JP5403476B2 - ビスマス系材料、タブレット及びタブレット一体型排気管 - Google Patents

ビスマス系材料、タブレット及びタブレット一体型排気管 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)、各種電子放出素子を有する各種形式のフィールドエミッションディスプレイ(以下、FED)、蛍光表示管(以下、VFD)等の平面表示装置および水晶振動子、ICパッケージ等の電子部品(電子部品の収納容器を含む)の封着、隔壁形成、サイドフレーム形成等に好適なビスマス系ガラス組成物およびビスマス系材料に関するものである。
従来から平面表示装置等の封着材料としてガラスが用いられている。ガラスは、樹脂系の接着剤に比べ、化学的耐久性および耐熱性に優れるとともに、平面表示装置等の気密信頼性を確保するのに適している。
これらのガラスは、用途によっては機械的強度、流動性、電気絶縁性等の種々の特性が要求されるが、少なくとも平面表示装置等に使用される蛍光体の蛍光特性等を劣化させない温度で使用可能であることが要求される。それゆえ、上記特性を満足するガラスとして、ガラスの融点を下げる効果が極めて大きいPbOを多量に含有する鉛ホウ酸系ガラス(例えば、特許文献1参照)が広く用いられてきた。
ところが、最近、鉛ホウ酸系ガラスに含まれるPbOに対して環境上の問題が指摘されており、鉛ホウ酸系ガラスから実質的にPbOを含まないガラスに置き換えることが望まれている。そのため、鉛ホウ酸系ガラスの代替品として、様々な低融点ガラスが開発されている。その中でも、特許文献2等に記載されているビスマス系ガラス(Bi23−B23系ガラスとも称される)は、化学耐久性、機械的強度等の諸特性において鉛ホウ酸系ガラスと同等の特性を有するため、その代替候補として期待されている。
ところで、封着材料に使用されるガラスは、用途に応じて結晶性、或いは非結晶性が選択される。一般的に、封着工程後に封着材料が軟化流動してはいけない用途、例えばPDP用の排気管の封着用途では、結晶性のガラスが選択される。この用途では、排気管の封着工程後に軟化点付近、例えば400〜420℃まで熱処理温度が上がる真空排気工程がある。このため、非結晶性のガラスを用いると、真空排気工程でガラスが再軟化し、このことに起因して、平面表示装置等に気密リークが発生しやすくなる。そこで、このような事態を防止するために、本用途では結晶性のガラスを選択するのが好ましいとされている(例えば、特許文献3、4参照)。
特開昭63−315536号公報 特開平6−24797号公報 特開2001−122640号公報 特開2001−10843号公報
特許文献2に記載のビスマス系ガラスは、ガラス組成を選択すれば、結晶性のガラスを得ることができる。しかし、この結晶性のガラスは、ガラス組成中にガラス構成成分(結晶を構成しない成分)であるB23を13質量%以上含有し、且つ結晶を構成する成分であるZnOを含有していないため、熱処理を行っても、十分に結晶が析出せず、結晶析出後の熱処理工程でガラスが再軟化しやすく、結局のところ、真空排気工程でガラスが再軟化する上記問題を解決することができなかった。
更に、一般的に、ビスマス系ガラスは、鉛ホウ酸系ガラスと比べて熱的安定性が乏しく、つまり高温で失透しやすく、結晶の析出をコントロールすることが困難である。それ故、ビスマス系ガラスの結晶性を強めようとすると、封着工程で十分にガラスが流動する前に、ガラスが結晶化してしまい、封着材料としての機能を発揮できない場合が多い。
そこで、本発明は、熱処理工程、例えば封着工程で良好に軟化するとともに、軟化後に十分に結晶が析出し、しかも結晶析出後の熱処理工程、例えば真空排気工程で再軟化し難いビスマス系材料を得ることを技術的課題とする。
本発明者等は、鋭意努力の結果、ビスマス系ガラスのガラス組成範囲を、質量%で、ガラス組成として、質量%で、Bi 73.5〜84%、B 5.4〜15%、ZnO 10〜27%、CuO 0〜7%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しないと共に、ZnO含有耐火性フィラー粉末を所定量添加することで上記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のビスマス系材料は、体積%表示で、ビスマス系ガラス組成物からなるガラス粉末40〜99.9%と、耐火性フィラー粉末0.1〜60%とを含有するビスマス系材料であって、ガラス粉末が、ガラス組成として、質量%で、Bi 73.5〜84%、B 5.4〜15%、ZnO 10〜27%、CuO 0〜7%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しないと共に、耐火性フィラー粉末がZnO含有耐火性フィラー粉末であり、且つ結晶化温度が490〜570℃であることを特徴とする。ここで、本発明でいう「実質的にPbOを含有しない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm以下の場合を指す。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス組成範囲が上記のように規制されているため、結晶の析出(析出結晶量、結晶析出のタイミング、結晶化温度等)を容易にコントロールすることができる。すなわち、本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、低温で良好な流動性を示し、低温で良好に封着することができる。