JP4313067B2 - ビスマス系ガラス組成物、ならびにそれを封着部材として用いた磁気ヘッドおよびプラズマディスプレイパネル - Google Patents

ビスマス系ガラス組成物、ならびにそれを封着部材として用いた磁気ヘッドおよびプラズマディスプレイパネル Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてセラミックス、ガラスおよび金属などの接着、封着、被覆などに使用される低軟化点のビスマス系ガラス組成物に関する。本発明のビスマス系ガラス組成物は、磁気ヘッドを構成する一対の磁気コア半体の接合、あるいはプラズマディスプレイパネルを構成する前面板と背面板との接合などに好適である。
【0002】
【従来の技術】
電子機器を構成する材料には、例えば、セラミックス、ガラス、金属などがあり、それらを接着、封着または被覆する材料として、種々のガラス組成物が使用されている。ガラス組成物には、バルク状、粉末状、繊維状、薄膜状などの種々の形態がある。ガラス組成物単独からなる材料もあればガラス組成物と他の材料とを組み合わせた複合材料もある。また、用途に応じて種々の機能をもたせるために、ガラス組成物を他の材料や適当なフィラーなどと共に、ビヒクルに分散させてペーストとして用いることもできる。こうして得られたペーストは、磁気ヘッド、CRT、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどの封着部材として用いることができる。
【0003】
以下、ガラス組成物からなる封着部材を用いた具体的な例として、磁気ヘッドとプラズマディスプレイパネルを取りあげて説明する。
まず、従来の磁気ヘッドについて説明する。
磁気ヘッドは、磁気記録媒体に対し磁気情報の記録・再生を行うものである。磁気ヘッドは、少なくとも一方に巻線溝を設けた一対の磁気コア半体と、非磁性体の磁気ギャップ材からなる。一対の磁気コア半体は、磁気ギャップ材を介して、互いに突き合わせられ、封着部材を用いて接合されている。このような封着部材には、ガラス組成物が用いられている。ガラス組成物は、磁気ヘッドの特性をも左右する重要な構成材料である。
【0004】
磁気コア半体の材料としては、磁気特性、耐磨耗性、機械加工性などに優れている点から、一般的にフェライトが広く用いられている。フェライトを用いて作製された磁気ヘッドは、フェライトヘッドとも呼ばれる。
近年では、磁気記録再生装置の小型、高容量化に伴い、高保磁力を有する磁気記録媒体が用いられるようになってきている。このような媒体に信号を書き込みできる高い能力をもつ高密度磁気記録用の磁気ヘッドとして、フェライトヘッドをさらに発展させたものの開発が進められている。
【0005】
例えば、磁気コア半体の磁気ギャップ対向面に高飽和磁束密度の金属磁性膜を被着し、磁気ギャップ材を介して、磁気ギャップ対向面を突き合わせ、封着部材で接合した磁気ヘッドは、MIG(メタルインギャップ)ヘッドと呼ばれる。金属磁性膜には、例えば、Fe−Ta−N、Fe−Nb−N、Fe−Nb−Si−B−N、Fe−Ta−C、Co−Ta−Zr−NbあるいはCo−Nb−Zr−Nなどの磁性金属材料の薄膜が用いられている。
また、金属磁性膜を一対の非磁性基板により挟み込んだ構造を有する磁気コア半体同士を、それぞれの金属磁性膜の端面を突き合わせるように配置し、磁気ギャップ材を介して封着部材で接合した磁気ヘッドもある。このような磁気ヘッドは積層型ヘッドと呼ばれる。
【0006】
磁気ヘッドを作製する工程において、封着部材は適当な熱処理によりガラス組成物を軟化、流動させ、冷却、固化することによって使用される。そこで、磁気ヘッドを構成する磁性体などが熱によって劣化しないように、できるだけ低温で使用できるガラス組成物が求められている。これに対応したガラス組成物として、いわゆる低軟化点ガラスがある。
【0007】
一方、ガラス組成物は、一般に、軟化点が低いほど熱膨張係数が大きくなるという傾向がある。しかし、冷却後の歪みによる破壊やクラックなどの発生を避けるために、封着部材の熱膨張係数が大きくならないように抑制する必要がある。また、最適な磁気記録特性を出現させるためには、封着部材との熱膨張率の差によって生じる磁性体の歪みを制御する必要がある。そこで、各種の磁気ヘッドの仕様に応じた熱膨張係数を有する封着部材が求められている。
【0008】
磁気ヘッド用の封着部材は、それぞれの用途に応じて適切な温度特性と熱膨張係数を有することが求められている。フェライトヘッド、MIGヘッドおよび積層型ヘッドなどの磁気ヘッドに使用される封着部材には、作業点が450〜650℃であり、熱膨張係数が70×10-7〜130×10-7/℃であることが求められている。例えば、MIGヘッド用の封着部材の場合は、作業点が500℃程度であり、かつ熱膨張係数が75×10-7〜100×10-7/℃であることが望ましい。
【0009】
ここで作業点とは、ガラス組成物の粘度が103Pa・sになる温度である。一方、軟化点は、JIS試験方法R3103−1に準拠して測定で求められる温度であって、ガラス組成物の粘度が106.6Pa・sとなる温度とされている。ガラス組成物の粘性挙動が特殊な場合を除き、ガラス組成物の軟化点が低いと、その作業点も低い傾向にある。
【0010】
次に、一般的なプラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう。)について説明する。
【0011】
図1は、一般的なPDPの主要構成を示す部分的な断面斜視図の一例である。図1において、PDPは、前面板1と背面板8とを張り合わせることにより構成される。
前面板1は、前面ガラス基板2と、その片面に形成した透明導電膜3およびバス電極4からなる表示電極5と、表示電極5を覆う、誘電体ガラスからなる誘電体層6と、酸化マグネシウムからなる誘電体保護層7とを備えている。
【0012】
また、背面板8は、背面ガラス基板9と、その片面に形成したアドレス電極10と、アドレス電極10を覆う誘電体層11と、誘電体層11の上面に等間隔に設けられた放電空間14を形成する隔壁12と、放電空間14の内側にカラー表示のために形成された蛍光体層とを備えて構成されている。蛍光体層は、順番に配置された赤色蛍光体層13(R)、緑色蛍光体層13(G)および青色蛍光体層13(B)からなり、例えば、波長147nmの短波長の紫外線により励起されて発光する。
【0013】
前面板1および背面板8は、表示電極5とアドレス電極10の各々の長手方向が互いに直交するように配置し、ガラス組成物からなる封着部材を用いて接合される。図2に、表示電極とアドレス電極の配置、並びに封着部を説明するための図を示す。
図2において、前面板1と背面板8を重ね合わせたとき、重なり合った領域の周縁部が封着部15となる。封着部15に封着部材からなるペーストを塗布し、前面板1と背面板8とを貼り合わせ、その内部を密封する。そして、表示電極5とアドレス電極10はそれぞれ外部の駆動回路(図示せず)と接続される。
【0014】
図3は、図1のPDPのアドレス電極に沿った封着部付近の断面図の一例である。
前面板1と背面板8の少なくとも一方には、PDP内を排気し、放電ガスを導入するための通気孔17が設けられている。通気孔17と連通するガラス管18の末端は、封着部材16により、通気孔17の開口縁部と固着する。そして、所定の温度にまで加熱しながらPDP内部を排気し、排気終了後に所定の圧力になるように放電ガスを封入する。最後に、ガラス管18の根元部分を加熱して溶封する。
【0015】
このようにして作製したPDPを、必要に応じて、所定の時間放電させ、発光特性および放電特性を安定化させる処理を行う。
PDPの製造方法において、封着部材16を用いた封着工程では、他の部材に支障をきたさないように、低温で熱処理を行う必要がある。つまり、PDPには、ガラス基板をはじめ、電極、誘電体層および隔壁中にガラス材料が含まれているため、これらのガラス材料が封着工程の加熱により軟化、変形したりすることを避けなくてはならない。また、誘電体保護層7や各蛍光体層13(R)、13(G)、13(B)の劣化を防止する必要もある。一般に、封着工程は、500℃以下の処理温度で行うことが望ましい。
【0016】
このように、磁気ヘッドあるいはPDPの封着工程に使用される封着部材には、低温で使用されることが望まれていることから、ガラス組成物として低軟化点ガラスが使用されている。
例えば、磁気ヘッド用封着部材に使用される低軟化点ガラスには、SiO2−B23−PbO系(例えば、特許文献1参照。)およびB23−PbO−ZnO系などの鉛ガラスがある。また、PDP用の封着ガラスにおいても、PbOを主成分とする鉛ガラスが使用されている。つまり、低軟化点を実現するためには鉛を含有することが必要不可欠となっている。
【0017】
しかしながら、低融点ガラスの成分として多用される鉛は、人間に対する毒性や環境に対する有害性が指摘されている。さらに、磁気ヘッド、あるいはPDP製造時の作業環境の問題や、製品の廃棄処分時の環境への影響が問題視され、このため、鉛を含まないガラス組成物を用いた封着部材が求められている。
【0018】
鉛を含まない低融点ガラスとして、リン酸塩ガラスなどが開発されてきているが、実使用上、特に耐水性において十分な信頼性のあるものではない。さらに、耐水性の低いガラス組成物からなる封着部材は、例えば、PDPの製造工程において雰囲気中の水分を吸収しやすいため、水分がPDP内に残留して、表示性能に悪影響を及ぼす恐れがある。これを防ぐため、封着部材に含まれるガラス組成物は、耐水性に優れたものであることが求められている。
【0019】
また、鉛を含まないビスマス系の低融点ガラスからなるガラス組成物も検討されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0020】
【特許文献1】
特開平8−180310号公報
【特許文献2】
特開平10−139478号公報(請求項1〜6)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、鉛を含まず、低い作業点ならびに適切な熱膨張係数および機械的強度を有し、耐水性に優れた信頼性の高いビスマス系ガラス組成物を提供する。また、環境への負荷の少ないビスマス系ガラス組成物からなる封着部材を用いた磁気ヘッドおよびPDPを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明はビスマス系ガラス組成物であって、SiO2、B23、ZnO、Bi23、およびAl23を所定の重量比で含み、さらに、A群酸化物を5重量%以下、B群酸化物を12重量%以下、およびC群酸化物を0.1〜10重量%含み、A群酸化物が、Li2O、Na2OおよびK2Oよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、B群酸化物が、MgO、CaO、SrOおよびBaOよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、C群酸化物が、Sc23、Y23 、P23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23よりなる群から選ばれる少なくとも1種であるビスマス系ガラス組成物を提供する。
