JP5091009B2 - イムノクロマトグラフ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分析対象物を含む試料を、高感度に定性及び定量を行うことができる免疫化学的分析方法に関する。
天然物、毒素、ホルモン、又は農薬等の生理活性物質又は環境汚染物質の中には、極微量で作用するものが非常に多い。従って、これらの物質の定性的及び定量的測定には、従来、高感度分析が可能な機器分析法が広く用いられてきた。しかし、機器分析法は、特異性が低く、試料の前処理工程を含め、分析に時間を要する上、操作が煩雑なため、近年要求されている迅速簡便測定目的には不都合である。一方、免疫学的測定法は、特異性も高く、操作も機器分析よりはるかに簡便であることから、生理活性物質又は環境汚染物質の測定分野に徐々に普及してきた。しかし、96穴プレ−トを用いた酵素免疫測定法やラテックス凝集法のような従来の免疫学的測定法は、必ずしも測定の迅速簡便性又は検出感度を満たすものではなかった。
また他のニーズとしては、現在スワブ液や血液と言った比較的侵襲的な検体を用いている検査においても、高感度化が達成されることで、鼻水やうがい液、尿、といった比較的低侵襲的な検体中にごく少量含まれる被検試料を検出することができるようになることで、患者の負担の少ない検査方法が可能となることも期待できる。
近年、特に迅速な診断が求められる感染症の検査に、イムノクロマトグラフ法を用いた検査キット(以後の説明において、イムノクロマトグラフキットと記す。)が多く使用されるようになってきている。これらキットの普及により、患者の感染を迅速・簡便な方法で特定することができ、その後の診断、治療を素早く的確に行うことが可能となってきている。例えば、サンドイッチ法を利用したイムノクロマトグラフ法では、分析対象物(例えば、抗原)に特異的に結合する第一の結合物質としての第1抗体を特定の領域に固定した不溶性薄膜状支持体(例えば、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜など)中に、分析対象物と特異的に結合する標識化された第二の結合物質としての第2抗体と、分析対象物を含む可能性のある検体溶液とを展開し、不溶性薄膜状支持体の第1抗体を固定した領域上で、分析対象物との免疫複合体を形成させ、標識の着色又は発色などの信号を検出し、分析対象物を測定することができる。なお、前記標識としては、例えば、酵素を含むタンパク質、着色ラテックス粒子、金属コロイド、又は炭素粒子を使用することができる。
イムノクロマトグラフ法は、その判定・測定に重厚な設備・機器を必要とせず、操作が簡便であり、分析対象物を含む可能性のある検体溶液を滴下した後、約5分〜10分間静置するだけで測定結果が得られるように迅速であるので、簡便・迅速・特異性の高い判定・測定手法として、多くの場面、例えば病院における臨床検査、研究室における検定試験等に広く使われている。
また、天然物、毒素、ホルモン、又は農薬等の生理活性物質又は環境汚染物質は、従来の一般的イムノクロマトグラフ法では検出できない極微量で作用する物質が多く、それらの迅速、簡便、且つ高感度なイムノクロマトグラフ法の開発が求められている。
シグナル増幅を行い、高感度化するイムノクロマト法としては、酵素による増幅法(特許文献1及び2)や、化学増幅による方法(特許文献3)、銀増幅による方法(特許文献4)が知られている。酵素による増幅法を用いたイムノクロマト法の製品は既に市販されている。特許文献1では、洗浄後の増幅を行っているが、これらは従来の金属標識や着色ラテックス粒子によるイムノクロマト法よりも高感度なアッセイが達成できるものの、酵素増幅による反応時間が必要であるために従来の標識物質に比べ測定に時間がかかってしまうという欠点があった。
金属粒子を銀増幅するイムノクロマト法では、その増幅液の種類によっては酵素による増幅法と同等の増幅を短時間のうちに達成できるが、従来の金属微粒子を用いたイムノクロマト法では、そのバックグランドノイズが高く、迅速に検出を行うことができなかった。
特許3309977号公報 特許3237540号公報 特許3886000号公報 特開2002−202307号公報
酵素による増幅法では、増幅に時間がかかるため、検査に時間がかかるという問題があった。また、従来の金属微粒子を用いたイムノクロマト法では、そのバックグランドノイズが高いために、迅速に検出を行うことができなかった。即ち、本発明は、バックグランドノイズが低く、高感度かつ迅速に検出を行うことが可能なイムノクロマトグラフ方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、被験物質を展開した後に、洗浄液を送液することによって、不溶性担体上の反応部位に特異的な結合により捕捉した標識物質以外を送液により洗浄し、反応部位以外に残存する該標識物質が平均5×105個/mm2以下となるようにし、その後に増幅液を用いて増感することによって、バックグランドノイズが低く、高感度かつ迅速に検出を行うことが可能なイムノクロマトグラフ方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した金属を含む標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で不溶性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の結合物質を有する不溶性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法において、
(1)該被験物質を展開する工程;
(2)洗浄液を送液することによって、不溶性担体上の反応部位に特異的な結合により捕捉した標識物質以外を送液により洗浄し、反応部位以外に残存する該標識物質が平均5×105個/mm2以下となるようにする工程;及び
(3)銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増感する工程:
を含む、イムノクロマトグラフ方法が提供される。
好ましくは、反応部位以外に残存する該標識物質が平均3×105個/mm2以下となるようにする。
好ましくは、反応部位以外に残存する該標識物質が平均1×105個/mm2以下となるようにする。
好ましくは、不溶性担体は多孔性担体である。
好ましくは、標識物質は金属コロイドである。
好ましくは、金属コロイドは金コロイドである。
好ましくは、増幅液は2価の鉄イオンを含む。
好ましくは、検出時に平均粒子サイズが1μm以上20μm以下のサイズを有する標識物質を検出する。
酵素法では増幅に時間がかかるが、銀増幅法では増幅に時間を要しない。時間を要しない増幅において、従来の金属微粒子を標識物質として用いるイムノクロマト法では、増幅を行ってもバックグランドの非特異に存在する標識物質の影響で、迅速な検出を行うことができなかった。本発明では、反応部位以外に残存する該標識物質が平均5×105個/mm2以下となるように洗浄を行った後に、銀増幅することにより、酵素による増幅イムノクロマトと同等の感度で短時間に検出できるイムノクロマト方法を提供することが可能になった。
1.イムノクロマト
一般に、イムノクロマトグラフ方法とは以下のような手法で被験物質を簡便・迅速・特異的に判定・測定する手法である。すなわち、被験物質と結合可能な固定化試薬(抗体、抗原等)を含む少なくとも1つの反応部位を有するクロマトグラフ担体を固定相として用いる。このクロマトグラフ担体上で、被験物質結合可能な試薬によって修飾された検出用標識物が分散されてなる分散液を移動層として前記クロマトグラフ担体中をクロマトグラフ的に移動させると共に、前記被験物質と検出用標識物とが特異的に結合しながら、前記反応部位まで到達する。前記反応部位において、前記被験物質と検出用標識物の複合体が前記固定化試薬に特異的結合することにより、被分析液中に被験物質が存在する場合にのみ、前記固定化試薬部に検出用標識物が濃縮されることを利用し、それらを目視または適当な機器を用いて被分析液中に被験物質が存在することを定性および定量的に分析する手法である。
