各ウェルの表面上で捕捉され、そして発蛍光団で二次
的に標識される。各ウェルの底面での蛍光度は、サンプル中の各標的分子の量を 定量化 する。同様に、抗体またはDNAが、ポリマービーズのような微粒子に結
合され、そして上記のようにしてアッセイされ得る。
【0006】 しばしば、アレイベースのアッセイにおける結合した複合体の検出は、その結
合複合体の一部である蛍光標識種の検出を伴う。近年、2つの蛍光色素が、アド
レス可能なアレイアッセイ技術の分野を支配している:565nmでの発光ピー
クを有するcy3、および670nmでの発光ピークを有するcy5。ほとんど
の有機色素に代表的であり、そしてアドレス可能なアレイを用いて定量的な結果
を提供するための使用を限定し得る、これらの色素の多くの特性が存在する。こ
の色素の高速な光退色が、1つの問題である。光退色とは、励起光への持続的お
よび/または反復的な曝露における蛍光強度の低下をいう。光退色は、励起光の
強度および照射時間に依存する。非蛍光種へのこの色素の変換は、不可逆的であ
る。さらに、光退色は、マイクロアレイの所定の領域から収集され得るシグナル
の量を制限し、これによって、非常に低レベルのシグナルの識別を制限する。こ
のcy5の化学的な不安定性は、この色素を非常に予測不可能なものにし、結果
的にこの色素を用いて獲得されたアッセイ結果を正確に定量化することを困難に
する。
【0007】 低い量子収率は、収集され得る光の量を制限する有機色素の別の欠点である。
有機色素に関連する広範な発光スペクトルは、異なる有色色素間の重複を生成す
る。このような重複は、アッセイ結果を定量化するためにシグナルの複雑なデコ ンボルーション を要求し、それによってこのアッセイのダイナミックレンジを制
限する。発光スペクトルは、非常に広範であるが、有機色素の励起スペクトルは
、非常に狭くなる傾向がある。結果的に、異なる光の波長が、各色素の励起のた
要求される。さらに、有機色素は小さいストークスシフト(最大吸収と最大
発光の分離)を有し、これは高い自己蛍光を生じ、そして散乱励起光による(そ
れによってこれらの測定におけるシグナルのバックグラウンドを増加させる)問
題を生じ得る。
【0008】 さらに、cy3およびcy5と共に2つの色の最大値が検出に用いられ得る。
結果的に、複数種が単一のアッセイにおいて同時に試験される複数のフォーマッ
トにおいて分析が行なわれることは困難である。アレイベースのアッセイについ
て、この制限は、複数のサンプルが同じ検体について試験される場合、複数の同
一なアレイが用いられなければならないことを意味する。例えば、20の異なる
状態の下で遺伝子発現レベルを決定しようと努める場合、20のアレイを用いて
20の異なるアッセイを実行し、それぞれ試験条件と参照条件との間で比較する
必要がある。この技術は、より多くのアレイおよび材料を要求し、それによって
、非常に費用がかかる。この技術はまた、異なる条件間の比較は、同じアレイ上
で直接的になされないので、各測定に付加的なノイズを導入する。
【0009】 有機蛍光色素に関連するこれらの問題に加えて、感度およびダイナミックレン に関する制限は、アレイベースのアッセイにおける別の問題領域である。ダイ ナミックレンジ とは、広範囲の濃度にわたって検体を同時に測定する能力をいう
。近年の検出技術を用いる場合、低濃度のレジームにおける検出感度のために高
濃度のレジームにおける線形性を犠牲にすることが、通常必要である。これは、
単一の実験のダイナミックレンジを制限する。
【0010】 アッセイの性能は、研究中のほとんどないくらい少量の標的種を特異的および
定量的に測定するその能力により代表的に測定される。これは、遺伝子発現また
は遺伝型分類のような遺伝子分析について特にあてはまり、利用可能な量の遺 質が制限される。例えば、有機色素標識を用いる近年の検出技術を用いる場合
、DNAマイクロアレイでの遺伝子発現分析は、単一のアレイハイブリダイゼー
ションのために、50μgと200μgの間の総RNAを必要とする。これは
、10 細胞に相当する要求である(Duggan(1999)Nature
Genetics 21(n1 s):10−14)。多くの例において、顕
微解剖(Sgroi(1999)Cancer Res.59:5656−5
661)を通して抽出されたサンプルのようなこれらの大量の物質は、簡単に利
用可能ではない。これは、標準的な有機発蛍光団を用いて標識されたこのような
サンプルの検出を大いに複雑にする。
【0011】 従って、アドレス可能なアレイを用いて実施されるような表面ベースのアレイ
を用いて獲得され得る結果を改善するために、既存の有機蛍光色素に関連する制
限に取り組む必要性、および感度ならびにダイナミックレンジを増大させる必要
性が存在する。
【0012】 (発明の要旨) 標識として半導体ナノクリスタルを用いる種々のアレイアッセイを実行するた
めの方法が、本明細書で提供される。この半導体ナノクリスタルの種々の特徴は
、従来の有機色素と比べて、シグナル検出を増強する。例えば、半導体ナノクリ
スタルは、検出を補助する強いシグナルを発する。いくつかの例において、シグ
ナルは、単一の半導体ナノクリスタルが検出され得る十分な強度である。この半
導体ナノクリスタルの大きさおよび組成を制御することにより、特定の波長を発
する半導体ナノクリスタルを獲得し得る。さらに、この半導体ナノクリスタルは
、大きな吸収断面を有するが、それらは狭い対称な発光スペクトルを有する。こ
のことは、多くの異なる半導体ナノクリスタルが、単一の波長で励起され得るが
、種々の異なる波長で発光し得ることを意味する。この特徴は、複数のフォーマ
ットで実施されるアッセイに有用である。半導体ナノクリスタルは、種々の異な
る生分子に容易に付着され得るので、この半導体ナノクリスタルは、種々の異な
るマイクロアレイ分析に用いられ得る。例えば、半導体ナノクリスタルは、核酸
アレイ、タンパク質アレイ、組織アレイ、または標識された標的および光学的な
検出を利用する他のアレイを用いて調査される標識標的分子に利用され得る。
【0013】 従って、サンプル中の目的のリガンドを検出するための特定の方法は、第1の
アレイを提供するために位置的に異なる配置で固体支持体に固定化された第1の
複数の抗リガンド(antiligand)を提供する工程(ここで、複数の抗
リガンドは、目的の第1のリガンドに特異的に結合し得る第1の抗リガンドを含
む)を最初に包含する。次いでこのアレイは、第1のリガンドを含むかまたは含
むと期待されるサンプルと接触される(ここで、第1のリガンドは、第1のリガ
ンドが、第1の抗リガンドと特異的に結合し、第1の複合体を形成する条件下で
、接触前、接触中、または接触後にリンカーを介して第1の半導体ナノクリスタ
ルに連結される)。非結合リガンドは、必要に応じてアレイから除去される。次
いで、第1の複合体の配置が、第1の半導体ナノクリスタルの第1の複合体にお
ける存在を検出、および必要に応じて定量化することにより同定される。
【0014】 特定の方法が、一塩基多型のような核酸における変形物を分析する際に用いら
れる。これらの方法のいくつかは、3’末端および5’末端を有する第1の複数
の核酸プライマーを提供し、そしてこのプライマーは位置的に異なる配置で固
体支持体に固定化されて第1のアレイを提供する工程を包含する(ここで、複数
のプライマーは、対立遺伝子部位を有する第1の標的核酸に相補的な第1のプラ
イマーを含む)。次いでこの第1のアレイは、第1の標的核酸が第1のプライマ
ーにハイブリダイズし、第1の標的−プライマー複合体を形成する条件下、およ
び第1の有限なヌクレオチドが対立遺伝子部位でのヌクレオチドに相補的である
場合、第1のヌクレオチドが拡張されて第1の有限なヌクレオチドを組込み、拡
張されたプライマーを提供するような条件下で、第1の半導体ナノクリスタルと
リンカーを介して連結された第1の有限な核酸の存在下で、第1の標的核酸分子
を含むかまたは含むことが期待されるサンプルと接触される。この配置または拡
張されたプライマーを含む配置は、第1の半導体ナノクリスタルのそこでの存在
を検出することにより同定される。
【0015】 他の方法は、二次的な問い合わせまたはサンドイッチタイプアッセイである。
これらの方法は代表的に、第1のアレイを提供するために位置的に異なる配置で
固体支持体上に固定化された第1の複数の抗リガンドを提供する工程を包含する
(ここで、第1の複数の抗リガンドは、第1のリガンドの結合パートナーである
第1の抗リガンドを含む)。次いでこのアレイは、第1のリガンドを含むかまた
は含むと期待されるサンプルと接触され、それによって第1の抗リガンドと第1
のリガンドとが相互作用して、第1の二成分複合体を形成する。次にこの二成分
複合体は、第2の抗リガンドと接触される(ここで、第2の抗リガンドは、(i
)第1のリガンドの結合パートナーであり、そして(ii)第1の半導体ナノク
リスタルにリンカーを介して結合され、それによって第2の抗リガンドが、第1
の二成分複合体において第1のリガンドに結合し、第1の三成分複合体を形成す
る)。第1の三成分複合体を含むアレイの配置は、第1の半導体ナノクリスタル
のそこでの存在を検出することにより、同定される。
【0016】 さらに他の方法は、アレイに結合された後にリガンドを標識する工程を包含す
る。これらの方法のいくつかは、第1のアレイを提供するために位置的に異なる
配置で固体支持体に固定化された第1の複数の抗リガンドを提供する工程を包含
する(ここで、この多数は、第1のリガンドの結合パートナーである第1の抗リ
ガンドを含む)。次いで第1のアレイは、第1のリガンドを含むかまたは含むこ
とが期待されるサンプルと接触され、それによって第1のリガンドと第1の抗リ
ガンドが相互作用して、第1の複合体を形成する。続いて、第1の複合体におけ
る第1のリガンドは、第1の半導体ナノクリスタルで標識される。第1の複合体
を含むアレイの配置は、第1の半導体ナノクリスタルのそこでの存在を検出する
ことにより、同定される。
【0017】 (詳細な説明) (I.定義) この明細書および添付の特許請求の範囲の中で使用される場合、単数形「a」
、「an」および「the」は、内容が明らかに他示さない限り、複数の参照
を含む。従って、例えば、「半導体ナノクリスタル(a semiconduc
tor nanocrystal)」を参照すると、2つ以上のこのような半導
体ナノクリスタルの混合物を含み、そして、「検体(an「analyte」)
」は、1つ以上のこのような検体を含む。
【0018】 他に定義されない限り、本発明中で使用される全ての技術用語および科学用語
は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以下
の参考文献は、本明細書中で使用される多数の用語の一般的な定義を当業者に提
供する:Singletonら、DICTIONARY OF MICROBI
OLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(第2版、1994
年);THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIEN
CE AND TECHNOLOGY(Walker編、1988年);THE
GLOSSARY OF GENETICS、第5版、R.Riegerら(
編)、Springer Verlag(1991);およびHale&Mar
ham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF
BIOLOGY(1991)。本明細書中で使用される場合、他に特定されな
い限り、以下の用語は、それらに帰する意味を有する。
【0019】 用語「半導体ナノクリスタル」、「量子ドット」、「QdotTMナノクリス
タル」または単に「ナノクリスタル」は、本明細書中で交換可能に使用され、直
径が約1nmと約1000nmとの間またはその間の整数の任意の整数もしくは
分数、一般には、約2nmと約50nmとの間またはその間の整数の任意の整数
もしくは分数、より代表的には、約2nmから約20nmまで(例えば、2、3
、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
、18、19、または20nm)の無機クリスタライトをいう。半導体ナノクリ
スタルは、励起(すなわち、半導体ナノクリスタルが発光している)の際に、電
磁放射線を放射し得、そして、1つ以上の第1の半導体物質の「コア」を含み、
そして、第2の半導体物質の「シェル」によって囲まれ得る。半導体シェルによ
って囲まれた半導体ナノクリスタルコアは、「コア/シェル」半導体ナノクリス
タルといわれる。取り囲むシェル」物質は、代表的にコア物質のバンドギャッ エネルギーより大きいバンドギャップエネルギーを有し、「コア」基板の原子
間隔に近い原子間隔を有するように選択され得る。コアおよび/またはシェル
、II−VI(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、
HgS、HgSe、HgTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe
、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeなど)
物質およびIII−V(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、In
P、InAs、InSbなど)物質およびIV(Ge、Siなど)物質のコア
および/またはシェル、ならびにその合金または混合物を含むが、これらに限定
されない、半導体物質であり得る。
【0020】 半導体ナノクリスタルは、必要に応じて、有機キャップ形成剤の「コーティン
グ」によって囲まれる。有機キャップ形成剤は、任意の多数の物質であり得るが
、半導体ナノクリスタル表面に親和性を有する。一般に、キャップ形成剤は、単
離された有機分子、ポリマー(または重合反応のための単量体)、無機複合体、
および伸長した結晶構造であり得る。可溶性(例えば、選択された溶媒中にコー
ティングされた半導体ナノクリスタルを均一に分散させる能力)、機能性、結合
特性などを与えるためにコーティングが使用される。さらに、このコーティング
は、半導体ナノクリスタルの光学的特性を調整するために使用され得る。キャッ
プ付き半導体ナノクリスタルを作製する方法は、さらに以下で議論される。
【0021】 従って、本明細書中で使用される場合、用語「半導体ナノクリスタル」、「量
子ドット」および「QdotTMナノクリスタル」は、コーティングされた半導
体ナノクリスタルコアならびにコア/シェル半導体ナノクリスタルを示す。
【0022】 「ルミネセンス」は、物体からの電磁放射線(光)を放射するプロセスを意味
する。ルミネセンスは、子の形態で対応するエネルギーの放出を伴って励起状 態から 下位状態へ「緩和する」系から生じる。これらの状態は、電気的状態、 状態、回転状態、またはこれらの3つの任意の組み合わせであり得る。ルミネ
センスを担う遷移は、系において貯蔵されるエネルギーの放出を介して化学的に
刺激され得るか、または外部供給源から系に添加され得る。エネルギーの外部供
給源は、化学的、熱的、電気的、磁気的、電磁的、物理的または系が基底状態よ
り高い状態に励起されるのを引き起こし得る任意の他の型を含む、種々の型ので
あり得る。例えば、系は、光の光子を吸収することによって、電場に配置される
ことによって、または化学的な酸化−還元反応を介して、励起され得る。ルミネ
センス間に放射される光子のエネルギーは、低いエネルギーマイクロウェーブ照
射から高エネルギーX線照射までの範囲に存在し得る。代表的に、ルミネセンス
は、UVからIR照射までの範囲における光子をいう。
【0023】 「単分散粒子」は、集団中の少なくとも約60%の粒子、より好ましくは、集
団中の75%から90%の粒子、またはこの範囲の間の任意の整数が、特定の粒
子の大きさの範囲に収まる粒子の集団を含む。単分散粒子の集団は、直径が10
%rms(二乗平均平方根(root−mean−square))未満偏向し
、そして代表的には、5%rms未満偏向する。
【0024】 成句「半導体ナノクリスタルの1つ以上の大きさ」は、成句「半導体ナノクリ
スタルの1つ以上の粒子の大きさの分布」と同義に使用される。当業者は、半導
体ナノクリスタルの特定の大きさが、粒子の大きさの分布として実際に得られる
ことを理解する。
【0025】 半導体ナノクリスタルの電磁放射線発光に関する、用語「狭域波長帯域」また
は「狭域スペクトル線幅」の使用は、さらに100nmほど多くの帯域幅を広げ
得る赤いテールを有する代表的な色素分子についての約100nmの発光帯域幅
対照的に、約40nmを超えない発光の波長帯域、および代表的に幅におい
て約20nmを超えず、そして中心について対称性である波長帯域を意味する。
参照される帯域幅は、最大値の半分のピークの高さ(FWHM)での発光の全幅
の測定から決定され、そして、200nmから2000nmの範囲で適切である
ことに注意すべきである。
【0026】 半導体ナノクリスタルの励起に関する、用語「広域波長帯域」の使用は、開始
放射線の波長と等しいかまたは短い波長を有する放射線の吸収を意味する(開始
放射線は、半導体ナノクリスタルによって吸収され得る最も長い波長の(最も低
いエネルギー)放射線であることが理解される)。この開始は、発光の「狭域波
長帯域」の近くで、しかし、これよりもわずかに高いエネルギーで発生し得る。
これは、高いエネルギー側の発光ピークの近くで発生する色素分子の「狭域吸収
帯域」とは対照的であるが、その波長から迅速に落ちて、そして、しばしば、発
光由来の100nm以上の波長において無視できる。
【0027】 用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸
分子」は、任意の長さのヌクレオチドの重合体形態(リボヌクレオチドまたはデ
オキシヌクレオチドのいずれか)を含むように本明細書中で使用される。この用
語は、分子の一次構造のみをいう。従って、この用語は、三本鎖DNA、二本鎖
DNAおよび一本鎖DNAならびに三本鎖RNA、二本鎖RNAおよび一本鎖R
NAを含む。これはまた、ポリヌクレオチドの修飾形態(例えば、メチル化によ
るおよび/またはキャップ形成による)および非修飾形態を含む。より詳細には
、用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸
分子」は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含む
)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、プリンまたはピリミジン塩
基のN−グリコシドまたはC−グリコシドである任意の他の型のポリヌクレオチ
ド、および非ヌクレオチド骨格を含む他のポリマー(例えば、ポリアミド(例え
ば、ペプチド核酸(PNA))およびポリモルホリノ(Anti−Virals
,Inc.Corvallis,OregonからNeugeneとして市販さ
れている)ポリマー、およびDNAおよびRNAにおいて見出されるように、ポ
リマーが、塩基対形成および塩基スタッキングを可能にする配置で核酸塩基を含
むという条件で、他の合成配列特異的核酸ポリマー)を含む。用語「ポリヌクレ
オチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸分子」との間で長さ
における意図された区別がなく、そして、これらの用語は交換可能に使用される
。これらの用語は、分子の一次構造のみをいう。従って、これらの用語は、例え
ば、3’−デオキシ−2’,5’−DNA、オリゴデオキシリボヌクレオチドN
3’P5’ホスホルアミデート、2’−O−アルキル置換RNA、二本鎖DNA
および一本鎖DNAならびに二本鎖RNAおよび一本鎖RNA、DNA:RNA
ハイブリッド、およびPNAとDNAまたはRNAとの間のハイブリッドを含み
、そしてまたは、公知の型の修飾(例えば、当該分野で公知である標識、メチル
化、「キャップ化」、1つ以上の天然に存在するヌクレオチドとアナログとの置
換、ヌクレオチド間の修飾(例えば、非電荷の結合(例えば、メチルホスホネー
ト、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を有する修
飾、負電荷の結合(例えば、ホルホロチオエート、ホスホロジチオエート)を有
する修飾、および正電荷の結合(例えば、アミノアルキルホスホルアミデート
アミノアルキルホスホトリエステル)を有する修飾、例えば、タンパク質のよう
なペンダント(pendant)部分を含む修飾(ヌクレアーゼ、トキシン、抗
体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンを含む)、インターカレーター(例え
ば、アクリジン、ソラレン)を用いる修飾、キレート剤(例えば、金属、放射性
金属、ホウ素、酸化金属)を含む修飾、アルキル剤を含む修飾、修飾された連結
を有する修飾(例えば、α−アノマー核酸))ならびにポリヌクレオチドまたは
オリゴヌクレオチドの修飾されていない形態を含む。特に、DNAはデオキシリ
ボ核酸である。
【0028】 用語「ポリヌクレオチド検体」および「核酸検体」は、交換可能に使用され、
そして、標的ヌクレオチド配列を含む一本鎖または二本鎖核酸分子を含む。検体
核酸は、種々の供給源(例えば、生物学的流体または固体、染色体、食料品、環
境物質など)由来であり得、そして、種々の手段によるハイブリダイゼーション
分析について調製され得る(例えば、プロテイナーゼK/SDS、カオトロピズ
ム塩など)。
【0029】 本明細書中で使用される場合、用語「標的核酸領域」または「標的ヌクレオチ
ド配列」は、標的分子内に含まれるプローブハイブリダイズ領域を含む。用語「
標的核酸配列」は、プローブが、所望な条件下で安定したハイブリッドを共に形
成する配列を含む。
【0030】 本明細書中で使用される場合、用語「核酸プローブ」または単に「プローブ」
は、上に規定されるように、標的核酸検体に存在する核酸配列に相補的な核酸配
列を含むポリヌクレオチドから構成される構造に対する参照を含む。プローブの
ポリヌクレオチド領域は、DNAおよび/もしくはRNA、ならびに/または合
成ヌクレオチドアナログから構成され得る。
【0031】 ハイブリダイズする配列は、安定したハイブリッドを提供するために完全な相
補性を有する必要はないことが理解される。多くの状況において、約10%より
少ない塩基がミスマッチの場合に安定したハイブリッドが形成され、4つ以上の
ヌクレオチドのループを無視する。従って、本明細書中で使用される場合、用語
「相補的な」は、アッセイ条件下(一般に、約90%以上の相同性が存在する場
合)でその「相補体」と安定した二本鎖を形成するオリゴヌクレオチドをいう。
【0032】 「アレイ」は、広範に、位置的に基板上の異なる位置における抗リガンドの配
列をいう。代表的に、アレイ上の抗リガンドの位置は、アレイの抗リガンドの同
一性がアレイ上のその位置から推論され得るように、空間的にコードされる。「
マイクロアレイ」は、一般に、検出が、抗リガンドとリガンドとの間に形成され
る複合体を検出するために微視的検出の使用を必要とするアレイをいう。アレイ
上の「位置」は、抗リガンドを含むアレイ表面上の局在化した領域をいい、各々
が隣接した位置から区別され得るように定義される(例えば、アレイ全体に位置
するか、またはその位置が他の位置から区別されるのを可能にするいくつかの検
出可能な特徴を有する)。代表的に、各位置は、単一の型の抗リガンドを含む。
この位置は、任意の簡便な形(例えば、円形、長方形、楕円形または楔形)を有
し得る。領域の大きさは、有意に変化し得る。いくつかの場合において、位置の
領域は、1cmより大きく(例えば、2〜20cm)、この範囲内の任意の
領域を含む。より代表的には、この位置の領域は、1cm未満であり、他の場
合において1mm未満であり、なお他の場合において、0.5mmであり、
なおさらに他の場合において、10,000μm未満であるか、または、10
0μm未満である。
【0033】 「固体支持体」は、ガラス、ニトロセルロース(例えば、膜またはマイクロタ
イターウェル形態で);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイタ
ーウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたはマイクロタイター
プレート);フッ化ビニリデン樹脂;ジアゾ化紙;ナイロン膜;活性化ビーズ、
磁気応答性ビーズなどのような平面または非平面の基板を含む。
【0034】 用語「アプタマー」(または核酸抗体)は、その形によって所望の標的分子を
認識および結合する一本鎖DNAもしくは二本鎖DNAまたは一本鎖RNA分子
をいうために本明細書中で使用される(例えば、PCT公開番号WO92/14
843、WO91/19813およびWO92/05285を参照のこと)。
【0035】 用語「アプタザイム」は、エフェクター分子(化学的または生物学的のいずれ
か)の存在下で活性化されるアロステリックなリボザイムを含む。アプタザイム
は、非共有結合分子認識事象を触媒事象に変換し得る(例えば、連結を介する新
しい共有結合の生成)。
【0036】 「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で交換可能に使用され
、そして、ペプチド結合を介して結合されるアミノ酸の分子鎖を含む。この用語
は、産物の特定の長さについていわない。従って、「ペプチド」、「オリゴペプ
チド」、および「タンパク質」は、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語
は、ポリペプチドの転写後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化
など)を含む。さらに、タンパク質のフラグメント、アナログ、変異体または改
変体タンパク質、融合タンパク質などは、ポリペプチドの意味中に含まれる。
【0037】 「リガンド」は、一般に、リガンド/抗リガンド対を形成する抗リガンドに結
合する任意の分子をいう。従って、リガンドは、リガンドのいくつかの部分また
は特徴の認識のために、その分子について、リガンドに特異的に結合する別の分
子(すなわち、抗リガンド)が存在する任意の分子である。
【0038】 「抗リガンド」は、別の分子(すなわち、リガンド)と特異的または非特異的
に相互作用する分子である。
【0039】 「標的分子」または「検体」は、その存在、非存在および/または濃度が、検
出またはアッセイされる種をいう。本明細書中に記載されるように、アレイベー
スのアッセイにおいて、標的分子または検体はまた、リガンドといわれる。
【0040】 本明細書中で使用される場合、用語「結合対」または「結合パートナー」は、
リガンドおよび抗リガンドのようにお互いに特異的に結合する第1の分子および
第2の分子をいう。用語 結合対または結合パートナーは、アレイ上に複合体を
形成する抗リガンドおよびリガンドをいい得る。この用語はまた、リガンドに結
合される第1の分子、および、リガンドが、相互作用する結合対メンバーを介し
て、半導体ナノクリスタルに結合されるように相互作用する半導体ナノクリスタ
ルに結合される第2の分子をいい得る。サンプル中の第2のメンバーの結合対へ
の第1のメンバーの結合対の「特異的な結合」は、サンプル中の他の化合物に対
してより大きい親和性および特異性を有する、第2のメンバーへの第1のメンバ
ーの結合(またはその逆)によって明らかにされる。結合対間のメンバーの結合
は、代表的に、非共有結合的である。結合パートナーは、必ずしも、単一分子の
対に制限される必要はない。例えば、単一リガンドは、2つ以上の抗リガンドの
協調作用によって結合され得る。結合対または結合パートナー間の結合の結果は
、結合複合体であり、時々、リガンド/抗リガンド複合体または単にリガンド/
抗リガンドといわれる。
【0041】 例示的な結合対としては、以下が挙げられる:(a)対応する抗体もしくは結
合部分またはそのフラグメントと組み合わせた、任意のハプテン化合物または抗
原性化合物(例えば、ジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン;フルオレセイン
および抗フルオレセイン;ジニトロフェノールおよび抗ジニトロフェノール;ブ
ロモデオキシウリジンおよび抗ブロモデオキシウリジン;マウス免疫グロブリン
およびヤギ抗マウス免疫グロブリン)、(b)非免疫学的結合対(例えば、ビオ
チン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジン、ビオチン−Neutravi
din);(c)ホルモン[例えば、チロキシンおよびコルチゾール]−ホルモ
ン結合タンパク質;(d)レセプター−レセプターアゴニストまたはアンタゴニ
スト(例えば、アセチルコリンレセプター−アセチルコリンまたはそのアナログ
);(e)IgG−プロテインA;(f)レクチン−炭水化物;(g)酵素−酵
素補助因子;(h)酵素−酵素インヒビター;ならびに(i)核酸二重鎖を形成
可能な相補的なポリヌクレオチド対など。
【0042】 用語「特異的結合分子」および「親和性分子」は、本明細書中で交換可能に使
用され、そして、サンプル中に存在する検出可能な物質に対する化学的または物
理的手段を介して、選択的に結合する分子をいう。「選択的に結合する」は、分
子が、目的の標的に優先的に結合するか、または他の分子よりも標的に対してよ
り大きい親和性を有して結合することを意味する。例えば、抗体は、それが惹起
された抗原に対して選択的に結合する;DNA分子は、実質的に相補的な配列に
結合し、そして、関連していない配列には結合しない。親和性分子は、半導体ナ
ノクリスタルに結合され得、そしてそのように結合された場合に検出可能な物質
を特異的に認識し得る、任意の分子、または任意の分子の部分を含み得る。例と
して、このような親和性分子は、以下に定義されるように、抗体、単量体または
高分子核酸、アプタマー、タンパク質、多糖類、糖などのような分類の物質を含
む(例えば、Haugland,「Handbook of Fluoresc
ent Probes and Research Chemicals」(第
6版)および上記のような結合対を形成し得る任意の分子を参照のこと)。
【0043】 「半導体ナノクリスタル結合体」は、上記で規定されるように、特定の結合分
子に結合されたかまたは会合する半導体ナノクリスタルである。「半導体ナノク
リスタル結合体」は、例えば、サンプル(例えば、本明細書中で定義されるよう
な生物学的サンプル)中に存在する検出可能な物質に選択的に結合する「結合対
」または「特異的結合分子」のメンバーに、コーティングを介して、結合される
かまたは他に会合される半導体ナノクリスタルを含む。この半導体ナノクリスタ
ルに結合された結合対の第1のメンバーは、半導体ナノクリスタルに結合され得
、そしてそのように結合された場合に結合対の第2のメンバーを特異的に認識し
得る、任意の分子、または任意の分子の部分を含み得る。
【0044】 本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、ポリクローナル調製物および
モノクローナル調製物の両方から得られる抗体、ならびに以下を含む:(i)ハ
イブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら(1991)Natu
re 349:293−299;および米国特許第4,816,56号);(
ii)F(ab’)2およびF(ab)フラグメント;(iii)Fv分子(非
共有結合へテロ二量体、例えば、Inbarら(1972)Proc Natl
Acad Sci USA 69:2659−2662;およびEhrlic
hら(1980)Biochem 19:4091−4096を参照のこと);
(iv)単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら(1988)Pro
c Natl Acad Sci USA 85;5879−5883を参照の
こと);(v)二量体および三量体抗体フラグメント構築物;ミニ抗体(min
ibodies)(例えば、Packら(1992)Biochem 31:1
579−1584;Cumberら(1992)J.Immunology 1
49B:120−126を参照のこと);(vi)ヒト化抗体分子(例えば、R
iechmannら(1988)Nature 332:323−327;Ve
rhoeyanら(1988)Science 239:1534−1536;
および英国特許公開番号GB2,276,169号(1994年9月21日に公
開された)を参照のこと);および(vii)このような分子から得られた任意
の機能的フラグメント(ここで、このようなフラグメントは、親抗体分子の特異
的な結合特性を保持する)。
【0045】 機能的な抗体フラグメントは、抗体分子から、例えば、ペプシンを使用して、
抗原結合を担っていない定常領域を切断することによって産生され得、F(ab
’)2フラグメントを生成する。これらのフラグメントは、2つの抗原結合部位
を含むが、重鎖の各々から定常領域の部分を欠く。同様に、Fabフラグメント
(これは、単一の抗原結合部位を含む)は、例えば、パパインを用いるポリクロ
ーナル抗体またはモノクローナル抗体の消化によって、産生され得る。機能的な
フラグメント(重鎖および軽鎖の可変領域のみを含む)が、組換え産生または免
疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解切断のような標準的な技術を使用し
て、産生され得る。これらのフラグメントは、Fvとして公知である(例えば、
Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69
:2659−2662;Hochmanら(1976)Biochem 15:
2706−2710;およびEhrlichら(1980)Biochem 1
9:4091−4096を参照のこと)。
【0046】 単鎖Fv(「sFv」または「svFv」)ポリペプチドは、ペプチドコード
リンカーによって連結されたVHコード遺伝子およびVLコード遺伝子を含む遺
伝子融合体から発現される、共有結合されたVH−VLヘテロ二量体である(H
ustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
5:5879−5883)。天然に凝集しているが化学的に分離した抗体V領域
由来の軽鎖および重鎖ポリペプチドを、抗原結合部位の構造に実質的に類似して
いる三次元構造に分類されるsFv分子に変換するための化学的構造(リンカー
)を区別および開発するために、多数の方法が、記載されている(例えば、米国
特許第5,091,513号、同第5,132,405号および同第4,946
,778号を参照のこと)。sFv分子は、当該分野に記載されている方法を使
用して産生され得る(例えば、Hustonら(1988)Proc.Nat.
