JP5679522B2 - 封着材料 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)、各種電子放出素子を有する各種形式のフィールドエミッションディスプレイ(以下、FED)、蛍光表示管(以下、VFD)等の平面表示装置等に用いる封着材料に関するものである。
従来から封着材料としてガラスが用いられている。ガラスは、樹脂系の接着剤に比べ、化学的耐久性及び耐熱性に優れると共に、平面表示装置等の気密信頼性を確保するのに適している。
これらのガラスは、用途によっては機械的強度、流動性、電気絶縁性等の種々の特性が要求されるが、平面表示装置等に使用するためには、蛍光体の蛍光特性等を劣化させない温度で使用可能であることが要求される。それ故、上記特性を満足するガラスとして、低融点の鉛ホウ酸系ガラス(例えば、特許文献1参照)が広く用いられてきた。
ところが、最近、鉛ホウ酸系ガラスに含まれるPbOに対して環境上の問題が指摘されており、鉛ホウ酸系ガラスから実質的にPbOを含まないガラスに置き換えることが望まれている。そのため、鉛ホウ酸系ガラスの代替品として、様々な低融点ガラスが開発されている。その中でも、特許文献2等に記載されているビスマス系ガラスは、化学耐久性、機械的強度等の特性が鉛ホウ酸系ガラスと同等であるため、その代替候補として期待されている。
ところで、封着材料に使用されるガラスは、用途に応じて結晶性、或いは非結晶性が選択される。一般的に、封着工程後にガラスが軟化してはいけない用途、例えばPDP用の排気管の封着用途では、結晶性のガラスが選択される。本用途では、排気管の封着工程後に軟化点以上、例えば420〜480℃まで熱処理温度が上がる真空排気工程があり、非結晶性のガラスを用いると、真空排気工程でガラスが再軟化し、このことに起因して、平面表示装置等に気密リークが発生し易くなる。そこで、このような事態を防止するために、本用途では結晶性のガラスを選択するのが好ましいとされている(例えば、特許文献3、4参照)。
特開昭63−315536号公報 特開平6−24797号公報 特開2001−122640号公報 特開2001−10843号公報
近年、PDPの分野では、液晶ディスプレイ等に代表される他のフラットパネルディスプレイとの競争から、画質の向上、或いは製造効率の向上を図り、製品コストを低下させることが重要な技術的課題となっており、この課題を解決すべく、従来、数十時間を要していた真空排気工程を改良する試みが検討されている。
PDPの真空排気工程において、排気温度を上昇させると、排気効率を向上できることが知られており、具体的には、排気温度を上昇させると、例えば排気温度を450℃以上にすると、排気に要する時間を10時間程度に短縮できると共に、PDPの装置内部を高真空にすることができる。PDPの装置内部を高真空にすれば、装置内部の付着不純物の含有量を低減することができるため、後に装置内部に封入される希ガス成分の純度を高めることができ、PDPの発光特性を向上させることができる。
特許文献2に記載のビスマス系ガラスは、ガラス組成を選択すれば、結晶性のガラスを得ることができる。しかし、この結晶性のガラスは、ガラス組成中にガラス構成成分(結晶を構成しない成分)であるB23を13質量%以上含有し、且つ結晶を構成する成分であるZnOを含有していないため、熱処理を行っても、ガラスに十分な量の結晶が析出せず、結晶化後の熱処理工程でガラスが再軟化し易く、真空排気工程で排気温度を上昇させることができない。
また、封着材料として結晶性のガラスを用いる場合、封着材料の流動性と低熱膨張特性(結晶化後)は、両立困難な特性である。特に、ビスマス系ガラスは、鉛ホウ酸系ガラスと比べて熱的安定性が乏しく、流動性を確保する前にガラスが失透し易い。また、ビスマス系ガラスは、軟化点を下げるために多量のBiを含有させる必要があるが、このような場合、封着工程で高膨張の12Bi・B結晶(熱膨張係数≒160×10−7/℃)が析出し易い。この結晶が多量に析出した場合、結晶化後の封着材料の熱膨張係数が不当に上昇するため、封着工程後に封着部位等に不当な応力が残留し易くなる。
そこで、本発明は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、平面表示装置等の排気温度を上昇させるべく、熱処理工程でガラスに十分な量の結晶が析出すると共に、流動性と低熱膨張特性(結晶化後)が良好な封着材料を得ることを技術的課題とする。
本発明者は、鋭意努力の結果、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の含有量を規制すると共に、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲、質量分率ZnO/CuOの値及びZnO/Bの値を規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、(1)ビスマス系ガラス粉末40〜100体積%と、耐火性フィラー粉末0〜60体積%とを含有し、(2)ビスマス系ガラス粉末が、ガラス組成として、質量%で、Bi 74〜85%、B 4.5〜9.5%、ZnO 10〜16.5%、CuO 1.2〜8%含有し、(3)ビスマス系ガラス粉末が、ガラス組成として、質量分率で、ZnO/CuOの値が1〜10、ZnO/Bの値が1.5〜3であり、(4)実質的にPbOを含有せず、(5)結晶化温度が490〜570℃であることを特徴とする。ここで、本発明でいう「実質的にPbOを含有しない」とは、封着材料中のPbOの含有量が1000ppm以下の場合を指す。