本発明におけるイムノクロマトグラフ方法を行う装置は、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を内蔵していてもよく、前記固定化試薬に結合した前記被験物質と検出用標識物の複合体を核として増幅反応によって、シグナルを増幅し、結果として高感度化を達成することができる。本発明によれば、迅速な高感度イムノクロマトグラフを行うことができる。
2.被検試料
本発明のイムノクロマトグラフ方法で分析することのできる被検試料としては、被験物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
3.被検試料の前処理
本発明のイムノクロマトグラフ方法では、前記被検試料をそのままで、あるいは、前記被検試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、前記抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは前記抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。前記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、前記溶媒で希釈することにより直接特異的な結合反応(例えば、抗原抗体反応)を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
4.構成
本発明のイムノクロマトグラフ方法において使用することのできるイムノクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のイムノクロマトグラフ法に用いることができるイムノクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。例えば、図1に模式的に従来のイムノクロマトグラフ用ストリップの平面図を模式的に示す。図2に図1で示されたイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。図3は別のイムノクロマトグラフ用ストリップの断面図を模式的に示す。
本発明のムノクロマトグラフ用ストリップ10は、展開方向(図1において矢印Aで示す方向)の上流から下流に向かって、試料添加パッド5、標識化物質保持パッド(例えば金コロイド抗体保持パッド)2、クロマトグラフ担体(例えば抗体固定化メンブレン)3、及び吸収パッド4がこの順に、粘着シート5上に配置されている。
前記クロマトグラフ担体3は、補足部位3aを有し、分析対象物と特異的に結合する抗体又は抗原を固定化した領域である検出ゾーン(検出部と記載することもある)31を有し、所望により、コントロール用抗体又は抗原を固定化した領域であるコントロールゾーン(コントロール部と記載することもある)32を更に有する。さらに、検出ゾーン31およびコントロールゾーン32は、増幅のための有機銀塩と銀イオンのための還元剤を含有する。
前記標識化物質保持パッド2は、標識化物質を含む懸濁液を調製し、その懸濁液を適当な吸収パッド(例えば、グラスファイバーパット)に塗布した後、それを乾燥することにより調製することができる。
前記試料添加パッド1としては、例えばグラスファイバーパットを用いることができる。
4−1.検出用標識物
標識化物質を作成するための検出用標識物としては、一般的なイムノクロマトグラフ法で用いられるような金属微粒子、着色ラテックス粒子、酵素など、有色で視認できる、または、反応により検出できるようになる標識物であればなんでも良い。
本発明においては、検出用標識物として金属コロイド又は金属硫化物、その他金属合金、また金属を含むポリマ−粒子標識を用いることができる。担体粒子(又はコロイド)の平均粒径は、0.02〜10μmの範囲が好ましい。例えば、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、鉄コロイド、水酸化アルミニウムコロイド、およびこれらの複合コロイドなどが挙げられ、好ましくは、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、およびこれらの複合コロイドである。特に、金コロイドと銀コロイドが適当な粒径において、金コロイドは赤色、銀コロイドは黄色を示し視認度が高い点で好ましい。金属コロイドの平均粒径としては、約1nm〜500nmが好ましく、1〜50nmがさらに好ましい。
金属コロイドと第一の結合物質(例えば、第一の抗体)との結合は、従来公知の方法(例えばThe Journal of Histochemistry and Cytochemistry,Vol.30,No.7,pp691−696,(1982))に従い、行うことができる。すなわち、金属コロイドと第一の結合物質を適当な緩衝液中で室温下5分以上混合する。反応後、遠心分離により得た沈殿を、ポリエチレングリコ−ル等の分散剤を含む溶液中に分散させることにより、目的の金属コロイド標識物質を得ることができる。金属コロイドとして金コロイド粒子を用いる場合には、市販のものを用いてもよい。あるいは、常法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法(Nature Phys. Sci.,vol.241,20,(1973)等)により金コロイド粒子を調製することができる。
本発明によれば、検出用標識物として金属コロイド標識又は金属硫化物標識、その他金属合金標識、また金属を含むポリマ−粒子標識を用いるイムノクロマトグラフにおいて、前記金属系標識の信号を増幅させることができる。具体的には、前記被験物質と検出用標識物の複合体の形成後に、無機銀塩、有機銀塩などの銀を含む化合物から供給される銀イオンおよび銀イオンのために還元剤を接触させ、還元剤によって銀イオンを還元して銀粒子を生成させると、その銀粒子が前記金属系標識を核として前記金属系標識上に沈着するので、前記金属系標識が増幅され、被験物質の分析を高感度に実施することができる。従って、本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、還元剤による銀イオンの還元作用により生じた銀粒子を用いて、免疫複合体の標識に沈着させる反応を実施し、こうして増幅された信号を分析することを除けば、それ以外の点では従来公知のイムノクロマトグラフ法をそのまま適用することができる。
4−2.第一の結合物質
本発明において、第一の結合物質としては、被検物質に対して親和性を持つものならば何でも良く、一例として抗体を用いることができる。本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、被験物質に対して特異性を有する抗体として、特に限定されるものではないが、例えば、その被験物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被験物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。
4−3.第一の不溶性担体
第一の不溶性担体とは、被験物質と結合可能な第2の結合物質(例えば第二の抗体)を含む少なくとも1つの反応部位を有するクロマトグラフ担体のことで、このクロマトグラフ担体としては、多孔性担体が好ましい。特に、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましい。