【0024】
前記ガラス組成物において、A群酸化物の含有量は4重量%以下であることが好ましい。さらに、A群酸化物は、2重量%以下のLi2O、3重量%以下のNa2Oおよび4重量%以下のK2Oからなることが好ましい。
【0025】
前記ガラス組成物において、B群酸化物の含有量は10重量%以下であることが好ましい。さらに、B群酸化物は、5重量%以下のMgO、6重量%以下のCaO、8重量%以下のSrOおよび10重量%以下のBaOからなることが好ましい。
前記ガラス組成物において、C群酸化物の含有量は、0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0026】
ZnOのB23に対する重量比は0.8〜2.8であることが好ましく、特に、PDP用封着部材として用いる場合は、重量比が1.1〜2.5であることが好ましい。
Al23のSiO2に対する重量比は0.5以下であることが好ましい。
【0027】
このようなガラス組成物を磁気ヘッド用封着部材に用いる場合には、前記ガラス組成物に、SiO2を1.7〜12重量%、B23を3〜9重量%、ZnOを9.5〜19重量%、Bi23を62〜80重量%、およびAl23を0.1〜4重量%含ませる。
【0028】
本発明は、また、少なくとも一方に巻線溝を設けた一対の磁気コア半体、前記一対の磁気コア半体のギャップ対向面間に介在する磁気ギャップ材および前記一対の磁気コア半体を接合する前記磁気ヘッド用封着部材からなる磁気ヘッドに関する。少なくとも一方の前記磁気ギャップ対向面には、金属磁性膜を設けることができる。あるいは、前記一対の磁気コア半体は、それぞれが一対の非磁性基板および前記非磁性基板により挟持される金属磁性膜から構成される。
本発明は、また、これらの磁気ヘッドを備えた、磁気情報記録媒体に対して記録・再生を行う磁気記録再生装置に関する。
【0029】
一方、上記のようなガラス組成物をPDP用封着部材に用いる場合には、前記ガラス組成物に、SiO2を1.1〜4.5重量%、B23を4〜9重量%、ZnOを9.5〜18重量%、およびBi23を72〜85重量%含ませる。また、PDP用封着部材に使用するガラス組成物には、Al23を0.1〜2重量%含ませることが好ましい。また、PDP用封着部材に用いるガラス組成物には、B群酸化物を8重量%以下含ませることが好ましく、特に、B群酸化物が2重量%以下のMgO、0.1〜4.5重量%のCaO、0.1〜4.5重量%のSrOおよび4重量%以下のBaOからなることが好ましい。
【0030】
PDP用封着部材には、さらに、前記ビスマス系ガラス組成物に対し、低膨張セラミックスフィラーを重量比で0.01〜4含ませることが好ましい。前記低膨張セラミックスフィラーとしては、コーディエライト、ウィレマイト、フォルステライト、アノーサイト、ジルコン、ムライト、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、クリストバライト、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび石英ガラスよりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0031】
本発明は、また、対向する前面板および背面板、前記前面板と背面板との間に配設されている表示電極およびアドレス電極、前記アドレス電極を隔離する隔壁、前記表示電極およびアドレス電極それぞれの表面を被覆する誘電体層、ならびに前記前面板および背面板それぞれの周縁部間を接合する前記PDP用封着部材からなるPDPに関する。また、本発明は、前記前面板または背面板には通気孔が設けられており、前記通気孔と連通するガラス管および前記通気孔の開口縁部と前記ガラス管の末端とを接合するさらなる前記PDP用封着部材を有するPDPに関する。
【0032】
なお、本発明においては、ガラス組成物における各元素の含有量を所定の酸化物の割合で表示するが、組成物中において、各元素がそのような酸化物として存在している必要はない。本発明において表示される酸化物の含有量は、ガラス組成物中に含まれる元素が全て表示した酸化物を形成していると仮定したときの値である。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明のビスマス系ガラス組成物は、Si 2 2 3 ZnO、Bi2 3 およびAl2 3 を所定の重量比で含む。本発明の一形態において、Al23の含有量は0%でもよい。
【0034】
前記ガラス組成物において、SiO2の含有量が0.5重量%未満になると、安定したガラス組成物が得られなくなり、14重量%を超えると作業点が高くなる。SiO2の含有量は、好ましくは0.5〜12重量%である。また、B23の含有量が3重量%未満になると、熱膨張係数が大きくなり、15重量%を超えると、安定したガラス組成物が得られなくなる。B23の含有量は、好ましくは3〜9重量%である。また、ZnOの含有量が4重量%未満になると、耐水性が低下し、22重量%を超えると、安定したガラス組成物が得られなくなる。ZnOの含有量は、好ましくは4〜19重量%である。またBi23の含有量が55重量%未満になると、作業点が高くなり、90重量%を超えると、安定したガラス組成物が得られなくなる。Bi23の含有量は、好ましくは55〜85重量%である。また、Al23の含有量が4重量%を超えると、作業点が高くなる。Al23の含有量は、好ましくは0.1〜4重量%である。
【0035】
前記ガラス組成物は、また、A群酸化物を5重量%以下、B群酸化物を12重量%以下、およびC群酸化物を0.1〜10重量%含む。A群酸化物の含有量は0%でもよい。また、B群酸化物の含有量は0%でもよい。ここで、A群酸化物は、Li2O、Na2OおよびK2Oよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、B群酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、C群酸化物は、Sc23、Y23 、P23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0036】
C群酸化物のうちでは、特に、Nd23、Gd23、Er23、などを用いることが好ましい。なお、C群酸化物の含有量は、0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0037】
前記ガラス組成物は、鉛を含まないため、作業環境における鉛汚染や、製造工程で排出される廃棄物中の鉛含有量を低減することができる。Al23は、耐水性を向上させる働きがあり、かつ、ガラス組成物の作製時にガラス組成物を安定化させ、ガラス組成物を作製後の熱処理においてもガラス中に結晶が析出するのを抑制することができる。A群酸化物は、ガラス組成物の軟化点を低下させて、ガラス組成物の作業点を低下させることができる。B群酸化物は、ガラス組成物を安定化させることができる。C群酸化物は、ガラス組成物の機械的強度を向上させることができる。
【0038】
本発明のガラス組成物においては、A群酸化物の含有量が4重量%以下であることが好ましく、特に、A群酸化物が2重量%以下のLi2O、3重量%以下のNa2Oおよび4重量%以下のK2Oからなることが好ましい。この場合、Li2O、Na2OおよびK2Oよりなる群からから選ばれる少なくとも1種もしくは2種の含有量は0%であってもよい。これらのうちから、特に、ガラス組成物を安定に維持させたい場合は、Na2Oを用いることが好ましい。なお、Li2Oの含有量が2重量%を超え、Na2Oの含有量が3重量%を超え、あるいはK2Oの含有量が4重量%を超えるとガラス組成物の気密性が維持できなくなる傾向がある。
【0039】
本発明のガラス組成物においては、B群酸化物の含有量が10重量%以下であることが好ましく、特に、B群酸化物が5重量%以下のMgO、6重量%以下のCaO、8重量%以下のSrOおよび10重量%以下のBaOからなることが好ましい。この場合、MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種、2種もしくは3種の含有量は0%であってもよい。これらのうちから、特に、ガラス組成物を安定化させたい場合は、CaOまたはSrOを用いることが好ましい。なお、MgOの含有量が5重量%を超え、CaOの含有量が6重量%を超え、SrOの含有量が8重量%を超え、あるいはBaOの含有量が10重量%を超えるとガラス組成物の気密性が維持できなくなる傾向がある。
【0040】
本発明の一形態において、ガラス組成物は、SiO2を1.7〜12重量%、B23を3〜9重量%、ZnOを9.5〜19重量%、Bi23を62〜80重量%、およびAl23を0.1〜4重量%含む。このガラス組成物は、磁気ヘッド用封着部材に適している。
【0041】
また、本発明の別の一形態において、ガラス組成物は、SiO2を1.1〜4.5重量%、B23を4〜9重量%、ZnOを9.5〜18重量%、およびBi23を72〜85重量%含む。このガラス組成物は、PDP用封着部材に適している。また、PDP用封着部材に用いるガラス組成物は、Al23を0.1〜2重量%含むことが好ましい。また、B群酸化物の含有量は、8重量%以下であることが好ましく、特に、B群酸化物は2重量%以下のMgO、0.1〜4.5重量%のCaO、0.1〜4.5重量%のSrOおよび4重量%以下のBaOからなることが好ましい。この場合、MgOおよびBaOから選ばれる1種もしくは2種の含有量は、0%であってもよい。なお、MgOの含有量が2重量%を超えると、ガラス組成物の気密性が維持できなくなる傾向がある。CaOの含有量が4.5重量%を超え、SrOの含有量が4.5重量%を超えると、耐水性が低下する傾向がある。また、BaOの含有量が4重量%を超えると、ガラス組成物の気密性が維持できなくなる傾向がある。
【0042】
本発明のガラス組成物においては、ZnOのB23に対する重量比は0.8〜2.8であることが好ましく、特に、PDP用封着部材として用いる場合は、前記重量比が1.1〜2.5であることが好ましい。ZnOのB23に対する重量比が小さくなると、ガラス組成物の気密性が維持できなくなり、大きくなる場合もガラス組成物の気密性が維持できなくなる傾向がある。