本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末40〜100体積%と、耐火性フィラー粉末0〜60体積%とを含有する。このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を被封着物の熱膨張係数に整合させ易くなる。耐火性フィラー粉末の含有量が60体積%より多いと、相対的にビスマス系ガラス粉末の含有量が少なくなり、封着材料の流動性が損なわれ易くなる。なお、本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末を添加することなく、ビスマス系ガラス粉末のみで構成されていてもよい。
また、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲を上記のように規制しているため、低温で良好な流動性を示し、低温で良好に封着することができる。その上、ガラスが軟化した後に十分な量の結晶が析出し易いため、結晶化後の熱処理工程でガラスが再軟化し難く、例えば真空排気工程でガラスが再軟化し難く、平面表示装置等の気密信頼性を確保することができる。
本発明者の詳細な調査によれば、上記のガラス組成範囲を有するビスマス系ガラスは、封着工程で12Bi・B結晶、Bi・CuO結晶、Bi・B・2ZnO結晶のいずれかが析出する。12Bi・B結晶は高膨張であるため、封着工程でガラスに12Bi・B結晶が多量に析出すると、結晶化後に封着材料の熱膨張係数が不当に上昇し易くなり、被封着物の熱膨張係数に整合し難くなる。また、封着材料の流動性と低熱膨張特性(結晶化後)は、両立困難な特性であるが、封着工程でガラスにBi・CuO結晶を析出させると、両特性を高いレベルで両立させることができる。更に、Bi・B・2ZnO結晶は、低膨張の結晶であるため、封着工程でガラスにBi・B・2ZnO結晶を析出させると、結晶化後に封着材料の熱膨張係数が不当に上昇する事態を防止し易くなる。そこで、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成において、質量分率ZnO/CuOの値及びZnO/Bの値を上記のように規制すれば、封着工程で12Bi・B結晶の析出量を抑制しつつ、Bi・CuO結晶及びBi・B・2ZnO結晶を析出させることができる。その結果、封着工程で熱膨張係数が不当に上昇し難く、流動性と低熱膨張特性(結晶化後)を高いレベルで両立させた封着材料を得ることができる。
更に、本発明の封着材料は、実質的にPbOを含有しない。このようにすれば、近年の環境的要請を的確に満たすことができる。
第二に、本発明の封着材料は、480℃で焼成したときの熱膨張係数をα、500℃で焼成したときの熱膨張係数をαとしたとき、(α−α)<4×10−7/℃の関係を満たすことが好ましい。ここで、「熱膨張係数」は、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置で測定した値を指し、「α」は480℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜480℃の温度範囲で測定した値を指し、「α」は500℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜500℃の温度範囲で測定した値を指す。なお、焼成に際し、昇降温速度は10℃/分とする。
封着材料として結晶性のガラスを用いる場合、熱処理温度が相違すると、ガラスに析出する結晶種及び結晶の析出量が相違し、結晶化後の封着材料の熱膨張係数が相違し易くなる。一般的に、PDPの製造工程において、封着温度は490℃程度であり、また焼成炉内の温度分布は±10℃程度である。よって、PDPの封着材料として結晶性のガラスを用いる場合、封着部位の熱膨張係数が局所的に相違し、封着部位等に不当な応力が局所的に残留し易くなり、その結果、PDPの気密性や機械的強度等が低下し易くなる。しかし、本発明の封着材料は、480℃で焼成したときの熱膨張係数をα、500℃で焼成したときの熱膨張係数をαとしたとき、(α−α)<4×10−7/℃の関係を満たし、好ましくは(α−α)<3×10−7/℃の関係を満たすため、かかる事態を防止することができ、本用途に好適である。
第三に、本発明の封着材料は、結晶化温度が490〜570℃であることが好ましい。ここで、本発明でいう「結晶化温度」とは、示差熱分析(DTA)装置の測定(大気中、昇温速度10℃/分、室温から測定開始)で結晶化ピークが発現する温度を指す。
第四に、本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末が、ZnO含有耐火性フィラー粉末であることが好ましい。
第五に、本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末が、ウイレマイト、酸化亜鉛、ガーナイト、ZnO・Al・SiOの群より選ばれた一種又は二種以上であることが好ましい。
第六に、本発明のタブレットは、封着材料を所定形状に焼結させたタブレットであって、該封着材料が上記の封着材料であることに特徴付けられる。なお、本発明のタブレットは、特に形状は限定されないが、排気管の固定を想定した場合、リング状であることが好ましい。
第七に、本発明のタブレット一体型排気管は、拡径された排気管の先端部に、上記のタブレットが取り付けられていることが好ましい。ここで、本発明において、「排気管の先端部」とは、拡径化された排気管の表面部位を指し、拡径化された部分においてパネルと接する側の排気管底面又は排気管外周側面を指す。また、タブレットは、排気管の先端部のみに接着される態様だけでなく、排気管の先端部の一部に接着される態様を含む。