通常クロマトグラフ担体の一部に第二の結合物質(例えば第二の抗体)を固定化させて検出ゾーンを作製する。第二の結合物質は、第二の結合物質をクロマトグラフ担体の一部に物理的または化学的結合により直接固定化させてもいいし、第二の結合物質をラテックス粒子などの微粒子に物理的または化学的に結合させ、この微粒子をクロマトグラフ担体の一部にトラップさせて固定化させてもいい。なお、クロマトグラフ担体は、第二の結合物質を固定化後、不活性蛋白による処理等により非特異的吸着防止処理をして用いるのが好ましい。
4−4.試料添加パッド
試料添加パッドの材質は、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、及び綿布等の均一な特性を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。試料添加部は、添加された被験物質を含む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる。また、分析の際、試料中の被験物質が試料添加部の材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理して用いることもある。
4−5.標識化物質保持パッド
標識化物質保持パッドの素材としては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、及び不織布等が挙げられ、前述のように調製した検出用標識物を一定量含浸し、乾燥させて作製する。
4−6.吸収パッド
吸収パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部に不溶化されない未反応標識化物質等を吸収除去する部位であり、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸収部に届いてからのクロマトの速度は、吸収材の材質、大きさなどにより異なるので、その選定により被験物質の測定に合った速度を設定することができる。
5.免疫検査の方法
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法について説明する。サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質の分析を実施することができる。まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体及び第2抗体を、先に述べた方法により予め調製しておく。また、第1抗体を、予め標識化しておく。第2抗体を、適当な第一の不溶性担体(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定し、被験物質(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被験物質が存在する場合には、抗原抗体反応が起きる。この抗原抗体反応は、通常の抗原抗体反応と同様に行なうことができる。前記抗原抗体反応と同時又は反応後に、過剰量の標識化第1抗体を更に接触させると、被検試料中に被験物質が存在する場合には、固定化第2抗体と被験物質(抗原)と標識化第1抗体とからなる免疫複合体が形成される。
サンドイッチ法では、固定化第2抗体と被験物質(抗原)と第1抗体との反応が終了した後、前記免疫複合体を形成しなかった標識化第1抗体を除去し、続いて、例えば、第一の不溶性担体における固定化第2抗体を固定した領域に、金属イオン及び還元剤を供給することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅する。あるいは、標識化第1抗体に金属イオン及び還元剤を添加し、同時に薄膜状支持体に添加することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅する。
6.洗浄
6-1.洗浄液
本発明では、洗浄液として1%BSA入りのPBSバッファーを用いているが、洗浄液は特異的な結合反応以外でメンブレン内に残存している、つまり非特異的に残存している標識化物質を洗浄するための液体であれば何でも良い。洗浄効果を上げる為にそのpHを調整したり、界面活性剤成分やBSAなどのタンパク質、ポリエチレングリコールなどの高分子化合物を加えた洗浄液を用いても良い。
洗浄液は展開途中に非特異的に残存した標識化物質を洗浄しながら展開するので標識化物質を含みながら展開されることになるが、展開される前の洗浄液は洗浄効果を高めるために、標識化物質を含んでいない液を用いる。
6-2.洗浄液の展開、その方向
洗浄液は、検体液を展開した後に、イムノクロマトグラフ用ストリップに添加しイムノクロマトグラフ用ストリップに残存する特異的な結合反応で結合した以外の標識物を洗浄する。洗浄液の送液方法としては、検体液を展開した後にそのまま試料滴下部に添加する方法や、予めストリップに洗浄液送液の為の洗浄液添加パット、吸水パットを付着させておき、その洗浄液添加パットに添加し吸水パット方向へ送液する方法、予めストリップに洗浄液の添加部位を備えておき、検体液の展開後にその洗浄液の添加部位に洗浄液を添加する方法、または、検体液をストリップに展開した後に洗浄液送液の為の洗浄液添加パット、吸水パットをストリップに付着させても良い。
本明細書中では、該被験物質の液の展開方向とは、試料添加パッドと吸収パッドとを結ぶ方向と定義し、洗浄液の展開方向とは、洗浄液送液の為の洗浄液添加パットと吸水パットとを結ぶ方向と定義する。
被験物質の液の展開方向と洗浄液の展開方向との成す角は特に限定されず、0度から180度で行うことができる。
洗浄液添加パット(第二の不溶性担体とも標記する)は、洗浄液を添加できればなんでもよく、グラスファイバーパッドやセルロースメンブレン、ニトロセルロースメンブレンなどを用いることができる。
吸水パットは、吸水することができる物質ならばなんでもよく、セルロース、ニトロセルロース、グラスファイバー、それらの混合体などを用いることができる。
7.増幅液
本発明において、使用することのできる増幅液とは、写真化学の分野での一般書物(例えば、「改訂写真工学の基礎-銀塩写真編-」(日本写真学会編、コロナ社)、「写真の化学」(笹井明、写真工業出版社)、「最新処方ハンドブック」(菊池真一他、アミコ出版社))に記載されているような、いわゆる現像液のことである。
本発明では、液中に銀イオンを含み、液中の銀イオンが現像の核となるような金属コロイド等を中心に還元される、いわゆる物理現像液であれば、どんなものでも増幅液として用いることができる。
8.銀を含む化合物
本発明で用いる銀含有化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。
本発明に用いられる有機銀塩は、還元可能な銀イオンを含む有機化合物である。本発明で用いられる、還元可能な銀イオンを含む化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体など何でも良い。例えば、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀などが知られている。
また還元剤の存在下で50℃以上まで加熱されると、光に比較的に安定な金属銀を形成する銀塩または配位化合物であってもよい。
本発明に用いられる有機銀塩は、アゾ−ル化合物の銀塩およびメルカプト化合物の銀塩より選ばれる化合物であってもよい。好ましくは、アゾ−ル化合物としては含窒素ヘテロ環化合物であり、より好ましくはトリアゾ−ル化合物およびテトラゾ−ル化合物である。メルカプト化合物は、メルカプト基またはチオン基を分子内に少なくとも1つ有する化合物である。