その上、ガラスが軟化した後に十分な量の結晶が析出するため、結晶化後の熱処理工程でガラスが再軟化し難く、例えば真空排気工程でガラスが再軟化し難く、平面表示装置等の気密信頼性を確保することができる。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、Biの含有量が73.5〜84質量%に規制されている。Biの含有量を73.5質量%以上にすれば、ガラスが低融点となり、低温で封着しやすくなる。一方、Biの含有量を84質量%以下にすれば、ガラスが軟化する前に、結晶が析出する事態を抑制することができ、封着工程で所望の流動性を確保しやすくなる。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、Bの含有量が5.4〜15質量%に規制されている。Bの含有量を5.4質量%以上にすれば、ガラスが軟化する前に、結晶が析出する事態を抑制することができ、封着工程で所望の流動性を確保しやすくなる。一方、Bの含有量を15質量%以下にすれば、結晶の析出を容易にコントロールすることができ、特に熱処理工程で十分な量の結晶を析出させやすくなる。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ZnOの含有量が10〜27質量%に規制されている。ZnOの含有量を10質量%以上にすれば、結晶の析出を容易にコントロールすることができ、特に低膨張の結晶を析出させて、ガラスの結晶化度を高めることができる。一方、ZnOの含有量を27質量%以下にすれば、結晶析出時期を遅らせることができるため、封着工程で所望の流動性を確保した上で、ガラスに結晶を析出させやすくなる。
また、本発明に係るビスマス系ガラス組成物において、析出する結晶は、Bi−B−ZnO系の結晶であり、これらの結晶は低膨張であることから、結晶の析出前後でガラスの熱膨張係数が変動し難く、封着工程後に被封着物に不当な応力が残留し難くなり、平面表示装置等の気密信頼性を確保することができる。また、本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ZnOの含有量を10質量%以上に規制しているため、これらの結晶を優先的に析出させることができる。
さらに、本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス組成中に実質的にPbOを含有しない。このようにすれば、近年の環境的要請を的確に満たすことができる。
発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス組成として、質量%で、Bi 73.5〜79.9%、B 5.4〜15%、ZnO 15〜27%、CuO 0〜5%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%、MoO+WO 0〜5%、Sb 0〜5%、In+Ga 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しないことが好ましい
発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス組成として、質量%で、Bi 73.5〜79.9%、B 5.6〜15%、ZnO 15〜27%、CuO 0〜5%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%、MoO+WO 0〜5%、Sb 0〜5%、In+Ga 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しないことが好ましい
発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス組成として、質量%で、Bi 73.5〜77%未満、B 5.4〜10%、ZnO 10〜15%未満、CuO 0〜7%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しないことが好ましい
本発明のビスマス系材料は、体積%表示で、上記のビスマス系ガラス組成物からなるガラス粉末40〜100%、耐火性フィラー粉末0〜60%含有することを特徴とし、結晶性であることが好ましい。なお、本発明でいう「結晶性」とは、示差熱分析(DTA)装置の測定(大気中、昇温速度10℃/分、室温から測定開始)で570℃までに結晶化ピークが発現するものを指し、550℃、特に530℃までに結晶化ピークが発現することが好ましい
本発明のビスマス系材料は、結晶化温度が490〜570℃である。また、本発明でいう「結晶化温度」とは、DTA装置の測定(大気中、昇温速度10℃/分、室温から測定開始)で結晶化ピークが発現する温度を指す。
発明のビスマス系材料は、耐火性フィラー粉末が、ZnO含有耐火性フィラー粉末であることに特徴付けられる。
発明のビスマス系材料は、耐火性フィラー粉末が、ウイレマイト、酸化亜鉛、ガーナイト、ZnO・Al・SiOの群より選ばれた一種または二種以上であることが好ましい
発明のビスマス系材料は、封着に用いることが好ましい
発明のビスマス系材料は、平面表示装置または電子部品の隔壁に用いることが好ましい
発明のビスマス系材料は、平面表示装置または電子部品のサイドフレームに用いることが好ましい
発明のタブレットは、ビスマス系材料を所定形状に焼結させたタブレットであって、該ビスマス系材料が上記のビスマス系材料であることに特徴付けられる。なお、本発明のタブレットは、特に形状は限定されないが、排気管の固定を想定した場合、リング状であることが好ましい。
