JP5476691B2 - 封着材料 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品または平面表示装置等に好適な封着材料に関するものである。特に、本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着に好適な封着材料に関するものである。
従来から平面表示装置等の封着材料としてガラスが用いられている。ガラスは、樹脂系の接着剤に比べ、化学的耐久性および耐熱性に優れるとともに、平面表示装置等の気密性を確保するのに適している。
これらのガラスは、用途によっては機械的強度、流動性、電気絶縁性等様々な特性が要求されるが、少なくとも平面表示装置等に使用される蛍光体の蛍光特性を劣化させない温度で使用可能であることが要求される。それゆえ、上記特性を満足するガラスとして、低融点の鉛ホウ酸系ガラスが広く用いられてきた(特許文献1参照)。
ところが、最近、鉛ホウ酸系ガラスに含まれるPbOに対して環境上の問題が指摘されており、鉛ホウ酸系ガラスから無鉛ガラスに置き換えることが望まれている。そのため、鉛ホウ酸系ガラスの代替品として、様々な低融点の無鉛ガラスが開発されている。その中でも特許文献2等に記載されているビスマス系ガラス(Bi−B系ガラス、Bi、Bを必須成分として含有するガラス)は、熱膨張係数等の諸特性が鉛ホウ酸系ガラスと略同等であるため、その代替候補として期待されているが、流動性および熱的安定性等の特性において、依然として鉛ホウ酸系ガラスに及ばないのが実情である。
さらに、封着材料は、一般的に、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する複合材料であり、従来、耐火性フィラー粉末として、低膨張のチタン酸鉛等が使用されてきた。しかし、ガラスの場合と同様にして、チタン酸鉛等も無鉛の耐火性フィラーに置き換えることが望まれている。
ところで、PDPは、以下のような製造工程で作製され、PDPの作製に使用される封着材料は、以下のような熱処理工程を経る。まず、PDPの背面ガラス基板の外周縁部にビークル内に分散された封着材料を塗布した後、ビークル成分を熱分解または焼却して、一次焼成(グレーズ工程、仮焼成工程)を行う。封着材料を均一に分散させるビークルは、有機溶媒や樹脂等を含有している。一般的に、樹脂は、ガラスの軟化点以下の温度で良好に熱分解するニトロセルロースまたはアクリル樹脂等が使用されている。封着材料とビークルは、三本ロールミル等の混練装置を用いて、均一に混練することにより、ペーストに加工される。一次焼成は、樹脂が完全に熱分解する温度条件で行われる。一次焼成において、仮に樹脂の熱分解が不完全であると、その後に供される二次焼成(封着工程、シール工程)でガラス中に樹脂の残渣が残存し、その結果、ガラスに失透または泡等の致命的な欠陥が生じやすくなる。次に、前面ガラス基板と背面ガラス基板の位置合わせを行った上で、二次焼成を行い、前面ガラス基板と背面ガラス基板を封着する。最後に、排気管を通してPDP内部を真空排気した後、希ガスを必要量注入して排気管を封止する。このようにしてPDPは作製される。
特開昭63−315536号公報 特開平6−24797号公報
既述の通り、PDPは、一次焼成工程、二次焼成工程、真空排気工程を経て、製造される。通常、一次焼成工程、二次焼成工程は、大気中で行われ、真空排気工程は、高真空の減圧雰囲気で行われる。真空排気工程は、装置内部を高真空にするために、長時間(通常、430℃で7〜10時間)を要する工程となっており、PDPの製造効率を低下させる一因となっている。このような事情に鑑み、近年、PDPの製造効率を高めるために、真空排気工程を高温で行う試みが検討されている。真空排気工程を高温、具体的には450〜500℃で行うと、装置内部を短時間で高真空状態にすることができるため、PDPの製造効率を大幅に高めることができる。
また、真空排気工程を450〜500℃で行うと、装置内部の残存ガス量や不純物の含有量を低減できるため、換言すれば装置内部の真空度を高めることができるため、装置内部の希ガスの純度を高めることができ、その結果、PDPの輝度特性を高めることができる。
しかし、真空排気工程を450〜500℃で行うと、以下のような問題が生じる。
PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着には、一般的に、非晶質のガラス粉末を用いた封着材料が使用される。PDPの一次焼成工程、二次焼成工程は、蛍光体等の劣化を防止するために、530℃以下、好ましくは510℃以下の温度で行う必要があり、これに伴って、封着材料は、530℃以下の温度で良好に流動することが要求される。封着材料を530℃以下の温度で良好に流動させるためには、ガラスの軟化点を低下させる必要があるが、このような場合において、真空排気工程を450℃以上で行うと、真空排気工程でガラスが再軟化し、封着材料が装置内部に引き込まれて、PDPの気密信頼性が損なわれやすくなる。また、装置内部に引き込まれた封着部位は、機械的衝撃により、破損しやすく、PDPの気密信頼性が損なわれやすくなる。
また、ビスマス系ガラスは、鉛ホウ酸系ガラスに比べて、ガラスの軟化点が高いため、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、従来、ビスマス系ガラス粉末の軟化点を低下させることにより、封着材料の流動性を向上させることが主な技術的課題であった。しかし、従来の手法で、封着材料の流動性を高めると、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなり、真空排気工程を高温化することが困難になる。
