JP5404095B2 - 駐車設備 - Google Patents

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Description

本発明は、駐車設備に関するものである。
車両には駐車を支援する駐車支援装置が搭載されているものがある。例えば特許文献1に記載されている駐車支援装置は、車両を後退させつつ目標駐車位置に駐車させる場合に、車両後方を車載カメラにより撮影するとともに、その撮影した後方画像に基づいて目標駐車位置を算出し、車両後方画像と目標駐車位置とを車載ディスプレイに表示させる。つまり、駐車支援装置はいわゆるバックガイドモニタ機能を有している。この場合、駐車支援装置は、車両後方の地上面に表示された白線等の区画線を後方画像から検出し、その区画線に基づいて目標駐車位置を算出する。
特開2006−175918号公報
しかしながら、ドライバがバックガイドモニタ機能を使用しつつ運転操作を行う場合、その都度の車両と区画線により表示された目標駐車位置との相対関係に合わせてハンドルの操作方向や操作量を調整するには困難さを伴うと考えられる。したがって、車両を目標駐車位置に駐車させるための駐車設備に関して改善の余地がある。
本発明は、駐車実施時においてドライバによる操舵の容易化を実現することを主たる目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明は、車両後方の地上面を含む車両後方画像を撮像するとともに、車両の操舵量に基づいて当該車両の予想進路を算出し、前記車両後方画像と前記予想進路を表す推定移動軌跡とを車載の表示ディスプレイに表示する駐車支援装置を有する車両を、駐車スペース内の目標駐車位置に駐車させるための駐車設備であって、前記駐車スペースの床面に設置され、ドライバの車両操舵を伴う入庫に際し前記推定移動軌跡に合致させる指標となる基準マーカを備え、前記基準マーカは、前記駐車スペース内において車両進行方向に直交する方向の位置が、前記目標駐車位置に応じて定められ、かつ前記駐車スペース内において車両出入口を基準としてその奥側への位置が、駐車実施時においてドライバによる操舵の戻し操作が開始される位置として定められていることを特徴とする。
第1の発明によれば、いわゆるバックガイドモニタ機能を有する駐車支援装置を備えた車両を駐車スペースに駐車させる際において、ドライバによる操舵の容易化を実現できる。すなわち、駐車スペースへの駐車に際し、駐車スペース床面に設置した基準マーカを指標としてドライバにより車両操舵が行われることにより、駐車スペース内において車両進行方向に直交する方向の目標駐車位置に対する位置合わせを容易に実施できる。この結果、目標駐車位置に対して車両が進行方向の左右にずれることを回避できる。
また、駐車実施時には、操舵量が適宜調整された後、最終的に車両が目標駐車位置に停止される際には操舵量が0に戻されることになる。上記構成では、基準マーカが、駐車実施時においてドライバによる操舵の戻し操作が開始される位置として定められているため、駐車スペース内に車両が進入していく過程でどのタイミングで戻し操作を始めればよいかを容易に判断できる。したがって、やはり駐車実施時において操舵の容易化を実現できる。
第2の発明では、前記車両出入口を挟んでその両側に側壁が設けられ、その間に前記駐車スペースが設けられている駐車設備であり、前記側壁を挟んで前記駐車スペースとは反対側に中心があり、かつ駐車対象とされる車両の内輪側の想定最小回転半径により定められる誘導円が、前記車両出入口での側壁端部に交差することなく想定され、前記誘導円の円周上で、前記駐車スペースの最も中心寄りの位置に前記基準マーカが設置されている。
第2の発明によれば、駐車実施時において、想定最小回転半径で曲がりながらの駐車、又は同想定最小回転半径よりも大きい半径で曲がりながらの駐車を好適に実施できる。
第3の発明では、前記誘導円の中心点は、該誘導円における前記駐車スペース内方への張出寸法が道路側への張出寸法以下となる位置に設けられている。
第3の発明によれば、誘導円における駐車スペース内方への張出寸法が道路側への張出寸法以下となっているため、誘導円の円周上で定められる基準マーカについて、車両出入口から奥側への位置を適正に定めることができる。すなわち、駐車スペース内方への張出寸法が道路側への張出寸法より大きいと、基準マーカの位置が駐車スペースの奥側すぎてしまい、車両が想定最小回転半径で曲がりながら駐車される場合に、基準マーカを指標とする操舵により、車両出入口での側壁端部に車両が当たってしまうことが懸念されるが、上記構成によれば、こうした不都合を抑制できる。