Acad.Sci.USA 85:5879−5883;米国特許第5,091
,513号、同第5,132,405号および同第4,946,778号を参照
のこと)。設計基準は、1つの鎖のC末端ともう一方の鎖のN末端との間の距離
にわたる適切な長さを決定する工程を含み、ここで、リンカーは、一般に、コイ
ル化せず、または二次構造を形成しない傾向のある小さい親水性アミノ酸残基か
ら形成される。このような方法は、当該分野で記載されている(例えば、米国特
許第5,091,513号、同第5,132,405号および同第4,946,
778号を参照のこと)。適切なリンカーは、一般に、グリシンおよびセリン残
基の変更する組み合わせのポリペプチド鎖を含み、そして、可溶性を強化するよ
うに挿入されるグルタミン酸およびリジン残基を含み得る。
【0047】 「ミニ抗体(Mini−antibodies)」または「ミニ抗体(min
ibodies)」は、ヒンジ領域によってsFvから分離された、それらのC
末端におけるオリゴマー形成ドメインを含むsFvポリペプチド鎖である(Pa
ckら(1992)Biochem 31:1579−1584)。オリゴマー
形成ドメインは、さらなるジスルフィド結合によってさらに安定され得る自己会
合α−へリックス(例えば、ロイシンジッパー)を含む。オリゴマー形成ドメイ
ンは、膜を横切る方向の折り畳みと適合性であるように設計され、このプロセス
は、機能的な結合タンパク質にポリペプチドのインビボ折り畳みを容易にすると
考えられている。一般に、ミニ抗体は、当業者に周知の組換え方法を使用して産
生される(例えば、Packら(1992)Biochem 31:1579−
1584;Cumberら(1992)J Immunology 149B:
120−126を参照のこと)。
【0048】 本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」は、異種抗体集団
を有する抗体組成物をいう。この用語は、抗体の種類または供給源に関して制限
されないし、これが作製される様式によって制限されることを意図しない。従っ
て、この用語は、マウスハイブリドーマ、ならびにマウスハイブリドーマではな
くヒトハイブリドーマを使用して得られたヒトモノクローナル抗体から得られた
抗体を含む(例えば、Coteら、Monoclonal Antibodie
s and Cancer Therapy,Alan R.Liss,198
5、77頁を参照のこと)。
【0049】 半導体ナノクリスタルは、半導体ナノクリスタルが、特異的結合分子に化学的
に結合されるか、または会合する場合、特定の結合分子または結合対のメンバー
に「結合(連結)され(linked)」ているか、または「結合体化され」て
いるか、または「会合され」ている。従って、これらの用語は、半導体ナノクリ
スタルが、特定の結合分子に直接結合されるか、または、リンカー部分を介して
(例えば、以下に記載される化学的リンカーを介して)連結され得ることを示す
。この用語は、例えば、共有化学結合、ファンデルワールス力または疎水性相互
作用のような物理的力、カプセル化、包埋などによって、物理的に結合される。
本発明の範囲を制限することのない例としては、半導体ナノクリスタルは、細胞
、タンパク質、核酸、細胞以下の細胞小器官および他の細胞成分のような生物学
的化合物と物理的に相互作用し得る分子に結合体化され得る。例えば、半導体ナ
ノクリスタルは、タンパク質(アビジンおよびストレプトアビジン)に結合され
得るビオチンと会合し得る。また、半導体ナノクリスタルは、核酸(DNA、R
NA)に対して、非特異的または配列特異的に結合する分子と会合し得る。本発
明の範囲を制限することのない例として、このような分子は、DNAの小さい溝
に結合する低分子(総説としては、GeierstangerおよびWemme
r(1995)Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct
.24:463−493;およびBaguley(1982)Mol.Cell
.Biochem 43:167−181を参照のこと)、DNAおよびRNA
と付加物を形成する低分子(例えば、CC−1065、Hendersonおよ
びHurley(1996)J.Mol.Recognit.9:75−87を
参照のこと;アフラトキシン、Garner(1998)Mutant Res
.402:67−75を参照のこと;シスプラチン、LengおよびBrabe
c(1994)IARC SciPubl.125:339−348を参照のこ )、DNAの塩基対間でインターカレートする分子(例えば、メチジウム、プ
ロピジウム、エチジウム、プロフィリン)、総説としては、Baillyら、J
.Mol.Recognit.5:155−171を参照のこと);ブレオマイ
シン、ネオカルチノスタチンおよび他のエネジン(enediynes)のよう
な放射線様のDNA損傷剤(総説については、Povirk(1996)Mut
at.Res.355:71−89を参照のこと)、および核酸に結合するそし
て/または酸化を介して核酸を損傷する金属複合体(例えば、Cu−フェナント
ロリン、Perrinら(1996)Prog.Nucleic Acid R
es.Mol.Biol.52:123−151を参照のこと);Ru(II)
およびOs(II)複合体、例えば、Moucheronら(1997)J.P
hotochem.Photobiol.B 40:91−106を参照のこと
;DNAの化学的プローブおよび光化学的プローブ、Nielsen(1990
)J.Mol.Recognit.3:1−25を参照のこと)を含む。
【0050】 本明細書中で使用される場合、「生物学的サンプル」は、以下を含むが、これ
らに限定されない単離された細胞、組織または体液のサンプルをいう:血漿、血
清、髄液、精液、リンパ液、皮膚、呼吸路、胃腸路、および尿生殖器路の外部切
片、涙、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、器官、ならびにまたインビトロ細胞培養成
分のサンプル(細胞培養培地における細胞の増殖から生じる馴化培地、推定上ウ
イルス感染細胞、組換え細胞および細胞成分を含むがこれらに限定されない)。
【0051】 「低分子」は、実験室で合成されたかまたは天然において見出されたかのいず
れかの有機化合物または無機化合物を含むように定義される。代表的には、低分
子は、それが、いくつかの炭素−炭素結合を含み、そして、1500グラム/M
ol未満の分子量を有するという点で特徴付けられる。
【0052】 「生体分子」とは、タンパク質、アミノ酸、核酸、ヌクレオチド、炭水化物、
糖、脂質などの、合成分子または天然に存在する分子である。
【0053】 用語「多重化」とは、複数の検体または生物学的状態が、1つより多い検出可
能標識(これらの標識の各々が、異なる波長、異なる強度、異なるFWHM、異
なる蛍光寿命、またはこれらの任意の組み合わせで発光する)を使用することに
よって同時に検出され得る、アッセイまたは他の分析方法を実施することを包含
するように、本明細書中において使用される。好ましくは、各検出可能標識は、
結合対の複数の第1のメンバーの1つに結合し、これらの第1のメンバーの各々
は、その結合対の異なる対応する第2のメンバーに結合し得る。異なる発光スペ
クトルを有する半導体ナノクリスタルを使用する多重化した方法を使用して、2
〜1,000,000の範囲、好ましくは2〜10,000の範囲、より好まし
くは2〜100の範囲、またはこれらの範囲の間の任意の整数、そしてなおより
好ましくは10〜20までの範囲、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の
検体、生物学的化合物または生物学的状態を、同時に検出し得る。多重化はまた
、異なる発光スペクトルを有する1つより多い半導体ナノクリスタルの組み合わ
せが、単一の検体を検出するために使用され得る、アッセイまたは方法を包含す
る。
【0054】 「任意の」または「必要に応じて」とは、引き続いて記載される事象または状
況が起こっても起こらなくてもよいこと、ならびにその記載は、その事象または
状況が起こる例およびその事象または状況が起こらない例を含むことを意味する
。例えば、句「必要に応じてシェル材料でオーバーコートされた」とは、言及さ
れるオーバーコートが、本発明の範囲内に入るために存在しても存在しなくても
よいこと、およびこの記載が、このようなオーバーコートの存在と非存在との両
方を包含することを意味する。
【0055】 「改変の部位」、「改変部位」または「対立遺伝子部位」とは、核酸を参照し
て使用される場合には、広義に、その部位におけるヌクレオチドの同一性が、そ
の他の点では類似の配列を有する核酸の間で変化する部位をいう。二本鎖核酸に
ついては、この改変部位は、一方の鎖に可変ヌクレオチドを含み、そして他方の
鎖にその相補的なヌクレオチドを含む。改変部位は、一塩基多型の部位または体
細胞突然変異の部位(例えば、点変異、欠失、挿入、および再配置が挙げられる
)であり得る。
【0056】 「多型」とは、集団のゲノムにおける特定の遺伝子座における、2つ以上の代
替のヌクレオチド配列の発生をいう。
【0057】 「多型形態」または「対立遺伝子」とは、アッセイにおいて排他的に区別可能
である多型の代替の形態をいう。
【0058】 「多型標識」または「部位」とは、発散が起こる遺伝子座をいう。好ましい は、各々が、選択された集団の1%より高い頻度で、そしてより好ましくは、
10%または20%より高い頻度で起こる、少なくとも2つの多型形態を有する
。遺伝子座は、多型が1つのヌクレオチドの置換または欠失である場合には1塩
基対程度に小さくあり得、あるいは多型が例えば染色体の一部の欠失、反転また
重複である場合には複数の塩基対であり得る。多型標識としては、例えば、制
限断片長多型、縦列繰り返し配列数多様性(VNTR)、超可変領域、ミニサテ
ライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復
、単純配列反復、およびAluのような挿入エレメントが挙げられる。1つの同
定された対立遺伝子形態が、参照対立遺伝子として任意に指定され、そして他の
対立遺伝子形態が、代替または改変体の対立遺伝子として指定される。選択され
た集団において最も頻繁に生じる対立遺伝子形態は、時々、野生型形態と称され
る。二倍体の生物は、対立遺伝子形態に対してホモ接合であってもヘテロ接合で
あってもよい。対立遺伝子多型は、2つの形態を有する。対立遺伝子多型は
、3つの形態を有する。
【0059】 一塩基多型(SNP)は、単一のヌクレオチドによって占有される多型部位に
おいて起こり、これは、対立遺伝子配列の間の改変の部位である。この部位には
、通常、高度に保存された対立遺伝子の配列(例えば、集団のうちの1/100
未満または1/1000未満のメンバーが変化した配列)が先行し、そしてこの
配列が続く。一塩基多型は、通常、1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドと多
型部位において置換されることに起因して、生じる。トランジションは、あるプ
リンの別のプリンによる置き換え、またはあるピリミジンの別のピリミジンによ
る置き換えである。トランスバージョンは、プリンのピリミジンによる置き換え
またはその逆である。一塩基多型はまた、参照対立遺伝子に対する1つのヌクレ
オチドの欠失、または1つのヌクレオチドの挿入から生じ得る。
【0060】 「プライマー」とは、適切な条件下(すなわち、4つの異なるヌクレオチド三
リン酸および重合のための薬剤(例えば、DNAまたはRNAのポリメラーゼま
たは逆転写酵素)の存在下)で適切な緩衝液中で、そして適切な温度で、テンプ
レート特異的DNA合成の開始点として働き得る、一本鎖ポリヌクレオチドであ
る。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図される使用に依存するが、代
表的には、少なくとも7ヌクレオチド長であり、より代表的には、10〜30ヌ
クレオチド長の範囲である。短いプライマー分子は、一般に、テンプレートとの
十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より低い温度を必要とする
。プライマーは、テンプレートの正確な配列を反映する必要はなく、テンプレー
トとハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。用語「プライ
マー部位」または「プライマー結合部位」とは、プライマーがハイブリダイズす
る標的DNAのセグメントをいう。用語「プライマー対」とは、増幅されるべき
DNA配列の5’末端の相補体とハイブリダイズする5’「上流プライマー」、
および増幅されるべき配列の3’末端とハイブリダイズする3’「下流プライマ
ー」を含むプライマーのセットを意味する。
【0061】 「完全に相補的である」プライマーは、プライマーの全長にわたって完全に相
補的な配列を有し、そしてミスマッチを有さない。このプライマーは、代表的に
、標的配列の部分(部分配列)に対して完全に相補的である。「ミスマッチ」と
は、プライマーにおけるヌクレオチドおよびこのプライマーと整列した標的核酸
におけるヌクレオチドが相補的ではない部位をいう。用語「実質的に相補的」と
は、プライマーを参照して使用される場合に、プライマーがその標的配列と完全
には相補的ではないこと;その代わりに、このプライマーは、所望のプライマー
結合部位においてそのそれぞれの鎖に選択的にハイブリダイズするためのみに十
分に相補的であることを意味する。
【0062】 「標本」とは、分析のために得られた任意の物質または材料の小さな部分また
はサンプルである。
【0063】 「組織」とは、特定の機能の性能に統合した類似の細胞の凝集体である。4つ
の基本的な組織は、上皮、結合組織(血液、骨および軟骨を含む)、筋肉組織な
らびに神経組織である。
【0064】 「細胞標本」とは、全細胞を含む標本であり、そして組織を含む。例としては
、皮膚、乳房、前立腺(prostrate)、血液、精巣、卵巣および子宮内
膜由来の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】 「細胞懸濁物」とは、内部に細胞が分散した液体であり、そして均一な懸濁物
または不均一な懸濁物を含み得る。細胞懸濁物の例は、腫瘍部位、細胞学標本、
洗浄液、細胞を含む尿、腹水(ascitic fluid)、または他の体液
から微細針で吸引することによって得られるものである。
【0066】 「細胞学的調製物」とは、病理学的試験または分析のために、細胞懸濁物がス
ミアまたは他の形態に転換され得る、病理学的標本である。
【0067】 「腫瘍」とは、悪性または非悪性のいずれかであり得る新生物である。「同じ
組織型の腫瘍」とは、特定の器官(例えば、乳房、前立腺、膀胱または肺)にお
いて生じた原発腫瘍をいう。
【0068】 用語「天然に存在する」とは、物体に対して適用される場合に、その物体が天
然に見出され得ることを意味する。
【0069】 用語「被験体」および「個体」は、本明細書中において互換可能に使用され、
任意の型の生物(植物、動物および微生物を含むがこれらに限定されない)をい
う。
【0070】 (II.概説) 本発明は、半導体ナノクリスタル(本明細書中において単純に、量子ドットま
たはQdotTMとも称される)を標識として使用して、アレイにおいて形成さ
れる種々の複合体の検出を増強する、種々の型のアドレス可能なアレイを用いて
アッセイを実施するための、種々の方法を提供する。半導体ナノクリスタルは、
核酸アレイ、タンパク質アレイ、組織アレイ、または光学的検出方法を利用する
本質的に任意の他の型のアレイにおいて使用するための、種々のリガンドまたは
標的分子を標識するために使用され得る。半導体ナノクリスタル標識は、目的の
リガンドに、共有結合または非共有結合を介して直接組み込まれ得るか、または
直接的に結合され得るか、あるいはリンカーを介して間接的に結合され得る。異
なるサンプルにおけるリガンドを異なる半導体ナノクリスタルで標識することに
よって、この方法は、多重形式において使用され、単一のアレイを用いて複数の
サンプルを同時に評価し得る。いくつかの方法はまた、各々が単一の半導体ナノ
クリスタルを保有するリガンドを利用する。
【0071】 種々のパラメータを制御することによって、アレイに基づくアッセイにおいて
使用するためのリガンドまたは抗リガンドを標識するために利用される、半導体
ナノクリスタルは、多数の所望の特性を有するようあつらえられ得る。例えば、
特徴的なスペクトル発光を有する半導体ナノクリスタルが生成され得る。これら
のスペクトル発光は、粒子サイズ、サイズ分布および/または粒子の組成を変化
させることによって、所望の波長に同調され得る。このことは、複数の発光色が
達成され得ることを意味し、これは、異なるサンプルから別個にリガンドを検出
する際に利用され得る特徴である。半導体ナノクリスタルの集団の発光スペクト
ルは、サンプル集団のサイズ分布不均一性に依存して、25〜30nm程度の狭
域線幅を有し、そして対称的か、ガウス曲線か、またはテーリング領域のないほ
ぼガウス曲線の線形状を有するように、操作され得る。同調可能性(tunab ility )、狭域線幅、および対称的な発光スペクトルの組み合わせは、複数
の大きさの半導体ナノクリスタル(例えば、1つの系内に複数の異なるサイズ分
布を有する単分散半導体ナノクリスタルの集団)の高い分解能、および種々の種
の同時の検出を可能にする。
【0072】 さらに、このようなナノクリスタルの励起波長の範囲は広く、そして利用可能
な全ての半導体ナノクリスタルの発光波長よりエネルギーが高くあり得る。この
特徴は、異なる発光スペクトルを有する、系内の半導体ナノクリスタルの全ての
集団の同時の励起を引き起こすために、単一のエネルギー源(例えば、光であっ
て、通常は、スペクトルの紫外領域または青色領域)の使用を可能にする。半導
体ナノクリスタルはまた、高い量子収率を有することによって、従来の有機蛍光
色素よりずっと強力であり得、そして代表的に、アレイに基づくアッセイにおい
て従来利用されている有機色素より、光退色に対してより抵抗性である。ナノク
リスタルの強さはまた、試験される系における有機色素の分解生成物による汚染
の問題を軽減する。さらに、半導体ナノクリスタルは、比較的大きなストークス
シフトを有し、これによって、自己蛍光および散乱励起光に関する問題を有意に
軽減する。従って、半導体ナノクリスタルと組み合わせて使用されるアレイに基
づく技術は、種々のアッセイを実施するための高感度な手段として使用され得、
そして特定の例においては、これらの方法は、アレイ上において形成される複合
体の定量を可能にするよう設計され得る。
【0073】 半導体ナノクリスタルのこれらの種々の局面はまた、アレイを使用してアッセ
イされるようなリガンドを検出および定量するための方法における、融通性を可
能にする。例えば、単一のナノクリスタルを検出する能力は、いくつかの例にお
いて、そのアレイに結合した単一のリガンドが、個々に計数され得ることを意味
する。この能力は、アレイに結合したリガンドの量を定量し得ること、および既
知の濃度のサンプルに対する較正によって、リガンドを含むもとのサンプルにお
けるそのリガンドの量を定量し得ることを意味する。
【0074】 半導体ナノクリスタルの使用はまた、他の型の標識を用いて実施されるアッセ
イに対して検出のダイナミックレンジが拡張することを可能にする。アレイに結
合した標識リガンドの密度に依存して、検出は、単一のリガンド(より低い密度
)を計数すること、またはそのアレイの各配置からの全発光強度(より高いリガ
ンド密度)を決定することを包含し得る。これらの検出レジメンの間を選択する
能力は、検出のダイナミックレンジの有意な拡張を生じ、従って、より大きな範
囲の濃度のリガンドが、アレイに結合したかまたは元のサンプル中に存在したか
のいずれかで正確に定量され得ることを可能にする。
【0075】 (III.半導体ナノクリスタルを利用する、アレイに基づく方法) (A.一般的方法) 本発明は、一般に、種々のアレイ形式を使用して、リガンドまたは標的分子を
アッセイするための種々の方法を提供する。半導体ナノクリスタルは、いくつか
の局面において、検出を増強するための標識剤として使用される。この方法は、
上に複数の抗リガンドが配置されるかまたは結合される、基板または支持体を含
むアレイを利用する。結合される場合に、これらの抗リガンドは、この支持体に
直接結合され得るか、またはリンカーを介して結合され得る。このアレイは、抗
リガンドが配置または結合される、種々の異なる配置を含み、従って、このアレ
イ上におけるこれらの抗リガンドの同一性は、空間的にコードされる。各配置は
、少なくとも1つの抗リガンドを有するが、しばしば、複数の抗リガンドが、各
配置に存在する。種々の配置における抗リガンドは、同じであるかまたは異なり
得る。
【0076】 このアレイは、1つ以上のリガンドを含むか、または潜在的に含む、サンプル
に接触される。このサンプル中のリガンドがアレイの抗リガンドに接触される際
に、結合対のメンバーであるリガンドおよび抗リガンドが相互作用して、複合体
を形成する。これらのリガンドは、リガンドを含むサンプルをアレイに接触させ
る前か後のいずれかに、半導体ナノクリスタルで標識され得る。
【0077】 次いで、このアレイは、代表的にリンスされて、複合体形成していないリガン
ドおよび他のアッセイ成分を除去される。このアレイ上において形成した複合体
は、この複合体に含まれる半導体ナノクリスタルによって媒介されるシグナルを
検出することによって、同定される。リガンドに結合した抗リガンドの同一性は
、このアレイ上における抗リガンドの配置に基づいて、決定され得る。
【0078】 この一般的スキームには、種々の改変がなされ得る。例えば、1つ以上の標識
されていないリガンドを含むサンプルが、複数の抗リガンドを含むアレイに接触
され得る。上記のように、結合パートナーであるリガンドおよび抗リガンドは、
二成分複合体を形成する。これらのリガンドは標識されていないので、複合体は
、この二成分複合体を半導体ナノクリスタルで標識された二次抗リガンドを含む
サンプルと接触させることによって、検出され得る。この二次抗リガンドは、結
合パートナーである二成分複合体におけるリガンドに結合して、三成分複合体を
形成し得る。抗リガンドがリガンドと複合体形成する、アレイにおける配置が、
次いで、この三成分複合体における半導体ナノクリスタルからのシグナルによっ
て検出され得る。このアプローチは、抗リガンドが結合パートナーであるリガン
ドを捕獲するよう働く、サンドイッチ型のアッセイである。次いで、このリガン
ドは、標識された二次抗リガンドに結合し、その結果、このリガンドは、2つの
抗リガンドの間にサンドイッチされる。
【0079】 下記にさらに詳細に記載されるように、大きさを調節することによって異なる
半導体を同調して区別可能な波長で発光させる能力が、種々の異なる多重分析を
実施することを可能にする。例えば、異なるサンプル由来の異なるリガンドが、
別個に標識され、次いで一緒に混合され得る。この混合物が、アレイに適用され
得、そして異なるサンプル由来のリガンドを含む複合体が、複合体における半導
体ナノクリスタルの色に基づいて同定され得る。あるいは、単一のサンプルにお
ける異なるリガンドが、異なる結合対の第1のメンバーを異なるリガンドに選択
的に結合させることによって、差示的に標識され得る。次いで、種々の結合対の
第2のメンバーが、異なる半導体ナノクリスタルに選択的に結合され得る。次い
で、得られるリガンドおよび半導体ナノクリスタルが混合され得る。このサンプ
ルにおける異なるリガンドが、差示的に標識される。なぜなら、各リガンドが、
相補的な結合対メンバーを保有する標識に結合するのみであるからである。
【0080】 (B.半導体ナノクリスタル) 半導体ナノクリスタルは、代表的に、ナノメートルの大きさの半導体結晶であ
り、これは、この結晶の大きさと材料との両方に強く依存する光学特性を有する
(例えば、Alivisatos(1996)Science 271:933
−937を参照のこと)。半導体ナノクリスタルの1つの特徴は、半導体ナノク
リスタルからの吸収スペクトルおよび発光スペクトルが、これらの大きさを変化
させることによって、広範囲の電磁スペクトルにわたって同調され得ることであ
る。例えば、CdSeから作製された半導体ナノクリスタルは、490nmと6
40nmとの間の任意の選択波長において、狭域波長帯域の光を発光し得る。
【0081】 半導体ナノクリスタルの大きさ依存性の光学特性の背後の原理は、「量子閉じ
込め」と呼ばれる効果である(例えば、Efrosら(1982)Sov.Ph
ys.Semicond.16:772−775を参照のこと)。バルク半導体
からの発光は、半導体格子内での電子および抗電子(正孔)の形成および消滅を
介して、発生する。バルク半導体において、この「電子正孔対」のエネルギーは
、全体的に、半導体材料の組成によって支配される。しかし、半導体の物理的大
きさが減少されて、電子−正孔対の固有の大きさより小さくなった場合には、こ
の励起を半導体構造内に閉じ込めるために、さらなるエネルギーが必要とされる
。半導体ナノクリスタルの大きさ範囲において、閉じ込めエネルギーは極度に大
きくあり得、そしてその材料の吸収エネルギーおよび発光エネルギーに影響を与
える優勢な因子の1つとなる。従って、量子ドットの大きさを変化させることに
よって、吸収および発光は、閉じ込めエネルギーの変化に起因して、改変され得
る。図2A〜2Bは、同じ材料(CdSe)の異なる大きさの半導体ナノクリス
タルからの一連の吸収発光スペクトルを示すことによって、この効果を実証する
。半導体ナノクリスタルの材料を変化させることもまた、発光エネルギーに影響
与え得る。いくつかの異なる材料を使用することによって、紫外線から赤外線へ
と同調可能な発光スペクトルを有する半導体ナノクリスタルを生成することが可
能である(図2Cを参照のこと)。
【0082】 半導体ナノクリスタルは、それらのルミネッセンス特性における量子閉じ込め
効果を実証する。半導体ナノクリスタルが一次エネルギー源によって照射される
場合に、エネルギーの二次発光が、半導体ナノクリスタルにおいて使用される半
導体材料のバンドギャップに対応する周波数で起こる。量子が閉じ込められた粒
子において、バンドギャップエネルギーは、ナノクリスタルの大きさおよび/ま
たは組成の関数である。種々の大きさおよび/組成の半導体ナノクリスタルの混
合された集団は、単一の波長の光を使用して、同時に励起され得、そして検出可
能なルミネッセンスが、複数の波長において起こるように操作され得る。ルミネ
ッセンス発光は、集団を構成する半導体ナノクリスタルの大きさおよび/または
組成に関連する。
【0083】 より具体的には、三次元すべてにおける電子と正孔との両方の量子閉じ込めは
、結晶サイズが減少している材料の効果的なバンドギャップの増加を導く。その
結果、半導体ナノクリスタルの光吸収および発光の両方が、青色(より高いエネ
ルギー)にシフトする。一次光源への暴露の際に、各半導体ナノクリスタルの分
布は、半波高全副値(FWHM)が12nm〜60nm程度に狭く、そして対称
的なほぼガウス曲線の形状を有する狭域スペクトル線幅のエネルギーを発光し得
、従って、特定の半導体ナノクリスタルを同定するための容易な様式を提供する
。当業者が理解するように、線幅は、他のことのうちでもとりわけ、各調製物に
おける半導体ナノクリスタルの大きさの不均一性(すなわち、単分散性)に依存
する。特定の単一半導体ナノクリスタル複合体は、12nm〜15nm程度に狭
いFWHMを有することが観察された。35nm〜60nmの範囲のより大きな
線幅を有する半導体ナノクリスタル分布は、容易に作製され得、そしてより狭い
線幅を有する半導体ナノクリスタルと同じ物理的特性を有する。
【0084】 半導体ナノクリスタルの発光特性は、大きさおよび組成に依存するので、異な
る半導体ナノクリスタルを、多数の様式(例えば、発光強度、発光波長、半波高 全幅値 、吸収、散乱、蛍光寿命、または上記のものの任意の組み合わせが挙げら
れる)で、検出および/または区別し得る。
【0085】 コア/シェル半導体ナノクリスタルは、第2のバンドギャップがより高い材料
(例えば、ZnS)のシェルでコーティングされた、CdSeのような1つの材
料から作製されるナノクリスタルである(例えば、Hinesら(1996)J
.Phys.Chem.100:468−171;Pengら(1997)J.