そこで、本発明は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、530℃以下の温度で良好に流動するとともに、450〜500℃の真空排気工程で変形し難い封着材料を得ることにより、PDP等の特性および製造効率を向上させることを技術的課題とする。
本発明者は、鋭意努力の結果、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲を、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 73〜90%、B 2〜12%、Al 0〜5%、ZnO 1〜20%、BaO 0〜10%、CuO 0〜5%、Fe 0〜3%、CeO 0〜5%、Sb 0〜5%に規制するとともに、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成において質量比Bi/Bの値を11以下に規制し、且つ耐火性フィラー粉末として、アルミナ(Al、Alumina)を1〜25体積%含有させることで、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、ビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 73〜90%、B 2〜12%、Al 0〜5%、ZnO 1〜15%、BaO 0〜10%、CuO 0〜5%、Fe 0〜3%、CeO 0〜5%、Sb 0〜5%を含有し、質量比Bi/Bの値が11以下であり、且つ耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜25体積%含有し、アルミナの平均粒子径D 50 が3〜25μmであることを特徴とする。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜25体積%含有している。封着材料中にアルミナを1体積%以上含有させると、熱処理工程でガラスが変形し難くなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれにくくなる。その一方で、アルミナの含有量を25体積%以下に規制すれば、二次焼成工程で封着材料の流動性を確保することができる。つまりアルミナの含有量を1〜25体積%に規制すれば、一次焼成工程で封着材料の流動性が損なわれる事態を防止できるとともに、真空排気工程を450〜500℃で行っても、封着材料が装置内部に引き込まれにくくなり、装置内部を短時間で高真空状態にすることができる。その結果、PDPの製造効率および輝度特性を高めることができる。
本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲およびガラス組成比を上記のように規制している。このようにすれば、ガラスの熱的安定性を高めることができ、一次焼成工程および二次焼成工程でビスマス系ガラスが失透し難くなり、PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着強度を高めることができる。
また、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲を上記のように規制すれば、ガラスの軟化点を低下できるため、封着材料の流動性を高めることができ、封着材料を530℃以下の温度で良好に流動させることができる。さらに、このようにすれば、ガラス組成中にPbOを含有しなくても、ガラスの軟化点を低下できるため、近年の環境的要請を満たすことができる。また、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成比Bi/Bの値を上記のように規制すれば、真空排気工程で封着材料の引き込みを的確に防止することができる。
発明の封着材料は、アルミナの平均粒子径D50〜25μmであることが好ましい。ここで、「平均粒子径D50」は、レーザー回折法で測定した値を指す。
発明の封着材料は、アルミナの10%粒子径D10が1〜5μmおよび/または90%粒子径D90が10〜35μmであることが好ましい。ここで、「10%粒子径D10」および「90%粒子径D90」は、レーザー回折法で測定した値を指す。また、「10%粒子径D10」は、積算粒子量が10%になる粒子径(体積)であり、「90%粒子径D90」は、積算粒子量が90%になる粒子径(体積)である。
発明の封着材料は、非結晶性であることが好ましい。ここで、「非結晶性」とは、示差熱分析(DTA)で550℃以上、好ましくは570℃以上の温度で結晶化ピークが発現しないものを指す。なお、DTAは、大気中で行い、昇温速度10℃/分、室温から測定を開始する。