第4の発明では、前記駐車スペースにおいては、前記目標駐車位置となる実駐車エリアと人が乗降するための乗降エリアとが横並びに設定されており、前記誘導円は、前記実駐車エリアと前記乗降エリアとの境界線が該誘導円の接線となるように配置されており、前記基準マーカは前記境界線と誘導円との接点に配置されている。
第4の発明によれば、実駐車エリア及び乗降エリアの境界線と誘導円との接点にて操舵方向の切り替え操作を行うことが可能となるため、その切り替え操作のタイミングを好適なタイミングとすることができる。これにより、切り替え操作のタイミングが早すぎて車両の先端部が乗降エリアにはみ出したり、遅すぎて車両の後端部が乗降エリアにはみ出したりすることなく、車両を実駐車エリアに好適に駐車させることができる。
第5の発明では、前記目標駐車位置での車両前後方向に平行に延びかつ前記基準マーカを通る直線上に、当該基準マーカとは異なる別の付属マーカが点在して設けられている。
第5の発明によれば、基準マーカと付属マーカとが点在して設けられているため、駐車スペースへの駐車実施時には、車両の進行に伴い、推定移動軌跡に合致させるための指標として用いられるマーカが順を追って切り替えられることとなる。この場合、車両の進行に伴いその時々で指標となるマーカに到達する都度、ドライバが操舵量の変更を行えばよく、操作性に優れていると考えられる。つまり、比較対象として指標が白線等によりライン表示されている場合には、推定移動軌跡をライン表示に合致させるべく操舵を常時行う必要があるが、上記のごとく複数のマーカを点在させる構成では、基本的には、都度指標として用いられるマーカが切り替わるタイミングでのみ操舵を行えばよく、都度必要な操舵が容易になる。
第6の発明では、前記基準マーカと前記付属マーカとが各々異なる形態で設けられている。
第6の発明によれば、ドライバは基準マーカと付属マーカとを判別することができるため、操舵の戻し操作を開始するタイミングと、単に操舵量を変更させる操作を行うタイミングとをそれぞれ知ることができる。これにより、例えば操舵の戻し操作を開始するべきタイミングなのに操作量を変更させる操作を行ってしまうといった操作ミスを回避できる。
第7の発明では、前記基準マーカ及びそれよりも車両出入口側の前記付属マーカと、前記基準マーカよりも奥側の前記付属マーカとが各々異なる形態で設けられている。
第7の発明によれば、駐車実施時において、車両進行とともに指標にしているマーカが次に指標とするマーカとは形態が異なることにより、ドライバは操舵の戻し操作を開始するタイミングを知ることができる。これにより、例えば操舵の戻し操作を開始するべきタイミングなのに戻し操作を行わないといった操作ミスを回避できる。
第8の発明では、前記付属マーカは、少なくとも車両出入口に設けられている。
第8の発明によれば、駐車実施時に、推定移動軌跡に車両出入口の付属マーカを指標として合致させることにより、車両出入口における車両の位置が適正な位置からずれてしまうことを回避できる。車両出入口において車両の位置が左右にずれていると車両を駐車スペース内に進入させることすらできないため、車両出入口に付属マーカを配置することは効果的である。
本実施形態における建物の車庫周辺の構成を示す平面図。 車載ディスプレイの表示画面を示す図。 誘導円の誘導半径について説明するための図。 誘導円の位置について説明するための説明図。 車両を実駐車エリアに駐車させる際の車載ディスプレイの表示画面を示す図。 車両を実駐車エリアに駐車させる際の車両位置を段階的に示す図。 別の車庫周辺の構成を説明するための図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は建物10における車庫15周辺の構成を示す平面図、図2は車載ディスプレイ33の表示画面37を示す図である。なお、図1においては、車両20における駐車支援装置22の電気的な構成を示すブロック図を平面図に加えて図示している。