発明のタブレット一体型排気管は、拡径された排気管の先端部に、上記のタブレットが取り付けられていることが好ましい。ここで、本発明において、「排気管の先端部」とは、拡径化された排気管の表面部位を指し、拡径化された部分においてパネルと接する側の排気管底面または排気管外周側面を指す。また、タブレットは、排気管の先端部のみに接着される態様だけでなく、排気管の先端部の一部に接着される態様を含む。
発明のタブレット一体型排気管は、拡径された排気管の先端部に、上記のタブレットと、高融点タブレットとが取り付けられており、且つ上記のタブレットが拡径された排気管の先端部側に取り付けられ、高融点タブレットが上記のタブレットよりも後端部側に取り付けられていることが好ましい。ここで、本発明でいう「高融点タブレット」とは、520℃未満で軟化変形しないタブレットを指し、例えば、ガラスタブレットの場合、DTA装置で測定した軟化点が520℃以上のタブレットを指す。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物において、ガラス組成範囲を上記のように限定した理由は下記の通りである。なお、以下の%表示は、特に断りがある場合を除き、質量%を指す。
Biは、ガラスの軟化点を下げるための主要成分であり、また析出結晶の結晶構成成分となる成分である。その含有量は73.5〜84%、好ましくは73.5〜79.9%、より好ましくは73.5〜79.3%、更に好ましくは73.5〜77%、特に好ましくは75〜77%未満である。Biの含有量が73.5%より少ないと、軟化点が上昇し、500℃以下の温度で封着し難くなる。Biの含有量が84%より多いと、ガラスの耐失透性が悪化し、封着工程で軟化する前に、ガラスに結晶が析出して、封着材料としての機能を発揮し難くなる。
23は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを構成するために必須の成分である。その含有量は5.4〜15%、好ましくは5.6〜11%、より好ましくは6.5〜10%、更に好ましくは7〜9%である。B23の含有量が5.4%より少ないと、ガラスの耐失透性が悪化し、封着工程でガラスが軟化する前に、ガラスに結晶が析出して、封着材料としての機能を発揮し難くなる。B23の含有量が15%より多いと、結晶の析出をコントロールし難くなり、特に熱処理工程で十分な量の結晶が析出し難くなる。
ZnOは、溶融時にガラスの失透を抑制する効果があり、また低膨張の結晶を析出させて、ガラスの結晶化度を高めるために必須の成分である。その含有量は10〜27%、好ましくは12〜24%、より好ましくは12〜22%である。ZnOの含有量が10%より少ないと、熱処理工程でガラスに低膨張の結晶が析出し難くなる。ZnOの含有量が27%より多いと、結晶の析出時期が早まり、封着工程で所望の流動性を確保し難くなる。更に、Bi23の含有量が60〜77%未満の場合、ZnOの含有量は10〜15%未満がより好ましく、12〜15%未満が特に好ましく、13.5〜15%未満が最も好ましい。
CuOは、ガラス溶融時の失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜7%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%、更に好ましくは0.1〜2%である。CuOの含有量が7%より多いと、ガラス組成のバランスを欠き、かえって溶融時にガラスが失透しやすくなる。
Fe23は、溶融時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0.1〜3%である。Fe23の含有量が5%より多いと、逆にガラスが熱的に不安定になる。
BaO、SrO、MgOおよびCaOは、ガラスの溶融時の失透を抑制する効果があり、その含有量は、合量(BaO+SrO+MgO+CaO)で0〜10%、好ましくは0〜7%、より好ましくは0.1〜5%である。これらの成分の合量が10%より多いと、ガラスの軟化点が上昇し、500℃以下の低温で封着し難くなる。
SiO2およびAl23は、ガラスの耐候性を高める効果があり、その含有量は合量(SiO2+Al23)で0〜5%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%である。これらの成分の合量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり、500℃以下の低温で封着し難くなる。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、上記成分以外にも、例えば、以下の成分を含有させることができる。
MoO3およびWO3は、結晶の析出時期をコントロールしやすくする成分であり、その含有量は合量(MoO3+WO3)で0〜5%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%である。これらの成分の合量が5%よりも多いと、ガラス組成のバランスを欠き、ガラスの熱的安定性が悪化しやすくなり、逆に結晶の析出時期をコントロールし難くなる。
Sb23は、結晶の析出時期をコントロールしやすくする成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0.1〜1%である。Sb23の含有量が5%より多いと、ガラス組成のバランスを欠き、ガラスが失透しやすくなり、逆に結晶の析出時期をコントロールし難くなる。
In23およびGa23は、結晶の析出時期をコントロールしやすくする成分であり、その含有量は合量(In23+Ga23)で0〜5%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%である。これらの成分の合量が5%より多いと、ガラス組成のバランスを欠き、ガラスが失透しやすくなり、逆に結晶の析出時期をコントロールし難くなる。