本発明における窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩は、好ましくはイミノ基を有する化合物の銀塩である。代表的な化合物としては次にあげるものであるが、これらの化合物に限定されることはない。1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、又はベンゾトリアゾ−ルおよびその誘導体の銀塩(例えば、メチルベンゾトリアゾ−ル銀塩又は5−クロロベンゾトリアゾ−ル銀塩)、米国特許第4,220,709に記載されているフェニルメルカプトテトラゾ−ルのような1H−テトラゾ−ル化合物、米国特許第4,260,677に記載のイミダゾ−ルおよびイミダゾ−ル誘導体。この種の銀塩のうち、特に好ましい化合物はベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩、又はこれらの2つ以上の混合物である。
本発明に用いられる窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩として最も好ましくは、ベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩である。
本発明におけるメルカプト基またはチオン基を持つ化合物は、好ましくは5つまたは6つの原子を含むヘテロ環化合物である。この場合に環中の原子の少なくとも1つは窒素原子であり、その他の原子は炭素、酸素、硫黄原子である。このようなヘテロ環化合物としてはトリアゾ−ル類オキサゾ−ル類、チアゾ−ル類、チアゾリン類、イミダゾ−ル類、ジアゾ−ル類、ピリジン類、およびトリアジン類が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
メルカプト基またはチオン基を持つ化合物の銀塩のうち代表的な化合物を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない。
3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−ベンズイミダゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアゾ−ルの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンゾオキサゾ−ルの銀塩、および米国特許第4,123,274記載の化合物の銀塩。
本発明におけるメルカプト基またはチオン基を持つ化合物としては、ヘテロ環を含まない化合物を用いることも出来る。ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体としては、総炭素数が10以上の脂肪族または芳香族炭化水素化合物が好ましい。
ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体のうち有用な化合物としては以下に挙げるものがあるが、これらに制限されるわけではない。
チオグリコ−ル酸銀塩(例えば炭素原子数12から22までのアルキル基を持つS−アルキルチオグリコ−ル酸の銀塩)、ジチオカルボン酸の銀塩(たとえばジチオ酢酸の銀塩又はチオアミドの銀塩)
カルボン酸の銀塩を持つ有機化合物もまた好ましく用いられる。例えば、直鎖のカルボン酸である。具体的には、C数6〜22のカルボン酸が好ましく用いられる。加えて芳香族カルボン酸の銀塩である。芳香族カルボン酸とその他のカルボン酸の例として、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されることはない。
置換または無置換の安息香酸銀(例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、アセタミド安息香酸銀、およびp−フェニル安息香酸銀)、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、サリチル酸銀、フェニル酢酸銀、又はピロメリット酸銀。
本発明においては米国特許第3,330,663に記載されたようなチオエ−テル基を含む脂肪酸銀もまた好ましく用いられる。エ−テルまたはチオエ−テル結合を含む炭化水素鎖を有するか、α−位(炭化水素基の上)またはオルト位(芳香族基の上)に立体的に遮蔽された置換基を有する可溶性のカルボン酸銀も用いることができる。これらは、塗布溶媒中で溶解性が向上し、光散乱が少ない塗布物になる。
そのような銀のカルボン酸塩は、米国特許第5,491,059に記載されている。ここで記載されている銀塩の混合物はどれでも、本発明においては必要に応じて使うことができる。
米国特許第4,504,575に記載のスルホン酸塩の銀塩もまた、本発明の態様においては使用することが出来る。
さらに、本発明においては例えば米国特許第4,761,361と米国特許第4,775,613に記載のアセチレンの銀塩も使用することが出来る。米国特許第6,355,408に記載のコア−シェル型銀塩として提供されることもできる。これらの銀塩は、一つ以上の銀塩から成るコアと一つ以上の異なる銀塩からなるシェルで構成される。
本発明中において、非感光性銀源としてもう一つ有用なものは米国特許6472131に記載の2つの異なった銀塩から構成される銀の二量体合成物である。そのような非感光性の銀の二量体合成物は2つの異なる銀塩から成る。前記二種の銀塩が直鎖の飽和炭化水素基を銀の配位子として含む場合にはそれら配位子の炭素原子数の差が6以上である。
有機銀塩は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.001モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
本発明に用いられる無機銀塩、もしくは銀錯体は、還元可能な銀イオンを含む化合物である。好ましくは、還元剤の存在下で50℃以上まで加熱されると、光に比較的に安定な金属銀を形成する無機銀塩、もしくは銀錯体である。
本発明に用いられる無機銀塩は、例えば、ハロゲン化銀(塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀、およびヨウ臭化銀等)、チオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩等が挙げられる。
本発明に用いられる無機銀塩は、好ましくはハロゲン化銀である。
本発明に用いられるハロゲン化銀の粒子形成方法は、写真業界でよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びハロゲン供給化合物を添加することにより調製される。
ハロゲン化銀の粒子サイズは、検査ノイズを小さくする上で微細であることが好ましく、具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくはナノ粒子の範囲がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
チオ硫酸銀、チオシアン酸銀、および亜硫酸銀等もハロゲン化銀と同様の粒子形成方法により銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びチオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)を混合することにより調製される。
