JP5409119B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、標準印字解像度から高印字解像度までの印刷字が可能で、長期の使用に耐える高耐久な電子写真方式の画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置(以下「電子写真装置」ともいう)は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
電子写真装置では、以下のような電子写真プロセスを経て画像が形成される。
まず、装置に備わる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)の感光層を帯電器によって所定の電位に一様に帯電させた後、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザー光などの光によって露光して静電潜像を形成する。次いで、形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーと呼ばれる着色された微粒子を付着させることによって静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。次いで、形成されたトナー画像を転写手段によって感光体の表面から記録紙などの転写材上に転写し定着手段によって定着させて、転写材に所望の画像を形成する。
転写手段による転写動作の際には、感光体表面上のすべてのトナーが記録紙に転写して移行されるのではなく、一部が感光体表面に残留する。また、転写時に感光体と接触する記録紙の紙粉が感光体表面に付着したまま残留することもある。このような感光体表面の残留トナーおよび付着紙粉などの異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。
また、近年ではクリーナーレス化技術が進み、独立したクリーニング手段を有することなく現像手段に付加されるクリーニング機能(現像兼クリーニングシステム)によって残留トナーを回収(除去)することもある。このようにして感光体表面をクリーニングした後、除電器などによって感光層表面を除電し、静電潜像を消失させる。
このような電子写真プロセスに用いられる感光体は、導電性支持体上に光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成され、無機系光導電性材料を主成分とする感光層を備える電子写真感光体(以下「無機系感光体」ともいう)および有機系光導電性材料、すなわち有機光導電体(Organic Photoconductor;略称:OPC)を用いた感光体(以下「有機系感光体」ともいう)がある。
しかしながら、無機系感光体に用いられる材料が毒性を有するなどの理由から、現在では、有機光電体を用いた有機系感光体が、感光体の主流を占めてきている。
有機系感光体は、感度、耐久性および使用環境に対する安定性などに若干の問題を有するが、毒性、製造原価および材料設計の自由度、感光層を浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成できるなど、無機系感光体に比べての多くの利点を有している。
このような有機系感光体の構成としては、導電性支持体上に電荷発生物質および電荷輸送物質(「電荷移動物質」ともいう)の双方を結着樹脂(「バインダ樹脂」、「結着剤樹脂」ともいう)に分散させた単層構造、導電性支持体上に電荷発生物質を結着樹脂に分散させた電荷発生層と電荷輸送物質を結着樹脂に分散させた電荷輸送層とをこの順でまたは逆順で形成した積層構造または逆二層型積層構造などの様々な構成が提案されている。これらの中でも、感光層として電荷発生層上に電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体は、電子写真特性および耐久性に優れ、材料選択の自由度の高さから感光体特性を様々に設計できることから広く実用化されている。
他方、露光用光源(単に「露光光源」ともいう)としてレーザーを備えた画像形成装置(「電子写真装置」ともいう)の代表的な例には、レーザープリンターがある。近年では複写機においてもデジタル化が進み、露光用光源にレーザーを用いることが一般的になってきた。
露光用光源のレーザーとしては、低コストで消費エネルギーが少なく、軽量小型である半導体レーザーが実用化されており、発振波長や出力の安定性、寿命の点において800nm付近の近赤外領域に発振波長を有するレーザーが一般であった。これは短波長で発振するレーザーが技術的な問題から実用化には到っていなかったためである。
このことから、露光用光源としてレーザーを備えた画像形成装置に用いられる感光体の感光層を構成する電荷発生物質としては、長波長領域の光を吸収して感度を有する有機化合物、特にフタロシアニン顔料が開発されてきた。
1990年に青色発光ダイオードの製造方法(特許文献1:特許第2628404号公報参照)が発明されて以降、青色半導体レーザーの関連技術は活発に開発が進められ、ブルーレイディスクと呼ばれる次世代ディスクが急速に普及しつつある。
その一方で、近年、画像形成装置の出力画像の画質向上を図るために、高精細画像化、すなわち、画質の高解像度化が検討されている。
記録密度の高い、高解像度の画質を達成するひとつの手段として、レーザービームのスポット径を絞り、書込み密度を高める、光学的な方法が挙げられる。
そこで使用するレンズの焦点距離を短くすればよいが光学系の設計上の難しさに加え、800nm付近の近赤外域に発振波長を持つレーザーでは、光学系の操作でビーム径を細くしてもスポット輪郭の鮮明さが得られ難いという問題がある。その原因はレーザー光の回折限界にあり、これは避けることのできない現象である。
一般に感光体の表面に収束されるレーザー光(レーザービーム)のスポット径Dは、レーザービームの波長(レーザー光の発振波長)をλ、レンズ開口数をNAとしたとき、次式で表される。
D=1.22λ/NA
この式によれば、スポット径Dはレーザー光の発振波長に比例するので、スポット径Dを小さくするには発振波長の短いレーザーを用いればよいことが判る。
つまり、現在主流の近赤外半導体レーザーに代えて、青色半導体レーザーを用いれば、さらなる高解像度の画質が実現できることが判る。
しかし、青色半導体レーザーを用いると以下の問題がある。
すなわち、光エネルギーEは
E = h × c/λ