第八に、本発明のタブレット一体型排気管は、拡径された排気管の先端部に、上記のタブレットと、高融点タブレットとが取り付けられており、且つ上記のタブレットが拡径された排気管の先端部側に取り付けられ、高融点タブレットが上記のタブレットよりも後端部側に取り付けられていることに特徴付けられる。ここで、本発明でいう「高融点タブレット」とは、520℃未満で軟化変形しないタブレットを指し、例えば、ガラスタブレットの場合、DTA装置で測定した軟化点が520℃以上のタブレットを指す。
本発明の封着材料において、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲を上記のように限定した理由は下記の通りである。なお、以下の%表示は、特に断りがある場合を除き、質量%を指す。
Biは、ガラスの軟化点を下げるための主要成分であり、また結晶を構成する成分であり、その含有量は74〜85%、好ましくは76〜83%、より好ましくは76.5〜81%である。Biの含有量が74%より少ないと、軟化点が上昇し、低温で封着し難くなる。一方、Biの含有量が85%より多いと、ガラスの耐失透性が悪化し、封着工程でガラスが軟化する前に、ガラスに結晶が析出して、封着材料としての機能を発揮し難くなる。
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを構成するために必須の成分であり、その含有量は4.5〜9.5%、好ましくは5〜9%、より好ましくは5〜8.5%である。Bの含有量が4.5%より少ないと、ガラスの軟化点は低くなるが、ガラスネットワークが形成され難くなり、封着工程でガラスが軟化する前に、ガラスに結晶が析出して、封着材料としての機能を発揮し難くなる。一方、Bの含有量が9.5%より多いと、ガラスの結晶性が低くなり、熱処理工程で十分な量の結晶が析出し難くなる。また、Bの含有量が9.5%より多いと、結晶化後の封着材料の熱膨張係数が上昇し易くなる。
ZnOは、Bi・B・2ZnO結晶を析出させるために必須の成分であると共に、ガラスの結晶化度を高めるために必須の成分であり、その含有量は10〜16.5%、好ましくは10.5〜16%、より好ましくは12〜15%である。ZnOの含有量が10%より少ないと、ガラスの結晶化度を高めることが困難になる。一方、ZnOの含有量が16.5%より多いと、結晶の析出時期が不当に早まり、封着工程で所望の流動性を確保し難くなる。
CuOは、Bi・CuO結晶を析出させて、ガラスの結晶化度を高めるために必須の成分であり、その含有量は1.2〜8%、好ましくは2〜6.5%、より好ましくは2.1〜5.5%、更に好ましくは3〜5%である。CuOの含有量が1.2%より少ないと、熱処理工程でガラスにBi・CuO結晶が析出し難くなる。一方、CuOの含有量が8%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に結晶の析出時期が不当に早まり、封着工程で所望の流動性を確保し難くなる。また、CuOの含有量が8%より多いと、焼成温度により、封着材料の熱膨張係数が変動し易くなる。
質量分率ZnO/CuOは、封着工程でガラスに析出する結晶を制御するための成分比率、すなわち封着工程で12Bi・B結晶の析出量を減少させ、Bi・CuO結晶の析出量を増加させると共に、Bi・B・2ZnO結晶を確実に析出させるための成分比率であり、質量分率ZnO/CuOの値は1〜10、好ましくは1.5〜7.5、より好ましくは2〜5である。質量分率ZnO/CuOの値が1より小さいと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、結晶の析出時期が不当に早まり、封着工程で所望の流動性を確保し難くなる。一方、質量分率ZnO/CuOの値が10より大きいと、12Bi・B結晶の析出量が多くなり過ぎ、結晶化後の封着材料の熱膨張係数が不当に上昇し易くなる。
質量分率ZnO/Bは、封着工程でガラスに析出する結晶を制御するための成分比率、すなわち封着工程でBi・B・2ZnO結晶及び12Bi・B結晶の析出量を制御するための成分比率であり、質量分率ZnO/Bの値は1.5〜3、好ましくは1.5〜2.7、より好ましくは1.6〜2.3である。質量分率ZnO/Bの値が1.5より小さいと、ガラスの結晶性が低くなり、熱処理工程で十分な量の結晶が析出し難くなる。一方、質量分率ZnO/Bの値が3より大きいと、12Bi・B結晶の析出量が多くなり過ぎ、結晶化後の封着材料の熱膨張係数が不当に上昇し易くなる。
本発明に係るビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、上記成分以外にも、例えば、以下の成分を含有させることができる。
Feは、溶融時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3%、特に0.1〜3%である。Feの含有量が5%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが熱的に不安定になり易い。
BaO、SrO、MgO及びCaOは、ガラスの溶融時の失透を抑制する効果があり、その含有量は、合量(BaO+SrO+MgO+CaO)で、好ましくは0〜10%、0〜7%、特に0〜5%である。これらの成分の合量が10%より多いと、ガラスの軟化点が上昇し、低温で封着し難くなる。