また、一般に増幅液中の銀イオン濃度が高すぎると、増幅液中で銀イオンが還元されてしまうので、それを防ぐ為に錯化剤を用いて銀イオンが錯体を形成するようにしてもよい。このような錯化剤としては、グリシン、ヒスチジンのようなアミノ酸及び複素環式塩基や、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、プリン、ピリジン、アミノピリジン、ニコチンアミド、キノリン、その他類似の芳香族複素環式系が知られており、例えばヨーロッパ特許第0293947号中に記載されている。また、錯塩形成剤としては、チオ硫酸塩やチオシアン酸塩なども用いることができる。本発明に用いられる銀錯体の具体例としては、例えば、チオ硫酸塩と銀イオンの錯体、チオシアン酸塩と銀イオンの錯体、またはこれらの複合銀錯体、および、シュガーチオン誘導体と銀イオンの錯体、環状イミド化合物(例えば、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸など)と銀イオンの錯体、1,1−ビススルホニルアルカン類と銀イオンの錯体である。本発明に用いられる好ましい銀錯体は、環状イミド化合物(例えば、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸など)と銀イオンの錯体である。
本発明に用いられる銀錯体は、通常知られている塩形成反応により調製することができる。例えば、水もしくは水混和性溶媒中で水溶性銀供給体(例えば、硝酸銀)と銀錯体に対応する配位子化合物とを混合することにより調製される。調製された銀錯体は、透析法もしくは限外濾過法などの公知の脱塩方法により副成する塩類を除去して用いることが出来る。
無機銀塩、もしくは銀錯体は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.01モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
また、無機銀塩または銀錯体を使用する場合は、無機銀塩もしくは銀錯体の溶剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる溶剤としては、上記の銀錯体の項で説明した銀錯体を形成する配位子として用いられる化合物が好ましく用いられる。例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、シュガーチオン誘導体、環状イミド化合物、および1,1−ビススルホニルアルカン類糖である。本発明に用いられる溶剤として、より好ましくは、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸などの環状イミド化合物である。本発明に用いられる溶剤は、銀イオンに対してモル比で0.1モル〜10モルの範囲で好ましく用いられる。
9.銀のための還元剤
銀イオンのための還元剤は、銀(I)イオンを銀に還元することができる無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元
性金属塩、還元性金属錯塩が知られており、本発明に用いることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe+2を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。
本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
また、湿式のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる現像主薬(例えばメチル没食子酸塩、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、3−ピラゾリドン類、p−アミノフェノール類、p−フェニレンジアミン類、ヒンダードフェノール類、アミドキシム類、アジン類、カテコール類、ピロガロール類、アスコルビン酸(またはその誘導体)、およびロイコ色素類)、および本分野での技術に熟練しているものにとって明らかなその他の材料は、たとえば米国特許第6,020,117号(バウアーほか)で記述されるように、本発明において用いることができる。
「アスコルビン酸還元剤」はアスコルビン酸、その誘導体との複合体を意味する。アスコルビン酸還元剤は下記のように多くの文献において記載されており、例えば米国特許第5,236,816号(Purolほか)とその中で引用されている文献が挙げられる。
本発明における還元剤として、アスコルビン酸還元剤が好ましい。有用なアスコルビン酸還元剤は、アスコルビン酸と類似物、異性体とその誘導体を含む。そのような化合物は含む以下にあげるものであるが、これらに限定されるわけではない。
D−またはL−アスコルビン酸とその糖誘導体(例えばγ−ラクトアスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸)、アスコルビン酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のカリウム塩、イソアスコルビン酸(またはL−エリスロアスコルビン酸)、その塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩または当技術分野において知られている塩)、エンジオールタイプのアスコルビン酸、エナミノールタイプのアスコルビン酸、チオエノ−ルタイプのアスコルビン酸)、たとえば米国特許第5,498,511、EP−A−0585,792、EP−A−0573700、EP−A−0588408、米国特許第5,089,819、米国特許第5,278,035、米国特許第5,384,232、米国特許第5,376,510、JP7−56286、米国特許第2,688,549、およびReseach Disclosure37152(1995年3月)に記載されているような化合物。
これらの化合物のうち、好ましくは、D、LまたはD,L−アスコルビン酸(そして、そのアルカリ金属塩)若しくはイソアスコルビン酸(またはそのアルカリ金属塩)であり、ナトリウム塩が好ましい塩である。必要に応じてこれらの還元剤の混合物を用いることができる。
ヒンダードフェノール類も単独で、または一つ以上の硬調化還元剤とコントラスト強化剤と組み合わせて好ましく用いられる。
ヒンダードフェノールは、ベンゼン環上に一つだけの水酸基を有し、少なくとも一つの置換基を水酸基に対してオルト位に有する化合物である。ヒンダードフェノール還元剤は複数の水酸基を別々のベンゼン環に持っていれば、複数の水酸基を有していて構わない。
ヒンダードフェノール還元剤は、たとえば、ビナフトール類(すなわちジヒドロキシビナフトール類)、ビフェノール類(すなわちジヒドロキシビフェノール類)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン類、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン類(すなわちビスフェノール類)、ヒンダ−ドフェノール類、およびヒンダードナフトール類が挙げられ、これらは置換されていて構わない。
代表的なビナフトール類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1’−ビ−4−メチル−2−ナフトール、および米国特許第3,094,417号と米国特許第5,262,295号に記載されている化合物。
代表的なビフェノール類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4−メチル−6−n−ヘキシルフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なビス(ヒドロキシナフチル)メタン類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
