JP5091009B2 - イムノクロマトグラフ方法 - Google Patents
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Description
(1)該被験物質を展開する工程;
(2)洗浄液を送液することによって、不溶性担体上の反応部位に特異的な結合により捕捉した標識物質以外を送液により洗浄し、反応部位以外に残存する該標識物質が平均5×105個/mm2以下となるようにする工程;及び
(3)銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増感する工程:
を含む、イムノクロマトグラフ方法が提供される。
好ましくは、反応部位以外に残存する該標識物質が平均1×105個/mm2以下となるようにする。
好ましくは、不溶性担体は多孔性担体である。
好ましくは、金属コロイドは金コロイドである。
好ましくは、増幅液は2価の鉄イオンを含む。
好ましくは、検出時に平均粒子サイズが1μm以上20μm以下のサイズを有する標識物質を検出する。
一般に、イムノクロマトグラフ方法とは以下のような手法で被験物質を簡便・迅速・特異的に判定・測定する手法である。すなわち、被験物質と結合可能な固定化試薬(抗体、抗原等)を含む少なくとも1つの反応部位を有するクロマトグラフ担体を固定相として用いる。このクロマトグラフ担体上で、被験物質結合可能な試薬によって修飾された検出用標識物が分散されてなる分散液を移動層として前記クロマトグラフ担体中をクロマトグラフ的に移動させると共に、前記被験物質と検出用標識物とが特異的に結合しながら、前記反応部位まで到達する。前記反応部位において、前記被験物質と検出用標識物の複合体が前記固定化試薬に特異的結合することにより、被分析液中に被験物質が存在する場合にのみ、前記固定化試薬部に検出用標識物が濃縮されることを利用し、それらを目視または適当な機器を用いて被分析液中に被験物質が存在することを定性および定量的に分析する手法である。
本発明のイムノクロマトグラフ方法で分析することのできる被検試料としては、被験物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法では、前記被検試料をそのままで、あるいは、前記被検試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、前記抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは前記抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。前記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、前記溶媒で希釈することにより直接特異的な結合反応(例えば、抗原抗体反応)を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法において使用することのできるイムノクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のイムノクロマトグラフ法に用いることができるイムノクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。例えば、図1に模式的に従来のイムノクロマトグラフ用ストリップの平面図を模式的に示す。図2に図1で示されたイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。図3は別のイムノクロマトグラフ用ストリップの断面図を模式的に示す。
前記試料添加パッド1としては、例えばグラスファイバーパットを用いることができる。
標識化物質を作成するための検出用標識物としては、一般的なイムノクロマトグラフ法で用いられるような金属微粒子、着色ラテックス粒子、酵素など、有色で視認できる、または、反応により検出できるようになる標識物であればなんでも良い。
本発明においては、検出用標識物として金属コロイド又は金属硫化物、その他金属合金、また金属を含むポリマ−粒子標識を用いることができる。担体粒子(又はコロイド)の平均粒径は、0.02〜10μmの範囲が好ましい。例えば、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、鉄コロイド、水酸化アルミニウムコロイド、およびこれらの複合コロイドなどが挙げられ、好ましくは、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、およびこれらの複合コロイドである。特に、金コロイドと銀コロイドが適当な粒径において、金コロイドは赤色、銀コロイドは黄色を示し視認度が高い点で好ましい。金属コロイドの平均粒径としては、約1nm〜500nmが好ましく、1〜50nmがさらに好ましい。
本発明において、第一の結合物質としては、被検物質に対して親和性を持つものならば何でも良く、一例として抗体を用いることができる。本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、被験物質に対して特異性を有する抗体として、特に限定されるものではないが、例えば、その被験物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被験物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。
第一の不溶性担体とは、被験物質と結合可能な第2の結合物質(例えば第二の抗体)を含む少なくとも1つの反応部位を有するクロマトグラフ担体のことで、このクロマトグラフ担体としては、多孔性担体が好ましい。特に、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましい。