SiO及びAlは、ガラスの耐候性を高める効果があり、その含有量は、合量(SiO+Al)で、好ましくは0〜5%、0〜3%、特に0〜1%である。これらの成分の合量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり、低温で封着し難くなる。
MoO及びWOは、結晶の析出時期をコントロールし易くする成分であり、その含有量は、合量(MoO+WO)で、好ましくは0〜5%、0〜3%、特に0〜1%である。これらの成分の合量が5%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、ガラスの熱的安定性が悪化し易くなり、逆に結晶の析出時期をコントロールし難くなる。
Sbは、結晶の析出時期をコントロールし易くする成分であり、その含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3%、特に0〜1%である。Sbの含有量が5%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、ガラスの熱的安定性が悪化し易くなり、逆に結晶の析出時期をコントロールし難くなる。
In及びGaは、結晶の析出時期をコントロールし易くする成分であり、その含有量は、合量(In+Ga)で、好ましくは0〜5%、0〜3%、特に0〜1%である。これらの成分の合量が5%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、ガラスの熱的安定性が悪化し易くなり、逆に結晶の析出時期をコントロールし難くなる。
また、本発明に係るビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、更に種々の成分を添加させることができる。例えば、LiO、NaO、KO、CsO、La、Gd、Y、CeO等を10%まで添加することができる。LiO、NaO、KO及びCsO等のアルカリ金属酸化物は、ガラスの軟化点を低くする成分である。ただし、アルカリ金属酸化物は、ガラスの失透を促進する作用を有するため、その添加量は合量で2%以下に制限するのが好ましい。La、Gd、Y及びCeO等の希土類酸化物は、ガラスを熱的に安定化する成分であるが、これらの成分の合量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり、500℃以下の低温で封着し難くなる。
本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末の粒度を調整することにより、封着材料の結晶化温度を調節することができ、二段階の熱処理工程(熱処理工程が二回の場合)に適切に対応することができる。例えば、460℃程度の低温で行う一次熱処理で、流動性を確保しつつ、低温の二次熱処理でガラスの結晶化を完了させる場合には、ビスマス系ガラス粉末の粒度を小さくすればよく、例えば平均粒子径D50は、好ましくは0.1〜15μm、特に0.2〜10μm未満が好ましい。また、一次熱処理で被封着物に融着させた後、二次熱処理でもう一方の被封着物に封着しながら、ガラスの結晶化を完了させる場合には、逆にビスマス系ガラス粉末の粒度を大きくすればよく、例えば平均粒子径D50は、好ましくは10超〜100μm、特に15〜70μmである。ここで、「平均粒子径D50」は、レーザー回折法で測定した値を指す。
本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末単独でも、結晶化させることができ、しかもBi・CuO結晶、Bi・B・2ZnO結晶等が析出することから、結晶化後の封着材料の熱膨張係数を確実に低下させることができる。それ故、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末単独でも封着材料として好適に使用することができる。
被封着物の熱膨張係数が低い場合、ビスマス系ガラス粉末に耐火性フィラー粉末を添加し、複合材料とするのが好ましい。ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の混合割合は、好ましくはビスマス系ガラス粉末40〜99.9体積%、耐火性フィラー粉末0.1〜60体積%、より好ましくはビスマス系ガラス粉末40〜99体積%、耐火性フィラー粉末1〜60体積%、更に好ましくはビスマス系ガラス粉末50〜95体積%、耐火性フィラー粉末5〜50体積%、特に好ましくはビスマス系ガラス粉末70〜90体積%、耐火性フィラー粉末10〜30体積%以下である。耐火性フィラー粉末の含有量が0.1体積%より少ないと、耐火性フィラー粉末を添加することによる効果が乏しくなる。耐火性フィラー粉末の含有量が60体積%より多いと、相対的にビスマス系ガラス粉末の含有量が少なくなり、封着材料の流動性が損なわれる傾向にある。
本発明の封着材料において、結晶化温度は490〜570℃であることが好ましく、510〜550℃であることがより好ましい。結晶化温度が490℃より低いと、封着工程でガラスが軟化する前にガラスに結晶が析出し易くなり、所望の封着強度や流動性を確保し難くなる。一方、結晶化温度が570℃より高いと、封着工程でガラスに結晶が析出し難くなり、真空排気工程で排気温度を不当に低下させる必要がある。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末として、ウイレマイト、β−ユークリプタイト、コーディエライト、ジルコン、酸化スズ、ムライト、石英ガラス、アルミナ等を一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。更に、上記の耐火性フィラー粉末以外にも、封着材料の熱膨張係数の調整、流動性の調整及び機械的強度の改善のために、シリカ、ジルコニア等の耐火性フィラー粉末を添加することができる。