4,4’−メチレンビス(2−メチル−1−ナフト−ル)、米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なビス(ヒドロキシフェニル)メタン類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(CAO−5)、1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(NONOXまたはPERMANAX WSO)、1,1’−ビス(3,5−di−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4’−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノ−ル)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノ−ル)(LOWINOX 221B46)、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なヒンダードフェノールは以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジメチルフェノール、および2−t−ブチル−6−メチルフェノール。
代表的なヒンダードナフトールは以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
1−ナフトール、4−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
その他、下記の化合物の還元剤として開示されている。
アミドキシム類(例えばフェニルアミドキシム)、2−チエニルアミドキシム、p−フェノキシフェニルアミドキシム、脂肪族カルボン酸アリルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ(例えば2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオニル−β−フェニルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ)、ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトンおよびヒドラジンの少なくとも一方の組み合わせ(たとえばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミンの組み合わせ)、ピペリジ−4−メチルフェニルヒドラジン、ヒドロキサム酸(例えばフェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸、およびo−アラニンヒドロキサム酸)、アジンとスルホンアミドフェノール類の組合せ(たとえばフェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール)、α−シアノフェニル酢酸誘導体(例えばエチル−α−シアノ−2−メチルフェニル酢酸、エチル−α−シアノフェニル酢酸)、ビス−o−ナフトール(例えば2,2’−ジヒドロキシ−1−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン)、
ビス−ナフト−ルと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ(例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン)、5−ピラゾロン(例えば3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン)、レダクトン類(例えばジメチルアミノヘキソ−スレダクトン、アンヒドロジヒドロ−アミノヘキソ−スレダクトン、またはアンヒドロジヒドロ−ピペリドン−ヘキソースレダクトン)、インダン−1,3−ジオン類(例えば2−フェニルインダン−1,3−ジオン)、クロマン類(例えば2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン)、1,4−ジヒドロキシピリジン類(例えば2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルベトキシ−1,4−ジヒドロピリジン)、アスコルビン酸誘導体(1−アスコルビン酸パルミテ−ト、アスコルビン酸ステアレ−ト)、不飽和アルデヒド(ケトン)、3−ピラゾリドン類。
本発明に用いることのできる還元剤として、米国特許第5,464,738に記載されるようなスルホニルヒドラジンを含む置換ヒドラジンがある。この他の有用な還元剤は、例えば、米国特許第3,074,809、米国特許第3,094,417、米国特許第3,080,254および米国特許第3,887,417に記載されている。米国特許第5,981,151に記載の補助還元剤もまた有用である。
還元剤として、ヒンダードフェノール還元剤とその他以下に挙げるような様々な補助還元剤から選ばれる化合物と組み合わせて用いられる場合もある。さらにコントラスト強化剤を加えた3成分の還元剤の混合物もまた有用である。補助還元剤としては米国特許第5,496,695に記載のトリチルヒドラジド、ホルミル−フェニルヒドラジドを用いることができる。
コントラスト強化剤を還元剤とともに用いることができる。コントラスト強化剤としては例えば、下記の化合物が有用であるが、これらに限定されるわけではない。
ヒドロキシルアミン(ヒドロキシルアミンとアルキルとアリ−ル置換誘導体を含む)、米国特許第5,545,505に記載のアルカノールアミンとフタル酸アンモニウム、米国特許第5,545,507に記載のヒドロキサム酸化合物、米国特許第5,558,983に記載のN−アシルヒドラジン化合物、米国特許第5,637,449に記載の水素原子ドナー化合物。
全ての還元剤と有機銀塩の組み合わせが等しく効果があるわけではない。好ましい組合せの一つは、有機銀塩としてベントリアゾ−ルの銀塩又はその置換化合物、又はその混合物と、還元剤としてアスコルビン酸型還元剤である。
本発明における還元剤は、有機銀中の銀に対して1質量%〜10質量%(乾燥質量)含まれる。多層構造において、還元剤が有機銀塩を含む層以外の層に加えられるならば、わずかに割合は高く、およそ2質量%〜15質量%がより望ましい。補助還元剤は、およそ0.001質量%〜1.5質量%(乾燥重)含まれる。
10.その他の助剤
増幅液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらのどれかの塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅液に最適なpHに調整することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(1)インフルエンザA型/B型検出イムノクロマトキットの作成
(1-1)抗インフルエンザA型/B型抗体修飾金コロイドの作成
(1-1-1)抗インフルエンザA型抗体修飾金コロイドの作成
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 7.5)1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、90 μg / mLの抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA, 0.1 % NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
(1-1-2)抗インフルエンザB型抗体修飾金コロイドの作成
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 8.0 )1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、80 μg / mLの抗インフルエンザB型モノクローナル抗体(MONOTOPE aby Influenza B Virus (nuclear) Purified 1131、ViroStat, Inc.)溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA, 0.1 % NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