(式中、hはプランク定数、cは光の速度、λは波長を意味する)
で表され、光のエネルギーは波長によって決定される。
上式より、波長が短いとエネルギーが大きくなることは明白であり、また、可視光よりも紫外光は波長が短く高エネルギーであることは周知のことである。
また、電子写真感光体に用いられる電荷発生物質は分子内に共役系構造を有し紫外光を吸収するものが多い。
従って、従来の近赤外半導体レーザー光を用いるデジタル複写機や可視光を用いるアナログ複写機に比べ青色半導体レーザーを用いる画像形成装置用の感光体は強い光エネルギーにさらされて劣化が急速に進むことになる。
このため、高解像度を実現できるものの寿命が短いのが欠点である。
そこで従来の近赤外半導体レーザー光を用いつつ青色半導体レーザーをも用いる提案がなされている。
具体的な事例としては、青色レーザー光による小さいスポット径と近赤外レーザー光による大きなスポット径を重ねて露光することによって低濃度域から高濃度域まで広い濃度調整範囲を実現する方法(特許文献2:特開2008−281963)、
初期は専ら赤色レーザー光を用い、感光体が劣化してきた後半は青色レーザー光を重ねて露光して明部電位を一定に保つ方法(特許文献3:特開2008−281964)等がある。
また、高解像度が必要とされる文書はそれほど多くないことから、通常は近赤外レーザーを用いた従来の解像度での画像形成を行い、高精彩画像が必要とされる場合だけ青色レーザー光を用いた高解像度露光を行うことにより、感光体の劣化を最小限に抑えることができる。
ところが、これらの装置に用いる電子写真感光体は、近赤外領域および紫外領域の双方の領域に感度を有しなければならないという制限がある。
しかしながら、電荷発生物質に用いる有機顔料は構造により吸収波長が様々であり、短波長域(400nm付近)に吸収を有する有機顔料としてはアンサンスロン、ペリレン、ペリノン等が用いられ、赤色(660nm)付近に吸収を有する有機顔料としてはアゾ顔料等が用いられ、また、近赤外域(780nm)付近に吸収を有する有機顔料としてはフタロシアニン顔料が用いられる。
したがって、近赤外領域および紫外領域の2波長の露光に対応するためには、上記の異なる波長領域に吸収を有する有機顔料を混合したり積層構造にしたり適宜組み合わせて用いなければならない。
その機構は以下の通りである。
すなわち、ヘモグロビンやフタロシアニンなどポルフィルン環を有する物質は一般にQ帯という500〜700nm付近の広い吸収帯と、短波長側にソーレー帯という400〜500nm付近の狭い吸収帯を有している。
一般に、Q帯は近赤外レーザー用感光体の電荷発生に用いられている帯域である。
しかしながら、ソーレー帯は帯域が非常に狭く、一方半導体レーザーの波長も半値幅が狭く、この両者を一致させることは極めて困難であるため、これまで商品化されたレーザーの波長域と合致した電荷発生物質、それを含む感光体および画像形成装置は見出されていなかった。
例えば、特許文献4(特開2004−45996)にはソーレー帯に対する光で除電を行う技術が開示されているが、極大吸収波長が350nmであり、青色半導体レーザーの405nmの露光に対しては効率よく電荷発生を行うことができない。
特許第2628404号 特開2008−281963 特開2008−281964 特開2004−45996
このように近赤外領域および紫外領域の2波長露光に対応するには、従来、2種の電荷発生物質を用いなければならなかったが、2種類の電荷発生物質を混合した場合には、異なる電荷発生物質の均一な分散状態を得るための制御が難しく、また、積層した場合には電荷注入の制御が難しいという課題があった。
そこで、本発明は、長期間の繰り返し使用に対しても、機械的な耐久性を有し、かつ高印字解像度の印刷用である画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、電荷発生物質を鋭意探索した結果、特定の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンが、近赤外および紫外領域の波長が異なる2波長の露光のいずれに対しても光線を吸収し、電荷発生物質として機能することを見出し本発明を完成した。より具体的には、本発明者らは、前記特定の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンを含有する電子写真感光体を用いた画像形成装置において、通常は近赤外レーザーを用いた従来の解像度で標準印字解像度の印刷を行い、高精細画像が必要とされる場合だけ青色レーザー光を用い高解像度露光を行い、高印字解像度の印刷することにより、高印字解像度の印刷、すなわち高精細画像形成を可能にし、かつ感光体の長寿命化を可能にする本発明の画像形成装置を完成させるに到った。
しかるに、本発明によれば、像担持体の表面を露光する第1露光手段と、第1露光手段よりも露光スポットサイズが大きく、前記像担持体の表面を露光する第2露光手段とを少なくとも有し、前記第1露光手段の第1波長が、前記第2露光手段の第2波長よりも短い画像形成装置において、前記像担持体が、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層であり、前記電荷発生物質が、分光感度が前記第1波長と前記第2波長の双方に感度を有する単一の電荷発生物質であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記電荷発生物質が、CuKα特性X線(波長:1.5418Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラッグ角(2θ±0.2°)で7.3°、9.4°、9.6°、27.2°に主ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンであって、9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大ピ−クであり、かつ、27.2°のピークが第2の最大ピークである結晶型チタニルフタロシアニンである画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記第1露光手段が、高印字解像度の印刷用である画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記第1露光手段が、波長380〜420nmを有する青色半導体レーザーである