試料添加パッドの材質は、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、及び綿布等の均一な特性を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。試料添加部は、添加された被験物質を含む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる。また、分析の際、試料中の被験物質が試料添加部の材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理して用いることもある。
標識化物質保持パッドの素材としては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、及び不織布等が挙げられ、前述のように調製した検出用標識物を一定量含浸し、乾燥させて作製する。
吸収パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部に不溶化されない未反応標識化物質等を吸収除去する部位であり、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸収部に届いてからのクロマトの速度は、吸収材の材質、大きさなどにより異なるので、その選定により被験物質の測定に合った速度を設定することができる。
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法について説明する。サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質の分析を実施することができる。まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体及び第2抗体を、先に述べた方法により予め調製しておく。また、第1抗体を、予め標識化しておく。第2抗体を、適当な第一の不溶性担体(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定し、被験物質(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被験物質が存在する場合には、抗原抗体反応が起きる。この抗原抗体反応は、通常の抗原抗体反応と同様に行なうことができる。前記抗原抗体反応と同時又は反応後に、過剰量の標識化第1抗体を更に接触させると、被検試料中に被験物質が存在する場合には、固定化第2抗体と被験物質(抗原)と標識化第1抗体とからなる免疫複合体が形成される。
6-1.洗浄液
本発明では、洗浄液として1%BSA入りのPBSバッファーを用いているが、洗浄液は特異的な結合反応以外でメンブレン内に残存している、つまり非特異的に残存している標識化物質を洗浄するための液体であれば何でも良い。洗浄効果を上げる為にそのpHを調整したり、界面活性剤成分やBSAなどのタンパク質、ポリエチレングリコールなどの高分子化合物を加えた洗浄液を用いても良い。
洗浄液は、検体液を展開した後に、イムノクロマトグラフ用ストリップに添加しイムノクロマトグラフ用ストリップに残存する特異的な結合反応で結合した以外の標識物を洗浄する。洗浄液の送液方法としては、検体液を展開した後にそのまま試料滴下部に添加する方法や、予めストリップに洗浄液送液の為の洗浄液添加パット、吸水パットを付着させておき、その洗浄液添加パットに添加し吸水パット方向へ送液する方法、予めストリップに洗浄液の添加部位を備えておき、検体液の展開後にその洗浄液の添加部位に洗浄液を添加する方法、または、検体液をストリップに展開した後に洗浄液送液の為の洗浄液添加パット、吸水パットをストリップに付着させても良い。
洗浄液添加パット(第二の不溶性担体とも標記する)は、洗浄液を添加できればなんでもよく、グラスファイバーパッドやセルロースメンブレン、ニトロセルロースメンブレンなどを用いることができる。
吸水パットは、吸水することができる物質ならばなんでもよく、セルロース、ニトロセルロース、グラスファイバー、それらの混合体などを用いることができる。
本発明において、使用することのできる増幅液とは、写真化学の分野での一般書物(例えば、「改訂写真工学の基礎-銀塩写真編-」(日本写真学会編、コロナ社)、「写真の化学」(笹井明、写真工業出版社)、「最新処方ハンドブック」(菊池真一他、アミコ出版社))に記載されているような、いわゆる現像液のことである。
本発明では、液中に銀イオンを含み、液中の銀イオンが現像の核となるような金属コロイド等を中心に還元される、いわゆる物理現像液であれば、どんなものでも増幅液として用いることができる。
本発明で用いる銀含有化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。
本発明に用いられる有機銀塩は、還元可能な銀イオンを含む有機化合物である。本発明で用いられる、還元可能な銀イオンを含む化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体など何でも良い。例えば、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀などが知られている。
また還元剤の存在下で50℃以上まで加熱されると、光に比較的に安定な金属銀を形成する銀塩または配位化合物であってもよい。
本発明における窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩は、好ましくはイミノ基を有する化合物の銀塩である。代表的な化合物としては次にあげるものであるが、これらの化合物に限定されることはない。1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、又はベンゾトリアゾ−ルおよびその誘導体の銀塩(例えば、メチルベンゾトリアゾ−ル銀塩又は5−クロロベンゾトリアゾ−ル銀塩)、米国特許第4,220,709に記載されているフェニルメルカプトテトラゾ−ルのような1H−テトラゾ−ル化合物、米国特許第4,260,677に記載のイミダゾ−ルおよびイミダゾ−ル誘導体。この種の銀塩のうち、特に好ましい化合物はベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩、又はこれらの2つ以上の混合物である。