また、本発明のガラス組成物においては、Al23のSiO2に対する重量比は0.5以下であることが好ましい。Al23のSiO2に対する重量比が大きくなると、ガラス組成物の気密性が維持できなくなる傾向がある。
【0043】
このような条件を満たすことにより、ガラス組成物の作製時にガラス組成物を安定化させることができ、また、ガラス組成物を作製後の熱処理においてもガラス中に結晶が析出するのを抑制することができる。
【0044】
本発明のガラス組成物は、セラミックス、ガラスおよび金属などの接着、封着、被覆などの用途に用いることができる。また、種々の機能を有するペースト材料として使用することもできる。例えば、電子機器用の各種部品をはじめ、あらゆる用途において従来使用されていたガラス材料に代えて本発明のガラス組成物を使用することができる。具体的には、各種LCR部品、半導体パッケージ、その他の電子部品、CRT、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどの表示デバイスに使用することができる。さらに照明用の管球製品、ホーロー製品および陶磁器製品などにおいても使用することができる。
【0045】
以下、本発明のビスマス系ガラス組成物からなる封着部材を用いる磁気ヘッド、磁気記録再生装置およびPDPについて、図面を参照しながら説明する。
【0046】
(1)磁気ヘッド
図4に本発明の一実施形態にかかるフェライトヘッドの一例の概略斜視図を示す。フェライトヘッド20は、少なくとも一方に巻線溝21を設けた、フェライトからなる一対の磁気コア半体22、23と、磁気コア半体22、23を接合する封着部材25、26と、磁気コア半体22、23の磁気ギャップ対向面間に介在する磁気ギャップ材24とからなる。一対の磁気コア半体22、23のギャップ対向面は、磁気ギャップ材24を介して互いに突き合わされており、この突き合わせ面に磁気ギャップが形成される。封着部材25、26は磁気コア半体22、23を接合するとともに一体化している。
【0047】
また、本発明の別の実施形態にかかる磁気ヘッドとして、図5にMIGヘッドの一例の概略斜視図を示す。MIGヘッド30は、少なくとも一方に巻線溝31を設けた、フェライトからなる一対の磁気コア半体32、33と、磁気コア半体32、33の磁気ギャップ対向面上に形成された金属磁性膜37、38と、磁気コア半体32、33を接合する封着部材35、36と、金属磁性膜37、38間に介在する磁気ギャップ材34とからなる。一対の磁気コア半体32、33のギャップ対向面は、磁気ギャップ材34を介して互いに突き合わされており、この突き合わせ面に磁気ギャップが形成される。封着部材35、36は磁気コア半体32、33を接合するとともに一体化している。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態にかかる磁気ヘッドとして、図6に積層型ヘッドの一例の概略斜視図を示す。積層型ヘッド40は、少なくとも一方に巻線溝41を設けた、一対の多層膜磁気コア半体42、43と、多層膜磁気コア半体42、43を接合する封着部材45〜47と、多層膜磁気コア半体42、43の磁気ギャップ対向面間に介在する磁気ギャップ材44とからなる。図7に積層型ヘッド40の磁気記録媒体に対する摺動面を示す。多層膜磁気コア半体42、43は、膜厚方向に沿って、交互に積層された金属磁性膜53と絶縁膜54、ならびにこれらを挟持する一対の非磁性基板51、52からなる。
【0049】
上述した各磁気ヘッドに用いられる封着部材は、ビスマス系ガラス組成物からなり、丸棒や角棒に成形して使用する。磁気ヘッドの封着工程は、まず、一対の磁気コア半体に巻線溝や封着部材を埋設する空隙溝などの加工を施し、さらに磁気ギャップ対向面上に磁気ギャップ材などを成膜した後、これらを突き合わせ、空隙溝に封着部材を配置する。次に、適当な熱処理によりこの封着部材を軟化・流動させ、冷却、固化することによって一対のコア半体を接合する。こうして得られた磁気コアブロックを、所定の寸法に切断、研磨して磁気ヘッドチップを作製し、ベース接着・巻線などの処理を行うことによって、磁気ヘッドを完成させることができる。
【0050】
封着工程での熱処理温度は、それぞれの磁気ヘッドに使用する構成材料の耐熱温度を超えないようにする必要がある。フェライトヘッドでは600〜700℃、MIGヘッドでは500〜600℃、積層型ヘッドでは450〜500℃で熱処理を行うことが望ましい。
【0051】
ここで、上述した封着工程において、磁気ヘッドを構成する磁性体などが熱によって劣化しないように、できるだけ低温で使用できるガラス組成物が求められている。そのため、一般の磁気ヘッドに用いられる封着部材は、作業点が450〜650℃であり、熱膨張係数が70×10-7〜130×10-7/℃であることが望ましい。
【0052】
なお、上述したフェライトヘッド20、MIGヘッド30、積層型ヘッド40を構成する、磁気コア、金属磁性膜、磁気ギャップ材、絶縁膜、非磁性基板などには、一般に従来から用いられてきた材料を限定なく用いることができる。
本発明における磁気ヘッド用封着部材は、上述した磁気ヘッド以外の構造を有する磁気ヘッドにも使用することができる。
【0053】
(2)磁気記録再生装置
次に本発明の磁気記録再生装置の一実施形態について説明する。図8は磁気記録再生装置の回転ドラム装置の一例の斜視図である。図9は、図8の回転ドラム装置を備えた磁気記録再生装置の一例の内部機構の概略図である。
【0054】
図8に示した回転ドラム装置61は、下ドラム62および上回転ドラム63からなり、その外周面に磁気ヘッド64が備えられている。図示しない磁気テープは、リード65に沿って上回転ドラム63の回転軸に対して傾斜して走行している。磁気ヘッド64は、磁気テープの走行方向に対して傾斜して摺動する。また、上回転ドラム63と磁気テープとが密着しながら安定して摺動走行するように、上回転ドラム63の外周面には複数の溝66が設けられている。磁気テープと上回転ドラム63との間に巻き込まれた空気はこの溝66から排出される。
【0055】
磁気記録再生装置100は図9に示すように、回転ドラム装置61、供給リール101、巻き取りリール102、回転ポスト103、104、105、106、107、108、傾斜ポスト109、110、キャプスタン111、ピンチローラ112、テンションアーム113を備えている。回転ドラム装置61の外周面には、記録再生用の磁気ヘッド64が配置されている。
供給リール101に巻かれた磁気テープ114はピンチローラ112とキャプスタン111との間を通って巻き取りリール102に巻き取られていく。この回転ドラム装置61は、上回転ドラム方式であって磁気ヘッド64は回転ドラム外周面から20μm程度突き出すように2個取り付けられている。
【0056】
なお、本実施の形態では、上回転ドラム方式を例に挙げたが、上ドラム、中ドラムおよび下ドラムの3個のドラムを用いる中回転ドラム方式の磁気記録再生装置にも本発明を適用することができる。また、記録再生用の磁気ヘッドのみならず、記録用と再生用の磁気ヘッドにも本発明を適用することができる。記録再生装置において、磁気ヘッドの個数は限定されない。また、ここでは磁気テープを記録媒体とする場合について説明したが、ディスク状の記録媒体へ記録再生を行う磁気ヘッドおよびそれを備えた磁気記録再生装置への本発明の適用も可能である。
【0057】
(3)PDP
以下、本発明のビスマス系ガラス組成物を封着部材として用いるPDPについて、図面を参照しながら説明する。なお、ここで説明するPDPは、封着部材のガラス組成物の組成が異なることを除き、従来の技術で説明した図1〜3と同様の構成を有している。
【0058】
まず、PDPを構成する前面板1の作製方法の一例について、図1を参照して説明する。
まず、高歪点ガラスからなる前面ガラス基板2上に、透明導電膜形成用のペーストをスクリーン印刷法により塗布する。その上部に、導電性を補うためのバス電極形成用のペーストをスクリーン印刷法で塗布する。これらを焼成することによって表示電極5が形成される。透明導電膜3は、例えばITO(IndiumTin Oxide)などからなり、バス電極4は、例えばAg膜またはCr/Cu/Crの3層構造膜からなる。この透明導電膜3とバス電極4はスクリーン印刷法のほか、フォトエッチング法を用いて形成することもできる。
【0059】
表示電極5の上部に誘電体用ガラスを含むペーストをスクリーン印刷法で塗布し、焼成することによって誘電体層6を形成する。この誘電体層6は、誘電体用ガラスと樹脂とを含むシートを表示電極5上に配置し、焼成することによって形成してもよい。前記のようなシートは、誘電体用ガラスを樹脂と溶剤とを混合し、混合物の塗膜を形成し、これから溶剤を揮散させることにより得ることができる。
【0060】
誘電体層6の表面には、例えば酸化マグネシウムからなる誘電体保護層7を、蒸着法、CVD法などにより形成する。このようにして前面板1を作製することができる。
【0061】
次に、PDPを構成する背面板8の作製方法について、図1を参照して説明する。
まず、高歪点ガラスからなる背面ガラス基板9上に電極(例えば、Ag、またはCr/Cu/Cr)用のペーストをスクリーン印刷法などにより一定間隔でストライプ状に塗布し、焼成することによってアドレス電極10が形成される。
そして、アドレス電極10の上部を覆うように誘電体層11が形成される。誘電体層11は、誘電体用ガラスを含むペーストをアドレス電極10上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成することによって形成される。
【0062】
アドレス電極10上には、放電空間14の仕切りとなる隔壁12がストライプ状に配置される。この隔壁12は、例えばガラス材料を含むペーストを繰り返しスクリーン印刷法で塗布し、焼成することによって形成することができる。また、アドレス電極10、誘電体層11、隔壁12は、フォトエッチング法などの方法により形成することもできる。
【0063】
このようにして作られた放電空間14の内側には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の蛍光体を含むペーストが、順番にスクリーン印刷法により塗布される。これらを焼成することによって赤色蛍光体層13(R)、緑色蛍光体層13(G)、青色蛍光体層13(B)が形成される。ここで使用する各色蛍光体の一例として、赤色蛍光体層13(R)にはY23:Eu、緑色蛍光体層13(G)にはZn2SiO4:Mn、青色蛍光体層13(B)にはBaMgAl1017:Euなどがある。
【0064】
このようにして作製された前面板1と背面板8とを封着部材で貼り合わせる動作を図2および図3を用いて説明する。
