この発明に係るカバー装着体の製造装置及び製造方法によって製造されるカバー装着体は、長尺状の被カバー部材における所定の外周又は端部にカバー部材を装着して成る。このようなカバー装着体として、例えば、ネックレス、ブレスレット及び指輪等の装飾具、紐、ロープ、チェーン、棒状体等の長尺物が挙げられる。前記カバー部材としては、被カバー部材に装着される部材であり、その形状等は被カバー部材が挿入される被カバー部材装着用孔を有していれば特に限定されず、例えば、管体、楕円体、球体等が挙げられる。このようなカバー部材として、例えば、コネクタ、係止片、保護部材等が挙げられる。カバー部材は、弾性を有していてもいなくてもよく、自身の弾性力で被カバー部材に装着されても、接着剤等で被カバー部材に装着されてもよい。被カバー部材に弾性力で装着されるには、通常、カバー部材は被カバー部材の外径よりも小さな内径を有している。
この発明に係るカバー装着体の製造装置及び製造方法においては、一般に、カバー部材を装着しにくい屈曲自在な被カバー部材であっても所望のようにカバー部材を装着することができる。したがって、カバー装着体の基体となる被カバー部材は、棒状体等の屈曲しない長尺部材であってもよく、屈曲自在な長尺部材であってもよい。この被カバー部材は用途等に応じて適宜の外径及び軸線長さに調整される。
この発明に係るカバー装着体の製造装置及び製造方法においては、カバー装着体として、前記装飾具用の長尺体にコネクタが装着されてなる装飾具が好適である。このような装飾具としては、例えば、ネックレス(この発明において磁気ネックレスを含む。)、ブレスレット(この発明において磁気ブレスレットを含む。)、ストラップ、チョーカー等が挙げられる。
前記カバー装着体は、例えば、図7(a)に示されるカバー装着体50のように、カバー部材51の軸線方向略中央まで被カバー部材52が挿入された状態となるように、被カバー部材52にカバー部材51が装着されていてもよく、また、図7(b)に示されるカバー装着体53のように、カバー部材51の軸線方向全体にわたって、別言すると、カバー部材51と被カバー部材52との両端面がほぼ面一になるまで被カバー部材52がカバー部材51に挿入された状態となるように、被カバー部材52にカバー部材51が装着されていてもよい。具体的には、カバー部材51として、一方の端部近傍に連結部等を有するコネクタを用いる場合には、図7(a)に示されるように、前記連結部等(図7において図示しない。)に侵入しない程度まで例えばコネクタの軸線方向略中央まで、被カバー部材52が被カバー部材装着用孔54に挿入されて装着される。このようなカバー装着体の一例として、例えば、図7(a)及び図7(b)に示されるように、被カバー部材52がカバー部材51の軸線方向略中央まで又は軸線方向全体にわたって装着されたネックレス又はブレスレット等が挙げられる。
前記のようなカバー装着体を製造することのできる、この発明に係るカバー装着体の製造方法は、長尺状の被カバー部材にカバー部材を装着してカバー装着体を製造するカバー装着体の製造方法であって、前記カバー部材に形成された被カバー部材装着用孔に規制部材の貫通孔を介して管状部材を挿入する工程と、前記管状部材の軸孔にその先端側から前記被カバー部材を挿入配置する工程と、前記規制部材を相対的に固定して前記管状部材をその基端側に相対的に後退させる工程とを有している。
まず、この発明に係るカバー装着体の製造方法(以下、この発明に係る製造方法と称することがある。)を実施するのに好適に用いられる、この発明に係るカバー装着体の製造装置を、図面を参酌して、説明する。
この発明に係るカバー装着体の製造装置(以下、この発明に係る製造装置と称することがある。)における一実施例のカバー装着体の製造装置は、図1に示される管状部材3及び規制部材5を備えて成る。
前記管状部材3の形状等は管状であれば特に限定されず、例えば、円形断面、楕円形断面又は多角形断面を有する管状部材等が挙げられる。前記管状部材3においては、円形断面を有している。そして、この管状部材3は、図1(a)及び図1(b)に示されるように、略一定の外径となるように一方向に延在して成る管状胴部11と、管状胴部11の端部から連設され、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部12とから構成される。この外径変化部12は、先端に向かって一定の割合で徐々に外径が小さくなる錐台形のテーパ部であってもよく、先端に向かって異なる割合で徐々に外径が小さくなる曲面を有する曲面部であってもよく、この例においては、前記テーパ部とされている。