Am.Chem.Soc.119:7019−7029;およびDabbous
iら(1997)J.Phys.Chem.B 101:9463−9475を
参照のこと)。より高いバンドギャップのシェル材料が、蛍光電子−正孔対が表
面および周囲環境と相互作用しないよう保護する(このような相互作用は、半導
体ナノクリスタルにおける蛍光の消光を生じ得る)。このことは、有意に増強さ
れた蛍光量子収率を生じ、代表的には50%〜80%である。これらのコア/シ
ェル構造は、有機リガンドで固有に官能基化された表面を有する。
【0086】 以下にさらに詳細に記載されるように、これらのリガンドの改変は、水溶性の
半導体ナノクリスタルを作製することを可能にし、これらのナノクリスタルは、
ビオチン、ストレプトアビジンおよび抗体のような生物学的に重要な分子に直接
結合体化し得る。半導体ナノクリスタルと種々の生物学的分子または基質を結合
させるための技術は、例えば、Bruchezら(1998)Science
281:2013−2016,Chanら(1998)Science 281
:2016−2018,Bruchez「Luminescent Semic
onductor Nanocrystals:Intermittent B
ehavior and use as Fluorecent Biolog
ical Probes」(1998)Doctoral dissertat
ion,University of California,Barkele
y,Mikulec「Semiconductor Nanocrystal
Colloids:Manganese Doped Cadmium Sel
enide,(Core)Shell Composites for Bio
logical Labeling,and Highly Fluoresc
ent Cadmium Telluride」(1999)Doctoral
dissertation,Massachusetts Institut
e of Technologyに記載されている。
【0087】 いくつかの光学特性は、半導体ナノクリスタルを、アレイに基づく方法におい
て複合体を検出するために有用にする。これらの特性としては、以下が挙げられ
る: 1)大きな吸収断面積。半導体ナノクリスタルは、匹敵する有機色素と比較し
て、非常に大きな吸収断面積を有する。例えば、Cy5は、約630nmにおい
て、約250,000M−1cm−1の最大断面積を有し、一方で赤色CdSe
半導体ナノクリスタル(640nmで発光)は、630nmにおいて、約800
,000M−1cm−1および488nmにおいて2×106M−1cm−1
り大きな断面積を有する。このことは、半導体ナノクリスタルおよびCy5のそ
れぞれに対して、488nmおよび632nmの匹敵する励起強度を用いて、半
導体ナノクリスタルは、8倍より多くの量の入射光を吸収し得ることを意味する
【0088】 2)高い量子収率。上記のように、半導体ナノクリスタルは、80%程度に高
い量子収率を有し得、従って、吸収された光子の有意な数が、蛍光シグナルとし
て再発光される。
【0089】 3)高い光安定性。多くの有機色素とは異なり、半導体ナノクリスタルは、高
い光安定性を示す。図3は、同一の励起条件下で、フルオレセインと水溶性半導
体ナノクリスタルとの間の光退色の比較を示す。増強した光安定性は、半導体ナ
ノクリスタルからの蛍光が、長時間にわたって積分され得、これによって、検出
感度を有意に増強することを意味する。
【0090】 高い吸収断面積、高い量子収率および高い光安定性は、一緒になって、顕著に
明るい蛍光団を作製する。特定の半導体ナノクリスタルを用いて、単一の半導体
ナノクリスタルからの蛍光を検出し得る(図4Aおよび4B)。実際に、特定の
単一の半導体ナノクリスタルからの蛍光は、十分に明るいので、肉眼で見える。
この高い蛍光強度は、下記でさらに詳細に説明されるように半導体ナノクリスタ
ルで標識された、単一の結合した標的分子の検出を可能にするために、調査され
得る。
【0091】 半導体ナノクリスタルのさらなる有用な特徴としては、以下が挙げられる: 4)狭い対称的な発光スペクトル。半導体ナノクリスタルからの発光スペクト
ルは、大部分の有機色素のものより有意に狭く、そしてより長波長側に延びる非
対称テイルを有さない。図5Aおよび5Bは、フルオレセイン(図5A)および
匹敵するカラー半導体ナノクリスタルアナログ(図5B)の吸収スペクトルおよ
び発光スペクトルの比較を示す。狭い対称的な発光スペクトルは、多重アッセイ
における隣接する色の重なりを有意に減少させ、これによって検出感度を増加さ
せる。
【0092】 5)大きな「ストークスシフト」。有機色素を用いて観察される性能とは対照
的に、半導体ナノクリスタルは、これらが励起する発光からさらなる遠く離れた
さらなる光を実際に吸収することを示す(図5Aおよび5B)。従って、青色か
ら非常に遠くで励起させ得、散乱した励起光または自己蛍光から発光波長におけ
る任意の干渉を最小にし、このことは一般に、励起波長の近くの波長における発
光を生じる。
【0093】 6)同調可能な発光。半導体ナノクリスタルは、これらが発光する波長を制御
するように、合成され得る。従って、発光波長は、自己蛍光との重なりを回避す
るよう選択され得る。さらに、半導体ナノクリスタルはまた、発光波長より短い
波長で励起し得るので、励起はまた、自己蛍光を励起することを回避するよう選
択され得る。適切に選択された励起波長および発光波長は、自己蛍光を有意に低
下させ得、これによって、検出感度を増加させ得る。
【0094】 7)多重発光。広域励起スペクトルは、多数の半導体ナノクリスタルカラーが
単一の励起波長によって同時に励起されることを可能にする。例えば、図2Aお
よび2Bの全ての半導体ナノクリスタルサンプルは、457nmの光を用いて効
果的に励起され得る。この特性は、半導体ナノクリスタルに独特であり、そして
多重バイオアッセイの検出のための光学系の開発を単純にする。
【0095】 (C.標識) 種々の方法が、半導体ナノクリスタルを用いる生体分子の標識について利用可
能である。特定の方法において、この半導体ナノクリスタルおよび生体分子は、
この2つの分子の結合を可能にする適切な官能基を有する。特定の生体分子は、
合成(例えば、核酸への、半導体ナノクリスタルで標識されたヌクレオチドの組
み込み)の間に最終生体分子に組み込まれる生体分子の成分(例えば、ポリマー
のモノマー)を標識することによって、標識され得る。この半導体ナノクリスタ
ルおよび生体分子はまた、リンカーを介して連結され得る。このリンカーは、代
表的には、各端部に官能基を有する二官能基である。このリンカーの1つの端部
は、半導体ナノクリスタルに結合し、そして他方の端部は、生体分子に結合する
【0096】 あるいは、この半導体ナノクリスタルは、結合対の1つのメンバーを保有し得
、そして生体分子は、この結合対の他のメンバーを保有し得る。従って、この生
体分子およびナノクリスタルは、結合対のメンバーを介して結合され得る。
【0097】 標識に関するさらなる詳細は、種々の型のアレイベースのアッセイについて、
そして以下の結合の節において記載される。
【0098】 (D.アレイ) 上記のように、アレイは、概して、このアレイにおける種々の生体分子の同一
性がこのアレイにおけるその配置に基づいて決定され得るような、基材上の位置
的に異なる配置の生体分子の配列をいう。このアレイの生体分子は、直接または
リンカーを介してのいずれかで、このアレイの生体分子の相対的位置を維持する
支持体に結合される。
【0099】 この支持体は、複数の生体分子を支持し得、そして生体分子が位置的に異なっ
たまま残るようにこの生体分子を維持し得る、任意の材料であり得る。それ故、
この支持体は、広範な種々の材料から製造され得る。例えば、この支持体は、有
機、無機、生物学的、または非生物学的な材料、あるいはこれらの材料の組合せ
から作製され得る。適切な支持体の特定の例としては、以下が挙げられるがこれ
らに限定されない:種々のプラスチック、ポリマー、Pyrex(登録商標)、
石英、樹脂、ケイ素、シリカまたはシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラ
ス、無機結晶、セルロース、ナイロンなど。
【0100】 この支持体の形状もまた変化し得る。この支持体は、本質的に任意の構成を有
し得る。これは、実質的に平坦な面を含んでもよいし、平坦な面が欠如してもよ
い。この基材は、上昇した領域または低下した領域を有し得、ここで反応が起こ
り得るか、あるいはここに溶液または懸濁液が配置され得る。このような支持体
の特定の例は、当該分野で公知のマイクロタイタープレートである。この支持体
についての他の適切な形状としては、例えば、以下が挙げられるがこれらに限定
されない:ビーズ、粒子、鎖、ゲル、シート、膜、チュービング、キャピラリー
、パッド、フィルム、プレートおよびスライド。このアレイはまた、光ファイバ
ーの束の形態であり得、この束における各ファイバーは、実質的に平坦な端部を
有するか、またはこの端部にエッチングされたキャビティを含む端部を有する(
例えば、米国特許第5,837,196号およびPCT公開WO 98/507
82を参照のこと)。
【0101】 (IV.核酸アレイ) (A.核酸アレイを用いる一般的方法) (1.接触/ハイブリダイゼーション) 1つ以上の供給源からの、標的核酸を含むか潜在的に含むサンプルは、このア
レイ上に異なる配置で付着された核酸プローブのアレイと接触される。この標的
核酸は、代表的に、アレイをサンプルと接触する前に1つ以上の半導体ナノクリ
スタルで標識されるか、またはこれらがこのアレイに付着された相補的なプロー
ブにハイブリダイズされ始めた後に、標的核酸の標識を容易にする改変ヌクレオ
チドを含む。例えば、改変ヌクレオチドは、半導体ナノクリスタルに保有される
相補的な官能基と反応する基で官能基化されたヌクレオチド(例えば、dATP
、dTTP、dGTPおよびdCTP)であり得る。あるいは、この改変ヌクレ
オチドは、半導体ナノクリスタルに付着された結合対の他のメンバーと特異的に
結合する、結合対の1つのメンバーに付着される。
【0102】 標的核酸が、このアレイに付着された相補的なプローブとハイブリダイズされ
た後に、このアレイは、必要に応じてストリンジェンシー緩衝液で洗浄されて、
未結合または非特異的に結合した標的核酸を除去する。このアレイ上で形成され
たハイブリダイゼーション複合体は、ハイブリダイゼーション複合体中にある標
的核酸に付着した半導体ナノクリスタルに付随または媒介されるシグナルを検出
することによって、検出される。
【0103】 これらの一連の工程は、種々の自動化システムを利用して自動化され得る。こ
れらのシステムは、実施される特定の分析に適切であるように反応条件を調節す
るための、温度コントローラおよびミキサーを備え得る。このシステムは、温度
および混合条件をプログラムするために、ならびに自動的に試薬を分配し、アレ
イを洗浄し、そして検出アッセイを行うために、プログラム可能であり得る。こ
のようなシステムおよび構成要素に関する情報は、例えば、PCT公開WO 9
5/3386に記載される。
【0104】 ちょうど記載したように、このアレイは、代表的に、このアレイへのサンプル
の適用の後に、未結合の標的核酸を除去するために、そして結合したプローブ核
酸に対して完全に相補的ではない標的核酸を少なくとも部分的に除去するために
、ストリンジェンシー洗浄される。選択されたハイブリダイゼーション条件の
ストリンジェンシーは、当該分野で公知の種々の要因(例えば、温度、イオン強
度およびpHを含む)に依存する。核酸のハイブリダイゼーションについての広
範な手引きは、Tijssen,Techniques in Biochem
istry and Molecular Biology−Hybridiz
ation with Nucleic Probe,「Overview o
f principles of hybridization and th
e strategy of nucleic acid assays」(1
993)において見出される。
【0105】 一般に、「ストリンジェントな条件」は、規定されたイオン強度、pHで特定
配列の熱融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるように選択される。このTm
は、標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズ
する温度(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度での)である(標的配列
が過剰に存在する場合、Tmで、50%のプローブが平衡状態で占有される)。
ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0Mナトリ
ウムイオン未満、代表的には約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(ま
たは他の塩)であり、そして温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレ
オチド)については少なくとも約30℃であり、そして長いプローブ(例えば、
50ヌクレオチドより長い)については少なくとも約60℃である条件である。
ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっ
てもまた達成され得る。選択的または特異的ハイブリダイゼーションについて、
陽性のシグナルはバックグラウンドの少なくとも2倍であり、好ましくはバック
グラウンドの10倍のハイブリダイゼーションである。
【0106】 「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、40%ホル
ムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中37℃でのハイブリダイゼー
ション、および1×SSCで45℃での洗浄を含む。陽性のハイブリダイゼーシ
ョンは、少なくともバックグラウンドの2倍である。当業者は、代替のハイブリ
ダイゼーションおよび洗浄条件が、類似のストリンジェンシー条件を提供するた
めに利用され得ることを容易に認識する。
【0107】 (2.核酸の標識) アレイの使用によって分析される標的核酸に半導体ナノクリスタルを組み込む
ために、種々の方法が利用され得る。1つのアプローチは、半導体ナノクリスタ
ルで標識されたdNTPの存在下で、テンプレート核酸を逆転写することによる
、逆転写されたcDNAへの半導体ナノクリスタル−dNTPの酵素的組み込み
を含む。第2のアプローチにおいて、所望のcDNAは、1つ以上の半導体ナノ
クリスタルで標識されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーを使用して
増幅される。
【0108】 単一の半導体ナノクリスタルが検出され得るように、特定の半導体ナノクリス
タルの発光強度が十分に高いため、いくつかの方法において、ちょうど1つの半
導体を核酸に組み込むことが有利である。単一の半導体ナノクリスタルの核酸へ
の組み込みは、標的の増幅の間に、単一の半導体ナノクリスタルで標識されたプ
ライマーを使用して達成され得る。以下により詳細に記載するように、単一の半
導体ナノクリスタルでの標識は、総蛍光強度を使用する、アレイにハイブリダイ
ズするリガンド(例えば、cDNA)の量の定量を可能にする。既存の有機色素
を用いる場合、低い感度は、検出のために、各cDNAに結合された複数の蛍光
体を必要とする。これは、cDNAハイブリダイゼーションの定量的測定を妨げ
る。なぜなら、蛍光体/cDNAの数が未知だからである。
【0109】 第3の核酸標識アプローチは、逆トランスクリプターゼを使用する、活性基で
官能基化されたdNTPからのcDNAの合成を含む。次いで、得られた非標識
形態は、半導体ナノクリスタルの表面への活性基の直接結合体化によって標識さ
れる。本明細書中で使用される場合、「活性基」または「官能基」は、特定の分
子または分子のファミリーの構造を規定し、そして同時に、それらの特性を決定
する原子または原子の群を意味する。例示的な官能基としては、ヒドロキシル、
スルフヒドリル、カルボニル、カルボキシル、アミノおよび二重結合または三重
結合が挙げられる。このようなアプローチの1つの特定の例において、アミン官
能基化dNTPが、スクシンイミジルエステル官能基化半導体ナノクリスタルに
共有結合される。非標識dNTPを使用するcDNAの最初の産生および引き続
く合成産物の標識によって、テンプレートのcDNAへの転写を妨げる立体障害
の可能性を回避し得る。
【0110】 別の選択肢は、標的が、アレイによって保有される相補的プローブ核酸にハイ
ブリダイズされ始めた後まで、標識化を延期することである。例えば、異なる官
能基化dNTPの存在下で、テンプレート核酸を逆転写することによって、異な
るcDNA鎖に異なる活性基を組み込み得る。次いで、この合成cDNAは、こ
のアレイ上のプローブにハイブリダイズし、続いて、半導体ナノクリスタルが、
この合成cDNAに組み込まれるdNTPによって保有される官能基に結合体化
される。例えば、4つの半導体ナノクリスタル(この各々は異なる色であり、そ
して各々は異なる表面官能基を有する)は、4つの異なるセットのcDNAを標
識するために、ハイブリダイズしたアレイにわたって洗浄され得る。このアプロ
ーチは、半導体ナノクリスタルがハイブリダイゼーション工程の間に存在せず、
これによってナノクリスタルによるハイブリダイゼーションの潜在的な干渉を最
小化するという利点を有する。この方法はまた、個々の半導体ナノクリスタルが
1つより多くの官能基を表面に有する場合に、標識の間に異なるcDNA鎖を架
橋する可能性を最小にする。この型の標識はまた、単一の活性基の使用および
ハイブリダイゼーション後の結合体化によって、単一の色を検出するためになさ
れ得る。
【0111】 別の標識アプローチは、転写されたDNAを断片化し、次いでこのフラグメン
トを、末端トランスフェラーゼを使用して、半導体ナノクリスタル−dTTP結
合体で末端標識することである。
【0112】 上記の手順の全てにおいて(標識がハイブリダイゼーションの後に起こる場
合を除いて)、異なるcDNAサンプルを別々に調製および標識化し、次いでこ
れらのサンプルをアレイでのハイブリダイゼーションの前に一緒に混合すること
によって、多重化アッセイが行われ得る。
【0113】 特定の標識の選択肢は、いくつかの型のリンカーを介する標的核酸の半導体
ナノクリスタルへの結合を含む。このリンカーは、多くの異なるホモ−およびヘ
テロ−二官能性部分(これは、分子の鎖のいずれかの端部に官能基を含む)のい
ずれかであり得;各端部の官能基は、同じかまたは異なり得る。適切なリンカー
の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:直鎖または分枝鎖の
炭素リンカー、複素環式リンカーおよびペプチドリンカー。適切なリンカーは、
Rockford,IllinoisのPierce Chemical Co
mpanyから入手可能であり、そしてEPA188,256;米国特許第4,
671,958号;同第4,659,839号;同第4,414,148号;同
第4,669,784号;同第4,680,338号、同第4,569,789
号、および同第4,589,071号、ならびにEggenweiler,H.
M,(1998)Drug Discovery Today,3:552に記
載される。
【0114】 多くの標識の選択肢は、結合対メンバーの使用を含み、ここで、この対の1つ
のメンバーは、半導体ナノクリスタルに結合され、そして他のメンバーは、核酸
またはそこに組み込まれるヌクレオチドに結合する。この結合対メンバーは、互
いに特異的に結合する分子の任意のセットであり得る。適切な結合対メンバーと
しては、抗原/抗体、ビオチン/ストレプトアビジン(またはアビジンもしくは
ニュートラビジン(neutravidin))、およびオリゴ糖/レクチンが
挙げられるがこれらに限定されない。
【0115】 このような標識方法の特定の例としては、以下が挙げられる。1つの選択肢は
、ストレプトアビジンコーティングされた半導体ナノクリスタルを、ビオチン化
cDNAに結合することである。逆のアプローチもまたとられ得、ここでビオチ
ンコーティングされた半導体ナノクリスタルが、ストレプトアビジン架橋を介し
てビオチン化cDNAに結合される。別のアプローチは、抗体標識半導体ナノク
リスタルの、抗原標識cDNAへの結合である。例えば、ジゴキシゲニン標識c
DNAは、半導体ナノクリスタル標識抗ジゴキシゲニン抗体に結合され得る。こ
の結合対のメンバーは、結合対メンバーで標識されたdNTPの存在下で、核酸
テンプレートの逆転写を行うことによって、cDNA内の内部配置で組み込まれ
得る。あるいは、この結合対メンバーは、標的核酸を増幅するために結合対メン
バーで標識されたプライマーを使用することによって、標的の末端付近に組み込
まれ得る。
【0116】 複数の標識を有する標的核酸は、結合対メンバーを有するdNTPの存在下で
転写を行うことによって、または複数の結合対を有するプライマーを用いて標的
を増幅することによって、調製され得る。単一の半導体ナノクリスタルを有する
標的核酸は、標的核酸の増幅を行うために、単一の結合対メンバーを有するプラ
イマーを使用することによって調製され得る。さらに、結合対メンバーを有する
半導体ナノクリスタルの、他の結合対メンバーを有する標的核酸への結合は、こ
のアレイ上のプローブへの標的核酸のハイブリダイゼーションの前または後のい
ずれかで行われ得る。
【0117】 異なるサンプルの間を区別するために、種々の複数色アプローチを使用して多
重分析が行われ得る。例えば、異なるサンプルについて異なる結合対メンバーを
有するdNTPを使用することによって、異なる反応容器において異なるcDN
Aを合成し得る。次いで、これらのcDNAは、異なる標的核酸に保有される異
なる結合対メンバーに相補的な異なる結合対メンバーを有する半導体を追加する
ことによって、単一反応容器内において(またはアレイへのハイブリダイゼーシ
ョンの後に)異なる半導体ナノクリスタルで標識され得る。あるいは、異なるサ
ンプル由来の標的核酸は、異なる反応容器において、異なる半導体(結合対メン
バーと結合している)と別々に反応され得る。標的核酸が同じ結合対メンバーを
有する場合であっても、標的核酸は、異なる半導体ナノクリスタルを異なる反応
容器に添加することによって、別々に標識され得る。次いで、得られた標識標的
核酸は、この標識核酸をアレイに適用する前に、一緒に混合され得る。
【0118】 核酸のようなリガンドを半導体ナノクリスタルに結合体化するための他の方法
の詳細な説明については、例えば、米国特許第5,990,479号;Bruc
hezら(1998)Science 281:2013−2016.,Cha
nら(1998)Science 281:2016−2018,Bruche
z「Luminescent Semiconductor Nanocrys
tals:Intermittent Behavior and use a
s Fluorescent Biological Probes」(199
8)Doctoral dissertation,University o
f California,Berkeley,およびMikulec「Sem
iconductor Nanocrystal Colloids:Mang
anese Doped Cadmium Selenide,(Core)S
hell Composites for Biological Label
ing,and Highly Fluorescent Cadmium T
elluride」(1999)Doctoral dissertation
,Massachusetts Institute of Technolo
gyを参照のこと。
【0119】 (3.アレイの合成) 本発明の方法に従って標的核酸をアッセイする場合に代表的に利用されるアレ
イは、核酸プローブが結合されるいくつかの型の固体支持体を代表的に含む。こ
の固体支持体に結合された核酸プローブは、一般に、核酸または非荷電の核酸ア
ナログ(例えば、国際公開番号WO92/20702に開示されるペプチド核酸
;米国特許第5,185,444号、同第5,034,506号、および同第5
,142,047号に記載のモルホリノアナログ)である。
【0120】 核酸アレイは、2つの一般的方法において調製され得る。1つのアプローチは
、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー由来のDNAを、いくつかの
型の固体支持体(例えば、ガラス)に結合することを含む[例えば、Meier
−Ewart,ら,Nature 361:375−376(1993);Ng
uyen,C.ら,Genomics 29:207−216(1995);Z
hao,N.ら,Gene,158:207−213(1995);Takah
ashi,N.ら,Gene 164:219−227(1995);Sche
na,ら,Science 270:467−470(1995);South
ernら,Nature Genetics Supplement 21:5
−9(1999);およびCheung,ら,Nature Genetics
Supplement 21:15−19(1999)を参照のこと]。
【0121】 第2の一般的なアプローチは、核酸プローブの合成を含む。1つの方法は、標
準的な自動化技術に従うプローブの合成、次いで、支持体へのこのプローブの合
成後結合を含む。例えば、Beaucage,Tetrahedron Let
t.,22:1859−1862(1981)およびNeedham−VanD
evanterら,Nucleic Acids Res.,12:6159−
6168(1984)を参照のこと。第2のカテゴリーは、いわゆる「空間に指
向性された(spatially directed)」オリゴヌクレオチド合
成アプローチである。このカテゴリーに入る方法としては、さらに以下が挙げら
れるが、これらは例示であり限定ではない:光指向性オリゴヌクレオチド合成、
マイクロリソグラフィー(microlithography)、インクジェッ
トによる適用、特定の配置へのマイクロチャネルの堆積(deposition
)、および物理的障壁による隔離。
【0122】 核酸プローブを調製するための光指向性組合せ法は、米国特許第5,143,
854号、および同第5,424,186号、および同第5,744,305号
;PCT特許公開番号WO 90/15070および92/10092;Fod
orら,Science 251:767−777(1991);ならびにLi
pshutz,ら,Nature Genetics Supplement
21:20−24(1999)に記載される。これらの方法は、固相化学合成お
よび半導体ベースのリソグラフィーを組合せる。種々のマスキングストラテジー
は、合成サイクルの数を減らすために利用される(例えば、Hubbelらの米
国特許第5,571,639号および同第5,593,839号、ならびにFo
dorら,Science 251:767−777(1991)に記載される
)。
【0123】 アレイを調製するために使用され得る他の組合せ方法としては、インクジェッ
トプリンタを使用する、支持体上の試薬のスポッティングが挙げられる[例えば
、Peaseら,EP 728,520,およびBlanchardら,Bio
sensors and Bioelectronics II:687−69
0(1996)を参照のこと]。アレイはまた、機械的に束縛された流路または
モノマーを支持体のセルに送達するためのマイクロチャネルを利用することによ
って、コンビナトリアル化学を利用して合成され得る(例えば、Winkler
ら,EP 624,059;WO 93/09668;および米国特許第5,8
85,837号を参照のこと)。
【0124】 (4.標的核酸の増幅) いくつかの場合、このサンプルは、標的核酸の濃度を増大するための前増幅反
応を行うのに有用な、低レベルの標的核酸を含む。上記のように、半導体ナノク
リスタルで標識されたプライマーまたはヌクレオチドを使用する増幅はまた、目
的の標的核酸を標識するための容易な方法を提供する。
【0125】 サンプルが増幅される場合、増幅は、代表的に、公知の手順に従うポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)を使用して行われる。一般的には、PCR Techno
logy:Principles and Applications for
DNA Amplification(H.A.Erlich編)Freem
an Press,NY,NY(1992);PCR Protocols:A
Guide to Methods and Applications(I
nnisら編)Academic Press,San Diego,CA(1
990);Mattilaら,Nucleic Acids Res.19:4
967(1991);Eckertら,PCR Methods and Ap
plications 1:17(1991);PCR(McPhersonら
編),IRL Press,Oxford;ならびに米国特許第4,683,2
02号および同第4,683,195号を参照のこと。他の適切な増幅方法とし
ては、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、WuおよびWallace,Ge
nomics 4:560(1989)ならびにLandegrenら,Sci
ence 241:1077(1988)を参照のこと);転写増幅[例えば、
Kwohら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173
(1989)を参照のこと);自己維持(self−sustained)配列
複製(例えば、Guatelliら,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA,87:1874(1990)を参照のこと);ならびに核酸ベースの配
列増幅(NABSA)(例えば、Sooknanan,R.およびMalek,
L.,Bio Technology 13:563−65(1995)を参照
のこと]が挙げられる。
【0126】 核のサンプル調製に関するさらなる手引きは、Sambrookら,Mole
cular Cloning:A Laboratory Manual,2n
d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,(1989)に記載される。
【0127】 (B.発現アレイ) (1.概要) 本発明の特定の方法は、遺伝子発現レベルの分析を含む。一般的用語において
、発現分析は、1つ以上のサンプル中のmRNAレベル(またはこれに由来する
cDNA)の検出および定量化を含む。いくつかの場合、遺伝子発現レベルにお
ける変化を定量化するために、または異なる条件下での細胞において、1つの遺
伝子の発現における別の遺伝子に対する変化を推定するために、異なる色の標識
が同時に使用される。例えば、1セットの環境条件下での第1の試料から調製し
たcDNAは、第1の色のタグで標識され得、そして異なるセットの環境条件下
での第2の試料または同じ第1の試料由来のcDNAは、第2の色のタグで標識
され得る。両方のサンプルは、このアレイに同時ハイブリダイズし、そして異な
って標識された第1および第2のcDNA分子は、各スポットの結合に競合する
。各配置でのこの2つの色の割合は、この遺伝子についての発現における相対的
変化の定量的測定を与える。
【0128】 発現分析は、種々の生物学的な現象に対する重要な見識を与える。細胞の発達
および分化は、発現分析が特定の有効性を見出す1つの領域である。所定の任意
の細胞において、全てのコードされた遺伝子のうち画分のみが発現される。発現
のレベルおよびタイミングが、細胞の発達、分化、機能および生理学を制御する
。従って、遺伝子発現のモニタリングは、これらのプロセスを分析するために使
用され得る。例として、発現分析は、異なる型の組織の間の発現における差異を
評価するために利用され得る。発現研究はまた、老化および表現型の差異につい
ての遺伝的基礎についての重要な情報を提供し得る。
【0129】 発現分析はまた、種々の疾患の研究において貴重であり得る。例えば、発現分
析は、癌の発達および進行を分析するために使用され得る。なぜなら、これらの
事象は、遺伝子発現のパターンにおける複雑な変化を伴うためである。このよう
な研究は、例えば、罹患した組織および正常な組織、または感染した組織および
正常な組織における遺伝子発現の比較を含み得る。発現分析はまた、他の臨床用
途(発現についての種々の薬物処置の影響の評価を含む)において使用され得る
。例えば、薬物または薬物候補で処置した正常な組織および正常な組織について
の遺伝子発現における差異が比較され得る。同様な薬物研究が、罹患した組織お
よび正常な組織を用いて行われ得る。どの遺伝子が種々の疾患において発現する
かを決定することによって、薬物としてかまたは薬物標的としての潜在的有用性
を有する遺伝子またはそのタンパク質産物を同定し得る。他の臨床用途において
、発現分析は、潜在的な毒物または毒素で処置した組織と正常な組織との間の発
現レベルを比較することによって、毒物学的評価において使用され得る。当然な
がら、発現分析は、遺伝子発現における変化の影響を評価するために、他の種々
の比較研究において使用され得る。
【0130】 (2.サンプル調製) (a.RNAの単離) サンプルは、核酸が得られ得る本質的に任意の供給源から得られ得る。このサ
ンプル中の細胞は、種々の方法で破砕されて、その中のRNAを放出し得る(例
えば、Watsonら,Recombinant DNA,2nd Editi
on,Scientific American Books,NY 1992
を参照のこと)。例えば、核酸は、機械的破砕(例えば、繰り返される凍結/解
凍サイクル、摩耗および超音波処理)、界面活性剤(例えば、Triton,T
ween,またはドデシル硫酸ナトリウム)での処置のような物理的/化学的 、浸透圧衝撃、熱、または酵素溶解(例えば、リソチーム、プロテイナーゼK
、およびペプシン)によって放出され得る。
【0131】 一旦、核酸が得られると、これらは代表的に、cDNAに逆転写されるが、m
RNAは直接使用され得る。cDNAの形成後、一般に、目的の配列は、当該分
野で公知の種々の増幅技術(例えば、以下に記載されるもの)のいずれかに従っ
て増幅される。標識されたRNAは、RNAポリメラーゼ、または当該分野で公
知の方法を使用して、cDNAテンプレートから調製され得る。
【0132】 (3.方法) 異なるセットの条件下で遺伝子発現がモニターされる差次的な遺伝子発現分析