封着部材16は、ビスマス系ガラス組成物の粉末からなり、これを、樹脂と溶剤と混練してペーストを調製する。樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂などが用いられる。また、溶剤としては、ターピネオール、酢酸イソアミルなどが用いられる。ペーストに含まれる樹脂および溶剤の量は、ガラス組成物100重量部あたり、それぞれ0.01〜30重量部および3〜120重量部であることが好ましい。
【0065】
このペーストを、図2に示す背面板8の封着部15にスクリーン印刷法またはインジェクション法により塗布する。続いて、ペーストに含まれる樹脂成分などを除去できる程度の温度(例えば350℃)で、全体を仮焼成する。そして、表示電極5とアドレス電極10とが直交するように前面板1と背面板8を重ね合わせ、封着部材16のさらなる焼成を行う。このようにして前面板1と背面板8との接合を行うことができる。
ここで、封着部材16は、少なくとも前面板1または背面板8のいずれか一方に塗布すればよく、また、封着方法は上述に限られるものではない。
【0066】
次に、放電空間14にガスを封入する動作について図3を用いて説明する。
まず、前面板1または背面板8に設けた通気孔17の開口縁部と、この通気孔17に連通するガラス管18の末端とを接合する。例えば、通気孔17の開口縁部と、ガラス管18の末端に、封着部材からなるペーストをインジェクション法により塗布し、これらを焼成することによって接合を行う。
【0067】
次に、放電空間14を真空にするために、接合した前面板1および背面板8の全体を加熱しながらガラス管18を通して排気し、前面板と背面板との間に介在するガスを抜く。続いて、ガラス管18を通して放電空間14内が所定の圧力になるように放電ガスを封入する。そして、ガラス管18を加熱して根元部分を溶融・切断し、通気孔17を封止する。最後に、表示電極5およびアドレス電極10を、外部に備えた駆動回路(図示せず)に接続することにより、PDPを完成させることができる。
なお、通気孔17とガラス管18の接合は、前面板1と背面板8の接合を行うときに同時に行ってもよい。
【0068】
ここで、上述した封着工程において、PDPを構成する各部材が熱によって劣化や変質などの悪影響を受けないようにする必要がある。そのために、一般のPDPにおいては、500℃以下の温度で封着を行うことが望ましい。
また、封着部材16による封着は、上述したようにビスマス系ガラス組成物からなる粉末と樹脂と溶剤とを混練したペーストを用いる方法に限るものではない。例えば、封着部材16を、棒状や枠状の所定の形状に成型し、これを封着箇所に配置し、加熱、軟化させて、上述と同様の封着工程を行うことができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、交流型PDPの構造を例に取り説明したが、本発明を適用できるPDPの放電方式はそれに限られるものではなく、交流型と直流型のいずれにも本発明を適用することができる。
【0070】
【実施例】
以下、本発明の封着部材を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
《実施例1》
表1〜20に示す組成を有するビスマス系ガラス組成物を作製した。
所定の原料を調合および混合した後、得られた混合物を白金るつぼに入れ、電気炉にて900〜1300℃で1時間溶融させた。次いで、得られた溶融ガラスをローラーで急冷することによってフレーク状のガラス組成物を作製した。得られたガラス組成物の組成、ガラスの安定性、作業点、熱膨張係数、強度および耐水性を表1〜20に示した。
ここで、ガラスの安定性、作業点、熱膨張係数、強度および耐水性は次のようにして評価した。
【0072】
[安定性]
ガラスの安定性は、ガラス組成物を作製後、それぞれの作業点で、30分間、熱処理を行う過程で、ガラス状態から結晶が析出した(以下、失透ともいう)か、否かを判断した。ガラス組成物が、その作製時に失透せず、前記試験温度での熱処理においても、結晶が析出しなかったものを○、ガラス組成物を作製時に失透しなかったが、前記試験温度での熱処理において結晶が析出したものを△、ガラス組成物を作製時に失透し、ガラス組成物が得られなかったものを×で示した。ガラス組成物を磁気ヘッド用封着部材として使用する際には、流動性などの面でガラス組成物が非晶質であることが好ましい。ただし、クラックが発生したり、強度が低下したりするなどの問題がなければ、封着後の封着部材に結晶が析出していてもよい。
【0073】
[作業点]
ガラス組成物の作業点は、溶融したガラス組成物の粘度が103Pa・sとなる温度として求めた。ガラス組成物を磁気ヘッド用封着部材として使用する際には、作業点が450〜650℃であることが好ましい。この作業点付近の温度で封着部材を軟化、流動させて、磁気ヘッドを封着することが好ましいが、磁気ヘッドの製造方法に適合した粘度で封着部材を使用してもよい。
【0074】
[熱膨張係数]
ガラス組成物を再溶融し、鋳型に流し込み、冷却することによって直径4mm、長さ20mmのガラスロッドを作製した。そのガラスロッドを10℃/minで昇温したときの線膨張率を測定した。そして、30〜300℃における平均熱膨張係数を算出した。磁気ヘッド用封着部材として使用する際には、平均熱膨張係数が70×10-7〜130×10-7/℃であることが好ましい。
【0075】
[機械的強度]
機械的強度は、三点曲げ法により測定した。ガラス組成物を再溶融し、適当な粘度の融液から線引きすることによって、直径1mm、長さ30mmのガラスロッドを作製した。そのガラスロッドの中央部を20mmの間隔をあけて水平に二点支持し、支持二点間の中央に上部からロードセルにより1mm/minの速度で荷重を印加した。ガラスロッドが破断したときの荷重から機械的強度を算出した。
【0076】
[耐水性]
耐水性は、ガラス組成物を再溶融して作製した一辺が10mmの立方体を試料とし、これを沸騰したイオン交換水中に1時間浸漬し、ガラス組成物の単位表面積あたりの重量減少の値(mg/cm2)で示した。磁気ヘッド用封着部材として使用する際には、この値が1.0mg/cm2以下であることが望ましい。
【0077】
表1に、SiO2の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.2〜6は実施例、No.1および7は比較例である。
【0078】
【表1】
Figure 0004313067
【0079】
表1より明らかなように、SiO2の含有量が0.3重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラス組成物が得られなかった。SiO2の含有量が15重量%では、作業点が650℃を超えてしまった。以上より、SiO2の含有量は、0.5〜14重量%であることが好ましい。
また、SiO2の含有量が0.5重量%では、耐水性が1mg/cm2に近く、SiO2の含有量が14重量%では、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、このガラス組成物を、特に磁気ヘッド用封着部材として用いる場合、SiO2の含有量は1.7〜12重量%にすることが好ましい。
【0080】
表2に、本発明におけるB23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.9〜12は実施例、No.8および13は比較例である。
【0081】
【表2】
Figure 0004313067
【0082】
表2より明らかなように、B23の含有量が2.5重量%では、熱膨張係数が133×10-7/℃であり、130×10-7/℃を超えてしまった。B23の含有量が16.4重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して安定なガラス組成物が得られなかった。したがって、B23の含有量は、3〜15重量%であることが好ましい。
また、B23の含有量が15.0重量%では、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、このガラス組成物を、特に磁気ヘッド用封着部材として用いる場合、B23の含有量は3〜9重量%にすることが好ましい。
【0083】
表3に、ZnOの含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.15〜19は実施例、No.14および20は比較例である。
【0084】
【表3】
Figure 0004313067
【0085】
表3より明らかなように、ZnOの含有量が3.2重量%では、耐水性が1.5mg/cm2であり、1.0mg/cm2を超えてしまった。ZnOの含有量が23.2重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラスが得られなかった。したがって、ZnOの含有量は、4〜22重量%であることが好ましい。
このガラス組成物を特に磁気ヘッド用封着部材として用いる場合には、さらに耐水性を向上させ、かつ、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶を析出させないようにするために、ZnOの含有量を9.5〜19重量%にすることが好ましい。
【0086】
表4に、Bi23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.22〜27は実施例、No.21および28は比較例である。
【0087】
【表4】
Figure 0004313067
【0088】
表4より明らかなように、Bi23の含有量が52.5重量%では、作業点が660℃であり、650℃を超えてしまった。Bi23の含有量が92.0重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラスが得られなかった。したがって、Bi23の含有量は、55〜90重量%であることが好ましい。
このガラス組成物を、特に磁気ヘッド用封着部材として用いる場合には、さらに作業点を低下させ、かつ、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶を析出させないようにするために、Bi23の含有量は62〜80重量%にすることが好ましい。
【0089】
表5に、Al23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.29〜32は実施例、No.33は比較例である。
【0090】
【表5】
Figure 0004313067
【0091】