本発明に用いられる窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩として最も好ましくは、ベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩である。
3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−ベンズイミダゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアゾ−ルの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンゾオキサゾ−ルの銀塩、および米国特許第4,123,274記載の化合物の銀塩。
ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体のうち有用な化合物としては以下に挙げるものがあるが、これらに制限されるわけではない。
チオグリコ−ル酸銀塩(例えば炭素原子数12から22までのアルキル基を持つS−アルキルチオグリコ−ル酸の銀塩)、ジチオカルボン酸の銀塩(たとえばジチオ酢酸の銀塩又はチオアミドの銀塩)
置換または無置換の安息香酸銀(例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、アセタミド安息香酸銀、およびp−フェニル安息香酸銀)、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、サリチル酸銀、フェニル酢酸銀、又はピロメリット酸銀。
そのような銀のカルボン酸塩は、米国特許第5,491,059に記載されている。ここで記載されている銀塩の混合物はどれでも、本発明においては必要に応じて使うことができる。
米国特許第4,504,575に記載のスルホン酸塩の銀塩もまた、本発明の態様においては使用することが出来る。
有機銀塩は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.001モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
本発明に用いられる無機銀塩は、例えば、ハロゲン化銀(塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀、およびヨウ臭化銀等)、チオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩等が挙げられる。
本発明に用いられるハロゲン化銀の粒子形成方法は、写真業界でよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びハロゲン供給化合物を添加することにより調製される。
銀イオンのための還元剤は、銀(I)イオンを銀に還元することができる無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元
性金属塩、還元性金属錯塩が知られており、本発明に用いることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe+2を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。
本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
D−またはL−アスコルビン酸とその糖誘導体(例えばγ−ラクトアスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸)、アスコルビン酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のカリウム塩、イソアスコルビン酸(またはL−エリスロアスコルビン酸)、その塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩または当技術分野において知られている塩)、エンジオールタイプのアスコルビン酸、エナミノールタイプのアスコルビン酸、チオエノ−ルタイプのアスコルビン酸)、たとえば米国特許第5,498,511、EP−A−0585,792、EP−A−0573700、EP−A−0588408、米国特許第5,089,819、米国特許第5,278,035、米国特許第5,384,232、米国特許第5,376,510、JP7−56286、米国特許第2,688,549、およびReseach Disclosure37152(1995年3月)に記載されているような化合物。
ヒンダードフェノールは、ベンゼン環上に一つだけの水酸基を有し、少なくとも一つの置換基を水酸基に対してオルト位に有する化合物である。ヒンダードフェノール還元剤は複数の水酸基を別々のベンゼン環に持っていれば、複数の水酸基を有していて構わない。
ヒンダードフェノール還元剤は、たとえば、ビナフトール類(すなわちジヒドロキシビナフトール類)、ビフェノール類(すなわちジヒドロキシビフェノール類)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン類、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン類(すなわちビスフェノール類)、ヒンダ−ドフェノール類、およびヒンダードナフトール類が挙げられ、これらは置換されていて構わない。
1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1’−ビ−4−メチル−2−ナフトール、および米国特許第3,094,417号と米国特許第5,262,295号に記載されている化合物。
2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4−メチル−6−n−ヘキシルフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