結晶性の封着材料は、一旦、ガラスに結晶が析出すると、ガラスが軟化変形し難くなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれる事態を防止することができる。しかし、結晶性の封着材料は、ガラスの溶融工程、粉砕工程、耐火性フィラー粉末の混合工程等で発生する不純物により、結晶の析出時期が容易に変動し、封着材料の製造ロットによって、結晶の析出時期が変動しやすい性質を有している。PDP等の平面表示装置は、既述の通り、複数回の熱処理工程を経るため、結晶性の封着材料を使用すると、前面ガラス基板と背面ガラス基板を安定して封着することが困難になる。具体的には、一次焼成工程でガラスに結晶が析出すれば、二次焼成工程でガラスに析出した結晶が成長して、封着材料の流動性が低下し、その結果、前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着強度が低下しやすくなり、PDPの気密信頼性も確保し難くなる。その点、封着材料が非結晶性であれば、上記の問題は生じず、封着材料の製造工程で発生する不純物により、封着材料の特性が変動し難く、前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着強度を確保することができる。
発明の封着材料は、実質的にPbOを含有しないことが好ましい。ここで、本発明でいう「実質的にPbOを含有しない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm以下の場合を指す。このようにすれば、近年の環境的要請を満たすことができる。
発明の封着材料は、PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着に用いることが好ましい
発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、(1)ビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 73〜90%、B 2〜12%、ZnO 1〜15%を含有し、質量比Bi /B の値が11以下であり、)耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜25体積%含有し、且つアルミナの平均粒子径D 50 が3〜25μmであり、)軟化点が530℃以下であり、()封着材料を緻密に焼結させたものを測定試料とし、室温から450℃まで昇温速度3℃/分で昇温した後、450℃で20分間保持したときの粘度が106.0dPa・s以上であることを特徴とする。ここで、「軟化点」は、マクロ型示差熱分析(マクロ型DTA)装置で測定した第四変局点を指す。なお、マクロ型DTAは、大気中で室温から測定を開始し、昇温速度を10℃/分とする。また、「緻密に焼結させたもの」は、焼結体の表面に結晶が析出しておらず、光沢がある状態のもの(例えば、軟化点+50℃で20分間焼結させたもの)を用い、「450℃で20分間保持したときの粘度」は、平行板粘度計で測定することができる。
本発明の封着材料において、アルミナの含有量を1〜25体積%に規制すれば、封着材料の流動性が損なわれる事態を防止できるとともに、真空排気工程を450〜500℃で行っても、封着材料が装置内部に引き込まれにくくなり、装置内部を短時間で高真空状態にすることができる。その結果、PDPの製造効率および輝度特性を高めることができる。また、本発明の封着材料において、ガラスの軟化点を530℃以下に規制すれば、封着材料の流動性を高めることができ、530℃以下の温度で封着材料を良好に流動させることができる。さらに、本発明の封着材料において、450℃で20分間保持したときの粘度を106.0dPa・s以上に規制すれば、真空排気工程で封着材料の変形を抑制することができ、封着材料の引き込みを防止しやすくなる。
発明の封着材料は、450℃で20分保持したときの粘度変化が100.5dPa・s以下であることが好ましい。このようにすれば、真空排気工程で、封着材料の変形を抑制することができ、封着材料の引き込みを防止しやすくなる。ここで、「450℃20分保持したときの粘度変化」は、平行板粘度計で測定することができる。
本発明の封着材料において、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲を上記のように限定した理由を以下に示す。
Biは、軟化点を下げるための主要成分である。その含有量は73〜90%、好ましくは73〜84%、より好ましくは73〜82%、更に好ましくは75〜77%未満である。Biの含有量が73%より少ないと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、530℃以下の温度で封着しにくくなる。一方、Biの含有量が90%より多いと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または焼成時にガラスが失透しやすくなる。
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを形成する成分であり、必須成分である。その含有量は2〜12%、好ましくは3〜10%、より好ましくは4〜10%、更に好ましくは5〜9.6%である。Bの含有量が2%より少ないと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または焼成時にガラスが失透しやすくなる。一方、Bの含有量が12%より多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎ、530℃以下の温度で封着しにくくなる。