画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記第1露光手段が、窒化ガリウム系材料を光源とする画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記第2露光手段が、標準印字解像度の印刷用である画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記第2露光手段が、波長600〜850nmを有する赤色半導体レーザーである画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記第2露光手段が、ガリウム−砒素(Ga−As)系材料を光源とする画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記画像形成装置が、感光体表面の電荷を除去するための光除電手段を有し、該除電手段の波長が600nm〜850nmである画像形成装置が提供される。
本発明によれば、近赤外および紫外領域における波長が異なる2波長露光に対応できる特定の単一の電荷発生物質を選択することにより、電荷発生層における電荷発生物質の分散状態がよく、かつ短波長だけのレーザー露光を用いる場合より、より長寿命で、高精細画像(高分解画像)形成を可能にする感光体を備える画像形成装置が提供される。
また本発明によれば、通常は近赤外レーザーを用いた従来の解像度で標準印字解像度の印刷を行い、高精細画像が必要とされる場合だけ青色レーザー光を用い高解像度露光を行い、高印字解像度の印刷することにより、高印字解像度の印刷、すなわち高精細画像形成を可能にし、かつ感光体の長寿命化を可能にする本発明の画像形成装置が提供される。
本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。 本発明に用いる露光装置の一例を示す模式側面図である。 本発明に用いるチタニルフタロシアニンのX線回析スペクトルを示す図である。 本発明に適用され得る感光体の吸光度特性を示す図である。 比較例2に適用され得る感光体の吸光度特性を示す図である。
本発明で用いられる用語「高印字解像度」とは、いわゆる600dpi×1200dpi、1200dpi×1200dpi、1200dpi×2400dpiまたは2400dpi×2400dpi等の解像度を意味する。
また、本発明で用いられる用語「標準印字解像度」とは、いわゆる600dpi×600dpi等の解像度を意味する。
図1〜4は、いずれも本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1の積層型感光体20aは、導電性支持体13a上に、電荷発生層11aと電荷輸送層12aとがこの順で形成されている。
図2の積層型感光体20bは、導電性支持体13b上に、中間層14bと電荷発生層11bと電荷輸送層12bとがこの順で形成されている。
図3の積層型感光体20cは、導電性支持体13c上に、電荷発生層11cと電荷輸送層12cと保護層15cとがこの順で形成されている。
図4の積層型感光体20dは、導電性支持体13d上に、中間層14dと電荷発生層11dと電荷輸送層12dと保護層15dとがこの順で形成されている。
[導電性支持体13a、13b、13c、13d]
導電性支持体は、積層型感光体の電極としての機能と、支持部材としての機能とを有し、その構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる支持体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の形状は、図1〜4に示すようなシート状および図5に示すような円筒状に限定されず、円柱状、無端ベルト状などであってもよい。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
乱反射処理は、レーザーを露光用光源として用いる電子写真プロセスにおいて本発明による積層型感光体を用いる場合に特に有効である。すなわち、レーザーを露光用光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザー光の波長が揃っているので、感光体の表面で反射されたレーザー光と感光体の内部で反射されたレーザー光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥の発生することがある。そこで、導電性支持体の表面に乱反射処理を施すことにより、波長の揃ったレーザー光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
[電荷発生層11a、11b、11c、11d]
電荷発生層は、波長380〜420nmの光および波長600nm〜850nmの光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を含有することを特徴とする。
すなわち、本発明者らは、近赤外領域と紫外領域の異なる波長の光線を吸収する特定の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンが、近赤外および紫外領域の波長が異なる2波長の露光のいずれに対しても電荷発生物質として機能することを見出した。
さらに詳細に説明すると、電荷発生物質として本発明で用いれるチタニルフタロシアニンは、図7に示すように、CuKα特性X線(波長:1.5418Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラッグ角(2θ±0.2°)で7.3°、9.4°、9.6°、27.2°に主ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンであって、9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大ピ−クであり、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークである結晶型チタニルフタロシアニンが好ましい。
すなわち、本発明者らは、本発明で用いられるチタニルフタロシアニンを含有する感光体は、図8に示すように380〜420nmおよび600〜850nmの異なる領域に光線の吸収帯を有しており、これらの吸収帯と、露光波長とは極めてよく一致していることを見出した。