(1-2)金コロイド抗体保持パットの作成
(1-1)で作成したインフルエンザA型、B型抗体修飾金コロイドを、ODの比で1:1となるように混合し、金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)及び水により希釈し、520 nmのODが3.0となるように希釈した。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
(1-3)抗体固定化メンブレン(クロマトグラフ担体)の作成
25 mm×200 mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF120、ミリポア社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から7 mmの位置に、1.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)溶液をインクジェット方式の塗布機(BioDot社)を用いて幅0.7mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から10 mmの位置に、1.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザB型モノクローナル抗体(MONOTOPE aby Influenza B Virus (nuclear) Purified 1131、ViroStat, Inc.)溶液を幅0.7mm程度のライン状に塗布した。さらに同様に、下から13 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロースおよび0.05 w%コール酸ナトリウムを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.5)バッファー)500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンとした。
(1-4)イムノクロマトグラフキットの組み立て
バック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、(1-3)で作成した抗体固定化メンブレンを貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、抗インフルエンザA型抗体ライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2 mm重なるように2で作成した金コロイド抗体保持パッドを貼り付け、約4 mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5 mm重なるように吸収パッド(80 mm×150 mmに切ったセルロース・グラス膜(CF6、ワットマン社))を重ねて貼り付けた。
これら重ね張り合わせた部材(イムノクロマト本体部材)を、部材の長辺側を5 mm幅になるように短辺に平行にギロチン式カッター(CM4000、ニップンテクノクラスタ社)切断していくことで、5 mm×55 mmのイムノクロマト用ストリップを作成した。これらを試験用イムノクロマトキットとした。
(1-5)洗浄液
(1-5-1)洗浄液の作成(比較例1、実施例2〜5)
PBSバッファー(和光純薬)に1重量%のBSA(シグマ社)を溶解した1%BSA入りPBSバッファーを洗浄液とした。
(1-5-2)洗浄液の作成(実施例6)
(1-6-1-1)で示す増幅液A-1を洗浄液として用いた。
(1-6)銀増幅液の作成
(1-6-1)増幅液Aの作成
(1-6-1-1)増幅液A-1の作成
水325gに、硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬、095-00995)を水に溶解して作成した1mol/Lの硝酸鉄水溶液40mL、クエン酸(和光純薬、038-06925)10.5g、ドデシルアミン(和光純薬、123-00246)0.1g、界面活性剤C919-C64-O-(CH2CH2O)50H 0.44gを溶解させる。全て溶解したら、スターラーで攪拌しながら硝酸(10重量%,)を40mL加える。この溶液80mLを測りとり、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(和光純薬、091-00855)を11.76g加えこれを増幅液A-1とした。
(1-6-1-2)増幅液A-2の作成
硝酸銀溶液10mL(10gの硝酸銀を含む)に水を加えて全体量が100gとなるようにし、増幅液A-2(10重量%硝酸銀水溶液)を作成した。
(1-6-1-3)増幅液Aの作成
増幅液A-1 40mLを測りとり、増幅液A-2を4.25mL加え攪拌し、増幅液Aとした。
(2)評価
本実験において、洗浄時の洗浄液入れ物の形状に依存する液面の高さ、及びイムノクロマトグラフキットの試料添加パッドの形状・材質、実験環境(温度、湿度)、吸収パットの材質・厚み、吸収パットとニトロセルロースメンブレンとの接合、などは洗浄液の吸水スピード・量を変化させる要因であり、実験において、一定に保つことが必要である。この洗浄液の吸水スピード・量は、最終的な洗浄の効果(金微粒子の残存量の減少)を左右する要因である。今回の実験は、気温22±3℃、湿度50±15%にて行った。
<比較例1>洗浄をしないで増幅
(2-1)検体液の点着
検体液として、クイックS-インフルA・B「生研」陰性/陽性コントロール(品番322968、デンカ生研)を使用した。1質量%BSAを含むPBSバッファーでこの陽性コントロール液を希釈し、市販イムノクロマト検出キット「キャピリアFluA+B」(アルフレッサファーマ)による検出限界はA型B型とも1/40であった。
本実験では、1質量%BSAを含むPBSバッファーで、この陽性コントロールを希釈し、1/2、1/5、1/10、1/20、1/40、1/80、1/160、1/320に希釈したもの、及び抗原無しとして1質量%BSAを含むPBSバッファーを検体液として用いた。
(1-4)で作成した試験用イムノクロマトグラフキットの試料添加パットに、検体液を100μL滴下し、10分静置した。
(2-2)増幅、検体の最小検出感度
(2-1)のメンブレンをケースから取り出し、試料添加パット、吸収パットをはずした。吸水パットを取り除き、新たな吸水パットとして5×20mm(CF6、ワットマン社)を取り除いた場所にセロハンテープで付けた。また、サンプルパットが付いていた端側のハ゛ッキンク゛シートをメンブレンとの境目の位置で切断して余分なハ゛ッキンク゛シートを切り落とし、増幅液Aを200μL入れたマイクロチューブ(ビーエム機器株式会社、BM4020)に検体滴下部が液に漬かるように立てかけた。増幅液を吸い上げ、検出ラインに増幅液が到達した時点を0分とし、2分経過したらこのメンブレンを取り出した。このとき検出ラインを目視した際の着色度合いを判定し、はっきりと着色がある「+++」、着色がある「++」、薄い着色がある「+」、着色がない「−」、の4段階で判別した。
最も薄い濃度で判別できた濃度(「+」判定)を、そのキットで増幅した際の最小検出感度とし、表1に示した。
(2-3)増幅後の粒子の形状観察
試料裏面をカーボンペーストで試料台に取り付けた後、カーボン蒸着し、日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500で、加速電圧10KVで反射電子による試料表面の観察をSEMで行った。その後、増幅後の粒子を100粒子選び、粒子の投影面積の円相当直径を測定し、平均値を算出した。