は、2つの一般的な方法で達成され得る。1つのアプローチ(このアプローチが
伝統的に利用される)は、複数のアレイを使用することである。このアプローチ
において、異なるサンプルの各々について異なるアレイが利用され、各々のサン
プルは異なるセットの条件に対応する。例えば、上記のように、1つのサンプル
は、健康な細胞から得られる核酸を含み得るが、一方、第2のサンプルは、罹患
した細胞由来の核酸を含。このような研究において、1つのアレイは、健康な
細胞における発現を決定するために使用され、そして他方のアレイは、罹患した
細胞における発現を決定するために使用される。このアプローチの問題は、異な
るアレイについてなされる各測定が、それに付随するある程度の誤差を有する
いうことである。異なるアレイ間の比較を行うことによって、各測定における誤
差は累積的となり、これによって合計の誤差が増加する。半導体ナノクリスタル
は、このアプローチにおいて生じる誤差を減少するために使用され得る。例えば
、各サンプル由来の核酸は、ちょうど記載した直接的または間接的方法のいずれ
かに従って、このアレイへの核酸のハイブリダイゼーションの前または後のいず
れかに、1つ以上の半導体ナノクリスタルで標識され得る。さらに、このような
誤差の減少は、別の半導体ナノクリスタルで検出可能に個別に標識されたサンプ
ルを使用して、または同じアレイを用いて同時測定を行うことによって、達成さ
れ得る。
【0133】 しかし、半導体ナノクリスタルは、異なる波長で発光するように容易に調整さ
れ得るので、上記に記載の標識方法を使用して異なるサンプル由来の標的核酸を
差次的に標識することによって、単一アレイ上の多数の異なるサンプルを同時に
分析し得る。この半導体の使用に伴う能力は、異なる発現条件から得られるハイ
ブリダイゼーションを比較する場合に、ノイズレベルにおける有意な改善を生じ
る。なぜなら、複数のアレイについての測定に関する累積的誤差が、回避される
ためである。
【0134】 mRNA分子の発現をモニタリングするための核酸プローブのアレイを使用す
る方法についての詳細は、PCT/US96/143839およびWO 97/
17317に記載される。これらの方法を用いると、標的ポリヌクレオチドとハ
イブリダイズするように選択されたポリヌクレオチドは、目的のmRNA標的ま
たはその増幅産物に相補的であるように選択される。このような分析を行うため
に当業者をガイドするために十分な、発現分析におけるマイクロアレイの使用に
関するさらなる議論は、例えば、Duggan,ら,Nature Genet
ics Supplement 21:10−14(1999);Bowtel
l,Nature Genetics Supplement 21:25−3
2(1999);BrownおよびBotstein,Nature Gene
tics Supplement 21:33−37(1999);Coleら
,Nature Genetics Supplement 21:38−41
(1999);DebouckおよびGoodfellow,Nature G
enetics Supplement 21:48−50(1999);Ba
ssett,Jr.ら,Nature Genetics Supplemen
t 21:51−55(1999);ならびにChakravarti,Nat
ure Genetics Supplement 21:56−60(199
9)に記載される。
【0135】 (C.遺伝子型決定/SNP分析) (1.概要) 生物体のゲノムの比較的小さな変化(単一のヌクレオチドほどの小さな変化を
含む)が実質的に異なる表現型を生じ得ることが見出された。例えば、これらの
変化および変異は、様々な異なる疾患の原因となり、異なる治療処置の効果に影
響を与え、そして生物の病原を変化させるか、または微生物に対して指向さ れる 治療薬のこの生物の耐性を変化させ得る。しばしば、このような効果は、
単一のヌクレオチドの変化の結果である。このような変化は、一般的に、一塩基 多型 、または単にSNPと称される。SNPが生じる部位は、多型部位または対
立遺伝子部位と称される。多数のSNPが、様々なヒト疾患に関連している(例
えば、公開WO93/02216(これはこのようなSNPの広範な列挙を提供 する ))を参照のこと。SNPは、ゲノム全体にわたって規則的に現れるため、
これらはまた、有用な遺伝標識として役立つ。
【0136】 DNA配列の特定のヌクレオチド変化または変異を検出する能力は、多数の医
療的有用性および非医療的有用性を有する。例えば、ヌクレオチド変化を同定し
得る方法は、SNPに関連する多くの一般的な疾患をスクリーニングおよび診断
するための手段を提供する。このような方法はまた、疾患に罹患しやすい個体(
予防的測定から恩恵を受ける患者)を同定する際に有用であり、従って、患者の
カウンセリングおよび教育において有用な情報を得得る。変化および変異を検出
するための方法は微生物の検出においてさらなる有用性を有し、そして特定のサ
ンプル中のDNAと関連のDNAを有する個体との間相関づける。この後者の
能力は、父性論争の解決および法医学的分析において有用であり得る。
【0137】 (2.方法論) 一般的考察:本発明は、特定の配列を有する1つ以上の標的核酸を検出するた
めの多数の異なる方法を提供する。一般的に、これらの方法は、異なる配列を有
する複数の核酸プローブを保持するアレイを提供する工程を包含する。通常は、
異なる配列のプローブは、このプローブの同一性が空間的にコードされるように
、異なる位置に位置決めされる。半導体ナノクリスタルで標識された標的核酸を
含むサンプルは、このプローブと接触される。相補的プローブと標的核酸との間
のハイブリダイゼーション複合体は、この半導体ナノクリスタルに関連したシグ
ナルを検出することによって検出される。以下でさらに記載されるように、適切
なプローブを使用することによって、目的の特定の標的核酸の存在または非存在
を検出し得る。
【0138】 対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション:特定の多型形態を有する標的核酸
を検出するための1つの方法は、それぞれが標的核酸の特定の多型形態と特異的
にハイブリダイズする対立遺伝子特異的プローブを使用することである。アレイ
上のどのプローブがハイブリダイゼーション複合体を形成するかを検出すること
によって、特定の標的核酸の存在または非存在を決定し得る。異なる個体由来の
サンプルは、異なる半導体ナノクリスタルで異なる個体由来の核酸を差次的に標
識することによって、単一のアレイでプローブされ得る。この反応を実施するた
めに必要な標識プローブは、半導体ナノクリスタルの合成後の結合を可能にする
官能化ヌクレオチドを有するプローブを合成することによって、または標準的な
方法によるプローブの合成における1つ以上の標識ヌクレオチドを使用すること
によって、上記の方法に従って調製され得る。
【0139】 アレイ支持体に結合したプローブの群は、全て、標的核酸の異なる多型形態の
各々に特異的にハイブリダイズする対立遺伝子プローブを含み得る。ほとんどの
多型は二対立形質(biallelic)であるため、これは、アレイが各々の
多型形態ごとに2つのプローブを含むことを意味する。しかし、この標的核酸が
三対立形質(triallelic)である場合、各々が3つの多型形態の1つ
に対して相補的である3つのプローブが利用され得る。同様に、この標的核酸が
、四対立形質(tetra−allelic)である場合、4つの異なる多型形
態に対して相補的な4つのプローブが、アレイ中に含まれ得る。この標的核酸を
半導体ナノクリスタルで標識することによって、ハイブリダイゼーション複合体
の検出が促進され;異なる色の半導体ナノクリスタルを使用する能力は、多数の
個体由来のサンプルが同時に分析され得ることを意味する。
【0140】 対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションに関するさらなるガイダンスは、例
えば、以下に記載される:Erlichら(1991) Eur.J.Immu
nogenet.18:33−55;Zhangら(1991) Nuclei
c Acids Res.19:3929−3933;Impraimら(19
87) Biochem.Biophys.Res.Commun.142:7
10−716;Saikiら(1986) Nature 324:163−1
66;Wuら(1989) DNA 8:135−142;Theinら(19
88) Br.J.Haematol.70:225−231;およびConn
orら(1983) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:
278−282、ならびにPCT公開95/11995。
【0141】 対立遺伝子特異的ライゲーション:本発明の他の方法は、特定の標的核酸の存
在および非存在を検出するため、ならびに異なる多型形態間を識別するための対
立遺伝子特異的ライゲーション反応を実施するために、半導体標識プローブを利
用する。一般的に、これらの方法は、標的核酸(これは、分析の前に増幅され得
る)を第1のプローブ(これは、多型部位に隣接した配列に対して相補的である
)と、ハイブリダイゼーション条件下で接触させる工程を包含する。この第1の
プローブは、多型部位におけるヌクレオチドに関係なく(すなわち、標的の多型
形態に関係なく)、全ての標的核酸により保有される配列にハイブリダイズする
。この標的核酸はまた、対立遺伝子特異的プローブである第2のプローブ(すな
わち、特定の多型形態の標的核酸にのみハイブリダイズするプローブ)と接触さ れる 。この第1および第2のプローブは、対立遺伝子特異的プローブが多型部位
におけるヌクレオチドと相補的である場合、この2つのプローブが互いに直接
隣接してハイブリダイズするように選択される。特に、一方のプローブの3’末
端は、他方のプローブの5’末端にすぐに隣接している。対立遺伝子特異的プロ
ーブが多型部位におけるヌクレオチドに対して相補的である限り、付加したリガ
ーゼは、この2つのプローブを結合する。これらのプローブの一方または両方を
半導体ナノクリスタルで標識することによって、ライゲーションされた産物の検
出が促進され得る。これらのの分析を実施するために必要なプローブは、上記
の対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションのに記載されるようにして調製さ
れ得る。
【0142】 いくつかの場合では、プローブの1つは、固体支持体に結合される。他の方法
において、ライゲーション反応は、溶液中で行われ、そしてライゲーションされ
た産物は、アレイに結合された捕捉試薬によって捕捉された後に、検出される。
後者の場合では、捕捉試薬は、これらプローブの一方または両方に結合したタグ
を特異的に認識する。異なる標識は、異なるタグによっておよび/または異なる
標的核酸を異なる半導体ナノクリスタルで標識することによって、識別され得る
。これらの分析は、プローブを異なる半導体ナノクリスタルで差次的に標識する
ことによって、多重様式で実施され得る。例えば、特定の対立遺伝子の存在また
は非存在は、このライゲーション反応を実施するために使用される対立遺伝子特
異的プローブを差次的に標識することによって容易に決定され得る。
【0143】 上記の一般的な方法は、一連のリガーゼ連鎖反応を行うことによって、または
同様に、リガーゼ連鎖反応物を、標的核酸の1つ以上のPCR増幅物に結合する
ことによって、改変され得る。このような方法についてのさらなるガイダンスは
、例えば、米国特許第5,830,711号;同第6,027,889号;およ
び同第5,869,252号に記載される。
【0144】 プライマー伸長/ミニ配列決定:本発明の特定の方法は、ミニ配列決定反応お
よびプライマー伸長反応を行って、標的核酸中の多型部位に存在するヌクレオチ
ドを同定する工程を包含する。一般的に、これらの方法において、標的核酸のセ
グメントに対して相補的なプライマーは、この反応が多型部位におけるヌクレオ
チドに対して相補的なヌクレオチドの存在下で行われる場合に伸長される。より
詳細には、本発明のプライマー伸長アッセイまたはミニ配列決定アッセイは、代
表的には、プライマーを相補的標的核酸に、このプライマーの3’末端が多型部
位にすぐに隣接するか、または多型部位の数塩基上流にあるようにハイブリダイ
ズする工程を包含する。この伸長反応は、半導体ナノクリスタルで標識された1
つ以上のヌクレオチドおよびポリメラーゼの存在下で行われる。しばしば、ヌク
レオチドは、一旦、プライマーの3’末端に組み込まれると、ポリメラーゼによ
るさらなる伸長を防止するジデオキシヌクレオチドである。付加した非伸長ヌク
レオチドの1つが、多型部位におけるヌクレオチドに対して相補的である場合、
標識ヌクレオチドは、プライマーの3’末端に組み込まれて、標識された伸長産
物を生成する。この組み込まれたヌクレオチドは、多型部位におけるヌクレオチ
ドに対して相補的であるため、伸長したプライマーは、このヌクレオチドが標的
核酸の多型部位に存在することを示す。この一般的なアプローチを使用する方法
は、例えば、米国特許第5,981,176号;同第5,846,710号;同
第6,004,744号;同第5,888,819号;同第5,856,092
号;同第5,710,028号;および同第6,013,431号;ならびにP
CT公開WO 92/16657に記載される。
【0145】 本発明のアレイ様式において、プライマーは、代表的には、支持体に結合され
る。これらのプライマーは、ランダム配列を有するか、または目的の標的核酸に
対して相補的であるように選択される。標的核酸を含有するサンプルは、この標
的核酸が相補的プライマーにハイブリダイズするような条件下で、プライマーの
アレイと接触される。適切な配列のプライマーは、この標的核酸にハイブリダイ
ズし、その結果、プライマーの3’末端は、この標的の多型部位に隣接する。好
ましくは、このプライマーの3’末端は、この多型部位にすぐに隣接している(
しかし架橋していない)(すなわち、3’末端は、多型部位のすぐ上流のヌクレ
オチドにハイブリダイズする)。すでに存在していない場合、半導体ナノクリス
タルで標識された1つ以上のヌクレオチドが付加される。上記のように、付加さ
れた標識ヌクレオチドが多型部位におけるヌクレオチドに対して相補的なヌクレ
オチドを含む場合、このプライマーは半導体ナノクリスタルを保有するヌクレオ
チドの組込みによって伸長される。4つの異なる半導体ナノクリスタル(これら
の各々は、異なるヌクレオチド(例えば、ddATP、ddTTP、ddCTP
およびddGTP)に結合されている)を使用することによって、全ての可能な
対立遺伝子が、単一のアレイで同時に試験され得る。
【0146】 いくつかの場合では、この方法は、多型部位に隣接して簡単にハイブリダイズ
して、これに架橋しないプライマーを用いて行われ得る。これは、プライマーの
3’末端と多型部位との間に位置する標的核酸上のヌクレオチドのいずれもが、
変異体部位におけるヌクレオチドと同じではない限り可能である。このような場
合における伸長反応混合物はまた、3’プライマー末端と多型部位との間に位置
するヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチドを含まなければならない。
【0147】 関連の方法において、このプライマーは、2つの一般的な領域:タグを含む5
’末端領域、および目的の標的核酸に対して相補的な3’領域を含む。このアレ
イは、このプライマー由来のタグと特異的に結合し得る1つ以上の捕捉試薬を含
む。代表的には、異なる伸長産物に特異的な異なる捕捉試薬は、この捕捉試薬の
同一性が空間的にコードされるように、アレイ上の異なる位置に配置される。一
般的に、このタグおよび捕捉試薬は、任意のタイプの結合対から選択され得、こ
こで、この対のメンバーは、互いに特異的に結合する。例えば、この捕捉試薬は
、プライマー(すなわち、プライマータグ)の核酸セグメントに対して相補的な
核酸であり得る。この一般的なアプローチを使用する本発明の方法において、上
記の伸長反応は、アレイ上よりむしろ溶液中で実施され得る。
【0148】 上記のように、これらの反応は、半導体ナノクリスタルで標識された1つ以上
のヌクレオチド(代表的には、ddNTP)の存在下で行われる。伸長後、この
伸長反応物中の伸長産物は、アレイと接触される。アレイ上の捕捉試薬は、捕捉
試薬によって特異的に認識されるタグを保有するプライマーを捕捉する。伸長し
たプライマーは、このプライマーに組み込まれた半導体ナノクリスタルによって
検出され得る。標的核酸の多型部位におけるヌクレオチドの同一性は、伸長産物
が結合するアレイ上の位置から決定され得る(例えば、米国特許第5,981,
176号を参照のこと)。
【0149】 SNPを分析するための他の方法において、標的配列のサブ配列に対して相補
的な核酸プローブのアレイは、標的配列の同一性を決定するため、その量を測定
するため、および標的配列と参照配列との間の差異を検出するために、「タイリ
ング」と呼ばれる手順を使用して利用され得る。簡単には、タイリング方法は、
1つの位置以外は同一である複数の核酸が利用される、タイリングされたアレイ
を利用する。例えば、代表的にSNP分析のために使用される4Lのタイリング
アレイにおいて、比較的短い長さ(例えば、15マー)の4つのプローブのセッ
トがあり、この長さはSNP位置において変化するが、他の場合は同一であり、
そしてスクリーニングされている標的核酸のセグメントに対して完全に相補的で
ある。完全に相補的なプローブは、単一のミスマッチを有するプローブより標的
核酸により密に結合する。故に、最も強力なシグナルを生成する標識プローブは
、多型部位におけるヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチドを有するプロー
ブに対応する。標的核酸は、この標的核酸が、アレイの核酸プローブにハイブリ
ダイズする前または後のいずれかに、半導体ナノクリスタルで標識され得る。
【0150】 SNP分析に対するタイリングアプローチは、長い核酸標的を試験し、そして
特徴的なコンセンサス配列に関する多数の多型/変位を検出するために伸長され
得る。このような方法に関するさらなるガイダンスが一般的に利用可能である(
例えば、WO95/11995;米国特許第5,858,659号;Cheeら
、Science 274:610−614(1996);米国特許第5,83
7,832号;およびLipshutzら、BioTechniques 19
:442−447(1995)を参照のこと)。
【0151】 プライマー伸長反応において使用される標識ヌクレオチドは、天然に存在する
ヌクレオチド上に存在する官能基を介して、またはヌクレオチドに導入された異
なる官能基を介して、半導体ナノクリスタルをヌクレオチドに直接結合すること
によって調製され得る。あるいは、異なるヌクレオチドは、異なる結合対メンバ
ー(例えば、ビオチンまたは抗体)を有し;他の相補的結合対メンバーは、半導
体ナノクリスタルに結合される。官能化ヌクレオチドまたは結合対メンバーを有
するヌクレオチドが、伸長反応を行うために使用される場合、この伸長産物は、
伸長が起こる前または後のいずれかに標識され得る。
【0152】 (3.標的核酸の調製) SNP分析で使用される標的核酸は、発現分析について一般的に上で記載され
た方法に従って、抽出および単離され得る。必要ならば、標的核酸は、上記でも
記載される様々な増幅方法に従って増幅され得る。
【0153】 (D.配列決定分析) (1.概要) 従来の配列決定技術は、標識DNAフラグメントの電気泳動サイズ分離を必要
とする複雑で時間のかかる手順を含む(例えば、Alphey,DNA Seq
uencing:From Experimental Methods to
BioInformatics,Springer−Verlag,New
York,1997)。代替のアプローチは、核酸アレイを使用して、標的核酸
のフラグメントを用いるハイブリダイゼーション研究を行う工程を包含する。得
られるハイブリダイゼーションの結果から、標的核酸の配列を再構築し得る。一
般的に、SBHは、所定の配列の短い核酸プローブのセットを使用して、長い標
的核酸鎖の相補的配列についてプローブする。標的にハイブリダイズする所定の
配列は、次いで、標的核酸の配列を構築するために、コンピューターアルゴリズ
ムを使用して整列され得る。
【0154】 (2.方法論) SBHの方法は、以下の実施例により例示され得る。12マー標的DNA配列
、AGCCTAGCTGAAは、オクタヌクレオチドプローブの完全なセットと
混合される。完全な相補性のみを考慮する場合、65,536個のオクタマープ
ローブのうち5個−TCGGATCG、CGGATCGA、GGATCGAC、
GATCGACTおよびATCGACTTが標的にハイブリダイズする。このハ
イブリダイズしているプローブ由来の重複配列の整列は、元の12マー標的の相
補体を再構築する: TCGGATCG CGGATCGA GGATCGAC GATCGACT ATCGACTT TCGGATCGACTT。
【0155】 SBHは、2つの様式で実施され得る。ハイブリダイゼーション法は、標的D
NAを表面に結合することによって行われ得る。次いで、この標的は、オリゴヌ
クレオチドプローブのセットを使用して、一度に問い合わせられる(Strez
oskaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1008
9−10093(1991);およびDrmanacら、Science 26
0:1649−1652(1993)を参照のこと)。このアプローチは、固定
検出およびハイブリダイゼーション検出の十分に確立された方法を用いて実行さ
れ得るが、これは、多数の操作を含む。例えば、オクタヌクレオチドの完全セッ
トを使用して配列をプローブするために、何万ものハイブリダイゼーション反応
を実施しなければならない。第2の様式では、SBHは、アレイフォーマットの
表面にプローブを結合することによって行われ得、ここで、各部位におけるプロ
ーブの同一性は既知である。標的核酸(代表的には、フラグメント化されている
)は、次いで、プローブのアレイに添加される。一回の実験で決定されたハイブ
リダイゼーションパターンは、全ての相補的プローブの同一性を直接示し得る。
【0156】 本発明の方法は、これら2つの様式のいずれかを使用して、半導体ナノクリス
タルで標識された標的核酸を使用する。しかし、最も代表的には、後者のアプロ
ーチが使用される。故に、特定の方法において、配列決定は、当該分野で公知の
様々な技術(例えば、制限酵素の使用、または高い塩濃度の存在下における加熱
)を使用して、標的核酸のフラグメントへのフラグメント化から始まる。得られ
るフラグメントは、半導体ナノクリスタルで標識され、緩衝液で希釈され、次い
で、核酸プローブを有するアレイに適用される。このフラグメントは、代表的に
は、温度およびサンプルの混合を制御する自動装置を使用して、プローブにハイ
ブリダイズされ得る。次いで、アレイは、未結合のフラグメントを除去するため
に、必要に応じて、ストリンジェントな緩衝液でリンスされ、そしてハイブリダ
イゼーション複合体は、このフラグメントを標識するために使用された半導体ナ
ノクリスタルからのシグナルを検出することによって検出される。標的核酸は、
前述の発現分析に章で記載された様々な方法のいずれかを使用して、半導体ナノ
クリスタルで標識され得る。
【0157】 主に、SBHに伴う問題、すなわち、配列決定において誤差を生じるミスマッ
チの問題を解決するために、SBH手順のバリエーションが開発されている。「
位置的SBH」(PSBH)と呼ばれるこのような方法の1つは、3’一本鎖突
出物(overhang)を有する二本鎖プローブを使用して、標的を捕捉し、
次いで、標的をこの二本鎖プローブに酵素的にライゲーションする。このアプロ
ーチは、ミスマッチを減少するように設計される(例えば、Broudeら、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3072−3076(1
994);および米国特許第5,631,134号(Cantor)を参照のこ
と)。PSBH自体は、標的の捕捉の間にミスマッチをさらに減少する方法とし
て、ライゲーション反応の後に、DNAポリメラーゼが付加して、固定されたプ
ローブを伸長するようにさらに改変される(例えば、Kuppuswamyら、
Proc,Natl.Acad.Sci.USA 86:1143−1147(
1991)を参照のこと。このようなアプローチで使用される標的核酸フラグメ
ント、プローブまたはヌクレオチドは、検出を促進するために、半導体ナノクリ
スタルで標識され得る。
【0158】 ハイブリダイゼーションによる配列決定に関するさらなるガイダンスは、例え
ば、以下に示される:Lysovら、Dokl.Aka.Nauk SSSR
303:1508−1511(1988);Bainsら、J.Theor.
Biol.135:303−307(1988);Drmanacら、Geno
mics 4:114−128(1989);Barinaga,Scienc
e 253:1489(1991);Stresoskaら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 88:10089(1992);Bains
BioTechnology 10:757−758(1992);および米国
特許第5,202,231号。
【0159】 (V.アプタマー) アプタマーは、それらの形状により所望の標的分子を認識し、そしてこれに結
合する一本鎖DNAもしくは二本鎖DNA、または一本鎖RNA分子である。例
えば、PCT公開WO92/14843、WO91/19813、およびWO9
2/05285を参照のこと。SELEX手順(米国特許第5,270,163
号(Goldら)、Tuerkら、(1990) Science 249:5
05−510、Szostakら(1990)Nature 346:818−
822およびJoyce(1989) Gene 82:83−87に記載され
る)は、標的特異的であるRNAまたはDNAアプタマーを選択するために使用
され得る。
【0160】 特定の方法において、オリゴヌクレオチドプールが構築され、ここで、nマー
(代表的には、ヌクレオチドのランダム化配列であり、それにより、オリゴヌク
レオチドの「ランドマープール(randomer pool)」を形成する)
は、2つのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーに隣接される。このプー
ル内のオリゴヌクレオチドは、上記の方法に従って、半導体ナノクリスタルで標
識される。アプタマーのスクリーニングで使用されるアレイは、代表的に、スク
リーニングされる標的分子(例えば、タンパク質または低分子)を有する。次い
で、このアレイは、アレイ上の標的分子へのオリゴヌクレオチドの結合を有利に
する条件下で、オリゴヌクレオチドプールと接触される。標的分子に結合するオ
リゴヌクレオチドは、ストリンジェントな洗浄を使用して、非結合オリゴヌクレ
オチドから分離される。アレイ上の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドは、
公知の技術を使用してアレイから解離され、次いで、従来のPCR技術を使用し
て増幅されて、オリゴヌクレオチドのリガンドリッチプールを形成する。結合、
分離、解離および増幅のさらなるラウンドを、所望の結合親和性、特異性または
その両方を有するアプタマーが達成されるまで行う。同定された最終的なアプタ
マー配列は、次いで、化学的にか、またはインビトロ転写によって調製され得る
【0161】 (VI.タンパク質アレイ) (A.概要) タンパク質アレイは、タンパク質と様々な異なるタイプの分子(例えば、核酸
、様々な低分子および他のタンパク質)との間の相互作用を研究するために使用
され得る。タンパク質アレイは、特定の研究の目的に従って設計され得る。例え
ば、アレイは、生体活性タンパク質または単一のタンパク質種の特定の改変体(
例えば、スプライス改変体、ドメイン、または変異体)、異なる種由来のタンパ
ク質オルソログ、タンパク質経路、さらに生物体の全タンパク質相補体の全ての
組み合わせ改変体を含み得る。アレイはまた、例えば、抗体、組換えタンパク質
、精製タンパク質およびレセプターを含み得る。
【0162】 タンパク質アレイは、2つの一般的なタイプに割りあてられ得る。1つのタイ
プは、非生存アレイまたは化学アレイと称される。これらのタンパク質アレイは
、合成タンパク質からなる。このタイプのアレイは、比較的小さなタンパク質と
他のタンパク質(例えば、特定の核酸または金属イオン)との特定の相互作用を
研究するために有用である。第2のタイプは、生物学的アレイまたは生存タンパ
ク質アレイである。これらのアレイは、タンパク質を発現する生存している実体
を含み、これには、ウイルスまたは細胞が挙げられるが、これらに限定されない
。アレイは、タンパク質、細胞画分またはインタクトな細胞のプールを含み得る
。このタイプのアレイは、より複雑な生物学的活性を研究するために使用され得
、これには、多成分複合体または多段階酵素経路もしくはシグナル伝達経路に関
与する活性が挙げられるが、これらに限定されない。タイプにかかわらず、タン
パク質は、代表的に、アレイ上の位置的に異なる位置に配置され、その結果、異
なるタンパク質が空間的にコードされる。
【0163】 半導体ナノクリスタルの特定の特徴によって、これらのタイプはタンパク質ア
レイにおいて有用になり得る。例えば、同調可能性(tunability)は
、多色同時検出、従って複数のサンプルの検出を可能にする。特定の従来のEL
ISA法と同様に、酵素開発の必要性はない。半導体ナノクリスタルは、有機蛍
光団に比べて増大した光安定性を有し、それにより、長時間にわたってシグナル
をモニタリングする能力による検出感度を増加している。
【0164】 (B.アレイの調製) 様々な選択肢が、非生存アレイで使用するためのタンパク質を合成するために
利用可能である。1つのアプローチは、様々な固体合成アプローチを使用して、
所望の支持体上にタンパク質を合成することである。例えば、マイクロタイター
ウェル中でペプチドのアレイを合成するための方法が記載されている(例えば、
Geysen,H.M.ら、(1984) Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 81:3998−4002を参照のこと)。他の固体方法は、例
えば、以下で議論される:Merrifield,J.Am.Chem.Soc
.(1963) 85:2149−2154;Atherton,Solid
Phase Peptide Synthesis,IRL Press,Ox
ford(1989);Erickson,B.W.およびMerrifiel
d,R.B.(1976)、The Proteins,(Neurath,H
.およびHill,R.L.編) Academic Press,New Y
ork,第2巻、255−527;およびMeienhofer,J.(197
3) Hormonal Proteins and Peptides,(L
i,C.H.編)、Academic Press,New York,第2巻
、45−267。
【0165】 「スポット合成」と時折称される技術は、固体方法と類似の化学を使用して開
発された。この特定のアプローチは、セルロースフィルター上に存在する大量の
ヒドロキシル基を利用して、Fmoc−β−アラニン基を誘導体化する。ペプチ
ドアレイは、次いで、脱タンパク質の後のセルロース結合アラニンにより合成さ
れ得る(例えば、Gausepohl,H.ら、Pept.Res.5:315
−320(1992);およびKramer,A.およびSchneider−
Mergener,J.,Methods in Molecular Bio
logy 87:25−39(1998)を参照のこと)。固体化学を使用して
ポリマーロッド上にタンパク質を合成するために、他の方法が使用され得る(例
えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81
:3998−4002(1984)を参照のこと)。
【0166】 多数の組み換えタンパク質の平行した調製および精製を可能にする方法がまた
、アレイ用のタンパク質を生成するために利用され得る。このような方法は、例
えば、Martzen,M.R.ら、Science 286:1153〜11
55(1999)によって考察されている。
【0167】 タンパク質は、種々の写真平板(フォトリソグラフィー)方法を用いて、固体
支持体上に直接合成され得る。これらの技術は、1単位面積あたりに合成された
タンパク質の数が大きく増大されることを可能にする。このような方法の例は、
例えば、米国特許第5,143,854号;同第5,489,678号;および
同第5,744,305号;PCT公開WO90/15070およびWO92/
10092;およびFodor、S.P.ら、Science 152:767
〜773(1991)において考察されている。
【0168】 アレイ上でタンパク質を合成する代わりに、事前形成したタンパク質を支持体
上に直接配置してアレイを形成することができる。従って、例えば、組み換えタ
ンパク質、精製タンパク質などは、支持体上にブロットされ得る。
【0169】 活性でない(non−living)タンパク質アレイにおける使用のために
合成したタンパク質は、Lアミノ酸で構成されたタンパク質に限定される必要は
ない。他の構築(building)ブロック(例えば、Dアミノ酸および修飾
アミノ酸)がまた使用され得る。
【0170】 活性なアレイ(living array)はまた、異なる方法を利用して調
製され得る。上記で示すように、アレイはタンパク質のプール、細胞抽出物、ま
たはインタクト細胞から形成され得る。このプール、抽出物、またはインタクト
な細胞は、タンパク質を含むために一連のへこみを有する、あるタイプの支持体
(例えば、マイクロタイタープレート)に配置される。ゲノムワイドタンパク質
アレイを生成するための方法が、また記載されている。これらのある方法は、形
質転換事象を含有する。ここでは生物体(例えば、酵母)由来のオープンリーデ
ィングフレーム(ORF)の1つが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(
GST)をコードするプラスミド中に挿入される。このプラスミドは、引き続き
、生物体を形質転換するために用いられる。この生物体が次に異なるGST−O
RF融合タンパク質を発現する。得られた形質転換細胞培養物またはコロニーは
、アレイのエレメントとして用いられ得る(すなわち、異なるコロニーまたはコ
ロニーの群が、アレイの異なる位置に置かれる;例えば、Martzen、M.