なお、この吸収帯の位置はフタロシアニンの中心金属や結晶型により様々であり、本発明の結晶型チタニルフタロシアニン以外に、この位置にソーレー帯の吸収帯が存在する物質であれば本発明の画像形成装置に用いることができることは言うまでもない。
電荷発生層は、結着性を向上させる目的でバインダ樹脂を含有していてもよい。
バインダ樹脂としては、当該分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用でき、電荷発生物質との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などが挙げられる。
共重合体樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などが挙げられる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、この分野において一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。
これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
バインダ樹脂の使用割合は、特に限定されないが、電荷発生物質100重量部に対して0.5〜2.0重量部程度である。
電荷発生層は、必要に応じて、ホール輸送物質、電子輸送物質、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散安定剤、増感剤、レベリング剤、可塑剤、無機化合物もしくは有機化合物の微粒子などから選ばれる1種または2種以上を適量含んでもよい。
可塑剤、レベリング剤の配合により、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させることができる。
可塑剤としては、例えばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などが挙げられる。
また、レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
電荷発生層は、公知の乾式法および湿式法により形成することができる。
乾式法としては、例えば、電荷発生物質を導電性支持体上に真空蒸着する方法が挙げられる。
湿式法としては、例えば、電荷発生物質および必要に応じてバインダ樹脂を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体の表面に、または導電性支持体上に形成された中間層の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
電荷発生層用塗布液に使用される溶剤としては、例えばジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。これらの溶剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷発生物質を溶剤中に溶解または分散させる前に、電荷発生物質は、予め粉砕機によって粉砕処理されていてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などが挙げられる。
電荷発生物質を溶剤中に溶解または分散させるために、ペイントシェーカ、ボールミルおよびサンドミルなどの分散機を用いることができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定するのが好ましい。
電荷発生層用塗布液の塗布方法は、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を適宜選択すればよく、例えば、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。
これらの塗布方法の中でも、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体の製造に好適に用いることができる。浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置が設けられていてもよい。
塗膜の乾燥工程における温度は、使用した有機溶剤を除去し得る温度であれば特に限定されないが、50〜140℃が適当であり、80〜130℃が特に好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがある。また、乾燥温度が140℃を超えると、感光体の繰返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化するおそれがある。
このような感光層の製造における温度条件は、感光層のみならず後述する中間層などの層形成や他の処理においても共通する。
電荷発生層の膜厚は特に限定されないが、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。
電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下するおそれがある。また、電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光層表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体の感度が低下するおそれがある。
[電荷輸送層12a、12b、12c、12d]
電荷輸送層12aは、電荷輸送物質としてアミン系化合物とバインダ樹脂とを含有する。
アミン系化合物の含有量は、電荷輸送層の5〜70重量%であるのが好ましい。
アミン系化合物の含有量が5重量%未満では、電荷を輸送することができず感度が低下するおそれがある。また、アミン系化合物の含有量が70重量%を超えると、膜強度が低下するおそれがある。
バインダ樹脂は、例えば、電荷輸送層の機械的強度、耐久性などを向上させる目的で、バインダ樹脂を含有していてもよい。
バインダ樹脂としては、当該分野で用いられる結着性を有する樹脂の中で、波長380〜420nmの光を吸収しない透明な樹脂を使用でき、電荷発生層に含まれるものと同様の樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
バインダ樹脂の使用割合は、特に限定されないが、電荷輸送物質100重量部に対して
50〜300重量部程度である。