質量比Bi/Bは、ビスマス系ガラスの熱的安定性および軟化特性に大きく影響を及ぼす成分比率である。また、ビスマス系ガラスにおいて、BiとBは、ガラスの骨格を形成する主要成分であるとともに、両成分はガラス組成中の含有比率が高いことから、ビスマス系ガラスの特性を決定付ける成分と考えられる。Biは、ガラスの軟化点を低下させる成分であり、Bに対しBiの含有量が多くなるにつれて、ガラスの軟化点が低下する傾向がある。その一方、ガラスの熱的安定性が乏しくなり、ガラスに失透が生じやすくなる。また、Bは、ガラスの熱的安定性を向上させる成分であり、Biに対しBの含有量が多くなるにつれて、ガラスの熱的安定性が向上する。その一方、ガラスの軟化点が上昇する傾向がある。したがって、BiとBは、その特性がトレードオフの関係にあり、質量比Bi/Bの値を所定範囲に規制すれば、ガラスの軟化点と熱的安定性を最適化することが可能になり、二次焼成工程で封着材料の流動性を確保しつつ、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれる事態を防止しやすくなる。質量比Bi/Bは11以下、好ましくは10.8以下、より好ましくは6〜10.2、更に好ましくは7.8〜9.9である。質量比Bi/Bの値が11より大きいと、ガラスの軟化点は低下するが、一次焼成工程でガラスが失透しやすくなる、或いは真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。
Alは、ガラスの耐候性を向上させる成分である。その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%である。Alの含有量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、530℃以下の温度で封着することが困難になる。
ZnOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果がある成分である。その含有量は1〜15%、好ましくは2〜11%、より好ましくは3〜9%、更に好ましくは4〜8%である。ZnOの含有量が1%より少ないと、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果が得られにくくなる。ZnOの含有量が15%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。
BaO、SrO、MgO、CaOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果がある成分である。これらの成分は合量で15%までガラス組成中に添加することができる。これらの成分の合量が15%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、530℃以下の温度で封着し難くなる。
BaOの含有量は0〜10%が好ましく、0〜8%がより好ましく、1〜7%が更に好ましい。BaOの含有量が10%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、BaOの含有量を1%以上(望ましくは3%以上)とするのが好ましい。
SrO、MgO、CaOのそれぞれの含有量は0〜5%が好ましく、0〜2%がより好ましい。各成分の含有量が5%より多いと、ガラスが失透、或いは分相しやすくなる。
CuOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果があり、5%まで添加することができる。CuOの含有量が5%より多いと、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、CuOを微量添加するのが好ましく、具体的には、CuOの含有量を0.01%以上(望ましくは0.1%以上、より望ましくは1%以上)とするのが好ましい。
Feは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果があり、その含有量は0〜3%が好ましく、0〜2%がより好ましい。Feの含有量が3%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、Feを微量添加するのが好ましく、具体的には、Feの含有量を0.01%以上(望ましくは0.1%以上)とするのが好ましい。
CeOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果があり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。CeOの含有量が5%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、CeOを微量添加するのが好ましく、具体的には、CeOの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Sbは、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0.1〜1%である。Sbは、ビスマス系ガラスのネットワーク構造を安定化させる効果があり、ビスマス系ガラスにおいて、Sbを適宜添加すれば、Biの含有量が多い場合、例えばBiの含有量が76%以上であっても、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。ただし、Sbの含有量が5%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、Sbを微量添加するのが好ましく、具体的には、Sbの含有量を0.1%以上(望ましくは0.4%以上)とするのが好ましい。
なお、ビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、上記成分以外にも、例えば以下の成分を合量で20%、好ましくは10%までガラス組成中に含有させることができる。