また、本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、任意成分として、さらに種々の成分を添加させることができる。例えば、LiO、NaO、KO、CsO、La、Gd、Y、CeO等を10%まで添加可能である。LiO、NaO、KOおよびCsO等のアルカリ金属酸化物は、ガラスの軟化点を低くする成分である。ただし、アルカリ金属酸化物は、ガラスの失透を促進する作用を有するため、その添加量は合量で2%以下に制限するのが好ましい。La、Gd、YおよびCeO等の希土類酸化物は、ガラスを熱的に安定化する成分であるが、これらの成分の合量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり、500℃以下の低温で封着し難くなる。
各成分の好適な含有範囲を適宜選択し、好ましいガラス組成範囲とすることができる。その中でも、より好ましいガラス組成範囲として、
(1)質量%で、Bi 73.5〜79.9%、B 5.4〜15%、ZnO 15〜27%、CuO 0〜5%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%、MoO+WO 0〜5%、Sb 0〜5%、In+Ga 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しない、
(2)質量%で、Bi 73.5〜79.9%、B 5.6〜15%、ZnO 15〜27%、CuO 0〜5%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%、MoO+WO 0〜5%、Sb 0〜5%、In+Ga 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しない、
(3)質量%で、Bi 73.5〜77%未満、B 5.4〜10%、ZnO 10〜15%未満、CuO 0〜7%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しない、
(4)質量%で、Bi 73.5〜79.9%、B 5.4〜11%、ZnO 15〜22%、CuO 0〜5%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%、MoO+WO 0〜5%、Sb 0〜5%、In+Ga 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しない、
(5)質量%で、Bi 73.5〜77%未満、B 6.5〜10%、ZnO 12〜15%未満、CuO 0〜7%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しない等のガラスが挙げられる。
ガラス組成範囲を上記範囲内に規制すれば、ガラスが軟化流動した後にBi23−B23−ZnO系の結晶を十分に析出させることができ、結果として、結晶の析出前後でガラスの熱膨張係数が変動し難く、封着工程後に被封着物に不当な応力が残留し難くなり、平面表示装置等の気密信頼性をより確保しやすくなる。
以上のガラス組成を有するビスマス系ガラス組成物は、500℃以下で良好な流動性を示し、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数が約90〜110×10-7/℃である。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、その粒度を調整することで結晶化温度を調節することができ、二段階の熱処理工程(熱処理工程が二回の場合)に対応することができる。例えば、460℃程度の低温で行う一次熱処理で、流動性を確保しつつ、ガラスの結晶化を完了させる場合には粒度を小さくすれば良く、例えば平均粒子径D50を0.1〜15μm、好ましくは0.2〜10μm未満にすればよい。また、一次熱処理で被封着物に融着させた後、二次熱処理でもう一方の被封着物に封着しながら、ガラスの結晶化を完了させる場合には、逆にビスマス系ガラス組成物のガラス粉末の粒度を大きくすれば良く、例えば平均粒子径D50を10超〜100μm、好ましくは15〜70μmとすればよい。ここで、「平均粒子径D50」は、レーザー回折法で測定した値を指す。
本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス粉末単独でも、結晶化させることができ、しかもBi−B−ZnO系結晶等が析出することから、ガラスの熱膨張係数を確実に低下させることができる。それ故、本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス粉末単独で封着材料として好適に使用することができる。また、本発明に係るビスマス系ガラス組成物は、ガラス基板との熱膨張係数差が適切である場合には、ガラス粉末単独で隔壁形成材料、サイドフレーム形成材料等として使用することもできる。
被封着物の熱膨張係数が低い場合、本発明に係るビスマス系ガラス組成物からなるガラス粉末に耐火性フィラー粉末を添加し、複合材料とするのが好ましい。ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の混合割合は、ビスマス系ガラス粉末40〜99.9体積%、耐火性フィラー粉末0.1〜60体積%であり、好ましくはビスマス系ガラス粉末40〜99体積%、耐火性フィラー粉末1〜60体積%、更に好ましくはビスマス系ガラス粉末50〜95体積%、耐火性フィラー粉末5〜45体積%、特に好ましくはビスマス系ガラス粉末60体積%以上90体積%未満、耐火性フィラー粉末10体積%超40体積%以下である。耐火性フィラー粉末の含有量が0.1体積%より小さいと、耐火性フィラー粉末を添加することによる効果が乏しくなる。耐火性フィラー粉末の含有量が60体積%より多いと、相対的にガラス粉末の含有量が少なくなり、ビスマス系材料の流動性が損なわれる傾向にある。