電荷輸送層は、必要に応じて、ホール輸送物質、電子輸送物質、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散安定剤、増感剤、レベリング剤、可塑剤、無機化合物もしくは有機化合物の微粒子などから選ばれる1種または2種以上を適量含んでもよい。
酸化防止剤、紫外線吸収剤の配合により、オゾン、窒素酸化物などの酸化性のガスに対する感光層の劣化を低減でき、かつ塗布液の安定性を向上させることができる。したがって、これらの配合は、感光体の最上層となる電荷輸送層において好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物およびアミン系化合物などが挙げられ、これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体、ヒンダードアミン誘導体およびこれらの混合物が特に好ましい。
酸化防止剤の含有量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜50重量部が好ましい。
酸化防止剤の含有量が0.1重量部未満では、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができないおそれがある。また、酸化防止剤の含有量が50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
電荷輸送層は、電荷発生層と同様に、電荷輸送層形成用塗布液を調製し、湿式法、特に浸漬塗布法により形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の調製に使用する溶剤としては、電荷発生層形成用塗布液の調製に使用するものと同様の溶剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他の工程やその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
電荷輸送層の膜厚は特に限定されないが、5〜40μmが好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
電荷輸送層の膜厚が5μm未満では、感光体表面の帯電保持能が低下し、出力画像のコントラストが低下するおそれがある。また、電荷輸送層の膜厚が100μmを超えると、感光体の生産性が低下するおそれがある。
また、電荷輸送層は、露光波長である波長380〜420nmと波長600nm〜850nmの両方の光を透過するのが好ましい。
[中間層(下引き層)14b、14d]
本発明の感光体は、図2および図4のように、導電性支持体と積層型感光層との間に中間層14b、14dを有するのが好ましい。
中間層は、導電性支持体から積層型感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
また、導電性支持体の表面を被覆する中間層は、導電性支持体の表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、積層型感光層の成膜性を高め、導電性支持体と積層型感光層との密着性を向上させることができる。
中間層は、例えば、樹脂材料を適当な溶剤に溶解させて中間層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体上に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成できる。
樹脂材料としては、電荷発生層および電荷輸送層に含まれるものと同様のバインダ樹脂に加えて、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどの天然高分子材料などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂が特に好ましい。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロンおよび12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン;N−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などが挙げられる。
樹脂材料を溶解または分散させる溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類;メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグライム類;ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタンなどの塩素系溶剤;アセトン;ジオキソラン;これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤などが挙げられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層および電荷輸送層の形成に準ずる。
また、中間層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子は、中間層の体積抵抗値を容易に調節でき、積層型感光層への電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液における樹脂材料と金属酸化物粒子との合計重量Cと溶剤の重量Dとの比率(C/D)は、1/99〜40/60が好ましく、2/98〜30/70が特に好ましい。
また、樹脂材料の重量Eと金属酸化物粒子の重量Fとの比率(E/F)は、90/10〜1/99が好ましく、70/30〜5/95が特に好ましい。
中間層の膜厚は特に限定されないが、0.01〜20μmが好ましく、0.05〜10μmが特に好ましい。
中間層の膜厚が0.01μm未満では、中間層として実質的に機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面が得られないおそれがある。すなわち、導電性支持体からの積層型感光層への電荷の注入を防止することができなくなり、積層型感光層の帯電性の低下が生じる。また、中間層の膜厚が20μmを超えると、均一な中間層を形成し難く、また中間層上に均一な積層型感光層を形成し難くなり、感光体の感度が低下するおそれがある。