SiOは、ガラスの耐候性を向上させる成分である。その含有量は0〜10%、好ましくは0〜3%である。SiOの含有量が10%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、530℃以下の温度で封着することが困難になる。
WOは、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜10%が好ましく、0〜2%がより好ましい。ただし、WOの含有量が10%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。
In、Gaは必須成分ではないが、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は合量で0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましい。ただし、In、Gaの含有量が合量で5%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。なお、Inの含有量は0〜1%がより好ましく、Gaの含有量は0〜0.5%がより好ましい。
Li、Na、KおよびCsの酸化物は、ガラスの軟化点を低くする成分であるが、溶融
時にガラスの失透を促進する作用を有するため合量で2%以下とするのが好ましい。
は、溶融時にガラスの失透を抑制する成分であるが、その添加量が1%より多いと、溶融時にガラスが分相しやすくなるため好ましくない。
MoO、La、YおよびGdは、溶融時にガラスの分相を抑制する成分であるが、これらの合量が3%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、530℃以下の温度で焼成しにくくなる。
また、その他の成分であっても、ガラスの特性を損なわない範囲で15%(好ましくは5%)までガラス組成中に添加することができる。
以上のガラス組成を有するビスマス系ガラスは、530℃以下の温度で良好な流動性を示す非晶質のガラスであり、30〜300℃における熱膨張係数が約100〜120×10−7/℃である。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜25体積%、好ましくは2〜18体積%、より好ましくは3〜14体積%含有する。アルミナは、焼成後の封着部位の形状維持に顕著な効果がある成分である。アルミナが1体積%より少ないと、形状維持効果が乏しくなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。一方、アルミナが25体積%より多いと、封着材料が流動し難くなり、一次焼成工程および二次焼成工程で所望の流動性を確保し難くなる。
本発明の封着材料において、アルミナの10%粒子径D10は1〜5μmが好ましく、2〜4μmがより好ましい。アルミナの10%粒子径D10が1μmより小さいと、焼成時にアルミナがガラス中に溶け込みやすくなるため、封着材料が流動し難くなり、一次焼成工程および二次焼成工程で所望の流動性を確保し難くなる。一方、アルミナの10%粒子径D10が5μmより大きいと、アルミナの形状維持効果が乏しくなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。
本発明の封着材料において、アルミナの平均粒子径D50は3〜25μmであり、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。アルミナの平均粒子径D50が3μmより小さいと、焼成時にアルミナがガラス中に溶け込みやすくなるため、封着材料が流動し難くなり、一次焼成工程および二次焼成工程で所望の流動性を確保し難くなる。一方、アルミナの平均粒子径D50が25μmより大きいと、アルミナの形状維持効果が乏しくなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。
本発明の封着材料において、アルミナの90%粒子径D90は10〜35μmが好ましく、17〜30μmがより好ましい。アルミナの90%粒子径D90が10μmより小さいと、焼成時にアルミナがガラス中に溶け込みやすくなるため、封着材料が流動し難くなり、一次焼成工程および二次焼成工程で所望の流動性を確保し難くなる。一方、アルミナの90%粒子径D90が35μmより大きいと、アルミナの形状維持効果が乏しくなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。
本発明の封着材料において、アルミナの比表面積は0.1〜3m/gが好ましく、0.5〜2m/gがより好ましい。ここで、本発明でいう「比表面積」とは、気体吸着BET法で測定した値を指し、JIS R1626に準拠した方法により測定した値を指す。アルミナの比表面積が0.1m/gより小さいと、アルミナの形状維持効果が乏しくなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。一方、アルミナの比表面積が3m/gより大きいと、焼成時にアルミナがガラス中に溶け込みやすくなるため、封着材料の流動性が低下し、530℃以下の温度で封着し難くなる。
