JP5401883B2 - 硬質発泡合成樹脂の製造方法 - Google Patents
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また、これらに代わる発泡剤としては、ハイドロフルオロカーボン(以下、HFC化合物という)やシクロペンタン等の炭化水素化合物が挙げられる。しかしながら、HFC化合物は地球温暖化係数が高いため、環境保護の観点から使用量の削減が求められている。
また、シクロペンタン等の炭化水素化合物は可燃性であるため、ボード成形等の発泡設備への安全対策にかかるコストが大きく、一方スプレー発泡においては安全上の問題から使用できない。
特許文献1において、環状アミン化合物の使用により断熱性能が向上するのは、気化したシクロペンタンのポリオール化合物に対する分散性が向上することにより、フォーム中の気泡が微細化するためであると考えられる。
アミン化合物(A):芳香環に結合している下式(1)のアミノアルキル基を少なくとも2つ有する芳香族化合物、および脂肪環に結合している下式(1)のアミノアルキル基を少なくとも2つ有する脂肪環式化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物。
R2−NH−R1− ・・・(1)
ただし、式(1)中、R1は炭素数1以上の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、R2は水素原子または1価の炭素数1〜6のアルキル基を含む基である。
また、前記アミン化合物(A)が有するアミノアルキル基のR2が全て水素原子であることが好ましい。
また、前記ポリオール化合物(P)が、マンニッヒ縮合物、ジアミノトルエン、およびビスフェノールAからなる群から選ばれる少なくとも1種を開始剤として、環状エーテル化合物を開環重合させて得られるポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。
また、本発明の製造方法はスプレー法により施工することが好ましい。
本発明の製造方法により得られる硬質フォームは、ウレア結合を有する硬質フォームであり、いわゆる硬質ポリウレタンウレアフォームである。また、イソシアヌレート変性硬質ポリウレタンウレアフォームを製造することもできる。
ポリオール化合物(P)は、通常硬質フォームの製造に用いられているポリオールであればよく、たとえば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマーが挙げられる。なかでも、ポリエーテルポリオールのみの使用、またはポリエーテルポリオールと、ポリエステルポリオールおよび/または末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマーとの併用が好ましい。
開始剤としては、前記化合物のうち1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
3員環状エーテル基を有する化合物としては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、スチレンオキシド、α−メチルスチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピフルオロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−クロロエチルグリシジルエーテル、o−クロロフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、ジヒドロナフタレンオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシドが挙げられる。
4〜6員環状エーテル基を有する化合物としては、たとえば、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランが挙げられる。
なかでも、3員環状エーテル基を1つ有する化合物(モノエポキシド)が好ましく、炭素数2〜4のアルキレンオキシドである、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシドがより好ましい。
特に好ましい環状エーテル化合物は、プロピレンオキシドのみの使用、エチレンオキシドのみの使用、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの併用である。
ポリイソシアネート化合物(I)は、通常硬質フォームの製造に用いられているものであればよく、イソシアネート基を2つ以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートの2種以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネート、または前記ポリイソシアネートのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。なかでも、TDI、MDI、クルードMDI、またはこれらの変性体が好ましい。
また、触媒としてイソシアネート基の三量化反応を促進する三量化触媒を主に用いるイソシアヌレート処方においては、イソシアネート指数を120〜300とするのがより好ましく、150〜250とするのがさらに好ましい。
触媒(C)としては、ウレタン化反応を促進するウレタン化触媒が挙げられる。ウレタン化触媒としては、たとえば、トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の3級アミン類;ジブチルスズジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。前記ウレタン化触媒は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン化触媒の使用量は、ポリオール化合物(P)100質量部に対して、0.1〜10質量部とするのが好ましい。