図1に示すように、住宅等の建物10は駐車設備としての車庫15を有している。車庫15は建物10と一体的に構築されたインナガレージとなっており、自動車等の車両20の駐車が可能な駐車スペース16を有している。車庫15には車両出入口17が形成されており、車両20は車両出入口17を通じて駐車スペース16への出入りが可能となっている。車両20には、その車両20の操舵が可能なハンドルと、駐車支援装置22とが搭載されている。
駐車支援装置22は、CPUや各種メモリ等からなるコントローラ31を有している。駐車支援装置22において、コントローラ31には、車載カメラ32と車載ディスプレイ33と操舵角センサ34とが電気的に接続されている。車載カメラ32は車両後方を撮像するために車両20の後部に設置されており、その撮像範囲には車両後方における地上面が含まれている。車載ディスプレイ33は運転席から視認可能な位置に設置されており、車載カメラ32の撮像データがコントローラ31を介して入力されることにより車両後方の画像を表示する。操舵角センサ34は例えばハンドルの操作量に基づいて車両20の操舵角を検出し、その検出信号をコントローラ31に対して出力する。
駐車支援装置22はバックガイドモニタ機能を有している。この場合、コントローラ31は、指令信号を出力することにより車載カメラ32及び車載ディスプレイ33の動作制御を行い、図2に示すように、車両後方の画像に加えて各種情報を車載ディスプレイ33の表示画面37に表示させる。例えば、車両後方画像や車体の幅に基づいて、車両20の左右両側面からそれぞれ車両後方へ延びる各延長線を算出し、その各延長線を幅延長線Aとして表示画面37に表示させる。また、操舵角センサ34の検出信号に基づいて、後退時における車両20の左右両側面が通る予想進路を算出し、その予想進路を推定移動軌跡Bとして表示画面37に表示させる。推定移動軌跡Bは左右一対となっており、それぞれ所定長さを有している。各推定移動軌跡Bは、例えば車両20の後部バンパから車両後方へ向けて延びている。さらに、予想進路上における車両20の後端部の予想位置を算出し、その予想位置を移動目安線Cとして表示画面37に表示させる。移動目安線Cは複数設定されており、例えば左右の推定移動軌跡Bの各自由端を結ぶ位置と、それら推定移動軌跡Bの各中間部分を結ぶ位置とに表示されている。
図1の説明に戻り、建物10は道路40に隣接しており、車庫15の駐車スペース16は車両出入口17を介して道路40に通じている。この場合、車庫15における車両進退方向は道路40における車両進退方向に対して直交している。車庫15は、車両出入口17を挟んでその両側に配置された側壁42a,42bと、車両出入口17に対して駐車スペース16の奥側に配置された奥壁43とを有している。
車庫15においては、実際に車両20が駐車される目標駐車位置としての実駐車エリアS1と、駐車車両20の片側のドアが開放可能であり且つそのドア開放状態で人の乗降を可能とする乗降エリアS2とが設定されている。これら実駐車エリアS1と乗降エリアS2とは車両出入口17から見て左右に配置されており、車両進退方向に直交する方向にて駐車スペース16を2分割している。乗降エリアS2は実駐車エリアS1の片側にだけ設けられており、それら実駐車エリアS1と乗降エリアS2との境界は直線状のエリア境界線45となっている。
なお、実駐車エリアS1の横方向の幅は車両20の幅より大きく、車幅+50cm(例えば2.2m)程度となっており、縦方向の長さは車両20の全長より大きく、全長+50cm(例えば4.5〜6.0m)程度となっている。また、乗降エリアS2の横方向の幅は50cm程度となっている。
ここで、運転者が車両20を実駐車エリアS1へさせる際に駐車支援装置22のバックガイドモニタ機能を使用する場合、その運転者は車載ディスプレイ33の車両後方画像や推定移動軌跡Bなどを見ながら、推定移動軌跡Bが各マーカ51〜54を通るようにハンドル操作を行うことになる。各マーカ51〜54は車庫15の床面に載置されており、ハンドル操作を行うに際して推定移動軌跡Bを合致させるための指標となっている。
各マーカ51〜54のうち基準マーカとしての切替マーカ51は、入庫に際して車両20の操舵方向を切り替えるタイミングを示す指標となっており、車両20を道路40から車庫15の実駐車エリアS1へ誘導するために想定された誘導円Mと、エリア境界線45とが交差する点に配置されている。誘導円Mの半径は車両20の回転半径Rと同じ大きさに設定されており、ここでは車両20の回転半径をその車両20の後退時における内輪側の想定最小回転半径としている。誘導円Mの中心点は乗降エリアS2側の側壁42aを挟んで駐車スペース16とは反対側の位置Oに設定されており、この場合の誘導円Mは、その内部に車両出入口17における側壁42aの端部を含み且つ誘導円Mの円周がその端部に交差せず、しかもエリア境界線45が誘導円Mの接線となっている。