本発明のビスマス系材料において、耐火性フィラー粉末として、ウイレマイト等のZnO含有耐火性フィラー粉末を使用する。ZnO含有耐火性フィラー粉末に加えて、β−ユークリプタイト、ジルコン、酸化スズ、ムライト、石英ガラス、アルミナ等を一種または二種以上組み合わせて使用することができる。
その中でも、ZnO含有耐火性フィラー粉末を添加すれば、ビスマス系材料の結晶種を変化させることなく、結晶化度を高めることができる。ZnO含有耐火性フィラーとしては、例えばウイレマイト(2ZnO・SiO2)、ガーナイト(ZnO・Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、ZnO・Al23・SiO2等を一種または二種以上組み合わせて使用すればよい。特に、ウイレマイトは、熱膨張係数が小さく、上記の効果が顕著であるため、好ましい。なお、ZnO含有耐火性フィラー粉末を添加する場合、ガラス粉末において、ガラス組成中のB23の含有量を6.5%以上とするが好ましい。B23の含有量が6.5%未満であると、結晶化温度が低温側にシフトし過ぎて、所望の流動性を確保し難くなる傾向にある。
結晶核として作用する耐火性フィラー粉末、例えば酸化チタン、酸化鉄等を少量(例えば、0.1〜2%)添加すれば、ビスマス系ガラスの結晶化度を高めることができる。さらに、上記の耐火性フィラー粉末以外にも、ビスマス系材料の熱膨張係数の調整、流動性の調整および機械的強度の改善のために、シリカ、ジルコニア等の耐火性フィラー粉末を添加することができる。なお、結晶核として作用する耐火性フィラー粉末を添加する場合、ガラス粉末において、ガラス組成中のB23の含有量を6.5%以上とするのが好ましい。B23の含有量が6.5%未満であると、結晶化温度が低温側にシフトし過ぎて、所望の流動性を確保し難くなる。
本発明のビスマス系材料において、結晶化温度は490〜570℃であり、500〜540℃が好ましく、510〜530℃が更に好ましい。結晶化温度が490℃より低いと、結晶の析出時期が早くなり過ぎ、封着工程で所望の流動性を確保し難くなる。結晶化温度が570℃より高いと、封着工程で十分な量の結晶が析出しにくくなり、結晶析出後の熱処理工程、例えば真空排気工程でガラスが再軟化しやすくなり、平面表示装置等の気密信頼性を確保し難くなる。
ビスマス系材料の熱膨張係数は、被封着物に対して5〜30×10-7/℃、好ましくは7〜20×10-7/℃程度低く設計することが重要である。これは、封着工程後に封着層にかかる歪を圧縮側にして封着層の破壊を防ぐためである。特に、PDP用高歪点ガラス基板(熱膨張係数75〜90×10-7/℃)の場合、封着材料の好適な熱膨張係数は55〜80×10-7/℃である。また、VFD用ソーダガラス基板(熱膨張係数85〜100×10-7/℃)の場合、封着材料の好適な熱膨張係数は70〜90×10-7/℃である。
ビスマス系材料は、粉末のまま使用しても良いが、ビークルと均一に混練し、ペーストとして使用すると取り扱いやすい。ビークルは、主に有機溶媒と樹脂とからなり、樹脂はペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて塗布される。
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
有機溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、水、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
本発明のビスマス系材料は、所定形状に焼結し、タブレットとするのが好ましい。PDP等の平面表示装置において、排気管をパネルに封着させるために、リング状に成形加工されたタブレット(プレスフリット・ガラス焼結体・ガラス成形体等とも称される)が用いられている。タブレットには、排気管を挿入するための挿入孔が形成されており、この挿入孔に排気管を挿入し、排気管の先端部をパネルの排気孔の位置に合わせ、クリップ等で固定される。その後、タブレットの封着温度で熱処理を行い、タブレットを軟化させることにより、排気管がパネルに取り付けられる。本発明のビスマス系材料をタブレットに加工すれば、排気管の取り付けにあたって、排気設備への接続を容易にできるとともに、排気管の傾きをパネルに対して低減することができ、すなわちパネル面に対し垂直に取り付けることができ、更には平面表示装置の発光能力を維持しつつ気密信頼性が保たれるように取り付けることができる。特に、本発明のタブレットは、封着工程で所望の流動性を確保することができ、更に結晶化後の耐熱性が良好であるため、PDPの排気管の固定に好適である。
本発明のタブレットは、以下のように複数回の熱工程を別途独立に経て、製造する。まず、ビスマス系材料にバインダーや溶剤を添加し、スラリーを形成する。その後、このスラリーをスプレードライヤー等の造粒装置に投入し、顆粒を作製する。その際、顆粒は、溶剤が揮発する程度の温度(100〜200℃程度)で熱処理される。さらに、作製された顆粒は、所定の寸法に設計された金型に投入され、リング状に乾式プレス成形され、プレス体が作製される。次に、ベルト炉等の熱処理炉にて、このプレス体に残存するバインダーを分解揮発させるとともに、ビスマス系ガラスの軟化点程度の温度で焼結し、タブレットが作製される。また、熱処理炉での焼結は、複数回行われる場合がある。焼結を複数回行うと、タブレットの強度が向上し、タブレットの欠損、破壊等を効果的に防止することができる。