Al23は必ずしも必須の成分ではないが、ガラス組成物のガラス化を促進させ、耐水性を向上させる働きがある。表5より明らかなように、Al23の含有量が5重量%では、作業点が660℃であり、650℃を超えてしまった。したがって、Al23の含有量は、4重量%以下であることが好ましい。
また、Al23を含有しないガラス組成物の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、このガラス組成物を、特に磁気ヘッド用封着部材として用いる場合、Al23の含有量は0.1〜4重量%にすることが好ましい。また、作業点をさらに低下させるためには、Al23の含有量を0.1〜2重量%にすることがより好ましい。
【0092】
表6および7に、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.34〜44は実施例、No.45〜48は比較例である。
【0093】
【表6】
Figure 0004313067
【0094】
【表7】
Figure 0004313067
【0095】
Li2O、Na2OおよびK2Oは必ずしも必須の成分ではないが、これらのうち、少なくとも1種以上を含有させることにより、ガラス組成物の作業点を低下させることができる。
【0096】
表6および7より明らかなように、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計が7重量%では、熱膨張係数が130×10-7/℃を超え、耐水性を表す単位面積あたりの重量減少も1.0mg/cm2を超えてしまった。したがって、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量の合計は、5重量%以下であることが好ましく、4重量%以下であることが、さらに好ましい。
また、Li2Oの含有量が3重量%のとき、Na2Oの含有量が4重量%のときおよびK2Oの含有量が5重量%の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなった。したがって、Li2Oの含有量を2重量%以下、Na2Oの含有量を3重量%以下、K2Oの含有量を4重量%以下にすることが好ましい。
【0097】
表8および9に、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.49〜62が実施例、No.63〜67が比較例である。
【0098】
【表8】
Figure 0004313067
【0099】
【表9】
Figure 0004313067
【0100】
MgO、CaO、SrOおよびBaOは必ずしも必須の成分ではないが、これらのうち、少なくとも1種以上を含有させることにより、安定なガラス組成物が得られる。
【0101】
表8および9より明らかなように、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計量が14重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラスが得られなかった。したがって、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計は、12重量%以下であることが好ましい。
さらに、MgOの含有量が6.0重量%、CaOの含有量が7.0重量%、SrOの含有量が9.0重量%、およびBaOの含有量が12.0重量%の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなった。これを低減するためには、MgOは5重量%以下、CaOは6重量%以下、SrOは8重量%以下、BaOは10重量%以下とし、これらの合計を10重量%以下とすることが好ましい。
【0102】
表10〜15に、Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.69〜100は実施例、No.68および101〜116は比較例である。
【0103】
【表10】
Figure 0004313067
【0104】
【表11】
Figure 0004313067
【0105】
【表12】
Figure 0004313067
【0106】
【表13】
Figure 0004313067
【0107】
【表14】
Figure 0004313067
【0108】
【表15】
Figure 0004313067
【0109】
Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23は、ガラス組成物の機械的強度を向上させる働きがある。
【0110】
表10〜15より明らかなように、封着部材がより高い強度を必要とする場合には、これらのうちの少なくとも1種を0.1重量%以上含有するガラス組成物を用いることが必要である。しかし、これらの含有量の合計が12重量%以上の場合、ガラス組成物が、その作製時に失透して安定なガラス組成物が得られなかった。したがって、これらの含有量の合計は、0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0111】
表16に、上記希土類化合物のうち、Gd23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.119〜122は実施例、No.117および118は比較例である。
【0112】
【表16】
Figure 0004313067
【0113】
表16より明らかなように、Gd23の含有量を0.1〜3.5重量%とすると、高い機械的強度が得られ、熱膨張係数を抑えることができた。
【0114】
表17に、ZnOとB23の重量比(ZnO/B23)を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.124〜126は実施例、No.123および127は比較例である。
【0115】
【表17】
Figure 0004313067
【0116】
表17より明らかなように、ZnOとB23の重量比が0.7と3.4の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、結晶が析出しにくい安定なガラス組成物を得るためには、ZnOとB23の重量比を制御して0.8〜2.8とすることが好ましい。
【0117】
表18に、Al23とSiO2の重量比(Al23/SiO2)を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.128〜130は実施例、No.131および132は比較例である。
【0118】
【表18】
Figure 0004313067
【0119】
表18より明らかなように、Al23とSiO2の重量比が0.6以上の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、結晶が析出しにくい安定なガラスを得るためには、Al23とSiO2の重量比を制御して0.5以下とすることが好ましい。
【0120】
表19に、ビスマス系ガラス組成物と性能を比較するために作製した鉛を含むガラス組成物の比較例133〜139を示した。
【0121】
【表19】
Figure 0004313067
【0122】
表19より明らかなように、鉛を含むガラスは、すべての組成範囲において、耐水性が1.0mg/cm2を超えた。それに対し、本発明のビスマス系ガラス組成物は、鉛を含有することがなく、作業点が450〜650℃であり、かつ熱膨張係数が70×10-7〜130×10-7/℃であり、鉛を含むガラス組成物と同等の機械的強度を有しながら、耐水性にも優れたものであることがわかった。
【0123】
本発明のガラス組成物を磁気ヘッド用封着部材として使用する場合、流動性を発現させる観点からは、ガラス組成物が非晶質相からなることが好ましい。ただし、ガラス組成物を使用する用途によっては、熱処理によってガラス組成物を結晶化させてもよい。
【0124】
本発明のビスマス系ガラス組成物のより好ましい組成の一例を表20に示す。
【0125】
【表20】
Figure 0004313067
【0126】
上述したガラス組成物は、バルク状、粉末状、ファイバー状または薄膜状などの状態で磁気ヘッドの製造に用いることができるが、ガラス組成物の状態は、上述に限定されるものではない。
【0127】
本発明のガラス組成物または磁気ヘッド用封着部材は、ガラス組成物単独からなる材料、またはガラス組成物と他の材料とを組み合わせた複合材料として使用することができる。これらのガラス組成物または磁気ヘッド用封着部材は、熱処理などによって結晶化させたり、他の材料と組み合わせた複合材料として使用したりすることによって、70×10-7〜130×10-7/℃の範囲を超えた熱膨張係数を有する材料として使用してもよい。
【0128】
本発明のガラス組成物または磁気ヘッド用封着部材を使用する際の熱処理温度は、450〜650℃の作業点に限るものではなく、用途に応じて温度を選択できることはいうまでもない。
【0129】
《実施例2》
本発明の一実施例として、図4に示したフェライトヘッドを作製し、これを用いた磁気記録再生装置を作製した。
【0130】
図4において、封着部材25、26には、実施例17のガラス組成物を使用し、610℃で熱処理することにより、フェライトヘッド20を作製した。磁気コア半体22、23を構成するフェライトとしてはMn−Zn系単結晶フェライトを用い、磁気ギャップ材24としては石英ガラスを用いた。
【0131】
作製したフェライトヘッドは、クラックや破壊を生じず、また封着部材に侵食などが見られず、所期の目的とする磁気変換特性を有するものであった。さらに、このフェライトヘッドを用いた磁気記録再生装置は、信頼性の高い記録・再生を行うことができた。
【0132】
フェライトヘッド用の最良な封着部材としては、次に挙げるガラス組成物を用いることが好ましい。
フェライトヘッド用の封着部材には、実施例に挙げたものが使用できるが、特に、磁気記録媒体に対する耐摩耗性を高くすることが求められることから、SiO2の含有量を7重量%以上とすることがより好ましい。
【0133】
このような条件で、より安定な磁気ヘッド用封着部材を得るためには、さらに各成分の含有量を調整する必要があり、SiO2を7〜12重量%、B23を3〜9重量%、ZnOを9.5〜19重量%、Bi23を62〜80重量%、Al23を0.1〜4重量%、Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23よりなる群から選ばれる少なくとも1種を0.1〜5重量%含む組成とすることが好ましい。
【0134】
さらに、所望の作業点や熱膨張係数となるように調整するためには、Li2Oを2重量%以下、Na2Oを3重量%以下、K2Oを4重量%以下とし、これらの合計を4重量%以下とすることが好ましい。また、MgOを5重量%以下、CaOを6重量%以下、SrOを8重量%以下、BaOを10重量%以下とし、これらの合計を10重量%以下とすることが好ましい。