したがって、切替マーカ51は、誘導円Mとエリア境界線45との接点に配置されていることになる。この場合、切替マーカ51の位置は、誘導円M上における駐車スペース16の最も中心点寄りの位置である。すなわち、誘導円Mの中心点から遠い側の側壁42b寄りの位置である。また、本実施形態では、誘導円Mにおいて、側壁42aよりも駐車スペース16内方へ最も張り出した張出部分の車庫側張出寸法L1が、側壁42aよりも道路40側へ最も張り出した張出部分の道路側張出寸法L2と同じ大きさとなっている。ここで、車庫側張出寸法L1は、誘導円Mにおける車庫15内の張出部分と誘導円Mの中心点側の側壁42aとの離間距離とされ、道路側張出寸法L2は、誘導円Mにおける道路40上の張出部分と側壁42aにおける道路40側の端部との離間距離とされている。
各マーカ51〜54のうち手前側マーカ52は切替マーカ51よりも車両出入口17側に設置されており、奥側マーカ53,54は手前側マーカ52とは切替マーカ51を挟んで反対側(奥壁43側)に設置されている。切替マーカ51、手前側マーカ52及び奥側マーカ53,54は直線のエリア境界線45上に所定の間隔で並べられており、手前側マーカ52は車両出入口17にて駐車スペース16と外部スペースとの境界部に配置されている。
手前側マーカ52はエリア境界線45と車両出入口17とが交差する場所に配置されている。奥側マーカ53,54のうち奥壁43寄りの奥側マーカ54は、奥壁43に当接して又は若干離れて配置されており、手前側の奥側マーカ53は切替マーカ51と奥側マーカ54との間に配置されている。
なお、各マーカ51〜54は等間隔で並んでおり、その離間距離はそれぞれ1.5〜2.0m程度となっている。
各マーカ51〜54はそれぞれ円状の板部となっており、例えば円の直径は10〜30cm程度、厚さ寸法は10cm程度とされている。各マーカ51〜54のうち、切替マーカ51及び手前側マーカ52は合成樹脂材料によりそれぞれ灰色に形成されており、奥側マーカ53,54は合成樹脂材料によりそれぞれ白色に形成されている。この場合、切替マーカ51及び手前側マーカ52は、奥側マーカ53,54とは形態が異なることになる。
なお、切替マーカ51及び手前側マーカ52の形態が奥側マーカ53,54の形態と異なる構成であれば、各マーカ51〜54の形状や大きさ、色、材質などを任意に設定してもよい。例えば、各マーカ51〜54を金属材料により形成してもよく、白色や灰色以外の色にて着色してもよい。また、例えば長手方向の寸法が30cm程度であって短手方向の寸法が10cm程度である長方形状の板部としてもよい。
続いて、誘導円Mの設定方法について、図3、図4を参照しつつ説明する。図3は誘導円Mの誘導半径Rについて説明するための図、図4は誘導円Mの位置について説明するための図である。
まず、誘導円Mの大きさについて説明する。図3に示すように、車庫15の実駐車エリアS1に対して車両20又はそれとは別の車両20aが駐車される場合、車両20の回転半径Rと車両20aの回転半径Raが異なっていれば、誘導円Mの半径はそれら回転半径R,Raのうち大きい方の回転半径と同じ大きさに設定される。この場合、車両20の回転半径Rが車両20aの回転半径Raより大きくなっており、誘導円Mの円周に沿うように後退させる際に車両20及び車両20aはいずれも切り返し操作を行わなくてよい。これに対して、例えば、小さい方の回転半径Raと同じ大きさの半径を有する誘導円Maが設定されている場合、回転半径が小さい方の車両20aを誘導円Maの円周に沿うように後退させる際には切り返し操作を行わなくてよいが、回転半径が大きい方の車両20を誘導円Maの円周に沿うように後退させる際には切り返し操作を行う必要がある。つまり、車庫15に駐車されることが想定される車両のうち最も回転半径の大きいものを基準にして誘導円Mが設定されていれば、いずれの車両20を誘導円Mに沿うように後退させる際でも切り返し操作を行わなくてよい。
次に、誘導円Mの位置について説明する。上記したように誘導円Mはエリア境界線45が誘導円Mの接線となる位置に設定されているため、誘導円Mの中心点と車庫15との離間距離(換言すれば車庫側張出寸法L1)は特定されることになるが、それだけでは誘導円Mの中心点と道路40との離間距離(換言すれば道路側張出寸法L2)は特定されない。