本発明のタブレットは、拡径された排気管の先端部に取り付けてタブレット一体型排気管として用いることが好ましい。以上のような構成にすれば、パネル、タブレットおよび排気管の3つの部品を排気孔での中心位置合わせを同時に行う必要がなく、排気管取り付け作業を簡略化することができる。このようなタブレット一体型排気管を製造するためには、排気管の一端にタブレットを接触させた状態で熱処理し、タブレットを排気管の先端部に接着させておく必要がある。このような場合、一般に排気管を治具により固定し、この状態の排気管にタブレットを挿入し熱処理する方法を採用することができる。排気管を固定する治具は、タブレットが融着しない材質を用いることが好ましく、例えば、カーボン治具等が使用可能である。また、排気管とタブレットの接着は、ビスマス系ガラスの軟化点付近で5〜10分程度の短時間で行えばよい。さらに、本発明のタブレットは、封着工程で所望の流動性を確保することができるとともに、被封着物とタブレットの封着強度が良好である。さらに、封着工程でタブレットが流動した後に、十分な量の結晶が析出するため、その後の熱処理工程でタブレットが再軟化し難く、平面表示装置等の気密信頼性を確保することができる。
排気管としては、アルカリ金属酸化物を所定量含有させたSiO2−Al23−B23系ガラスが好適であるが、特に日本電気硝子株式会社製の商品グレード「FE−2」が好適である。この排気管は、熱膨張係数が85×10-7/℃、耐熱温度が550℃であり、寸法が、例えば外径5mm、内径3.5mmである。また、排気管の先端部分を拡径化するのが好ましく、先端部にフレア部またはフランジ部を形成するのが好ましい。排気管の先端部分を拡径化する方法として、種々の方法を採用することができる。特に、排気管の先端部を回転させながらガスバーナーを用いて加熱し、数種類の治具を用いて所定の形状に加工する方法が量産性に優れるため好ましい。
このような構成のタブレット一体型排気管の一例を図1に示す。図1は、タブレット一体型排気管の断面図であり、排気管1の先端部が拡径化されており、排気管のパネル側の先端部分にタブレット2が接着されている。
本発明のタブレット一体型排気管は、拡径された排気管の先端部にタブレットと、高融点タブレットとが取り付けられており、且つタブレットを拡径された排気管の先端部側に取り付けて、高融点タブレットをタブレットよりも後端部側に取り付けることが好ましい。タブレット一体型排気管をこのような構成にすれば、タブレットが排気管の先端部側に取り付けられているので、パネル等に排気管を取り付ける際にパネル等と接触する面積は、排気管だけの場合よりも広くなり、安定してパネル等の上に排気管を自立させることができ、パネル等に対して傾くことなく垂直に取り付けることが容易になる。また、タブレット一体型排気管をこのような構成にすれば、タブレット一体型排気管を製造する工程において、タブレットを排気管に固着させる際、治具とタブレットの間に高融点タブレットを配置させることにより、タブレット一体型排気管を製造することができ、つまりタブレット一体型排気管の製造において、特殊な治具を使用する必要がなくなり、製造工程を簡略化することができる。
上記構成のタブレット一体型排気管において、タブレットは、好ましくはガラス管の先端部の外周面に固着され、更に好ましくはガラス管の先端部の外周面のみに固着され、ガラス管先端部の先端面、すなわちパネル等と接着する面には固着されない。このようにすれば、パネル等に形成された排気孔へガラスが流れ込む事態を容易に防止できる。また、高融点タブレットは、排気管に直接接着せず、タブレットを介して排気管に固定すれば、封着工程で高融点タブレット部分をクリップで固定した状態で排気管を加圧封着できるため、好ましい。
高融点タブレットとしては、日本電気硝子株式会社製の商品グレード「ST−4」、「FN−13」を材料として用いるのが好ましい。高融点タブレットは、上記の方法で作製することができる。また、高融点タブレットの材質として、セラミックス、金属等を用いることもできる。
図2にこのような構成のタブレット一体型排気管の一例を示す。図2は、タブレット一体型排気管の断面図であり、排気管1の先端部が拡径化されており、排気管1のフランジ部分1a外周面側の先端部分にタブレット2が接着している。一方、高融点タブレット3は排気管1の外周面側に接着していない。また、タブレット2は、フランジ部分1aの先端部側に取り付けられて、高融点タブレット3がタブレット2よりもフランジ部分1aの後端部側に取り付けられている。
本発明のビスマス系材料は、封着材料として使用することが好ましい。その場合、本発明のビスマス系材料は、低温で封着可能であるため、耐熱性の乏しい部材の特性を劣化させることなく、封着することができる。また、本発明のビスマス系材料は、平面表示装置または電子部品の封着に使用することが好ましい。平面表示装置は、低温で封着することができれば、それだけ製造効率が向上するとともに、蛍光体等の他部材の特性劣化を防止することができる。一方、電子部品は、高温で特性が劣化する部材(例えば、水晶振動子パッケージの導電接着剤)を使用する場合がある。よって、本発明のビスマス系材料は、低温で封着可能であるため、これらの用途に好適である。