ZnO含有耐火性フィラー粉末を添加すれば、封着工程でガラスに析出する結晶種を顕著に変化させることなく、封着部位の結晶化度を高めることができる。ZnO含有耐火性フィラー粉末としては、ウイレマイト(2ZnO・SiO)、ガーナイト(ZnO・Al)、酸化亜鉛(ZnO)、ZnO・Al・SiO等を一種又は二種以上組み合わせて使用すればよい。特に、ウイレマイトは、熱膨張係数が小さく、上記の効果が顕著であるため、好ましい。
結晶核として作用する耐火性フィラー粉末、例えば酸化チタン、酸化鉄等を少量(例えば、0.1〜2%)添加すれば、封着部位の結晶化度を更に高めることができる。
封着材料の熱膨張係数は、被封着物に対して、好ましくは7〜30×10−7/℃、より好ましくは10〜25×10−7/℃程度低く設計することが重要である。これは、封着工程後に封着部位にかかる応力を圧縮側にして封着部位の破壊を防ぐためである。特に、PDP用高歪点ガラス基板(熱膨張係数83×10−7/℃)の場合、封着材料の好適な熱膨張係数は59〜73×10−7/℃である。また、VFD用ソーダガラス基板(熱膨張係数85〜100×10−7/℃)の場合、封着材料の好適な熱膨張係数は70〜90×10−7/℃である。
封着材料は、粉末のまま使用に供してもよいが、ビークルと均一に混練し、ペーストに加工すると取り扱い易い。ビークルは、主に溶媒と樹脂とからなり、樹脂はペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて塗布される。
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、水、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
本発明の封着材料は、所定形状に焼結し、タブレットとするのが好ましい。PDP等の平面表示装置において、排気管をパネルに封着させるために、リング状に成形加工されたタブレット(プレスフリット・ガラス焼結体・ガラス成形体等とも称される)が用いられている。タブレットには、排気管を挿入するための挿入孔が形成されており、この挿入孔に排気管を挿入し、排気管の先端部をパネルの排気孔の位置に合わせ、クリップ等で固定される。その後、タブレットの封着温度で熱処理を行い、タブレットを軟化させることにより、排気管がパネルに取り付けられる。本発明の封着材料をタブレットに加工すれば、排気管の取り付けにあたって、排気設備への接続を容易にできると共に、排気管の傾きをパネルに対して低減することができ、更には平面表示装置の発光能力を維持しつつ気密信頼性が保たれるように取り付けることができる。特に、本発明のタブレットは、流動性と低熱膨張特性(結晶化後)を高いレベルで両立することができるため、PDP用排気管の固定に好適である。
一般的に、タブレットは、以下のように複数回の熱処理工程を別途独立に経て、作製される。まず、封着材料に樹脂や溶剤を添加し、スラリーを形成する。その後、このスラリーをスプレードライヤー等の造粒装置に投入し、顆粒を作製する。その際、顆粒は、溶剤が揮発する程度の温度(100〜200℃程度)で熱処理される。更に、作製された顆粒は、所定の寸法に設計された金型に投入され、リング状に乾式プレス成形され、プレス体が作製される。次に、ベルト炉等の熱処理炉にて、このプレス体に残存する樹脂を分解揮発させると共に、封着材料の軟化点程度の温度で焼結すれば、所定形状のタブレットを得ることができる。また、熱処理炉での焼結は、複数回行われる場合がある。焼結を複数回行うと、タブレットの強度が向上し、タブレットの欠損、破壊等を効果的に防止することができる。
本発明のタブレットは、拡径された排気管の先端部に取り付けてタブレット一体型排気管として用いることが好ましい。このようにすれば、排気孔を起点にして、パネル、タブレット及び排気管の位置合わせを行う必要がなくなり、排気管の取り付け作業を簡略化することができる。タブレット一体型排気管を製造するためには、排気管の一端にタブレットを接触させた状態で熱処理し、タブレットを排気管の先端部に接着させておく必要がある。このような場合、一般に排気管を治具により固定し、この状態の排気管にタブレットを挿入し熱処理する方法を採用することができる。排気管を固定する治具は、タブレットが融着しない材質を用いることが好ましく、例えば、カーボン治具等が使用可能である。また、排気管とタブレットの接着は、封着材料の軟化点付近で5〜10分程度の短時間で行えばよい。更に、本発明のタブレットは、流動性と低熱膨張特性(結晶化後)を高いレベルで両立できると共に、封着工程でガラスに十分な量の結晶が析出するため、排気温度を上昇させても、真空排気工程でタブレットが再軟化し難く、平面表示装置等の気密性を確保することができる。
排気管としては、アルカリ金属酸化物を所定量含有させたSiO−Al−B系ガラスが好適であるが、特に日本電気硝子株式会社製の商品グレード「FE−2」が好適である。この排気管は、熱膨張係数が85×10−7/℃、耐熱温度が550℃であり、寸法が、例えば外径5mm、内径3.5mmである。また、排気管の先端部分を拡径化するのが好ましく、先端部にフレア部又はフランジ部を形成するのが好ましい。排気管の先端部分を拡径化する方法として、種々の方法を採用することができる。特に、排気管の先端部を回転させながらガスバーナーを用いて加熱し、数種類の治具を用いて所定の形状に加工する方法が量産性に優れるため好ましい。