【0135】
さらに、上述したガラス組成物のうち、ZnOのB23に対する重量比は0.8〜2.8であり、またAl23のSiO2に対する重量比は0.5以下であることが好ましい。
【0136】
《実施例3》
本発明の一実施例として、図5に示したMIGヘッドを作製し、これを用いた磁気記録再生装置を作製した。
図5において、封着部材35、36には、実施例71のガラス組成物を使用し、525℃で熱処理することにより、MIGヘッド30を作製した。磁気コア半体32、33を構成するフェライトとしてはMn−Zn系単結晶フェライトを、金属磁性膜37、38としては飽和磁束密度(Bs)が1.6TのFe−Ta−N膜を、磁気ギャップ材34としては石英ガラスを用いた。
【0137】
作製したMIGヘッドは、クラックや破壊を生じず、また封着部材に侵食などが見られず、所期の目的とする磁気変換特性を有するものであった。さらに、このMIGヘッドを用いた磁気記録再生装置は、信頼性の高い記録・再生を行うことができた。
【0138】
MIGヘッド用の最良な封着部材としては、次に挙げるガラス組成物を用いることが好ましい。
MIGヘッド用の封着部材には、実施例に挙げたものが使用できるが、特に、高歩留まりで磁気ヘッドを作製するためには、磁気コア半体に対する封着部材の濡れ性が高いことが要求される。このような要求に対しては、SiO2の含有量を7重量%以下とすることがより好ましい。また、磁気記録媒体に対する耐摩耗性を高く維持するためには、SiO2の含有量を1.7重量%以上とすることがより好ましい。
【0139】
このような条件で、より安定な磁気ヘッド用封着部材を得るためには、さらに各成分の含有量を調整する必要があり、SiO2を1.7〜7重量%、B23を3〜9重量%、ZnOを9.5〜19重量%、Bi23を68〜80重量%、Al23を0.1〜4重量%、Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23よりなる群から選ばれる少なくとも1種を0.1〜5重量%含む組成とすることが好ましい。
【0140】
さらに、所望の作業点や熱膨張係数となるように調整するためには、Li2Oを2重量%以下、Na2Oを3重量%以下、K2Oを4重量%以下とし、これらの合計を4重量%以下とすることが好ましい。また、MgOを5重量%以下、CaOを6重量%以下、SrOを8重量%以下、BaOを10重量%以下とし、これらの合計を10重量%以下とすることが好ましい。
さらに、上述したガラス組成物のうち、ZnOのB23に対する重量比は0.8〜2.8であり、またAl23のSiO2に対する重量比は0.5以下であることが好ましい。
【0141】
《実施例4》
本発明の一実施例として、図6に示した積層型ヘッドを作製し、これを用いた磁気記録再生装置を作製した。
図6において、封着部材45、46、47には、実施例141のガラス組成物を使用し、490℃で熱処理することにより、積層型ヘッド40を作製した。金属磁性膜53としては飽和磁束密度(Bs)が0.8TのCo−Ta−Zr−Nbからなる合金を、絶縁膜54としては石英ガラスを、非磁性基板51、52としてはMgO−NiO−TiO2からなるセラミックス基板を、磁気ギャップ材44としては石英ガラスを用いた。
【0142】
作製した積層型ヘッドは、クラックや破壊を生じず、また封着部材に侵食などが見られず、所期の目的とする磁気変換特性を有するものであった。さらに、この積層型ヘッドを用いた磁気記録再生装置は、信頼性の高い記録・再生を行うことができた。
【0143】
積層型ヘッド用の最良な封着部材としては、次に挙げるガラス組成物を用いることが好ましい。
積層型ヘッド用の封着部材には、実施例に挙げたものが使用できるが、特に、熱処理時に他の部材の劣化を防ぐため、500℃以下の低温での熱処理により、磁気ヘッドを作製できることが要求される。このような要求に対しては、SiO2の含有量を5重量%以下とすることがより好ましい。また、磁気記録媒体に対する耐摩耗性を維持するには、SiO2の含有量を1.7重量%以上とすることがより好ましい。
【0144】
このような条件で、より安定な磁気ヘッド用封着部材を得るためには、さらに各成分の含有量を調整する必要があり、SiO2を1.7〜5重量%、B23を3〜9重量%、ZnOを9.5〜19重量%、Bi23を68〜80重量%、Al23を0.1〜4重量%、Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23よりなる群から選ばれる少なくとも1種を0.1〜5重量%含む組成とすることが好ましい。
【0145】
さらに、所望の作業点や熱膨張係数となるように調整するためには、Li2Oを2重量%以下、Na2Oを3重量%以下、K2Oを4重量%以下とし、これらの合計を4重量%以下とすることが好ましい。また、MgOを5重量%以下、CaOを6重量%以下、SrOを8重量%以下、BaOを10重量%以下とし、これらの合計を10重量%以下とすることが好ましい。
さらに、上述したガラス組成物のうち、ZnOのB23に対する重量比は0.8〜2.8であり、またAl23のSiO2に対する重量比は0.5以下であることが好ましい。
【0146】
《実施例5》
本発明のビスマス系ガラス組成物をPDP用の封着部材に用いた実施例および比較例を表21〜39に示した。
【0147】
所定の原料を混合した後、得られた混合物を白金るつぼに入れ、電気炉にて900〜1100℃で1時間溶融させた。次いで、得られた溶融ガラスをローラーで急冷することによって、ガラス組成物を作製した。得られたガラス組成物の組成、ガラスの安定性、軟化点、熱膨張係数、耐水性および強度を表21〜39に示した。
ここで、ガラスの安定性、軟化点、熱膨張係数、耐水性および強度は次のようにして評価した。
【0148】
[安定性]
ガラスの安定性は、ガラス組成物を作製後、それぞれの軟化点よりも50℃高い温度で、30分間、熱処理を行う過程で、ガラス状態から結晶が析出したか、否かを判断した。ガラス組成物が、その作製時に失透せず、前記試験温度での熱処理においても、結晶が析出しなかったものを○、ガラス組成物を作製時に失透しなかったが、前記試験温度での熱処理において結晶が析出したものを△、ガラス組成物を作製時に失透し、ガラス組成物が得られなかったものを×で示した。PDP用封着部材を構成するガラス組成物は、熱処理後に結晶化してもよい。ただし、工程上、複数回熱処理を行う必要がある場合には、ガラス組成物の結晶化による物性の変化が起こらないことが望ましく、安定な非晶質相を維持することがより好ましい。
【0149】
[軟化点]
軟化点は、日本工業規格R3103−1の試験方法に準拠して求めた。具体的には、ガラス組成物を再溶融し、適当な粘度の融液から線引きすることによって、直径0.55〜0.75mm、長さ234〜236mmのガラス繊維を作製した。そのガラス繊維を吊り下げた炉内を昇温し、自重による伸びの速度が毎分1mmとなるときの温度を測定した。
なお、PDPの封着工程においては、封着部材中のガラス組成物が十分に流動するように、ガラス組成物の軟化点よりも50℃高い温度付近で熱処理を行うと、前面板と背面板の封着を良好に行うことができる。このため、500℃以下の処理温度で封着するためには、軟化点が450℃以下となるガラス組成物を選択することが望ましい。
【0150】
[熱膨張係数]
ガラス組成物を再溶融し、鋳型に流し込み、冷却することによって、直径4mm、長さ20mmのガラスロッドを作製した。そのガラスロッドを10℃/minで昇温したときの線膨張率を測定した。そして、30〜300℃における平均熱膨張係数を算出した。
【0151】
[耐水性]
耐水性は、粒径250〜425μmのガラス組成物の見かけ体積1cm3相当を沸騰したイオン交換水中に1時間浸漬し、ガラス組成物の重量減少率(%)により評価した。重量減少率が小さいものであるほど耐水性に優れており、PDPにおいては、1.5重量%以下であることが好ましい。
【0152】
[機械的強度]
機械的強度は、三点曲げ法により測定した。ガラス組成物を再溶融し、適当な粘度の融液から線引きすることによって、直径1mm、長さ30mmのガラスロッドを作製した。そのガラスロッドの中央部を20mmの間隔をあけて水平に二点支持し、支持二点間の中央に上部からロードセルにより1mm/minの速度で荷重を印加した。ガラスロッドが破断したときの荷重から機械的強度を算出した。
【0153】
表21に、SiO2の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.203〜206は実施例、No.201、202および207は比較例である。
【0154】
【表21】
Figure 0004313067
【0155】
表21より明らかなように、SiO2の含有量が0.3重量%と、0.8重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラス組成物が得られなかった。SiO2の含有量が4.9重量%では、軟化点が486℃であり、450℃を超えてしまった。したがって、SiO2の含有量は、1.1〜4.5重量%であることが好ましい。
【0156】
また、SiO2の含有量が4.5重量%では、ガラス組成物を作製後の熱処理においてガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、ガラス中に結晶が析出するのを低減するために、SiO2の含有量は1.1〜4重量%であることがより好ましい。
【0157】
表22に、B23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.209〜211は実施例、No.208および212は比較例である。
【0158】
【表22】
Figure 0004313067
【0159】
表22より明らかなように、B23の含有量が2.3重量%と、10.6重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラス組成物が得られなかった。したがって、B23の含有量は4〜9重量%であることが好ましい。
【0160】
表23に、ZnOの含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.214〜216は実施例、No.213および217は比較例である。
【0161】
【表23】
Figure 0004313067
【0162】
表23より明らかなように、ZnOの含有量が7.6重量%では、耐水性を表す重量減少率が1.6%であった。つまり、1.5%を超えてしまった。ZnOの含有量が19.2重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して安定なガラス組成物が得られなかった。したがって、ZnOの含有量は9.5〜18重量%であることが好ましい。