なお、導電性支持体の構成材料がアルミニウムの場合には、アルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、中間層とすることができる。
[保護層15c、15d]
本発明の感光体は、図3および図4のように、積層型感光層上に保護層を有していてもよい。
保護層は、感光体の耐久性を向上させる機能を有し、バインダ樹脂からなり、電荷輸送層に含まれるものと同様の電荷輸送物質の1種または2種以上を含有していてもよい。
バインダ樹脂は、電荷発生層および電荷輸送層に含まれるものと同様のバインダが挙げられる。
保護層は、例えば、バインダ樹脂を適当な溶剤に溶解させて保護層形成用塗布液を調製し、この塗布液を積層型感光層上に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成できる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層および電荷輸送層の形成に準ずる。
保護層の膜厚は特に制限されないが、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
保護層の膜厚が0.5μm未満では、感光体表面の耐擦過性が劣り、耐久性が不十分になるおそれがある。また、10μmを超えると、感光体の解像度が低下するおそれがある。
また、表面保護層は、露光波長である波長380〜420nmと波長600nm〜850nmの両領域の光を透過する必要がある。
本発明の画像形成装置は、本発明の積層型感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体を波長380〜420nmと波長600nm〜850nmの可干渉光で露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像して可視像化する現像手段と、現像によって可視像化された画像を記録媒体上に転写する転写手段とを備えることを特徴とする。
以下、図面を用いて本発明の画像形成装置およびその動作について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図5は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図5の画像形成装置(レーザープリンタ)100は、本発明の感光体1と、露光手段(半導体レーザー)31と、帯電手段(帯電器)32と、現像手段(現像器)33と、転写手段(転写帯電器)34と、搬送ベルト(図示せず)と、定着手段(定着器)35と、クリーニング手段(クリーナ)36とを含んで構成される。符号39は転写紙を示す。
感光体1は、図示しない画像形成装置100本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線44回りに矢符41方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体1の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体1を所定の周速度で回転駆動させる。帯電器32、露光手段31、現像器33、転写帯電器34、クリーナ36および任意の除電手段30は、この順序で、感光体1の外周面に沿って、矢符41で示される感光体1の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器32は、感光体1の外周面を均一に所定の電位に帯電させる帯電手段である。
露光手段31は、青色半導体レーザーを光源として備え、光源から出力されるレーザービームの光を、帯電器32と現像器33との間の単層型感光体1の表面に照射することによって、帯電された単層型感光体1の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光は、主走査方向である単層型感光体1の回転軸線44の延びる方向に繰返し走査され、これらが結像して感光体1の表面に静電潜像が順次形成される。すなわち、帯電器32により均一に帯電された感光体1の帯電量がレーザービームの照射および非照射によって差異が生じて静電潜像が形成される。
本発明の画像形成装置は、露光手段が青色半導体レーザーを用いる第1露光手段と近赤外半導体レーザーを用いる第2露光手段を有するが好ましい。
また、その青色半導体レーザーは、窒化ガリウム系材料を用いるものが好ましく、また近赤外半導体レーザーは、Ga−As系材料を用いるものが好ましい。
現像器33は、露光によって感光体1の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)によって現像する現像手段であり、感光体1を臨んで設けられ、感光体1の外周面にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
転写帯電器34は、現像によって感光体1の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符42方向から単層型感光体1と転写帯電器34との間に供給される記録媒体である転写紙39上に転写させる転写手段である。転写帯電器34は、例えば、帯電手段を備え、転写紙39にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙39上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ36は、転写帯電器34による転写動作後に感光体1の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、積層型感光体1の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。
さらに除電手段30が設けられていてもよい。この場合、除電光の波長が600nm〜850nmであることが好ましい。該波長領域の光を除電光として用いることにより、露光による感光体の劣化を抑えることができるというメリットを有するからである。
また、画像形成装置100には、感光体1と転写帯電器34との間を通過した転写紙39が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ、加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