本発明のビスマス系材料は、PDPの封着に使用することが好ましい。PDPでは、封着工程の後、排気管を通してPDP内部を真空排気した後、希ガスを必要量注入して排気管を封止する。この真空排気工程は、排気効率を上げるため、できるだけ高温で行うことが好ましい。この点、本発明のビスマス系材料は、ガラスが流動した後に結晶が多く析出するため、その後の真空排気工程で再軟化し難く、排気温度を上昇させることができる。同様の理由により、本発明のビスマス系材料は、前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着材料としても好適である。
本発明のビスマス系材料は、平面表示装置または電子部品の隔壁形成材料として使用することが好ましい。本発明のビスマス系材料は、低温で焼結可能であることに加えて、焼結後に十分な量の結晶が析出するため、その後の熱処理工程で寸法変化が生じ難い。さらに、耐火性フィラー粉末を一定量含有させれば、隔壁の機械的強度、寸法安定性を更に高めることができる。なお、本発明のビスマス系材料は、低温で焼結可能であるとともに、結晶化後の耐熱性に優れることから、隔壁の一部を形成する目的、つまり隔壁の欠損部分を修復する目的で使用することもできる。
本発明のビスマス系材料は、平面表示装置または電子部品のサイドフレーム(支持枠、側面スペーサー)形成材料として使用することが好ましい。本発明のビスマス系材料は、ビスマス系ガラス組成物のガラス組成を上記範囲に規制していることから、サイドフレームの焼結工程後に結晶が析出し、サイドフレーム形成の際、サイドフレームを安定して形成することできるとともに、サイドフレームの寸法精度を容易に向上させることができる。さらに、ビスマス系ガラス粉末に耐火性フィラー粉末を添加すれば、サイドフレームの熱膨張係数を調整しやすくなり、サイドフレームの機械的強度を高めやすくなる。その結果、平面表示装置の装置内部が真空状態であっても装置内部を確実に支持することができるとともに、平面表示装置に機械的衝撃が与えられても、サイドフレームを起点にクラックが発生し難くなる。また、本発明のビスマス系材料は、上記のようにガラス組成範囲が規制されていることから、高歪点ガラス基板の歪点以下の温度(例えば、570℃以下)で緻密に焼結し、高歪点ガラス基板の歪点以下の温度でサイドフレームを形成することができる。
特に、本発明のビスマス系材料は、FEDのサイドフレームに使用することが好ましい。本発明のビスマス系材料は、結晶の析出をコントロールしやすいため、サイドフレームの寸法精度を容易に向上させることができる。その結果、前面ガラス基板と背面ガラス基板の間隔を均一にすることができ、FEDの装置内部で前面板と背面板の間に印加される加速電圧にばらつきが生じたり、蛍光体に衝突する電子の速度が変化したりして、FEDの輝度特性に悪影響を及ぼす事態が生じ難い。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
表1〜4は本発明に係るビスマス系ガラス組成物の実施例(試料a〜o、s)を示しており、表5は本発明に係るビスマス系ガラス組成物の比較例(試料u〜x)を示している。なお、試料p、q、r、tは参考例である。
Figure 0005403476
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表1〜5に記載の各試料は次のようにして調製した。
まず、表に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて900〜1200℃で1〜2時間溶融した。次に、溶融ガラスの一部を熱膨張係数測定用試料としてステンレス製の金型に流し出し、その他の溶融ガラスは、水冷ローラーにより、薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き200メッシュの篩いを通過させて、平均粒子径D50が10μmの各試料を得た。
各試料につき、ガラス転移点、軟化点、熱膨張係数、結晶化温度および結晶性について評価した。
ガラス転移点および熱膨張係数は、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置により求めた。
軟化点は、DTA装置により求めた。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。
結晶化温度は、DTA装置で測定した。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。また、結晶化温度より20℃低い温度で熱処理した焼成体を試料として、TMA装置により、500℃以下の温度領域におけるガラス転移点の有無および熱膨張係数を測定した。
結晶性の評価は、DTA装置により、570℃以下の温度で結晶化ピークが発現し、且つ、結晶化温度よりも20℃低い温度で熱処理した後、TMA装置で測定し、500℃以下の温度領域においてガラス転移点、屈伏点を示さない試料を「○」とし、それ以外の試料を「×」とした。
表6〜9は本発明の実施例(試料No.1〜6、9〜16、20)を示しており、表10は本発明の比較例(試料No.21〜24)を示している。なお、試料No.7、8、17〜19は参考例である。
Figure 0005403476
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表6〜10に示す割合でガラス粉末と耐火性フィラー粉末を混合し、ビスマス系材料(試料No.1〜24)を作製した。
耐火物フィラーとしては、ウイレマイトおよび二酸化スズ(錫石)を用いた。ウイレマイトの平均粒子径D50は11μmであり、二酸化スズの平均粒子径D50は8μmであった。