耐火性フィラー粉末として、アルミナ以外に、ウイレマイト、ジルコン、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、酸化スズ、コーディエライト、β−ユークリプタイト、チタン酸アルミニウム、セルシアン、石英ガラス、ムライト、β−スポジュメン、アルミナ−シリカ系セラミックス等の種々の材料を使用することができる。これらの耐火性フィラー粉末は、熱膨張係数が低く、且つ機械的強度が高く、好ましい。特に、耐火性フィラー粉末として、ウイレマイトおよびコーディエライトは、ビスマス系ガラスを失透させにくく、低膨張であり、更には機械的強度に優れているため、より好ましい。
本発明の封着材料において、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の混合割合は、ガラス粉末40〜90体積%、耐火性フィラー粉末10〜60体積%が好ましく、ガラス粉末50〜75体積%、耐火性フィラー粉末25〜50体積%がより好ましい。両者の割合をこのように規定した理由は、耐火性フィラー粉末が10体積%より少ないと、封着材料の熱膨張係数をガラス基板等の被封着物の熱膨張係数に整合させにくくなり、残留応力により封着部位およびガラス基板等の被封着物が破壊しやすくなる。一方、耐火性フィラー粉末が60体積%より多いと、相対的にガラス粉末の含有量が少なくなるため、封着材料の流動性が低下し、一次焼成工程および二次焼成工程で所望の流動性を確保し難くなる。
本発明の封着材料において、封着材料の軟化点は530℃以下が好ましく、510℃以下がより好ましく、490℃以下が更に好ましい。封着材料の軟化点が530℃より高いと、530℃以下の温度で封着材料が流動し難くなり、所望の封着強度を確保できないおそれがある。
本発明の封着材料は、非晶質であることが好ましい。このようにすれば、530℃以下の温度でガラスの表面に結晶が析出し難く、つまりガラスが流動する前に、ガラスが失透し難く、所望の流動性を確保しやすくなる。また、封着材料が非晶質であると、被封着物と封着材料の反応が促進されるため、封着強度が高まり、PDPの気密信頼性を確保しやすくなる。
本発明の封着材料は、PbOを含有する態様を排除するものではないが、既述の通り、環境上の理由からPbOを実質的に含有しないことが好ましい。また、ガラス組成中にPbOを含有させると、ガラス中に存在するPb2+が拡散して、封着材料の電気絶縁性を低下させる場合がある。
封着材料は、粉末のまま使用してもよいが、封着材料とビークルを均一に混練し、ペースト材料として使用すると取り扱いやすい。ビークルは、主に有機溶媒と樹脂とからなり、樹脂はペースト材料の粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペースト材料は、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて、ガラス基板等の被封着物上に塗布される。
有機溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、水、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
樹脂としては、アクリル樹脂、エチルセルロ−ス、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル樹脂、ニトロセルロースは、ペースト材料の粘性を確保しやすく、熱分解性が良好であるため、好ましい。
本発明の封着材料は、PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着に使用することが好ましい。既述の通り、本発明の封着材料は、530℃以下の温度で良好に流動するとともに、真空排気工程が450〜500℃であっても、封着材料が装置内部に引き込まれにくいため、本用途に好適である。
本明細書は、PDPを中心にして、本発明を説明したが、蛍光表示管、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FED)も装置内部を高真空にする真空排気工程が存在するため、PDPの場合と同様に真空排気工程を高温化できれば、製造効率および輝度特性を高めることができる。なお、FEDには、各種電子放出素子を有する各種形式のFEDが含まれる点は言うまでもない。
本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、(1)ビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 73〜90%、B 2〜12%、ZnO 1〜15%を含有し、質量比Bi /B の値が11以下であり、)耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜25体積%含有し、且つアルミナの平均粒子径D 50 が3〜25μmであり、)軟化点が530℃以下であり、()封着材料を緻密に焼結させたものを測定試料とし、室温から450℃まで昇温速度3℃/分で昇温した後、450℃で20分間保持したときの粘度が106.0dPa・s以上(好ましくは106.3dPa・s以上)であることを特徴とする。450℃で20分間保持したときの粘度が106.0dPa・s未満であると、真空排気工程で封着材料が変形しやすくなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。なお、アルミナの含有量および軟化点について、好適な数値範囲および効果は、既に記載した内容と同等であるため、ここではその記載を省略する。