このような構成のタブレット一体型排気管の一例を図1に示す。図1は、タブレット一体型排気管の断面図であり、排気管1の先端部が拡径化されており、排気管のパネル側の先端部にタブレット2が接着されている。
本発明のタブレット一体型排気管は、拡径された排気管の先端部にタブレットと、高融点タブレットとが取り付けられており、且つタブレットを拡径された排気管の先端部側に取り付けて、高融点タブレットをタブレットよりも後端部側に取り付けることが好ましい。このような構成にすれば、タブレットが排気管の先端部側に取り付けられているので、パネル等に排気管を取り付ける際にパネル等と接触する面積は、排気管だけの場合よりも広くなり、パネル等の上に排気管を安定して自立させることができ、垂直に取り付け易くなる。また、このような構成にすれば、タブレット一体型排気管の製造工程において、タブレットを排気管に固着させる際、治具とタブレットの間に高融点タブレットを配置させることにより、タブレット一体型排気管を製造することができるため、特殊な治具を使用する必要がなくなり、製造工程を簡略化することができる。
上記構成のタブレット一体型排気管において、タブレットは、好ましくは排気管の先端部の外周面に固着され、更に好ましくは排気管の先端部の外周面のみに固着され、排気管先端部の先端面、すなわちパネル等と接着する面には固着されない。このようにすれば、真空排気工程で封着材料がパネル等に形成された排気孔へ流れ込む事態を容易に防止することができる。また、高融点タブレットは、排気管に直接接着せず、タブレットを介して排気管に固定すれば、封着工程で高融点タブレット部分をクリップで固定した状態で排気管を加圧封着できるため、好ましい。図2にこのような構成のタブレット一体型排気管の一例を示す。図2は、タブレット一体型排気管の断面図であり、排気管1の先端部が拡径化されており、排気管1のフランジ部分1aの外周面側の先端部分にタブレット2が接着している。一方、高融点タブレット3は排気管1の外周面側に接着していない。また、タブレット2は、フランジ部分1aの先端部側に取り付けられて、高融点タブレット3がタブレット2よりもフランジ部分1aの後端部側に取り付けられている。
高融点タブレットとして、日本電気硝子株式会社製の商品グレード「ST−4」、「FN−13」を用いるのが好ましい。高融点タブレットは、上記の方法で作製することができる。また、高融点タブレットの材質として、セラミックス、金属等を用いることもできる。
本発明の封着材料は、平面表示装置又は電子部品の封着に用いることが好ましい。平面表示装置は、低温で封着すれば、それだけ製造効率が向上すると共に、蛍光体等の他部材の特性劣化を防止することができる。一方、電子部品は、高温で特性が劣化する部材(例えば、水晶振動子パッケージの導電接着剤)を使用する場合がある。よって、本発明の封着材料は、低温で封着可能であるため、これらの用途に好適である。
本発明の封着材料は、PDPの封着に使用することが好ましい。PDPでは、封着工程の後、排気管を通してPDP内部を真空排気した後、希ガスを必要量注入して排気管を封止する。既述の通り、真空排気工程は、排気効率を上げるため、できるだけ高温で行うことが好ましい。本発明の封着材料は、流動性と低熱膨張特性(結晶化後)を高いレベルで両立することができる。更に、本発明の封着材料は、封着工程後にガラスに十分な量の結晶が析出するため、真空排気工程で再軟化し難く、排気温度を上昇させることができる。同様の理由により、本発明の封着材料は、前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着材料としても好適である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
<実験1>
表1〜4は本発明の実施例(試料No.1〜5、8〜10、13、14、16〜18)及び比較例(試料No.19〜26)を示している。なお、試料No.6、7、11、12、15は参考例である。
表1〜4に記載の各試料は次のようにして調製した。
まず、表に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1100℃で1時間溶融した。次に、水冷ローラーにより、溶融ガラスを薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き150メッシュの篩を通過させて、平均粒子径D50が10μmの各ビスマス系ガラス粉末を得た。
耐火物フィラー粉末としては、ウイレマイト及び酸化スズ(錫石)を用いた。ウイレマイトの平均粒子径D50は11μmであり、二酸化スズの平均粒子径D50は8μmであった。
表中に示す通り、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を混合し、試料No.1〜26を作製した。
試料No.1〜26につき、密度、熱膨張係数、軟化点、結晶化温度、流動径を評価した。
密度は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の密度をそれぞれ測定した上で、計算により求めた。
熱膨張係数は、TMA装置により求めた。熱膨張係数αは、試料No.1〜26を480℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜480℃の温度範囲で算出した。熱膨張係数αは、試料No.1〜26を500℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜500℃の温度範囲で算出した。なお、焼成の際、昇降温速度は10℃/分とした。なお、熱膨張係数α及びαは、PDPの封着を想定した場合、74×10−7/℃以下が好ましい。