4,4’−メチレンビス(2−メチル−1−ナフト−ル)、米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(CAO−5)、1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(NONOXまたはPERMANAX WSO)、1,1’−ビス(3,5−di−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4’−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノ−ル)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノ−ル)(LOWINOX 221B46)、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジメチルフェノール、および2−t−ブチル−6−メチルフェノール。
1−ナフトール、4−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
アミドキシム類(例えばフェニルアミドキシム)、2−チエニルアミドキシム、p−フェノキシフェニルアミドキシム、脂肪族カルボン酸アリルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ(例えば2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオニル−β−フェニルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ)、ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトンおよびヒドラジンの少なくとも一方の組み合わせ(たとえばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミンの組み合わせ)、ピペリジ−4−メチルフェニルヒドラジン、ヒドロキサム酸(例えばフェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸、およびo−アラニンヒドロキサム酸)、アジンとスルホンアミドフェノール類の組合せ(たとえばフェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール)、α−シアノフェニル酢酸誘導体(例えばエチル−α−シアノ−2−メチルフェニル酢酸、エチル−α−シアノフェニル酢酸)、ビス−o−ナフトール(例えば2,2’−ジヒドロキシ−1−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン)、
ヒドロキシルアミン(ヒドロキシルアミンとアルキルとアリ−ル置換誘導体を含む)、米国特許第5,545,505に記載のアルカノールアミンとフタル酸アンモニウム、米国特許第5,545,507に記載のヒドロキサム酸化合物、米国特許第5,558,983に記載のN−アシルヒドラジン化合物、米国特許第5,637,449に記載の水素原子ドナー化合物。
増幅液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらのどれかの塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅液に最適なpHに調整することができる。
(1-1)抗インフルエンザA型/B型抗体修飾金コロイドの作成
(1-1-1)抗インフルエンザA型抗体修飾金コロイドの作成
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 7.5)1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、90 μg / mLの抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA, 0.1 % NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 8.0 )1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、80 μg / mLの抗インフルエンザB型モノクローナル抗体(MONOTOPE aby Influenza B Virus (nuclear) Purified 1131、ViroStat, Inc.)溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA, 0.1 % NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
(1-1)で作成したインフルエンザA型、B型抗体修飾金コロイドを、ODの比で1:1となるように混合し、金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)及び水により希釈し、520 nmのODが3.0となるように希釈した。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