R.ら(1999)Science 286:1153−1155を参照のこと
)。
【0171】 (C.一般的アッセイ) (1.背景) タンパク質アッセイは、種々の異なる型の活性についてアッセイもしくはスク
リーニングするために、または他の型の分析を実施するために用いられ得る。例
えば、タンパク質アレイは、以下を行うために用いられ得る:(1)目的のタン
パク質と相互作用する種々の分子(例えば、アゴニスト、またはアンタゴニスト
)をスクリーニングするため。スクリーニングされるべき分子としては、他のタ
ンパク質、核酸、薬物、高分子、または低分子が挙げられ得るがこれらに限定さ
れない(例えば、Kramer,Aら、(1993)Pept.Res.6:3
14−319);(2)抗体エピトープをマッピングするため(例えば、Kra
mer,Aら(1994)Methods 6:388〜395;Reinek
e,Uら、Mol.Diversity 1:141−148;Schneid
er−Mergener,J.ら(1996)「Peptide Librar
ies Bound to Continuous Cellulose me
mbrane:Tools to Study Molecular Reco
gnition」in Combinatorial Libraries(C
ortese,R編)W.de Gruyter,Berlin 第53〜68
頁;およびKramer,Aら(1995)Mol.Immunol.32:4
59〜465);および(3)目的のタンパク質の細胞内配置を決定するため。
これらの適用の各々は、以下にさらに詳細に記載されている。
【0172】 (2.イムノアッセイ(免疫学的検定)) 半導体ナノクリスタル(nanocrystal)の主な有用性の1つは、種
々のタイプの免疫学的アッセイにおいて抗原または抗体のいずれかを標識するの
にこれらを利用することである。一般的に上で注記されるように、半導体ナノク
リスタルの使用は、多色検出を可能にし、これにより多数のアッセイが同時に実
施されることが可能になる。標準的ELISA法と異なり、検出可能なシグナル
を生成するための酵素を待つ必要はない。さらに、半導体ナノクリスタルの光安
定性は、有機性の発蛍光団に対して検出感度が増大しており、この理由は、光脱
色(退色)に対する抵抗性が、より長いシグナル獲得を可能にするからである。
【0173】 イムノアッセイは、種々の異なる形式で実施され得る。ある方法では、スクリ
ーニングされるべきリガンド(潜在的な抗原)は、アレイに付着され、次いで半
導体ナノクリスタルで標識される抗体と接触される。あるいは、抗体は、支持体
上に配置され得、次いで半導体ナノクリスタルで標識されたリガンドを含有する
サンプルと接触される。第3の様式では、スクリーニングされるリガンドは、抗
体であり、そしてこれは支持体に付着され、次いで目的の既知の抗原を用いてス
クリーニングされる。特定のアプローチにかかわらず、アレイ上で結合複合体を
形成しないリガンドまたは抗体は、代表的にアレイから洗浄される。アレイ上の
複合体は次いで、複合体中の半導体ナノクリスタルからのシグナルを検出するこ
とによって検出される。
【0174】 このアッセイはまた、「サンドイッチ」型の様式で実施され得る。この様式で
は、アレイ上に配置された抗体は、リガンドを含有するサンプルと接触させられ
る。サンプル中のリガンドは、標識されていても、標識されていなくてもよい。
抗体に特異的に結合するリガンドは、二成分(binary)抗体−リガンド複
合体を形成する。従って、アレイ上の抗体は、抗体が特異的に結合するリガンド
を捕獲するように働く;従って、このような抗体は、時に、「捕獲抗体」と呼ば
れる。捕獲抗体とリガンドとの間で形成された二成分複合体は、このリガンドが
標識されていれば、必要に応じて検出できる。このアレイはまた、半導体ナノク
リスタルで標識されている二次抗体と接触させられる。二次抗体が二成分複合体
と特異的に結合する場合、三成分(tertiary)複合体が形成される。三
成分複合体は、この三成分複合体中の半導体ナノクリスタルによって媒介される
放射を検出することによって検出できる。
【0175】 さらなる例として、特定のイムノアッセイでは、マイクロタイタープレートの
ウェルが、選択された抗原でコートされる。この抗原に対する抗体を含有するか
、またはそのような抗体を含有することが疑われる生物学的サンプルを、次にこ
のコートされたウェルに加える。固定された抗原に対して抗体を結合させるのに
十分なインキュベーション期間の後、プレートを洗浄して未結合の抗体、および
他のサンプル成分を除去し、そして半導体ナノクリスタルで標識された検出部分
を加える。この検出部分は、任意の捕獲されたサンプル抗体と反応させられ、上
記のように、このプレートは洗浄され、そして二次的に結合する分子の存在が検
出される。
【0176】 従って、特定の1つの実施形態において、固体支持体に結合した抗原に結合し
た抗体の存在は、抗原/抗体複合体に特異的に結合する半導体ナノクリスタルで
標識された抗体を含む検出部分を用いて、容易に検出され得る。
【0177】 さらに他の方法において、免疫親和性マトリックスが提供され得る。ここで、
特定の抗原を含有することが疑われる生物学的サンプル由来の抗体のポリクロー
ナル集団は、基板に固定される。これに関して、サンプルの最初の親和性精製は
、固定抗原を用いて実行され得る。従って、得られたサンプル調製物は、特定の
抗体しか含まず、親和性(アフィニティー)支持体における潜在的な非特異的結
合特性を回避する。高収率でかつ抗原結合活性の良好な保持で、免疫グロブリン
(インタクトまたは特定のフラグメントのいずれか)を固定する多数の方法が当
該分野で公知である。いずれの特定の方法でも限定されないが、固定されたプロ
テインAまたはプロテインGは、免疫グロブリンを固定するために用いられ得る
【0178】 従って、一旦免疫グロブリン分子が固定されて免疫親和性マトリックスが提供
されれば、半導体ナノクリスタル標識タンパク質(すなわち、潜在的な抗原)は
、安定な結合条件下で、結合した抗体と接触される。任意の非特異的結合抗原が
免疫親和性支持体から洗浄された後、結合した抗原の存在は、半導体ナノクリス
タルによって媒介されるシグナルをアッセイすることによって決定され得る。
【0179】 さらに、抗原それ自体ではなく、特定の抗原に対して惹起された抗体が、所定
のサンプルにおいて目的のタンパク質の存在を検出するため、上記のアッセイに
おいて用いられ得る。これらのアッセイは、本質的に上記のように実施され、そ
して当業者に周知である。
【0180】 アレイを調製するために用いられるリガンドまたは抗体は、種々の異なる支持
体上に配置され得る。本発明の方法における使用に適切な支持体としては、以下
が挙げられるがこれらに限定されない:ニトロセルロース(例えば、メンブレン
またはマイクロタイターウェルの形態);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまた
はマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたは
マイクロタイタープレート);ポリフッ化ビニリデン;ジアゾ化紙;ナイロンメ
ンブレン;活性化ビーズ;および磁気反応性ビーズ。
【0181】 時に、支持体に対する固定は、リガンドまたは抗体を、より良好な固相結合特
性でタンパク質にまず結合することによって増強され得る。適切な結合タンパク
質としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ウシ血清アルブミン(
BSA)を含む血清アルブミンのような高分子、キーホールリンペットヘモシア
ニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、および当業者
に周知の他のタンパク質。分子を支持体に結合させるのに使用され得る他の試薬
としては、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸お
よびアミノ酸コポリマーが挙げられる。分子および結合方法に関するさらなる詳
細は、例えば、Brinkley,M.A.(1992)Bioconjuga
te Chem.3:2〜13;Hashidaら(1984)J.Appl.
Biochem.6.56−63;ならびにAnjaneyuluおよびSta
ros(1987)International J.of peptide
and Protein Res.30:117〜124によって提供される。
【0182】 (3.イムノアッセイのための抗体生成) 本発明の方法において用いられる抗体は、確立された技術であって、例えば、
米国特許出願第4,011,308号;同第4,722,890号;同第4,0
16,043号;同第3,876,504号;同第3,770,380号;およ
び4,372,745号に記載の技術を用いて生成される。例えば、ポリクロー
ナル抗体は、目的の抗原を用いて、適切な動物(例えば、マウス、ラット、ウサ
ギ、ヒツジ、またはヤギ)を免疫することによって生成される。免疫原性を強化
するため、この抗原は、免疫の前にキャリアに連結され得る。このようなキャリ
アは、当業者に周知である。
【0183】 免疫は、一般に抗原を、生理食塩水中で、好ましくはフロイント完全アジュバ
ントのようなアジュバント中で、混合または乳化すること、およびこの混合物ま
たはエマルジョンを非経口的に(一般には皮下に、または筋肉内に)注射するこ
とによって実施される。動物は、一般に、2〜6週間後に、抗原を含有する生理
食塩水(好ましくはフロイントの非完全アジュバントを用いて)の1回以上の注
射でブースト(追加免疫)される。抗体はまた、当該分野で公知の方法を用いる
インビトロ免疫で生成され得る。次いで、免疫された動物からポリクローナル抗
血清を得る。
【0184】 モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein(1975)N
ature 256:495〜497の方法、またはその変法を用いて調製され
得る。代表的には、マウスまたはラットは、上記のように免疫される。しかし、
血清を抽出するために動物を放血するのではなく、脾臓(および必要に応じてい
くつかの大きいリンパ節)を取り出して、単一細胞に分離する。所望の場合、脾
臓細胞は、抗原でコーティングしたプレートまたはウェルに対して細胞懸濁液を
適用することによって、(非特異的接着細胞の除去後に)スクリーニングされ得
る。抗原に特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合
し、そして懸濁液の静置によって洗い流されることはない。得られたB細胞また
は全ての分離した脾臓細胞は、次に、ミエローマ(骨髄腫)と融合するように誘
導されて、ハイブリドーマを形成し、選択培地(例えば、ヒポキサンチン、アミ
ノプテリン、チミジン培地、「HAT」)中で培養される。得られたハイブリド
ーマを限界希釈までプレートし、そして免疫した抗原に特異的に結合し(そして
関係のない抗原には結合しない)抗体の産生についてアッセイする。次いで、選
択したモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマをインビトロ(例えば、組織培養
瓶、または中空ファイバーリアクター中で)またはインビボ(例えば、マウスの
腹水)のいずれかで培養する。
【0185】 ヒトモノクローナル抗体を、マウスハイブリドーマではなく、ヒトを用いて得
る。例えば、Coteら(1985)Monoclonal Antibodi
es and Cancer Therapy、Alan R.Liss,p.
77を参照のこと。
【0186】 モノクローナル抗体またはその部分は、Huseら(1989)Scienc
e 246:1275〜1281に一般的に記載の方法に従って、p185に特
異的に結合する抗体をコードするDNA分子について、B細胞cDNAライブラ
リーをまずスクリーニングすることによって同定され得る。次いで、このDNA
分子をクローニングおよび増幅して、所望の特異性の抗体(または結合ドメイン
)をコードする配列を獲得し得る。
【0187】 前述のように、種々の他の型の抗体がまた利用され得る。例えば、抗体は、フ
ァージライブラリー由来の組み換え抗体であり得る。種々の抗体フラグメントが
また利用され得る。このようなフラグメントは、例えば、Fabフラグメント、
scFvフラグメントおよびミニ抗体(小抗体)(mini−antibody
)を含む。
【0188】 一旦形成されれば、抗体は前述の結合体化方法を用いて半導体ナノクリスタル
で標識され得る。
【0189】 (D.例示的アッセイ) (1.ゲノム全体のスクリーニング) 特定の技術が、多数の融合タンパク質を調製するために利用され得る。この融
合タンパク質は、他のタンパク質、核酸、低分子、オリゴサッカライド、薬物、
および他の生物学的分子のような高分子と相互作用する能力について、引き続き
スクリーニングされ得る。上記のように、種々の生物体(例えば、酵母)由来の
異なるORFを含む異なる融合タンパク質を発現する細胞のアレイが構築され得
る(例えば、Martzen、M.R.ら(1999)Science 286 :1153〜1155を参照のこと)。この細胞によって発現されるタンパク質
は、次いで発現されたタンパク質と相互作用し得るタンパク質を同定するために
目的のリガンドでスクリーニングされ得る。このような方法は、既知のタンパク
質に対して未知のリガンドを同定することを可能にし、さらに、既知または未知
のリガンドに結合し得る未知のタンパク質(すなわち、活性がまだORFに割り
当てられていない)を同定することを可能にする。
【0190】 (2.タンパク質の細胞性局在) 当業者はまた、半導体ナノクリスタル標識試薬を用いて細胞を通じた種々のタ
ンパク質の配置を同定するための実験を行い得る。例えば、近年開発されたトラ
ンスポゾン標的スキームが利用され得る。このアプローチでは、組み換え部位に
隣接するトランスポゾンを含むトランスポゾン構築物が調製される。この構築物
はまた、組み換え部位の1つに隣接するエピトープタグセグメントを含む。相同
な組み換えの目的によって、トランスポゾン構築物は、形質転換される生物体(
例えば、酵母)のゲノム中に組み込まれ得る。構築物が、コード領域とインフレ
ームで挿入される場合、全長エピトープタグ化タンパク質が生成される。
【0191】 次いでこのような細胞のアレイは、種々のタンパク質の細胞下局在を決定する
ためにアッセイされ得る。構築物のインフレーム挿入は、エピトープを含む融合
タンパク質を生成するので、この融合タンパク質は、エピトープに特異的に結合
する抗体と細胞を接触することによって局在化され得る。この様式では、細胞の
種々の領域(例えば、核、ミトコンドリア、および原形質膜など)に対してタン
パク質を局在化し得る。例えば、Ross−Macdonald,Pら(199
9)Nature 402:413〜418を参照のこと。抗体と局在化タンパ
ク質との間で形成された複合体の検出は、半導体ナノクリスタルで標識される抗
体を用いて増強される。
【0192】 (3.エピトープ決定) 半導体標識抗体はまた、目的の抗原の抗原性エピトープを決定するために利用
され得る。抗原性エピトープは、抗体が結合し得るタンパク質の領域として規定
される。免疫原性エピトープは、タンパク質全体が免疫原である場合、抗体反応
を惹起するタンパク質の免疫原性エピトープ部分をいう。特定のこれらの方法は
、抗原性反応を惹起することが公知のタンパク質のアミノ酸配列全体をカバーす
る重複するタンパク質の合成を包含する。これらのタンパク質は、上記のような
、固相タンパク質合成方法を用いて、アレイ形式で合成され得る。次いで、この
固定されたタンパク質は、確立されたELISA技術および種々の異なる抗血清
を用いて抗原性に関して試験される(ここで抗体は、半導体ナノクリスタルで標
識される)。一旦、天然の抗原に対して生成された抗体と安定な複合体を形成す
るペプチドが同定されれば、タンパク質の置換セットが生成される。置換セット
は、単一のアミノ酸置換が導入される以外は、同定されたタンパク質に相当する
全てのタンパク質を含む。各置換セットはまた、アレイとして合成され得る.次
いでこの置換セットは、抗原性が保持されているか否かを決定するために半導体
ナノクリスタルで標識された抗体を用いて再スクリーニングされる。全体的結果
から、抗原性において重要な役割を果たすアミノ酸の位置および同一性を決定し
得る。たとえば、Geysen,H.M.ら(1984)Proc.natl.
Acad.Sci.USA 81:3998〜4002を参照のこと。
【0193】 (VII.組織アレイ) (A.背景) 組織標本を顕微鏡検査に供する、組織学的試験は、明確にされるべき多くの疾
患の生物学的機構を明らかにし、そして結果として、種々の疾患の有効な医学的
処置の開発において助けとなる。伝統的な病理的分析において、診断は、細胞形
態学および染色特徴に基づいてなされる。このような分析は、時々、標準的な染
色手順の感度によって、制限され得る。
【0194】 分子医薬の分野での開発は、疾患の細胞性の機構を検討するため、および最も
適切な処置経過を決定するための新しい方法を生成した。例えば、しばしば、特
定の疾患は、特定のタンパク質の発現レベルの変化(すなわち、減少または上昇
)と関連している。特定の例として、特定のホルモン依存性乳房腫瘍細胞では、
エストロゲンレセプターの発現が増大していることが見出された。他の疾患は、
細胞表面抗原の産生または他の細胞タンパク質の生成と相関していた。種々の検
出技術が、このような標識を同定および検出するために開発されてきた。この技
術としては、例えば、モノクローナル抗体での免疫表現型決定(immunop
henotyping)、およびこのような標識をコードする核酸配列に特異的
なプローブを用いる、インサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。サン
プルを分析し得る処理能力を改善するため、組織アレイを利用して、多数の組織
サンプルの迅速なスクリーニングを可能にし得る。
【0195】 半導体ナノクリスタルは、検出、感度を増強するため、そしてある場合には、
定量的情報を提供するため、前述の方法の全てにおいて使用され得る。半導体ナ
ノクリスタルは、特定の細胞成分を染色するために、多数の異なる種に結合体化
され得る。例えば、上記のように、半導体ナノクリスタルは、核酸および抗体に
結合体化され得、次いで、組織標本内の特定のタンパク質または核酸の存在また
は非存在についてプローブするために用いられ得る。
【0196】 (B.組織アレイ調製) 組織アレイは、多数の異なる方法で調製され得る。臨床医は、標準的な解剖学
的手順を用いて種々の供給源から組織サンプルを入手し得、そして同じタイプの
支持体(例えば、ガラススライドまたはマイクロタイターウェル)上の異なる位
置に、この組織サンプルを個々に配置し得る。このプロセスは、組織サンプルを
得るために設計されたデバイスを用いて特定の観点で自動化され得、次いでこの
サンプルをアレイ内に配置する。この様式でアレイを調製するための適切なデバ
イスの例は、PCT公開WO 00/24940、99/44062、および9
9/44063に考察されている。概してこれらのデバイスは、組織サンプルに
穴を開けるためのパンチ装置を利用し、次いでサンプルを取り出してアレイ支持
体中のくぼみに入れる。
【0197】 このアレイは、種々の異なる様式で調製され得る。例えば、このアレイは、単
一の個体由来の組織サンプルを含み得る。半導体ナノクリスタルを保有する異な
る標識生体分子が、異なる細胞種の存在を検出するために各位置に添加され得る
。他のアレイは、多数の異なる個体由来の組織サンプルを含み得る。例えば、こ
のアレイは、特定の疾患標識についてスクリーニングするため、異なる個体由来
の同じタイプの組織から得た組織サンプルを含み得る。このようなアレイの特定
の例は、乳癌を有することが疑われる婦人からとった乳房組織サンプルのアレイ
である。組織アレイのセット(各セットのアレイが同じ組織サンプルを含む)が
また、調製され得る。各アレイは、異なる標識を検出するために異なるタイプの
分析に供され得る。この様式で、多数の異なる標識についての結果が、異なる個
体の集団について容易に集計され得る。しかし、以下にさらに考察するように、
半導体ナノクリスタルの多色能力によって、多数の異なるタイプの問い合わせ
interrogation)を、単一の組織サンプルで実施することが可能に
なる。従って、半導体ナノクリスタルの多重化能の利用は、アレイ様式と結合し
、ここで各アレイにおいて同じ組織サンプルを有するアレイのセットは、多数の
異なる標識の非常にハイスループット(高処理能力)の分析を可能にする。
【0198】 種々のタイプの組織サンプルが利用され得る。適切な組織サンプルとしては、
公知の外科的手順を用いて切り出された組織切片、1つ以上の全細胞、細胞懸濁
液、細胞学的調製物(例えば、細胞懸濁液から得た塗抹標本(smear))、
および細胞抽出物またはホモジネートが挙げられるがこれらに限定されない。細
胞懸濁液は、例えば、懸濁液をペレット化し、次いで、これを支持体に固定する
ことによって、利用され得る。このサンプルはまた、特定の組織(例えば、皮膚
、乳房、前立腺、精巣および卵巣)から、または種々の体液(例えば、血液、血
漿、細胞を含む尿、精液、膣液、気管支洗浄液、および腹水)から入手され得る
。細胞懸濁液または抽出物の場合、細胞は、生物体から直接入手されるか、また
は細胞培養物から得られ得る。
【0199】 (C.アッセイ) 組織アレイを用いて、DNA、RNAおよびタンパク質のレベルで数百または
数千の組織サンプルを迅速に特徴づけ(プロファイリング)し得る。しかし、こ
のアッセイは、これらの3つの主なクラスの生体分子を検出することには限定さ
れない。オリゴ糖、糖タンパク質、特定の脂肪酸および他の標的の存在および濃
度は、全て、目的の標的に特異的に結合する適切な分子を用いて検出され得る。
半導体ナノクリスタルは、種々の異なる波長に同調され得るので、単一の組織サ
ンプル内の複数の異なるDNA、RNA、タンパク質、および/または他の生体
分子をプローブするために、半導体ナノクリスタル標識核酸、タンパク質(例え
ば、抗体)および他の生体分子を使用することが可能である。このような研究
ら得られた結果は、データベース中で編集され得る。
【0200】 半導体ナノクリスタル結合体(生体分子に結合した単一の半導体ナノクリスタ ルまたは複数の半導体ナノクリスタルのいずれか) の使用によって、現在利用可
能な染色を用いた場合に厄介であり得る、標的分子、因子の特異的であり、鋭敏 であり 、光安定性である検出が可能になる。さらに、半導体ナノクリスタルの
有の特性(すなわち、単一の励起光源、狭いガウススペクトルおよび発光波長の 同調可能性)は、従来の蛍光色素用いた場合に比べ、より多くの色に分解される ことを意味する。
【0201】 種々の形式が、組織アレイを利用する分析を実施するために用いられ得る。上
記で示すように、半導体標識核酸(その配列が、問合される標的核酸に相補的で
ある)または標識タンパク質(標的核酸に特異的に結合する)のいずれかを用い
てサンプルを問い合わせて、標的核酸のレベルを検出し得る。タンパク質のレベ
ルがモニターされるべきである場合、代表的には、標的タンパク質に特異的に結
合し、そして半導体ナノクリスタルを保有する抗体が、標的タンパク質の存在を
検出するために用いられる。しかし、標的タンパク質が、DNA結合タンパク質
である場合、このタンパク質に結合する核酸は、半導体ナノクリスタルで標識さ
れ得、そして標的タンパク質をプローブするために用いられ得る。
【0202】 標識した抗体を利用する場合、分析は、2工程反応で実行され得る。ここでは
、一次抗体が組織サンプルと最初に接触し、続いて半導体ナノクリスタル結合体
化抗体が添加される。あるいは、抗体(または他の生体分子)半導体ナノクリス
タル結合体は、このサンプル内で目的のタンパク質を直接標識するために用いら
れ得る。特定の実施例において、5つ(またはそれ以上(これはスペクトル使用
の増大またはスペクトル分離の減少を伴う))の異なる集団の半導体ナノクリス
タルが、例えば、490〜650nmから、40nm間隔で間隔の空いた発光ス
ペクトルで合成され得る。半導体ナノクリスタルの各々のスペクトル上異なる集
団は、目的の生体分子(分析されるべきサンプル中に存在してもしなくてもよい
)を特異的に認識する異なる分子に結合体化される。標準的なプロトコールに従 って 、このサンプルを半導体ナノクリスタルで標識し、そして標的分子の配置お
よび量について分析する。この分析は、従来の蛍光顕微鏡法でも、またはスペク
トル走査デバイスを使用しても実行できる。
【0203】 スペクトル上で異なる、多くの半導体ナノクリスタルが、生成され得るので、
異なる生体分子(例えば、複数の抗体、および/または複数の核酸分子プローブ
)を標識することが可能である。この生体分子は次に細胞成分の位置および量を
測定するために用いられ得る。異なる化合物が、細胞中で共存(colocal ize) しない場合、分析されるべき標的の既知の空間的分離を利用して、より
多くの半導体ナノクリスタルの色が用いられ得る。例えば、核局在化標的と膜局
在化標的との間に重複は生じない。従って、半導体ナノクリスタルの器官(オル
ガネラ)特異的な群を用いて、識別可能な標的の数を劇的に増加し得る。
【0204】 より詳細には、半導体ナノクリスタルの多色能力は、例えば、tRNA、mR
NA、DNA、タンパク質または組織アレイにおいて染色され得る任意の他の細
胞成分のレベルを測定するための多色インサイチュハイブリダイゼーションを実
施するために、使用され得る。単一の色検出を用いる複数アレイを用いるのでは
なく、1つのアレイで複数の色を用いることによって、より高い精度が達成され
る。なぜなら、組織切片は、均一ではなく、従ってアレイ間でわずかに異なり得
るからである。この不一致はアッセイの結果に容易に影響し得る。半導体ナノク
リスタルを用いた多色検出の利用は、この問題を低下させる。さらに、以下にさ
らに詳細に記載されるように、単一の半導体ナノクリスタルを含む半導体ナノク
リスタル結合体を利用することにより、当業者は、研究中の標的生体分子の定量
的測定をなし得る。多重化によってまた、同じセットの標本における多くの分子 標識 の迅速な分析が、より高い精度で可能になる。
【0205】 組織アレイのアッセイにおける半導体ナノクリスタル標識生体分子の使用は、
種々の適用において利用され得る。適用の1つは、種々のタイプの関連の研究に
おいて組織アレイを使用することである。例えば、特定の疾患を有することが の個体からサンプルを得ることによって、種々の半導体ナノクリスタル結合体
での分析は、疾患または病気と関連する、可能性のある標識を同定するために用
いられ得る。概して、このような方法は、罹患した個体由来の組織において、選
択されたDNA、RNAのレベルおよび/またはタンパク質のレベルを決定する
ための半導体ナノクリスタル結合体の使用を包含する。種々の遺伝子または遺伝
子産物の上昇レベルまたは減少レベルの検出を用いて、このような遺伝子または
タンパク質と、研究中の特定の疾患との間の初期の関係を作成し得る。
【0206】 関連の様式では、半導体ナノクリスタル結合体を利用する組織アレイアッセイ
は、特定の標識と患者の予後との間の関係を確立するために用いられ得る。種々
のDNA、RNAのレベル、および/またはタンパク質のレベルは、患者が異な
る処置を受けている場合に、疾患を有することが既知の患者から得られた組織サ
ンプルにおいて経時的にモニターされ得る。患者の病歴および種々のレベルの を経時的にモニターすることによって、当業者は、特定の標識と疾患の結果と
の間の関係を確立し得る。同様に、標識のレベルと、異なる治療処置の効力との
間の関係が、確立され得る。この場合、異なる標識のレベルは、異なる処置を受
けている個体について追跡される。半導体ナノクリスタルの光安定性によって、
組織アレイは反復して読み取られ、そして後日に比較する目的で記録されること
が可能になる。
【0207】 一旦、疾患と1以上の標的との間の相関が構築されると、このような標的を特
異的に認識する半導体ナノクリスタル結合体を使用して、疾患を有するか、また
は疾患を獲得することに対して感受性である、個体をスクリーニングおよび同定
し得る。同様の様式で、一旦、標識プロフィールと処置の効力との間の関係が確 立された場合 、半導体ナノクリスタル結合体を利用するアッセイを利用して、個
体に関する標識プロフィールを決定し、従って、最も適切な処置選択を同定し得
る。
【0208】 組織アレイ分析はまた、他の分析と組み合わせて使用され得る。例えば、まさ
に記載される初期の相関研究は、上記の異なる遺伝子発現方法を使用して実施さ
れ得る。従って、核酸アレイを使用して、罹患した個体において発現が変えられ
る核酸を同定し得る次いで、さらなる確証研究を、組織アレイを使用して実施
し得る。この核酸が疾患のための真の(bona fide標識であることが
示された場合、次いで標識に特異的に結合する半導体ナノクリスタル結合体を使
用して、疾患の存在、または疾患に対する感受性について個体をスクリーニング
し得る。
【0209】 (VIII.第2問い合わせ) 半導体ナノクリスタルを利用して、第2問い合わせの種々の使用のために、
種々の標的生体分子を標識し得る。このような調査は、一旦、2個以上の生体分
子間の結合複合体が、既に形成された場合に、さらなる分析を実施することに一
般に関係する。このような調査におけるアレイは、第2問い合わせのための調
製において、標的分子を捕捉する生体分子を代表的に有する。この研究の型の適
切な標的としては、核酸(例えば、DNA、RNA)、タンパク質、または抗体
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】 第2の問い合わせの具体的な例は、タンパク質の複数のエピトープに関して、
プローブする抗体のアレイの使用である。この場合において、アレイ上の各スポ
ットは、異なる抗体を含む。複合体タンパク質標的は、単色の半導体ナノクリス
タルで標識され、そして異なる抗体を有するアレイへの結合を可能にする。図1
Aの場合において、この3つの斜線領域は、このアレイの正のシグナルに対応す