管状部材3は、図1(a)及び図1(b)に示されるように、前記外径変化部12の先端部すなわち先端面に開口し、前記被カバー部材の外径と略同一又はわずかに大きな略一定の内径を有する軸孔13が、前記管状胴部11及び前記外径変化部12に穿孔されている。すなわち、管状部材3は、管壁の厚さが略一定の管状胴部11と、管壁の厚さが先端に向かって徐々に薄くなる外径変化部12とを有し、前記軸孔13が軸線方向に貫通して成る。この軸孔13は、前記被カバー部材の一部又は全部を挿入可能又は挿通可能になっている。
この管状部材3は、このように外径変化部12の先端面に開口する軸孔13を有することを特徴の1つとし、それ故、管状部材3は外径変化部12が先端部となり、外径変化部12よりも先端側に他の要素、例えば、外径変化部12よりも外径の小さな所謂「小径部」等を有していない。
前記管状胴部11は、前記カバー部材を外装可能な外径であって前記被カバー部材の外径よりも大きな外径を有している。前記外径変化部12は、その先端部の最小外径すなわち前記先端面の外径がカバー部材の被カバー部材装着用孔54の内径と略同一又はそれよりも小さく、その管状胴部11側の最大外径が管状胴部11の外径と同一の外径を有している。
管状部材3は、後述する規制部材5の貫通孔22に挿通されたときに、前記カバー部材を外装可能な軸線長さを有していればよく、例えば、規制部材5の厚さと前記カバー部材の軸線長さとの合計長さと略同一又は長い若しくは短い軸線長さを有している。管状部材3における管状胴部11及び外径変化部12それぞれの軸線長さは、管状部材3が前記軸線長さとなる範囲内で適宜に調整される。なお、外径変化部12の軸線長さが長すぎると、カバー部材を外装したときに、カバー部材における外径変化部12側の被カバー部材装着用孔54が十分に拡径されず、被カバー部材を前記軸孔13に挿入しにくくなることがある。
前記規制部材5は、図1(c)に示されるように、カバー部材に当接する当接部21、及び、管状部材3が挿通される、当接部21に開口する貫通孔22を有している。規制部材5は、当接部21及び貫通孔22を有していればその形状は特に限定されず、例えば、図1(c)に示される板状、ブロック状、棒状、柱状等の形状が挙げられる。この規制部材5は、図1(c)に示されるように、平坦な板状部材であり、この板状部材に穿孔された貫通孔22と、板状部材の一方の表面であって貫通孔22の開口部を囲繞する当接部21とを有している。規制部材5の厚さは、前記管状部材3の軸線長さ、カバー部材の軸線長さ等に応じて、適宜の厚さに調整される。前記貫通孔22は前記管状部材3が挿通可能でかつカバー部材の端面が当接部21に当接可能な径に調整されている。
前記管状部材3及び前記規制部材5は、ある程度の強度を有する材料で形成されていればよく、このような材料として、各種樹脂、各種金属等が挙げられる。前記各部材は、成形、圧延、研削等の公知の方法で、作製されることができる。
この発明に係る製造装置における管状部材は、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、図2(a)及び図2(b)に示される管状部材4が挙げられる。
この管状部材4は、図2(a)及び図2(b)に示されるように、軸孔15が管状胴部14の軸線方向略中央部まで形成された有底孔であり、管状胴部14の基端側すなわち外径変化部12に対して反対側の端部に、半径方向に突出する被係止部16を有していること以外は、前記管状部材3と基本的に同様である。すなわち、管状部材4は、略一定の外径となるように一方向に延在して成る管状胴部14と、管状胴部14の一方の端部から連設され、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部12と、管状胴部14の他方の端部に設けられ、半径方向に突出する被係止部16とから構成されている。