25 mm×200 mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF120、ミリポア社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から7 mmの位置に、1.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)溶液をインクジェット方式の塗布機(BioDot社)を用いて幅0.7mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から10 mmの位置に、1.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザB型モノクローナル抗体(MONOTOPE aby Influenza B Virus (nuclear) Purified 1131、ViroStat, Inc.)溶液を幅0.7mm程度のライン状に塗布した。さらに同様に、下から13 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロースおよび0.05 w%コール酸ナトリウムを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.5)バッファー)500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンとした。
バック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、(1-3)で作成した抗体固定化メンブレンを貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、抗インフルエンザA型抗体ライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2 mm重なるように2で作成した金コロイド抗体保持パッドを貼り付け、約4 mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5 mm重なるように吸収パッド(80 mm×150 mmに切ったセルロース・グラス膜(CF6、ワットマン社))を重ねて貼り付けた。
(1-5-1)洗浄液の作成(比較例1、実施例2〜5)
PBSバッファー(和光純薬)に1重量%のBSA(シグマ社)を溶解した1%BSA入りPBSバッファーを洗浄液とした。
(1-6-1-1)で示す増幅液A-1を洗浄液として用いた。
(1-6-1)増幅液Aの作成
(1-6-1-1)増幅液A-1の作成
水325gに、硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬、095-00995)を水に溶解して作成した1mol/Lの硝酸鉄水溶液40mL、クエン酸(和光純薬、038-06925)10.5g、ドデシルアミン(和光純薬、123-00246)0.1g、界面活性剤C9H19-C6H4-O-(CH2CH2O)50H 0.44gを溶解させる。全て溶解したら、スターラーで攪拌しながら硝酸(10重量%,)を40mL加える。この溶液80mLを測りとり、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(和光純薬、091-00855)を11.76g加えこれを増幅液A-1とした。
硝酸銀溶液10mL(10gの硝酸銀を含む)に水を加えて全体量が100gとなるようにし、増幅液A-2(10重量%硝酸銀水溶液)を作成した。
増幅液A-1 40mLを測りとり、増幅液A-2を4.25mL加え攪拌し、増幅液Aとした。
本実験において、洗浄時の洗浄液入れ物の形状に依存する液面の高さ、及びイムノクロマトグラフキットの試料添加パッドの形状・材質、実験環境(温度、湿度)、吸収パットの材質・厚み、吸収パットとニトロセルロースメンブレンとの接合、などは洗浄液の吸水スピード・量を変化させる要因であり、実験において、一定に保つことが必要である。この洗浄液の吸水スピード・量は、最終的な洗浄の効果(金微粒子の残存量の減少)を左右する要因である。今回の実験は、気温22±3℃、湿度50±15%にて行った。
(2-1)検体液の点着
検体液として、クイックS-インフルA・B「生研」陰性/陽性コントロール(品番322968、デンカ生研)を使用した。1質量%BSAを含むPBSバッファーでこの陽性コントロール液を希釈し、市販イムノクロマト検出キット「キャピリアFluA+B」(アルフレッサファーマ)による検出限界はA型B型とも1/40であった。
(1-4)で作成した試験用イムノクロマトグラフキットの試料添加パットに、検体液を100μL滴下し、10分静置した。
(2-1)のメンブレンをケースから取り出し、試料添加パット、吸収パットをはずした。吸水パットを取り除き、新たな吸水パットとして5×20mm(CF6、ワットマン社)を取り除いた場所にセロハンテープで付けた。また、サンプルパットが付いていた端側のハ゛ッキンク゛シートをメンブレンとの境目の位置で切断して余分なハ゛ッキンク゛シートを切り落とし、増幅液Aを200μL入れたマイクロチューブ(ビーエム機器株式会社、BM4020)に検体滴下部が液に漬かるように立てかけた。増幅液を吸い上げ、検出ラインに増幅液が到達した時点を0分とし、2分経過したらこのメンブレンを取り出した。このとき検出ラインを目視した際の着色度合いを判定し、はっきりと着色がある「+++」、着色がある「++」、薄い着色がある「+」、着色がない「−」、の4段階で判別した。
最も薄い濃度で判別できた濃度(「+」判定)を、そのキットで増幅した際の最小検出感度とし、表1に示した。
試料裏面をカーボンペーストで試料台に取り付けた後、カーボン蒸着し、日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500で、加速電圧10KVで反射電子による試料表面の観察をSEMで行った。その後、増幅後の粒子を100粒子選び、粒子の投影面積の円相当直径を測定し、平均値を算出した。
(2-1)のメンブレンのバックグランド部分(2本の検出ラインの間の部分2mm×5mm)を剃刀により長方形に切り出し、そのメンブレン断片を王水に浸漬し、金を抽出した後、その抽出液中の金量をHRICP−MSを用いて定量し、増幅液送液後のバックグランド残存金量とした。使用した直径50nm金微粒子の体積と金の密度より、50nm金微粒子の質量を1.25×10-15g/個と見積もって、求めたバックグランド残存金量を個数に換算し、切り出したメンブレンの面積(mm2)で除することで、単位面積当たりのバックグランド残存金量(個/mm2)を算出した。結果は2回の測定の平均から求めた。