る。一旦、この標的分子がアレイに結合されると、第2抗体(第2の色を有する
半導体ナノクリスタルで標識された抗体)は、このアレイと接触され、そして結
合タンパク質の第2のエピトープに結合する機会が与えられる(図1B)。図1
Aに示される特定の実施形態において、異なる色が、スクリーニングの第1ラウ
ンドで同定された3つの活性抗体の各々を標識するために使用される。
【0211】 この手順を使用して、例えば、相補的な抗体対を見出し得る。第1の工程にお
いて、標的分子に効果的に結合する、いくつかの抗体が、同定される。これらの
抗体の各々は、標的分子の異なるエピトープに結合し得るので、第2の工程は、 第1 の工程で同定した同一の抗体とこのアレイとを接触させることによって、結
合したタンパク質を問い合わせ得る。両方の半導体ナノクリスタルからシグナル
を発生するアレイ上のこれらの位置は、標的分子の異なるエピトープを認識する
2個の抗体が存在する位置である。
【0212】 この捕捉および第2問い合わせの技術をまた使用して、複数のSNPの同時 遺伝子型分類 を実施し得る。2個のSNPが分析下で標的核酸から離れて配置さ
れる場合、両方の多型部位は、アレイ上の核酸プローブを使用することによって
同時に問い合わせられ得、このプローブは、半導体ナノクリスタルで標識された
標的核酸を捕捉するために、第1のSNPに対して相補的である。一旦、標識し
た標的核酸が捕捉されると、この核酸は、第2のSNPの種々の多型形態に対し
て相補的である標識したプローブの第2のセットを用いてプローブされる。異
なる多型形態に対するプローブは、異なる色で各々標識され得る。このアレイを
プローブの第2のセットと接触させることによって、各SNPは、色および位置
によって同定され得、そしてハプロタイプが決定され得る。
【0213】 (XI.ダイナミックレンジの拡張および単一コピー計数) (A.一般論) 上記のように、既存のアレイ方法に関連する2つの重大な欠点は、低濃度での
感度の制限およびダイナミックレンジ(いわゆる、広範の濃度にわたって標的濃
度を正確にかつ同時に測定するための能力)の制限に関する。現在、アレイ分析
を実施するために蛍光標識を用いて、しばしば、低濃度での検出感度のために、
高濃度での線形性を犠牲にすることを強いられている
【0214】 半導体ナノクリスタルの使用により、感度およびダイナミックレンジの両方で
の顕著な改良を提供し得る。半導体ナノクリスタルからの蛍光は、非常に明るく
かつ安定であり、そして単一の半導体ナノクリスタルのルーチン検出を可能にす
る(例えば、Empedoclesら(1999a),「Three−dime
ntional orientation measurements of
symmetric single chromophores using
polarization microscopy」,Nature 399:
126−130;Empedoclesら(1999b),「Spectros
copy of Single CdSe Nanocrystallites
」,Acc.Chem.Res.32:389−396;Empedocles
ら(1997),「Quantum−confined Stark effe
ct in single CdSe nanocrystallite qu
antum dots」,Science 278:2114−2117;Em
pedoclesら(1996),「Photoluminescence s
pectroscopy of Single CdSe nanocryst
allite quantum dots」,Phys.Rev.Lett.7
7:3873−3876を参照のこと)。この半導体ナノクリスタル手段の検出
の特徴は、単一コピー計数レジメンに拡張され得る。半導体ナノクリスタルによ
って影響される感度の増加は、微少量の標的分子の検出を可能にする。これは、
標的が、(遺伝子発現のかすかな変化(例えば、疾患または環境の変化により生
じる変化)の検出のような)非常に低い濃度でのみ存在する、種々のアッセイで
のみ重要である。
【0215】 現在の発蛍光団(fluorophore)を使用して検出され得る標的分子
濃度で扱う場合でさえ、有機色素を使用して、アレイ結果の定量分析に関連する
さらなる問題が存在する。Cy5のような色素の非一貫性実施により、信頼性が
ないアレイ結果が生じた。半導体ナノクリスタルは、Cy3およびCy5のよう
な存在する発蛍光団に対してより安定でかつ信頼性がある代用物として作用し得 。さらに、代表的に、半導体ナノクリスタルは、有機色素が消光する範囲まで
自己消光せず、半導体ナノクリスタルが固体半導体ナノクリスタルフィルムに ック される場合でさえ、強度のルミネセンスを発生し得るままである。これは、
ある場合において、半導体ナノクリスタルはまた、濃度検出の高末端限界を拡張
し得、標準的な発蛍光団を使用して達成され得ることを意味する。従って、半導
体ナノクリスタルは、より低濃度レベルおよびより高濃度レベルで発生する検出
を可能にし、従って、検出のダイナミックレンジを拡張する。
【0216】 本明細書中に記載される、単一標的計数アッセイおよびその方法は、半導体ナ
ノクリスタル標識を使用して必ずしも実施されなければならないことはない。単
一分子レベルで検出され得る任意の蛍光標識は、本明細書中に記載される測定の
型に利用され得る。従って、適切な標識としては、有機色素分子、金属コロイド 散乱 粒子、および表面増強ラマン分光法(surface−enhanced Raman spectroscopy; SERS)粒子が挙げられるが、これ
らに限定されない。しかし、上記の半導体ナノクリスタルの多くの独特の特徴は
、単一標的計数アッセイにおいて、このナノクリスタルを標識として特に有用に
する。さらに、本明細書中に記載される特定の方法は、単一標識を検出するため
の能力でなく、単一標識分子を検出するための能力を必要とする。従って、本明
細書中に記載の方法を使用して、単一標識分子を検出し得、この分子は、単一の
検出可能な標識、または複数の検出可能な標識を用いて標識される。
【0217】 (B.単一コピー計数およびダイナミックレンジの拡張に関する基礎) 高い安定性、検出感度および多重化の容易性により、半導体ナノクリスタルを
、超高感度な表面ベースアッセイでの使用のための複数色発蛍光団として有用に
する。単一の半導体ナノクリスタルを容易に検出する能力とは、アッセイ表面に 結合された単一標的分子が1つずつ計測されるバイオアッセイにおける発蛍光団 として半導体ナノクリスタルが特に有用であることを意味する。
【0218】 「単一標的計数」は、サンプル内の標的分子の全てを計数することを意味する
のではなく、アレイ基質の表面に結合され標的分子を計数することを意味する
。この数は、サンプル中の標的分子の総数と必ずしも同一ではないが、正確な標
的レベルが、知の濃度のサンプルに対する較正を通じて決定され得る。検出を
可能にすることおよび単一結合標的分子を計数することによって、現在の検出技
術を使用して可能なアッセイを超える、表面ベースアッセイの感度を拡張し得
る。例えば、現在のマイクロアレイ技術は、0.1標識/μm程度の低さの密
度(10μmの直径の共焦点スポット当たり約8個の標識)での標的の検出を可
能にする。単一標的を計数する場合、検出の理論的限界は、1アレイスポット当
たり1個の標識であり、100μmの直径のアレイエレメントに対して3桁の大
きさ程度まで検出感度を拡大する。
【0219】 単結合標的分子の検出、表面ベースアッセイの感度およびダイナミックレン
ジを如何にして改良するかを適切に理解するために、アッセイ表面上の濃度範囲
の高限界および低限界で何が実際に測定されるかを理解することが重要である。
例示の目的のために、マイクロアレイが考慮されるが、マイクロアレイについて 提示 される考えは、任意の表面ベースアッセイにも当てはまる。図6Aは、結合
標的の濃度を減少させていった、一連のマイクロアレイスポットのグラフ表示
示す。この左側は、高濃度のレジーム(アンサンブルレジーム)に対応し、ここ
で、全アレイスポットは、標的で覆われ、そして平均発光度は、アレイの表面
にわたる標識の平均密度に依存する。このレジームにおいて、サンプルの濃度は
、平均発光度(アンサンブル強度)に対して比例する。この右側は、単一コピ
ー計数レジームに対応し、ここで、個々の結合標的分子は、光の回折限界よりも
大きな距離によって互いから分離され、そして1つずつ検出され得る。このレジ
ームにおいて、サンプルの濃度は、アレイの表面上で計数される個々の標的の数
に比例する。
【0220】 図6Bは、全度範囲にわたって、アンサンブル度および単一コピー計数を
使用して検出される、相対的なシグナル 対 濃度をシミュレートするデータを
示す。アンサンブル測定、高濃度で線形の濃度依存性を生ずるが、これは低濃
度で飽和する。この飽和は、検出領域における結合標的からの全シグナルが、全
領域にわたって一体化したバックグラウンドから発生するノイズよりも小さい場
合に生じる。しかし、高分解能顕微鏡を備えたアレイに結合した単分子結合を検
出することは、単一のフルオファーからのシグナルをアレイスポットの極端に小
さな(回折限界)領域からのバックグラウンドと比較することによって、一体化
したバックグラウンドのノイズを劇的に減少させ得る。
【0221】 例として、バックグラウンドのシグナルが、全検出領域直線的に増加する場
合、標準的な10μmの直径のアンサンブルプローブスポットにわたって生じる
バックグラウンドは、単一発蛍光団の高分解能の画像から生じるバックグラウン
ド(約0.5μmの直径)よりも400倍高い。これは、結果として、1/20 のノイズの減少(従って、感度の増加)を生じる。この効果は、このアンサン
ブルシグナルが全アレイスポットにわたって一体化される場合にさらに増強され
る。100μmの直径のスポットに関して、バックグラウンドシグナルは、約2
00倍高い感度で得られる回折限スポットについてよりも40000倍高い。
96ウェルプレートの全ウェルの底部にわたるバックグラウンドは、約10
高く、10の増強が得られる。しかし、これらの増強を達成するために、高度
の空間的な分解能を有する単一結合標的分子からの蛍光を検出し得る必要がある
【0222】 アンサンブル強度の測定と対照的に、単一標的計数シグナルは、高濃度で飽和
する。これは、区別され得ない個々の標的分子が互いに隣接するポイントまで濃
度が増加する場合に生じる。このことは、いくつかの個々のスポットが、1より 多い 結合標的分子実際に含み、従って、標的分子の総数よりも少ない数を生じ ることを意味する 。この結果は、全サンプルの濃度の過少評価である(図6Cを
参照のこと)。
【0223】 アンサンブルと単一標的計数レジームとの間で、濃度が個々の標的を計数する
には十分低いが、アンサンブル測定において検出可能であるに十分高い、レジー
ムが存在する。これは、伝統的なレジームとして言及される。広範な濃度にわた
って表面に非特異的に吸された、単一の半導体ナノクリスタルの予備的な測定
により、アンサンブルまたは単一標的計数のいずれかを使用して、伝統的レジー
ムを較正することを可能にし、使用者が全レジームにわたって濃度を較正するこ
可能とするべきことを示唆する。
【0224】 単一コピー計数とアンサンブル強度測定とを組み合わせることによって、検出
感度およびマイクロアレイアッセイのダイナミックレンジが増強され得る。標準
的な測定において、低限界での検出感度が、検出器の飽和に起因して、高限界
のダイナミックレンジを使用して達成される。しかし、単一標的計数とアンサン
ブル強度測定とを組み合わせることによって、単一の実験での全ダイナミックレ
ンジをカバーし得る。この理由は、単一コピー計数レジームにおいて、濃度が増
加するにつれて、検出されたスポットの数のみが増加し、ピーク強度が増加しな
である。このような検出器の全ダイナミックレンジを使用して、アンサンブ
ル濃度レジームをカバーし得、このピーク強度は、濃度と共に直線的に変化する
【0225】 例として、0.5μm未満の空間的分解能で、100μmのマイクロアレイス
ポットの全領域にわたる、単一の半導体ナノクリスタルからの蛍光を検出し得る
検出システムを考慮する。このシステムは、1ピクセル当たり65,536計数
のダイナミックレンジおよび約2計数/ピクセルのリードノイズを有する2次元
CCDカメラを使用する。励起強度および積分時間が選択され、30計数/ピク
セル/半導体ナノクリスタルが得られる場合、単一コピー計数レジームにおいて
、個々の半導体ナノクリスタルが約15のシグナル対ノイズ比で検出される。結
合した分子の均等な分布および約0.5μmの空間的分解能を想定して、せいぜ
、各100μmのアレイスポット内で40,000の個々のスポットを検出し
得る。理想的なシステムにおいて、10より多い単一標的計数レジーム内のダ
イナミックレンジが得られる。この濃度がアンサンブルレジームに増加する場合
、この平均強度は、濃度と共に直線的に増加する。次いで、この検出器は、飽和
の前に、10のさらなるダイナミックレンジを提供する。結果として、10
の全ダイナミックレンジは、単一の実験で理論的に可能である。当然のことなが
、複数の積分時間を使用して、必要な場合に、より高い濃度までダイナミック
レンジを拡張し得る。
【0226】 (C.検出) 単一分子の蛍光検出は、レーザースキャニング共焦点顕微鏡または2D CC
Dカメラを備えた幅広い視野の画像を使用して達成され得る。これらの適用の
ためにスキャニング共焦点顕微鏡を超える、幅広い視野の画像の一つの明確な
利点は、蛍光が1以上のアレイスポット内の全ポイントから同時に収集され得る
ことである。このことは、シグナルが、アレイの読取り時間を増加させることな
く、比較的長時間一体化され得ることを意味する。このことは、半導体ナノクリ
スタルを検出する場合に、特に利点がある。なぜならば、これらは,光退色しな
いからである。従って、有機色素と比較して比較的長時間、各アレイスポットか
らのシグナルを一体化することが可能である。このことにより、顕著に高度な蛍
光シグナルを提供し得、これは、単一半導体ナノクリスタルからの蛍光を容易に
検出させるものの一つである。しかし、同時に、比較的高度な空間的分解能(0
.5μm未満)が、個々の標的分子からの蛍光を空間的に分離し、そしてシグナ ル対バックグラウンド比 を最大化させ得るために必要とされる。長い一体化時間
と高度の空間的分解能の組み合わせは、共焦点スキャニング光学システムを使用
する場合の禁止事項であり得る。例えば、0.5μmの分解能および100ms
の積分時間を有する共焦点スキャニングシステムを使用することは、単一の10
0μmの直径のマイクロアレイスポットをスキャニングするため15分より長
くかかる。このことは、10000スポットを有するアレイを考慮する場合に、 ひどく 長時間かかる(約100日)。
【0227】 幅広い視野の検出および高開口数顕微鏡対物レンズ(high numeri
cal aperture microscope objective)を使
用することによって、単一のスポットの同一の画像は、単一の100ms曝露に
おいて得られ得る。一旦、取ると、このアレイは、隣接領域に移動され得、そし
て次の画像が取られる。スキャニング段階を正確に制御し、そして画像を共に縫 い合わせる ことによって、全アレイ画像が作製される。この手順が、全読みこ
み時間を劇的に減少させ、全アレイを20分未満で読み込むことを可能にする
さらに、いくつかの場合において、複数のアレイスポットが、同時に画像化され
得、全収集時間をさらに減少させる。
【0228】 本発明の方法は、アッセイがアレイ表面上で行われるアレイベースアッセイに
焦点てるが、この方法はまた、マイクロタイタープレートまたはポリマービ
ーズの底部のような表面支持体上で実施される、他のバイオアッセイに適用され
る。このまさに記載される考察は、上記の任意のアッセイに一般に適用される。
アッセイは、代表的に、半導体ナノクリスタルを用いて実施されるが、上記のよ
うに、有機色素または金属コロイドのような他の発蛍光団を用いて実施され得る
。半導体ナノクリスタルは、本明細書に記載される複数の技術を介して、アッセ
イのリガンドまたはリガンドに取り込まれ得る。各結合標的分子は、1以上の
半導体ナノクリスタルで標識される。
【0229】 一旦、このアッセイが完了し、そして半導体ナノクリスタルを含む1以上の複
合体が形成されると、このサンプルからの蛍光が検出される。結合した標的分子
の密度が、約1標的/μmより大きい場合、このアッセイのシグナルが測定さ
れ、そして全アッセイ領域からの全発光強度(例えば、単一のマイクロアレイス
ポットまたは全マイクロタイターウェルからの全シグナル)を使用して較正され
る。標的度が約1標的/μm未満である場合、個々の標的分子が、標準的な
フラウンホーファー領域光学を使用して空間的に分解され得、このアッセイシグ
ナルを測定し、そして結合した標的分子の総数を計数することによって較正する
。このアッセイシグナルは、アンサンブルおよび単一標的計数方法の両方を使用
して全アッセイから測定され得る。次いで、較正曲線を同定するために使用し得
、このアッセイは、アンサンブル、単一および転位レジームにおいて減少する。
【0230】 代表的に、半導体ナノクリスタルを含む複合体は、単一の半導体ナノクリスタ
ル(または他の標識)からの蛍光を、1μm以下の空間的分解能で検出し得る光
学検出システムを用いて検出される。いくつかの場合において、この光学システ
ムは、2D CCDカメラおよび高開口数顕微鏡対物レンズを有する幅広い視野
の画像システムを構成する。単一半導体ナノクリスタルからの蛍光を検出および
スペクトル的に分解得る、レーザーベースの顕微鏡システムもまた、利用され
得る(例えば、Empedoclesら(1999a),Nature 399
:126−130;Empedoclesら(1999b)、Acc.Chem
.Res.32:389−396;Empedoclesら(1997),Sc
ience 278:2114−2117;およびEmpedoclesら(1
996),Phys.Rev.Lett.77:3873−3876を参照のこ
と)。
【0231】 レーザーベースの顕微鏡システムの光学的な設計は、幅広い視野のエピ蛍光顕
微鏡に基づいている。図7は、このようなレーザー顕微鏡システム100の重要 な光学成分の概略図である。レーザー供給源(488nm Ar)104から
の励起光102を、分散プリズム106および500nmのショートパス2色性 ミラー108 を介して、45°の角度で移動させる。次いで、この励起光は、高
開口数顕微鏡対物レンズ110によって、サンプル表面112上に焦点てる 。励起経路でのさらなるレンズ(すなわち、分散プリズム106)により、レー
ザー104を、サンプル表面112の広範な領域を照射させる。この蛍光画像が
、同一の対物レンズ110によって収集される。この画像が、2色性ミラー10
8によって反射され、波長特異的フィルター114を通過させ、任意の励起光を
取り除き、そして最終のレンズ116によって検出システム118に焦点を合わ
せる。この検出システム118は、2D CCDカメラ120および調整可能な
帯域通過フィルター122からなる。スペクトル画像が、異なる波長での複数の
画像を獲得することによって得られる。このシステムを用いて、2nmのスペク
トル分解能および約0.5μm未満の空間的分解能で、画像内のすべての点での
スペクトルを同時に得ることが可能である。このシステムでの均一な励起強度は
、ランプ光源またはレザー励起供給源いずれかの使用を介して発生され、これ
は、互いに関して90°で各々配向された一連の2個のPowelレンズの使用
を介して、プロフィールを「トップハット(top−hat)」するために、G
aussian強度プロフィールから移動される。あるいは、この光学システム
は、約0.5μm未満の空間的分解能を有する、スキャニング共焦点顕微鏡シス
テムから構成され得る。
【0232】 別の検出選択肢は、液浸顕微鏡対物レンズを備える顕微鏡を含む光学システム
を利用し、これにおいて、このサンプルは、サンプル基板の背面から(例えば、 マイクロアレイ 基板の裏面またはマイクロタイターウェルの底部から)見出され
る。特定の場合において、このサンプルは、ガラスまたは石英の基材表面に位置 付けられ得、 高開口数オイル液浸顕微鏡および指数一致液浸オイル(n=1.5
1)を用いて検出される。これは、800%程度の収集効率の増加を生じ得る。
あるいは、検出は、水または他の液浸レンズを用いてであり得、このサンプル基
板の背景からも検出される。
【0233】 単一の標的分子の超音波検出に関して、明るい発蛍光団を有することだけでな
く、基板表面およびアッセイ材料からバックグラウンド蛍光の収集を最少にする
ことが要である。アレイ基板およびアッセイ材料からの自己蛍光が、(a)石
英または低い蛍光ラスのような低蛍光アレイ基材を使用することにより、(b
)基およびアッセイ物質からの自己蛍光では顕著には覆われない蛍光標識を選
択することにより、および(c)自己蛍光を十分に励起しない励起波長を選択す
ることにより最小にされる。半導体ナノクリスタルは、任意の波長で吸収およ び放射す るように合成され得るので、これらは、自己蛍光からの干渉を最小にす
るための理想的な発蛍光団である。
【0234】 単一標的計数レベルでアッセイを検出するにおいて重要な問題は、非常に低い
シグナルでどのようにアッセイ領域を位置付けるかである。例えば、マクロアレ
イが単一標的計数レジームでの密度で標識される場合、いくつかの場合において
、定量検出のためにアレイスポットを配置することが困難であり得る。特定の方
法において、「アライメントスポット」の使用を組み合わせたアレイスライドの
運動学的アライメントは、アレイのエッジを自動的に配置するため、および第1 画像を記録するために使用され、その結果、このアレイのスポットは、各画像の
中心内に配置される。アライメントスポットが、目的の任意の配列に対して相補
的でないアレイスポットである。各々のハイブリダイゼーションサンプルに対し
て、公知の濃度で、これらのアライメントスポットに対して特異的である標識し
た標的が添加され得る。従って、これらのスポットは、高度なシグナルを有し、
そしてアライメントの目的のために検出および使用され得る。アライメントスポ
ットのパターンは、アレイの絶対位置を明白に同定する各アレイにわたって配置
され得る。
【0235】 次いで、ソフトウェアを使用して、アレイ内の各スポットを配置および分析し
得る。パターン認識アルゴリズムを使用して、アライメントスポットが同定され
得、そして全ての他のスポットの位置が、アレイの公知の周期性から検出される
。一旦、このアレイのパターンが決定されると、アレイ上の各スポットが、周期
性の格子内の位置に従って配置され得る。全てのスポットの半径は、同一であり
、そしてアライメントスポットの径から予め決定されるか、または引き出され
得る。次いで、2個の別個のアルゴリズムが、各スポット領域内からのシグナル
を分析するために使用され得る。第1に、各スポット内からの全部の一体化シグ
ナルを測定し、アレイスポットの外側の等価な領域または既知の強度の較正スポ
ットのいずれかと比較し得る。第2に、アルゴリズムが、各アレイスポット内の
個々の蛍光を計数するために使用され得る。パターン認識を使用して、このア
ルゴリズムを同定し得、そして単一の半導体ナノクリスタルからの蛍光に特異的
である形状、サイズおよび閾値の強度の予め決定した一連の特性と一致する蛍光
点を計数し得る。各スポットに対して、アンサンブル強度および「計数」(すな
わち、別個の蛍光の数)を含むデータファイルが、搬出される。図8A〜8
Eは、完全なアレイスキャニング手順を記載する。
【0236】 マイクロタイタープレートアッセイのようないくつかの表面ベースアッセイに
関して、光学システムの顕微鏡アライメント(すなわち、各マイクロタイターウ
ェルの底部全体をスキャニングすること)が使用され得る。ビーズベースのアッ
セイに関して、検出ラベルでスペクトル的に覆われない、第2半導体ナノクリス
ル色を使用することが可能である。この第2の色が、既知の濃度で表面に対し
いずれか内部各ビーズに添加され得るかまたは結合され得る。次いで、この
色は、個々のビーズを配意するために使用され得る。一旦見出されると、帯域通
過フィルターを使用して、アライメント色からの蛍光を遮断し、標識半導体ナ
ノクリスタルのみの単一標識検出を可能にする。この2色技術はまた、マイクロ
アレイのために使用され得る。
【0237】 単一の結合標的分子を検出し得る首尾良いアッセイシステムに対する1つの
らなる要求は、検出標識の非特異的結合を最小にすることである。非特異的に結
合した半導体ナノクリスタルが多すぎると、単一の標的計数のレベルでの標的濃
度の定量測定干渉し得る。結論として、これらのアッセイの標識は、極度に
低い非特異的結合の発蛍光団用いる。半導体ナノクリスタルの表面が、実質的 にあらゆる 機能を有するように改良され得るので、非特異的な結合を最小にする よう に半導体ナノクリスタルの表面特性を最適し得る。
【0238】 他の方法において、各標的分子を、2つの異なる結合相互作用を介して、2つ
の異なる半導体ナノクリスタル色で標識する。次いで、特異的に結合された標識
を、同じ蛍光スポット内に共存する両方の色の検出によって同定し得る。
【0239】 (D.単色蛍光によって同定される非特異的結合) 核酸マイクロアレイのような表面ベースのアッセイの主な欠点は、非常に低い
レベルの標的濃度を検出するために必要とされる適切な感度を欠くことである。
例えば、遺伝子発現マイクロアレイを使用して研究される目的の既知遺伝子のう
ちの40%程度は、1細胞あたり1〜10コピーの間のレベルで発現され、これ
は、現在の検出スキームを使用する検出のちょうど限界または限界未満である。
低い発現レベルに加えて、遺伝子試験のための材料の抽出に要するコストは、遺
伝子分析のためのサンプルサイズの必要量を最小化するよう圧迫する。ごく少量
の発現DNAを測定する能力は、疾患を初期で同定および処置する能力を有意に
改善する。マイクロアレイアッセイにおける超高感度の検出また、全ての疾患
領域における目的の新しい遺伝子の同定を補助し得る。標識化およびDNAマイ
クロアレイからの蛍光の高感度の検出のためのシステムは、入手可能な情報量 加しながら、同時に、発現分析に関連するコストを有意に減少し得る。
【0240】 現在、マイクロアレイのような表面ベースのアッセイの検出のための好ましい
方法は、有機色素で標的分子を標識することによる。有機色素を使用するDNA
マイクロアレイについては、現在の最新技術水準での検出では、マイクロアレイ
スポットの10μm×10μm領域において最低限の約10分子しか検出し得な
い(Dugganら、(1999)Nature Genetics 21(n
ls):10−14)。これは、標準の100μm直径のマイクロアレイスポッ
トからシグナルを検出するために必要とされる最低限の結合DNA分子数が、約
1000個であることを意味する。このシグナルを生成するために、1000万
個よりも多い細胞が必要とされ得る。多くの例において、これほど多くの細胞材
料を抽出することは可能でない。半導体ナノクリスタルでの1回の標的計数を使
用する場合、検出の理論的限界は、1アレイスポットあたり1分子であり、これ
は、必要とされる細胞材料の量を3桁の大きさで減少させ、そして重要な発現プ
ロフィールを同定およびモニターする能力を有意に改善する。同様に、全てのタ
イプのバイオアッセイにおいて1個の結合標的分子を検出するこの能力は、これ
らの測定の感度およびダイナミックレンジを劇的に改善し、情報量を増加しそし
てコストを最化する。
【0241】 (X.半導体ナノクリスタルの調製) 本方法における使用のための半導体ナノクリスタルは、当該分野で公知の技術
を使用して作製される。例えば、米国特許第6,048,616号;同第5,9
90,479号;同第5,690,807号;同第5,505,928号;同第
5,262,357号;ならびにPCT公開番号99/26299号(1999
年5月27日公開)を参照のこと。詳細には、本発明の生物学的アッセイおよび
化学アッセイにおける半導体ナノクリスタルとしての使用のための例示的材料と
しては、上記の材料(グループII−VI、III−VおよびグループIVの半
導体(例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、M
gS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、
SrTe、BaS、BaSe、BaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb
、InP、InAs、InSb、AlS、AlP、AlSb、PbS、PbSe
、GeおよびSi、ならびにそれらの三成分混合物および四成分混合物)を含む )が挙げられるが、これらに限定されない。半導体ナノクリスタルは、それらの
均一なナノメーターサイズによって特徴付けられる。
【0242】 上記で議論したように、半導体ナノクリスタルの組成および半導体ナノクリス
タルのサイズの選択は、半導体ナノクリスタルの特徴的なスペクトル放出波長に
影響する。従って、当業者が認識するように、上記に列挙したような半導体ナノ
クリスタルの特定の組成物は、モニターされるスペクトル領域に基づいて選択さ
れる。例えば、可視範囲のエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルとしては
、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe、ZnTe、GaPおよびGaAsが
挙げられるが、これらに限定されない。
【0243】 近IR範囲のエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルとしては、InP、
InAs、InSb、PbSおよびPbSeが挙げられるが、これらに限定され
ない。最後に、青〜近紫外のエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルとして
は、ZnSおよびGaNが挙げられるが、これらに限定されない。
【0244】 本発明の方法において使用される半導体ナノクリスタルについて選択された任
意の特定の組成物について、その半導体ナノクリスタルの特定の組成物のサイズ