本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、封着材料を緻密に焼結させたものを測定試料とし、室温から450℃まで昇温速度3℃/分で昇温した後、450℃20分保持したときの粘度変化が100.5dPa・s以下(好ましくは100.3dPa・s以下)であることを特徴とする。450℃20分保持したときの粘度変化が100.5dPa・sより大きいと、真空排気工程で封着材料が変形しやすくなり、真空排気工程で封着材料が装置内部に引き込まれやすくなる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
表1、2は、本発明の実施例(試料No.2〜7、9〜14)および本発明の比較例(試料No.1、8、15〜17)を示している。
まず、表中に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1000〜1200℃で2時間溶融した。次に、水冷ローラーにより、溶融ガラスを薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き200メッシュの篩いを通過させて、平均粒径D50が10μmの各ガラス粉末試料を得た。
耐火性フィラー粉末として、平均粒子径D50が8μmのアルミナ粉末(表中ではALMと表記)、ウイレマイト粉末(表中ではWILと表記)、コーディエライト粉末(表中ではCDRと表記)、酸化スズ粉末(表中ではSnOと表記)を使用した。
以上の粉末試料を用いて、試料No.1〜17を作製し、流動径、失透状態、残留応力および引き込み性を評価した。
流動径は、封着材料の真比重に相当する重量の粉末を金型により外径20mmのボタン状に乾式プレスして、そのボタン試料を高歪点ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)上に載置し、流気式熱処理炉に投入した後に空気中で10℃/分の速度で昇温し、510℃で20分間保持して、その後10℃/分の速度で室温まで降温し、得られた焼成ボタンの直径を測定することで評価した。なお、流動径が20mm以上であれば、流動性が良好であることを意味する。
耐失透性は、次のようにして評価した。まず、各試料とビークル(アクリル樹脂含有のα−ターピネオール)を三本ロールミルで均一に混錬し、ペースト化した後、高歪点ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)の端部に線状(長さ40×幅3×1.5mm厚)に塗布し、乾燥オーブンで150℃10分間乾燥した。次に、室温から10℃/分で昇温し、基板を510℃で20分間焼成した後、室温まで10℃/分で降温した。最後に、得られた焼成体の表面を光学顕微鏡(50倍)で観察して、表面に結晶が認められなかったものを「○」とし、表面に結晶が認められたものを「×」とした。
残留応力は、次のようにして評価した。まず封着材料の真比重に相当する重量の粉末を金型により外径20mmのボタン状に乾式プレスし、そのボタン試料を高歪点ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)上に載置した。次に、これを流気式熱処理炉に投入した後に空気中で10℃/分の速度で昇温し、510℃で20分間保持し、その後10℃/分の速度で室温まで降温した。最後に、得られたボタン直下のガラス基板にクラックが発生していないものを「○」とし、クラックが発生しているものを「×」とした。
引き込み性は、次のようにして評価した。まず、各試料とビークル(アクリル樹脂含有のα−ターピネオール)を三本ロールミルで均一に混錬し、ペースト化した後、5mmφの排気孔を有する100×100×1.8mm厚の高歪点ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)の外周縁に線状(長さ40×幅3×1.5mm厚)に塗布し、乾燥オーブンで150℃10分間乾燥した。次に、得られた乾燥膜上に100×100×1.8mm厚の高歪点ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)を正確に重ね合わせた後、クリップ等で加圧しながら、室温から10℃/分で昇温し、510℃20分間焼成した後、室温まで10℃/分で降温した。そして、排気孔を通じて、得られたガラス容器内を真空ポンプで真空排気した。真空排気は、480℃40分間行い、装置内部が10−6Torrとなるように調整した。その後、ガラス容器内を観察し、封着部位の一部に引き込みによる貫通孔(気密リーク)が発生していないものを「○」、封着部位の一部が装置内部に引き込まれて、貫通孔が発生しているものを「×」として評価した。
試料No.2〜7、9〜14は、ガラス粉末のガラス組成範囲およびガラス組成比が所定範囲内に規制されているとともに、封着材料中にアルミナを所定量含有しているため、流動径、失透状態、残留応力および引き込み性の評価が良好であった。
試料No.1は、封着材料中にアルミナを含有していないため、引き込み性の評価が不良であった。試料No.8は、アルミナの含有量が過剰であり、流動性の評価が不良であった。試料No.15は、質量比Bi/Bの値が11より大きいため、引き込み性の評価が不良であった。試料No.16は、ガラス粉末中のBiの含有量が過剰であるため、流動径および失透性の評価が不良であった。試料No.17は、ガラス粉末中のZnOの含有量が過剰であるため、流動径、失透性および残留応力の評価が不良であった。
アルミナの粒度分布の影響を調査するために以下の実験を行った。表3は、本発明の実施例(試料No.18〜22)を示している。