また、符号37は、転写紙39と感光体1とを分離する分離手段を示し、符号38は、画像形成装置の各手段を収容するハウジング(ケーシング)を示す。
この画像形成装置100による画像形成動作は、次のようにして行われる。
まず、感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段31による光の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、感光体1の表面が正の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段31から、感光体1の表面に対して画像情報に応じた光が照射される。感光体1は、この露光によって、光が照射された部分の表面電荷が除去され、光が照射された部分の表面電位と光が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段31による光の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33から、静電潜像の形成された感光体1の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体1に対する露光と同期して、感光体1と転写帯電器34との間に、転写紙39が供給される。転写帯電器34によって、供給された転写紙39にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体1の表面に形成されたトナー像が、転写紙39上に転写される。
トナー像の転写された転写紙39は、搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙39に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙39は、搬送手段によって画像形成装置100の外部へ排紙される。
一方、転写帯電器34によるトナー像の転写後も感光体1の表面上に残留するトナーは、クリーナ36によって単層型感光体1の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体1の表面の電荷は、除電手段30に含まれる除電ランプからの光によって除去され、感光体1の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
図6は本発明の画像形成装置の露光手段31の説明図である。
レーザービーム45Lと、反射ミラー50を経たレーザービーム46Lとは、ハーフミラー49によって同一光路に合成されて、光偏向器51に入射する。レーザービーム45Lは、半導体レーザー45から出力されて、コリメータレンズ47により平行光に変換され、レーザービーム46Lは、半導体レーザー46から出力されて、コリメータレンズ48により平行光に変換される。
光偏向器51は、複数の反射面を有する回転多面鏡(ポリゴンミラー)であって、不図示のモータで駆動されて矢印40方向に所定の速度で回転している。光偏向器51は、副走査方向41に回転する感光ドラム1の表面で、レーザービーム45Lの露光スポットとレーザービーム46Lの露光スポットを主走査方向43に走査する。
結像光学系52は、複数のレンズで構成されてf−θ特性を付与され、平行光のレーザービーム45L、46Lを、感光ドラム1の表面に結像させて同一露光点に選択的に露光スポットを形成する。
不図示の露光制御信号により発光信号発生器を制御し、発振波長が780nmの半導体レーザー45と、発振波長が405nmの半導体レーザー46を選択的に駆動させる。
これにより、感光ドラム2の表面は、レーザービーム45Lまたはレーザービーム46Lにより選択的に走査露光される。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
なお、電荷発生物質の吸光度は、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、実施例および比較例において積層型感光体と同時に作製した電荷発生層だけをガラス板上に塗布した吸光度測定サンプルを使用した。
製造例1
本発明で用いられるチタニルフタロシアニンを特許第3569422号に記載の方法に従って調製した。
すなわち、o−フタロジニトリル40gと4塩化チタン18g、α−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌し、100〜130℃まで放冷後、熱時ろ過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、ついでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱時懸濁洗浄した。ろ取した粗生成物を濃硫酸100ml中で撹拌し、溶解させた後、不溶物をろ別した。ろ液を水3000ml中に注ぎ、析出した結晶をろ取し、水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱時懸濁洗浄を繰り返し、ろ取し、ウェットケーキをジクロロメタンで処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して、図7に示すX線回折スペクトルを示し、以下の構造式:
Figure 0005409119
で示されるチタニルフタロシアニンの結晶(28g)を得た。
実施例1
酸化チタン(商品名:タイベークTTO−D−1、石原産業株式会社製)9重量部と共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)9重量部とを、1,3−ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカにて12時間分散処理し、中間層形成用塗布液(3kg)を調製した。
得られた中間層用塗布液を、浸漬塗布法により、直径30mm、長さ340mmのアルミニウム製円筒状支持体上に塗布し、膜厚1μmの中間層を形成した。
次いで、電荷発生物質として製造例1で得たチタニルフタロシアニン1重量部およびバインダ樹脂としてブチラール樹脂(商品名:#6000−C、電気化学工業社製)1重量部をメチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカにて2時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液(3kg)を調製した。