図4に示すように、誘導円Mの中心点を道路40とは反対側に側壁42aと平行に移動させた位置Oaに想定した場合、その中心点と道路40との離間距離は中心点と車庫15との離間距離より大きい。つまり、車庫側張出寸法L1は道路側張出寸法L2より大きくなる。この場合、誘導円Mの内部に車両出入口17における側壁42aの端部を含んでいれば、車両20を誘導円Mの円周に沿うように後退させるとその車両20の内輪側が側壁42aに接触するおそれがある。また、誘導円Mの内部に前記端部を含んでいなければ、車両20の外輪側が側壁42aとは反対側の側壁42bに接触するおそれがある。
また、誘導円Mの中心点を道路40側に側壁42aと平行に移動させた位置Obに想定した場合、その中心点と道路40との離間距離は中心点と車庫15との離間距離より小さい。つまり、車庫側張出寸法L1は道路側張出寸法L2より小さくなる。この場合、車両20を誘導円Mの円周に沿うように後退させるとその車両20が側壁42aに接触することはないが、車両20の外輪側が道路40からはみ出るおそれがある。これらに対して、誘導円Mの中心点が位置Oに設定されている場合、車両20が側壁42aに接触しないように且つその外輪側が道路40からはみ出ないように、車両20を誘導円Mの円周に沿うように後退させることができる。
続いて、車両20を車庫15内に駐車させる場合の操舵手順について、図5,図6を参照しつつ説明する。図5は、車両20を実駐車エリアS1に駐車させる際の車載ディスプレイ33の表示画面37を示す図、図6は車両20を実駐車エリアS1に駐車させる際の車両位置を段階的に示す図である。
まず、運転者は車両20の斜め後方に車両出入口17が存在するように車両20を配置させる。この場合、図5に示すように、車載ディスプレイ33の表示画面37には表示される車両後方の画像には手前側マーカ52や切替マーカ51が含まれている。そして、運転者は車両20を後退させつつハンドル操作を行うことにより、左右の推定移動軌跡Bのうち内輪側の推定移動軌跡Bの先端部を手前側マーカ52、切替マーカ51、奥側マーカ53,54のそれぞれにこの順番で合致させる。つまり、推定移動軌跡Bの先端部を、車庫15にて直線状に並んでいる各マーカ51〜54に手前側のマーカから順番に合致させる。以上のように運転操作が行われた場合、車両20は車庫15の実駐車エリアS1に駐車される。
この場合の車両20の動きについて説明する。まず、図6(a)に示すように、車両20はその斜め後方において実駐車エリアS1よりも乗降エリアS2が車両20側に存在する位置から、所定の操舵角にて軌道Nに沿うように後退する。この際、運転者は、車載ディスプレイ33の表示画面37において内輪側の推定移動軌跡Bの先端部が手前側マーカ52を通過するようにハンドル操作を行う。これにより、車両20は左右にずれることなく車両出入口17に接近する。
その後、運転者は、手前側マーカ52を目安としてさらに操舵角を増加させ、推定移動軌跡Bの先端部を切替マーカ51に合致させる。これにより、図6(b)に示すように、車両20は誘導円Mに沿うように後退し、車両出入口17から駐車スペース16へ進入することになる。
そして、運転者は、切替マーカ51を目安としてハンドルを戻すようにハンドル操作を行って推定移動軌跡Bの先端部を手前の奥側マーカ53に合致させる。切替マーカ51は、車両20の操舵方向を切り替えるタイミングを示す操舵反転ポイントとなっており、運転者は増加させてきた操舵角をそのタイミングにて減少させ始めることになる。この場合、図6(c)に示すように、車両20は駐車スペース16において切替マーカ51に接近している。
次いで、運転者は手前の奥側マーカ53を目安として操舵角を減少させて推定移動軌跡Bの先端部を奥の奥側マーカ54に合致させ、最終的に操舵角を0度に戻す。つまり、ハンドルを車両20が直進する状態に戻す。これにより、図6(d)に示すように、車両20は各マーカ51〜54の並びに沿って駐車される。つまり、エリア境界線45に沿うようにして実駐車エリアS1内に駐車される。この場合、車庫15における前後方向と車両20の進退方向とが一致した状態となる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