【0163】
表24に、Bi23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.219〜222は実施例、No.218および223は比較例である。
【0164】
【表24】
Figure 0004313067
【0165】
表24より明らかなように、Bi23の含有量が70.4重量%では、軟化点が491℃であり、450℃を超えてしまった。Bi23の含有量が87.4重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラス組成物が得られなかった。したがって、Bi23の含有量は72〜85重量%であることが好ましい。
【0166】
また、Bi23の含有量が85.0重量%では、ガラス組成物を作製後の熱処理においてガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、ガラス中に結晶が析出するのを低減するために、Bi23の含有量は、72〜82重量%であることがより好ましい。
【0167】
表25に、Al23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.224〜227は実施例、No.228は比較例である。
【0168】
【表25】
Figure 0004313067
【0169】
Al23は必ずしも必須の成分ではないが、含有することによりガラス化を促進させ、耐水性を向上させる働きがある。表25より明らかなように、Al23の含有量が2.7重量%では、軟化点が471℃であり、450℃を超えてしまった。したがって、Al23の含有量は、2重量%以下であることが好ましい。
【0170】
さらに、ガラス状態を安定に維持し、ガラス組成物を作製後の熱処理においてガラス中に析出する結晶を低減するためには、Al23を0.1重量%以上含有することがより好ましい。
【0171】
表26および27に、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.229〜237は実施例、No.238〜242は比較例である。
【0172】
【表26】
Figure 0004313067
【0173】
【表27】
Figure 0004313067
【0174】
Li2O、Na2OおよびK2Oは必ずしも必須の成分ではないが、これらのうちから1種以上を含有することにより、軟化点を低下させることができる。No.238〜242の比較例より明らかなように、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が5.0重量%では、耐水性が1.6〜1.8%であり、1.5%を超えてしまった。したがって、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量の合計は4重量%以下であることが好ましい。
【0175】
なお、Li2Oの含有量が4.0重量%のときと、K2Oの含有量が4.0重量%の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理においてガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、ガラス中に結晶が析出するのを低減するために、Li2Oの含有量およびK2Oの含有量は、それぞれ2重量%以下であることがより好ましい。
【0176】
特に、Na2Oは、低軟化点でありながら、ガラス組成物を安定に維持させたい場合には最も効果的なものである。
ただし、絶縁性が問題となる場合には、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量をできるだけ少なくするか、含有しないことが望ましい。
【0177】
表28〜30に、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.243〜261は実施例、No.262〜266は比較例である。
【0178】
【表28】
Figure 0004313067
【0179】
【表29】
Figure 0004313067
【0180】
【表30】
Figure 0004313067
【0181】
MgO、CaO、SrOおよびBaOは必ずしも必須の成分ではないが、これらのうちから1種以上を含有することにより、安定なガラスを作製することができる。No.262〜266の比較例より明らかなように、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が10.0重量%では、ガラス組成物が、その作製時に失透して、安定なガラス組成物が得られなかった。そのために、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計は8重量%以下であることが好ましい。
【0182】
さらに、No.255〜261の実施例より明らかなように、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5.5重量%〜8.0重量%では、耐水性が1.6%以上であり、1.5%を超えてしまった。ガラス組成物の耐水性を改良する場合には、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計を4.5重量%以下とすることが好ましい。
【0183】
また、No.252と254の実施例より明らかなように、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなることから、これを低減する必要がある場合には、MgOの含有量を2重量%以下、BaOの含有量を4重量%以下にすることがより好ましい。
さらに、MgO、CaO、SrOおよびBaOはいずれもガラス組成物を安定化させる働きがある。特にCaOまたはSrOを含有することが好ましく、それぞれの含有量は、0.1〜4.5重量%とすることが効果的である。
【0184】
表31〜36に、Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23の含有量を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.268〜300は実施例、No.267および301〜317は比較例である。
【0185】
【表31】
Figure 0004313067
【0186】
【表32】
Figure 0004313067
【0187】
【表33】
Figure 0004313067
【0188】
【表34】
Figure 0004313067
【0189】
【表35】
Figure 0004313067
【0190】
【表36】
Figure 0004313067
【0191】
Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23は、ガラス組成物の機械的強度を向上させる働きがある。
【0192】
表31〜36より明らかなように、封着部材がより高い強度を必要とする場合には、これらのうちの少なくとも1種の含有量が0.1重量%以上含有するガラス組成物を用いることが必要となる。しかし、これらの含有量の合計が7.0重量%以上の場合、ガラス組成物が、その作製時に失透して安定なガラス組成物が得られなかった。したがって、これらの含有量の合計は、0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0193】
表37に、ZnOとB23の重量比(ZnO/B23)を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.319〜321は実施例、No.318および322は比較例である。
【0194】
【表37】
Figure 0004313067
【0195】
表37より明らかなように、ZnOとB23の重量比が0.77と3.05の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、結晶が析出しにくい安定なガラス組成物を得るためには、ZnOとB23の重量比を制御して、1.1〜2.5とすることが好ましい。
【0196】
表38に、Al23とSiO2の重量比(Al23/SiO2)を検討するために作製したガラス組成物を示した。No.323〜325は実施例、No.326および327は比較例である。
【0197】
【表38】
Figure 0004313067
【0198】
表38より明らかなように、Al23とSiO2の重量比が0.75以上の場合、ガラス組成物を作製後の熱処理において、ガラス中に結晶が析出しやすくなり、気密性の維持に問題が生じる場合がある。したがって、結晶が析出しにくい安定なガラス組成物を得るためには、Al23とSiO2の重量比を限定することが重要であり、その重量比を0.5以下とすることがより好ましい。
【0199】
表39に、ビスマス系ガラス組成物の性能を比較するために作製した鉛を含むガラス組成物の比較例328〜331を示した。
【0200】
【表39】
Figure 0004313067
【0201】
表39より明らかなように、本発明の封着部材を構成するガラス組成物は鉛を含有しなくても、軟化点が450℃以下であった。さらに、鉛を含むガラス組成物と同等の機械的強度を有しながら、耐水性にも優れたものであることがわかった。
【0202】
本発明のガラス組成物の組成割合を調整することによって、所望のPDP用封着部材を得ることができた。
【0203】
《実施例6》
実施例5で作製したガラス組成物を用いた封着部材16により、前面板1と背面板8を封着し、あるいは通気孔17とガラス管18を封着して、PDPを作製した。封着工程以外の製造方法は、本実施の形態で説明した方法と同様である。
【0204】
ガラス組成物の粉末と低膨張セラミックスフィラーを所定の重量比で混合し、ニトロセルロースと酢酸イソアミルを加えて、ペーストを作製した。こうして得られたガラス組成物を含むペーストを背面板8の封着部15にインジェクション法により塗布し、350℃で仮焼成を行った。次に、前面板1と背面板8を重ね合わせ、背面板8に設けた通気孔17の位置にガラス管18を配置し、インジェクション法によりガラス組成物を含むペーストを塗布した。これを所定の焼成温度で30分間焼成することにより封着を行った。焼成温度は、それぞれに使用したガラス組成物の軟化点より50℃高い温度とした。
【0205】