軟化点は、DTA装置により求めた。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。
結晶化温度は、DTA装置で測定した。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。なお、結晶化温度は490〜570℃が好ましい。
流動径は、封着材料の密度に相当する質量の粉末を金型により外径20mmのボタン状にプレスし、次に得られたボタン試料を高歪点ガラス基板上に載置した後、電気炉で10℃/分で昇温し、480℃で20分間保持した後、10℃/分の速度で降温し、得られたボタン試料の直径をデジタルノギスで測定し、評価した。なお、流動径が17.7mm未満であると、クリップ等の加圧冶具を用いたとしても、480℃20分の焼成で封着することが困難である。
表面状態は、光学顕微鏡(100倍)で観察し、上記ボタン表面全体に結晶が析出しているものを「○」とし、ボタン表面全体に結晶が析出していないものを「×」として評価した。
試料No.1〜18は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲、質量分率ZnO/CuOの値及び質量分率ZnO/Bの値、耐火性フィラー粉末の含有量が所定範囲内であるため、熱膨張係数、結晶化温度、流動径、表面状態の評価が良好であった。
試料No.19は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲及び質量分率ZnO/CuOの値が所定範囲外であるため、熱膨張係数の評価が不良であった。試料No.20は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲及び質量分率ZnO/Bの値が所定範囲外であるため、熱膨張係数及び流動径の評価が不良であった。試料No.21は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲、質量分率ZnO/CuOの値及び質量分率ZnO/Bの値が所定範囲外であるため、熱膨張係数及び流動径の評価が不良であった。試料No.22は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲及び質量分率ZnO/CuOの値が所定範囲外であるため、熱膨張係数の評価が不良であった。試料No.23は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲及び質量分率ZnO/CuOの値が所定範囲外であるため、流動径の評価が不良であった。試料No.24は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲及び質量分率ZnO/CuOの値が所定範囲外であるため、熱膨張係数、結晶化温度、流動径及び表面状態の評価が不良であった。試料No.25は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲が所定範囲外であるため、流動径の評価が不良であった。試料No.26は、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲が所定範囲外であるため、流動径の評価が不良であった。
<実験2>
ビスマス系ガラス粉末のガラス組成において、B、ZnO、CuOの影響を調査するために実験を行った。実験結果を表5、6に示す。
まず、表に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1100℃で1時間溶融した。次に、水冷ローラーにより、溶融ガラスを薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き150メッシュの篩を通過させて、平均粒子径D50が10μmの各ビスマス系ガラス粉末を得た。
耐火物フィラー粉末としては、ウイレマイトを用いた。ウイレマイトの平均粒子径D50は11μmであった。
表中に示す通り、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を混合し、試料No.27〜38を作製した。
試料No.27〜38につき、熱膨張係数、結晶量、表面状態を評価した。
熱膨張係数は、TMA装置により求めた。熱膨張係数は、試料No.27〜38を480℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜480℃の温度範囲で算出した。なお、焼成の際、昇降温速度は10℃/分とした。
結晶量は、株式会社島津製作所製RINT2000を用いて、スキャンスピード4°/分、スキャン幅0.01°、電圧40kV、電流40mA、測定角度5〜60°の条件で測定した。12Bi・B結晶は2θ=27.8°、Bi・CuO結晶は2θ=28.0°、Bi・B・2ZnO結晶は2θ=29.5°のピーク強度を測定することにより評価した。なお、測定試料は、表中の焼成温度で焼成した試料をめのう乳鉢で粉砕することで作製した。焼成に際し、昇降温速度は10℃/分とした。
表面状態は、光学顕微鏡(100倍)で観察し、上記ボタン表面全体に結晶が析出しているものを「○」とし、ボタン表面全体に結晶が析出していないものを「×」として評価した。