この被係止部16は、管状胴部14の外周面から、規制部材5に穿孔された貫通孔22の開口径よりも長くなるように、半径方向に突出した形状であればよく、例えば、図2(b)に示されるように周方向に一巡する円盤状を成すフランジ、間隔をおいて周方向に配列された複数の扇状突出部、前記半径方向に突出する棒状体等が挙げられる。この被係止部16は、規制部材5の係止部23(図1に図示しない。例えば図3参照。)に係止される。前記軸孔15は、カバー部材への被カバー部材の挿入量に対応する深さを有する有底孔であること以外は、前記軸孔13と基本的に同様である。
この管状部材4を用いる場合には、図3に示されるように、前記規制部材5である前記板状部材の他方の表面であって貫通孔22の開口部を囲繞する面が管状部材4の被係止部16を係止する係止部23となる。
このような管状部材4を用いると、前記被係止部16及び係止部23によって、管状部材4のカバー部材への挿入量すなわち規制部材5からの管状部材4の突出量が規制され、その結果、前記軸孔15の底部の軸線位置も固定されるから、軸孔15に挿入される被カバー部材が軸線方向に正確に位置決めされる。その結果、この発明に係る製造装置が前記管状部材4と規制部材5とを備えて成ると、被カバー部材の所定の位置にカバー部材を装着することができ、製造されるカバー装着体の品質を一様にすることができる。したがって、簡易な製造方法であるにもかかわらず、同等の品質を有するカバー装着体を歩留まりよく製造することができる。
この発明に係る製造装置は、前記管状部材3及び前記規制部材5に加えて、例えば図3に示されるように、管状部材3の軸孔15に挿入された被カバー部材を保持する保持部材を備えているのが好ましい。この保持部材は、被カバー部材を支持し、少なくともその軸線方向の変位を規制することのできる部材であればよく、例えば、図3及び図4(b)に示されるように、被カバー部材を半径方向から挟持するクランプ等の挟持具6、被カバー部材よりもわずかに小さな径を有するリング状部材等が挙げられる。
この発明に係る製造装置は、前記管状部材3及び前記規制部材5に加えて、例えば図3に示されるように、前記被カバー部材装着用孔54に管状部材3を挿入する際に、カバー部材を管状部材3に向けて押圧又は規制する第1押圧部材7を備えていてもよい。このような第1押圧部材7は、カバー部材の端面に当接する平坦な当接面を有していればよく、例えば、板状、ブロック状、棒状、柱状等の形状が挙げられる。なお、第1押圧部材は、カバー部材の外周を覆うように有底の円筒状をなしていると、押圧されたカバー部材の変形を抑えることができる。第1押圧部材7は、例えばモータ、シリンダー等の駆動手段に連結され、前記管状部材3に向けて前後進可能に構成されていてもよい。
この発明に係る製造装置は、前記管状部材3及び前記規制部材5に加えて、例えば図3に示されるように、前記被カバー部材装着用孔54に管状部材3を挿入する際に、管状部材3をカバー部材に向けて押圧又は規制する第2押圧部材8を備えていてもよい。このような第2押圧部材8は、管状部材3の基端面に当接する平坦な当接面を有する部材、管状部材3が立設形成された部材等が挙げられる。これらの部材は、例えば、板状、ブロック状、棒状、柱状等の形状を有している。この第2押圧部材は、例えばモータ、シリンダー等の駆動手段に連結され、前記カバー部材に向けて前後進可能に構成されていてもよい。
この発明に係る製造装置は、管状部材と規制部材とを備えていればよく、その一例である製造装置(以下、この発明に係る製造装置と称する。)1を、図3を参照して、説明する。
この製造装置1は、図3に示されるように、前記管状部材4の軸線Cに沿って前後進可能に構成された基板である第2押圧部材8に立設された前記管状部材4と、前記第2押圧部材8に対して前記管状部材4の先端方向に配置された板状の前記規制部材5と、前記軸線C方向の前方延長線上であって前記規制部材5よりも前方に配置されると共に、前記軸線C方向に対して垂直方向に移動可能に構成された略四角柱状を成す第1押圧部材7と、前記軸線C方向の前方延長線上であって前記第1押圧部材7よりも前方に配置された保持部材6とを備えている。前記第1押圧部材7及び前記第2押圧部材8は、それぞれ独立に前記軸線方向Cに前後進可能に、図示しない駆動手段例えばモータ、シリンダー等にそれぞれ接続され、これらの駆動時期及び駆動速度等は、コンピュータ等の制御装置によって制御されてもよく、また、手動で制御されてもよい。なお、前記規制部材5は、前記軸線Cに沿って前後進可能に構成されていてもいなくてもよい。