(2-4)バックグランド非特異残存金量の測定
(2-1)のメンブレンのバックグランド部分(2本の検出ラインの間の部分2mm×5mm)を剃刀により長方形に切り出し、そのメンブレン断片を王水に浸漬し、金を抽出した後、その抽出液中の金量をHRICP−MSを用いて定量し、増幅液送液後のバックグランド残存金量とした。使用した直径50nm金微粒子の体積と金の密度より、50nm金微粒子の質量を1.25×10-15g/個と見積もって、求めたバックグランド残存金量を個数に換算し、切り出したメンブレンの面積(mm2)で除することで、単位面積当たりのバックグランド残存金量(個/mm2)を算出した。結果は2回の測定の平均から求めた。
<比較例2>不十分な洗浄で増幅
(2-5)検体液の点着
検体液を100μL滴下した後の、静置時間を9分としたこと以外は(2-1)と同様に行った。
(2-6)洗浄液による洗浄(0度方向からの洗浄)
このメンブレンをケースから取り出し、吸収パッドをはずし、取り外した場所に重なるように吸水用パット(100mm×5mmに切ったセルロースメンブレン(CF6、ワットマン社)に80mm×5mmに切ったバック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)を貼ったもの)をテーフ゜で取り付けた。洗浄液を700μL入れたマイクロチューブ(ビーエム機器株式会社、BM4020)に検体滴下部が液に漬かるように立てかけ、このまま1分間洗浄した。
(2-7)増幅、検体の最小検出感度
(2-2)と同様に増幅を行い、検体の最小検出感度を求めた。
(2-8)増幅後の粒子の形状観察、バックグランド非特異残存金量の測定
(2-3)、(2-4)と同様に増幅後の粒子の形状観察、洗浄後のバックグランド非特異残存金量の測定を行った。
<実施例1>0度洗浄、2分
(2-5)において、検体液を100μL滴下した後の、静置時間を8分としたこと、(2-6)おいて、洗浄時間を2分としたこと以外は<比較例2>と同様に行った。
<実施例2>0度洗浄、3分
(2-5)において、検体液を100μL滴下した後の、静置時間を7分としたこと、(2-6)おいて、洗浄時間を3分としたこと以外は<比較例2>と同様に行った。
<実施例3>180度洗浄、1分
(2-9)洗浄液による洗浄(180度方向からの洗浄)
このメンブレンをケースから取り出し、試料添加パット、吸収パッドをはずし、試料添加パットを取り外した場所に重なるように吸水用パット(100mm×5mmに切ったセルロースメンブレン(CF6、ワットマン社)に80mm×5mmに切ったバック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)を貼ったもの)をテーフ゜で取り付けた。吸収パッドをはずした場所に重なるように、洗浄液添加用パット(18 mm×5mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)に13mm×5mmのバック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)を貼ったもの)をテーフ゜で取り付けた。洗浄液を700μL入れたマイクロチューブ(ビーエム機器株式会社、BM4020)に検体滴下部が液に漬かるように立てかけ、このまま1分間洗浄した。
その他に関しては比較例2と同様に実験を行った。
<実施例4>180度洗浄、2分
検体液を100μL滴下した後の、静置時間を8分としたこと、洗浄時間を2分としたこと以外は<実施例3>と同様に行った。
<実施例5>180度洗浄、3分
検体液を100μL滴下した後の、静置時間を7分としたこと、洗浄時間を2分としたこと以外は<実施例3>と同様に行った。
<実施例6>180度洗浄、3分、増幅液A-1による洗浄
洗浄液を(1-5-2)で示した増幅液A-1に変更したこと以外は実施例5と同様に行った。
<結果>
バックグランドの金量5×105個/mm2とした実施例1、3の場合、比較例とアッセイ時間は一緒で、感度が最大4倍向上した。
バックグランドの金量3×105個/mm2とした実施例2の場合、感度が最大8倍上昇した。
バックグランドの金量1×105個/mm2以下とした実施例4,5の場合、感度が最大16倍上昇した。洗浄液を増幅液A-1とし洗浄し、バックグランド金量を7×105個/mm2とした実施例5においても同様の感度であった。
Figure 0005091009
イムノクロマトグラフキットの一態様を模式的に示す平面図である。 図1で示されたイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。 本発明で用いることができるイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。
符号の説明
1:バック粘着シート
2:金コロイド抗体保持パッド
3:抗体固定化メンブレン
3a: 捕捉部位
31:検出部
32:コントロール部
4:吸収パッド
5:試料添加パッド
6:増感シート
10:イムノクロマトグラフキット

Claims (7)

  1. 被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した金属を含む標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で不溶性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の結合物質を有する不溶性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法において、
    (1)該被験物質を展開する工程;
    (2)洗浄液を送液することによって、不溶性担体上の反応部位に特異的な結合により捕捉した標識物質以外を送液により洗浄し、反応部位に隣接する非反応部位に残存する該標識物質が平均5×105個/mm2以下となるようにする工程;及び
    (3)銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増感する工程:
    を含み、
    増幅液が2価の鉄イオンを含み、検出時に平均粒子サイズが1μm以上20μm以下のサイズを有する標識物質を検出する、イムノクロマトグラフ方法。
  2. 反応部位に隣接する非反応部位に残存する該標識物質が平均3×105個/mm2以下となるようにする、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  3. 反応部位に隣接する非反応部位に残存する該標識物質が平均1×105個/mm2以下となるようにする、請求項1又は2に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  4. 該不溶性担体が多孔性担体である、請求項1から3の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
  5. 該標識物質が金属コロイドである、請求項1から4の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
  6. 該金属コロイドが金コロイドである、請求項1から5の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
  7. 銀イオンのための還元剤が、硝酸鉄(III)水溶液にクエン酸、硝酸、及び硫酸アンモニウム鉄(II)水和物を加えて調製したものである、請求項1から6の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
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