を制御することによって、その放出を所望の波長に調整することが可能である。
いくつかの例において、5〜20種の別個の放出(互いに区別可能な5〜20個
の異なるサイズの集団または分布)、より好ましくは、10〜15種の別個の放
出が、任意の特定の組成物について得られるが、当業者は、5種より少ない放出
および20種より多い放出が、半導体ナノクリスタル粒子の単分散性に依存して
使用されることを認識する。高い情報密度、そして従って、より多数の別個の
放出が必要とされる場合、ナノクリスタルは、好ましくは、上記のサイズ範囲内
で実質的に単分散性である。
【0245】 上記で説明したように、「単分散」との用語は、本明細書中で使用する場合、
懸濁された粒子が実質的に同一のサイズおよび形状を有する、コロイド系を意味
する。特定の高い情報密度での適用において、単分散粒子は、直径において、1
0%rms未満(そして、好ましくは、5%未満)で偏向する。単分散半導体ナ
ノクリスタルは、Murrayら(1993)J.Am.Chem.Soc.1
15:8706およびMurray、「Synthesis and Char
acterization of II−VI Quantum Dots a
nd Their Assembly into 3−D Quantum D
ot Superlattices」(1995)博士論文、Massachu
setts Institute of Technologyに詳細に記載さ
れている。所定の組成物について明確に観察され得る別個の放出の数は、粒子の
単分散性のみならず、使用するデコンボルーション(deconvolutio
n)技術にも依存する。色素分子とは異なり、半導体ナノクリスタルは、ガウス
分布(Gaussians)として容易にモデルされ得、従って、より容易か
つより正確にデコンボルーションされる。
【0246】 しかし、いくつかの適用については、高い情報密度が必要とされず、そしてよ
り多分散性の粒子を使用することがより経済的に魅力的である。従って、高い情
報密度を必要としない適用について、放出の準位幅は、40〜60nmの範囲に
あり得る。
【0247】 特定の方法において、半導体ナノクリスタルの表面は、半導体ナノクリスタル
へ保護層(overcoating layer)を付加することによって、放
出の効率を増強するよう改変される。この保護層、代表的には、使用される。
なぜなら、半導体ナノクリスタルの表面では、表面の欠陥が、電子または空孔
トラップを生じ得、これが、その半導体ナノクリスタルの電気的および光学的特
性を下げるからである。半導体ナノクリスタルの表面の絶縁層は、その界面で化
学ポテンシャルにおける原子的な急激な上昇を提供し、これは、電子または空孔 のトラップとして作用し得るエネルギー状態を排除する。これは、このルミネセ
ンスプロセスにおいてより高い効率を生じる。
【0248】 保護層のための適切な材料としては、半導体ナノクリスタルコアよりも高いバ
ンドギャップエネルギーを有する半導体材料が挙げられる。半導体ナノクリスタ
ルコアよりも高いバンドギャップエネルギーを有することに加えて、保護層のた
めの適切な材料は、そのコア半導体ナノクリスタルに対して良好な伝導帯および
価電子帯のオフセットを有する。従って、コア半導体ナノクリスタルよりも、伝
は、所望には、より高く、そして価電子帯は、所望には、より低い。可視 おいてエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルコア (例えば、CdS、Cd
Se、CdTe、ZnSe、ZnTe、GaP、GaAs)または近IRにおい てエネルギーを放出する半導体ナノクリスタルコア (例えば、InP、InAs
、InSb、PbS、PbSe)について、紫外領域のバンドギャップエネルギ
ーを有する材料が、使用され得る。例示的な材料としては、ZnS、GaNおよ
びマグネシウムカルコゲニド(例えば、MgS、MgSeおよびMeTe)が挙
げられる。近IRで放出する半導体ナノクリスタルコアについては、可視のバン
ドギャップエネルギーを有する材料(例えば、CdSまたはCdSe)もまた使
用され得る。コートされた半導体ナノクリスタルの調製は、例えば、Dabbo
usiら、(1997)J.Phys.Chem.B 101:9463)およ
びKunoら、(1997)J.Phys.Chem.106:9869に見出
され得る。
【0249】 ほとんどの半導体ナノクリスタルは、トリオクチルホスフィンオキシド(TO
PO)およびトリオクチルホスフィン(TOP)のような配位(coordin
ating)溶媒中で調製され、これらは、この有機溶媒から構成されたナノク
リスタル表面上不動態化有機層を形成する。この層は、保護層を含む半導体ナ
ノクリスタル上および保護層を含まない半導体ナノクリスタル上に存在する。従
って、これらのクラスの不動態化半導体ナノクリスタルのいずれかは、有機溶媒
(例えば、トルエン、クロロホルムおよびヘキサン)中に容易に溶解する。これ
らの官能部分は、容易に置換または改変され、以下にさらに記載するような、
その半導体ナノクリスタルを本発明の検出可能な標識としての使用に適切にする
外側のコーティングを提供し得る。さらに、所望の適用に基づいて、半導体ナノ
クリスタル官能基の一部、または半導体ナノクリスタル官能基の表面全体が、そ
の所望の用途に基づいて、置換反応によって改変され得る。
【0250】 所望の範囲のスペクトル放出についての半導体ナノクリスタルの組成物の選択
および目的の系に適合可能な所望の表面官能化の選択後、スペクトル同定のた
めに十分な強度の別個かつ固有のスペクトル放出を観察するために必要とされる
最小限の数の半導体ナノクリスタルを選択することもまた所望され得る。十分な
強度の別個かつ固有のスペクトル放出を観察するために必要とされる最小限の数
の半導体ナノクリスタルの決定において重要な選択基準としては、以下が挙げら
れる:(1)明るい(すなわち、暗い半導体ナノクリスタルと対比して、光を放
出する)十分な数の半導体ナノクリスタルを提供すること、および(2)平均し
て単一の半導体ナノクリスタル放出において観察されるブリンキング効果を超え
るのに十分なの半導体ナノクリスタルを提供すること。Nirmalら(19
96)Nature 383:802。
【0251】 例えば、特定の組成物および粒子サイズ分布の8以上の半導体ナノクリスタル
が、提供され得る。例えば、所望の使用方法が、特定の組成物の3つの異なる粒
子サイズ分布を利用する場合、この3つの異なる粒子サイズ分布の各々うちの 8つの半導体ナノクリスタルを使用して、目的の特定の分析物の位置または正体
に関する信頼性のある情報を提供するのに十分に強い各々からのスペクトル放出
を観察する。特定の組成物および粒子サイズ分布の8つより少ない半導体ナノク
リスタルは、上記のような選択基準によって決定した場合に、十分な強度の固有
のスペクトル放出が観察される限り、利用され得る。
【0252】 上記の方法を使用して、各集団が異なる特徴的な光ルミネセンススペクトル
示す、半導体ナノクリスタルの別々の集団を調製し得る。半導体ナノクリスタル
の複数の集団の各々は、多重化されたアッセイ方法または分析方法において使用
するための結合対の別個の第1のメンバーに結合体化され、ここで、その結合対
複数の対応する第2のメンバーの各々が、同時に検出され得る。
【0253】 ナノクリスタルの放出波長の整調性と組み合わせた、狭域スペクトル準位幅お
よび近ガウス対性の線形状(ナノクリスタルの放出スペクトルについて観察さ
れるテーリング(tailing)領域を欠く)は、複数のナノクリスタルを有
する系における高いスペクトル分解能を可能にする。一般に、異なるナノクリス
タル調製物(各サンプルが、異なる放出スペクトルを有する)由来の、10〜2
0までかまたはそれ以上の異なるサイズのナノクリスタルまたは異なるサイズ分
布のナノクリスタルの単分散集団は、1つの系において同時に使用され得(すな
わち、多重化)、重複スペクトルは、(例えば、デコンボルーションソフトウェ
アの使用を用いてかまたは用いずに、光学的に)当該分野で周知の技術を使用し
て容易に分解される。
【0254】 先に議論したように、これらの光学遷移の強度を変化する能力と共に、個別の
光学遷移を生じる半導体ナノクリスタルの能力は、汎用性かつ稠密なコード化ス
キームの開発を可能にする。特定の支持体、化合物または物質に結合、会合また
は包された1以上のサイズの半導体ナノクリスタルによって生じる特徴的な放
出は、目的の分析物および/またはその位置の同定を可能にする。例えば、N種
類のサイズの半導体ナノクリスタル(各々、別個の光学遷移を有する)(その各
々は、その半導体ナノクリスタルの非存在または特定の別個の光学遷移から生じ
る異なる強度から生じる、M個の識別可能な状態を有する)を提供することによ
って、Mn種類の異なる状態が、独特に規定され得る。Mが2である場合(ここ
で、この2つの状態は、半導体ナノクリスタルの存在または非存在であり得る)
、従って、このコード化スキームは、基数2すなわち2進コードによって規定さ
れる。Mが3である場合(ここで、この3つの状態は、2つの識別可能な強度で
の半導体ナノクリスタルの存在またはその非存在であり得る)、そのコード化ス
キームは、基数3のコードによって規定される。本明細書中で、このような基数
Mのコード(ここで、Mは、2より大きい)は、高次コードと呼ぶ。2進コード
を超える高次コードの利点は、同じ量の情報をコードするのに必要とされる識別
子が少ないことである。
【0255】 当業者は、高次コード化システムを開発する能力が、解読システムにおいて利
用されるハードウェアおよびソフトウェアの両方によって検出され得る異なる強
度の数に依存することを認識する。特に好ましい実施形態において、各別個の放
出または色は、2〜20個の異なる強度で検出可能であり得る。10個の異なる
強度が利用可能である、特に好ましい実施形態において、基数11のコードを使
用し得、こは、この半導体ナノクリスタルの非存在、または10個の異なる強
度での半導体ナノクリスタルの検出を含む。
【0256】 明らかに、これらの半導体ナノクリスタルの利点(すなわち、複数の強度で別
個の光学遷移を観察する能力)は、種々の原理において使用され得る、強力かつ
稠密なコード化スキームを提供することである。一般に、1以上の半導体ナノク
リスタルは、バーコードとして作用し得、ここで、この1以上の半導体ナノクリ
スタルの各々は、別個の放出スペクトルを生じる。これらの特徴的な放出は、そ
のスペクトルの可視領域にある場合に、色として観察され得るか、または解読 されて、その別個の遷移が観察される特定の波長についての情報を提供し得る。
同様に、赤外領域または紫外領域にある放出を生じる半導体ナノクリスタルにつ
いては、その別個の光学遷移が生じる特徴的な波長は、特定の半導体ナノクリス
タルの正体についての情報を提供し、そしてそれ故、目的の分析物の正体または
位置についての情報を提供する。
【0257】 特定のサイズ、サイズ分布および/または半導体ナノクリスタルの組成物によ
って生じる光の色は、当業者に明らかな方法によって容易に計算または測定され
得る。これらの測定技術の例として、12Å〜115Åの範囲のサイズのCdS
eのナノクリスタルについてのバンドギャップが、Murrayら(1993)
J.Am.Chem.Soc.115:8706において示される。これらの技
術は、適切なサイズ、サイズ分布および/または半導体ナノクリスタルの組成物
の容易な計算、ならびに任意の所望の波長の光を放出し得るナノクリスタルを生
じるための励起光源の選択を可能にする。
【0258】 本発明の方法での使用のための自動化検出のための特定のシステムの例として
は、画像化スキームが挙げられるが、これらに限定されない。のスキームは、
励起源、モノクロメーター(または、画像をスペクトル解像し得る任意のデバイ
ス、または狭帯域フィルターのセット)および検出器アレイを備える。1つの実
施形態において、この装置は、青色またはUV光源からなり、その波長は、検出
されるルミネセンスの波長よりも短い。これは、広帯域UV光源(例えば、前部
にフィルターを備える重水素ランプ);白色光源の出力(例えば、所望の波長を
生じるためのモノクロメーターの通過後のキセノンランプまたは重水素ランプ)
;または任意の多くの連続波(cw)ガスレーザー(いくつか挙げると、アルゴ
ンイオンレーザー線(457、488、514nmなど)のいずれか、HeCd
レーザー;青色の固体状態のダイオードレーザー(例えば、GaNおよびGaA
s(二重)ベースのレーザー、あるいはYAGまたはYLFベースのレーザーの
二重出力または三重出力);または青色での出力を有する任意のパルスレーザー
が挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。
【0259】 ドットからのルミネセンスは、画像差引き(imaging subtrac ting) 二重モノクロメーター(すなわち、第1のモノクロメーターから第2
のモノクロメーターが逆になった(reversed)、2つの単一のモノクロ メーター )を通過され得る。これは、例えば、2つの格子またはプリズムおよび
この2つの格子またはプリズムの間のスリットからなる。これらのモノクロメー
ターあるいは格子またはプリズムはまた、コンピューター制御されたカラーフィ
ルターホイールと置き換えられ、ここで、各フィルターは、これらのドットの
うちの1つの放出の波長集中した狭帯域フィルターである。任意の色が、中心
波長として選択され得るので、このモノクロメーターアセンブリは、より高い柔
軟性を有する。さらに、CCDカメラまたはいくつかの他の二次元検出器は、こ
れらの画像を記録し、そして上記で選択した波長に対してソフトウェアがその画 像を カラーコードする。次いで、このシステムは、格子を新しい色に移動し、
そしてこのプロセスを繰り返す。このプロセスの結果として、同じ空間領域の画
像のセットが得られ、そして各々は、データを迅速に分析するために必要とされ
る特定の波長にカラーコード化される。
【0260】 別の実施形態において、この装置は、上記画像化スキームとは対照的に、走査
システムである。走査スキームにおいて、分析されるサンプルは、顕微鏡対物レ
ンズに対して走査される。ルミネセンスは、単一のモノクロメーターあるいは格
子またはプリズムを通過され、これらの色スペクトル分解される。検出器は、
ダイオードアレイであり、これは、次いで、特定の空間位置で放出されるこれら
の色を記録する。次いで、このソフトウェアは、最終的に、走査された画像を再
現し、そしてこれを解読する。
【0261】 (XI.半導体ナノクリスタル結合体の生成) 本発明は、種々の結合体を利用し、これらは、一般に、生物学的分子および1
以上の半導体ナノクリスタルを含み、その結果、この結合体は、位置付け可能な
アレイ上に形成された種々の複合体の存在、非存在および/または量を検出し得
る。限定することなく、半導体ナノクリスタル結合体は、半導体ナノクリスタル
に連結された、任意の分子または分子複合体を含み、これは、生物学的標的と相
互作用して、生物学的プロセスまたは反応を検出し、そして生物学的分子また
はプロセスを変化させる。好ましくは、これらの分子または分子複合体または 分子 結合体は、生物学的化合物と物理的に相互作用する。好ましくは、これらの
相互作用は、特異的である。これらの相互作用は、共有結合性、非共有結合性、
疎水性、親水性、静電性、ファンデルワールス性、または磁性であり得るが、こ
れらに限定されない。好ましくは、これらの分子は、分子、タンパク質または
核酸、あるいはそれらの組み合わせである。
【0262】 半導体ナノクリスタル結合体は、当該分野で公知の技術を使用して作製され る。例えば、TOPOおよびTOP(これらは、一般に、半導体ナノクリスタル
の生成に使用される)のような部分および他の部分は、他の官能部分(いくら
か挙げると、カルボン酸、アミン、アルデヒド、およびスチレンが挙げられるが
、これらに限定されない)で容易に置換および交換され得る。当業者は、特定の
置換反応の成功に関連する因子として、その置換部分の濃度、温度および反応性
挙げられることを認識する。従って、本発明の目的のために、既存の官能
分を置換して特定の用途のための改変された官能基を有する半導体ナノクリスタ
ルを提供し得る任意の官能部分が、利用され得る。
【0263】 半導体ナノクリスタルの表面官能を選択的に改変するための一般的な置換反
応を利用する能力は、特定の用途のための官能基化を可能にする。例えば、生物
学的化合物の検出は、最も好ましくは、水性媒体中で行われるので、代表的には
、本発明は、水に溶解される半導体ナノクリスタルを利用する。水溶性の半導体
ナノクリスタルの場合、外側の層は、その粒子の表面に結合しかつ少なくとも1
つの親水性部分で終結する、少なくとも1つの連結部分を有する化合物を含む
この連結する親水性部分は、疎水性領域を横切る電荷移動を防止するに十分
水性領域によって架橋(span)される。この疎水性領域はまた、ナノクリス
タルに対して「偽疎水性」環境を提供し、それによって、ナノクリスタルを水性
環境から遮蔽する。親水性部分は、極性基または荷電(正または負)基であり得
る。この基の極性または電荷は、水との必要な親水性相互作用を提供し、半導体
ナノクリスタルの安定な溶液または懸濁液を提供する。例示的な親水性基として
は、ヒドロキシド(−OH)、アミン、ポリエーテル(例えば、ポリエチレング
リコール)などのような極性基、およびカルボキシレート(−CO )、スル
ホネート(SO )、ホスフェート(−PO 2− および−PO 2− )、 トレート、アンモニウム塩(−NH )などのような荷電基が挙げられる。
水溶性の層は、保護層の外側の表面に見出される。半導体ナノクリスタル水溶
にするための方法は、当該分野で公知でありそして例えば、PCT公開番号W
O00/17655(2000年3月30日公開)に記載される。
【0264】 ナノクリスタル表面の親和性は、その半導体ナノクリスタルの外側表面への連
結部分の配位を促進し、そして水性媒体に対する親和性を有する部分は、半導体
ナノクリスタル懸濁液を安定化する。
【0265】 置換反応は、特定の有機溶媒中の溶解度を改善するよう半導体ナノクリスタル
を改変するために使用され得る。例えば、半導体ナノクリスタルを特定の溶媒ま
たは液体(例えば、ピリジン)と会合することが所望される場合、表面は、ピリ
ジンまたはピリジン様部分で特異的に改変され、溶媒和確実にされ得る。
【0266】 表面層もまた、半導体ナノクリスタル特定のカップリング反応に対して反応
するための置換によって改変され得る。例えば、カルボン酸部分を含む基で
のTOPO部分の置換は、アミン含有部分(通常、固体支持体ユニット上に見出
される)とのその改変された半導体ナノクリスタルの反応を可能にし、アミド結
合を提供する。さらなる改変もまた、半導体ナノクリスタルが、ほとんどの任意
の固体支持体(例えば、先に記載した支持体)と会合され得るように作製され得
る。
【0267】 例えば、本発明の半導体ナノクリスタルは、容易に官能化されて、スチレン
またはアクリレート部分を生じ得、そのようにして、ポリスチレン、ポリアクリ
レートまたは以下のようなポリマー上への半導体ナノクリスタルの組み込み
能にされ得る:ポリイミド、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリビニル、
ポリジアセチレン、ポリフェニレン−ビニレン、ポリペプチド、ポリサッカリド
、ポリスルホン、ポリピロール、ポリイミダゾール、ポリチオフェン、ポリエー
テル、エポキシ、石英ガラス、シリカゲル、シロキサン、ポリホスフェート、ヒ
ドロゲル、アガロース、セルロースなど。
【0268】 これらの連結反応の詳細な説明については、例えば、米国特許第5,990,
479号;Bruchezら(1998)Science 281:2013−
2016、Chanら(1998)Science 281:2016−201
8、Bruchez「Luminescent Semiconductor
Nanocrystals:Intermittent Behavior a
nd use as Fluorescent Biological Pro
bes」(1998)博士論文、University of Califor
nia、Berkeley、およびMikulec「Semiconducto
r Nanocrystal Colloids:Manganese Dop
ed Cadmium Selenide,(Core)Shell Comp
osites for Biological Labeling,and H
ighly Fluorescent Cadmium Telluride」
(1999)博士論文、Massachusetts Institute o
f Technologyを参照のこと。
【0269】 以下の実施例は、本発明の特定の局面を例示するために提供され、本発明の範
囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0270】 (実施例1) (cDNAアレイ標識のための検出可能なプローブの調製) cDNAマイクロアレイスライドを、www.nhgri.nih.gov/
DIR/microarrayのFabricationの節に記載されるよう
に調製した。製造、サンプル標識およびマイクロアレイを使用するハイブリダイ
ゼーションの条件についてのさらなるガイダンスは、例えば、Bittner
M.ら、(2000)Nature 406:536−540;Khan J (1999)Electrophoresis 20:223−9;Dugg
an,D.J.(1999)Science 283:83−87;およびDe
Risi,J.ら(1996)14:457−60に提供される。
【0271】 (A.ビオチンで標識されたcDNA) RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーションは、
Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 1423
:17−28に記載のような方法あるいはwww.nhgri.nih.gov
/DIR/microarrayの方法または他の公開された方法を使用するこ
とによって行った。cDNAをビオチンで標識した。半導体ナノクリスタル(S
CNC)−ストレプトアビジン結合体の標識のために、Cy(登録商標)3
dUTPを、ビオチン−16−dUTP(Roche Molecular B
iochemicals,Indianapolis,IN)で置換した。
【0272】 ハイブリダイゼーション後、スライドを、4×SSC、0.1% Tween
(登録商標)20、1% ウシ血清アルブミン(BSA)中、最低30分間室温
でインキュベートし、1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、1% BSA、
1mM MgCl 中でリンスした。スライドを、1×PBS、1% BSA、
10mM MgCl 中の25nM 630nm SCNC−ストレプトアビジ
ン中で、室温で1時間インキュベートした。スライドを、1×PBS、1% B
SA、1mM MgCl リンスし、その後、10mMリン酸緩衝液(pH
7.4)でリンスし、遠心分離機にて500rpmで5分間スピン乾燥した。
【0273】 マイクロアレイ上のスポットを、SCNSについて最適化した蛍光顕微鏡およ
びスキャナ下で観察した。
【0274】 (B.ビオチンおよびCy3またはCy5で標識したcDNA) RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーションを、
Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 1423
:17−28またはwww.nhgri.nih.gov/DIR/micro
arrayに記載される方法を使用して実行した。1つのcDNAをビオチンで
標識し、そして他方のcDNAをCy3またはCy5で標識した。半導体ナノク
リスタル(SCNC)−ストレプトアビジンで標識するために、Cy5−または
Cy3−dUTPを、ビオチン−16−UTP(Roche Molecul
ar Biochemicals,Indianapolis,IN)で置き換
えた。
【0275】 ハイブリダイゼーション工程の後に、マイクロアレイスライドを、室温で30
〜60分間、4×SSC、0.1%Tween20、1%BSA中でインキュベ
ートし、0.06×SSCでリンスし、そしてマイクロプレート用の水平ロータ
ーを備える遠心分離機で、5分間500rpmでスピン乾燥した。SCNC−ス
トレプトアビジンを6×SSPE、1%BSA、10mM MgCl に加え、
最終濃度25nMにした。アレイのサイズに依存して、40〜80μLのSCN
C−ストレプトアビジンをアレイ領域に適用し、カバーガラスを加え、そしてカ
バーされたマイクロアレイを1時間室温で、加湿した容器中でインキュベートし
た。スライドを1×SSPE続いて0.06×SSPEでリンスし、そして5分
間500rpmで、遠心分離機でスピン乾燥した。
【0276】 マイクロアレイを蛍光顕微鏡で観察した。マイクロアレイにハイブリダイズし
たSCNC標識cDNAは、蛍光顕微鏡下で容易に検出された。
【0277】 C.RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーション
を、Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 14
23:17−28またはウェブサイトwww.nhgri.nih.gov/D
IR/microarrayに記載される方法を使用して、または当業者に公知
の任意の適切な方法によって実行した。1つのcDNAをビオチンで標識し、そ
して他方のcDNAをハプテン(例えば、フルオレセイン、ジゴキシゲニンまた
はエストラジオール)で標識した。SCNC−ストレプトアビジン、およびSC
NC−抗ハプテンで標識するために、Cy5−およびCy3−dUTPを、ビオ
チン−16−UTP(Roche Molecular Biochemic
als,Indianapolis,IN)およびdUTP−ハプテン(例えば
、フルオレセイン−12−dUTP、DIG11−dUTP、エストラジオール
−15−dUTP)で置き換えた。
【0278】 ハイブリダイゼーション後、スライドを、ブロッキング溶液4×SSC、0.
1%Tween20、1%BSAで30〜60分間、室温でインキュベートし、
0.06×SSCでリンスし、そしてマイクロプレート用の水平ローターを備え
る遠心分離機で、5分間500rpmで回転させることによって乾燥させた。S
CNC−ストレプトアビジンおよびSCNC−抗ハプテンを、6×SSPE、1
%BSA、10mM MgCl に加え、それぞれ最終濃度25nMにした。ア
レイのサイズに依存して、40〜80μLの混合物を、アレイ領域に適用し、カ
バーガラスをアレイ領域上に加え、そしてカバーされたアレイを1時間室温で、
加湿した容器中でインキュベートした。スライドを1×SSPE続いて0.06
×SSPEでリンスし、そして5分間500rpmで、遠心分離機中で回転させ
ることによって乾燥させた。マイクロアレイを、SCNC発光について最適化さ
れたスキャナで読んだ。
【0279】 (D.SCNC1−dUTPおよびSCNC2−dUTPで標識されたcDN
A) RNAの調製、逆転写によるサンプル標識およびハイブリダイゼーションを、
Khanら(1999)Biochim.Biophys.Acta 1423
:17−28またはウェブサイトwww.nhgri.nih.gov/DIR
/microarrayに記載される方法を使用して、または当該分野で周知の
他の方法によって実行した。1つのcDNAを、第1の発光スペクトルを有する
第1のSCNC(SCNC1)で標識し、そして他方のcDNAをSCNC1と
は異なる発光スペクトルを有する第2のSCNC(SCNC2)で標識した。S
CNC1およびSCNC2で標識するために、Cy5−またはCy3−dUTP
を、それぞれ、SCNC1−dUTPおよびSCNC2−dUTPで置き換える
。ハイブリダイゼーションおよび洗浄後、乾燥したスライドをSCNCについて
最適化されたスキャナで読む。
【0280】 それぞれ異なって標識されたcDNAが容易に区別されることが予測される。
【0281】 (実施例2) (オリゴヌクレオチドマイクロアレイに対するcDNA) オリゴヌクレオチドマイクロアレイチップを、Operon Technol
ogies,Inc.または他の供給源から購入し得る。
【0282】 (A.ビオチンおよびCy3またはCyで標識されたcDNA) RNAの調製および逆転写によるサンプル標識を、Khanら(1999)B
iochim.Biophys.Acta 1423:17−28、ウェブサイ
トwww.nhgri.nih.gov/DIR/microarrayに記載
される方法を使用して、または当業者に公知の方法を使用して実行した。あるい
は、cDNAの調製およびハイブリダイゼーションを、ウェブサイトwww.p
angloss.com/seidel/Protocolsに記載されるプロ
トコルを使用して実行し得る。1つのcDNAをビオチンで標識し、そして他方
のcDNAをCy3またはCy5で標識した。SCNC−ストレプトアビジンで
標識するために、Cy5−またはCy3−dUTPを、ビオチン−16−UT
P(Roche Molecular Biochemicals,India
napolis,IN)で置き換える。
【0283】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、4×SSC中の標識されたcDNAおよび
1mg/mlポリ(dA)(Pharmacia)および0.2mg/ml酵母
tRNA(Sigma)を含む。プローブ混合物を、98℃2分間で変性し、4
5℃に冷却し、そして小容量の10%SDS溶液を加えて0.2%SDSの最終
濃度にした。アレイのサイズに依存して、15〜30μLの容積を、マイクロア
レイ領域に適用し、そしてマイクロアレイ領域をガラスカバーガラスでカバーす
る。カバーされたマイクロアレイを加湿たチャンバに置き、そして65℃で一
晩インキュベートする。ハイブリダイゼーション後、スライドを連続的に、0.