三量化触媒の使用量は、ポリオール化合物(P)100質量部に対して、0.1〜10質量部とするのが好ましい。
有機金属触媒の使用量は、ポリオール化合物(P)100質量部に対して、0.1〜10質量部とするのが好ましい。
本発明の製造方法では、発泡剤として、ポリオール化合物(P)100質量部に対して3〜20質量部の水を用いるが、水のみを使用するのが特に好ましい。
発泡剤として用いる水の使用量は、ポリオール化合物(P)100質量部に対して3〜17質量部とするのが好ましく、4〜17質量部とするのが好ましく、5〜15質量部とするのが特に好ましい。
本発明の製造方法では、良好な気泡を形成するために整泡剤(S)を用いる。
整泡剤(S)としては、たとえば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤が挙げられ、表面張力が低い、いわゆるファインセルタイプのものが好ましい。
整泡剤(S)の使用量は、適宜選定できるが、ポリオール化合物(P)100質量部に対して0.1〜10質量部とするのが好ましく、2〜10質量部とするのが特に好ましい。
アミン化合物(A)は、アミノアルキル基を少なくとも2つ有する芳香族化合物、およびアミノアルキル基を少なくとも2つ有する脂肪環式化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
前記芳香族化合物および脂肪環式化合物は、単環、非縮合多環、または縮合多環のものが挙げられる。多環の場合は、好ましい環の数は2である。また、それぞれのアミノアルキル基は異なる環に結合していることが好ましい。多環の場合は、隣接する環の間にアルキレン基などの2価結合基を有する非縮合多環であることが好ましい。
R2−NH−R1− (1)
ただし、式(1)中、R1は炭素数1以上の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、R2は水素原子または1価の炭素数1〜6のアルキル基を含む基である。
すなわち、式(1)のアミノアルキル基は、1級アミノ基(R2が水素原子)または2級アミノ基(R2が1価の炭素数1〜6のアルキル基を含む基)を有する。
アミン化合物(A)が有するそれぞれのアミノアルキル基のR2は、互いに異なっていてもよく、同じであってもよいが、R2は全て水素原子であることが特に好ましい。すなわち、1級アミノ基を有するアミノアルキル基のみを有するアミン化合物(A)であることが特に好ましい。
R2が1価の炭素数1〜6のアルキル基を含む基である場合には、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、またはシアノアルキル基であることが好ましい。R2が炭素数6以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基であると、反応性が水素原子より遅いことから反応速度の調整がしやすく、架橋が架かるため成形性に優れ、物性を改良する手段として有効である。
アミノアルキル基がR1を有することにより、アミン化合物(A)のポリイソシアネート化合物(I)との反応活性が充分に高くなり、発生する気泡核数の増加により、得られる断熱性能を充分に高くできると考えられる。
アミン化合物(A)が有するアミノアルキル基の数は2以上であり、2〜3であることが好ましく、2であることが特に好ましい。
アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、1〜4であることが特に好ましい。
電子吸引性基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキカルボニル基、N−アルキル置換カルバモイル基、アルコキシスルホニル基が好ましい。特に好ましい電子吸引性基は、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、およびアルコキシカルボニル基である。
アミン化合物(A)の使用量を0.1質量部以上とすることにより、反応初期の泡化反応を加速させ、平均セル径が小さく優れた断熱性能を有する硬質フォームが得られ易くなる。また、アミン化合物(A)の使用量を10質量部以下とすることにより、泡化反応と樹脂化反応の制御がしやすく、平均セル径が小さく優れた断熱性能を有する硬質フォームが得られ易くなる。
本発明では、前記ポリオール化合物(P)、ポリイソシアネート化合物(I)、触媒(C)、発泡剤、整泡剤(S)、およびアミン化合物(A)の他に、任意の配合剤を使用できる。
配合剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤等が挙げられる。ただし、本発明では、断熱材用途向けであることから、可塑剤を全くまたはほとんど使用しなくても所期の硬質フォームが得られる。
本発明の製造方法は、迅速な反応が求められる施工方法、特にスプレー法に適している。スプレー法は、ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物(I)とを、施工面に吹き付けながら反応させる発泡方法である。
ポリオールシステム液は、ポリオール化合物(P)に、好ましくは触媒(C)、水のみまたは水が主体である発泡剤、整泡剤(S)、アミン化合物(A)、および必要に応じて配合剤を含ませることにより得られる。ポリイソシアネート化合物(I)と反応しない整泡剤(S)や配合剤等は、ポリイソシアネート化合物(I)に含ませて用いてもよい。
スプレー法としては、種々の方法が知られているが、特にポリオール化合物(P)とポリイソシアネート化合物(I)とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡を用いるのが好ましい。