表5から明らかなように、質量分率ZnO/CuOの値が小さくなると、12Bi・B結晶の析出量が少なくなると共に、Bi・CuO結晶の析出量が多くなり、その結果、結晶化後の封着材料の熱膨張係数が低下する傾向が認められた。
表6から明らかなように、質量分率ZnO/Bの値が大きくなると、Bi・B・2ZnO結晶の析出量が少なくなると共に、12Bi・B結晶の析出量が多くなり、その結果、結晶化後の封着材料の熱膨張係数が上昇する傾向が認められた。また、表6から明らかなように、試料No.32〜38は、ガラス組成中のCuOの含有量が1%であるため、Bi・CuO結晶は析出していなかった。
<実験3>
実験1、2で用いた試料No.4、9、34を用いて実験を行なった。実験結果を表7、8に示す。
試料No.4、9、34につき、各焼成温度における熱膨張係数、結晶量を評価した。
熱膨張係数は、TMA装置により求めた。480℃で焼成した場合の熱膨張係数は、試料No.4、9、34を480℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜480℃の温度範囲で算出した。480℃で焼成した場合の熱膨張係数は、試料No.4、9、34を490℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜490℃の温度範囲で算出した。500℃で焼成した場合の熱膨張係数は、試料No.4、9、34を500℃20分で焼成したものを測定試料として用い、30〜500℃の温度範囲で算出した。なお、各焼成の際、昇降温速度は10℃/分とした。
結晶量は、株式会社島津製作所製RINT2000を用いて、スキャンスピード4°/分、スキャン幅0.01°、電圧40kV、電流40mA、測定角度5〜60°の条件で測定した。12Bi・B結晶は2θ=27.8°、Bi・CuO結晶は2θ=28.0°、Bi・B・2ZnO結晶は2θ=29.5°のピーク強度を測定することにより評価した。なお、測定試料は、表中の焼成温度で焼成した試料をめのう乳鉢で粉砕することで作製した。焼成に際し、昇降温速度は10℃/分とした。
表7から明らかなように、試料No.4、9は、焼成温度が変化しても、結晶の構成及び結晶の析出量が顕著に変化せず、焼成温度による熱膨張係数の変化が小さかった。一方、表8から明らかなように、試料No.34は、結晶の構成及び結晶の析出量が顕著に変化し、焼成温度による熱膨張係数の変化が大きかった。
本発明の封着材料は、PDP、FED、VFD、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(有機EL)、無機エレクトロルミネセンスディスプレイ(無機EL)等の平面表示装置の封着材料、陰極線管(CRT)の封着材料、水晶振動子(収納容器を含む)の封着材料、ICパッケージの封着材料、平面蛍光ランプ(FFL)の封着材料及び磁気ヘッド−コア同士又はコアとスライダーの封着材料として好適である。
本発明のタブレット一体型排気管を示す断面図である。 本発明のタブレット一体型排気管を示す断面図である。
1 排気管
2 タブレット
3 高融点タブレット

Claims (8)

  1. ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、
    (1)ビスマス系ガラス粉末40〜100体積%と、耐火性フィラー粉末0〜60体積%とを含有し、
    (2)ビスマス系ガラス粉末が、ガラス組成として、質量%で、Bi 74〜85%、B 4.5〜9.5%、ZnO 10〜16.5%、CuO 1.2〜8%含有し、
    (3)ビスマス系ガラス粉末が、ガラス組成として、質量分率で、ZnO/CuOの値が1〜10、ZnO/Bの値が1.5〜3であり、
    (4)実質的にPbOを含有せず、
    (5)結晶化温度が490〜570℃であることを特徴とする封着材料。
  2. 480℃で焼成したときの熱膨張係数をα、500℃で焼成したときの熱膨張係数をαとしたとき、(α−α)<4×10−7/℃の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の封着材料。
  3. ビスマス系ガラス粉末が、ガラス組成として、質量%で、BaO+SrO+MgO+CaO 0〜10%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の封着材料。
  4. 耐火性フィラー粉末が、ZnO含有耐火性フィラー粉末であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の封着材料。
  5. 耐火性フィラー粉末が、ウイレマイト、酸化亜鉛、ガーナイト、ZnO・Al・SiOの群より選ばれた一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の封着材料。
  6. 封着材料を所定形状に焼結させたタブレットであって、
    該封着材料が請求項1〜5の何れかに記載の封着材料であることを特徴とするタブレット。
  7. 拡径された排気管の先端部に、請求項6に記載のタブレットが取り付けられていることを特徴とするタブレット一体型排気管。
  8. 拡径された排気管の先端部に、請求項6に記載のタブレットと、高融点タブレットとが取り付けられており、且つ該タブレットが拡径された排気管の先端部側に取り付けられ、高融点タブレットが該タブレットよりも後端部側に取り付けられていることを特徴とするタブレット一体型排気管。
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