(2-5)検体液の点着
検体液を100μL滴下した後の、静置時間を9分としたこと以外は(2-1)と同様に行った。
このメンブレンをケースから取り出し、吸収パッドをはずし、取り外した場所に重なるように吸水用パット(100mm×5mmに切ったセルロースメンブレン(CF6、ワットマン社)に80mm×5mmに切ったバック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)を貼ったもの)をテーフ゜で取り付けた。洗浄液を700μL入れたマイクロチューブ(ビーエム機器株式会社、BM4020)に検体滴下部が液に漬かるように立てかけ、このまま1分間洗浄した。
(2-2)と同様に増幅を行い、検体の最小検出感度を求めた。
(2-3)、(2-4)と同様に増幅後の粒子の形状観察、洗浄後のバックグランド非特異残存金量の測定を行った。
(2-5)において、検体液を100μL滴下した後の、静置時間を8分としたこと、(2-6)おいて、洗浄時間を2分としたこと以外は<比較例2>と同様に行った。
(2-5)において、検体液を100μL滴下した後の、静置時間を7分としたこと、(2-6)おいて、洗浄時間を3分としたこと以外は<比較例2>と同様に行った。
(2-9)洗浄液による洗浄(180度方向からの洗浄)
このメンブレンをケースから取り出し、試料添加パット、吸収パッドをはずし、試料添加パットを取り外した場所に重なるように吸水用パット(100mm×5mmに切ったセルロースメンブレン(CF6、ワットマン社)に80mm×5mmに切ったバック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)を貼ったもの)をテーフ゜で取り付けた。吸収パッドをはずした場所に重なるように、洗浄液添加用パット(18 mm×5mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)に13mm×5mmのバック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)を貼ったもの)をテーフ゜で取り付けた。洗浄液を700μL入れたマイクロチューブ(ビーエム機器株式会社、BM4020)に検体滴下部が液に漬かるように立てかけ、このまま1分間洗浄した。
その他に関しては比較例2と同様に実験を行った。
検体液を100μL滴下した後の、静置時間を8分としたこと、洗浄時間を2分としたこと以外は<実施例3>と同様に行った。
検体液を100μL滴下した後の、静置時間を7分としたこと、洗浄時間を2分としたこと以外は<実施例3>と同様に行った。
洗浄液を(1-5-2)で示した増幅液A-1に変更したこと以外は実施例5と同様に行った。
バックグランドの金量5×105個/mm2とした実施例1、3の場合、比較例とアッセイ時間は一緒で、感度が最大4倍向上した。
バックグランドの金量3×105個/mm2とした実施例2の場合、感度が最大8倍上昇した。
バックグランドの金量1×105個/mm2以下とした実施例4,5の場合、感度が最大16倍上昇した。洗浄液を増幅液A-1とし洗浄し、バックグランド金量を7×105個/mm2とした実施例5においても同様の感度であった。
2:金コロイド抗体保持パッド
3:抗体固定化メンブレン
3a: 捕捉部位
31:検出部
32:コントロール部
4:吸収パッド
5:試料添加パッド
6:増感シート
10:イムノクロマトグラフキット
Claims (7)
- 被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した金属を含む標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で不溶性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の結合物質を有する不溶性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法において、
(1)該被験物質を展開する工程;
(2)洗浄液を送液することによって、不溶性担体上の反応部位に特異的な結合により捕捉した標識物質以外を送液により洗浄し、反応部位に隣接する非反応部位に残存する該標識物質が平均5×105個/mm2以下となるようにする工程;及び
(3)銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増感する工程:
を含み、
増幅液が2価の鉄イオンを含み、検出時に平均粒子サイズが1μm以上20μm以下のサイズを有する標識物質を検出する、イムノクロマトグラフ方法。 - 反応部位に隣接する非反応部位に残存する該標識物質が平均3×105個/mm2以下となるようにする、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 反応部位に隣接する非反応部位に残存する該標識物質が平均1×105個/mm2以下となるようにする、請求項1又は2に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 該不溶性担体が多孔性担体である、請求項1から3の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 該標識物質が金属コロイドである、請求項1から4の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 該金属コロイドが金コロイドである、請求項1から5の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 銀イオンのための還元剤が、硝酸鉄(III)水溶液にクエン酸、硝酸、及び硫酸アンモニウム鉄(II)水和物を加えて調製したものである、請求項1から6の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
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