03%SDSを有する1×SSC、0.2×SSCおよび0.05×SSCでリ
ンスする。スライドを、5分間、500rpmで、水平ローターを備える遠心分
離機で回転させることによって乾燥する。スライドを、ブロッキング溶液4×S
SC、0.1%Tween20、1%BSAで30〜60分間室温でインキュベ
ートし、0.05×SSCでリンスし、そして遠心分離機で回転させることによ
って乾燥させた。SCNC−ストレプトアビジンを、6×SSPE、1%BSA
、10mM MgCl に加えて25nMの最終濃度にする。アレイのサイズに
依存して、40〜80μLのSCNC−ストレプトアビジンを、アレイ領域に適
用し、カバーガラスをアレイ領域上に適用し、そしてカバーアレイを1時間室温
で、加湿した容器中でインキュベートする。スライドを1×SSPE続いて0.
06×SSPEでリンスし、そして5分間500rpmで、遠心分離機で回転さ
せることによって乾燥させる。
【0284】 マイクロアレイを、SCNCおよびCy色素について最適化されたスキャナで
読む。
【0285】 (B.ビオチンおよびハプテンで標識されたcDNA) RNAの調製および逆転写によるサンプル標識を、Khanら(1999)B
iochim.Biophys.Acta 1423:17−28、ウェブサイ
トwww.nhgri.nih.gov/DIR/microarrayに記載
される方法を使用して実行する。あるいは、ハイブリダイゼーションを、ウェブ
サイトwww.pangloss.com/seidel/Protocols
に記載されるプロトコルを使用して実行し得る。1つのcDNAをビオチンで標
識し、そして他方のcDNAをハプテン(例えば、ジゴキシゲニン、フルオレセ
インまたはエストラジオール)で標識する。SCNC−ストレプトアビジン、お
よびSCNC−抗ハプテンで標識するために、Cy5−またはCy3−dUTP
を、ビオチン−16−UTP(Roche Molecular Bioch
emicals,Indianapolis,IN)およびハプテン−dUTP
(例えば、フルオレセイン−12−dUTP、DIG11−dUTP、エストラ
ジオール−15−dUTP)で置き換えた。
【0286】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、4×SSC中の標識されたcDNAおよび
1mg/mlポリ(dA)(Pharmacia)、0.2mg/ml酵母tR
NA(Sigma)を含み、プローブ混合物、98℃2分間で変性、45℃
に冷却、そして小容量の10%SDS溶液を加えて0.2%SDSの最終濃度
する。アレイのサイズに依存して、15〜30μLの容積を、マイクロアレイ
に適用し、カバーガラスをアレイ領域上に置き、そしてカバーされたアレイを加
湿したチャンバ中に置き、そして65℃で一晩インキュベートする。ハイブリダ
イゼーション後、スライドを、連続的に0.03%SDSを有する1×SSC、
0.2×SSCおよび0.05×SSCでリンスする。スライドを、5分間、5
00rpmでマイクロプレート用の水平ローターを備える遠心分離機で回転させ
ることによって乾燥させる。
【0287】 スライドを、ブロッキング溶液4×SSC、0.1%Tween20、1%B
SAで30〜60分間室温でインキュベートし、0.05×SSCでリンスし、
そして遠心分離機で回転させることによって乾燥させる。SCNC−ストレプト
アビジンおよびSCNC−抗ハプテンを、6×SSPE、1%BSA、10mM
MgCl に加え、最終濃度25nMにする。アレイのサイズに依存して、4
0〜80μLの混合物を、アレイ領域に適用し、カバーガラスをアレイ領域上に 適用し 、そしてカバーされたアレイを1時間室温で、加湿した容器中でインキュ
ベートする。スライドを1×SSPE続いて0.06×SSPEでリンスし、そ
して5分間500rpmで、遠心分離機で回転させることによって乾燥させる。
【0288】 マイクロアレイを、SCNCについて最適化されたスキャナで読む。
【0289】 (C.SCNC1−dUTPおよびSCNC2−dUTPで標識されたcDN
A) RNAの調製および逆転写によるサンプル標識を、Khanら(1999)B
iochim.Biophys.Acta 1423:17−28、ウェブサイ
トwww.nhgri.nih.gov/DIR/microarrayに記載
される方法を使用することによって実行する。あるいは、ハイブリダイゼーショ
ンを、ウェブサイトwww.pangloss.com/seidel/Pro
tocolsに記載されるプロトコルを使用して実行し得る。1つのcDNAを
SCNC1で、そしてSCNC2で標識する。cDNAをSCNC1およびSC
NC2で標識するために、Cy5−またはCy3−dUTPを、SCNC1−d
UTPおよびSCNC2−dUTPで置き換える。
【0290】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、4×SSC中の標識されたcDNAおよび
1mg/mlポリ(dA)(Pharmacia)、酵母tRNA0.2mg/
mlを含み、プローブ混合物、98℃2分間で変性、45℃に冷却、そし
て小容量の10%SDS溶液を加えて0.2%SDSの最終濃度にする。ハイブ
リダイゼーション混合物の容積は、アレイのサイズに依存して15〜30μLで
変化する。この混合物をマイクロアレイに適用し、カバーガラスをアレイ領域上
に置き、そしてカバーされたアレイを加湿したチャンバ中に置き、そして65℃
で一晩インキュベートする。ハイブリダイゼーション後、スライドを、連続的に
0.03%SDSを有する1×SSC、0.2×SSCおよび0.05×SSC
でリンスする。スライドを、5分間、500rpmでマイクロプレートに対して
水平ローターを備える遠心分離機で回転させることによって乾燥させる。
【0291】 マイクロアレイを、SCNCについて最適化されたスキャナで読む。
【0292】 D.オリゴヌクレオチドマイクロアレイを、Operon Technolo
gies,Inc.から購入した。これらの試験アレイは、それぞれ40個のス
ポット(Caspase 9−Genbank U56390、Laminin
gamma 3 chain precusor、LAMC3−Genban
k AF041835、Alpha−tbulin−Genbank K00
558およびRibosomal protein S9−Genbank U
14971から選択される4つの70マーのそれぞれ由来の10個のスポット)
を含む。3’末端においてビオチニル化された50マーの相補的なオリゴヌクレ
オチドは、四つの70マーのそれぞれから作製た。
【0293】 ハイブリダイゼーション緩衝液は、ビオチン標識化50マーの相補的な配列、
4×SSC中のキャリアとしての4mg/mlニシン精子DNAおよび1mg/
mlポリ(dA)(Pharmacia)、0.2mg/ml酵母tRNA(S
igma)を含んだ。プローブ混合物を98℃で2分間変性させ、45℃に冷却
し、そして小容量の10%SDS溶液を加えて0.2%SDSの最終濃度にした 。アレイのサイズに依存して、15〜30μLの容積を、マイクロアレイ領域に
適用し、そしてカバーガラスをマイクロアレイ領域の上に適用する。カバーされ
たマイクロアレイを加湿たチャンバに置き、そして65℃で一晩インキュベー
トする。ハイブリダイゼーション後、スライドを連続的に、0.03%SDSを
有する1×SSC、0.2×SSCおよび0.05×SSCでリンスする。スラ
イドを、5分間、500rpmで、水平ローターを備える遠心分離機で回転させ
ることによって乾燥する。スライドを、ブロッキング溶液4×SSC、0.1%
Tween20、1%BSAで30〜60分間室温でインキュベートし、0.0
5×SSCでリンスし、そして遠心分離機で回転させることによって乾燥させた
。SCNC−ストレプトアビジンを、6×SSPE、1%BSA、10mM M
gCl に加えて25nMの最終濃度にする。アレイのサイズに依存して、40
〜80μLのSCNC−ストレプトアビジンをアレイ領域に適用し、アレイ領域
をガラスカバーガラスでカバーした。カバーアレイスライドを、1時間室温で加
湿た容器内でインキュベートした。スライドを、1×SSPE続いて0.06
×SSPEでリンスし、そして5分間500rpmで、遠心分離機で回転させる
ことによって乾燥させた。
【0294】 マイクロアレイを、SCNCについて最適化されたスキャナで読んだ。
【0295】 (実施例3) (タンパク質アレイ:半導体ナノクリスタルを使用する検出) タンパク質アレイを空間的にアドレスされたアレイ上のタンパク質の種類を 問い合わせる (interrogate)ために調製した。任意の供給源(例え
ば、組換え発現系、差次的に処理された細胞上清など)から生成されたタンパク
質を、基板上の小さな空間的にアドレスされたスポットに固定化し得る。スポッ
トのサイズは、アッセイ基板に依存して、マイクロメーターからミリメートルの
直径で変化し得る。
【0296】 この実施例において、1μLのウサギIgGまたはマウスIgGを、ニトロセ
ルロース上にスポットし、そして乾燥させ;それぞれの異なるIgG希釈液の5
0のスポットを5×10アレイ中にアドレスした。次いで、ニトロセルロースを
、室温で30分間、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/1%ウシ血清アルブミ
ン(BSA)中でのインキュベーションによってブロックした。次いで、ビオチ
ニル化抗ウサギIgG(Vector)の1μg/mlの溶液を、30分間適用
し、そして膜を続いて過剰のPBS中で洗浄した。次いで、アレイを、30分間
室温で、PBS/1%BSA中のストレプトアビジン結合体化630nm発光半
導体ナノクリスタルの25nM溶液の5mlに曝露した。次いで、この膜を過剰
のPBSで洗浄し、そして半導体ナノクリスタルからの発光を、紫外光透過照明
機(transilluminator)(Stratagene Eagle
Eye(登録商標))を使用して検出し、そしてマイクロアレイスキャナを、
アルゴンイオンレーザーで、488nmで励起するように設定した。
【0297】 各検出デバイスを使用して、1ng未満の抗体を特異的に検出した。
【0298】 (実施例4) (組織アレイ:半導体ナノクリスタルを使用する検出) 複数細胞内標識は、半導体ナノクリスタル標識化リガンドで同時に分析され
得る。これは、規定された領域に組織サンプルを空間的に配列させることと合わ
せて、細胞性標識を分析する処理量をさらに増加し得る。組織の小さな切片は、
顕微鏡スライドまたは当該分野で周知な他の支持体上に固定化され得る。組織供
給源は、生きた生物、種々の方法で処理された培養された細胞の集団などに由来
し得る。
【0299】 この実施例において、特定の細胞内抗原を、顕微鏡スライドに取り付けられた
組織切片において検出された。組織切片は、マウスの胃および腎臓であり、In
ovaDX(San Diego、CA)から購入した。この実施例の目的は、
核抗原を認識する自己免疫標識、抗核抗体(ANA)の存在または非存在を検出
することであった。抗核抗体は、ビオチニル化抗ヒト抗体を使用し、続いて、ス
トレプトアビジン結合体化半導体ナノクリスタルのそれへの結合によって、特異
的に検出され得る。
【0300】 組織切片を、ANA(InovaDX)を含む陽性コントロールとともに、ま
たはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/1%ウシ血清アルブミン(BSA)で
希釈したヒト血清サンプルとともに1時間インキュベートした。陰性コントロー
ルサンプルもまた、InovaDXによって提供され、これはまた、バックグラ
ウンドまたは非特異的な結合情報を提供するために切片とともにインキュベー
トされる。次いで、この切片をPBSに繰り返し浸すことによって洗浄した。次
いで、この切片をさらに30分間室温で3μg/mlビオチニル化抗ヒト抗体(
Vector)とともにインキュベートした。スライドをPBS中で洗浄した。
最後に、この切片を室温で30分間ストレプトアビジン結合体化半導体ナノクリ
スタル(525nmの発光ナノクリスタルと630nmの発光ナノクリスタルの 両方使用た)とともにインキュベートし、最後にPBS中で洗浄した。PB
S中の50%グリセロールの溶液を使用して、カバーガラスを載せ、そしてこの
切片をエピフルオレセント(epi−fluorescent)顕微鏡下で調べ
た。
【0301】 核は、明るく染色されるので明瞭に観測されたが、細胞質ゾルおよび周りの組
織は染色されなかった。核は、陰性のコントロール切片においては観察されなか
った。
【0302】 (実施例5) (単一標的計数) これらの研究の目的は、単一の検体標的を検出し、そして定量化し得ることを
示すことであった。
【0303】 PBS中に希釈た10μg/mlのウサギIgG、標準的なガラスカバー
ガラスの表面に受動的に吸着さた。過剰な抗体を除き、そしてこの表面をウシ
血清アルブミン(PBS中の3%BSA、4℃で一晩または室温で2時間)でブ
ロックした。各カバーガラスを異なる濃度のビオチニル化抗ウサギIgG(PB
S/1%BSA中の10nM〜100fM)に浸した。15分間室温でインキュ
ベートした後、カバーガラスを過剰のPBSで洗浄し、そして室温で10分間、
10nMストレプトアビジン官能化半導体ナノクリスタル(580nm発光)と
ともにインキュベートした。室温でPBS/1%BSA/0.1%Igepal
(登録商標)中での30分の洗浄の後に、サンプルを蛍光顕微鏡で像を映した。
単一の結合した検体分子由来のシグナルおよび分子の密度は、検体濃度の関数と
して減少した。
【0304】 この結果は、アッセイ表面の規定された領域(本発明者らの単一分子顕微鏡の
照射パターンによって規定される約60μmの直径の円形領域)における検体分 を計数することによって定量化された。この結果は、ビオチニル化ウサギIg
Gの濃度とともに直線的であり、そして感度は、約0.001分子/μm の密
度に及んだ
【0305】 本明細書中に記載される実施例および実施形態が例示のみの目的であり、それ
らを考慮して種々の改変または変更が当業者に示唆され、そしてそれらが本出願
の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される
。本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願が、それぞれ個々
の刊行物、特許または特許出願がまるで具体的にそして個々に参考として組み込
まれるように示されるかのような程度まで、全ての目的についてそれら全体で参
考として本明細書中に援用される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、捕捉抗体と半導体ナノクリスタルで標識されたタンパク質との間の
複合体と別の半導体ナノクリスタルで標識された二次抗体との二次的な問い合わ を含む、特定の免疫学的アッセイの結果を表わす図である。図1Bは、本発明
の1つの方法に基づき、二次的な問い合わせにおいて形成される三成分複合体(
捕捉抗体、半導体ナノクリスタルで標識されたタンパク質、別の半導体ナノクリ
スタルで標識された二次抗体)の図である。
【図2】 図2A−2Bは、量子閉じ込めの現象の結果として、半導体ナノクリスタルに
関連する光学的な特性を図示する。図2Aおよび図2Bは、異なる半導体ナノク
リスタルサンプルからの吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示し、大きさの
関数として発光波長の変化の仕方を図示する。吸収スペクトルは、第1の吸収ピ
ークの高さに正規化され、そして明確さのために垂直方向に補正された。インセ
ットの数は、各アンサンブルサンプル内の量子ドットの平均直径に対応する。図
2Cは、半導体ナノクリスタルが構築される物質が、その発した波長にどの程度
影響を及ぼすかを図示する。3つの異なる物質の半導体ナノクリスタルからの発
光スペクトルを示す:CdSe(可視)、InP(可視−近赤外)およびInA
s(赤外)。
【図3】 図3は、同一の励起条件下での半導体ナノクリスタル対フルオレセインの光分
解を説明するグラフである。サンプル濃度を一致させ(〜10−5mol/l)
、そして各々をAr+レーザーからの1W/cm の488nm光で励起させ
た。フルオレセインは最初の数秒以内で光退色し、実際に量子ドットは最初の 分にわたり強度においてわずかに増加したことに注意をされたい。
【図4】 図4Aおよび図4Bは、単一の半導体ナノクリスタル検出を図示する。図4A
は、レーザーエピフルオレッセンス(laser epifluorescen
ce)顕微鏡を用いた単一の半導体ナノクリスタルの写真である。個々のスポッ
トはそれぞれ、単一の半導体ナノクリスタルからの蛍光発光に対応する。図4B
は、単一の半導体ナノクリスタルからのスペクトルを表わす。波長は、X軸上分
散され、そしてY軸上に位置する。それぞれの水平線は、単一の半導体ナノクリ
スタルからの蛍光スペクトルに対応する。異なる大きさの半導体ナノクリスタル
は、発光波長における小さな変化により容易に同定されることに注意をされたい
【図5】 図5Aおよび図5Bは、フルオレセインの吸収スペクトルと発光スペクトルと
の間の比較(図5A)および比較可能な有色半導体ナノクリスタル(図5B)を
示す。半導体ナノクリスタルの発光スペクトルは、フルオレセインのものよりも
有意に狭くなるが、吸収スペクトルは、青色の方に拡大し、発光波長よりも短い
全ての波長での効果的な励起を可能にすることに注意をされたい。
【図6】 図6A−6Cは、単一のハイブリダイゼーション計数を通じて達成され得る イナミックレンジ の拡大を図示する。図6Aは、アンサンブル濃度レジームから
単一の複製ハイブリダイゼーションレジームへの移行の図である。図6Bは、単
一のハイブリダイゼーション検出を通じて達成される改善された感度を実証する
模擬データを示すグラフである。図6Cは、結合標識の総数が増加する、直径1
00μmのアレイ内で検出される別個のポイントの理論数のプロットである。計
算は、個々の標識が同じ直径0.5μmの領域およびアレイスポットを横切って
均一な平均密度を有する標識配置の無作為な分布内に存在する場合、それらが区
別され得ないことを仮定する。飽和は、600より上で有意となり、同じ回折 限界 スポット内に2つ以上の標識が発見される確率が増加する。
【図7】 図7は、単一の量子ドット顕微鏡の概略図である。
【図8】 図8A−8Eは、本発明の特定の自動化アレイ走査法における工程を説明し、
要約する。最初に、連続的な画像が、アレイを横切る周期的な位置で取られる(
図8A)。次いでアレイは、再構築される(図8B)。パターン認識は、アライ
ンメントスポットと比較したアレイスポットの配置を同定するために用いられる
(図8C)。各スポット内で、平均強度ならびに別個のポイントの総数が測定さ
れる(図8D)。平均強度および別個のポイントの総数の値が、出力される(8
E)。 (訂正の理由1) 平成14年8月15日に提出致しました翻訳文について、全体に亘って誤訳が
ありましたので、適正な訳文を提出致します。 (訂正の理由2) 平成14年8月15日に提出致しました翻訳文について、全体に亘って誤訳が
ありましたので、適正な訳文を提出致します。
【手続補正書】
【提出日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】 (2.方法論) SBHの方法は、以下の実施例により例示され得る。12マー標的DNA配列
、AGCCTAGCTGAA(配列番号1)は、オクタヌクレオチドプローブの
完全なセットと混合される。完全な相補性のみを考慮する場合、65,536個
のオクタマープローブのうち5個−TCGGATCG、CGGATCGA、GG
ATCGAC、GATCGACTおよびATCGACTTが標的にハイブリダイ
ズする。このハイブリダイズしているプローブ由来の重複配列の整列は、元の1
2マー標的の相補体を再構築する: TCGGATCG CGGATCGA GGATCGAC GATCGACT ATCGACTT TCGGATCGACTT(配列番号2)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/00 F (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 フィリップス, ビンス イー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94086, サニーベイル, ルイス アベニュー 863 (72)発明者 ダニエルズ, アール. ヒュー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94301, パロ アルト, シール アベニュー 136 Fターム(参考) 2G045 AA35 DA13 FB02 4B024 AA11 CA04 CA09 CA20 HA13 HA14 4B063 QA01 QQ41 QR31 QR41 QR50 QR55 QR82 QS03 QS35 QS36 QS39 QX02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンプル中の目的のリガンドを検出する分析方法であって、
    該方法は、以下: (a)固体支持体上に位置的に別個の配置で固定化される、第1の複数の抗リガ
    ンドを提供して、第1のアレイを提供する工程であって、ここで該複数の抗リガ
    ンドが、目的の第1のリガンドに特異的に結合し得る第1の抗リガンドを含む、
    工程; (b)該アレイをサンプルと接触させる工程であって、該サンプルが、該第1の
    リガンドを含むか、または含むと推測され、ここで、該第1のリガンドが、該接
    触の以前、最中または以後に、該第1のリガンドが該第1の抗リガンドに特異的
    に結合して第1の複合体を形成するような条件下で、リンカーを介して、第1の
    半導体ナノクリスタルに連結されている、工程; (c)必要に応じて、結合していないリガンドを、該アレイから除去する工程;
    および (d)該第1の複合体中の該半導体ナノクリスタルの存在を検出し、そして必要
    に応じて、定量することにより該第1の複合体の配置を同定する、工程、 を含む、方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、ここで、 (a)前記サンプルが、検出可能な別個の第2の半導体ナノクリスタルに結合し
    た第2のリガンドを含み、ここで、該第2のリガンドが、第2の固定化された抗
    リガンドに特異的に結合し得、第2の複合体を形成し;そして (b)同定する工程が、前記アレイのどの配置が前記第1の複合体、該第2の複
    合体、または該第1の複合体および該第2の複合体を含むかを決定する工程を含
    み、該決定する工程が、該第1の複合体または該第2の複合体中の、前記第1の
    半導体ナノクリスタルまたは該第2の半導体ナノクリスタルの存在を検出するこ
    と、そして、必要に応じて、同時または連続的に、該存在を定量化することによ
    って行われる、 方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法であって、ここで前記リンカ
    ーが、結合対の2つのメンバーを含み、第1のメンバーが、前記第1のリガンド
    または第2のリガンドに付着され、そして第2のメンバーが前記第1の半導体ナ
    ノクリスタルまたは前記第2の半導体ナノクリスタルに付着された、方法。
  4. 【請求項4】 分析方法であって、該方法が、 (a)3’末端および5’末端を有する、第1の複数の核酸プライマーを提供し
    て、第1のアレイを提供する工程であって、該プライマーが、該固体支持体上に
    位置的に別個の配置で固定されており、ここで該複数が、対立遺伝子部位を有す
    る第1の標的核酸に相補的な第1のプライマーを含む、工程; (b)該第1のアレイをサンプルと接触させる工程であって、 該サンプルが、該第1の標的核酸を含むか、または含むと推測され、 該接触させる工程が、リンカーを介して第1の半導体ナノクリスタルに結合して
    いる第1の末端ヌクレオチドの存在下で、該第1の標的核酸が第1のプライマー
    とハイブリダイズして、第1の標的−プライマー複合体を形成し、そして該第1
    の末端ヌクレオチドが、対立遺伝子部位のヌクレオチドと相補的である場合に、
    該第1のプライマーが伸長され、該第1の末端ヌクレオチドを取込んで、伸長さ
    れたプライマーを提供するような条件下で、行われる、工程;および (c)該第1の半導体ナノクリスタルのアレイでの存在を検出することによって
    、どの配置が伸長されたプライマーを含むかを同定する工程、 を包含する、方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法であって、ここで、 工程(b)が、前記第1の末端ヌクレオチド、第2の末端ヌクレオチド、第3の
    末端ヌクレオチド、および第4の末端ヌクレオチドの存在下で前記第1のアレイ
    とサンプルを接触することを含み、 該サンプルは、前記第1の標的核酸を含むか、または含むと推測され、 ここで、該第1の末端ヌクレオチド、該第2の末端ヌクレオチド、該第3の末端
    ヌクレオチド、および該第4の末端ヌクレオチドが、検出可能な別個の、第1の
    半導体ナノクリスタル、第2の半導体ナノクリスタル、第3の半導体ナノクリス
    タル、および第4の半導体ナノクリスタルに、それぞれ、リンカーを介して、以
    下の条件下で結合され、 該条件は、該第1の標的核酸が、前記第1のプライマーとハイブリダイズし、第
    1の標的−プライマー複合体を形成し、そして該第1の末端ヌクレオチド、該第
    2の末端ヌクレオチド、該第3の末端ヌクレオチド、または該第4の末端ヌクレ
    オチドが、前記対立遺伝子部位におけるヌクレオチドに相補的である場合に、該
    第1のプライマーが、伸長されて、該第1の末端ヌクレオチド、該第2の末端ヌ
    クレオチド、該第3の末端ヌクレオチド、または該第4の末端ヌクレオチドを取
    込んで、伸長されたプライマーを提供するような条件であり、 そして、工程(d)が、そこにおいて該第1の半導体ナノクリスタル、該第2の
    ナノクリスタル、該第3のナノクリスタル、または該第4のナノクリスタルの存
    在を検出することにより、どの配置が伸長されたプライマーを含むかを同定する
    ことを含む、 方法。
  6. 【請求項6】 分析方法であって、該方法が、以下: (a)固体支持体上に位置的に別個の配置で固定される、第1の複数の抗リガン
    ドを提供して、第1のアレイを提供する工程であって、ここで該第1の複数が、
    第1のリガンドの結合パートナーである第1の抗リガンドを含む、工程; (b)該第1のアレイをサンプルと接触させる工程であって、該サンプルが、該
    第1のリガンドを含むか、または含むと推測され、これによって、該第1の抗リ
    ガンドおよび該第1のリガンドが相互作用して、第1の二成分複合体を形成する
    、工程; (c)該第1の二成分複合体と第2の抗リガンドを接触させる工程であって、こ
    こで該第2の抗リガンドが、(i)該第1のリガンドの結合パートナーであり、
    そして(ii)第1の半導体ナノクリスタルと、リンカーを介して結合され、こ
    れによって、該第2の抗リガンドが、該第1の二成分複合体の第1のリガンドに
    結合して、第1の三成分複合体を形成する、工程;および (d)アレイのいずれの配置が、該第1の三成分複合体を含むかを、該第1の半
    導体ナノクリスタルのアレイでの存在を検出することによって、同定する工程、
    を含む、方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または6に記載の方法であって、ここで前記リガン
    ドが、核酸プローブ、タンパク質、オリゴ糖、アプタマー、またはこれらの組合
    せである、方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または6に記載の方法であって、ここで前記抗リガ
    ンドが、核酸プローブ、タンパク質、レクチン、アプタマー、またはこれらの組
    合せである、方法。
  9. 【請求項9】 分析方法であって、該方法が、以下: (a)固体支持体上に位置的に別個の配置で固定化される、第1の複数の抗リガ
    ンドを提供して、第1のアレイを提供する工程であって、ここで該複数が、第1
    のリガンドの結合パートナーである第1の抗リガンドを含む、工程; (b)該第1のアレイをサンプルと接触させる工程であって、該サンプルが、該
    第1のリガンドを含むか、または含むと推測され、これによって、該第1のリガ
    ンドと該第1の抗リガンドが相互作用し、第1の複合体を形成する、工程; (c)該第1の複合体中の該第1のリガンドを、第1の半導体ナノクリスタルを
    用いて標識する工程;および (d)アレイのどの配置が、該第1の複合体を含むかを、該第1の半導体ナノク
    リスタルのアレイでの存在を検出することにより、同定する工程、 を含む、方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法であって、ここで: (i)前記第1の複数の抗リガンドが、第2のリガンドの結合パートナーである
    第2の抗リガンドを含み; (ii)該第2のリガンドおよび該第2の抗リガンドが第2の複合体を形成する
    ように、前記サンプルが、該第2のリガンドを含むか、または含むと推定され; (iii)工程(c)が、該第2の複合体中の該第2のリガンドを、前記第1の
    半導体ナノクリスタルと検出可能な程度に別個である、第2の半導体ナノクリス
    タルを用いて標識することを含み;そして (iv)工程(d)が、前記アレイのどの配置が、前記第1の複合体、該第2の
    複合体、または該第1の複合体および該第2の複合体の両方を含むかを、第1の
    半導体ナノクリスタルまたは該第2の半導体ナノクリスタルのアレイでの存在を
    検出することにより決定することを含む、 方法。
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