前記構成を有する製造装置1は、規制部材5に対して、管状部材4が第2押圧部材8によって前記軸線C方向に相対的に前後進可能になっており、後述するこの発明に係る製造方法を実施する工程に用いられる。
以下に、前記製造装置1を用いた、この発明に係る製造方法の一例(以下、この発明に係る一製造方法を称することがある。)を説明する。図3〜図6において、便宜上、前記管状部材4の外径変化部12側の延長方向を上方又は先端方向、被係止部16側の延長方向を下方又は後端方向と称する。
この発明に係る一製造方法においては、まず、製造装置1例えば管状部材4及び規制部材5等を初期状態に配置する。すなわち、図3に示されるように、前記下方から前記上方に向かって順に、第2押圧部材8、管状部材4、規制部材5、第1押圧部材7及び保持部材6を配置する。
この発明に係る一製造方法においては、図4(a)に示されるように、カバー部材51に形成された被カバー部材装着用孔54に規制部材5の貫通孔22を介して管状部材4を挿入する。カバー部材51が管状部材4に外装されると、図4(a)に示されるように、少なくとも被カバー部材装着用孔54が拡径される。このとき、カバー部材51は、管状部材4の外周面を完全に被覆すると共に、拡径されているので管状部材4をその周方向に略均一な軸線Cの中心軸方向への弾力によって押圧して管状部材4に密着した状態にある。この工程は、例えば、図5に示される第1の方法又は図6示される第2の方法を実施することによって、行われる。
第1の方法は、図5に示されるように、製造装置1において、カバー部材51を規制部材5に載置する第1サブ工程と、カバー部材51の自由端すなわち上方側端面に第1押圧部材7を当接する第2サブ工程と、前記規制部材5及び第1押圧部材7に軸線方向から挟まれた状態を維持したまま、前記被カバー部材装着用孔54に管状部材4を挿入する第3サブ工程とを有する。
前記第1サブ工程は、図5(a)に示されるように、規制部材5の貫通孔22とカバー部材51とが軸線を共有するように、この例においては、規制部材5の貫通孔22の軸線とカバー部材51の軸線とが共にほぼ前記軸線C上に位置するように、カバー部材51が規制部材5上に載置される。このとき、カバー部材51の下方側端面は規制部材5の当接部21に当接している。この第1サブ工程は、手動で実施しても、ロボットアーム等のカバー部材取扱機構によって自動で実施してもよい。
前記第2サブ工程は、例えば、図5(b)に示されるように、前記駆動手段によって第1押圧部材7が前記下方に向かって相対的に前進されて実行される。
前記第3サブ工程は、例えば、前記第1押圧部材7及び前記規制部材5が固定され、前記駆動手段によって前記第2押圧部材8が相対的に上方に前進することにより、実施される。このとき、カバー部材51は前記第1押圧部材7によってその軸線C方向すなわち上方に変位することが阻止され、かつ、前記外径変化部12が速やかに被カバー部材装着用孔54に挿入するから、図5(b)に示されるように、管状部材4の進入によってカバー部材51はその被カバー部材装着用孔54及び外径が徐々に拡径される。
このようにして管状部材4の被係止部16が規制部材5の係止部23に当接するまで上方に相対的に前進して、図4(a)に示されるように、被カバー部材装着用孔54に規制部材5の貫通孔22を介して管状部材4が挿入される。
前記第2の方法は、図6に示されるように、製造装置1において、規制部材5の貫通孔22に管状部材4を挿通する第1サブ工程と、前記管状部材4の軸線上に配置されたカバー部材51を、第1押圧部材7で管状部材4に向かって相対的に押進する第2サブ工程とを有する。
前記第1サブ工程は、例えば、図6(a)に示されるように、前記規制部材5が固定され、規制部材5の係止部23に管状部材4の被係止部16が当接するまで、前記駆動手段によって前記第2押圧部材8が相対的に上方に前進することにより、実施される。