該理由としては、水に比べてポリイソシアネート化合物(I)との反応性が高いアミン化合物(A)を用いることにより、ある程度樹脂化反応を進行させた状態で気泡を発生させることができ、発生した気泡(炭酸ガス)同士が結合して大きなセルを形成するのを防ぐことができるためであると考えられる。このように、気泡を細かい状態で均一に閉じ込めてフォームのセル径を小さくできることで、得られた硬質フォーム中の輻射伝熱の効果が小さく抑えられると考えられる。
実施例および比較例で用いた原料は、以下のとおりである。
ポリオールP1:ジアミノトルエンを開始剤として、EO、PO、EOをこの順序で開環重合させて得られる、水酸基価450mgKOH/gのポリエーテルポリオール。開環重合させたPOおよびEOの合計量(100モル%)に対するEO量の割合は35.6モル%である。
触媒C1:1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン(商品名:ポリキャット41、エアプロダクツ社製)
触媒C2:ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテルの70%DPG溶液(商品名:TOYOCAT RX−7、東ソー社製)
整泡剤S1:シリコーン系整泡剤(商品名:SZ−1718、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
整泡剤S2:シリコーン系整泡剤(商品名:SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
発泡剤:水
アミン化合物A1:メタキシリレンジアミン(商品名:ショウアミンX、昭和電工社製)
アミン化合物A2:2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの混合物(商品名:NBDA、三井化学社製)
イソシアネート化合物I1:ポリメリックMDI(商品名:コロネート1130、日本ポリウレタン工業社製;イソシアネート基含有量31質量%)
[実施例1]
ポリオールP1(50部)、ポリオールP2(20部)、ポリオールP3(10部)、ポリオールP4(20部)、触媒C1(2.0部)、触媒C2(2.0部)、整泡剤S1(5.0部)、アミン化合物A1(2.0部)、および水(4.0部)を混合してポリオール予備混合物として、液温を20℃に調整した。また、ポリイソシアネートI1の液温を20℃に調整した。
ついで、前記ポリオール予備混合物に前記ポリイソシアネートを所定量加え(イソシアネート指数110)、攪拌器(毎分3000回転)を用いて混合し、上部が開放状態の縦横各200mm×高さ200mmの木箱にビニールシートを敷きつめたものに注入し、硬質フォームを製造した。
ポリオール予備混合物の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして硬質フォームを製造した。
ポリオール予備混合物の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして硬質フォームを製造した。
実施例1〜4および比較例1〜4の硬質フォームについて、コア密度(kg/m3)、熱伝導率(mW/m・K)をJIS A9526に準拠して測定した。熱伝導率の測定は、HC−074(英弘精機社製)を用いて測定温度20℃で行った。また、平均セル径(μm)は、得られた硬質フォームのコア部についてフォームの発泡方向に対して垂直な面を測定した。平均セル径の測定は、VE−8800(キーエンス社製)を用いて、加速電圧1.0kV、測定倍率60倍の条件で行い、画像処理ソフトによりセルの長径の平均値を算出した。
ただし、コア密度、平均セル径に関しては、得られた硬質フォームからスキン部を取り除いて縦横100mm×高さ30mmの寸法にて切り出した中心部のサンプルを用いて測定した。また、熱伝導率については、縦横180mm×高さ25mmの寸法にて切り出した中心部のサンプルを用いて測定した。
測定結果を表1に示す。
一方、アミン化合物(A)を使用していない比較例1〜4の硬質フォームは、熱伝導性が高く、断熱性能が劣っていた。
Claims (5)
- ポリオール化合物(P)とポリイソシアネート化合物(I)とを、下記アミン化合物(A)、触媒(C)、および整泡剤(S)の存在下、前記ポリオール化合物(P)100質量部に対して3〜20質量部の水のみからなる発泡剤を用いて反応させることを特徴とする硬質発泡合成樹脂の製造方法。
アミン化合物(A):芳香環に結合している下式(1)のアミノアルキル基を少なくとも2つ有する芳香族化合物、および脂肪環に結合している下式(1)のアミノアルキル基を少なくとも2つ有する脂肪環式化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物。
R2−NH−R1− ・・・(1)
ただし、式(1)中、R1は炭素数1以上の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、R2は水素原子または1価の炭素数1〜6のアルキル基を含む基である。 - 前記アミン化合物(A)の使用量が、ポリオール化合物(P)100質量部に対して0.1〜10質量部である、請求項1に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- 前記アミン化合物(A)が有するアミノアルキル基のR2が全て水素原子である、請求項1または2に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- 前記ポリオール化合物(P)が、マンニッヒ縮合物、ジアミノトルエン、およびビスフェノールAからなる群から選ばれる少なくとも1種を開始剤として、環状エーテル化合物を開環重合させて得られるポリエーテルポリオールを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- スプレー法による請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
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