まず、表3に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1000〜1200℃で2時間溶融した。次に、水冷ローラーにより、溶融ガラスを薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き200メッシュの篩いを通過させて、平均粒径D50が10μmの各ガラス粉末試料を得た。
耐火性フィラー粉末として、アルミナ粉末(表中ではALMと表記)を使用した。アルミナ焼結体の粉砕条件および分級条件等を適宜調整することにより、アルミナ粉末の粒度分布を調整した。また、平均粒子径D50が8μmのウイレマイト粉末(表中ではWILと表記)を使用した。
以上の粉末試料を用いて、試料No.18〜22を作製し、流動径、失透状態、残留応力および引き込み性を評価した。流動径、失透状態、残留応力および引き込み性の評価方法は、上記と同様である。
試料No.18〜22は、ガラス粉末のガラス組成範囲およびガラス組成比が所定範囲内に規制されているとともに、封着材料中にアルミナを所定量含有し、アルミナの粒度分布が所定範囲であるため、流動径、失透状態、残留応力および引き込み性の評価が良好であった。
本発明の封着材料の粘度特性を調査するために以下の実験を行った。
510℃20分で試料No.13(軟化点471℃)を緻密に焼結させ、所定形状に加工したものを測定試料とし、平行板粘度計で粘度特性を評価した。その結果を図1に示す。図1から明らかなように、試料No.13は、室温から450℃まで昇温速度3℃/分で昇温した後、450℃で20分間保持したときの粘度が106.3dPa・s以上であり、450℃20分保持したときの粘度変化が100.3dPa・s以下であった。また、試料No.2〜7、9〜12、14、18〜22についても、上記と同様の評価を行ったところ、室温から450℃まで昇温速度3℃/分で昇温した後、450℃で20分間保持したときの粘度が106.3dPa・s以上であり、450℃20分保持したときの粘度変化が100.3dPa・s以下であった。
本発明の封着材料は、PDP、FED、蛍光表示管の封着に好適である。その他にも、本発明の封着材料は、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、ICセラミックパッケージ等の各種セラミックパッケージ、球レンズキャップ部品等の各種金属パッケージの封着に用いることもできる。
本発明の封着材料の粘度特性を示すデータである。

Claims (9)

  1. ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、
    ビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 73〜90%、B 2〜12%、Al 0〜5%、ZnO 1〜15%、BaO 0〜10%、CuO 0〜5%、Fe 0〜3%、CeO 0〜5%、Sb 0〜5%を含有し、質量比Bi/Bの値が11以下であり、
    且つ耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜25体積%含有し、アルミナの平均粒子径D 50 が3〜25μmであることを特徴とする封着材料。
  2. アルミナの平均粒子径D50〜25μmであることを特徴とする請求項1に記載の封着材料。
  3. アルミナの10%粒子径D10が1〜5μmおよび/または90%粒子径D90が10〜35μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の封着材料。
  4. 非結晶性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の封着材料。
  5. 実質的にPbOを含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の封着材料。
  6. プラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着に用いることを特徴とする1〜5のいずれかに記載の封着材料。
  7. ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、
    (1)ビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 73〜90%、B 2〜12%、ZnO 1〜15%を含有し、質量比Bi /B の値が11以下であり、
    )耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜25体積%含有し、且つアルミナの平均粒子径D 50 が3〜25μmであり、
    )軟化点が530℃以下であり、
    )封着材料を緻密に焼結させたものを測定試料とし、室温から450℃まで昇温速度3℃/分で昇温した後、450℃で20分間保持したときの粘度が106.0dPa・s以上であることを特徴とする封着材料。
  8. 450℃で20分保持したときの粘度変化が100.5dPa・s以下であることを特徴とする請求項7に記載の封着材料。
  9. アルミナの10%粒子径D 10 が1〜5μmおよび/または90%粒子径D 90 が10〜35μmであることを特徴とする請求項7または8に記載の封着材料。
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