前記第2サブ工程は、例えば、図6(b)に示されるように、前記規制部材5及び前記管状部材4が共に固定され、第1押圧部材7が相対的に下方に向かって前進することにより、実施される。このとき、被カバー部材51は速やかに前記外径変化部12に挿入されるから、図6(b)に示されるように、カバー部材51はその被カバー部材装着用孔54及び外径が徐々に拡径される。
このようにしてカバー部材51の下方側端面が規制部材5の当接面21に当接するまで、第1押圧部材7及びカバー部材51が下方に相対的に前進して、図4(a)に示されるように、被カバー部材装着用孔54に規制部材5の貫通孔22を介して管状部材4が挿入される。
この発明に係る一製造方法においては、このようにして被カバー部材装着用孔54に管状部材4を挿入した後に、図4(b)に示されるように、管状部材4の軸孔15にその先端側すなわち上方側から被カバー部材52を挿入配置する。この例においては、図4(b)に示されるように、被カバー部材52を前記先端側から、被カバー部材52の端面が前記軸孔15の底部に当接するまで、挿入して、管状部材4内に挿入配置する。被カバー部材52の挿入配置は、手動で実施しても、ロボットアーム等の被カバー部材取扱機構によって自動で実施されてもよい。このようにして、被カバー部材52を管状部材4に挿入配置すると、製造装置1が前記保持部材6を備えていなくても、被カバー部材52は、前記軸線方向Cへの変位が軸孔15で効果的に規制されると共に、前記軸線方向C以外への変位が管状部材4で規制され、所望の挿入状態となるように保持される。
この発明に係る一製造方法においては、図4(b)に示されるように、好ましくは、被カバー部材52を保持部材6で保持する。このように保持部材6で被カバー部材52を保持すると、前記管状部材4に代えて前記管状部材3を用いても被カバー部材52の前記軸線C方向の変位を規制することができ、製造装置1が前記管状部材4と共にこの保持部材6を備えていると、被カバー部材52の前記軸線方向Cへの変位をきわめて効果的に規制することができる。
この発明に係る一製造方法においては、次いで、図4(c)に示されるように、規制部材5を相対的に固定して管状部材4をその基端側、換言すると、カバー部材51の管状部材4への相対的な外装方向、に相対的に後退させる。この例においては、規制部材5を固定して、第2押圧部材8を前記基端側すなわち下方に向けて後退させる。そうすると、管状部材4は、図4(c)に示されるように、カバー部材51の密着力に反して同方向に向かって後退する。このとき、管状部材4に被覆配置されたカバー部材51はその端部が規制部材5の当接面21に当接しているから、カバー部材51は管状部材4と共に後退することができず、管状部材4に装着された位置に留まる。すなわち、カバー部材51は、管状部材4に挿入された方向と逆方向である上方側に相対的に前進して、管状部材4を通過することはない。
このようにして第2押圧部材8を前記方向に後進させると、被カバー部材52の外径よりも小さな被カバー部材装着用孔54を有するカバー部材51は、管状部材4が後退した部分から弾性力で当初の形状(特に当初の寸法)に復帰しようとするから、図4(c)に示されるように、カバー部材51の内部に配置された被カバー部材52にその周方向に略均一な軸線Cの中心軸方向への弾力によって密着する。引き続き、第2押圧部材8を同方向に向かって後進させると、管状部材4が被カバー部材装着用孔54から脱出して、図7(a)に示されるように、カバー部材51が被カバー部材52に密着した状態に装着される。
このように、この発明に係る一製造方法において、カバー部材51を被カバー部材52に装着させると、カバー部材51は管状部材4を通過することなく、換言すると、管状部材4上を折り返し移動して、被カバー部材52に装着される。このようにして製造されたカバー装着体は、製造装置1から取り出される。カバー装着体の取出工程は、手動で実施しても、ロボットアーム等のカバー装着体取出機構によって自動で実施されてもよい。
この発明に係る一製造方法においては、次いで、図3に示されるように、前記下方から前記上方に向かって順に、第2押圧部材8、管状部材4、規制部材5、第1押圧部材7及び保持部材6が配置され、初期状態に復帰される。
この発明に係る一製造方法においては、このようにして、カバー部材51が被カバー部材52に装着されてなる所望のカバー装着体を製造することができる。複数のカバー装着体を製造するには、図3〜図6に示される一連の工程を繰り返し実施される。