車庫15において、実駐車エリアS1と乗降エリアS2との境界部(エリア境界線45)に沿って切替マーカ51、手前側マーカ52、奥側マーカ53,54が直線状に並ぶように配置されており、車載ディスプレイ33の表示画面37において、車両20の側面が通る予想進路として推定移動軌跡Bが表示される。この場合、運転者はその推定移動軌跡Bが各マーカ51〜54を通るようにハンドル操作を行うことにより、車両20をエリア境界線45に沿わせるように実駐車エリアS1に駐車させることができるため、実際の駐車位置が実駐車エリアS1に対して左右にずれることを回避できる。
また、運転者は、表示画面37において手前側マーカ52を目安とすることにより操舵角の増加タイミングを知ることができ、切替マーカ51を目安とすることにより操舵方向の切り替えタイミングを知ることができる。加えて、奥側マーカ53,54を目安とすることにより操舵角の減少タイミングを知ることができる。したがって、運転者は操舵角の調整(ハンドル操作)を常時ではなく所定のタイミングにて複数回だけ行えば車両20を実駐車エリアS1に駐車させることができる。なお、例えば、車庫15の床面にエリア境界線45を示す白線が表示されている構成では、運転者は推定移動軌跡Bを白線に合致させるために操舵角の調整を常時行う必要があるため、そのハンドル操作には困難さを伴うことになってしまう。
以上の結果、駐車実施時において、運転者による操舵の容易化を実現することができる。
切替マーカ51は誘導円Mとエリア境界線45との接点に配置されているため、運転者は切替マーカ51を目安として車両20の操舵方向を切り替えることにより、車両20をエリア境界線45に沿うように駐車させることができる。つまり、車両20の先端部や後端部が乗降エリアS2にはみ出すことを回避できる。なお、例えば切替マーカ51が誘導円Mの円周上であって前記接点より手前側に配置されていると、操舵方向の切り替えタイミングが早くなり、車両20の先端部が乗降エリアS2へはみ出してしまうおそれがある。また、切替マーカ51が誘導円Mの円周上であって前記接点より奥側に配置されていると、操舵方向の切り替えタイミングが遅くなり、車両20の後端部が乗降エリアS2へはみ出してしまうおそれがある。
誘導円Mにおいて、車庫側張出寸法L1と道路側張出寸法L2とが同じ大きさとなっているため、車両20の内輪側が側壁42aに接触したり外輪側が側壁42bに接触したりすることや、旋回時に車両20が道路40からはみ出すことを回避しつつ、車両20を実駐車エリアS1に駐車させることができる。
切替マーカ51及び手前側マーカ52は、奥側マーカ53,54とは色が異なっているため、運転者は車載ディスプレイ33の表示画面37において、現在の指標と次の指標とを見比べることにより、現在の指標がマーカ51〜54のいずれであるかを判別することができる。この場合、切替マーカ51と奥側マーカ53,54とを誤判別してしまうことがないため、切替マーカ51にて操舵方向の切り替え操作を行わずに、手前の奥側マーカ53を次の指標としてしまうといった操作ミスを回避できる。したがって、車両20の駐車操作を好適に行うことができる。
手前側マーカ52がエリア境界線45と車両出入口17とが交差する場所に配置されているため、車両出入口17において車両20が駐車スペース16から左右にずれてしまうことを回避できる。この場合、車両20を側壁42a,42bに接触させることなく車両出入口17から車庫15内に進入させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記実施形態では、車庫15と道路40とは各車両進退方向が互いに直交するように配置されているが、車庫15と道路40との各車両進退方向は直交してなくてもよい。例えば、図7(a)に示すように、車庫15と道路40とは各車両進退方向が平行に延びるように配置されている構成とする。
この例では、車庫15の側壁42a,42bが道路40と平行に延びており、道路40側の側壁42aにより道路40と駐車スペース16とが仕切られている。車両出入口17は側壁42aの開放側の端部に設けられており、車両出入口17と道路40とは連絡通路61により通じている。車両20は道路40を通ることにより道路40と車庫15とを行き来することが可能となっている。車庫15においては、乗降エリアS2が道路40側に配置されており、実駐車エリアS1が乗降エリアS2を挟んで道路40とは反対側に配置されている。また、上記実施形態と同様に、車庫15には切替マーカ51、手前側マーカ52、奥側マーカ53,54が設置されている。