表40は、本発明の実施例である封着ガラス(No.A、B、C、D)と、比較例の封着部材(No.E)について示したものであり、それぞれの封着部材に使用したガラス組成物と、コーディエライトまたはジルコンからなる低膨張セラミックスフィラーとの構成比、封着部材の熱膨張係数および焼成温度を示している。
【0206】
なお、封着の対象となる前面板1および背面板8のガラスパネルと封着部材16との間には、封着後それぞれの熱膨張差により応力歪みが生じる。破壊などの損傷に至らないように応力歪みを小さくするには、封着部材16の熱膨張係数を60×10-7/℃〜80×10-7/℃とすることが好ましい。
【0207】
【表40】
Figure 0004313067
【0208】
封着後の結果、本実施例のいずれの封着部材16においても、比較例と同様に前面板1と背面板8を良好に封着し、必要な気密性を有し、その結果、点灯表示可能なPDPを製造することができた。
【0209】
なお、実施例5で説明した低軟化点のガラス組成物は、熱膨張係数がこれらよりはるかに大きい値であるので、低膨張セラミックスフィラーと任意に混合することにより所望の熱膨張係数を有する封着部材を得ることができる。この目的のためには、重量比で(低膨張セラミックスフィラー/ガラス組成物)が0.01以上となるように混合する必要がある。しかしながら、重量比で(低膨張セラミックスフィラー/ガラス組成物)が4.0を超えると、封着部材のガラス組成物の量が少な過ぎるために、封着そのものが不可能になり、気密性、強度が著しく劣化する。このことから、低膨張セラミックスフィラーとガラス組成物の重量比が0.01〜4.0であることが好ましい。
【0210】
この低膨張セラミックスフィラーとしては、例えば、コーディエライト、ウィレマイト、フォルステライト、アノーサイト、ジルコン、ムライト、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、クリストバライト、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、石英ガラス、高融点ガラスなどから選ばれる少なくとも一種を用いるとよい。
【0211】
【発明の効果】
本発明によれば、適切な熱膨張係数および機械的強度を有し、さらに、優れた耐水性、低い作業点を得ることができ、鉛を含まないため、環境への負荷も少ないビスマス系ガラス組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なPDPの主要構成を示す部分的な断面斜視図の一例である。
【図2】PDPの表示電極とアドレス電極の配置、並びに封着部を説明するための図である。
【図3】図1のPDPのアドレス電極に沿った封着部付近の断面図の一例である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかるフェライトヘッドの一例の概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかるMIGヘッドの一例の概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態にかかる積層型ヘッドの一例の概略斜視図である。
【図7】図6の積層型ヘッドの磁気記録媒体に対する摺動面の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態にかかる磁気記録再生装置の回転ドラム装置の一例の斜視図である。
【図9】図8の回転ドラム装置を備えた磁気記録再生装置の内部機構の一例の概略図である。
【符号の説明】
1 前面板
2 前面ガラス基板
3 透明導電膜
4 バス電極
5 表示電極
6 誘電体層
7 誘電体保護層
8 背面板
9 背面ガラス基板
10 アドレス電極
11 誘電体層
12 隔壁
13(R) 赤色蛍光体層
13(G) 緑色蛍光体層
13(B) 青色蛍光体層
14 放電空間
15 封着部
16 封着部材
17 通気孔
18 ガラス管
20 フェライトヘッド
21、31、41 巻線溝
22、23、32、33 磁気コア半体
24、34、44 磁気ギャップ材
25、26、35、36、45、46、47 封着部材
30 MIGヘッド
37、38、53 金属磁性膜
40 積層型ヘッド
42、43 多層膜磁気コア半体
51、52 非磁性基板
54 絶縁膜
61 回転ドラム装置
62 下ドラム
63 上回転ドラム
64 磁気ヘッド
65 リード
66 溝
100 磁気記録再生装置
101 供給リール
102 巻き取りリール
103、104、105、106、107、108 回転ポスト
109、110 傾斜ポスト
111 キャプスタン
112 ピンチローラ
113 テンションアーム

Claims (23)

  1. ビスマス系ガラス組成物であって、
    SiO2を1.7〜12重量%、B23を3〜9重量%、ZnOを9.5〜19重量%、Bi23を62〜80重量%、およびAl23を0.1〜4重量%含み、
    さらに、A群酸化物を5重量%以下、B群酸化物を12重量%以下、およびC群酸化物を0.1〜10重量%含み、
    A群酸化物が、Li2O、Na2OおよびK2Oよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    B群酸化物が、MgO、CaO、SrOおよびBaOよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    C群酸化物が、Sc23、Y23 、P23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23よりなる群から選ばれる少なくとも1種であるビスマス系ガラス組成物。
  2. ビスマス系ガラス組成物であって、
    SiO2を1.1〜4.5重量%、B23を4〜9重量%、ZnOを9.5〜18重量%、およびBi23を72〜85重量%含み、
    さらに、A群酸化物を4重量%以下、B群酸化物を8重量%以下、およびC群酸化物を0.1〜5重量%含み、
    A群酸化物が、Li2O、Na2OおよびK2Oよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    B群酸化物が、MgO、CaO、SrOおよびBaOよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    C群酸化物が、Sc23、Y23 、P23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23よりなる群から選ばれる少なくとも1種であるビスマス系ガラス組成物。
  3. A群酸化物を4重量%以下含む請求項1記載のビスマス系ガラス組成物。
  4. A群酸化物が、2重量%以下のLi2O、3重量%以下のNa2Oおよび4重量%以下のK2Oからなる請求項3記載のビスマス系ガラス組成物。
  5. B群酸化物を10重量%以下含む請求項1、3および4のいずれか1項に記載のビスマス系ガラス組成物。
  6. B群酸化物が、5重量%以下のMgO、6重量%以下のCaO、8重量%以下のSrOおよび10重量%以下のBaOからなる請求項5記載のビスマス系ガラス組成物。
  7. C群酸化物を0.1〜5重量%含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のビスマス系ガラス組成物。
  8. Al23を0.1〜2重量%含む請求項2または3記載のビスマス系ガラス組成物。
  9. B群酸化物を8重量%以下含む請求項3または8記載のビスマス系ガラス組成物。
  10. B群酸化物が、2重量%以下のMgO、0.1〜4.5重量%のCaO、0.1〜4.5重量%のSrOおよび4重量%以下のBaOからなる請求項9記載のビスマス系ガラス組成物。
  11. ZnOのB23に対する重量比が0.8〜2.8である請求項1および3〜7のいずれか1項に記載のビスマス系ガラス組成物。
  12. Al23のSiO2に対する重量比が0.5以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載のビスマス系ガラス組成物。
  13. ZnOのB23に対する重量比が1.1〜2.5である請求項2〜3、8〜10および12のいずれか1項に記載のビスマス系ガラス組成物。
  14. 請求項1、3〜7および11〜12のいずれか1項に記載のビスマス系ガラス組成物からなる磁気ヘッド用封着部材。
  15. 請求項2、8〜10および12〜13記載のビスマス系ガラス組成物からなるプラズマディスプレイパネル用封着部材。
  16. さらに、前記ビスマス系ガラス組成物に対し、低膨張セラミックスフィラーを重量比で0.01〜4含む請求項15記載のプラズマディスプレイパネル用封着部材。
  17. 前記低膨張セラミックスフィラーは、コーディエライト、ウィレマイト、フォルステライト、アノーサイト、ジルコン、ムライト、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、クリストバライト、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび石英ガラスよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項16記載のプラズマディスプレイパネル用封着部材。
  18. 少なくとも一方に巻線溝を設けた一対の磁気コア半体、前記一対の磁気コア半体の磁気ギャップ対向面間に介在する磁気ギャップ材および前記一対の磁気コア半体を接合する請求項14記載の封着部材からなる磁気ヘッド。
  19. 少なくとも一方の前記磁気ギャップ対向面に金属磁性膜を有する請求項18記載の磁気ヘッド。
  20. 前記一対の磁気コア半体は、それぞれが一対の非磁性基板および前記非磁性基板により挟持される金属磁性膜からなる請求項18記載の磁気ヘッド。
  21. 請求項18〜20のいずれか1項に記載の磁気ヘッドを備えた、磁気情報記録媒体に対して記録・再生を行う磁気記録再生装置。
  22. 対向する前面板および背面板、前記前面板と背面板との間に配設されている表示電極およびアドレス電極、前記アドレス電極を隔離する隔壁、前記表示電極およびアドレス電極それぞれの表面を被覆する誘電体層、ならびに前記前面板および背面板それぞれの周縁部間を接合する請求項15〜17のいずれか1項に記載の封着部材からなるプラズマディスプレイパネル。
  23. 前記前面板または背面板には通気孔が設けられており、前記通気孔と連通するガラス管および前記通気孔の開口縁部と前記ガラス管の末端とを接合するさらなる前記封着部材を有する請求項22記載のプラズマディスプレイパネル。
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