この発明に係る一製造方法においては、被カバー部材装着用孔54に規制部材5の貫通孔22を介して管状部材4を挿入する工程と、管状部材4の軸孔15にその先端側から被カバー部材52を挿入配置する工程と、規制部材5を固定して管状部材4をその基端側に後退させる工程とを有することを特徴の1つとする。また、この発明に係る一製造方法においては、被カバー部材装着用孔54に管状部材4を挿入する工程が被カバー部材52を挿入配置する工程よりも前に実施されることを特徴の1つとする。さらに、この発明に係る一製造方法においては、カバー部材51が管状部材4を通過することなく被カバー部材52に装着されることを特徴の1つとする。そして、この発明に係る一製造方法は、前記特徴を有しているから、簡易かつ安易にカバー部材を被カバー部材に装着することができる。特に、被カバー部材装着用孔54に管状部材4を挿入する工程が被カバー部材52を挿入配置する工程よりも前に実施されるという特徴を有するこの発明に係る一製造方法は、管状部材4を介して配置されたカバー部材51と被カバー部材52との相対的な位置関係をカバー装着体の製造が完了するまで大きく変化させることなく容易に保持することができ、簡易かつ安易な製造方法であるにもかかわらず、高い精度でカバー部材51を被カバー部材52に装着することができる。
さらに、この発明に係る一製造方法においては、被カバー部材装着用孔54に規制部材5の貫通孔22を介して管状部材4を挿入する工程を管状部材4又は第1押圧部材7の前進操作で実施すると共に、規制部材5を固定して管状部材4をその基端側に相対的に後退させる工程を管状部材4の後進操作で実施することができるから、操作者の熟練を要することなく、カバー部材51を所望のように被カバー部材52に装着することができる。特に、管状部材4又は第1押圧部材7の前後操作を駆動手段及び制御手段等の採用により半自動化又は自動化すると、より一層高い精度でカバー部材51を被カバー部材52に装着することができる。さらに、カバー部材51への被カバー部材52の挿入量に対応する深さを有する有底孔である前記軸孔15が形成された管状部材4を用いると、きわめて高い精度でカバー部材51を被カバー部材52に装着することができる。したがって、この発明に係る一製造方法によれば、カバー部材51の挿入長さ、カバー部材51の装着状態等がほぼ同等となる均一な品質を有するカバー装着体を製造することができる。
したがって、この発明に係る製造方法によれば、簡易かつ安易な製造方法であるにもかかわらず、同等の品質を有するカバー装着体を歩留まりよく製造することができる。
なお、管状部材4に代えて管状部材3を用いても、同様に、簡易かつ安易にカバー部材を被カバー部材に装着することができるし、また、簡易かつ安易な製造方法であるにもかかわらず、同等の品質を有するカバー装着体を歩留まりよく製造することができることは当業者において明らかである。
また、この発明に係る一製造方法は、カバー部材51を管状部材4の軸線方向に通過させる必要はなく管状部材4を相対的に後退させるだけで、カバー部材51を被カバー部材52に装着することができるから、カバー装着体の製造に要する時間を大幅に短縮することができる。
一方、前記製造装置1は、管状部材4及び規制部材5を備えて成るから、この発明に係る製造方法を実施するのに好適に用いられ、管状部材4の相対的な前後進によってカバー部材51が管状部材4を通過することなく被カバー部材52に装着されることができる。したがって、この製造装置1によれば、被カバー部材にカバー部材を装着して成るカバー装着体を簡易かつ容易に製造することができる。また、この製造装置1によれば、同等の品質を有するカバー装着体を簡易かつ歩留まりよく製造することができる。
前記製造装置1は、カバー部材51を被カバー部材52に装着するに当って、カバー部材51を管状部材4の軸線方向に通過させることなく、管状部材4を相対的に後退させるように構成されているから、カバー装着体の製造に要する時間を大幅に短縮することができる。
なお、管状部材4に代えて管状部材3を用いても、同様に、被カバー部材にカバー部材を装着して成るカバー装着体を簡易かつ容易に製造することができるし、また、同等の品質を有するカバー装着体を簡易かつ歩留まりよく製造することができることは当業者において明らかである。