得られた電荷発生層形成用塗布液を、前記の中間層と同様の方法で、先に設けた中間層表面に塗布し自然乾燥して、膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
次いで、電荷輸送物質として、以下に示す:
Figure 0005409119
構造を有する電荷輸送物質5重量部およびバインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(商品名:PCZ−400、三菱ガス化学株式会社製)9重量部を、テトラヒドロフラン86重量部を溶剤として電荷輸送層形成用塗布液(3kg)を調製した。
得られた電荷輸送層形成用塗布液を、前記の中間層と同様の方法で、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、110℃の熱風で60分間乾燥させて、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、図2に示される導電性支持体上に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された本発明の積層型感光体を作製した。
次いで、市販のデジタル複写機(商品名:AR−450S、シャープ社製)の露光手段を改造し、解像度1200dpiと600dpiに切り替え可能に改造した試作機により画像評価を行った。
なお、1200dpiは青色半導体レーザー(GH04125A2AE:シャープ社製)を用いた光学系、600dpiは近赤外半導体レーザー(GH07825C2K:シャープ社製)を用いた光学系により露光した。
10万枚の印字を行った。通常の使用状態を想定して9万枚を600dpi、1万枚を1200dpiで印字を行った。
最後まで、画像は良好であった。
比較例1
実施例1と同様に感光体を作製し、10万枚をすべて1200dpiの解像度で青色レーザーだけ使用し画像評価を行った。
最終画像は画像濃度が薄くなった。感光体が劣化し、感度が低下し、残留電位が上昇したためと考えられる。
比較例2
電荷発生物質として、以下に示す:
Figure 0005409119
構造を有するジブロモアンサンスロン顔料(ゼネカ社製)とした他は実施例1と同様に感光体を作製し画像評価を行った。
1200dpiの印字は良好な画像であったが、600dpiの印字は画像が形成されなかった。この顔料の吸光度は図9に示すとおり近赤外光に対して吸収を有しないため感度がなく、画像が形成できなかったものと考えられる。
本発明によれば、通常は近赤外レーザーを用いた従来の解像度で標準印字解像度の印刷を行い、高精細画像が必要とされる場合だけ青色レーザー光を用い高解像度露光することにより、高印字解像度の印刷、すなわち高精細画像形成を可能にし、かつ感光体の長寿命化を可能にする本発明の画像形成装置が提供される。
1、20a、20b、20c、20d 積層型電子写真感光体
11a、11b、11c、11d 電荷発生層
12a、12b、12c、12d 電荷輸送層
13a、13b、13c、13d 導電性支持体
14b、14d 中間層(下引き層)
15c、15d 保護層
30 除電手段
31 露光手段(半導体レーザー)
32 帯電手段(帯電器)
33 現像手段(現像器)
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写手段(転写帯電器)34
35 定着手段(定着器)
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーニング手段(クリーナ)
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
37 分離手段
38 ハウジング(ケーシング)
39 転写紙
40、41、42、43 矢符
44 回転軸線
45、46 半導体レーザー
45L、46L レーザービーム
47、48 コリメータレンズ
49 ハーフミラー
50 反射ミラー
51 光偏光器
52 結像光学系
100 画像形成装置(レーザープリンタ)

Claims (5)

  1. 像担持体の表面を露光する第1露光手段と、第1露光手段よりも露光スポットサイズが大きく、前記像担持体の表面を露光する第2露光手段とを少なくとも有し、前記第1露光手段の第1波長が、前記第2露光手段の第2波長よりも短い画像形成装置において、前記像担持体が、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層であり、前記電荷発生物質が、分光感度が前記第1波長と前記第2波長の双方に感度を有する単一の電荷発生物質であり、
    前記第1露光手段が、高印字解像度の印刷用である波長380〜420nmを有する青色半導体レーザーであり、
    第2露光手段が、標準印字解像度の印刷用である波長600〜850nmを有する赤色半導体レーザーであることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記電荷発生物質が、CuKα特性X線(波長:1.5418Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラッグ角(2θ±0.2°)で7.3°、9.4°、9.6°、27.2°に主ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンであって、9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大ピ−クであり、かつ、27.2°のピークが第2の最大ピークである結晶型チタニルフタロシアニンである請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第1露光手段が、窒化ガリウム系材料を用いた光源とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第2露光手段が、ガリウム−砒素系材料を用いた光源とする請求項1〜のいずれか一つに記載の画像形成装置。
  5. 前記画像形成装置が、感光体表面の電荷を除去するための光除電手段を有し、該除電手段の波長が600nm〜850nmである請求項1〜のいずれか一つに記載の画像形成装置。
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