この構成では、車両20を実駐車エリアS1に駐車させる場合に、道路40から縦列駐車を行うことになる。ここでは、縦列駐車に際しての車両20の動きについて説明する。まず、図7(a)に示すように、車両20は後退しながら旋回して連絡通路61に進入する。この際、運転者は、車載ディスプレイ33の表示画面37において、エリア境界線45に沿わせる方の推定移動軌跡Bの先端部が手前側マーカ52を通過するようにハンドル操作を行う。その後、運転者は、手前側マーカ52を目安としてさらに操舵角を増加させ、推定移動軌跡Bの先端部を切替マーカ51に合致させる。これにより、図7(b)に示すように、車両20は誘導円Mに沿うように後退して車両出入口17に接近する。
そして、運転者は、切替マーカ51を目安としてハンドルを戻すようにハンドル操作を行う。切替マーカ51は操舵反転ポイントとなっており、運転者は増加させてきた操舵角を減少させ始める。特に、縦列駐車に際しては、操舵反転ポイントにて操舵角を0に戻すだけでなくそこから逆の操舵方向に向けて操舵角を増加させ、推定移動軌跡Bの先端部を手前の奥側マーカ53に合致させる。これにより、図7(c)に示すように、車両20は駐車スペース16を挟んで道路40とは反対側の側壁42bに接触することなく車両出入口17から駐車スペース16に進入する。
次いで、運転者は手前の奥側マーカ53を目安としてハンドルを再び戻すようにハンドル操作を行う。ここでは、手前の奥側マーカ53が2度目の操舵反転ポイントとなっており、運転者は逆方向に増加させてきた操舵角を0に向けて減少させ始め、推定移動軌跡Bの先端部を奥の奥側マーカ54に合致させる。これにより、図7(d)に示すように、車両20はエリア境界線45に沿うようにして実駐車エリアS1内に駐車される。
したがって、縦列駐車を実施する際において、運転者による操舵の容易化を実現することができる。
(2)上記実施形態では、切替マーカ51及び手前側マーカ52の形態が奥側マーカ53,54の形態と異なっているが、切替マーカ51の形態が他のマーカ52〜54の形態と異なっていてもよい。この場合、運転者は車載ディスプレイ33の表示画面37において切替マーカ51と奥側マーカ53,54とを判別することはもちろんのこと、切替マーカ51を手前側マーカ52と判別することができる。したがって、例えば操舵方向の切り替え操作を行うべきタイミングにて操舵角の増加操作を継続して行ってしまうといった操作ミスを回避できる。
(3)車庫15には少なくとも切替マーカ51が設置されていればよい。運転者が車両20の旋回を伴う駐車操作を行うに際して、操舵方向を切り替えるタイミングが遅かったり早かったりすると目標駐車位置に対して車両20がずれてしまう可能性が高いと考えられる。したがって、切替マーカ51により操舵方向の切り替えタイミングを運転者に知らせることは操舵の容易化を実現する上で効果的である。
また、手前側マーカ52は複数設置されていてもよく、奥側マーカ53,54はいずれか一方だけ設置されていてもよい。
(4)各マーカ51〜54には点灯又は点滅可能なランプ等の発光手段が設けられていてもよい。例えば、切替マーカ51が発光可能な構成とされている場合、夜間であっても運転者は車載ディスプレイ33の表示画面37において切替マーカ51と他のマーカ52〜54とを判別することができる。また、手前側マーカ52が発光可能な構成とされている場合、夜間であっても運転者は表示画面37において手前側マーカ52の位置を知ることができる。つまり、車両出入口17の位置を知ることができる。したがって、車両20を車両出入口17における側壁42a,42bの端部に接触させてしまうことを回避できる。さらに、各マーカ51〜54のうち複数のマーカが発光可能な構成とされている場合、夜間であってもそれらマーカによりあたかもエリア境界線45が表示されているかのような状態となるため、運転者は実駐車エリアS1の位置を容易に知ることができる。
(5)車載ディスプレイ33の表示画面37には、車両20に対して左右一対の推定移動軌跡Bが表示されているが、推定移動軌跡Bは左右のうち一方だけが表示されてもよく、車両20に対して中央に表示されていてもよい。つまり、車両20の走行に伴って移動する部分の予想進路が推定移動軌跡Bとして表示画面37に表示されていればよい。ただし、推定移動軌跡Bに対応する部分を変更した場合、車庫15における各マーカ51〜54の位置をそれに合わせて変更する必要がある。例えば、車両20の中央が通る予想進路を推定移動軌跡Bとした場合、各マーカ51〜54を実駐車エリアS1の中央にて車両進退方向に並ぶように配置する必要がある。