この発明に係るカバー装着体の製造装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
前記製造装置1において、被係止部16を有する管状部材4を備えているが、この発明において、管状部材は、図1に示される管状部材3、被係止部16を有しない管状部材4を備えていてもよい。このような被係止部を有していない管状部材を用いる場合に、被係止部と同様に機能する部材として例えば第2押圧部材の表面等が挙げられる。
前記製造装置1は、カバー部材51の軸線方向の変位を防止可能な管状部材4を備えているが、この発明において、製造装置は、前記管状部材に代えて、例えば、図1に示される管状部材3と、この管状部材3の軸孔13に挿入され、カバー部材の端面に当接する当接部を有する棒状規制部材17(図1(a)において破線で示す。)とを備えていてもよく、また、管状部材3の軸線C方向の中央部近傍に前記軸線Cに向かって突出する突出片若しくは突出ピン等が形成された管状部材を備えていてもよい。この発明に係る製造装置が軸線方向に貫通する軸孔を有する管状部材例えば管状部材3と前記棒状規制部材17とを備えていると、又は、前記突出片又は突出ピン等が形成された管状部材を備えていると、管状部材の軸孔が有底孔でなくてもカバー部材の軸線方向の変位を防止することができる。
前記製造装置1において、第1押圧部材7及び第2押圧部材8それぞれは、図示しない駆動手段に接続されているが、この発明において、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材それぞれは、例えば手動でそれぞれ独立して前後進可能となるように、把持部を備えていてもよい。
前記製造装置1は、前記管状部材4及び前記規制部材5それぞれを1基有しているが、この発明において、前記管状部材及び前記規制部材それぞれは、例えば、一方向に沿う配列パターン又は碁盤目状等の二次元の配列パターン等に配列された複数基を備えていてもよく、また、前記管状部材は前記パターンで複数基を備え、前記規制部材は所定パターンで複数の貫通孔が形成された一枚の板状部材等を備えていてもよい。例えば、図3は、前記管状部材4及び前記規制部材5それぞれを1基備えて成る、この発明に係るカバー装着体の製造方法を説明する図であるが、図4は、前記管状部材4及び前記規制部材5それぞれ3基が一列に配置された製造装置であって時間差をもって各工程を実施しているとみることもできる。
前記製造装置1は、前記規制部材5を不動とし、前記管状部材4、前記第1押圧部材7及び前記第2押圧部材8を前後進可能に構成しているが、この発明において、製造装置は、規制部材及び前記第1押圧部材を前後進可能に構成し、前記管状部材及び前記第2押圧部材を不動となるように構成されても、前記管状部材、前記規制部材、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材それぞれを前後進可能に構成してもよい。
前記製造装置1は、図3に示されるように、前記第1押圧部材7を備えているが、この発明において、第1押圧部材は、カバー部材を管状部材側に相対的に押圧することができる態様であればよく、例えば、特許文献1の図9に示される「ペンチ6」、特許文献1の図30等に示される「保持部材26」等を用いることができる。
この発明に係るカバー装着体の製造方法は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
前記した、この発明に係る一製造方法においては、前記規制部材5を不動とし、前記管状部材4、前記第1押圧部材7及び前記第2押圧部材8を前後進させているが、この発明においては、規制部材及び前記第1押圧部材を前後進させ、前記管状部材及び前記第2押圧部材を不動としても、前記管状部材、前記規制部材、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材それぞれを前後進させてよい。
また、この発明に係る製造方法においては、前記した管状案内部材を用いてもよく、また、前記管状部材4に代えて、例えば、図1に示される管状部材3と前記棒状規制部材17とを用いてもよい。