以上の試料を用いて、軟化点、結晶化温度、熱膨張係数、ガラス転移点、流動径および表面状態を評価した。
軟化点は、DTA装置により測定した。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。結晶化温度は、DTA装置で測定した。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。
熱膨張係数、500℃以下の温度領域におけるガラス転移点の有無は、表6〜10に記載の熱処理条件で熱処理した試料を用いて、TMA装置により測定した。
流動径は、ビスマス系材料の真比重に相当する質量の粉末を金型により外径20mmのボタン状にプレスし、次に得られたボタン試料を高歪点ガラス基板上に載置した後、電気炉で10℃/分で昇温し、表6〜10に記載の熱処理温度で10分間保持した後、10℃/分の速度で降温し、得られたボタン試料の直径をデジタルノギスで測定し、評価した。
表面状態は、顕微鏡で観察し、上記ボタン表面全体に結晶が析出しているものを「○」とし、ボタン表面全体に結晶が析出していないものを「×」として評価した。
表6〜9から明らかなように、試料No.1〜6、9〜16、20は、30〜300℃における熱膨張係数がソーダガラス基板や高歪点ガラス基板等に整合しており、封着材料として好適であると考えられる。また、試料No.1〜20は、表に示した熱処理条件で18mm以上の流動径を示し、良好な流動性を有しており、しかもガラスが軟化した後に結晶化するため、ガラス基板等に強固に融着しており、封着性能も優れていた。さらに、試料No.1〜6、9〜16、20は、耐火物フィラー粉末としてウイレマイトを用いており、熱処理後のボタンの表面が十分に結晶化しており、非結晶性のガラスに特有の性質であるガラス転移点が500℃以下の温度領域で観察されなかった。よって、試料No.1〜6、9〜16、20は、高密度に結晶化している(結晶化度が高い)と考えられる。
一方、表10に示す試料No.21は、耐火物フィラー粉末としてウイレマイトを使用し、ボタン表面はマット状態であったものの、軟化点以下の温度でガラス転移点が確認でき、低密度に結晶化している(結晶化度が低い)と考えられる。試料No.22〜24は、耐火物フィラー粉末としてウイレマイトを使用しており、流動径が20mm以上であり、良好な流動性を示しているが、ボタンの表面には光沢があり、ボタンの表面が結晶化していなかった。
本発明のビスマス系材料は、PDP、FED、VFDおよび陰極線管(CRT)の封着材料、PDPの隔壁形成材料、PDP、FEDおよびVFDのサイドフレーム形成材料、水晶振動子、ICパッケージ等の電子部品の封着材料、磁気ヘッド−コア同士またはコアとスライダーの封着材料として好適である。
本発明のタブレット一体型排気管を示す断面図である。 本発明のタブレット一体型排気管を示す断面図である。
符号の説明
1 排気管
2 タブレット
3 高融点タブレット

Claims (10)

  1. 体積%表示で、ビスマス系ガラス組成物からなるガラス粉末40〜99.9%と、耐火性フィラー粉末0.1〜60%とを含有するビスマス系材料であって、
    ガラス粉末が、ガラス組成として、質量%で、Bi 73.5〜84%、B 5.4〜15%、ZnO 10〜27%、CuO 0〜7%、Fe 0〜5%、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%、SiO+Al 0〜5%含有し、且つ実質的にPbOを含有しないと共に、
    耐火性フィラー粉末がZnO含有耐火性フィラー粉末であり、且つ結晶化温度が490〜570℃であることを特徴とするビスマス系材料。
  2. ガラス粉末中のZnOの含有量が13.5質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のビスマス系材料。
  3. ガラス粉末中のCuOの含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビスマス系材料。
  4. 耐火性フィラー粉末が、ウイレマイト、酸化亜鉛、ガーナイト、ZnO・Al・SiOの群より選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビスマス系材料。
  5. 封着に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のビスマス系材料。
  6. 平面表示装置または電子部品の隔壁に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のビスマス系材料。
  7. 平面表示装置または電子部品のサイドフレームに用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のビスマス系材料。
  8. ビスマス系材料を所定形状に焼結させたタブレットであって、該ビスマス系材料が請求項1〜7のいずれかに記載のビスマス系材料であることを特徴とするタブレット。
  9. 拡径された排気管の先端部に、請求項8に記載のタブレットが取り付けられていることを特徴とするタブレット一体型排気管。
  10. 拡径された排気管の先端部に、請求項8に記載のタブレットと、高融点タブレットとが取り付けられており、且つ前記タブレットが拡径された排気管の先端部側に取り付けられ、高融点タブレットが前記タブレットよりも後端部側に取り付けられていることを特徴とするタブレット一体型排気管。
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