(6)車庫15には切替マーカ51が複数設置されていてもよい。例えば、実駐車エリアS1における乗降エリアS2側の端部に加えて、実駐車エリアS1における乗降エリアS2とは反対側の端部に切替マーカ51が設置されている構成とする。この場合、運転者は、実駐車エリアS1の両端に設置された各切替マーカ51のいずれかをハンドル操作の切り替えポイントの指標として適宜使用することができる。つまり、内輪側の切替マーカ51を指標として使用することが困難な場合は、外輪側の切替マーカ51を指標として使用することができる。
(7)各マーカ51〜54は、建物10とは独立して構築された車庫15の駐車スペースに設置されていてもよく、屋外に開放された駐車場の駐車スペースに設置されていてもよい。
15…駐車設備としての車庫、16…駐車スペース、17…車両出入口、20…車両、22…駐車支援装置、33…車載ディスプレイ、40…道路、42a…側壁、42b…側壁、45…境界線としてのエリア境界線、51…基準マーカとしての切替マーカ、52…付属マーカとしての手前側マーカ、53…付属マーカとしての奥側マーカ、54…付属マーカとしての奥側マーカ、L1…駐車スペース内方への張出寸法としての車庫側張出寸法、L2…道路側への張出寸法としての道路側張出寸法、M…誘導円、S1…目標駐車位置としての実駐車エリア、S2…乗降エリア。

Claims (6)

  1. 車両後方の地上面を含む車両後方画像を撮像し、後退時において車両側面が通る予想進路を当該車両の操舵量に基づいて算出し、該予想進路上における車両後端部の予想位置を算出し、前記車両後方画像と前記予想進路を表す推定移動軌跡と前記予想位置を表す移動目安線とを車載の表示ディスプレイに表示する駐車支援装置を有する車両を、駐車スペース内の目標駐車位置に駐車させるための駐車設備であって、
    前記駐車スペースの床面に設置され、ドライバの車両操舵を伴う入庫に際し前記推定移動軌跡と前記移動目安線との交点に合致させる指標となる基準マーカを備え、
    前記基準マーカは、前記駐車スペース内において車両進行方向に直交する方向の位置が、前記目標駐車位置に応じて定められ、かつ前記駐車スペース内において車両出入口を基準としてその奥側への位置が、駐車実施時において前記車両が進行したままドライバによる操舵の戻し操作が開始される位置として定められており、
    前記目標駐車位置での車両前後方向に平行に延びかつ前記基準マーカを通る直線上において、当該基準マーカとは異なる位置に付属マーカが点在して設けられており、これら付属マーカには、前記基準マーカとは異なる形態であり且つ前記基準マーカに隣り合うマーカが含まれていることを特徴とする駐車設備。
  2. 前記基準マーカに隣り合う前記付属マーカとして、前記基準マーカよりも前記車両出入口側に手前側マーカが設けられ、前記基準マーカを挟んで前記手前側マーカとは反対側に奥側マーカが設けられており、
    前記手前側マーカ及び前記奥側マーカの少なくとも一方が、前記基準マーカとは異なる形態のマーカであることを特徴とする請求項1に記載の駐車設備。
  3. 前記基準マーカ及び前記手前側マーカは、前記奥側マーカとは色が異なっていることを特徴とする請求項2に記載の駐車設備。
  4. 前記駐車スペースにおいては、前記目標駐車位置となる実駐車エリアと人が乗降するための乗降エリアとが横並びに設定されており、
    前記実駐車エリアと前記乗降エリアとの境界線が、前記基準マーカを通る前記直線であることを特徴とする請求項2又は3に記載の駐車設備。
  5. 前記基準マーカ及びそれよりも車両出入口側の前記付属マーカと、前記基準マーカよりも奥側の前記付属マーカとが各々異なる形態で設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駐車設備。
  6. 前記付属マーカは、少なくとも車両出入口に設けられていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の駐車設備。
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